説明

紙製容器

【課題】糊を使わずに組み立てることができ、蓋を開いたときに見映えの良い紙製容器を提供すること。
【解決手段】容器本体Bおよび蓋Cを有する紙製容器Aは、1枚の紙で形成された本体部展開型紙Yおよび蓋部展開型紙Zを組立てることで完成する。本体部展開型紙Yは、本体底板1、2片の左側壁(本体左外板2および本体左内板6)、2片の右側壁(本体右外板3および本体右内板7)および対をなす2葉の内底板(左内底板26および右内底板27)を含んでいて、2片の左側壁および2片の右側壁は、それぞれ、折り重ねられて容器本体Bの左側壁Eおよび右側壁Fを2重構造とする。対をなす2葉の内底板は、左側壁および右側壁から本体底板1上を中央部に向かって積層されるように伸び、本体底板1上の中央部で互いに係合して、容器本体Bの底壁Gを2重構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品を収納するための紙製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
紙製容器として、特許文献1では、1枚の型紙を組み立てて形成される紙製容器が提案されている。
特許文献1に記載の紙製容器では、底板に、前板、後板、左側板および右側板が連設されている。前板に連設された前折返板が折り返されて前板に糊付けされ、後板に連設された後折返板が折り返されて後板に糊付けされ、左側板に連設された左折返板が折り返されて左側板に糊付けされる。これにより、前壁、後壁および左壁を有する箱本体が完成する。
【0003】
また、右側板には、天板が連設されている。天板には、前板、後板および左側板が連設されている。前板に連設された前折返板が折り返されて前板に糊付けされ、後板に連設された後折返板が折り返されて後板に糊付けされ、左側板に連設された左折返板が折り返されて左側板に糊付けされる。これにより、前壁、後壁および左壁を有する蓋体が完成する。箱本体と蓋体とは、右側板で連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−37120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の紙製容器を組み立てるには、糊付けを行う工程が必要となり、手間がかかる。
また、特許文献1の紙製容器では、完成した状態で、蓋体を開いたときに目に付きやすい箱本体の底壁の内面に、型紙の裏面が現れるので、見映えが悪い。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、糊を使わずに組み立てることができる紙製容器を提供することを主たる目的とする。
【0006】
また、この発明は、蓋を開いたときに見映えの良い紙製容器を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、1枚の紙で形成された本体部展開型紙および蓋部展開型紙が組立てられ、容器本体および容器本体に連結された蓋を有する紙製容器であって、前記本体部展開型紙は、底板、2片の左側壁、2片の右側壁および対をなす2葉の内底板を含み、前記2片の左側壁および2片の右側壁は、それぞれ、折り重ねられて前記容器本体の左側壁および右側壁を2重構造とし、前記対をなす2葉の内底板は、前記左側壁および右側壁から前記底板上を中央部に向かって積層されるように伸び、前記底板上の中央部で互いに係合して、前記容器本体の底壁を2重構造としていることを特徴とする、紙製容器である。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記2葉の内底板は、それぞれ、先端辺から膨出する舌状部分を有し、互いに係合した状態で、前記舌状部分が対称に配置されることを特徴とする、請求項1記載の紙製容器である。
請求項3記載の発明は、前記本体部展開型紙は、前側壁および後側壁を含み、前記前側壁の両端および前記後側壁の両端から、それぞれ、左右一対の連結帯片が突出しており、左の前記連結帯片同士および右の前記連結帯片同士を連結させることにより、前記底板に対して直角に折り曲げられた前記前側壁および後側壁の折り曲げ状態が保たれていることを特徴とする、請求項1または2記載の紙製容器である。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記左右一対の連結帯片には、それぞれ、連結用の切欠きが形成されていることを特徴とする、請求項3記載の紙製容器である。
請求項5記載の発明は、前記2片の左右側壁は、それぞれ、前記左右の連結帯片同士が連結された後、当該連結された左右の連結帯片を内に挟み込むように折り重ねられていることを特徴とする、請求項3記載の紙製容器である。
【0010】
請求項6記載の発明は、前記前側壁は、2片と、前記2片の先端から突出する係止片とを含み、前記2片が折り重ねられて前記容器本体の前側壁は2重構造とされ、前記係止片は、前記底板と前記2葉の内底板とに挟まれて係止されていることを特徴とする、請求項3記載の紙製容器である。
請求項7記載の発明は、前記蓋部展開型紙は、前記後側壁を介して前記本体部展開型紙とつながっており、前記蓋部展開型紙は、蓋板、2片の前側壁、左側壁および右側壁を含み、前記2片の前側壁は折り重ねられて前記蓋の前側壁を2重構造としていることを特徴とする、請求項3記載の紙製容器である。
【0011】
請求項8記載の発明は、前記蓋部展開型紙は、2片の左側壁、2片の右側壁および対をなす2葉の内蓋板を含み、前記2片の左側壁および2片の右側壁は、それぞれ、折り重ねられて前記蓋の左側壁および右側壁を2重構造とし、前記対をなす2葉の内蓋板は、前記左側壁および右側壁から前記蓋板下面沿いに中央部に向かって伸び、前記蓋板下面の中央部で互いに係合して、前記蓋の天壁を2重構造としていることを特徴とする、請求項7記載の紙製容器である。
【0012】
請求項9記載の発明は、前記2葉の内蓋板は、それぞれ、先端辺から膨出する舌状部分を有し、互いに係合した状態で、前記舌状部分が対称に配置されることを特徴とする、請求項8記載の紙製容器である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、容器本体および容器本体に連結された蓋を有する紙製容器は、1枚の紙で形成された本体部展開型紙および蓋部展開型紙を組立てることで完成する。
本体部展開型紙は、底板、2片の左側壁、2片の右側壁および対をなす2葉の内底板を含んでいて、2片の左側壁および2片の右側壁は、それぞれ、折り重ねられて容器本体の左側壁および右側壁を2重構造とする。そして、対をなす2葉の内底板は、左側壁および右側壁から底板上を中央部に向かって積層されるように伸び、底板上の中央部で互いに係合して、容器本体の底壁を2重構造とする。
【0014】
この場合、本体部展開型紙の表面が、容器本体の左側壁、右側壁および底壁のそれぞれの外面および内面となるようにすることができる。すると、蓋を開いたときに目に付きやすい容器本体の底壁の内面全域に本体部展開型紙の表面がくるので、見映えが良い。
また、紙製容器が、1枚の紙で形成された本体部展開型紙および蓋部展開型紙を組立てることで完成し、さらに、2葉の内底板を底板上の中央部で互いに係合すれば容器本体の2重構造の左側壁、右側壁および底壁が完成することから、紙製容器を、糊を使わずに組み立てることができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、2葉の内底板は、それぞれ、先端辺から膨出する舌状部分を有し、互いに係合した状態で、これらの舌状部分が対称に配置される。そのため、蓋を開いたときに目に付く容器本体の底壁の内面では、舌状部分が対称となることで規則的に配置された様子が現れるので、一層見映えが良い。
請求項3記載の発明によれば、本体部展開型紙は、前側壁および後側壁を含んでいて、前側壁の両端および後側壁の両端から、それぞれ、左右一対の連結帯片が突出している。そして、左の連結帯片同士および右の連結帯片同士を連結させることにより、底板に対して直角に折り曲げられた前側壁および後側壁の折り曲げ状態が保たれている。
【0016】
これにより、容器本体において、前側壁と後側壁との相対位置を安定させることができるとともに、前側壁および後側壁の剛性を高めることができる。
請求項4記載の発明によれば、左右一対の連結帯片には、それぞれ、連結用の切欠きが形成されているので、糊を使わずに、左の連結帯片同士および右の連結帯片同士を切欠きにおいて連結させることができ、結果として、紙製容器を、糊を使わずに組み立てることができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、2片の左右側壁は、それぞれ、左右の連結帯片同士が連結された後、当該連結された左右の連結帯片を内に挟み込むように折り重ねられている。この場合、容器本体では、2重構造の左側壁および右側壁のそれぞれにおいて、内側に挟み込まれた連結帯片が芯となることによって、左側壁および右側壁が底板に対して直角に折り曲げられた状態を維持できるとともに、左側壁および右側壁の剛性を高めることができる。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、前側壁は、2片と、2片の先端から突出する係止片とを含んでいて、2片が折り重ねられて容器本体の前側壁が2重構造となる。この場合、本体部展開型紙の表面が、容器本体の前側壁の外面および内面となるようにすることができる。すると、蓋を開くときに目に付く容器本体の前側壁の内外面に本体部展開型紙の表面がくるので、見映えが良い。
【0019】
そして、係止片が底板と2葉の内底板とに挟まれて係止されているので、容器本体の2重構造の前側壁を、型崩れすることなく、安定させることができる。
請求項7記載の発明によれば、蓋部展開型紙は、後側壁を介して本体部展開型紙とつながっていて、蓋板、2片の前側壁、左側壁および右側壁を含んでいる。そして、2片の前側壁は折り重ねられて、蓋の前側壁を2重構造とする。この場合、蓋部展開型紙の表面が、蓋の前側壁の外面および内面となるようにすることができる。すると、蓋を開くときに目に付く蓋の前側壁の内外面に蓋部展開型紙の表面がくるので、見映えが良い。
【0020】
請求項8記載の発明によれば、蓋部展開型紙は、2片の左側壁、2片の右側壁および対をなす2葉の内蓋板を含んでいて、2片の左側壁および2片の右側壁は、それぞれ、折り重ねられて蓋の左側壁および右側壁を2重構造とする。そして、対をなす2葉の内蓋板は、左側壁および右側壁から蓋板下面沿いに中央部に向かって伸び、蓋板下面の中央部で互いに係合して、蓋の天壁を2重構造とする。
【0021】
この場合、蓋部展開型紙の表面が、蓋の左側壁、右側壁および天壁のそれぞれの外面および内面となるようにすることができる。すると、蓋を開くときに目に付く蓋の天壁の内面全域に蓋部展開型紙の表面がくるので、見映えが良い。
また、2葉の内蓋板を蓋板下面の中央部で互いに係合すれば蓋の2重構造の左側壁、右側壁および天壁が完成することから、紙製容器を、糊を使わずに組み立てることができる。
【0022】
請求項9記載の発明によれば、2葉の内蓋板は、それぞれ、先端辺から膨出する舌状部分を有し、互いに係合した状態で、これらの舌状部分が対称に配置される。そのため、蓋を開いたときに目に付く蓋の天壁の内面では、舌状部分が対称となることで規則的に配置された様子が現れるので、一層見映えが良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、この発明の第1実施形態に係る紙製容器Aの展開図である。
【図2】図2は、紙製容器Aの元になる型紙Xの斜視図であって、紙製容器Aを組み立てる途中の状態を示している。
【図3】図3は、型紙Xの斜視図であって、図2の次の工程を示している。
【図4】図4は、型紙Xの斜視図であって、図3の次の工程を示している。
【図5】図5は、型紙Xの斜視図であって、図4の次の工程を示している。
【図6】図6は、型紙Xの斜視図であって、図5の次の工程を示している。
【図7】図7は、型紙Xの斜視図であって、図6の次の工程を示している。
【図8】図8は、型紙Xの斜視図であって、図7の次の工程を示している。
【図9】図9は、完成した状態にある紙製容器Aの斜視図であって、蓋Cが開いた状態を示している。
【図10】図10は、完成した状態にある紙製容器Aの斜視図であって、蓋Cが閉じた状態を示している。
【図11】図11は、この発明の第2実施形態に係る紙製容器Aの展開図である。
【図12】図12は、紙製容器Aの元になる型紙Xの斜視図であって、紙製容器Aを組み立てる途中の状態を示している。
【図13】図13は、型紙Xの斜視図であって、図12の次の工程を示している。
【図14】図14は、型紙Xの斜視図であって、図13の次の工程を示している。
【図15】図15は、型紙Xの斜視図であって、図14の次の工程を示している。
【図16】図16は、型紙Xの斜視図であって、図15の次の工程を示している。
【図17】図17は、型紙Xの斜視図であって、図16の次の工程を示している。
【図18】図18は、型紙Xの斜視図であって、図17の次の工程を示している。
【図19】図19は、完成した状態にある紙製容器Aの斜視図であって、蓋Cが開いた状態を示している。
【図20】図20は、完成した状態にある紙製容器Aの斜視図であって、蓋Cが閉じた状態を示している。
【図21】図21は、この発明の第3実施形態に係る紙製容器Aの展開図である。
【図22】図22は、紙製容器Aの元になる型紙Xの斜視図であって、紙製容器Aを組み立てる途中の状態を示している。
【図23】図23は、型紙Xの斜視図であって、図22の次の工程を示している。
【図24】図24は、型紙Xの斜視図であって、図23の次の工程を示している。
【図25】図25は、型紙Xの斜視図であって、図24の次の工程を示している。
【図26】図26は、型紙Xの斜視図であって、図25の次の工程を示している。
【図27】図27は、型紙Xの斜視図であって、図26の次の工程を示している。
【図28】図28は、型紙Xの斜視図であって、図27の次の工程を示している。
【図29】図29は、型紙Xの斜視図であって、図28の次の工程を示している。
【図30】図30は、完成した状態にある紙製容器Aの斜視図であって、蓋Cが開いた状態を示している。
【図31】図31は、完成した状態にある紙製容器Aの斜視図であって、蓋Cが閉じた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
この発明に係る紙製容器A(以下では、単に「容器A」という)には、細かな部分(主に、後述する蓋C)の違いに応じて、第1から第3までの3つの実施形態がある。
以下では、各実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、この発明の第1実施形態に係る容器Aの展開図である。図2〜図8は、容器Aを組み立てる工程を示す斜視図である。図9および図10は、完成した容器Aの斜視図である。
【0025】
容器Aは、平面視で略正方形状であって、上下に扁平な略直方体形状である(図10参照)。容器Aは、上面が開放された容器本体Bと、容器本体Bの後端に連結された蓋Cとを有している(図9参照)。蓋Cは、容器本体Bとの連結部分を中心に回動することによって、容器本体Bの上面を開閉する。
容器A全体は、図1に示す1枚の紙で形成された型紙Xを組み立てることで形成される。型紙Xは、1枚の紙(厚紙等)を容器Aの展開図に合うように裁断することで形成されている。なお、図1における下側が、型紙Xおよび容器Aにおける前側であり、図1における上側が、型紙Xおよび容器Aにおける後側である。また、型紙Xにおいて図1で表れている面は、型紙Xの裏面である。型紙Xの裏面は、図1においてドットを付して示しているように、一般的に、ざらざらした粗い面である。一方、型紙Xの表面は、滑らかな面であり、この実施形態では、裏面と区別するために、表面には、ドットが付されていない。
【0026】
型紙Xは、容器本体Bを構成する部分である本体部展開型紙Yと、蓋Cを構成する部分である蓋部展開型紙Zとを一体的に有している。
本体部展開型紙Yは、本体底板1、本体左外板2、本体右外板3、本体前外板4、本体後外板5、本体左内板6、左内底板26、本体右内板7、右内底板27、左前連結帯片8、右前連結帯片9、本体前内板10、係止片11、左後連結帯片12および右後連結帯片13を含んでいる。本体前外板4、本体前内板10および係止片11は、容器本体Bの前側壁をなし、本体後外板5は、容器本体Bの後側壁をなす。また、本体左外板2および本体左内板6は、容器本体Bの2片の左側壁をなし、本体右外板3および本体右内板7は、容器本体Bの2片の右側壁をなし、左内底板26および右内底板27は、容器本体Bにおいて対をなす2葉の内底板をなす。
【0027】
蓋部展開型紙Zは、蓋板14、蓋左外板15、蓋右外板16、蓋前外板17、蓋左内板18、第1左差込片20、第2左差込片19、蓋右内板21、第1右差込片23、第2右差込片22、蓋前内板24および蓋延設板25を含んでいる。蓋左外板15は、蓋Cの左側壁をなし、蓋右外板16は、蓋Cの右側壁をなし、蓋前外板17および蓋前内板24は、蓋Cの2片の前側壁をなす。
【0028】
本体底板1は、正方形状に形成されており、前後に延びる左右の端縁と左右に延びる前後の端縁とを有している。
本体左外板2は、前後に細長い長方形状に形成されており、本体底板1の左端縁の全域に連結されている。本体左外板2と本体底板1の左端縁との境界には、折り目100が前後に延びている。なお、折り目は、ミシン目であってもよい(他の折り目についても同様)。
【0029】
本体右外板3は、本体左外板2と同じ形状を有しており、本体底板1の右端縁の全域に連結されている。本体右外板3と本体底板1の右端縁との境界には、折り目101が前後に延びている。
本体前外板4は、左右に細長い長方形状に形成されており、本体底板1の前端縁の全域に連結されている。本体前外板4と本体底板1の前端縁との境界には、折り目102が左右に延びている。本体前外板4の前後方向寸法と、本体左外板2および本体右外板3のそれぞれの左右方向寸法とはほぼ同じである。
【0030】
本体後外板5は、本体前外板4と同じ形状を有しており、本体底板1の後端縁の全域に連結されている。本体後外板5と本体底板1の後端縁との境界には、折り目103が左右に延びている。
本体左内板6は、本体左外板2と同じ形状を有していて、本体左外板2の左端縁の全域に連結されている。本体左内板6と本体左外板2の左端縁との境界には、折り目104が前後に延びている。
【0031】
左内底板26は、本体底板1の左半分を覆い得る大きさを有する略矩形状であり、本体左内板6の左端縁の全域に連結されている。左内底板26と本体左内板6の左端縁との境界には、折り目106が前後に延びている。左内底板26において左の先端辺である左端縁の前後方向略中央位置には、略三角形状の切欠き150が形成されている。また、左内底板26の左端縁には、切欠き150の前側部分に連続して左内底板26の左端縁から左前側へ膨出した舌状部分151が形成されている。切欠き150および舌状部分151のまとまりは、第1係合部51とされ、左内底板26の左端縁に設けられている。
【0032】
本体右内板7は、本体右外板3と同じ形状を有していて、本体右外板3の右端縁の全域に連結されている。本体右内板7と本体右外板3の右端縁との境界には、折り目105が前後に延びている。
右内底板27は、本体底板1の右半分を覆い得る大きさを有する略矩形状であり、本体右内板7の右端縁の全域に連結されている。右内底板27と本体右内板7の右端縁との境界には、折り目107が前後に延びている。右内底板27において右の先端辺である右端縁の前後方向略中央位置には、略三角形状の切欠き152が形成されている。また、右内底板27の右端縁には、切欠き152の後側部分に連続して右内底板27の右端縁から右後側へ膨出した舌状部分153が形成されている。切欠き152および舌状部分153のまとまりは、第2係合部52とされ、右内底板27の右端縁に設けられている。
【0033】
ここで、第1係合部51の切欠き150と、第2係合部52の切欠き152とは前後方向でほぼ同じ位置にあって、第1係合部51の舌状部分151は、切欠き150の前側部分から左前側へ膨出している一方で、第2係合部52の舌状部分153は、切欠き152の後側部分から右後側へ膨出している。つまり、舌状部分153は、右内底板27において前後方向で舌状部分151(第1係合部51)からずれた位置から膨出している。
【0034】
左前連結帯片8は、左右に細長い長方形状に形成されており、本体前外板4の左端縁の全域に連結されている。左前連結帯片8と本体前外板4の左端縁との境界には、折り目108が前後に延びている。左前連結帯片8の前後の幅は、本体前外板4から離れるに従って狭くなっている。左前連結帯片8の前端縁の左端部には、第3係合部54が形成されている。第3係合部54は、後側へ窪む切欠きである。
【0035】
右前連結帯片9は、左前連結帯片8と同じ大きさであって、左右に細長い長方形状に形成されており、本体前外板4の右端縁の全域に連結されている。右前連結帯片9と本体前外板4の右端縁との境界には、折り目109が前後に延びている。右前連結帯片9の前後の幅は、本体前外板4から離れるに従って狭くなっている。右前連結帯片9の前端縁の右端部には、第4係合部55が形成されている。第4係合部55は、後側へ窪む切欠きである。
【0036】
左前連結帯片8および右前連結帯片9は、対をなし、本体前外板4の左右両端から突出している。
本体前内板10は、本体前外板4と同じ形状を有しており、本体前外板4の前端縁の全域に連結されている。本体前内板10と本体前外板4の前端縁との境界には、折り目110が左右に延びている。本体前外板4および本体前内板10は、2片をなす。
【0037】
係止片11は、本体前内板10と同じ左右方向寸法を有する左右に細長い長方形状であり、本体前内板10において前側の先端である前端縁の全域に連結されていて、本体前内板10の前端縁から突出している。係止片11の前後方向寸法は、本体前内板10の前後方向寸法より小さく、ここでは、本体前内板10の前後方向寸法の半分以下である。係止片11と本体前内板10の前端縁との境界には、折り目111が左右に延びている。
【0038】
左後連結帯片12は、左前連結帯片8とほぼ同じ形状を有しており、本体後外板5の左端縁のほぼ全域に連結されている。左後連結帯片12と本体後外板5の左端縁との境界には、折り目112が前後に延びている。左後連結帯片12の前後の幅は、本体後外板5から離れるに従って狭くなっている。左後連結帯片12の前端縁の左端部には、第5係合部56が形成されている。第5係合部56は、後側へ窪む切欠きである。
【0039】
右後連結帯片13は、右前連結帯片9とほぼ同じ形状を有しており、本体後外板5の右端縁のほぼ全域に連結されている。右後連結帯片13と本体後外板5の右端縁との境界には、折り目113が前後に延びている。右後連結帯片13の前後の幅は、本体後外板5から離れるに従って狭くなっている。右後連結帯片13の前端縁の右端部には、第6係合部57が形成されている。第6係合部57は、後側へ窪む切欠きである。
【0040】
左後連結帯片12および右後連結帯片13は、対をなし、本体後外板5の左右両端から突出している。
蓋板14は、本体底板1とほぼ同じ大きさの正方形状に形成されており、前後に延びる左右の端縁と左右に延びる前後の端縁とを有している。蓋板14の前端縁の全域は、本体後外板5の後端縁の全域に連結されている。蓋板14の前端縁と本体後外板5の後端縁との境界には、折り目114が左右に延びている。
【0041】
蓋板14は、本体後外板5を介して本体底板1に連結されている。つまり、蓋板14を含む蓋部展開型紙Zは、本体後外板5を介して、本体底板1を含む本体部展開型紙Yとつながっている。
蓋左外板15は、前後に細長い長方形状に形成されており、蓋板14の左端縁の全域に連結されている。蓋左外板15の前端縁は、左側へ向かうに従って後側へ傾斜している。蓋左外板15と蓋板14の左端縁との境界には、折り目115が前後に延びている。
【0042】
蓋右外板16は、前後に細長い長方形状に形成されており、蓋板14の右端縁の全域に連結されている。蓋右外板16の前端縁は、右側へ向かうに従って後側へ傾斜している。蓋右外板16と蓋板14の右端縁との境界には、折り目116が前後に延びている。
蓋前外板17は、本体後外板5と同じ形状を有しており、蓋板14の後端縁の全域に連結されている。蓋前外板17と蓋板14の後端縁との境界には、折り目117が左右に延びている。
【0043】
蓋左内板18は、蓋左外板15の左端縁の後端部に連結されている。蓋左内板18と蓋左外板15の左端縁との境界には、折り目118が前後に延びている。蓋左内板18は、折り目118と、折り目118の後端から左側へ延びる部分と、折り目118の前端から左後側へ傾斜して延びる部分とを3辺とする略三角形状である。
第1左差込片20は、前後に細長い長方形状であり、蓋左外板15の後端縁の全域に連結されている。第1左差込片20の前後方向寸法は、蓋前外板17の左右方向寸法の半分程度である。第1左差込片20と蓋左外板15の後端縁との境界には、折り目120が左右に延びている。
【0044】
第2左差込片19は、第1左差込片20とほぼ同じ形状を有しており、蓋左内板18の後端縁の略右半分に連結されている。第2左差込片19と第1左差込片20とは、直接つながっておらず、分離されている。第2左差込片19と蓋左内板18の後端縁との境界には、折り目119が左右に延びている。蓋左内板18の後端部、厳密には第2左差込片19と蓋左内板18の後端縁の略左半分との間には、左右に延びる左切欠き62が形成されていて、第2左差込片19と蓋左内板18の後端縁の略左半分とは、左切欠き62によって分離されている。左切欠き62は、折り目119に対して前側へ少しずれた位置に形成されている。
【0045】
蓋右内板21は、蓋右外板16の右端縁の後端部に連結されている。蓋右内板21と蓋右外板16の右端縁との境界には、折り目121が前後に延びている。蓋右内板21は、折り目121と、折り目121の後端から右側へ延びる部分と、折り目121の前端から右後側へ傾斜して延びる部分とを3辺とする略三角形状であり、蓋左内板18と同じ形状である。
【0046】
第1右差込片23は、第1左差込片20と同じ形状であり、蓋右外板16の後端縁の全域に連結されている。第1右差込片23と蓋右外板16の後端縁との境界には、折り目123が左右に延びている。
第2右差込片22は、第2左差込片19とほぼ同じ形状であり、蓋右内板21の後端縁の略左半分に連結されている。第2右差込片22と第1右差込片23とは、直接つながっておらず、分離されている。第2右差込片22と蓋右内板21の後端縁との境界には、折り目122が左右に延びている。蓋右内板21の後端部、厳密には第2右差込片22と蓋右内板21の後端縁の略右半分との間には、左右に延びる右切欠き63が形成されていて、第2右差込片22と蓋右内板21の後端縁の略右半分とは、右切欠き63によって分離されている。右切欠き63は、折り目122に対して前側へ少しずれた位置に形成されている。
【0047】
蓋前内板24は、蓋前外板17とほぼ同じ大きさを有する左右に長手の長方形状であり、蓋前外板17の後端縁の全域に連結されている。蓋前内板24と蓋前外板17の後端縁との境界には、折り目124が左右に延びている。蓋前内板24では、蓋前外板17側の略前側部分が、略後側部分よりも少し幅狭になっており、これにより、蓋前内板24の左端縁の後側部分には、左側へ膨出する第1蓋左凸部64が連結され、蓋前内板24の右端縁の後側部分には、右側へ膨出する第1蓋右凸部65が連結されている。第1蓋左凸部64および第1蓋右凸部65は、前後に長手で左右に扁平な長方形状である。
【0048】
蓋延設板25は、蓋前内板24より若干小さい左右方向寸法を有する左右に細長い長方形状であり、蓋前内板24の後端縁のほぼ全域に連結されている。蓋延設板25の前後方向寸法は、蓋前内板24の前後方向寸法より小さく、ここでは、蓋前内板24の前後方向寸法の半分以下である。蓋延設板25と蓋前内板24の後端縁との境界には、折り目125が左右に延びている。
【0049】
また、前述した蓋左内板18の左端縁には、略矩形状の第2蓋左凸部60が連結されている。第2蓋左凸部60と蓋左内板18の左端縁との境界には、折り目126が前後に延びている。第2蓋左凸部60と同じ形状の第2蓋右凸部61が、蓋右内板21の右端縁に連結されている。第2蓋右凸部61と蓋右内板21の右端縁との境界には、折り目127が前後に延びている。第2蓋左凸部60および第2蓋右凸部61は、型紙Xに含まれる。
【0050】
このような型紙Xでは、角部分が丸められている(第2および第3実施形態においても同様)。
次に、型紙Xから容器Aを組み立てる手順について説明する。なお、以下に示す容器Aの組み立て手順は、あくまで一例に過ぎず、容器Aが正しく完成するのであれば、他の組み立て手順によって容器Aを組み立てても構わない。
【0051】
まず、型紙Xを、裏面が上を向くように、水平面に載置する。
次いで、図2に示すように、本体前外板4を、本体底板1に対して直交するように折り目102において上向きに折り曲げ、本体後外板5を、本体底板1に対して直交するように折り目103において上向きに折り曲げる。このとき、本体前内板10および係止片11は、本体前外板4に沿って上向きに延びている。
【0052】
次いで、蓋板14を、上向きに延びている本体後外板5に対して直交するように折り目114において後向きに折り曲げる。
次いで、左前連結帯片8と左後連結帯片12とを、対応する折り目108,112において、互いに接近する方向へ折り曲げ、右前連結帯片9と右後連結帯片13とを、対応する折り目109,113において、互いに接近する方向へ折り曲げる。これにより、左前連結帯片8および右前連結帯片9は、本体前外板4に対して後向きに直交し、左後連結帯片12および右後連結帯片13は、本体後外板5に対して前向きに直交する。
【0053】
次いで、左後連結帯片12における第5係合部56の周縁部を左前連結帯片8の第3係合部54に嵌め込んで第3係合部54と第5係合部56とを係合し、左前連結帯片8と左後連結帯片12とを連結する。同様に、右後連結帯片13における第6係合部57の周縁部を右前連結帯片9の第4係合部55に嵌め込んで第4係合部55と第6係合部57とを係合し、右前連結帯片9と右後連結帯片13とを連結する。これにより、本体底板1に対して直角に折り曲げられた本体前外板4および本体後外板5の折り曲げ状態が保たれる。
【0054】
ここで、第3係合部54、第4係合部55、第5係合部56および第6係合部57は、いずれも切欠きである(図1参照)。これにより、糊を使わずに、左前連結帯片8と左後連結帯片12とを切欠き(第3係合部54および第5係合部56)において連結させることができ、右前連結帯片9と右後連結帯片13とを切欠き(第4係合部55および第6係合部57)において連結させることができる。
【0055】
次いで、図3に示すように、本体前内板10を、本体前外板4に対して後側から折り重なるように折り目110において折り畳み、係止片11を、折り畳まれた本体前内板10に対して直交するように折り目111において後向きに折り曲げる。折り曲げられた係止片11は、本体底板1の上面(裏面)の前端部の左右方向全域に対して上から対向する。
次いで、図4に示すように、本体左内板6を、本体左外板2に対して直交するように折り目104において上向きに折り曲げるとともに、左内底板26を、上向きに折れ曲った本体左内板6に対して直交するように折り目106において左向きに折り曲げる。同様に、本体右内板7を、本体右外板3に対して直交するように折り目105において上向きに折り曲げるとともに、右内底板27を、上向きに折れ曲った本体右内板7に対して直交するように折り目107において右向きに折り曲げる。
【0056】
次いで、本体左外板2を、本体底板1に対して直交するように折り目100において上向きに折り曲げるとともに、本体左内板6を、本体左外板2に対して右側から折り重なるように折り目104において折り畳む。すると、本体左外板2と本体左内板6とに(本体左外板2および本体左内板6の内に)、連結された左前連結帯片8および左後連結帯片12が挟み込まれる。そして、左内底板26が、本体左外板2および本体左内板6から本体底板1上を本体底板1の左右方向中央部に向かって積層されるように伸びて、本体底板1の上面(裏面)の略左半分を上から覆う(図5参照)。
【0057】
同様に、本体右外板3を、本体底板1に対して直交するように折り目101において上向きに折り曲げるとともに、本体右内板7を、本体右外板3に対して左側から折り重なるように折り目105において折り畳む。すると、本体右外板3と本体右内板7とに(本体右外板3および本体右内板7の内に)、連結された右前連結帯片9および右後連結帯片13が挟み込まれる。さらに、右内底板27が、本体右外板3および本体右内板7から本体底板1上を本体底板1の左右方向中央部に向かって積層されるように伸びて、本体底板1の上面(裏面)の略右半分を上から覆う(図5参照)。このとき、左内底板26および右内底板27と、本体底板1との間に係止片11が挟み込まれて係止される。
【0058】
次いで、図5に示すように、左内底板26の舌状部分151を右内底板27の切欠き152(図1参照)に上から嵌め込み、さらに、右内底板27の舌状部分153を左内底板26の切欠き150(図1参照)に上から嵌め込む。これにより、左内底板26の舌状部分151の下に、右内底板27における切欠き152の周縁部が潜り込み、さらに、右内底板27の舌状部分153の下に、左内底板26における切欠き150の周縁部が潜り込む。その結果、左内底板26の第1係合部51と、右内底板27の第2係合部52とが、本体底板1の左右方向中央部上で互いに係合する。この状態で、舌状部分151および153は、前後に並びつつ、対称に配置されている。なお、舌状部分151および153のそれぞれが逆向きに膨出するように形成されていてもよく、その場合、第1係合部51と第2係合部52とが係合したときに舌状部分151および153の前後に並ぶ順番は、逆になる。
【0059】
第1係合部51と第2係合部52とが係合することにより、容器本体Bが完成する。容器本体Bでは、折り重なっている本体前外板4および本体前内板10によって、2重構造の前側壁Dが構成されている。また、左前連結帯片8および左後連結帯片12を挟んだ状態で折り重なっている本体左外板2および本体左内板6によって、2重構造の左側壁Eが構成され、右前連結帯片9および右後連結帯片13を挟んだ状態で折り重なっている本体右外板3および本体右内板7によって、2重構造の右側壁Fが構成されている。容器本体Bの底壁Gは、本体底板1と、本体底板1の略左半分を上から覆う左内底板26と、本体底板1の略右半分を上から覆う右内底板27とで構成される2重構造である。容器本体Bの後側壁Hは、本体後外板5である。
【0060】
このように、左内底板26の第1係合部51と右内底板27の第2係合部52とを互いに係合すれば、糊を使わずに容器本体Bの2重構造の左側壁E、右側壁Fおよび底壁Gが完成する。
そして、容器本体Bでは、後側内側面(後側壁Hの前側面)以外の全ての面に、型紙Xの表面がきている。
【0061】
また、容器本体Bでは、左前連結帯片8の第3係合部54と左後連結帯片12の第5係合部56とが係合するとともに、右前連結帯片9の第4係合部55と右後連結帯片13の第6係合部57とが係合することで、左前連結帯片8と左後連結帯片12とが連結され、右前連結帯片9と右後連結帯片13とが連結されている(図4参照)。これにより、前述したように、本体底板1に対して直角に折り曲げられた本体前外板4および本体後外板5の折り曲げ状態が保たれるので、容器本体Bにおいて、前側壁Dと後側壁Hとの相対位置を安定させることができるとともに、前側壁Dおよび後側壁Hの剛性を高めることができる。
【0062】
また、2重構造の左側壁Eおよび右側壁Fのそれぞれにおいて、内側に挟み込まれた連結帯片(左前連結帯片8、右前連結帯片9、左後連結帯片12、右後連結帯片13)が芯となる。これによって、左側壁Eおよび右側壁Fが本体底板1に対して直角に折り曲げられた状態を維持できるとともに、左側壁Eおよび右側壁Fの剛性を高めることができる。
そして、左内底板26の第1係合部51と右内底板27の第2係合部52とが係合することによって、左側壁Eと右側壁Fとの間で左内底板26および右内底板27が突っ張っている。これにより、左側壁Eと右側壁Fとの相対位置が安定するとともに、それぞれの剛性が一層高められている。
【0063】
さらに、係止片11(図4参照)が本体底板1と左内底板26および右内底板27とに挟まれて係止されているので、前側壁D、左側壁E、右側壁F、底壁Gおよび後側壁Hが、強固に構成された状態で一体化されており、容器本体Bは、型崩れすることなく安定している。また、前側壁D、左側壁E、右側壁Fおよび後側壁Hの剛性を保つ左前連結帯片8、左後連結帯片12、右前連結帯片9および右後連結帯片13(図4参照)は、隠れているので、見映えがよい。
【0064】
次に、蓋Cを組み立てる。
まず、蓋左内板18を、折り目118において右側へ折り畳むとともに、蓋右内板21を、折り目121において左側へ折り畳む。すると、図6に示すように、蓋左内板18が蓋左外板15の後端部に折り重なるとともに、第2左差込片19が第1左差込片20に折り重なり、蓋右内板21が蓋右外板16の後端部に折り重なるとともに、第2右差込片22が第1右差込片23に折り重なる。また、蓋左内板18に連結された第2蓋左凸部60が、蓋板14の左端部における蓋前外板17側の端部に上から重なり、蓋右内板21に連結された第2蓋右凸部61が、蓋板14の右端部における蓋前外板17側の端部に上から重なる。
【0065】
次いで、図7に示すように、蓋左外板15を、蓋板14に対して直交するように、折り目115において上向きに折り曲げるとともに、蓋右外板16を、蓋板14に対して直交するように、折り目116において上向きに折り曲げる。すると、第2蓋左凸部60および第2蓋右凸部61は、引き続き蓋板14に上から重なっている一方で、蓋左外板15の後端部に折り重なっている蓋左内板18と、蓋右外板16の後端部に折り重なっている蓋右内板21とが、ともに、蓋板14に対して直交するように上向きに折れ曲がる。このとき、第2蓋左凸部60および第2蓋右凸部61を基準とすると、第2蓋左凸部60は、蓋板14に上から沿うように折り目126において折り曲げられ、第2蓋右凸部61は、蓋板14に上から沿うように折り目127(図1参照)において折り曲げられる。
【0066】
次いで、重なった第2左差込片19および第1左差込片20と、重なった第2右差込片22および第1右差込片23とを、互いに接近する方向へ折り曲げる。つまり、第2左差込片19および第1左差込片20を、蓋左外板15および蓋左内板18に対して直交するように、折り目119および120において右側へ折り曲げ、第2右差込片22および第1右差込片23を、蓋右外板16および蓋右内板21に対して直交するように、折り目122および123において左側へ折り曲げる。
【0067】
次いで、図8に示すように、蓋前内板24を、蓋前外板17に対して直交するように、折り目124において上向きに折り曲げるとともに、蓋延設板25を、蓋前内板24に対して直交するように、折り目125において後向きに折り曲げる。
次いで、蓋前外板17を、蓋板14に対して直交するように折り目117において上向きに折り曲げるとともに、蓋前内板24を、蓋前外板17に対して前側から折り重なるように折り目124において折り畳む。すると、蓋前外板17と蓋前内板24との間に、重なった第2左差込片19および第1左差込片20と、重なった第2右差込片22および第1右差込片23とが挟み込まれる(図9参照)。
【0068】
このとき、図9に示すように、蓋延設板25が蓋板14に対して対向し、蓋延設板25と蓋板14との間に、第2蓋左凸部60および第2蓋右凸部61が挟み込まれる。また、蓋前内板24の左端における第1蓋左凸部64が、蓋左内板18と第2左差込片19と間の左切欠き62(図1および図7参照)に通されて、蓋左外板15と蓋左内板18との間に挟み込まれる。また、蓋前内板24の右端における第1蓋右凸部65が、蓋右内板21と第2右差込片22と間の右切欠き63(図1および図7参照)に通されて、蓋右外板16と蓋右内板21との間に挟み込まれる。これにより、蓋Cが完成し、容器Aが完成する。これまでの工程で、糊は一切使用していない。
【0069】
蓋Cでは、折り重なっている蓋前外板17および蓋前内板24によって、2重構造の前側壁Iが構成され、折り重なっている蓋左外板15および蓋左内板18によって、一部が2重構造の左側壁Jが構成され、折り重なっている蓋右外板16および蓋右内板21によって、一部が2重構造の右側壁Kが構成されている。または、蓋Cでは、折り重なっている蓋板14および蓋延設板25によって、一部が2重構造の天壁Lが構成されている。
【0070】
蓋Cでは、左内側面、右内側面および内底面の一部以外の全ての面に、型紙Xの表面がきている。また、蓋前内板24の第1蓋左凸部64が蓋左外板15と蓋左内板18との間に挟まれ、蓋前内板24の第1蓋右凸部65が蓋右外板16と蓋右内板21との間に挟まれ、さらに、第2蓋左凸部60および第2蓋右凸部61が蓋板14と蓋延設板25との間に挟まれている。そのため、蓋Cの前側壁I、左側壁J、右側壁Kおよび天壁Lは、一体となった状態で、強固に構成され、蓋Cは、型崩れすることなく安定している。
【0071】
前述したように蓋板14が本体後外板5に連結されているので、容器本体Bと蓋Cとは、蓋板14と本体後外板5との境界(折り目114)において連結されている。図9では、蓋Cが開いた状態にあり、蓋Cを、折り目114を中心として前側へ回動させると、図10に示すように、蓋Cが、閉じて容器本体Bに上から被さる。このとき、蓋Cの天壁Lが容器本体Bの上面(開口部)を塞いでいるとともに、蓋Cの左側壁Jが容器本体Bの左側壁Eの左外側にあり、蓋Cの右側壁Kが容器本体Bの右側壁Fの右外側にあり、蓋Cの前側壁Iが容器本体Bの前側壁Dの前外側にある。閉じた蓋Cを、折り目114を中心として後側へ回動させると、図9に示すように蓋Cが開く。
【0072】
このように、容器Aは、1枚の紙で形成された型紙X(本体部展開型紙Yおよび蓋部展開型紙Z)を組立てることで完成するので、糊を使わずに組み立てることができる。これにより、糊貼りに必要な装置が不要となるので、容器Aを少数生産する場合に都合がよい。
また、以上のように型紙Xの裏面が上を向いた状態で容器Aを組み立てれば、型紙X(本体部展開型紙Y)の表面が、容器本体Bの左側壁E、右側壁Fおよび底壁Gのそれぞれの外面および内面となる。特に、左内底板26および右内底板27のそれぞれにおいて本体部展開型紙Yの表面であった面が、容器本体Bの底壁Gの内面(上面)をなすことから、蓋Cを開いたときに目に付きやすい容器本体Bの底壁Gの内面全域に本体部展開型紙Yの表面がくるので、見映えが良い。
【0073】
そのため、たとえば、型紙Xの表面に、任意の装飾模様を施しておけば、容器Aを組み立てると、容器Aの外面だけでなく、容器本体Bの内底面(底壁Gの上面)にも、この装飾模様が現れるので、様々な要望に応じて容器Aに装飾模様を施すことができる。
さらに、蓋Cを開いたときに、容器本体Bの底壁Gの内面では、舌状部分151,153が対称となることで規則的に配置された様子が現れるので、一層見映えが良い。
【0074】
型紙Xの裏面が上を向いた状態で容器Aを組み立てれば、型紙X(本体部展開型紙Y)の表面が、容器本体Bの前側壁Dの外面および内面となり、型紙X(蓋部展開型紙Z)の表面が、蓋Cの前側壁Iの外面および内面となる。これにより、蓋Cを開くときにおいて、容器本体Bの底壁Gの内面だけでなく、容器本体Bの前側壁Dおよび蓋Cの前側壁Iのそれぞれの内外面に、型紙Xの表面がくるので、見映えが良い。
【0075】
次に、第2実施形態および第3実施形態について説明する。第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態では、容器本体Bの構成および組み立て手順ならびに完成後の容器Aの形状は共通であり、蓋Cの構成および組み立て手順だけが異なっている。そのため、第2実施形態および第3実施形態において、第1実施形態で説明した部材と同じ部材には、同一符号を付して、その説明(特に容器本体Bの説明)を省略するとともに、容器本体Bの組み立て手順についての説明も省略する。
<第2実施形態>
図11は、この発明の第2実施形態に係る容器Aの展開図である。図12〜図18は、容器Aを組み立てる工程を示す斜視図である。図19および図20は、完成した容器Aの斜視図である。
【0076】
第2実施形態に係る容器Aに関し、図11に示す型紙X(本体部展開型紙Y)は、第1実施形態と同様に、容器本体Bを構成する部材として、本体底板1、本体左外板2、本体右外板3、本体前外板4、本体後外板5、本体左内板6、左内底板26、本体右内板7、右内底板27、左前連結帯片8、右前連結帯片9、本体前内板10、係止片11、左後連結帯片12および右後連結帯片13を含んでいる。
【0077】
ただし、第1実施形態と異なり、本体左外板2の後端部には、後側へ略U字状に膨出して本体左外板2を貫通する本体係合部160が形成されているとともに、本体右外板3の後端部にも、本体係合部160と同形状で本体右外板3を貫通する本体係合部161が形成されている。本体係合部160および本体係合部161は、切欠きである。
また、第2実施形態の型紙X(蓋部展開型紙Z)は、蓋Cを構成する部材として、第1実施形態と同様に、蓋板14、蓋左外板15、蓋右外板16、蓋前外板17、蓋左内板18、第1左差込片20、第2左差込片19、蓋右内板21、第1右差込片23、第2右差込片22、蓋前内板24および蓋延設板25を含んでいる。
【0078】
ただし、第2実施形態では、蓋左外板15の前端縁の左右方向略中央に、前側へ突出する略矩形状の蓋係合部162が設けられ、蓋右外板16の前端縁の左右方向略中央に、前側へ突出する略矩形状の蓋係合部163が設けられている。
また、第2実施形態では、左切欠き62は、蓋左内板18の後端縁の左右方向略中央から前側へ窪む略矩形状であり、右切欠き63は、蓋右内板21の後端縁の左右方向略中央から前側へ窪む略矩形状である。
【0079】
また、第2実施形態の蓋左内板18、第2左差込片19、第1左差込片20、蓋右内板21、第2右差込片22および第1右差込片23は、第1実施形態において対応するものに比べて小さくなっている(図1参照)。
また、第2実施形態では、第1実施形態と比較して、第1蓋左凸部64は、蓋前内板24の左端縁において前寄りの前後方向略中央位置に設けられ、第1蓋右凸部65は、蓋前内板24の右端縁において前寄りの前後方向略中央位置に設けられている(図1参照)。第1蓋左凸部64と蓋前内板24の左端縁との境界には、折り目128が前後に延びていて、第1蓋右凸部65と蓋前内板24の右端縁との境界には、折り目129が前後に延びている。
【0080】
このような第2実施形態の型紙Xから、型紙Xの裏面が上を向いた状態で、第1実施形態と同様に、容器本体Bを組み立てる(図12〜図15参照)。なお、図12は、図2に対応し、図13は、図3に対応し、図14は、図4に対応し、図15は、図5に対応している。
図15に示すように容器本体Bが完成した状態で、次に、蓋Cを組み立てる。
【0081】
まず、蓋左内板18を、折り目118において右側へ折り畳むとともに、蓋右内板21を、折り目121において左側へ折り畳む。すると、図16に示すように、蓋左内板18が蓋左外板15の後端部に折り重なるとともに、第2左差込片19が第1左差込片20に折り重なり、蓋右内板21が蓋右外板16の後端部に折り重なるとともに、第2右差込片22が第1右差込片23に折り重なる。また、蓋左内板18に連結された第2蓋左凸部60が、蓋板14の左端部における蓋前外板17側の端部に上から重なり、蓋右内板21に連結された第2蓋右凸部61が、蓋板14の右端部における蓋前外板17側の端部に上から重なる。
【0082】
次いで、図17に示すように、蓋左外板15を、蓋板14に対して直交するように、折り目115において上向きに折り曲げるとともに、蓋右外板16を、蓋板14に対して直交するように、折り目116において上向きに折り曲げる。すると、第2蓋左凸部60および第2蓋右凸部61は、引き続き蓋板14に上から重なっている一方で、蓋左外板15の後端部に折り重っている蓋左内板18と、蓋右外板16の後端部に折り重なっている蓋右内板21とが、ともに、蓋板14に対して直交するように上向きに折れ曲がる。このとき、第2蓋左凸部60および第2蓋右凸部61を基準とすると、第2蓋左凸部60は、蓋板14に上から沿うように折り目126において折り曲げられ、第2蓋右凸部61は、蓋板14に上から沿うように折り目127(図11参照)において折り曲げられる。
【0083】
次いで、重なった第2左差込片19および第1左差込片20と、重なった第2右差込片22および第1右差込片23とを、互いに接近する方向へ折り曲げる。つまり、第2左差込片19および第1左差込片20を、蓋左外板15および蓋左内板18に対して直交するように、折り目119および120において右側へ折り曲げ、第2右差込片22および第1右差込片23を、蓋右外板16および蓋右内板21に対して直交するように、折り目122および123において左側へ折り曲げる。
【0084】
次いで、図18に示すように、蓋前内板24を、蓋前外板17に対して直交するように、折り目124において上向きに折り曲げるとともに、蓋延設板25を、蓋前内板24に対して直交するように、折り目125において後向きに折り曲げる。
次いで、蓋前外板17を、蓋板14に対して直交するように折り目117において上向きに折り曲げるとともに、蓋前内板24を、蓋前外板17に対して前側から折り重なるように折り目124において折り畳む。すると、蓋前外板17と蓋前内板24との間に、重なった第2左差込片19および第1左差込片20と、重なった第2右差込片22および第1右差込片23とが挟み込まれる(図19参照)。
【0085】
このとき、図19に示すように、蓋延設板25が蓋板14に対して対向し、蓋延設板25と蓋板14との間に、第2蓋左凸部60および第2蓋右凸部61が挟み込まれる。また、蓋前内板24の左端における第1蓋左凸部64が、蓋左内板18の後端の左切欠き62に通されて、蓋左外板15と蓋左内板18との間に挟み込まれる。このとき、第1蓋左凸部64は、蓋前内板24に対して直交するように、折り目128において前向きに折れ曲がっている。また、蓋前内板24の右端における第1蓋右凸部65が、蓋右内板21の後端の右切欠き63に通されて、蓋右外板16と蓋右内板21との間に挟み込まれる。このとき、第1蓋右凸部65は、蓋前内板24に対して直交するように、折り目129(図18参照)において前向きに折れ曲がっている。
【0086】
以上により、蓋Cが完成し、容器Aが完成する。第2実施形態においても、これまでの工程で、糊は一切使用していない。
蓋Cでは、折り重なっている蓋前外板17および蓋前内板24によって、2重構造の前側壁Iが構成され、折り重なっている蓋左外板15および蓋左内板18によって、一部が2重構造の左側壁Jが構成され、折り重なっている蓋右外板16および蓋右内板21によって、一部が2重構造の右側壁Kが構成されている。または、蓋Cでは、折り重なっている蓋板14および蓋延設板25によって、一部が2重構造の天壁Lが構成されている。
【0087】
蓋Cでは、第1実施形態(図9参照)と同様に、左内側面、右内側面および内底面の一部以外の全ての面に、型紙Xの表面がきている。また、前述したように、蓋延設板25と蓋板14との間に第2蓋左凸部60および第2蓋右凸部61が挟み込まれ、第1蓋左凸部64が左切欠き62に嵌まり込み、第1蓋右凸部65が右切欠き63に嵌まり込んでいる。そのため、蓋Cでは、前側壁I、左側壁J、右側壁Kおよび天壁Lが一体化されており、蓋Cは、型崩れすることなく安定している。
【0088】
容器本体Bと蓋Cとは、蓋板14と本体後外板5との境界(折り目114)において連結されている。図19では、蓋Cが開いた状態にあり、蓋Cを、折り目114を中心として前側へ回動させると、図20に示すように、蓋Cが、閉じて容器本体Bに上から被さる。
このとき、蓋Cの天壁Lが容器本体Bの上面(開口部)を塞いでいるとともに、蓋Cの左側壁Jが容器本体Bの左側壁Eの左外側にあり、蓋Cの右側壁Kが容器本体Bの右側壁Fの右外側にあり、蓋Cの前側壁Iが容器本体Bの前側壁Dの前外側にある。
【0089】
また、このとき、蓋左外板15の蓋係合部162(図19参照)が、本体左外板2の本体係合部160(図11参照)に対して前側から嵌り込み、蓋右外板16の蓋係合部163が、図20に示すように、本体右外板3の本体係合部161に対して前側から嵌り込む。つまり、蓋Cが閉じられた状態において、本体係合部160,161と蓋係合部162,163とが係合する。そのため、蓋Cが不意に開くことを防止できる。
【0090】
そして、閉じた蓋Cを、所定以上の力で、折り目114を中心として後側へ回動させると、本体係合部160,161と蓋係合部162,163との係合状態が解消され、図19に示すように蓋Cが開く。
このような第2実施形態では、第1実施形態と同じ作用効果を奏することができる。
<第3実施形態>
図21は、この発明の第3実施形態に係る容器Aの展開図である。図22〜図29は、容器Aを組み立てる工程を示す斜視図である。図30および図31は、完成した容器Aの斜視図である。
【0091】
第3実施形態に係る容器Aに関し、図21に示す型紙X(本体部展開型紙Y)は、第1実施形態および第2実施形態と同様に、容器本体Bを構成する部材として、本体底板1、本体左外板2、本体右外板3、本体前外板4、本体後外板5、本体左内板6、左内底板26、本体右内板7、右内底板27、左前連結帯片8、右前連結帯片9、本体前内板10、係止片11、左後連結帯片12および右後連結帯片13を含んでいる。
【0092】
また、第3実施形態の型紙X(蓋部展開型紙Z)は、蓋Cを構成する部材として、第1実施形態および第2実施形態と同様に、蓋板14、蓋左外板15、蓋右外板16、蓋前外板17、蓋前内板24および蓋延設板25を含んでいる。ただし、第3実施形態では、蓋前内板24には、第1蓋左凸部64および第1蓋右凸部65(図1参照)は設けられていない。
【0093】
また、第3実施形態の型紙X(蓋部展開型紙Z)は、蓋Cを構成する部材として、第1および第2実施形態とは異なり、さらに、蓋左内板218、左内蓋板220、蓋右内板219、右内蓋板221、左差込片222および右差込片223を含んでいる。蓋左外板15および蓋左内板218は、蓋Cの2片の左側壁をなし、蓋右外板16および蓋右内板219は、蓋Cの2片の右側壁をなす。左内蓋板220および右内蓋板221は、蓋Cにおいて対をなす2葉の内蓋板をなす。
【0094】
蓋左内板218は、蓋左外板15とほぼ同じ形状を有していて、蓋左外板15の左端縁の全域に連結されている。蓋左内板218と蓋左外板15の左端縁との境界には、折り目230が前後に延びている。
左内蓋板220は、蓋板14の左半分を覆い得る大きさを有する略矩形状であり、蓋左内板218の左端縁の全域に連結されている。左内蓋板220と蓋左内板218の左端縁との境界には、折り目231が前後に延びている。左内蓋板220において左の先端辺である左端縁の前後方向略中央位置には、略三角形状の切欠き269が形成されている。また、左内蓋板220の左端縁には、切欠き269の前側部分に連続して左内蓋板220の左端縁から左前側へ膨出した舌状部分270が形成されている。切欠き269および舌状部分270のまとまりは、第7係合部200とされ、左内蓋板220の左端縁に設けられている。
【0095】
蓋右内板219は、蓋右外板16とほぼ同じ形状を有していて、蓋右外板16の右端縁の全域に連結されている。蓋右内板219と蓋右外板16の右端縁との境界には、折り目232が前後に延びている。
右内蓋板221は、蓋板14の右半分を覆い得る大きさを有する略矩形状であり、蓋右内板219の右端縁の全域に連結されている。右内蓋板221と蓋右内板219の右端縁との境界には、折り目233が前後に延びている。右内蓋板221において右の先端辺である右端縁の前後方向略中央位置には、略三角形状の切欠き271が形成されている。また、右内蓋板221の右端縁には、切欠き271の後側部分に連続して右内蓋板221の右端縁から右後側へ膨出した舌状部分272が形成されている。切欠き271および舌状部分272のまとまりは、第8係合部201とされ、右内蓋板221の右端縁に設けられている。
【0096】
ここで、第7係合部200の切欠き269と、第8係合部201の切欠き271とは前後方向でほぼ同じ位置にあって、第7係合部200の舌状部分270は、切欠き269の前側部分から左前側へ膨出している一方で、第8係合部201の舌状部分272は、切欠き270の後側部分から右後側へ膨出している。つまり、第8係合部201の舌状部分272は、右内蓋板221において前後方向で舌状部分270(第7係合部200)からずれた位置から膨出している。
【0097】
左差込片222は、前後に細長い長方形状であり、蓋左外板15の後端縁の全域に連結されている。左差込片222の前後方向寸法は、蓋前外板17の左右方向寸法の半分程度である。左差込片222と蓋左外板15の後端縁との境界には、折り目234が左右に延びている。
右差込片223は、左差込片222と同じ形状であり、蓋右外板16の後端縁の全域に連結されている。右差込片223と蓋右外板16の後端縁との境界には、折り目235が左右に延びている。
【0098】
このような第3実施形態の型紙Xから、型紙Xの裏面が上を向いた状態で、第1および第2実施形態と同様に、容器本体Bを組み立てる(図22〜図25参照)。なお、図22は、図2および図12に対応し、図23は、図3および図13に対応し、図24は、図4および図14に対応し、図25は、図5および図15に対応している。
図25に示すように容器本体Bが完成した状態で、次に、蓋Cを組み立てる。
【0099】
まず、図26に示すように、蓋左外板15を、蓋板14に対して直交するように、折り目115において上向きに折り曲げ、蓋右外板16を、蓋板14に対して直交するように、折り目116において上向きに折り曲げる。すると、蓋左内板218および左内蓋板220が、蓋左外板15に沿って上向きに延びるとともに、蓋右内板219および右内蓋板221が、蓋右外板16に沿って上向きに延びる。
【0100】
次いで、左差込片222および右差込片223を互いに接近する方向へ折り曲げる。つまり、左差込片222を、蓋左外板15に対して直交するように、折り目234において右向きに折り曲げるとともに、右差込片223を、蓋右外板16に対して直交するように、折り目235において左向きに折り曲げる。
次いで、図27に示すように、蓋前内板24を、蓋前外板17に対して直交するように、折り目124において上向きに折り曲げるとともに、蓋延設板25を、蓋前内板24に対して直交するように、折り目125において後向きに折り曲げる。
【0101】
次いで、図28に示すように、蓋前外板17を、蓋板14に対して直交するように折り目117において上向きに折り曲げるとともに、蓋前内板24を、蓋前外板17に対して前側から折り重なるように折り目124において折り畳む。すると、蓋前外板17と蓋前内板24との間に、左差込片222および右差込片223が挟み込まれる。このとき、蓋延設板25が蓋板14に対して上から対向している。
【0102】
次いで、図29に示すように、左内蓋板220を、蓋左内板218に対して直交するように、折り目231において左側へ折り曲げるとともに、右内蓋板221を、蓋右内板219に対して直交するように、折り目233において右側へ折り曲げる。
次いで、蓋左内板218を、蓋左外板15に対して右側から折り重なるように折り目230において折り畳む。すると、左内蓋板220が、蓋左外板15および蓋左内板218から蓋板14の上面(裏面)沿いに蓋板14の左右方向中央部に向かって伸び、蓋板14の上面の略左半分を上から覆う(図30参照)。同様に、蓋右内板219を、蓋右外板16に対して左側から折り重なるように折り目232において折り畳む。すると、右内蓋板221が、蓋右外板16および蓋右内板219から蓋板14の上面沿いに蓋板14の左右方向中央部に向かって伸び、蓋板14の上面の略右半分を上から覆う(図30参照)。なお、図30における蓋板14の上面は、完成した蓋Cが閉じたときに下面となる。また、このとき、図30に示すように、左内蓋板220および右内蓋板221と、蓋板14との間に蓋延設板25が挟み込まれる。
【0103】
次いで、左内蓋板220の舌状部分270を右内蓋板221の切欠き271(図21参照)に上から嵌め込み、さらに、右内蓋板221の舌状部分272を左内蓋板220の切欠き269(図21参照)に上から嵌め込む。これにより、左内蓋板220の舌状部分270の下に、右内蓋板221における切欠き271の周縁部が潜り込み、さらに、右内蓋板221の舌状部分272の下に、左内蓋板220における切欠き269の周縁部が潜り込む。その結果、左内蓋板220の第7係合部200と、右内蓋板221の第8係合部201とが、蓋板14の上面の左右方向中央部で互いに係合する。この状態で、舌状部分270および272は、前後に並びつつ、対称に配置されている。なお、舌状部分270および272のそれぞれが逆向きに膨出するように形成されていてもよく、その場合、第7係合部200と第8係合部201とが係合したときに舌状部分270および272の前後に並ぶ順番は、逆になる。
【0104】
左内蓋板220の第7係合部200と右内蓋板221の第8係合部201とが係合することにより、糊を使わずに蓋Cが完成し、容器Aが完成する。第3実施形態においても、これまでの工程で、糊は一切使用していない。
蓋Cでは、折り重なっている蓋前外板17および蓋前内板24によって、2重構造の前側壁Iが構成され、折り重なっている蓋左外板15および蓋左内板218によって、2重構造の左側壁Jが構成され、折り重なっている蓋右外板16および蓋右内板219によって、2重構造の右側壁Kが構成されている。また、蓋Cの天壁Lは、蓋板14と、蓋板14の略左半分を上から覆う左内蓋板220と、蓋板14の略右半分を上から覆う右内蓋板221とで構成される2重構造である。
【0105】
蓋Cでは、内側面を含む全ての面に、型紙Xの表面がきている。また、蓋Cでは、左内蓋板220の第7係合部200と右内蓋板221の第8係合部201とが係合することで、左側壁Jと右側壁Kとの相対位置が安定するとともに、それぞれの剛性が高められている。さらに、左内蓋板220および右内蓋板221と蓋板14との間に蓋延設板25が挟み込まれている。そのため、前側壁I、左側壁J、右側壁Kおよび天壁Lが一体化されており、蓋Cは、型崩れすることなく安定している。
【0106】
容器本体Bと蓋Cとは、蓋板14と本体後外板5との境界(折り目114)において連結されている。図30では、蓋Cが開いた状態にあり、蓋Cを、折り目114を中心として前側へ回動させると、図31に示すように、蓋Cが、閉じて容器本体Bに上から被さる。
このとき、蓋Cの天壁Lが容器本体Bの上面(開口部)を塞いでいるとともに、蓋Cの左側壁Jが容器本体Bの左側壁Eの左外側にあり、蓋Cの右側壁Kが容器本体Bの右側壁Fの右外側にあり、蓋Cの前側壁Iが容器本体Bの前側壁Dの前外側にある。
【0107】
そして、閉じた蓋Cを、折り目114を中心として後側へ回動させると、図30に示すように蓋Cが開く。
このような第3実施形態では、第1および第2実施形態と同じ作用効果を奏することができる。
さらに、第3実施形態では、型紙X(蓋部展開型紙Z)の裏面が上を向いた状態で蓋Cを組み立てれば、蓋部展開型紙Zの表面が、蓋Cの左側壁J、右側壁Kおよび天壁Lのそれぞれの外面および内面となるようにすることができる。特に、左内蓋板220および右内蓋板221のそれぞれにおいて蓋部展開型紙Zの表面であった面が、蓋Cの天壁Lの内面をなす。そのため、蓋Cを開くときに目に付く蓋Cの天壁Lの内面全域に蓋部展開型紙Zの表面がくるので、一層見映えが良い。さらに、蓋Cの天壁Lの内面では、舌状部分270,272が対称となることで規則的に配置された様子が現れるので、一層見映えが良い。
【0108】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0109】
1 本体底板
2 本体左外板
3 本体右外板
4 本体前外板
5 本体後外板
6 本体左内板
7 本体右内板
8 左前連結帯片
9 右前連結帯片
10 本体前内板
11 係止片
12 左後連結帯片
13 右後連結帯片
14 蓋板
15 蓋左外板
16 蓋右外板
17 蓋前外板
18 蓋左内板
19 第2左差込片
20 第1左差込片
21 蓋右内板
22 第2右差込片
23 第1右差込片
24 蓋前内板
25 蓋延設板
26 左内底板
27 右内底板
51 第1係合部
52 第2係合部
54 第3係合部
55 第4係合部
56 第5係合部
57 第6係合部
60 第2蓋左凸部
61 第2蓋右凸部
62 左切欠き
63 右切欠き
64 第1蓋左凸部
65 第1蓋右凸部
100 折り目
101 折り目
102 折り目
103 折り目
104 折り目
105 折り目
106 折り目
107 折り目
108 折り目
109 折り目
110 折り目
111 折り目
112 折り目
113 折り目
114 折り目
115 折り目
116 折り目
117 折り目
118 折り目
119 折り目
120 折り目
121 折り目
122 折り目
123 折り目
124 折り目
125 折り目
126 折り目
127 折り目
128 折り目
129 折り目
150 切欠き
151 舌状部分
152 切欠き
153 舌状部分
160 本体係合部
161 本体係合部
162 蓋係合部
163 蓋係合部
200 第7係合部
201 第8係合部
218 蓋左内板
219 蓋右内板
220 左内蓋板
221 右内蓋板
222 左差込片
223 右差込片
230 折り目
231 折り目
232 折り目
233 折り目
234 折り目
235 折り目
269 切欠き
270 舌状部分
271 切欠き
272 舌状部分
A 紙製容器
B 容器本体
C 蓋
D 前側壁
E 左側壁
F 右側壁
G 底壁
H 後側壁
I 前側壁
J 左側壁
K 右側壁
L 天壁
X 型紙
Y 本体部展開型紙
Z 蓋部展開型紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の紙で形成された本体部展開型紙および蓋部展開型紙が組立てられ、容器本体および容器本体に連結された蓋を有する紙製容器であって、
前記本体部展開型紙は、底板、2片の左側壁、2片の右側壁および対をなす2葉の内底板を含み、
前記2片の左側壁および2片の右側壁は、それぞれ、折り重ねられて前記容器本体の左側壁および右側壁を2重構造とし、
前記対をなす2葉の内底板は、前記左側壁および右側壁から前記底板上を中央部に向かって積層されるように伸び、前記底板上の中央部で互いに係合して、前記容器本体の底壁を2重構造としていることを特徴とする、紙製容器。
【請求項2】
前記2葉の内底板は、それぞれ、先端辺から膨出する舌状部分を有し、互いに係合した状態で、前記舌状部分が対称に配置されることを特徴とする、請求項1記載の紙製容器。
【請求項3】
前記本体部展開型紙は、前側壁および後側壁を含み、
前記前側壁の両端および前記後側壁の両端から、それぞれ、左右一対の連結帯片が突出しており、
左の前記連結帯片同士および右の前記連結帯片同士を連結させることにより、前記底板に対して直角に折り曲げられた前記前側壁および後側壁の折り曲げ状態が保たれていることを特徴とする、請求項1または2記載の紙製容器。
【請求項4】
前記左右一対の連結帯片には、それぞれ、連結用の切欠きが形成されていることを特徴とする、請求項3記載の紙製容器。
【請求項5】
前記2片の左右側壁は、それぞれ、前記左右の連結帯片同士が連結された後、当該連結された左右の連結帯片を内に挟み込むように折り重ねられていることを特徴とする、請求項3記載の紙製容器。
【請求項6】
前記前側壁は、2片と、前記2片の先端から突出する係止片とを含み、
前記2片が折り重ねられて前記容器本体の前側壁は2重構造とされ、
前記係止片は、前記底板と前記2葉の内底板とに挟まれて係止されていることを特徴とする、請求項3記載の紙製容器。
【請求項7】
前記蓋部展開型紙は、前記後側壁を介して前記本体部展開型紙とつながっており、
前記蓋部展開型紙は、蓋板、2片の前側壁、左側壁および右側壁を含み、
前記2片の前側壁は折り重ねられて前記蓋の前側壁を2重構造としていることを特徴とする、請求項3記載の紙製容器。
【請求項8】
前記蓋部展開型紙は、2片の左側壁、2片の右側壁および対をなす2葉の内蓋板を含み、
前記2片の左側壁および2片の右側壁は、それぞれ、折り重ねられて前記蓋の左側壁および右側壁を2重構造とし、
前記対をなす2葉の内蓋板は、前記左側壁および右側壁から前記蓋板下面沿いに中央部に向かって伸び、前記蓋板下面の中央部で互いに係合して、前記蓋の天壁を2重構造としていることを特徴とする、請求項7記載の紙製容器。
【請求項9】
前記2葉の内蓋板は、それぞれ、先端辺から膨出する舌状部分を有し、互いに係合した状態で、前記舌状部分が対称に配置されることを特徴とする、請求項8記載の紙製容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−111528(P2012−111528A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262588(P2010−262588)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(307013857)株式会社ロッテ (101)
【Fターム(参考)】