説明

紙パック開封装置

【課題】容易に、片手のみによってさえ開封可能で、かつ、簡易な構成で故障のおそれがなく、さらに通常は刃部が隠れていて傷害のおそれのない紙パック開封装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、屋根型斜面、該屋根型斜面から続く合掌部を有する紙パックを開封する紙パック開封装置において、前記合掌部が挿入される合掌部挿入溝を有するレール部を備えた紙パック保持部と、前記屋根型斜面の前記合掌部の近傍に係合して前記屋根型斜面を切断可能な刃部材を保持し、前記レール部上を走行可能なカッター部と
を有することを特徴とする紙パック開封装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙パック開封装置、さらに詳しくは、牛乳、ジュース、薬剤等の収容物を収容した屋根型部を有する紙パックを、収容物を収容したまま開封し、あるいは収容物を排出した後に該紙パックを容易に開封して展開することができる紙パック開封装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紙パックの開封に関する技術として、牛乳、ジュース等の500CC、1000CC用の紙パック容器を開封する道具であって、千枚通しの様に手で握る柄の部分にもパックをカットする刃が付いていて、柄の先に付いている金物(先端部分は鋭利に尖っている)カッター軸にも紙パックをカットできるように刃が付いており、又更にパックの注ぎ口を開ける際にカッター軸を、てこの原理で反転させるため、その起点になる箇所に滑り止めストッパー(これに刃がつけてある)を取り付けた紙パックカッターが提案されている(例えば、特許文献1参照)。これは、指の力が減少した老人や幼児も紙パックを容易に開封することができる効果がある。
【0003】
他の紙パックの開封に関する技術として、紙パック容器の合掌部に着脱自在に取付可能な左右一対の挾着腕部と、その挾着腕部の下方に配置されたほぼナイフ型の開封板とを、持手部の前方に突設して成る開封具であって、前記した一対の挾着腕部を合掌部の横幅寸法よりやや短く形成するとともに、その挾着腕部の前端部を支点として上方に回動させることにより、合掌部における封止片同志を、前記開封板によって引き剥がすように構成したことを特徴とする紙パック容器の開封具が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
これは、幼児や高齢者、手の不自由な人などでも安全且つ容易に、しかも片手のみで簡単に開封することができるとともに、様々な種類の紙パック容器に広汎に対応可能で、さらには安価に製造可能な簡易構造であることを意図している。
【0004】
他の紙パックの開封に関する技術として、紙パックに着脱自在に装着されるホルダーに紙パックの開封口開口手段と開封口閉鎖手段とを設けてなり、前記紙パックの開封口開口手段は、前記ホルダーの前方に、紙パックの開封口左右端部を保持する保持部材を配設し、前記ホルダーの後部に前記保持部材を前後に移動させるための操作を行う第1操作部を取り付け、前記保持部材と第1操作部の間に前記第1操作部の作動を前記保持部材に伝導して前記保持部材を前後に移動させる第1伝導部を介在させて構成し、前記紙パックの開封口閉鎖手段は、前記ホルダーの前方に、開口している紙パック開封口前方から開封口を押し込み部材を配設し、前記ホルダーの後部に前記押し込み部材を前後に移動させるための操作を行う第2操作部を取り付け、前記押し込み部材と第2操作部との間に前記第2操作部の作動を前記押し込み部材に伝導して前記押し込み部材を前後に移動させる第2伝導部を介在させて構成した紙パック開封口開閉具(例えば、特許文献3参照)が提案されている。これは、手を触れることなく紙パック開封口の開口・閉鎖作業を行うことができる効果を有する。
【0005】
他の紙パックの開封に関する技術として、京セラ株式会社より製品「セラミックパックカッター」が販売されている。このカッターは、挟み角度90°のガイド部材の頂部に、セラミック刃が配置されている。前記セラミック刃は、不使用時には傷害のおそれのないように露出させず、使用時のみ前記セラミック刃を指で押して前記ガイド部材の頂部に露出させる。使用法は、前記ガイド部材を紙パックの稜部に当て、前記セラミック刃を指で押して露出させ、紙パックの稜部上を移動させて、紙パックの稜部を切断する。これは直角稜部を切断することができ、紙パックを開封して平面状にすることができるので、紙パック材料の再生利用に都合よい。
【0006】
【特許文献1】特開2001−293268号公報
【特許文献2】特開2004−115122号公報
【特許文献3】特開2006−016054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された紙パック容器を開封する道具は、柄の先に付いている金物(先端部分は鋭利に尖っている)カッター軸にも紙パックをカットできるように刃が付いている。このような刃は、極めて危険であって、幼児等がいる家庭には不向きである。また、開封時には、紙パック及び開封具の双方を大きな力で把持しなければならず、子供や老人には使用できないおそれもある。
特許文献2に開示された紙パック容器の開封具は、紙パックを机の上等に片手で固定して、他方の手で開封具を把持して開封する。従って、子供や老人が片手で容易に開封することは困難である。
【0008】
特許文献3に開示された紙パック開封口開閉具は、紙パックの頂上屋根部の縁部に係止溝をもった保持部材を係合させ、該保持部材をアーム13を介して引張ることによりの上に設けられた合掌部のうち開封に係る接着の弱い部分を剥離させる構成である。この構成において保持部材をアームを介して引張ることには、大きな力を要し、子供や老人が開封することは困難であり、もちろん片手で開封することも不可能である。
【0009】
前記セラミックパックカッターは、紙パックを把持しながらセラミックパックカッターを移動させなければならず、開封操作が複雑かつ大きな力が必要である。また、紙パックの再生利用を容易にするために紙パック全体を平面に展開することが可能のように開封することはできるが、注ぎ口あるいは飲み口を形成するための開封はできない。
【0010】
(発明の目的)
本発明は、従来の紙パック開封装置に関する上述した問題に鑑みてなされたものであって、容易に、片手のみによってさえ開封可能な紙パック開封装置を提供することを目的とする。
本発明はまた、簡易な構成で故障のおそれがなく、かつ通常は刃部が隠れていて傷害のおそれのない紙パック開封装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、屋根型斜面、該屋根型斜面から続く合掌部を有する紙パックを開封する紙パック開封装置において、
前記合掌部が挿入される合掌部挿入溝を有するレール部を備えた紙パック保持部と、
前記屋根型斜面の前記合掌部の近傍に係合して前記屋根型斜面を切断可能な刃部材を保持し、前記レール部上を走行可能なカッター部と
を有することを特徴とする紙パック開封装置である。
【0012】
本発明の包装用容器の実施態様は、以下のとおりである。
前記紙パック保持部が、前記屋根型斜面に係合するガイド斜面部を有するにあるようにすることを特徴とする。このように実施することにより、紙パックの合掌部を容易に合掌部挿入溝に挿入することができ、紙パックを容易に開封することができる。特に、健常視力を有しない人や、細かい操作が困難な老人等も紙パックを容易に開封することができる利点がある。
【0013】
前記カッター部が、常時は、前記刃部材が前記ガイド斜面が挟む空間内に露出しない非切断位置にあるように弾性部材によって開封操作部材を付勢していて、前記開封操作部材を前記弾性部材の付勢力に抗して操作することによって、前記ガイド斜面が挟む空間内に前記刃部材が露出し切断可能であるようにすることを特徴とする。このように実施することにより、簡単な構成であるにもかかわらず、安全にかつ容易に紙パックを開封することができる。
【0014】
前記開封操作部材が、常時は、前記弾性部材によって押し出し方向に付勢されていて、開封時は、前記開封操作部材を前記弾性部材の付勢力に押し込むことによって、前記ガイド斜面が挟む空間内に前記刃部材が露出し切断可能であるようにすることを特徴とする。このように実施することにより、簡単な構成であるにもかかわらず、安全にかつ容易に紙パックを開封することができる。
【0015】
前記開封操作部材が、常時は、前記弾性部材によって押し出し方向に付勢されていて、前記開封操作部材を切断のための操作方向に転倒させることにより、前記ガイド斜面が挟む空間内に前記刃部材が露出して切断可能であるようになり、かつ開封操作部材を転倒させたまま切断のための操作方向に走行させることができることを特徴とする。このように実施することにより、合掌部を合掌部挿入溝に挿入させて紙パック開封装置を紙パックに装着後、一操作により安全に紙パックを開封することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の紙パック開封装置によれば、容易に、片手のみによってさえ開封可能であって、かつ、簡易な構造で故障のおそれがなく、かつ通常は刃部が隠れていて傷害のおそれのない紙パック開封装置を構成することができる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態の紙パック開封装置100を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
紙パック開封装置100を使用する紙パック10は、図1に示すように、直方体の上端部材を、2つの屋根型斜面2、4を形成し、2つの屋根型斜面2、4の先端部を互いに接着して合掌部6を形成したものである。紙パック開封装置100は、紙パック10の屋根型斜面2、4の合掌部6近傍に、水平な切断線Cを形成して、注ぎ口あるいは飲み口(図示せず)を形成する。紙パック10は、本来は、接着剤によって固着された合掌部6の一部を剥離させて、注ぎ口あるいは飲み口(図示せず)を形成するものである。
【0018】
紙パック開封装置100は、図1に示すように、紙パック保持部108と、カッター部114とからなる。
紙パック保持部108は、紙パック10の2つの屋根型斜面2、4に載置されるガイド斜面102、104(104は図示せず)を設けたガイド斜面部105と、合掌部6が挿入される合掌部挿入溝106を設けたレール部107とを有する。レール部107は、カッター部114が走行するためのガイドレールとしても作用する。レール部107の両端部には、親指や手の平等を当てる右左手当て部112,113(113は図示せず)が形成されている。
【0019】
カッター部114は、図1及び図2に示すように、袴部116と、袴部116の上に配置された作動指当て部120が配置されている。作動指当て部120は、袴部116に垂直方向に摺動可能に取付けられており、圧縮ばね122によって上方向へ付勢されている。作動指当て部120は、さらに、対向する水平2方向を切断することができる両刃部材126が下向きに取付けられている。
【0020】
袴部116の両刃部材126を設けた側の側面には、上三角マーク130が設けられている。ガイド斜面102の右端には右三角マーク132が設けられ、同左端には左三角マーク(図示せず)が設けられている。上三角マーク130と右三角マーク132が一致すると、両刃部材126が右から左へ移動して開封を開始するためにあるいは開封を終了するためにカッター部114が適切な位置にあると認知することができる上三角マーク130と左三角マーク(図示せず)が一致すると、両刃部材126が左から右へ移動して開封をするためにあるいは開封を終了するためにカッター部114が適切な位置にあると認知することができる。
【0021】
作動指当て部120に何ら力が加わっていないときは、作動指当て部120は圧縮ばね122の付勢力によって上方に在り、両刃部材126はガイド斜面102、104の作る空間内に露出していない。作動指当て部120に下向きに力が加わると、作動指当て部120は圧縮ばね122の付勢力に抗して下方に移動し、両刃部材126はガイド斜面102、104の作る空間内に露出し、紙パック10の2つの屋根型斜面2、4の一方の合掌部6付近に係合する。この作動指当て部120に下向きに力を加えた状態で、カッター部114をレール部107で走行させることにより、紙パック10の2つの屋根型斜面2、4の一方の合掌部6付近に水平な切断線Cを形成することができる。
【0022】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態の紙パック開封装置200は、図3に示すように、第1実施態様に対し、カッター部202の構成が異なる。第2実施形態の紙パック開封装置200において、第1実施形態と同一の構成については、図3ないし図5において、第1実施形態の紙パック開封装置100と共通の符号を付して、その説明を省略する。第1実施態様のカッター部114は、作動指当て部120を下方に付勢しながら屋根型斜面2、4の一方を切断したが、第2実施形態の紙パック開封装置200のカッター部202は、図3に示すように、カッター部202を合掌部6の上で移動する直前に自動的に両刃部材226が切断位置すなわち両刃部材226がガイド斜面102、104の作る空間内に露出する位置に移動する。
【0023】
紙パック開封装置200のカッター部202は、図4に示すように、袴部216に、押し下げ部材218が垂直方向に摺動自在にかつ上昇位置が限定されるように配置されている。袴部216と押し下げ部材218の間には、圧縮ばね222が配置され、押し下げ部材218が圧縮ばね222によって上方向へ付勢されている。袴部216の上端部には、揺動操作部材230が、揺動可能に配置されている。揺動操作部材230は、図5(B)に示すように、付勢部材(図示せず)の作用により、無操作で垂直位置を保持するように付勢されている。
【0024】
揺動操作部材230は、回転軸240から両側へ左右押圧アーム242、244が突出している。揺動操作部材230が左右に揺動させられると、図5(A)(C)に示すように、左右押圧アーム242、244の一方が押し下げ部材218の上端部を押し下げ、両刃部材226が切断位置すなわち両刃部材226がガイド斜面102、104の作る空間内に露出する位置に移動する。
【0025】
このような構成の第2実施形態の紙パック開封装置200おいて、上三角マーク130と右三角マーク132を一致させる。次に、親指を左手当て部113(図示せず)に当て、人指しを揺動操作部材230に当てて、親指と人指の間隔を縮小させる。親指と人指の間隔の縮小作動の当初において、揺動操作部材230が左手当て部113(図示せず)側へ揺動し、両刃部材226が切断位置すなわち親指と人指の間隔の縮小作動がガイド斜面102、104の作る空間内に露出する位置に移動する。さらに、親指と人指の間隔の縮小作動を続けると、両刃部材226は紙パック10の2つの屋根型斜面2、4の一方の合掌部6付近に水平な切断線Cを形成して、紙パック10を開封する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態の紙パック開封装置の部分的に断面を含む斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態の紙パック開封装置のカッター部の部分的に断面を含む斜視図である。
【図3】本発明の第2実施形態の紙パック開封装置の部分的に断面を含む斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態の紙パック開封装置のカッター部の部分的に断面を含む斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態の紙パック開封装置のカッター部の作動説明図である。
【符号の説明】
【0027】
C 切断線
2,4 屋根型斜面
6 合掌部
10 紙パック
100 紙パック開封装置
102、104 ガイド斜面
105 ガイド斜面部
107 レール部
108 紙パック保持部
114 カッター部
112,113 右左手当て部
116 袴部
120 作動指当て部
122 圧縮ばね
126 両刃部材
130 上三角マーク
132 右三角マーク
134 左三角マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根型斜面、該屋根型斜面から続く合掌部を有する紙パックを開封する紙パック開封装置において、
前記合掌部が挿入される合掌部挿入溝を有するレール部を備えた紙パック保持部と、
前記屋根型斜面の前記合掌部の近傍に係合して前記屋根型斜面を切断可能な刃部材を保持し、前記レール部上を走行可能なカッター部と
を有することを特徴とする紙パック開封装置。
【請求項2】
前記紙パック保持部が、前記屋根型斜面に係合するガイド斜面部を有するにあるようにすることを特徴とする請求項1に記載の紙パック開封装置。
【請求項3】
前記カッター部が、常時は、前記刃部材が前記ガイド斜面が挟む空間内に露出しない非切断位置にあるように弾性部材によって開封操作部材を付勢していて、前記開封操作部材を前記弾性部材の付勢力に抗して操作することによって、前記ガイド斜面が挟む空間内に前記刃部材が露出し切断可能であるようにすることを特徴とする請求項1に記載の紙パック開封装置。
【請求項4】
前記開封操作部材が、常時は、前記弾性部材によって押し出し方向に付勢されていて、開封時は、前記開封操作部材を前記弾性部材の付勢力に押し込むことによって、前記ガイド斜面が挟む空間内に前記刃部材が露出し切断可能であるようにすることを特徴とする請求項3に記載の紙パック開封装置。
【請求項5】
前記開封操作部材が、常時は、前記弾性部材によって押し出し方向に付勢されていて、前記開封操作部材を切断のための操作方向に転倒させることにより、前記ガイド斜面が挟む空間内に前記刃部材が露出して切断可能であるようになり、かつ開封操作部材を転倒させたまま切断のための操作方向に走行させることができることを特徴とする請求項3に記載の紙パック開封装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−326603(P2007−326603A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−158748(P2006−158748)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(000148885)株式会社台和 (4)
【Fターム(参考)】