説明

紙葉類取り扱い装置、それに用いる紙葉類判別方法及び自動取引装置

【課題】紙葉類の画像の輪郭点を抽出することによって、画像処理に要する時間を短くして、多数の紙葉類の認識を短時間で正確に行うことができるようにする。
【解決手段】紙葉類の画像を所得する画像取得部11と、前記紙葉類の輪郭点を抽出する輪郭点抽出部12と、前記紙葉類の角点を検出する角点検出部13と、長手方向の角点と短手方向の角点とから仮想角点を検出する仮想角点検出部14と、前記仮想角点、長手方向の角点及び短手方向の角点を頂点とする三角形の面積を求めることによって角折れ面積又は角破れ面積を求める角折れ又は破れ面積算出部15と、前記角折れ面積又は角破れ面積を閾値と比較することによって、前記紙葉類が角折れ又は角破れ損券であることを判定する角折れ又は破れ損券判定部16とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類取り扱い装置、それに用いる紙葉類判別方法及び自動取引装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行、信用金庫、郵便局、消費者金融会社等の金融機関の支店等に配設されたATM(Automatic Teller Machine:現金自動預払機)、CD(Cash Dispenser:現金自動支払機)等の自動取引装置や両替機、また、商店や路上に配設された自動販売機等には、紙幣等の有価証券の真偽を判別したり媒体の種別を判別するための媒体認識装置が配設されている。該媒体認識装置が紙幣等の媒体の真偽を判別することによって、偽造紙幣等の不正な媒体を排除することができる。そして、種々の多様な媒体の真偽を判別することができる媒体認識装置に関する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
そして、前記媒体認識装置は、媒体の折れや破れの面積(Area)を閾(しきい)値と比較することによって損券と判断していた。
【0004】
例えば、紙幣等の媒体の角折れ面積(Area)を算出するためには、ラインセンサ等によって取り込んだ画像から取得した長手長さ(n_len)、短手長さ(m_len)及び媒体の面積(DataArea)に基づいて、次の式(1)によって算出することができる。
Area=n_len×m_len−DataArea ・・・式(1)
【特許文献1】特開平7−311867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の方法においては、ラインセンサ等によって取り込んだ画像の面積から損券を判断するようになっているので、搬送誤差によって、長手長さ、短手長さ等の算出に誤差が生じた場合、例えば、長手長さの算出が実際よりも短くなってしまった場合には、折れや破れの面積(Area)が大きくなり損券と誤判断されることがある。これを避けるためには閾値を大きめに設定しておかねばならず、高い精度で損券を判別することができなかった。
【0006】
また、従来の方法では、角の折れ又は破れなのか、長手破れ又は短手破れなのかを判断することができなかった。更には、角が折れている場合と破れている場合とで、損券と判断する基準が同一であるため、高い精度で判別することができなかった。
【0007】
本発明は、前記従来の方法の問題点を解決して、紙葉類の画像の輪郭点を抽出することによって、画像処理に要する時間を短くして、多数の紙葉類の認識を短時間で正確に行うことができる紙葉類取り扱い装置、それに用いる紙葉類判別方法及び自動取引装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の紙葉類取り扱い装置においては、紙葉類の画像を取得する画像取得部と、前記紙葉類の輪郭点を抽出する輪郭点抽出部と、前記紙葉類の角点を検出する角点検出部と、長手方向の角点と短手方向の角点とから仮想角点を検出する仮想角点検出部と、前記仮想角点、長手方向の角点及び短手方向の角点を頂点とする三角形の面積を求めることによって角折れ面積又は角破れ面積を求める角折れ又は破れ面積算出部と、前記角折れ面積又は角破れ面積を閾値と比較することによって、前記紙葉類が角折れ又は角破れ損券であることを判定する角折れ又は破れ損券判定部とを有する。
【0009】
本発明の他の紙葉類取り扱い装置においては、さらに、前記紙葉類の角折れしたと想定される部分の輝度値によって角折れ又は角破れを判定する角折れ/破れ判定部を有し、前記角折れ又は破れ損券判定部は、前記角折れ/破れ判定部の出力を受けて角折れの場合と角破れの場合とで前記閾値の値を変更し、前記紙葉類が角折れ又は角破れ損券であることを判定する。
【0010】
本発明の更に他の紙葉類取り扱い装置においては、さらに、受領した前記紙葉類が角折れ又は角破れ損券である場合に、設定に従って前記紙葉類の取り扱いを制御する入金時損券取り扱い部と、排出する前記紙葉類が角折れ又は角破れ損券である場合に、設定に従って前記紙葉類の取り扱いを制御する出金時損券取り扱い部とを有する。
【0011】
本発明の自動取引装置においては、本発明の紙葉類取り扱い装置を有し、受領した紙葉類を損券として返却する場合に、返却する理由及び対処方法を表示装置に表示する。
【0012】
本発明の紙葉類判別方法においては、紙葉類の形状を含む入力画像に対して角点の検出を行い、検出された該角点を使用して仮想角点の検出を行い、検出された前記角点及び仮想角点を使用して仮想輪郭線の検出を行い、前記仮想角点から仮想輪郭線に沿って背景出力値を持つ画素数をカウントすることによって角折れ面積を検出する。
【0013】
本発明の他の紙葉類判別方法においては、紙葉類の形状を含む入力画像に対して角点の検出を行い、検出された該角点を使用して仮想角点の検出を行い、検出された前記角点及び仮想角点を使用して仮想輪郭線の検出を行い、前記仮想角点から仮想輪郭線に沿って背景出力値を持つ画素数をカウントすることによって破れ面積を検出する。
【0014】
本発明の更に他の紙葉類判別方法においては、さらに、前記紙葉類のスキュー値に基づいてスキュー幅の検出を行い、前記角点間の輪郭線を追跡する際に、前記背景出力値を持つ画素数がスキュー幅に達した場合にはY軸又はX軸方向の座標値を1画素変化させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、紙葉類の画像の輪郭点を抽出するようになっている。そのため、画像処理に要する時間を短くして、多数の紙葉類の認識を短時間で正確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の第1の実施の形態における媒体認識装置のシステム構成を示す図である。
【0018】
図において、10は紙葉類取り扱い装置としての媒体認識装置であり、該媒体認識装置10は、自動販売機、両替機、ゲーム機等の装置に配設され、紙葉類としての媒体の大きさ、形状、姿勢等を認識するために使用される。ここで、前記媒体は、例えば、紙幣であるが、ビール券、ギフト券、商品券等の金券、トラベラーズチェック、小切手、株券等の有価証券、入場券等の施設利用券、切符、帳票、カード、通帳等であってもよく、いかなる種類のものであってもよい。
【0019】
ここで、前記媒体が紙幣である場合について説明する。この場合、前記媒体認識装置10は、媒体の頂点、すなわち、角点の位置に基づいて、媒体の大きさ、形状、姿勢等を認識することができるものであるが、さらに、認識した媒体の大きさに基づいて、該媒体の種類を判別することができるものであってもよい。例えば、該媒体が我が国の紙幣である場合、千円札、二千円札、五千円札及び一万円札の4種類の金種の紙幣について、種類を判別することができることが望ましい。さらに、前記媒体認識装置10は、外国の紙幣の真偽も判別することができるものであることが望ましい。
【0020】
そして、前記媒体認識装置10は、自動取引装置のように媒体としての紙幣を受領する装置における紙幣の搬送経路や紙幣の取り扱い装置に配設され、受領した紙幣の大きさ、形状、姿勢等を判別する。なお、前記紙幣を受領する装置は、紙幣を受領するための装置であれば、鉄道、バス等の交通機関の券売機、飲料、タバコ等の自動販売機、両替機、ゲーム機等いかなる装置であってもよいが、本実施の形態においては、銀行、信用金庫、郵便局、消費者金融会社等の金融機関の支店等の営業店や、コンビニエンスストア、スーパーマーケット等の商店の店舗に配設されているATM、CD等の自動取引装置であるものとして説明する。そして、前記紙幣を受領する装置は、前記媒体認識装置10が認識した紙幣の大きさ、形状、姿勢等に基づいて、破損した紙幣、折れ曲がった紙幣等を不正な紙幣、すなわち、損券として排除する。
【0021】
なお、前記自動取引装置は、キーボード、タッチパネル等の入力装置、CRT、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等の表示装置、利用者の音声を入力するためのマイクロホン等の音声入力装置、音声案内を出力するためのスピーカ等の音声出力装置等を備える操作部を有する。なお、利用者が操作を行い易いようにするために、前記入力装置は、表示装置の機能を兼ね備えるタッチパネルであることが望ましい。
【0022】
また、前記自動取引装置は、預金通帳等の通帳を取り扱う媒体取り扱い部としての図示されない通帳処理部を有する。ここで、前記通帳は、金融機関が発行した預金通帳等の冊子状の通帳であり、入金、出金、振り込み、振り替え、送金、定期性預金設定等の金融取引の記録が印刷されるものである。なお、前記通帳の表紙又は裏表紙には、氏名、口座番号、暗証番号等の情報を格納する磁気ストライプを備える。そして、前記通帳処理部は通帳が挿入及び排出される通帳スロットを備え、該通帳スロット内には、前記通帳を搬送する搬送装置、及び、通帳に金融取引の記録を印刷する通帳プリンタを有する。
【0023】
また、前記自動取引装置は、キャッシュカード等のカードを取り扱う媒体取り扱い部としての図示されないカード取り扱い部を有する。ここで、前記カードは、金融機関が発行した入金、出金、振り込み、残高照会等の金融取引を行うためのカードであり、氏名、口座番号、暗証番号等の情報を格納する磁気ストライプを備える。そして、前記カード取り扱い部はカードが挿入及び排出されるカードスロットを備え、該カードスロット内には、前記カードを搬送する搬送装置、及び、カードの磁気ストライプやICに格納された情報の読み取り、上書き、消去等を行うためのカードリーダ/ライタが配設される。
【0024】
さらに、前記自動取引装置は、取引明細票を発行するプリンタを有する。前記取引明細票は、入金、出金、通帳記帳、残高照会、振り込み、振り替え、送金、定期性預金設定等の金融取引に関する情報が印刷される紙片であり、口座番号、金融取引の種類、取引金額等が印刷される。
【0025】
そして、前記自動取引装置は、紙幣又は硬貨を取り扱う入出金機を有する。該入出金機は、入金等の金融取引を行う場合において利用者が貨幣受け取り口に入金した紙幣又は硬貨を受け取り、カウントするとともに、出金等の金融取引において所定金額の紙幣又は硬貨を貨幣受け取り口から払い出す。なお、該貨幣受け取り口にはシャッタが配設され、該シャッタは、紙幣又は硬貨を払い出すときに開くようになっている。
【0026】
また、前記自動取引装置は、再利用可能な紙幣又は硬貨を金種別に収納する金種別収納庫、再利用不可能な紙幣又は硬貨を収納する非循環紙幣収納庫又は非循環硬貨収納庫、入金された紙幣又は硬貨を一時的に集積する一時保留部、出金する際にリジェクト判定された紙幣又は硬貨を収納する出金リジェクト庫を有する。
【0027】
本実施の形態において、前記媒体認識装置10は、CPU、MPU等の演算手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段、通信インターフェイス等を有し、特に、媒体の4つの角点の位置をそれぞれ検出し、該角点の位置に基づいて、媒体の形状を判定するものである。ここで、前記媒体認識装置10は、機能の観点から画像取得部11、輪郭点抽出部12、角点検出部13、仮想角点検出部14、角折れ又は破れ面積算出部15及び角折れ又は破れ損券判定部16を有する。
【0028】
そして、前記画像取得部11は、図示されない媒体画像取得装置から出力された媒体の画像としてのデジタルイメージデータを取得する。前記媒体画像取得装置は、例えば、LED等の光源、レンズ、CCD(Charge Coupled Device)、ラインセンサ等の撮像手段、信号増幅手段、A/D変換手段等を備える。そして、光源の発する光を媒体に照射し、透過光をレンズによって縮小して撮像手段に結像させる。該撮像手段は、結像された媒体の透過イメージを光電変換し、アナログイメージデータとしての透過画像信号を出力する。さらに、該透過画像信号は、信号増幅手段によって増幅され、A/D変換手段によって、例えば、8〔bit〕のデジタル信号に変換され、デジタルイメージデータとして出力される。なお、該デジタルイメージデータは、画像を構成する各画素(ピクセル)が、例えば、256階調の輝度を有するデータである。そして、前記画像取得部11は、前記媒体画像取得装置が出力したデジタルイメージデータから、媒体の画像を切り出して取得するようになっている。なお、前記媒体画像取得装置は、前記媒体を透過した光でなく、前記媒体に反射された光、すなわち、反射光を撮像手段に結像するものであってもよい。この場合、該撮像手段は、結像された媒体の反射画像信号を出力する。
【0029】
そして、前記輪郭点抽出部12は、画像取得部11が取得した媒体画像の輪郭点を抽出する。また、前記角点検出部13は、角点を検出する。さらに、前記仮想角点検出部14は、角点検出部13が検出した角点の位置に基づいて、長手角点と短手角点とから角折れ又は角破れしていない本来の角点の位置を検出する。さらに、前記角折れ又は破れ面積算出部15は、仮想角点検出部14が検出した仮想角点と長手角点及び短手角点とから角折れ面積又は角破れ面積を求める。さらに、前記角折れ又は破れ損券判定部部16は、角折れ又は破れ面積算出部15の出力値とあらかじめ設定しておいた角折れ又は破れ損券閾値とを比較することによって角折れ又は破れ損券と判断する。
【0030】
次に、前記構成の媒体認識装置10の動作について説明する。
【0031】
図2は本発明の第1の実施の形態における仮想角点を抽出する動作を示す図である。
【0032】
まず、媒体が自動取引装置における媒体の挿入口から搬送経路に挿入されると、図示されない搬送装置に搬送されて媒体画像取得装置の位置に到達する。そして、該媒体画像取得装置は、撮像手段によって媒体及びその周辺のアナログイメージデータを取得し、該アナログイメージデータをA/D変換して、デジタルイメージデータとして出力する。すると、前記画像取得部11は、画像データ読み取りを行って、前記媒体画像取得装置が出力したデジタルイメージデータから、媒体領域画像を切り出して取得する。該媒体領域画像は、前記媒体のデジタルイメージデータである媒体画像、及び、該媒体画像の周辺の背景を含む画像である。
【0033】
続いて、輪郭点抽出部12は、画像データ走査を開始して、1走査毎に、すなわち、走査線1本毎に、前記媒体領域画像に含まれる画素について画素情報を読み取る。この場合、画像データ走査は、前記媒体領域画像の左上角から開始され、前記媒体領域画像の右下角で終了する。なお、前記走査の開始及び走査の終了の位置、並びに、走査の方向は適宜変更することができる。また、前記画素情報は画素の輝度である。
【0034】
そして、前記輪郭点抽出部12は、読み取った画素情報に基づいて、輪郭点抽出処理を実行する。ここで、輪郭点は、媒体画像の輪郭を示す線としての輪郭線を構成する点であり、前記媒体画像とその周辺の背景との境界となる点である。前記撮像手段が透過画像信号を出力する場合、周辺の背景に対応する画素の輝度は高く、すなわち、明るく、媒体画像に対応する画素の輝度は低く、すなわち、暗くなっている。そのため、画素の輝度が急激に変化して暗くなる位置が前記輪郭点の位置である。
【0035】
続いて、前記角点検出部13は、輪郭点抽出部12による輪郭点抽出処理の結果、輪郭点が抽出されると、抽出された輪郭点の画像データに基づいて前記媒体画像における角点を抽出するための角点判定処理を実行する。ここで、前記角点は、長方形の形状を有する媒体画像にそれぞれ位置し、媒体画像の輪郭線が折れ曲がって角を構成する位置にある輪郭線上の点である。この場合、輪郭点に対応する画素の座標を、X座標軸及びY座標軸に対し、プラスマイナス45度に傾斜した後述される2本の直線を表す方程式にそれぞれ代入して、前記2本の直線がX座標軸又はY座標軸と交差する座標値、すなわち、X切片又はY切片の値を算出する。そして、算出されたX切片又はY切片の値に基づいて、媒体画像における角点に該当する画素の座標を特定し、前記角点の位置を検出する。
【0036】
次に、前記角点検出部13が角点を認識し、例えば、いずれかの角点が認識することができない、すなわち、角折れ又は角破れが検出された場合、仮想角点検出部14は、以下のようにして仮想角点を算出する。例えば、媒体の左上が角折れしたとする。ここで、図2に示されるように、左上の長手方向の角点LT_n(LTnx、LTny)、右上の長手方向の角点RT_n(RTnx、RTny)を結ぶ直線をy=ax+b、左上の短手方向角点LT_m(LTmx、LTmy)と左下の短手方向角点LB_m(LBmx、LBmy)を結ぶ直線をy=cx+dとすると、その交点は次の式(2)及び(3)によって算出することができる。
【0037】
【数1】


なお、前記式(2)及び(3)によって算出した点が左上の仮想角点LT_v(LTvx、LTvy)である。同様にして4つの角の仮想角点を算出することができる。
【0038】
そして、前記算出した角点及び仮想角点によって、角折れ又は破れ面積算出部15は、以下のようにして角折れ面積又は角破れ面積を算出することができる。左上の角点を例に取ると、仮想角点LT_v、長手方向角点LT_n及び短手方向角点LT_mの3つの頂点を結ぶ三角形の面積LT_areaを角折れ面積又は角破れ面積として求める。この場合、前記面積LT_areaは、次の式(4)によって算出することができる。
【0039】
【数2】


ここで、角折れ又は破れ損券判定部16は、前記算出した角折れ面積又は角破れ面積としての面積LT_areaをあらかじめ設定した閾値と比較し、該閾値より大きければ前記媒体は角折れ又は角破れ損券であると判断し、閾値以下ならば前記媒体は正券であると判断する。
【0040】
このように、本実施の形態においては、角点から仮想角点を算出することによって角折れ面積又は角破れ面積を精度よく算出することができる。また、この方法によれば、複雑なハードを必要とすることなく、媒体認識装置10を簡単なマイクロプロセッサで構成することができるので、媒体認識装置10のコストも安くすることができるという効果がある。
【0041】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0042】
図3は本発明の第2の実施の形態における媒体認識装置のシステム構成を示す図である。
【0043】
本実施の形態において、媒体認識装置10は、角折れしたと想定される部分の輝度値によって角折れ又は角破れを判定する角折れ/破れ判定部17を有する。また、角折れ又は破れ損券判定部16は、前記角折れ/破れ判定部17によって角折れと角破れとが検出された場合、損券と判定する閾値を変更することができるようになっている。なお、その他の構成は前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0044】
次に、本実施の形態の媒体認識装置10の動作を説明する。
【0045】
図4は本発明の第2の実施の形態における角折れ/破れ判定領域を示す図、図5は本発明の第2の実施の形態における処理結果に基づいて角折れ損券と角破れ損券とを識別する方法を示す図、図6は本発明の第2の実施の形態における角折れ損券及び角破れ損券の状態を示す部分拡大図、図7は本発明の第2の実施の形態における媒体認識装置の動作を示すフローチャートである。
【0046】
まず、画像取得部11は、媒体の表裏両面の画像を取得して、表裏両面を認識する。そして、輪郭点抽出部12、角点検出部13及び仮想角点検出部14は、表面側及び裏面側について、前記第1の実施の形態と同様の処理を行う。続いて、角折れ/破れ判定部17は、媒体の表面側に角折れがあるか又は角破れがあるかを判断する判断処理を行う。続いて、角折れ/破れ判定部17は、媒体の裏面側に角折れがあるか又は角破れがあるかを判断する判断処理を行う。そして、処理結果に基づいて、角折れ又は破れ損券判定部16は、前記媒体は角折れがある折れ損券であると判定するか、又は、前記媒体は角破れがある破れ損券であると判定して、損券判定処理を終了する。
【0047】
この場合、媒体の表面側及び裏面側に関する判断処理の結果に基づいて、図5に示されるように、角折れがあるか又は角破れがあるかを判定する。図5(a)は、媒体の表面側及び裏面側について角折れがあるか又は角破れがあるかを判断する判断処理を行った結果を示し、図5(b)〜(d)は処理結果に対応する媒体の状態を示している。また、図6(a)〜(c)は、媒体の角が表側に折れている状態、媒体の角が裏側に折れている状態、及び、媒体の角が破れている状態をそれぞれ示している。媒体が紙幣のように絵柄印刷部と該絵柄印刷部周囲の白色系外枠部とを有している場合、図6(b)及び(c)から分かるように、媒体の角が裏側に折れている状態と媒体の角が破れている状態とは識別し難い。そのため、角折れ/破れ判定部17は、媒体の表裏両面の画像に基づいて、角折れがあるか又は角破れがあるかを判断する判断処理を行うようになっている。
【0048】
なお、媒体に角折れがあるか又は角破れがあるかを判断する場合、角折れ/破れ判定部17は、図4に示されるような仮想角点LT_v(LTvx、LTvy)、長手方向角点LT_n(LTnx、LTny)、及び、短手方向角点LT_m(LTmx、LTmy)に基づいて、角折れ角点LT_c(LTcx、LTcy)を次の式(5)によって算出する。
【0049】
【数3】


ここで、角折れ角点LT_c、長手方向角点LT_n及び短手方向角点LT_mを3つの頂点とする三角形内の画像の輝度値の平均値である角折れ輝度平均値(KadoKido)を算出する。そして、該角折れ輝度平均値(KadoKido)と、角折れしていないときの輝度値とからあらかじめ算出した閾値(KidoThl)とを比較する。角折れが発生している場合は、KadoKidoはKidoThlより充分小さくなるので、
KadoKido < KidoThl であれば角折れであり、
KadoKido ≧ KidoThl であれば角破れである、
と判定することもできる。
【0050】
そして、角折れ/破れ判定部17は、媒体が角折れ損券又は角破れ損券であると判定した結果を角折れ又は破れ損券判定部16に出力する。また、角折れ/破れ判定部17の出力と角折れ又は破れ面積算出部15の出力とを受けた角折れ又は破れ損券判定部16は、角折れの場合には角折れ面積閾値(KadoArea1)と角折れ又は破れ面積(KadoArea)とを比較する。また、角破れの場合には角破れ面積閾値(KadoArea2)と角折れ又は破れ面積(KadoArea)とを比較する。これにより、閾値よりも大きい場合には損券と判断する。なお、角折れ面積閾値(KadoArea1)の方が角破れ面積閾値(KadoArea2)よりも大きいのが一般的である。
【0051】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 表裏両面を認識する。
ステップS2 媒体の表面側に角折れがあるか又は角破れがあるかを判断する。媒体の表面側に角折れがある場合はステップS4に進み、媒体の表面側に角破れがある場合はステップS3に進む。
ステップS3 媒体の裏面側に角折れがあるか又は角破れがあるかを判断する。媒体の裏面側に角折れがある場合はステップS4に進み、媒体の裏面側に角破れがある場合はステップS5に進む。
ステップS4 角折れ損券として処理を終了する。
ステップS5 角破れ損券として処理を終了する。
【0052】
このように、本実施の形態においては、角折れ/破れ判定部17によって、媒体が角折れしているのか角破れしているのかを識別することができる。そのため、一般的に角折れ時の閾値を角破れ時の閾値よりも小さくすることで、角折れ時と角破れ時の損券の判定基準を変えることが可能となり、ユーザにとって、より納得のいく媒体認識装置10を提供することができる。
【0053】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0054】
図8は本発明の第3の実施の形態における媒体認識装置のシステム構成を示す図である。
【0055】
本実施の形態においては、媒体認識装置10がATM、CD等の自動取引装置に配設されている場合について説明する。この場合、媒体は紙幣であり、媒体認識装置10は、自動取引装置への入金時に損券と判断した場合、リジェクトするか受け入れるかの設定によって損券の取り扱いを制御する入金時損券取り扱い部19、及び、同様の動作をする出金時損券取り扱い部20を有する。その他の点の構成については、前記第1及び第2の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0056】
次に、本実施の形態の媒体認識装置10の動作を説明する。
【0057】
図9は本発明の第3の実施の形態における自動取引装置の表示画面の例を示す第1の図、図10は本発明の第3の実施の形態における自動取引装置の表示画面の例を示す第2の図、図11は本発明の第3の実施の形態における自動取引装置内を搬送される媒体の状態を示す図、図12は本発明の第3の実施の形態における媒体認識装置の入金時の動作を示すフローチャートである。
【0058】
本実施の形態において、媒体認識装置10は、次のa〜dの4つのモードに設定することができる。
a.角折れ又は角破れ紙幣の入金を許容する。
b.角折れ又は角破れ紙幣の入金はリジェクトして顧客に返却する。
c.出金時に角折れ又は角破れ紙幣でも出金する。
d.出金時に角折れ又は角破れ紙幣は、出金せず出金リジェクト庫に回収する。
【0059】
なお、前記モード設定は、あらかじめ媒体認識装置10のユーザによって、又は、媒体認識装置10の出荷時に設定されている。また、入金時損券取り扱い部19及び出金時損券取り扱い部20は同様の動作をする。ここでは、入金時損券取り扱い部19について詳しく説明する。
【0060】
まず、利用者によって自動取引装置の貨幣受け取り口に媒体としての紙幣が入金されると、該紙幣は媒体認識装置10に搬送される。そして、該媒体認識装置10は、受領した紙葉類としての前記紙幣を認識する。そして、該紙幣が損券であるか否かを判断する、すなわち、紙幣に角折れ又は角破れがあるか否かを判断する。損券でない場合には処理を終了する。そして、角折れ又は角破れのない紙幣は正常な紙幣として入金される。
【0061】
また、紙幣が損券である場合、前記紙幣に角折れがあるか否かを判断する。そして、角折れがない場合、紙幣に角破れ、すなわち、欠損があると判断し、欠損部分が許容値以上であるか否かを判断する。なお、該許容値とは、例えば、欠損面積の場合において1.0〔%〕であるが、任意に設定することができる。そして、欠損部分が許容値以上である場合は、自動取引装置の障害原因となるため、図9に示されるような表示画面を自動取引装置の表示装置に表示して、紙幣を入金口としての貨幣受け取り口に返却する。
【0062】
一方、紙幣に角折れがあるか否かを判断して角折れがある場合、又は、欠損部分が許容値以上でない場合、前記紙幣が設定されたモードに該当するか否かを判断する。そして、モードに該当しない場合には、紙幣を貨幣受け取り口に返却する。また、モードに該当する場合には、紙幣を取り込んで一時保留部に集積する。
【0063】
例えば、設定されたモードが「a.角折れ又は角破れ紙幣の入金を許容する。」である場合、前記紙幣が角折れであっても角破れであっても、一時保留部に集積する。また、設定されたモードが「b.角折れ又は角破れ紙幣の入金はリジェクトして顧客に返却する。」である場合、前記紙幣が角折れ又は角破れであると、図9又は10に示されるような表示画面を自動取引装置の表示装置に表示して、紙幣を貨幣受け取り口に返却する。
【0064】
続いて、利用者が自動取引装置の操作部を操作して入金額の確定を行ったか否かを判断し、入金額の確定を行わなかった場合には、入金処理が取り消されたものと判断して、一時保留部に集積された紙幣を貨幣受け取り口に返却する。また、入金額の確定を行った場合には、紙幣が再利用可能なものであるか否かを判断し、再利用可能な紙幣、すなわち、出金に利用される紙幣は金種別収納庫に収納し、再利用可能でない紙幣、すなわち、出金に利用されない紙幣は非循環紙幣収納庫に収納して処理を終了する。
【0065】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 紙幣を認識する。
ステップS12 紙幣が損券であるか否かを判断する。紙幣が損券である場合はステップS13に進み、紙幣が損券でない場合は処理を終了する。
ステップS13 紙幣に角折れがあるか否かを判断する。紙幣に角折れがある場合はステップS16に進み、紙幣に角折れがない場合はステップS14に進む。
ステップS14 欠損部分が許容値以上であるか否かを判断する。欠損部分が許容値以上である場合はステップS15に進み、欠損部分が許容値以上でない場合はステップS16に進む。
ステップS15 紙幣を貨幣受け取り口に返却する。
ステップS16 紙幣が設定されたモードに該当するか否かを判断する。紙幣が設定されたモードに該当する場合はステップS17に進み、紙幣が設定されたモードに該当しない場合はステップS15に戻る。
ステップS17 紙幣を取り込んで一時保留部に集積する。
ステップS18 入金額の確定を行ったか否かを判断する。入金額の確定を行った場合はステップS19に進み、入金額の確定を行っていない場合はステップS15に戻る。
ステップS19 紙幣が再利用可能なものであるか否かを判断する。紙幣が再利用可能なものである場合はステップS20に進み、紙幣が再利用可能なものでない場合はステップS21に進む。
ステップS20 金種別収納庫に収納して処理を終了する。
ステップS21 非循環紙幣収納庫に収納して処理を終了する。
【0066】
次に、出金時における媒体認識装置10の動作について説明する。
【0067】
図13は本発明の第3の実施の形態における媒体認識装置の出金時の動作を示すフローチャートである。
【0068】
まず、利用者が自動取引装置の操作部を操作し、出金取引を選択して出金金額を確定すると、紙幣が金種別収納庫から1枚ずつ繰り出されて媒体認識装置10に搬送される。そして、該媒体認識装置10は、排出する紙葉類としての前記紙幣を認識する。そして、前記紙幣が損券であるか否かを判断する、すなわち、紙幣に角折れ又は角破れがあるか否かを判断する。損券でない場合には、前記紙幣は出金口としての貨幣受け取り口に集積される。
【0069】
また、紙幣が損券である場合、前記紙幣に角折れがあるか否かを判断する。そして、角折れがない場合、紙幣に角破れ、すなわち、欠損があると判断し、欠損部分が許容値以上であるか否かを判断する。なお、該許容値とは、例えば、欠損面積の場合において0.5〔%〕であるが、任意に設定することができる。そして、欠損部分が許容値以上である場合は、紙幣を出金リジェクト庫に搬入して回収する。
【0070】
一方、紙幣に角折れがあるか否かを判断して角折れがある場合、又は、欠損部分が許容値以上でない場合、金種別収納庫に収納されている再利用可能な紙幣の残り枚数が少ないか否か、すなわち、再利用可能な紙幣の残り枚数がニアエンドであるか否かを判断する。そして、ニアエンドでない場合には、紙幣を出金リジェクト庫に搬入して回収する。また、ニアエンドである場合、紙幣は、損券であっても、貨幣受け取り口に集積される。そして、出金金額に該当する紙幣が貨幣受け取り口に集積されると、シャッタを開いて、利用者が出金された紙幣を受け取ることができるようにして処理を終了する。
【0071】
なお、出金時損券取り扱い部20は、入金時損券取り扱い部19と同様の動作を行うが、入金時損券取り扱い部19と出金時損券取り扱い部20とは別々の設定をすることができるようになっている。例えば、入金時損券取り扱い部19は角折れ紙幣又は角破れ紙幣を受け入れる設定にしておき、出金時損券取り扱い部20は角折れ紙幣又は角破れ紙幣を受け入れない設定にしておくことができる。この場合、角折れ紙幣又は角破れ紙幣は、自動取引装置に入金することができるが、該自動取引装置からは出金されないようになる。これにより、自動取引装置の利用者は、少々の角折れ紙幣又は角破れ紙幣でも入金することができ、一方、角折れ紙幣や角破れ紙幣を受け取ることがない。
【0072】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS31 紙幣を認識する。
ステップS32 紙幣が損券であるか否かを判断する。紙幣が損券である場合はステップS33に進み、紙幣が損券でない場合はステップS37に進む。
ステップS33 紙幣に角折れがあるか否かを判断する。紙幣に角折れがある場合はステップS35に進み、紙幣に角折れがない場合はステップS34に進む。
ステップS34 欠損部分が許容値以上であるか否かを判断する。欠損部分が許容値以上である場合はステップS36に進み、欠損部分が許容値以上でない場合はステップS35に進む。
ステップS35 再利用可能な紙幣の残り枚数がニアエンドであるか否かを判断する。再利用可能な紙幣の残り枚数がニアエンドである場合はステップS37に進み、再利用可能な紙幣の残り枚数がニアエンドでない場合はステップS36に進む。
ステップS36 紙幣を出金リジェクト庫に搬入して回収する。
ステップS37 紙幣を貨幣受け取り口に集積し、処理を終了する。
【0073】
このように、本実施の形態においては、媒体認識装置10が入金時損券取り扱い部19と出金時損券取り扱い部20とを有するので、自動取引装置における入金時に損券を受け入れるか否か、及び、出金時に損券を出金するか否かを設定することができる。そのため、例えば、入金時は損券を受け入れる設定にし、出金時は損券を出金しない設定にしておけば利用者に優しい自動取引装置を提供することができる。
【0074】
なお、紙幣に角折れがある場合、角折れの方向を認識することができ、角折れの方向によって紙幣の搬送中に発生するジャムの可能性を考慮してジャム発生を防止することができる。例えば、図11に示されるように、矢印Aの方向に紙幣を搬送する場合、角折れが矢印Cで示されるものであれば、ジャムが発生する可能性が低く、角折れが矢印Bで示されるものであれば、ジャムが発生する可能性が高いことが想定される。そのため、角折れの方向によって、搬送速度を低くしてジャムの発生を防止することもできる。
【0075】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1〜3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1〜3の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0076】
図14は本発明の第4の実施の形態における角折れ面積を検出する動作を示す図、図15は本発明の第4の実施の形態における角破れ媒体の他の例を示す図、図16は本発明の第4の実施の形態における媒体認識装置の動作を示すフローチャートである。
【0077】
本実施の形態においては、媒体の形状が識別することができる解像度で取得された画像に対して、媒体の角折れや角破れの検出を行う。
【0078】
まず、角折れが発生した場合にできる角点の検出を行う。次に、検出した角点を用いて、角折れによって消滅した角点としての仮想角点の位置の検出を行う。図14に示されるように、媒体の右上の角が折れている場合には、左上角と右上角の角点とによってできる直線と、右下角と右上角の角点とによってできる直線の交点として検出される。
【0079】
続いて、検出された仮想角点及び角点を用いて角折れによって消滅した輪郭線としての仮想輪郭線の検出を行う。該仮想輪郭線は仮想角点と角点とを結ぶ線として検出されるが、図14に示されるように、入力媒体がスキューしている場合でも、スキューによって発生する階段状の輪郭線を検出する。
【0080】
続いて、角折れ面積の検出を行う。仮想角点の位置から、前記仮想輪郭線に沿って、背景出力値を持つ画素数をカウントすることで、角折れ面積の検出を行う。この場合、図14に示されるように、仮想角点の位置からX軸方向に、背景出力値の検出及び画素数のカウントを、媒体出力値が検出されるまで行う。1ライン終了後に、Y方向にシフトして次のラインの検出を行う。背景でなく媒体の出力値を検出するまでY軸方向の検出も行う。このようにして、カウントした背景の画素数によって角折れ面積の検出を行う。
【0081】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS41 角点の検出を行う。
ステップS42 角折れによって消滅した角点としての仮想角点の位置の検出を行う。
ステップS43 角折れによって消滅した輪郭線としての仮想輪郭線の検出を行う。
ステップS44 角折れの面積を検出を行い、処理を終了する。
【0082】
このように、本実施の形態においては、角折れ面積の検出を行うので、角折れの度合いをより正確に検出することができる。また、図15に示されるような角点位置での破れに対しても、破れの度合いを正確に検出することができる。
【0083】
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、第1〜4の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1〜4の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0084】
図17は本発明の第5の実施の形態における破れ面積を検出する動作を示す図、図18は本発明の第5の実施の形態における破れ媒体の他の例を示す図、図19は本発明の第5の実施の形態における媒体認識装置の動作を示すフローチャートである。
【0085】
本実施の形態においては、媒体の形状が識別することができる解像度で取得された画像に対して、媒体の破れを検出する。
【0086】
まず、媒体の角点の検出を行う。次に、角点間の輪郭をなぞりながら、図17に示されるように、破れによって消滅した輪郭線としての仮想輪郭線の検出を行う。該仮想輪郭線は破れによって発生した角点間を結ぶ線として検出されるが、図17に示されるように、入力媒体がスキューしている場合でも、スキューによって発生する階段状の輪郭線を検出する。
【0087】
続いて、破れ面積の検出を行う。前記仮想輪郭線に沿って、背景出力値を持つ画素数をカウントすることで、破れ面積の検出を行う。この場合、図17に示されるように、輪郭線沿いの画素をスタート位置として、Y軸方向に背景出力値の検出を、媒体出力値が検出されるまで行う。1ライン終了後に、スタート位置をX方向にシフトして次のラインの検出を行う。X軸方向のスタート位置のシフトは、背景でなく媒体の出力値を検出するまで行う。このようにして、カウントした背景の画素数によって破れ面積の検出を行う。なお、図18に示されるような破れであっても同様にして、破れの面積を検出することができる。
【0088】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS51 角点の検出を行う。
ステップS52 破れによって消滅した輪郭線としての仮想輪郭線の検出を行う。
ステップS53 破れ面積の検出を行う。
【0089】
このように、本実施の形態においては、破れ面積の検出を行うので、スキューが発生しているような媒体であっても破れの度合いをより正確に検出することができる。なお、本実施の形態と前記第1及び第2の実施の形態とを併用することによって、角折れと破れとを識別して特定することができる。
【0090】
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。なお、第1〜5の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1〜5の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0091】
図20は本発明の第6の実施の形態における仮想輪郭線を検出する動作を示す図、図21は本発明の第6の実施の形態における媒体認識装置の動作を示すフローチャートである。
【0092】
まず、媒体の角点の検出を行う。次に、検出した角点を用いて、媒体のスキュー値を算出する。続いて、該スキュー値に基づいてスキュー幅の検出を行う。図20に示されるように、スキュー幅とは、スキューによってY軸方向へ1画素変化が起きた場合の、X軸方向の変化量を示す。
【0093】
さらに、角点間の輪郭線を追跡し仮想輪郭線の検出を行う。角点から別の角点へ媒体の出力値を検出しながら媒体の輪郭線を検出していく。図20に示すように、X軸方向に輪郭線を追跡している場合に、輪郭線沿いに背景出力値を検出した場合は、スキュー幅毎にY座標を1画素だけ変化させる。このようにして、角折れ又は破れなどで消滅した媒体の輪郭線としての仮想輪郭線を検出することができる。
【0094】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS61 角点の検出を行う。
ステップS62 スキュー値を算出する。
ステップS63 スキュー値に基づいてスキュー幅の検出を行う。
ステップS64 角点間の輪郭線を追跡し仮想輪郭線の検出を行う。
【0095】
このように、本実施の形態において、仮想輪郭線の検出を行うので、スキュー量の大小に関わらず正確な輪郭線を検出することができる。
【0096】
なお、前記第4の実施の形態においては、媒体の右上の角折れ面積の検出について説明したが、左上、左下もしくは右下についても、同様に検出可能である。
【0097】
また、前記第5の実施の形態においては、媒体上側の破れ面積の検出について説明したが、左側、右側もしくは下側についても、同様に検出可能である。
【0098】
ところで、前記第4及び第5の実施の形態においては、画素数によって角折れや破れを検出するようになっている。角折れの場合は折れ線部が直線的になることが多く、破れの場合は曲線になるのが一般的である。そのため、折れ線部の直線性を利用して、角折れを判別するようにすると、判別精度が向上する。
【0099】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の実施の形態における媒体認識装置のシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における仮想角点を抽出する動作を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態における媒体認識装置のシステム構成を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態における角折れ/破れ判定領域を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態における処理結果に基づいて角折れ損券と角破れ損券とを識別する方法を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態における角折れ損券及び角破れ損券の状態を示す部分拡大図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態における媒体認識装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施の形態における媒体認識装置のシステム構成を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態における自動取引装置の表示画面の例を示す第1の図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態における自動取引装置の表示画面の例を示す第2の図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態における自動取引装置内を搬送される媒体の状態を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態における媒体認識装置の入金時の動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第3の実施の形態における媒体認識装置の出金時の動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第4の実施の形態における角折れ面積を検出する動作を示す図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態における角破れ媒体の他の例を示す図である。
【図16】本発明の第4の実施の形態における媒体認識装置の動作を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第5の実施の形態における破れ面積を検出する動作を示す図である。
【図18】本発明の第5の実施の形態における破れ媒体の他の例を示す図である。
【図19】本発明の第5の実施の形態における媒体認識装置の動作を示すフローチャートである。
【図20】本発明の第6の実施の形態における仮想輪郭線を検出する動作を示す図である。
【図21】本発明の第6の実施の形態における媒体認識装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0101】
10 媒体認識装置
11 画像取得部
12 輪郭点抽出部
13 角点検出部
14 仮想角点検出部
15 角折れ又は破れ面積算出部
16 角折れ又は破れ損券判定部
17 角折れ/破れ判定部
19 入金時損券取り扱い部
20 出金時損券取り扱い部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)紙葉類の画像を取得する画像取得部と、
(b)前記紙葉類の輪郭点を抽出する輪郭点抽出部と、
(c)前記紙葉類の角点を検出する角点検出部と、
(d)長手方向の角点と短手方向の角点とから仮想角点を検出する仮想角点検出部と、
(e)前記仮想角点、長手方向の角点及び短手方向の角点を頂点とする三角形の面積を求めることによって角折れ面積又は角破れ面積を求める角折れ又は破れ面積算出部と、
(f)前記角折れ面積又は角破れ面積を閾値と比較することによって、前記紙葉類が角折れ又は角破れ損券であることを判定する角折れ又は破れ損券判定部とを有することを特徴とする紙葉類取り扱い装置。
【請求項2】
(a)前記紙葉類の角折れしたと想定される部分の輝度値によって角折れ又は角破れを判定する角折れ/破れ判定部を有し、
(b)前記角折れ又は破れ損券判定部は、前記角折れ/破れ判定部の出力を受けて角折れの場合と角破れの場合とで前記閾値の値を変更し、前記紙葉類が角折れ又は角破れ損券であることを判定する請求項1に記載の紙葉類取り扱い装置。
【請求項3】
(a)受領した前記紙葉類が角折れ又は角破れ損券である場合に、設定に従って前記紙葉類の取り扱いを制御する入金時損券取り扱い部と、
(b)排出する前記紙葉類が角折れ又は角破れ損券である場合に、設定に従って前記紙葉類の取り扱いを制御する出金時損券取り扱い部とを有する請求項1又は2に記載の紙葉類取り扱い装置。
【請求項4】
請求項3に記載の紙葉類取り扱い装置を有し、受領した紙葉類を損券として返却する場合に、返却する理由及び対処方法を表示装置に表示することを特徴とする自動取引装置。
【請求項5】
(a)紙葉類の形状を含む入力画像に対して角点の検出を行い、
(b)検出された該角点を使用して仮想角点の検出を行い、
(c)検出された前記角点及び仮想角点を使用して仮想輪郭線の検出を行い、
(d)前記仮想角点から仮想輪郭線に沿って背景出力値を持つ画素数をカウントすることによって角折れ面積を検出することを特徴とする紙葉類判別方法。
【請求項6】
(a)紙葉類の形状を含む入力画像に対して角点の検出を行い、
(b)検出された該角点を使用して仮想角点の検出を行い、
(c)検出された前記角点及び仮想角点を使用して仮想輪郭線の検出を行い、
(d)前記仮想角点から仮想輪郭線に沿って背景出力値を持つ画素数をカウントすることによって破れ面積を検出することを特徴とする紙葉類判別方法。
【請求項7】
前記紙葉類のスキュー値に基づいてスキュー幅の検出を行い、前記角点間の輪郭線を追跡する際に、前記背景出力値を持つ画素数がスキュー幅に達した場合にはY軸又はX軸方向の座標値を1画素変化させる請求項5又は6に記載の紙葉類判別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−85443(P2006−85443A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−269697(P2004−269697)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】