説明

細胞シグナル伝達タンパク質NELL1を用いた、創傷治癒及び筋再生の促進方法

本発明は、創傷治癒の促進方法及び筋萎縮の治療方法を、創傷治癒及び筋萎縮の治療を必要とする哺乳類に提供する。本方法は、Nell1タンパク質またはNell1核酸分子を哺乳類に投与する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国政府は、米国エネルギー省とUT-Battle, LLC間の契約番号DE-AC05-00OR22725による本発明における権利を有する。
【0002】
本出願書類は「Cranial and Vertebral Defects Associated with Loss-of-Function of Nell1」という表題のついたCymbeline T. Culiatによる米国特許出願第11/192,813号に関連する。本出願書類はさらに「Treatment of Cardiovascular Disorders Using the Cell Differentiation Signaling Protein Nell1」という表題のついた、2007年9月28日に出願された米国仮特許出願第60/995,854号及び2008年7月10日に出願された米国仮特許出願第61/079,446号に関連する。
【0003】
本出願書類は、2007年9月28日に出願された米国仮特許出願第60/976,023号の優先権を主張し、かかる優先権の基礎出願の内容が参照により本明細書に取込まれる。
【0004】
本発明は創傷治癒及び筋再生の分野に関連する。特に、本発明はNell1タンパク質が創傷治癒及び筋再生を促進するという発見に関連する。
【背景技術】
【0005】
創傷治癒には一連の複雑な生物学的プロセスが関与し、それにより損傷組織が修復され、特定組織が再生され、及び新生組織が再編成される。創傷治癒は概して3つの段階:炎症期、増殖期、及び成熟かつ再形成期に分けられる。
【0006】
炎症期では、凝固カスケードが血液損失を停止させるために開始される。加えて、ケモカイン、サイトカイン及び成長因子などの様々な因子が放出されて、残屑、細菌及び損傷組織を貪食する細胞を誘引しかつ活性化する。
【0007】
増殖期は、血管新生、ならびにコラーゲン沈着、肉芽組織形成、及び上皮形成を含む細胞外マトリックス構造の再構築によって特徴付けされる。毛細血管などの新生血管の形成、及び細胞外マトリックスの形成により、活性化された衛星細胞が、増殖し、分化することが可能となり、かつ新筋繊維中に融合させることが可能となる。
【0008】
典型的には、創傷治癒の成熟かつ再形成期は、コラーゲンの産生及び分解のレベルが等しくなる場合に開始すると言われている。成熟中に、増殖中に多く見られるタイプIIIコラーゲンが徐々に分解し、その場所により強力なタイプIコラーゲンが沈着する。元々無秩序なコラーゲン繊維が再配置され、架橋され、かつ整列される。加えて、新しく再生した筋肉が成熟し、瘢痕組織の再構築物と接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願第11/192,813号
【特許文献2】米国仮特許出願第60/995,854号
【特許文献3】米国仮特許出願第61/079,446号
【特許文献4】米国仮特許出願第60/976,023号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】George, D.G.ら、Macromolecular Sequencing and Synthesis, Selected Methods and Applications, pages 127-149, Alan R. Liss, Inc. (1998)
【非特許文献2】Kurodaら、Biochemical Biophysical Research Comm. 265: 752-757 (1999b)
【非特許文献3】Caruthersら、1985、Science 230: 281〜285
【非特許文献4】DNA構造、パートA: Synthesis and Physical Analysis of DNA、Lilley, D. M. J.およびDahlberg, J. E. (編)、Methods Enzymol.、211、Academic Press, Inc.、New York (1992)
【非特許文献5】StuartおよびYoung、「Solid Phase Peptide Synthesis」第2版、Pierce Chemical Company (1984)
【非特許文献6】Solid Phase Peptide Synthesis、Methods Enzymol.、289、Academic Press, Inc、New York (1997)
【非特許文献7】Ledley 1996、Pharmaceutical Research 13: 1595-1614
【非特許文献8】Vermaら、Nature 1997. 387:239-242
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これらの複雑な期のいずれかにおける障害が、創傷治癒における混乱へとつながる。従って、創傷治癒及び/または筋再生を促進する方法を提供することが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの及び他の目的が本発明により満たされ、本発明は、一態様において、創傷治癒を必要とする哺乳類において創傷治癒を促進する方法を提供する。該方法は、有効量のNell1タンパク質もしくはNell1核酸分子を哺乳類に投与する工程を含む。
【0013】
別の態様において、本発明は、骨格筋萎縮の治療を必要とする哺乳類において骨格筋萎縮を治療する方法を提供する。該方法は、有効量のNell1タンパク質もしくはNell1核酸分子を哺乳類に投与する工程を含む。
【0014】
本発明のよりよい理解のために、他の及びさらなる利点を伴って、以下の詳述される記載が参照され、その範囲は従属項において指摘される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ヒトNell1タンパク質のアミノ酸配列を示す図である。
【図2】ヒトNell1をコードする核酸配列を示す図である。
【図3】ラットNell1タンパク質のアミノ酸配列を示す図である。
【図4】ラットNell1をコードする核酸配列を示す図である。
【図5】マウスNell1のアミノ酸配列を示す図である。
【図6】マウスNell1をコードする核酸配列を示す図である。
【図7】ヒトNell1タンパク質(配列番号1)とマウスNell1タンパク質(配列番号5)のアミノ酸配列のアライメントを示す図である。ヒトNell1タンパク質の機能的ドメインが、マウスNell1タンパク質において同定されたものと本質的に同じ領域で見出される。
【図8】Nell1が血管形成及び毛細血管ネットワーク形成において役割を果たすことを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、Nell1タンパク質が創傷治癒及び筋再生を促進するという、本発明者による驚くべき発見に基づく。本明細書を通して、パラメーターは最大量及び最小量により規定される。各最小量は各最大量と組み合わせることにより範囲を規定し得る。
【0017】
創傷治癒を促進する方法
一態様において、本発明は、創傷治癒を必要とする哺乳類において創傷治癒を促進するための方法を提供する。本明細書において使用されるように、用語「創傷治癒を促進する」は、創傷修復を増大させ、改善させ、増加し、または創傷の閉鎖を誘導し、治療し、または修復することを指す。例えば、Nell1で処理しない創傷と比較して、Nell1で処理する創傷を治療する時間が、約10%減少し、好ましくは約25%減少し、より好ましくは約50%減少し、非常に好ましくは約75%減少した場合に、創傷治癒が促進されたものとみなされる。代わりに、Nell1で処理しない創傷と比較して、Nell1で処理する筋収縮及び筋機能の再獲得時間及びその程度が、約10%改善し、好ましくは約25%改善し、より好ましくは約50%改善し、非常に好ましくは約75%改善した場合に、創傷治癒が促進されたものとみなされる。反対に、瘢痕形成の程度は、創傷治癒が促進されたかどうかを確かめるために利用することが可能である。
【0018】
創傷は、哺乳類の任意の部位において発見される内傷または外傷であってよい。創傷は、通常、力学的、化学的、細菌による、または熱的手段などの物理的手段によって生じる。創傷は、さらに、交通事故、転落、戦闘において持続する損傷(兵士における深い裂傷及び切断)などの事故、あるいは心臓切開手術、臓器移植、切断、及び人工装具の移植であって、関節置換手術及び股関節置換手術などの、外科的手術によって生じる。創傷は、開放創または閉鎖創であってよい。
【0019】
開放創は皮膚が破られている創傷を指す。開放創は、例えば、切開(すなわち、切断器具(例えばナイフ、レーザーなど)によって損傷される皮膚の創傷)、裂傷(すなわち、鈍器(dull instrumentまたはblunt instrument)によって典型的には損傷される皮膚の創傷)、擦り傷(例えば、皮膚の最上層が剥がれる、概して表面的な創傷)、刺し傷(釘または針などの、皮膚を刺す物体によって通常生じる)、貫通傷(例えば、ナイフなどの物体によって引き起こされる)、及び銃創が挙げられる。
【0020】
閉鎖創は通常は皮膚が破られていない創傷である。閉鎖創の例は打撲傷である。
【0021】
上述される創傷などの創傷を患う任意の哺乳類が、本発明の方法により、創傷治癒を促進させる必要性がある。
【0022】
また、創傷治癒を促進する必要のある哺乳類は、さらに、新血管形成欠陥及び/または血管新生欠陥に関連する疾病または疾患を有する任意の哺乳類を含む。新血管形成は、典型的には、赤血球かん流を伴う機能的微小血管ネットワークの形成を指す。血管新生は、一般に、以前に存在した血管からの、毛細血管の萌芽(bud)及び発芽(sprout)の突出及び伸張を指す。新血管形成欠陥及び/または血管新生欠陥に関連する疾病または疾患の例には、糖尿病、血管系障害及び老化が挙げられる。
【0023】
ある実施形態では、創傷治癒は、骨格筋の再生を促進することによって哺乳類で促進される。筋組織は、一般的に、衛星細胞と呼ばれる予備の筋芽細胞から再生される。衛星細胞は、通常、筋組織の至る所に分布して見出される。無傷の筋肉では、衛星細胞の大多数は静止状態にあるので、それらは分化もしなければ細胞分裂にもさらされない。
【0024】
筋肉損傷に続いて、または疾病からの回復の間に、衛星細胞が細胞周期に再び入り、増殖し、及び既存の筋繊維となり、あるいは、新しい筋繊維を形成する多核筋管への分化にさらされる。結果的に、筋芽細胞は、筋繊維の置換を生じさせ、または既存の筋繊維へと融合させ、それらにより繊維の太さ(girth)を増加させる。
【0025】
従って、用語「骨格筋の再生」は、筋肉前駆細胞から形成される新しい骨格筋繊維によるプロセスを指す。新しい骨格筋繊維は、損傷されまたは傷害を受けた筋繊維と置換される新しい骨格筋繊維、あるいは既存の筋繊維中へ融合する新しい骨格筋繊維であってよい。
【0026】
新生繊維数が少なくも約1%、より好ましくは少なくとも約20%、非常に好ましくは少なくとも約50%増加した場合に、骨格筋の再生が促進されたものとみなされる。
【0027】
別の実施形態では、創傷治癒は、コラーゲン産生を促進することによって、哺乳類で促進される。コラーゲンは、繊維性構造タンパク質であり、細胞外マトリックスの主要成分である。いずれのタイプのコラーゲンも、本発明の方法に従って促進され得る。コラーゲンのタイプの例には、限定されないが、コラーゲンタイプI-XXVIIIが挙げられる。好ましくは、コラーゲンは、タイプI、コラーゲンタイプIII、コラーゲンタイプIV、またはコラーゲンタイプVIである。
【0028】
用語「コラーゲン産生を促進する」は、産生されるコラーゲンの量の増加を指す。当業者に既知のあらゆる方法を使用して、コラーゲンの産生が増加されたかどうかを決定することができる。例えば、コラーゲン産生の増加は、例えば、ノーザンブロット、リアルタイムRT-PCRなどを用いることにより、コラーゲンの発現の増大を解析することにより決定することができる。典型的には、コラーゲンの量が少なくとも約1%、より好ましくは少なくとも約10%、非常に好ましくは少なくとも約20%増加する場合に、コラーゲンの産生が促進されたものとみなされる。
【0029】
ある態様において、創傷治癒を促進する方法は、それを必要とする哺乳類に、有効量のNell1タンパク質を投与する工程を含む。本発明の方法において有用なNell1タンパク質が以下に記述される。
【0030】
別の態様において、創傷治癒を促進する方法は、哺乳類に、Nell1タンパク質をコードする核酸分子を投与する工程を含む。本発明の方法において有用な核酸分子が以下に記述される。
【0031】
筋萎縮の治療方法
別の態様において、本発明は、骨格筋萎縮の治療を必要とする哺乳類に、骨格筋萎縮の治療方法を提供する。用語「筋萎縮」は、骨格筋の筋量及び筋力の喪失を指す。萎縮は、哺乳類の任意の部位において見出し得る。
【0032】
骨格筋萎縮は、例えば、遺伝的異常(例えば、特定の一塩基多型の変異または組合せ)、低栄養状態、低血行、ホルモンサポートの喪失、運動不足による筋肉の不使用(例えば、寝たきり(bedrest)、手足(limb)のギブスによる不動化など)、及び老化によって引き起こされ得る。
【0033】
代替的に、骨格筋萎縮は、標的臓器に対する神経供給の喪失によって引き起こされ得る。かかる疾病及び疾患の例には、CMT(シャルコー・マリー・ツース病)灰白髄炎(ポリオウイルス感染症)、筋萎縮性側索硬化症(ALSまたはルー・ゲーリック病)、及びギラン・バレー症候群が挙げられる。
【0034】
逆に言えば、骨格筋萎縮は、筋組織それ自体の疾病であり得る。かかる疾病の例には、限定されないが、筋ジストロフィー、先天性ミオトニー、及び筋強直性ジストロフィーが挙げられる。
【0035】
同様に、特定の疾病及び疾患もまた骨格筋萎縮を誘導し得る。かかる疾病及び疾患の例として、鬱血性心不全及び肝疾患が挙げられる。
【0036】
上述したような骨格筋萎縮を患う任意の哺乳類が、本発明の方法により治療され得る。ある態様において、骨格筋萎縮の治療方法は、哺乳類に、有効量の、以下に記載するNell1タンパク質を、投与する工程を含む。Nell1タンパク質が骨格筋の再生を促進するので、それにより骨格筋萎縮が治療される。
【0037】
別の態様において、骨格筋萎縮の治療方法は、哺乳類に、Nell1タンパク質をコードする核酸分子を投与する工程を含む。本発明の方法に有用な核酸分子が以下に記載される。
【0038】
Nell1タンパク質
Nell1タンパク質はプロテインキナーゼC(PKC)β結合タンパク質である。本発明の方法において有用なNell1タンパク質は、天然由来のNell1タンパク質と同じアミノ酸配列を有するポリペプチド、組換えNell1タンパク質、それらのホモログ、またはそれらの断片を含んでもよい。従って、本明細書において使用される「Nell1タンパク質」は、さらに、それらのホモログ及び断片を指す。
【0039】
Nell1タンパク質のアミノ酸配列は、生物種間で高度に保存されている。例えば、マウスNell1タンパク質は、ヒトNell1タンパク質と約93%の配列同一性を共有し、同様に、ヒトNell1タンパク質は、ラットNell1タンパク質と約90%の配列同一性を共有する。図7は、ヒトNell1タンパク質とマウスNell1タンパク質間の配列アライメントを示す。
【0040】
Nell1タンパク質のアミノ酸配列が高度に保存されているので、Nell1タンパク質の天然に存在するアミノ酸配列はいずれかの動物由来のものであってもよい。例えば、Nell1タンパク質は、ヒトNell1、ラットNell1、またはマウスNell1であってよい。
【0041】
ヒトNell1タンパク質のアミノ酸配列は、GenBank受託番号第AAH96102に見出すことができ、図1(配列番号1)に示される。遺伝子コードの縮重のために、配列番号1をコードする核酸配列の例が図2(配列番号2)に示される。
【0042】
ラットNell1タンパク質のアミノ酸配列は、GenBank受託番号第NP_112331に見出すことができ、図3(配列番号3)に示される。配列番号3をコードする核酸配列の例が図4(配列番号4)に示される。
【0043】
マウスNell1タンパク質のアミノ酸配列は、GenBank受託番号第NP_001032995に見出すことができ、図5(配列番号5)に示される。配列番号5をコードする核酸配列の例が図6(配列番号6)に示される。
【0044】
Nell1タンパク質の構造は特徴付けられている(例えば、Kurodaら、1999a; Kurodaら、1999b; Desaiら、2006を参照されたい)。例えば、マウスNell1タンパク質(配列番号5)は、810個のアミノ酸のタンパク質であり、分泌シグナルペプチド(アミノ酸1〜16番)、N末端のTSP様モジュール(アミノ酸29〜213番)、ラミニンG領域(アミノ酸86〜210番)、フォン・ヴィレブランド因子Cドメイン(アミノ酸273〜331番および699〜749番)、ならびにCa2+結合EGF様ドメイン(アミノ酸549〜586番)を有する。
【0045】
Nell1タンパク質の分泌シグナルペプチドドメインは、タンパク質が細胞外に分泌されるために処理される細胞小器官へのタンパク質の輸送に一般に関与する、タンパク質中のアミノ酸配列である。N末端のTSP様モジュールは、一般に、ヘパリン結合と関連している。フォン・ヴィレブランド因子Cドメインは、一般に、Nell1のオリゴマー化と関連がある。Nell1タンパク質のラミニンGドメインは、一般に、特異的な細胞型または他の細胞外マトリックスタンパク質へのNell1タンパク質の接着に関与している。このようなドメインとそれらの対応物の相互作用は、一般に、細胞の増殖および分化を促進するために、例えば、分化、接着、細胞シグナル伝達または特異的な細胞-細胞間相互作用の媒介などのプロセスと関連する。Nell1のCa2+結合EGF様ドメインは、典型的には、増殖および分化における細胞シグナル伝達経路に関与するプロテインキナーゼCベータと結合する。
【0046】
Nell1タンパク質のホモログには、例えば、置換突然変異体、タンパク質の付加または挿入、または欠失の突然変異を有する突然変異体が挙げられる。アミノ酸配列の置換は、同等のアミノ酸配列であることが好ましい。同等の性質であることが知られているアミノ酸のグループを以下にリスト化する:
(a) Ala(A), Ser(S), Thr(T), Pro(P), Gly(G);
(b) Asn(N), Asp(D), Glu(E), Gln(Q);
(c) His(H), Arg(R), Lys(K);
(d) Met(M), Leu(L), Ile(I), Val(V);及び
(e) Phe(F), Tyr(Y), Trp(W)。
【0047】
アミノ酸配列におけるいずれの置換、付加、及び/または欠失も、Nell1タンパク質が機能的である限り、許容される。実質的に別の配列と同一であるが、1または複数の置換、付加、及び/または欠失により、該別の配列と異なるアミノ酸配列は、同等の配列であるとみなされる。
【0048】
相同性を決定する目的での、第一のアミノ酸配列と第二のアミノ酸配列を比較するために、これらの配列をアライメントして、同一であるアミノ酸残基の数を最大化する。通常、高度に相同性を有するタンパク質の配列を、目視検査により、アライメントしてもよい。目視検査が不十分である場合、アミノ酸分子を、当該技術分野において周知の方法に従ってアライメントさせてもよい。適当な方法の例には、Macromolecular Sequencing and Synthesis, Selected Methods and Applications, pages 127-149, Alan R. Liss, Inc. (1998) 中の、マッチスコア1、ミスマッチスコア0、ギャップペナルティー-1を用いた、第137頁における式4などの、George, D.G. et al.,により描写されるものが挙げられる。
【0049】
Nell1配列中のアミノ酸残基数の、好ましくは15%未満、より好ましくは10%未満、一層さらに好ましくは5%未満が異なる(すなわち、置換され、挿入され、または欠失する)。配列中のアミノ酸残基数の、より一層好ましくは3%未満、一層さらに好ましくは2%未満、最適には1%未満が、天然に存在する配列におけるそれらと異なる。
【0050】
好ましくは、置換、付加、及び/または欠失は、タンパク質の機能的ドメイン中もしくはタンパク質の保存領域中では為されていない。Nell1タンパク質の保存領域の例として、分泌シグナル、フォン・ヴィレブランド様ドメイン、トロンボスポンジン様ドメイン及びラミニン様ドメインが挙げられる。Nell1タンパク質の機能的ドメインの例には、EGF様ドメインが挙げられる。従って、タンパク質の非保存及び/または非機能的領域における置換、付加、及び/または欠失が、Nell1タンパク質の機能に影響を与えることなく、通常為されてもよい。
【0051】
Nell1タンパク質はさらに創傷治癒及び骨格筋再生を促進する能力を保持するNell1タンパク質断片を含む。好ましくは、Nell1タンパク質断片は、1または複数のタンパク質の保存領域及び/または機能的ドメインを含む。例えば、Nell1タンパク質断片は、Nell1タンパク質のEGF様ドメイン及び/またはフォン・ヴィレブランド様ドメインを含み得る。
【0052】
Nell1機能的断片の最小の長さは、典型的には少なくとも約10アミノ酸残基長、より典型的には少なくとも約20アミノ酸残基長、一層さらに典型的には少なくとも約30アミノ酸残基長、さらに一層典型的には少なくとも約40アミノ酸残基長である。上述したように、野生型Nell1タンパク質はおおよそ約810アミノ酸残基長である。Nell1機能的誘導体は最大で約810アミノ酸残基長であってもよい。例えば、Nell1機能的誘導体は、長さにして、多くて約820、805、800、790、780、750、600、650、600、550などのアミノ酸残基であり得る。
【0053】
Nell1機能的タンパク質ホモログまたはNell1機能的タンパク質断片を作製したら、このようなタンパク質は、これらが野生型Nell1タンパク質の活性または機能を実質的に保持しているかどうかを決定するために試験することができる。例えば、PKCベータと結合するNell1のホモログまたは断片の能力を試験することができる。PKCベータへのNell1の結合を評価するために適したアッセイは、例えば、Kurodaら(1999b)に記載されている(Biochemical Biophysical Research Comm. 265: 752-757 (1999b))。例えば、タンパク質間相互作用は、酵母2ハイブリッドシステムを用いて分析することができる。要約すると、修飾されたNell1タンパク質はGAL4活性化ドメインと融合することができ、PKCの調節ドメインはGAL4 DNA結合ドメインと融合することができる。
【0054】
さらに、成熟のために、骨格筋衛星細胞などの前駆細胞の分化を刺激するための、Nell1のタンパク質ホモログまたは断片の能力を試験することもできる。骨格筋細胞の成熟度は、細胞レベル(組織学)および分子レベル(骨格筋特異的なタンパク質または細胞外マトリックス材料の発現)で評価することができる。一層さらには、Nell1のタンパク質ホモログまたは断片は、骨芽細胞前駆体を成熟骨細胞に向かわせるその能力について、最近の分子骨マーカーの発現または石灰化(即ち、カルシウム沈着)を検出することによって試験することができる。上述したアッセイなどの1または複数のアッセイにおいてNell1のタンパク質ホモログまたは断片の活性と野生型Nell1タンパク質の活性を比較することによって、このようなホモログまたはその断片が野生型Nell1タンパク質の活性または機能を実質的に保持するかどうかを決定することができる。
【0055】
Nell1タンパク質、機能的ホモログまたは機能的断片は、当該技術分野において周知である方法によって調製されてもよい。このような方法の1つは、Nell1タンパク質をコードするDNAを単離または合成する工程、及び、場合により、適切な宿主細胞中の、場合により組換えベクターにおいて、そのDNAを発現させることによって組換えタンパク質を産生させる工程を含む。DNAを合成するための適切な方法は、Caruthersら、1985、Science 230: 281〜285およびDNA構造、パートA: Synthesis and Physical Analysis of DNA、Lilley, D. M. J.1およびDahlberg, J. E. (編)、Methods Enzymol.、211、Academic Press, Inc.、New York (1992)に記載されている。適切なNell1核酸配列の例には、配列番号2、4及び6が挙げられる。
【0056】
Nell1タンパク質は、また、合成的に、即ち個々のアミノ酸から、または半合成的に、即ちオリゴペプチド単位もしくはオリゴペプチド単位および個々のアミノ酸の組合せから作製されてもよい。タンパク質を合成するための適切な方法は、StuartおよびYoung、「Solid Phase Peptide Synthesis」第2版、Pierce Chemical Company (1984)、Solid Phase Peptide Synthesis、Methods Enzymol.、289、Academic Press, Inc、New York (1997)に記載されている。適切なNell1アミノ酸配列の例には、配列番号1、3、5およびそれらのホモログ及びそれらの誘導体が含まれる。
【0057】
Nell1核酸分子
Nell1タンパク質をコードする任意の核酸配列が本発明の方法において使用され得る。本発明の方法において使用するためのNell1タンパク質をコードする適切な核酸分子には、配列番号2、4及び6に記載される核酸配列並びにそれらの縮重配列を有する核酸配列が挙げられる。本明細書中で使用するとき、用語「縮重配列」は、野生型Nell1タンパク質をコードするヌクレオチド配列における1または複数のコドンを、同じアミノ酸残基をコードする縮重コドン(例えば、GAUおよびGACトリプレットは各々アミノ酸Aspをコードする)で置換することによって形成される配列を指す。核酸分子を遺伝子治療において使用するために適切な組換えベクター中に取り込んでもよい。
【0058】
遺伝子治療における使用に適切なベクターの例には、かかる治療を必要とする哺乳類、特にヒトにおいてNell1タンパク質を発現することができる核酸配列を含むいずれかのベクターであってよい。適切なベクターは、例えばウイルスベクター(アデノウイルスベクター、アデノ関連性ウイルス(AAV)ベクター、レトロウイルスベクター、単純疱疹ヘルペスウイルスベクター、ポリオウイルスおよびワクシニアベクター)、非ウイルスベクター(例えばプラスミドベクター)などであってよい。Ledley 1996. Pharmaceutical Research 13: 1595-1614及びVermaら、Nature 1997. 387:239-242を例として参照されたい。
【0059】
レトロウイルスベクターの例には、限定されないが、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳癌ウイルス(MuMTV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)由来の組換えベクターが挙げられる。Nell1をコードするヌクレオチド配列は、発現ベクター中のプロモーターに操作可能な連結で配置することができ、ここで、プロモーターは、標的組織または細胞中でのNell1タンパク質の発現を指向し、構成的プロモーターおよび組織もしくは細胞特異的プロモーターの両方を含む。
【0060】
投与
Nell1タンパク質またはNell1核酸分子を、それらを必要とする哺乳類に投与する。哺乳類は、ヤギ、馬、豚または牛などの家畜動物;犬または猫などのペット動物;マウス、ラットまたはモルモットなどの実験動物;あるいは猿、オランウータン、類人猿、チンパンジー、またはヒトなどの霊長類であってよい。好ましい実施形態では、哺乳類はヒトである。
【0061】
Nell1タンパク質またはNell1核酸分子を、ヒトまたは動物の使用のために、医薬としての使用用に適切な医薬組成物中に取り込むことが可能である。医薬組成物は、例えば、注射製剤、局所用適用のための液体、クリームまたはローション、エアロゾル、粉末、顆粒、錠剤、座薬、または、例えば腸溶性コーティングされたカプセルなどのカプセル中にあってもよい。医薬組成物は、さらに、例えば、エマルションまたはリポソーム調製物などの、液体製剤中または液体製剤上で送達されてもよい。医薬組成物は、好ましくは、以下にリスト化される医薬として許容される添加物を場合により1または複数で有する、無菌で、非発熱性(non-pyrogenic)かつ等張の調製物である。
【0062】
Nell1タンパク質もしくはNell1核酸分子の医薬組成物は、好ましくは、以下の1または複数を含んでもよい安定的組成物である:安定剤、界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤、及び場合により塩及び/または緩衝剤。医薬組成物は、水溶液の形態、または凍結乾燥の形態であってよい。
【0063】
安定剤は、例えば、例えばグリシンなどのアミノ酸、あるいはスクロース、テトラロース、ラクトースまたはデキストランなどのオリゴ糖であってよい。あるいは、安定剤は、例えば、マンニトールなどの、糖アルコール;あるいはそれらの組合せであってよい。好ましくは、安定剤または安定剤の組合せは、Nell1タンパク質の重量に対して約0.1重量%から約10重量%を構成する。
【0064】
界面活性剤は、ポリソルベートなどの非イオン性界面活性剤であるのが好ましい。適切な界面活性剤の特定例としては、Tween20、Tween80;ポリエチレングリコールまたはポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールであって、例えば約0.001%(w/v)から約10%(w/v)であるPluronic F-68などが挙げられる。
【0065】
塩または緩衝剤は、それぞれ、例えば、塩化ナトリウム、またはリン酸ナトリウム/カリウムなどの、いずれの塩または緩衝剤であってもよい。好ましくは、緩衝剤は、約5.5から約7.5の範囲にある医薬組成物のpHを維持する。塩及び/または緩衝剤は、また、ヒトまたは動物への投与用に適切な水準でのオスモル濃度を維持するのにも有用である。好ましくは、塩または緩衝剤は、約150 mMから約300 mMのおおよそ等張性の濃度で存在する。
【0066】
Nell1タンパク質またはNell1核酸分子を含む医薬組成物は、さらに、1または複数の従来的な添加剤を含んでもよい。これらの添加剤の特定例としては、例えばグリセロールなどの可溶化剤;例えば塩化ベンザルコニウム(「quats」として知られる、第4級アンモニウム化合物の混合物)、ベンジルアルコール、クロレトンまたはクロロブタノールなどの抗酸化剤;例えばモルヒネ誘導体などの麻酔剤;あるいは上述したような等張剤などが挙げられる。酸化または他の損傷に対するさらなる予防策として、医薬組成物は、窒素ガス下、不浸透性の栓で密封されるバイアル中に保管してもよい。
【0067】
好ましくは医薬組成物中に、有効量のNell1タンパク質またはNell1核酸分子を、たくさんの周知の方法のいずれかによって、それらを必要としているヒトまたは動物に投与してもよい。例えば、Nell1タンパク質またはNell1核酸分子を、例えば注射により、全身的または局所的に投与してもよい。
【0068】
Nell1タンパク質またはNell1核酸分子の全身的投与は、静脈、皮下、腹腔内、筋肉内、髄腔内(intrathecal)または経口投与によるものであってよい。代わりに、Nell1タンパク質またはNell1核酸分子を、適当な状況において局所的に適用してもよい。かかる状況には、例えば、皮膚の擦り傷及び表面創傷が挙げられる。
【0069】
Nell1タンパク質は細胞ベースの遺伝子治療によって投与することが可能である。例えば、同種異系または異種のドナー細胞をin vitroで遺伝的に改変させてNell1タンパク質を発現及び分泌させる。遺伝的に改変されたドナー細胞は、次いで、in vivoでのNell1タンパク質の送達を必要としている哺乳類中に移植される。適切な細胞の例には、限定されないが、内皮細胞、上皮細胞、繊維芽細胞、筋芽細胞、衛星細胞、及び骨格筋細胞、成体幹細胞、胚性幹細胞及び臍帯血幹細胞などの幹細胞が挙げられる。
【0070】
あるいは、遺伝的に改変されたドナー細胞は、所定時間の間、遺伝的に改変されたドナー細胞の生存能力及び成長を維持するために、適切な微小環境を含むマトリックス中に取り込まれてもよい。例えば、マトリックスを表面創傷に適用してもよい。遺伝的に改変されたドナー細胞によるNell1の発現及び分泌は創傷治癒を促進させる。創傷治癒後、マトリックスを除去し得る。適切なマトリックスの例は、限定されないが、創傷被覆材、コラーゲンマトリックス、パッチ、及びヒドロゲルが挙げられる。
【0071】
本発明の医薬組成物の有効量は、本発明の目的を達成するために有効ないずれかの量である。通常mg/kgで表わされる有効量は、当業者により、前臨床試験及び臨床試験中に所定の方法によって決定することができる。
【実施例】
【0072】
[実施例1]
皮膚及び下層にある筋肉細胞におけるNell1タンパク質の発現
出生1日前に回収された全胎児体の矢状断面をNell1タンパク質に対する抗体を使用した免疫組織化学的方法により解析した。正常な胎児マウスの表皮、真皮及び下層にある骨格筋中の赤/ピンク染色(図8A)は、Nell1タンパク質が豊富に存在することを示す。Nell16R変異型(図8B)中に該タンパク質が存在しないこと、並びに真皮及び下層にある筋肉に生じた異常な構造物に注目されたい。
【0073】
[実施例2]
Nell1経路における遺伝子
筋骨格系の発達中のNell1経路の一部である遺伝子を、胎児体の定量的リアルタイムPCR(qRT-PCR)アッセイ及びマイクロアレイ解析により決定した(妊娠15日及び18日)。筋肉形成におけるNell1の役割が免疫組織化学的方法及びマイクロアレイデータにより明らかになった。創傷治癒及び筋肉再生に関連するNell1経路の遺伝子には、テネイシンb (Tnxb)、テネイシンC (Tnc)、骨芽細胞特異的因子(Osf2)、ペリオスチン、マトリリン2 (Matn2)、コラーゲンVI a1 (Col6a1)、プロテインキナーゼC (PKC)、ノッチ(Notch) 3、TAL/SCL、Bcap31、コラーゲンIV a1 (Col4a1)が挙げられる。
【0074】
[実施例3]
Nell1タンパク質が、創傷治癒能力が乏しいマウス血統(strain)において創傷治癒及び筋肉再生を促進する
重篤な筋肉損傷を、遺伝的に創傷治癒能力が乏しいことで知られる、成体SJL/Jマウス血統に生じさせる。精製組換えヒトNell1タンパク質の能力を、SJL/Jマウスの重度に裂傷した足の筋肉の創傷治癒において試験する。創傷は、成体マウス(4-5月齢)の左腓腹筋由来の筋肉の薄片(およそ5 mm長 x 1 mm 幅 x 2 mmの深さ)を外科的に除去することにより生じさせ、皮膚の創傷を縫合する。傷つけた後第3日目に、5体のマウスが、対照群として供するために、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液を与えられ、5体のマウスが312 ngのNell1タンパク質(用量I)で処理され、他の5体のマウスが624 ngのNell1タンパク質(用量II)で処理される。PBS (8 ml)で希釈したNell1タンパク質を、微細なゲージ針を用いて、微量注入器より液滴させることにより、大きく裂けた筋肉創傷の全長にわたって直接投与する。創傷治癒を治療後1週間で評価する。解剖顕微鏡を用いて観察した。
【0075】
[実施例4]
Nell1が化学的に誘導されるI型糖尿病マウスにおける筋再生を促進する
I型糖尿病を、膵島細胞を破壊するアルキル化剤であるストレプトゾトシン(STZ)を用いてマウスで誘発させる。商業的に生産される糖尿病マウスをJackson Laboratoryより購入した。糖尿病マウスを以下の方法により産生する:8週齢で、5日間連続して、STZを毎日腹腔内注入する。最後のSTZの注入より2週間後、マウスの重さを量り、血糖濃度を測定する。少なくとも300-400 mg/dLの血糖レベルを有するマウスは糖尿病であるとみなされる。創傷手術を実施例3に既に記載したように実施したが、誘導された糖尿病の重篤度のために(糖尿病マウスはこの段階で既に400-600 mg/dLであった)、より若い成体マウス(3月齢)について実施した。4体の糖尿病マウスが対照群としてPBSを与えられ、4体は、PBSで希釈した精製組換えヒトNell1タンパク質を312 g与えられた。傷をつけてから2日後にタンパク質を与え、1週間後に治療効果を測定した。
【0076】
[実施例5]
Nell1が老齢マウスにおいて筋再生を促進する
10から12月齢のC57BL/6マウスを、実施例3及び4に記述されるように足の筋肉において裂傷させた。Nell1タンパク質を実施例3及び4に記述されるように創傷部位に直接注入または投与した。マウスを異なる時点で安楽死させ、創傷を評価し、それらの組織を組織学的解析のために回収した。
【0077】
[実施例6]
Nell1が化学的な心臓損傷マウス組織の創傷治癒を促進する
化学的または熱的に誘導される筋肉損傷を有するマウスを、傷及び損傷した組織に直接接する領域において、Nell1タンパク質で処理した。これは、適切なNell1タンパク質の量を単回投与するものであってもよく、あるいは、創傷被覆材、袋帯または軟膏中に取り込ませて、Nell1の導入を、より定量で、しかしながら連続/持続放出させて提供させてもよい。さらに、移植組織片を損傷領域中に移植するとともに、移植片の境界にNell1タンパク質を導入することにより、血管新生を促進させ、損傷領域上の移植組織片による移植の成功を促進させる。
【0078】
従って、本発明の好ましい実施形態と目下のところ考えられるものとしてこれらが記載される一方で、本発明及び他の実施形態に対してなされ得る変更及び修飾が、当業者であれば理解するものであり、それらは本発明の精神に含まれ、これら全ての他の変更及び修飾並びに実施態様が、本出願書類で以降により説明される特許請求の範囲内に収まるものとして含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷治癒を必要としている哺乳類に有効量のNell1タンパク質を投与する工程を含む、創傷治癒を必要としている哺乳類において創傷治癒を促進する方法。
【請求項2】
前記損傷治癒が、骨格筋の再生を促進することにより、前記哺乳類において促進される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記損傷治癒が、コラーゲン産生を促進することにより、前記哺乳類において促進される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記Nell1タンパク質が配列番号1を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記Nell1タンパク質が配列番号3を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記Nell1タンパク質が配列番号5を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記Nell1タンパク質が細胞により送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記Nell1タンパク質がヒトNell1タンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記哺乳類がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記Nell1タンパク質が全身的に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記Nell1タンパク質が局所的に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記局所投与が注射による、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記局所投与が局所的である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記哺乳類が、新血管形成欠陥に関連する疾病または疾患を患う、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記哺乳類が、血管新生欠陥に関連する疾病または疾患を患う、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記哺乳類が糖尿病を患う、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
創傷治癒を必要としている哺乳類にNell1タンパク質をコードする核酸を投与する工程を含む、創傷治癒を必要としている哺乳類において創傷治癒を促進する方法。
【請求項18】
骨格筋萎縮の治療を必要としている哺乳類に有効量のNell1タンパク質を投与する工程を含む、骨格筋萎縮の治療を必要としている哺乳類において骨格筋萎縮を治療する方法。
【請求項19】
骨格筋萎縮の治療を必要としている哺乳類にNell1タンパク質をコードする核酸を投与する工程を含む、骨格筋萎縮の治療を必要としている哺乳類において骨格筋萎縮を治療する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−540557(P2010−540557A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527180(P2010−527180)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/077845
【国際公開番号】WO2009/042859
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(509125992)ユーティー−バッテル・エルエルシー (6)
【Fターム(参考)】