説明

紙葉類処理システム

【課題】鑑査済みの紙葉類束に過不足が発生していないか等を確認する必要が生じた場合の確認作業が大幅に軽減され、かつ、処理後に混在となった正券の紙葉類束と損券の紙葉類束との区分け作業が大幅に軽減される紙葉類処理システムを提供することである。
【解決手段】実施形態に係る紙葉類処理システムは、供給部にセットされた紙葉類を1枚ずつ取込む取込手段と、この取込手段により取込まれた紙葉類を鑑査する鑑査手段と、この鑑査手段の鑑査結果に基づき前記紙葉類を種類ごとに区分して集積する集積手段と、この集積手段により集積された紙葉類を所定枚数ごとに施封することにより紙葉類把を作成する施封手段と、この施封手段により作成された紙葉類把を所定数ごとに帯で結束することにより紙葉類束を作成する結束手段と、この結束手段において紙葉類把を所定数ごとに結束する帯の結束方式を、あらかじめ設定された条件によって変更する結束方式変更手段とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紙葉類処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
銀行券は、各金融機関において、各券種100枚以上の保管や授受の際、同一券種100枚分を紙製の帯(以下、「小帯」)で結束(以下、「施封」)した単位(以下、「把」、数量単位として「把」)で取り扱われている。また、同一券種10把以上の保管や授受の際は、この把を10把積み重ねて結束(以下、「10把結束」、結束には小帯よりも幅が広いプラスチック製の帯が使用される、以下、「大帯」)した単位(以下、「束」、数量単位として「束」)で取り扱われている。この束については、取り扱い易さと枚数管理面の厳格性から透明フィルムで包装されるケースもある。
【0003】
各金融機関の現金集中処理部門では、銀行券の鑑査・計数から束の包装までを機械で自動処理する紙葉類処理システム(銀行券処理システム)が使用されている。紙葉類処理システムは、鑑査・計数・施封を行なう処理装置本体、銀行券束(以降、単に束とも略称する)を作成する10把結束装置、および、作成された束を包装する包装装置から構成される。
【0004】
この種の紙葉類処理システムでは、束単位で受入れた銀行券を人手で開封して、処理装置本体の供給部にセットする。セットされた銀行券は1枚ずつ取込み、搬送され、真偽判定や正損判定等の鑑査が行なわれるとともに、種類ごとに計数され、事前に指定された区分(一般的には正券と損券を区分)ごとの搬送先(裁断部、集積部)に搬送される。
【0005】
ある金融機関の場合、損券は裁断部へ搬送されて裁断処理され、その裁断片は吸引搬送されて裁断片処理システムで処理される。正券は集積部に搬送されて集積され、100枚ごとに小帯で施封されて銀行券把(以降、単に把とも略称する)が作成される。当該金融機関以外の場合は、正券、損券とも、それぞれ割り当てられた集積部に搬送されて集積される。
【0006】
なお、施封の際、小帯には正券か損券かを識別できる記号等が印刷され、オペレータは当該小帯の印刷内容を確認して正券か損券かの区別が可能となっている。
【0007】
作成された把は、それぞれの区分ごとに10把集積した後、区分に関わらず同一の大帯を使用して同じ位置で10把結束して銀行券束が作成される。作成された束は、包装装置に搬送されて順次、包装して排出される。通常、この排出口は1つで、排出される包装済みの束を籠などで受けている。
【0008】
また、紙葉類処理システムの一部に故障が発生した際は、当該故障装置を除いた可能な範囲で紙葉類処理システムが利用される。たとえば、処理装置本体が故障の場合、手作業等、当該紙葉類処理システム以外で作成された把を、当該紙葉類処理システムを使用して10把結束、束包装が行なわれる。
【0009】
また、紙葉類処理システムの導入状況によっては、当該紙葉類処理システム以外で鑑査・計数・施封した把を、当該紙葉類処理システムを使用して10把結束、束包装を行なう運用も行なわれる。
【0010】
しかしながら、鑑査・計数から束の包装までの処理を、当該紙葉類処理システムで連続した自動機械処理で作成された包装済み束と、そうでない包装済み束とを区別する情報は包装済み束に無い。
【0011】
このため、たとえば、鑑査済み束に枚数の過不足(通常、正常な束は1000枚だが、たとえば999枚や1001枚)が発生していないかを確認する必要が生じた場合、連続した自動機械処理で作成した包装済み束も確認対象となってしまい、膨大な作業量となる。
【0012】
また、包装装置の排出口が1つで、籠などで排出される包装済み束を受けるため、区分ごとに作成された束が、包装処理後に籠などの中で混在状態となる。
金融機関での業務としては、正券と損券は区別されて取り扱う必要があるため、包装済み束を人手で区分けする作業が発生する。この区分け作業は、小帯の印刷内容を目視確認する必要があり、混在状態の包装済み束を一瞥するだけでは確認できないため、作業者への負担も大きいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−276751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、鑑査済みの紙葉類束に過不足が発生していないか等を確認する必要が生じた場合の確認作業が大幅に軽減され、かつ、処理後に混在となった正券の紙葉類束と損券の紙葉類束との区分け作業が大幅に軽減される紙葉類処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
実施形態に係る紙葉類処理システムは、供給部にセットされた紙葉類を1枚ずつ取込む取込手段と、この取込手段により取込まれた紙葉類を鑑査する鑑査手段と、この鑑査手段の鑑査結果に基づき前記紙葉類を種類ごとに区分して集積する集積手段と、この集積手段により集積された紙葉類を所定枚数ごとに施封することにより紙葉類把を作成する施封手段と、この施封手段により作成された紙葉類把を所定数ごとに帯で結束することにより紙葉類束を作成する結束手段と、この結束手段において紙葉類把を所定数ごとに結束する帯の結束方式を、あらかじめ設定された条件によって変更する結束方式変更手段とを具備している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態に係る紙葉類処理システムの構成を概略的に示す模式図。
【図2】把結束装置における把結束機構の第1の実施形態について説明する模式図。
【図3】把結束装置における把結束機構の第2の実施形態について説明する模式図。
【図4】把結束装置における把結束機構の第3の実施形態について説明する模式図。
【図5】実施形態に係る紙葉類処理システムの全体的な処理の流れについて説明する処理の流れ図。
【図6】第1の実施形態に係る紙葉類処理システムの動作を説明するフローチャート。
【図7】第2の実施形態に係る紙葉類処理システムの動作を説明するフローチャート。
【図8】第3の実施形態に係る紙葉類処理システムの動作を説明するフローチャート。
【図9】第4の実施形態に係る紙葉類処理システムの動作を説明するフローチャート。
【図10】第4の実施形態におけるジャム処理に係る処理の流れを説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態の紙葉類処理システムについて図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る紙葉類処理システムの構成を概略的に示すものである。この紙葉類処理システムは、銀行券の鑑査・計数・施封を行なう処理装置本体10、銀行券束を作成する把結束装置20、および、作成された銀行券束を包装する包装装置30から構成される。なお、包装装置30は省略される場合もある。
【0018】
処理装置本体10は、銀行券投入口11を備えた供給・取込部12、取込まれた銀行券に対し真偽判定や正損判定等の鑑査を行なうとともに種類ごとに計数する鑑査・計数部13、偽券などの排除券を集積する排除券集積部14、損券を裁断する裁断部15、真券と判定された銀行券(正券、損券)を集積する集積部16a,16b、集積された銀行券を100枚ごとに小帯で施封することで銀行券把を作成する施封部17a,17b、作成された銀行券把を排出する把排出口18bを備えた把排出部18a、および、銀行券や銀行券把を搬送する搬送路19から構成される。なお、搬送路19には銀行券のジャムを検出するジャム検出手段が設けられているが、これは公知の技術であるので説明は省略する。
【0019】
把結束装置20は、処理装置本体10から送られる銀行券把を集積する把集積部21a,21b、把集積部21a,21bに集積された10個の銀行券把を大帯で結束することで銀行券束を作成する把結束部22、作成された銀行券束を排出する束排出口23を備えた束排出部24、および、銀行券把や銀行券束を搬送する搬送路28から構成される。
【0020】
また、把結束装置20は、把投入口25を備えた把取込部26および集積先指定釦27を備えていて、操作者の手操作により把投入口25から銀行券把を投入して集積先指定釦27で集積先を指定することにより、把取込部26により銀行券把を取込み、指定された把集積部21aまたは21bに搬送することが可能となっている。これは、たとえば、処理装置本体10が停止している際に、当該紙葉類処理システム以外で鑑査・計数・施封した銀行券把、あるいは、処理装置本体10の把排出口18から排出された銀行券把の処理を行なうために使用される。
【0021】
なお、束排出口23を備えた束排出部24は、たとえば、包装装置30が故障している場合に、作成した銀行券束を排出するために使用される。
【0022】
さらに、把結束装置20は、10把結束する大帯の結束方式を、あらかじめ設定された条件によって変更する把結束機構を備えている。第1の実施形態では、大帯での結束位置を自動的に切換え可能な把結束機構とし、たとえば、あらかじめ設定される以下のケース(条件)で結束位置を通常の結束位置から変更する。
(1)把投入口25から投入した銀行券把が含まれる10把を結束する場合。
(2)包装装置30が故障している場合(束排出口23から作成した銀行券束が排出される)。
【0023】
図2に示す具体例を参照して説明すると、処理装置本体10から受取った銀行券把(連続した自動機械処理で作成された銀行券把)を10把結束する場合は、図2(a)に示すように、銀行券把P1の小帯T1の直ぐ横の位置(通常の結束位置)で大帯T2による結束を行なう。
【0024】
これに対し把投入口25から投入された銀行券把(なんらか人手による扱いが発生していると思われる銀行券把)を10把結束する場合は、図2(b)に示すように、銀行券把P2の小帯T1から一定距離L離れた位置で大帯T2による結束を行なう。
【0025】
また、把結束装置20における把結束機構の第2の実施形態では、あらかじめ設定される条件によって結束する大帯の色を自動的に切換え可能な把結束機構とし、たとえば、正券と損券とで大帯の色を変更する。
【0026】
すなわち、把結束装置20において2種の大帯をセットできる構造とし、大帯での結束の際、あらかじめ設定された条件によって使用する大帯を選択して結束する構造とする。第2の実施形態では、たとえば、青色と赤色の2種の大帯を使用し、正券には青色の大帯を、損券には赤色の大帯を使用する条件とする。
【0027】
図3に示す具体例を参照して説明すると、図3(a)に示すように、処理装置本体10から受取った正券の銀行券把P3には青色の大帯T3で結束し、図3(b)に示すように、処理装置本体10から受取った損券の銀行券把P4には赤色の大帯T4で結束する。
【0028】
また、把結束装置20における把結束機構の第3の実施形態では、結束する大帯は1種とし、ラベル印刷・貼付装置を装備し、大帯での結束の際、あらかじめ設定された条件によってラベルへの印刷内容を変更して結束後の大帯に貼り付ける把結束機構とし、たとえば、正券と損券とでラベルへの印刷内容を変更する。
【0029】
すなわち、第3の実施形態では、たとえば、結束した大帯に貼付するラベルへの印刷内容を青色文字「F」、赤色文字「U」の2種とし、正券(Fit)には青色文字「F」の印刷を、損券(Un−Fit)には赤色文字「U」の印刷を使用する条件とする。
【0030】
図4に示す具体例を参照して説明すると、図4(a)に示すように、処理装置本体10から受取った正券の銀行券把P3には青色文字「F」を印刷したラベルL1を大帯T5に貼付し、図4(b)に示すように、処理装置本体10から受取った損券の銀行券把P4には赤色文字「U」を印刷したラベルL2を大帯T5に貼付する。
【0031】
包装装置30は、10把結束装置20から送られる銀行券束を包装する包装部31、および、包装された銀行券束を排出する束排出口32、および、銀行券束を搬送する搬送路35から構成される。
【0032】
また、包装装置30は、束投入口33を備えた束取込部34を備えていて、操作者の手操作により束投入口33から投入された銀行券束を束取込部34により取込み、包装部31へ搬送して包装することが可能となっている。これは、たとえば、把結束装置20の束排出口23から排出された銀行券束の包装を行なうために使用される。
【0033】
次に、上記のような構成において、第1の実施形態に係る紙葉類処理システムの動作について、図5に示す処理の流れ図および図6に示すフローチャートを参照して説明する。
【0034】
操作者は、たとえば、束単位で受入れた銀行券を開封して、処理装置本体10の供給・取込部12にセットし、図示しない操作パネル上の処理開始釦を押下する。すると、セットされた銀行券は供給・取込部12により1枚ずつ取込み、搬送されて鑑査・計数部13へ送られ(ステップS1)、ここで、真偽判定や正損判定等の鑑査が行なわれるとともに、種類ごとに計数される(ステップS2)。鑑査・計数部13での鑑査結果によって銀行券の搬送先が区分される(ステップS3〜S5)。
【0035】
たとえば、判定できなかった判定不能券などの銀行券は排除券集積部14へ搬送される(ステップS4)。真券と判定された銀行券は正券か損券に判定される。ある金融機関で使用される場合、損券と判定された銀行券は裁断部15へ搬送され、ここで裁断処理される。正券と判定された銀行券は集積部16aまたは16bへ搬送され、ここに集積される(ステップS5)。
【0036】
ある金融機関以外で使用される場合、裁断部15は使用されず、正損判定の結果によって集積部16a,16bにそれぞれ区分される。たとえば、正券と判定された銀行券は集積部16aへ搬送されて集積され、損券と判定された銀行券は集積部16bへ搬送されて集積される。
【0037】
集積部16a,16bは、それぞれ銀行券の集積枚数が100枚に達すると(ステップS6)、100枚の銀行券を集積した状態のまま一括して施封部17a,17bへ搬送する(ステップS7)。施封部17a,17bは、集積部16a,16bから100枚集積された銀行券を受取ると、小帯に施封情報(日時、正損判定結果の情報を示す文字など)を印刷した後、当該小帯により施封することで銀行券把を作成し、作成した銀行券把を把結束装置20へ搬送する(ステップS8)。その際、たとえば、把結束装置20が故障している場合、当該作成された銀行券把は把排出部19により把排出口18から外部へ排出する。
【0038】
把結束装置20では、施封部17aから受取った銀行券把を把集積部21aへ、施封部17bから受取った銀行券把を把集積部21bへ、それぞれ搬送する(ステップS9)。把集積部21a,21bは、それぞれ集積数が10把に達すると(ステップS10)、10把集積した状態のまま一括して把結束部22へ搬送する(ステップS11)。
【0039】
把結束部22は、10把集積された銀行券把を受取り、当該10把集積された銀行券把に把投入口25から投入された銀行券把が含まれているか否かを判定し(ステップS12)、把投入口25から投入された銀行券把が含まれていない場合、大帯T2により結束する結束位置を通常の結束位置(図2(a)参照)に設定し(ステップS13)、把投入口25から投入された銀行券把が含まれている場合、大帯T2により結束する結束位置を小帯T1から一定距離L離れた位置(図2(b)参照)に設定する(ステップS14)。
【0040】
次に、把結束部22は、把集積部21a(21b)から送られた10把集積された銀行券把を設定された結束位置で大帯T2により結束することで銀行券束を作成し(ステップS15)、作成した銀行券束を包装装置30へ搬送する(ステップS16)。
【0041】
なお、ステップS12における把投入口25から投入された銀行券把が含まれているか否かの判定は、一例として、把投入口25から投入した銀行券把を処理する場合、あらかじめ操作者により図示しない操作パネルなどによりその旨の条件が設定されるようになっているので、その設定内容により判定することが考えられる。
【0042】
包装装置30では、把結束装置20から受取った銀行券束を順次、包装部31へ搬送する。包装部31は、受取った銀行券束を順次、透明フィルムでシュリンク包装して束排出口32から外部へ排出する(ステップS17)。束排出口32から排出される包装済み束は、籠などで受ける運用が行なわれる。
【0043】
このように、第1の実施形態によれば、処理装置本体10から受取った銀行券把(連続した自動機械処理で作成された銀行券把)P1を10把結束する場合と、把投入口25から投入された銀行券把(なんらか人手による扱いが発生していると思われる銀行券把)P2を10把結束する場合とによって、10把結束する大帯T2の位置を変更する。これにより、連続した自動機械処理で作成された包装済み銀行券束と、そうでない包装済み銀行券束(なんらかの人手による扱いが発生した銀行券束)との判別が容易に可能となる。
【0044】
次に、第2の実施形態に係る紙葉類処理システムの動作について、図5に示す処理の流れ図および図7に示すフローチャートを参照して説明する。
なお、ステップS1〜S11およびステップS16〜S17の処理は、前述した第1の実施形態(図6)と同様であるので説明は省略し、異なる部分(ステップS18〜S21)だけ説明する。
【0045】
把結束部22は、ステップS11で把集積部21a(21b)から送られる10把集積された銀行券把を受取ると、当該10把集積された銀行券把は正券か損券かを判定し(ステップS18)、正券の場合は結束する大帯を青色の大帯T3(図3(a)参照)に設定し(ステップS19)、損券の場合は結束する大帯を赤色の大帯T4(図3(b)参照)に設定する(ステップS20)。
【0046】
次に、把結束部22は、把集積部21a(21b)から送られた10把集積された銀行券把を設定された色の大帯T3またはT4により結束することで銀行券束を作成し(ステップS21)、作成した銀行券束を包装装置30へ搬送する(ステップS16)。
【0047】
なお、ステップS18における正券か損券かの判定は、一例として、把集積部21aには正券の銀行券把が集積され、把集積部21bには損券の銀行券把が集積されるので、10把集積された銀行券把が送られてきた把集積部を知ることにより判定することが考えられる。
【0048】
このように、第2の実施形態によれば、処理装置本体10から受取った正券の銀行券把P3には青色の大帯T3で結束し、処理装置本体10から受取った損券の銀行券把P4には赤色の大帯T4で結束する。これにより、包装装置30からの排出後に混在となる正券の包装済み銀行券束と損券の包装済み銀行券束との判別が、大帯を一瞥するだけで容易に可能となる。
【0049】
次に、第3の実施形態に係る紙葉類処理システムの動作について、図5に示す処理の流れ図および図8に示すフローチャートを参照して説明する。
なお、ステップS1〜S11およびステップS16〜S18の処理は、前述した第2の実施形態(図7)と同様であるので説明は省略し、異なる部分(ステップS22〜S24)だけ説明する。
【0050】
把結束部22は、ステップS11で把集積部21a(21b)から送られる10把集積された銀行券把を受取ると、当該10把集積された銀行券把は正券か損券かを判定し(ステップS18)、正券の場合はラベルの印刷文字を青色(図4(a)参照)に設定し(ステップS22)、損券の場合はラベルの印刷文字を赤色(図4(b)参照)に設定する(ステップS23)。
【0051】
次に、把結束部22は、把集積部21a(21b)から送られた10把集積された銀行券把を大帯T5により結束することで銀行券束を作成するとともに、作成した銀行券束の大帯T5に設定された色の文字を印刷したラベルL1またはL2を貼付し(ステップS24)、当該銀行券束を包装装置30へ搬送する(ステップS16)。
【0052】
このように、第3の実施形態によれば、処理装置本体10から受取った正券の銀行券把P3には青色文字「F」を印刷したラベルL1を大帯T5に貼付し、処理装置本体10から受取った損券の銀行券把P4には赤色文字「U」を印刷したラベルL2を大帯T5に貼付する。これにより、包装装置30からの排出後に混在となる正券の包装済み銀行券束と損券の包装済み銀行券束との判別が、大帯を一瞥するだけで容易に可能となる。
【0053】
次に、第4の実施形態に係る紙葉類処理システムの動作について、図5に示す処理の流れ図および図9に示すフローチャートを参照して説明する。
なお、ステップS1〜S11およびステップS13〜S17の処理は、前述した第1の実施形態(図6)と同様であるので説明は省略し、異なる部分(ステップS25)だけ説明する。
【0054】
把結束部22は、ステップS11で把集積部21a(21b)から送られる10把集積された銀行券把を受取ると、当該10把集積された銀行券把にジャム処理の発生した銀行券把が含まれているか否かを判定し(ステップS25)、ジャム処理の発生した銀行券把が含まれていない場合、大帯T2により結束する結束位置を通常の結束位置(第1の実施形態と同様、図2(a)参照)に設定し(ステップS13)、ジャム処理の発生した銀行券把が含まれている場合、大帯T2により結束する結束位置を小帯T1から一定距離L離れた位置(第1の実施形態と同様、図2(b)参照)に設定する(ステップS14)。
【0055】
次に、把結束部22は、把集積部21a(21b)から送られた10把集積された銀行券把を設定された結束位置で大帯T2により結束することで銀行券束を作成し(ステップS15)、作成した銀行券束を包装装置30へ搬送する(ステップS16)。
【0056】
なお、ステップS25におけるジャム処理の発生した銀行券把が含まれているか否かの判定は、一例として、処理装置本体10の搬送路19において銀行券のジャムが発生した場合、ジャム検出手段により検出され、処理装置本体10は動作を停止してジャム処理待ち状態となるので、このようなジャムが発生した場合、10把集積された銀行券把にジャム処理の発生した銀行券把が含まれているものと判定する。
【0057】
次に、第4の実施形態におけるジャム処理に係る処理の流れについて、図10に示すフローチャートを参照して説明する。
【0058】
たとえば、処理装置本体10の搬送路19において銀行券のジャムが発生した場合、図示しないジャム検出手段により検出され(ステップS31)、処理装置本体10は動作を停止されてジャム処理待ち状態に設定され、ジャムが発生したことが操作員に報知される(ステップS32)。
【0059】
ジャムが発生すると、操作員は、各部(搬送路19および集積部16a,16b等)から銀行券を全て取出し(ステップS33)、その後、図示しない操作パネル上の初期化釦を押下することにより初期化する(ステップS34)。
【0060】
初期化されると、集積部16a,16bへ戻す銀行券(ジャムが発生する前まで正常に処理された銀行券)の枚数が図示しない操作パネル上に表示される(ステップS35)。これを目視した操作員は、ステップS33で取出した銀行券から、ステップS35で表示された枚数分の銀行券を集積部16a,16bへ戻し(ステップS36)、その後、図示しない操作パネル上のジャム処理確認釦を押下することによりジャム処理待ち状態をクリアする(ステップS37)。ジャム処理待ち状態がクリアされると、図9のステップS1に進み、前述同様な動作を行なう。
【0061】
このように、第4の実施形態によれば、10把集積された銀行券把にジャム処理の発生した銀行券把が含まれている場合、10把結束する大帯の位置を変更することにより、ジャム処理の発生した銀行券把が含まれる包装済み銀行券束(ジャムが発生しない状態で作成された包装済み銀行券束よりも枚数の過不足発生の可能性が高い)と、そうでない包装済み銀行券束との判別が容易に可能となる。
【0062】
なお、10把結束する大帯の位置を変更する代りに、たとえば、第2の実施形態と同様に10把結束する大帯の色を変更するようにしてもよい。
【0063】
以上述べた少なくとも1つの実施形態の紙葉類処理システムによれば、連続した自動機械処理で作成される銀行券束と、そうでない銀行券束(なんらかの人手による扱いが発生した銀行券束)によって、10把結束する大帯の位置を変更することで、両銀行券束の判別が容易に可能となる。
【0064】
これにより、鑑査済みの銀行券束に枚数の過不足が発生していないかを確認する必要が生じた場合、包装済み銀行券束の中から自動機械処理で作成された包装済み銀行券束以外の包装済み銀行券束の抽出が容易に可能となる。
【0065】
したがって、たとえば、なんらかの人手による処理が行なわれた包装済み銀行券束(連続した自動機械処理で作成された包装済み銀行券束よりも枚数の過不足発生の可能性が高い)に確認の範囲が限定できるため、大幅に確認作業が軽減される。
また、その確認対象となる包装済み銀行券束の抽出作業も、包装済み銀行券束を一瞥するだけで容易に可能となる。
【0066】
また、正券と損券によって10把結束する大帯の色を変更するか、あるいは、10把結束する大帯に貼るラベルの印刷内容を変更することで、包装装置からの排出後に混在となる正券の包装済み銀行券束と損券の包装済み銀行券束との判別が、大帯を一瞥するだけで容易に可能となる。そのため、小帯に印刷される正損区分の文字を見て判別する従来の区分け作業に比べ、大幅に作業が軽減される。また、区分けを間違えた際にも発見が容易となる。
【0067】
さらに、10把集積された銀行券把にジャム処理の発生した銀行券把が含まれている場合、10把結束する大帯の位置を変更することで、ジャム処理の発生した銀行券把が含まれる包装済み銀行券束と、そうでない包装済み銀行券束との判別が容易に可能となる。
【0068】
これにより、鑑査済みの銀行券束に枚数の過不足が発生していないかを確認する必要が生じた場合、たとえば、人手による処理が行なわれたジャム処理の発生した銀行券把が含まれる包装済み銀行券束(ジャムが発生しない状態で作成された包装済み銀行券束よりも枚数の過不足発生の可能性が高い)に確認の範囲が限定できるため、大幅に確認作業が軽減される。
なお、前記実施形態では、紙葉類が銀行券の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、たとえば、小切手やその外の有価証券などであっても同様に適用可能である。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0070】
10…処理装置本体、20…把結束装置、30…包装装置、11…銀行券投入口、12…供給・取込部、13…鑑査・計数部、14…排除券集積部、15…裁断部、16a,16b…集積部、17a,17b…施封部、21a,21b…把集積部、22…把結束部、25…把投入口、26…把取込部、31…包装部、32…束排出口、33…束投入口、34…束取込部、19,28,35…搬送路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給部にセットされた紙葉類を1枚ずつ取込む取込手段と、
この取込手段により取込まれた紙葉類を鑑査する鑑査手段と、
この鑑査手段の鑑査結果に基づき前記紙葉類を種類ごとに区分して集積する集積手段と、
この集積手段により集積された紙葉類を所定枚数ごとに施封することにより紙葉類把を作成する施封手段と、
この施封手段により作成された紙葉類把を所定数ごとに帯で結束することにより紙葉類束を作成する結束手段と、
この結束手段において紙葉類把を所定数ごとに結束する帯の結束方式を、あらかじめ設定された条件によって変更する結束方式変更手段と、
を具備したことを特徴とする紙葉類処理システム。
【請求項2】
前記結束手段は、外部から供給される紙葉類把を受入れる把受入手段を有し、前記施封手段により作成された紙葉類把あるいは前記把受入手段により受入れた紙葉類把を所定数ごとに帯で結束することにより紙葉類束を作成し、
前記結束方式変更手段におけるあらかじめ設定された条件とは、前記施封手段により作成された紙葉類把を結束する場合と、前記把受入手段により受入れた紙葉類把を結束する場合である請求項1記載の紙葉類処理システム。
【請求項3】
前記結束方式変更手段は、あらかじめ設定された条件によって帯の結束位置、帯の色、帯に貼付するラベルの印刷内容のうち少なくとも1つを変更することを特徴とする請求項1記載の紙葉類処理システム。
【請求項4】
供給部にセットされた紙葉類を1枚ずつ取込む取込手段と、
この取込手段により取込まれた紙葉類を1枚ずつ搬送する搬送手段と、
この搬送手段により搬送される紙葉類を鑑査する鑑査手段と、
この鑑査手段の鑑査結果に基づき、前記搬送手段により搬送される紙葉類を種類ごとに区分して集積する集積手段と、
この集積手段により集積された紙葉類を所定枚数ごとに施封することにより紙葉類把を作成する施封手段と、
この施封手段により作成された紙葉類把を所定数ごとに帯で結束することにより紙葉類束を作成する結束手段と、
この結束手段において紙葉類把を所定数ごとに帯で結束する際、当該紙葉類把に前記搬送手段において紙葉類のジャム処理が発生した紙葉類把が含まれているか否かを判定する判定手段と、
この判定手段の判定結果に基づき前記結束手段において紙葉類把を所定数ごとに結束する帯の結束方式を変更する結束方式変更手段と、
を具備したことを特徴とする紙葉類処理システム。
【請求項5】
前記結束方式変更手段は、前記判定手段の判定結果に基づき前記結束手段における帯の結束位置あるいは帯の色を変更することを特徴とする請求項4記載の紙葉類処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−25322(P2013−25322A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156001(P2011−156001)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】