説明

紙パック連結ジョイント

【課題】直方体状の紙パックを連結して製作した玩具が、動く関節など有し、動く形態での製作を容易にし、紙パック玩具の広がりを促進できる紙パック連結ジョイントを提供する。
【解決手段】一対のベースプレート7が相対して配置され、回動部9により、互いに回動する。ベースプレート7は、紙パック1の断面に対応する正方形の平面を有する。この平面を4つの正方形の割領域に分割する。これらの分割領域11の縁辺に沿って挟持片対が設けられ、紙パック1の断面の縁を挟持する。回動部9は、2軸周りの回動をする。すなわち、一方のベースプレート7の相対する二辺に垂設される垂設面19を、他方のベースプレート7に設けられる受面21が受ける。これらの垂設面19と受面21を第1回動軸25が軸支し180度回動する。また、一方のベースプレート7と垂設面19との間を第2回動軸が軸支して360度回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、使用済みの直方体状の紙パックなどを連結して玩具を製作するためのジョイントの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
牛乳やジュースが入った1リットルあるいは500ccなどの紙パックは、使用済みになると、廃棄されてしまう。
これらの紙パックは直方体状で、複数を連結すると、ある程度の強度があり、これを利用して、図3に示すように紙パック101を連結して人形103や動物などの玩具を製作すると、大型の玩具が安価で製作できる。
【0003】
また、例えば下記の非特許文献1(インターネットのホームページ)には、2軸のひじ関節などを有するロボット玩具が記載される。
【非特許文献1】http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2006/pr20060526/pr20060526.html
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、紙パックを連結して製作した玩具は、動く関節などを製作しにくい。このため、通常は静的な玩具しか製作できず、よって面白みに欠け、紙パック玩具の広がりを妨げている。
また、前記非特許文献1は、既に工場で生産された玩具であり、その関節を紙パック玩具に採用することは非現実的である。
この発明は、以上の問題点を解決するために、紙パックを連結して製作した玩具が、動く関節など有し、動く形態での製作を現実的に容易にし、紙パック玩具の広がりを促進できる紙パック連結ジョイントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、第一発明は、直方体状の紙パックを連結して玩具を製作するためのジョイントであって、相対して配置される一対のベースプレートと、これらベースプレートを互いに回動する回動部と、前記ベースプレートに設けられ、前記ベースプレートの前記紙パックの断面に対応する正方形の平面を、4つの正方形に分割した分割領域と、これらの分割領域の縁辺に沿って設けられ前記紙パックの断面の縁を挟持する挟持片対と、を有することを特徴とする紙パック連結ジョイントである。
【0006】
第二発明は、さらに、前記回動部は、2軸周りの回動をするために、一方のベースプレートの相対する二辺に垂設される垂設面と、この垂設面を受けるため他方のベースプレートに設けられる受面と、前記垂設面と前記受面を軸支し180度回動する第1回動軸と、前記一方のベースプレートと前記垂設面との間、あるいは、前記他方のベースプレートと前記受面との間を、軸支して360度回動する第2回動軸と、を有することを特徴とする紙パック連結ジョイントである。
【発明の効果】
【0007】
第一、又は第二発明によれば、一対のベースプレートのそれぞれに、1つ、2つ、3つ、あるいは4つの、切断した紙パックを挟持させることで、関節などのように動く部分を有する形態で玩具の製作を現実的に容易にできる。
すなわち、1つの切断した紙パックを選んだ場合には、4つの正方形に分割した分割領域の全外周で、挟持片に挟持させる。2つの切断した紙パックを選んだ場合には、各紙パックは、4つの正方形に分割した分割領域のうち任意の2つの隣り合う分割領域の外周で、挟持片に挟持させる。3つの切断した紙パックを選んだ場合には、各紙パックは、4つの正方形に分割した分割領域のうち任意の1つの分割領域の外周で、挟持片に挟持させる。4つの切断した紙パックを選んだ場合には、各紙パックは、4つの正方形に分割した分割領域のうち任意の1つの分割領域の外周で、挟持片に挟持させる。
【0008】
このように、ベースプレートのそれぞれに、1つ、2つ、3つ、あるいは4つの、切断した紙パックを挟持させることができるので、同じ紙パック連結ジョイントで、色々に大きさの異なる関節などのように動く部分を、製作をできる。よって、人形、ロボット、動物、恐竜の骨格など、多数の動く大型の玩具を製作できる。
【0009】
よって、動く面白い玩具を容易に製作でき、紙パック玩具の広がりを促進できる。
第二発明によれば、さらに、シンプルな回動部の構造で、2軸周りの回動を可能にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の実施形態を、図1、及び図2に示す。
この実施形態は、図1に示すように、1リットルあるいは500ccの直方体状の紙パック1を連結して人形3の関節を製作するためのジョイント5である。図1(A)に示すように、人形3の首の関節、肩関節、ひじ関節、腰の関節、股関節、ひざ関節、足首の関節に、このジョイント5が採用される。
【0011】
図1(B)(C)(D)に示すように、このジョイント5は、相対して配置される一対のベースプレート7を有し、これらベースプレート7が、回動部9により、互いに2軸周りの回動をする。
図1(D)に示すように、各ベースプレート7は、紙パック1の正方形の断面に対応し、ほぼ同じ正方形の平面を有する。このベースプレート7の正方形の平面は、4つの分割領域11に分割される。各分割領域11は小さな正方形を有する。各分割領域11の縁辺に沿って、一対の挟持片13が設けられる。一対の挟持片13は、互いに弾性的に接しているか、紙パック1の紙の厚さ分よりやや狭い隙間を介して弾性的に隣接する。これにより、紙パック1の断面の縁が挿入されることで、容易に挟持する。
【0012】
また、一対の挟持片13のうち、内側の挟持片13Aは、外側の挟持片13Bよりも背が高く、これにより紙パック1の断面の縁が挿入時に、位置決めされ易い。
さらに、一対の挟持片13が接する部位で、挟持片13A,13Bの内側には、爪15が形成され、紙パック1の断面の縁1Aを強固に挟持できる。
図1(B)(C)に示すように、回動部9は、一対のベースプレート7を2軸周りの回動をする構造を有する。すなわち、一方のベースプレート7Aには、断面が横向きのコの字状を有する回動プレート17が配置される。この回動プレート17には、コの字状の両辺に相当する一対の垂設面19が設けられる。これらの垂設面19は、U字状プレートである。そして、一対のベースプレート7が回動しておらず正しく対向している状態(図1(C)参照)で、一方のベースプレート7Aの相対する二辺に対し垂設された状態となる。
【0013】
この垂設面19を受けるため他方のベースプレート7Bに受面21が設けられる。この受面21は、他方のベースプレート7Bに設けられるU字状断面を有する受部23の両端面を構成する。
そして、 図1(C)に示すように、垂設面19と受面21を第1回動軸25が軸支して180度回動(図中の矢印27)可能とする。さらに、一方のベースプレート7Aと、垂設面19を有する回動プレート17との間を、図示しない第2回動軸が軸支して360度回動(図中の矢印29)可能とする。また、この実施形態では、さらに、他方のベースプレート7Bと、受部23との間をも、図示しないもう1つの第2回動軸が軸支して360度回動(図中の矢印29)可能とする。
【0014】
「実施形態の効果」
この実施形態によれば、一対のベースプレート7のそれぞれに、1つ、2つ、3つ、あるいは4つの、切断した紙パック1を、数を任意に選んで挟持させることができる。
すなわち、図2(A)に示すように、1つの切断した紙パック1を選んだ場合には、4つの正方形に分割した分割領域11の全外周で、挟持片13に挟持させる。この場合に使用される挟持片13の対は、8対である。
図2(B)に示すように、2つの切断した紙パック1を選んだ場合には、各紙パック1は、4つの正方形に分割した分割領域11のうち任意の2つの隣り合う分割領域11の外周で、挟持片13に挟持させる。この場合に使用される挟持片13の対は、1つの紙パック1に4対である。
【0015】
図示しないものの、3つの切断した紙パック1を選んだ場合には、各紙パック1は、4つの正方形に分割した分割領域11のうち任意の1つの分割領域11の外周で、挟持片13に挟持させる。この場合に使用される挟持片13の対は、1つの紙パック1に2対である。
【0016】
図2(C)に示すように、4つの切断した紙パック1を選んだ場合には、各紙パック1は、4つの正方形に分割した分割領域11のうち任意の1つの分割領域11の外周で、挟持片13に挟持させる。この場合に使用される挟持片13の対は、1つの紙パック1に2対である。
【0017】
このように、ベースプレート7のそれぞれに、1つ、2つ、3つ、あるいは4つの、切断した紙パック1を挟持させることができるので、同じ1種類の紙パック連結ジョイントで、色々に大きさの異なる関節などのように動く部分を、製作をできる。よって、人形3、ロボット、動物、恐竜の骨格など、大きさの異なる多くの関節を有する、多数の動く大型の玩具を製作できる。
【0018】
よって、同じ1種類の紙パック連結ジョイントで、動く面白い玩具を容易に製作でき、紙パック玩具の広がりを促進できる。
【0019】
「他の実施形態」
以上の実施形態では、第2回動軸は、一方のベースプレート7と垂設面19との間を軸支するものであったが、他の実施形態では、他方のベースプレート7と受面21との間を軸支するものであってもよい。
【0020】
以上の実施形態では、回動部9は、2軸周りの回動をするものであったが、他の実施形態では、ボールジョイントのように自在に回動するものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の一実施形態を示すもので、(A)はこの実施形態のジョイントを用いて製作した人形の斜視図、(B)は(A)に用いるこの実施形態のジョイントを示す斜視図、(C)は(B)の機能を示す斜視図、(D)は(B)の紙パックを挟持する部分を示す斜視図である。
【図2】図1のジョイントが挟持する紙パックの数が異なる場合を示す説明図で、(A)は紙パックが1つの場合を説明する図、(B)は紙パックが2つの場合を説明する図、(C)は紙パックが4つの場合を説明する図である。
【図3】従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
1…紙パック、3…人形、5…ジョイント、7…ベースプレート、9…回動部、11…分割領域、13…挟持片、15…爪、17…回動プレート、19…垂設面、21…受面、23…受部、25…第1回動軸、101…紙パック、103…人形。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体状の紙パックを連結して玩具を製作するためのジョイントであって、相対して配置される一対のベースプレートと、これらベースプレートを互いに回動する回動部と、前記ベースプレートに設けられ、前記ベースプレートの前記紙パックの断面に対応する正方形の平面を、4つの正方形に分割した分割領域と、これらの分割領域の縁辺に沿って設けられ前記紙パックの断面の縁を挟持する挟持片対と、を有することを特徴とする紙パック連結ジョイント。
【請求項2】
前記回動部は、2軸周りの回動をするために、一方のベースプレートの相対する二辺に垂設される垂設面と、この垂設面を受けるため他方のベースプレートに設けられる受面と、前記垂設面と前記受面を軸支し180度回動する第1回動軸と、前記一方のベースプレートと前記垂設面との間、あるいは、前記他方のベースプレートと前記受面との間を、軸支して360度回動する第2回動軸と、を有することを特徴とする請求項1に記載の紙パック連結ジョイント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−40496(P2009−40496A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−210596(P2007−210596)
【出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【出願人】(507273219)
【Fターム(参考)】