説明

紙製造における歩留まりおよび濾水の改善

製紙法における歩留まりおよび濾水を改善する方法を開示する。本方法は、製紙用スラリーに、会合性ポリマー、高分子電解質、および、任意にケイ酸含有材料を添加することを提供する。加えて、会合性ポリマー、および、高分子電解質を含み、任意にセルロース繊維をさらに含む組成物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]
本願は、2004年12月29日付けで出願された米国仮出願第60/640,180号、および、2005年6月24日付けで出願された米国仮出願第60/694,058号の利益を主張し、それぞれの全内容は、参照により本明細書の開示に含まれる。
【0002】
発明の分野
[0002]
本発明は、凝集系を用いてセルロース原料から紙および板紙を製造する方法に関する。
【0003】
背景
[0003]
歩留まりおよび濾水は、製紙において重要な観点である。ある種の材料が、紙および板紙の製造において改善された歩留まりおよび/または濾水特性を提供できることがわかっているある種の材料は、紙および板紙の製造において改善された歩留まりおよび/または濾水特性を提供できることがわかっている。
[0004]
セルロース系繊維のシート、具体的には紙や板紙の製造は、以下を含む:1)セルロース系繊維の水性スラリーを製造すること(このスラリーには、無機鉱物性の増量剤または顔料が含まれていてもよい);2)このスラリーを、移動する製紙用のワイヤーまたはファブリック上に堆積させること;さらに、3)濾水することによってスラリーの固形分からシートを形成すること。
[0005]
前述のようにした後、シートをプレスし、乾燥させて、さらに水分を除去する。このようなスラリーに、シートを形成する工程の前に有機および無機化学物質が添加されることが多く、そうすることによって、製紙方法にかかるコストを少なくし、より迅速にし、および/または、最終的な紙製品に特定の特性を付与する。
[0006]
製紙産業は、紙の質を改善し、生産性を高め、製造コストを低減させる努力を続けている。濾水/脱水と固形分の歩留まりを改善するために、繊維スラリーが製紙用のワイヤーまたはファブリックに到達する前に、繊維スラリーに化学物質が添加されることが多く、これらの化学物質は、歩留まりおよび/または濾水性向上剤と称される。
[0007]
製紙用のワイヤーまたはファブリック上での繊維スラリーの濾水または脱水が、より速い抄紙機のスピードを達成することにおいて律速段階であることが多い。また、改善された脱水法では、プレス中でより乾燥したシートが得られる可能性があり、より乾燥したセクションでは、エネルギー消費を減少させることができる。加えて、これは、製紙方法におけるシートの最終的な特性の多くを決定する段階であるため、歩留まりおよび/または濾水性向上剤は、最終的な紙のシートの性能属性に強い影響を与えることができる。
[0008]
固形分に関して、製紙用の歩留まり向上剤は、濾水してペーパーウェブを形成するための乱流法(turbulent method)中に、ウェブ中の微細な完成紙料の固形分の歩留まりを高めるのに用いられる。微細な固形分の歩留まりが不足すると、固形分がミルの排水に流出するか、または、白水が循環するループ中に高レベルで蓄積し、場合によっては堆積の沈着を引き起こすかのいずれかである。加えて、歩留まりが不十分だと、繊維上に吸収させることを目的とする添加剤が損失することによって製紙コストが高くなる。添加剤は、紙に不透明性、強度、サイジングまたはその他の望ましい特性を提供することができる。
[0009]
カチオン性電荷またはイオン電荷のいずれかを有する高分子量(MW)水溶性ポリマーは、従来、歩留まり向上剤および濾水性向上剤として用いられてきた。近年の無機微粒子の開発によれば、高分子量水溶性ポリマーと組み合わせて歩留まり向上剤および濾水性向上剤として用いられる場合、従来の高分子量水溶性ポリマーと比較して優れた歩留まりおよび濾水の有効性を有する。米国特許第4,294,885号、および、4,388,150号は、スターチポリマーとコロイドシリカとの併用を教示している。米国特許第4,643,801号、および、4,750,974号は、カチオン性スターチ、コロイドシリカおよびアニオン性ポリマーのコアセルベートの結合剤の使用を教示している。米国特許第4,753,710号は、高分子量カチオン性凝集剤を用いてパルプ完成紙料を凝集させ、凝集した完成紙料に剪断を誘導し、その完成紙料にベントナイト粘土を導入することを教示している。
[0010]
用いられるポリマーまたはコポリマーの有効性は、それらを構成する単量体のタイプ、ポリマーマトリックス中の単量体の配列、合成された分子の分子量、および、製造方法に応じて様々であると予想される。
[0011]
近年、水溶性コポリマーを所定の条件下で製造すると、水溶性コポリマーは特有の物理特性を示すことが見出された。これらのポリマーは、化学的な架橋剤がなくても製造される。加えて、上記コポリマーは、歩留まり向上剤および濾水性向上剤のような製紙用途などのある種の用途において予想外の活性を示す。このような独特な特徴を示すアニオン性コポリマーは、WO03/050152A1で開示されており、その全ての内容は、参照により本明細書の開示に含まれる。このような独特な特徴を示すカチオン性および両性コポリマーは、米国特許出願第10/728,145号で開示されており、その全ての内容は、参照により本明細書の開示に含まれる。
[0012]
無機粒子とアクリルアミドの直鎖状コポリマーとの併用は当業界既知である。近年の特許では、これらの無機粒子と水溶性アニオン性ポリマーとの併用(US6,454,902)、または、特定の架橋材料との併用(US6,454,902、US6,524,439、および、US6,616,806)を教示している。
[0013]
しかしながら、それでもなお濾水および歩留まり性能を改善する必要がある。
【0004】
発明の要約
[0014]
製紙法における歩留まりおよび濾水を改善する方法を開示する。本方法は、製紙用スラリーに、会合性ポリマー、および、合成高分子電解質を添加することを提供する。
[0015]
製紙法における歩留まりおよび濾水を改善する方法を開示する。本方法は、製紙用スラリーに、会合性ポリマー、および、環状の有機材料を添加することを提供する。
[0016]
加えて、会合性ポリマー、合成高分子電解質を含み、任意にセルロース繊維をさらに含む組成物を開示する。
[0017]
加えて、会合性ポリマー、合成高分子電解質、ケイ酸含有材料を含み、任意にセルロース繊維をさらに含む組成物を開示する。
【0005】
発明の詳細な説明
[0018]
本発明は、所定の条件下で製造された水溶性コポリマー(以降、「会合性ポリマー」と称する)、および、少なくとも1種の合成高分子電解質を含む相乗的な組み合わせを提供する。驚くべきことに、この相乗的な組み合わせにより、個々の成分の歩留まりおよび濾水性能より優れた歩留まりおよび濾水性能が得られることが見出された。相乗効果は、組み合わせた成分が一緒に用いられる場合に起こる。
[0019]
意外なことに、合成高分子電解質と会合性ポリマー(例えば、WO03/050152A1、または、US2004/0143039A1で開示されたコポリマー)との併用により、歩留まりおよび濾水が強化されることが見出された。
[0020]
本発明はまた、会合性ポリマー、および、少なくとも1種の合成高分子電解質を含む組成物を提供する。
[0021]
本発明はまた、会合性ポリマー、合成高分子電解質、および、ケイ酸含有材料を含む組成物を提供する。
[0022]
本発明はまた、会合性ポリマー、および、合成高分子電解質、および、セルロース繊維を含む組成物を提供する。
[0023]
本発明はまた、会合性ポリマー、合成高分子電解質、ケイ酸含有材料、および、セルロース繊維を含む組成物を提供する。
[0024]
紙および板紙の製造に多成分系を用いることによって、プロセスおよび/または製品に様々な作用を有する材料を利用することにより性能を高める機会が得られる。その上、それらを組み合わせることによって、個々の成分では得がたい特性が得られる可能性がある。本発明の多成分系において、相乗効果が起こる。
[0025]
また、歩留まり向上剤および濾水性向上剤としての会合性ポリマーの使用は、製紙系においてその他の添加剤の性能に強い影響を有することも観察される。改善された歩留まりおよび/または濾水は、直接的および間接的両方の影響を与えることができる。直接的な影響とは、歩留まり向上剤および濾水性向上剤が、添加剤を保持するように作用することを意味する。間接的な影響とは、歩留まり向上剤および濾水性向上剤が、添加剤を物理的または化学的な手段のいずれかによってその上に付着させる充填剤や微繊維を保持する効果を意味する。従って、シート内に保持された充填剤または微繊維の量が多くなると、それに付随して保持される添加剤の量も増加する。充填剤という用語は、セルロースパルプスラリーに添加される微粒子状の材料(典型的には無機性のもの)を意味し、充填剤は、所定の属性を付与したり、または、セルロース繊維の一部を置換するより低コストの物質となったりすることが可能である。充填剤のおよそ0.2〜10ミクロンの比較的小さいサイズ、低いアスペクト比、および、化学的性質のため、それらは大きい繊維には吸収されず、一方で、繊維のネットワーク(すなわち紙のシート)に封じ込めるには小さすぎる。用語「微繊維」は、細かいセルロース繊維またはフィブリルを意味し、典型的には長さが0.2mm未満であり、および、/または、200メッシュスクリーンを通過することができるものである。
[0026]
歩留まり向上剤および濾水性向上剤の使用レベルが増加すると、シート内に保持される添加剤の量も増加する。これにより、特性を強化し、性能属性を向上させたシートを提供すること、または、製紙業者が系に添加する添加剤の量を減少させ、製品コストを低くすることのいずれかを実現することができる。その上、製紙系で用いられる再循環水または白水中のこれらの材料の量も減少する。このようなある種の条件下では不要な汚染物質とみなされる可能性がある材料レベルを減少させることにより、より効率的な製紙プロセスを提供することができ、または、望ましくない材料のレベルを制御するためのスカベンジャーまたはその他の材料の添加の必要性を低減させることができる。
[0027]
本明細書で用いられる添加剤という用語は、紙に特定の属性を提供したり、および/または、製紙プロセスの効率を改善したりするために製紙用スラリーに添加される材料を意味する。このような材料としては、これらに限定されないが、サイズ剤、湿潤紙力増強樹脂、乾燥紙力増強樹脂、スターチおよびスターチ誘導体、色素、汚染物質を制御する物質、消泡剤および殺生剤が挙げられる。
[0028]
本発明において有用な会合性ポリマーは、以下のように説明することができる:
[0029]
式:
【0006】
【化1】

【0007】
[式中、Bは、1種またはそれ以上のエチレン性不飽和非イオン性単量体の重合により形成された非イオン性ポリマーセグメントである;Fは、1種またはそれ以上のエチレン性不飽和アニオン性および/またはカチオン性単量体の重合から形成された、アニオン性ポリマーセグメント、カチオン性ポリマーセグメント、または、アニオン性およびカチオン性ポリマーセグメントの組み合わせであり;B:Fのモル%比は、95:5〜5:95である;さらに、該水溶性コポリマーは、少なくとも1種のジブロックまたはトリブロック高分子界面活性剤からなる少なくとも1種の乳化用の界面活性剤を用いる油中水型乳化重合技術によって製造され、ここで、少なくとも1種のジブロックまたはトリブロック界面活性剤の単量体に対する比率は、少なくとも約3:100である]
を含む水溶性コポリマー組成物であり、ここで、該油中水型乳化重合技術は、以下の工程を含む:(a)単量体の水溶液を製造する工程、(b)該水溶液と、界面活性剤、または界面活性剤の混合物を含む炭化水素液とを接触させて、逆エマルジョンを形成する工程、(c)該エマルジョン中の単量体を、フリーラジカル重合によって約2以上7未満のpH範囲で重合させる工程。
[0030]
会合性ポリマーは、アニオン性コポリマーであってもよい。この場合のアニオン性コポリマーは、0.0025重量%〜0.025重量%のコポリマーを含む0.01MのNaCl溶液で測定されたハギンズ定数(k’)が0.75より大きく、1.5重量%活性コポリマー溶液の貯蔵弾性率(G’)が、4.6Hzで、175Paより大きいことを特徴とする。
[0031]
会合性ポリマーは、カチオン性コポリマーであってもよい。この場合のカチオン性コポリマーは、0.0025重量%〜0.025重量%のコポリマーを含む0.01MのNaCl溶液で測定されたハギンズ定数(k’)が0.5より大きく;さらに、その、6.3Hzで1.5重量%活性コポリマー溶液の貯蔵弾性率(C)が、50Paより大きいことを特徴とする。
[0032]
会合性ポリマーは、両性コポリマーであってもよい。この場合の両性コポリマーは、0.0025重量%〜0.025重量%のコポリマーを含む0.01MのNaCl溶液で測定されたハギンズ定数(k’)が0.5より大きく;さらに、該コポリマーは、1.5重量%活性コポリマー溶液において、6.3Hzで、50Paより大きい貯蔵弾性率(G’)を有することを特徴とする。
[0033]
逆エマルジョンの重合は、高分子量水溶性ポリマーまたはコポリマーを製造するための標準的な化学的方法である。一般的に、逆エマルジョンの重合法は、1)単量体の水溶液を製造すること、2)その水溶液と、適切な乳化用の界面活性剤または界面活性剤の混合物を含む炭化水素液とを接触させ、逆相の単量体エマルジョンを形成すること、3)その単量体のエマルジョンをフリーラジカル重合で処理することによって行われ、さらに、4)水に添加する際のエマルジョンの逆転を促進するためにブレーカーとしての界面活性剤を添加してもよい。
[0034]
逆エマルジョンポリマーは、典型的には、イオン性または非イオン性単量体をベースとする水溶性ポリマーである。また、2種またはそれ以上の単量体を含むポリマーはコポリマーともいい、これも同じ方法で製造することができる。これらの共重合用単量体は、アニオン性、カチオン性、両性イオン性、非イオン性が可能であり、または、それらの組み合わせでもよい。
[0035]
典型的な非イオン性単量体としては、これらに限定されないが、アクリルアミド;メタクリルアミド;N−アルキルアクリルアミド、例えばN−メチルアクリルアミド;N,N−ジアルキルアクリルアミド、例えばN,N−ジメチルアクリルアミド;アクリル酸メチル;メタクリル酸メチル;アクリロニトリル;N−ビニルメチルアセトアミド;N−ビニルホルムアミド;N−ビニルメチルホルムアミド;酢酸ビニル;N−ビニルピロリドン;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、または、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート;前述のもののいずれかの混合物などが挙げられる。((メタ)アクリラートはアクリラート及びメタクリラートの両方を含む意味である。)
[0036]
また、より疎水性の性質を有する非イオン性単量体も、会合性ポリマーの製造で用いることができる。用語「より疎水性の」とは、本明細書において、これらの単量体の水溶液への溶解性が減少していることを示すものとして用いられる;この減少は実質的にゼロでもよく、その場合、単量体が水不溶性であることを意味する。注意すべきことは、対象の単量体は、重合可能な界面活性剤またはサーフマー(surfmer)とも称されることである。これらの単量体としては、これらに限定されないが、アルキルアクリルアミド;ペンダント型芳香族およびアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体、および、式CH=CR’CHOAR(式中、R’は、水素またはメチルであり;Aは、1個またはそれ以上の環状エーテル、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドからなるポリマーであり;さらに、Rは、疎水性基であり;ビニルアルコキシレート;アリルアルコキシレート;さらに、アリルフェニルポリオールエーテル硫酸塩である)で示されるエーテルが挙げられる。典型的な材料としては、これらに限定されないが、メチルメタクリラート、スチレン、t−オクチルアクリルアミド、および、クラリアント(Clariant)がエマルソジェンAPG2019(Emulsogen(R)APG2019)として販売しているアリルフェニルポリオールエーテル硫酸塩が挙げられる。
[0037]
典型的なアニオン性単量体としては、これらに限定されないが、アクリル酸;メタクリル酸;マレイン酸;イタコン酸;アクリルアミドグリコール酸;2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸;3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸;スチレンスルホン酸;ビニルスルホン酸;ビニルホスホン酸;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸の遊離酸および塩;前述のもののいずれかの混合物などが挙げられる。
[0038]
典型的なカチオン性単量体としては、これらに限定されないが、カチオン性のエチレン性不飽和単量体、例えば、ジアリルジアルキルアンモニウムハロゲン化物の遊離塩基または塩、例えばジアリルジメチルアンモニウム塩化物;ジアルキルアミノアルキル化合物の(メタ)アクリラート、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリラート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリラート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシジメチルアミノプロピル(メタ)アクリラート、アミノエチル(メタ)アクリラート、および、それらの塩および第四級化合物;N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、および、それらの塩および第四級化合物、および、前述の物質の混合物などが挙げられる。((メタ)アクリラートなどの用語はアクリラート及びメタクリラートの両方を含む意味である。)
[0039]
上記共重合用単量体は、どのような比率で存在していてもよい。得られた会合性ポリマーは、非イオン性、カチオン性、アニオン性または両性(カチオン性電荷とイオン電荷の両方を含む)であり得る。
[0040]
非イオン性単量体のアニオン性単量体に対するモル比(式IのB:F)は、95:5〜5:95の範囲内が可能であり、好ましくは約75:25〜約25:75の範囲であり、さらにより好ましくは約65:35〜約35:65の範囲である、最も好ましくは約60:40〜約40:60の範囲である。これに関して、BとFのモルパーセンテージは、合計100%になっていなければならない。当然ながら、2種以上の非イオン性単量体が、式Iに存在していてもよい。また当然ながら、2種以上のアニオン性単量体が、式Iに存在していてもよい。
[0041]
好ましい本発明の一実施形態において、会合性ポリマーがアニオン性コポリマーである場合、会合性ポリマーは、式Iで定義され、式中、B(非イオン性ポリマーセグメント)は、アクリルアミドの重合の後に形成された繰り返し単位であり;さらに、F(アニオン性ポリマーセグメント)は、アクリル酸の塩または遊離酸の重合の後に形成された繰り返し単位であり、B:Fのモルパーセントの比率は、約75:25〜約25:75である。
[0042]
会合性ポリマーの物理特性は、それがアニオン性コポリマーである場合、それらの0.01MのNaCl中で決定されたハギンズ定数(k’)が0.75より大きく、1.5重量%活性ポリマー溶液の貯蔵弾性率(G’)が、4.6Hzで、175Paより大きく、好ましくは190より大きく、さらにより好ましくは205より大きいという特徴を有する。ハギンズ定数は、0.75より大きく、好ましくは0.9より大きく、さらにより好ましくは1.0より大きい。
[0043]
非イオン性単量体のカチオン性単量体に対するモル比(式IのB:F)は、99:1〜50:50、または、95:5〜50:50、または、95:5〜75:25、または、90:10〜60:45の範囲内が可能であり、好ましくは約85:15〜約60:40の範囲であり、さらにより好ましくは約80:20〜約50:50の範囲である。これに関して、BとFのモルパーセンテージは、合計100%になっていなければならない。当然ながら、2種以上の非イオン性単量体が、式Iに存在していてもよい。また当然ながら、2種以上のカチオン性単量体が、式Iに存在していてもよい。
[0044]
式Iで示される両性コポリマーのモルパーセンテージに関して、アニオン性、カチオン性および非イオン性単量体それぞれのの最小量は、コポリマーを形成するのに用いられる単量体総量の1%である。非イオン性、アニオン性またはカチオン性単量体の最大量は、コポリマーを形成するのに用いられる単量体総量の98%である。好ましくはアニオン性、カチオン性および非イオン性単量体いずれかの最小量は、コポリマーを形成するのに用いられる単量体総量の5%であり、より好ましくはアニオン性、カチオン性および非イオン性単量体いずれかの最小量は7%であり、さらにより好ましくはアニオン性、カチオン性および非イオン性単量体いずれかの最小量は10%である。これに関連して、アニオン性、カチオン性および非イオン性単量体のモルパーセンテージは、合計100%になっていなければならない。当然ながら、2種以上の非イオン性単量体が、式Iに存在していてもよく、2種以上のカチオン性単量体が、式Iに存在していてもよく、2種以上のアニオン性単量体が、式Iに存在していてもよい。
[0045]
会合性ポリマーの物理特性は、それらがカチオン性または両性コポリマーである場合、それらの0.01MのNaCl中で決定されたハギンズ定数(k’)が0.5より大きく、1.5重量%活性ポリマー溶液の貯蔵弾性率(G’)が、6.3Hzで、50Paより大きく、好ましくは10より大きく、さらにより好ましくは25より大きく、または、50より大きく、または、100より大きく、または、175より大きく、または、200より大きいという点で特徴的である。ハギンズ定数は、0.5より大きく、好ましくは0.6より大きく、または、0.75より大きく、または、0.9より大きく、または、1.0より大きい。
[0046]
逆エマルジョンの重合系で用いられる乳化用の界面活性剤または界面活性剤の混合物は、製造工程と得られた生成物の両方に重要な作用を有する。乳化重合系で用いられる界面活性剤は当業者既知である。これらの界面活性剤は、典型的には、全体の組成に応じて様々な各種のHLB(親水親油バランス)値を有する。1種またはそれ以上の乳化用の界面活性剤を用いることができる。会合性ポリマーを製造するのに用いられる、重合生成物の乳化用の界面活性剤としては、少なくとも1種のジブロックまたはトリブロック高分子界面活性剤などが挙げられる。これらの界面活性剤は、高い有効性のエマルジョン安定剤であることがわかっている。乳化用の界面活性剤の選択および量は、重合のための逆相の単量体エマルジョンが得られるように選択される。好ましくは、1またはそれ以上の界面活性剤は、特定のHLB値が得られるように選択される。
[0047]
ジブロックおよびトリブロックの高分子の乳化用の界面活性剤を用いて、特殊な材料を提供することができる。WO03/050152A1、および、US2004/0143039A1で説明されているように(これらの全内容は、参照により本明細書の開示に含まれる)、ジブロックおよびトリブロックの高分子の乳化用の界面活性剤を必要量で用いると、特殊な特徴を示す特殊なポリマーが得られる。典型的なジブロックおよびトリブロック高分子界面活性剤としては、これらに限定されないが、脂肪酸およびポリ(エチレンオキシド)のポリエステル誘導体をベースとするジブロックおよびトリブロックコポリマー(例えば、ハイパーマーB246SF(Hypermer(R)B246SF)、ユニケマ(Uniqema,ニューカッスル,デラウェア州))、ポリイソブチレン無水コハク酸、および、ポリ(エチレンオキシド)をベースとするジブロックおよびトリブロックコポリマー、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドと、エチレンジアミンとの反応生成物、前述のもののいずれかの混合物などが挙げられる。好ましくは、上記ジブロックおよびトリブロックコポリマーは、脂肪酸、および、ポリ(エチレンオキシド)のポリエステル誘導体をベースとする。トリブロック界面活性剤が用いられる場合、好ましくは、トリブロックは、2個の疎水性領域と1個の親水性領域を含む、すなわち疎水性物質−親水性物質−疎水性物質である。
[0048]
ジブロックまたはトリブロック界面活性剤の量(重量パーセントに基づく)は、会合性ポリマーを形成するのに用いられる単量体の量に依存する。ジブロックまたはトリブロック界面活性剤の単量体に対する比率は、少なくとも約3〜100である。ジブロックまたはトリブロック界面活性剤の単量体に対する量は、3〜100より大きい比率であってもよく、好ましくは少なくとも約4〜100であり、より好ましくは5〜100であり、さらにより好ましくは約6〜100である。ジブロックまたはトリブロック界面活性剤は、乳化系の一次的な界面活性剤である。
[0049]
第二の乳化用の界面活性剤を添加して、取り扱いや加工を容易にしたり、エマルジョン安定性を改善したり、および/または、エマルジョン粘度を変更することができる。第二の乳化用の界面活性剤の例としては、これらに限定されないが、ソルビタン脂肪酸エステル、例えばモノオレイン酸ソルビタン(例えば、アトラスG−946(Atlas G−946)、ユニケマ(ニューカッスル,デラウェア州))、エトキシ化されたソルビタン脂肪酸エステル、ポリエトキシ化されたソルビタン脂肪酸エステル、アルキルフェノールのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加物、長鎖アルコールのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加物、または、脂肪酸、混合されたエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、アルカノールアミド、スルホコハク酸塩、ならびにそれらの混合物などが挙げられる。
[0050]
逆エマルジョンの重合は、当業者既知のあらゆる方法で行うことができる。例えば、AllcockおよびLampe,Contemporary Polymer Chemistry(イングルウッドクリフス,ニュージャージー州,PRENTICE−HALL,1981),3〜5章などの多くの参考文献で例を見出すことができる。
[0051]
代表的な逆エマルジョンの重合は、以下のように製造される。オーバーヘッド型の機械式撹拌器、温度計、窒素散布管、および、コンデンサーを備えた適切な反応フラスコに、パラフィン油の油相(135.0g,エクソールD80(Exxsol(R)D80)オイル、エクソン(Exxon,ヒューストン,テキサス州))、および、界面活性剤(4.5gのアトラス(R)G−946、および、9.0gのハイパーマー(R)B246SF)を入れる。続いて、油相の温度を37℃に調節する。
[0052]
53重量%のアクリルアミド水溶液(126.5g)、アクリル酸(68.7g)、脱イオン水(70.0g)、および、バーサネックス80(Versenex(R)80,ダウ・ケミカル(Dow Chemical))キレート化剤溶液(0.7g)を含む水相を別々に製造する。次に、水酸化アンモニウム水溶液(33.1g,NHとして29.4重量%)を添加することによって、水相をpH5.4に調節する。中和後の水相の温度は39℃である。
[0053]
次に、この水相を、ホモジナイザーで混合しながら油相に入れ、安定な油中水型エマルジョンを得る。次に、このエマルジョンを、4個のブレードを有するガラス製撹拌器を用いて、窒素を散布しながら60分間混合する。窒素を散布する間、エマルジョンの温度を50±1℃に調節する。その後、散布を中止し、窒素ブランケットを取り付ける。
[0054]
トルエン(0.213g)中の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の3重量%溶液を供給することによって重合を開始させる。これは、最初のAIBN分量に相当し、すなわち単量体の総量に基づき250ppmのAIBNである。供給の経過中に、バッチ温度が発熱により62℃に上昇した(〜50分間)、その後、バッチを62±1℃に維持した。供給後に、このバッチを62±1℃で1時間保持した。その後、3重量%AIBNのトルエン溶液(0.085g)を続いて1分間で入れた。これは、単量体の総量に基づき100ppmの第二のAIBN分量に相当する。次に、このバッチを62±1℃で2時間保持する。次に、このバッチを室温に冷却し、ブレーカーとしての界面活性剤を添加する。
[0055]
会合性ポリマーのエマルジョンは、典型的には、適用部位で逆転させ、それにより0.1〜1%の活性なコポリマーの水溶液が得られる。続いて、この会合性ポリマーの希釈溶液が紙加工の工程に導入されることによって、歩留まりおよび濾水に作用する。会合性ポリマーは、高粘度の原料に添加してもよいし、または、低粘度の原料に添加してもよいが、好ましくは低粘度の原料に添加される。会合性ポリマーは、1ヶ所の供給ポイントで添加してもよいし、または、会合性ポリマーが2ヶ所またはそれ以上の別々の供給ポイントで同時に供給されるように分割して供給されてもよい。典型的な原料添加ポイントとしては、ファンポンプの前、ファンポンプの後、および、圧力スクリーンの前、または、圧力スクリーンの後の供給ポイントが挙げられる。
[0056]
会合性ポリマーは、凝集を達成できるようなあらゆる有効量で添加することができる。コポリマーの量は、0.5Kg/メートルトン(セルロースパルプ,乾燥基準)より大きくてもよい。好ましくは、会合性ポリマーは、パルプの乾燥重量に基づき、少なくとも約0.03ポンド〜約0.5Kg(活性なコポリマー)/メートルトン(セルロースパルプ)の量で用いられる。コポリマーの濃度は、好ましくは、約0.05〜約0.5Kg(活性なコポリマー)/メートルトン(乾燥セルロースパルプ)である。より好ましくは、本コポリマーは、セルロースパルプの乾燥重量に基づき、約0.05〜0.4Kg/メートルトン(セルロースパルプ)、最も好ましくは、約0.1〜約0.3Kg/メートルトンの量で添加される。
[0057]
歩留まりおよび濾水系の第二の成分としては、多数のイオン性高分子材料、または、合成高分子電解質(「高分子電解質」)の一種が可能である。このような材料は、単一の製品でもよいし、または、材料の混合物でもよい。これらの材料は、単量体の組成、イオン性官能基の性質、イオン性官能基の量、ポリマー鎖にそったイオン性官能基の分布、ならびにポリマーの物理的な性質、例えば分子量、電荷密度および二次/三次構造によって影響を受けるため、化学的性質の点で異なる場合もある。
[0058]
この成分は、これらに限定されないが アクリルアミドベースのポリマー、例えばアニオン性ポリアクリルアミド、および、カチオン性ポリアクリルアミド;ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂;ポリアミン;ポリイミン;および、前述のもののいずれかの誘導体などのポリマーからなる数種の群の少なくとも1種から選択することができる。誘導体は、少なくとも1種の追加の官能基または成分を有するポリマーを意味する。このような官能基は、これらに限定されないが、エポキシ、アゼチジニウム、アルデヒド、カルボキシル基、アクリラートおよびそれらの誘導体、アクリルアミド、ならびにそれらの誘導体および第四アミンなどの基から選択することができる。例えば、これらに限定されないが、アクリルアミドベースの反応性ポリマー、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂、ならびに、ポリアミンおよびポリイミン、例えばカチオン性に官能化したポリアクリルアミド(ハーキュリーズ社(Hercules Incorporated)によって製造されたハーコボンド1000(HERCOBOND 1000(R)))、例えば米国特許第5,543,446号(その全体を本明細書に含める)で開示されたもの、しわ付け助剤(creping aid)、例えば米国特許第5,338,807号(その全体を本明細書に含める)で開示されたクレペトールA3025(CREPETROL(R)A3025)、および、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂、例えば米国特許第2,926,116号および2,926,154号(参照によりそれらの全体を開示に含める)で開示されたものが挙げられる。これらポリマーは、当業界において、これらに限定されないが、凝固剤、乾燥紙力増強樹脂、凝集剤、プロモーター樹脂、および、湿潤紙力増強樹脂などの多数の用語で知られていると思われる。
[0059]
合成高分子電解質という用語は、本明細書において、1個またはそれ以上の単量体を含み、そのうち少なくとも1種の単量体はアニオン性またはカチオン性であるポリマーを意味するものとして用いられる。誘導体化された合成高分子電解質が本発明の範囲内であると考えられ、これらは本発明の目的において合成高分子電解質の定義の範囲内とみなされる。アニオン性またはカチオン性単量体は、ほとんどの場合、アクリルアミドのような非イオン性単量体を用いてコポリマーを製造するのに用いられる。これらのポリマーは、これらに限定されないが、懸濁液、分散および逆エマルジョンの重合などの合多種多様な合成法によって得るすることができる。最終工程として、マイクロエマルジョンを用いてもよい。
[0060]
あるいは、合成高分子電解質という用語は、1種またはそれ以上の非イオン性単量体の重合、それに続く誘導体化、または、その他の成分との反応により得られたポリマーを意味するのに用いられる。一例としては、ポリアミドアミン−エピハロヒドリンポリマーが挙げられ、これは、アミンとジカルボン酸の反応、すなわちエピハロヒドリンとの反応によって形成される。典型的なアミンとしては、これらに限定されないが、ジアミン、例えばエチレンジアミン;トリアミン、例えばジエチルトリアミン;および、テトラミン、例えばトリエチレンテトラミンが挙げられる。典型的なジカルボン酸としては、これらに限定されないが、アジピン酸が挙げられる。典型的なエピハロヒドリンとしては、これらに限定されないが、エピクロロヒドリンが挙げられる。
[0061]
合成高分子電解質の共重合用単量体は、どのような比率で存在していてもよい。得られた合成高分子電解質は、できるカチオン性、アニオン性または両性(カチオン性電荷とイオン電荷の両方を含む)であり得る。イオン性 水溶性ポリマーまたは高分子電解質は、典型的には、非イオン性単量体とイオン性単量体とを共重合することによって、または、重合後、非イオン性ポリマーを処理してイオン性官能基を付与することによって製造される。この例は、重合後、N−ビニルホルムアミドポリマーおよびコポリマーを加水分解して、ポリ(ビニルアミン)を製造することである。
[0062]
本発明において有用な好ましい合成高分子電解質の例としては、これらに限定されないが、20モルパーセントまたはそれより大きいカチオン性単量体含量を有するカチオン性コポリマー、20モルパーセントまたはそれ未満のアニオン性単量体含量を有するアニオン性コポリマー、ポリアミン、ポリ−ジアリルジメチルアンモニウム塩化物、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂、または、変性ポリエチレンイミンが挙げられる。20モルパーセントまたはそれより大きいカチオン性単量体含量を有するカチオン性コポリマーの一例は、20モルパーセントまたはそれより大きいAETAC含量を有する2−アクリロイルオキシトリメチルアンモニウム塩化物(AETAC)/アクリルアミドコポリマーである。一実施形態において、20モルパーセントまたはそれ未満のアニオン性単量体含量を有するアニオン性コポリマーは、アクリル酸/アクリルアミドコポリマーの酸含量である。
[0063]
凝固剤および凝集剤という用語は、それらの化学的性質は類似している可能性があるので用語の比較で定義することが最もよい。一つの識別法は、凝固剤は、典型的には、凝集剤よりも分子量が低い点である。第二の識別法は、コロイド粒子の凝集を引き起こすメカニズムである。凝固剤は、粒子のイオン性質を不安定化させたり、または変化させたりして粒子の懸濁液を凝集させるように作用する。これにより、系全体のゼータ電位がゼロに近くなる。凝集は、粒子をポリマーの長鎖を介して一緒に結合させることによって懸濁液を不安定にする。凝固剤は、不可逆的な凝集を引き起こすが、それに対して凝集剤の作用は可逆的である。最後に、ほとんどの凝固剤はカチオン性の性質を有するが、凝集剤は、カチオン性またはアニオン性のいずれかである。
[0064]
本発明における高分子電解質として用いることができる凝固剤の例としては、これらに限定されないが、エピクロロヒドリンとアミン(ジメチルアミン、エチレンジアミンなど)との直鎖状および分岐状ポリアミン縮合生成物、例えばハーキュリーズ社(ウィルミントン,デラウェア州)の製品のパーフォームPC1279(Perform(R)PC1279);ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム塩化物)、または、ポリ(DADMAC)、例えばハーキュリーズ社の製品のパーフォーム(R)8717;ポリエチレンイミン、および、変性ポリエチレンイミン、例えばBASF社(BASF Corporation,マウントオリーブ,ニュージャージー州)の製品であるポリミンSK(Polymin(R)SK);ポリアミドアミン、例えばハーキュリーズ社の製品であるレテン204LS(Reten(R)204LS);N−ビニルホルムアミドポリマーおよびコポリマーの加水分解物、および、四級化された加水分解物、および、化学的誘導体などが挙げられる。
[0065]
凝集剤は、典型的には、高分子量の高分子電解質である。商業的な用途での材料としては、アニオン性材料、カチオン性材料、両性ポリマー、加えてアニオン性およびカチオン性コポリマーの混合物が挙げられる。また、アニオン性またはカチオン性単量体いずれかのホモポリマーも凝集剤として作用することを特記する。
[0066]
本発明で用いられる合成高分子電解質の一般構造は、式II、IIIおよびIVで示される。Nは、非イオン性ポリマーセグメントを示す。Aは、アニオン性ポリマーセグメントを示す。Cは、カチオン性ポリマーセグメントを示す。
【0008】
【化2】

【0009】
[0067]
式II、式IIIおよび式IV中の非イオン性ポリマーセグメントNは、1個またはそれ以上の非イオン性単量体の重合の後に形成された繰り返し単位である。Nに包含される典型的な単量体としては、これらに限定されないが、アクリルアミド;メタクリルアミド;N−アルキルアクリルアミド、例えばN−メチルアクリルアミド;N,N−ジアルキルアクリルアミド、例えばN,N−ジメチルアクリルアミド;メタクリル酸メチル;アクリル酸メチル;アクリロニトリル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン、前述のもののいずれかの混合物などが挙げられる。その他のタイプの非イオン性単量体を用いてもよい。
[0068]
式IIおよび式IV中のカチオン性ポリマーセグメントCは、1個またはそれ以上のカチオン性単量体の重合の後に形成された繰り返し単位である。Cに包含される典型的な単量体としては、これらに限定されないが、カチオン性エチレン性不飽和単量体、例えばジアリルジアルキルアンモニウムハロゲン化物、例えばジアリルジメチルアンモニウム塩化物;ジアルキルアミノアルキル化合物の(メタ)アクリラート、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリラート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリラート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシジメチルアミノプロピル(メタ)アクリラート、アミノエチル(メタ)アクリラート;、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミドの塩および遊離塩基、および、それらの塩および第四級化合物、および、前述の物質の混合物などが挙げられる。
[0069]
式IIIおよび式IV中のアニオン性ポリマーセグメントAは、1個またはそれ以上のアニオン性単量体の重合の後に形成された繰り返し単位である。Aに包含される典型的な単量体としては、これらに限定されないが、アクリル酸;メタクリル酸、マレイン酸;イタコン酸;アクリルアミドグリコール酸;2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸;3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸;スチレンスルホン酸;ビニルスルホン酸;ビニルホスホン酸;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸の遊離酸および塩、前述のもののいずれかの混合物などが挙げられる。
[0070]
式IIで示される非イオン性単量体のカチオン性単量体に対するモルパーセンテージであるN:Cは、約99:1〜約1:99の範囲内であり得る。NおよびCのモルパーセンテージは、合計100%になっていなければならない。当然ながら、2種以上の非イオン性単量体が、式IIに存在していてもよい。また当然ながら、2種以上のカチオン性単量体が、式IIに存在していてもよい。
[0071]
式IIIで示される非イオン性単量体のアニオン性単量体に対するモルパーセンテージであるN:Aは、約99:1〜1:99の範囲内であり得る。NおよびAのモルパーセンテージは、合計100%になっていなければならない。当然ながら、2種以上の非イオン性単量体が、式IIIに存在していてもよい。また当然ながら、2種以上のアニオン性単量体が、式IIIに存在していてもよい。
[0072]
式IVで示される両性ポリマーのモルパーセンテージに関して、A、NおよびCそれぞれの最小量は、高分子電解質を形成するのに用いられる単量体総量の約1%である。A、NまたはCの最大量は、高分子電解質ポリマーを形成するのに用いられる単量体総量の約98%である。A、NおよびCのモルパーセンテージは、合計100%になっていなければならない。当然ながら、2種以上の非イオン性単量体が、式IVに存在していてもよいし、2種以上のカチオン性単量体が、式IVに存在していてもよいし、さらに、2種以上のアニオン性単量体が、式IVに存在していてもよい。
[0073]
凝集剤として用いられるカチオン性高分子電解質の例としては、これらに限定されないが、アクリルアミドのカチオン性コポリマー、例えば、ハーキュリーズ社(ウィルミントン,デラウェア州)の製品であるパーフォーム(R)PC8713、および、パーフォーム(R)PC8138;ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム塩化物)、例えばハーキュリーズ社の製品であるパーフォーム(R)PC8717;ポリアクリルアミドと、ジメチルアミンおよびホルムアルデヒドとの反応生成物、これは当業界ではマンニッヒ反応生成物と認識されており、例えばハーキュリーズ社の製品であるパーフォーム(R)PC8984;2種以上のカチオン性ポリマーのポリマーブレンド、ポリ(ビニルアミン)などが挙げられる。第二の成分として、アクリルアミドをベースとするカチオン性に官能化したポリマーが使用可能であると考えられる。典型的な材料は、ハーキュリーズ社の製品であるハーコボンド(R)1000である。
[0074]
アニオン性高分子電解質の例としては、これらに限定されないが、アクリル酸およびアクリルアミドのコポリマー、例えば、ハーキュリーズ社の製品であるパーフォーム(R)8137、および、レテン1523H(Reten(R)1523H)が挙げられる。第二の成分として、アクリルアミドをベースとするアニオン性に官能化したポリマーが使用可能であると考えられる。典型的な材料は、ハーキュリーズ社の製品であるハーコボンド(R)2000である。
[0075]
高分子電解質は、分子量50,000〜50,000,000の範囲で様々であってよく、直鎖状、分岐状または樹枝状のいずれでもよい。これらの電荷密度は、モルに基づき1〜99%の範囲で様々である。
[0076]
あるいは、上述したように、第二の成分は、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂、ポリアミンまたはポリイミンでもよい。好ましくはポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂であり、例えば米国特許第2,926,116号、および、2,926,154号(参照によりそれらの全体が開示に含まれる)で開示されたものである。また、好ましいポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂は、米国特許第5,614,597号(参照によりそれらの全体が開示に含まれる)の教示に従って製造してもよい。米国特許第5,614,597号で述べられているように、このような工程には、典型的には、ポリアミドアミン水溶液と過量のエピハロヒドリンとを反応させ、ポリアミドアミン中のアミン基をエピハロヒドリン付加物に完全に変換することが含まれる。反応中に、ハロヒドリン基が、ポリアミドアミンの第二アミン基に付加される。好ましいポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂としては、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリンが挙げられ、例えばハーキュリーズ社(ウィルミントン,デラウェア州)が様々な商標名で販売しているものである。ハーキュリーズより入手可能な好ましいポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂としては、これらに限定されないが、キメン(KYMENE(R))樹脂、および、ハーコボンド(R)樹脂、キメン557H(R)樹脂;キメン(R)557LX2樹脂、キメン(R)557SLX樹脂;キメン(R)557ULX樹脂、キメン(R)557ULX2樹脂;キメン(R)709樹脂;キメン(R)736樹脂;および、ハーコボンド(R)5100樹脂が挙げられる。これらのなかでも、具体的に好ましいポリアミドアミンは、キメン(R)557H樹脂、および、ハーコボンド(R)5100であり、水溶液の形態で入手可能である。また、キメン(R)736樹脂(ポリアミン)は、成分(A)としても用いることができる。当然ながら、前述の樹脂それぞれのに等価なものも本発明の範囲内として考慮される。
[0077]
歩留まりおよび濾水系の代替の第二の成分は、環状の有機材料が可能である。これらの材料の特殊な観点の1つは、他種の、典型的には低分子量の分子またはイオンと複合体を形成するそれらの能力である。これらの相互作用は、「ゲスト・ホスト」化学と呼ばれており、環状物質がホストであり、それより小さいゲスト分子が、環状の「ホスト」の内部の位置で複合体形成すると予想される。これらの化合物、またはいわゆる大環状化合物の例としては、これらに限定されないが、クラウンエーテル、シクロデキストリン、および、大環状抗生物質が挙げられる。
[0078]
クラウンエーテルは、炭素、水素および酸素を含むエチレングリコールの環状オリゴマーである。酸素原子がそれぞれ2個の炭素原子に結合し、「クラウン」状の環が形成される。これらの分子は、ナトリウム、カリウムのような所定の金属元素の原子そのものが環の露出した酸素原子に付着し、金属元素の原子を隔離するようになっている。
[0079]
シクロデキストリンは、環状スターチ誘導体であり、これは、天然に存在するかものでもよいし、または、シクロマルトデキストリングルコシルトランスフェラーゼのような酵素を用いて合成してもよい。天然に存在するシクロデキストリン、アルファ−、ベータおよびガンマ−シクロデキストリンと呼ばれている。シクロデキストリンは、その他の化合物と安定な複合体を形成する。
[0080]
大環状抗生物質は、抗生物活性を有する一連の環状化合物に与えられる用語である。それらの構造により、大環状抗生物質は、分子と選択的に複合体を形成すると予想される。典型的な大環状抗生物質としては、これらに限定されないが、リファマイシン、バンコマイシン、および、リストセチンAが挙げられる。
[0081]
歩留まりおよび濾水系の第二の成分は、パルプの乾燥重量に基づき、20Kg(活性物質)/メートルトン(セルロースパルプ)以下の量で添加することができ、会合性ポリマーの第二の成分に対する比率は、1:100〜100:1である。製紙系において2種以上の第二の成分が使用可能であると考えられる。
[0082]
ケイ酸含有材料は、紙および板紙の製造で用いられる歩留まり向上剤および濾水性向上剤の追加の成分として用いてもよい。このようなケイ酸含有材料は、シリカをベースとした粒子、シリカミクロゲル、無定形シリカ、コロイドシリカ、アニオン性コロイドシリカ、シリカゾル、シリカゲル、ポリシリケート、ポリケイ酸等からなる群より選択される材料のいずれかであり得る。これらの材料は、高い表面領域、高い電荷密度、および、1ミクロン未満の粒度を特徴とする。
[0083]
このようなものとして、球状の無定形のシリカ粒子の安定なコロイド分散系(当業界ではシリカゾルと呼ばれる)が挙げられる。ゾルという用語は、球状の無定形粒子の安定なコロイド分散系を意味する。シリカゲルは、3次元的にシリカが集合した鎖であり、それぞれ歩留まり向上剤および濾水性向上剤系で用いることができる数種の無定形シリカゾル粒子を含み、このような鎖は、直鎖状でもよいし、または分岐状でもよい。シリカゾルおよびゲルは、モノマーのケイ酸を環状構造に重合して、ポリケイ酸の離散的な無定形シリカゾルを生成させることによって製造される。これらのシリカゾルを反応させ、さらなる3次元ゲルネットワークを形成させることもできる。様々なシリカ粒子(ゾル、ゲルなど)は、5〜50nmの外径寸法を有する場合がある。また、アニオン性コロイドシリカを用いてもよい。
[0084]
セルロース含有懸濁液にケイ酸含有材料を添加することができ、添加量は、セルロース含有懸濁液の乾燥重量に基づき少なくとも0.005Kg/メートルトンの量が可能である。ケイ酸含有材料の量は、50Kg/メートルトンのように高くてもよい。好ましくは、ケイ酸含有材料の量は、約0.05〜約25Kg/メートルトンである。さらにより好ましくは、ケイ酸含有材料の量は、セルロース含有懸濁液の乾燥重量に基づき約0.25〜約5Kg/メートルトンである。
[0085]
本発明で用いられる会合性ポリマーの量に対するケイ酸含有材料の量は、重量に基づき約100:1〜約1:100、または、約50:1〜1:50、または、約10:1〜1:10であり得る。
[0086]
本発明の系の一部となり得るさらにその他の追加の成分はアルミニウム源であり、例えばアラム(硫酸アルミニウム)、ポリ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、および、クロルヒドロキシアルミニウムである。
[0087]
歩留まりおよび濾水系の成分は、実質的に同時にセルロース含有懸濁液に添加してもよい。歩留まりおよび濾水系という用語は、本明細書において、改善された歩留まりおよび濾水を提供するために製紙用スラリーに添加された2種またはそれ以上の別個の材料を包含するものとして用いられる。例えば、このような成分は、同じ段階もしくは供給点、または、異なる段階もしくは供給点のいずれかでそれぞれセルロース含有懸濁液に添加してもよい。本発明の系の成分が同時に添加される場合、上記材料のいずれか2種またはそれ以上を、混合物として添加してもよい。このような混合物は、供給点で、または、供給点への供給ライン中で上記材料のいずれか2種またはそれ以上を混合することによってその場で形成してもよい。あるいは、本発明の系は、予備形成された2種またはそれ以上の上記材料のいずれかの混合物を含む。本発明の代替形態において、本発明の系の成分は連続的に添加される。各成分の添加ポイントの間に、剪断ポイントがあってもよいし、または、なくてもよい。上記成分は、どのような順番で添加してもよい。
[0088]
本発明の系は、典型的には、紙加工の工程に導入されることによって、歩留まりおよび濾水に作用する。本発明の系は、高粘度の原料に添加してもよいし、または、低粘度の原料に添加してもよいが、好ましくは低粘度の原料に添加される。本システムは、1ヶ所の供給ポイントで添加してもよいし、または、本発明の系が2ヶ所またはそれ以上の別々の供給ポイントで同時に供給されるように分割して供給されてもよい。典型的な原料添加ポイントとしては、ファンポンプの前、ファンポンプの後、および、圧力スクリーンの前、または、圧力スクリーンの後の供給ポイントが挙げられる。
【0010】
実施例
[0089]
本発明の性能を評価するために、一連の濾水試験を合成のアルカリ性完成紙料を用いて行った。この完成紙料は、市販の硬材および軟材の乾燥ラップパルプ、さらに水と追加の材料から製造される。まず、市販の硬材および軟材の乾燥ラップパルプを別々に精砕する。次に、これらのパルプを、水性媒体中、約30重量パーセントの軟材に対して約70重量パーセントの硬材の比率で混合する。完成紙料の製造に利用された水性媒体は、代表的な硬度にした現地の硬水と脱イオン水との混合物を含む。この媒体が、総アルカリ度(CaCOとして)が75ppmであり、硬度(CaCOとして)が100ppmになるようにな量で、無機塩を添加する。このパルプ完成紙料に沈降炭酸カルシウム(PCC)を代表的な重量パーセントで導入し、80%の繊維、および、20%のPCC充填剤を含む最終的な完成紙料を得る。濾水試験は、この完成紙料を機械式ミキサーで既定のミキサー速度で混合し、様々な化学成分を完成紙料に導入して、次の成分を添加する前に一つ一つの成分を既定時間混合することによって行われた。具体的な化学成分と適用量レベルは表のデータに記載した。本発明の濾水活性を、カナダ標準濾水度(CSF)を利用して決定した。CSF試験は、相対的な濾水速度、または、脱水速度を決定するのに利用することができる市販の装置であり(Lorentzen&Wettre,ストックホルム,スウェーデン)、当業界でもよく知られている;標準試験法(TAPPI試験手法T−227)が一般的である。CSF装置は、濾水チャンバーと速度を測定する漏斗からなり、これらは両方、適切な支持体にマウントされている。濾水チャンバーは円柱形であり、底部に穴の開いたスクリーンプレートとヒンジで連結されたプレートを備え、さらに、上部に真空気密性のヒンジで連結された蓋を備えている。速度を測定する漏斗は、底部の開口部と、側面のオーバーフロー用の開口部を備えている。
[0090]
CSF濾水試験は、1リットルの完成紙料を用いて行われる。完成紙料は、CSF装置の外部で、説明されている処理に応じて、乱流混合を施すための正方形のビーカー中で製造される。添加剤の添加と、連続的な混合が完了したら、処理された完成紙料を濾水チャンバーに注入し、上蓋を閉じ、続いて即座に底部のプレートを開く。速度を測定する漏斗に水分を存分に排出する;底部の開口部によって溢れたとみなされた水流は、側面の開口部を通じてオーバーフローすると予想され、それらはメスシリンダーに回収される。得られた値は、ろ液のミリリットル(ml)で記載される;定量値が高いということは、濾水または脱水がより高レベルであることを示す。
[0091]
試験サンプルを以下のように製造した:上述のように製造された完成紙料に、まず5Kg/メートルトン(完成紙料,乾燥基準)のカチオン性スターチ(スタローク400(Stalok(R)400)),AE.,ステイリー(AE.,Staley,ディケーター,イリノイ州)を添加した。次に、表に記載した通りの対象の添加剤を添加した。
[0092]
表1に記載のデータは、本発明の方法における様々なカチオン性凝固剤の濾水活性を説明する。PC1279とは、分岐状ポリアミンのパーフォーム(R)PC1279であり;PC1290とは、直鎖状ポリアミンのパーフォーム(R)PC1290であり;PC8229とは、ジアリルジメチルアンモニウム塩化物のポリマーであるパーフォーム(R)PC8229であり、さらにPC8717とは、パーフォーム(R)TMPC8717であり;SP9232とは、歩留まり向上剤および濾水性向上剤製品であるパーフォーム(R)SP9232であり;さらに、PC8138とは、ポリアクリルアミドのカチオン性コポリマーであるパーフォーム(R)PC8138であり;これらは全て、ハーキュリーズ社(ウィルミントン,デラウェア州)の製品である。ポリミンSK(Polymin(R)SK)とは、BASF(マウントオリーブ,ニュージャージー州)製の変性ポリエチレンイミンである。
【0011】
【表1】

【0012】
[0093]
表1に記載のデータから、カチオン性凝固剤の利用によって、本発明により濾水の改善が示されることが実証される。
[0094]
次に、表2に示した通にカチオン性ポリビニルアミンポリマを用いて一連の濾水実験を行った。これらの材料は表1で指定された通りでり、 アラムは、硫酸アルミニウム十八水和物(50%溶液として,デルタ・ケミカル社(Delta Chemical Corp.),ボルチモア,メリーランド州)である。PPD M−1188、 PPD M−1189およびPPD M−5088(ハーキュリーズ社,ウィルミントン,デラウェア州)は、N−ビニルホルムアミドを部分的に加水分解して、ポリ(N−ビニルホルムアミド−コ−ビニルアミン)を製造することによって製造されたカチオン性ポリビニルアミンコポリマーである。
【0013】
【表2】

【0014】
[0095]
表2に記載のデータは、本発明の範囲内のカチオン性ポリビニルアミンコポリマーの濾水活性を説明する。
[0096]
次に、一連のカチオン性およびアニオン性凝集剤を評価したが、ここで具体的なポリマーのモルあたりの電荷密度と物理的な形態は、表3に記載した。EM、FO、ANおよびEMシリーズの凝集剤は、SNFフロージャー(SNF Floerger,ライスボロ,ジョージア州)の製品であり、スーパーフロック(Superfloc)凝集剤は、サイテック・インダストリーズ社(Cytec Industries Inc.,ウェストパターソン,ニュージャージー州)の製品である。
【0015】
【表3】

【0016】
【表4】

【0017】
[0097]
表4の濾水のデータから、カチオン性またはアニオン性凝集剤が本発明の範囲内で用いられた場合に活性が改善されたことが実証される。
[0098]
表5は、環状有機物質の有用性を説明する。試験サンプルを以下のように製造した:上述のように製造された完成紙料に、まず、5Kg/メートルトン(完成紙料,乾燥基準)のカチオン性スターチ(スタローク(R)400,AE.,ステイリー,ディケーター,イリノイ州)、続いて、2.5Kg/メートルトン(完成紙料,乾燥基準)のアラム(硫酸アルミニウム十八水和物,デルタ・ケミカル社(ボルチモア,メリーランド州)から、50%溶液として得た)、続いて、0.5Kg/トン(完成紙料,乾燥基準)のパーフォーム(R)PC8138(ハーキュリーズ社,ウィルミントン,デラウェア州)を添加した。次に、表に示す実施例において、表に記載した通りの対象の添加剤を添加した。SP9232とは、パーフォーム(R)SP9232であり、これは、所定の条件下で製造された歩留まり向上剤および濾水性向上剤である(PCT WO03/050152Aを参照)、ハーキュリーズ社(ウィルミントン,デラウェア州)の製品である;シリカは、エカ・ケミカルズ(Eka Chemicals,マリエッタ,ジョージア州)の製品であるBM780コロイドシリカであり、クラウンエーテルは、アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals,ミルウォーキー,ウィスコンシン州)アルドリッチ・ケミカルズ(ミルウォーキー,ウィスコンシン州)から入手した15−クラウン−5化合物(1,4,7,10,13−ペンタオキサシクロペンタデカン)であり、CDは、アルドリッチ・ケミカルズ(ミルウォーキー,ウィスコンシン州)から入手したアルファ−シクロデキストリン水和物である。
[0099]
このデータから、環状有機化合物は、濾水の改善を示すことがわかる。
【0018】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
製紙法における歩留まりおよび濾水を改善する方法であって、ここで、該改善は、製紙用スラリーに、会合性ポリマー、および、少なくとも1種の合成高分子電解質を添加することを含み、ここで、該会合性ポリマーは、式:
【化1】

[式中、Bは、1個またはそれ以上のエチレン性不飽和非イオン性単量体を含む非イオン性ポリマーセグメントであり;Fは、少なくとも1個のエチレン性不飽和アニオン性、または、エチレン性不飽和カチオン性単量体を含むポリマーセグメントであり;さらに、B:Fのモルパーセントの比率は、99:1〜1:99である]
を含み、ここで、該会合性ポリマーは、有効量のジブロックまたはトリブロック高分子界面活性剤から選択される少なくとも1種の乳化用の界面活性剤によって付与される会合特性を有し、ここで、該少なくとも1種のジブロックまたはトリブロック界面活性剤の単量体に対する量は、少なくとも約3:100であり、ここで、該少なくとも1種の合成高分子電解質は、20モルパーセントまたはそれより大きいカチオン性単量体含量を有するカチオン性コポリマー、20モルパーセントまたはそれ未満のアニオン性単量体含量を有するアニオン性コポリマー、ポリアミン、ポリ−ジアリルジメチルアンモニウム塩化物、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂、または、変性ポリエチレンイミンからなる群より選択される、上記方法。
【請求項2】
前記少なくとも1種の合成高分子電解質は、20モルパーセントまたはそれより大きいカチオン性単量体含量を有するカチオン性コポリマー;および、20モルパーセントまたはそれ未満のアニオン性単量体含量を有するアニオン性コポリマーからなる群より選択され;さらに、該カチオン性またはアニオン性コポリマーは、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−ビニルメチルアセトアミド(methacetamide)、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルメチルホルムアミド、および、N−ビニルピロリドンから選択される少なくとも1種の非イオン性単量体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種の合成高分子電解質は、20モルパーセントまたはそれ未満のアニオン性単量体含量を有するアニオン性コポリマーであり、ここで、該アニオン性コポリマーは、アクリル酸;メタクリル酸、マレイン酸;イタコン酸;アクリルアミドグリコール酸;2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸;3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸;スチレンスルホン酸;ビニルスルホン酸;ビニルホスホン酸;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸の遊離酸または塩から選択される少なくとも1種のアニオン性単量体を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1種の合成高分子電解質は、20モルパーセントまたはそれ未満のアニオン性単量体含量を有するアニオン性コポリマーであり、ここで、該アニオン性コポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸、および、スチレンスルホン酸の遊離酸または塩から選択される少なくとも1種のアニオン性単量体を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1種の合成高分子電解質は、20モルパーセントまたはそれより大きいカチオン性単量体含量を有するカチオン性コポリマーであり、ここで、該カチオン性コポリマーは、ジアリルジメチルアンモニウムハロゲン化物;ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリラート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリラート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシジメチルアミノプロピル(メタ)アクリラート、アミノエチル(メタ)アクリラート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、および、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物の遊離塩基または塩から選択される少なくとも1種のカチオン性単量体を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1種の合成高分子電解質は、20モルパーセントまたはそれより大きいカチオン性単量体含量を有するカチオン性コポリマーであり、ここで、該カチオン性コポリマーは、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、および、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物の遊離塩基または塩から選択される少なくとも1種のカチオン性単量体を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1種の合成高分子電解質は、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂;ポリアミン;ポリイミン;および、前述のもののいずれかの誘導体からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1種の合成高分子電解質は、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂、または、それらの誘導体を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ケイ酸含有材料をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ケイ酸含有材料は、シリカをベースとした粒子、シリカミクロゲル、無定形シリカ、コロイドシリカ、アニオン性コロイドシリカ、シリカゾル、シリカゲル、ポリシリケート、ポリケイ酸、および、それらの組み合わせからなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種の合成高分子電解質は、ポリアミン、または、それらの誘導体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記会合性ポリマーは、アニオン性である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記会合性ポリマーは、アクリルアミド、および、アクリル酸の遊離酸または塩を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
会合性ポリマー、および、少なくとも1種の合成高分子電解質を含む組成物であって、ここで、該会合性ポリマーは、式:
【化2】

[式中、Bは、1個またはそれ以上のエチレン性不飽和非イオン性単量体を含む非イオン性ポリマーセグメントであり;Fは、少なくとも1個のエチレン性不飽和アニオン性、または、エチレン性不飽和カチオン性単量体を含むポリマーセグメントであり;さらに、B:Fのモルパーセントの比率は、99:1〜1:99である]
を含み、ここで、該会合性ポリマーは、有効量のジブロックまたはトリブロック高分子界面活性剤から選択される少なくとも1種の乳化用の界面活性剤によって付与される会合特性を有し、ここで、該少なくとも1種のジブロックまたはトリブロック界面活性剤の単量体に対する量は、少なくとも約3:100であり、ここで、該少なくとも1種の合成高分子電解質は、20モルパーセントまたはそれより大きいカチオン性単量体含量を有するカチオン性コポリマー、20モルパーセントまたはそれ未満のアニオン性単量体含量を有するアニオン性単量体コポリマー、ポリアミン、ポリ−ジアリルジメチルアンモニウム塩化物、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂、または、変性ポリエチレンイミンからなる群より選択される、上記組成物。
【請求項15】
セルロース系繊維をさらに含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1種の合成高分子電解質は、20モルパーセントまたはそれより大きいカチオン性単量体含量を有するカチオン性コポリマー;および、20モルパーセントまたはそれ未満のアニオン性単量体含量を有するアニオン性コポリマーからなる群より選択され;さらに、該カチオン性またはアニオン性コポリマーは、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−ビニルメチルアセトアミド(methacetamide)、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルメチルホルムアミド、および、N−ビニルピロリドンから選択される少なくとも1種の非イオン性単量体を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1種の合成高分子電解質は、20モルパーセントまたはそれ未満のアニオン性単量体含量を有するアニオン性コポリマーであり、ここで、該アニオン性コポリマーは、アクリル酸;メタクリル酸、マレイン酸;イタコン酸;アクリルアミドグリコール酸;2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸;3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸;スチレンスルホン酸;ビニルスルホン酸;ビニルホスホン酸;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸の遊離酸または塩から選択される少なくとも1種のアニオン性単量体を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1種の合成高分子電解質は、20モルパーセントまたはそれ未満のアニオン性単量体含量を有するアニオン性コポリマーであり、ここで、該アニオン性コポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸、および、スチレンスルホン酸の遊離酸または塩から選択される少なくとも1種のアニオン性単量体を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記少なくとも1種の合成高分子電解質は、20モルパーセントまたはそれより大きいカチオン性単量体含量を有するカチオン性コポリマーであり、ここで、該カチオン性コポリマーは、ジアリルジメチルアンモニウムハロゲン化物;ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリラート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリラート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシジメチルアミノプロピル(メタ)アクリラート、アミノエチル(メタ)アクリラート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、および、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物の遊離塩基または塩から選択される少なくとも1種のカチオン性単量体を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
前記少なくとも1種の合成高分子電解質は、20モルパーセントまたはそれより大きいカチオン性単量体含量を有するカチオン性コポリマーであり、ここで、該カチオン性コポリマーは、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、および、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物の遊離塩基または塩から選択される少なくとも1種のカチオン性単量体を含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1種の合成高分子電解質は、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂;ポリアミン;ポリイミン;および、前述のもののいずれかの誘導体からなる群より選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項22】
前記少なくとも1種の合成高分子電解質は、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂、または、それらの誘導体を含む、請求項14に記載の組成物。

【公表番号】特表2008−530377(P2008−530377A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549532(P2007−549532)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/046949
【国際公開番号】WO2007/011420
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(591020249)ハーキュリーズ・インコーポレーテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】HERCULES INCORPORATED
【Fターム(参考)】