説明

紙幣識別装置

【課題】故障時や紙幣詰まりが生じたような場合のメンテナンス性が高い紙幣識別装置を提供することにある。
【解決手段】ベース部2とその開口部を開閉する正面カバー3によって囲まれる空間内に、投入口から本体内に投入された紙幣を搬送通路に沿って搬送する搬送手段10と、投入された紙幣の真偽を識別する識別手段20(識別センサ25)と、搬送された紙幣を収納する収納部30と、搬送された紙幣を前記収納部30に押し込んで集積するスタック手段40を収納して成る紙幣識別装置1において、前記搬送手段10と前記スタック手段40を駆動ユニット50としてユニット化し、該駆動ユニット50を前記ベース部2に対して係脱可能に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機、両替機、貸し出し機等に付設される紙幣識別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の紙幣識別装置は、ベース部とその開口部を開閉する正面カバーによって囲まれる空間内に、投入口から本体内に投入された紙幣を搬送通路に沿って搬送する搬送手段と、投入された紙幣の真偽を識別する識別手段と、搬送された紙幣を収納する収納部と、搬送された紙幣を前記収納部に押し込んで集積するスタック手段を収納して構成されている。
【0003】
ところで、斯かる紙幣識別装置に関して、特許文献1には、単一のモータを正逆転させて紙幣搬送部とスタック手段(押圧手段)の双方に駆動力を伝達する動力伝達手段を設けることによって、装置の構造単純化とコンパクト化を図る技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−150106公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1において提案された装置を含む従来の紙幣識別装置は、搬送手段やスタック手段が故障した場合には装置全体を交換する必要がある他、搬送通路等に紙幣が詰まった場合の紙幣の取り出しが容易でなく、メンテナンス性に劣るという問題があった。
【0006】
従って、本発明の第1の目的とする処は、故障時や紙幣詰まりが生じたような場合のメンテナンス性が高い紙幣識別装置を提供することにある。
【0007】
又、従来の紙幣識別装置は、収納部に紙幣を真っ直ぐな状態で平積みして収納する構成が採用されていたため、前記収納部は紙幣の長手方向寸法以上の寸法を必要とし、結果、紙幣識別装置自体の小型化には限界があり、設置場所にも制約が伴っていた。
【0008】
従って、本発明の第2の目的とする処は、小型・コンパクト化を図ることができる紙幣識別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ベース部とその開口部を開閉する正面カバーによって囲まれる空間内に、投入口から本体内に投入された紙幣を搬送通路に沿って搬送する搬送手段と、投入された紙幣の真偽を識別する識別手段と、搬送された紙幣を収納する収納部と、搬送された紙幣を前記収納部に押し込んで集積するスタック手段を収納して成る紙幣識別装置において、前記搬送手段と前記スタック手段を駆動ユニットとしてユニット化し、該駆動ユニットを前記ベース部に対して係脱可能に取り付けたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記搬送手段の搬送通路を識別通路と収納通路とで構成し、前記駆動ユニットの一端を前記ベース部に回動可能に軸支するとともに、他端をベース部に係脱可能とし、該駆動ユニットとベース部には識別手段と識別通路側面部をそれぞれ設け、駆動ユニットをベース部に係止することによって前記識別通路を形成することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記正面カバーを前記ベース部に回動可能に軸支するとともに、該正面カバーに前記収納部を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記搬送通路の収納通路と前記収納部を湾曲させ、紙幣を湾曲した状態で収納部に収納するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、搬送手段とスタック手段を駆動ユニットとしてユニット化し、該駆動ユニットをベース部に対して係脱可能に取り付けたため、搬送手段やスタック手段の機構部分が故障したような場合には、駆動ユニットのみを交換すれば済むためにメンテナンス性が高められ、経済的でもある。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、搬送通路の識別通路に紙幣が詰まった場合には、駆動ユニットのベース部への係合を解除してこれを開けば、識別通路が開放されるため、詰まった紙幣を容易に取り除くことができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、正面カバーをベース部に回動可能に軸支するとともに、該正面カバーに収納部を設けたため、正面カバーを回動させて開放することによって、収納部に収納されている紙幣を容易に取り出して回収することができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、紙幣を湾曲した状態で紙幣収納部に収納するようにしたため、前記紙幣収納部の寸法を紙幣の長手方向寸法以下に抑えることができ、その結果、装置自体の小型・コンパクト化が可能となり、従来は設置できなかった場所にも装置を設置することができて用途が多様化する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る紙幣識別装置を備えた遊技島の部分斜視図である。
【図2】本発明に係る紙幣識別装置の斜視図である。
【図3】本発明に係る紙幣識別装置の左側断面図である。
【図4】本発明に係る紙幣識別装置の右側断面図である。
【図5】本発明に係る紙幣識別装置の右側断面図である。
【図6】本発明に係る紙幣識別装置の分解斜視図である。
【図7】本発明に係る紙幣識別装置の駆動ユニットの正面側斜視図である。
【図8】本発明に係る紙幣識別装置の駆動ユニットの背面側斜視図である。
【図9】本発明に係る紙幣識別装置の駆動ユニットを開いて開放した状態を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る紙幣識別装置の正面カバーを開いて開放した状態を示す右側面図である。
【図11】本発明に係る紙幣識別装置の正面カバーと駆動ユニットを開いて開放した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明に係る紙幣識別装置を備えた遊技島の部分斜視図、図2は本発明に係る紙幣識別装置の斜視図、図3は同紙幣識別装置の左側断面図、図4及び図5は同紙幣識別装置の右側断面図、図6は同紙幣識別装置の分解斜視図、図7は同紙幣識別装置の駆動ユニットの正面側斜視図、図8は同駆動ユニットの背面側斜視図、図9は駆動ユニットを開いて開放した状態を示す斜視図、図10は正面カバーを開いて開放した状態を示す右側面図、図11は正面カバーと駆動ユニットを開いて開放した状態を示す斜視図である。
【0020】
パチンコ店に設置された図1に示す遊技島100には複数台のパチンコ台101が並設されており、隣接するパチンコ台101の間には玉貸機102が設置されている。そして、各玉貸機102の上方のプレート103には本発明に係る紙幣識別装置1がそれぞれ設置されており、プレート103の各パチンコ台101の上方には呼出ランプ104がそれぞれ設けられている。
【0021】
ここで、本発明に係る紙幣識別装置1は、これに投入される紙幣の真偽を識別し、その紙幣が正貨である場合には、その金額に応じた信号を玉貸機102に送信して所定数のパチンコ玉を玉貸機102から排出させるとともに、紙幣を装置内で搬送して収納する機能を果たすものである。この紙幣識別装置1は、図2に示すように、図1に示すプレート103に取り付けられる矩形箱状のベース部2と、該ベース部2の前面に開閉可能に設けられた正面カバー3とを備えている。
【0022】
上記正面カバー3は、その高さ方向中央部が手前側に突出する前面3aと、その上下の斜面3b,3c及び台形状の左右の側面3d,3eとで台形ボックス状に成形されており、その左右の側面3d,3eの下部がベース部2の下部両端に回動可能に軸支されている。そして、図3〜図5に示すように、ベース部2の下面には投入口4が開口しており、ベース部2の下部には紙幣を投入口4に導くための投入ガイド5が垂直下方に突設されている。
【0023】
而して、紙幣識別装置1のベース部2と正面カバー3によって囲まれた内部空間には、図3〜図5に示すように、前記投入口4から本体内に投入された紙幣Pを搬送通路を構成する識別通路6と収納通路7に沿って搬送する搬送手段10と、投入された紙幣Pの真偽を識別する識別手段20と、搬送された紙幣Pを収納する収納部30と、搬送された紙幣Pを前記収納部30に押し込んで集積するスタック手段40が収容されている。
【0024】
上記搬送手段10には、図3に示すように、左右一対の大径の搬送駆動ローラ9と複数のベルトローラ11〜15(図3には左側のみを示す)が駆動ベース16に回転可能に支持されており、各側の搬送駆動ローラ9と複数のベルトローラ11〜15には無端状の搬送ベルト17がそれぞれ巻き掛けられている(図6〜図9参照)。そして、搬送駆動ローラ9には回転可能な搬送ローラ18,19が搬送ベルト17を介して当接しており、ベルトローラ11,12には回転可能な搬送ローラ21,22が搬送ベルト17を介して当接している。
【0025】
ここで、図3に示すように、搬送駆動ローラ9の近傍には搬送モータM1が配置されており、この搬送モータM1から垂直上方に延びる不図示の出力軸の回転はその方向が直角に変換されて小径のギヤG1に伝達され、このギヤG1の回転は、該ギヤG1に噛合して搬送駆動ローラ9と共に回転する大径の駆動ギヤG2に伝達され、該駆動ギヤG2と搬送駆動ローラ9が図3の矢印方向(時計方向)に所定の速度で回転駆動される。すると、この搬送駆動ローラ9と複数のベルトローラ11〜15に巻き掛けられた搬送ベルト17が同方向に回転駆動され、後述のように投入口4から投入された紙幣Pが識別通路6と収納通路7に沿って搬送される。
【0026】
又、ベース部2と正面カバー3によって囲まれた内部空間には側面ベース23が収容されており、この側面ベース23の収納部30に対向する前面側には左右一対の搬送ガイド23aが形成されている(図6及び図7参照)。これらの搬送ガイド23aは、正面カバー3の内面形状に沿って側面視横V字状に湾曲しており、その内側に前記収納通路7が形成されている(図7参照)。
【0027】
ところで、図3に示すように、前記識別通路6は、投入口4から垂直上方に延びており、その投入口4に近い部分には紙幣Pの投入を光学的に検知する入口センサ24が配置されており、その上方には、前記識別手段20を構成する識別センサ25が配置されている。尚、識別センサ25は、識別通路6を通過する紙幣Pの濃淡と磁気を検出することによって紙幣Pの真偽を識別するものである。
【0028】
又、識別通路6の上端部付近には、紙幣Pの通過を検知する回動可能な検知レバー26が配置されている。尚、検知レバー26は識別通路6を紙幣Pが通過することによって揺動し、この検知レバー26の揺動を不図示の検知センサが光学的に検知することによって紙幣Pの通過が検知される。
【0029】
前記収納部30は、正面カバー3の内側に形成され、これには正面カバー3の内面形状に沿って側面視横V字状に成形されたカバーベース板27が配置されており、このカバーベース板27と側面ベース23との間には側面視横V字状を成す収納空間Sが形成されている。そして、収納部30には、該収納部30に紙幣Pが収納されているか否かを光学的に検知するための検知センサ28が配設されている。
【0030】
次に、前記スタック手段40の構成を図4及び図5に基づいて説明する。
【0031】
垂直に配設されたスタックベース29には側面視横V字状に湾曲したスタックプレート31がX字状にクロスするリンク32,33によって前後方向に往復動可能に支持されており、該スタックプレート31の湾曲した高さ方向中央部の内側にはプレート状のスタックカムガイド34が取り付けられている。そして、このスタックカムガイド34には側面視横V字状に屈曲したカム溝34aが形成されている。又、スタックカムプレート31は前記リンク32,33によって前記スタックベース29に前後に往復動可能に連結されている。尚、スタックプレート31は側面ベース23の搬送ガイド23aの間に配置されており、その幅は搬送ガイド23aの内側に形成された収納通路7を搬送される紙幣Pの横幅よりも狭く設定されている。
【0032】
更に、前記スタックカムガイド34の近傍には、スタックカム35が軸36を中心として回転可能に配設されており、このスタックカム35の端部に回転可能に軸支されたカムローラ37は、スタックカムガイド34に形成された前記カム溝34aに係合している。そして、スタックカム35に結着された前記軸36には駆動ギヤG3が取り付けられており、この駆動ギヤG3は図7に示すスタックモータM2によって回転駆動される。
【0033】
次に、以上のように構成された紙幣識別装置1の作用について説明する。
【0034】
パチンコ店において遊技客が図1に示すパチンコ台101でプレイする際には、本発明に係る紙幣識別装置1の下方に開口する投入口4から投入ガイド5に沿って紙幣Pを縦長方向に投入する。尚、投入口4に紙幣Pが投入される以前には、図4に示すように、スタック手段40のカムローラ37はスタックカムガイド34のカム溝34aの中央部分(頂点部分)に位置している。そして、この状態ではリンク32,33は折り畳まれてスタックプレート31は後退し、該スタックプレート31は側面ベース23の搬送ガイド23a(収納通路7)の後方(図4の右方)に退避している。
【0035】
而して、上述のように紙幣識別装置1の投入口4から紙幣Pが投入され、この紙幣Pが図3に示す入口センサ24によって検知されると、搬送モータM1が駆動され、この搬送モータM1の回転は前述のようにギヤG1及び駆動ギヤG2を経て搬送駆動ローラ9に伝達される。すると、搬送駆動ローラ9が図3に示す矢印方向に回転駆動され、これに巻き掛けられた搬送ベルト17が同方向に所定の速度で回転駆動されるため、紙幣Pは搬送ベルト17と搬送ローラ21,22によって挟持されながら識別通路6を上方に向かって搬送される。そして、紙幣Pは識別通路6を搬送される過程で識別センサ25によって真偽が判定され、紙幣Pが正貨である場合にはそのまま搬送が継続され、偽貨である場合には搬送モータM1が逆転して紙幣Pが投入口4から排出されて返却される。
【0036】
識別センサ25によって正貨であると識別された紙幣Pは、その後、搬送ベルト17と搬送ローラ18,19によって挟持されつつ識別通路6から側面視横V字状の収納通路7へと搬送されるが、収納通路7においては、紙幣Pはその長手方向両端(幅方向両端)が側面ベース23の左右一対の搬送ガイド23aに沿ってガイドされながら搬送される。そして、紙幣Pの後端が検知レバー26を通過したことが該検知レバー26と不図示の検知センサによって検知されてから所定時間が経過すると、つまり、紙幣Pの後端が搬送ローラ19を抜けて収納通路7に湾曲した状態で収容されると、搬送モータM1の駆動が停止されて搬送ベルト17の回転も停止されると同時に、スタック手段40のスタックモータM2(図7参照)が起動される。
【0037】
前述のようにスタックモータM2が起動されると、その回転は駆動ギヤG3及びスタックカム35に伝達され、これらが軸36を中心として回転する。すると、初期には図4に示すようにカムローラ37がスタックカムガイド34のカム溝34aの中央(頂点)に位置しているためにスタックプレート31が側面ベース23の搬送ガイド23a(収納通路7)の後方に後退している状態から、カムローラ37がカム溝34a内を移動する。
【0038】
そして、図4に示す初期状態からスタックカム35が軸36を中心として半回転すると、図5に示すようにカムローラ37によってスタックカムガイド34とスタックプレート31が初期状態から前方へと押し出される。すると、収納通路7においてその幅方向両端が側面ベース23の左右一対の搬送ガイド23aによって保持されている紙幣Pがスタックプレート31によって前方へと押し出される。この結果、紙幣Pは、側面ベース23の搬送ガイド23aから離脱して図5に示すように収納部30のカバーベース板27に押し付けられて集積され、カバーベース板27の側面視横V字状の形状に沿って長手方向略中央部が湾曲した状態で収納部30内の収納空間Sに収納される。尚、その後、スタックカム35が更に半回転すると、スタックカムガイド34とスタックプレート31が図4に示す初期位置まで後退して待機する。尚、スタックプレート31は、リンク32,33のパンタグラフ機能によって水平を保った状態で前後に直線的に往復動する。
【0039】
以上のように、本発明に係る紙幣識別装置1においては、紙幣Pを湾曲した状態で収納部30に収納するようにしたため、収納部30の外形寸法を紙幣Pの長手方向寸法以下に抑えることができる。この結果、紙幣識別装置1の小型・コンパクト化を図ることができ、従来は設置できなかった場所にも当該紙幣識別装置1を設置することができ、その用途が多様化するという効果が得られる。特に、本実施の形態では、紙幣Pをその長手方向略中央部を湾曲させた状態で収納部30に収納するようにしたため、紙幣Pの折り目等の癖による影響を余り受けることなく該紙幣Pを収納部30に安定的に収納することができる。
【0040】
次に、本発明の要旨を図6〜図11に基づいて説明する。
【0041】
本発明は、搬送手段10とスタック手段40を駆動ユニット50としてユニット化し、この駆動ユニット50をベース部2に対して係脱可能に取り付けたことを特徴とする。
【0042】
図6に示すように、ベースカバー2の前面開口部の内側下部の左右には、左右2列の垂直な支持片38,39がそれぞれ形成されており、各支持片38,39の下端には円孔状の嵌合孔38a,39aがそれぞれ形成されている。そして、右側の支持片39の上部には鍵状のフック41が図10に示すように軸42によって回動可能に軸支されており、このフック41は、右側の支持片39の上部に当接することによって通常は図示のように水平を保った状態で前方に向かって突出している。又、ベース部2の内側上部の左右には係止片43がそれぞれ形成されており、各係止片43には切欠円状の係止孔43aが形成されている。
【0043】
他方、駆動ユニット50の前記側面ベース23の左右一対の搬送ガイド23aの下部外面にはブラケット44がそれぞれ垂直に形成されており、各ブラケット44の下部外面には円柱状のピン44aが外側方に向かって突設されている。又、側面ベース23の左右の側面上部には係合ピン45が外側方に向かって突設されている。
【0044】
而して、駆動ユニット50は、図9に示すように、その左右の側面下部に突設されたピン44aをベース部2側の左右内側の支持片38に形成された嵌合孔38aに内側から嵌合させることによって、ベース部2に対してその下端部を中心として回動可能に支持されており、これを開いて開放することができる。そして、図9に示すように開放された駆動ユニット50をその下端部を中心として図示矢印方向に回動させて閉じ、その左右の側面上部に突設された係合ピン45をベース部2の左右の係止片43に形成された係止孔43aに嵌め込むことによって、該駆動ユニット50がベース部2に対して係止されて閉じ状態が維持される。
【0045】
他方、図6に示すように、正面カバー3の左右の側面3d,3eの内側には、ピン46が内側に向かって水平に突設されており(図6には一方のみ図示)、右側の側面3eの内側の前記ピン46の上方には係合ピン47が内側に向かって水平に突設されている。
【0046】
而して、正面カバー3は、図10に示すように、その左右の内側に突設された前記ピン46をベース部2の左右外側の支持片39に形成された嵌合孔39aに外側から嵌め込むことによって、ベース部2に対してその下端部を中心として回動可能に支持されている。このとき、正面カバー3の内面に突設された前記係合ピン47はベース部2側に設けられた前記フック41に係合しており、正面カバー3をその下端部を中心として回動させてこれを開く場合、通常は係合ピン47が図10に示すようにフック41の先端部に係合して正面カバー3の開き角度が規制される。尚、正面カバー3を図10に示す角度よりも大きく開く必要がある場合には、フック41を軸42を中心として上方へ回転させて係合ピン47との係合を解除すれば、図11に示すように正面カバー3を水平に近い角度まで回動させてこれを大きく開くことができる。
【0047】
ところで、図6に示すようにベース部2の垂直な内面は識別通路側面部6Aを構成しており、該識別通路側面部6Aには入口センサ24と識別センサ25が設けられている。又、図8に示すように駆動ユニット50のベース部2側の前記識別通路側面部6Aに対向する垂直な面は識別通路側面部6Bを構成しており、この識別通路側面部6Bの識別通路側面部6A側の入口センサ24と識別センサ25に対向する位置には、同様の入口センサ24と識別センサ25が設けられている。このように構成することによって、駆動ユニット50を閉じてこれをベース部2に係止することによって、図3〜図5に示すように、両識別通路側面部6A,6Bによって前記識別通路6が形成されるとともに、両識別センサ25によって前記識別手段20が形成される。
【0048】
而して、本発明に係る紙幣識別装置1においては、搬送手段10とスタック手段40を駆動ユニット50としてユニット化し、該駆動ユニット50をベース部2に対して係脱可能に取り付けたため、搬送手段10やスタック手段40の機構部分が故障したような場合には、駆動ユニット50のみを交換すれば済むためにメンテナンス性が高められ、経済的でもある。
【0049】
又、識別通路6に紙幣Pが詰まった場合には、正面カバー3を回動させて開放し、駆動ユニット50のベース部2への係合を解除してこれを図11に示すように開けば、識別通路6が開放されるため、詰まった紙幣Pを容易に取り除くことができる。そして、正面カバー3を回動させて開放することによって収納通路7も同時に開放されるため、収納通路7に紙幣Pが詰まった場合も、詰まった紙幣Pを容易に取り除くことができる。
【0050】
更に、本発明に係る紙幣識別装置1によれば、正面カバー3をベース部2に回動可能に軸支するとともに、該正面カバー3に収納部30を設けたため、正面カバー3を回動させてこれを図10又は図11に示すように開放することによって、収納部30に収納されている紙幣Pを容易に取り出して回収することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 紙幣識別装置
2 ベース部
3 正面カバー
3a 正面カバーの前面
3b,3c 正面カバーの斜面
3d,3e 正面カバーの側面
4 投入口
5 投入ガイド
6 識別通路
6A,6B 識別通路側面部
7 収納通路
9 搬送駆動ローラ
10 搬送手段
11〜15 ベルトローラ
16 駆動ベース
17 搬送ベルト
18,19 搬送ローラ
20 識別手段
21,22 搬送ローラ
23 側面ベース
23a 側面ベースの搬送ガイド
24 入口センサ
25 識別センサ
26 検知レバー
27 カバーベース板
28 検知センサ
29 スタックベース
30 収納部
31 スタックプレート
32,33 リンク
34 スタックカムガイド
34a スタックカムガイドのガイド溝
35 スタックカム
36 軸
37 カムローラ
38,39 支持片
38a,39b 支持片の嵌合孔
40 スタック手段
41 フック
42 軸
43 係止片
43a 係止片の係止孔
44 ブラケット
44a ピン
45 係合ピン
46 ピン
47 係合ピン
50 駆動ユニット
100 遊技島
101 パチンコ台
102 玉貸機
103 プレート
104 呼出ランプ
G1 ギヤ
G2,G3 駆動ギヤ
G4 ギヤ
M1 搬送モータ
M2 スタックモータ
P 紙幣
S 収納空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部とその開口部を開閉する正面カバーによって囲まれる空間内に、投入口から本体内に投入された紙幣を搬送通路に沿って搬送する搬送手段と、投入された紙幣の真偽を識別する識別手段と、搬送された紙幣を収納する収納部と、搬送された紙幣を前記収納部に押し込んで集積するスタック手段を収納して成る紙幣識別装置において、
前記搬送手段と前記スタック手段を駆動ユニットとしてユニット化し、該駆動ユニットを前記ベース部に対して係脱可能に取り付けたことを特徴とする紙幣識別装置。
【請求項2】
前記搬送手段の搬送通路を識別通路と収納通路とで構成し、前記駆動ユニットの一端を前記ベース部に回動可能に軸支するとともに、他端をベース部に係脱可能とし、該駆動ユニットとベース部には識別手段と識別通路側面部をそれぞれ設け、駆動ユニットをベース部に係止することによって前記識別通路を形成することを特徴とする請求項1記載の紙幣識別装置。
【請求項3】
前記正面カバーを前記ベース部に回動可能に軸支するとともに、該正面カバーに前記収納部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の紙幣識別装置。
【請求項4】
前記搬送通路の収納通路と前記収納部を湾曲させ、紙幣を湾曲した状態で収納部に収納するようにしたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の紙幣識別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−211426(P2010−211426A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55800(P2009−55800)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(591164554)シルバー電研株式会社 (19)
【Fターム(参考)】