説明

紙幣搬送システム

【課題】構成を簡単にできるとともにコストを低減できる紙幣搬送システムを提供する。
【解決手段】主台間機2Aにおける紙幣搬送情報作成部200aは、自己の主台間機2Aに接続されている紙幣検知センサ24の状態とモータ22の状態とを表す紙幣搬送状態信号を作成して、紙幣搬送方向の下流側の隣接する他の主台間機2Aまたは島端制御装置32に伝送する。主台間機2Aにおけるモータ制御部200bは、自己の主台間機2Aに対して紙幣搬送方向の上流側に隣接する他の主台間機2Aから伝送される紙幣搬送状態信号と、自己の主台間機2Aに対する紙幣の入金状態と、主従関係にある従台間機2Bから伝送される紙幣入金情報とに基づいて、自己の主台間機2Aに接続されているモータ駆動回路23を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パチンコ店等の遊技施設の遊技島内部で紙幣を搬送する紙幣搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店等の遊技施設には、複数の遊技台および複数の台間機(貸出処理機)を所定方向に交互に並べて配置することによって形成された遊技島が存在している。台間機は、紙幣を受け付けることによって、遊技媒体の貸出処理を行なう機能を備えている。各台間機は、カード処理ユニット(CRユニット)と呼ばれることもある。遊技台の背面側の空間には、台間機に入金された紙幣を、所定の紙幣回収部まで搬送するための紙幣搬送装置が設けられている。
【0003】
図10は、遊技島内部に設けられた紙幣搬送装置を含む従来の紙幣搬送システムの概略的な構成を示す平断面図である。
遊技島は、複数の遊技台101および複数の台間機102が所定方向に交互に並べて配置された第1の列L1と、第1の列L1に平行に、複数の遊技台101および複数の台間機102が交互に並べて配置された第2の列L2とから構成されている。第1の列L1の遊技台101と第2の列L2の遊技台101とは、その背面どうしが対向するように配置されている。
【0004】
遊技島の一端部には、島端ボックス120が設けられている。遊技島を構成する第1の列L1と第2の列L2との間に、各台間機102に入金された紙幣を、島端ボックス120まで搬送するための紙幣搬送装置110が設けられている。
紙幣搬送装置110は、台間機102に連結され、台間機102から送り出された紙幣を取り込む複数の紙幣取込ユニット111と、紙幣取込ユニット111に連結され、紙幣取込ユニット111によって取り込まれた紙幣を島端ボックス120に向かう方向に搬送する複数の紙幣搬送ユニット112とを備えている。紙幣取込ユニット111と紙幣搬送ユニット112とは、交互に配置されている。各紙幣取込ユニット111と各紙幣搬送ユニット112には、図示しない紙幣搬送機構が設けられている。
【0005】
1つの紙幣取込ユニット111には、その両側に配置された、第1の列L1内の1つの台間機102および第2の列L2内の1つの台間機102が連結されている。各紙幣取込ユニット111には、当該紙幣取込ユニット111と当該紙幣取込ユニット111の下流側に連結された紙幣搬送ユニット112とに設けられた紙幣搬送機構を駆動するための駆動モータ113が設けられている。各紙幣搬送ユニット112には、紙幣の搬送を適切に行うための紙幣検知センサ114が設けられている。
【0006】
第1の列L1内の隣接する2台の台間機102とそれに対応する第2の列L2内の隣接する2台の台間機102とからなる4台の台間機102毎に、1つのサブコントローラ130が設けられている。各サブコントローラ130は、対応する4台の台間機102と、それらの台間機102に連結された2つの紙幣取込ユニット111と、これらの紙幣取込ユニット111の下流側に連結された紙幣搬送ユニット112とを制御する。
【0007】
島端ボックス120には、紙幣回収部(金庫部)121とメインコントローラ122とが設けられている。各サブコントローラ130は、RS−485通信線131を介してメインコントローラ122に接続されている。
各サブコントローラ130には、対応する紙幣搬送ユニット112に設けられた紙幣検知センサ114の出力信号が入力される。各サブコントローラ130は、対応する紙幣取込ユニット111に設けられた駆動モータ113を制御する。また、各サブコントローラ130は、紙幣検知センサ114の出力信号等に基づいて、台間機102から紙幣取込ユニット111に紙幣を送り出すタイミング等を調整する。また、各サブコントローラ130は、紙幣検知センサ114の出力信号等に基づいて、紙幣ジャムが発生したか否かを監視し、紙幣ジャムが発生した場合には、台間機102を入金禁止状態にするといった制御を行なう。また、各サブコントローラ130は、紙幣搬送に関する情報を、メインコントローラ122に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−021872号公報
【特許文献2】特開2010−279535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述した従来の紙幣搬送システムでは、4台の台間機102毎にサブコントローラ130を設ける必要がある。言い換えれば、4台の台間機102が連結された2台の紙幣取込ユニット111毎に、サブコントローラ130を設ける必要がある。このため、構成が複雑であるとともに、コストが高くなるという問題がある。
この発明の目的は、構成を簡単にできるとともにコストを低減できる紙幣搬送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、複数の遊技台と入金された紙幣に基づいて遊技媒体の貸出処理を行う複数の貸出処理機とを並べて配置することによって構成された遊技島を備えた遊技施設における紙幣搬送システムであって、前記遊技島内の前記各貸出処理機に入金された紙幣を、前記遊技島の一端側に配置された紙幣回収部まで搬送する紙幣搬送装置を含み、 前記紙幣搬送装置は、複数の貸出処理機が並べられた方向に並んで配置され、対応する1または複数の前記貸出処理機から紙幣を取り込むとともに取り込んだ紙幣を前記紙幣回収部に向かって搬送する紙幣搬送機構を有する複数の紙幣取込・搬送部と、前記各紙幣取込・搬送部に設けられ、当該紙幣取込・搬送部における前記紙幣搬送機構を駆動するための駆動装置と、前記各紙幣取込・搬送部に設けられ、当該紙幣取込・搬送部内を通過する紙幣を検知するための紙幣検知センサとを含み、前記各紙幣取込・搬送部は、それに対応する1または複数の貸出処理機のうちの少なくとも1つの貸出処理機である搬送部制御用貸出処理機によって制御され、前記各搬送部制御用貸出処理機は、対応する前記紙幣取込・搬送部における前記駆動装置の状態と前記紙幣検知センサの状態とを表す紙幣搬送情報を作成して紙幣搬送方向の下流側に隣接する他の搬送部制御用貸出処理機に通知する手段を含む、紙幣搬送システムである。
【0011】
この発明では、各搬送部制御用貸出処理機には、その上流側に隣接する他の搬送部制御用貸出処理機から紙幣搬送情報が通知される。したがって、各搬送部制御用貸出処理機は、その上流側に隣接する他の搬送部制御用貸出処理機によって通知される紙幣搬送情報等に基づいて、対応する紙幣取込・搬送部の駆動装置を制御することが可能となる。また、各搬送部制御用貸出処理機は、その上流側に隣接する他の搬送部制御用貸出処理機によって通知される紙幣搬送情報等に基づいて、自己の搬送部制御用貸出処理機に入金された紙幣を、当該紙幣取込・搬送部に排出するタイミングを制御することが可能となる。
【0012】
この発明によれば、貸出処理機によって、紙幣搬送装置を制御することができる。これにより、複数のサブコントローラによって紙幣搬送装置を制御する従来例に比べて、構成を簡単にできるとともに、コストを低減させることができる。
請求項2記載の発明は、前記各搬送部制御用貸出処理機は、紙幣搬送方向の上流側に隣接する他の搬送部制御用貸出処理機から通知される紙幣搬送情報と自己の搬送部制御用貸出処理機に対する紙幣の入金状態とに基づいて、対応する前記紙幣取込・搬送部における前記駆動装置を制御する手段をさらに含む、請求項1に記載の紙幣搬送システムである。
【0013】
この構成によれば、各搬送部制御用貸出処理機は、紙幣搬送方向の上流側に隣接する他の搬送部制御用貸出処理機から通知される紙幣搬送情報と自己の搬送部制御用貸出処理機に対する紙幣の入金状態とに基づいて、対応する紙幣取込・搬送部における駆動装置を制御することが可能となる。これにより、上流側から搬送されてくる紙幣を紙幣取込・搬送部によって搬送させることが可能となるとともに、貸出処理機に入金された紙幣を取込・搬送部に取り込ませて搬送させることが可能となる。
【0014】
請求項3記載の発明は、前記各搬送部制御用貸出処理機は、紙幣搬送方向の上流側に隣接する他の搬送部制御用貸出処理機から通知される紙幣搬送情報に基づいて、自己の搬送部制御用貸出処理機に入金された紙幣を対応する前記紙幣取込・搬送部に排出するタイミングを制御する手段をさらに含む、請求項1または2に記載の紙幣搬送システムである。
この構成によれば、各搬送部制御用貸出処理機は、紙幣搬送方向の上流側に隣接する他の搬送部制御用貸出処理機から通知される紙幣搬送情報に基づいて、自己の搬送部制御用貸出処理機に入金された紙幣を対応する紙幣取込・搬送部に排出するタイミングを制御することが可能となる。これにより、搬送部制御用貸出処理機に入金された紙幣を、上流側から搬送されてくる紙幣と重ならないように、紙幣取込・搬送部に排出することが可能となる。
【0015】
請求項4記載の発明は、前記遊技島が、任意の貸出処理機の代わりにダミー枠が配置されている遊技施設における紙幣搬送システムであって、前記ダミー枠に対応する前記紙幣取込・搬送部を第1の紙幣取込・搬送部とし、前記第1の紙幣取込・搬送部の上流側に隣接する紙幣取込・搬送部を第2の紙幣取込・搬送部とすると、前記第2の紙幣取込・搬送部を制御する前記搬送部制御用貸出処理機は、前記第1の紙幣取込・搬送部における駆動装置を、前記第2の紙幣取込・搬送部における駆動装置と同期して駆動させる手段を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の紙幣搬送システムである。
【0016】
この構成によれば、ダミー枠に対応する第1の紙幣取込・搬送部における駆動装置は、その上流側に隣接する第2の紙幣取込・搬送部を制御する搬送部制御用貸出処理機によって制御される。具体的には、第1の紙幣取込・搬送部における駆動装置は、第2の紙幣取込・搬送部を制御する搬送部制御用貸出処理機によって、第2の紙幣取込・搬送部における駆動装置と同期して駆動される。これにより、ダミー枠に対応する第1の紙幣取込・搬送部における駆動装置を適切に制御できるようになる。
【0017】
請求項5記載の発明は、前記紙幣取込・搬送部の両側に前記貸出処理機が配置されている場合に、これらの2つの貸出処理機のうちの一方が主貸出処理機とされ、他方が従貸出処理機とされ、前記従貸出処理機は、当該従貸出処理機に紙幣が入金されたときには、その旨を示す紙幣入金情報を前記主貸出処理機に通知する手段を備えており、前記主貸出処理機は、紙幣搬送方向の上流側に隣接する他の搬送部制御用貸出処理機から通知される紙幣搬送情報と、自己の主貸出処理機に対する紙幣の入金状態と、前記従貸出処理機から通知される紙幣入金情報とに基づいて、対応する前記紙幣取込・搬送部における前記駆動装置を制御する手段と、紙幣搬送方向の上流側に隣接する他の搬送部制御用貸出処理機から通知される紙幣搬送情報と、自己の主貸出処理機に対応する前記紙幣取込・搬送部における紙幣搬送状態とに基づいて、自己の主貸出処理機に入金された紙幣を対応する前記紙幣取込・搬送部に排出するタイミングを制御する手段と、前記従貸出処理機から紙幣入金情報が通知された場合には、紙幣搬送方向の上流側に隣接する他の搬送部制御用貸出処理機から通知される紙幣搬送情報と、自己の主貸出処理機に対応する前記紙幣取込・搬送部における紙幣搬送状態とに基づいて、前記従貸出処理機に入金された紙幣を対応する前記紙幣取込・搬送部に排出するタイミングを制御する手段を含む、請求項1に記載の紙幣搬送システムである。
【0018】
この構成では、主貸出処理機は、紙幣搬送方向の上流側に隣接する他の搬送部制御用貸出処理機から通知される紙幣搬送情報と、自己の主貸出処理機に対する紙幣の入金状態と、従貸出処理機から通知される紙幣入金情報とに基づいて、対応する紙幣取込・搬送部における駆動装置を制御することが可能となる。これにより、上流側から搬送されてくる紙幣を紙幣取込・搬送部によって搬送させることが可能となるとともに、貸出処理機に入金された紙幣を取込・搬送部に取り込ませて搬送させることが可能となる。
【0019】
また、主貸出処理機は、紙幣搬送方向の上流側に隣接する他の搬送部制御用貸出処理機から通知される紙幣搬送情報と、自己の主貸出処理機に対応する前記紙幣取込・搬送部における紙幣搬送状態とに基づいて、自己の主貸出処理機に入金された紙幣を対応する紙幣取込・搬送部に排出するタイミングを制御することが可能となる。これにより、主貸出処理機に入金された紙幣を、主従関係にある従貸出処理機から排出された紙幣または上流側から搬送されてくる紙幣と重ならないように、紙幣取込・搬送部に排出することが可能となる。
【0020】
さらに、主貸出処理機は、従貸出処理機から紙幣入金情報が通知された場合には、紙幣搬送方向の上流側に隣接する他の搬送部制御用貸出処理機から通知される紙幣搬送情報と、自己の主貸出処理機に対応する前記紙幣取込・搬送部における紙幣搬送状態とに基づいて、従貸出処理機に入金された紙幣を対応する紙幣取込・搬送部に排出するタイミングを制御することが可能なる。これにより、従貸出処理機に入金された紙幣を、主従関係にある主貸出処理機から排出された紙幣または上流側から搬送されてくる紙幣と重ならないように、紙幣取込・搬送部に排出することが可能となる。
【0021】
請求項6記載の発明は、前記各搬送部制御用貸出処理機と通信可能な島端制御装置をさらに含み、前記島端制御装置は、これらの搬送部制御用貸出処理機が作成した紙幣搬送情報を取得して、外部出力する手段を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の紙幣搬送システムである。
この構成では、島端制御装置は、各搬送部制御用貸出処理機が作成した紙幣搬送情報を取得して、外部出力することが可能となる。これにより、島端制御装置は、紙幣ジャム等の搬送エラーが発生した箇所を確認して表示したり、遊技施設を管理するコンピータに通知したりすることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、構成を簡単にできるとともにコストを低減できる紙幣搬送システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、この発明の第1の実施形態である紙幣搬送システムの概略的な構成を示す平断面図である。
【図2】図2は、紙幣搬送システムの全体的な通信ラインの接続形態を示す模式図である。
【図3】図3は、主台間機2Aの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、従台間機2Bの電気的構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、第1の紙幣排出タイミング制御部200cの動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、第2の紙幣排出タイミング制御部200dの動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は、この発明の第2の実施形態である紙幣搬送システムの概略的な構成を示す平断面図である。
【図8】図8は、台間機2の電気的構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、紙幣排出タイミング制御部200hの動作を示すフローチャートである。
【図10】図10は、従来の紙幣搬送システムの概略的な構成を示す平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態である紙幣搬送システムの概略的な構成を示す平断面図である。図2は、紙幣搬送システムの全体的な通信ラインの接続形態成を示す模式図である。
パチンコ店等の遊技施設には、複数の遊技島が配置されている。遊技島は、たとえば、図1に示すように、複数の遊技台(パチンコ台:P台)1および複数の台間機(貸出処理機)2が所定方向に交互に並べて配置された第1の列L1と、第1の列L1に平行に、複数の遊技台1および複数の台間機2が交互に並べて配置された第2の列L2とから構成されている。第1の列L1の遊技台1と第2の列L2の遊技台1とは、その背面どうしが対向するように配置されている。
【0025】
また、第1の列L1および第2の列L2の途中部分には、遊技台1に代わって還元機3が配置されている。還元機3は、パチンコ玉回収路(いわゆるドブ)に流れたパチンコ玉を、上方の玉補給路に揚送する装置である。各台間機2は、その正面から見てその右隣にある遊技台1に対する専用機である。したがって、遊技台1の左隣にある台間機2が、当該遊技台1に対する専用機となる。このため、還元機3の左隣には、台間機2を配置する必要がない。そこで、還元機3の左隣には、正面から見て台間機2とほぼ同じ大きさのダミー枠4が配置されている。
【0026】
各台間機2は、遊技客によって入金された紙幣に基づいて対応する遊技台1で遊技するための遊技媒体を貸出す処理を行なう機能を備えている。台間機2は、前記特許文献2に開示されているように、カード処理ユニット(CRユニット)であってもよい。また、台間機2は、遊技台1と電気的に接続されておらず、入金された現金に基づいて内部からパチンコ玉を放出する現金式玉貸機であってもよい。また、台間機2は、前記特許文献2に記載されているCRユニットのように、一般カードや会員カード等のカードを用いて遊技媒体を貸出す処理を行なう機能を備えていてもよい。
【0027】
遊技島の一端部には、島端ボックス30が設けられている。島端ボックス30には、紙幣回収部31と島端制御装置32とが設けられている。島端制御装置32は、CPUおよびそのプログラム等を記憶したメモリ(ROM,RAM,不揮発性メモリ等)等を備えたコンピュータによって構成されている。
遊技島を構成する第1の列L1と第2の列L2との間に、各台間機2に入金された紙幣を島端ボックス30まで搬送するための紙幣搬送装置20が設けられている。紙幣は、図1に破線で示すように、紙幣搬送装置20における島端ボックス30が設けられていない方の端部側から、紙幣搬送装置20における島端ボックス30が設けられている方の端部側に向かって搬送される。島端ボックス30内の紙幣回収部31には、紙幣搬送装置20によって搬送されてきた紙幣を紙幣回収部31内の所定位置に収納するための紙幣収納装置(図示略)が設けられている。
【0028】
紙幣搬送装置20は、遊技島の長さ方向に並んで配置され、対応する1または2つの台間機2から紙幣を取り込むとともに取り込んだ紙幣を島端ボックス30に向かって搬送する複数の紙幣取込・搬送部21を備えている。各紙幣取込・搬送部21は、対応する1または2つの台間機2から排出された紙幣を取り込む複数の紙幣取込ユニット21Aと、紙幣取込ユニット21Aの紙幣搬送方向下流側に連結され、紙幣取込ユニット21Aによって取り込まれた紙幣を島端ボックス30に向かう方向に搬送する複数の紙幣搬送ユニット21Bとを備えている。各紙幣取込ユニット21Aと各紙幣搬送ユニット21Bには、図示しない紙幣搬送機構が設けられている。
【0029】
各紙幣取込ユニット21Aには、当該紙幣取込ユニット21Aと当該紙幣取込ユニット21Aの下流側に連結された紙幣搬送ユニット21Bとに設けられた紙幣搬送機構を駆動するためのモータ(駆動装置)22およびその駆動回路(モータ駆動回路)23が設けられている。各紙幣搬送ユニット21Bには、当該紙幣搬送ユニット21Bを通過する紙幣を検知するための紙幣検知センサ24が設けられている。
【0030】
この実施形態では、各紙幣取込・搬送部21は、それに紙幣が取り込まれる1または2の台間機2のうちの1つの台間機2によって制御される。具体的には、紙幣取込・搬送部21の両側に台間機2が配置されている場合には、第1列L1に属する方の台間機2によって当該紙幣取込・搬送部21が制御される。一方、紙幣取込・搬送部21の一側方のみに台間機2が配置されている場合には、当該台間機2によって当該紙幣取込・搬送部21が制御される。
【0031】
紙幣取込・搬送部21を制御する台間機(搬送部制御用貸出処理機)2を「主台間機2A」という場合がある。特に、紙幣取込・搬送部21の両側に台間機2が配置されている場合には、当該紙幣取込・搬送部21を制御する台間機2を「主台間機2A」といい、他方の台間機2を前記主台間機2Aと主従関係にある「従台間機2B」という場合がある。
各紙幣取込・搬送部21内のモータ駆動回路23および紙幣検知センサ24は、2本の信号線(これらをまとめて符号41で示す)を介して、対応する主台間機2Aに接続されている。
【0032】
以下において、自己の主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21に対して、紙幣搬送方向の上流側に隣接する紙幣取込・搬送部21を、単に「上流側に隣接する紙幣取込・搬送部21」ということにする。また、自己の主台間機2Aに対して、上流側に隣接する紙幣取込・搬送部21に対応する主台間機2Aを、単に「上流側に隣接する主台間機2A」ということにする。したがって、自己の主台間機2Aと上流側に隣接する主台間機2Aとは、これらが属する列(L1,L2)が互いに異なる場合がある。
【0033】
各紙幣取込・搬送部21に対応する主台間機2Aは、上流側に隣接する主台間機に、紙幣搬送状態伝送線42を介して接続されている。最も下流側にある主台間機2Aは、さらに、紙幣搬送状態伝送線42を介して、島端ボックス30内の島端制御装置32に接続されている。各従台間機2Bは、主従関係にある主台間機2Aに、主従間通信線43を介して接続されている。
【0034】
また、図2に示されるように、遊技島内の各台間機2と島端制御装置32は、その遊技島に対応して設けられた島コントローラ50に、RS−485通信線44を介して接続されている。島コントローラ50は、LAN(local Area Network)45を介して遊技施設を管理するための管理コンピュータ60に接続されている。島コントローラ50は、よく知られているように、遊技島内の遊技台1および各台間機2と管理コンピュータ60とを通信可能にするための中継装置である(たとえば前記特許文献2参照)。
【0035】
図3は、主台間機2Aの電気的構成を示すブロック図である。
主台間機2Aは、制御部200A、紙幣取込返却部201、紙幣鑑別部202、紙幣搬出部203、カードR/W部204、表示部205、操作部206、台I/F部207、通信I/F部208等を備えている 。また、制御部200Aには、当該主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21内のモータ駆動回路23および紙幣検知センサ24が接続されている。
【0036】
紙幣取込返却部201は、台間機2に挿入された紙幣を取り込んだり、取り込んだ紙幣を返却したりするためのものである。紙幣鑑別部202は、台間機2に挿入された紙幣の真偽や金種を判定するものである。紙幣搬出部203は、紙幣鑑別部202によって正規の紙幣であると識別された紙幣を、台間機2から案内部材を介して紙幣搬送装置20側に排出するためのものである。紙幣搬出部203は、たとえば、紙幣の先端部が対応する紙幣取込ユニット21Aの搬送機構に挿入されている状態でおいて、当該紙幣の後端部を解放可能に挟持(グリップ)するためのグリップ機構を含むものであってもよい。グリップ機構によって紙幣の後端部が挟持されている場合には、当該紙幣は紙幣取込ユニット21Aに取り込まれない。一方、グリップ機構によって紙幣の後端部が挟持されている状態において、グリップ機構が紙幣を解放すると、当該紙幣は紙幣取込ユニット21Aに取り込まれる。なお、紙幣鑑別部202によって正規の紙幣ではないと識別された紙幣は、紙幣取込返却部201によって返却される。
【0037】
カードR/W部204は、一般カードまたは会員カードに対する情報の読取および情報の書き込みを行うものである。表示部205は、各種情報を表示するためのものである。操作部206は、台間機2を操作するためのものであり、各種キーを含んでいる。台I/F部207は、制御部200Aを対応する遊技台1に接続するためのインターフェイスである。通信I/F部208は、たとえば、他の台間機2、島端制御装置32、島コントローラ50等と通信するためのインターフェイスである。
【0038】
制御部200Aは、CPUおよびそのプログラム等を記憶したメモリ(ROM,RAM,不揮発性メモリ等)等を備えたマイクロコンピュータによって構成されている。制御部200Aは、機能実現手段として、紙幣搬送情報作成部200a、モータ制御部200b、第1の紙幣排出タイミング制御部200c、第2の紙幣排出タイミング制御部200d等を備えている。これら各部の動作については、後に説明する。
【0039】
図4は、従台間機2Bの電気的構成を示すブロック図である。
従台間機2Bは、主台間機2Aと同様に、制御部200B、紙幣取込返却部201、紙幣鑑別部202、紙幣搬出部203、カードR/W部204、表示部205、操作部206、台I/F部207、通信I/F部208等を備えている 。
制御部200Bは、CPUおよびそのプログラム等を記憶したメモリ(ROM,RAM,不揮発性メモリ等)等を備えたマイクロコンピュータによって構成されている。制御部200Bは、機能実現手段として、紙幣入金状態通知部200e等を備えている。紙幣入金状態通知部200eは、紙幣が入金されかつ紙幣鑑別部202によってその紙幣が正規の紙幣であると判別されたときに、紙幣が入金されたことを表す紙幣入金情報を主従関係にある主台間機2Aに通知するものである。
【0040】
図3に戻り、主台間機2Aにおける紙幣搬送情報作成部200aは、所定時間毎に、自己の主台間機2Aに接続されている紙幣検知センサ24の状態とモータ22の状態とを表す紙幣搬送状態信号(紙幣搬送情報)を作成して、紙幣搬送方向の下流側の隣接する他の主台間機2Aまたは島端制御装置32に伝送するものである。この実施形態では、紙幣搬送状態信号としては、紙幣検知センサ24の状態とモータ22の状態との組合せに対応した信号が用いられている。
【0041】
主台間機2Aが紙幣搬送方向の最も下流側にある主台間機2Aである場合には、紙幣搬送情報作成部200aは、作成した紙幣搬送状態信号を紙幣搬送状態伝送線42を介して島端制御装置32に伝送する。一方、主台間機2Aが最も下流側にある主台間機2A以外の主台間機2Aである場合には、紙幣搬送情報作成部200aは、作成した紙幣搬送状態信号を紙幣搬送状態伝送線42を介して紙幣搬送方向の下流側に隣接する他の主台間機2Aに伝送する。
【0042】
表1は、紙幣検知センサ24の状態とモータ22の状態との組合せの種類と、各組合せに応じて作成される紙幣搬送状態信号との関係を示している。
【0043】
【表1】

【0044】
紙幣検知センサ24の状態には、紙幣検知センサ24が紙幣を検知している状態(紙幣検知状態)と、紙幣検知センサ24が紙幣を検知していない状態(紙幣非検知状態)とがある。紙幣検知状態を”H”で表し、紙幣非検知状態を”L”で表すことにする。モータ22の状態には、モータ22が回転している動作状態と、モータ22の停止している停止状態とがある。駆動状態を”H”で表し、停止状態を”L”で表すことにする。
【0045】
紙幣検知センサ24の状態とモータ22の状態との組合せの種類には、次の第1〜第4の組合せがある。
第1の組合せ:紙幣検知センサ24の状態が紙幣非検知状態(L)であり、モータ22の状態が停止状態(L)である組合せ。
第2の組合せ:紙幣検知センサ24の状態が紙幣非検知状態(L)であり、モータ22の状態が動作状態(H)である組合せ。
【0046】
第3の組合せ:紙幣検知センサ24の状態が紙幣検知状態(H)であり、モータ22の状態が動作状態(H)である組合せ。
第4の組合せ:紙幣検知センサ24の状態が紙幣検知状態(H)であり、モータ22の状態が停止状態(L)である組合せ。
紙幣検知センサ24の状態とモータ22の状態との組合せが第1の組合せである場合には、紙幣搬送情報作成部200aは、第1の状態信号A1を作成する。第1の状態信A1は、たとえば、Lレベルの信号からなる。なお、前記組合せが第1の組合せである場合には、対応する紙幣取込・搬送部21に紙幣が存在しないと考えられる。
【0047】
前記組合せが第2の組合せである場合には、紙幣搬送情報作成部200aは、第2の状態信号A2を作成する。第2の状態信号A2は、たとえば、Lレベルの信号とHレベルの信号とが5ms間隔で出力されるパルス信号からなる。なお、前記組合せが第2の組合せである場合には、対応する紙幣取込・搬送部21における紙幣検知センサ24の設置位置付近には紙幣は存在しないが、当該紙幣取込・搬送部21において紙幣が搬送されている可能性があると考えられる。
【0048】
前記組合せが第3の組合せである場合には、紙幣搬送情報作成部200aは、第3の状態信号A3を作成する。第3の状態信号A3は、たとえば、Hレベルの信号からなる。なお、前記組合せが第3の組合せである場合には、対応する紙幣取込・搬送部21において紙幣が搬送されており、かつ紙幣検知センサ24の設置位置付近を紙幣が通過していると考えられる。
【0049】
前記組合せが第4の組合せである場合には、紙幣搬送情報作成部200aは、第4の状態信号A4を作成する。第4の状態信号A4は、たとえば、Lレベルの信号とHレベルの信号とが10ms間隔で出力されるパルス信号からなる。なお、前記組合せが第4の組合せである場合には、紙幣検知センサ24の設置位置付近で紙幣ジャムが発生している可能性が高いと考えられる。
【0050】
図3に戻り、モータ制御部200bは、上流側に隣接する他の主台間機2Aから伝送される紙幣搬送状態信号と、自己の主台間機2Aに対する紙幣の入金状態と、主従関係にある従台間機2Bから主従間通信線43を介して伝送される紙幣入金情報とに基づいて、自己の主台間機2Aに接続されているモータ駆動回路23を制御する。具体的には、モータ制御部200bは、次の第1のモータ駆動条件、第2のモータ駆動条件または第3のモータ駆動条件を満たしたときに、自己の主台間機2Aに接続されているモータ22を所定時間だけ駆動状態にさせる。この所定時間は、たとえば、当該主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21の上流側端から下流側端まで紙幣が通過するのに要する時間より若干大きな時間に設定される。
【0051】
第1のモータ駆動条件:自己の主台間機2Aに紙幣が入金され、かつ紙幣鑑別部202によって正規の紙幣であると識別されたとき
第2のモータ駆動条件:自己の主台間機2Aと主従関係にある従台間機2Bから当該台間機2Bに紙幣が入金されたことを表す紙幣入金情報が送られてきたとき
第3のモータ駆動条件:上流側に隣接する主台間機2Aから伝送されてきた紙幣搬送状態信号の種類が第2の状態信号A2または第3の状態信号A3であるとき
第1のモータ駆動条件を満たしているときにモータ22を駆動させているのは、自己の主台間機2Aに入金された紙幣の紙幣取込・搬送部21への取り込みを可能とするためである。第2のモータ駆動条件を満たしているときにモータ22を駆動させているのは、従台間機2Bに入金された紙幣の紙幣取込・搬送部21への取り込みを可能とするためである。
【0052】
第3のモータ駆動条件を満たしているときには、上流側に隣接する紙幣取込・搬送部21によって紙幣が搬送されている可能性が高い。したがって、紙幣が間もなく上流側から搬送されてくると考えられるので、モータ22が駆動される。
第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、上流側に隣接する他の主台間機2Aから伝送される紙幣搬送状態信号等に基づいて、自己の主台間機2Aに入金された紙幣を対応する紙幣取込・搬送部21に排出するタイミングを制御する。
【0053】
図5は、第1の紙幣排出タイミング制御部200cの動作を示すフローチャートである。
自己の主台間機2Aに紙幣が入金されかつその紙幣が正規の紙幣と判別されたときには、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、自己の主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21によって紙幣が搬送されているか否かを判別する(ステップS1)。
【0054】
ステップS1の処理について説明する。自己の主台間機2Aと主従関係にある従台間機2Bが存在していない場合には、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、次の第1条件を満たしている場合には、自己の主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21によって紙幣が搬送されていると判別し、第1条件を満たしていない場合には、自己の主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21によって紙幣が搬送されていないと判別する。
【0055】
一方、自己の主台間機2Aと主従関係にある従台間機2Bが存在している場合には、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、次の第1条件および第2条件のうちの少なくとも一方を満たしている場合には、自己の主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21によって紙幣が搬送されていると判別し、第1条件および第2条件のいずれをも満たしていない場合には、自己の主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21によって紙幣が搬送されていないと判別する。
【0056】
第1条件:上流側から搬送されてきた紙幣が自己の主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21によって搬送されていること
第2条件:主従関係にある従台間機2Bから排出された紙幣が自己の主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21によって搬送されていること
第1条件を満たしているか否かは、たとえば、上流側に隣接する紙幣取込・搬送部21内の紙幣検知センサ24によって最新に紙幣が検知されてから、所定時間が経過している否かに基づいて判別することができる。この所定時間は、たとえば、上流側に隣接する紙幣取込・搬送部21内の紙幣検知センサ24によって紙幣が検知されてから、当該紙幣が自己の主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21を通過し終わるのに要する時間とほぼ等しい時間に設定される。なお、上流側に隣接する紙幣取込・搬送部21内の紙幣検知センサ24によって紙幣が検知されたことは、上流側に隣接する主台間機2Aから伝送されてきた紙幣搬送状態信号に基づいて認識することができる。
【0057】
上流側に隣接する紙幣取込・搬送部21内の紙幣検知センサ24によって最新に紙幣が検知されてから、所定時間が経過していないと判別されたときには、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、第1条件を満たしていると判別する。一方、上流側に隣接する紙幣取込・搬送部21内の紙幣検知センサ24によって最新に紙幣が検知されてから、所定時間が経過していると判別されたときには、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、第1条件を満たしていないと判別する。
【0058】
第2条件を満たしているか否かは、たとえば、主従関係にある従台間機2Bから紙幣が排出されてから所定時間が経過しているか否かに基づいて判別することができる。より具体的には、第2条件を満たしているか否かは、自己の主台間機2Aにおける第2の紙幣排出タイミング制御部200dによって、従台間機2Bに紙幣排出許可信号が送出されてから、所定時間が経過しているか否かを判別する。この所定時間は、たとえば、自己の主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21に従台間機2Bから紙幣が排出されてから、当該紙幣が当該紙幣取込・搬送部21を通過し終わるのに要する時間とほぼ等しい時間に設定される。
【0059】
従台間機2Bに紙幣排出許可信号が送出されてから所定時間が経過していないと判別されたときには、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、第2条件を満たしていると判別する。一方、従台間機2Bに紙幣排出許可信号が送出されてから所定時間が経過していると判別されたときには、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、第2条件を満たしていないと判別する。
【0060】
前記ステップS1において、自己の主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21によって紙幣が搬送されていると判別された場合には(ステップS1:YES)、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、自己の主台間機2Aに入金された紙幣を排出できるタイミングではないと判別し、ステップS1に戻る。
一方、自己の主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21によって紙幣が搬送されていないと判別された場合には(ステップS1:NO)、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、上流側に隣接する主台間機2Aから伝送されてきた紙幣搬送状態信号の種類を判別する(ステップS2)。そして、上流側に隣接する主台間機2Aから伝送されてきた紙幣搬送状態信号の種類と、表2の内容とに基づいて、自己の主台間機2Aに入金された紙幣を排出できるタイミングであるか否かを判別する。
【0061】
表2は、上流側に隣接する主台間機2Aから伝送されてきた紙幣搬送状態信号の種類と、自己の主台間機2Aに入金された紙幣の排出の可否との関係を示している。
【0062】
【表2】

【0063】
具体的には、上流側に隣接する主台間機2Aから伝送されてきた紙幣搬送状態信号の種類が第1の状態信号A1である場合には、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、自己の主台間機2Aに入金された紙幣を排出できるタイミングであると判別する。この場合には、上流側に隣接する紙幣取込・搬送部21に紙幣が存在していないと考えられるからである。この場合には、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、紙幣搬出部203によって紙幣を対応する紙幣取込・搬送部21に排出させる(ステップS3)。そして、今回の紙幣排出タイミング制御処理を終了する。
【0064】
上流側に隣接する主台間機2Aから伝送されてきた紙幣搬送状態信号の種類が第2の状態信号A2である場合には、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、まず、紙幣搬送状態信号が第1の状態信号A1から第2の状態信号A2に変化したか、紙幣搬送状態信号が第3の状態信号A3から第2の状態信号A2に変化したかを判別する(ステップS4)。
【0065】
前記ステップS4において、紙幣搬送状態信号が第1の状態信号A1から第2の状態信号A2に変化したと判別された場合には、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、自己の主台間機2Aに入金された紙幣を排出できるタイミングであると判別する。この場合には、その紙幣取込・搬送部21によって搬送されている紙幣は、上流側に隣接する紙幣取込・搬送部21における紙幣検知センサ24より上流側にあると考えられるからである。この場合には、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、ステップS3に進んで、紙幣搬出部203によって紙幣を対応する紙幣取込・搬送部21に排出させる。そして、今回の紙幣排出タイミング制御処理を終了する。
【0066】
前記ステップS4において、紙幣搬送状態信号が第3の状態信号A3から第2の状態信号A2に変化したと判別された場合には、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、自己の主台間機2Aに入金された紙幣を排出できるタイミングではないと判別する。この場合には、上流側に隣接する紙幣取込・搬送部21によって搬送されている紙幣は、その紙幣取込・搬送部21における紙幣検知センサ24より下流側にあると考えられるからである。この場合には、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、ステップS1に戻る。
【0067】
上流側に隣接する主台間機2Aから伝送されてきた紙幣搬送状態信号の種類が第3の状態信号A3である場合には、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、自己の主台間機2Aに入金された紙幣を排出できるタイミングではないと判別する。この場合には、上流側に隣接する紙幣取込・搬送部21における紙幣検知センサ24の設置箇所付近を紙幣が通過中であると考えられるからである。この場合には、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、ステップS1に戻る。
【0068】
上流側に隣接する主台間機2Aから伝送されてきた紙幣搬送状態信号の種類が第4の状態信号A4である場合には、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、自己の主台間機2Aに入金された紙幣を排出できるタイミングであると判別する。この場合には、上流側に隣接する紙幣取込・搬送部21で紙幣ジャムが発生しているおそれがあるが、その下流側では紙幣の搬送が可能であると考えられるからである。この場合には、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、ステップS3に進んで、紙幣搬出部203によって紙幣を対応する紙幣取込・搬送部21に排出させる。そして、今回の紙幣排出タイミング制御処理を終了する。
【0069】
このような紙幣排出タイミング制御によって、主台間機2Aに入金された紙幣を、上流側から搬送されてくる紙幣または主従関係にある従台間機2Bから排出された紙幣と重ならないように、紙幣取込・搬送部21に排出することが可能となる。
図3に戻り、第2の紙幣排出タイミング制御部200dは、主従関係にある従台間機2Bから紙幣入金情報が送られてきた場合に、上流側に隣接する主台間機2Aから伝送される紙幣搬送状態信号等に基づいて、当該従台間機2Bに入金された紙幣を対応する紙幣取込・搬送部21に排出するタイミングを制御する。
【0070】
図6は、第2の紙幣排出タイミング制御部200dの動作を示すフローチャートである。
主従関係にある従台間機2Bから、当該従台間機2Bに紙幣が入金されたことを表す紙幣入金情報が送られてきた場合には(ステップS11)、第2の紙幣排出タイミング制御部200dは、自己の主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21によって紙幣が搬送されているか否かを判別する(ステップS12)。具体的には、第2の紙幣排出タイミング制御部200dは、前述した第1条件および次の第3条件のうちの少なくとも一方を満たしている場合には、自己の主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21によって紙幣が搬送されていると判別し、第1条件および第3条件のいずれをも満たしていない場合には、自己の主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21によって紙幣が搬送されていないと判別する。
【0071】
第3条件:自己の主台間機2Aによって排出された紙幣が自己の主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21によって搬送されていること
第1条件(上流側から搬送されてきた紙幣が自己の主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21によって搬送されていること)を満たしているか否かの判別方法については、既に説明したのでその説明を省略する。
【0072】
第3条件を満たしているか否かは、たとえば、自己の主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21に、自己の主台間機2Aから紙幣を排出してから所定時間が経過しているか否かに基づいて行なうことができる。この所定時間は、たとえば、自己の主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21に自己の主台間機2Aから紙幣が排出されてから、当該紙幣が当該紙幣取込・搬送部21を通過し終わるのに要する時間とほぼ等しい時間に設定される。
【0073】
自己の主台間機2Aから紙幣を排出してから所定時間が経過していないと判別されたときには、第2の紙幣排出タイミング制御部200dは、第3条件を満たしていると判別する。一方、自己の主台間機2Aから紙幣を排出してから所定時間が経過していると判別されたときには、第2の紙幣排出タイミング制御部200dは、第3条件を満たしていないと判別する。
【0074】
前記ステップS12において、自己の主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21によって紙幣が搬送されていると判別された場合には(ステップS12:YES)、第2の紙幣排出タイミング制御部200dは、主従関係にある従台間機2Bに入金された紙幣を排出できるタイミングではないと判別し、ステップS12に戻る。
一方、自己の主台間機2Aに対応する紙幣取込・搬送部21によって紙幣が搬送されていないと判別された場合には(ステップS12:NO)、第2の紙幣排出タイミング制御部200dは、上流側に隣接する主台間機2Aから伝送されてきた紙幣搬送状態信号の種類を判別する(ステップS13)。そして、上流側に隣接する主台間機2Aから伝送されてきた紙幣搬送状態信号の種類と、前記表2の内容とに基づいて、主従関係にある従台間機2Bに入金された紙幣を排出できるタイミングであるか否かを判別する。
【0075】
具体的には、上流側に隣接する主台間機2Aから伝送されてきた紙幣搬送状態信号の種類が第1の状態信号A1である場合には、第2の紙幣排出タイミング制御部200dは、主従関係にある従台間機2Bに入金された紙幣を排出できるタイミングであると判別する。この場合には、第2の紙幣排出タイミング制御部200dは、主従関係にある従台間機2Bに主従間通信線43を介して排出許可信号を送信する(ステップS14)。そして、今回の紙幣排出タイミング制御処理を終了する。従台間機2Bは、主台間機2Aからの排出許可指令を受信した場合には、紙幣搬出部203によって紙幣を排出させる。
【0076】
上流側に隣接する主台間機2Aから伝送されてきた紙幣搬送状態信号の種類が第2の状態信号A2である場合には、第2の紙幣排出タイミング制御部200dは、まず、紙幣搬送状態信号が第1の状態信号A1から第2の状態信号A2に変化したか、紙幣搬送状態信号が第3の状態信号A3から第2の状態信号A2に変化したかを判別する(ステップS15)。
【0077】
前記ステップS15において、紙幣搬送状態信号が第1の状態信号A1から第2の送状態信号A2に変化した場合には、第2の紙幣排出タイミング制御部200dは、主従関係にある従台間機2Bに入金された紙幣を排出できるタイミングであると判別する。この場合には、第2の紙幣排出タイミング制御部200dは、ステップS14に進んで、主従関係にある従台間機2Bに排出許可信号を送信する。そして、今回の紙幣排出タイミング制御処理を終了する。
【0078】
前記ステップS15において、紙幣搬送状態信号が第3の状態信号A3から第2の状態信号A2に変化したと判別された場合には、第2の紙幣排出タイミング制御部200dは、主従関係にある従台間機2Bに入金された紙幣を排出できるタイミングではないと判別する。この場合には、第2の紙幣排出タイミング制御部200dは、ステップS12に戻る。
【0079】
上流側に隣接する主台間機2Aから伝送されてきた紙幣搬送状態信号の種類が第3の状態信号A3である場合には、第2の紙幣排出タイミング制御部200dは、主従関係にある従台間機2Bに入金された紙幣を排出できるタイミングではないと判別する。この場合には、第2の紙幣排出タイミング制御部200dは、ステップS12に戻る。
上流側に隣接する主台間機2Aから伝送されてきた紙幣搬送状態信号の種類が第4の状態信号A4である場合には、第2の紙幣排出タイミング制御部200dは、主従関係にある従台間機2Bに入金された紙幣を排出できるタイミングであると判別する。この場合には、第2の紙幣排出タイミング制御部200dは、ステップS14に進んで、主従関係にある従台間機2Bに排出許可信号を送信する。そして、今回の紙幣排出タイミング制御処理を終了する。
【0080】
このような紙幣排出タイミング制御によって、従台間機2Bに入金された紙幣を、主従関係にある主台間機2Aから排出された紙幣または上流側から搬送されてくる紙幣と重ならないように、紙幣取込・搬送部21に排出することが可能となる。
以下、紙幣搬送システムの動作について説明する。
まず、主台間機2Aに紙幣が挿入された場合における紙幣搬送システムの動作について説明する。
【0081】
各主台間機2Aの紙幣搬送情報作成部200aは、所定時間毎に、自己の主台間機2Aに接続されている紙幣検知センサ24の状態とモータ22の状態とを表す紙幣搬送状態信号を作成して、紙幣搬送方向の下流側の隣接する他の主台間機2Aまたは島端制御装置32に伝送する。
遊技客が主台間機2Aに紙幣を挿入すると、挿入された紙幣は紙幣取込返却部201によって主台間機2A内に取り込まれる。このとき、主台間機2Aに挿入された紙幣の真偽が紙幣鑑別部202によって鑑別される。主台間機2Aに挿入された紙幣が正規のものではないと判別された場合には、当該紙幣は紙幣取込返却部201によって返却される。
【0082】
一方、主台間機2Aに挿入された紙幣が正規のものであると判別された場合には、主台間機2Aの制御部200Aは、所定の遊技媒体貸出処理を行なう。また、主台間機2Aのモータ制御部200bは、対応する紙幣取込・搬送部21内のモータ22を駆動させる。また、主台間機2Aの第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、上流側に隣接する主台間機2Aから送られてくる紙幣搬送状態信号の種類等に基づいて、前記紙幣を対応する紙幣取込・搬送部21側に排出できるタイミングであるか否かを判別する。
【0083】
紙幣を排出できるタイミングであると判別された場合には、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、紙幣搬出部203によって前記紙幣を対応する紙幣取込・搬送部21側に排出させる。
一方、紙幣を排出できるタイミングではないと判別された場合には、第1の紙幣排出タイミング制御部200cは、紙幣を排出できるタイミングであると判別されるまで、前記紙幣の排出を保留する。
【0084】
主台間機2Aから対応する紙幣取込・搬送部21側に排出された紙幣は、紙幣搬送装置20によって、紙幣搬送経路上を島端ボックス30に向かう方向に搬送される。この際、紙幣検知センサ24によって紙幣が検知されると、その紙幣検知センサ24が接続された主台間機2Aに紙幣が検知されたことが通知される。そして、紙幣が島端ボックス30まで搬送されると、当該紙幣は紙幣収納装置によって紙幣回収部31の所定位置に収納される。
【0085】
次に、従台間機2Bに紙幣が挿入された場合における紙幣搬送システムの動作について説明する。
遊技客が従台間機2Bに紙幣を挿入すると、挿入された紙幣は紙幣取込返却部201によって従台間機2B内に取り込まれる。このとき、従台間機2Bに挿入された紙幣の真偽が紙幣鑑別部202によって鑑別される。従台間機2Bに挿入された紙幣が正規のものではないと判別された場合には、当該紙幣は紙幣取込返却部201によって返却される。
【0086】
一方、従台間機2Bに挿入された紙幣が正規のものであると判別された場合には、従台間機2Bの制御部200Bは、所定の遊技媒体貸出処理を行なう。また、従台間機2Bの紙幣入金状態通知部200eは、紙幣が入金されたことを表す紙幣入金情報を、当該従台間機2Bと主従関係にある主台間機2Aに送信する。
前記主台間機2Aの第2の紙幣排出タイミング制御部200dは、紙幣入金情報を受信すると、前記従台間機2Bに入金された紙幣を排出できるタイミングであるか否かを判別する。紙幣を排出できるタイミングであると判別された場合には、第2の紙幣排出タイミング制御部200dは、前記従台間機2Bに排出許可信号を送信する。従台間機2Bは、主台間機2Aからの排出許可指令を受信すると、紙幣搬出部303によって紙幣を対応する紙幣取込・搬送部21側に排出させる。
【0087】
一方、紙幣を排出できるタイミングではないと判別された場合には、第2の紙幣排出タイミング制御部200dは、紙幣を排出できるタイミングであると判別されるまで、前記従台間機2Bへの排出許可指令の送信を保留する。
従台間機2Bから対応する紙幣取込・搬送部21側に排出された紙幣は、紙幣搬送装置20によって、紙幣搬送経路上を島端ボックス30に向かう方向に搬送される。この際、紙幣検知センサ24によって紙幣が検知されると、その紙幣検知センサ24が接続された主台間機2Aに紙幣が検知されたことが通知される。そして、紙幣が島端ボックス30まで搬送されると、当該紙幣は紙幣収納装置によって紙幣回収部31の所定位置に収納される。
【0088】
各主台間機2Aは、自己が作成した紙幣搬送情報を、通信線44を介して島端制御装置32に送るようにしてもよい。島端制御装置32は、各主台間機2Aから送られてきた紙幣搬送情報に基づいて、たとえば、紙幣ジャム等の搬送エラーが発生した箇所を特定して図示しない表示部に表示したり、管理コンピュータ60に通知したりしてもよい。また、島端制御装置32は搬送エラーが発生した箇所に対応する台間機2にエラー表示指令を送信することにより、搬送エラーが発生した箇所に対応する台間機2に搬送エラーを表示させるようにしてもよい。これにより、係員は、搬送エラーに対して迅速な対処を行うことが可能となる。たとえば、係員は、搬送エラーが発生した箇所に対応する台間機2に隣接された遊技台1を開いて、紙幣搬送装置を露出させる。次に、係員は、紙幣搬送装置を開放して、ジャム紙幣を除去する。そして、係員が、紙幣搬送装置および遊技台1を閉じた後、前記台間機2にリセット指示を入力すると、紙幣搬送システムがリセットされて復旧する。具体的には、係員が、前記台間機2の操作部またはリモコンを用いてリセット指示を入力すると、当該台間機2だけでなく島端制御装置32にもリセット指示が伝えられ、島端制御装置32によって紙幣搬送システムがリセットされる。
【0089】
また、各台間機2および島端制御装置32は、通信線44および島コントローラ50を介して管理コンピュータ60に接続されているため、管理コンピュータ60は、台間機2および島端制御装置32に対して紙幣搬送システムのための初期設定を行ったり、ログ情報を管理したり、各台間機2に入金された紙幣の総額と島端ボックス30に回収された紙幣の総額との一致・不一致のチェックを行ったりすることができる。
【0090】
図7は、この発明の第2の実施形態である紙幣搬送システムの概略的な構成を示す平断面図である。
図7に示される遊技島は、遊技施設の壁際に位置しているいわゆる片島と呼ばれる遊技島である。この遊技島においては、複数の遊技台1および複数の台間機(貸出処理機)2が所定方向に交互に並べて配置されている。各遊技台1および各台間機2は、その背面が遊技施設の壁70に臨むように配置されている。
【0091】
また、遊技島の途中部分には、遊技台1に代わって還元機3が配置されている。還元機3は、パチンコ玉回収路(いわゆるドブ)に流れたパチンコ玉を、上方の玉補給路に揚送する装置である。各台間機2は、その正面から見てその右隣にある遊技台1に対する専用機である。したがって、遊技台1の左隣にある台間機2が、当該遊技台1に対する専用機となる。このため、還元機3の左隣には、台間機2を配置する必要がない。そこで、還元機3の左隣には、正面から見て台間機2とほぼ同じ大きさのダミー枠4が配置されている。
【0092】
遊技島の一端部には、島端ボックス30が設けられている。島端ボックス30には、紙幣回収部31と島端制御装置32とが設けられている。島端制御装置32は、CPUおよびそのプログラム等を記憶したメモリ(ROM,RAM,不揮発性メモリ等)等を備えたコンピュータによって構成されている。
遊技島内には、各台間機2に入金された紙幣を島端ボックス30まで搬送するための紙幣搬送装置20Aが設けられている。紙幣は、図7に破線で示すように、紙幣搬送装置20Aにおける島端ボックス30が設けられていない方の端部側から、紙幣搬送装置20Aにおける島端ボックス30が設けられている方の端部側に向かって搬送される。島端ボックス30内の紙幣回収部31には、紙幣搬送装置20Aによって搬送されてきた紙幣を紙幣回収部31内の所定位置に収納するための紙幣収納装置(図示略)が設けられている。
【0093】
紙幣搬送装置20Aは、遊技島の長さ方向に並んで配置され、台間機2から紙幣を取り込むとともに取り込んだ紙幣を島端ボックス30に向かって搬送する複数の紙幣取込・搬送部21を備えている。各紙幣取込・搬送部21は、対応する台間機2から送り出された紙幣を取り込む複数の紙幣取込ユニット21Aと、紙幣取込ユニット21Aの下流側に連結され、紙幣取込ユニット21Aによって取り込まれた紙幣を島端ボックス30に向かう方向に搬送する複数の紙幣搬送ユニット21Bとを備えている。各紙幣取込ユニット21Aと各紙幣搬送ユニット21Bには、図示しない紙幣搬送機構が設けられている。
【0094】
なお、ダミー枠4に対向して配置されている紙幣取込ユニット21Aには、対応する台間機2が存在しないので、台間機2から紙幣は取り込まれない。ダミー枠4に対向して配置されている紙幣取込ユニット21Aを含む紙幣取込・搬送部21を、他の紙幣取込・搬送部21と区別する場合には、「ダミー枠対向紙幣取込・搬送部21」ということにする。
【0095】
各紙幣取込ユニット21Aには、当該紙幣取込ユニット21Aと当該紙幣取込ユニット21Aの下流側に連結された紙幣搬送ユニット21Bとに設けられた紙幣搬送機構を駆動するためのモータ(駆動装置)22およびその駆動回路(モータ駆動回路)23が設けられている。各紙幣搬送ユニット21Bには、当該紙幣搬送ユニット21Bを通過する紙幣を検知するための紙幣検知センサ24が設けられている。
【0096】
ダミー枠対向紙幣取込・搬送部21以外の紙幣取込・搬送部21は、それに紙幣が取り込まれる1つの台間機2によって制御される。ダミー枠4に対向して配置されたダミー枠対向紙幣取込・搬送部21Dは、当該ダミー枠4に対して紙幣搬送方向の上流側に隣接する台間機2(以下、「ダミー枠上流側台間機2D」という場合がある)によって制御される。
【0097】
ダミー枠対向紙幣取込・搬送部21D以外の各紙幣取込・搬送部21内のモータ駆動回路23および紙幣検知センサ24は、2本の信号線(これらをまとめて符号41で示す)を介して、対応する台間機2に接続されている。ダミー枠対向紙幣取込・搬送部21内のモータ駆動回路23は、信号線41を介して、ダミー枠上流側台間機2Dに接続されている。
【0098】
各台間機2は、その上流側に隣接する台間機2に、紙幣搬送状態伝送線42を介して接続されている。最も下流側にある台間機2は、紙幣搬送状態伝送線42を介して、島端ボックス30内の島端制御装置32に接続されている。
また、遊技島内の各台間機2と島端制御装置32は、その遊技島に対応して設けられた島コントローラ50に、RS−485通信線44を介して接続されている。島コントローラ50は、LAN45を介して遊技施設を管理するための管理コンピュータ60に接続されている。
【0099】
図8は、台間機2の電気的構成を示すブロック図である。
台間機2は、第1の実施形態の主台間機2Aと同様に、制御部200、紙幣取込返却部201、紙幣鑑別部202、紙幣搬出部203、カードR/W部204、表示部205、操作部206、台I/F部207、通信I/F部208等を備えている 。また、制御部200には、当該台間機2に対応する紙幣取込・搬送部21内のモータ駆動回路23および紙幣検知センサ24が接続されている。なお、当該台間機2が、ダミー枠上流側台間機2Dである場合には、制御部200には、図8に破線で示すように、下流側に隣接するダミー枠対向紙幣取込・搬送部21D内のモータ駆動回路23が接続されている。
【0100】
制御部200は、CPUおよびそのプログラム等を記憶したメモリ(ROM,RAM,不揮発性メモリ等)等を備えたマイクロコンピュータによって構成されている。制御部200は、機能実現手段として、紙幣搬送情報作成部200f、モータ制御部200g、紙幣排出タイミング制御部200h等を備えている。
紙幣搬送情報作成部200fは、第1の実施形態における紙幣搬送情報作成部200aと同様に、前述した表1の内容にしたがって、自己の台間機2に接続されている紙幣検知センサ24の状態とモータ22の状態との組合せに応じた紙幣搬送状態信号(紙幣搬送情報)を作成して、紙幣搬送方向の下流側に隣接する他の台間機2または島端制御装置32に伝送するものである。なお、紙幣搬送状態信号は、前述した表1に示される、紙幣検知センサ24の状態とモータ22の状態との組合せの種類と、各組合せに応じて作成される紙幣搬送状態信号との関係に基づいて作成される。
【0101】
モータ制御部200gは、上流側に隣接する台間機2から伝送される紙幣搬送状態信号と自己の台間機2に対する紙幣の入金状態とに基づいて、自己の台間機2に接続されているモータ駆動回路23を制御する。当該台間機2がダミー枠上流側台間機2Dである場合には、モータ制御部200bは、自己の台間機2に対応する紙幣取込・搬送部21内のモータ駆動回路23と、その下流側に隣接するダミー枠対向紙幣取込・搬送部21D内のモータ駆動回路23とを制御する。
【0102】
具体的には、モータ制御部200gは、自己の台間機2に紙幣が入金され、かつ紙幣鑑別部202によって正規の紙幣であると識別されたときと、上流側に隣接する台間機2から伝送されてきた紙幣搬送状態信号の種類が第2の状態信号A2または第3の状態信号A3であるときに、自己の台間機2に接続されているモータ駆動回路23を所定時間だけ駆動状態にさせる。
【0103】
この所定時間は、たとえば、当該台間機2に対応する紙幣取込・搬送部21の上流側端から下流側端まで紙幣が通過するのに要する時間とほぼ等しい時間に設定されている。ただし、当該台間機2がダミー枠上流側台間機2Dである場合には、前記所定時間は、たとえば、当該台間機2に対応する紙幣取込・搬送部21の上流側端から、その下流側に隣接するダミー枠対向紙幣取込・搬送部21の下流側端まで紙幣が通過するのに要する時間にほぼ等しい時間に設定される。つまり、当該台間機2がダミー枠上流側台間機2Dである場合には、モータ制御部200bは、自己の台間機2に対応する紙幣取込・搬送部21内のモータ22と、その下流側に隣接するダミー枠対向紙幣取込・搬送部21D内のモータ22とを同期して駆動させる。
【0104】
紙幣排出タイミング制御部200hは、上流側に隣接する台間機2から伝送される紙幣搬送状態信号等に基づいて、自己の台間機2に入金された紙幣を対応する紙幣取込・搬送部21に排出するタイミングを制御する。
図9は、紙幣排出タイミング制御部200hの動作を示すフローチャートである。
図9において、図5に示された各ステップと同様の処理が行われるステップには、図5中と同一参照符号を付して示す。
【0105】
図5の説明中の「主台間機2A」を「台間機2」に置き換えると、紙幣排出タイミング制御部200hによる紙幣排出タイミング制御処理は、図5を用いて説明した第1の実施形態における第1の紙幣排出タイミング制御部200cによる紙幣排出タイミング制御処理とほぼ同様である。図9に示される紙幣排出タイミング制御処理と図5に示される紙幣排出タイミング制御処理とを比較すると、図9のステップS1Aの処理が、図5のステップS1の処理と異なっている。そこで、図9のステップS1Aの処理についてのみ説明する。
【0106】
ステップS1Aでは、紙幣排出タイミング制御部200hは、自己の台間機2に対応する紙幣取込・搬送部21によって紙幣が搬送されているか否かを判別する。この判別は、上流側から搬送されてきた紙幣が自己の台間機2に対応する紙幣取込・搬送部21によって搬送されているという条件を満たしているか否かに基づいて行われる。この条件を満たしているか否かは、第1の実施形態における第1条件と同様な方法で判別できる。紙幣排出タイミング制御部200hは、前記条件を満たしている場合には、自己の台間機2に対応する紙幣取込・搬送部21によって紙幣が搬送されていると判別し、前記条件を満たしていない場合には、自己の台間機2に対応する紙幣取込・搬送部21によって紙幣が搬送されていないと判別する。
【0107】
以下、紙幣搬送システムの動作について説明する。
各台間機2の紙幣搬送情報作成部200fは、所定時間毎に、自己の台間機2に接続されている紙幣検知センサ24の状態とモータ22の状態とを表す紙幣搬送状態信号を作成して、紙幣搬送方向の下流側の隣接する他の台間機2または島端制御装置32に伝送する。
【0108】
遊技客が台間機2に紙幣を挿入すると、挿入された紙幣は紙幣取込返却部201によって台間機2内に取り込まれる。このとき、台間機2に挿入された紙幣の真偽が紙幣鑑別部202によって鑑別される。台間機2に挿入された紙幣が正規のものではないと判別された場合には、当該紙幣は紙幣取込返却部201によって返却される。
一方、台間機2に挿入された紙幣が正規のものであると判別された場合には、台間機2の制御部200は、所定の遊技媒体貸出処理を行なう。また、台間機2のモータ制御部200gは、対応する紙幣取込・搬送部21内のモータ22を駆動させる。なお、台間機2がダミー枠上流側台間機2Dである場合には、モータ制御部200gは、自己の台間機2に接続されている2つのモータ22を同期して駆動させる。
【0109】
また、台間機2の紙幣排出タイミング制御部200cは、上流側に隣接する台間機2から送られてくる紙幣搬送状態信号の種類等に基づいて、前記紙幣を対応する紙幣取込・搬送部21側に排出できるタイミングであるか否かを判別する。
紙幣を排出できるタイミングであると判別された場合には、紙幣排出タイミング制御部200hは、紙幣搬出部203によって前記紙幣を対応する紙幣取込・搬送部21側に排出させる。
【0110】
一方、紙幣を排出できるタイミングではないと判別された場合には、紙幣排出タイミング制御部200hは、紙幣を排出できるタイミングであると判別されるのを待ってから、紙幣搬出部203によって前記紙幣を対応する紙幣取込・搬送部21側に排出させる。
台間機2から対応する紙幣取込・搬送部21側に排出された紙幣は、紙幣搬送装置20Aによって、紙幣搬送経路上を島端ボックス30に向かう方向に搬送される。この際、紙幣検知センサ24によって紙幣が検知されると、その紙幣検知センサ24が接続された台間機2に紙幣が検知されたことが通知される。そして、紙幣が島端ボックス30まで搬送されると、当該紙幣は紙幣収納装置によって紙幣回収部31の所定位置に収納される。
【0111】
各台間機2は、自己が作成した紙幣搬送情報を、通信線44を介して島端制御装置32に送るようにしてもよい。島端制御装置32は、各台間機2から送られてきた紙幣搬送情報に基づいて、たとえば、紙幣ジャム等の搬送エラーが発生した箇所を特定して図示しない表示部に表示したり、管理コンピュータ60に通知したりしてもよい。また、島端制御装置32は搬送エラーが発生した箇所に対応する台間機2にエラー表示指令を送信することにより、搬送エラーが発生した箇所に対応する台間機2に搬送エラーを表示させるようにしてもよい。これにより、係員は、搬送エラーに対して迅速な対処を行うことが可能となる。
【0112】
また、各台間機2および島端制御装置32は、通信線44および島コントローラ50を介して管理コンピュータ60に接続されているため、管理コンピュータ60は、台間機2および島端制御装置32に対して紙幣搬送システムのための初期設定を行ったり、ログ情報を管理したり、各台間機2に入金された紙幣の総額と島端ボックス30に回収された紙幣の総額との一致・不一致のチェックを行ったりすることができる。
【0113】
前記第1または第2の実施形態によれば、台間機2,2Aによって、紙幣搬送装置20,20Aを制御することができる。これにより、複数のサブコントローラによって紙幣搬送装置を制御する従来例に比べて、構成を簡単にできるとともに、コストを低減させることができる。
前記第1または第2の実施形態においては、紙幣取込・搬送部21を構成する紙幣取込ユニット21Aと紙幣搬送ユニット21Bとは別体であるが、紙幣取込ユニット21Aと紙幣搬送ユニット21Bとが一体的に形成されていてもよい。
【0114】
また、この発明による紙幣搬送システムは、いわゆるパチスロの遊技島にも適用することができる。
また、この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0115】
1 遊技台
2,2A,2B 台間機
20,20A 紙幣搬送装置
21,21D 紙幣取込・搬送部
21A 紙幣取込ユニット
21B 紙幣搬送ユニット
22 モータ
23 モータ駆動回路
24 紙幣検知センサ
30 島端ボックス
31 紙幣回収部
32 島端制御装置
50 島コントローラ
60 管理コンピュータ
200,200A,200B 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技台と入金された紙幣に基づいて遊技媒体の貸出処理を行う複数の貸出処理機とを並べて配置することによって構成された遊技島を備えた遊技施設における紙幣搬送システムであって、
前記遊技島内の前記各貸出処理機に入金された紙幣を、前記遊技島の一端側に配置された紙幣回収部まで搬送する紙幣搬送装置を含み、
前記紙幣搬送装置は、
複数の貸出処理機が並べられた方向に並んで配置され、対応する1または複数の前記貸出処理機から紙幣を取り込むとともに取り込んだ紙幣を前記紙幣回収部に向かって搬送する紙幣搬送機構を有する複数の紙幣取込・搬送部と、
前記各紙幣取込・搬送部に設けられ、当該紙幣取込・搬送部における前記紙幣搬送機構を駆動するための駆動装置と、
前記各紙幣取込・搬送部に設けられ、当該紙幣取込・搬送部内を通過する紙幣を検知するための紙幣検知センサとを含み、
前記各紙幣取込・搬送部は、それに対応する1または複数の貸出処理機のうちの少なくとも1つの貸出処理機である搬送部制御用貸出処理機によって制御され、
前記各搬送部制御用貸出処理機は、対応する前記紙幣取込・搬送部における前記駆動装置の状態と前記紙幣検知センサの状態とを表す紙幣搬送情報を作成して紙幣搬送方向の下流側に隣接する他の搬送部制御用貸出処理機に通知する手段を含む、紙幣搬送システム。
【請求項2】
前記各搬送部制御用貸出処理機は、紙幣搬送方向の上流側に隣接する他の搬送部制御用貸出処理機から通知される紙幣搬送情報と自己の搬送部制御用貸出処理機に対する紙幣の入金状態とに基づいて、対応する前記紙幣取込・搬送部における前記駆動装置を制御する手段をさらに含む、請求項1に記載の紙幣搬送システム。
【請求項3】
前記各搬送部制御用貸出処理機は、紙幣搬送方向の上流側に隣接する他の搬送部制御用貸出処理機から通知される紙幣搬送情報に基づいて、自己の搬送部制御用貸出処理機に入金された紙幣を対応する前記紙幣取込・搬送部に排出するタイミングを制御する手段をさらに含む、請求項1または2に記載の紙幣搬送システム。
【請求項4】
前記遊技島が、任意の貸出処理機の代わりにダミー枠が配置されている遊技施設における紙幣搬送システムであって、
前記ダミー枠に対応する前記紙幣取込・搬送部を第1の紙幣取込・搬送部とし、前記第1の紙幣取込・搬送部の上流側に隣接する紙幣取込・搬送部を第2の紙幣取込・搬送部とすると、前記第2の紙幣取込・搬送部を制御する前記搬送部制御用貸出処理機は、前記第1の紙幣取込・搬送部における駆動装置を、前記第2の紙幣取込・搬送部における駆動装置と同期して駆動させる手段を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の紙幣搬送システム。
【請求項5】
前記紙幣取込・搬送部の両側に前記貸出処理機が配置されている場合に、これらの2つの貸出処理機のうちの一方が主貸出処理機とされ、他方が従貸出処理機とされ、
前記従貸出処理機は、当該従貸出処理機に紙幣が入金されたときには、その旨を示す紙幣入金情報を前記主貸出処理機に通知する手段を備えており、
前記主貸出処理機は、
紙幣搬送方向の上流側に隣接する他の搬送部制御用貸出処理機から通知される紙幣搬送情報と、自己の主貸出処理機に対する紙幣の入金状態と、前記従貸出処理機から通知される紙幣入金情報とに基づいて、対応する前記紙幣取込・搬送部における前記駆動装置を制御する手段と、
紙幣搬送方向の上流側に隣接する他の搬送部制御用貸出処理機から通知される紙幣搬送情報と、自己の主貸出処理機に対応する前記紙幣取込・搬送部における紙幣搬送状態とに基づいて、自己の主貸出処理機に入金された紙幣を対応する前記紙幣取込・搬送部に排出するタイミングを制御する手段と、
前記従貸出処理機から紙幣入金情報が通知された場合には、紙幣搬送方向の上流側に隣接する他の搬送部制御用貸出処理機から通知される紙幣搬送情報と、自己の主貸出処理機に対応する前記紙幣取込・搬送部における紙幣搬送状態とに基づいて、前記従貸出処理機に入金された紙幣を対応する前記紙幣取込・搬送部に排出するタイミングを制御する手段を含む、請求項1に記載の紙幣搬送システム。
【請求項6】
前記各搬送部制御用貸出処理機と通信可能な島端制御装置をさらに含み、
前記島端制御装置は、これらの搬送部制御用貸出処理機が作成した紙幣搬送情報を取得して、外部出力する手段を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の紙幣搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−170583(P2012−170583A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34754(P2011−34754)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】