説明

紙葉類処理装置および紙葉類処理方法

【課題】チェックライターのインク切れなどで有価証券の表面の刻み文字がかすれている場合や文字が全く印字されていない場合などでも、紙葉類の表面に印字された文字を確実に認識すること。
【解決手段】紙葉類処理装置は、有価証券などの紙葉類の表面に印字された文字を認識する。紙葉類処理装置は、紙葉類の裏面を読み取って画像データを生成する裏面情報読取手段22と、裏面情報読取手段22によって読み取られた紙葉類の裏面の画像データを処理して画像処理データを生成する画像処理手段15と、画像処理データに基づいて、紙葉類の表面に印字された文字を認識する認識手段19と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類の表面に印字された文字を確実に認識する紙葉類処理装置および紙葉類処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類の金額を読取るOCRと、OCRで金額を読取れなかった時にOCRで読取った金額欄の画像を表示する表示装置と、この表示装置を見て金額を手入力するキーボードと、OCRより下流側にありOCRで読取った金額あるいはキーボードで入力された金額をMICR印字するMICRプリンタと、このMICRプリンタでMICR印字した手形・小切手の画像をマイクロフィルムに撮影する光学系とを備えた装置が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−297469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来技術では、チェックライターによる刻み文字のインク切れなどで有価証券の表面の文字がかすれている場合や文字が全く印字されていない場合などでOCRによって紙葉類の表面に印字された金額などが読取られなかったときには、操作者が、表示装置による表示に基づいてキーボードで金額などを入力して修正する必要がある。このため、操作者が読み取りミスをしたり入力ミスをしたりして、入力されたデータ(認識データ)に誤りが含まれる可能性がある。また、OCRで読み取れない紙葉類の量が多くなると、操作者が入力する頻度が多くなり、手間が非常にかかってしまい、作業効率が悪くなってしまう。
【0004】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、チェックライターのインク切れなどで有価証券の表面の刻み文字がかすれている場合や文字が全く印字されていない場合などでも、紙葉類の表面に印字された文字を確実に認識することができ、ひいては、操作者の読取ミスや入力ミスなどによって認識データに誤りが発生することを防止したり、作業効率を向上させたりすることができる紙葉類処理装置および紙葉類処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による紙葉類処理装置は、
紙葉類の表面に印字された文字を認識する紙葉類処理装置において、
紙葉類の裏面を読み取って画像データを生成する裏面情報読取手段と、
前記裏面情報読取手段によって読み取られた紙葉類の裏面の画像データを処理して画像処理データを生成する画像処理手段と、
画像処理データに基づいて、紙葉類の表面に印字された文字を認識する認識手段と、
を備えている。
【0006】
本発明による紙葉類処理装置において、
紙葉類の表面の画像を読み取って画像データを生成する表面情報読取手段と、
前記裏面情報読取手段によって生成された紙葉類の裏面の画像データ、または、前記表面情報読取手段によって生成された紙葉類の表面の画像データのいずれか一方を反転させる反転手段と、をさらに備え、
前記画像処理手段は、前記表面情報読取手段によって生成された紙葉類の表面の画像データを処理して画像処理データを生成し、
前記認識手段は、前記反転手段によって反転させた一の画像処理データと、前記反転手段によって反転させていない他の画像処理データに基づいて、紙葉類の表面に印字された文字を認識することが好ましい。
【0007】
本発明による紙葉類処理装置において、
前記認識手段は、一の画像処理データと他の画像処理データとを足し合わせて生成された合成画像情報に基づいて、紙葉類に印字された文字を認識することが好ましい。
【0008】
本発明による紙葉類処理装置において、
前記認識手段は、一の画像処理データと他の画像処理データの重複部分のみから生成された合成画像情報に基づいて、紙葉類に印字された文字を認識することが好ましい。
【0009】
本発明による紙葉類処理装置において、
前記画像処理手段は、裏面および表面の画像データを2値化して2値画像データを生成する2値化手段からなり、
前記2値化手段は、裏面の画像データを2値化して2値画像データを生成するときに、表面の画像データを2値化して2値画像データを生成するときと比較して低い閾値を用いることが好ましい。
【0010】
本発明による紙葉類処理装置において、
前記裏面情報読取手段によって生成された紙葉類の裏面の画像データを反転させる反転手段をさらに備えたことが好ましい。
【0011】
本発明による紙葉類処理装置において、
前記裏面情報読取手段によって生成された紙葉類の裏面の画像データの文字の輪郭を強調する補正手段をさらに備えたことが好ましい。
【0012】
本発明による紙葉類処理方法は、
紙葉類の表面に印字された文字を認識する紙葉類処理方法において、
紙葉類の裏面の画像情報を読み取って画像データを生成する裏面情報読取工程と、
前記裏面情報読取手段によって読み取られた紙葉類の裏面の画像データを2処理して画像処理データを生成する画像処理工程と、
画像処理データに基づいて、紙葉類の表面に印字された文字を認識する認識工程と、
を備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、裏面情報読取手段によって読み取られた紙葉類の裏面の画像データを処理した画像処理データに基づいて、紙葉類の表面に印字された文字を認識するので、チェックライターのインク切れなどで有価証券の表面の刻み文字がかすれている場合や文字が全く印字されていない場合などでも、紙葉類の表面に印字された文字を確実に認識することができる。このため、操作者の読取ミスや入力ミスなどによって認識データに誤りが発生することを防止することができ、また、作業効率も向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態
以下、本発明に係る紙葉類処理装置および紙葉類処理方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図6は本発明の実施の形態を示す図である。
【0015】
図2に示すように、紙葉類処理装置は、小切手や手形などの有価証券を配置して収容するホッパ1(図1参照)と、ホッパ1内の有価証券を筐体5内に繰り出す繰出ローラ2と、繰出ローラ2によって繰り出された有価証券を搬送する搬送路30と、を備えている。なお、本実施の形態においては、紙葉類の一例として有価証券(小切手や手形など)を用いて説明するが、これに限られるものではない。
【0016】
図2に示すように、搬送路30には、有価証券の画像を読み取って認識する読取・認識部10が設けられ、この読取・認識部10の下流側には、有価証券を一時的に保留する一時保留部40が設けられている。また、読取・認識部10と一時保留部40との間には、有価証券に管理通番や日付等を印刷するエンドーサ50が設けられている。
【0017】
なお、この読取・認識部10は、図3に示すように、有価証券の表面の画像を読み取って画像データを生成する表面情報読取手段21と、有価証券の裏面の画像を読み取って画像データを生成する裏面情報読取手段22と、を有している。なお、表面情報読取手段21と裏面情報読取手段22によって読み取られた有価証券の画像データは、後述する格納部80(図2参照)に格納される。
【0018】
また、図3に示すように、読取・認識部10は、表面情報読取手段21によって読み取られて生成された有価証券の表面の画像データと裏面情報読取手段22によって読み取られて生成された有価証券の裏面の画像データを、格納部80から読み出してガンマ補正することによって文字の輪郭を強調するガンマ補正手段(補正手段)14と、このようにガンマ補正された有価証券の表面と裏面の画像データを2値化して、画像処理データである2値化画像データを生成する2値化手段(画像処理手段)15と、を有している。
【0019】
なお、2値化手段15は、裏面の画像データを2値化して2値画像データを生成するときに、表面の画像データを2値化して2値画像データを生成するときと比較して低い閾値を用いるように構成されている。
【0020】
さらに、図3に示すように、読取・認識部10は、有価証券の裏面の2値化画像データを反転させる反転手段13と、反転された有価証券の裏面の2値化画像データと反転されていない有価証券の表面の2値画像データに基づいて、有価証券の表面に印字された文字を認識する認識手段19も有している。なお、この認識手段19は、OCR(Optical Character Reader)などのような文字認識機能によって有価証券の表面に印字された文字を認識する。
【0021】
また、認識手段19は、有価証券の裏面の2値画像データと有価証券の表面の2値画像データとを足し合わせて生成された合成画像情報(具体的には、印字された文字のデータ情報)に基づいて、有価証券に印字された文字を認識することもできるし、有価証券の裏面の2値画像データと有価証券の表面の2値画像データの重複部分のみから生成された合成画像情報に基づいて、有価証券に印字された文字を認識することもできるように構成されている。
【0022】
また、図2に示すように、一時保留部40の下流側であって搬送路30の終端には、有価証券を収容する三つのスタッカ60が設けられている。なお、各スタッカ60の上流側には、有価証券に駆動力を付与する収納ローラ61が設けられている。ところで、本実施の形態ではスタッカ60が三つ設けられている態様を用いて説明するが、これに限られることはない。
【0023】
また、図2に示すように、搬送路30は、読取・認識部10の下流側で一時保留部40とは異なる方向に分岐されており、この分岐された搬送路30の終端には、入金処理が正常に行えなかった有価証券が返却されたり、入金処理が正常に行えた場合であっても定形外の特殊形状からなる有価証券などの所定の有価証券が排出されたりするリジェクト・排出部120が設けられている(図1参照)。なお、リジェクト・排出部120の上流側には、有価証券に駆動力を付与する排出ローラ121が設けられている。
【0024】
また、図2に示すように、紙葉類処理装置は、各種プログラムが格納された格納部80と、この格納部80内のプログラムに従って紙葉類処理装置の処理動作を制御する主制御部70と、を有している。なお、格納部80は、表面情報読取手段21および裏面情報読取手段22によって読み取られて生成された有価証券の画像データと、認識手段19によって認識されて生成された認識データも格納している。
【0025】
また、図2に示すように、紙葉類処理装置は、格納部80に格納された認識データを修正する修正部90と、修正された認識データを承認して入金処理データとして生成する承認部100と、機内に取り込んだ有価証券をスタッカ60に収納するか、リジェクト・排出部120に排出するかを外部からの情報に基づいて選択する収納・排出選択部110と、を有している。
【0026】
また、図1および図2に示すように、紙葉類処理装置は、認識データを確認したり修正したりする際に、有価証券の画像データと認識データとを表示することができる表示部140と、修正部90に認識データの修正に関する情報を入力することができる操作部150と、外部機器との間の指示情報、データ情報などの送受信を行う送受信部160(図2参照)と、を有している。なお、筐体5の前方面には、図1および図2に示すように、入金処理が正常に終了した定形外の特殊形状からなる有価証券を収納するための定形外収納部130が設けられている。
【0027】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
【0028】
まず、ホッパ1内に小切手や手形などの有価証券が配置されて収容される(図1および図2参照)。
【0029】
次に、繰出ローラ2によって、ホッパ1内の有価証券が筐体5内に繰り出されて、搬送路30に沿って搬送される(図2参照)。以下、一枚の有価証券についての処理態様について説明する。
【0030】
次に、搬送路30に沿って搬送された有価証券が読取・認識部10に達すると、この読取・認識部10において有価証券の表面に印字された文字が認識される(図2および図3参照)。
【0031】
具体的には、まず、表面情報読取手段21によって有価証券の表面の画像が読み取られて画像データが生成され(表面情報読取工程81)(図3乃至図5参照)、裏面情報読取手段22によって有価証券の裏面の画像が読み取られて画像データが生成される(裏面情報読取工程82)(図3乃至図5参照)。そして、このようにして生成された有価証券の画像データは、格納部80内に格納される。
【0032】
次に、読取・認識部10によって、格納部80内に格納された有価証券の表面と裏面の画像データが読み出される。なお、図6(a)は、格納部80から読み出された有価証券の裏面の画像データを示している。
【0033】
次に、反転手段13によって、有価証券の裏面の画像データが反転される(反転工程83)(図3乃至図5参照)。なお、図6(b)は、反転された有価証券の裏面の画像データを示している。
【0034】
次に、有価証券の表面の画像データと裏面の画像データの両方がガンマ補正される(ガンマ補正工程84)(図3乃至図5参照)。なお、図6(c)は、ガンマ補正された有価証券の裏面の画像データを示している。
【0035】
次に、2値化手段15によって、ガンマ補正された有価証券の表面の画像データと裏面の画像データが2値化されて2値化画像データが生成される(2値化工程(画像処理工程)85)(図3乃至図5参照)。なお、図6(d)は、2値化された有価証券の裏面の画像データを示している。
【0036】
次に、認識手段19によって、反転させた有価証券の裏面の2値化画像データと、反転させていない有価証券の表面の2値画像データに基づいて、有価証券の表面に印字された文字が認識され、認識された認識データが格納部80内に格納される(認識工程89)(図2乃至図5参照)。
【0037】
このとき、認識手段19は、有価証券の裏面の2値画像データと有価証券の表面の2値画像データとを足し合わせて生成された合成画像情報に基づいて、有価証券の表面に印字された文字を認識してもよいし(OR処理工程87a)(図4参照)、有価証券の裏面の2値画像データと有価証券の表面の2値画像データの重複部分のみから生成された合成画像情報に基づいて、有価証券の表面に印字された文字を認識してもよい(AND処理工程87b)(図5参照)。
【0038】
より具体的には、操作者は、操作部150から入力することによって、有価証券の裏面の2値画像データと有価証券の表面の2値画像データとを足し合わせて生成された合成画像情報に基づいて有価証券の表面に印字された文字を認識するか、有価証券の裏面の2値画像データと有価証券の表面の2値画像データの重複部分のみから生成された合成画像情報に基づいて有価証券の表面に印字された文字を認識するか、を適宜選択することができる。
【0039】
このため、操作者は、認識手段19による認識性を高めて処理効率を高めたい場合には、有価証券の裏面の2値画像データと有価証券の表面の2値画像データとを足し合わせて生成された合成画像情報に基づいて有価証券に印字された文字を認識する態様を用いればよく、他方、認識手段19による認識の正確性を高めたい場合には、有価証券の裏面の2値画像データと有価証券の表面の2値画像データの重複部分のみから生成された合成画像情報に基づいて有価証券に印字された文字を認識する態様を用いればよい。
【0040】
なお、有価証券の表面に文字が明瞭に印字されている場合には、有価証券の表面の画像データを2値化した2値化データによって、認識手段19は有価証券の表面の文字を認識することはできる。
【0041】
しかしながら、チェックライターのインク切れなどで有価証券の表面の刻み文字がかすれている場合や、文字が全く印字されていない場合などでは、文字の部分の濃度が2値化の閾値以下となってしまうので、有価証券の表面の画像データを2値化しても文字の部分が白くなってしまう。このため、認識手段19は有価証券の表面の文字を認識することができない。
【0042】
一般的に、有価証券の表面に文字が印字される(印字されようとする)際には、文字の部分が押圧されて凹み、裏面に文字に対応した凸部が形成されることとなる。このため、裏面の画像データを2値化して2値画像データを生成するときに、表面の画像データを2値化して2値画像データを生成するときと比較して低い閾値を用いて裏面の画像データを2値化することによって、凸部の影などから有価証券の表面に印字された(印字されようとした)文字を2値化の際に黒色とすることができる(図6(d)参照)。このため、認識手段19は、チェックライターのインク切れなどで有価証券の表面の刻み文字がかすれている場合や文字が全く印字されていない場合などであっても関係なく、有価証券の表面に印字された文字を確実に認識することができる。
【0043】
なお、上述のように裏面の画像データを2値化する際に閾値を低くすることができるのは、一般的に、有価証券の裏面側の背景色は白や表面に比べて薄い色が用いられており、2値化の際の閾値を低くしても、余分な柄などが黒色として判断されることがないためである。
【0044】
上述のような工程が行われている間に読取・認識部10の表面情報読取手段21と裏面情報読取手段22との間を通過した有価証券は、一時保留部40へと搬送される(図2参照)。
【0045】
以上が、一枚の有価証券についての処理態様である。上述した各工程は、ホッパ1に収容された有価証券の全てが処理され、ホッパ1が空になるまで繰り返される。
【0046】
ホッパ1内の有価証券が全て処理されると、操作者が操作部150から入力することによって、画像データと認識データとが、表示部140に表示される(図1および図2参照)。そして、操作者は、画像データと認識データとを比較し、認識データが誤っている場合や認識データで認識されていない項目がある場合などには、操作部150から正しいデータを入力する。そして、操作部150からの入力を受けた修正部90が、格納部80に格納された認識データを修正する。
【0047】
他方、認識データが画像データと一致して正しい場合や、認識データを修正したことによってこの認識データが画像データと一致するようになった場合には、操作者は承認する旨の入力を操作部150から行う(図1および図2参照)。そして、操作部150からの入力を受けた承認部100は、対象となっている認識データを承認して、入金処理データとして送受信部160により現金処理機(図示せず)に送信させる。
【0048】
なお、本実施の形態によれば、上述のように認識手段19によって、反転させた有価証券の裏面の2値化画像データと、反転させていない有価証券の表面の2値画像データに基づいて、有価証券の表面に印字された文字が認識される。このため、有価証券の表面に印字された文字(印字されようとした文字)が確実に認識されるので、認識データが画像データと一致していない確率を格段に減少させることができる。このため、認識データを修正する作業を行う機会を減らすことでき、操作者の読取ミスや入力ミスなどによって認識データに誤りが発生することを防止することができる。また、このように認識データを修正する作業を行う機会を減らすことできるので、作業効率を向上させることもできる。
【0049】
特に、有価証券の裏面の2値画像データと有価証券の表面の2値画像データとを足し合わせて生成された合成画像情報に基づいて有価証券の表面に印字された文字を認識する態様を用いた場合(OR処理工程87aを用いた場合)(図4参照)には、認識データにおける文字の認識抜けを防止することができ、作業効率を向上させることができる。他方、有価証券の裏面の2値画像データと有価証券の表面の2値画像データの重複部分のみから生成された合成画像情報に基づいて有価証券の表面に印字された文字を認識する態様を用いた場合(AND処理工程87bを用いた場合)(図5参照)には、認識データに余分な情報が含まれることを防止することができ、認識データの正確性を高めることができる。
【0050】
そして、現金処理機において入金処理が正常に終了すると、現金処理機から入金処理データの送受信部160に格納指示が送信される。そして、紙葉類処理装置の送受信部160が現金処理機からの格納指示を受信すると、入金処理データが格納部80内に格納される(図2参照)。
【0051】
その後、処理対象となっている有価証券は、搬送路30を搬送されて、エンドーサ50で管理通番、日付などが印字された後、所定のスタッカ60まで搬送される(図2参照)。
【0052】
他方、現金処理機において入金処理が正常に行えない場合には、処理対象となっている有価証券は、リジェクト・排出部120まで搬送される(図2参照)。なお、入金処理が正常に行えた場合であっても、定形外の特殊形状からなる有価証券などの所定の有価証券はリジェクト・排出部120まで搬送されることとなる。また、このように有価証券がリジェクト・排出部120に搬送される場合であっても、入金処理が正常に行えたときには、エンドーサ50で管理通番、日付などが印字される。
【0053】
ここで、有価証券がスタッカ60へ搬送されるか、リジェクト・排出部120へ搬送されるかは、収納・排出選択部110によって選択されて指示される(図2参照)。
【0054】
ところで上記では、認識手段19が、有価証券の裏面と表面の画像データに基づいて、有価証券の表面に印字された文字を認識する態様を用いて説明した。しかしながら、これに限られることなく、認識手段19は、有価証券の裏面の画像データのみに基づいて、有価証券の表面に印字された文字を認識してもよい。なお、この場合には、表面情報読取手段21を設けなくてもよく、紙葉類処理装置の製造コストを低くすることができる。
【0055】
このように有価証券の裏面の画像データのみに基づいて有価証券の表面に印字された文字が認識される態様を用いた場合であっても、上述のように、低い閾値を用いて裏面の画像データを2値化することによって、凸部に起因する影などから有価証券の表面に印字された(印字されようとした)文字を2値化の際に黒色とすることができるので、認識手段19は、チェックライターのインク切れなどで有価証券の表面の刻み文字がかすれている場合や文字が全く印字されていない場合などであっても関係なく、有価証券の表面に印字された文字を認識することができる(図6(d)参照)。
【0056】
なお、有価証券の裏面と表面の両画像データに基づいて、有価証券の表面に印字された文字を認識する方が、より確実に有価証券の表面に印字された文字を認識することができることは、言うまでもない。
【0057】
また、上記では、反転工程83、ガンマ補正工程84、2値化工程85を順次行う態様を用いて説明したが、これに限られることなく、例えば、ガンマ補正工程84、2値化工程85、反転工程83を順番に行ってもよいし、ガンマ補正工程84、反転工程83、2値化工程85を順番に行ってもよい。
【0058】
さらに、上記では、画像処理をする際にガンマ補正した後、2値化する態様を用いて説明したが、これに限られることなく、Pタイル法、モード法、判別分析2値化法など、公知の方法によって2値化を最適化して、画像処理を行うことができる。
【0059】
ところで、本実施の形態では、操作者が、画像データと認識データとを比較して、画像データと認識データとが一致している場合に承認する態様を用いて説明したが、これに限られることなく例えば、読取・認識部10が、画像データと認識データとを比較するとともに、画像データと認識データとが一致している場合には自動的に承認するようにしてもよい。この場合には、作業効率をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態による紙葉類処理装置を示す斜視図。
【図2】本発明の実施の形態による紙葉類処理装置を示す側方断面図。
【図3】本発明の実施の形態による紙葉類処理装置の読取・認識部を示す構成図。
【図4】本発明の実施の形態による紙葉類処理方法の一つを示すフロー図。
【図5】本発明の実施の形態による紙葉類処理方法の別の一つを示すフロー図。
【図6】本発明の実施の形態による紙葉類処理装置によって読取・認識された小切手を示す写真図。
【符号の説明】
【0061】
10 読取・認識部
13 反転手段
14 ガンマ補正手段(補正手段)
15 2値化手段(画像処理手段)
19 認識手段
21 表面情報読取手段
22 裏面情報読取手段
30 搬送路
81 表面情報読取工程
82 裏面情報読取工程
83 反転工程
84 ガンマ補正工程
85 2値化工程(画像処理工程)
87a OR処理工程
87b AND処理工程
89 認識工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類の表面に印字された文字を認識する紙葉類処理装置において、
紙葉類の裏面を読み取って画像データを生成する裏面情報読取手段と、
前記裏面情報読取手段によって読み取られた紙葉類の裏面の画像データを処理して画像処理データを生成する画像処理手段と、
画像処理データに基づいて、紙葉類の表面に印字された文字を認識する認識手段と、
を備えたことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
紙葉類の表面の画像を読み取って画像データを生成する表面情報読取手段と、
前記裏面情報読取手段によって生成された紙葉類の裏面の画像データ、または、前記表面情報読取手段によって生成された紙葉類の表面の画像データのいずれか一方を反転させる反転手段と、をさらに備え、
前記画像処理手段は、前記表面情報読取手段によって生成された紙葉類の表面の画像データを処理して画像処理データを生成し、
前記認識手段は、前記反転手段によって反転させた一の画像処理データと、前記反転手段によって反転させていない他の画像処理データに基づいて、紙葉類の表面に印字された文字を認識することを特徴とする請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記認識手段は、一の画像処理データと他の画像処理データとを足し合わせて生成された合成画像情報に基づいて、紙葉類に印字された文字を認識することを特徴とする請求項2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記認識手段は、一の画像処理データと他の画像処理データの重複部分のみから生成された合成画像情報に基づいて、紙葉類に印字された文字を認識することを特徴とする請求項2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
前記画像処理手段は、裏面および表面の画像データを2値化して2値画像データを生成する2値化手段からなり、
前記2値化手段は、裏面の画像データを2値化して2値画像データを生成するときに、表面の画像データを2値化して2値画像データを生成するときと比較して低い閾値を用いることを特徴とする請求項2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項6】
前記裏面情報読取手段によって生成された紙葉類の裏面の画像データを反転させる反転手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項7】
前記裏面情報読取手段によって生成された紙葉類の裏面の画像データの文字の輪郭を強調する補正手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項8】
紙葉類の表面に印字された文字を認識する紙葉類処理方法において、
紙葉類の裏面の画像情報を読み取って画像データを生成する裏面情報読取工程と、
前記裏面情報読取手段によって読み取られた紙葉類の裏面の画像データを処理して画像処理データを生成する画像処理工程と、
画像処理データに基づいて、紙葉類の表面に印字された文字を認識する認識工程と、
を備えたことを特徴とする紙葉類処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−258885(P2009−258885A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105580(P2008−105580)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】