説明

紙製ステープルの打ち込み機

【課題】綴じ箇所の汚損を防止し、手動方式の機械にも幅広く適用でき、且つ、打ち込み機の操作荷重を低減する。
【解決手段】昇降自在な略直方体のパンチ3は、上下方向両側に開口部を有し、パンチ3内側にはコ字形紙製ステープル4が打ち込み可能にセットされる。セット時に、紙製ステープル4の脚部9,10がパンチ3の内側面に弾接して保持されるように、紙製ステープル4のクラウン形状とパンチ3の内周形状とは互いに略同一に形成する。パンチ3の上方には、パンチ3の内側に脱着自在に嵌合する押し付け部材12を昇降自在に配設する。パンチ3の下端部には一対の刃部6,6を互いに対峙して設ける。刃部6,6は、受け台1のパンチ孔2に嵌合することで、剪断力で書類Pに貫通孔8,8を開穿する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製ステープルの打ち込み機に関するものであり、特に、受け台に載置された書類に打ち抜き孔を形成して、該打ち抜き孔にコ字形の紙製ステープルを打ち込むときに使用される紙製ステープルの打ち込み機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記打ち込み機としては、書類に打ち抜き孔を打ち抜くための刃部を備え、該刃部自体に角孔を形成したものが知られている。この打ち込み機を用いて前記ステープルを貫通させる場合は、角孔付きの刃部を書類の表面側から裏面側に貫通させて打ち抜き孔を形成した後に、該刃部の角孔に前記ステープルを所定方向から差し込み、そのままの状態で、前記ステープルを書類の表面側に引き抜いく方式が採用されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−000871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1記載の前記ステープルの貫通方式は、該ステープルを刃部の角孔に差し込んだ状態で、該ステープルを引き抜いているので、次のようなデメリットを有している。即ち、刃部に角孔を形成しているため、刃部自体の強度が不足する。そこで、刃部の強度アップを図るためには、刃部の板厚を所定値以上に厚くすれば良いが、この場合には、刃部によって書類に形成された打ち抜き孔が大きくなり、打ち抜き孔周辺の綴じ箇所が汚損し易く、見栄えが良くないという欠点を有する。
【0004】
又、上記従来方式では、刃部を書類に刺し込んだ後に、刃部の角孔に前記ステープルを差し込んで、刃部を引き抜かなければならないので、2段階のアクションが必要になり、操作性が低下すると共に、手動方式の機械には不向きとなるデメリットがある。特に、粘着方式のステープルを引き抜く際、ステープルの粘着面が打ち抜き孔の縁部と接触するために、ステープルを引き抜く際の操作荷重(リターンバネ荷重)がかなり増大する。
【0005】
そこで、書類の綴じ箇所の汚損を防止し、手動方式の機械にも幅広く適用でき、且つ、打ち込み機の操作荷重を低減できるようにするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はその課題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、コ字形に形成された紙製ステープルを書類に打ち込むための打ち込み機であって、該打ち込み機は受け台とパンチと押し付け部材とから成り、該受け台は中央部に略方形のパンチ孔を有し、前記パンチは上下方向が開放された中空の略直方体から成り、且つ、該略直方体の相対峙する両側壁の下端部に夫々刃部が形成され、更に、前記押し付け部材は前記パンチの内側面に上下摺動可能に嵌挿できるように設けられ、前記パンチの内側面に前記紙製ステープルをセットした状態で、該パンチで前記書類に打ち抜き孔を開穿し、該打ち抜き孔に前記紙製ステープルを押し付け部材の押圧力にて押し込むことができるように構成されている紙製ステープルの打ち込み機を提供する。
【0007】
この構成によれば、受け台上に載置された書類にコ字形紙製ステープルを打ち込む際は、まず、略直方体のパンチの内側面に紙製ステープルを打ち込み可能にセットする。そして、このセット状態で、パンチを書類側に下降させることにより、相対峙する両側壁下端部の刃部を書類の上面側から打入して打ち抜き孔を開穿する。ついで、押し付け部材を下降させて、紙製ステープルの脚部を打ち抜き孔に打ち込みつつ、紙製ステープルのクラウン部を書類上面に押し付ける。
【0008】
請求項2記載の発明は、上記紙製ステープルのクラウン部と上記パンチの内周部とは、互いに形状寸法が略同一となるように形成され、前記紙製ステープルのセット時に、該紙製ステープルの脚部が前記パンチの対峙方向の内側面に弾接して保持されるように構成して成る請求項1記載の紙製ステープルの打ち込み機を提供する。
【0009】
この構成によれば、紙製ステープルのクラウン部の形状寸法は、パンチの内周部の形状寸法とは互いに略一致するように形成されているので、パンチの中に紙製ステープルを装入すると、紙製ステープルの脚部がパンチの内側面に弾接して保持される。このため、打ち込み可能な状態に紙製ステープルがセットされる。
【0010】
請求項3の発明は、上記刃部の内側面に傾斜部を設け、該刃部は上記パンチ孔と協働して剪断力で上記書類に上記打ち抜き孔を開穿するように構成して成る請求項1又は2記載の紙製ステープルの打ち込み機を提供する。
【0011】
この構成によれば、パンチの刃部はパンチ孔と協働して剪断力にて打ち抜き孔を開穿する。この場合、打ち抜き孔の内側縁部は、刃部内側面の傾斜部により内側に押されて打ち抜かれる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明は、パンチ下部に設けた刃部は、中空の略直方体の下端部に形成されているので、刃厚を大きくしなくとも所要の強度を確保できる。従って、刃厚が小さくなる分だけ打ち抜き孔も小さくなり、打ち抜き孔周囲の綴じ箇所が汚損され難くなり、外観上の見栄えも良くなるという効果を有する。
【0013】
ステープル打込み時、パンチは打ち込み方向のみに直線移動させればよいので、1つのアクションで済み、且つ、動作ストロークが短くなり、構成がシンプルで手動式打ち込み機に十分適したものになる。特に、粘着剤付きのステープルを打ち込む場合でも、粘着剤が打ち抜き孔の縁部に接触しないため、打ち込み機の操作荷重が小さくなる
請求項2の発明は、紙製ステープルは書類に打ち込み可能な状態でパンチ内にセットされるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、紙製ステープルをパンチの中に保持するための機構が不要になり、構成が一層簡単化する。
【0014】
請求項3の発明は、刃部はパンチ孔と協働して、剪断力で書類に打ち抜き孔を形成するので、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、書類を切り裂いて孔を形成する場合に比べて、打ち抜き孔の加工精度が高くなる。又、打ち抜き孔の内側縁部は、刃部の傾斜部で内側に押されて剪断されるので、剪断時の抵抗力が小さくなり、その分だけ打ち抜き機の操作荷重が更に小さくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、コ字形に形成された紙製ステープルを書類に打ち込むための打ち込み機であって、該打ち込み機は受け台とパンチと押し付け部材とから成り、該受け台は中央部に略方形のパンチ孔を有し、前記パンチは上下方向が開放された中空の略直方体から成り、且つ、該略直方体の相対峙する両側壁の下端部に夫々刃部が形成され、更に、前記押し付け部材は前記パンチの内側面に上下摺動可能に嵌挿できるように形成され、前記パンチの内側面に前記紙製ステープルをセットした状態で、該パンチで前記書類に打ち抜き孔を開穿し、該打ち抜き孔に前記紙製ステープルを押し付け部材の押圧力にて押し込むことができるように構成され、且つ、紙製ステープルのクラウン部とパンチの内周部とは、互いに形状寸法が略同一となるように形成され、刃部は受け台側のパンチ孔と協働して、剪断力で打ち抜き孔を形成することにより、綴じ箇所の汚損を防止し、手動方式の機械にも適用できる等の目的を達成した。
【0016】
本発明の打ち込み機で打ち込まれる紙製ステープルとしては、粘着部を有するタイプと、粘着部を有しないタイプのいずれでも使用できる。特に、粘着部を有する紙製ステープルを使用する場合、粘着部が打ち抜き孔の縁部に接触しないため、打ち込み機の操作荷重が一層小さくなる。
【実施例】
【0017】
以下、本発明の好適な一実施例を図1乃至図11に従って説明する。本実施例の特徴は、受け台であるダイ1の中央部に略方形のパンチ孔2を形成する一方、パンチ3は昇降自在であって、上下方向が開放された中空の略直方体から構成し、パンチ3の相対峙する両側壁の下端部に夫々刃部6,6を設け、パンチ3の上方に押し付け部材12を昇降自在に設け、押し付け部材12がパンチ3の内側面に上下摺動可能に嵌挿されるようにしたことにある。
【0018】
これにより、パンチ3の内側面にコ字形紙製ステープル4をセットした状態で、パンチ3を下降させて、刃部6,6にて書類Pに、打ち抜き孔であるスリット状の貫通孔8,8が開穿される。この後、押し付け部材12を下降させることによって、貫通孔8,8に紙製ステープル4が押し込まれる。
【0019】
尚、本実施例では、所定の動作タイミングでパンチ3内への紙製ステープル4のセット、パンチ3の書類貫通、紙製ステープル4の押し付け、クリンチ及び圧着等を行うべく、各種の昇降駆動機構、移送駆動機構など(図示省略)が付設されているが、これらの駆動方式としてはカム、リンク、スプリング、電磁石等の公知の駆動方式、或いは、これらを組み合わせた駆動方式を適宜採択することができる。
【0020】
本実施例を更に詳しく説明すると、図1及び図2はそれぞれ、紙製ステープル4の打ち込み機を示す分解斜視図、正面断面図である。図において、1は書類Pが載置される受け台としてのダイであり、ダイ1の略中央部には略長方形のパンチ孔2が形成されている。パンチ孔2の真上位置にはパンチ3が昇降自在に設けられ、パンチ3の外周形状は、パンチ孔2の内周形状と略同一であり、パンチ孔2にパンチ3の下端側部分が脱着自在に嵌合するように構成されている。
【0021】
パンチ3は、上下両側が開口された略直方体から成り、略直方体内側の中空部は箱状に形成されている。該中空部の平面視形状は、紙製ステープル4のクラウン部5の形状寸法と略一致する細長の略長方形に形成されている。パンチ3の内側には、図示しない移送駆動機構により、図3に示す紙製ステープル4が装入セットされる。
【0022】
パンチ3の左右方向LR両側の下部にはそれぞれ、孔打ち抜き用の刃部6,6が形成され、刃部6,6は互いに同一高さにて対峙している。刃部6,6は、図示例では、先端部内側面に傾斜部を有する縦断面略レ字状に形成され、刃部6,6の間のパンチ側壁下縁部には、下方側へ開口する略等脚台形の切欠部7が形成されている。
【0023】
ダイ1上に書類Pを載置した後、パンチ3を下降させて刃部6,6をパンチ孔2に嵌合させると、刃部6,6により書類Pに左右対称なスリット状の貫通孔8,8が打ち抜かれる。打ち抜かれた貫通孔8,8の形状例を図4に示す。この場合、貫通孔8,8は、刃部6,6の剪断力により形成される。
【0024】
パンチ3の内側中空部は、コ字形の紙製ステープル4を装入セットできるように形成され、紙製ステープル4のクラウン部5の一端側、他端側には夫々、図3に示すように、脚部9、脚部10が略垂直に連設されている。具体的には、これら脚部9,10はパンチ3内に装入する前の状態においては、若干外側に開いた形状を有するが、パンチ3内に脚部9,10を装入すると、脚部9,10は互いに内側に僅かに接近動作して、脚部9,10が互いに平行な垂下状態になって装入される。即ち、紙製ステープル4をパンチ3内に装入すると、紙製ステープル4の脚部9,10は、パンチ3の相対峙する両側内面に弾接して打ち込み可能な状態に保持される。
【0025】
紙製ステープル4の一側脚部9には粘着剤が塗布されていないが、他側脚部10の内側面には粘着剤(粘着部)11が塗布されている。従って、紙製ステープル4の一側脚部9及び他側脚部10を順次内側に折り曲げて重合させると、該脚部9,10の重合部分は、粘着剤11を介して抱持状態で貼着固定される。
【0026】
パンチ3の真上位置にはステープル用押し付け部材12が昇降自在に設けられ、押し付け部材12の上面中央部にはシャフト13が固着されている。押し付け部材12の外周形状は、パンチ3の内周形状と略同一であって、かつ、パンチ3の内側に脱着可能に嵌合するように形成されている。押し付け部材12は、書類Pに打ち込まれた紙製ステープル4のクラウン部5を適当な圧力で押し付け、これにより、紙製ステープル4の脚部9,10が貫通孔8,8に押し込まれ、同時に、書類Pに対する紙製ステープル4の浮き上がりが防止される。
【0027】
一方、パンチ孔2の真下位置には、紙製ステープル4の脚部9,10をクリンチするためのクリンチャ装置(クリンチャ部)14と、脚部9,10のクリンチ部分を押し上げて圧着するための圧着部材15とが設けられている。圧着部材15は前記クリンチ部分と対応する平面形状を有する突起部16と、該突起部16の下端部の左右両側に連設された座部17,18とから成り、圧着部材15の縦断面形状は略逆T字状に形成されている。
【0028】
図示例では、クリンチャ装置14と圧着部材15は、昇降駆動機構により互いに一体的に昇降できるように構成しているが、両者は別体に構成することにより、相互独立に昇降駆動できるように構成してもよい。この場合、圧着部材15はクリンチャ装置14の動作と干渉しないように、例えば回動方式に動作させることができる。
【0029】
クリンチャ装置14は、圧着部材15の座部17,18上にそれぞれ配置された第1,2のクリンチャ部材19,20と、各クリンチャ部材19,20と座部17,18間に介装されたバネ21,22とを備える。第1,2のクリンチャ部材19,20はそれぞれ座部17,18上面に対して、各バネ21,22の力により離間方向に弾発付勢されている。第1,2のクリンチャ部材19,20の上端部内側には、それぞれ傾斜部23,24が形成されている。
【0030】
第1のクリンチャ部材19と第2のクリンチャ部材20の上下方向の長さは略同一であり、第1のクリンチャ部材19は第2のクリンチャ部材20よりも上方に位置している。この構成は、一例として、バネ21の長さをバネ22の長さよりも所定値だけ長く設定することで成される。従って、クリンチャ装置14が圧着部材15と一体的に上昇すると、先ず、第1のクリンチャ部材19の傾斜部23が、紙製ステープル4の一側脚部9に当接して、これを折り曲げる。この後、第2のクリンチャ部材20の傾斜部24が、紙製ステープル4の他側脚部10に当接して、これを折り曲げる。
【0031】
上記構成において、ダイ1上に載置された紙製ステープル4を書類Pに打ち込んで綴じる工程について、図5乃至図11に従って説明する。先ず、ステープル打ち込み前の状態では、パンチ3は、図5に示すように、ダイ1のパンチ孔2の真上位置に待機している。
【0032】
今、パンチ3をダイ1側に下降させると、図6に示すように、パンチ3の刃部6,6がダイ1のパンチ孔2に嵌合し、刃部6,6とパンチ孔2とにより協働して、書類Pに貫通孔8,8が剪断力で打ち抜き加工される。次に、パンチ3の刃部6,6を貫通孔8,8に貫通させたままの状態で、押し付け部材12を下降させる。すると、図7に示すように、押し付け部材12は紙製ステープル4のクラウン部5を押し下げ、これによって、紙製ステープル4の脚部9,10がパンチ3の内側面に沿ってスムーズに移動し、書類Pの貫通孔8,8内を下降変位する。
【0033】
やがて、紙製ステープル4の脚部9,10は貫通孔8,8を下降貫通して、書類P下面側に達する。これにより、紙製ステープル4のクラウン部5が書類P上面と密着し、脚部9,10が目的位置まで確実に打ち込まれる。この後、図8に示すように、パンチ3のみを元の位置まで上昇復帰させることで、ステープル貫通が完了する。尚、押し付け部材12は、紙製ステープル4のクラウン部5を書類P上面に押し付けて密着状態で保持するので、紙製ステープル4が書類P上面から浮き上がることを確実に防止する。
【0034】
パンチ3が上昇復帰すると、次のステープル打ち込み工程に対応できるように、新たな紙製ステープル4がステープル収納部からパンチ3内に移送されて装入セットされる。この場合、紙製ステープル4はパンチ3内に装入されると、脚部9,10がパンチ3内面に弾接することにより、紙製ステープル4はパンチ3内に打ち込み可能な状態で保持される。
【0035】
次に、押し付け部材12でクラウン部5を書類Pに押し付けたままの状態で、紙製ステープル4の脚部9,10がクリンチャ装置14によってクリンチされる。この場合、押し付け部材12及びダイ1をクリンチャ装置14側に下降させてクリンチしてもよいが、ここでは、クリンチャ装置14をダイ1側に上昇させてクリンチしている。
【0036】
即ち、クリンチャ装置14が上昇することにより、まず、図9に示すように、第1のクリンチャ部材19の傾斜部23が垂下状態の一側脚部9の外面に当接し、傾斜部23の上昇に伴い、一側脚部9が内側方向に折り曲げられる。傾斜部23が上昇端に達すると、一側脚部9は最終的に約90°折り曲げられて、クラウン部5と略平行な状態に折り畳まれる。
【0037】
続いて、クリンチャ装置14の更なる上昇により、第2のクリンチャ部材20の傾斜部24が垂下状態の他側脚部10の外面に当接する。この後、傾斜部24の上昇変位に伴い、他側脚部10が内側方向に折り曲げられ、傾斜部24が上昇端に達すると、図10に示すように、他側脚部10は最終的に約90°折り曲げられて、クラウン部5と略平行な状態に折り畳まれる。これにより、他側脚部10の粘着剤(粘着部)11が一側脚部9下面に重合し、クリンチ工程が終了する。
【0038】
この後、クリンチャ装置14が更に上昇移動することにより、クリンチャ装置14に付設された圧着部材15が、他側脚部10の粘着部11下面に当たって押し上げ、粘着部11上面を一側脚部9下面に圧着させる。斯くして、図11に示すように、一側脚部9と他側脚部10の重合部分が確実に接着固定される。この後、クリンチャ装置14が元の下方位置に移動復帰することにより、紙製ステープル4の書類綴じ工程が全て完了する。
【0039】
上述のごとく本実施例は、パンチ3を書類P側に下降させることにより、パンチ3下端側の刃部6,6を書類Pの上面側から打入して貫通孔8,8を形成した後、押し付け部材12を下降させて、紙製ステープル4のクラウン部5を書類P上面に押し付けることにより、紙製ステープル4の脚部9,10を貫通孔8,8に打ち込むように構成したものである。
【0040】
本実施例に係るパンチ3は略直方体から成り、孔部を有しない。よって、パンチ3下側の刃部6,6は、刃厚を大きくしなくとも所要の強度を確保できるので、従来方式に比べて貫通孔8,8が小さくなり、書類Pにガタツキが生ぜず確実に綴着できる。
【0041】
又、貫通孔8,8周囲の綴着箇所が汚損されにくくなり、外観上の見栄えも良くなる。特に、貫通孔8,8を刃部6,6で打ち抜く際、パンチ3は打ち抜き方向のみの1アクションで済み、打ち抜きストロークも短縮する。
【0042】
更に、紙製ステープル4のクラウン部5とパンチ3の内周部とは、互いに形状寸法を略同一に形成したので、パンチ3の内側に紙製ステープル4を装入すると、紙製ステープル4の脚部9,10がパンチ3の内側面に弾接した状態、即ち、紙製ステープル4が打ち込み可能な状態に装入セットされる。従って、紙製ステープル4をパンチ3内側に保持するための機構が不要になる。
【0043】
更に又、刃部6,6がダイ1のパンチ孔2に嵌合して、書類Pに貫通孔8,8を開穿する際、刃部6,6の先端部外側面がダイ1のパンチ孔2内側端面と協働して剪断力で貫通孔8,8を打ち抜き加工するので、切り裂き加工方式に比べて、貫通孔8,8の寸法形状が高精度に加工される。しかも、打ち抜き時に、貫通孔8,8の内側縁部は、刃部6,6の傾斜部で内側に押されて逃げるので、剪断抵抗力が小さくなり、打ち抜き機の操作荷重が一層軽減する。
【0044】
本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。例えば、クリンチャ装置14はローラ方式、リンク方式等の他の方式を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施例を示し、紙製ステープルの打ち込み機の分解斜視図。
【図2】実施例に係る打ち込み機の正面断面図。
【図3】実施例に係る紙製ステープルの斜視図。
【図4】実施例に係る書類に開穿された貫通孔を示す斜視図。
【図5】実施例に係る打ち込み機による貫通孔の打ち抜き前の状態を説明する正面断面図。
【図6】同上打ち込み機による貫通孔の打ち抜き時の状態を説明する正面断面図。
【図7】同上打ち込み機による紙製ステープルの打ち抜き時の状態を説明する正面断面図。
【図8】同上打ち込み機による紙製ステープルの押し付け時の状態を説明する正面断面図。
【図9】同上打ち込み機による紙製ステープルの一側脚部の折り畳み時の状態を説明する正面断面図。
【図10】同上打ち込み機による紙製ステープルの他側脚部の折り畳み時の状態を説明する正面断面図。
【図11】同上打ち込み機による紙製ステープルの粘着部の圧着時の状態を説明する正面断面図。
【符号の説明】
【0046】
1 ダイ(受け台)
2 パンチ孔
3 パンチ
4 紙製ステープル
5 クラウン部
6 刃部
7 切欠部
8 貫通孔(打ち抜き孔)
9 一側脚部
10 他側脚部
11 粘着剤(粘着部)
12 押し付け部材
13 シャフト
14 クリンチャ装置(クリンチャ部)
15 圧着部材
16 突起部
17 座部
18 座部
19 第1のクリンチャ部材
20 第1のクリンチャ部材
21 バネ
22 バネ
23 傾斜部
24 傾斜部
P 書類




【特許請求の範囲】
【請求項1】
コ字形に形成された紙製ステープルを書類に打ち込むための打ち込み機であって、該打ち込み機は受け台とパンチと押し付け部材とから成り、
該受け台は中央部に略方形のパンチ孔を有し、
前記パンチは上下方向が開放された中空の略直方体から成り、且つ、該略直方体の相対峙する両側壁の下端部に夫々刃部が形成され、
更に、前記押し付け部材は前記パンチの内側面に上下摺動可能に嵌挿できるように設けられ、
前記パンチの内側面に前記紙製ステープルをセットした状態で、該パンチで前記書類に打ち抜き孔を開穿し、該打ち抜き孔に前記紙製ステープルを前記押し付け部材の押圧力にて押し込むことができるように構成されていることを特徴とする紙製ステープルの打ち込み機。
【請求項2】
上記紙製ステープルのクラウン部と上記パンチの内周部とは、互いに形状寸法が略同一となるように形成され、前記紙製ステープルのセット時に、該紙製ステープルの脚部が前記パンチの対峙方向の内側面に弾接して保持されるように構成したことを特徴とする請求項1記載の紙製ステープルの打ち込み機。
【請求項3】
上記刃部の内側面に傾斜部を設け、該刃部は上記パンチ孔と協働して剪断力で上記書類に上記打ち抜き孔を開穿するように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の紙製ステープルの打ち込み機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−190635(P2007−190635A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−9800(P2006−9800)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】