説明

紫外線保護組成物

本発明は、(a)熱可塑性樹脂基材とシロキサンベースのトップコートとの間の接着の促進剤として好適なプライマー組成物であって、(a1)バインダー材料、(a2)溶媒、および(a3)紫外線吸収剤を含有するプライマー組成物100000重量部;(b)溶媒0〜900000重量部;並びに(c)式(I)


(式中、X=OR、OCHCHOR、OCHCH(OH)CHORまたはOCH(R)COORであり、R=分枝もしくは非分枝C〜C13−アルキル、C〜C20−アルケニル、C〜C12−アリールまたは−CO−C〜C18−アルキル、R=Hまたは分枝もしくは非分枝C〜C−アルキル、かつ、R=C〜C12−アルキル、C〜C12−アルケニルまたはC〜C−シクロアルキルである。)
の化合物1〜3000重量部を含有する組成物であって、DIN EN ISO 2431に従って23℃において直径2mmのノズルを有するフローカップを用いて測定される粘度が40秒〜140秒である組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
(a)熱可塑性樹脂基材とシロキサンベースのトップコートとの間の接着の促進剤として好適なプライマー組成物であって、(a1)バインダー材料、(a2)溶媒、および(a3)紫外線吸収剤を含有するプライマー組成物、100000重量部;
(b)溶媒、0〜900000重量部;並びに
(c)式(I)
【化1】

(式中、X=OR、OCHCHOR、OCHCH(OH)CHORまたはOCH(R)COORであって、R=分枝もしくは非分枝C〜C13−アルキル、C〜C20−アルケニル、C〜C12−アリールまたは−CO−C〜C18−アルキル、R=Hまたは分枝もしくは非分枝C〜C−アルキル、かつ、R=C〜C12−アルキル、C〜C12−アルケニルまたはC〜C−シクロアルキルである。)
の化合物、1〜3000重量部
を含有する組成物であって、DIN EN ISO 2431に従って23℃において2mmカップを用いて測定される粘度が40秒〜140秒である組成物に関する。
【0002】
本発明は、更に、厚塗り(high−build)プライマー(これは通常有機バインダー材料ベースの接着促進コーティング材料(プライマーとして知られている。)であって、このコーティング材料の硬化後に測定される層厚が1μm以上のコーティング材料である。)の加工特性強化方法であって、紫外線保護効果および基材とトップコートとの間の接着の促進に関して厚塗りプライマーの機能特性の減損がない加工特性強化方法にも関する。本発明は、更に、コーティング配合物であって、厚塗りプライマープライマー組成物に加えて特別な紫外線吸収剤および好適な溶媒の形態の特別な固体および液体添加剤からなるコーティング配合物にも関し、かつ、更に、このコーティング配合物を使用して製造される多層製品にも関する。これらの多層製品は、プラスチック基材で構成される第1層、本発明の方法によって製造される本発明のコーティング配合物ベースの硬化プライマー層で構成される第2層、および硬化トップコートで構成される第3層を有する。
【背景技術】
【0003】
ポリカーボネート面およびシロキサンベースのトップコートの両方に良好な接着性を有する有機バインダー材料は、例えば、US 5,041,313および更にUS 5,391,795およびそこに列挙されている特許に開示されており、それらは接着促進剤としてポリカーボネートのコーティングに使用される。接着の促進と同時に、これらのプライマーコーティング材料は、更に、US 5,041,313およびUS 5,391,795において言及されているように、紫外線吸収剤も含有し、従って、被覆コンポネントの耐候安定度への貢献もする。
【0004】
耐引掻き性コーティングを有するポリカーボネート基材への紫外線保護機能の一体化の概要は、US 4,410,594に開示されており、その望ましい形態−ポリカーボネート部品を紫外線吸収剤で含浸させ、次にそれを最初に接着プライマーで被覆し、次にトップコートで被覆する−には2つの重大な欠点がある。第1に、含浸は追加の処理工程であり、これは既に多段階製造操作であり、従って、経済的に非効率的である。第2に、この方法には、PCに有害な紫外線がPC表面に到達する前にプライマーおよび/またはトップコートによって除去されず、代わりにPC表面に到達し、そこではじめて吸収され、更に、同様に吸収するPCとのの競争のために、内部に拡散される紫外線吸収剤によって部分的にしか吸収されない、という欠点がある。従って、この形態では、紫外線保護効果は、プライマーおよび/またはトップコートにおける紫外線吸収剤の使用と比較して低い。トップコートのみにおける紫外線吸収剤の使用の場合、US 4,410,594に開示されているように、有機紫外線吸収剤のシロキサンベースのトップコートへの限られた相溶性のために、保護効果が低い。従って、プライマー中の紫外線吸収剤の追加の使用による追加の紫外線保護効果またはプライマー中の紫外線吸収剤の単独使用による紫外線保護効果が理に適っている。US 6350521は、非シリル化ジベンゾイルレソルシノール誘導体およびシリル化ジベンゾイルレソルシノール誘導体の両方を含有するプライマーを記述している。
【0005】
紫外線吸収剤をプライマー中で使用すると、高い層厚にわたって高い紫外線吸収性および従って良好な紫外線保護機能が達成される。厚塗りプライマーと呼ばれるこの高い層厚が達成され、次に、コーティング材料の高い固形分によって、このことは、コーティング材料をコンポネントに塗布すると、硬化されるかまたは乾燥される多量のコーティング材料が蒸発の後に残ることが確実である。この高い固形分は、次に、高い粘度と関連し、従って、加工の難しさに関連する。
【0006】
この加工の難しさを以下に示す。
【0007】
(a)高い粘度は、コンポネントのフローコーティングまたはディッピング中にフローコーティングまたはディッピングの方向に沿う層厚の大きな差をもたらす。これを層厚ウェッジという。これは、複雑な形状の大きな3次元部品の場合に特定の度合いで起こる。コーティングの特性のレベルは比較的狭い層厚ウィンドウ(window)内でのみほぼ同じであるので、これらの層厚大きな違いは、コンポネントの特性の減損、例えば耐候安定度の低下または厚塗りプライマー上に塗布されるトップコートのクラックの受けやすさの増加、をもたらす。
【0008】
(b)更に、コンポネントのコーティング中のドレイニングエッジ(draining edge)におけるコーティング材料の流動特性は、高い粘度の結果として、比較的低い粘度の場合よりも、極めて望ましくなく、このことは、コンポネントの下部エッジであるドレイニングエッジに小塊(tears)または更に脈理の形成をもたらしうる。
【0009】
(c)曲率の大きな3次元コンポネントは、高粘度の厚塗りプライマーで全く被覆できない。ここで、通常、コンポネントをとにかく良好な光学品質で被覆できるようにプライマーの粘度を低減させることが必要である。このことは、コーティング溶液の固形分を低減させることによってなされ、このことは乾燥フィルム厚の低減をもたらす。紫外線吸収および従って紫外線保護機能がフィルム厚に依存するので、低いフィルム厚での紫外線保護は不十分であり、特性が減損する。
【0010】
ポリカーボネート、プライマー、およびトップコート層を備える層構造物であって、 プライマー層がレソルシノール誘導体ベースの紫外線安定剤を含有する層構造物がEP−A 672732に開示されている。しかしながら、これらの誘導体は、溶解性が非常に限られており、このことは、紫外線領域の吸光度の十分な増加を達成するためにこれらの紫外線吸収剤の濃度を更に上昇させる試みを行うとプライマー層が曇ることを意味する。従って、透明基材の紫外線安定化は十分に可能ではない。多量のレソルシノール誘導体ベースの紫外線安定剤の添加は、更に、プライマー組成物の粘度の増加ももたらし、このことは加工をより困難にする。更に、他の紫外線安定剤、例えばトリアジンベースの安定剤、も同様に溶解性が低く、このことは紫外線領域の吸光度を増加させる目的での濃度の上昇を妨害する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
先行技術から出発して、本発明の目的は、良好な−すなわち、同じかまたは更に良好な−加工特性と併せて紫外線保護効果が良好な紫外線保護プライマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、
(a)熱可塑性樹脂基材とシロキサンベースのトップコートとの間の接着の促進剤として好適なプライマー組成物であって、(a1)バインダー材料、(a2)溶媒、および(a3)紫外線吸収剤を含有するプライマー組成物、100000重量部;
(b)溶媒、0〜900000重量部;並びに
(c)式(I)
【化2】

(式中、
X=OR、OCHCHOR、OCHCH(OH)CHORまたはOCH(R)COORであって、
=分枝もしくは非分枝C〜C13−アルキル、C〜C20−アルケニル、C〜C12−アリールまたは−CO−C〜C18−アルキル、
=Hまたは分枝もしくは非分枝C〜C18−アルキル、かつ、
=C〜C12−アルキル;C〜C12−アルケニルまたはC〜C−シクロアルキルである。)
の化合物、1〜3000重量部
を含有する組成物であって、DIN EN ISO 2431に従って23℃において2mmカップを用いて測定される粘度が40秒〜140秒である組成物によって達成される。
【0013】
意外なことに、本発明の組成物を用いて、(a)コンポネント上の狭い層厚分布、(b)コンポネントのドレイニングエッジにおけるコーティング材料の滑らかな流動、(c)コンポネント上のコーティング材料のより均質な分布という意味で良好な、比較的複雑であってもよい3次元コンポネントの被覆性、で表される改良された方法で、かつ、紫外線保護に関して減損なく、すなわち、層厚が低くても340nmにおける同程度の吸光度を有してプラスチック部品を被覆しうることがわかった。
【0014】
従って、本発明は、更に、本発明の上記組成物を硬化することによって得られる多層製品も提供する。この層構造体は、以下のもの:
(i)熱可塑性樹脂基材、および
(ii)(i)上のプライマー層
を備え、プライマー層が請求項1に記載の組成物を硬化することによって得られることを特徴とする。
【0015】
別の層として、トップコート層が存在しうる。
【0016】
更に、意外なことに、ヒドロキシベンゾフェノンクラスの紫外線吸収剤、特に一般式(II)のレソルシノールベースの紫外線安定剤、と、式(I)のトリアジンベースの紫外線安定剤と、の組み合わせの、特に透明熱可塑性樹脂基材、例えば特にポリカーボネート基材、用プライマー組成物における、使用が、プライマー層を曇らせずに透明熱可塑性樹脂層構造体に十分な紫外線保護を達し、従って、透明層構造体全体の十分な紫外線保護を達成することを意味することがわかった。
【0017】
発明の詳細な説明
【0018】
本発明との関連で用語「組成物」は、個々の成分の混合物を意味する。これらは混合中または混合後に互いに反応しても反応しなくてもよい。顕微鏡的に、組成物は実質的に均質である。
【0019】
本発明との関連で、用語「プライマー組成物」(成分(a))は、典型的であり、ここで好適な厚塗りプライマー配合物であって、(a1)(a2)中のバインダー材料、(a2)溶媒、および(a3)紫外線吸収剤、および場合によっては(a4)別の添加剤または安定剤、例えば酸化アンチモン、ヒンダードアミンもしくは染料もしくは無機充填剤、で構成される厚塗りプライマー配合物を意味する。
【0020】
ポリアクリレートがバインダー材料として特に好適であり、従って好ましく、コーティング配合物(a)を硬化する時に化学反応に加わらず乾燥するだけであるポリアクリレート種と、硬化時に化学反応によって架橋するポリアクリレート種の両方が適している。好適な溶媒(a2)は、有機溶媒、例えばアルカン、アルコール、エーテル、エステルまたはケトンであり、水または水ベースの溶媒混合物中のポリアクリレートのエマルジョンもまた原則的に好適である。好適な紫外線吸収剤(a3)は、下記一般群:2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、オキサルアニリド(oxalanilides)、2−シアノアクリレート、ベンジリデンマロネート、およびホルムアミジン、の誘導体である。これらのプライマー配合物は、原則的に既知であり、例えば、US 5391795、US 5041313およびUS 4410594に詳細に開示されている。例えば、Momentive Performance Materials Inc.製のSHP470は、特に溶媒としての1−メトキシ−2−プロパノールおよびジアセトンアルコール並びに紫外線吸収剤としてのジベンゾイルレソルシノールを有する、ポリメチルメタクリレートベースの接着促進剤である。塗布可能であるように希釈形態のSHP 470(固形分約6重量%)は、DIN EN ISO 2431に従って23℃において2mmカップを用いて測定される粘度が90秒以上である。このプライマーは、ポリカーボネート基材とポリシロキサントップコートとの間の接着を促進するために使用され、この場合、好ましくはMomentive Performance Materials Inc.製のAS4700である。US 6350521は、非シリル化ジベンゾイルレソルシノール誘導体だけではなくシリル化ジベンゾイルレソルシノール誘導体も含有するプライマーを開示している。
【0021】
本発明との関連で、用語「熱可塑性樹脂基材とシロキサンベースのトップコートとの間の接着の促進剤として好適」は、シロキサンベースのトップコートの熱可塑性樹脂基材への接着をプライマーが強化することを意味する。
【0022】
成分(b)は溶媒であって、第1層であるプラスチック基材との相溶性、並びに組成物の分散、塗布および蒸発を可能にする能力が、組成物を硬化して第2層を形成した後にその生成物が透明度が高くかつ曇りが少ない多層製品になるような溶媒である。そのような溶媒は、例えば、好ましくは、アルカン、アルコール、エーテル、エステルまたはケトンである。ここで溶媒は、更に、溶媒混合物も含むと理解される。アルコール(メタノール以外)、酢酸エチル、およびブタノンを使用することが特に好ましい。ジアセトンアルコール(CHC(OH)CHC(=O)CH、酢酸エチル、メトキシプロパノール、およびブタノンからなる群の少なくとも1つから選択される溶媒または溶媒混合物がより特に好ましい。
【0023】
成分(c)は、次式(I)
【化3】

(式中、
X=OR、OCHCHOR、OCHCH(OH)CHORまたはOCH(R)COOR、好ましくはOCH(R)COOR
=分枝もしくは非分枝C〜C13−アルキル、C〜C20−アルケニル、C〜C12−アリールまたは−CO−C〜C18−アルキル、
=Hまたは分枝もしくは非分枝C〜C−アルキル、好ましくはCH、かつ
=C〜C12−アルキル;C〜C12−アルケニルまたはC〜C−シクロアルキル、好ましくはC17
である。)
のビフェニルトリアジンの誘導体である。
【0024】
成分(c)として式(I)紫外線吸収剤であって、X=OCH(R)COOR、R=CH、かつR=C17であり、Rがより特にイソオクチルである紫外線吸収剤、すなわち、2−[2−ヒドロキシ−4−[(オクチルオキシカルボニル)エチリデンオキシ]フェニル−4,6−ジ(4−フェニル)フェニル−1,3,5−トリアジンを使用することが特に好ましい。この化合物のCAS番号は204848−45−3であり、Ciba Speciality Chemicalsから商品名Tinuvin 479(更に以降CGL 479ともいう。)のもとで入手可能である。
【0025】
一般式(I)のビフェニル置換トリアジンおよびその製造は、WO−A 96/28431;DE−A 197 39 797;WO−A 00/66675;US 6,225,384、US 6,255,483;EP−A 1 308 084;およびDE−A 101 35 795に開示されている。
【0026】
好ましい一態様で、紫外線吸収剤は、第1層の感度が高い領域の紫外線吸収度が高く、特に好ましい紫外線吸収剤の紫外線吸収極大は300〜340nmである。
【0027】
別の好ましい態様において、式(I)の紫外線吸収剤は、好ましくは、好ましい紫外線吸収剤(a3)としての2−ヒドロキシベンゾフェノンと共に使用される。
【0028】
好ましい2−ヒドロキシベンゾフェノンは、ジベンゾイルレソルシノールである。好ましいジベンゾイルレソルシノールは、式(IIa)および/または(IIb)
【化4】

(式中、それぞれのAは、独立して、置換もしくは非置換単環または多環芳香族基であり、置換単環または多環芳香族基は、水素、ハロゲン、アルコキシ基、C1〜8アルキル基、およびヒドロキシル基からなる群から選択される置換基を有し、かつ、Rは、水素または炭素原子が10個未満の直鎖もしくは分枝脂肪鎖である。)
の化合物である。
【0029】
Aは、それぞれ独立して、好ましくはフェニルまたは4−tert−ブチルフェニルである。
【0030】
Rは、好ましくはH、プロピルまたは3−トリエトキシシリルプロピルである。
【0031】
従って、式(IIaおよびIIb)の好ましい紫外線吸収剤は、4,6−ジベンゾイルレソルシノール、4,6−ジ(4−tert−ブチルベンゾイル)レソルシノール、4,6−ジベンゾイル−2−プロピルレソルシノール、2,4,6−トリベンゾイルレソルシノール、および4,6−ジベンゾイル−2−(3−トリエトキシシリルプロピル)レソルシノールであるということになる。
【0032】
式(I)の紫外線吸収剤および紫外線吸収剤a3は、好ましくは、紫外線吸収剤の総量ベースで1:0.01〜100、好ましくは1:0.05〜20、より好ましくは1:0.1〜20の重量比で使用される。
【0033】
この発明との関連で多層製品の第1層に好適なプラスチック基材は、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリアルキレンテレフタレート)、ポリフェニレンエーテル、グラフトコポリマー(例えばABS)およびそれらの混合物である。
【0034】
第1層は、好ましくはポリカーボネート、より詳細にはホモポリカーボネート、コポリカーボネートおよび/または熱可塑性ポリエステルカーボネートである。
【0035】
本発明との関連で多層製品の第2層に好適なプライマー層は、本発明のコーティング配合物から硬化によって生成される層である。ここで、用語「硬化」は、使用されるプラマーのタイプに依存して、化学架橋と反応なしの乾燥との両方を包含する。
【0036】
本発明のコーティング配合物の特定の製造方法は、もちろん、正確な固形分および紫外線吸収剤含量、および使用される市販の厚塗りプライマーの所定のフィルム厚における吸光度に依存する。しかしながら、一般的に、以下の境界内で本明細書に記載の発明を用いることが可能である。成分(a)の成分(b)を用いる10%〜100%への希釈が好ましい。すなわち、初期配合物(成分(a))の重量は、希釈後の配合物(成分(a)+成分(b))の重量に対して10%〜100%である。20%〜90%への希釈が特に好ましい。配合物の固形分に対して0.01重量%〜30重量%、より好ましくは0.1重量%〜15重量%の紫外線吸収剤(成分(c))の添加が好ましい。この関連で、希釈が更に大きい場合、高レベルの紫外線吸収剤の添加が好ましい。個々の成分を連続して添加しても同時に添加してもよいが、成分(b)の少なくとも一部に溶解された成分(c)を、成分(a)および、適切であれば、残りの成分(b)に添加することが好ましい。
【0037】
限定するわけではないが、一例として、一般的な製造方法を、本明細書中、米国コネチカット州ウィルトンのMomentive Performance Materials Inc.製の、固形分約10%かつ340nmにおける吸光度約1.2、かつ層厚2μmの市販のSHP 470ベースで記述する。SHP470は、特にポリメチルメタクリレートベースであり溶媒としての1−メトキシ−2−プロパノールおよびジアセトンアルコール並びに紫外線吸収剤としてのジベンゾイルレソルシノールを有する接着促進剤である。塗布可能であるように希釈形態のSHP 470(固形分約6重量%)は、DIN EN ISO 2431に従って23℃において2mmカップを用いて測定される粘度が90秒以上である。このプライマーを使用してポリカーボネート基材とポリシロキサントップコート(この場合、好ましくはMomentive Performance Materials Inc.製のAS4700)との間の接着を促進する。SHP470(成分(a))を、20%〜95%に、より好ましくは25%〜90%に、好ましくはアルコール(成分(b))で、より好ましくはジアセトンアルコール、メトキシプロパノールまたはそれらの混合物で、希釈して固形分を約2重量%〜9.5重量%、好ましくは2.5重量%〜9重量%にし、かつ、0.01重量%〜15重量%、好ましくは0.1重量%〜10重量%、より好ましくは1重量%〜7重量%(成分(a)の固形分ベース)のトリアジン紫外線吸収剤(成分(c))、好ましくは一般式(I)のビフェニルトリアジン紫外線吸収剤、より好ましくは紫外線吸収剤CGL479と混合し、この混合中および/または次に、適切にホモジナイズする。ここで、更に、成分(c)を、ジアセトンアルコール、メトキシプロパノールまたはそれらの混合物中に溶解し、その形態でSHP470に添加することが有利である。理想的な希釈比は、コンポネントの寸法およびジオメトリ並びにコーティング材料の塗布形態に依存し、それぞれ個々の場合に適合されるべきである。好ましくは、この比は、SHP470の固形分約6重量%に対してCGL 479 5重量%であり、この場合、フィルム厚1μmで吸光度約1.2が達成される。別の紫外線吸収剤なしのSHP470の場合、2μmではじめて達成される。
【0038】
本発明との関連で多層製品の第3層に好適なトップコート層は、好適なトップコート材料から硬化によって生成される層である。
【0039】
好適なトップコート材料は、例えば、耐引掻き性かつ/または耐摩耗性のコーティング材料の配合物である−例えば、これらに限定されるわけではないが、例えばUS 4,373,061、US 4,410,594、US 5,041,313またはUS 5,391,795に開示されている種類のポリシロキサンコーティング材料である。更に、シリケートコーティング(水ガラス)、およびナノ粒子含有配合物であって、第2層であるプライマーに適用され、次に硬化されてよく接着する多層製品を生じるもの、も挙げられる−。
【0040】
本発明は、更に、多層製品の製造方法であって、
(i)第1工程において、第2層を本発明のコーティング配合物の形態で第1層に塗布し、第1層は、好ましくは熱可塑性ポリマー、より好ましくはポリカーボネート、から射出成形または押出によって製造される任意の所望の形態のプラスチック成形品であり、かつ、
(ii)第2工程において、第2層のプライマーコーティング配合物を硬化し、用語「硬化」は、本明細書中、使用されるプライマーのタイプに依存して、化学的架橋だけでなく反応なしの乾燥も包含し、かつ、
(iii)第3工程において、第3層をトップコート配合物の形態で第2層の表面に塗布し、かつ、
(iv)第4工程において、第3層のトップコート配合物を硬化する、
多層製品の製造方法も提供する。
【0041】
好ましくは、第1工程(i)において、コーティング配合物をフローコーティング(flowcoating)、ディッピング(dipping)、スプレー、ロール塗(rolling)、スピンコーティングまたは別の好適な技術によって第1層の表面に塗布し、かつ次に第2工程において、硬化を室温および/または高温(好ましくは20〜200℃、より好ましくは40〜130℃)において行う。第1層の表面は、クリーニングまたは活性化によって前処理していてもよい。塗布および硬化(工程(iii)および(iv))は、使用されるトップコートのタイプに依存する。
【0042】
更に、多層製品の製造および多層製品で構成される製品も本発明によって提供される。前記多層製品の使用、特に、外観に関する高い要求を有する耐久性のある外部適用用の多層製品、例えばグレージング、もまた本発明によって同様に提供される。前記多層製品は、例えば、グレージングの形態、例えば、建築グレージング、自動車グレージング、ヘッドライトカバー、眼鏡のレンズ、またはヘルメットバイザーである。
【実施例】
【0043】
一般
以下、特に明記しない限り、量は、重量%をいう。
全ての溶媒は、工業製品として入手し、乾燥せずに使用した。
【0044】
固形分測定(方法A):
コーティング材料の固形分を、Sartorius MA40ソリッド・テスターを使用して測定し、そこでコーティング材料の秤量サンプルを一定質量に到達するまで140℃において蒸発させた。次に、蒸発後の質量 対 蒸発前の質量の比から固形分を百分率で得る。ここで、コーティングが硬化された後のコーティング材料の固形分は、最も単純には、コーティング重量マイナス溶媒重量に達する。
【0045】
粘度測定(方法B):
コーティング溶液の粘度を、DIN EN ISO 2431ベースの方法でErchsen製のフローカップ(このフローカップのノズルはφ4mmまたはφ2mmである。)を使用して、23℃において数秒で決定した。
【0046】
フィルム厚測定(方法C):
硬化コーティングのフィルム厚は、ドイツのEta Optik GmbH製のEta SD30装置を使用する白色光干渉によって決定する。
【0047】
吸光度測定(方法D):
ポリカーボネート基材への塗布および次の硬化に続いてプライマーの吸光度を、米国のVarian Inc.製のCary 50紫外−可視分光光度計を使用し、非被覆であるが他は同一のポリカーボネート基材をバックグラウンドスペクトルとして使用して測定した。
【0048】
比較例1
市販の厚塗りプライマーSHP 470(米国コネチカット州ウィルトンのMomentive Performance Materials Inc.)は、方法Aによって固形分9.96%であることがわかった。
【0049】
このコーティング溶液の粘度を、方法Bによって、ノズルφ4mmのフローカップを使用して測定し、53.41秒であることがわかった。直径2mmのノズルを用いる測定は不可能であった。というのも、コーティング溶液が粘稠すぎたからである。
【0050】
このコーティング材料を、フローコーティング技術によってポリカーボネートシート(Makrolon(登録商標)2808(Bayer MaterialScience AG;中粘度ビスフェノールAポリカーボネート、ISO 1133による300℃かつ1.2kgにおけるMFR 10g/10分、紫外線安定化なし)製の光学グレードの寸法10.5×15×0.32cmの射出成形ポリカーボネート(PC)シート)に塗布し、30分間フラッシュし、125℃において15分間硬化した。
【0051】
フローアタックエッジ(flow attack edge)からドレイニングエッジまでフローコーティング方向において、方法Cによって4.4μmのフィルム厚がシート上のちょうど3cm後ろで(すなわち、いまだフローアタック領域内で)見出され、これはドレイニングエッジの3cm手前まで(すなわち、12cmにおいて)8.8μmに上昇する。
【0052】
コーティング材料は、製造業者の仕様書によると、2〜4μmのフィルム厚ウィンドウ範囲内で特性の理想的なプロファイルを有するので、この場合、−使用されるコーティング技術および被覆されるコンポネントを用いて−仕様書の範囲内の低いフィルム厚をコンポネント上に得るために希釈しなければならない。仕様書の範囲外のフィルム厚、すなわち、2μm未満または4μm超、では、不十分な耐候性が観測される。この不十分な耐候安定度は、フィルム厚が2〜4μmの範囲内のサンプルと比較してこれらのサンプルが屋外暴露すると離層および/または割れの結果として著しく早く破壊することによって明らかである。
【0053】
実施例2
市販の厚塗りプライマーSHP 470(固形分9.90%かつ4mmカップにおける粘度46.25秒(測定に関しては方法AおよびBを参照。))およびジアセトンアルコールと1−メトキシ−2−プロパノールとの1:1溶媒混合物からストックコーティング溶液を、SHP 470(9.9重量%形態)300.0gを導入し、ジアセトンアルコールと1−メトキシ−2−プロパノールとをそれぞれ97.5g撹拌しながら添加することによって製造した。得られる溶液をストック・ソリューション2Aという。
【0054】
このストック・ソリューション2A 100gを撹拌しながらCGL 479 0.12gと混合してCGL 479 2重量%(実験的に測定される2Aの固形分5.95%(測定に関しては方法Aを参照。)に対する。)のコーティング溶液2Bを得た。
【0055】
別のストック・ソリューション2A 100gを撹拌しながらCGL 479 0.30gと混合してビフェニルトリアジンクラスからの紫外線吸収剤5重量%(実験的に測定されるA2の固形分に対する。)を有するコーティング溶液2Cを製造した。
【0056】
これらの3種類のコーティング溶液に関して下記の特徴的値が得られた。
【0057】
【表1】

【0058】
これは、方法Bによって測定して、紫外線吸収剤の添加が粘度のわずかな増加しかもたらさず、これらの変性コーティング溶液がもとのコーティング材料(46.25秒)と比較してわずか1/3の粘度しか有さないことを示す。
【0059】
次に、これらの3種類のコーティング溶液をそれぞれフローコーティング技術によってポリカーボネートシート(Makrolon(登録商標)2808(Bayer MaterialScience AG;中粘度ビスフェノールAポリカーボネート、ISO 1133による300℃かつ1.2kgにおけるMFR10g/10分、紫外線安定化なし)製の光学グレードの寸法10.5×15×0.32cmの射出成形ポリカーボネートシート)に塗布し、室温において30分間フラッシュし、115℃において15分間硬化した。
【0060】
そのようにして得られる用意されたシートに、方法Dによって プライマーのみの吸光度の測定(バックグラウンドスペクトルとして非被覆Makrolon(登録商標)2808)を、それぞれの測定ポイントにおいて340nmにおいて実験的に測定されるコーティングフィルム厚(方法Cによる測定)に応じて行った。
【0061】
【表2】

【0062】
表2は、別の紫外線吸収添加なしのSHP 470(ストック・ソリューションA)が、製造業者の仕様書による最小フィルム厚2μmにおいて、340nmにおける吸光度貢献が1.2であることを示している。
【0063】
ここで、そのようなプライマーシステムの接着促進効果は、−製造業者の仕様書によるフィルム厚ウィンドウ0.5〜1.0μmのMomentive Performance Materials Inc.製のSHP 401(ほとんど紫外線保護貢献がない純粋な接着プライマー)の例が示すように−著しく低いフィルム厚において同程度に得られるので、最小フィルム厚は、主に、コーティング材料の特性のプロファイル全体に必要であるプライマーの吸光貢献であって、ランベルト−ベールの法則
E=logI/I=εcd
(式中、
Eは、吸光度であり、
、Iは、それぞれ照射光および透過光の強度であり、
εは、モル吸光係数(lmol−1cm−1)であり、
cは、濃度(mol l−1)であり、
dは、フィルム厚(cm)である。)
に従うプライマーの吸光貢献によって支配される(所定の濃度の既定の吸光係数を有する紫外線吸収剤に関して、吸光度はフィルム厚によってのみ変えられる。)。
【0064】
更に、このリストは、コーティング材料の全体特性に関する純粋なSHP 470(実施例2A)の340nmにおける最小吸光度貢献1.2(すなわち、2μmの最小フィルム厚(製造業者の仕様書による。)の場合の値が、CGL 479と混合される場合、すなわち、実施例2B(CGL 479 2重量%)および2C(CGL 479 5重量%)の場合、希釈コーティング材料の加工特性、例えば固形分および粘度、への悪影響なしに、それぞれ、わずか1.5μmおよび1μmで達成されることを示している。
【0065】
コーティング材料の特性のプロファイルに要求される最小フィルム厚を薄くすることによって、2倍のシート上のフローコーティング方向に沿うフィルム厚(いわゆるフィルム厚ウェッジ)(仕様書の範囲内に保持するために、フローアタック領域2μm以上;ドレイニング領域4μm以下)から、実施例2Cの場合、4倍のフィルム厚(フローアタック領域1μm以上;ドレイニング領域4μm以下)まで、フィルム厚に関するSHP 470の加工ウィンドウのサイズが増加する。
【0066】
比較的大きなコンポネントのコーティングとの関連でこの重要性を、長さ40cmの押出PCシート(Makrolon(登録商標)3103(Bayer MaterialScience AG;高粘度ビスフェノールAポリカーボネート、ISO 1133による300℃かつ1.2kgにおけるMFR 6.5g/10分、紫外線安定化有り。)の寸法10×40×0.4cmの押出ポリカーボネート(PC)シート)のコーティングによって示す。
【0067】
【表3】

【0068】
ここで選択した固形分約6%への本発明の希釈で、フローアタック領域において約1.3μmかつドレイニング領域において約3.5μmのフィルム厚を達成した。しかしながら、実施例2Aにおいて、すなわち、追加の紫外線吸収剤がないと、プライマーの最小紫外線保護機能を保証するフィルム厚は、シート上のフローコーティング方向において10cm後にはじめて達成される。本発明の紫外線吸収剤としてのビフェニルトリアジン誘導体の追加使用の場合、最小紫外線保護機能はフローアタック領域で既に達成され、従って、もとのSHP 470に関する仕様書の通りの最小厚が達成されなくてもフローアタック領域におけるコーティングの早期紫外線関連破損がない。
【0069】
実施例3
市販の厚塗りプライマーSHP 470(固形分9.90%かつ4mmカップにおける粘度46.25秒(測定に関しては方法AおよびBを参照。))を使用した。この溶液100gをジアセトンアルコールと1−メトキシ−2−プロパノールとの1対1(重量ベース)溶媒混合物65gおよびCGL 479 0.49gと混合した。このことは、実験的に測定される固形分(測定に関しては方法Aを参照。)5.95%に対してCGL 479 5重量%を有するコーティング溶液例3Aを生じた。
【0070】
次に、同様に、別の希釈例3B〜3Dを製造する。初期質量を下記表4に提示する。
【0071】
【表4】

【0072】
下記の特徴的値がこれら4種類のコーティング溶液に関して得られた。
【0073】
【表5】

【0074】
「nd」は「非測定」を意味する。
【0075】
これは、希釈によって粘度の著しい低下を達成することが可能であることを示す。このようにして粘度を半分に低下させることが可能であった。
【0076】
次に、これら4種類のコーティング溶液をそれぞれフローコーティング法によってポリカーボネートシート(Makrolon(登録商標)3103(Bayer MaterialScience AG;高粘度ビスフェノールAポリカーボネート、ISO 1133による300℃かつ1.2kgにおけるMFR 6.5g/10分、紫外線安定化)の寸法10×40×0.4cmの押出ポリカーボネート(PC)シート)に塗布し、室温において30分間フラッシュし、115℃において15分間硬化した。
【0077】
希釈度を高めると、フローおよび加工挙動が改良した。同時に、ドレイニングストリングの形成が減少した。
【0078】
【表6】

【0079】
方法Cによってフィルム厚を被覆試験片シート上で測定した。
【0080】
【表7】

【0081】
実施例4
市販の厚塗りプライマーSHP 470(実験的に測定される固形分8.69%(測定に関しては方法Aを参照。))50gポーションを、撹拌しながら、それぞれCGL 479 86.9mg(4A、2重量%のCGL 479を有する。)、CGL 479 217.3mg(4B、5重量%のCGL 479を有する。)、およびCGL 479 0mg(4C)と混合し、かつ、それぞれ更にジアセトンアルコール(DAA)5gと混合した。
【0082】
次に、これら3種類のコーティング溶液をそれぞれフローコーティング法によってポリカーボネートシート(Makrolon(登録商標) AL2647(Bayer MaterialScience AG;紫外線安定剤および離型剤を有する中粘度ビスフェノールAポリカーボネート;ISO1133による300℃かつ1.2kgにおけるMFR 13g/10分)製の寸法10.5×15×0.32cmの光学グレードの射出成形PCシート)に塗布し、室温において30分間フラッシュし、125℃において30分間硬化した。これらの準備したシートをフローコーティング法によってAS4700(Momentive Performance Materials製の紫外線吸収剤含有ポリシロキサンベースのトップコート)で再被覆し、室温において30分間フラッシュし、130℃において60分間硬化した。
【0083】
生じる透明2層コーティングの厚さ(プライマー4A、4Bおよび4C/トップコートAS4700)を方法Cによって測定した。このコーティングの接着力を下記試験:(a)クロスカット(cross−cutting)ありおよびなしの接着テープ除去(使用した接着テープ:3M(登録商標)610)(ISO 2409またはASTM D 3359に類似。);(b)沸騰水中に4時間の貯蔵後の接着テープ除去、によって測定した。試験(a)と(b)とに合格した。すなわち、コーティングの除去がなかった(ISO 2409による評価0またはASTM D 3359による評価5B)。更に、これらのシートにAtlas Ci 5000ウェザロメーター中で340nmにおいて0.75W/m/nmの照射強度を用い、かつ、102:18分のドライ/照射サイクルで促進暴露試験を行い(以下、Xenon WOM 0.75という。)、かつ、様々な暴露時間の後、下記黄色度(Hunter製のUltrascan XE(登録商標)を使用するASTM E 313による黄色度指数の測定)および曇り度(Byk Gardner製のHazegard(登録商標)を使用するASTM D 1003による曇り度の測定)を確かめた。
【0084】
様々なXenon WOM 0.75暴露時間(時間(表8中の第1列))後の黄色度指数(表8中の第2、3および4列)を下記表8に列挙する。
【0085】
【表8】

【0086】
表8および表9中、上付きのアステリスク()は、初期暴露誘発欠陥、例えば初期離層または割れを示す。
【0087】
様々なXenon WOM 0.75暴露時間(時間(表9中の第1列))後の曇り度の百分率(表9中の第2、3、および4列)を下記表9に列挙する。
【0088】
【表9】

【0089】
この屋外暴露の比較は、本発明のコーティングプライマー配合物(4Aおよび4B)が低いフィルム厚に関して高い吸光度および従ってもたらすことが困難な高いフィルム厚を有するもとのプライマーと同じ紫外線保護機能を有する(か、または、逆に、同じフィルム厚に対して高い紫外線保護を提供する(屋外暴露時間で4Cと比較して4Aおよび4Bに関するYIの低い増加から明らかである。))だけでなく、被覆PC部品の屋外暴露における別の典型的な破壊基準、例えば曇り、離層および割れ、が(同一フィルム厚に関して)著しく遅い時点で起こることも示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)熱可塑性樹脂基材とシロキサンベースのトップコートとの間の接着の促進剤として好適であり、(a1)バインダー材料、(a2)溶媒、および(a3)紫外線吸収剤を含有するプライマー組成物、100000重量部;
(b)溶媒0〜900000重量部;並びに
(c)式(I)
【化1】

(式中、
X=OR、OCHCHOR、OCHCH(OH)CHORまたはOCH(R)COORであり、
=分枝もしくは非分枝C〜C13−アルキル、C〜C20−アルケニル、C〜C12−アリールまたは−CO−C〜C18−アルキル、
=Hまたは分枝もしくは非分枝C〜C−アルキル、かつ
=C〜C12−アルキル;C〜C12−アルケニルまたはC〜C−シクロアルキル
である。)
の化合物、1〜3000重量部
を含有し、DIN EN ISO 2431に従って23℃において直径2mmのノズルを有するフローカップを用いて測定される粘度が40秒〜140秒である組成物。
【請求項2】
該組成物のDIN EN ISO 2431に従って23℃において2mmカップを用いて測定される粘度が50秒〜110秒である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該組成物の粘度が75秒〜100秒である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
(a)プライマー組成物、100000重量部、
(b)溶媒11111〜400000重量部、および
(c)式(I)の化合物、10〜1500重量部
を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
該バインダー材料(a1)がポリアクリレートを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
(a3)ジベンゾイルレソルシノールを紫外線吸収剤として含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
2−[2−ヒドロキシ−4−[(オクチルオキシカルボニル)エチリデンオキシ]フェニル−4,6−ジ(4−フェニル)フェニル−1,3,5−トリアジンを式(I)の化合物として含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
該プライマー組成物が(a1)ポリメチルメタクリレート、(a2)1−メトキシ−2−プロパノールおよびジアセトンアルコール、並びに(a3)ジベンゾイルレソルシノールを有し、かつ、DIN EN ISO 2431に従って23℃において2mmカップを用いて測定される粘度が90秒以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
該溶媒(b)がジアセトンアルコール(CHC(OH)CHC(=O)CH、酢酸エチル、メトキシプロパノールおよび/またはブタノンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
(i)(a1)ポリメチルメタクリレート、(a2)1−メトキシ−2−プロパノールおよびジアセトンアルコール、並びに(a3)ジベンゾイルレソルシノールを含有するプライマー組成物(a)であって、DIN EN ISO 2431に従って23℃において2mmカップを用いて測定される粘度が90秒以上であるプライマー組成物(a)を、溶媒(b)と混合して約2重量%〜9.5重量%、好ましくは2.5重量%〜9重量%の固形分を生じる工程;
(ii)工程(i)から得られる混合物を、(c)式(I)の化合物0.01重量%〜15重量%、好ましくは0.1重量%〜10重量%、より好ましくは1重量%〜7重量%と混合する工程;並びに
(iii)工程(ii)から得られる混合物をホモジナイズする工程
を包含する、請求項1に記載の組成物の製造方法。
【請求項11】
(i)請求項1に記載の組成物を熱可塑性ポリマーの第1層に塗布して第2層を形成する工程;
(ii)該組成物を硬化する工程
を包含する、多層製品の製造方法。
【請求項12】
更に、
(iii)トップコート配合物を該第2層の表面に塗布する工程および
(iv)該トップコート配合物を硬化する工程
を包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の組成物のコート面への使用。
【請求項14】
請求項12または13に記載の方法によって得られる多層製品。
【請求項15】
(iii)熱可塑性樹脂基材と、
(iv)該熱可塑性樹脂基材上に配置されるプライマー層と
を備える層構造体であって、該プライマー層が請求項1に記載の組成物を硬化することによって得られることを特徴とする、層構造体。
【請求項16】
該プライマー層が、式Iの少なくとも1種類の化合物に加えて、式(IIaおよび/またはIIb)
【化2】

(式中、
それぞれのAは、独立して、置換もしくは非置換単環または多環芳香族基であり、該置換単環または多環芳香族基は、水素、ハロゲン、アルコキシ基、C1〜8−アルキル基、およびヒドロキシル基からなる群から選択される置換基を有し、かつ、
Rは、水素または10個未満の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝脂肪鎖である。)
の少なくとも1種類の化合物を含有することを特徴とする、請求項15に記載の層構造体。
【請求項17】
該式(IIaおよび/またはIIb)の化合物が、4,6−ジベンゾイルレソルシノール、4,6−ジ(4’−tert−ブチルベンゾイル)レソルシノール、4,6−ジベンゾイル−2−プロピルレソルシノール、4,6−ジベンゾイル−2−(3−トリエトキシ−シリルプロピル)レソルシノールまたは2,4,6−トリベンゾイルレソルシノールからなる群から選択される、請求項16に記載の層構造体。
【請求項18】
該プライマー層が少なくとも1種類のポリアクリレートを含有し、かつ、該熱可塑性樹脂基材がポリカーボネートを含有する、請求項15〜17のいずれか一項に記載の層構造体。

【公表番号】特表2011−500905(P2011−500905A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529297(P2010−529297)
【出願日】平成20年10月18日(2008.10.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/008834
【国際公開番号】WO2009/049904
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】