説明

索条案内装置

【課題】配管が屈曲した箇所でも索条の牽引によってその内壁が傷つくことがなく、しかも効率よく配管内を清掃することができる索条案内装置を提供する。
【解決手段】マンホールに連なる配管50内に挿通した索条60を牽引する際に使用する索条案内装置100であって、索条60を案内する案内部10と、該案内部10を配管50の所定位置で支持する支持部20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホールにつらなる配管内で索条を牽引する際に使用する索条案内装置に関し、特に配管が曲がって埋設されている箇所での索条の牽引に適した索条案内装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、下水道等の配管は、その敷設を終わった後の工事品質を確認・検査する際や、メンテナンスを行う場合に、配管内部の清掃を行わなければならない。この清掃作業は、配管の内径が人や大型機械が入れるような場合では殆ど問題なく行えるが、配管が細い場合には、例えば先に清掃具を取り付けた竹竿を、マンホールの外から差し込んで人が動かす等の手間の掛かる作業を行わなければならない。
【0003】
そこで、特許文献1にて提案されているような手段を使って、細い配管内の清掃を行うことが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−254046号公報、要約
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明は、「管内の清掃を効率的に行うことができる管掃除方法を提供する」ことを主目的としてなされたもので、「掃除対象となる管の一端から他端に向けて自走式のロープ牽引装置を走らせてその管内にロープを通す工程と、管内に通した前記ロープの一端にスポンジ体を備えた引張り摺動具を連結し、そのロープを他端側から引張ることで管の内壁面に前記スポンジ体を摺接させながら前記引張り摺動具に管内を移動させる工程とを備えてなる」ことを特徴としている。
【0006】
つまり、この特許文献1に記載の発明は、管内に通したロープを引張ることで管の内壁面にスポンジ体を摺接させながら引張り摺動具に管内を移動させる工程により、配管内のゴミや砂などを除去し、細い配管をも清掃することができるようにしたものである。
【0007】
しかしながら、この特許文献1に記載された技術では、以下の様な場合に対処できないという問題が残されている。すなわち、図10に示すように、複数の箇所で屈曲した配管50内に、ロープ(索条60)を挿通しておき、当該ロープ(索条60)をウィンチ等の巻き取り機構70で巻き取ることにより引張り摺動具(清掃器90)を一気に牽引して、清掃作業を効率良く実施しようとした場合である。
【0008】
つまり、配管が屈曲する位置では、ロープ(索条60)が配管の内壁に接触するため、摩擦により大きな牽引力が必要となることは勿論であるが、摩擦によりロープ(索条60)が損傷を受けるばかりか、配管の屈曲にロープ(索条60)による傷がついて、工事品質の確認・検査時に問題となる。
【0009】
また、配管の屈曲部においては、ロープ(索条60)を牽引する角度が鋭角となって、引張り摺動具(清掃器90)が斜めに牽引されることとなるため、円滑な牽引ができないばかりが、配管内のゴミなどを完全に除去できない恐れもある。
【0010】
さらに、図10に示したように、配管が屈曲する場所は、マンホール内で行われており、そのマンホール内の配管は、メンテナンスの観点から最大管径で切断された所謂半割状態に形成されているのが一般的であり、この半割状態の箇所でロープ(索条60)が牽引されると、配管の内壁を越えてロープ(索条60)が配管から離脱してしまい、それ以上の清掃作業を行うことが出来ないという問題が発生するのである。
【0011】
そこで、本発明者等は、配管が屈曲した箇所でも効率よく清掃するにはどうしたらよいかについて種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0012】
すなわち、本発明の目的とするところは、配管が屈曲した箇所でも索条の牽引によってその内壁が傷つくことがなく、しかも効率よく配管内を清掃することができる索条案内装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する実施形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「マンホール40に連なる配管50内に挿通した索条60を牽引する際に使用する索条案内装置100であって、
前記索条60を案内する案内部10と、該案内部10を前記配管50の所定位置で支持する支持部20とを備えたことを特徴とする索条案内装置100」
である。
【0014】
すなわち、この索条案内装置100は、図1〜図6に示すように、主に案内部10と支持部20とから構成されており、案内部10は配管50に挿通された索条60を案内し、支持部20はこの案内部10を配管50の所定位置で支持するものである。具体的構成は、以下に詳述するが、案内部10や支持部20の形状や位置などを限定せず、要は配管50の所定位置で索条60を案内できる構成であればどのようなものでも含まれる。
【0015】
そして、この様に構成された請求項1に係る索条案内装置100は、図7及び図8に示すように、マンホール40に連なる配管50に設けられ、特に配管50が屈曲する箇所や配管50からマンホール40の外部へ索条60を誘導する箇所に設けられ、その案内部10に索条60が案内されるのである。
【0016】
また、この索条案内装置100は、マンホール40の底面に設けられた配管50における索条60を案内するのみならず、図9に示すように、マンホール40の側壁の高い位置に設けられた配管50に索条60を案内する際にも利用することができるのである。
【0017】
従って、この請求項1に係る索条案内装置100は、索条60を案内する案内部10を支持部20により配管50の所定位置にて支持する構成であるため、配管50が曲がっている箇所では、索条60が配管50の内壁に直接には接触しないため、配管50の清掃時に使用して索条60を牽引した場合でも、配管50の内壁に傷がつくはなく、またマンホール40内での配管の半割状態の箇所であっても索条60が配管50の内壁を越えて配管50から離脱することがない。また、索条50をマンホール40の外へ誘導することも容易に行うことができるのである。
【0018】
また、上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載の索条案内装置100について、
「案内部10は、索条60を挿通する環状体11であると共にその一部に切り欠き12を有すること」
である。
【0019】
すなわち、図1〜図3に示すように、案内部10は、ほぼ環状体11で構成されており、その環状体11に索条60を挿通することにより索条60を案内する様になっており、さらにその環状体11の一部に切り欠き12を設け、この切り欠き12を通して環状体11への索条60の挿通を容易に行う事ができるようになっている。
【0020】
従って、この請求項2に係る索条案内装置100では、上記請求項1のそれと同様な機能を発揮する他、案内部10が切り欠き12を有する環状体11であるため、その切り欠き12から索条60を挿入し易く、また索条60を極めて簡単な構成で案内することができるのである。
【0021】
同様に、上記課題を解決するために、請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載の索条案内装置100について、
「案内部10は、索条60を誘導する回転体13であること」
である。
【0022】
すなわち、図4及び図5に示すように、案内部10は回転体13で構成されており、索条60をスムーズに誘導できるようになっている。この回転体13は、後述する実施態様のように滑車13で構成してもよいし、単なる管状体を回転自在に支持して索条60を案内できるような構成であればどのような形状であっても良い。
【0023】
従って、この請求項3に係る索条案内装置100では、上記請求項1のそれと同様な機能を発揮する他、案内部10が回転体13であるため、索条60の案内を円滑に行うことができるのである。また、図5及び図9に示すように、索条60をマンホール40の外へ誘導する場合など、索条60の急激な方向転換にも容易に対応することができるのである。
【0024】
次に、上記課題を解決するために、請求項4に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜3のいずれかに記載の索条案内装置100について、
「案内部10は、支持部20において上下動自在に構成されている」
である。
【0025】
すなわち、図1〜図4に示すように、案内部10は支持部20に設けられた貫通孔28に遊勘して上下動自在に構成され、所定の位置でピン15又はナット16によって固定して支持されるようになっている。
【0026】
従って、この請求項4に係る索条案内装置100では、上記請求項1〜3のそれと同様な機能を発揮する他、案内部10が上下するので、配管50に索条60を挿通するのに最適な位置で案内することができ、よって様々管径の配管に容易に対応することができるのである。
【0027】
次に、上記課題を解決するために、請求項5に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜4のいずれかに記載の索条案内装置100について、
「支持部20は、配管50の対向する内壁51に当接する一対の当接体21と、これらの当接体21を拡開して内壁51に当接体21を圧接する伸縮体22とを備えたこと」
である。
【0028】
すなわち、図1〜図3に示すように、支持部20は一対の当接体21と、これらを拡開する伸縮体22とか構成されており、伸縮体22が伸びることによって一対の当接体21を拡開し、当該当接体21が、配管50の対向する内壁51を圧接することにより、支持部20を配管50の所定位置で設置できるようになっているのである。一方、伸縮体22が縮むことにより一対の当接体21の間隔は狭まり、それに従って支持部20を配管50から、ひいてはこの索条案内装置100全体を配管50から外すことが出来るのである。
【0029】
ここで、この索条案内装置100の配管50における設置箇所であるが、図1〜図5に示すようなマンホール40の底面にあっては半割にした配管50に設置される場合や、図9に示したようなマンホール40の側壁に連なる配管50に設置する場合、いずれの場合も配管50の対向する内壁を当接体21が圧接することにより、この装置自体を所定位置で支持することができるようになっている。
【0030】
なお、当接体21の形状や伸縮体22の構造などは特に限定されず、次の請求項6の螺合手段のみならず、油圧やカムやリンクなど、伸縮する構造であれば如何なるものであってもよいことは言うまでもない。
【0031】
以上の様に、この請求項5に係る索条案内装置100では、上記請求項1〜4のそれと同様な機能を発揮する他、伸縮体22により当接体21が拡開して装置自体を簡単に設置できるため、作業性に優れたものとなっているのである。
【0032】
次に、上記課題を解決するために、請求項6に係る発明の採った手段は、上記請求項5に記載の索条案内装置100について、
「伸縮体22は、当接体21のぞれぞれに固着されると共にその外周に雄ねじ24を有する棒材23と、これらの棒材23に螺合する雌ねじ26を内壁に有する管材25とにより構成されている」
である。
【0033】
すなわち、図3に詳述したように、伸縮体22は棒材23と管材25とからなる螺合手段で構成されており、内壁に雌ねじ26有する管材25を回転させることにより、外周に雄ねじ24を有する棒材23が両脇に伸縮して、ひいては伸縮体22が伸縮して当接体21を拡開するよう構成されている。
【0034】
従って、この請求項6に係る索条案内装置100では、上記請求項5のそれと同様な機能を発揮する他、伸縮体22の構造が螺合手段という極めて簡単な構成であるため、水や砂などが螺合手段に付着しても問題なく作動させることができ、しかも壊れ難く低コストに製造することができるのである。
【0035】
また、上記課題を解決するために、請求項7に係る発明の採った手段は、上記請求項6に記載の索条案内装置100について、
「伸縮体22は、管材25の回転を規制する回り止め27を備えたこと」
である。
【0036】
すなわち、図1及び図2に示すように、伸縮体22は、管材25に勘着してその回転を規制する回り止め27が設けられている。この回り止め27の構成は如何なる形状、構成であってもよく、例えばピンにより回転を規制したり、或いは棒材23の雄ねじ24に螺合するナットによって規制するなど、要は管材25が回転しないようになっていれば良い。
【0037】
従って、この請求項7に係る索条案内装置100では、上記請求項6のそれと同様な機能を発揮する他、回り止め27を設けたことにより、管材25が索条60の牽引などによって回転して、索条60の案内がスムーズに行かなかったり、あるいは、管材25の回転により伸縮体22が縮み当接体21の圧接力が弱まって装置自体が配管50から脱落したりすることがないようになっているのである。
【0038】
さらに、上記課題を解決するために、請求項8に係る発明の採った手段は、上記請求項6に記載の索条案内装置100について、
「伸縮体22の管材25は、少なくとも中央近傍が横断面矩形の角筒形状に形成されていると共に、その角筒の各面に前記案内部10の基部14が挿入される貫通孔28を備えたこと」
である。
【0039】
すなわち、図1〜図3に示すように、管材25の少なくとも中央近傍の横断面が矩形に形成され、さらにその角筒の各面に貫通孔28を有し、案内部10の基部14をその貫通孔28に挿入すれば、管材25を容易に回転させることができ、ひいては伸縮体22の伸縮を容易に行うことができのである。
【0040】
また、管材25は矩形で形成されているため、伸縮体22の回転45度毎に案内部10の基部14を貫通孔28に差し替えることができ、管体25の回転による当接体21の拡開幅の微調整、つまり当接体21の配管50の内壁51に対する圧接力を調整することができるのである。
【0041】
さらに、管材25は矩形で形成されているため、この矩形に勘合する回り止め27を設ければ、容易に伸縮体22の回転を防止することができ、前述した請求項7の構成を容易に達成することができるのである。
【0042】
以上の様に、この請求項8に係る索条案内装置100では、上記請求項6のそれと同様な機能を発揮する他、伸縮体22の伸縮が容易に行えるばかりか、その伸縮幅、つまり当接体21の圧接力をも容易に調整することでき、さらに回り止め27も容易に構成することができるため、作業性の優れた索条案内装置100とすることができるのである。
【発明の効果】
【0043】
以上、説明した通り、本発明においては、
「マンホール40に連なる配管50内に挿通した索条60を牽引する際に使用する索条案内装置100であって、索条60を案内する案内部10と、該案内部10を前記配管50の所定位置で支持する支持部20とを備えたこと」にその構成上の主たる特徴があり、これにより、配管が屈曲した箇所でも索条の牽引によってその内壁が傷つくことがなく、しかも効率よく配管内を清掃することができる索条案内装置を提供することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る索条案内装置の一実施態様を示す斜視図である。
【図2】図1に示した索条案内装置の回り止めを外した状態の斜視図である。
【図3】図1に示した索条案内装置の横拡大断面図である。
【図4】請求項3に係る索条案内装置の一実施態様を示す正面図である。
【図5】請求項3に係る索条案内装置の別の実施態様を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る索条案内装置を使用して、配管内を清掃する方法の準備段階を示す縦断面図である。
【図7】本発明に係る索条案内装置を使用して、配管内の清掃を行っている様子を示す縦断面図である。
【図8】図7における平面図である。
【図9】本発明に係る索条案内装置の別の使用形態を示す斜視図である。
【図10】従来の方法により、配管内の清掃を行っている様子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以上のように構成した各請求項に係る発明を、図面に示した実施形態である索条案内装置100の各実施例について説明するが、この実施例は、上記各請求項に係る発明のいずれかを含むものである。
【0046】
まず、図1〜図3には、本発明に係る索条案内装置100の一実施形態が示してあるが、この索条案内装置100は、図6〜図8に示した配管50の清掃方法、すなわちマンホール40に連なる配管50内を清掃器90を牽引して清掃する方法に適した装置であって、案内部10と支持部20とを備えたことを基本とするものである。
【0047】
案内部10は、清掃器90に連結した索条60を誘導して案内するものであって、索条60が挿通される一部に切り欠き12を有する環状体11であって、基部14に一体的固着されている。また、その基部14には複数のピン孔17が設けられ、このピン孔17の適宜箇所にピン15を差し替えることにより、案内部10の高さ、つまり環状体11の高さ、ひいては索条60の配管50における高さの位置決めを行うことができるようになっている。つまり、案内部10は支持部20において上下動自在に形成されており、これにより様々な管径の配管50であっても、最適な位置で索条60を案内することができるようになっているのである。
【0048】
なお、案内部10は、図4に示すように、回転体13である滑車であっても良く、または単なる回転可能な管状体から構成して、索条60を誘導して案内する機能をなすものであれば如何なる構成であってもよい。また、この実施形態における案内部10の上下動機構は、基部14の外周に雄ねじ14を切り、それに勘合するナット16による勘合手段により、支持部20に挟着するようになっている。この場合、案内部10の支持部20に対する固定がピン15で行うのに比較して強固となるため、図5又は図9に示すように、索条60の方向を90度などの急角度で変更するのに適している。
【0049】
次に、支持部20は、鉄材を折り曲げて一体的に形成した一対の当接体21と、これらの当接体21を拡開する伸縮体22を主要な構成要素としている。当接体21は配管50の対向する内壁51にそれぞれ当接し、これらの当接体21に固着された伸縮体22が伸びることにより、配管50の内壁51に圧接して、支持部20を配管50の所定位置に支持する作用をなしている。
【0050】
なお、配管50の内壁51を圧接する箇所であるが、図1〜図8に示した実施形態にあっては、マンホール40の底部に設けられる半割にした状態の配管50であるが、図9に示したように、マンホール40の側壁に設けられる配管50の場合には、配管50の最大径の位置の内壁51を圧接するように設置してもよい。
【0051】
次に、伸縮体22は、当接体21のそれぞれに固着された棒材23と、これら棒材23の外周に設けられた雄ねじ24に螺合する雌ねじ26を内壁に有する管材25とから構成されており、管材25を回転することにより、棒材23が互いに伸縮し、ひいては棒材23に固着された当接体21が拡開するようになっている。
【0052】
さらに、伸縮体22の管材25は、中央近傍が横断面矩形の角筒形状に形成されていると共に、その角筒の各面に案内部10の基部14が挿入される貫通孔28を備えいる。この管材25が角筒形状に形成されているのは、伸縮体22の回転を45度毎に微調整するのに適しているのは勿論のこと、以下の様な機能も有する。
【0053】
すなわち、図2に示すように、角筒形状に形成された管材25に対して、その上方から勘着可能な略コの字状の回り止め27を形成し、一方の脚を当接体21に設けた係止孔29に係合し、他方の脚を管材25を跨ぐように係合することにより、回り止め27が管材25の回転を規制するようになっているのである。
【0054】
さて、以上のように構成された索条案内装置100を使用して、マンホール40に連なる配管50内を清掃する清掃方法について説明する。図6〜図8に示す清掃方法は、この実施形態に係る索条案内装置100の他、配管50内を牽引される清掃器90を採用して配管50内の清掃を行う方法である。
【0055】
まず、図6に示すように、所定のマンホール40の地上にウインチなどの巻き取り機構70を設置しておき、当該巻き取り機構70から索条60を引き出しつつ配管50内を自走する自走式引出機構80により、マンホール40間の配管50内に索条60を這わせるのである。この際、最初のマンホール40の配管50に本発明に係る索条案内装置100を設置することにより、巻き取り機構70からの索条60の引き出しが円滑に行われるようになっている。
【0056】
自走式引出機構80が、図6中の仮想線にて示したように、目的のマンホール40に到着したならば、図7に示すように、当該自走式引出機構80を配管50内の清掃を直接行う清掃器90に交換するのである。ここで、清掃器90は、第1清掃器90aと、これに連結索条91により連結された第2清掃器90bとにより構成されている。
【0057】
第1清掃器90a及び第2清掃器90bは、これ自体をスポンジ等の軟質で変形可能なものによって形成したものであり、その前後両端面を配管50の直径より僅かに小さい直径の保護板によって挟み込んだものである。これらの保護板は、それぞれの清掃器90a、清掃器90b自体の大きな変形を防止するものであり、段差なのど僅かな凹凸に対応した変形は可能であるが、配管50の内壁51の清掃が行えなくなるほどの変形は防止できるものである。
【0058】
さて、清掃器90を索条60に連結したならば、続いて、本発明に係る索条案内装置100をマンホール40内の配管50の屈曲した箇所に設置する。この設置方法は、上述したように、支持部20の当接体21を配管50の内壁51に圧接させることにより案内部10を所定位置に支持すると共に、基部14の適正なピン孔17にピン15を差し込むことにより案内部10の配管50における高さ位置を設定するのである。
【0059】
索条案内装置100の設置が完了したならば、それぞれの案内部10に索条60を挿通する。この作業は、切り欠き12を通して環状体11に挿通すれば良く、極めて簡単に行うことができ、これによって清掃作業の準備が完了する。
【0060】
そして、巻き取り機構70を作動させて索条60で清掃器90を牽引することにより、清掃器90が配管50内を移動して、当該配管50内の清掃が行われることになるのである。この際、一つのマンホール40に到達するごとに索条案内装置100を外し、さらに次のマンホール40に向けて清掃器90の牽引を開始することの繰り返しにより、全ての配管50の清掃作業が完了するのである。
【0061】
なお、本実施形態においては、清掃器90を使用した清掃方法に従って説明したが、請求項1に係る発明にあっては、この清掃方法に限らず、単に配管50内を索条60を用いて牽引する作業に用いても良いことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0062】
100 索条案内装置
10 案内部
11 環状体
12 切り欠き
13 回転体
14 基部
15 ピン
16 ナット
17 ピン孔
20 支持部
21 当接体
22 伸縮体
23 棒材
24 雄ねじ
25 管材
26 雌ねじ
27 回り止め
28 貫通孔
29 係止孔
40 マンホール
50 配管
51 内壁
60 索条
70 巻き取り機構
80 自走式引出機構
90 清掃器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホールに連なる配管内に挿通した索条を牽引する際に使用する索条案内装置であって、
前記索条を案内する案内部と、該案内部を前記配管の所定位置で支持する支持部とを備えたことを特徴とする索条案内装置。
【請求項2】
前記案内部は、前記索条を挿通する環状体であると共にその一部に切り欠きを有することを特徴とする請求項1記載の索条案内装置。
【請求項3】
前記案内部は、前記索条を誘導する回転体であることを特徴とする請求項1記載の索条案内装置。
【請求項4】
前記案内部は、前記支持部において上下動自在に構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の索条案内装置。
【請求項5】
前記支持部は、前記配管の対向する内壁に当接する一対の当接体と、これらの当接体を拡開して前記内壁に前記当接体を圧接する伸縮体とを備えたことを特徴とする請求項1〜4に記載の索条案内装置。
【請求項6】
前記伸縮体は、前記当接体のぞれぞれに固着されると共にその外周に雄ねじを有する棒材と、これらの棒材に螺合する雌ねじを内壁に有する管材とにより構成されていることを特徴とする請求項5に記載の索条案内装置。
【請求項7】
前記伸縮体は、前記管材の回転を規制する回り止めを備えたことを特徴とする請求項6に記載の索条案内装置。
【請求項8】
前記伸縮体の管材は、少なくとも中央近傍が横断面矩形の角筒形状に形成されていると共に、その角筒の各面に前記案内部の基部が挿入される貫通孔を備えたことを特徴とする請求項6に記載の索条案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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