説明

細胞の遺伝学的解析

いくつかの態様は不均一な細胞集団の内部から選択した細胞を遺伝学的に解析する方法に関する。細胞集団は最初に分割できる。選択した細胞はイメージングによって同定され、次いでエネルギービームでの照射によって特異的に標的にされ、かつ溶解されることによって、細胞成分が培養基に特異的に放出される。培養基は次いで、所望の核酸について標本抽出及びアッセイされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[背景技術]
不均一な細胞の混合物における、特異的な細胞のmRNA又はゲノムDNAといった細胞核酸の分析は一般的には、インサイツで1ないし10のわずかな分析物を分析するか、あるいはバックグラウンド集団から所望の1以上の細胞を機械的に分離し、分離した1以上の細胞の成分を採取及び分析することによって行っている。
【0002】
精製されない混合物内にある細胞を直接的に分析するインサイツ分析のアプローチは、インサイツ式のハイブリダイゼーション(ISH)を含む。ISHは一般的には細胞又は組織部分にある特異的なmRNA又はDNA配列を検出するのに用いられ、1の実験においては測定されうる分析物の数によって限定される。一般的には、ISHは1の実験における1又は2の分析物について行われる(Young WS 3rd.Methods Enzymol.(1989)168:702−10、その全体が引用によって本明細書中に組み込まれる)。インサイツ分析のアプローチは総て、細胞の精製がなく、更なる分析用の細胞成分の採取又は保存がない細胞試料の状況においては、細胞成分の直接的な分析によって特徴づけられる。インサイツ分析のアプローチは一般的には、手動式の微視的観察を介して行われ、高スループットの量産化又は自動化に好適ではない。
【0003】
細胞成分の採取前に細胞を精製する機械的な分離アプローチは、抗体系磁性ビーズの精製(例えば、ドイツ連邦共和国のMiltenyi Biotec社のMACS(登録商標))、フローサイトメトリ系の細胞選別、レーザの顕微解剖、又は機械的な顕微解剖を含む。1以上の細胞が分離した時点で、完全な遺伝子発現プロファイルといった、高い多重分析が行われうる。これらの多様な細胞分離方法の各々は独自の利点及び限界を有している。例えば、磁性ビーズの精製及びフロー選別は適切に作用するのに比較的多数の細胞が要求され、分離した細胞の絶対純度はほとんど得られず、選択パラメータは一般的にはわずかな表面標識に限定される。レーザの顕微解剖は単一の細胞又は多くの細胞を分離できるが、処理できる試料の数で限定され、一般的には要求が特異的な組織試料に適用される(Luoら,Nat Med.(1999)5(1):117−22、その全体が引用によって本明細書中に組み込まれる)。機械的な顕微解剖は処理されうる細胞の数及び試料の数の双方で限定される。分離方法の総てを用いても、細胞、特に希有な細胞を分析することは、対象の細胞のほとんどが処理中に失われる問題があるため困難である。
【0004】
異なる細胞型の複雑な混合物における特異的な細胞の核酸分析の1の用途は、循環性及び散在性の腫瘍細胞の遺伝学的解析である。このような細胞は原発腫瘍によって提供され、血液又はリンパの循環に存在するか様々な組織に属する。散在性の腫瘍細胞は転移の原因になると考えられている。癌疾患由来の多数の死亡は転移のためであり、原発腫瘍のためではないことを考えると、循環性及び散在性の腫瘍細胞は重大な診断対象となっている。例えば、Veridex LLC社(ニュージャージー州ウォレン)は予測ツールとして、循環する乳腺腫瘍細胞の数を列挙するFDA認可の診断試験を始めた。しかしながら、循環性の腫瘍細胞の存在を検出する診断値とは別に、これらの細胞を分子的に分類できることが非常に所望されている。このような情報は良好な予測情報を明確にでき、治療の選択を誘導できる。例えばHer−2受容体はハーセプチン治療のための標的であり、乳癌患者の部分的な集団に過剰発現するのみであり、乳癌患者の残余の集団はハーセプチン治療に反応しない。この例は個別化された癌治療の必要を強調している。循環性及び散在性の腫瘍細胞の分子プロファイリングは、好適な標識が同定される発見段階において、及び同定した標識が実装される診断段階においての双方で、顕著な技術的な困難性を提起している。この困難性は所望の細胞の100,000中に1ないし10,000,000中に1といった程度の希少性であり、精製のために例外的に効率的なプロセスを要求する。
【0005】
現在までに、循環性の腫瘍細胞の遺伝学的解析又は分子プロファイリングは主には抗体を介する分離を通して濃縮した腫瘍細胞で行われてきた。その全体が引用によって本明細書中に組み込まれる「Smirnovら,Cancer Res.(2005)65(12):4993−7」は、ヒト血液からの免疫磁気分離により濃縮した循環性の腫瘍細胞の遺伝子発現プロファイルについて報告した。報告の研究の限界は白血球の混入によって、数が少なくなる濃縮した腫瘍細胞の純度不足である。有用な遺伝子発現データは少なくとも100の腫瘍細胞が得られ、バックグラウンドが1,000ないし10,000未満の白血球である場合にのみ生成できる。これらの制限によって、患者の選択が、循環性の腫瘍細胞の数が血液7.5mlあたり100を超える高さの患者に制限され、癌患者の大多数の循環性の腫瘍細胞が、血液7.5mlあたり10未満であるため深刻な制限となっている(Allardら,Clin Cancer Res.(2004)10(20):6897−904、その全体が引用によって本明細書中に組み込まれる)。更には白血球の混入によって、分析が腫瘍細胞によって高く発現された遺伝子に限定された。結局、EpCAMといった特定の抗原に対し配向される抗体を用いて、循環性の腫瘍細胞を能動的に選択することは本質的に脆弱である。循環性の腫瘍細胞が曝露された表面抗原の量で顕著な不均一性を呈示し、これらの細胞の捕捉に効率の変化を引き起こし(Allardら,Clin Cancer Res.(2004)10(20):6897−904)、更にはアッセイ感受性を損なうことは既知である。
【0006】
抗体の選択を用いて循環性の腫瘍細胞を分離するための異なるシステムはCTCチップであり(Nagrathら,Nature.(2007)450(7173):1235−9、その全体が引用によって本明細書中に組み込まれる)、濃いイオンエッチングによって製造される、78,000のマイクロポストを有するフローチャンバからなる。マイクロポストはEpCAM用の抗体でコーティングされる。血液がチャンバを通って汲み上げられると、循環性の腫瘍細胞がマイクロポストに保持される。捕捉した細胞は少しの数の遺伝子についてRT−PCRによって分析されている。公表のデータは、分離した循環性の腫瘍細胞の精製の変化を示し、6の癌の型にわたる純度が平均56%であることを示している(Nagrathら,Nature.(2007)450(7173):1235−9、その全体が引用によって本明細書中に組み込まれる)。更に試料の不純物が遺伝子発現プロファイルの品質を損なわせる。更に、この方法は腫瘍細胞によって呈示されるEpCAM量の変化によって生じる感受性の変化に影響されやすい。
【発明の概要】
【0007】
本明細書中に記載のシステム、方法、及びデバイスの各々の態様はいくつかあってもよく、そのうちの単一のものが所望の特性に単独で関与するのではない。以下の特許請求の範囲に示されるように本開示の範囲を限定することなく、更なる顕著な特徴はここに手短に述べられるであろう。この考察を考えた後、特に「詳細な説明」と題された章を読んだ後に、この技術の特徴が希有な細胞を含む、細胞集団における比較的迅速かつ正確な細胞分析を含む利点をどのように提供するかが理解されよう。
【0008】
本明細書中に開示のいくつかの実施形態は、不均一な細胞集団内部に存在する細胞の特異的な遺伝学的解析のための方法に関する。いくつかの実施形態においては、対象の細胞は同定され、同定した細胞は、標的の1以上の細胞を溶解させるのに十分なエネルギーでの前記細胞の照射によって、その細胞成分を周囲の培養基に放出させ、放出した核酸を含む培養基は標本抽出され、標本抽出した培養基に存在する核酸が分析される。いくつかの実施形態においては、細胞の溶解は、細胞が浸透を通して水を吸収し、実質的に破裂するように培養培地の浸透圧モル濃度を低くすることによってか、タンパク質を変性させるチオシアン酸グアニジンといったカオトロピック剤の添加によってか、あるいは、細胞膜を破壊し、かつタンパク質を変性させる、ドデシル硫酸ナトリウムといった界面活性物質の添加によって実現できる。細胞成分のいずれもこれらの方法によって分析でき、タンパク質、代謝物等を含むが、本明細書の実施例の多くは核酸の分析に関することに留意されたい。
【0009】
いくつかの実施形態は、不均一な細胞集団内部にある希有な細胞から核酸を分離するための方法に関する。例えば、本方法は:(a)希有な細胞の濃度が希有な細胞を含む容器内で、少なくともX倍の倍数に増加するように、不均一な細胞集団を複数の容器に分割するステップであって、Xが不均一な細胞集団における希有な細胞の数によって分割した容器の数であるステップと;(b)どの容器が希有な細胞を含むかを判定するために各々の容器の領域全体を実質的に迅速にイメージングするステップと;(c)細胞を溶解させ、希有な細胞から培地に核酸を放出させるように、希有な細胞を含む容器に試薬を添加するステップと;(d)放出した核酸を含む培地を、溶解した希有な細胞を含む容器のみから採取することによって、前記希有な細胞から前記核酸を採取するステップと;を具えうる。
【0010】
いくつかの態様においては、本方法は例えば:(a)希有な細胞の濃度が希有な細胞を含む容器内で、少なくともX倍の倍数に増加するように、不均一な細胞集団を複数の容器に分割するステップであって、Xが不均一な細胞集団における希有な細胞の数によって分割した容器の数であるステップと;(b)どの容器が希有な細胞を含むかを判定するために各々の容器の領域全体を実質的に迅速にイメージングするステップと;(c)容器のイメージを参照することによって、希有な細胞を含む容器内で希有な細胞の位置を検出するステップと;(d)他の細胞を顕著に溶解させずに希有な細胞を特異的に溶解させ、希有な細胞から培地に核酸を放出させるように、希有な細胞を含む容器内の希有な細胞の位置に集束したエネルギービームを誘導するステップと;(e)放出した核酸を含む培地を、溶解した希有な細胞を含む容器から採取することにより、希有な細胞から核酸を採取するステップであって、希有な細胞の核酸が希有ではない細胞の核酸と対比して最大でY倍濃縮されており、Yが前記容器内の溶解されない希有ではない細胞の数であるステップと;を具えうる。
【0011】
いくつかの態様においては、Xは例えば約10、30、100、300、1,000、3,000、10,000、30,000、及び100,000にできる。容器は例えば、マルチウェルプレートのウェルにできる。
【0012】
更なるいくつかの実施形態は、例えば:(a)イメージングに適した表面に不均一な細胞集団を配置するステップと;(b)表面の領域全体を実質的に迅速にイメージングするステップと;(c)表面のイメージを参照することによって表面上の希有な細胞の位置を検出するステップと;(d)他の細胞を顕著に溶解させずに希有な細胞を特異的に溶解させ、希有な細胞から培地に核酸を放出させるように、希有な細胞の位置に集束したエネルギービームを誘導するステップと;(e)放出した核酸を含む培地を、溶解した希有な細胞から採取することによって、希有な細胞から核酸を採取するステップであって、希有な細胞の核酸が希有ではない細胞の核酸と対比して最大でY倍濃縮されており、Yが前記表面上の溶解されない希有ではない細胞の数であるステップと;を具える方法に関する。いくつかの態様においては、Yは例えば約10、30、100、300、1,000、3,000、10,000、30,000、及び100,000にできる。
【0013】
本方法は更に、不均一な細胞集団を希有な細胞に選択的に結合する薬剤と接触させるステップを具えることができ、薬剤は光の特性として検出可能な信号を生成する。また、本方法は更に、リボヌクレアーゼ抑制物質を添加するステップを具えうる。
【0014】
いくつかの実施形態は、不均一な細胞集団内部にある希有な細胞から核酸を分離する方法に関する。本方法は例えば:(a)希有な細胞の濃度が希有な細胞を含む容器内で、少なくともX倍の倍数に増加するように、不均一な細胞集団を複数の容器に分割するステップであって、Xが不均一な細胞集団における希有な細胞の数によって分割した容器の数であるステップと;(b)どの容器が希有な細胞を含むかを判定するために各々の容器の領域全体を実質的にイメージングするステップと;(c)細胞を溶解させ、希有な細胞から培地に核酸を放出させるように、希有な細胞を含む容器に試薬を添加するステップと;(d)放出した核酸を含む培地を、溶解した希有な細胞を含む容器のみから採取することによって、前記希有な細胞から前記核酸を採取するステップと;を具えうる。
【0015】
更に、いくつかの実施形態は不均一な細胞集団内部にある希有な細胞から核酸を分離する方法に関し、本方法は例えば:(a)希有な細胞の濃度が希有な細胞を含む容器内で、少なくともX倍の倍数に増加するように、不均一な細胞集団を複数の容器に分割するステップであって、Xが不均一な細胞集団における希有な細胞の数によって分割した容器の数であるステップと;(b)どの容器が希有な細胞を含むかを判定するために各々の容器の領域全体を実質的にイメージングするステップと;(c)希有な細胞を含む容器内で希有な細胞の位置を検出するステップと;(d)他の細胞を顕著に溶解させずに希有な細胞を特異的に溶解させ、希有な細胞から培地に核酸を放出させるように、希有な細胞を含む容器内の希有な細胞の位置にエネルギービームを誘導するステップと;(e)放出した核酸を含む培地を、溶解した希有な細胞を含む容器から採取することにより、希有な細胞から核酸を採取するステップと;を具えうる。いくつかの実施形態においては、検出は例えば容器のイメージを参照することによって行われうる。いくつかの態様においては、いくつかの態様においては、この採取によって、希有な細胞から核酸が採取され、希有な細胞の核酸は希有ではない細胞の核酸と対比して最大でY倍濃縮される。ここで、Yは容器内の溶解されない希有ではない細胞の数である。いくつかの態様においては、Yは例えば約10、30、100、300、1,000、3,000、10,000、30,000、及び100,000となりうる。
【0016】
いくつかの実施形態においては、本方法は更に例えば、不均一な細胞集団を希有な細胞に選択的に結合する薬剤と接触させるステップを具え、薬剤は光の特性として検出可能な信号を生成してもよい。更にいくつかの実施形態においては例えば、ステップ(a)ないし(e)のいずれかでリボヌクレアーゼ抑制物質を添加するステップを具えうる。いくつかの態様においては、Xは例えば、約10、30、100、300、1,000、3,000、10,000、30,000、又は100,000にできる。いくつかの態様においては、容器は例えば、マルチウェルプレートのウェルであってもよい。
【0017】
いくつかの実施形態は不均一な細胞集団内部にある希有な細胞から核酸を分離する方法に関する。本方法は例えば:(a)イメージングに適した表面に不均一な細胞集団を配置するステップと;(b)表面の領域全体を実質的にイメージングするステップと;(c)表面のイメージを参照することによって表面上の希有な細胞の位置を検出するステップと;(d)他の細胞を顕著に溶解させずに希有な細胞を特異的に溶解させ、希有な細胞から培地に核酸を放出させるように、集束したエネルギービームを希有な細胞の位置に誘導するステップと;(e)放出した核酸を含む培地を、溶解した希有な細胞から採取することによって、希有な細胞から核酸を採取するステップと;を具えうる。
【0018】
いくつかの実施形態においては、上述及び本明細書中の他の場所に記載の方法は更に例えば、細胞をナノ粒子標識で標識するステップを具える。更に、このナノ粒子標識はエネルギービームを介した細胞溶解の効率を改善するのに用いることができる。
【0019】
更なるいくつかの実施形態は細胞成分を分析する方法に関する。本方法は例えば:分析用の対象の細胞を含む細胞集団を提供するステップと;細胞集団内で少なくとも1の対象の細胞を検出するステップと;エネルギービームを少なくとも1の対象の細胞の位置に誘導するステップであって、エネルギービームのエネルギーが、細胞から成分を放出するのに十分であり、少なくとも1の対象の細胞を少なくとも部分的に溶解するのに十分であるステップと;対象の細胞から放出した成分を分析するステップと;を具えてもよい。いくつかの態様においては、対象の細胞は限定しないが例えば、有核血液細胞、初代細胞、細胞株、腫瘍細胞、疾患細胞、感染細胞、組換え細胞、トランスフェクト細胞、操作細胞、又は変異細胞であってもよい。いくつかの態様においては、細胞集団は限定しないが例えば、血液、リンパ、脳脊髄液、骨髄、外科試料、生検材料、細胞培養液、細胞ライブラリ、及び操作された細胞集団等に由来する細胞集団であってもよい。いくつかの態様においては、本方法は更に例えば、細胞集団を少なくとも1の対象の細胞に特異的な標識と接触させてもよい。標識は例えば、ポリクローナル抗体若しくはモノクローナル抗体、抗体のフラグメント、レクチン、リガンド、タンパク質、ペプチド、脂質、アミノ酸、核酸、ロックド核酸(LNA)といった修飾核酸、合成小分子、又は標識用のその他の成分のうちの1以上を含んでもよい。限定しないがいくつかの態様においては、標識は例えば、ホースラディシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、βラクタマーゼ、Cy3若しくはCy5、フルオレセインイソチオシアナート、フィコアロシアニン(phycoallocyanin)、フィコエリトリン、ローダミン、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシローダミン(R6G)、Texas Red、ALEXAFluor Dye、BODIPYフルオロフォア、Oregon Green、クマリン及びクマリン誘導体、又はTAMRAのうちの1以上を含んでもよい。いくつかの態様においては、標識は更にナノ粒子を含んでもよい。いくつかの態様においては、ナノ粒子はエネルギービームを介した細胞溶解の効率を改善してもよい。
【0020】
いくつかの態様においては、検出ステップは例えば、細胞集団をイメージングするステップを含みうる。更に検出ステップは例えば、標識の存在によって少なくとも1の対象の細胞を検出するステップを具えうる。いくつかの態様においては、本方法は更に、リボヌクレアーゼ抑制物質を提供するステップを具えてもよい。いくつかの態様においては、細胞集団は例えば2以上の容器に分割してもよい。いくつかの態様においては、本方法は更に例えば、Fc受容体を遮断する試薬を添加するステップを具えてもよい。
【0021】
いくつかの態様においては、少なくとも1の対象の細胞は例えば、10,000中約1未満の濃度で細胞集団に存在してもよい。いくつかの態様においては、少なくとも1の対象の細胞は例えば、100,000の細胞中に約1ないし10,000,000の細胞中に約1の濃度で前記細胞集団に存在できる。
【0022】
いくつかの態様においては、本方法は更に例えば、前記放出した細胞成分を最低でも採取するステップを具えてもよい。例えば、細胞成分は限定しないが、核酸、ポリペプチド、脂質、小器官等であってもよい。
【0023】
いくつかの態様においては、この分析は例えば、PCR、RT−PCR、定量RT−PCR、マイクロアレイ解析、ヌクレアーゼプロテクション解析、Quantigene分析、Taqman SNPアッセイ、PCR制限断片長多型、RNA塩基配列決定法、DNA塩基配列決定法、次世代塩基配列決定法、Single Molecule Real Time(SMRT)DNA次世代塩基配列決定技術、又はNanostring技術のうちの1以上を具えてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態は本明細書中の上述及び他の場所に記載の方法のうちの1以上、ならびに本明細書中に記載の方法の個々のステップ又は特徴のうちの1以上を実行するように構成されるデバイス、システム及び装置に関する。
【0025】
前述は概要であり、ひいては必要に応じて詳細の簡素化、一般化、及び省略を含んでいる。結果的に、当該技術分野の当業者は本概要が単なる例示であり、任意の方法で限定することを目的とするものではないことを理解するであろう。本明細書中に記載の方法、組成物及び/若しくはデバイス、ならびに/又は他の発明の対象の他の態様、特徴、及び利点は、本明細書で説明される教示で明確となるであろう。本概要は、詳細な説明において以下に更に説明される単純化した形態で、概念の選択を誘導するように規定される。本概要は、請求項の発明の対象の主要な特徴又は必須の特徴を同定することを目的とするものではなく、請求項の発明の対象の範囲を決定する補助として用いることを目的とするものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本開示の前述及び他の特徴は、添付の図面と連携して以下の説明及び添付した特許請求の範囲から更に十分に明確となるであろう。これらの図面が本開示によるいくつかの実施形態のみを示し、ゆえに範囲の限定と見なすべきではないとの理解で、本開示は添付の図面を用いることを通して更に限定してかつ詳細に記載されるであろう。
【0027】
【図1】図1は、様々な処置後の組織培養ウェルにおけるリボヌクレアーゼ活性を示すグラフである。
【図2】図2は、溶解細胞由来のRNAの収量に対する多様な培地配合物の効果を示すグラフである。
【図3】図3は、ヒトPBMCのバックグラウンドにおける免疫染色したSW480細胞の画像である。矢印はSW480細胞を示す。
【図4】図4は、溶解した単一のSW480細胞由来のKi−ras遺伝子のコドン12における変異の存在を示す配列トレースである。
【図5】図5は、レーザを介した溶解の効率に対する金のナノ粒子標識の影響を示すグラフである。
【図6】図6は、16の単一の腫瘍細胞試料における5の選択した遺伝子の検出を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲に記載の例示的な実施形態は限定を意味するものではない。本明細書中の教示は多数の異なる方法に適用でき、例えば請求項によって規定及び網羅されるものを含みうる。本明細書における態様は広範で多様な形態で具現化でき、本明細書中に開示の特定の構造、機能、又はその双方は単なる代表例であることは明確とすべきである。本明細書中の教示に基づいて、当該技術分野の当業者は、本明細書中に開示された態様がその他の態様とは独立に実装してもよく、これらの態様のうちの2以上を様々な方法で組み合わてもよいことを理解するであろう。例えば、当該技術分野の当業者が本明細書で説明した態様の適切な数量又は組み合わせを用いることによって、システム又は装置は実装され、あるいは方法が実行されうる。更に、本明細書で説明した態様のうちの1以上の態様に加えて、あるいはそれ以外の他の構造、機能、又は構造及び機能を用いて、このようなシステム又は装置が実施され、あるいはこのような方法が実行されうる。本明細書で示した発明の対象の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態が用いられ、他の変更がなされうる。本開示の態様は、一般的に本明細書に記載するように、かつ図面に例示したように、広範で多様な形態で配置、置換、組み合わせ、及び設計することができ、その総ては明確に考慮され、本開示の一部をなすことは容易に理解されよう。その他の実施形態は開示及び特許請求の範囲に含まれるため、開示の実施形態は以下に記載の実施例に限定するものではない。
【0029】
本明細書中に開示のいくつかの実施形態は、不均一な細胞集団の内部に存在する細胞の特異的な遺伝学的解析のための方法に関する。いくつかの実施形態においては、対象の細胞は同定され、同定した細胞は、標的の1以上の細胞を溶解させるのに十分なエネルギーでの前記細胞の照射によって、その細胞成分を周囲の培養基に放出させ、放出した核酸を含む培養基は標本抽出され、標本抽出した培養基における物質、例えば標本抽出した培養基に存在する核酸が分析される。いくつかの実施形態においては、「希有な(rare)」細胞は1,000中に1ないし100,000,000中に1程度に既定の細胞集団に希有に存在する。いくつかの好適な実施形態においては、希有な細胞は100,000中に1ないし1,000,000中に1程度に既定の細胞集団に希有に存在する。他の好適な実施形態においては、希有な細胞は1,000,000中に1ないし10,000,000中に1程度に既定の細胞集団に希有に存在する。
【0030】
希有な細胞の分析用の方法の固有の特徴は分析すべき細胞が分析前に任意の方法で精製又は機械的処置を行う必要がないことである。更には、本方法は非常に特異的にできる。分析の特異性は溶解すべき細胞の照射の正確性にある。レーザを用いて、例えば単一の細胞を標的にでき、混合した細胞集団内で特異的に溶解でき、細胞分析における非常に高い特異性を提供できる。更に、対象の細胞の特異的な同定を検出目的のみに、例えば機械的分離のため以外に用いてもよい。この属性によって、機械的制約を考慮する必要がないため、細胞標識の強度の点で更に高い許容度を可能にする。更に、様々な標識の組合せは現行の技術に容易に用いることができる。最後に、分泌生成物の測定(Hananiaら,Biotech,and Bioengineering,91(7),2005、その全体が引用によって本明細書中に組み込まれる)といった機能的な標識は、いくつかの実施形態においてはを循環性の腫瘍細胞の同定に用いられうる。分泌生成物は細胞の表面又は細胞の近傍に捕捉して、例えば、その全体が引用によって本明細書中に組み込まれる米国特許第7,425,426号に記載の標識抗体を用いて、分析及び更なる検出をしてもよい。
【0031】
上述したように、本方法は、例えば他の細胞の混合物に存在する対象の細胞由来の核酸といった細胞由来の物質を分析するのに用いてもよい。核酸はリボヌクレオチド若しくはデオキシリボヌクレオチド、又は双方の混合物の高分子である。RNAは一般的には長さが50ないし10,000ヌクレオチドのリボヌクレオチドの高分子であり、DNAは一般的には長さが50ないし220,000,000ヌクレオチドのデオキシリボヌクレオチドの高分子である。限定しないが、この技術を用いて溶解細胞から得られうる核酸は、メッセンジャーRNA(mRNA)、マイクロRNA、tRNA、rRNA、ウイルスRNA、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)といった挿入したコンストラクトから発現するRNA、又はsiRNA、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、及びウイルスDNAといった細胞に形質移入されたRNAを含む。
【0032】
得られた核酸は多様な方法で分析でき、限定しないが:PCR;RT−PCR;Taqmanプローブ又はSybrグリーンケミストリーを用いた定量RT−PCR;例えばSequenom社(カリフォルニア州サンディエゴ)のMass Arrayシステムを用いた定量RT−PCR;マイクロアレイ解析;ヌクレアーゼプロテクション解析;Quantigene分析(Panomics社);Taqman SNPアッセイ;PCR制限断片長多型;RNA塩基配列決定法;DNA塩基配列決定法;Illumina Genome Analyzer、あるいはABI Solid型式の機器、あるいはRoche454型式の機器、あるいはHelicos Biosciences社(マサチューセッツ州ケンブリッジ)のHeliscope型式の機器を用いた次世代塩基配列決定法;Single Molecule Real Time(SMRT)DNA次世代塩基配列決定技術(カリフォルニア州メンロパークのPacific Biosciences社);及びNanostring形式の技術(ワシントン州シアトルのNanostring Technologies社);を含む。
【0033】
細胞は任意の起源のものにでき、原核細胞及び真核細胞を含む。限定しない例は哺乳類細胞、齧歯類細胞、非ヒト霊長類細胞、及びヒト細胞を含む。細胞は例えば、血液、リンパ、脳脊髄液、骨髄、外科試料、又は生検材料等から得てもよい。分析すべき細胞は更に、例えば細胞培養液、細胞ライブラリ、及び操作された細胞集団から得てもよい。本明細書中に開示の方法で用いる前に、細胞は例えば、密度勾配遠心分離(density centrifugation)、免疫磁気式濃縮(immunomagnetic enrichment)、固定化抗体の捕捉を介した濃縮、蛍光標識細胞分取(FACS)、膜濾過、無関係な細胞の凝集、及び無関係な細胞の化学的溶解によって精製してもよい。細胞は例えば、有核血液細胞、初代細胞、細胞株、腫瘍細胞、疾患細胞、感染細胞、トランスフェクト細胞、操作細胞、及び変異細胞等を含むことができる。
【0034】
標的細胞からの細胞成分の放出は、細胞を部分的に溶解させるのに十分な放射線量で標的細胞を照射することによって達成できる。好適な照射源は、細胞を溶解させるのに十分な波長とエネルギーのレーザである。いくつかの実施形態においては、本開示の方法において有用なレーザは100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1200、1400、1600、1800、2000、2200、2400、2600、2800、及び3000nmの群から選択される任意の範囲に等しい、あるいはその間にある波長の放射線を送達するレーザである。いくつかの実施形態においては、例えば、波長は約355nmないし約2940nm、好適には355ないし1064nm、最も好適には355ないし532nmにできる。いくつかの実施形態においては、本開示の方法において有用なレーザは、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、30、40、50、60、70、80、90、及び100J/cm未満、それを超える、それに等しい、あるいはその間の任意の数の群から選択されるエネルギー密度の放射線量を送達することができる。いくつかの実施形態においては、本開示の方法において有用なレーザは、10、10、10、1010、及び1011W/cm未満、それを超える、それに等しい、あるいはその間の任意の数の群から選択される照射量の放射線量を送達することができる。本明細書中で用いられるように、照射量という用語は面積あたりの動力を意味し、多くの場合1平方センチメータあたりのワット単位で示される。いくつかの実施形態においては、LEAP(登録商標)型式の細胞処理ワークステーション(Cell Processing Workstation:カリフォルニア州サンディエゴのCyntellect社)は細胞を同定及び照射するのに用いることができる。更に、その全体が引用によって本明細書中に組み込まれる米国特許第6,514,722号に開示のデバイス、システム、及び方法を利用してもよい。
【0035】
レーザは他の細胞を顕著に溶解することなく、希有な細胞を特異的に溶解させるのに用いることができる。いくつかの実施形態においては、他の細胞を顕著に溶解することなく、細胞集団における10%未満の希有ではない細胞がレーザによって溶解されることが示されている。いくつかの好適な実施形態においては、他の細胞を顕著に溶解することなく、細胞集団の9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、又は2%未満の希有ではない細胞がレーザによって溶解されることが示されている。更に好適な実施形態においては、他の細胞を顕著に溶解することなく、細胞集団の1%未満の希有ではない細胞がレーザによって溶解されることが示されている。更なる好適な実施形態においては、他の細胞を顕著に溶解することなく、希有な細胞と比較してわずかな希有ではない細胞がレーザによって溶解されることが示されている。
【0036】
いくつかの実施形態においては、本明細書中に記載の方法は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20平方センチメートル未満に等しい、あるいはその間の任意の数の生物学的試料を最低でも1分あたりにイメージングする。いくつかの実施形態においては、本明細書中に記載の方法は少なくとも5万、10万、25万、50万、100万、2000万、400万、又は800万の生物学的試料の細胞を含む細胞集団で1分あたりに行われる。
【0037】
リボヌクレアーゼ抑制物質は、リボヌクレアーゼA、リボヌクレアーゼB、リボヌクレアーゼC、リボヌクレアーゼT1、リボヌクレアーゼH、リボヌクレアーゼP、リボヌクレアーゼI、及びリボヌクレアーゼIIIを含む、既知のリボヌクレアーゼのうちの任意又は総ての活性を抑制するタンパク質、タンパク質のフラグメント、ペプチド、又は小分子である。既知のリボヌクレアーゼ抑制物質の一部の例は限定しないが、ScriptGuard(ウィスコンシン州マディソンのEpicentre Biotechnologies社)、Superase−in(テキサス州オースティンのAmbion社)、Stop RNase Inhibitor(メリーランド州ゲイサーズバーグの5PRIME社)、ANTI−RNase(Ambion社)、RNase Inhibitor(クローン化物質:Ambion社),RNaseOUT(商標)(カリフォルニア州カールズバッドのInvitrogen社)、Ribonuclease Inhib III(Invitrogen社)、RNasin(登録商標:ウィスコンシン州マディソンのPromega社)、Protector RNase Inhibitor(インディアナ州インディアナポリスのRoche Applied Science社)、Placental RNase Inhibitor(オハイオ州クリーブランドのUSB社)、及びProtectRNA(商標:ミズーリ州セントルイスのSigma社)を含む。いくつかの実施形態においては、リボヌクレアーゼ抑制物質は細胞の位置に、例えば分析すべき1以上の細胞を含むウェルに、ウェルにおけるリボヌクレアーゼ活性を顕著に抑制するのに十分な、1ないし100%、好適には20ないし100%、最も好適には50ないし100%の濃度で添加してもよい。
【0038】
いくつかの実施形態においては、対象の1以上の細胞の同定は対象の1以上の細胞を特異的に結合するが、分析すべきではない混合物中の他の細胞には結合しない薬剤を用いて実現できる。標識薬剤は任意の薬剤にでき、ポリクローナル抗体若しくはモノクローナル抗体、又はFab、F(ab’)2、Fd、及びFvといったそのフラグメントを含む。標識薬剤は例えばレクチンにできる。標識薬剤は、検出可能な信号、例えば蛍光、化学発光、蛍光寿命、蛍光偏光、及び回折等といった光の特性として検出可能な信号を精製できる任意の部分を用いて標識できる。標識薬剤は更に、例えばホースラディシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、及びβラクタマーゼ等といった酵素標識を用いて標識できる。いくつかの態様においては、フルオロフォアが好適である。好適なフルオロフォアは、例えば好適とされるCy3又はCy5、フルオレセインイソチオシアナート、フィコアロシアニン、フィコエリトリン、好適にはローダミン、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシローダミン(R6G)、Texas Red、ALEXAFluor Dyes、BODIPYフルオロフォア、Oregon Green、クマリン及びクマリン誘導体、ならびにTAMRA等を含んでもよい。
【0039】
いくつかの実施形態においては、Fc受容体を遮断する試薬を更に用いてもよい。例えば、遮断試薬によって標的細胞又は標識細胞の細胞性の死滅を防止できる。添加した腫瘍細胞の細胞性の死滅は、腫瘍細胞上の表面抗原に対する腫瘍細胞及び一次ヒトPBMCの一次抗体との混合を染色した後に観察された。この効果はPBMC、好適には単球又はマクロファージの腫瘍細胞との付着が明確に観察されたので明確となった。いくつかの態様においては、Fc受容体を遮断する試薬の含有は、所望されない可能性のあるこの効果を予防するのに用いられる。Fc受容体を遮断する試薬は抗体のFc領域の細胞上に存在するFc受容体との相互作用を遮断する。Fc受容体を遮断する試薬は例えば、受容体結合に対する細胞標識のために用いられる抗体と競合する免疫グロブリンであってもよい。更には、Fc受容体に結合し遮断する特異的な抗体を更に用いてもよい。抗体のFc領域のFc受容体への結合を抑制する小さな合成分子は更に、Fc受容体の遮断試薬として用いてもよい。好適な遮断試薬は例えば、Miltenyi Biotec社(カリフォルニア州オーバーン)のFcR遮断試薬を含む。
【0040】
発現プロファイル用に用いられるマイクロアレイは、当該技術分野の当業者に既知のいくつかの異なる様式で売られている。限定しない例は、米国特許第5,445,934号、第7,378,236号、及び第6,326,489号に示され、その各々は、その方法、物質及び教示の総てについてその全体が引用によって本明細書中に組み込まれる。ほとんどのマイクロアレイはDNAの空間配置の進展を用いて、ハイブリダイゼーションによる溶液中の対応するcDNA又はcRNAの量(集団的に「標的(target)」と知られる)を測定している。マイクロアレイにある点から生成される信号は試料中の特定の配列、一般的には特定の遺伝子の発現と相関される。一般的には、異なるcDNA又はcRNAの数百ないし数千の発現はマイクロアレイでアッセイされる。マイクロアレイは更に、ゲノムDNAにおける遺伝子のコピー数の変動(Pinkelら,1998、その全体が引用によって本明細書中に組み込まれる)、単一のヌクレオチド多型の存在(Pastinenら,2000、その全体が引用によって本明細書中に組み込まれる)、及びゲノムDNAのメチル化状態(Yanら,2001、その全体が引用によって本明細書中に組み込まれる)を評価するのに用いることができる。新規のマイクロアレイはVeracodeシステム(カリフォルニア州サンディエゴのIllumina社)といったビースによるアレイを含む。Nanostring社(ワシントン州シアトル)は「逆(reverse)」確率順序マイクロアレイを市販し、DNAの標的は、平面で固定及び分析される。任意のこのようなマイクロアレイは、本明細書中に開示の方法、システム及び装置に組み込むことができる。
【0041】
いくつかの実施形態においては、ナノ粒子は例えば細胞の溶解を補助するために本方法、物質、装置及びシステムに組み込んでもよい。ナノ粒子は細胞のレーザを介した溶解を促進するのに用いることができる。ナノ粒子は大きさが1ないし1000nm、好適には2ないし500nm、最も好適には3ないし100nmの範囲にある粒子である。ナノ粒子は広範で多様な物質で生成でき、金及び銀といった貴金属、ならびにリン化インジウム及び硫化カドミウムといった半導体物質を含む。ナノ粒子は、当該技術分野の当業者に既知の様々な方法を介して製造できる。例は金溶液の沈殿の制御を介して形成される金のナノ粒子を含む(Turkevichら,1951、その全体が引用によって本明細書中に組み込まれる)。ナノ粒子はコーティングして、懸濁液における粒子を安定化させるか、あるいはナノ粒子の細胞毒性を低減できる。例えば、金のナノ粒子をウシ血清アルブミンでコーティングして、懸濁液を安定化してもよい。ナノ粒子は分子に付着して、細胞との結合を促進できる。ナノ粒子の付着用の好適な分子の限定しない例は、抗体、抗体フラグメント、タンパク質、ペプチド、レクチン、脂質、アミノ酸、核酸、ロックド核酸(LNA)といった修飾核酸、合成小分子を含む。前記分子をナノ粒子に付着させるためのいくつかの限定しない方法は、当該技術分野の当業者に既知である。付着は例えば共有結合性又は可逆性であってもよく、静電性又は疎水性の相互作用を含む。いくつかの実施形態においては、ナノ粒子は標的細胞のレーザ照射の前の処理における任意の時点で細胞に添加できる。例えば、ナノ粒子は最初の細胞染色ステップ中、あるいは細胞がウェルに分配された後に添加できる。
【0042】
ナノ粒子の好適な表面修飾のためのスクリーニング方法が考案された。多様な細胞型は1μMの最終濃度のCalceinAMで装填され、マルチウェルプレートに播種された。濃度の範囲であり、表面修飾が異なるナノ粒子は異なるウェルに添加された。細胞はLEAP型機器でレーザパルスで照射され、細胞の溶解はすなわちレーザ処理後のCalceinAM陽性細胞の低減として測定した。レーザを介した細胞の溶解を増加させるための異なるナノ粒子のコーティングの効力は溶解効率に対するナノ粒子濃度の用量反応曲線からEC50値を得ることによって測定した。
【実施例1】
【0043】
《ヒト血液由来の腫瘍細胞の循環分析》
一実施形態においては、患者からのヒト血液は採取され、当該技術分野の当業者に既知の方法を含む任意の好適な方法、例えば緩衝液を含む塩化アンモニウムを用いて赤血球を溶解することによって、赤血球を枯渇させた。赤血球を枯渇した血液試料は循環性の腫瘍細胞を特異的に同定し、蛍光といった光の特性によって検出可能となる標識抗体と混合される。フィコエリトリン接合型の抗EpCAM抗体はこのような抗体の例である。このような抗体は例えば多様な市販の原料から得ることができる。標識されない一次抗体と一次抗体に対して配向される標識した二次抗体との混合物を更に用いてもよい。実施例はマウス抗EpCAMの一次抗体とヤギ抗マウス型のフィコエリトリンで標識した二次抗体とを含む。洗浄後、細胞は384ウェルプレートといったマルチウェルプレートに、1のウェルにつき10ないし100,000の細胞密度で分割できる。腫瘍細胞は例えば、プレートをイメージングして、腫瘍細胞を同定することによって同定してもよい。必要に応じて、リボヌクレアーゼ抑制物質は1以上の腫瘍細胞を含むウェルに添加でき、例えば、標的細胞を実質的に溶解するのに十分なレーザパルスで照射することによって溶解される。培地は吸引してもよい。採取したRNAは例えば、遺伝子の選択数に対するRT−PCR、マイクロアレイ遺伝子発現プロファイル、次世代塩基配列決定法、又は任意の他の好適な方法を含む任意の好適な方法によって分析できる。いくつかの実施形態においては、生成したデータは、例えば癌検診、癌診断、癌の予測、治療のモニタリング、治療の選択のために、あるいは癌検診、癌診断、癌の予測、治療のモニタリング、及び治療の選択のために好適な標識を同定するための回収段階で用いることができる。
【実施例2】
【0044】
《レンチウイルスのトランスフェクト細胞の分析》
別の実施形態においては、100ないし100,000,000のshRNA、shRNAmir(アラバマ州ハンツビルのThermo Fisher Scientific社)、又はcDNAといった、異なるDNAコンストラクトのレンチウイルスのライブラリは細胞集団に感染させる。しばらくして、光の特性の形態での機能的な読出し情報、例えば緑色蛍光タンパク質といった蛍光性のレポータータンパク質のレベルにおける変化を用いて、所望の特性を有する感染したDNAコンストラクトを含む1以上の細胞を同定できる。所望の特性は例えば、タンパク質の発現又は分泌、炭水化物又は脂質の発現、信号伝達経路の活性化又は不活性化、タンパク質の細胞内分布、タンパク質、炭水化物、又は脂質の結合特性を含みうる。必要に応じて、リボヌクレアーゼ抑制物質は分析すべき細胞を含むウェルに添加してもよい。同定した1以上の細胞は、例えば標的細胞を溶解するのに十分なレーザパルスでの照射によって溶解できる。培地は例えば吸引して、採取してもよい。溶解細胞中に存在するDNAコンストラクトは例えば、PCR、PCR及び塩基配列決定法、RT−PCR、RT−PCR及び塩基配列決定法、マイクロアレイ解析、次世代塩基配列決定、又はその他の好適な方法を通して同定してもよい。
【実施例3】
【0045】
《タンパク質変異体を発現する細胞の分析》
別の実施形態においては、対象のタンパク質の変異体のDNAライブラリを発現する細胞集団は、例えばイメージングによって分析されて、所望の特性でタンパク質変異体を発現する1以上の細胞を同定する。所望の特性は例えば:タンパク質発現のレベル;細胞内及び細胞外のタンパク質の分布;タンパク質の折畳み構造;タンパク質の熱安定性;細胞をサイトカイン、ケモカイン、インターロイキン、増殖因子、神経伝達物質、及び脂質といった外因性薬剤で刺激した後のタンパク質局在化の変化;を含む。DNAを分析すべきである場合は、同定した細胞は標的細胞を溶解するのに十分なレーザパルスで照射することによって溶解してもよい。培地は吸引してもよく、溶解細胞内に含まれるDNAコンストラクトは例えば、PCR又はPCR及び更なる塩基配列決定法によって同定してもよい。RNAを分析すべきである場合は、リボヌクレアーゼ抑制物質はウェルにおけるリボヌクレアーゼ活性を顕著に阻害するのに十分な濃度でウェルに添加でき、同定した細胞は例えば、標的細胞を溶解するのに十分なレーザパルスで照射することによって溶解してもよい。培地は吸引でき、溶解細胞内に含まれる核酸コンストラクトは例えば、RT−PCR又はRT−PCR及び更なる塩基配列決定法等によって同定してもよい。
【実施例4】
【0046】
《組織培養細胞の分析》
別の実施形態においては、組織から分離した初代細胞は細胞培養液のプレートで培養される。例えば、ペプチド、タンパク質、タンパク質のフラグメント、小分子、脂質、カンナビノイド、アミノアルキルインドール、エイコサノイド、天然抽出物、及び分取した組織抽出物等にできるリガンドは細胞を含む細胞培養液のウェルに添加してもよい。リガンドの添加に反応する細胞は例えば:FLUO4(Invitrogen社)といったCa2+反応性染料によって測定される細胞内Ca2+の上昇又は減少等といった光の特性における変化;細胞形状における変化;細胞によって発現したレポーター遺伝子由来の信号の変化;あるいはヨウ化プロピジウムといった検出可能な染料の細胞への流入;によって同定できる。リボヌクレアーゼ抑制物質はウェルにおけるリボヌクレアーゼ活性を顕著に抑制するのに十分な濃度で、リガンドの添加に反応する細胞を含むウェルに添加できる。同定した細胞は例えば、標的細胞を溶解するのに十分なレーザパルスで照射することによって溶解してもよい。培地は例えば吸引によって採取でき、培地に放出されるRNAは例えば、RT−PCR、定量RT−PCR、マイクロアレイ解析、次世代塩基配列決定法、Nanostring形式の技術、Quantigeneアッセイ(カリフォルニア州フレモントのPanomics社)、Quantiplexアッセイ(Panomics社)、又は任意の他の好適な方法を用いて測定してもよい。発現データの反応細胞及び反応しない細胞との比較によって、例えば、添加したリガンドに対する反応性の要因となる1以上のmRNA及び対応する1以上のタンパク質の同定を可能にする。更に、反応細胞からの発現データは反応する細胞型を同定することができる。
【実施例5】
【0047】
《「分割(partitioning)」技術を用いたヒト血液由来の循環性の腫瘍細胞の分析》
別の実施形態においては、患者からのヒト血液は採取され、赤血球が枯渇され、循環性の腫瘍細胞を特異的に同定し、かつ、蛍光といった光の特性によって検出可能となる標識抗体と混合される。フィコエリトリン接合型の抗EpCAM抗体はこのような抗体の例である。洗浄後、細胞は384ウェルプレートといったマルチウェルプレートに、1のウェルにつき100ないし100,000の細胞密度で播種される。マルチウェルプレートは腫瘍細胞を同定するのにイメージングされる。いくつかの態様においては、分割が利用できる。分割とは、サンプルを部分的なサンプルに分割し、部分的なサンプルを容器、あるいはマルチウェルプレートのウェルといった別個に分割された格納領域に配置することである。いくつかの実施形態においては、本方法は各々の容器の領域全体を実質的にイメージングしてどの容器が希有な細胞を含むかを判定する。本明細書中で用いられるように、「各々の容器の領域全体を実質的に(substantially the entire area of each bin)」は例えば、容器の領域の65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、及び100%より大きい、それと等しい、あるいはその間の数又は範囲を含んでもよい。多数のウェルに血液試料を分配する分割の効果によって、希有な腫瘍細胞の濃度は、存在する希有なウェルで増加する。1ウェルあたりの血液細胞の数が5,000である場合、単一の腫瘍細胞の濃度は腫瘍細胞が存在するウェルにおいては5,000中に1であり、腫瘍細胞が存在しないウェルにおいては0となる。腫瘍細胞が検出されうる特定のウェルにおける腫瘍細胞の発生頻度の明確な増加は従って、遺伝子分析の感受性を増加させる。1以上の腫瘍細胞を含む1以上のウェルは例えば、RLT緩衝液(Qiagen社)を用いて溶解される。RNA及び/又はDNAは例えば、PCR、PCR及び塩基配列決定法、RT−PCR、RT−PCR及び塩基配列決定法、定量RT−PCR、マイクロアレイ解析、次世代塩基配列決定法、Nanostring形式の技術、Quantigeneアッセイ、Quantiplexアッセイ、又はその他の好適な方法によって抽出及び分析される。
【実施例6】
【0048】
《溶解細胞由来のRNAの回収時のリボヌクレアーゼ抑制物質及びRNA担体の効果》
本実施例は試薬配合物によって溶解したHeLa細胞由来のRNAの回収の最適化について述べる。単一の細胞は10ないし100pgの全RNAを含みうる。細胞培養液のプレートのウェルにおいて生じた単一細胞の溶解には、放出される少量のRNAが表面への吸収によって、あるいは培地に存在するか、溶解細胞から放出されるかのいずれかであるリボヌクレアーゼによる分解を通して失われるのではないかという懸念がある。
【0049】
リボヌクレアーゼ活性に関する試験は以下のように行った。384ウェルのC−lect(商標)型式のプレート(カリフォルニア州サンディエゴのCyntellect社)は、細胞培養液のインキュベータにおいて、ウシ胎仔血清(Invitrogen社)が10%である100μlの完全培地(MEM:Invitrogen社)で、37℃で一晩インキュベーションを行った。インキュベーション後、ウェルは手動式のマルチピペットを用いてHank’s Balanced Salt Solution(HBSS:Invitrogen社)で3回洗浄した。RNAse Alert試薬(Ambion社)は製造業者の推奨どおりに混合し、組織培養ウェルに添加した。37℃で30分間のインキュベーション後、試料はGeniosプレートリーダ(Tecan社)で読み取られた。結果は図1に示す。試験された条件はHBSS洗浄の有無(+/−)及び1ユニット/μlの最終濃度でのリボヌクレアーゼ抑制物質(ScriptGuard(登録商標):Epicentre Biotechnologies社)の添加の有無(+/−:「RNAse Inh」と称する)であった。結果は:a)完全培地はRNAse Alertキットの正のコントロールと等量の多量のリボヌクレアーゼ活性物質を含み、それは1ウェルあたり50×10−6ユニットのリボヌクレアーゼAであり;b)リボヌクレアーゼ抑制物質の添加によって、リボヌクレアーゼ活性物質の量が有意に低減し;c)HBSSでウェルを3回洗浄することによって、ウェルにおけるリボヌクレアーゼ活性は低減するが除去されず;d)HBSSでウェルを洗浄し、かつリボヌクレアーゼ抑制物質を添加することによって、リボヌクレアーゼ活性物質の量が最小となる;ことを示した。この実験から、リボヌクレアーゼ抑制物質の添加によって、ウェルにおける溶解細胞由来のRNAの回収が促進できると結論づけた。
【0050】
1ウェルあたり約200のHeLa細胞が、384ウェルのC−lect型式のプレート(Cyntellect社)に播種された。播種の翌日に、細胞はCalceinAM(Invitrogen社)で染色され、ウェルはHBSSで洗浄された。20のHeLa細胞はLEAP型機器(Cyntellect社)を用いて、エネルギーが10.4μJで、かつレーザスポットの直径が17.2μmの532nmのレーザパルスで照射することによって溶解された。半分の培地(HBSS)が採取され、そこからRNAがRNeasyマイクロカラム(カリフォルニア州バレンシアのQiagen社)を用いて抽出した。RNA収量は全RNAの指標としてGAPDH mRNAを定量することによって見積もられた。GAPDH mRNAは、ABI7500型式の実時間PCR機器(カリフォルニア州フォスターシティのApplied Biosystems社)で絶対定量的なSybrグリーンでのRT−PCRアッセイを用いて定量した。逆転写はHigh Capacity cDNA合成キット(Applied Biosystems社)を用いて行われ、SybrグリーンによるPCRはMaxima SybrグリーンとqPCRとの混合物(メリーランド州グレンバーニーのFermentas社)を用いて行われた。以下の培地配合物が多様な組合せ:1倍濃度のリボヌクレアーゼ抑制物質(1U/μl;ScriptGuard:「RNAse Inh」と称する)の有無(+/−);RNA担体(PI:1ウェルあたり100ngのポリイノシン酸;SIGMA社)の有無(+/−);2倍濃度のリボヌクレアーゼ抑制物質の有無(+/−);で試験された。正のコントロールとして、ウェルにおける総ての細胞は100ngのポリイノシン酸を含むRLT(Qiagen社のRNeasyキット)の添加によって溶解され、RNAはRNeasyマイクロカラムで精製され、上述のとおりRT−PCRによって分析した。GAPDH mRNAの量は正のコントロールに対して規格化され、予期される量に対する割合(%)として示している。結果は図2に示される。データは:a)HBSSにおける20の細胞の溶解によってGAPDH mRNAの収量が4.0%となり;b)ポリイノシン酸の添加のみによっては、RNAの収量は有意に改善されず;c)リボヌクレアーゼ抑制物質の添加によって、RNAの収量が53.3%に劇的に改善され;d)リボヌクレアーゼ抑制物質の量の増加によっては、RNAの収量が改善されない;ことを示した。リボヌクレアーゼ抑制物の添加によって、溶解細胞由来のRNAの収量が有意に改善されることが結論づけられた。
【実施例7】
【0051】
《ヒト血液細胞における希有な腫瘍細胞の変異分析》
関連モデルにおける希有な細胞の遺伝子成分を分析する能力を試験するために、ヒト結腸直腸細胞株SW480由来の細胞がヒト末梢血の単核細胞(PBMC)に添加された。SW480細胞はKi−ras遺伝子における変異を含むことで知られ(McCoyら,“Characterization of a human colon/lung carcinoma oncogene.”Nature.1983 302(5903):79−81、その全体が引用によって本明細書中に組み込まれる)、結腸直腸癌、肺癌、及び膵癌で共通である(Bosら,Nature(1987)327:293−297;Slebosら,N.Engl.J.Med.(1990)323:561−565;及びAlmogueraら,Cell(1988)53:549−554、その全体の引用によってその各々が本明細書中に組み込まれる)。変異を検出するために、変異を含むKi−ras mRNAのフラグメントはRT−PCRによって増幅され、PCR産物が配列決定された(カリフォルニア州サンディエゴのEton Bioscience社)。変異はKi−ras遺伝子のコドン12におけるGからTへの変換である。SW480細胞を同定するために、EpCAMに対するフィコエリトリン接合型の抗体(カリフォルニア州サンディエゴのeBioscience社)を用いた。EpCAMは上皮細胞接着分子のことである。それは上皮細胞で発現し、循環する癌細胞を同定及び分離するのに頻繁に用いられる。SW480細胞は新しいPBMC(カリフォルニア州ヘイワードのAllCells社)と懸濁液において混合され、1μMの濃度のCalceinAM(Invitrogen社)と1.25ng/μlの濃度のEpCAM抗体で染色した。HBSSで3回洗浄した後、細胞は384ウェルのC−lect型式のプレート(Cyntellect社)に1600のPBMCと平均して1ウェルあたり2分の1のSW480細胞が得られる密度で分配した。プレートはLEAP型機器(Cyntellect社)でイメージングした。単一のSW480細胞を含むウェルを同定し、リボヌクレアーゼ抑制物質(Epicentre Biotechnologies社のScriptGuard)及びポリイノシン酸(Sigma社)の混合物は、総容量20μlにおいて、それぞれ1ユニット/μl及び100ng/ウェルの最終濃度に添加した。単一のSW480細胞はエネルギーが6.9μJで、かつスポットの直径が24μmの532nmのレーザパルスで照射することによって溶解された。溶解後、ウェルから培地の半分が吸引され、RNeasyキット(Qiagen社)のRLTと混合した。RNAは製造業者の手順を用いてRNeasyマイクロカラムを用いて精製した。Ki−ras mRNAにおける変異にわたるフラグメントはHigh Capacity cDNA Reverse Transcriptionキット(Applied Biosystems社)及びTitanium PCR kit(Clontech社, カリフォルニア州マウンテンビュー)を用いたRT−PCRによって増幅した。PCR増幅産物は、PCRプライマーが第1のプライマー対の内部にあるネステッドPCRを用いて更なるラウンドで増幅された。このステップはKi−rasの存在量がSW480細胞において比較的低いために用いられうる。ネステッドPCRの産物はPCRquickキット(Qiagen社)を用いて精製され、塩基配列決定法(Eton Bioscience社)によって分析した。図3は約1,600のPBMCのバックグラウンドにおける単一のSW480細胞(矢印)を示す。画像は元来2色であり、SW480細胞は緑色、PBMCは赤色である。SW480細胞はRT−PCR及び塩基配列決定法によって溶解及び分析された。図4は1,600のPBMCのバックグラウンドにおけるレーザを介した溶解によって溶解した単一のSW480細胞を分析することで得られる配列トレースにおける変異の存在を示す。塩基85は変異遺伝子型において「A」であり、標準遺伝子型において「C」である。配列トレースはPCR増幅産物のアンチセンス鎖から生成され、ひいては「A」はmRNAにおける「U」に対応し、「C」はKi−ras mRNAにおける「G」に対応する。384ウェルプレートは全部で1,600×384PBMC=614,400のPBMCに含まれるため、1,600のPBMCのウェルで1のSW480細胞における変異を検出する能力は614,400のPBMCあたりの1のSW480細胞を分析する能力に変換される。
【実施例8】
【0052】
《金のナノ粒子標識を用いたレーザを介した溶解の改善》
細胞溶解がレーザ照射時に生じるためには、レーザパルスは細胞を機械的に破壊する応力又は衝撃波を生成しなければならない。この応力又は衝撃波を生成するのに要求されるレーザエネルギーは、細胞が接触する細胞、培地又は基質によるレーザ光の吸収に依存している。ナノ粒子を介した光分解は患者の試料から腫瘍細胞を除去する治療学的方法として記載されてきた(Letfullinら,2006、その全体が引用によって本明細書中に組み込まれる)。ナノ粒子は標的細胞が優性に破壊されるように標的の腫瘍細胞と標的でない健常細胞との間の光学的な対比を生成する手段として用いられた(Oraevskyら,2008、その全体が引用によって本明細書中に組み込まれる)。ナノ粒子接合型の抗体は本実施例においては、細胞溶解を誘発するのに要求されるレーザ出力を低減することによって、標的細胞のレーザを介した溶解を促進するのに用いられた。レーザ出力の低減によって、隣接する標的ではない細胞を不注意に溶解させる危険を低減することによって、標的細胞の分析の特異性を改善する。
【0053】
ナノ粒子標識を用いたレーザを介した細胞の溶解における改善を試験するために、懸濁液中のSW480細胞は1.25ng/μlの濃度のEpCAM抗体(eBioscience社)とlμMの濃度のCalceinAM(Invitrogen社)とで標識した。HBSSでの3回の洗浄後に、1の細胞の集合は1.15ng/μlの濃度の金で標識した二次抗体(30nm:カリフォルニア州レディングのTed Pella社のヤギ抗マウス)で染色し、1の集合は5ng/μlのフィコエリトリンで標識した二次抗体(eBioscience社)で染色した。HBSSでの3回の洗浄後に、染色細胞はHBSSにおいて、384ウェルのC−lect型式のプレート(Cyntellect社)に播種した。細胞の溶解の効率はLEAPでのレーザ処理前後でCalceinAM陽性細胞の数を定量することによって測定した。図5は、異なる染色及びレーザ出力の条件下で、レーザを介した細胞の溶解の効率のグラフを示す。溶解効率は死滅した標的細胞に対する割合(%)で示される。ナノ粒子標識を用いて、溶解効率は双方のレーザ出力設定で93%であった。ナノ粒子標識がない場合(図5におけるフィコエリトリン群)、溶解効率は2.9μJで10%、6.9μJで66%であった。従って、ナノ粒子標識はレーザを介した細胞の溶解効率を改善し、有効な細胞溶解に要求されるレーザ出力を低減した。
【0054】
ナノ粒子標識が特異的に強くかつ特異的である場合、標的の1以上の細胞の特異的な溶解が、特異的な1以上の標的細胞に集束したエネルギーを誘導することによってではなく、好適なエネルギー量で細胞集団全体を照射することによって実現してもよい。1以上の標的細胞のみが致死的な量を吸収するが、隣接する標識しない標的ではない細胞は損傷しないため、感作物質が、時に金のナノ粒子が細胞に添加される光線力学的治療の多くの例がある。例は、従来の光線力学的治療で金のナノシェルを用いて、治療効率を改善する光熱的治療の組合せ治療であり:その全体が引用によって本明細書中に組み込まれる「An in vitro study,James Chen Yong Kahら,Lasers in Surgery and Medicine,Vol 40,Pages584−589,2008」及び「Plasmonic photothermal therapy(PPTT)using gold nanoparticles,Xiaohua Huangら,Lasers in Medical Science,vol 23,pgs217−228,2007」に見ることができる。本実施形態においては、単一のデバイス及び方法は技術を実行するのに用いることができ、イメージングするステップか、1以上の標的細胞を検出するステップか、あるいは希有な標的細胞に対し特異的なエネルギービームを誘導するステップかがない。
【実施例9】
【0055】
《ナノ粒子で促進される、レーザを介した溶解を用いた循環性の腫瘍細胞のモデルにおける単一の腫瘍細胞の遺伝子発現分析》
ナノ粒子標識及び更なるレーザを介した溶解は、ヒトPBMCに添加した単一の腫瘍細胞における限定した遺伝子の集合の発現を検出するのに用いた。ヒト乳癌細胞MCF−7はヒトPBMCに添加され、EpCAM抗体(eBioscience社)及びフィコエリトリンで標識したEpCAM抗体の混合物で染色し、双方の濃度は0.625ng/μlであった。100μlのFcR遮断試薬(カリフォルニア州オーバーンのMiltenyi社)を細胞懸濁液の1mlあたり添加した。FBSが2%のHBSSで洗浄後に、細胞は金で標識した二次抗体(30nm:Ted Pella社のヤギ抗マウス)で染色し、FBSが2%のHBSSで再度洗浄した。最終的には、細胞は100μl/mlのFcR遮断試薬と0.27ng/μlのリボヌクレアーゼA(Fermentas社)とを含むHBSSに再懸濁されて、染色プロセス中に溶解した細胞から放出されるRNAを抑制した。細胞の混合物は、1ウェルあたり2000の細胞数で384ウェルのC−lect型式のプレートに播種した。プレートはLEAPでイメージングした。MCF−7細胞を検出したウェルにおいて、リボヌクレアーゼ抑制物質であるScriptGuard(Epicentre Biotechnologies社)が3ユニット/μlの最終濃度まで添加され、ポリイノシン酸(Sigma社)が1ウェルあたり100ngで添加された。単一のMCF−7細胞はLEAP型機器での2.9μJのレーザパルスでの照射によって溶解した。ウェル容積全体の半分は吸引され、TargetAmp1.0の反応に添加され、製造業者の推奨(Epicentre Biotechnologies社)に従って処理され、mRNAを増幅した。増幅したRNAはHigh Capacity cDNA合成キット(Applied Biosystems社)を用いてcDNAに逆転写された。定量PCRがその後、ABI7500型式の実時間PCR機器(Applied Biosystems社)でMaxima SybrグリーンとqPCRとの混合物(Fermentas社)を用いて5の選択した遺伝子について行われた。分析すべき遺伝子は、MCF−7細胞における癌との関連性及びその発現に基づいて、文献から選択した。遺伝子(遺伝子記号)はCCDC6、KRT19、MUC1、EpCAM、及びTFF−1であった。単一の溶解したMCF−7細胞からの16の試料が分析され、MCF−7細胞がウェルに存在するが溶解しない6の負のコントロールが分析された。遺伝子は36未満の循環値で交差した場合、遺伝子は発現したと見なされた。細胞は陽性であると分類されるため、5の遺伝子のうちの少なくとも3が発現しなければならない。16の腫瘍細胞の試料以外に、94%の正常な分類比率に対応する15の試料が陽性であると分類された(図6)。6の負のコントロールのうち、いずれも陽性に分類されなかった。
【0056】
[文献]
Allardら,“Tumor cells circulate in the peripheral blood of all major carcinomas but not in healthy subjects or patients with nonmalignant diseases.”Clin Cancer Res.(2004)10(20):6897−904;
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米国特許第5,445,934号;
米国特許第7,378,236号;
米国特許第6,326,489号;
米国特許第7,425,426号;
米国特許第6,514,722号;
米国特許出願公開第2007/0795857号明細書;
は、その全体が引用によって本明細書中に組み込まれる。
【0057】
本明細書における実質的に任意の複数形及び/又は単数形の用語の使用に関しては、当該技術分野の当業者は、文脈及び/又は用途に対して好適となるように、複数から単数及び/又は単数から複数へ変換できる。多様な単数形/複数形の置換は、明確化のために本明細書中で特に説明されうる。
【0058】
一般的に、本明細書中に、特に添付した特許請求の範囲(例えば添付した特許請求の範囲の主要部)に用いられている用語は、「開放型(open)」用語として一般的な意味を有するもの(例えば:用語「含んでいる、具えている(including)」は「限定しないが含んでいる、限定しないが具えている(including but not limited to)」と解釈すべきである;用語「有する(having)」は「少なくとも有する(having at least)」と解釈すべきである;用語「含む、具える(includes)」は「限定しないが含む、限定しないが具える(includes but is not limited to)」と解釈すべきである等)であると当該技術分野の当業者に理解されよう。採用された請求項に特定の数が指定されている場合にこのような指定が請求項に明確に記述されること、及び、このような記述がない場合にこのような指定が存在しないことは、当該技術分野の当業者に更に理解されよう。例えば、理解を助けるために、以下に添付した特許請求の範囲は、「少なくとも1の(at least one)」と「1以上の(one or more)」といった序言フレーズを用いた請求項の記述の採用を含む。しかしながら、同一の請求項が、「1以上」又は「少なくとも1つの」といった序言フレーズ、及び「1つの(a,an)」といった不定冠詞を含む場合であっても、「1つの(a,an)」といった不定冠詞による請求項の記述の採用によって、このような請求項の記述の採用を含む任意の特定の請求項がこのような1つの記述だけを含む実施形態に限定することを意味すると、「1つの(a,an)」といった不定冠詞を解釈すべきではなく(例えば、「1つの(a,an)」は一般的に「少なくとの1の」又は「1以上の」を意味すると解釈すべきであり)、請求項の記載を採用するのに用いられる定冠詞の使用についても同様に当てはまる。更に、採用した請求項の記述について特定の数が明確に記述されている場合であっても、当該技術分野の当業者は、記述の数を最小で示していると解釈すべきである(例えば、「2の事実の記述(two recitations)」という、他の修飾語がないありのままの記述は、一般的に少なくとも2の事実の記述又は2以上の事実の記述を意味する)。更には、「A、B、及びC等のうちの少なくとも1つ(at least one of A,B,and C,etc.)」に類似する表現法を用いた例においては、一般的には、このような構成は当該技術分野の当業者が表現法を理解するであろうという意味で用いられている(例えば「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム(a system having at least one of A,B,and C)」は限定しないが、Aのみを有するシステム、Bのみを有するシステム、Cのみを有するシステム、AとBとを同時に有するシステム、AとCとを同時に有するシステム、BとCとを同時に有するシステム、及び/又はAとBとCとを同時に有するシステム等を含む)。「少なくともA、B、又はCのうちの1つなど(at least one of A,B,or C,etc.)」に類似する表現法を用いた例においては、一般的には、このような構成は当該技術分野の当業者が表現法を理解するであろうという意味で用いられている(例えば「少なくともA、B、又はCのうちの1つを有するシステム(a system having at least one of A,B,or C)」は限定しないが、Aのみを有するシステム、Bのみを有するシステム、Cのみを有するシステム、AとBとを同時に有するシステム、AとCとを同時に有するシステム、BとCとを同時に有するシステム、及び/又はAとBとCとを同時に有するシステム等を含む)。更に、実質的に任意の離接語及び/又は2以上の代替語を表すフレーズは、明細書、特許請求の範囲、又は図面のいずれであっても、用語のうちの1つ、用語のいずれか、又は双方の用語を含む可能性を考えるべきと理解すべきである。例えば「A又はB」のフレーズは、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されよう。
【0059】
多様な態様及び実施形態を本明細書に開示したが、同時に他の態様及び実施形態は当該技術分野の当業者に明らかとなるであろう。本明細書に開示した多様な態様及び実施形態は、例示を目的とするものであり、限定を目的とするものではなく、本来の範囲および精神は以下の請求項によって示されている。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
不均一な細胞集団内にある希有な細胞から核酸を分離するための方法であって:
(a)前記希有な細胞の濃度が前記希有な細胞を含む容器内で、少なくともX倍の倍数に増加するように、前記不均一な細胞集団を複数の容器に分割するステップであって、Xが前記不均一な細胞集団における前記希有な細胞の数によって分割した前記容器の数であるステップと;
(b)どの容器が前記希有な細胞を含むかを判定するために各々の容器の領域全体を実質的にイメージングするステップと;
(c)前記細胞を溶解させ、前記希有な細胞から培地に前記核酸を放出させるように、前記希有な細胞を含む容器に試薬を添加するステップと;
(d)放出した核酸を含む前記培地を、溶解した前記希有な細胞を含む容器のみから採取することによって、前記希有な細胞から前記核酸を採取するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項2】
不均一な細胞集団内にある希有な細胞から核酸を分離するための方法であって:
(a)前記希有な細胞の濃度が前記希有な細胞を含む容器内で、少なくともX倍の倍数に増加するように、前記不均一な細胞集団を複数の容器に分割するステップであって、Xが前記不均一な細胞集団における前記希有な細胞の数によって分割した前記容器の数であるステップと;
(b)どの容器が前記希有な細胞を含むかを判定するために各々の容器の領域全体を実質的にイメージングするステップと;
(c)前記希有な細胞を含む容器内で前記希有な細胞の位置を検出するステップと;
(d)他の細胞を顕著に溶解させずに前記希有な細胞を特異的に溶解させ、前記希有な細胞から培地に前記核酸を放出させるように、前記希有な細胞を含む容器内の前記希有な細胞の位置にエネルギービームを誘導するステップと;
(e)放出した核酸を含む前記培地を、溶解した前記希有な細胞を含む容器のみから採取することによって、前記希有な細胞から前記核酸を採取するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、該検出が前記容器のイメージを参照することによって行われることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の方法が、前記不均一な細胞集団を前記希有な細胞に選択的に結合する薬剤と接触させるステップを更に具え、前記薬剤が光の特性として検出可能な信号を生成することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項2ないし4に記載の方法が、ステップ(a)ないし(e)のいずれかでリボヌクレアーゼ抑制物質を添加するステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1ないし5に記載の方法において、Xが約10、30、100、300、1,000、3,000、10,000、30,000、及び100,000の群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1ないし6に記載の方法において、前記容器がマルチウェルプレートのウェルであることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項2ないし7に記載の方法において、該採取によって、前記希有な細胞から前記核酸が採取され、希有な細胞の核酸が希有ではない細胞の核酸と対比して最大でY倍濃縮されており、Yが前記容器内の溶解されない希有ではない細胞の数であることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項2ないし8のいずれかに記載の方法において、Yが約10、30、100、300、1,000、3,000、10,000、30,000、及び100,000の群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項10】
不均一な細胞集団内にある希有な細胞から核酸を分離するための方法であって:
(a)イメージングに適した表面に前記不均一な細胞集団を配置するステップと;
(b)前記表面の領域全体を実質的にイメージングするステップと;
(c)前記表面のイメージを参照することによって前記表面上の前記希有な細胞の位置を検出するステップと;
(d)他の細胞を顕著に溶解させずに前記希有な細胞を特異的に溶解させ、前記希有な細胞から培地に前記核酸を放出させるように、集束したエネルギービームを前記希有な細胞の位置に誘導するステップと;
(e)放出した核酸を含む前記培地を、溶解した前記希有な細胞から採取することによって、前記希有な細胞から前記核酸を採取するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項2ないし10のいずれかに記載の方法が、前記細胞をナノ粒子標識で標識するステップを更に具え、前記ナノ粒子標識が前記エネルギービームを介した細胞溶解の効率を改善するように用いられることを特徴とする方法。
【請求項12】
細胞の成分を分析する方法であって:
分析用の対象の細胞を含む細胞集団を提供するステップと;
前記細胞集団内で少なくとも1の対象の細胞を検出するステップと;
エネルギービームを前記少なくとも1の対象の細胞の位置に誘導するステップであって、前記エネルギービームのエネルギーが、前記細胞から成分を放出するのに十分であり、前記少なくとも1の対象の細胞を少なくとも部分的に溶解するのに十分であるステップと;
前記対象の細胞から放出した前記成分を分析するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載の方法が、前記細胞集団を前記少なくとも1の対象の細胞に特異的な標識と接触させるステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記標識がポリクローナル抗体若しくはモノクローナル抗体、抗体のフラグメント、レクチン、リガンド、タンパク質、ペプチド、脂質、アミノ酸、核酸、ロックド核酸(LNA)といった修飾核酸、又は合成小分子のうちの1以上を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13又は14のいずれかに記載の方法において、前記標識がナノ粒子を更に含み、当該ナノ粒子が前記エネルギービームを介した細胞溶解の効率を改善することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15ないし21のいずれかに記載の方法において、該検出ステップが前記細胞集団をイメージングするステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項18ないし23のいずれかに記載の方法において、前記検出ステップが前記標識の存在によって前記少なくとも1の対象の細胞を検出するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項12ないし17のいずれかに記載の方法が、リボヌクレアーゼ抑制物質を提供するステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項12ないし18のいずれかに記載の方法において、前記細胞集団が2以上の容器に分割されることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項12ないし19のいずれかに記載の方法が、Fc受容体を遮断する試薬を添加するステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項12ないし20のいずれかに記載の方法において、前記少なくとも1の対象の細胞が、10,000中約1未満の濃度で前記細胞集団に存在することを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項12ないし21のいずれかに記載の方法において、前記少なくとも1の対象の細胞が100,000の細胞中に約1ないし10,000,000の細胞中に約1の濃度で前記細胞集団に存在することを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項12ないし22のいずれかに記載の方法が、前記核酸を最低でも採取するステップを更に具えることを特徴とする方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−514477(P2012−514477A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545477(P2011−545477)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/020562
【国際公開番号】WO2010/081052
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(511303467)イントレクソン コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】