説明

細径ケーブルハーネス

【課題】良好な防水性を確保しつつ、可撓性、屈曲性及び耐久性に優れた細径ケーブルハーネスを提供する。
【解決手段】細径ケーブルハーネス11は、複数本の細径ケーブル12と防水チューブ21とを備え、複数本の細径ケーブル12が、端末部分で一列または二列以上に並列され、中間部分で防水チューブ21に通され、防水チューブ21が、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン及びフッ化ビニリデンの三元重合体ポリマーからなる。前記三元重合体ポリマーは、融点が100℃以上140℃以下、MFRが15g/10分以上25g/10分以下、ガラス転位点が0℃以上10℃以下、伸びが600%以上700%以下、曲げ弾性率が0.05GPa以上0.10GPa以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本の細径ケーブルを束ねた細径ケーブルハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や小型ビデオカメラなどの精密小型機器は、互いにスライド可能あるいは回動可能に連結された筐体内の回路基板を配線材によって接続している。精密小型機器の配線構造の一例として、2つの筐体と、2つの筐体を連結したヒンジ構造と、ヒンジ構造の内部に配索された防水チューブと、防水チューブに通され、防水チューブの端部から延出し、一方の筐体の内部から他方の筐体の内部に配索された電気信号用ケーブルと、電気信号用ケーブルに巻装されるとともに防水チューブの端部に取り付けられたシールと、シールに巻装された弾性材とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この電子機器のケーブルが通される防水チューブは、可撓性を有し、屈曲可能であり、ゴム材料(例えば、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム)からなり、具体的にはシリコンチューブ又はシリコンゴムチューブが用いられていることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−263285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
筐体間に配線されるケーブルは、可撓性及び屈曲性を有する防水チューブに通されて防水されているが、筐体は互いにスライドまたは回動されるため、防水性だけでなく、筐体同士のスライドまたは回動に対して十分な耐久性を有することも要求される。また、配線スペースを小さくするためにチューブの外径が小さく薄肉で嵩張らないことも要求される。
【0006】
本発明の目的は、良好な防水性を確保しつつ、外径が小さく薄肉でありながら可撓性、屈曲性及び耐久性に優れた細径ケーブルハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することのできる本発明の細径ケーブルハーネスは、複数本の細径ケーブルと防水チューブとを備え、複数本の前記細径ケーブルが、端末部分で一列または二列以上に並列され、中間部分で前記防水チューブに通された細径ケーブルハーネスであって、
前記防水チューブが、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン及びフッ化ビニリデンの三元重合体ポリマーからなることを特徴とする。
【0008】
本発明の細径ケーブルハーネスにおいて、前記三元重合体ポリマーは、融点が100℃以上140℃以下、MFRが15g/10分以上25g/10分以下、ガラス転位点が0℃以上10℃以下、伸びが600%以上700%以下、曲げ弾性率が0.05GPa以上0.10GPa以下であることが好ましい。
【0009】
本発明の細径ケーブルハーネスにおいて、前記防水チューブには、その両端における内部に、金属管が挿入されていることが好ましい。
【0010】
本発明の細径ケーブルハーネスにおいて、前記防水チューブには、その両端における外周に、パッキン部材が密着されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、細径ケーブルの中間部分を覆う防水チューブが、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン及びフッ化ビニリデンの三元重合体ポリマーからなるので、良好な防水性を確保しつつ、薄肉であっても可撓性、屈曲性だけでなく、複数の筐体間に配線した場合に、筐体間の相対的なスライドまたは回動に対して十分な耐久性を得ることができる。これにより、相対的にスライドまたは回動される複数の筐体同士の配線材として、長期的に良好な防水性を確保することができ、信頼性を大幅に向上させることができる。また、チューブに細径ケーブルを挿入するときに引っかかりが少なく、チューブの内径を小さくでき、かつ薄肉であるのでチューブの外径が小さい。そして配線スペースを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】細径ケーブルハーネスで接続された携帯電話端末の斜視図であり、(a)は携帯電話端末の筐体同士を開いた状態、(b)は携帯電話端末の筐体同士を閉じた状態である。
【図2】本発明に係る細径ケーブルハーネスの一実施形態を示す図であり、ハーネスを筐体に取り付けた状態を示す断面図である。
【図3】細径ケーブルハーネスに対するスライド試験を示す図である。
【図4】気密評価方法を示す概略断面図である。
【図5】細径ケーブルハーネスに対する捻回試験を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る細径ケーブルハーネスの実施形態の例について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施形態では、第1筐体1及び第2筐体2を備えた携帯電話端末3のそれぞれの第1筐体1及び第2筐体2が、細径ケーブルハーネスによって接続されている。この携帯電話端末3では、第1筐体1にディスプレイ4が設けられ、第2筐体2にキー操作部5が設けられている。
携帯電話端末3は、第1筐体1及び第2筐体2が、相対的にスライド可能とされており、これらの第1筐体1及び第2筐体2がスライドされることにより位置関係が変化する。
【0014】
図2に示すように、第1筐体1及び第2筐体2は、その連結側の端面に、ケーブル挿通孔6,7がそれぞれ形成されており、これらのケーブル挿通孔6,7から、細径ケーブルハーネス11の両端がそれぞれ導入されている。
【0015】
細径ケーブルハーネス11は、複数本(20〜60本)の細径ケーブル12を束ねた束部10を有するものである。両端の端末部分では、平面状に一列に配列され、携帯電話端末3の第1筐体1及び第2筐体2内の配線基板(図示省略)への接続のためのコネクタ13が取り付けられて成端処理されている。なお、細径ケーブルハーネス11の両端末部分は、二列以上に並列させてコネクタ13を取り付けても良い。コネクタ13は二つ以上あってもよい。
【0016】
細径ケーブル12は、中心軸に直交する径方向の断面において、中心から外側に向かって、中心導体、内部絶縁体、外部導体、外被を有する同軸ケーブルであり、それぞれの端部では、端末処理が施されて、外部導体、内部絶縁体、中心導体が段階的に所定長さに露出され、コネクタ13に接続されている。また、細径ケーブルハーネス11には、複数本の細径の同軸ケーブルの他に、外部導体のない細径の絶縁ケーブルが含まれていても良い。なお、図面では、細径ケーブル12の本数を少なく示して簡略化している。
【0017】
本発明でいう細径ケーブル12は、AWG(American Wire Gauge)の規格によるAWG40よりも細いケーブルであり、AWG44よりも細い極細ケーブルを用いるのが望ましい。これにより、細径ケーブルハーネス11は、曲がり易く、第1筐体1及び第2筐体2が相対的にスライドするときの抵抗を小さくすることができる。また、複数本の細径ケーブル12を束ねて束部10を形成したときに、細径ケーブルハーネス11の径を細くすることができ、限られた配線スペースでの高密度配線を可能とする。
【0018】
また、細径ケーブルハーネス11は、その束部10が防水チューブ21に挿入されており、各細径ケーブル12同士の位置関係が変化し得る程度に束ねられている。
【0019】
この防水チューブ21は、防水性に優れ、可撓性及び屈曲性を有するものであり、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン及びフッ化ビニリデンの三元重合体ポリマーから形成することにより、高い耐久性を有している。この防水チューブ21を構成する三元重合体ポリマーは、融点が100℃以上140℃以下、MFR(メルトフローレート、265℃/5kg)が15g/10分以上25g/10分以下、ガラス転位点が0℃以上10℃以下、伸びが600%以上700%以下、曲げ弾性率が0.05GPa以上0.10GPa以下であることが好ましい。
【0020】
細径ケーブルハーネス11を構成する束部10は、前述のように、20本から60本程度の細径ケーブル12を含むものである。細径ケーブル12がAWG46の細さである場合には、防水チューブ21の中に細径ケーブル12を挿通させて束とすると、細径ケーブル12が60本の場合は防水チューブ21の内径は2.0mmから2.5mm以内に収めることができる。
【0021】
また、防水チューブ21には、その両端における内部に、金属管17が挿入されている。金属管17の外径は、防水チューブ21の内径以上であるとよい。例えば、防水チューブ21が、内径1.5mm、外径1.9mmである場合、金属管17は、内径1.5mm、外径1.7mmとするとよい。このような金属管17を防水チューブ21に挿入することにより、防水チューブ21は径方向外側に押し広げられて弾性変形し、金属管17の外周面に密着する。
【0022】
また、金属管17の一端には径方向外側に突出した鍔部18が形成されている。金属管17を防水チューブ21内に挿入したときに、この鍔部18が防水チューブ21の端面に係止され、これにより防水チューブ21に対する金属管17の長さ方向の位置決めがなされる。
【0023】
また、防水チューブ21には、その両端における外周に、防水キャップ(パッキン部材)14が取り付けられている。防水キャップ14は、シリコーンゴム等の弾性樹脂材料からなり、防水チューブ21の端部の外周に取り付けられる。防水キャップ14の挿通孔16は、例えば内径2.0mmであり、金属管17が挿入される防水チューブ21の外周に取り付けることで、防水チューブ21を内径側へ押圧する。すなわち、防水チューブ21の端部は、金属管17と防水キャップ14により内外から押圧されることで厚さ方向に挟まれて圧縮される。これにより、防水チューブ21に対して防水キャップ14が水密的に接続される。
【0024】
また、防水キャップ14の外周には、挿通孔16の軸方向でみて略中央の部分に、挿通孔16の軸方向と直交する方向に突出した突条15が周方向に連続して形成されている。
【0025】
第1筐体1及び第2筐体2には、凹部1a,2aが形成されており、この凹部1a,2aに、防水キャップ14が嵌合される。凹部1a,2aの断面は防水キャップ14の断面よりやや小さく、凹部1a,2aに防水キャップ14が圧入されて細径ケーブルハーネス11が第1筐体1及び第2筐体2に水密に取り付けられる。防水キャップ14の突条15は、防水キャップ14が取り付けられる第1筐体1及び第2筐体2の凹部1a,2aに圧接されて潰れることで、防水キャップ14と第1筐体1及び第2筐体2とより確実に水密にすることができる。突条15は、防水キャップ14に一体的に成型されているので、別途Oリングを使用する場合よりもコストを抑えることができる。なお、防水チューブ21の両端にパッキン部材として、例えば、ABS、ポリカーボネートあるいはポリアセタールなどの硬質樹脂から成形された樹脂ブロックを接着して取り付けても良い。この場合、防水チューブ21に取り付けた樹脂ブロックを防水接着テープ等によって第1筐体1及び第2筐体2の凹部1a,2aの底部に接着することにより、防水チューブ21を第1筐体1及び第2筐体2に水密的に接続することができる。
【0026】
上記実施形態に係る細径ケーブルハーネスによれば、細径ケーブル12の中間部分を覆う防水チューブ21が、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン及びフッ化ビニリデンの三元重合体ポリマーからなるので、良好な防水性を確保しつつ、可撓性、屈曲性だけでなく第1筐体1及び第2筐体2の相対的なスライドまたは回動に対して十分な耐久性を得ることができる。
これにより、相対的にスライドまたは回動される複数の筐体同士の配線材として、長期的に良好な防水性を確保することができ、信頼性を大幅に向上させることができる。
【0027】
特に、防水チューブ21の三元重合体ポリマーとして、融点が100℃以上140℃以下、MFRが15g/10分以上25g/10分以下、ガラス転位点が0℃以上10℃以下のものを用いるので、押出成形を極めて円滑に行って製造することができる。また、伸びが600%以上700%以下、曲げ弾性率が0.05GPa以上0.10GPa以下であるものを用いているので、薄肉であっても極めて高い耐久性を得ることができ、防水チューブ付の細径ケーブルハーネス11のさらなる細径化を図ることができる。また、防水チューブ21の内面の滑りがよく細径ケーブル12を挿入し易い。
【0028】
また、防水チューブ21の両端における外周に密着させて設けた防水キャップ14を第1筐体1及び第2筐体2に水密的に取り付けることにより、細径ケーブルハーネス11を伝って第1筐体1または第2筐体2内へ水が浸入するような不具合もなくすことができる。
特に、防水チューブ21の両端における内部に、金属管17が挿入されているので、防水チューブ21の端部を金属管17と防水キャップ14とで厚さ方向に圧縮して防水キャップ14との密着性を高め、防水効果を向上させることができる。
【0029】
なお、本実施形態は、コネクタ13を装着せずに、細径ケーブルハーネス11の細径ケーブル12を配線基板へ直接またはFPC(Flexible Printed Circuits)等を介して接続する場合にも適用可能である。
【実施例】
【0030】
防水チューブ21を備えた細径ケーブルハーネス11について、耐久性試験(スライド試験及び捻回試験)を行った。
【0031】
(1)試験内容
(スライド試験)
図3に示すように、溝部31を有する試験台32を用意し、この試験台32の溝部31内に細径ケーブルハーネス11をU字状に屈曲させて配置させて蓋(図示省略)によって溝部31を塞いで一端側を固定する。そして、細径ケーブルハーネス11の他端を往復移動させ、その後、外傷、断線の有無の確認及び気密性評価を行った。
【0032】
スライド回数(1往復:1回)を10万回とし、スライド速度を0.5往復/sとした。また、幅寸法20mm、深さ寸法3mmの溝部31を有する試験台32を用いた。
【0033】
気密性評価は、図4に示すように、一つの面が疑似金属膜41aからなる密閉された加圧カプセル41を用意し、この加圧カプセル41の底面に凹部42を形成し、これらの凹部42に、細径ケーブルハーネス11の両端の防水キャップ14をそれぞれ嵌合させた。
この状態で、加圧カプセル41のエア導入口41bからエアを注入した後にエア導入口41bを密封し、変位センサ43によって疑似金属膜41aの変位を測定し、加圧カプセル41からの空気のリークの有無を調べた。なお、加圧カプセル41へのエアの注入後、10秒間で0.5cc以上の空気が減少した場合は空気のリーク有りと判定した。
【0034】
(捻回試験)
図5に示すように、細径ケーブルハーネス11を通した防水チューブ21を真っ直ぐにして長手方向の2箇所の支持箇所A,Bで防水チューブ21を支持する。防水チューブ21の一方の支持箇所Aを固定し、他方の支持箇所Bを一方の支持箇所Aに対して左右に180°回転させ、これを2回転として20万回捻回させ、亀裂の有無の確認を行った。支持箇所A,Bの間隔からなる捻回長は30mmとした。
【0035】
(2)評価試料
(実施例1)
四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン及びフッ化ビニリデンの三元重合体ポリマーから形成され、融点が120℃、MFR(265℃/5kg)が20g/10分、ガラス転位点が5℃、伸びが640%、曲げ弾性率が0.073GPaである防水チューブ21に40本の極細同軸ケーブルからなる細径ケーブル12(AWG46)を入れた細径ケーブルハーネス11を用いた。防水チューブ21の内径は1.7mm、外径は1.9mmとし、肉厚を0.1mmとした。
【0036】
(実施例2)
四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン及びフッ化ビニリデンの三元重合体ポリマーから形成され、融点が120℃、MFR(265℃/5kg)が20g/10分、ガラス転位点が5℃、伸びが640%、曲げ弾性率が0.073GPaである防水チューブ21に40本の極細同軸ケーブルからなる細径ケーブル12(AWG46)を入れた細径ケーブルハーネス11を用いた。防水チューブ21の内径は1.4mm、外径は1.6mmとし、肉厚を0.1mmとした。
【0037】
(比較例1)
シリコーンゴムから形成された防水チューブに40本の極細同軸ケーブルからなる細径ケーブル(AWG46)を入れようとしたが、防水チューブのべたつきのため、40本の細径ケーブルを防水チューブへ挿入することができなかった。防水チューブの内径は1.7mm、外径は1.9mmとし、肉厚を0.1mmとした。
【0038】
(比較例2)
シリコーンゴムから形成された防水チューブに40本の極細同軸ケーブルからなる細径ケーブル(AWG46)を入れた細径ケーブルハーネスを用いた。防水チューブの内径は2.7mm、外径は3.3mmとし、肉厚を0.3mmとした。
【0039】
(3)試験結果
(実施例1、実施例2)
実施例1,2共に、スライド試験による外傷、断線はなく、また、気密性評価での空気のリークもなかった。また、捻回試験による亀裂の発生も確認されなかった。
このことから、防水チューブ21の内径を1.7mm、外径を1.9mmとして細径化しても、もしくは内径を1.4mm、外径を1.6mmとして極細径化しても、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン及びフッ化ビニリデンの三元重合体ポリマーから防水チューブ21を形成することにより、良好な防水性を確保しつつ、可撓性、屈曲性だけでなくスライドまたは回動に対して十分な耐久性が得られることがわかった。
【0040】
これにより、相対的にスライドまたは回動される複数の筐体同士の配線材として、長期的に良好な防水性を確保することができ、信頼性を大幅に向上させることができることがわかった。
特に、防水チューブ21の三元重合体ポリマーとして、融点が100℃以上140℃以下、MFRが15g/10分以上25g/10分以下、ガラス転位点が0℃以上10℃以下のものを用いたので、押出成形を極めて円滑に行って製造することができることがわかった。また、伸びが600%以上700%以下、曲げ弾性率が0.05GPa以上0.10GPa以下であるものを用いることにより、極めて高い耐久性が得られ、薄肉化による細径ケーブルハーネス11のさらなる細径化が可能であることがわかった。
また、実施例1,2共に、防水チューブ21の薄肉押出ができるだけでなく、滑り性も良好であることから、細径ケーブル12を通し易く、製造性を向上させることもできた。
【0041】
(比較例1)
防水チューブのべたつきのため、40本の細径ケーブルを防水チューブへ挿入することができなかった。そこで20本の細径ケーブルを挿入し、防水チューブの両端への防水キャップの取り付けようとした。しかし、取り付け時に防水チューブが裂けてしまった。
【0042】
(比較例2)
スライド試験による外傷、断線はなく、また、気密性評価での空気のリークもなかった。また、捻回試験による亀裂の発生も確認されなかった。
このように、比較例2では、耐久性については問題がなかったが、防水チューブの内径を2.7mm、外径を3.3mmとしているので、細径ケーブルハーネスの径が太くなってしまい、携帯電話端末3などの小型電子機器の配線用のハーネスとして用いるのが困難となってしまう。
比較例に対して実施例は、耐久性を維持したまま防水チューブの内径を小さくかつ薄肉として外径を小さくすることができた。これにより、本発明の細径ケーブルハーネスは配線スペースを小さくすることができることが解る。
【符号の説明】
【0043】
11:細径ケーブルハーネス、12:細径ケーブル、14:防水キャップ(パッキン部材)、17:金属管、21:防水チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の細径ケーブルと防水チューブとを備え、複数本の前記細径ケーブルが、端末部分で一列または二列以上に並列され、中間部分で前記防水チューブに通された細径ケーブルハーネスであって、
前記防水チューブが、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン及びフッ化ビニリデンの三元重合体ポリマーからなることを特徴とする細径ケーブルハーネス。
【請求項2】
請求項1に記載の細径ケーブルハーネスであって、
前記三元重合体ポリマーは、融点が100℃以上140℃以下、MFRが15g/10分以上25g/10分以下、ガラス転位点が0℃以上10℃以下、伸びが600%以上700%以下、曲げ弾性率が0.05GPa以上0.10GPa以下であることを特徴とする細径ケーブルハーネス。
【請求項3】
請求項1または2に記載の細径ケーブルハーネスであって、
前記防水チューブには、その両端における内部に、金属管が挿入されていることを特徴とする細径ケーブルハーネス。
【請求項4】
請求項3に記載の細径ケーブルハーネスであって、
前記防水チューブには、その両端における外周に、パッキン部材が密着されていることを特徴とする細径ケーブルハーネス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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