説明

紙容器

【課題】従来技術よりもポテンシャルの高い紙容器を提供する。
【解決手段】紙材を打ち抜いて形成される展開状態の台紙を角筒状に折り曲げて形成される側面部200と、この側面部の長手方向の一側を折り畳んで接着・形成される底面部300と、他側に設けられていて密封されている容器トップ部100とを備え、容器トップ部は、側面部の対向する2つの面の上部をそれぞれ斜め折線に沿って内方に折り込んで形成した折り込み部120,130と、残りの側面部の対向する2つの面の上部を内側に折り曲げることにより形成される切妻屋根部140,150と、を有し、折り込み部の少なくとも1部が、紙容器の内部において切妻屋根部と接着し、接着面Aを形成していることを特徴とする紙容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
紙容器は一般的に軽量で手軽ゆえに、様々な用途に用いられている。とりわけ耐水性の向上により紙容器は飲料用容器としてペットボルト並んで広く普及するに至った。近年姿を消した概ね三角錐の形状を有する、いわゆるテトラパックに始まり、現在の主流は概ね直方体の形状を有する飲料用紙容器である。
【0003】
図1は従来の紙容器の例を説明するための斜視図である。
図1(a)に示す紙容器は、紙材を打ち抜いて形成される展開状態の台紙を角筒状に折り曲げて形成される側面部20と、この側面部の長手方向の一側を折り畳んで接着・形成される底面部30と、他側に設けられて内容物が内部に充填されると共に、溶着されて内部が密封される容器トップ部10とを備えてなる。
また、トップ部10は屹立部11、折り込み部12、13および切妻屋根部14、15よりなる。容器内部の液体を注ぐ際には、屹立部11の注ぎ口側半分Lの接着を剥がし、折り込み部13を外側方向Aに引き出すことで注ぎ口を形成する。その際に切妻屋根部14,15は、折り目141,151に沿って折り曲げられる。
【0004】
図1(b)に示す紙容器は、図1(a)に示す紙容器とほぼ同様の構成であり、容器トップ部10’、側面部20’ならびに底面部30’を備えてなる。また、容器トップ部10’は屹立部11’、折り込み部12’、13’および切妻屋根部14’、15’よりなる。切妻屋根部14’の中心部付近には口栓141’が設置されている。容器内部の液体を注ぐ際には、口栓141’を開放する。
【0005】
飲料用紙容器のポテンシャルを向上させる従来技術としては、例えば下記特許文献1〜4が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−52005号公報
【特許文献2】特開2005−88940号公報
【特許文献3】実開昭56−1411126号公報
【特許文献4】特許第4054429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、様々な機能を付与することができ、そのポテンシャルが大幅に向上した紙容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下のとおりである。
(1)紙材を打ち抜いて形成される展開状態の台紙を筒状に折り曲げて形成される側面部と、
この側面部の長手方向の一側を折り畳んで接着・形成される底面部と、
他側に設けられていて密封されている容器トップ部と
を備えてなる紙容器において、
前記容器トップ部は、前記側面部の対向する2つの面の上部をそれぞれ斜め折線に沿って内方に折り込んで形成した折り込み部と、残りの側面部の対向する2つの面の上部を内側に折り曲げることにより形成される切妻屋根部と、を有し、
前記折り込み部の少なくとも1部が、前記紙容器の内部において前記切妻屋根部と接着し、接着面を形成していることを特徴とする紙容器。
(2)前記接着面に少なくとも1つの貫通孔部および/または易貫通個所が設けられていることを特徴とする前記(1)に記載の紙容器。
(3)前記接着面に少なくとも1箇所の切欠部および/または切り込み部が設けられていることを特徴とする前記(1)に記載の紙容器。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来技術用利もポテンシャルの高い紙容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】従来の紙容器の例を説明するための斜視図である。
【図2】本発明の紙容器の例を説明するための斜視図である。
【図3】図2に示した形態の紙容器において、接着面Aに貫通孔部を設けた場合の斜視図である。
【図4】図2に示した形態の紙容器において、接着面Aに切欠部を設けた場合の斜視図である。
【図5】図2に示した形態の紙容器において、接着面Aに切り込み部を形成した場合の斜視図である。
【図6】図5(b)に示した切り込み部に右手の指を差し入れて紙容器を掴んでいる様子を示す図である。
【図7】図2に示した形態の紙容器において、接着面Aに貫通孔部を形成した場合の斜視図である。
【図8】図7(b)に示した大きな孔部を設置した容器を右手で運搬している様子を示す図である。
【図9】(a)は、本発明の紙容器を形成する台紙の展開図の一例であり、(b)は、形成された紙容器の上部斜視図である。
【図10】本発明の紙容器を形成する台紙の展開図の別の例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を図面を参照しながら更に詳しく説明する。
【0012】
図2は本発明の紙容器の例を説明するための斜視図である。
図2(a)の形態において、本発明の紙容器は、紙材を打ち抜いて形成される展開状態の台紙を筒状、例えば角筒状に折り曲げて形成される側面部200と、この側面部の長手方向の一側を折り畳んで溶着・形成される底面部300と、他側に設けられて内容物が内部に充填されると共に、溶着されて内部が密封される容器トップ部100とを備えてなる。本発明において、容器トップ部100は、側面部200の対向する2つの面の上部をそれぞれ斜め折線に沿って内方に折り込んで形成した折り込み部120,130と、残りの側面部の対向する2つの面の上部を内側に折り曲げることにより形成される切妻屋根部140,150と、を有し、折り込み部120,130の少なくとも1部が、紙容器の内部において切妻屋根部140,150と接着し、斜線で示される接着面Aを形成していることを特徴とする。なお符号110は、下記で説明する折り畳みリブ1T〜4Tをヒートシールして形成した屹立部である。
【0013】
図9(a)は、本発明の紙容器を形成する台紙の展開図の一例である。図9(a)に示すように、紙容器の側壁部20を形成する部分は側壁パネル1〜4であり、側壁パネル1〜4と糊代5が折線a〜dを介して連接し、その上部に切妻屋根部を形成する2G,3Gと折り込み部を形成する1G、4Gが折線fを介して連接され、さらに折線jを介して、屹立部を形成する折り畳みリブ1T〜4Tが設けられている。折り畳みリブ1T〜4Tは、ヒートシールにより接着されることになる。折り畳みリブ1T,4Tとそれを包み込んで合掌シールされる外側リブ2T,3Tが設けられている。本発明における折り込み部は、1G,4Gが斜めの折線g,iによって内方に折り込まれることにより形成される。本発明では、上記のように、斜線で示される部分Aが接着され、接着面Aを形成することに特徴を有する。
図9(b)は、図9(a)に示す台紙を常法により折込み、かつ必要部分を接着させた紙容器の上部斜視図であり、記載された符号は図9(a)のものとそれぞれ対応している。
【0014】
接着面Aにおける接着剤としてはとくに制限されず、当業界で公知の各種ヒートシール用樹脂を使用できる。また、接着剤の塗布方法についてもとくに制限されず、当業界で公知の各種コーティング方法を採用することができる。
【0015】
なお、図2(a)の形態においては、注ぎ口を形成する都合上、折り込み部120に接着面Aを形成し、折り込み部130には接着面は形成していない。
【0016】
図2(b)は、本発明の紙容器の別の例を説明するための斜視図である。この形態は、図2(a)に示す紙容器とほぼ同様の構成であり、容器トップ部100’、側面部200’ならびに底面部300’を備えてなる。また、容器トップ部100’は屹立部110’、折り込み部120’、130’および切妻屋根部140’、150’よりなる。切妻屋根部140’の中心部付近には口栓141’が設置されている。容器内部の液体を注ぐ際には、口栓141’を開放する。図2(b)の形態においては、口栓141’が設けられているため、紙容器の一部を剥がして注口を形成する必要がないため、接着面Aが、折り込み部120’、130’の両方に形成されている。
なお、図2(b)における形態の紙容器を形成する台紙の展開図は、図10のとおりであり、接着面Aが、図9(a)よりも増加している。
【0017】
ここで、接着面Aは、折り込み部120,130(120’、130’)の少なくとも1部が、紙容器の内部において切妻屋根部140,150(140’、150’)と接着して形成されているため、接着面Aには、所望の形状(例えば孔部や切欠部)を形成することができる。すなわち、接着面Aに如何なる加工を施したとしても、紙容器内部の収納物が紙容器外部に脱出してしまうことはない。
【0018】
図3(a)ならびに(b)は、それぞれ、図2(a)ならびに(b)に示した形態の紙容器において、接着面Aに貫通孔部を設けた場合の斜視図である。図3(a)において切妻屋根部140,150にそれぞれ貫通孔部30ならびに32を設置している。また、図3(b)において切妻屋根部140’,150’にそれぞれ貫通孔部30’ならびに32’を設置している。
【0019】
当該部分に貫通孔部を設置することによる効果は、例えば使用後にリサイクルに出す目的で容器を洗浄後に展開し、貫通孔部をフック等に引っ掛けて乾燥させる事が出来る。また、製品の販売時においては貫通孔部に景品やオマケ等を括り付ける事が出来る。なお、図示していないが、貫通孔部に代わりに易貫通箇所を有することでも、同様の効果が期待できる。易貫通箇所とは、その場所に突起状物等をあてがうと容易にこれが貫通できる箇所であり、例えばその場所に十字に切れ込みを入れること等により形成することができる。これとは別に、例えば、飲料用紙パックのストロー差込口のように、切り込みに沿って表面の厚い紙質をめくり上げ、脆弱な紙質を露出させる方法等もある。なお、貫通孔部と易貫通箇所とを共存させてもよい。
【0020】
図4(a)ならびに(b)は、それぞれ、図2(a)ならびに(b)に示した形態の紙容器において、接着面Aに切欠部を設けた場合の斜視図である。
図4(a)において切妻屋根部140の接着面Aの端部(切妻屋根部140の斜面の端部)に切欠部40を設置している。また、図4(b)において切妻屋根部140’の接着面Aの両端部に切欠部40’,42’を設置している。
【0021】
切欠部40,40’,42’の効果は、例えば切り込み形状を視覚障害を有する消費者への製品情報伝達手段に利用できることである。具体的には、内容物、メーカー名、内容量および有効期限等の情報を切欠部40,40’,42’の形状により伝えることが挙げられる。なお、従来技術では図1(a)ならびに(b)に示した形態の紙容器の屹立部11ならびに11’の上端部に切込みを入れる方法が提案されている(例えば特許第4054429号公報参照)。この方法によると、視覚障害を有する消費者は切り込みの形状を確認するために上端部に触れ、目的とする商品であることを確認した後に改めて商品をつかみなおし買い物籠等に入れることになる。本発明による場合では、視覚障害を有する消費者は図4(a)ならびに(b)の切妻屋根部140,140’の端部の切欠部40,40’,42’を掴みながらなぞることになる。従って、商品の確認が出来ると同時に、掴むことが出来るので、前述の従来技術と比べ、商品選沢のプロセスが一つ省略できる。
【0022】
図5(a)ならびに(b)は、それぞれ、図2(a)ならびに(b)に示した形態の紙容器において、接着面Aに切り込み部を形成した場合の斜視図である。図5(a)において屹立部110、切妻屋根部140,150の交線511を中心に、注ぎ口の反対側5111より注ぎ口側5112に向かい、屹立部110、切妻屋根部140,150を含めた大きな切り込み部50を形成している。また、図5(b)において屹立部110’、切妻屋根部140’,150’の交線511’を中心に、交線の両側511’および5112’より交線の中心付近5113’に向かい、屹立部110’、切妻屋根部140’,150’を含めた大きな切り込み部50’、52’を形成している。
【0023】
当該部分に大きな切り込み部を入れることによる効果は、切り込み部に指を入れることにより、容器が掴みやすくなることが挙げられる。図6は図5(b)に示した切り込み部50’、52’に右手の指を差し入れて紙容器を掴んでいる様子を示したものである。これにより、この形態を有する紙容器が隙間無く陳列されている場合でも、容易に奥のものを取り出すことが可能となる。
【0024】
図7(a)ならびに(b)は、それぞれ、図2(a)ならびに(b)に示した形態の紙容器において、接着面Aに孔部を形成した場合の斜視図である。図7(a)において屹立部110、切妻屋根部140,150の交線711の中心部付近7111と注ぎ口の反対側7112の概ね中間地点を中心に、屹立部110、切妻屋根部140,150を同程度に穿つ大きな孔部70を形成している。また、図7(b)において屹立部110’、切妻屋根部140’,150’の交線711’の中心部付近7111’と交線711’の両端部7112’および7113’の概ね中間地点を中心に、屹立部110’、切妻屋根部140’,150’を同程度に穿つ大きな孔部70’、72’を形成している。
【0025】
当該部分に大きな孔部を設置することにより期待できる効果は、該孔部に指を入れることにより、容器を運搬しやすくなることが考えられる。図8は図7(b)に示した大きな孔部70’、72’を設置した容器を右手で運搬している様子を示したものである。これにより、この形態を有する紙容器が隙間無く陳列されている場合でも、容易に奥のものを取り出し、運搬することが可能となる。
【0026】
なお、本発明は上記実施の形態に制限されない。例えば、接着面Aは、紙容器内部の収納物が脱出できない程度であればよく、その一部を点接着にしてもよい。また、貫通孔部、切欠部、切り込み部、孔部の形状や数も、本発明の効果を損ねない範囲で適宜変更できる。
【符号の説明】
【0027】
100 容器トップ部
200 側面部
300 底面部
110 屹立部
120,130 折り込み部
140,140’150,150’ 切妻屋根部
A 接着面
30,30’,32,32’ 貫通孔部
40,40’,42’ 切欠部
50,50’,52’ 切り込み部
70,70’,72’ 孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙材を打ち抜いて形成される展開状態の台紙を筒状に折り曲げて形成される側面部と、
この側面部の長手方向の一側を折り畳んで接着・形成される底面部と、
他側に設けられていて密封されている容器トップ部と
を備えてなる紙容器において、
前記容器トップ部は、前記側面部の対向する2つの面の上部をそれぞれ斜め折線に沿って内方に折り込んで形成した折り込み部と、残りの側面部の対向する2つの面の上部を内側に折り曲げることにより形成される切妻屋根部と、を有し、
前記折り込み部の少なくとも1部が、前記紙容器の内部において前記切妻屋根部と接着し、接着面を形成していることを特徴とする紙容器。
【請求項2】
前記接着面に少なくとも1つの貫通孔部および/または易貫通個所が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の紙容器。
【請求項3】
前記接着面に少なくとも1箇所の切欠部および/または切り込み部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の紙容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−241501(P2010−241501A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111555(P2009−111555)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(508072132)有限会社松▲崎▼ (9)
【Fターム(参考)】