説明

紙葉類検査装置

【課題】標準板の汚損を抑制するとともに紙葉類を所望の検査位置に正確に搬送し、検査制度の向上を図ることが可能な紙葉類検査装置を提供する。
【解決手段】紙葉類検査装置は、検査位置を通して紙葉類を搬送する搬送機構と、検査位置で紙葉類と対向するガイド面52a、52cを有するガイド部材50と、検査位置で前記ガイド面に露出した反射面を有し、ガイド部材に設けられた標準板70と、標準板の側方から反射面に沿って流れるエアーを噴出し、標準板と紙葉類との間にエアーカーテンを形成するエアー供給装置と、標準板70の反射面に向けて検査光を照射する光源と、標準板の反射面で反射した検査光および検査位置における紙葉類の表面で反射した検査光を受光する受光器と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣、有価証券等の紙葉類を検査する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、銀行や大規模小売業等では日常的に大量の紙幣が扱われ、これら紙幣を金種や、正損(紙幣の汚損度合い)に応じて分類して整理する業務が存在している。このような紙幣の整理業務を自動化する装置として紙幣類整理装置が提案されている。この紙幣処理装置は、紙幣の種類や正損の度合い検査する検査装置と、検査された紙幣を金種別などに分類して集積する複数の集積庫と、複数毎の紙幣を帯封する施封部等と、を備えている。
【0003】
検査装置として、紙葉類の券種を光学的に検査する検査装置は、検査位置を通して紙葉類を搬送する搬送機構、検査位置に搬送された紙葉類に検査光を照射する光源、紙葉類表面からの反射光を受光する受光器、検査位置に設けられ標準板等を備えている。
【0004】
受光器のゲインを設定する際、標準板からの反射光を基準として、ゲインを調整する。検査装置の標準板が汚損した場合、紙葉類の検査結果に悪影響を与える。そこで、標準板の上方にエアーノズルを設け、上方から標準板に向けてエアーを吹き付けることにより、標準板への埃の付着を防止しようとする装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3949820号公報
【特許文献2】特公昭61−4153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の検査装置において、検査の際、紙葉類が検査位置に搬送されると、紙葉類が標準板上を覆って標準板を隠すため、エアーノズルで標準板を噴くことができない。そのため、この間、埃を飛ばすことがでず、埃、紙くず等が基準版に付着し、標準板が汚損されるおそれがある。また、紙葉類自体が標準板に接触し、標準板を汚損する可能性も考えられる。
【0007】
一方、紙葉類は、搬送ベルトに吸着させて検査位置に搬送されるが、紙葉類の状態によっては十分に搬送ベルトに吸着できずに搬送されてしまう。この場合、紙葉類を検査位置に正しく搬送することができず、検査結果に悪影響を与える。
【0008】
この発明の目的は、標準板の汚損を抑制するとともに紙葉類を所望の検査位置に正確に搬送し、検査精度の向上を図ることが可能な紙葉類検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、紙葉類検査装置は、検査位置を通して紙葉類を搬送する搬送機構と、前記検査位置で前記紙葉類と対向するガイド面を有するガイド部材と、前記検査位置で前記ガイド面に露出した反射面を有し、前記ガイド部材に設けられた標準板と、前記標準板の側方から前記反射面に沿って流れるエアーを噴出し、前記標準板と紙葉類との間にエアーカーテンを形成するエアー供給装置と、前記標準板の反射面に向けて検査光を照射する光源と、前記標準板の反射面で反射した検査光および前記検査位置における紙葉類の表面で反射した検査光を受光する受光器と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施形態に係る紙幣処理装置を概略的に示す図。
【図2】図2は、前記紙幣処理装置の紙幣検査装置を示す側面図。
【図3】図4は、前記紙幣検査装置の搬送ベルトおよび搬送ローラを省略してガイド板周りを示す斜視図。
【図4】図3は、前記紙幣検査装置を示す斜視図。
【図5】図5は、前記紙幣検査装置を図3とは異なる方向から見た紙幣検査装置の斜視図。
【図6】図6は、紙幣が検査位置に搬送された状態における前記紙幣検査装置を示す斜視図。
【図7】図7は、一部を破断して示す前記紙幣検査装置の側面図。
【図8】図8は、前記紙幣検査装置のガイド板、エアーノズル、白色標準板を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施形態について、詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る紙葉類処理装置を概略的に示している。紙葉類として、例えば紙幣を処理する紙幣処理装置10は、多数枚の紙幣Pが積層状態で載置される供給部11と、この供給部11から紙幣Pを1枚ずつ取り出す取り出し機構14と、取り出し機構14によって取り出された紙幣Pを搬送する搬送路16とを有している。搬送路16には、複数組の図示しない無端状の搬送ベルトが搬送路を挟むように延設されている。取出された紙幣Pは、搬送ベルトに挟持されて搬送される。
【0012】
搬送路16によって搬送される紙幣Pを1枚ずつ鑑査する鑑査装置18が搬送路16に沿って配置されている。鑑査装置18は、送られて来た紙幣Pの金種、形状、厚さ、表裏、真偽、正損、2枚取り等を検出する。鑑査装置18は、紙幣Pの券種を検査する検査装置20、紙幣の形状を検査する形状検知装置22、磁気センサ23、厚さ検知装置24を備えている。ここで、正損検出とは、再流通可能な正券と、汚れ、破損等があり再流通不可能な損券とを検出することを示している。
【0013】
搬送路16に沿って、リジェクト部26が設けられ、また、それぞれ紙幣を集積し施封する複数の集積施封装置28a、28b、28c、28dが並んで配置されている。鑑査装置18を通過した紙幣Pは、図示しないゲートにより、リジェクト券と、処理券とに振り分けられる。リジェクト券とは、鑑査装置18により、偽券と判別された券、又は折れ、破れ、スキュー、2枚取りなどにより判別不能な券と判別された券をいう。リジェクト券は、リジェクト部26に振り分けられて集積される。リジェクト部26に集積されたリジェクト券は、偽券を除き、供給部11にセットし直して再取り込みするか、手入力で計数データに算入する。鑑査装置18による処理金額、枚数等の鑑査結果は、図示しない主制御部へ送られ、保存されるとともに、図示しないモニタに表示される。
【0014】
また、処理券とは、鑑査装置18で判別された紙幣Pが真券で正券、又は真券で損券をいう。処理券のうち正券は、集積施封装置28a〜28dに送られて集積され所定枚数ずつ帯により施封される。例えば、正券を表裏に分類して集積、施封する場合、表の正券を集積施封装置28aもしくは28bに振り分けて集積し、裏の正券を集積施封装置28cもしくは28dに振り分けて集積する。損券はシュレッダー29に送られて裁断される。
【0015】
次に、前述した検査装置20について詳細に説明する。図2は、検査装置20の全体を示し、図3、4、5、6は、検査装置における一方の検査装置、例えば、紙葉類の表面側を検査する表面検査装置を示している。
【0016】
図2に示すように、検査装置20は、紙幣の表面側を光学的に検査する表面検査装置20aと、紙幣の裏面側を光学的に検査する裏面検査装置20bとを備え、これらの装置は、搬送路16に沿って連続して配置されている。表面検査装置20aと裏面検査装置20bとは、同一の構成を有し、上下対象に配置されている。ここでは、表面検査装置20aを代表して、その構成を詳細に説明する。
【0017】
図2ないし図6に示すように、表面検査装置20aは、搬送路16上の検査位置を通して紙幣Pを搬送する搬送機構40と、検査位置で紙幣の表面と対向するガイド面を有するガイド板(ガイド部材)50と、検査位置に向けて検査光を照射する光源60と、後述する白色標準板70の反射面70aで反射した検査光および検査位置における紙幣の表面で反射した検査光を受光する受光器64と、を備えている。表面検査装置20aは、光源60から検査光を発光させ、紙幣の検査面からの反射光を受光して紙幣を検査する。反射光を検査するため、その反射光の基準となる反射体として白色標準板70がガイド板50に設置してある。
【0018】
図2に示すように、光源60は、例えば、互いに異なる方向から白色標準板70に向けて検査光を照射する第1ランプ62aおよび第2ランプ62bを備えている。第1および第2ランプ62a、62bは、白色標準板70の反射面70aに垂直な方向に対して、所定角度ずつ反対側に傾斜して設けられている。第1および第2ランプ62a、62bの出射端にレンズがそれぞれ設けられている。これにより、第1および第2ランプ62a、62bは、検査位置において、紙幣Pの幅よりも僅かに長い線状の検査光を紙幣に照射する。第1および第2ランプ62a、62bの近傍には、レンズに向けてエアーを吹き付け埃の付着を防止するブロワー64a、64bがそれぞれ設けられている。
【0019】
図3に示すように、ガイド板50は、ほぼ水平に延びる平坦な主ガイド面52aと、紙幣Pの搬送方向Aに対して、主ガイド面52aの上流側に位置し、下方に傾斜して延びる流入側ガイド面52bと、主ガイド面52aの下流側に位置し、主ガイド面52aに対して一段低く形成された下流側ガイド面52cと、を有している。
【0020】
白色標準板70は、細長い支持ロッド74に埋め込まれている。支持ロッド74は、紙幣Pの搬送方向Aと直交する方向に延在し、ガイド板50に摺動可能に設けられている。白色標準板70は、細長い矩形状に形成され、その反射面70aは、下流側ガイド面52cと同一平面上に露出し、紙幣Pの搬送方向Aと直交する方向に沿って延在している。それぞれ細長い矩形板状のミラー76が支持ロッド74に埋め込まれ、白色標準板70の両側に並んで配置されている。これらのミラー76の表面は下流側ガイド面52cと同一平面上に露出している。支持ロッド74は、ガイド板50から引き抜き可能であり、引き抜くことにより、白色標準板70、ミラー76の交換、点検、洗浄等を行うことができる。
【0021】
ガイド板50には、ガイド面に開口する複数の吸引孔が形成され、搬送方向Aに沿って2列に並んでいる。一対のガイド溝54が流入側ガイド面52bおよび主ガイド面52aに形成され、それぞれ搬送方向Aに沿って延びる。一対のガイド溝54は、搬送方向Aと直交する方向に、紙幣Pの幅よりも狭い距離だけ、すなわち、後述する一対の第1搬送ベルトのベルト間ピッチ分の距離だけ、互いに離間している。ガイド溝54の底面は、白色標準板70が設けられている支持ロッド74の上面と同一平面上に位置している。下流側ガイド面52c上に、細長い一対のリブ55が形成され、それぞれ搬送方向Aに沿ってガイド溝54と並んで延びている。各リブ55の上面は、ガイド溝54の底面と同一平面に位置するように形成されている。
【0022】
図3および図7に示すように、吸引孔は、ガイド溝54の底面に開口し、搬送方向Aに沿って延びる細長い第1吸引孔56aと、支持ロッド74の上面に開口し、第1吸引孔と並んで搬送方向に延びる第2吸引孔56bと、リブ55の上面に開口し、第1および第2吸引孔と並んで搬送方向Aに延びる第3吸引孔56cと、を含んでいる。
【0023】
ガイド板50の下方には、吸気ハウジング58が取付けられ、ガイド板50の下面側を覆っている。吸気ハウジング58は、給気室59を規定し、この給気室59は、第1ないし第3吸引孔56a、56b、56cに連通している。吸気ハウジング58には吸引手段として、例えば、吸引ポンプ57が接続されている。吸引ポンプ57により、給気室59を介して第1ないし第3吸引孔56a、56b、56cから吸引可能となっている。吸気ハウジング58および吸引ポンプ57は、吸引装置を構成している。
【0024】
図2、図4ないし図7に示すように、搬送機構40は、ガイド板50上の検査位置を通って互いに平行に延びる一対の第1搬送ベルト42と、検査位置の上流側で第1搬送ベルトに接触し、紙幣の端部を第1搬送ベルトとの間に挟持してそれぞれ搬送する一対の第2搬送ベルト43と、検査位置の下流側で一対の第1搬送ベルトに接触し、紙幣の端部を第1搬送ベルトとの間に挟持してそれぞれ搬送する一対の第3搬送ベルト44と、を備えている。
【0025】
各第1搬送ベルト42は、図2に示す送りローラを含む複数の送りローラに架設され、搬送方向に沿って延びている。各第1搬送ベルト42には、その長手方向に一定のピッチで多数の吸気孔42aが形成されている。第1搬送ベルト42は、ガイド板50上において、ガイド溝54内を走行するとともに、第1、第2、第3吸引孔56a、56b、56cに対向して走行する。
【0026】
検査位置の上流側に一対の第1送りローラ45が設けられ、支持フレーム46に回転自在に支持されている。第2搬送ベルト43は、第1搬送ベルト42に重なって走行した後、第1送りローラ45に巻き付けられ、第1搬送ベルトから離間してガイド板50から上方かつ上流側へ戻るように走行する。
【0027】
検査位置の下流側に一対の第2送りローラ47が設けられ、支持フレーム48に回転自在に支持されている。第3搬送ベルト44は、ガイド板の上方から第2送りローラ47に巻き付いた後、第1搬送ベルト42に重なって下流側に走行する。
【0028】
上流側から送られた紙幣Pは、その両側縁部が第1搬送ベルト42と第2搬送ベルト43との間に挟持された状態で、これらの搬送ベルトにより検査位置へ搬送される。そして、ガイド板50上に搬送されると、第2搬送ベルト43は紙幣Pから離間する。また、紙幣は、第1搬送ベルト42の吸気孔42aおよびガイド板50の吸引孔56a、56b、56cを通して吸引され、第1搬送ベルト42上に吸着した状態で、第1搬送ベルトと共に搬送方向Aに搬送される。更に、ガイド板50上を通過した後、紙幣Pは、その両側縁が第1搬送ベルト42と第3搬送ベルト44との間に挟持された状態で、下流側に搬送される。
【0029】
このように、検査位置の上流側および下流側では、紙幣Pは、両側縁部がベルト間に挟持された状態で搬送され、ガイド板50上では、第1搬送ベルト42のみに吸着した状態で搬送される。これにより、紙幣Pを安定して、かつ、ガイド面から浮き上がることなく搬送することができる。更に、ガイド板50上の検査位置では、第2搬送ベルト43あるいは第3搬送ベルト44によって紙幣Pの上面側が隠されることがなく、紙幣上面全体の検査が可能となる。
【0030】
なお、図2に示したように、ブロワー64aからのエアーは、第2ランプ62aのレンズに吹き付けられるとともに、紙幣Pを第2搬送ベルト42および第3搬送ベルト44間に再度挟持させるとき、紙幣Pを第1搬送ベルト42に押しつける方向に作用する。そのため、紙幣Pが第1搬送ベルト42に十分に吸着されておらず浮いている場合でも、紙幣Pを第1搬送ベルト42に押付けられ、紙幣Pが第1、第3搬送ベルト42、43間に挟持されずに詰まることを防止できる。
【0031】
図7に示すように、紙幣Pを吸引する吸引開始位置、すなわち、ガイド板50に形成された第1吸引孔56aの上流側端は、第1搬送ベルト42および第2搬送ベルト43による挟持搬送から片面ベルト搬送への分岐点B、すなわち、第2搬送ベルト43が第1搬送ベルト42から分離する位置、よりも、少なくとも第1搬送ベルトに形成された吸気孔42aの孔ピッチの1ピッチ以上、上流側に位置するように形成されている。実施形態では、第1吸引孔56aの上流側端は、分岐点Bよりも約1.5ピッチ、上流側に位置している。
【0032】
搬送機構40は、検査位置の上流側で第2搬送ベルト43間に設けられた剥離ガイド板49を備えている。剥離ガイド板49は、例えば、支持フレーム46に取付けられ、第1送りローラ45の間から搬送方向Aに向かって突出し、ガイド板50の主ガイド面52aと隙間を置いて対向している。この剥離ガイド板49は、第1搬送ベルト42と第2搬送ベルト43とによる挟持搬送から片面吸着搬送に移る分岐点Bで、紙幣Pが第2搬送ベルト43に付着して上方に巻上げられた場合、紙幣Pを第2搬送ベルト43から引き剥がし、検査位置側へ確実に案内する。
【0033】
前述したように、表面検査装置20aは、紙幣Pの検査面の反射光を受光して検査を行うため、反射光の基準となる白色標準板70が汚れると反射光の基準が変わってしまい検査結果に影響を与えてしまう。そのため、白色標準板70の反射面70aに埃などが付着することを防止する。そこで、図2ないし図7に示すように、ガイド板50の上方にエアーノズル78が設けられている。図示しないエアー供給手段からエアーノズル78に圧縮空気を供給し、ノズル先端から白色標準板70にエアーを吹き付ける。すなわち、エアーノズル78により、紙幣Pに対して白色標準板70の反対側から、白色標準板に向けて圧縮空気を吹き付ける。これにより、紙幣Pの搬送中の浮き上がりを軽減するとともに、白色標準板70に付着する埃を飛ばす役割を果たす。
【0034】
更に、表面検査装置20aは、紙幣の検査中でも埃を吹き飛ばすように、白色標準板70の側方から反射面に沿って流れるエアーを噴出し、白色標準板と紙幣との間にエアーカーテン82を形成するエアー供給装置80を備えている。図3ないし図6および図8に示すように、エアー供給装置80は、ガイド板50内に埋め込まれた複数のエアーノズル84と、これらのエアーノズル84に圧縮空気を供給するエアーコンプレッサ85等の供給手段と、を有している。エアーノズル84は、それぞれ紙幣Pの搬送方向Aに沿って延びているとともに、紙幣Pの搬送方向と直交する方向に並んで設けられている。これらのエアーノズル84のノズル先端は、白色標準板70の側縁近傍で、主ガイド面52aの段差部53に開口している。
【0035】
供給手段からエアーノズル84に圧縮空気を供給し、ノズル先端から噴出するエアーにより、紙幣Pの搬送方向Aに沿って上流側から下流側へ流れるエアーカーテン82を白色標準板70の反射面70a上に形成する。エアーカーテン82の幅は、白色標準板70の長さとほぼ等しいか、あるいは、僅かに小さく設定されている。
【0036】
このようなエアーカーテン82を白色標準板70と紙幣Pとの間に形成することにより、紙幣の検査中でも埃を吹き飛ばし、白色標準板への埃の付着を防止している。エアーカーテン82は周囲と比べて空気の流れが速いため、周囲と比べて負圧となる。そのため、紙幣Pは白色標準板70上を搬送されるときに白色標準板側に吸い付けられる。これにより、紙幣Pの浮き上がりが防止される。検査位置での紙幣Pの浮き上がりは、反射光の状態に影響を及ぼすため、好ましくない。また、エアーが流れているため、紙幣が白色標準板70に接触することもない。
【0037】
図3ないし図5に示すように、白色標準板70上で、エアーカーテン82の境界にそれぞれ設けられた一対のワイヤーガイド86が設けられている。ガイド板50の下流側ガイド面52c上に2本のガイドリブ88が形成され、それぞれ搬送方向Aに沿って延びている。これらのガイドリブ88は、エアーカーテン82の幅とほぼ等しい間隔だけ、搬送方向と直交する方向に互いに離間して設けられている。また、ガイドリブ88の上面は、主ガイド面52aと同一平面上に位置している。そして、ワイヤーガイド86は、主ガイド面52aの段差部53とガイドリブ88の上流側端との間に架設され、搬送方向Aに沿って延びている。これらのワイヤーガイド86は、エアーカーテン82の範囲外で紙幣が白色標準板70に接触することを防止する。
【0038】
以上のように構成された表面検査装置20aによれば、白色標準板70上を側面側からエアーを噴いてエアーカーテン82を形成することにより、埃が白色標準板に付着することを確実に防止するとともに、紙幣が白色標準板に接触して汚すことを防止することができる。同時に、エアーカーテン82により、紙幣Pを境界としてガイド板50側が負圧となり、紙幣がガイド板から浮き上がることを防止することができる。これにより、紙幣表面を正しい検査位置に保持し、正確に検査することが可能となる。更に、エアーカーテン82の範囲の境界にワイヤーガイド86を設けることにより、エアーカーテン82の範囲外で紙幣Pが白色標準板70に接触して汚すことを防止することができる。
【0039】
また、第1搬送ベルト42に形成した吸気孔42aを通して空気を吸引し、紙幣Pを第1搬送ベルトに吸着して搬送する。その際、第1および第2搬送ベルト42、43によるベルト挟持部から紙幣Pの吸着を始めることで、紙幣を確実に第1搬送ベルト42に吸着させることができ、紙幣を安定して検査位置へ搬送することができる。更に、剥離ガイド板49を設けることにより、紙幣Pを第2搬送ベルト43から引き剥がし、確実に検査位置側へ搬送することが可能となる。
【0040】
なお、前述したように、裏面検査装置20bも上述した表面検査装置20aと同様に構成され、表面検査装置と上下反対向きに設置されている。
以上のことから、標準板の汚損を抑制するとともに紙葉類を所望の検査位置に正確に搬送し、検査制度の向上を図ることが可能な紙葉類検査装置が得られる。
【0041】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0042】
例えば、ガイド板に設けられた吸気孔の形状、数等は、上述した実施形態に限定されることなく、必要に応じて変更可能である。検査対象は、紙幣に限らず、種々の紙葉類に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0043】
10…紙葉類処理装置、20…検査装置、40…搬送機構、42…第1搬送ベルト、
42a…吸気孔、43…第2搬送ベルト、44…第3搬送ベルト、
45…第1送りローラ、47…第2送りローラ、49…剥離ガイド板、
50…ガイド板、52a…主ガイド面、52b…上流側ガイド面、
52c…下流側ガイド面、54…ガイド溝、56a、56b、56c…吸引孔、
70…白色標準板、70a…反射面、74…支持ロッド、78…エアーノズル、
80…エアー供給装置、82…エアーカーテン、84…エアーノズル、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査位置を通して紙葉類を搬送する搬送機構と、
前記検査位置で前記紙葉類と対向するガイド面を有するガイド部材と、
前記検査位置で前記ガイド面に露出した反射面を有し、前記ガイド部材に設けられた標準板と、
前記標準板の側方から前記反射面に沿って流れるエアーを噴出し、前記標準板と紙葉類との間にエアーカーテンを形成するエアー供給装置と、
前記標準板の反射面に向けて検査光を照射する光源と、
前記標準板の反射面で反射した検査光および前記検査位置における紙葉類の表面で反射した検査光を受光する受光器と、
を備える紙葉類検査装置。
【請求項2】
前記エアー供給装置は、前記ガイド部材に前記紙葉類の搬送方向と交差する方向に並んで設けられた複数のエアーノズルを有し、前記エアーノズルから噴出すエアーにより前記紙葉類の搬送方向に沿って流れるエアーカーテンを形成するように構成された請求項1に記載の紙葉類検査装置。
【請求項3】
前記標準板の反射面の外側で、前記エアーカーテンの境界にそれぞれ設けられ、それぞれ前記紙葉類の搬送方向に延び、前記紙葉類とガイド面との間に位置するワイヤーガイドを備えている請求項1又は2に記載の紙葉類検査装置。
【請求項4】
前記ガイド部材は、前記ガイド面に開口し前記紙葉類の搬送方向に沿って並んだ吸引孔を備え、
前記搬送機構は、それぞれ長手方向に間隔をおいて形成された複数の吸気孔を有し、前記ガイド部材の前記吸引孔上を通って走行するように、互いに平行に延びる一対の第1搬送ベルトを備え、
前記吸引孔および前記第1搬送ベルトの吸気孔を通して吸引し、前記紙葉類を第1搬送ベルトに吸着する吸引装置を備えている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の紙葉類検査装置。
【請求項5】
前記搬送機構は、前記検査位置の上流側で前記一対の第1搬送ベルトに接触し、紙葉類の端部を第1搬送ベルトとの間にそれぞれ挟持して搬送する一対の第2搬送ベルトと、前記検査位置の下流側で前記一対の第1搬送ベルトに接触し、紙葉類の端部を第1搬送ベルトとの間にそれぞれ挟持して搬送する一対の第3搬送ベルトと、を備え、
前記ガイド部材の吸引孔は、前記第1搬送ベルトと第2搬送ベルトとが重なっている部分に対向して設けられた吸引孔を含んでいる請求項4に記載の紙葉類検査装置。
【請求項6】
前記搬送機構は、前記検査位置の上流側で前記第2搬送ベルト間に設けられ、前記第1搬送ベルトと第2搬送ベルトとの間の挟持部から出た紙葉類を前記検査位置方向に案内する分離ガイドを備えている請求項5に記載の紙葉類検査装置。
【請求項7】
光源は、互いに異なる方向から前記標準板に向けて検査光を照射する第1ランプおよび第2ランプを備えている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の紙葉類検査装置。
【請求項8】
前記紙葉類に対して前記標準板の反対側から、前記標準板に向けてエアーを吹き付ける第2エアーノズルを更に備える請求項1ないし7のいずれか1項に記載の紙葉類検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−64040(P2012−64040A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208488(P2010−208488)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】