説明

紙塗工用共重合体ラテックスおよび高炭酸カルシウム含有紙塗工用組成物

【課題】ドライピック強度およびウェットピック強度に優れ、かつインキセット性、再分散性に優れた紙塗工用共重合体ラテックスの提供。
【解決手段】脂肪族共役ジエン、シアン化ビニル、エチレン系不飽和カルボン酸及び他の単量体(単量体合計100重量部)を乳化重合して得られる共重合体ラテックスにおいて、1段目に脂肪族共役ジエン1.5〜33重量部、シアン化ビニル5.5〜35重量部、エチレン系不飽和カルボン酸4.5〜27重量部及び他の単量体0〜31.5重量部からなる単量体合計15〜43重量部を重合した後、2段目以降に脂肪族共役ジエン10〜60重量部、エチレン系不飽和カルボン酸0〜26重量部及び他の単量体0〜50重量部からなる単量体合計57〜85重量部を乳化重合して得られる紙塗工用共重合体ラテックス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙塗工用共重合体ラテックスに関するものである。
詳しくは、ドライピック強度およびウェットピック強度に優れ、かつインキセット性、再分散性に優れた紙塗工用共重合体ラテックスさらには該紙塗工用共重合体ラテックスを含有してなる高炭酸カルシウム含有紙塗工用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、塗工紙は、その印刷効果が高い等の理由から、非常に数多くの印刷物に利用されている。季刊、月間紙等の定期刊行物の中にも、全ての頁に塗工紙が使用される場合もかなり増えている。特に、メールオーダービジネスにおけるダイレクトメールや商品カタログ等においては、そのほとんどが全ての頁に塗工紙を使用している。
一般的に紙塗工用組成物は、クレーや炭酸カルシウムなどの白色顔料を水に分散した顔料分散液、顔料同士および顔料を原紙に接着固定するためのバインダー、およびその他の添加剤によって構成される水性塗料である。バインダーとしてはスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスに代表されるような合成エマルションバインダーやデンプン、カゼインに代表されるような天然バインダーが使用される。その中でもスチレンーブタジエン系共重合体ラテックスは、品質設計の自由度が大きく、今日では紙塗工用組成物に最も適したバインダーとして広く使用されており、スチレンーブタジエン系共重合体ラテックスの性能が紙塗工用組成物の性能あるいは最終的な塗工紙製品のドライピック強度、ウェットピック強度などの品質に大きく影響することが知られている。
【0003】
一方、近年においては、顔料コストの高騰から顔料の低コスト化が行われ、高価なカオリンから安価な炭酸カルシウムへ配合比率が増しており、このような高炭酸カルシウム処方に適した紙塗工用組成物、とりわけラテックスが塗工紙に及ぼす影響がますます重要視されている。
【0004】
特開2006−152484号公報(特許文献1)では、全顔料100質量%中に重質炭酸カルシウムを60%以上含有し、且つバインダーは、共重合体からなるコア部70〜95質量部と、共重合体からなるシェル部30〜5質量部とを備え、光散乱法による平均粒子径150nm以下のコア-シェル型共重合体を含有する共重合体ラテックスを含む艶消し塗工紙用組成物が紹介されている。
また、特開平11−50390号公報(特許文献2)では、ブレードコーターで塗被し、該顔料として平均粒子径が0.1〜0.4μmの重質炭酸カルシウムを30〜100質量%含有せしめ、かつ該接着剤として平均粒子径が0.15〜0.30μmの共重合体ラテックスを全顔料に対して、固形分対比で5〜20質量%使用してなる印刷用塗被紙で光沢ムラが殆ど無い高品質に仕上がる技術が紹介されている。
さらに特開平5−59693号公報(特許文献3)には、顔料100重量部に対して、脂肪族共役ジエン単量体20〜60重量%、シアン化ビニル単量体10〜50重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜15重量%、芳香族ビニル単量体0〜50重量%、及びその他の単量体0〜63.5重量%を単量体成分とし、トルエン不溶分が70重量%以上である、共重合体ラテックス1〜30重両部(固形分換算)を含有することによって、従来のオフセット印刷用紙塗工組成物では達成することの出来なかった、優れた接着強度、印刷光沢およびインク乾燥性が改良されるとの技術開示がある。
【0005】
しかし、これらの様々な改良技術は、未だ紙塗工用共重合体ラテックスに要求される性能を十分に満足するレベルには至っておらず、更なる改良が強く求められていた。
【特許文献1】特開2006−152484号公報
【特許文献2】特開平11−50390号公報
【特許文献3】特開平5−59693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前述の諸事情に鑑み現状の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、ドライピック強度およびウェットピック強度に優れ、かつインキセット性、再分散性に優れた紙塗工用共重合体ラテックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、脂肪族共役ジエン系単量体、シアン化ビニル単量体、エチレン系不飽和カルボン酸単量体及びこれらと共重合可能な他の単量体(単量体合計100重量部)を乳化重合して得られる共重合体ラテックスにおいて、1段目に脂肪族共役ジエン系単量体1.5〜33重量部、シアン化ビニル単量体5.5〜35重量部、エチレン系不飽和カルボン酸単量体4.5〜27重量部及びこれらと共重合可能な他の単量体0〜31.5重量部からなる単量体合計15〜43重量部を重合した後、
2段目以降に脂肪族共役ジエン系単量体10〜60重量部、エチレン系不飽和カルボン酸単量体0〜26重量部及びこれらと共重合可能な他の単量体0〜50重量部からなる単量体合計57〜85重量部を乳化重合して得られる紙塗工用共重合体ラテックスを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、ドライピック強度およびウェットピック強度に優れ、かつインキセット、再分散性に優れた紙塗工用共重合体ラテックスが得られるものであり、特に高炭酸カルシウム処方の紙塗工用バインダーとして有用である。
【0009】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明における脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特に1,3−ブタジエンの使用が好ましい。
【0010】
シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特にアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの使用が好ましい。
【0011】
エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などのモノまたはジカルボン酸(無水物)を挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。
【0012】
上記脂肪族共役ジエン系単量体、シアン化ビニル単量体およびエチレン系不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体としては、アルケニル芳香族単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体、不飽和カルボン酸アミド単量体等が挙げられる。
【0013】
アルケニル芳香族単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、ビニルトルエンおよびジビニルベンゼン等が挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特にスチレンの使用が好ましい。
【0014】
不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマルエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特にメチルメタクリレートの使用が好ましい。
【0015】
ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体としては、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジ−(エチレングリコール)マレエート、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、2−ヒドロキシエチルメチルフマレートなどが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特にβ−ヒドロキシエチルアクリレートの使用が好ましい。
【0016】
不飽和カルボン酸アミド単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなどが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特にアクリルアミドまたはメタクリルアミドの使用が好ましい。
【0017】
上記の単量体組成は、脂肪族共役ジエン系単量体、シアン化ビニル単量体、エチレン系不飽和カルボン酸単量体及びこれらと共重合可能な他の単量体(単量体合計100重量部)を乳化重合して得られる共重合体ラテックスにおいて、1段目に脂肪族共役ジエン系単量体1.5〜33重量部、シアン化ビニル単量体5.5〜35重量部、エチレン系不飽和カルボン酸単量体4.5〜27重量部及びこれらと共重合可能な他の単量体0〜31.5重量部からなる単量体合計15〜43重量部を重合した後、
2段目以降に脂肪族共役ジエン系単量体10〜60重量部、エチレン系不飽和カルボン酸単量体0〜26重量部及びこれらと共重合可能な他の単量体0〜50重量部からなる単量体合計57〜85重量部を乳化重合して得られる紙塗工用共重合体ラテックスである。
【0018】
1段目の脂肪族共役ジエン系単量体が1.5重量部未満では印刷時に必要とされるドライピック強度などの接着性が、また33重量部を超えると印刷時に必要とされるウェットピック強度などの湿潤接着性が劣り、好ましくない。
【0019】
1段目のシアン化ビニル単量体が5.5重量部未満では、インキセット性が劣り、また35重量部を超えると印刷時に必要とされるウェットピック強度などの湿潤接着性が劣るため好ましくない。
【0020】
1段目のエチレン系不飽和カルボン酸単量体が4.5重量部未満では塗料の再分散性に劣り、かつインキセット性が劣り、また27重量部を超えるとインキセット性が劣り、さらにラテックスの粘度が高くなり、共重合体ラテックス自身の取り扱い上の問題を生じる可能性があるため、好ましくない。
【0021】
1段目の脂肪族共役ジエン系単量体、シアン化ビニル単量体、エチレン系不飽和カルボン酸単量体以外の他の単量体が31.5重量部を超えると印刷時に必要とされるドライピック強度などの接着性が低下するため好ましくない。
【0022】
2段目以降の脂肪族共役ジエン系単量体が10重量部未満では印刷時に必要とされるドライピック強度などの接着性が、また60重量部を超えると印刷時に必要とされるウェットピック強度などの湿潤接着性が劣り、好ましくない。
【0023】
2段目以降のエチレン系不飽和カルボン酸単量体が26重量部を超えるとラテックスの粘度が高くなり、共重合体ラテックス自身の取り扱い上の問題を生じる可能性があるため、好ましくない。
【0024】
2段目以降の脂肪族共役ジエン系単量体、シアン化ビニル単量体、エチレン系不飽和カルボン酸単量体以外の他の単量体が50重量部を超えると印刷時に必要とされるドライピック強度などの接着性が低下するため好ましくない。
【0025】
本発明においては、上記のとおり、1段目の単量体合計15〜43重量部を重合した後、2段目以降の単量体合計57〜85重量部を乳化重合してなるものであるが、好ましくは、1段目の単量体の重合転化率が50重量%以上、好ましくは70重量%以上になった時点で2段目以降の単量体を重合することが好ましい。
【0026】
本発明における各種成分の添加方法については特に制限するものではなく、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法の何れでも採用することができる。更に、乳化重合において、常用の乳化剤、連鎖移動剤、重合開始剤、炭化水素系溶剤、電解質、重合促進剤、キレート剤等を使用することができる。
【0027】
また本発明においては、2段重合、多段階重合、シード重合、パワーフィード重合法等何れを採用してもよい。
【0028】
乳化剤としては高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、脂肪族カルボン酸塩、非イオン性界面活性剤の硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤あるいはポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、アルキルエーテル型等のノニオン性界面活性剤が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。
【0029】
連鎖移動剤としては、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物、ターピノレンや、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物、α−メチルスチレンダイマー、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物、アリルアルコール等のアリル化合物、ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物、α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート等が挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。
【0030】
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性重合開始剤、レドックス系重合開始剤、過酸化ベンゾイル等の油溶性重合開始剤を適宜用いることができる。特に水溶性重合開始剤の使用が好ましい。
【0031】
また、重合に際して、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、4−メチルシクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセン等の不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などの炭化水素化合物を使用しても良い。
【0032】
また、本発明にて製造された共重合体ラテックスが使用される紙塗工用組成物の顔料としては、全顔料100重量%のうち炭酸カルシウムを50重量%以上含有するものであるが、好ましくは、炭酸カルシウム70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上である。なお、その他顔料としては例えば、カオリンクレー、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、サチンホワイトなどの無機顔料、あるいはポリスチレンラテックスのような有機顔料が挙げられる。
【0033】
また、必要に応じて澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉等の変性澱粉、大豆蛋白、カゼインなどの天然バインダー、あるいはポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性合成バインダーなどを使用しても差し支えない。さらに、ポリ酢酸ビニルラテックス、アクリル系ラテックスなどの合成ラテックス等を本発明の共重合体ラテックスと併用してもよい。
【0034】
本発明の共重合体ラテックスを用いて紙塗工用組成物を調整する際に、さらにその他の助剤、例えば分散剤(ピロリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなど)、消泡剤(ポリグリコール、脂肪酸エステル、リン酸エステル、シリコーンオイルなど)、レベリング剤(ロート油、ジシアンジアミド、尿素など)、防腐剤、離型剤(ステアリン酸カルシウム、パラフィンエマルジョンなど)、蛍光染料、カラー保水性向上剤(カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなど)を必要に応じて添加しても良い。
【0035】
さらに、紙塗工用組成物を塗工用紙へ塗布する方法には、公知の技術、例えばエアナイフコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーターなどのいずれの塗工機を使用しても差し支えない。また、塗工後、表面を乾燥し、カレンダーリングなどにより仕上げる。
【0036】
〔実施例〕
以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。なお実施例中、割合を示す部および%は特に断りのない限り重量基準によるものである。また実施例における諸物性の評価は次の方法に拠った。
【0037】
塗工紙のドライピック強度の評価
RI印刷機で各塗工紙試料を同時に印刷した際のピッキングの程度を肉眼で判定し、5級(優)から1級(劣)まで相対的に評価した。
【0038】
塗工紙のウェットピック強度の評価
RI印刷機を用いてモルトンロールにより各塗工紙試料に同時に湿し水を付与し、その直後に、インキロールにより各塗工紙試料を同時に印刷した際のピッキングの程度を肉眼で判定し、5級(優)から1級(劣)まで相対的に評価した。
【0039】
塗工紙のインキセット性の評価
RI印刷機にて試料を印刷し、その後、白紙を重ね合わせてロールで圧着するのに際し試料の端から順次累計時間でそれぞれ20秒、60秒、90秒、120秒の間隔を空けてこの白紙に転写させ、その濃度を下記のとおり目視にて相対的に評価した。
(転写濃度が薄い) ◎ > ○ > △ > × (転写濃度が濃い)
【0040】
塗料の再分散性の評価
NBR黒ゴム板上に各塗料サンプルを並べて#6ワイヤーバーにて塗布し120℃熱風循環式オーブンにて3分間乾燥させた後、30℃の流水で1分間洗浄してNBR黒ゴム板上に残った塗料皮膜を目視にて観察した。塗料皮膜の付着の少ない再分散性に優れるものを◎、塗料皮膜の付着の多い再分散性に劣るものを×とし、下記のとおり目視にて相対的に評価した。
(優)◎ > ○ > △ > ×(劣)
【0041】
共重合体ラテックスの作製
耐圧性の重合反応機に、重合水150部、過硫酸カリウム1部を仕込み、十分攪拌した後、表1の1段目に示す各単量体および他の化合物を加えて70℃にて重合を開始し、2段目の重合については、1段目の重合転化率が90%を越えた時点で2段目の各単量体及び他の化合物を添加して重合し、(さらに共重合体ラテックスDについては2段目の単量体の重合転化率が90%以上になった時点で3段目の各単量体を添加して重合し、)最終重合転化率が95%以上になった時点で重合を終了した。
次いで、これら共重合体ラテックスを水酸化ナトリウム水溶液を用いてラテックスのpHを7に調整し、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、表1に示す共重合体ラテックスA〜Jを得た。
【0042】
紙塗工用組成物の作製と評価
下記に示した配合処方に従って、共重合体ラテックスA〜Jを用いて、紙塗工用組成物を作製した。各紙塗工用組成物の評価結果を表2に示した。
(紙塗工用組成物の配合処方)
配合処方1
カオリンクレー 60部
重質炭酸カルシウム 40部
変性デンプン 3部
共重合体ラテックス 8部
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
固形分濃度 65%
配合処方2
カオリンクレー 20部
重質炭酸カルシウム 80部
変性デンプン 3部
共重合体ラテックス 8部
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
固形分濃度 65%
【0043】
塗工紙の作製と評価
塗工原紙(坪量55g/m)に、上記の紙塗工用組成物を片面あたりの塗被量が10g/mとなるようにワイヤーバーを用いて塗工し乾燥した後、線圧60kg/cm、温度50℃の条件でスーパーカレンダー処理を行い塗工紙を得た。得られた塗工紙を各試験に供して評価し、その結果を表2に示した。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明により、ドライピック強度およびウェットピック強度に優れ、かつインキセット性、再分散性に優れた紙塗工用共重合体ラテックスが得られるものであり、特に高炭酸カルシウム処方の紙塗工用バインダーとして有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族共役ジエン系単量体、シアン化ビニル単量体、エチレン系不飽和カルボン酸単量体及びこれらと共重合可能な他の単量体(単量体合計100重量部)を乳化重合して得られる共重合体ラテックスにおいて、1段目に脂肪族共役ジエン系単量体1.5〜33重量部、シアン化ビニル単量体5.5〜35重量部、エチレン系不飽和カルボン酸単量体4.5〜27重量部及びこれらと共重合可能な他の単量体0〜31.5重量部からなる単量体合計15〜43重量部を重合した後、
2段目以降に脂肪族共役ジエン系単量体10〜60重量部、エチレン系不飽和カルボン酸単量体0〜26重量部及びこれらと共重合可能な他の単量体0〜50重量部からなる単量体合計57〜85重量部を乳化重合して得られる紙塗工用共重合体ラテックス。
【請求項2】
請求項1記載の共重合体ラテックスと炭酸カルシウムを50重量%以上含有する顔料からなる高炭酸カルシウム含有紙塗工用組成物。


【公開番号】特開2010−65326(P2010−65326A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229867(P2008−229867)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(399034220)日本エイアンドエル株式会社 (186)
【Fターム(参考)】