説明

紙葉類の真贋判定システム及び真贋判定方法

【課題】判定の信頼性を高めた偽造防止紙葉類の真贋判定システムを提供する。
【解決手段】紙葉類60に可視光を照射して画像情報を取得する第1の画像情報取得装置30と、紙葉類60に紫外光を照射して画像情報を取得する第2の画像情報取得装置40と、両画像情報取得装置によって取得した2種類の画像情報を対応づけて第1及び第2の基準画像情報として予め記憶するハードディスク装置12と、真贋を判定すべき紙葉類について第1の画像情報取得装置30と第2の画像情報取得装置40によって第1及び第2の画像情報を取得し、第1及び第2の画像情報とハードディスク装置12に予め記録された第1及び第2の基準画像情報とをそれぞれ比較して両者が一致するか否かを判定するCPU11とを備えた紙葉類の真贋判定システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類の真贋を光学的に判定する紙葉類の真贋判定システム及び真贋判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コピー機などにより不正な複写偽造が懸念される紙葉類などについて、その真贋を判定するために、特許文献1に記載の真贋判定システムが提案されている。
【0003】
このシステムは、紙葉類に付与された画像情報を取得する装置、取得した前記画像情報を基準画像情報として記憶する装置、真贋を判定すべき紙葉類について取得した画像情報が前記基準画像情報と一致するか否かを判定する装置を備えている。紙葉類に付与された画像情報を予め基準画像情報として記憶しておき、後日、紙葉類の真贋を確認したい際には、その紙葉類から再度画像情報を取得し、先に記憶されている基準画像情報と一致するか否かを判定することで、その紙葉類の真贋を判定することができるというものである。
【特許文献1】特開2002−83274公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一つの紙葉類から日をおいて複数の画像情報を取得する場合には、最初に画像情報を取得した後に、その紙葉類の表面に汚れが付着する可能性を考慮しなくてはならない。また、最初に画像情報を取得する場合と、二度目に画像情報を取得する場合とでは、画像情報取得装置の光源やセンサ等による検出条件が必ずしも同一とは限らないという事情がある。
【0005】
しかるに、上述した従来の真贋判定システムでは、最初に画像情報を取得してこれを基準画像情報とし、後日、取得した画像情報との一致性に基づいて真贋判定を行うという単一の情報に頼ったシステムであるため、実際には、本物であると認めるための判定基準を十分にあげることができないという問題があった。すなわち、前述の判定基準を高くすれば、本物の紙葉類であっても汚れが付着したものは偽物と判定してしまう。逆に判定基準を低くすれば、部分的に改ざんした偽物を本物と判定してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、正確に真贋判定ができる紙葉類の真贋判定システム及び真贋判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、文字・画像等が付与された紙葉類に可視光を照射して電子的な第1の画像情報を取得する第1の画像情報取得装置と、前記紙葉類に前記可視光とは異なる波長の光を照射して電子的な第2の画像情報を取得する第2の画像情報取得装置と、前記第1及び第2の各画像情報取得装置によって取得した前記第1及び第2の両画像情報を基準画像情報として予め記憶する記憶装置と、真贋を判定すべき紙葉類について前記第1及び第2の両画像情報取得装置によって2種類の前記第1及び第2の画像情報を取得し、それらの画像情報を前記記憶装置に記録された2種類の前記基準画像情報と比較して両者が一致するか否かを判定する画像情報判定装置とを備えたことに特徴を有する。
【0008】
本発明では、前記第2の画像情報取得装置は、前記可視光とは異なる波長の光として紫外光を照射する紫外光ランプを有していてもよい。
【0009】
本発明では、文字・画像等が付与された紙葉類として、紫外光の照射によって発光する蛍光繊維が抄造過程で混入された紙葉類を用いてもよい。
【0010】
本発明では、前記第1及び第2の画像情報取得装置により2種の画像情報を取得する前の前記紙葉類に画像を形成するための画像形成装置を有していてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、例えば偽造の可能性が懸念される紙葉類に対して、第1及び第2の画像情報取得装置にて第1及び第2の両画像情報を取得し、この2つの画像情報を基準画像情報として記憶装置に記憶しておく。紙葉類の真贋を判定したい場合は、判定したい紙葉類を両画像情報取得装置にかけて第1及び第2の両画像情報を取得し、画像情報判定装置にてその2種類の画像情報と基準画像情報が一致するか否かを判断し、2種類とも一致するときに本物と判定する。2種類の画像情報に基づいて真贋の判定を行うので、各種類の画像情報について判定基準を高く設定しなくても、正確な判定を行うことができる。また、2種類の基準画像情報を対応付けてデータベース化しておき、両者が一致することを条件に真正の紙葉類であると判定すると、より正確性が高くなる。
【0012】
本発明の前記第2の画像取得装置において紫外光ランプを有する構成とすると、通常の状態では目視不可能な画像情報を取得してこれを基準画像情報とすることができるから、偽造しにくい紙葉類とすることができる。
【0013】
また、蛍光繊維が抄造過程で混入された紙葉類を利用すると、紙葉類内での蛍光繊維の配列は紙葉類毎に異なる偶発的情報となるため、同じ繊維配列を意図的に作ろうとしても困難であり、いっそう偽造を困難にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図5によって説明する。図1に示すように、本実施形態による真贋判定システムは、管理コンピュータ10に画像読取装置20を接続して構成されている。
【0015】
画像読取装置20内には、モータ21によって駆動される複数本の搬送ローラ22が並べられ、図示しない用紙挿入口から挿入した紙葉類60を図面中左側から右側に向かって搬送し、装置右側の図示しない排出口から排出するようになっている。搬送ローラ22による紙葉類60の搬送路に近接して、第1及び第2の画像情報取得装置30及び40がその搬送路に沿って設けられている。
【0016】
第1の画像情報取得装置30は搬送路の上流側に位置しており、可視光を照射する第1の光源31と、搬送される紙葉類60からの反射光を受光する第1のCCDセンサ32とを備える。第1の光源31は、例えば蛍光ランプ等の線状光源であって、紙葉類60の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設置されている。また、第1のCCDセンサ32も紙葉類60の搬送方向に対して直交する方向に延びるラインセンサにより構成されており、可視光の波長領域を受光して画像信号を出力する。
【0017】
一方、第2の画像情報取得装置40は搬送路の下流側に位置しており、紫外光を照射する第2の光源41と、搬送される紙葉類60からの光を受光する第2のCCDセンサ42とを備える。これらの第2の光源41及び第2のCCDセンサ42は、共に第1の画像情報取得装置30と同様に線状光源及びラインセンサからなる。なお、第2のCCDセンサ42も可視光の波長領域を受光するタイプであればよいが、紫外光に対しても受光特性がある場合には、受光窓に紫外線カットフィルタを設けておくことが望ましい。
【0018】
なお、両光源31,41はランプ電源51により点灯駆動され、第2の画像情報取得装置40には内部に第2の光源41以外の光が侵入しないように遮光カバー52が設けられている。
【0019】
管理コンピュータ10は、CPU11,記憶装置としてのハードディスク装置12及び表示装置13を備える。また、CPU11の入力ポートには、前記画像読取装置20の第1及び第2のCCDセンサ32,42からの画像信号をA/D変換するA/D変換器14が設けられ、各画像信号がデジタル化されてCPU11に与えられる。そして、CPU11の出力ポートは、前記ランプ電源51及びモータ21の制御端子に接続されて、それらを制御することができる。
【0020】
さて、ハードディスク装置12には、前記画像読取装置20と連係して紙葉類60の真贋を判定するためのプログラムが格納されている。そのソフトウエア的構成は図2及び図3のフローチャートに示す通りであり、それを次に説明する。
【0021】
なお、本実施形態では、紙葉類として紫外光の照射によって発光する蛍光繊維が抄造過程で混入されたシート(以下、セキュリティペーパーと呼ぶ)を使用して契約書を印刷し、その契約書の真贋を判定する方法として説明する。セキュリティペーパーは、通常の製紙用のパルプ繊維に対して例えば0.05重量%〜1重量%の蛍光繊維を混合して通常の製紙法に従って抄造したものである。蛍光繊維はポリエステル繊維又はナイロン繊維を蛍光染料又は蛍光顔料によって着色したもので、長さは数ミリから数センチのものが好適である。
【0022】
さて、本システムを起動させると、図2に示すメインルーチンが実行され、まず表示装置13にて画像情報の登録か、真贋判定を行うかの選択を求める表示が現れる。最初は画像情報の登録が必要であるから、それが選択されると(S10)、管理コンピュータ10からの信号によってランプ電源51が駆動され、第1及び第2の両光源31、41が点灯駆動されると共に、モータ21が駆動されることで搬送ローラ22が回転する。
【0023】
そこで、画像情報を登録したい紙葉類、すなわち本実施例ではセキュリティペーパーに印刷した契約書70を画像読取装置20の用紙挿入口から差し込むと、契約書70は搬送ローラ22によって画像読取装置20内の搬送路を図1中左側から右側に向かって搬送され、第1及び第2の各画像情報取得装置30、40を順に通過することになる。
【0024】
第1の画像情報取得装置30に契約書70が搬送されると、第1の光源31(可視光)に照らされた契約書70から反射された光がCCDセンサ32によって受光され、契約内容を示す文字画像などを含めた全体の画像が可視光の基準画像情報として取得される(S40)。図4に契約書70の可視光画像の一例を示した。
【0025】
契約書70は続いて第2の画像情報取得装置40を通過する。ここで第2の光源41(紫外光)に照らされた契約書70は、セキュリティペーパーの中に混入されている蛍光繊維が紫外光を受けて蛍光(可視光)を発光するため、CCDセンサ42によってその光が受光される。
【0026】
ところで、第2の画像情報取得装置40は遮光カバー52によって覆われているため、その内部には外部の光が入らない。そして、セキュリティペーパーを構成している通常の紙繊維は紫外光を受けても、その一部を反射するだけであって蛍光を発しないから、紫外光に受光特性がない第2のCCDセンサ42によっては認識されない。また、セキュリティペーパー上に印刷されている契約内容を示す文字は黒インク(又は黒トナー)が使用され、紫外線を受けても蛍光を発しないから、やはり第2のCCDセンサ42によっては認識されない。このため、仮に、印刷がされていないセキュリティペーパーを第2の画像情報取得装置40に通した場合には、第2のCCDセンサ42によって取得される画像は、蛍光繊維が紙面の全域に無秩序に散らばって光る画像となる。
【0027】
一方、本実施形態では、このセキュリティペーパーに契約内容を示す文字を印刷して契約書70としているから、無秩序に散らばる蛍光繊維の上に文字や記号が重なっている。蛍光繊維の上に文字・記号が重なっている場合、紫外光は文字等によって遮られて局部的に蛍光繊維に照射されないことになる。このため、実際に第2のCCDセンサ42によって取得される画像は、無秩序に散らばった蛍光繊維が発光してはいるが、蛍光繊維に重ねて文字が印刷されている部分では、その文字によって発光部分が隠されたようになる。このため、第2のCCDセンサ42によって取得される情報は、この契約書70に使用されたセキュリティペーパーにおける蛍光繊維の分散状態に依存したそのセキュリティペーパー固有の画像情報と、その上に印刷された内容特有の画像情報とが混合した情報となる。なお、第2のCCDセンサ42によって取得される画像の模式図を図5に示す。同図は、蛍光による発光部分を黒く描いたネガ画像であり、円形の拡大部分に蛍光繊維の発光が文字により局部的に遮られた状態を示している。
【0028】
両画像情報取得装置30,40によって、契約書70から上述のように可視光光源による第1の画像情報と、紫外光光源による第2の画像情報とが取得されると(S40)、契約書70は装置右側の図示しない排出口から排出され、その後S50の処理によってランプ電源51をOFFさせて光源31、41を消灯させると共にモータ21を停止させることで搬送ローラ22を停止させる。
【0029】
取得された第1及び第2の画像情報はそれぞれ所定形式の画像ファイルとして記録され、両者が関連づけられてデータベースを構成する基準画像情報としてハードディスク装置12に記録される(S60)。なお、データベースを構成するレコードは画像情報の登録毎に1つが作成され、各レコード毎に第1の画像情報を記録するフィールドと、第2の画像情報を記録するフィールドと、各レコードのIDを記録するフィールドとが含められている。
【0030】
S60でデータベースのレコードを生成した後、画像情報の登録を終了するか否かが表示装置に表示され、登録を終了しないことが選択された場合にはS10に戻って次の紙葉類について画像情報の登録が繰り返し行われ、登録を終了することが選択されると、このメインルーチンが終了する。
【0031】
さて、1枚でも紙葉類の画像情報の登録が終了した後に、任意の紙葉類についてその真偽判定を行うには次のようにする。システムを起動させると前述の通りメインルーチンのS10が実行されて、表示装置13に画像情報の登録か、真贋判定を行うかの選択を求める表示が現れるから、ここで、真贋判定を選択する。すると、図3に示す真贋判定ルーチンが実行される。
【0032】
真贋判定ルーチンでは、まず画像情報登録時と同様に、モータ21、光源31、41を稼動させて真贋を判定するための紙葉類を搬送し(S80)、その紙葉類から可視光及び紫外光による第1及び第2の両画像情報を取得する。
【0033】
次に、ハードディスク装置12からデータベース情報を読み取り、データベースを構成するレコード群の中に、問題の紙葉類から取得した第1の画像情報と一致する第1の基準画像情報が含まれるレコードがあるか否かを検索する(S100)。ここで、画像情報の一致は、完全一致ではなく、契約書70に付着する汚れや第1の画像情報取得装置30の光源光量やCCDセンサ32の劣化度合い等を考慮して、ある範囲内の相違を許容した同一性を見ることとする。取得した第1の画像情報と一致する第1の基準画像情報を含むレコードがない場合、同じ可視光画像は登録されていないことを意味するから、表示装置13に「偽」の表示がなされる(S140)。このような判断がされる例としては、契約書70の記載内容がオリジナルとは異なるように改ざんされている場合、契約書70の表面が許容範囲を超えて汚された場合等がある。
【0034】
一方、取得した第1の画像情報と同一の第1の基準画像情報が存在する場合、その第1の基準画像情報が含まれる同一レコード内の別のフィールドから第2の基準画像情報を読み出す(S110)。そして、問題の紙葉類から取得した第2の画像情報(紫外光画像)と、S110で読み出した第2の基準画像情報とを比較し、両者が一致するか否かを判断する(S120)。なお、ここでの一致性の判断も、契約書70に付着する汚れや第1の画像情報取得装置30の光源光量やCCDセンサ32の劣化度合い等を考慮して、ある範囲内の相違を許容した同一性を見ることとする。
【0035】
両画像情報が一致しない場合、可視光的には同一性ありと判断される(S100)ものの、紫外光画像では相違が大きいことを意味するから、S140によって表示装置13に「偽」と表示される。このような判断がされる例としては、契約書70の記載内容は同一であるが、用紙(セキュリティペーパー)がオリジナルとは相違している場合、あるいは、オリジナルの契約書70の記載内容の改ざん程度がごく僅かであるために可視光的には同一性ありと判断されてしまうが、その改ざんのために紫外光画像に影響を与えた場合(例えば付加した文字が蛍光繊維に重なっている)が例示できる。
【0036】
そして、上記の紫外光による2種の画像情報に同一性がありと判断されると、表示装置13に「真正」との表示がされて、メインルーチンに戻る。
【0037】
以上のように、本実施形態では可視光と紫外光との2種類の画像情報に基づいてついてそれぞれ同一性の判定を行う(S100,S120)。このため、それぞれの判断処理において、例えば紙葉類に付着する汚れや各画像情報取得装置30、40の光源光量やCCDセンサ32の感度の変動等を考慮して一致とする判断基準を下げたとしても、これを繰り返すことでより正確な真贋判定を行うことができる。
【0038】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図6によって説明する。実施形態1と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところについてのみ説明する。
図6に示すように、実施形態2による真贋判定システムは、実施形態1の真贋判定システムに加えて画像形成装置としての周知のレーザ印刷装置91とそのレーザ印刷装置91に印刷用紙を供給する用紙トレイ92とを設けており、実施形態1の管理コンピュータ10を含めて全体が一つの筐体に納められている。なお、管理コンピュータ10には、上記レーザ印刷装置91を制御して用紙に所望の文字・画像を形成するための印刷制御プログラムが含まれる。また、用紙トレイ92には予めセキュリティペーパー80が複数枚セットされている。
【0039】
この実施形態2の真贋判定システムでは、印刷機能を有する複合機として構成されている。これによれば、レーザ印刷装置91によって例えば契約書等の文書を印刷し、その後、直ちに第1の画像情報取得装置30及び第2の画像情報取得装置40によってその文書の画像情報を取得して自動的にデータベース化することができる。紙葉類の真贋を判定するには、前記実施形態1と同様に、問題の紙葉類を搬送路に供給し、これに印刷を施すことなく第1及び第2の各画像取得装置30,40にて画像を取得して真贋判定がなされる。
【0040】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では第1及び第2の画像情報取得装置では別々のCCDセンサを備えていたが、可視光ランプと紫外光ランプを切り替えることで1台のCCDセンサで第1及び第2の画像を撮影して画像情報を取得する構成であってもよい。
【0041】
(2)上記実施形態では、第2の画像情報取得装置に紫外光源を備え、紫外光が照射されることで発光する紙葉類を使用したが、紫外光の代わりとして、例えば赤外線やX線など可視光とは波長の異なる光を照射する光源装置と、その光源の照射によって取得できる画像情報を付与された紙葉類と、その画像情報を電子情報として取得できる装置とを備えていればよい。
【0042】
(3)上記実施形態では、抄造過程で蛍光繊維を混入したセキュリティペーパーを使用したが、蛍光繊維を混入する代わりに、紫外線を照射することで発光する蛍光インキなどによって紙葉類表面に模様が印刷されているような紙葉類を使用してもよい。
【0043】
(4)上記実施形態では、基準画像情報を記憶するための装置としてハードディスク装置を使用したが、代わりの記憶装置として、例えばフレキシブルディスク,光ディスク,光磁気ディスク,不揮発性のメモリカード等を使用してもよい。
【0044】
(5)上記実施形態では、紙葉類を第1の画像情報取得装置に通過させた後に第2の画像情報取得装置に通過させているが、この通過の順番は入れ替えてもよい。
【0045】
(6)上記実施形態では、第1及び第2の両画像情報取得装置は、紙葉類の全体の画像を取得するようにしたが、これに限らず、紙葉類のうち予め定められた領域の画像を取得してそれに基づいて真贋を判定してもよい。
【0046】
(7)上記実施形態では、第1及び第2の各画像情報取得装置は、紙葉類の画像情報の登録時と紙葉類の真贋判定時との双方の場合に同一の装置30,40を使用することとしているが、画像情報の登録時にだけ使用される第1及び第2の画像情報取得装置と、真贋判定時にだけ使用される第1及び第2の画像情報取得装置とを設ける構成としてもよい。この場合には、画像情報の登録専用機と真贋判定専用機との2台の装置として構成でき、登録専用機で取得した画像情報データはケーブル又はネットワーク(インターネットを含む)を介して真贋判定専用機に送信すればよく、これにより画像登録を行った装置とは別の装置(地理的に離れていてもよい)によって紙葉類の真贋判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施形態1の真贋判定システムの電気的構成を示すブロック図
【図2】システム全体の処理の流れを示すフローチャート
【図3】真贋判定の流れを示すフローチャート
【図4】可視光画像を模式的に示す平面図
【図5】紫外線画像を模式的に示す平面図
【図6】実施形態2の真贋判定システムの電気的構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0048】
10…管理コンピュータ
11…CPU
12…ハードディスク装置
13…表示装置
14…A/D変換器
20…画像読取装置
21…モータ
22…搬送ローラ
30…第1の画像情報取得装置
40…第2の画像情報取得装置
31…第1の光源
41…第2の光源
32、42…CCDセンサ
51…ランプ電源
52…遮光カバー
60…紙葉類
70…契約書
80…セキュリティペーパー
91…レーザ印刷装置
92…用紙トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字・画像等が付与された紙葉類に可視光を照射して電子的な第1の画像情報を取得する第1の画像情報取得装置と、前記紙葉類に前記可視光とは異なる波長の光を照射して電子的な第2の画像情報を取得する第2の画像情報取得装置と、前記第1及び第2の各画像情報取得装置によって取得した前記第1及び第2の両画像情報を基準画像情報として予め記憶する記憶装置と、真贋を判定すべき紙葉類について前記第1及び第2の両画像情報取得装置によって2種類の前記第1及び第2の画像情報を取得し、それらの画像情報を前記記憶装置に記録された2種類の前記基準画像情報と比較して両者が一致するか否かを判定する画像情報判定装置とを備えた紙葉類の真贋判定システム。
【請求項2】
前記基準画像情報は、前記第1及び第2の画像情報取得装置によって取得されたものが互いに対応付けられて1つのレコードを構成するようにデータベース化されており、前記画像情報判定装置は紙葉類から取得した第1及び第2の画像情報が1つのレコードを構成する2種の基準画像情報の双方と一致するか否かを判定する構成である請求項1記載の紙葉類の真贋判定システム。
【請求項3】
前記第2の画像情報取得装置は、前記可視光とは異なる波長の光として紫外光を照射する紫外光ランプを有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の紙葉類の真贋判定システム。
【請求項4】
紫外光の照射によって発光する蛍光繊維が抄造過程で混入された紙葉類と、文字・画像等が付与された前記紙葉類に可視光を照射して電子的な第1の画像情報を取得する第1の画像情報取得装置と、前記紙葉類に紫外光を照射して電子的な第2の画像情報を取得する第2の画像情報取得装置と、前記第1及び第2の各画像情報取得装置によって取得した前記第1及び第2の画像情報を対応づけて基準画像情報として予め記憶するデータベース装置と、真贋を判定すべき紙葉類について前記第1及び第2の両画像情報取得装置によって前記第1及び第2の画像情報を取得し、それらの画像情報を前記データベース装置に記録された2種類の前記基準画像情報と比較して両者が一致するか否かを判定する画像情報判定装置とを備えた紙葉類の真贋判定システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の紙葉類の真贋判定システムにおいて、さらに、前記第1及び第2の画像情報取得装置により2種の画像情報を取得する前の前記紙葉類に画像を形成するための画像形成装置を有する紙葉類の真贋判定システム。
【請求項6】
文字・画像等が付与された紙葉類に可視光を照射して電子的な第1の画像情報を取得する第1の画像情報取得装置と、前記紙葉類に前記可視光とは異なる波長の光を照射して電子的な第2の画像情報を取得する第2の画像情報取得装置とを用い、前記第1及び第2の各画像情報取得装置によって取得した前記第1及び第2の画像情報を対応づけてデータベース装置に基準画像情報として予め記憶しておき、真贋を判定すべき紙葉類について前記第1及び第2の両画像情報取得装置によって2種類の前記画像情報を取得し、それらの画像情報を前記データベース装置に記録された2種類の前記基準画像情報と比較して両者が一致するか否かを判定する紙葉類の真贋判定方法。
【請求項7】
請求項6の紙葉類の真贋判定方法において、前記紙葉類として紫外光の照射によって発光する蛍光繊維が抄造過程で混入された紙葉類を使用することを特徴とする紙葉類の真贋判定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate