説明

紫外線処理装置

【課題】安定してワークを紫外線処理することができる紫外線処理装置を提供すること。
【解決手段】ワークWを収容する処理容器2と、処理容器2内のワークWに紫外線を照射して紫外線処理する紫外線ランプ3と、処理容器2に接続したエアー供給流路14および処理容器2に接続したエアー排気流路15を介して、処理容器2内の雰囲気を常時換気する換気手段4と、エアー供給流路14に介設され、処理容器2内の雰囲気の露点を調整する加湿装置5と、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに紫外線を照射して紫外線処理する紫外線処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような活性酸素殺菌装置(紫外線処理装置)として、被処理物を収容するチャンバと、被処理物に紫外線を照射する紫外線発生ランプと、チャンバ内を冷却する冷却装置と、チャンバ内を加湿する加湿装置(露点調整装置)と、チャンバ内雰囲気を攪拌する送風ファンと、を有するものが知られている(特許文献1参照)。
この活性酸素滅菌装置は、チャンバ内に配設され、超音波振動式の加湿装置によりチャンバ内を加湿(露点を調整)し、送風ファンでチャンバ内雰囲気を均一に攪拌した状態で、紫外線を照射して、被処理物を殺菌処理している。
【特許文献1】特開2006−20669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような活性酸素殺菌装置では、超音波の振動により霧状にした水蒸気を噴霧してチャンバ内の水分量を調整(露点を調整)しているため、照射した紫外線が噴霧した水蒸気に吸収されてしまい、被処理物を安定に紫外線処理することができないという問題があった。
【0004】
本発明は、安定してワークを紫外線処理することができる紫外線処理装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の紫外線処理装置は、ワークを収容する処理容器と、処理容器内のワークに紫外線を照射して紫外線処理する紫外線照射手段と、処理容器に接続したエアー供給流路およびエアー排気流路を介して、処理容器内の雰囲気を常時換気する換気手段と、エアー供給流路に介設され、処理容器内の雰囲気の露点を調整する露点調整手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、ワークを紫外線処理している間、処理容器内の雰囲気を常時換気するため、紫外線処理によって生じた生成物が処理容器内に滞留することがない。また、処理容器内の雰囲気の露点を調整するため、処理容器内の水分量を一定に保つことができる。したがって、処理容器内の雰囲気の条件を一定に保つことができるため、安定してワークを紫外線処理することができる。
【0007】
この場合、露点調整手段は、エアー供給流路に並列に介設した第1調整流路および第2調整流路と、第1調整流路および第2調整流路にそれぞれ介設され、1次流路から分岐して流入したエアーの流量をそれぞれ調整する2つの流量調整手段と、第2調整流路に介設され、低露点のエアーに対し水分を添加して高露点化する水分添加手段と、を有し、水分添加手段は、第2調整流路にタンク内空間を介設することで、タンク内空間の流入側および流出側が第2調整流路に連通する水タンクで構成されていることが、好ましい。
【0008】
この構成によれば、水タンクのタンク内空間に低露点のエアー(乾燥エアー)を通気させることで、タンク内空間内の気化した水分を、乾燥エアーに取り込ませることができる。すなわち、乾燥エアーを、水分を含んだ加湿エアーにする(高露点化)ことができる。また、乾燥エアーと加湿エアーとを混合することで、簡単に処理容器内の露点を調整できると共に、露点調整手段を単純な構造で安価に構成することができる。
【0009】
この場合、露点調整手段は、上流側を水供給源に接続され、下流側を水タンクに接続した補給水流路を、更に有していることが、好ましい。
【0010】
この構成によれば、タンク内空間の気化した水分が乾燥エアーに取り込まれることで、水タンクの水位が減少しても、簡単に水タンク内に水を補給してその水位を回復することができる。なお、水位を一定に制御すれば水分の気化が一定になり、露点調整手段の運転を安定化させることができる。
【0011】
この場合、処理容器の近傍に位置して、エアー供給流路を流れるエアーの水分量を検出する供給側水分量検出手段と、供給側水分量検出手段の検出結果に基づいて、2つの流量調整手段を個々に制御する制御手段と、を更に備えたことが、好ましい。
【0012】
この構成によれば、制御手段により、乾燥エアーと加湿エアーの流量(混合割合)を調整することで、簡単に露点を調整することができる。なお、混合割合は、乾燥エアーおよび加湿エアーの混合割合と、露点と、の関係を示した制御テーブルに基づいて調整(制御)されることが、好ましい。
【0013】
この場合、エアー排気流路を流れるエアーの水分量を検出する排気側水分量検出手段を更に備え、制御手段は、供給側水分量検出手段の検出値と排気側水分量検出手段の検出値と、が略一致した状態で紫外線照射手段を駆動することが、好ましい。
【0014】
この構成よれば、処理容器内の水分量が保持された条件下でワークを紫外線処理することができ、紫外線処理を安定化させることができる。
【0015】
この場合、エアー排気流路は、バイパス流路と、バイパス流路に介設したバイパス流路開閉手段と、を有し、排気側水分量検出手段は、バイパス流路に介設されていることが、好ましい。
【0016】
この構成よれば、排気側水分量検出手段をエアーに含まれている水分量の測定時のみ駆動させることができるため、排気側水分量検出手段に紫外線処理後の排ガスが触れることがなく、その寿命を延ばすことができる。
【0017】
この場合、換気手段は、エアー供給流路の上流側に接続され、低露点のエアーを供給する圧縮エアー供給手段と、エアー排気流路の下流側に接続され、エアーを吸引するエアー吸引手段と、を有していることが、好ましい。
【0018】
この構成よれば、気体源からのエアーを、逆流させることなく、エアー供給流路、処理容器およびエアー排気流路の順で円滑に流すことができる。
【0019】
この場合、紫外線処理は、紫外線硬化性の撥水剤が塗布された穴開きプレートに紫外線を照射し撥水剤を硬化させて、穴開きプレートに撥水処理を施すことが、好ましい。
【0020】
この構成よれば、穴開きプレートに高精度の撥水処理を施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係る紫外線処理装置について説明する。この紫外線処理装置は、処理容器内の露点(水分量)を調整しながら、表面に紫外線硬化性の撥水剤を塗布した穴開きのワークに対して、紫外線を照射して、ワーク表面に撥水処理(紫外線処理)を施すものである。
【0022】
図1に示すように、紫外線処理装置1は、ワークWを収容する処理容器2と、処理容器2内のワークWに紫外線を照射して紫外線処理する紫外線ランプ(紫外線照射手段)3と、処理容器2に接続したエアー供給流路14および処理容器2に接続したエアー排気流路15を介して、処理容器2内の雰囲気を常時換気する換気手段4と、エアー供給流路14に介設され、処理容器2内の雰囲気の露点を調整する加湿装置(露点調整手段)5と、を備えている。この紫外線処理装置1は、処理容器2内において露点の調整された雰囲気を常時換気しながら、紫外線を照射することでワークWに紫外線処理する。
【0023】
処理容器2は、金属製の容器本体11と、容器本体11内にワークWをセットするワークホルダ12と、から構成されている。容器本体11の天面には、紫外線ランプ3および処理容器2内の圧力を測定する圧力計13が配設されている。また、処理容器2の側面には、紫外線処理に使用される処理エアーを供給するエアー供給流路14と、紫外線処理後の排ガスを排気するエアー排気流路15と、がそれぞれ接続されている。これにより、処理エアーを処理容器2内に滞留させることなく、排気することができる。すなわち、紫外線処理により発生する生成物を、効率良く排気できるようになっている。ワークホルダ12は、詳細は図示しないが、処理容器2の底部に配設され、格子枠状に形成されており、各枠内に内向きに突設した支持突起により各ワークWを支持するようになっている。また、紫外線ランプ3は、紫外線の照射により発生する熱を冷却水により、冷却しながら駆動するようにしている。
【0024】
換気手段4は、上記のエアー供給流路14の上流側に接続され、低露点のエアー(乾燥エアー)を供給する圧縮エアー供給手段21と、上記のエアー排気流路15の下流側に接続され、排ガスを吸引するエアー吸引手段22と、を有している。圧縮エアー供給手段21は、乾燥エアーの供給源となる圧縮エアー設備等の気体源23と、レギュレータ(図示省略)と、から構成されており、処理エアーとして処理容器2に供給する。一方、エアー吸引手段22は、真空ポンプ(図示省略)を有するエアー排気設備24、から構成されており、紫外線処理に使用した排ガスを排気処理する。なお、換気手段4は、連続して駆動され、紫外線処理時(処理直後のクリーニング用排気も含む)は元より紫外線処理前の露点調整においても、処理容器2の連続した給排気を実施する。
【0025】
エアー供給流路14は、上流端が気体源23に接続されており、下流端が処理容器2に接続されている。エアー供給流路14には、後述する加湿装置5が介設されており、乾燥エアーの一部を加湿して加湿エアーとし(高露点化)、乾燥エアーと混合することで処理エアーとして処理容器2に供給する。
【0026】
エアー排気流路15は、上流端が処理容器2に接続され、下流端がエアー排気設備24に接続された主エアー排気流路31と、主エアー排気流路31に設けられたバイパス流路32と、から構成されている。バイパス流路32は、上流端が主エアー排気流路31上流側の排気側分岐部33に接続されており、下流端が主エアー排気流路31下流側の排気側合流部34に接続されている。また、バイパス流路32には、第1バイパス流路開閉バルブ(バイパス流路開閉手段)35、排気側露点計(排気側水分量検出手段)36および第2バイパス流路開閉バルブ(バイパス流路開閉手段)37が、上流側から順番に並んで配設されている。処理容器2内を換気して雰囲気を所定の加湿エアーに調整する際には、第1バイパス流路開閉バルブ35および第2バイパス流路開閉バルブ37を開放して、主エアー排気流路31およびバイパス流路32に処理エアーが流れるようにして、処理エアーに含まれている水分量を計測する。一方、紫外線処理を行う場合には、両バルブ35,37を閉塞して、主エアー排気流路31のみに排ガスが行くようにして、排ガスにより腐食され易い排気側露点計36の寿命を延ばすようにしている。
【0027】
加湿装置5は、上流側を気体源23に連通する1次流路41と、下流側を露点調整した処理エアーが供給される処理容器2に連通する2次流路42と、1次流路41下流端の供給側分岐部51から分岐し2次流路42上流端の供給側合流部52で合流する第1調整流路43および第2調整流路44と、第1調整流路43および第2調整流路44にそれぞれ介設され、1次流路41から分岐して流入した乾燥エアーの流量をそれぞれ調整する第1電空比例弁(流量調整手段)45および第2電空比例弁(流量調整手段)46と、第2調整流路44に介設され、乾燥エアーに対し水分を添加して高露点化する水タンク(水分添加手段)47と、を備えている。すなわち、上記したエアー供給流路14は、1次流路41および2次流路42を兼ねている。
【0028】
1次流路41は、上流側が気体源23に連通し、下流端が第1調整流路43および第2調整流路44の上流端が接続している供給側分岐部51に接続されている。1次流路41には、気体源23からの乾燥エアーをフィルタリングするフィルタ、気液分離させるミストセパレータおよび乾燥エアーを送るレギュレータ(いずれも図示省略)が、設けられている。気体源23から供給された乾燥エアーは、異物をフィルタリングされた後、気液分離されて下流側に送られる。この場合、乾燥エアーは、処理容器2に供給される加湿エアー(処理エアー)より十分に低く一定の露点温度で下流側に送られるため、処理エアーの露点調整を簡単且つ精度良く行えるようになっている。
【0029】
第1調整流路43は、上流端が供給側分岐部51に接続されており、下流部が供給側合流部52に接続されている。第1調整流路43には、乾燥エアーの流量を調整する第1電空比例弁45が介設されており、制御装置53によって制御されている。第1調整流路43に流入した乾燥エアーは、第1電空比例弁45により流量が制御され、下流側に送られる。
【0030】
第2調整流路44は、第1調整流路43と同様に、上流端が供給側分岐部51に接続され、下流端が供給側合流部52に接続されている。また、第2調整流路44には、制御装置53によって制御され、乾燥エアーの流量を調整する第2電空比例弁46と、乾燥エアーを加湿する水タンク47と、が上流側から並んで介設されている。詳細は後述するが、第2調整流路44に流入した乾燥エアーは、第2電空比例弁46により流量が制御され、水タンク47で加湿されて加湿エアーとなり、下流側に送られる。
【0031】
2次流路42は、上流側が供給側合流部52に接続されており、下流端が処理容器2に接続されている。2次流路42には、露点調整した処理エアーの処理容器2への送気を制御する供給側開閉バルブ54および処理エアーの水分量を検出する供給側露点計(供給側水分量検出手段)55が設けられている。第1調整流路43からの乾燥エアーおよび第2調整流路44からの加湿エアーは、供給側合流部52で混合されて、露点調整された処理エアーとなり処理容器2に送られる。なお、処理容器2に送られる処理エアーの露点(水分量)は、供給側露点計55で検出され、処理エアーの露点が設定した露点より低かった場合には、制御装置53を介して、上記した第1電空比例弁45の流量を少なくし、第2電空比例弁46の流量を多くすることで、露点を調整する。一方、処理エアーの露点が設定した露点より高かった場合には、制御装置53を介して、上記した第1電空比例弁45の流量を多くし、第2電空比例弁46の流量を少なくすることで、露点を調整する。なお、露点の調整は、乾燥エアーおよび加湿エアーの流量比(混合割合)と、露点と、の関係を示した図外の制御テーブルに基づいて調整(制御)される。
【0032】
図2および図3に示すように、水タンク47は、いわゆる開放タンクであり、タンク内空間の流入側および流出側が第2調整流路44にそれぞれ連通するように介設されており、タンク本体61と、乾燥エアーが流入するための流入パイプ62と、加湿エアーが流出するための流出パイプ63と、貯留水を補給するための補給水流路64と、水タンク47の水位を検出する水位検出手段65と、を備えており、ドレンパン66上に載置されている。
【0033】
タンク本体61は、ステンレス等の金属材料で、薄型円柱形状に形成されている。また、タンク本体61は、有底の円筒状に形成された本体容器71と、円板状に形成され、本体容器71を開閉する蓋体72と、から構成されている。本体容器71と蓋体72とは、それぞれに突設形成されたフランジ部73に設けられた固定ネジ74によって固定されている。本体容器71の側壁には、水位検出手段65と、貯留水を排気するドレンバルブ75と、が設けられている、一方、蓋体72には、流入パイプ62と、流出パイプ63と、補給水流路64の先端パイプ76と、がそれぞれ気密に挿通している。流入パイプ62、流出パイプ63および先端パイプ76は、それぞれ蓋体72の中央部に略垂直になるように設けられており、それぞれタンク本体61内に挿入するように配設されている。すなわち、蓋体72により本体容器71を開閉することで、流入パイプ62、流出パイプ63および先端パイプ76が着脱できるようになっている。
【0034】
流入パイプ62は、上流端が第2調整流路44の流入側に接続されており、下流端がタンク内空間に配管されている。また、流入パイプ62の下流端に形成された流入口81は、横向きとなるように「L」字状に配管されている。すなわち、流入口81は、後述する上限センサ92が検出する上限水位より上方に配設され、貯留水が誤って入り込まないようになっている。これらにより、乾燥エアーが、横に向って水タンク47に流入するため、その風圧により、水面が波立つことがない。よって、水面から気化する水分量を一定に保つことができる。
【0035】
流出パイプ63は、上流端がタンク内空間に配管されており、下流端が供給側合流部52に接続されている。また、流出パイプ63の上流端に形成された流出口82は、上向きとなるように「J」字状に配管されている。すなわち、流出パイプ63の上流側は、傘の柄状に形成されている。この場合も、流出口82は、後述する上限センサ92が検出する上限水位より上方に配設され、貯留水が誤って入り込まないようになっている。これらにより、水面が波立って飛沫(ミスト)が生じても、ミストが流出パイプ63の曲げ部分にトラップされるため、処理容器2へのミストの流入を効果的に抑制することができる。
【0036】
補給水流路64は、上流側が水供給源83に接続され、その先端パイプ76の下流側の補給口84が貯留してある水面下まで延びている。係る場合に補給口84は、後述する下限センサ94が検出する下限水位より下方に配設され、常時貯留水の水位より下に位置するようになっている。また、補給水流路64には、制御装置53に接続され、補給水を補給する流路開閉バルブ85が設けられており、水をタンク本体61に補給する場合に開放する。これにより、タンク内空間の気化した水分が乾燥エアーに取り込まれることで、水位が減少しても、簡単に水タンク47内に水を補給してその水位を回復することができる。また、下流端が水面下まで延びているため、水を補給する際に、水面が波立つことがない。したがって、水を補給しながら紫外線処理を行うことができるため、水の補給時に装置を止める必要がなく、長時間の紫外線処理にも対応することができる。
【0037】
水位検出手段65は、タンク本体61の外側に沿わせて設けた液柱パイプ91と、上限水位を検出する上限センサ92と、下限水位を検出する下限センサ94と、上限・下限の中間位置に配設され、補給時の水位を検出する水位センサ93と、を備えている。
【0038】
各センサ92,93,94は、液柱パイプ91に外側から臨んでおり、上限センサ92は、タンク本体61のタンク内空間の容積が著しく減少(水位が上昇)するのを防止すべく設けられており、上限センサ92が上限水位を検出した場合には、流路開閉バルブ85を閉塞して水供給源83からの送液を停止させ、警報を発する。一方、下限センサ94は、タンク本体61のタンク内空間の容積が著しく増加(水位が下降)するのを防止すべく設けられており、下限センサ94が下限水位を検出した場合には、警報を発すると共に、流路開閉バルブ85を開放して水を補給する。また、水位センサ93は、タンク本体61の基準水位を検出するものであり、水位センサ93により水位が検出されると、制御装置53との協働により、満液もしくは減液と判断される。すなわち、水位センサ93より上に水位がある状態から、加湿動作により、基準水位が検出されると減液と判断される。また、水位センサ93より下に水位がある状態から、補給動作により、水位センサ93により基準水位が検出された後、一定時間経過すると満液と判断される。これにより、水タンク47内の水位がほぼ一定になり、タンク内空間の容積および形状が一定に保たれる。このため、タンク内空間を流れるエアーの流れが一定になり、水分の気化条件を一定にすることができる。なお、下限センサ94のみ設け、下限水位を検出したときに一定量(一定時間、流路開閉バルブ85を開)の水を補給するようにしてもよい。
【0039】
次に、図1を参照して、紫外線処理装置1の運転方法について説明する。この紫外線処理装置1の運転方法では、まず、供給側開閉バルブ54を閉塞した状態で、表面に紫外線硬化性の撥水剤を塗布したワークWを、処理容器2のワークホルダ12にセットする。そして、制御テーブルに基づいて、乾燥エアーと加湿エアーの混合割合を設定したあと、処理容器2内を紫外線処理状態に平衡化する。
【0040】
平衡化は、圧縮エアー供給手段21によるエアーの供給量およびエアー吸引手段22によるエアーの排気量を等しくすることで、処理容器2内の雰囲気を常時換気しながら、供給側露点計55と排気側露点計36による露点(水分量)を計測することで行う。まず、供給側開閉バルブ54、第1バイパス流路開閉バルブ35および第2バイパス流路開閉バルブ37を開放した状態で、圧縮エアー供給手段21およびエアー吸引手段22を駆動(開弁)させる。これにより、気体源23から供給された乾燥エアーは、供給側分岐部51で、上記した制御テーブルによる混合割合に基づいて、第1調整流路43および第2調整流路44に分流する。第1調整流路43に流れる乾燥エアーは、そのまま供給側合流部52に流れ込み、第2調整流路44に流れる乾燥エアーは、水タンク47のタンク内空間を通気することで加湿(高露点化)される。そして、乾燥エアーおよび加湿エアーは、供給側合流部52で混合されて処理エアーとなり、処理エアーに含まれる水分量が供給側露点計55により検出された後、処理容器2に送られる。処理容器2に送られた処理エアーは、吸引ポンプにより、エアー排気設備24に向って吸引される。具体的には、処理容器2からの処理エアーは、エアー排気流路15の排気側分岐部33で、その略半分が主エアー排気流路31を通気し、残りの略半分がバイパス流路32を通気することで排気側露点計36により、処理エアーに含まれる水分量が検出される。そして、しばらく換気を行うことで、2次流路42、処理容器2およびエアー排気流路15内の気体が、処理エアーに置換された時点で、すなわち、供給側露点計55と排気側露点計36による露点(水分量)が略一致した時点で平衡化を終了する。
【0041】
平衡化が完了したら、第1バイパス流路開閉バルブ35および第2バイパス流路開閉バルブ37を閉塞した後に、図外の電源をオンにすることで紫外線ランプ3を駆動させて、ワークWに対する紫外線処理を開始する。
【0042】
ワークWに紫外線を所定時間、照射した後、電源をオフにして、紫外線処理を終了し、第1バイパス流路開閉バルブ35および第2バイパス流路開閉バルブ37を開放して、処理容器2およびエアー排気流路15内の排ガスをエアー排気設備24に排気させる。なお、排気の完了は、上記した平衡化と同じ時間あるいはそれ以上であることが好ましい。すなわち、圧縮エアー供給手段21およびエアー吸引手段22は、紫外線処理前の平衡化から排ガスの排気完了までの間、常時駆動していることになる。
【0043】
なお、本実施形態における紫外線処理装置1において、圧縮エアー供給手段21により供給する乾燥エアーの露点は約−70℃であり、タンク内空間を通過した加湿エアーの露点は約5から10℃の範囲であった。そして、紫外線処理に用いた処理エアーの露点は−5℃程度で行い、露点の変化温度は±1から2℃に抑えることができた。また、本紫外線処理装置1では、乾燥エアーの供給量(排出量)は、最大200L/minまで制御可能であった。
【0044】
以上の構成によれば、ワークWを紫外線処理している間、処理容器2内の雰囲気を常時換気すると共に、処理容器2内の雰囲気の露点を調整することで、処理容器2内の雰囲気の条件を一定に保つことができるため、安定してワークWを紫外線処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】紫外線処理装置の模式図である。
【図2】水タンクの(a)は斜視図であり、(b)は平面図である。
【図3】水タンクの(a)は側面図であり、(b)は背面図である。
【符号の説明】
【0046】
1…紫外線処理装置 2…処理容器 3…紫外線ランプ 4…換気手段 5…加湿装置 14…エアー供給流路 15…エアー排気流路 21…圧縮エアー供給手段 22…エアー吸引手段 32…バイパス流路 35…第1バイパス流路開閉バルブ 36…排気側露点計 37…第2バイパス流路開閉バルブ 43…第1調整流路 44…第2調整流路 45…第1電空比例弁 46…第2電空比例弁 47…水タンク 53…制御装置 55…供給側露点計 64…補給水流路 83…水供給源 W…ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを収容する処理容器と、
前記処理容器内の前記ワークに紫外線を照射して紫外線処理する紫外線照射手段と、
前記処理容器に接続したエアー供給流路およびエアー排気流路を介して、前記処理容器内の雰囲気を常時換気する換気手段と、
前記エアー供給流路に介設され、前記処理容器内の前記雰囲気の露点を調整する露点調整手段と、を備えたことを特徴とする紫外線処理装置。
【請求項2】
前記露点調整手段は、前記エアー供給流路に並列に介設した第1調整流路および第2調整流路と、
前記第1調整流路および前記第2調整流路にそれぞれ介設され、1次流路から分岐して流入したエアーの流量をそれぞれ調整する2つの流量調整手段と、
前記第2調整流路に介設され、低露点のエアーに対し水分を添加して高露点化する水分添加手段と、を有し、
前記水分添加手段は、前記第2調整流路にタンク内空間を介設することで、前記タンク内空間の流入側および流出側が前記第2調整流路に連通する水タンクで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の紫外線処理装置。
【請求項3】
前記露点調整手段は、上流側を水供給源に接続され、下流側を前記水タンクに接続した補給水流路を、更に有していることを特徴とする請求項2に記載の紫外線処理装置。
【請求項4】
前記処理容器の近傍に位置して、前記エアー供給流路を流れるエアーの水分量を検出する供給側水分量検出手段と、
前記供給側水分量検出手段の検出結果に基づいて、前記2つの流量調整手段を個々に制御する制御手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項2または3に記載の紫外線処理装置。
【請求項5】
前記エアー排気流路を流れるエアーの水分量を検出する排気側水分量検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記供給側水分量検出手段の検出値と前記排気側水分量検出手段の検出値と、が略一致した状態で前記紫外線照射手段を駆動することを特徴とする請求項4に記載の紫外線処理装置。
【請求項6】
前記エアー排気流路は、バイパス流路と、
前記バイパス流路に介設したバイパス流路開閉手段と、を有し、
前記排気側水分量検出手段は、前記バイパス流路に介設されていることを特徴とする請求項5に記載の紫外線処理装置。
【請求項7】
前記換気手段は、前記エアー供給流路の上流側に接続され、低露点のエアーを供給する圧縮エアー供給手段と、
前記エアー排気流路の下流側に接続され、エアーを吸引するエアー吸引手段と、を有していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の紫外線処理装置。
【請求項8】
前記紫外線処理は、紫外線硬化性の撥水剤が塗布された穴開きプレートに紫外線を照射し前記撥水剤を硬化させて、前記穴開きプレートに撥水処理を施すことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の紫外線処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−137159(P2010−137159A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315321(P2008−315321)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】