説明

紙葉類識別装置および方法

【課題】
コピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙葉類若しくは透かし部に書き込みを行った偽造紙葉類を正確に識別することができるようにした紙葉類識別装置および方法を提供する。
【解決手段】
紙葉類の前記透かし領域の反射光から取得した該透かし領域の反射光データに最小2乗法を適用して線形近似線を算出し、該算出した線形近似線と反射光データが形成する反射光曲線との間にできる面積を算出し、該算出した前記面積に基づき紙葉類がコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙葉類若しくは透かし部に書き込みを行った偽造紙葉類であるかを識別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、透かし模様が形成された透かし領域を有する紙幣等の紙葉類の識別を行う紙葉類識別装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、紙幣等の紙葉類の識別においては、該紙葉類の透かし模様が形成された透かし領域の特徴量に着目して、該特徴量から該紙葉類の種別、真偽等を識別する技術が種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1においては、透過型光センサを対象紙幣の読み取りライン上を走査させて光を照射し、紙幣からの透過光量パターンを得、透かし模様部分に対応する透過光量パターンを、透かし模様以外の通常模様部分に対応する透過光量パターンの最大値で評価することにより、対象紙幣に透かし模様が有るか否かを調べ、これによりセンサや紙幣の汚れによる影響を受けずに安定した紙幣の真偽判定を行える紙幣識別装置および識別方法が開示されている。
【0004】
特許文献2においては、紙幣の透かしのパターンを夫々透過光及び反射光を利用した2つの光学的読取り手段にて読み取り、双方の読み取りデータ同士を比較することにより、紙幣の真贋を識別するようにした紙幣等の真贋識別装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−187291号公報
【特許文献2】特開平6−203244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のものは、透過型光センサを用いて透かし模様が有るか否かを調べるものであるので、例えば、真正紙幣をコピー機を用いてコピーし、該コピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙幣若しくは透かし部に書き込みを行って擬似透かし模様を形成した書き込み偽造紙幣等は識別することができない。
【0006】
また、特許文献2のものにおいては、紙幣の透かしパターンを夫々透過光および反射光を利用して2つの光学的読取手段で読取り、双方を比較することにより、上記表面コピー紙幣および上記書き込み偽造紙幣等の識別が可能であるが、識別対象紙幣が湾曲していたり、搬送路内でばたついたりすると、反射光の読み取りパターンに乱れが生じ、上記表面コピー紙幣および上記書き込み偽造紙幣等を正確に識別できなくなる場合がある。
【0007】
また、紙幣にに折り目等があると、透かし領域においても、反射光データの波形が変化し、表面コピー偽造紙葉類若しくは書き込み偽造紙葉類を正確に識別することができなくなる場合がある。
【0008】
そこで、この発明は、コピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙葉類若しくは透かし部に書き込みを行った偽造紙葉類を正確に識別することができるようにした紙葉類識別装置および方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、この発明は、識別対象紙葉類に折り目等があっても正確に紙葉類を識別することができるようにした紙葉類識別装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、透かし模様が形成された透かし領域を有する紙葉類の識別を行う紙葉類識別装置において、前記紙葉類の前記透かし領域の反射光から該透かし領域の反射光データを取得する反射光データ取得手段と、前記反射光データ取得手段で取得した反射光データから線形近似線を算出する算出手段と、前記算出手段により算出した線形近似線と前記反射光データが形成する反射光曲線との間にできる面積を算出する面積算出手段と、前記面積算出手段により算出した前記面積に基づき前記紙葉類の判別を行う判別手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記算出手段は、前記反射光データに対して最小2乗法を適用することにより前記線形近似線を算出することを特徴とする。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記判別手段は、前記面積算出手段により算出した前記面積の総和が予め設定した所定の閾値より小さい場合は真正紙葉類であると判別することを特徴とする。
【0013】
また、請求項4の発明は、透かし模様が形成された透かし領域を有する紙葉類の識別を行う紙葉類識別装置において、前記紙葉類の前記透かし領域の透過光から該透かし領域の透過光データを取得する透過光データ取得手段と、前記紙葉類の前記透かし領域の反射光から該透かし領域の反射光データを取得する反射光データ取得手段と、前記透過光データ取得手段で取得した透過光データと前記反射光データ取得手段で取得した反射光データとでピーク位置が一致する部分のデータを抽出する抽出手段と、前記抽出手段で抽出したデータは前記紙葉類の傷若しくは折れ目部分のデータであるとして前記透過光データおよび前記反射光データからそれぞれ除去するデータ修正手段と、前記データ修正手段で修正した透過光データおよび反射光データに基づき前記紙葉類の識別を行う識別手段とを具備することを特徴とする。
【0014】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記識別手段は、前記データ修正手段で修正した反射光データから線形近似線を算出する算出手段と、前記算出手段により算出した線形近似線と前記データ修正手段で修正した反射光データが形成する反射光曲線との間にできる面積を算出する面積算出手段と、前記面積算出手段により算出した前記面積に基づき前記紙葉類の判別を行う判別手段とを具備することを特徴とする。
【0015】
また、請求項6の発明は、透かし模様が形成された透かし領域を有する紙葉類の識別を行う紙葉類識別装置において、前記紙葉類の前記透かし領域の透過光から該透かし領域の透過光データを取得する透過光データ取得手段と、前記紙葉類の前記透かし領域の表面の反射光から該透かし領域の第1の反射光データを取得する第1の反射光データ取得手段と、前記紙葉類の前記透かし領域の裏面の反射光から該透かし領域の第2の反射光データを取得する第2の反射光データ取得手段と、前記透過光データ取得手段で取得した透過光データと前記第1の反射光データ取得手段で取得した第1の反射光データと前記第2の反射光データ取得手段で取得した第2の反射光データとでピーク位置が一致する部分のデータを抽出する抽出手段と、前記抽出手段で抽出したデータは前記紙葉類の傷若しくは折れ目部分のデータであるとして前記透過光データおよび前記第1の反射光データおよび前記第2の反射光データからそれぞれ除去するデータ修正手段と、前記データ修正手段で修正した透過光データおよび第1の反射光データおよび第2の反射光データに基づき前記紙葉類の識別を行う識別手段とを具備することを特徴とする。
【0016】
また、請求項7の発明は、透かし模様が形成された透かし領域を有する紙葉類の識別を行う紙葉類識別方法において、前記紙葉類の前記透かし領域の反射光から該透かし領域の反射光データを反射光データ取得手段により取得し、前記反射光データ取得手段で取得した反射光データから線形近似線を算出手段により算出し、前記算出手段により算出した線形近似線と前記反射光データが形成する反射光曲線との間にできる面積を面積算出手段により算出し、前記面積算出手段により算出した前記面積に基づき前記紙葉類の判別を判別手段により行うことを特徴とする。
【0017】
また、請求項8の発明は、透かし模様が形成された透かし領域を有する紙葉類の識別を行う紙葉類識別方法において、前記紙葉類の前記透かし領域の透過光から該透かし領域の透過光データを透過光データ取得手段により取得し、前記紙葉類の前記透かし領域の反射光から該透かし領域の反射光データを反射光データ取得手段により取得し、前記透過光データ取得手段で取得した透過光データと前記反射光データ取得手段で取得した反射光データとでピーク位置が一致する部分のデータを抽出手段により抽出し、前記抽出手段で抽出したデータは前記紙葉類の傷若しくは折れ目部分のデータであるとして前記透過光データおよび前記反射光データからそれぞれ除去するデータ修正をデータ修正手段により行い、前記データ修正手段で修正した透過光データおよび反射光データに基づき前記紙葉類の識別を識別手段により行うことを特徴とする。
【0018】
また、請求項9の発明は、透かし模様が形成された透かし領域を有する紙葉類の識別を行う紙葉類識別方法において、前記紙葉類の前記透かし領域の透過光から該透かし領域の透過光データを透過光データ取得手段により取得し、前記紙葉類の前記透かし領域の表面の反射光から該透かし領域の第1の反射光データを第1の反射光データ取得手段により取得し、前記紙葉類の前記透かし領域の裏面の反射光から該透かし領域の第2の反射光データを第2の反射光データ取得手段により取得し、前記透過光データ取得手段で取得した透過光データと前記第1の反射光データ取得手段で取得した第1の反射光データと前記第2の反射光データ取得手段で取得した第2の反射光データとでピーク位置が一致する部分のデータを抽出手段により抽出し、前記抽出手段で抽出したデータは前記紙葉類の傷若しくは折れ目部分のデータであるとして前記透過光データおよび前記第1の反射光データおよび前記第2の反射光データからそれぞれ除去するデータ修正をデータ修正手段により行い、前記データ修正手段で修正した透過光データおよび第1の反射光データおよび第2の反射光データに基づき前記紙葉類の識別を識別手段により行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、紙葉類の透かし領域の反射光から該透かし領域の反射光データを取得し、該取得した反射光データから線形近似線を算出し、該算出した線形近似線と反射光データが形成する反射光曲線との間にできる面積を算出し、該算出した前記面積に基づき紙葉類の判別を行うように構成したので、識別対象紙葉類の湾曲や搬送時のばたつき等に影響されずにコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙葉類若しくは透かし部に書き込みを行った偽造紙葉類等を確実に識別することができる。
【0020】
また、この発明は、紙葉類の透かし領域の透過光データと反射光データ若しくは紙葉類の裏表の反射光データとでピーク位置が一致するデータは傷若しくは折れ目部分のデータであるとして透過光データおよび反射光データから除去するように構成したので、傷若しくは折れ目の影響を受けずに紙葉類の正確に識別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明に係わる紙葉類識別装置および方法の実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1(a)は、この発明を適用して構成された実施例1の紙幣識別装置の概略構成を示す図である。
【0023】
図1(a)において、この紙幣識別装置100は、搬送ローラ10aおよび10bにより駆動される搬送ベルト20上を搬送される紙幣30の識別を行うもので、この搬送ベルト20に沿って、図1(b)に示した紙幣30の透かし領域30aの反射光データを取得する発光部40aおよび反射光データ読取部40bからなる反射光データ取得部40、透かし領域30aの透過光データを取得する発光部50aおよび透過光データ読取部50bからなる透過光データ取得部50が設けられている。
【0024】
反射光データ取得部40および透過光データ取得部50は、図1(b)に示した所定の走査線30bに沿って、紙幣30の透かし領域30aの反射光データおよび透過光データをそれぞれ取得し、この取得した反射光データおよび透過光データに基づき紙幣30の識別を行う。
【0025】
ここで、反射光データ取得部40および透過光データ取得部50は、それぞれ時分割で動作するように構成されており、反射光データ取得部40による反射光データ取得動作および透過光データ取得部50による透過光データ取得動作は、互いに干渉しないように構成されている。
【0026】
なお、この実施例における反射光データおよび透過光データに基づく紙幣30の識別は、紙幣30の各種特徴に基づく識別の1つであり、実際には、この透かし領域30aの反射光データおよび透過光データに基づく識別に加えて周知の各種識別を別途行い、その総合判定に基づき紙幣30が真正紙幣か偽造紙幣かを判別する。
【0027】
さて、この実施例の紙幣識別装置100の特徴は、表面にコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙幣若しくは透かし部に書き込みを行った偽造紙幣を紙幣30の透かし領域30aの反射光データに基づき容易に識別できるようにした点にある。
【0028】
図2は、図1(a)の構成において、紙幣30が真正紙幣である場合における透かし領域30aの反射光波形および透過光波形の一例を示した波形図である。
【0029】
すなわち、図2(a)は、反射光データ取得部40で図1(b)の走査線30bに沿った透かし領域30aの複数のサンプル点で取得した反射光データの反射光波形を示し、ここで、縦軸は反射光データのレベルを示し、横軸は各サンプル点のアドレスを示す。
【0030】
また、図2(b)は、透過光データ取得部50で図1(b)の走査線30bに沿った透かし領域30aの複数のサンプル点で取得した反射光データにより形成される透過光波形を示し、ここで、縦軸は透過光データのレベルを示し、横軸は各サンプル点のアドレスを示す。
【0031】
図2(a)および(b)から明らかなように、透かし領域30aの反射光波形は、透かし領域30aにおいて小さな変化しか示さないが、透過光波形は、透かし領域30aにおいて透かし模様に対応した大きな変化を示し、両者は大きく相違する。
【0032】
図3は、図1(a)の構成において、紙幣30が透かし領域30aに透かし模様を有さない偽造紙幣である場合における該透かし領域30aの反射光波形(図3(a))および透過光波形(図3(b))の一例を同様に示した波形図である。
【0033】
図3(a)および(b)から明らかなように、この場合、透かし領域30aに透かし模様を有さないので、透かし領域30aの反射光波形および透過光波形は、共に小さな変化しか示さず、ほぼ同様の波形になる。
【0034】
そこで、反射光データ取得部40で取得した透かし領域30aの反射光データ(反射光波形)と透過光データ取得部50で取得した透かし領域30aの透過光データ(透過光波形)とを比較すれは、紙幣30が真正紙幣であるか透かし領域30aに透かし模様を有さない偽造紙幣であるかを判別できる。
【0035】
図4は、図1(a)の構成において、紙幣30が表面にコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙幣若しくは透かし部に書き込みを行って擬似透かし模様を形成した偽造紙幣である場合における該透かし領域30aの反射光波形(図4(a))および透過光波形(図4(b))の一例を同様に示した波形図である。
【0036】
図4(a)および(b)から明らかなように、この場合、透かし領域30aの反射光波形および透過光波形は、略同様の波形になるので、この場合も紙幣30が真正紙幣であるか否かの識別が可能である。
【0037】
しかし、紙幣が湾曲していたり、搬送路内でばたついたりすると、反射光の読み取りパターンに乱れが生じ、紙幣30が真正紙幣であるか否かを正確に識別できなくなる場合がある。
【0038】
さて、この発明においては、表面にコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙幣若しくは透かし部に書き込みを行って擬似透かし模様を形成した偽造紙幣の反射光波形に着目し、紙幣30の透かし領域30aの反射光データに基づき表面にコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙幣若しくは透かし部に書き込みを行って擬似透かし模様を形成した偽造紙幣を識別する。
【0039】
図5は、図1(a)の構成において、紙幣30が真正紙幣である場合における透かし領域30aの反射光波形(図5(a))および紙幣30が表面にコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙幣若しくは透かし部に書き込みを行って擬似透かし模様を形成した偽造紙幣である場合の反射光波形(図5(b))の一例を同様に示した波形図である。
【0040】
ここで、図5(a)および(b)において、反射光波形の平均レベルに対応する平均レベル直線AVEをそれぞれ求め、この平均レベル直線AVEと反射光波形との間にできる面積(図5(a)および(b)において斜線で示す)を比較してみると、両者には明らかな相違が生じる。
【0041】
そこで、上記面積を所定の閾値と比較することにより、上記面積が該所定の閾値より小さければ、真正紙幣であり、大きければ、表面にコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙幣若しくは透かし部に書き込みを行って擬似透かし模様を形成した偽造紙幣であると判別することができる。
【0042】
ところで、上記面積を用いた識別手法において、紙幣30が湾曲していたり、搬送中にばたつきがあったリして、反射光波形に異常が生じると、真正紙葉類でも上記面積が大きくなってしまう場合があり、表面コピー偽造紙葉類若しくは書き込み偽造紙葉類を正確に識別することができなくなる場合がある。
【0043】
図6(a)は、紙幣30が湾曲していたり、搬送中にばたつきがあったリした場合の透かし領域30aから反射光データ取得部40で取得したの反射光データの異常反射光波形の一例を示す図である。
【0044】
この場合、図5で説明したように、反射光波形の平均レベルに対応する平均レベル直線AVEをそれぞれ求め、この平均レベル直線AVEと反射光波形との間にできる面積を求めると、紙幣30が真正紙幣であっても、図6(b)に斜線で示すように、図5(a)に斜線で示す面積より大きくなってしまい、表面にコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙幣若しくは透かし部に書き込みを行った偽造紙幣であると誤検出してしまう。
【0045】
そこで、この実施例ににおいては、図6(c)に示すように、上記平均レベル直線AVEに代えて、反射光波形の線形近似線LFを求めて、この線形近似線LFと反射光波形との間にできる面積(図6(c)において斜線で示す)を求めて、この面積が所定の閾値より小さければ、真正紙幣であり、大きければ、表面にコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙幣若しくは透かし部に書き込みを行って擬似透かし模様を形成した偽造紙幣であると判別する。
【0046】
ここで、上記線形近似線LFは、紙幣30の透かし領域30aから反射光データ取得部40で取得した反射光データに対して最小2乗法を適用することにより求めることができる。
【0047】
このような構成によると、紙幣30が湾曲していたり、搬送中にばたつきがあって、反射光波形が異常になった場合でも、真正紙幣を表面にコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙幣若しくは透かし部に書き込みを行った偽造紙幣であると誤検出することはない。 線形近似線LFを最小2乗法により算出する手法は、紙幣30の透かし領域30aから反射光データ取得部40で取得した反射光データを(x1,y1)、(x2,y2)・・・(xn,yn)としたとき、y=ax+b、ここで、
【数1】

【0048】
から算出することができる。
【0049】
さて、上記紙幣30の透かし領域30aに傷、折り目等があると、反射光データ取得部40で取得した反射光波形および透過光データ取得部50で取得した透過光波形にこの傷、折り目等が影響して上記紙幣30の識別を正確に行うことができない。
【0050】
そこで、この発明においては、上記傷、折り目等の影響は反射光データ取得部40で取得した反射光波形および透過光データ取得部50で取得した透過光波形の同じ位置に生じるという現象に着目して、反射光波形および透過光波形からこの傷、折り目等の影響を除去して修正した後、上記識別を行うように構成される。
【0051】
図7および図8は、上記反射光波形および透過光波形の修正処理を説明する図である。 図7(a)は、紙幣30の透かし領域30aに傷、折り目等がある場合の反射光データ取得部40で取得した反射光波形を示し、図7(b)は、その場合の透過光データ取得部50で取得した透過光波形を示す。
【0052】
図7(a)および図7(b)から明らかなように、上記傷、折り目等の影響は反射光データ取得部40で取得した反射光波形および透過光データ取得部50で取得した透過光波形の同じ位置に生じる。
【0053】
そこで、図7に示すように、まず、上記傷、折り目等が生じる可能性がある領域Yの波形に着目して、この領域内の反射光波形および透過光波形のピーク位置を抽出する。
【0054】
図7の場合、図7(b)に示す透過光波形からは、ピークA,B,C,Dが抽出され、図7(a)に示す反射光波形からはピークEが抽出される。ここで、図7(b)に示す透過光波形から抽出されたピークと図7(b)に示す透過光波形から抽出されたピークとで同じ位置に生じているピークは、ピークCとピークEであるので、図7(b)に示す透過光波形のピークCの近傍の透過光データおよび図7(a)に示す反射光波形のピークEの近傍の反射光データは、上記傷、折り目等の影響を受けたデータであると判別することができる。
【0055】
そこで、図8に示すように、図8(a)に示す反射光波形および図8(b)に示す透過光波形のそれぞれに対して、ピークEの近傍の領域Yの反射光データおよびピークCの近傍の領域Yの透過光データを除去する修正を行う。
【0056】
これにより、紙幣30の透かし領域30aに生じた傷、折り目等の影響を除去した高精度の紙幣の識別が可能になる。
【0057】
図9は、図1(a)に示した実施例1の紙幣識別装置の概略構成を示すブロック図である。
【0058】
図9において、この紙幣識別装置は、紙幣の透かし領域の反射光データを取得する反射光データ取得部40、紙幣の透かし領域の透過光データを取得する透過光データ取得部50、装置全体の動作を統括制御する制御部60、紙幣の搬送を制御する紙幣搬送制御部70、紙幣搬送制御部70により搬送が制御される紙幣の搬送位置を検出する紙幣搬送位置検出部80を具備して構成される。
【0059】
ここで、反射光データ取得部40は、図1(a)に示した反射光データ取得部40に対応するもので、図1(b)に示した紙幣30の透かし領域30aを照明する発光部40aおよび紙幣30の透かし領域30aから反射光データを読み取る反射光データ読取部40bから構成され、図1(b)に示した所定の走査線30bに沿って、紙幣30の透かし領域30aの反射光データを取得し、この取得した反射光データを制御部60に渡す。
【0060】
また、透過光データ取得部50は、図1(a)に示した透過光データ取得部50に対応するもので、図1(b)に示した紙幣30の透かし領域30aを照明する発光部50aおよび紙幣30の透かし領域30aから透過光データを読み取る反射光データ読取部50bから構成され、図1(b)に示した所定の走査線30bに沿って、紙幣30の透かし領域30aの透過光データを取得し、この取得した透過射光データを制御部60に渡す。
【0061】
なお、反射光データ取得部40および透過光データ取得部50は、走査線30b上に配設され、走査線30bに沿った受光レベルに対応する読取信号を出力する受光素子を用いて構成することができるが、この受光素子に代えて、CCDカメラ等の2次元撮像装置を用いて透かし領域30aの反射光および透過光を撮像し、その後走査線30bに沿った受光レベル信号を抽出するように構成してもよい。
【0062】
また、反射光データ取得部40および透過光データ取得部50は、相互の干渉の影響を除去するために時分割で交互に起動される。
【0063】
また、走査線30bは、紙幣30の透かし領域30aを含む任意の位置に設定可能であるが、実際には、透かし領域30aの識別に有効な特徴情報を多く含む位置に設定するのが好ましい。
【0064】
紙幣搬送制御部70は、制御部60の制御により、図1(a)に示した搬送ローラ10aおよび10bを制御するもので、この紙幣搬送制御部70の制御により、紙幣30は、搬送ベルト20により搬送される。
【0065】
紙幣搬送位置検出部80は、紙幣搬送制御部70により、搬送ベルト20で搬送される紙幣30の搬送位置を検出する。
【0066】
この紙幣搬送位置検出部80で検出される紙幣30の搬送位置に基づき図2乃至図8に示した波形図のアドレスが与えられる。
【0067】
制御部60は、反射光データ取得部40で取得した反射光データおよび透過光データ取得部50で取得した透過光データに基づき紙幣の識別を行う。
【0068】
図10は、図9に示した紙幣識別装置の制御部60で行われる紙幣識別処理を示すフローチャートである。
【0069】
図10に示すフローチャートにおいて、まず、図示しない紙幣挿入口から紙幣が挿入されたかを調べる(ステップ101)。ここで、紙幣挿入口から紙幣が挿入されていない場合は(ステップ101でNO)、ステップ101に戻り、紙幣の挿入を待つ。
【0070】
ステップ101で、紙幣が挿入されたと判断されると(ステップ101でYES)、紙幣搬送制御部70の制御による紙幣30の搬送を開始し、紙幣搬送位置検出部80の検出出力に基づき、紙幣30の透かし領域30aが反射光データ取得部40および透過光データ取得部50のデータ取得位置に達したかを調べる(ステップ102)。
【0071】
ここで、紙幣30の透かし領域30aが反射光データ取得部40および透過光データ取得部50のデータ取得位置に達したと判断されると(ステップ102でYES)、反射光データ取得部40により、紙幣30の透かし領域30aの反射光データを取得し(ステップ103)、同時に透過光データ取得部50により紙幣30の透かし領域30aの透過光データを取得する(ステップ104)。
【0072】
次に、反射光データ取得部40により取得した反射光データと透過光データ取得部50により取得した透過光データとのデータ修正処理を行う(ステップ105)。
【0073】
このデータ修正処理は、図7および図8で説明したように、紙幣の識別精度を向上させるために、反射光データ取得部40により取得した反射光データおよび透過光データ取得部50により取得した透過光データから傷、折り目等に基づく不要波形を除去する処理である。このデータ修正処理の具体例は、後に図11のフローチャートを用いて説明する。
【0074】
反射光データ取得部40により取得した反射光データおよび透過光データ取得部50により取得した透過光データのデータ修正処理が終了すると、まず、この修正した反射光データおよび透過光データを用いて、紙幣30の透かし領域30aを用いた一次判定を行う(ステップ106)。
【0075】
この一次判定は、透かし領域30aに透かし模様を有さない偽造紙幣を識別する処理である。
【0076】
すなわち、図2で説明したように、識別対象紙幣30が透かし領域30aに正規の透かし模様を有する真正紙幣であると、反射光データ取得部40により取得した反射光データの反射光波形と透過光データ取得部50により取得した透過光データの透過光波形とは、大きく異なる。
【0077】
これに対して、図3で説明したように、識別対象紙幣30が透かし領域30aに透かし模様を有さない偽造紙幣であると、反射光データ取得部40により取得した反射光データの反射光波形と透過光データ取得部50により取得した透過光波形とは、略一致する。
【0078】
そこで、この透かし領域一次判定処理では、上記反射光波形と透過光波形とを比較して、両者が一致する場合は、識別対象紙幣30が透かし領域30aに透かし模様を有さない偽造紙幣であると識別する。この透かし領域一次判定処理の具体例は、後に図12のフローチャートを参照して説明する。
【0079】
透かし領域一次判定処理が終了すると、次に透かし領域二次判定処理を行う。この透かし領域二次判定処理は、表面にコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙幣若しくは透かし部に書き込みを行って擬似透かし模様を形成した偽造紙幣を識別する処理であり、反射光データ取得部40により取得した反射光データに基づき行われる。
【0080】
すなわち、図5で説明したように、識別対象紙幣30が表面にコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙幣若しくは透かし部に書き込みを行って擬似透かし模様を形成した偽造紙幣の透かし領域30aの反射光波形は、真正紙幣の透かし領域30aの反射光波形と若干異なる。
【0081】
そこで、透かし領域二次判定処理においては、この点に着目して、識別対象紙幣30の反射光波形に基づき、この識別対象紙幣30が表面にコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙幣若しくは透かし部に書き込みを行って擬似透かし模様を形成した偽造紙幣かの識別を行う。この透かし領域二次判定処理の具体例は、後に図13のフローチャートを参照して説明する。
【0082】
次に、ステップ106で行った透かし領域一次判定処理およびステップ107で行った透かし領域二次判定処理およびその他の説明を省略した周知の識別結果を総合して紙幣30の判定結果を出力し(ステップ108)、この処理を終了する。
【0083】
図11は、図10に示したステップ105のデータ修正処理の具体例を示すフローチャートである。
【0084】
図11のデータ修正処理においては、紙幣の折り目に基づく不要波形を除去する処理について示している。
【0085】
紙幣30の走査線30bに対して直交する折り目の位置(アドレス)は、紙幣30が特定できれば予め予測可能である。そこで、図11に示すデータ修正処理においては、折り目ができると予測される領域のアドレスを予め折り目判定領域として設定し、この予め折り目判定領域の反射光データに基づきデータ修正処理を行う。この折り目判定領域は、図7で領域Xで示される。
【0086】
この処理が開始されると、まず、折り目判定領域の反射光データおよび透過光データを抽出する(ステップ201)。そして、この反射光データおよび透過光データのそれぞれのピーク位置を抽出する。図7においては、図7(a)に示す反射光波形からピークEが抽出され、図7(b)に示す透過光波形からピークA,B,C,Dが抽出される。
【0087】
次に、抽出した反射光波形のピーク位置と透過光のピーク位置とで一致する部分があるかを調べる(ステップ203)。
【0088】
ここで、一致する部分がない場合は(ステップ203でNO)、このデータ修正処理は不要であるとしてこの処理を終了する。
【0089】
また、ステップ203で、一致する部分があると判断されると(ステップ203でYES)、この部分の領域の反射光データおよび透過光データを抽出する(ステップ204)。ここで、抽出される反射光データおよび透過光データの領域は、一致したピーク位置を含むその近傍の領域であり、図8においては領域Yで示される。
【0090】
次に、この抽出した反射光データおよび透過光データを除去するデータ修正を行い(ステップ205)、この処理を終了する。
【0091】
図12は、図10に示したステップ106の透かし領域一次判定処理の具体例を示すフローチャートである。
【0092】
この透かし領域一次判定処理においては、識別対象紙幣30が透かし領域30aに透かし模様を有さない偽造紙幣であるかを識別する。
【0093】
すなわち、図12に示す透かし領域一次判定処理においては、まず、反射光データ取得部40により取得した反射光データの反射光波形と透過光データ取得部50により取得した透過光データの透過光波形とを比較する(ステップ301)。
【0094】
そして、この比較に基づき上記反射光波形と透過光波形とが一致した場合は(ステップ302でYES)、識別対象紙幣30が透かし領域30aに透かし模様を有さない偽造紙幣であるとして識別して(ステップ303)、この処理を終了する。
【0095】
また、ステップ302の比較において、上記反射光波形と透過光波形とが一致しない場合は(ステップ302でNO)、そのままこの処理を終了する。
【0096】
図13は、図10に示したステップ106の透かし領域二次判定処理の具体例を示すフローチャートである。
【0097】
この透かし領域二次判定処理においては、識別対象紙幣30の反射光波形に基づき、この識別対象紙幣30が表面にコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙幣若しくは透かし部に書き込みを行って擬似透かし模様を形成した偽造紙幣であるかの識別を行う。
【0098】
具体的には、図6で説明したように、識別対象紙幣30の反射光データに対して最小2乗法を適用して線形近似線を求め、この線形近似線と反射光データが形成する反射光曲線との間の面積を求め、この面積に基づき表面にコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙幣若しくは透かし部に書き込みを行って擬似透かし模様を形成した偽造紙幣であるかの識別を行う。
【0099】
すなわち、図13に示した透かし領域二次判定処理においては、まず、反射光データ取得部40で取得した反射光データに対して最小2乗法を適用して線形近似線を算出する(ステップ401)。
【0100】
次に、ステップ401で算出した線形近似線(図6の線形近似線LF)と反射光データ取得部40により取得した反射光データが形成する反射光曲線と間の面積を算出する(ステップ402)。
【0101】
そして、ステップ402で算出した面積が予め設定した閾値より大きいかを調べ(ステップ403)、大きい場合は(ステップ403でYES)、識別対象紙幣30が表面にコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙幣若しくは透かし部に書き込みを行って擬似透かし模様を形成した偽造紙幣であると識別する(ステップ404)。
【0102】
なお、ステップ403で、ステップ402で算出した面積が予め設定した閾値より小さいと判定された場合は(ステップ403でNO)、そのままこの処理を終了する。
【0103】
このような構成によると、紙幣30が湾曲していたり、搬送中にばたつきがあって、反射光波形が異常になった場合でも、表面にコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙幣若しくは透かし部に書き込みを行って擬似透かし模様を形成した偽造紙幣を確実に識別することができる。
【実施例2】
【0104】
図14は、この発明を適用して構成された実施例2の紙幣識別装置の概略構成を示す図である。
【0105】
実施例2のおいては、図1(a)に示した実施例1の紙幣識別装置に、紙幣30の裏面の反射光データを取得する反射光データ取得部90を追加して構成される。
【0106】
ここで、反射光データ取得部90は、紙幣30の透かし領域30aの裏面を照明する発光部90aおよび透かし領域30aの裏面の反射光を読み取る反射光データ読取部90bから構成される。その他の構成は、図1(a)に示した実施例1の紙幣識別装置と同様である。図14においては、図1(a)に示した実施例1の紙幣識別装置と同様の機能を果たす部分は、図1(a)で用いた符号と同一の符号を付してその詳細説明は省略する。
【0107】
図14に示す実施例2においては、紙幣30の透かし領域30aの表面からの反射光データを取得する発光部40aおよび反射光データ読取部40bからなる反射光データ取得部40、透かし領域30aの透過光データを取得する発光部50aおよび透過光データ読取部50bからなる透過光データ取得部50に加えて、紙幣30の透かし領域30aの裏面からの反射光データを取得する発光部90aおよび反射光データ読取部90bからなる反射光データ取得部90が設けられているので、反射光データ取得部40で取得した第1の反射光データ、透過光データ取得部50で取得した透過光データ、反射光データ取得部90で取得した第2の反射光データン基づき紙幣の識別を行う。
【0108】
このような構成によると、実施例1の図10のステップ106の透かし領域一次判定においては、反射光データ取得部90で取得した反射光波形の一致も条件に入れて透かし領域30aに透かし模様を有さない偽造紙幣の識別を行うように構成することができる。
【0109】
すなわち、実施例1の構成によると、紙幣30の片面の反射光データしか取得していないので、例えば、裏表両面にコピーを貼り付けた偽造紙幣を識別することができないが、この実施例2の構成によると、紙幣30の裏表両面の反射光データを取得しているので、上記裏表両面にコピーを貼り付けた偽造紙幣の識別も可能になる。
【0110】
また、図10に示したステップ106の透かし領域二次判定処理においては、反射光データ取得部40で取得した第1の反射光データに代えて若しくは加えて反射光データ取得部90で取得した第2の反射光データに対しても同様の処理を行うことで表面にコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙幣若しくは透かし部に書き込みを行って擬似透かし模様を形成した偽造紙幣であるかの識別を行うことができる。
【0111】
また、この構成においては、図10に示したステップ105のデータ修正処理においては、上記第1の反射光データ、透過光データ、第2の反射光データに対して、ピークの同一位置を検出することで、傷、折り目等の影響を除去する同様のデータ修正処理が行われる。
【0112】
この場合は、第1の反射光データ、透過光データ、第2の反射光データを用いて傷、折り目等の影響を除去するデータ修正処理が可能になるので、傷、折り目等の影響を除去するデータ修正処理の精度が向上する。
【0113】
また、第1の反射光データと第2の反射光データの2つのデータを用いて傷、折り目等の影響を除去するデータ修正処理を行うことも可能になる。
【0114】
なお、上記実施例においては、透かし領域を有する紙幣の識別にこの発明を適用した場合は示したが、透かし領域を有するものであれば、紙幣に限らず、各種有価証券等の紙葉類の識別にも同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
この発明は、透かし領域を有する紙葉類の識別に適用可能である。この発明によれば、紙葉類の前記透かし領域の反射光から該透かし領域の反射光データを取得し、該取得した反射光データから線形近似線を算出し、該算出した線形近似線と反射光データが形成する反射光曲線との間にできる面積を算出し、該算出した前記面積に基づき紙葉類の判別を行うように構成したので、識別対象紙葉類の湾曲や搬送時のばたつき等に影響されずにコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙葉類若しくは透かし部に書き込みを行った偽造紙葉類等を確実に識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】この発明を適用して構成された実施例1の紙幣識別装置の概略構成を示す図である。
【図2】真正紙幣の透かし領域の反射光波形および透過光波形の一例を示した波形図である。
【図3】透かし模様を有さない偽造紙幣の反射光波形および透過光波形の一例を示した波形図である。
【図4】表面にコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙幣若しくは透かし部に書き込みを行って擬似透かし模様を形成した偽造紙幣の反射光波形および透過光波形の一例を示した波形図である。
【図5】真正紙幣である場合における透かし領域の反射光波形および表面にコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙幣若しくは透かし部に書き込みを行って擬似透かし模様を形成した偽造紙幣の反射光波形の一例を示した波形図である。
【図6】この発明における表面にコピー画像を貼り付けた表面コピー偽造紙幣若しくは透かし部に書き込みを行った偽造紙幣の検出手法を説明する図である。
【図7】反射光波形および透過光波形の修正処理を説明する図である。
【図8】反射光波形および透過光波形の修正処理を説明する図である。
【図9】図1(a)に示した実施例1の紙幣識別装置の概略構成を示すブロック図である。
【図10】図9に示した紙幣識別装置の制御部で行われる紙幣識別処理を示すフローチャートである。
【図11】図10に示したデータ修正処理の具体例を示すフローチャートである。
【図12】図10に示した透かし領域一次判定処理の具体例を示すフローチャートである。
【図13】図10に示した透かし領域二次判定処理の具体例を示すフローチャートである。
【図14】この発明を適用して構成された実施例2の紙幣識別装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0117】
10a、10b 搬送ローラ
20 搬送ベルト
30 紙幣
30a 透かし領域
30b 走査線
40 反射光データ取得部
40a 発光部
40b 反射光データ読取部
50 透過光データ取得部
50a 発光部
50b 透過光データ読取部
60 制御部
70 紙幣搬送制御部
80 紙幣搬送位置検出部
90 反射光データ取得部
90a 発光部
90b 反射光データ読取部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透かし模様が形成された透かし領域を有する紙葉類の識別を行う紙葉類識別装置において、
前記紙葉類の前記透かし領域の反射光から該透かし領域の反射光データを取得する反射光データ取得手段と、
前記反射光データ取得手段で取得した反射光データから線形近似線を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出した線形近似線と前記反射光データが形成する反射光曲線との間にできる面積を算出する面積算出手段と、
前記面積算出手段により算出した前記面積に基づき前記紙葉類の判別を行う判別手段と
を具備することを特徴とする紙葉類識別装置。
【請求項2】
前記算出手段は、
前記反射光データに対して最小2乗法を適用することにより前記線形近似線を算出する
ことを特徴とする請求項1記載の紙葉類識別装置。
【請求項3】
前記判別手段は、
前記面積算出手段により算出した前記面積の総和が予め設定した所定の閾値より小さい場合は真正紙葉類であると判別する
ことを特徴とする請求項1または2記載の紙葉類識別装置。
【請求項4】
透かし模様が形成された透かし領域を有する紙葉類の識別を行う紙葉類識別装置において、
前記紙葉類の前記透かし領域の透過光から該透かし領域の透過光データを取得する透過光データ取得手段と、
前記紙葉類の前記透かし領域の反射光から該透かし領域の反射光データを取得する反射光データ取得手段と、
前記透過光データ取得手段で取得した透過光データと前記反射光データ取得手段で取得した反射光データとでピーク位置が一致する部分のデータを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出したデータは前記紙葉類の傷若しくは折れ目部分のデータであるとして前記透過光データおよび前記反射光データからそれぞれ除去するデータ修正手段と、
前記データ修正手段で修正した透過光データおよび反射光データに基づき前記紙葉類の識別を行う識別手段と
を具備することを特徴とする紙葉類識別装置。
【請求項5】
前記識別手段は、
前記データ修正手段で修正した反射光データから線形近似線を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出した線形近似線と前記データ修正手段で修正した反射光データが形成する反射光曲線との間にできる面積を算出する面積算出手段と、
前記面積算出手段により算出した前記面積に基づき前記紙葉類の判別を行う判別手段と
を具備することを特徴とする請求項4記載の紙葉類識別装置。
【請求項6】
透かし模様が形成された透かし領域を有する紙葉類の識別を行う紙葉類識別装置において、
前記紙葉類の前記透かし領域の透過光から該透かし領域の透過光データを取得する透過光データ取得手段と、
前記紙葉類の前記透かし領域の表面の反射光から該透かし領域の第1の反射光データを取得する第1の反射光データ取得手段と、
前記紙葉類の前記透かし領域の裏面の反射光から該透かし領域の第2の反射光データを取得する第2の反射光データ取得手段と、
前記透過光データ取得手段で取得した透過光データと前記第1の反射光データ取得手段で取得した第1の反射光データと前記第2の反射光データ取得手段で取得した第2の反射光データとでピーク位置が一致する部分のデータを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出したデータは前記紙葉類の傷若しくは折れ目部分のデータであるとして前記透過光データおよび前記第1の反射光データおよび前記第2の反射光データからそれぞれ除去するデータ修正手段と、
前記データ修正手段で修正した透過光データおよび第1の反射光データおよび第2の反射光データに基づき前記紙葉類の識別を行う識別手段と
を具備することを特徴とする紙葉類識別装置。
【請求項7】
透かし模様が形成された透かし領域を有する紙葉類の識別を行う紙葉類識別方法において、
前記紙葉類の前記透かし領域の反射光から該透かし領域の反射光データを反射光データ取得手段により取得し、
前記反射光データ取得手段で取得した反射光データから線形近似線を算出手段により算出し、
前記算出手段により算出した線形近似線と前記反射光データが形成する反射光曲線との間にできる面積を面積算出手段により算出し、
前記面積算出手段により算出した前記面積に基づき前記紙葉類の判別を判別手段により行う
ことを特徴とする紙葉類識別方法。
【請求項8】
透かし模様が形成された透かし領域を有する紙葉類の識別を行う紙葉類識別方法において、
前記紙葉類の前記透かし領域の透過光から該透かし領域の透過光データを透過光データ取得手段により取得し、
前記紙葉類の前記透かし領域の反射光から該透かし領域の反射光データを反射光データ取得手段により取得し、
前記透過光データ取得手段で取得した透過光データと前記反射光データ取得手段で取得した反射光データとでピーク位置が一致する部分のデータを抽出手段により抽出し、
前記抽出手段で抽出したデータは前記紙葉類の傷若しくは折れ目部分のデータであるとして前記透過光データおよび前記反射光データからそれぞれ除去するデータ修正をデータ修正手段により行い、
前記データ修正手段で修正した透過光データおよび反射光データに基づき前記紙葉類の識別を識別手段により行う
ことを特徴とする紙葉類識別方法。
【請求項9】
透かし模様が形成された透かし領域を有する紙葉類の識別を行う紙葉類識別方法において、
前記紙葉類の前記透かし領域の透過光から該透かし領域の透過光データを透過光データ取得手段により取得し、
前記紙葉類の前記透かし領域の表面の反射光から該透かし領域の第1の反射光データを第1の反射光データ取得手段により取得し、
前記紙葉類の前記透かし領域の裏面の反射光から該透かし領域の第2の反射光データを第2の反射光データ取得手段により取得し、
前記透過光データ取得手段で取得した透過光データと前記第1の反射光データ取得手段で取得した第1の反射光データと前記第2の反射光データ取得手段で取得した第2の反射光データとでピーク位置が一致する部分のデータを抽出手段により抽出し、
前記抽出手段で抽出したデータは前記紙葉類の傷若しくは折れ目部分のデータであるとして前記透過光データおよび前記第1の反射光データおよび前記第2の反射光データからそれぞれ除去するデータ修正をデータ修正手段により行い、
前記データ修正手段で修正した透過光データおよび第1の反射光データおよび第2の反射光データに基づき前記紙葉類の識別を識別手段により行う
ことを特徴とする紙葉類識別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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