説明

紡績機

【課題】紡績機において、紡績糸のテンションを精度良く検出できる構成を提供する。
【解決手段】スピニングセンサ52は、紡績装置と巻取装置との間で、走行する紡績糸10のテンションを検出する。またスピニングセンサ52は、走行する紡績糸10を接触させる糸ガイド60と、糸ガイド60に加わった力に応じた信号を出力する歪みセンサと、を備える。糸ガイド60は、少なくとも紡績糸10に接触する部分において、軸線64に直交する断面における断面輪廓形状が略円弧状に形成されている。糸ガイド60の上流側の紡績糸10aの糸道に平行な方向をY軸方向、ドラフトローラの軸方向に平行な方向をX軸方向、Y軸方向及びX軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。Z軸方向で見たときに、糸ガイド60の軸線64は、Y軸方向に対して斜めに配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡績機において、走行する紡績糸のテンションを検出するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維に撚りを加えて紡績糸を生成してパッケージに巻き取る紡績機が公知である。この種の紡績機は、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の紡績機は、空気紡績ノズルから圧縮空気を噴出することにより、紡績室内に旋回空気流を発生させ、当該旋回空気流によって繊維束に撚りを加えて紡績糸を生成する構成である。
【0003】
特許文献1の構成の場合、紡績室内に糸屑が堆積したり、空気噴出ノズルに糸屑が詰まったりした場合、旋回室内で発生する旋回空気流が不安定となる。この結果、繊維の撚りが弱い糸(弱糸)が生成されてしまうことがある。弱糸の部分は糸の強度が弱いため、不良糸となる。従って、弱糸の部分がパッケージに混入してしまうと、当該パッケージの品質低下につながる。このため、弱糸の発生を確実に検出するとともに、検出された弱糸の部分を速やかに除去できる構成が求められる。
【0004】
特許文献1に記載の紡績機は、空気排出用空間に繊維が蓄積したことを検出するための圧力検出手段を備えている。特許文献1は、これにより、弱糸の原因となり易い状態を確実に検知して、弱糸によるパッケージの品質低下を防止できるとしている。しかし、特許文献1の構成は弱糸そのものを検出する構成ではないから、実際に弱糸が発生したときに、これを検出して速やかに除去することができない。従って、特許文献1の構成では、パッケージへの弱糸の混入を確実に防止することはできない。
【0005】
この点、特許文献2は、走行する紡績糸の張力(テンション)を検出することにより、当該紡績糸の弱糸を検出する構成を開示している。即ち、弱糸の部分は糸の強度が弱いため、正常な部分に比べてテンションが低くなる。従って、紡績糸のテンションを検出することにより、弱糸を検出することができる。このように、紡績糸のテンションを検出することにより、走行する紡績糸に含まれる弱糸をリアルタイムで検出できるので、検出された弱糸の部分を速やかに除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−132035号公報
【特許文献2】特開2004−36010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載の糸張力検出手段は、歪みセンサに支持された糸ガイドを有している。特許文献2は、糸ガイドに対する紡績糸の接触角度を所定の範囲に保持するために、紡績糸の走行経路を屈曲させるガイド部材を配置した構成を開示している。特許文献2は、所定の接触角度を維持することにより、安定した糸張力測定が可能となるとしている。
【0008】
しかし、特許文献2のように紡績糸を屈曲させるガイド部材が配置されると、当該ガイド部材が紡績糸の品質に悪影響を及ぼすおそれがある。従って、特許文献2のようにガイド部材によって紡績糸を屈曲させる構成は、糸ガイドに対する紡績糸の接触角度を増大させるにも限界があった。
【0009】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、紡績機において、紡績糸のテンションを精度良く検出できる構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0011】
本発明の観点によれば、以下の構成の紡績機が提供される。即ち、この紡績機は、紡績装置と、巻取装置と、第1検出部と、を備える。前記紡績装置は、紡績糸を生成する。前記巻取装置は、前記紡績装置で生成された紡績糸をパッケージへと巻き取る。前記第1検出部は、前記紡績装置と前記巻取装置との間で、走行する紡績糸のテンションを検出する。前記第1検出部は、走行する紡績糸を接触させる糸ガイドと、前記糸ガイドに加わった力に応じた信号を出力する検出器と、を備える。前記糸ガイドは、少なくとも前記紡績糸に接触する部分において、軸線に直交する断面における断面輪廓形状が略円弧状に形成されている。前記糸ガイドは、前記紡績糸が前記軸線に対して傾斜した状態で当該糸ガイドに接触するように配置されている。
【0012】
このように、糸ガイドを紡績糸の糸道に対して斜めに配置することにより、糸ガイドを糸道に対して直交して配置していた従来の構成に比べて、糸ガイドに対する紡績糸の接触角度を大きくすることができる。これにより、紡績糸のテンション変動を確実に検出することができる。
【0013】
上記の紡績機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この紡績機は、ドラフトローラによって繊維束をドラフトして前記紡績装置に供給するドラフト装置を備える。前記糸ガイドの上流側の紡績糸の糸道に平行な方向を第1方向、前記ドラフトローラの軸方向に平行な方向を第2方向、前記第1方向と前記第2方向とで形成される平面に直交する方向を第3方向とする。前記第3方向で見たときに、前記糸ガイドの前記軸線は、前記第1方向に対して斜めに配置されている。
【0014】
これにより、第1方向に走行する紡績糸に対する糸ガイドの接触角度を大きくすることができる。
【0015】
上記の紡績機は、前記紡績糸の糸道を屈曲させる屈曲ガイドを更に備えることが好ましい。
【0016】
これにより、糸ガイドに対する紡績糸の接触角度を更に増大させることができるので、紡績糸の微細なテンション変動を更に確実に検出することができる。
【0017】
上記の紡績機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この紡績機は、前記紡績装置から紡出された紡績糸を引き出して貯留する糸貯留装置を備える。当該糸貯留装置は、前記屈曲ガイドとして機能するように配置されている。
【0018】
このように、糸貯留装置が屈曲ガイドとしての機能を兼ねるため、紡績機の部品点数を削減することができる。しかも、紡績糸の糸道を屈曲させるための屈曲ガイドを新たに設ける必要がないので、余計なガイドによって紡績糸が悪影響を受けることもない。
【0019】
上記の紡績機において、前記第1検出部は、糸走行方向において、前記紡績装置と前記糸貯留装置との間に配置されることが好ましい。
【0020】
これによれば、紡績装置から紡出された紡績糸のテンションを、第1検出部によってダイレクトに検出できる。従って、紡績糸の異常を、異常発生位置の近傍で検出することができるため、弱糸を早期に検出することができる。
【0021】
上記の紡績機において、前記巻取装置は、前記糸貯留装置から引き出された紡績糸をパッケージへと巻き取ることが好ましい。
【0022】
第1検出部と巻取装置との間に糸貯留装置が配置されているので、糸貯留装置が一種のバッファとして働き、巻取装置における巻取りテンションの変動が第1検出部まで伝わらない。このため、第1検出部は、巻取テンションの影響を受けることなく、紡績装置で生成された紡績糸のテンションを正確に検出することができる。
【0023】
上記の紡績機は、前記紡績糸を前記糸貯留装置へと案内する糸貯留装置上流側ガイドを更に備えることが好ましい。
【0024】
これにより、紡績糸を糸貯留装置に確実に導入することができる。
【0025】
上記の紡績機において、前記糸貯留装置上流側ガイドは、前記第1検出部の前記糸ガイド及び前記検出器を外側から覆うカバーを兼ねることが好ましい。
【0026】
これによれば、従来の紡績機が備えていた糸貯留装置の上流側のガイドを省略することができる。
【0027】
上記の紡績機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記カバーには、前記糸ガイドが外部に露出するようにスリットが形成される。前記第1方向で見たときに、前記スリットの長手方向が、前記第3方向に対して斜めに配置される。
【0028】
即ち、機台正面からみたときに、スリットを介した糸ガイドの露出面積が小さくなるようにカバーが配置されている。これにより、カバーに対して清掃用のエアが機台正面から吹き付けられても、当該エアが糸ガイドには直接当たらないので、当該糸ガイドの損傷を防止できる。
【0029】
上記の紡績機においては、前記糸ガイドの前記軸線が、前記第1方向、前記第2方向、及び前記第3方向の全てに対して傾斜していることが好ましい。
【0030】
即ち、糸ガイドを三次元的に傾斜させて配置している。これにより、糸ガイドに対する紡績糸の接触角度を更に増加させることができ、紡績糸の微細なテンション変動をより一層確実に検出することができる。
【0031】
上記の紡績機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この紡績機は、異常検出部を備える。前記紡績装置は、繊維案内部と、空気噴出ノズルが形成されたノズルブロックと、中空ガイド軸体と、を有し、前記ドラフト装置によりドラフトされた前記繊維束を旋回気流により紡績室内で紡績して紡績糸を生成する空気紡績装置である。前記異常検出部は、前記第1検出部の検出結果に基づき、紡績糸のテンションの異常を検出する。
【0032】
即ち、空気紡績式の紡績装置に異常があると、テンションが低い糸(弱糸)が紡出される。従って、紡績糸のテンションを検出することにより、紡績装置の異常を検出することができる。
【0033】
上記の紡績機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記第1検出部の検出結果が紡績糸のテンションの低下を示す場合、前記異常検出部は、前記空気紡績装置の異常として、前記空気噴出ノズルの繊維の詰まりと、前記紡績室の内部での繊維の滞留と、前記中空ガイド軸体への繊維の巻き付きと、前記中空ガイド軸体での油剤の堆積と、の少なくとも何れかを検出する。
【0034】
ノズルに繊維が詰まると、紡績室の旋回流のエア流量が下がる。その結果、繊維を高速で旋回できないため、生成される紡績糸の撚りが弱くなる。また、紡績室内に繊維が滞留していたり、中空ガイド軸体の先端に繊維が巻き付いていたり、油剤が堆積していたりすると、紡績室内で旋回する繊維は高速で旋回することができない。その結果、生成される紡績糸の撚りが弱くなる。撚りが弱い糸は、ふわふわの状態であるため、テンションは低い。従って、テンション低下の検出により、空気紡績装置の異常を検出することができる。
【0035】
上記の紡績機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この紡績装置は、切断手段と、吸引装置と、糸継装置と、を更に備える。前記切断手段は、前記異常検出部が前記紡績糸の異常を検出した場合に、前記紡績装置と前記巻取装置との間の前記紡績糸を切断する。前記吸引装置は、前記切断手段が前記紡績糸を切断した場合、前記紡績装置からの紡績糸の糸端と前記巻取装置からの紡績糸の糸端を吸引して、前記紡績糸の異常箇所を吸引除去する。前記糸継装置は、前記吸引装置によって吸引された紡績糸の糸端同士の糸継作業を行う。
【0036】
前述のように、第1検出部は、紡績糸の異常を異常発生位置の近傍で検出しているため、紡績糸の異常が発生した場合は直ちに検出して紡績糸を切断することができる。従って、吸引装置によって吸引除去しなければならない紡績糸の長さを短くできるので、糸継装置による糸継作業も効率良くできる。その結果、紡績機の生産効率を向上させることができる。
【0037】
上記の紡績機は、前記紡績装置で紡出された紡績糸の太さ異常を検出する第2検出部を更に備えることが好ましい。
【0038】
これにより、紡績糸のテンション異常と太さ異常の両方を検出することができるので、紡績糸の異常をより正確に検出することができる。
【0039】
上記の紡績機は、前記紡績装置に前記紡績糸の芯となる芯糸を供給する芯糸供給装置と、前記第1検出部の検出結果に基づいて、前記紡績糸の芯糸の有無を検出する芯糸検出部と、を更に備えることが好ましい。
【0040】
このように、第1検出部の検出結果に基づいて、芯糸の有無を検出することができる。
【0041】
上記の紡績装置において、前記糸ガイドは、前記軸線方向の一部に縮径部を有し、前記紡績糸は前記縮径部上を走行することが好ましい。
【0042】
これにより、糸ガイドから脱落しないように紡績糸を走行させることができる。従って、第1検出部は、紡績糸のテンションを確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態に係る精紡機の全体的な構成を示す正面図。
【図2】紡績ユニットの側面図。
【図3】紡績装置の断面図。
【図4】スピニングセンサの平面図。
【図5】スピニングセンサの側面図。
【図6】糸ガイドを斜めに配置した効果を説明する図。
【図7】スピニングセンサ近傍をZ軸方向で見た図。
【図8】スピニングセンサ近傍をX軸方向で見た図。
【図9】スピニングセンサ近傍をY軸方向で下流側から見た図。
【図10】スピニングセンサのカバーをY軸方向で見た図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
次に、本発明の一実施形態に係る精紡機(紡績機)について、図面を参照して説明する。図1に示す紡績機としての精紡機1は、並設された多数の紡績ユニット2と、糸継台車3と、ブロアボックス80と、原動機ボックス5と、を備えている。
【0045】
図2に示すように、各紡績ユニット2は、上流から下流へ向かって順に配置された、ドラフト装置7と、紡績装置9と、糸貯留装置12と、巻取装置13と、を主要な構成として備えている。なお、本明細書において「上流」及び「下流」とは、紡績時での繊維束及び糸の走行方向における上流及び下流を意味するものとする。各紡績ユニット2は、ドラフト装置7から送られてくる繊維束8を紡績装置9で紡績して紡績糸10を生成し、この紡績糸10を巻取装置13で巻き取ってパッケージ45を形成する。
【0046】
ドラフト装置7は精紡機1の筐体6の上端近傍に設けられている。このドラフト装置7は、上流側から順に、バックローラ16、サードローラ17、ゴム製のエプロンベルト18を装架したミドルローラ19、及びフロントローラ20の4つのドラフトローラを備える。各ドラフトローラは、所定の回転速度で回転駆動される。4つのドラフトローラの回転軸は、それぞれ、装置の左右方向(図1の左右方向、図2の紙面に直交する方向、即ち糸走行方向に直交する方向)に沿って配置されている。また、ドラフト装置7は、各ドラフトローラに対向するように配置された対向ローラを有している。
【0047】
ドラフト装置7は、図略のスライバケースからスライバガイドを介して供給されるスライバ(繊維束の原料)15を、回転するドラフトローラと、これに対向する対向ローラとの間で挟み込んで搬送することにより、所定の幅となるまで引き伸ばして(ドラフトして)繊維束8とするように構成されている。
【0048】
フロントローラ20のすぐ下流側には、紡績装置9が配置されている。ドラフト装置7でドラフトされた繊維束8は、紡績装置9に供給される。紡績装置9は、ドラフト装置7から供給された繊維束8に撚りを加えて、紡績糸10を生成する。本実施形態では、旋回気流を利用して繊維束8に撚りを与える空気式の紡績装置を採用している。図3に示すように、紡績装置9は、ノズルブロック35と、中空ガイド軸体23と、繊維案内部22と、を主に備えている。
【0049】
ノズルブロック35と中空ガイド軸体23の間には、紡績室26が形成されている。ノズルブロック35には、紡績室26内に空気を噴出する空気噴出ノズル27が形成されている。繊維案内部22には、紡績室26内に繊維束8を導入する糸導入口21が形成されている。空気噴出ノズル27は、紡績室26内に空気を噴出して旋回気流を発生させることができるように構成されている。この構成で、ドラフト装置7から供給された繊維束8は、糸導入口21を有する繊維案内部22によって紡績室26内に案内される。紡績室26内において、繊維束8は、旋回気流によって中空ガイド軸体23の周囲を振り回されることにより、撚りが加えられて紡績糸10となる。撚りが加えられた紡績糸10は、中空ガイド軸体23の軸中心に形成された糸通路29を通って、下流側の糸出口(図略)から紡績装置9の外部に送出される。
【0050】
なお、前記糸導入口21には、その先端を紡績室内向けて配置された針状のガイドニードル22aが配置されている。糸導入口21から導入される繊維束8は、このガイドニードル22aに巻きかかるようにして紡績室26内に案内される。これにより、紡績室26内に導入される繊維束8の状態を安定させることができる。また、このようにガイドニードル22aに巻きかかるように繊維束8が案内されるので、紡績室26内で繊維に撚りが加えられても、繊維案内部22よりも上流側に撚りが伝播することが防止される。これにより、紡績装置9による加撚がドラフト装置7に影響を与えることを防止できる。ただし、ガイドニードル22aを省略して、繊維案内部22の下流側端部により、ガイドニードル22aの機能を果たしても良い。
【0051】
紡績装置9の下流側には、巻取装置13が配置されている。巻取装置13は、支軸73まわりに揺動可能に支持されたクレードルアーム71を備える。このクレードルアーム71は、紡績糸10を巻回するためのボビン48を回転可能に支持することができる。
【0052】
前記巻取装置13は、巻取ドラム72と、トラバース装置75と、を備えている。巻取ドラム72は、前記ボビン48やそれに紡績糸10を巻回して形成されるパッケージ45の外周面に接触して駆動できるように構成されている。トラバース装置75は、紡績糸10に係合可能なトラバースガイド76を備えている。この構成で、トラバースガイド76を図略の駆動手段によって往復動させながら巻取ドラム72を図略の電動モータによって駆動することで、巻取ドラム72に接触するパッケージ45を回転させ、紡績糸10を綾振りしつつ巻き取るようになっている。
【0053】
糸継台車3は、図1及び図2に示すように、糸継装置43と、吸引装置(サクションパイプ44及びサクションマウス46)を備えている。糸継台車3は、ある紡績ユニット2で糸切れや糸切断が発生すると、前記レール41上を当該紡績ユニット2まで走行し、停止するように構成されている。前記サクションパイプ44は、軸を中心に上下方向に回動しながら、紡績装置9から送出される糸端を吸い込みつつ捕捉して糸継装置43へ案内する。サクションマウス46は、軸を中心に上下方向に回動しながら、前記巻取装置13に支持されたパッケージ45から糸端を吸引しつつ捕捉して糸継装置43へ案内する。糸継装置43は、案内された糸端同士の糸継ぎを行う。
【0054】
また、紡績装置9と巻取装置13との間には、糸貯留装置12が設けられている。糸貯留装置12は、図2に示すように、糸貯留ローラ14と、当該糸貯留ローラ14を回転駆動する電動モータ25と、を備えている。
【0055】
糸貯留ローラ14は、その外周面に一定量の紡績糸10を巻き付けて一時的に貯留することができるように構成されている。糸貯留ローラ14の外周面に紡績糸10を巻き付けた状態で当該糸貯留ローラ14を所定の回転速度で回転させることにより、紡績装置9から紡績糸10を所定の速度で引き出して下流側に搬送することができる。また、糸貯留ローラ14の外周に紡績糸10を一時的に貯留するように構成されているので、糸貯留装置12を一種のバッファとして機能させることができる。これにより、紡績装置9における紡績速度と、巻取装置13における巻取速度と、が何らかの理由により一致しない場合の不具合(例えば紡績糸10の弛みなど)を解消することができる。
【0056】
紡績装置9と糸貯留装置12との間の位置には、スピニングセンサ(第1検出部)52と、糸品質測定器(第2検出部)57と、が設けられている。紡績装置9で紡出された紡績糸10は、糸貯留装置12で巻き取られる前に前記糸品質測定器57とスピニングセンサ52を通過するようになっている。
【0057】
糸品質測定器57は、走行する紡績糸10の太さを、図略の静電容量式センサによって監視するように構成されている。糸品質測定器57は、紡績糸10の糸欠点(紡績糸10の太さなどに異常がある箇所)を検出した場合に、糸欠点検出信号を図示しないユニットコントローラへ送信するように構成されている。なお、糸品質測定器57は静電容量式のセンサに限らず、例えば光透過式のセンサで糸の太さを監視する構成であっても良い。
【0058】
スピニングセンサ52は、糸品質測定器57のすぐ下流側に配置されている。スピニングセンサ52は、走行する紡績糸10のテンションを検出して、その検出結果を前記ユニットコントローラへと送信するように構成されている。ユニットコントローラは、スピニングセンサ52が検出したテンションを監視することにより、弱糸などの異常箇所を検出するように構成されている。従って、ユニットコントローラは異常検出部であると言うことができる。例えば、弱糸の部分は紡績糸10の強度が弱く、その部分でのテンションが低くなる。従って、ユニットコントローラは、スピニングセンサ52の検出結果に基づいて紡績糸10のテンションの変動を監視することにより、弱糸を検出することができる。
【0059】
このように、本実施形態では、紡績糸10の太さ異常を検出するための糸品質測定器57と、紡績糸10のテンション異常を検出するためのスピニングセンサ52と、を備えているので、紡績糸10の異常を確実に検出することができる。
【0060】
なお、前述のように糸貯留装置12は一種のバッファとして機能するので、巻取装置13における巻取テンション変動が、糸貯留装置12よりも上流側に伝わることを防止できる。本実施形態では、糸品質測定器57とスピニングセンサ52を糸貯留装置12よりも上流側に配置しているので、巻取装置13における巻取テンションの変動の影響を受けることなく紡績糸10の異常を検出することができる。
【0061】
また、ユニットコントローラは、糸品質測定器57又はスピニングセンサ52で紡績糸10の異常箇所が検出された場合、当該異常の原因を検出して、適宜の表示手段により表示するように構成されている。例えば、糸品質測定器57によって特定の周期の糸太さムラが検出された場合、回転する部材(具体的にはドラフトローラ)に何らかの不具合が発生したものと考えられる。そこでユニットコントローラは、特定周期の糸太さムラが検出された場合、ドラフフトローラの不具合を検出して、その旨を前記表示手段により表示する。
【0062】
また例えば、紡績糸10の弱糸は、紡績装置9において発生させる旋回気流が不安定になったときに発生する。旋回気流が不安定になる原因としては、紡績装置9の異常(例えば、空気噴出ノズル27の繊維の詰まり、紡績室26の内部での繊維の滞留、中空ガイド軸体23への繊維の巻き付き、中空ガイド軸体23での油剤の堆積など)が考えられる。そこでユニットコントローラは、スピニングセンサ52が検出したテンションの低下に基づいて弱糸を検出した場合、当該弱糸の原因として、空気噴出ノズル27の繊維の詰まり、紡績室26の内部での繊維の滞留、中空ガイド軸体23への繊維の巻き付き、中空ガイド軸体23での油剤の堆積の少なくとも何れかを検出して、その旨を前記表示装置に表示する。
【0063】
以上のように、紡績糸10の異常を検出した際には、その原因を適宜の表示手段に表示することにより、精紡機1のオペレータが異常箇所の復旧を的確に行うことができる。
【0064】
前記ユニットコントローラは、糸品質測定器57又はスピニングセンサ52の検出結果に基づき紡績糸10に異常を検出すると、空気噴出ノズル27からの空気の噴出を停止する。これにより、紡績装置9における紡績糸10の紡績が停止するので、紡績装置9の位置において紡績糸10の強度が低下し、当該紡績糸10が引きちぎられるようにして切断される。従って、紡績装置9は、紡績糸10の切断手段でもあると言える。
【0065】
切断された箇所よりも下流側の紡績糸10は、パッケージ45にいったん巻き取られる。なお、このときパッケージ45に巻き取られた紡績糸10には、糸品質測定器57又はスピニングセンサ52で検出された異常箇所が含まれている。更に、ユニットコントローラは、ドラフト装置7を停止させるとともに、巻取装置13における巻取りも停止させる。続いてユニットコントローラは糸継台車3に制御信号を送り、紡績糸10の異常が検出された紡績ユニット2の前まで走行させる。
【0066】
糸継台車3は、サクションパイプ44及びサクションマウス46によって紡績装置9側の糸端とパッケージ45側の糸端を吸引捕捉する。このとき、パッケージ45に巻き取られていた異常箇所は、サクションマウス46によって吸引されて引き出される。これにより、検出された異常箇所が除去される。続いて、サクションパイプ44及びサクションマウス46は、吸引捕捉した糸端を糸継装置43に案内し、当該糸継装置43において糸継動作を行う。
【0067】
以上の糸継動作により、紡績糸10の異常箇所が除去され、パッケージ45への紡績糸10の巻き取りを再開できる。
【0068】
なお前述のように、スピニングセンサ52で検出される紡績糸10の異常(主に弱糸)の原因は、紡績装置9の異常であることが多い。本実施形態では、紡績装置9のすぐ下流側にスピニングセンサ52が配置されているので、紡績糸10の異常(弱糸)を異常発生箇所(紡績装置9)のすぐ近くで検出できる。従って、弱糸の発生を素早く検出できる結果、サクションマウス46によって吸引除去しなければならない紡績糸10の長さも短くなる。この結果、糸継台車3による糸継作業の効率も向上し、精紡機1全体の生産効率を向上させることができる。
【0069】
次に、本実施形態の精紡機1が備えるスピニングセンサ52の構成について説明する。
【0070】
図4及び図5に示すように、スピニングセンサ52は、糸ガイド60と、支持アーム61と、ベース部62と、歪みセンサ(検出器)63と、を備えている。このスピニングセンサ52は、図5に示すように、走行する紡績糸10を糸ガイド60に接触させるように配置されている。
【0071】
糸ガイド60は、例えばセラミック等の耐摩耗性の素材からなり、略円柱状に形成されている。この円柱の軸線64を図4に示す。糸ガイド60を略円柱状としたことにより、当該円柱の軸線に直交する断面(図5)において、糸ガイド60が紡績糸10に接触する部分の輪廓形状は円弧状である。従って、糸ガイド60が紡績糸10に接触する部分に鋭い部分がないので、当該糸ガイド60は、紡績糸10を傷付けることなくガイドすることができる。
【0072】
また図4に示すように、糸ガイド60には、軸線64方向の中央部に、縮径部65が形成されている。このように糸ガイド60に縮径部65を形成したことにより、糸ガイド60に接触して走行する紡績糸10は、縮径部65の位置を走行する。これにより、糸ガイド60によってガイドされる紡績糸10の走行経路が安定するので、当該紡績糸10が糸ガイド60から外れてしまうことを防止できる。
【0073】
前記糸ガイド60は、支持アーム61の先端に取り付けられている。この支持アーム61は直角に屈曲して略L字状に形成された金属製の棒状部材であり、その一端に前記糸ガイド60を固定し、他端側はベース部62に固定されている。ベース部62は略直方体状に形成された金属部材であり、その表面には、当該ベース部62の変形を検出するための歪みセンサ(歪みゲージ)63が貼り付けられている。このベース部62には、当該ベース部62が変形し易いように薄肉部62aが形成されている。前記歪みセンサ63は、薄肉部62aの上に貼り付けられている。
【0074】
以上の構成で、糸ガイド60に加わった力は、支持アーム61を介してベース部62に伝わり、当該ベース部62を変形させる。このベース部62の変形が、歪みセンサ63によって検出される。歪みセンサ63は、検出された歪みに応じた電気信号を、ユニットコントローラに送信する。従って、ユニットコントローラは、糸ガイド60に加わった力を、歪みセンサ63からの電気信号に基づいて検知することができる。なお、このような構成のスピニングセンサは、糸ガイドに加えられる力を検出し易い方向がある。例えば本実施形態のスピニングセンサ52の場合は、糸ガイド60がベース部62に対して近づく方向の力(図4及び図5に矢印で示す方向の力)を検出し易い。この方向を、スピニングセンサ52の検出方向と呼ぶ。
【0075】
ここで、図5のように、紡績糸10が糸ガイド60に接触することで屈曲して走行している場合を考える。当該紡績糸10にはテンションがかかっているので、紡績糸10は直線状態に戻ろうとする。この結果、紡績糸10が糸ガイド60を押すので、このときの力が歪みセンサ63によって検出される。紡績糸10にかかっているテンションが高いほど、当該紡績糸10が糸ガイド60を押す力が大きくなる。従って、スピニングセンサ52の歪みセンサ63は、走行する紡績糸10にかかっているテンションの大きさに応じた電気信号を出力することになる。以上の構成により、ユニットコントローラは、紡績糸10のテンションを検知することができる。なお、紡績糸10のテンションを精度良く検出するためには、紡績糸10が糸ガイド60を押す方向を、前記検出方向になるべく一致させる(図5の状態)ことが好ましい。
【0076】
また、糸ガイド60の軸線方向で見たとき(図5)に、当該糸ガイド60の外周に紡績糸10が接触している部分の円弧の中心角を、接触角度θとして定義する。紡績糸10のテンションが同じ場合、接触角度θが大きいほど、糸ガイド60にかかる力は大きくなる。従って、紡績糸10の細かいテンション変動を検出するためには、接触角度θをなるべく大きくすることが好ましい。
【0077】
この点、特許文献2は、糸張力検出手段の上流側と下流側にガイド部材を設け、当該カイド部材によって糸道を屈曲させることにより、糸張力検出手段の糸ガイドに対する接触角度を維持する構成を開示している。しかし、このように余計なガイド部材が紡績糸の糸道に存在していると、当該ガイド部材が糸品質に悪影響を及ぼす懸念がある。また、ガイドによって糸道を屈曲させる構成では、接触角度を大きくするにも限界があったのである。
【0078】
そこで本実施形態の精紡機1は、特許文献2のようなガイド部材を追加することなく、糸ガイド60への紡績糸10の接触角度θを可能な限り大きくするように構成されている。
【0079】
まず、説明のために、糸ガイド60の上流側の紡績糸10aの糸道と平行な方向をY軸方向(第1方向)、機台左右方向(ドラフトローラの軸方向)と平行な方向をX軸方向(第2方向)、Y軸方向及びX軸方向に直交する方向(より具体的に言うと、Y軸方向とX軸方向とが形成する平面に直交する方向)をZ軸方向(第3方向)とする。
【0080】
特許文献2の図1等に示されているように、従来は、糸ガイドの軸方向が紡績糸の糸道に直交するように配置されていた。従って図6(a)に示すように、Z軸方向で見たときに、糸ガイド60の軸線64方向が、Y軸方向に直交するように配置することが当業者の最も自然な発想であると考えられる。糸ガイド60がこのように配置された状態を、スピニングセンサ52の基準位置とする。
【0081】
本願発明者らは、図6(b)に示すように、糸ガイド60を、紡績糸10の糸道に対して斜めに配置することを検討した。即ち、図6(a)及び(b)を比較すれば明らかなように、紡績糸10の糸道に対して糸ガイド60の軸線64を斜めに配置することにより、当該糸ガイド60に対して紡績糸が接触する長さが長くなる。従って、図6(a)に示す基準位置のスピニングセンサ(従来の構成)に比較して、図6(b)のように紡績糸10の糸道に対して斜めに配置されたスピニングセンサ52の方が、糸ガイド60に対する紡績糸10の接触角度θが大きくなる。
【0082】
以上の点に着目して、本実施形態のスピニングセンサ52は以下のように配置されている。即ち、図7に示すように、紡績糸10が軸線64に対して傾斜した状態で糸ガイド60に接触するように、スピニングセンサ52を配置している。より具体的には、Z軸方向で見たとき(図7)に、糸ガイド60よりも上流側の紡績糸10aの糸道の方向(Y軸方向)に対して、糸ガイド60の軸線64を傾斜させてスピニングセンサ52を配置している。従って、本実施形態のスピニングセンサ52は、基準位置(軸線64をY軸方向に直交させる図6(a)の位置)から、Z軸を中心として回転させて配置されていると言える。
【0083】
これにより、本実施形態のスピニングセンサ52は、糸ガイド60の軸線64をY軸方向に直交させて配置する従来の構成(図6(a)の構成)に比べて、糸ガイド60に対する紡績糸10の接触角度θを増大させることができる。従って、本実施形態のスピニングセンサ52は、従来の構成に比べて、紡績糸10の細かいテンション変動を検出することが可能となり、弱糸の検出精度を向上させることができる。また、上記構成は、糸ガイド60を斜めに配置するだけの構成であるから、特許文献2のように接触角度θを維持するためにガイド部材を設ける必要がない。このため、余計なガイド部材が紡績糸10に悪影響を及ぼす心配もない。
【0084】
また本実施形態では、図8に示すように、X軸方向で見たときに、糸貯留ローラ14の上流側端部が、糸ガイド60よりもZ軸方向で奥まった位置(装置背面側の位置)に配置されている。言い換えると、X軸方向で見たときに、糸貯留ローラ14の上流側端部は、糸ガイド60の上流側の紡績糸10aの糸道を延長した延長線66よりも装置背面側に位置している。
【0085】
このように糸貯留ローラ14が装置背面側に奥まった位置に配置されているので、紡績糸10は、糸貯留ローラ14のすぐ上流側に位置している糸ガイド60の位置で大きく屈曲して走行することになる。このように、糸ガイド60でガイドする紡績糸10を屈曲させることにより、紡績糸10が糸ガイド60に巻き付くようにして走行するので、糸ガイド60に対する紡績糸10の接触角度θが大きくなる。これにより、スピニングセンサ52の検出精度を更に向上させることができる。
【0086】
なお前述のように、特許文献2では、糸ガイドに接触する紡績糸の糸道を屈曲させるために、前記ガイド部材を設けていた。この点、本実施形態では、糸貯留装置12の糸貯留ローラ14によって糸道を屈曲させているので、当該糸貯留装置12は、特許文献2のガイド部材を兼ねているといえる。このように、本実施形態の糸貯留装置12は、糸ガイド60への紡績糸10の接触角度θを増大させるための屈曲ガイド(ガイド部材)として機能する。この構成によれば、ガイド部材を新たに設けることなく接触角度θを大きくすることができるので、当該ガイド部材によって糸品質が悪影響を受ける心配も無い。
【0087】
また本実施形態では図8に示すように、X軸方向で見たときに、糸ガイド60の上流側の紡績糸10aの糸道と、糸ガイド60の下流側の紡績糸10bの糸道と、がなす角の二等分線に対して、スピニングセンサ52の検出方向(図8で太線の矢印で示す方向)が略一致するように配置されている。従って、X軸方向で見たときに、スピニングセンサ52の検出方向が、Z軸方向に対して傾いて配置されている。これにより、糸ガイド60によって屈曲された紡績糸10が前記糸ガイド60に力を加える方向と、スピニングセンサ52の検出方向と、を略一致させることができるので、前記紡績糸10のテンション変動を適切に検出することができる。
【0088】
また図9に示すように、Y軸方向で見たときに、糸ガイド60よりも下流側の紡績糸10bは、糸貯留ローラ14に巻き取られる際に、当該糸貯留ローラ14の接線方向に沿って走行する。そこで本実施形態では、Y軸方向で見たときに、スピニングセンサ52の検出方向と、糸貯留ローラ14の接線方向と、が略一致するようにスピニングセンサ52を傾けて配置している。これにより、糸ガイド60を通って糸貯留ローラ14に巻き取られる紡績糸10のテンションを、スピニングセンサ52によって適切に検出することができる。
【0089】
なお、上記のようにY軸方向で見たときに、糸ガイド60よりも下流側の紡績糸10bの糸道に検出方向を一致させるようにスピニングセンサ52を傾けているので、当該Y軸方向で見たときに、糸ガイド60の軸線64は、X軸方向及びZ軸方向に対して斜めとなっている。
【0090】
以上のように、本実施形態の精紡機1では、スピニングセンサ52が備える糸ガイド60の軸線64が、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の全てに対して斜めに配置されている。即ち、本実施形態のスピニングセンサ52の糸ガイド60は、三次元的に傾いて配置されている。これにより、糸ガイド60の軸線を糸道に対して直交させるように配置する従来の構成(図6(a)の構成)に比べて、糸ガイド60に対する紡績糸10の接触角度θを一層大きくすることができ、当該紡績糸10のテンション変動を一層確実に検出することができるのである。
【0091】
また、図示は省略しているが、スピニングセンサ52を上記のように三次元的に傾けて配置するために、当該スピニングセンサ52のベース部62は専用の台座を介して機台本体に取り付けられている。スピニングセンサ52を三次元的に傾けた姿勢で支持するために、前記台座は三次元的に捻れた複雑な形状となる。従って本実施形態では、成形が比較的容易な樹脂によって前記台座を構成している。
【0092】
なお、紡績糸10は糸ガイド60に接触しながら走行するため、スピニングセンサ52は帯電する。そこで本実施形態において、前記台座は、金属やカーボン入りの導電性樹脂により構成されている。これにより、スピニングセンサ52に帯電した静電気を逃がすことができるので、スピニングセンサ52の出力信号のバラツキを抑制することができ、スピニングセンサ52の検出精度を更に向上させることができる。
【0093】
続いて、本実施形態のスピニングセンサ52のカバー68について説明する。
【0094】
図10に示すように、本実施形態のスピニングセンサ52は、糸ガイド60、支持アーム61、ベース部62、歪みセンサ63などを外側から覆うカバー68を備えている。即ち、糸ガイド60や支持アーム61などが露出していると、例えば作業者が不注意で触れて破損の原因となる。そこで、上記のように糸ガイド60等をカバー68によって覆うことにより、スピニングセンサ52の破損を防止している。
【0095】
このカバー68には、図10に示すように、糸ガイド60を露出させるためのスリット69が形成されている。従って、走行する紡績糸10は、スリット69を介して糸ガイド60に接触することができる。
【0096】
またこのスリット69は、紡績糸10を通過させることができるように細長く形成されている。従って、このスリット69そのものが、紡績糸10の走行をガイドする機能を有している。より具体的には以下のとおりである。即ち、糸継台車3により糸継作業時においては、巻取装置13によるパッケージ45への紡績糸10の巻取りが中断される。従って、糸継作業時には、紡績糸10に対して十分なテンションが付与されていないことになる。このため、糸継作業時においては、紡績糸10が糸ガイド60に押し付けられる力が弱いため、糸ガイド60(の縮径部65)から紡績糸10が外れてしまう場合がある。
【0097】
この点、上記の構成によれば、糸ガイド60に接触して走行する紡績糸10は、カバー68に形成された細長いスリット69の内側を走行することになる。このため、例えば糸継作業時などに紡績糸10が糸ガイド60から外れそうになったとしても、当該紡績糸10の糸道をスリット69によってガイドすることができる。即ち、糸継作業時などにおいても、カバー68のスリット69によって、紡績糸10をガイドしつつ、糸貯留装置12まで案内することができる。従って、本実施形態において、スピニングセンサ52のカバー68は、糸貯留装置上流側ガイドを兼ねていると言うことができる。従来の紡績装置においては、糸貯留装置の上流側に、当該糸貯留装置まで糸を案内するガイドを設ける必要があったが、本実施形態ではカバー68がこのガイドを兼ねているので、前記ガイドを省略することができる。
【0098】
なお前述のように、本実施形態では、Y軸方向で見たときに、糸ガイド60の軸線64をX軸及びZ軸に対して傾けて配置している。そこで、この糸ガイド60等を覆うカバー68も、Y軸方向で見たときに、傾いて配置されている。具体的には、図10に示すように、Y軸方向で見たときにスリット69の長手方向がZ軸に対して斜めとなるように、カバー68が配置される。
【0099】
ちなみに、精紡機1を備えつけた紡績工場では、メンテナンスや清掃などの際に、装置正面側から(Z軸方向から)エアガンなどによりエアを吹き付けて糸屑などを吹き飛ばす作業が行われる。スピニングセンサ52に対してエアが吹き付けられる方向を、図10に太線の矢印で示す。この作業においては、糸屑等を吹き飛ばすためにかなりの勢いでエアを吹き付けるため、場合によってはエアの勢いによって各部の損傷が発生し得る。この点、本実施形態では、上記のようにスリット69がZ軸に対して斜めに配置されているので、Z軸方向からみたときに、糸ガイド60の露出面積が小さくなっている。従って、装置正面側から(Z軸方向から)スピニングセンサ52にエアが吹き付けられたとしても、糸ガイド60に当たるエアの勢いを弱めることができるので、糸ガイド60がエアによって損傷を受けることを防止できる。
【0100】
以上で説明したように、本実施形態の精紡機1は、紡績装置9と、巻取装置13と、スピニングセンサ52と、を備える。紡績装置9は、紡績糸10を生成する。巻取装置13は、紡績装置9で生成された紡績糸10をパッケージ45へと巻き取る。スピニングセンサ52は、紡績装置9と巻取装置13との間で、走行する紡績糸10のテンションを検出する。またスピニングセンサ52は、走行する紡績糸10を接触させる糸ガイド60と、糸ガイド60に加わった力に応じた信号を出力する歪みセンサ63と、を備える。糸ガイド60は、少なくとも紡績糸10に接触する部分において、軸線64に直交する断面における断面輪廓形状が略円弧状に形成されている。糸ガイド60は、紡績糸10が軸線64に対して傾斜した状態で当該糸ガイド60に接触するように配置されている。
【0101】
このように、糸ガイド60を紡績糸10の糸道に対して斜めに配置することにより、糸ガイド60を糸道に対して直交して配置していた従来の構成に比べて、糸ガイド60に対する紡績糸10の接触角度θを大きくすることができる。これにより、紡績糸10のテンション変動を確実に検出することができる。
【0102】
本実施形態の精紡機1は、以下のように構成されている。即ち、この精紡機1は、ドラフトローラによって繊維束8をドラフトして紡績装置9に供給するドラフト装置7を備えている。糸ガイド60の上流側の紡績糸10aの糸道に平行な方向をY軸方向、ドラフトローラの軸方向に平行な方向をX軸方向、Y軸方向とX軸方向とで形成される平面に直交する方向をZ軸方向とする。Z軸方向で見たときに、糸ガイド60の軸線64は、Y軸方向に対して斜めに配置されている。
【0103】
これにより、Y軸方向に走行する紡績糸10aに対する糸ガイド60の接触角度を大きくすることができる。
【0104】
本実施形態の精紡機1は、紡績装置9から紡出された紡績糸10を引き出して貯留する糸貯留装置12を備えている。この糸貯留装置12は、X軸方向で見たときの紡績糸10の糸道を屈曲させる屈曲ガイドとして機能する。
【0105】
これにより、糸ガイド60に対する紡績糸10の接触角度θを更に増大させることができるので、紡績糸10の微細なテンション変動を更に確実に検出することができる。また、糸貯留装置12が屈曲ガイドとしての機能を兼ねるため、精紡機1の部品点数を削減することができる。しかも、紡績糸10の糸道を屈曲させるための屈曲ガイドを新たに設ける必要がないので、余計なガイドによって紡績糸10が悪影響を受けることもない。
【0106】
本実施形態の精紡機1において、スピニングセンサ52は、糸走行方向において、紡績装置9と糸貯留装置12との間に配置されている。巻取装置13は、糸貯留装置12から引き出された紡績糸10をパッケージ45へと巻き取る。
【0107】
これによれば、紡績装置9から紡出された紡績糸10のテンションを、スピニングセンサ52によってダイレクトに検出できる。従って、紡績糸10の異常を、異常発生位置の近傍で検出することができるため、弱糸を早期に検出することができる。また、スピニングセンサ52と巻取装置13との間に糸貯留装置12が配置されているので、糸貯留装置12が一種のバッファとして働き、巻取装置13における巻取りテンションの変動がスピニングセンサ52まで伝わらない。このため、スピニングセンサ52は、巻取テンションの影響を受けることなく、紡績装置9で生成された紡績糸10のテンションを正確に検出することができる。
【0108】
本実施形態の精紡機1において、スピニングセンサ52の糸ガイド60及び歪みセンサ63を外側から覆うカバー68は、紡績糸10を糸貯留装置12へと案内する糸貯留装置上流側ガイドを兼ねている。
【0109】
これにより、紡績糸10を糸貯留装置12に確実に導入することができる。また、カバー68が糸貯留装置上流側ガイドを兼ねているので、従来の紡績機が備えていた糸貯留装置の上流側のガイドを省略することができる。
【0110】
本実施形態の精紡機1は、以下のように構成されている。即ち、カバー68には、糸ガイド60が外部に露出するようにスリット69が形成されている。Y軸方向で見たときに、スリット69の長手方向が、Z軸方向に対して斜めに配置される。
【0111】
即ち、機台正面(Z軸方向)からみたときに、スリット69を介した糸ガイド60の露出面積が小さくなるようにカバー68が配置されている。これにより、カバー68に対して清掃用のエアが機台正面から吹き付けられても、当該エアが糸ガイド60には直接当たらないので、当該糸ガイド60の損傷を防止できる。
【0112】
本実施形態の精紡機1においては、糸ガイド60の軸線64が、Y軸方向、X軸方向、及びZ軸方向の全てに対して傾斜している。
【0113】
即ち、糸ガイド60を三次元的に傾斜させて配置している。これにより、糸ガイド60に対する紡績糸10の接触角度θを更に増加させることができ、紡績糸10の微細なテンション変動をより一層確実に検出することができる。
【0114】
本実施形態の精紡機1は、異常検出部としてのユニットコントローラを備える。紡績装置9は、繊維案内部22と、空気噴出ノズル27が形成されたノズルブロック35と、中空ガイド軸体23と、を有し、ドラフト装置7によりドラフトされた繊維束8を旋回気流により紡績室26内で紡績して紡績糸10を生成する空気紡績装置である。ユニットコントローラは、スピニングセンサ52の検出結果に基づき、紡績糸10のテンションの異常を検出する。
【0115】
即ち、空気紡績式の紡績装置9に異常があると、テンションが低い糸(弱糸)が紡出される。従って、紡績糸10のテンションを検出することにより、紡績装置9の異常を検出することができる。
【0116】
本実施形態の精紡機1は、以下のように構成されている。即ち、スピニングセンサ52の検出結果が紡績糸10のテンションの低下を示す場合、ユニットコントローラは、空気紡績装置の異常として、空気噴出ノズル27の繊維の詰まりと、紡績室26の内部での繊維の滞留と、中空ガイド軸体23への繊維の巻き付きと、中空ガイド軸体23での油剤の堆積と、の少なくとも何れかを検出する。
【0117】
即ち、ノズルに繊維が詰まると、紡績室26の旋回流のエア流量が下がる。その結果、繊維を高速で旋回できないため、生成される紡績糸10の撚りが弱くなる。また、紡績室26内に繊維が滞留していたり、中空ガイド軸体23の先端に繊維が巻き付いていたり、油剤が堆積していたりすると、紡績室26内で旋回する繊維は高速で旋回することができない。その結果、生成される紡績糸10の撚りが弱くなる。撚りが弱い糸は、ふわふわの状態であるため、テンションは低い。従って、テンション低下の検出により、空気紡績装置の異常を検出することができる。
【0118】
本実施形態の精紡機1は、以下のように構成されている。即ち、この精紡機1は、サクションパイプ44及びサクションマウス46と、糸継装置43と、を更に備えている。ユニットコントローラが紡績糸10の異常を検出した場合に、紡績装置9は紡績を停止して紡績糸10を切断する。サクションパイプ44及びサクションマウス46は、紡績糸10が切断された場合、紡績装置9からの紡績糸10の糸端と巻取装置13からの紡績糸10の糸端を吸引して、紡績糸10の異常箇所を吸引除去する。糸継装置43は、サクションパイプ44及びサクションマウス46によって吸引された紡績糸10の糸端同士の糸継作業を行う。
【0119】
前述のように、スピニングセンサ52は、紡績糸10の異常を異常発生位置の近傍で検出しているため、紡績糸10の異常が発生した場合は直ちに検出して紡績糸10を切断することができる。従って、サクションマウス46によって吸引除去しなければならない紡績糸10の長さを短くできるので、糸継装置43による糸継作業も効率良くできる。その結果、精紡機1の生産効率を向上させることができる。
【0120】
本実施形態の精紡機1は、紡績装置9で紡出された紡績糸10の太さ異常を検出する糸品質測定器57を更に備えている。
【0121】
これにより、紡績糸10のテンション異常と太さ異常の両方を検出することができるので、紡績糸10の異常をより正確に検出することができる。
【0122】
本実施形態の精紡機1において、糸ガイド60は、軸線64方向の一部に縮径部65を有し、紡績糸10は縮径部65上を走行する。
【0123】
これにより、糸ガイド60から脱落しないように紡績糸10を走行させることができる。従って、スピニングセンサ52は、紡績糸10のテンションを確実に検出することができる。
【0124】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態と共通の構成については、要素名に同一の符号を付して説明を省略する。
【0125】
この変形例は、上記実施形態の精紡機1に、芯糸を供給する芯糸供給装置を更に備えたものである。
【0126】
芯糸供給装置は、紡績装置9に対して芯糸を供給するように構成される。ドラフト装置7から供給される繊維束8は、上記芯糸と合流して紡績装置9に入る。紡績装置9の紡績室26内においては、芯糸の回りを繊維束8が振り回されることにより、芯糸の周囲に繊維束8が巻き付いていく。これにより、コアヤーンを生成することができる。
【0127】
なお、芯糸供給装置を備えた紡績装置は、例えば特開2007−254919号公報に記載されているとおり公知であるから、これ以上詳しくは説明しない。
【0128】
上記特開2007−254919号公報に記載のとおり、芯糸供給装置は、紡績装置9の上流側において、ドラフト装置7の上方に配置されるものであり、図1等に示した上記実施形態の精紡機1に追加するかたちで配置することができる。従って、上記実施形態で説明したスピニングセンサ52等のレイアウトは、この変形例についてもそのまま適用することができる。
【0129】
本変形例において、ユニットコントローラは、スピニングセンサ52の検出結果に基づいて、芯糸の有無を検出するように構成されている。即ち、コアヤーンを生成する精紡機1において、何らかの理由により芯糸が正常に供給されていない場合、正常なコアヤーンの場合とくらべて糸の強度が低くなるため、スピニングセンサ52が検出する糸のテンションも低くなる。従って、ユニットコントローラは、スピニングセンサ52が検出する糸のテンションの変動を監視することにより、コアヤーンの有無を検出することができる。このように、本変形例において、ユニットコントローラは、芯糸検出部として機能すると言える。
【0130】
既に説明したように、本発明に係る精紡機1は、スピニングセンサ52の配置を工夫することにより、糸ガイド60への紡績糸10の接触角度θを大きくして、スピニングセンサ52の検出精度を向上させたものである。従って、スピニングセンサ52の検出結果によって芯糸を検出する本変形例の精紡機1においては、芯糸の有無を度良く判定することができる。
【0131】
以上で説明したように、本変形例の精紡機1は、紡績装置9に紡績糸10の芯となる芯糸を供給する芯糸供給装置を備える。ユニットコントローラは、スピニングセンサ52の検出結果に基づいて、紡績糸10の芯糸の有無を検出する。
【0132】
このように、スピニングセンサ52の検出結果に基づいて、芯糸の有無を検出することができる。
【0133】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0134】
紡績装置は、空気紡績式の紡績装置に限らず、他の形式の紡績装置を備えた紡績機にも本願発明の構成を適用することができる。ただし前述のように、空気紡績装置では、空気噴出ノズル27の詰まりなどによって弱糸が発生する。そこで、弱糸を精度良く検出できる本願発明の構成を、空気紡績式の紡績装置を備えた紡績機に適用することが特に好適である。
【0135】
上記実施形態では、ユニットコントローラが異常検出部や芯糸検出部として機能するものとして説明したが、異常検出部及び芯糸検出部の少なくとも何れか一方をユニットコントローラとは別に設けても良い。
【0136】
上記実施形態では、上流側から順に、紡績装置9、糸品質測定器57、スピニングセンサ52の順で配置しているが、紡績装置9、スピニングセンサ52、糸品質測定器57の順で配置しても良い。もっとも、糸品質測定器57は省略することもできる。
【0137】
上記実施形態では、糸貯留装置12の糸貯留ローラ14を回転させることにより、紡績装置9から紡績糸10を引き出す構成とした。これに代えて、例えば特許文献1に記載されているように、デリベリローラとニップローラとによって紡績糸を挟み込んで回転することにより、紡績装置から紡績糸を引き出す糸送り装置を設けても良い。
【0138】
上記実施形態では、糸継作業時において、紡績装置9の紡績を停止することにより紡績糸10を切断する構成としたが、紡績糸10を切断するためのカッタを別途設けても良い。
【0139】
スピニングセンサ52を三次元的に支持するための台座は樹脂製としたが、これに限定される訳ではなく、可能であれば前記台座を金属製としても良い。もっとも、可能であればスピニングセンサ52のベース部62を(台座を介さずに)機台本体に対して直接取り付けても良い。
【符号の説明】
【0140】
1 精紡機(紡績機)
8 繊維束
9 紡績装置
10 紡績糸
13 巻取装置
16,17,19,20 ドラフトローラ
52 スピニングセンサ(第1検出部)
60 糸ガイド
63 歪みセンサ(検出器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡績糸を生成する紡績装置と、
前記紡績装置で生成された紡績糸をパッケージへと巻き取る巻取装置と、
前記紡績装置と前記巻取装置との間で、走行する紡績糸のテンションを検出する第1検出部と、
を備えた紡績機であって、
前記第1検出部は、
走行する紡績糸を接触させる糸ガイドと、
前記糸ガイドに加わった力に応じた信号を出力する検出器と、
を備え、
前記糸ガイドは、少なくとも前記紡績糸に接触する部分において、軸線に直交する断面における断面輪廓形状が略円弧状に形成されており、前記紡績糸が前記軸線に対して傾斜した状態で前記糸ガイドに接触するように配置されていることを特徴とする紡績機。
【請求項2】
請求項1に記載の紡績機であって、
ドラフトローラによって繊維束をドラフトして前記紡績装置に供給するドラフト装置を備え、
前記糸ガイドの上流側の紡績糸の糸道に平行な方向を第1方向、前記ドラフトローラの軸方向に平行な方向を第2方向、前記第1方向と前記第2方向とで形成される平面に直交する方向を第3方向としたときに、
前記糸ガイドの前記軸線は、前記第3方向で見たときに前記第1方向に対して斜めに配置されていることを特徴とする紡績機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の紡績機であって、
前記紡績糸の糸道を屈曲させる屈曲ガイドを更に備えることを特徴とする紡績機。
【請求項4】
請求項3に記載の紡績機であって、
前記紡績装置から紡出された紡績糸を引き出して貯留する糸貯留装置を備え、
当該糸貯留装置は、前記屈曲ガイドとして機能するように配置されることを特徴とする紡績機。
【請求項5】
請求項4に記載の紡績機であって、
前記第1検出部は、糸走行方向において、前記紡績装置と前記糸貯留装置との間に配置されることを特徴とする紡績機。
【請求項6】
請求項5に記載の紡績機であって、
前記巻取装置は、前記糸貯留装置から引き出された紡績糸をパッケージへと巻き取ることを特徴とする紡績機。
【請求項7】
請求項4から6までの何れか一項に記載の紡績機であって、
前記紡績糸を前記糸貯留装置へと案内する糸貯留装置上流側ガイドを更に備えることを特徴とする紡績機。
【請求項8】
請求項7に記載の紡績機であって、
前記糸貯留装置上流側ガイドは、前記第1検出部の前記糸ガイド及び前記検出器を外側から覆うカバーを兼ねることを特徴とする紡績機。
【請求項9】
請求項8に記載の紡績機であって、
ドラフトローラによって繊維束をドラフトして前記紡績装置に供給するドラフト装置を備え、
前記カバーには、前記糸ガイドが外部に露出するようにスリットが形成されており、
前記糸ガイドの上流側の紡績糸の糸道に平行な方向を第1方向、前記ドラフトローラの軸方向に平行な方向を第2方向、前記第1方向及び前記第2方向とで形成される平面に直交する方向を第3方向としたときに、
前記第1方向で見たときに、前記スリットの長手方向が、前記第3方向に対して斜めに配置されることを特徴とする紡績機。
【請求項10】
請求項1から9までの何れか一項に記載の紡績機であって、
ドラフトローラによって繊維束をドラフトして前記紡績装置に供給するドラフト装置を備え、
前記糸ガイドの上流側の紡績糸の糸道に平行な方向を第1方向、前記ドラフトローラの軸方向に平行な方向を第2方向、前記第1方向及び前記第2方向とで形成される平面に直交する方向を第3方向としたときに、
前記糸ガイドの前記軸線が、前記第1方向、前記第2方向、及び前記第3方向の全てに対して傾斜していることを特徴とする紡績機。
【請求項11】
請求項1から10までの何れか一項に記載の紡績機であって、
繊維束をドラフトして前記紡績装置に供給するドラフト装置と、
異常検出部と、
を備え、
前記紡績装置は、繊維案内部と、空気噴出ノズルが形成されたノズルブロックと、中空ガイド軸体と、を有し、前記ドラフト装置によりドラフトされた前記繊維束を旋回気流により紡績室内で紡績して紡績糸を生成する空気紡績装置であり、
前記異常検出部は、前記第1検出部の検出結果に基づき、紡績糸のテンションの異常を検出することを特徴とする紡績機。
【請求項12】
請求項11に記載の紡績機であって、
前記第1検出部の検出結果が紡績糸のテンションの低下を示す場合、
前記異常検出部は、前記空気紡績装置の異常として、前記空気噴出ノズルの繊維の詰まりと、前記紡績室の内部での繊維の滞留と、前記中空ガイド軸体への繊維の巻き付きと、前記中空ガイド軸体での油剤の堆積と、の少なくとも何れかを検出することを特徴とする紡績機。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の紡績機であって、
前記異常検出部が前記紡績糸の異常を検出した場合に、前記紡績装置と前記巻取装置との間の前記紡績糸を切断する切断手段と、
前記切断手段が前記紡績糸を切断した場合、前記紡績装置からの紡績糸の糸端と前記巻取装置からの紡績糸の糸端を吸引して、前記紡績糸の異常箇所を吸引除去する吸引装置と、
前記吸引装置によって吸引された紡績糸の糸端同士の糸継作業を行う糸継装置と、を更に備えることを特徴とする紡績機。
【請求項14】
請求項1から13までの何れか一項に記載の紡績機であって、
前記紡績装置で紡出された紡績糸の太さ異常を検出する第2検出部を更に備えることを特徴とする紡績機。
【請求項15】
請求項1から14までの何れか一項に記載の紡績機であって、
前記紡績装置に前記紡績糸の芯となる芯糸を供給する芯糸供給装置と、
前記第1検出部の検出結果に基づいて、前記紡績糸の芯糸の有無を検出する芯糸検出部と、
を更に備えることを特徴とする紡績機。
【請求項16】
請求項1から15までの何れか一項に記載の紡績機であって、
前記糸ガイドは、前記軸線方向の一部に縮径部を有し、前記紡績糸は前記縮径部上を走行することを特徴とする紡績機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate