説明

素早く正確でプログラム可能なチューニングシステムを備えたティンパニ

1秒を切る素早さと温度や湿度の影響がない正確さを持つチューニングシステムを備えたティンパニを供給する。各ティンパニはヘッドの張力を変えるための機構を駆動するモータを持つ。指示された音は振動周期に変換され、さらに本体に対するヘッドの縁の目標変位に変換される。モータは縁がその目標変位に到達するよう駆動される。振動周期を目標変位に変換する関数のパラメータが記憶されていて、ヘッドが振動したときに実際の振動周期が所定値から外れていれば、パラメータを更新して周期と変位との組データが関数に合致するようにする。各ティンパニに設定すべき音の組み合わせは予めステップ毎にプログラムされ記憶される。演奏時に楽譜上の特別のマークの付けられたタイミングでフットペダルでプログラムのステップを進めると、発音なく素旱く調音される。消音機構が装着され音の変更と合わせてプログラムされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は素早く正確なチューニングシステムを備えた新規なティンパニ、あるいは他の言語でケトルドラムに関する。本発明はまたティンパニのための消音装置にも関する。本発明はさらにチューニングと消音のプログラミングという新規な機能にも関する。
【背景技術】
【0002】
ティンパニは複数形であり、ティンパノが単数形である。ティンパノは明確なピッチを持った音を発する。ヘッドと呼ばれる円形の膜が大きな釜のような本体に被さっている。ヘッドの縁はフープによって本体に押し付けられている。昔はフープの周囲に6から8個の手締めねじがフープの本体に対する相対位置を変えるように作られていて、それによって膜の張力を変えていた。奏者は膜の張力を調節してピッチを変えていた。ヘッドが要求されるピッチの音を発するように6つのねじを正確に調整するのには時間がかかった。1800年頃までは、作曲家はティンパニを用いるときにはこの制約の下で作曲しなければならなかった。したがって、ひとつの楽章の間はティンパニのピッチを変えないのが普通であった。
【0003】
その後改良されたティンパニが発明され、奏者はひとつのクランク状のハンドルを回すことによってピッチを変えることができるようになった。また他の発明では、ペダルの角度によってピッチを変えることができた。これらの動きはセンターシャフトの上下動に連結し、さらにそれはフープの周囲の6から8点に連結されていた。したがって、奏者は一箇所の操作でピッチを変えることができた。ピッチ変更の時間は短縮された。しかし、音を聞くことなくペダル操作のみでピッチを合わせられる熟練奏者はまれである。今日まで多くの奏者はペダルを操作して音を聞き、そしてペダルの角度を修正する。一回から数回の修正操作でティンパノは正しいピッチに調音される。奏者はピッチ調整のために大きな音を出せない。聴衆に聞こえないほどのかすかな音でそれを行わなければならない。さらに、ひとつのティンパノを調音するのに、奏者の能力と周囲の音にもよるが、5から30秒ほどはかかる。これらの改良により、作曲家は徐々に曲の途中でティンパニの音を変える曲を作曲するようになった。しかし、調音はさほど素早くないので3つあるいは4つのティンパニを使用することが多かった。また、作曲家はティンパニの音を変えるために奏者に十分な演奏しなくてもよい時間を与えるよう配慮した。
【0004】
次にティンパニに加えられた改良は各ティンパニにチューニングゲージを取り付けることであった。そのうちのある方式では、フープの上下動がポインターの回転角度に変換されるようになっている。他の方式では、ペダルの移動あるいはペダルからフープへの連結の途中のどこかの部品の角度あるいは変異がポインターの回転角度に変換されるようになっている。どちらの機構も部分円筒形状のバーがポインタのそばに設置されていて、いくつかの各々音名の文字がついたずらすことのできるマーカーがバー上に並んでいる。奏者はヘッドの張力を、ポインターが必要な音名のマーカーの位置に来るのを見て調整できる。マーカーの位置はその日の演奏に先立って正確に合わせておく。このチューニングゲージによって、訓練した奏者は、音の変更を2秒ほど以内で行える。
【0005】
ヘッドが本革でできている場合には、その張力は湿度や温度によって変化する。そのためペダル、フープあるいはポインターの位置が変わらなくても、ピッチが時間と共に変化することがある。プラスティックのヘッドはさほど湿度の影響を受けない。しかし、本体や種々の機構部品は温度上昇で膨張する。これらの結果チューニングゲージのポインターがマーカーのところにとどまっているのにピッチが変わってしまうことが起こる。実際トップクラスの奏者はチューニングゲージに頼らず、その耳で調音している。
【0006】
現在、奏者が電子チューニングメーターを入手することは容易である。それらの装置はティンパニを含むいずれの楽器によって発せられる音でもそのピッチを表示できる。さらにティンパニ專用のチューニングメーターが特許文献1他のようにいくつか発明されている。これらの専用メーターでは他の楽器の音は含まず、ヘッドの振動のみを採取できる。そして、最も近い音名と正確なピッチからどれだけ高いあるいは低いかという程度を表示する。これらのメーターは前述のチューニングゲージの抱える問題を解決し、音感の鋭敏でない奏者でも正確にチューニングを行うことができる。しかし、チューナーあるいはチュ−ニングメーターでピッチを調整するのに必要な時間は5秒を切ることは難しい。なぜなら、奏者はヘッドを打って音を鳴らす必要があり、フィードバックや修正のサイクルが依然必要だからである。
【0007】
特許文献2で開示された最近の発明では、モーターがヘッドを引っ張っているセンターシャフトを上下に駆動する。そのモーターは所定の音の基準振動周期と実際の振動から測定した振動周期との差にしたがって駆動され、振動周期の差がゼロになるまで駆動される。したがって、これらはフィードバックループを構成し、ピッチの自動調整が実現できる。音を変更するのに必要な時間は音を指定するためのボタンを押し、さらにヘッドを打つ時間を含めてやはり2秒程度と想像される。
【0008】
上述の従来の技術をまとめると、チューニングゲージは相当に速いチューニングを可能にするが、経時変化による精度の問題がある。精密な電子チューニング技術はヘッドを打つ必要がある。いずれにしても、弦楽器やトロンボーンの演奏のように、たとえば0.2秒以内に次々と音を正確に変えていくことは不可能であった。4つのティンパニを並べて用いることは現在のオーケストラでの標準である。作曲家はこの制限を考慮する必要があった。短時間の間にさらに多くの音を必要とする場合には、追加のティンパニを奏者の周りに用意する必要があった。あるいは、複数の奏者にそれぞれ異なった音のティンパニセットで演奏することを要求しなければならない。
【0009】
あまり知られていないがティンパニ奏者は消音の難題を抱えている。奏者はヘッドに触れることで音を打ち切る。この動作はマッフリングとも呼ばれる。手による正しい消音はそれ自体ひとつの技術である。また、消音は打っていないティンパニの共鳴発音を防止するためにも必要である。特に3つあるいはそれ以上のティンパニを並べた場合、2つの手ですべてのティンパニを瞬時に消音することは難しい。特許文献3の発明では、消音パッドが足で操作するスイッチにしたがって電磁デバイスによって駆動され、ヘッドに接触するようになっている。一つの足スイッチによってすべてのティンパニのパッドが駆動される。しかし、共鳴発音を完全に防止するには、当面使用しないティンパニでは継続的にパッドを接触させておくのが望ましい。現在従来の楽器でしばらく使用しないティンパニにフェルトパッドなどを載せておくことが解決策として行われている。しかし、近代、現代の音楽作品では、演奏すべきティンパニの選択が曲中で頻繁に入れ替わり、このフェルトパッドを載せたり降ろしたりすることは煩雑に過ぎる作業となる。
【0010】
【特許文献1】 米国特許USP4741242号公報
【特許文献2】 米国特許USP4023462号公報
【特許文献3】 米国特許USP3951032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の第1の目的はヘッドの振動がなくとも、そしてヘッドを打つことがなくともすばやく正確にティンパニのチューニングを行うシステムを提供することである。
【0012】
本発明の第2の目的は変化する湿度温度に対しても、また振動膜の伸びに対しても精度を保つことのできるティンパニのチューニングを行うシステムを提供することである。
【0013】
本発明の第3の目的は奏者の手による操作によらず、したがって、他のティンパニを演奏中にあるいは、同じティンパニの2つの打ち鳴らしの合間に、音を変えることを可能にするティンパニのチューニングを行うシステムを提供することである。加えて複数のティンパニの音を同時に変えることも目的とする。
【0014】
本発明の第4の目的は、他の目的を達成すると共に、グリッサンドやロール中に徐々に音を変えるなど、従来ペダルで可能となっていた機能をも持たせることである。
【0015】
本発明の第5の目的は、消音を援助するシステムを提供することである。これは打ち鳴らしの後のみでなく、チューニング作動中と不使用時の消音も含む。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、第1の目的を達成するために従来のティンパニに対して6つの手段が加えられる。第1の手段はフープを上下に駆動するための可逆転モーター、あるいはそれに似たアクチュエーターである。モーターの回転はギアダウンされフープに連結されたセンターシャフトの軸方向の動きに変換されるか、ペダルの動きをセンターシャフトに伝えるための蝶番の回転に変換される。
【0017】
第2の手段は上記モーターの回転を制御するコントローラである。これは、回転の方向、起動と停止そして速度を制御する。パルスモーターを使用する場合には、供給するパルスの数を制御する。
【0018】
第3の手段はヘッドに張力を与えるフープの垂直変異を示す変位エンコーダーである。フープのところで直接エンコードしてもよいし、モーターからフープへの駆動機構の連結におけるある点の直線あるいは回転移動がエンコードされる。さらにモーターの累積回転角度をエンコードするか、パルスモーターを使用するときは供給されるパルス数を計数することでもよい。どの部分がエンコードのために選ばれたとしても、フープの直接あるいは間接変位があるスケールの上にマッピングされる。その値は自律的に更新されコントローラから読むことができる。以上に述べた第1、第2、第3の手段によって、可能な範囲のいかなる変位値へもすばやく正確に到達できることになる。これは位置制御の一般的な技術である。
【0019】
第4の手段はカーブを表現するデータを格納し、コントローラから読み出し可能なカーブメモリである。ここで“カーブ”とはヘッド振動の周期あるいは周波数に対する上記変位のグラフあるいは形状を意味する。同じく“データ”の例としてカーブ上のいくつかの点の集合、グラフを近似する数学的関数のパラメータなどがある。そしてこのデータは予め個別のヘッドとティンパノの組み合わせに対して調整される。
【0020】
第5の手段は奏者の指令を受け付けそして各ティンパノの状態を表示するコンソールパネルである。
【0021】
このコンソールパネルからある音へ変更する指令を受けると、コントローラは第1の変換によって、指定の音名から音の周期あるいは周波数を計算する。そして、第2の変換によってカーブメモリに格納されたデータを用いてその周期あるいは周波数から目標変位に変換する。
そして、モータを駆動しエンコードされた変位がその目標変位に達するまでモーターを駆動する。
【0022】
なお、駆動方向がヘッドを緩める方向であるときには、コントローラは準目標を設定して目標を通り過ごさせ、それから方向を逆転して正目標に向かわせる。これはヘッドと本体との間の摩擦がヘッドの十分な収縮を妨げることがあるからである。
【0023】
このようにして、ヘッドを打つことなく、0.5秒以下の素早く正確なピッチの調整がなされる。
【0024】
本発明によれば、第2の目的を達成するために、第6の手段としてヘッドの振動周期の測定装置が加えられる。この装置には釜形の本体の内部に設定されたマイクロフォンあるいは光線発射器と検出器のセットが含まれる。検出された信号はティンパノの発生しうる周波数範囲の成分のみを通過させるバンドパスフィルタを通過する。信号波の周期は信号の2つのゼロ交差点の間で基準クロックを計数することによって測定できる。測定されたデータはコントローラに取り込まれる。
【0025】
また、第7の手段として、振動検出器が追加される。これは拾った信号と予め設定したレベルとを比較する閾値回路でよい。
【0026】
コンサートやリハーサルの前に本発明のための特別な初期化プロセスが起動されると、コントローラはフープを高、中、低の3つの位置へと駆動し、その各停止位置で操作者に合図を送り、操作者がヘッドを打つのを待つ。そのようにしてコントローラはヘッドの振動周期と変位の組になったデータを3組得る。そして、コントローラはこの3組のデータが第2変換関数の上に載るように第2変換関数のパラメータを更新する。
【0027】
この後、演奏された各音は振動検出器で検知され、そしてその瞬間の周期計測装置と変位エンコーダから取り込まれた組データが記録される。そして、コントローラが測定された周期が正しいかどうかをチェックする。もしそれが許容範囲から外れていれば、コントローラは変換関数のパラメータの更新値を計算し、更新した変換関数で目標変位値を計算し、そして目標値に到達するようモータを駆動する。奏者は長い休みの後にヘッドを極弱く打ってチェックを行うことが出来る。
【0028】
このようにして、演奏すること自体が変換関数そしてチューニングを保たせることになる。したがって、天候による影響は自動的に、自発的に補正されることになる。
【0029】
本発明によれば、第3の目的を達成するために、第8の手段としてプログラミングの手段が追加され、それは音楽の演奏で発生する順序に沿って音の変更を記憶し、読み出す。演奏の前に、音の変更はコンソールを用いてステップごとに入力され、コントローラのチューニングプログラムメモリに記憶される。そして、演奏中に奏者は変更のタイミングをフットスイッチによって与え、それに対してコントローラは即時モータの駆動を開始する。奏者の周囲に配置された2個から5個の全てのティンパニは一斉に駆動され得る。
【0030】
あるタイミングに対して最低一つのティンパノの変更が記憶される。あるタイミングでの複数のティンパニの変更もグループとして記憶される。ティンパニのグループの変更は一つの操作で一斉同時に起動される。なお、タイミング入力のためにフットスイッチだけでなく、指あるいは撥で叩くようにした1個あるいは複数のボタンあるいはパッドを装備することも可能である。また、特にリハーサルのため、コンソールでステップ毎あるいは加速モードでスキップあるいは戻しの操作を可能とし、チューニングプログラムメモリ中の任意のステップに移動できるようにする。また楽譜の上には、印刷でも表示でも、このステップ情報、すなわちステップ番号、音名の組が音の変更をすべきタイミングに対応した箇所に記入される。奏者は今のプログラムステップあるいは音の組み合わせが正しいかどうか、楽譜上に記入された番号とコンソールに表示された番号を比較して確認できる。
【0031】
本発明によれば、第4の目的を達成するために、第9の手段として、ペダルのつま先及びかかとの押し圧力を測る手段が追加される。モータはそこで検知された圧力に応じた速度で駆動される。奏者はこれにより従来のペダルと同様の操作感を得ることが出来、モータで駆動されていても、タイミングと速度のようなグリッサンドの詳細について芸術的表現を存続できる。
【0032】
本発明によれば、第5の目的を達成するため、第10の手段として、柔らかいパッド、それを本体の内側からヘッドに押し付けたり、放したりするアクチュエータ、そしてそれを操作するためのフットペダルからなる消音装置を追加する。第8のプログラミング手段はこのソフトパッドを押し付け状態にするかどうかを指定するよう拡張できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明のティンパニでは、第8のプログラミングの手段によって、奏者の撥を持った両手が演奏のため塞がっていても、一瞬の内に音の変更が可能である。例えば0.2秒での連続した変更も可能である。その結果過去の音楽作品レパートリのために従来よりずっと少数のティンパニで十分演奏可能となる。一方では、作曲家は従来より飛躍的に頻繁な音の変更を伴ってティンパニを使うことが出来る。それは殆どトロンボーン並みにメロディを奏でることを可能にする。
【0034】
本発明の第10手段によって、両手が演奏に塞がっていても、足の操作によって完全な消音操作が可能になる。更に、プログラミングされた消音設定によって共鳴の抑止に失敗は無くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例】
【0035】
本発明を実施するのに多くの変形がありうる。しかし、ここでは、図1から図5を参照して、基本的機能の一つの実施例を記述することとする。
【0036】
図1は本発明のティンパノの切断図面である。そこにはヘッドの張力を変えるための機構が図示されている。ティンパノの基本構成は本体1、6個あるいは8個の脚2、楽器全体を支える台座3、そして本体1にかぶさったヘッド4を含んでいる。ヘッド4は円形の金属リングあるいは縁4aを包んでいる柔軟な膜である。ヘッドの内本体1の内側に入っている部分は撥で打つことによって振動し音を発する。その音のスペクトラムには明らかに主たる周波数があり、そのためティンパニは確かな音程を持つと言われる。その音程は本体の直径、ヘッド膜の質量密度、そしてヘッドに加えられる張力によって決まる。音程を特定の音に合わせるため、現代のティンパニは適切に短い時間でヘッドの張力を変える機構を持っている。
【0037】
フープ5はL字型の断面を持ち、リング4aを押し下げる。脚2に対応した6個から8個の突起5aがフープに取り付けられており、ボルトがその突起と蝶番7の中間点7bとの各々を連結している。蝶番7の一方の端7aは脚7に取り付けられている。他方の端7cは棒8によって他の蝶番9に連結されている。蝶番9はもう一本の棒10によって中央の蝶番11に連結されている。複数の棒と蝶番11は傘のような形となっている。蝶番11はセンターシャフト12に固定されている。以上の連結によってセンターシャフトの上下動は減衰されたうえフープ5とヘッドリング4aの上下動に変換される。ヘッドの張力すなわちその復元力はセンターシャフト12を引っ張り上げる。一方、蝶番13と支持点14、そして対抗バランスプリング15はセンターシャフト12に引き下げる力を加える。そのスプリングの力はスプリングの上端を移動させるねじ16によって調節できる。上記のセンターシャフトを引っ張りあげるのと引き下げるのとの2つの力はほぼバランスしている。この段落で述べた構造は典型的な従来のティンパニに見られるものである。
【0038】
機構には変形がある。あるタイプのものでは、棒10と蝶番11とが本体1の内側に入っている。他のタイプではそれらは台座3の中に収められている。さらに他のタイプでは、クラウンと呼ばれる鋳物の部品がセンターシャフトに取り付けられ、それが数本の棒を通じてフープ5を引き下げる構造となっている。これらのタイプに共通してセンターシャフトがあり、その上下動がフープの変位を起こすようになっている。
【0039】
従来のティンパノでは、センターシャフト12は更に蝶番機構、あるいはカム機構によってフットペダルに連結している。奏者はヘッドの張力をフットペダルの角度によって調節する。ある種の従来型ティンパニでは対抗バランススプリング15が無いが、足の動きで操作できる蝶番固定機構がある。対抗バランススプリングを持つタイプのものではフープは本体のエッジとヘッドの間にある摩擦によって変位を保っている。
【0040】
この実施例では、電動可逆モータ17がセンターシャフト12を駆動している。ギア18と19がモータの回転を減衰させ、センターシャフト12の底の部分はねじ切りがしてあり、ギア19の回転がセンターシャフトの上下動に変換される。ベアリング20がギア19を台座3に支持している。3個の光学センサ21、22、23があり、蝶番13によってその光軸が覆われるのを検出する。センサ21はヘッドの通常使用範囲での最低張力位置を検出する。センサ22はさらに低いあるいは全く張力のない状態を検出する。これはヘッドの交換のための位置である。センサ23はヘッドが破れるのを防ぐため張力の最大限度を検出する。
【0041】
この実施例では変位エンコーダ24は本体の外側に取り付けられ、検針25がエンコーダの内部から押し上げられている。その検針は常にフープ5の底部に接触している。このようにしてヘッドの張力に直接関連するヘッドリング4aの変位が測定される。1マイクロメータから10マイクロメータ程度の分解能がエンコーダ24の分解能として適している。マイクロフォン26が支持板27によって本体内部に設定されている。それはヘッドの振動音を拾う。前述したように変位測定のためいくつかの部品が可能である。例えば、蝶番7あるいは9の回転角度、センターシャフト12の直線移動量が用いられる。さらに測定に便利な部品はモータの軸である。というのはモータ回転軸に取り付けるエンコーダは制御システムで広く使われているからである。
【0042】
図2は本発明の4つのティンパニのアメリカ式配置と、ピッチ制御に関連した電気電子部品の位置を示す。欧州では配置が逆となるが、本発明の実施には影響しない。既に図1にも示されている各部品は枝番をつけて表示されている。3−1、3−2,3−3、と3−4は台座で、通常同じサイズである。4−1,4−2,4−3と4−4はヘッドで、その直径は各々32、29、26と23インチである。17−1,17−2,17−3と17−4はモータである。21−1,21−2,21−3と21−4は最低張力点のセンサである。取り外し点用センサ22と最高張力点用のセンサ23は図2では省略されているが、センサ21と同じ位置にある。24−1,24−2,24−3と24−4は変位センサである。26−1,26−2,26−3と26−4はマイクロフォンである。
【0043】
さて、図1に無いシステム要素がある。上記の部品からのあるいは部品への配線は一旦コネクタ28−1,28−2,28−3と28−4に接続されている。マイクロコンピュータと各ティンパノに対応するプラグイン31−1,31−2,31−3と31−4を含むコントローラ30が在る。ある会場にティンパニが2台だけあるとすると、システムには2つのプラグインで十分である。対応するプラグイン31とコネクタ28は束ねた電線で結ばれている。オンかオフかの信号のみを発するフットペダル29−1があり、いずれか一つのティンパニに接続されている。小さな電子タッチ検出用パッド29−2,29−3と29−4が取り付けられていることもある。この電子パッドの数はゼロからティンパニの台数と同じ個数まで選べる。電子パッドはフープの任意の箇所に取り付けられるが、撥の移動経路上に設定するのが望ましい。電子パッドは撥あるいは指で打たれ、システムに音変更のタイミングを教える。一つのコンソールパネル32はシステムに必須である。中央側のティンパノの前に取り付けられる。
【0044】
図3はコントローラ30の模式図である。それはデスクトップのパーソナルコンピュータと同様の構成である。プラグイン31はシステムバス33に接続されている。そのなかにはマイクロコンピュータ34、ハードディスク35、電源部36、表示制御部37、タッチパネル入力のインタフェース38、電源スイッチのインタフェース39がある。また1MHzのクロックパルス発生器31があり、各プラグイン31に基準クロックを供給している。
【0045】
各プラグイン31は4つの部分で構成されている。図3ではそのうち31−1だけの詳細が示されているが、他のプラグインも31−1と同様の構成である。先ず、モータ駆動部はモータ速度レジスタ41−1を持つ。その符号ビットは回転方向を示し、残りはモータ17−1の目標速度を示している。速度はディジタルからアナログへ変換されパワー増幅される。
【0046】
第2の部分は振動周期の検出用である。マイクロフォン17−1からの信号はバンドパスフィルタとゼロ交差検出のための回路43−1で受取る。バンドパス回路では、ティンパニの基音の周波数範囲70Hzから260Hzの周波数成分のみが通過する。また、回路43−1は振幅の検知回路を持っている。振幅が所定の閾値を超えているときにのみフラグがオンに設定され、ゼロ交差信号が通過する。1サイクルにつき2つのゼロ交差信号が周期カウンタ44−1に達し、そのカウント数を出力レジスタに移し、周期カウンタをゼロにリセットする。カウンタは常に1MHzの基準クロック40をカウントしている。オンのフラグ信号とゼロ交差信号はまた割り込み処理を起動させ、マイクロプロセッサ34が上記出力レジスタの値を取り込み、割り込みを解除する。
【0047】
2チャンネルの信号が変位センサ24−1から第3の部分に入ってくる。これら2つの信号は検針の上下動によって駆動される回転ディスク上の0/1パターンを2箇所で読み取ったもので、パターンの4分の1サイクル分だけずらしてある。一方のチャンネルの信号の0から1及び1から0の変化のタイミングがカウンタ46−1に上げあるいは下げカウント用パルスとして供給される。上げか下げかは他方のチャンネルの信号の値との組み合わせで決まる。これは双方向移動のコード化の方法として知られている。その結果カウンタ46−1は常に現在のフープ5の変位を示していて、マイクロプロセッサ34から読むことが出来る。
【0048】
第4の部分では、状態レジスタ47−1がセンサ21−1、21−2、21−3、そしてフットペダルあるいは電子パッド29−1の信号値を反映している。いずれの信号の変化も割り込みを発生する。状態レジスタはそのティンパノの直径によって設定するディジタルスイッチの設定も含んでいる。
【0049】
これらのプラグインの他に、表示制御部37はコンソールパネル32の液晶表示のためのものである。タッチパネル入力の接続回路38もコンソールパネルのためのものである。これらは一般的なものであり、ここでは記述しない。更に、LAN接続回路49も一般的なものである。
【0050】
図4はコンソールパネル32の例を示すものである。それは透明なタッチパネルが付いた液晶表示パネル51を装備した箱である。システムの電源スイッチ52が箱の横についている。使用中のあるタイミングでの表示内容の例が本図に示されている。4つのティンパニが53−1、53−2、53−3,53−4の円で示されている。ここで、53−2は太線で表示されており、これは操作のために選択されていることを示している。各ティンパニに設定された音名は各々の円の中のアルファベット文字で示されている。場合によってはフラットあるいはシャープ記号が付いている。4つの円の上側に、アルファベット文字54とフラットおよびシャープ記号55と56が表示されている。文字のセットは選択されているティンパノによって異なり、選択されたティンパノで設定可能な音を教えている。音を変更するには、最初に、他のティンパノが選択されているならば、円53の内の一つにタッチすることで選択する。次に、必要ならばフラットあるいはシャープ記号をタッチする。そして、文字54の一つをタッチする。この文字の選択によりコントローラは直ちにモータの駆動を開始する。以上に述べた方法で必要に応じた逐一の指示が可能であり、奏者が音を変更する十分な時間がある際には有効である。
【0051】
コンソールパネルでの操作をしている時間が無いとき、あるいは頻繁な変更が必要であるとき、プログラミング機能が有用である。本発明のティンパニのコンソール操作には、プレイ、編集、ファイルの3つのモードがある。表示の中の各擬似ボタン57,58,59にタッチすることで対応するモードに切り替わる。
【0052】
ここで編集機能について記述する。プレイモードと編集モードとは図4に示した同じ表示を使用する。編集モードでは、モータは駆動されない。4つのティンパニに対する音の設定はまとめて一つのプログラムステップに記憶される。このステップにはプログラムステップ番号と呼ぶシーケンス番号が付いている。イニシャライズボタン60を押すことによって、プログラムメモリの内容は消去され、プログラムステップ番号は1になる。プログラムステップ番号は画面内の61に示される。ステップ1で、全てのティンパニの音が指定される。この指定のための操作はプレイモードと同様で、すなわち、ティンパノの選択、必要ならフラットあるいはシャープの指定、そして音名の指定の順序で行われる。ティンパノの音名表示はこの操作で変わる。前進ボタン62を押すことによりグループ設定は確定されチューニングプログラムメモリに格納され、プログラムステップ番号は一つ進む。次のステップでは音の変更の必要なティンパニのみ設定すればよい。必要な箇所に移動する利便のため、後進ボタン63、リワインドボタン64、最終ステップへ移動ボタン65が用意されている。
【0053】
ファイルモードはチューニングプログラムすなわち記憶されたステップを2次メモリとの間で格納あるいは呼び出しするために用いられる。表示の内容は図4とは異なり、多くのパソコン応用プログラムに見られるように、ファイルの場所を見出すためのファイルシステムを移動するために適切なものとなる。奏者は取り外し可能なメモリをプログラムステップメモリの内容を保存あるいは再使用のために使用することが出来る。有線あるいは無線LANを通じてダウンロードされてもよい。
【0054】
ここで、プレイモードについて説明する。以下コントローラはマイクロプロセッサ34とそのプログラムを意味する。プレイモードでは選択されたティンパノは任意の文字54にタッチすると直ちに指定された音に調音される。また、前進ボタン62にタッチするか、あるいはより使用されそうな方法としてフットボタン29−1を踏むことあるいはいずれかの電子パッド29を打つことによって、プログラムステップを前進させることが出来る。プログラムステップが進むと同時に、音の変更を指定されているティンパニで動作が開始される。
【0055】
プレイモードでイニシャライズボタン60にタッチすると、全てのティンパニの一つずつに対する初期データ獲得手続きが開始される。これは奏者が本発明のティンパニを使用開始するに当たっていわばお決まりの操作として行われる。センサ21を用いて、コントローラは蝶番13をそのセンサ位置まで移動させるよう、すなわちセンサ信号が変化するところまでモータを駆動し、ヘッドの張力が最低となるようにする。次にコントローラはセンターシャフトを一定の距離引き下げる。そして表示の該当ティンパノの円をブリンキングさせ、奏者がヘッドを打つのを待つ。マイクロフォンがヘッドの音を拾うと、振幅検知器がフラグを設定する。マイクロプロセッサは周期カウンタ44と変位エンコーダ46からの組データをいくつか得、データを格納し、表示のブリンキングを停止する。そして、モータを駆動して更にセンターシャフトを一定距離引き下げ、再び円の表示のブリンキングを開始し奏者にヘッドを打つことを要求する。この手順を所定の回数繰り返し、周期カウンタ44と変位エンコーダ46の組データを得る。以上の手順ではピッチは特定の音にあっている必要は無い。一つのティンパノでの手続きを終了すると、次のティンパノに移る。
【0056】
図5は振動周期に対するフープの変位のグラフの例を示す。細線の方はあるティンパノから得られた実データであり、太線の方はこの実データに合うよう調整された変換関数によって計算されたカーブを示している。この例では、2次多項式が変換関数として用いられている。この変換関数のためには3つの組データがあれば関数の3つのパラメータ、二つの係数と常数項が決定できる。この変換関数は実データによく合致しているように見える。したがって、上述の初期データ獲得は各ティンパノに対して3つの組データで行えることになる。図5の例では、もしセンサの位置が1.0mmにあれば、0.9mm、0.6mmと0.3mmの位置が初期データ獲得のために用いることができる。その位置でのピッチは必ずしも、音階上のある音である必要は無い。
【0057】
内挿あるいは外挿は、他の計算方法である。更に精巧な変換関数が全範囲での精密な合致のために利用できると考えられるが、変換関数のパラメータを決定するために更に多くの組のデータが必要になる。
【0058】
各音の周波数は平均率音階でA4が440Hzあるいは他の値で与えられたとき、ロガリズム関数を用いて計算することが出来る。そしてその音波の周期は周波数の逆数として計算できる。コントローラは目標値としてこれらの周期の値を百万倍して保持しておく。それはこのシステムが1MHzの基準クロックを用いているからである。実際上、計算量が大きいロガリズムの計算を避けるため、全ての可能性のある値はオフラインで計算し表の形で記憶しておくことが出来る。
【0059】
あるティンパノをある音に調音するには、コントローラはまずその音に対応する周期の値を上述の表から得、次にその周期の値を変換関数に代入することによって目標変位を計算する。そしてモータ17を実際の変位がその目標値に到達するまで駆動する。持ち上げる場合、すなわちヘッドを緩める場合には、コントローラは、一旦フープが目標より高いところまで行ってから目標位置まで下がるようモータを駆動する。速くかつ正確な位置決めのため目標に近づくとコントローラは現位置と目標位置との距離に応じてモータの速度を設定する。モータを駆動する最大、最小の速度がある。使用するモータの種類に応じてこのような移動を最速かつ正確に行うための最適な制御方法について多くの研究がなされている。
【0060】
プレイモードにおいて、奏者がヘッドを打つごとにヘッドは振動を起こし、それはマイクロフォン26に拾われ、振幅検知器がフラグをオンにし、周期カウンタ44がカウント数を得る。マイクロプロセッサはこのカウント値を取り込み、数回のデータを取り込んで平均値を求め、それを指定された音の正しい周期と比較する。その差異が所定の許容値を越えたときには、修正手続きが起動される。マイクロプロセッサは変位カウンタ46の値を読みとり、周期データと組にして格納する。マイクロプロセッサは最近の3つの異なる音についての組データを取り上げ、初期化手続きと同様の方法で更新した変換関数のパラメータを計算する。そして、指定されている音の周期から更新された変換関数で新たな変位値を計算し、モータをフープが新しく計算された変位に到達するよう駆動する。従って、温度湿度の変化ががヘッドの張力に影響を与えても、修正はシステムが自発的に行なう。
【0061】
奏者は各音楽作品ごとにあらかじめどのティンパニを用いどこで音を変更するかを計画することが出来る。奏者は変更の箇所にプログラムステップ番号を付与し、それを楽譜上の該当場所にプログラムステップ前進のための特別なマークとともに記入しておくことが出来る。この特別なマークは譜線に音符と同じように付けられ、奏者は音符が集中した所でも音の変更のタイミングを正確に指定することが出来る。それはピアノの楽譜でのペダル記号と同様のものである。奏者は編集モードでの各ステップで各ティンパノの音を入力しておく。そうして、演奏中タイミングがマークを付けた変更点に来ると、奏者はフットスイッチ、電子パッド29のいずれかで操作する。全てのあるいはいくつかのティンパニの音は瞬時に変更される。
【0062】
奏者は次にその作品を演奏する時のために記憶されたプログラムステップの情報を取り出し可能メモリに保存しておくことができる。出版社はプログラムステップ情報付き、すなわち特別なマークと音の組み合わせが記入された楽譜を供給できる。さらに、本発明のティンパニにロードするためのプログラムステップ情報を記載したディジタルディスクも同時に供給することも出来る。ティンパニのセットの台数と直径に応じた複数の版が用意される。奏者はファイルモードでそれらの中から適切なものをロードし、プレイモードで対応した楽譜を見ながら演奏する。奏者は編集モードでプログラムステップ情報を変更することもできる。
【0063】
ここでペダル操作に関する特徴について図6,7と8を参照して説明する。単方向と双方向制御の2つの実施形態がある。図6は単方向形制御の例におけるペダルを示している。突起71は台座3の一部である。脚72は楽器全体を支える点の一つである。したがって、背後ペダルプレート73は不動のものである。しかし、ペダルプレート74はどの方向にも傾けることができる。中央に固定されたピン75がありペダルプレート74を支えている。図7はペダルプレート74におけるセンサの配置を示している。つま先部分のセンサユニット76と踵部分のセンサユニット77はばねを内蔵していてペダルプレート74を押し戻している。どちらのセンサユニットもある程度のあそびがあり、あそびを超えて押されたときに押しの圧力に応じた信号を発する。保持スイッチユニット78と開放スイッチ79は戻り形のスイッチであり、かつ操作者に分かるよう押し込んだときあるところでかくんと沈むような動きをする。どちらのスイッチもばねを内蔵していてペダルプレート74を押し戻している。足がペダルに載っていないときにはペダルプレート74は背後ペダルプレート73に平行となる。
【0064】
これらの入力デバイスを用いて、奏者は従来のペダルティンパニと同様のペダル操作を行うことが出来る。つま先の圧力センサ76が圧力を検出すると、その信号はコントローラ30の一つのプラグイン31に送られる。マイクロプロセッサ34はその信号を取り込み、そこで検出した圧力に従った速度でセンタシャフト12を引き下げる方向にモータ17を駆動する。こうして奏者はつま先で強く押すことによって素早いグリッサンドを、また軽く押すことによってゆっくりしたピッチ上昇を実現できる。踵のセンサ77が圧力を検出したときには、センタシャフト12を押し上げる方向にモータが駆動され、素早いあるいは緩やかなピッチ下降を生む。
【0065】
もし、保持スイッチ78がオフの状態を保っていれば、ヘッドの振動が減衰し振動検知器がオフになると、マイクロプロセッサ34は元の変位位置に戻るようモータ17を駆動する。保持スイッチ78がオンとなると、マイクロプロセッサ34はモータ17の駆動を停止し、その変位位置を保持する。この状態は、リリーススイッチ79がオンになるか、フットボタンあるいは電子パッドのいずれかが押され次の音の設定を起動するまで保持される。
【0066】
図8は双方向形のペダル制御の例を示す。背面ペダルプレート81はピン81aを軸として回転する。ペダルプレート74、固定ピン75、つま先圧力センサユニット76、踵圧力センサユニット77、保持スイッチユニット78、リリーススイッチユニット79は前述の実施例におけるものと同様である。そして、これらのセンサの信号によって起こされる制御内容もまた前述の実施例と同じである。前述のものとの相違点はモータ17、ギヤ18と19がその回転を蝶番83のギヤ部分83aの回転に伝え、この蝶番がセンタシャフト12に連結棒84で連結されている。また蝶番の回転は連結棒85,86と蝶番87によって背面ペダルプレート81とペダルプレート74の回転に変換されている。その結果ペダル操作の感覚は従来のティンパニに似たものになっている。ただし、奏者はより小さな力で操作することが出来る。この例では対抗バランス張力用ばね88とその張力調整ねじ89が装備されている。
【0067】
電力供給が無く、モータ17が動かないとき、従来のティンパニと同様にペダルプレート74がセンタシャフト12を上下させるのに用いられる。モータ17とギヤ83aとの間にクラッチがあり、電源供給が無い時のペダル操作の負荷を軽減させる。
【0068】
ここで消音支援について図9から図14までを用いて説明する。この実施例では消音用フェルトパッド91がティンパノの内側に装備されている。図10に示すようにフェルトパッド91はプラスチック製のプレートと軸92に貼り付けられている。プレートと軸は磁化されない材料で作られている。軸の下端は磁石の軸93に取り付けられている。磁石の軸93は永久磁石であり、一方の端93aはN極に、他方の端93bはS極になっている。磁気コイル96はハウジング94の内部に保持されており、本体1に取り付けられたアーム95によって位置決めされている。図11に見るように、4つの接続電線97−1、97−2、97−3と97−4がコイル96に接続されている。電流は2通りの方法で与えられる。一つは97−2と97−4との間に、他は97−1と97−3との間に与えられる。それぞれ低い方と高い方の位置に磁場を発生する。どちらの場合もコイルの上端側がS極となり磁石軸のN極93aを引きつける。同様に下端部はN極となり、磁石軸のS極93bを引きつける。従って91、92と93の一体部品は重力に反して引き揚げられる。
【0069】
電流が加えられていないときには、フェルトパッド91とプレート92は図9に示すように低い位置に止まっている。フェルト91がヘッドから離れた位置に止まっているため、ヘッドの振動は妨げられない。これを「開放」状態と呼ぶことにする。97−2と97−4の間に電流が加えられたときには、磁石軸は発生した磁場に引き揚げられる。したがって、フェルトパッド91は図12に示すようにヘッドに接触する。フェルトが柔らかいため、ヘッドは振動可能であるが、速く減衰する。この状態は演奏会場の残響が多く、音の大きさを減少させ、音の減衰を速くさせるために用いる。この状態を「接触」状態と呼ぶことにする。電流が97−1と97−3の間に加えられた時には、磁石軸93は発生した磁場に引き揚げられ、それは前述の場合より高い。フェルトパッド91は図13に示すようにヘッドに押し付けられる。ヘッドの振動は停止し、ヘッドの共鳴も起こらない。これを「圧迫」状態と呼ぶことにする。
【0070】
電磁場を用いた上記の実施例は3つの位置の間の移動を実現するための一つの例である。接触状態はオプションであり、開放と圧迫だけの2つの状態を持つ装置も有用で、より実現し易い。反対に接触状態と圧迫状態の間には中間的な位置が在り得て、程度の異なる減衰効果を生むことが出来る。踏み込み角度に複数の分解能を持つペダルがこの目的に待ちいられる。各ティンパノで接触状態あるいは圧迫状態のパッドの個数も変更してもよい。
【0071】
上記のハードウエアを起動させるのに3種類の事象がある。第1は消音用ペダルとの直結である。このペダルは29−1のペダルとは別のものである。奏者が消音ペダルを押し下げている間、奏者がペダルを開放するまで全てのティンパニのフェルトパッドは圧迫あるいは接触と圧迫の中間的状態に移動している。第2の事象は調音である。音を変更するためにモータが駆動されている間、そのティンパノのフェルトパッドは圧迫状態に置かれ、これによって不必要なグリッサンドの音が発生するのを防ぐことが出来る。
【0072】
第3の事象は、プログラムされた定常消音である。この目的のためコンソールパネル32の表示は図14のように変更される。変更となったのは、98の3つの文字と各ティンパノの音名表示である。98の3文字中「X」は圧迫状態、「x」は接触状態、「O」は開放を意味する。奏者は各プログラムステップの編集の際、選択中のティンパノの消音に関する状態を98の「X」または「x」文字をタッチすることによって指定する。デフォルトは開放である。指定をしなかったティンパノは前のステップと同じ状態を引き継ぐ。接触状態と指定されたティンパノの音名表示は53−1に例示するように「x」マークが付く。圧迫状態には53−4に例示するように「X」が重ねて表示される。プレイモードでは、選択されたティンパノに対して98のいずれかの文字をタッチすることによって手動による設定も可能である。以上に述べた3種の事象による指定はORで働く。すなわち、より大きな圧力の消音指定が他の指定を差し置いて採用される。
【0073】
図14にはピッチの更正のためのインターフェイスも示されている。ウインドウ99に示されている数値は現在のAの音の周波数を示し、どの楽器もこのピッチに調音している。そして擬似ボタン100aと100bはその数値の減少および増加のために用いられる。各オーケストラは演奏に先立ちこの周波数を設定する。この周波数設定を更正と呼ぶ。この実施例では、ヘッド振動の可能な周期がAを440Hzとして記憶されている。実際の更正された周波数に応じて補正を行うには、補正された周期が基の周期を440倍しAの音の更正周波数で割った値として計算される。この計算は更正周波数の変更があった際に実行される。更正された周期は第1の変換に用いられる。
【0074】
奏者は更正周波数を最初に設定することが出来る。後ほどオーケストラ全体のピッチがずれてきたと検知されたときには、奏者はウインドウ99に示された数値を調整し、ティンパニのピッチをオーケストラのピッチにあわせることが出来る。
【0075】
図15はこの発明の2台のティンパニで演奏できる音楽の楽譜の断片である。またそれはこの発明に関連した特別なマークを伴った楽譜の様子をも示している。この短いフレーズの中には6つの入れ替わる音が含まれている。したがって、従来のティンパニを熟練者でない奏者が演奏する場合、途中の調音なしでは6台のティンパニを奏者の周りに配置しなければならない。熟練した奏者は他のティンパニを打っている間にとても素早くティンパニの音を変えることが出来る。おそらくこのフレーズを4台のティンパニで引くことが出来るかも知れない。しかし、それはかなり挑戦的で限界ぎりぎりのことである。しかし、本発明の2台のティンパニでは、プログラミング機能を用いることにより、たいていのティンパニ奏者にどちらかというと容易なこととなる。
【0076】
図15では、音符と休符は譜線101の中に記され、5つのプログラムステップの前進マーク102が付けられている。マークの下にはプログラムステップ番号103が付いている。この例では各マークの水平方向の位置は、音符か休符と同じになっている。これは奏者が手でヘッドを打つのと同じタイミングでフットペダル29−1を踏むことを意味する。アルファベット文字104は2台のティンパニがプログラムステップの調音後の音を示している。
【0077】
この楽譜例に沿って実行されるコントローラの動作を説明する。コントローラがプログラムステップ番号11のところでフットペダル29−1からの最初の信号を受け取ったときに、Dの音がなっていて音をDからEに変えようとする小さいほうのティンパニのフェルトパッド91を圧迫位置に駆動する。大きいほうのティンパニはAの音を保ち、同じタイミングで打たれてAの音を発する。音の変更が完了するとコントローラはフェルト91を元の位置に開放し、次に打たれるのを待つ。次のステップ同様に実行される。もう1種類の異なったマーク105は消音のタイミングを示す。この例では奏者は消音用とプログラムステップ前進用の2つのペダルを踏むことになる。
【0078】
もし本発明の4台のティンパニがあれば、この同じ断片に対して、プログラムステップの変更は2回に削減できる。しかし、2台のティンパニで演奏する場合も4台の場合と同様に容易である。
【0079】
こうして本発明によって、多くの音楽作品はより少ない台数のティンパニで演奏可能となる。そして、このことは狭いステージあるいはオーケストラピットで大きな利点となり、運搬も便利である。さらに、本発明は音楽作曲家にティンパニ使用に当たって大きな自由度を与えることになり、ティンパニという楽器の概念を変えてしまうほどである。
【0080】
図16は本発明のティンパニである音楽作品を演奏するために準備されたコンピュータ読取り可能なメディア上の情報の構造とデータの例を示したものである。一つの作品に対するパッケージが110に示されている。そこには4種類の情報、音楽作品に関する情報111、ティンパニセットに関する情報112、チューニングプログラム情報113から116、楽譜情報117から118が含まれている。
【0081】
音楽作品情報111には作曲者あるいは編曲者の名前、音楽の種類、その種類の中での番号、調性、作品番号など、その作品を特定し記述する情報が含まれている。
【0082】
ティンパニセット情報112にはセット中のティンパニの直径、本発明のプログラムによる調音機能あるいはプログラムによる消音機能の有る無しに関しての多くの組み合わせをを含んでいる。各々の組み合わせはまたその組み合わせで用いることの出来るチューニングプログラムへのリンク情報をも持っている。112aの数値は何通りの組み合わせがリストされているかを示す。112−1の括弧の中のデータは一つのセットの組み合わせに関する情報を含んでいる。それは、チューニングプログラムデータへのリンク112−1a、ティンパニの台数112−1b、そして各ティンパノの特性として、直径、装備された機能の情報が含まれている。この図では、直径はインチで示されている。文字Fはフル装備を、Tはチューニングプログラム機能は有るが消音機能が無いものを、Mは消音機能があるがチューニングプログラム機能が無いものを、Nはこれらの装備が無い従来のティンパニをそれぞれ示す。112−2から112−4は他のセット組み合わせに関する情報である。さらに他の組み合わせについては省略されている。
【0083】
チューニングプログラム情報は前置部113とプログラム部114からなる。前置部は識別コード、楽譜データへのリンク、ティンパニの台数、プログラムステップの総数を含んでいる。プログラム部は各プログラムステップのステップ番号と各ティンパノに対する音と消音設定から構成されている。図において文字Oは開放状態をXは圧迫状態を示す。他の4台のティンパニを用いた場合のチューニングプログラム情報が115と116に示されている。ここで116−1,116−2と116−3は同じ音の設定であるが、消音設定が異なっている。さらに異なるチューニングプログラムは示されていない。
【0084】
各チューニングプログラムに対応した楽譜情報もパッケージに含まれている。本発明のチューニングと消音のプログラムステップを前進させる操作タイミングのための特別なマークが従来の楽譜情報の中に埋め込まれている。奏者はこれを印刷するか、タブレットコンピュータのような表示器に表示して用いる。
【0085】
コントローラはメディアに格納されているセット組み合わせをコンソールパネルに表示し、奏者がリストの中から一つを選ぶことが出来る。あるいはコントローラはプラグイン31からセットの情報を読みとり、実際に装備されたティンパニセットに合うメディア上の情報から一つのセットを見出してもよい。どちらの場合もそのセットにリンクされたチューニングプログラムをチューニングプログラムメモリにロードする。奏者は編集モードでチューニングプログラムのどの部分でも変更することが可能であり、それを個人用メディアに格納しておくことも出来る。
【0086】
図においては一つのパッケージのみが示されているが、一つのメディアに異なる音楽作品に対する複数のパッケージが含まれていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
ティンパニはオーケストラあるいはバンドにおける重要な楽器である。しかし、従来のティンパニでは素早く正確なチューニング変更は非常に困難であった。そのため、ステージに並べられるティンパニの台数は2台から4台あるいはそれ以上に増加してきた。それでもなお作曲にはティンパニに関して制約が課されてきた。他の例えばトロンボーンのようなメロディ楽器のようには使えなかった。この発明は素早い音の変更によってティンパニの能力をかなりに拡張した。既に存在する音楽作品に関しても、奏者に困難な技術を要求することなく本発明の少ない台数のティンパニで演奏可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるティンパノを切断表示した図
【図2】4台のティンパニの電子部品とそれらの間の配線を示した構成図
【図3】コントローラの構成図
【図4】コンソールパネルの例を示す図
【図5】ヘッドの振動周期とフープの変位との関連を示すグラフの例
【図6】本発明のセンサー付きペダルの例
【図7】ペダルにおけるセンサーの配置の例を示す図
【図8】双方向制御機構の例を示す図
【図9】本発明の消音装置の例を示す図
【図10】消音装置における移動部を示す図
【図11】消音装置のソレノイドの図
【図12】消音装置の接触状態を示す図
【図13】消音装置の押し付け状態を示す図
【図14】消音制御を追加したコンソールパネルの表示例を示す図
【図15】本発明に関するマークが付いたフレーズの部分楽譜を示す図
【図16】本発明のティンパニである音楽作品を演奏するための記録メディアに含まれるデータパッケージを示す図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドの張力を変化させるための機構に結合し動作させるための可逆のモータと
前記モータの回転を制御するコントローラと、
前記機構の部品の一つであって、その変位の値をコントローラがいつでも読み込めるようになっているものと
ヘッドの振動の周期あるいは周波数に対する前記変位のグラフを意味するカーブを表現するものであって限定はしないがカーブ上のいくつかの点のデータあるいはそのグラフを近似する数学関数のパラメータを含むデータを記憶するカーブメモリと、
奏者が調音すべき音を指定するためのインタフェースとを持ち、
前記コントローラは、ある音に調音することを要求されたときに、前記音をヘッド振動の周波数あるいは周期を表す数値に変換する第1の変換と、前記数値から前記変位の目標値へと変換するためのものであって、前記周波数あるいは周期と変位の目標値が前記カーブメモリに記憶されたカーブに乗るように行われる第2の変換とを行い、そして前記モータを前記変位が前記目標値に達するまで駆動するようにしたティンパニ。
【請求項2】
請求項1のティンパニであって、前記部品は、ヘッドの縁を覆い押すようになっているフープであり、前記変位はティンパニの本体に対するフープ(5)の垂直位置を線形の変位をコード化して得られるようにしたもの。
【請求項3】
請求項1のティンパニであって、前記部品をモータとし、前記変位はモータの累積回転角度であることを特徴とするもの。
【請求項4】
請求項1のティンパニであって、さらに
ヘッド振動の周期あるいは周波数を測定するための周期測定器と
ヘッドが打たれ音を発していることを検知するための振動検知器とを持ち、
前記コントローラは、前記振動検知器が音を検知したときに、
前記の測定した周期が指定された音の周期から許容範囲内にあるかどうかをチェックし、
もし許容範囲内にないときには、前記変位と前記周期測定器からの新しい組のデータを用いて、前記カーブメモリのデータを更新して、この更新したデータを用いた第2変換が前記新しい組のデータと最近の組データに対して最良の合致が得られるようにし、
そして、前記モータを、正しい周期あるいは周波数から前記更新したデータを用いた第2変換で計算した新しい目標値に達するまで駆動するようにしたもの。
【請求項5】
請求項1のティンパニであって、さらに
ヘッド振動の周期あるいは周波数を測定するための周期測定器を持ち
前記コントローラは、カーブメモリのデータを初期化するため、
モータを可能な範囲内で複数の位置まで駆動し、各位置において奏者にヘッドを打たせ、
そのときの変位と周期測定器との組の値を取り込み、
その後第2変換が取り込んだ複数の組データに対して最良の合致が得られるようにカーブメモリに記憶すべきデータを求めるようにしたもの。
【請求項6】
請求項1のティンパニであって、モータを駆動するにあたって、駆動の方向がヘッドの張力を緩める方向である場合には、一度目標値を通り越してから、逆転して目標値に戻るようにするもの。
【請求項7】
請求項1のティンパニであって、さらに
各ティンパニに設定すべき音の少なくとも1つの組み合わせを演奏上必要となる順序で記憶するためのチューニングプログラムメモリを持ち、
前記コントローラは、奏者がタイミングを示したときに、プログラムのステップを進め、前記チューニングプログラムメモリの組み合わせデータを読み出し、その組み合わせデータに基づいて必要なティンパニの調音を実行するようにしたもの。
【請求項8】
請求項7のティンパニであって、タイミングの指示にフットペダルを用いるもの。
【請求項9】
請求項7のティンパニであって、タイミングの指示に1つまたは複数のタッチに感応するパッドを用いるもの。
【請求項10】
請求項7のティンパニであって、取り外し可能記憶メディアあるいは外部コンピュータがチューニングプログラムメモリの内容を取り出しあるいは取り込みに用いられるもの。
【請求項11】
請求項1のティンパニであって、さらに
奏者がヘッドの張力を上げあるいは下げることを直接指示しそれに対応してモータを駆動するために2つのグリッサンドボタンを持つもの。
【請求項12】
請求項11のティンパニであって、そのグリッサンドボタンはモータの速度を制御するため複数段階の検出ができるもの。
【請求項13】
請求項11のティンパニであって、さらに
モータを停止させヘッドの変位を保つための保持スイッチと
モータを元の変位にまで戻すよう駆動するためのリリーススイッチとを持つもの。
【請求項14】
1つあるいは複数の柔らかいパッドを持ち、その各々に、柔らかいパッドをヘッドにあるいはヘッドから離れるよう移動させるアクチュエータが付属していて、そのアクチュエータは、パッドがヘッドから離れた位置とヘッドに接触あるいは押し付けとなる一つあるいは複数の位置との中の一つの制御位置に止まるようになっているティンパニ。
【請求項15】
請求項14のティンパニであって、
前記パッド位置の制御の源が、制御位置の一つに止まるよう各ティンパニについて設定するスイッチあるいは擬似スイッチと、踏み込んでいる間だけの一時的制御位置を指示するフットペダルとの2つあり、各ティンパニにおいてはその2つの内どちらかより強い圧力の指示の方に従って制御されるもの。
【請求項16】
請求項7のティンパニであって、さらに
複数の柔らかいパッドを持ち、その各々に、柔らかいパッドをヘッドにあるいはヘッドから離れるよう移動させるアクチュエータが付属していて、そのアクチュエータは、パッドがヘッドから離れた位置とヘッドに接触あるいは押し付けとなる一つあるいは複数の位置との中の一つの制御位置に止まるようになっていて、
前記チューニングプログラムメモリは、その各プログラムステップにおいて各ティンパニの柔らかいパッドの制御位置をも記憶しているもの。
【請求項17】
請求項10のティンパニのために、またティンパニを用いる音楽作品の各々のために準備された計算機読取り可能な記憶媒体であって、
ティンパニの直径に関する可能な個別の組み合わせとそれに対応するチューニングプログラムへのリンクデータとの組からなるティンパニセット情報と、
異なるリンクデータの各々に対して準備され、前記チューニングプログラムメモリにロードするためのチューニングプログラム情報とを含んでいるもの。
【請求項18】
請求項17の計算機読取り可能な記憶媒体であって、さらに
ティンパニセット情報のリンクデータの各々に対して準備され、チューニングプログラムメモリにロードするためにチューニングプログラム情報とともに記憶される消音指定データをも含んでいるもの。
【請求項19】
請求項17の計算機読取り可能な記憶媒体であって、さらに
音楽作品のティンパニパートのための楽譜データであって、異なるチュ−ニングプログラムの各々に対して準備され、コンピュータから印刷可能で表示もでき、奏者が操作するタイミングを示したプログラムステップ前進のためのマークも含んでいるものを含んでいるもの。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2009−528550(P2009−528550A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541173(P2008−541173)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/040218
【国際公開番号】WO2007/047515
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(503465384)
【Fターム(参考)】