説明

細胞反応観察装置

【課題】生体内の細胞環境を良好に再現することによって、薬物に対する細胞の反応性を正確に観察することができる細胞反応観察装置を提供する。
【解決手段】細胞反応観察装置1は、主流路5、主流路5に連通する支流路(第一支流路11、第二支流路12、第三支流路13、第四支流路14)、支流路に設けられたポンプ(第一ポンプ31、第二ポンプ32、第三ポンプ33、第四ポンプ34)を少なくとも備えている。ポンプの稼働によって、主流路5から支流路へ培養液7を流出させたり、支流路から主流路5に培養液7を流入させたりする。ポンプの稼働タイミングを制御することによって、主流路5に充填された状態の培養液7に旋回流を形成させ、主流路5に充填された細胞片6を、形成させた旋回流の中心に保持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞反応観察装置に関する。詳細には、培養液中の所望位置に細胞を保持することが可能な細胞反応観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、創薬における試験過程で細胞反応観察装置が使用されている。細胞反応観察装置内で培養された細胞に対する薬物の反応性試験を行うことによって、同条件下で多数の試験を行うことができる。また、動物実験を実施することなく新薬の薬効や毒性を調べることができる。
【0003】
細胞の培養に使用される培地として、通常、粘度の高いゲル状媒質などが使用される。例えば、特許文献1に記載の装置では、培地として寒天やゼラチンが使用されている。加えて、培地に接するように流体通過部を設け、流体通過部に気体等を供給することによって、培地内のガス交換を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−101868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
薬物に対する細胞の反応性等を正確に観察するためには、装置内の細胞の環境と、生体内の細胞の環境とを良好に一致させる必要がある。しかしながら特許文献1に記載された装置のように寒天やゼラチンが培地として使用された場合、細胞の正確な位置決めが難しい。培地は、流動性を有する状態で細胞が混入された後固められるので、培地が固まるまでの間に細胞の位置が所望位置からずれてしまうためである。また、一旦固化された培地内の細胞の周囲環境は自由に制御できない。従って、装置内に再現される環境が生体内と大きく異なってしまい、薬物に対する細胞の反応性等を正確に観察することができないという問題点があった。
【0006】
本発明は上述の問題点を解決するためになされたものであり、生体内の細胞環境を良好に再現することによって、薬物に対する細胞の反応性を正確に観察することができる細胞反応観察装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の問題点を解決するために、請求項1に係る発明の細胞反応観察装置は、培養液が充填される流路である主流路と、前記主流路に連通する複数の流路である支流路と、前記支流路のうち前記主流路に連通する側と反対側の端部に設けられ、前記支流路を介して前記主流路に対して前記培養液を流出入させるポンプであって、前記培養液の流出入によって前記主流路に充填された前記培養液に旋回流を形成させ、前記主流路に注入される細胞片を前記旋回流の中心に保持させるポンプとを備えている。
【0008】
また、請求項2に係る発明の細胞反応観察装置は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記支流路は、前記主流路を構成する内壁面のうち対向配置する二つの面部分に連通して配置されており、一の前記面部分に隣接配置される第一支流路及び第二支流路と、他の前記面部分に配置される第三支流路及び第四支流路であって、前記第一支流路と対向する位置に配置される第三支流路と、前記第二支流路と対向する位置に配置される第四支流路とを少なくとも備えている。
【0009】
また、請求項3に係る発明の細胞反応観察装置は、請求項2に記載の発明の構成に加えて、前記主流路に連通し、前記主流路中の前記細胞片に薬液を注入するための流路であって、前記一の面部分のうち前記第一支流路と前記第二支流路との間に配置される第一注入路と、前記他の面部分のうち前記第三支流路と前記第四支流路との間に配置される第二注入路とを備えている。
【0010】
また、請求項4に係る発明の細胞反応観察装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記主流路の前記培養液に前記旋回流を形成させて前記細胞片を前記旋回流の中心に保持させるために、前記細胞片の位置に応じて前記ポンプの稼働の切替制御を行う稼働手段を備えている。
【0011】
また、請求項5に係る発明の細胞反応観察装置は、請求項4に記載の発明の構成に加えて、前記稼働手段は、はじめに前記主流路から前記第一支流路へ前記培養液を流出させ、次いで前記第三支流路から前記主流路に前記培養液を流入させ、次いで前記主流路から前記第四支流路へ前記培養液を流出させ、次いで前記第二支流路から前記主流路に前記培養液を流入させることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に係る発明の細胞反応観察装置は、請求項4又は5に記載の発明の構成に加えて、前記細胞片を撮影する撮影手段と、前記撮影手段によって撮影された結果の撮影画像に基づいて、前記細胞片の位置を特定する位置特定手段とを備え、前記稼働手段は、前記位置特定手段において特定された前記細胞片の位置に基づいて、前記ポンプの稼働を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明の細胞反応観察装置では、主流路と、主流路に連通する複数の支流路と、支流路に設けられたポンプとを備えている。ポンプによって主流路へ培養液を流出入させ、主流路に充填された培養液に旋回流を形成させる。これによって、旋回流の中心に細胞片を保持させる。細胞片を所望の位置に保持することができるので、生体系に近い状態で細胞片を培養することができる。媒質内で細胞片を保持することが可能であるため、細胞片の周囲の環境を迅速に変更することによって細胞片の反応性を的確に観察することができる。
【0014】
また、請求項2に係る発明の細胞反応観察装置では、請求項1に記載の発明の効果に加えて、主流路のうち、第一支流路〜第四支流路の連通部分にて囲まれた部分に旋回流を形成させることが可能となる。
【0015】
また、請求項3に係る発明の細胞反応観察装置では、請求項2に記載の発明の効果に加えて、第一注入路及び第二注入路を介して主流路内に薬液を注入することができる。これによって、細胞片に薬液を反応させることが可能となる。
【0016】
また、請求項4に係る発明の細胞反応観察装置では、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、細胞片の位置に基づいてポンプの稼働の切替制御を行うことによって、主流路に充填された状態の培養液に旋回流を形成させることが可能となる。
【0017】
また、請求項5に係る発明の細胞反応観察装置では、請求項4に記載の発明の効果に加えて、はじめに主流路から第一支流路へ培養液を流出させ、次いで第三支流路から主流路に培養液を流入させ、次いで主流路から第四支流路へ培養液を流出させ、次いで第二支流路から主流路に培養液を流入させる。これによって、主流路に充填された培養液に容易に旋回流を形成させることができる。また、第一支流路〜第四支流路の連通部分にて囲まれた部分に細胞片を誘導することができる。
【0018】
また、請求項6に係る発明の細胞反応観察装置では、請求項4又は5に記載の発明の効果に加えて、細胞片の位置に応じてポンプの稼働を制御し、主流路に充填された培養液に旋回流を形成させることができる。第一支流路〜第四支流路の連通部分にて囲まれた部分に細胞片を容易に誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】細胞反応観察装置1の物理的構成の概要及び動作原理を示す模式図である。
【図2】本体部2の右側面図である。
【図3】主流路5に発生する培養液7の流れの様子を示す模式図である。
【図4】主流路5に発生する培養液7の流れの様子を示す模式図である。
【図5】主流路5に発生する培養液7の流れの様子を示す模式図である。
【図6】主流路5に発生する培養液7の流れの様子を示す模式図である。
【図7】主流路5に発生する培養液7の流れの様子を示す模式図である。
【図8】細胞反応観察装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【図9】旋回流を形成させる場合の処理を示すフローチャートである。
【図10】変形例において主流路5に発生する培養液7の流れの様子を示す模式図である。
【図11】シミュレーション結果を示す模式図である。
【図12】変形例におけるシミュレーション結果を示す模式図である。
【図13】試作した細胞反応観察装置1を示す写真である。
【図14】試作した細胞反応観察装置1の本体部2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態における細胞反応観察装置1について、図面を参照して説明する。なおこれらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、各種処理のフローチャートなどは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0021】
はじめに、図1及び図2を参照し、細胞反応観察装置1の物理的構成の概要及び動作原理について説明する。細胞反応観察装置1は、本体部2と、本体部2に接続されるポンプ(第一ポンプ31、第二ポンプ32、第三ポンプ33、第四ポンプ34)とを備えている。また図示されていないが、本体部2を撮影可能なカメラ66(図8参照)、及び、ポンプやカメラ66の稼働を制御するPC60(図8参照)を備えている。本体部2は、図1における紙面手前側を上方向とした状態で台の上に載置される。
【0022】
図1に示すように、本体部2には、細胞片6及び培養液7が充填される流路である主流路5が形成される。また、主流路5に連通する流路である支流路(第一支流路11、第二支流路12、第三支流路13、第四支流路14)が形成される。また、主流路5に連通する流路である注入路(注入路15、注入路16)が形成される。本体部2は、主流路5、支流路(第一支流路11、第二支流路12、第三支流路13、第四支流路14)、及び注入路(注入路15、注入路16)を上方から覆うカバー3(図2参照)を備えている。本体部2を構成する材料としては、プラスチック、樹脂、ガラス、ゴム等、細胞反応観察装置として使用される一般的な材料が使用可能である。なお、本体部2のカバー3として透明材料を使用することによって、装置内に充填された状態の細胞を容易に観察することができる。支流路(第一支流路11〜第四支流路14)とポンプ(第一ポンプ31〜第四ポンプ34)とは、チューブ(第一チューブ21、第二チューブ22、第三チューブ23、第四チューブ24)によって其々接続している。以下、詳細について説明する。
【0023】
主流路5について説明する。主流路5は、本体部2に形成される中空状の流路である。主流路5には、細胞片6及び培養液7が充填される。流路の形状は特段限定されない。主流路5の径は、細胞片6が充填可能な大きさであれば特段限定されない。
【0024】
支流路(第一支流路11〜第四支流路14)について説明する。支流路は、主流路5を構成する内壁面のうち対向配置する二つの面部分に連通して配置される。内壁面のうち一の面部分に第一支流路11及び第二支流路12が配置される。他の面部分に第三支流路13及び第四支流路14が配置される。第三支流路13は、第一支流路11と対向する位置に配置される。第四支流路14は、第二支流路12と対向する位置に配置される。図1に示す例では、主流路5の紙面下側の内壁面のうち右側に第一支流路11が配置されている。紙面下側の内壁面のうち左側に第二支流路12が配置されている。紙面上側の内壁面のうち右側に第三支流路13が配置されている。紙面上側の内壁面のうち左側に第四支流路14が配置されている。
【0025】
其々の支流路のうち、主流路5に連通する側と反対側の端部には、ポンプ(第一ポンプ31〜第四ポンプ34)が接続される。ポンプと支流路とはチューブ(第一チューブ21〜第四チューブ24)によって接続される。図1に示す例では、第一支流路11に第一ポンプ31が接続され、第二支流路12に第二ポンプ32が接続され、第三支流路13に第三ポンプ33が接続され、第四支流路14に第四ポンプ34が接続されている。第一支流路11と第一ポンプ31とは第一チューブ21によって接続されている。第二支流路12と第二ポンプ32とは第二チューブ22によって接続されている。第三支流路13と第三ポンプ33とは第三チューブ23によって接続されている。第四支流路14と第四ポンプ34とは第四チューブ24によって接続されている。
【0026】
ポンプの稼働によって、主流路5から支流路(第一支流路11〜第四支流路14)へ培養液7を流出させたり、支流路(第一支流路11〜第四支流路14)から主流路5に培養液7を流入させたりすることができる。本実施の形態では、ポンプの稼働によって主流路5に充填された状態の培養液7に旋回流を形成させる。そして、主流路5に充填された細胞片6を、形成させた旋回流の中心に保持させる。詳細は後述する。
【0027】
注入路(注入路15、16)について説明する。注入路は、主流路5を構成する内壁面のうち対向配置する二つの面部分に連通して配置される。内壁面のうち第三支流路13と第四支流路14との間の面部分に注入路15が配置される。内壁面のうち第一支流路11と第二支流路12との間の面部分であって注入路15と対向する位置に、注入路16が配置される。注入路16には、主流路5内の細胞片6に所定の薬物を反応させる場合において、反応させる薬物が注入される。注入路16から注入された薬物は、主流路5内の細胞片6と接触し、その後、注入路15から排出される。これによって、細胞片6に対する薬物の反応性試験を容易に行うことができる。
【0028】
主流路5中の培養液7に旋回流を形成させる場合の、培養液7の流れの様子について、図3〜7を参照して説明する。なお、図3に示す主流路5の紙面上下中央部分を左右方向に延びる線分55を定義する。また、第一支流路11と第二支流路12との間の中点と、第三支流路13と第四支流路14との間の中点とを通り、紙面上下方向に延びる線分56を定義する。そして、線分55及び線分56にて分割された主流路5の其々の領域のうち、右上部分を第一象限51、右下部分を第二象限52、左下部分を第三象限53、左上部分を第四象限54と定義する。第一象限51は、主流路5における第三支流路13の連通部分付近に相当する。以下同様に、第二象限52は第一支流路11の連通部分付近、第三象限53は第二支流路12の連通部分付近、第四象限54は第四支流路14の連通部分付近に其々相当する。なお主流路5に連通する流路のうち注入路(注入路15、16)は、以下においては省略されている。
【0029】
はじめに、図3に示すように、第一ポンプ31(図1参照)を稼働させ、培養液7を吸入させる。これによって主流路5中の培養液7が、主流路5から第一支流路11へ流出する(図3中矢印25)。主流路5からの培養液7の流出に伴い、第一象限51及び第二象限52には、第一支流路11へと向かう方向の流れ(図3中線35)が発生する。
【0030】
この状態で、主流路5のうち第四象限54に細胞片6が注入された場合を想定する。この場合、培養液7に発生した流れによって、第四象限54に位置する細胞片6に、第一象限51に向かう力(図3中右方向)が加わる。これによって第四象限54に位置する細胞片6は、第一象限51へと誘導される。また、第一象限51に移動した細胞片6には、培養液7に発生した流れによって、第二象限52に向かう力(図3中右斜め下方向)が加わる。これによって第一象限51に位置する細胞片6は、第二象限52へと誘導される。
【0031】
次いで、第一ポンプ31の稼働を停止させる。次いで、図4に示すように、第三ポンプ33(図1参照)を稼働させ、培養液7を排出させる。これによって培養液7が、第三支流路13から主流路5に流入する(図4中矢印26)。主流路5への培養液7の流入に伴い、第二象限52及び第三象限53には、第二象限52から第三象限53へと向かう方向の流れ(図4中線36)が発生する。
【0032】
この場合、第二象限52に位置する細胞片6に、第三象限53に向かう力(図4中左斜め下方向)が加わる。これによって第二象限52に位置する細胞片6は、第三象限53へと誘導される。
【0033】
次いで、第三ポンプ33の稼働を停止させる。次いで、図5に示すように、第四ポンプ34(図1参照)を稼働させ、培養液7を吸入させる。これによって主流路5中の培養液7が、主流路5から第四支流路14へ流出する(図5中矢印27)。主流路5からの培養液7の流出に伴い、第三象限53及び第四象限54には、第四支流路14へと向かう方向の流れ(図5中線37)が発生する。
【0034】
この場合、第三象限53に位置する細胞片6に、第四象限54に向かう力(図5中左斜め上方向)が加わる。これによって第三象限53に位置する細胞片6は、第四象限54へと誘導される。
【0035】
次いで、第四ポンプ34の稼働を停止させる。次いで、図6に示すように、第二ポンプ32(図1参照)を稼働させ、培養液7を排出させる。これによって培養液7が、第二支流路12から主流路5に流入する(図6中矢印28)。主流路5への培養液7の流入に伴い、第四象限54及び第一象限51には、第四象限54から第一象限51へと向かう方向の流れ(図6中線38)が発生する。
【0036】
この場合、第四象限54に位置する細胞片6に、第一象限51へと向かう力(図6中右斜め上方向)が加わる。これによって第四象限54に配置する細胞片6は、第一象限51へと誘導される。
【0037】
次いで、第二ポンプ32の稼働を停止させる。次いで、図3に示すように、第一ポンプ31(図1参照)を稼働させ、培養液7を吸入させる。そして上述の処理が繰り返し実行される。これによって、図7に示すように、主流路5中の培養液7に旋回流が形成される(図7中線39)。細胞片6は、旋回流の中心(第一象限51〜第四象限54の原点部分)に保持される。
【0038】
図8を参照し、細胞反応観察装置1の電気的構成について説明する。図8に示すように、細胞反応観察装置1は、ポンプやカメラ66の稼働制御を実行するPC60を備えている。PC60は、制御全般を司るCPU61、BIOS等が記憶されるROM62、各種データが一時的に記憶されるRAM63、各種プログラムが記憶されるハードディスクドライブ64(以下「HDD64」という。)を備えている。CPU61とROM62、RAM63、HDD64とは電気的に接続している。CPU61は、ROM62、RAM63、HDD64の記憶領域にアクセスすることが可能となっている。
【0039】
細胞反応観察装置1は、CD−ROMドライブ65を備えている。CD−ROMドライブ65に挿入されるCD−ROM651には、CPU61が実行するプログラム等が記憶されている。細胞反応観察装置1の導入時には、これら各種プログラムが、CD−ROM651からHDD64にセットアップされ記憶される。
【0040】
細胞反応観察装置1は、カメラ66を備えている。CPU61とカメラ66とは電気的に接続している。CPU61は、カメラ66によって撮影された画像を認識することが可能となっている。本実施の形態では、カメラ66は本体部2(図1参照)に向けられ配置される。カメラ66は、主流路5や支流路、及び、主流路5に充填された細胞片6(図1参照)を撮影する。
【0041】
細胞反応観察装置1は、既述の第一ポンプ31、第二ポンプ32、第三ポンプ33、第四ポンプ34と、第一ポンプ31〜第四ポンプ34を稼働可能なポンプドライバ67とを備えている。CPU61が第一ポンプ31〜第四ポンプ34を稼働制御することが可能なように、CPU61とポンプドライバ67とは電気的に接続している。ポンプドライバ67と第一ポンプ31〜第四ポンプ34とは、其々電気的に接続している。
【0042】
図9のフローチャートを参照し、細胞反応観察装置1が備えるPC60のCPU61において実行される処理について説明する。本処理は、主流路5に細胞片6(図1参照)が充填された後、PC60のキーボードやマウス(図示外)が操作され、細胞反応観察装置1を稼働開始させる指示がユーザによって入力された場合に、CPU61によって起動され実行される。
【0043】
はじめに、カメラ66(図8参照)による撮影が開始される(S10)。次いで、第一ポンプ31(図1参照)が制御される。そして、主流路5の培養液7が第一支流路11に流出する(S11)。第一ポンプ31の稼働によって、培養液7中の細胞片6は第一象限51(図3参照)に誘導される。さらに細胞片6は、第二象限52に誘導される(図3参照)。
【0044】
第一ポンプ31を稼働させた状態で、カメラ66によって撮影された画像が取得される。取得された画像が解析され、細胞片6に相当する画像部分の位置が特定される。特定された細胞片6の位置が、第二象限52(図3参照)に含まれているかが判断される(S13)。第二象限52に含まれていない場合(S13:NO)、S13に戻り、継続して細胞片6の位置の特定が実行される。
【0045】
なお上述にて細胞片6の位置を特定する場合、画像解析によって特定された細胞片6の画像部分のうち一部分でも第二象限52に含まれた状態となった場合には、細胞片6の位置が第二象限52に含まれているものと判断している。以下においても同様の判断を行っている。
【0046】
特定された細胞片6の位置が、第二象限52に含まれている場合(S13:YES)、第一ポンプ31の稼働を停止させる(S15)。次いで、第三ポンプ33(図1参照)が制御される。そして、第三支流路13から主流路5に培養液7が流入する(S17)。第三ポンプ33の稼働によって、培養液7中の細胞片6は第三象限53に誘導される(図4参照)。
【0047】
第三ポンプ33を稼働させた状態で、カメラ66によって撮影された画像が取得される。取得された画像が解析され、細胞片6に相当する画像部分の位置が特定される。特定された細胞片6の画像の位置が、第三象限53(図3参照)に含まれているかが判断される(S19)。第三象限53に含まれていない場合(S19:NO)、S19に戻り、継続して細胞片6の位置の特定が実行される。
【0048】
特定された細胞片6の位置が、第三象限53に含まれている場合(S19:YES)、第三ポンプ33の稼働を停止させる(S21)。次いで、第四ポンプ34(図1参照)が制御される。そして、主流路5の培養液7が第四支流路14に流出する(S23)。第三ポンプ33の稼働によって、培養液7中の細胞片6が第四象限54(図3参照)に誘導される(図5参照)。
【0049】
第四ポンプ34を稼働させた状態で、カメラ66によって撮影された画像が取得される。取得された画像が解析され、細胞片6に相当する画像部分の位置が特定される。特定された細胞片6の画像の位置が、第四象限54(図3参照)に含まれているかが判断される(S25)。第四象限54に含まれていない場合(S25:NO)、S25に戻り、継続して細胞片6の位置の特定が実行される。
【0050】
特定された細胞片6の位置が、第四象限54に含まれている場合(S25:YES)、第四ポンプ34の稼働を停止させる(S27)。次いで、第二ポンプ32(図1参照)が制御される。そして、第二支流路12から主流路5に培養液7が流入する(S29)。第二ポンプ32の稼働によって、培養液7中の細胞片6は第一象限51に誘導される(図6参照)。
【0051】
第二ポンプ32を稼働させた状態で、カメラ66によって撮影された画像が取得される。取得された画像が解析され、細胞片6に相当する画像部分の位置が特定される。特定された細胞片6の画像の位置が、第一象限51(図3参照)に含まれているかが判断される(S31)。第一象限51に含まれていない場合(S31:NO)、S31に戻り、継続して細胞片6の位置の特定が実行される。
【0052】
特定された細胞片6の位置が、第一象限51に含まれている場合(S31:YES)、第二ポンプ32の稼働を停止させる(S33)。そしてS11に戻り、上述の処理が繰り返し実行される。
【0053】
以上説明したように、ポンプによって主流路5へ培養液7を流出入させ、主流路5に充填された培養液7に旋回流を形成させる。これによって、旋回流の中心に細胞片6を保持させることができる。細胞片6を所望の位置に保持することができるので、生体系に近い状態で細胞片6を培養することができる。安定な流れを形成させることができるので、再現性の高い試験を行うことができる。媒質内で細胞片6を保持することが可能であるため、細胞片6の周囲の環境を迅速に変更することによって細胞片6の反応性を的確に観察することができる。細胞を所望の位置に保持させ、細胞を独立させて反応性を観測することができる。
【0054】
また、第一ポンプ31稼動(主流路5から第一支流路11へ培養液7が流出)→(第一ポンプ31停止)→第三ポンプ33稼働(第三支流路13から主流路5へ培養液7が流入)→(第三ポンプ33停止)→第四ポンプ34稼働(主流路5から第四支流路14へ培養液7が流出)→(第四ポンプ34停止)→第二ポンプ32稼働(第二支流路12から主流路5へ培養液7が流入)を繰り返すことによって、主流路5に充填された培養液7に容易に旋回流を形成させることができる。また、第一支流路11〜第四支流路14の連通部分にて囲まれた部分に細胞片6を誘導することができる。
【0055】
なお、上述のポンプ制御は、カメラ66の撮影画像に基づき特定される細胞片6の位置に基づいて実行される。これによって、細胞片6の大きさや培養液7の粘度等に依存せず、主流路5のうち所望の位置に細胞片6を確実に保持させることができる。
【0056】
なお、図1の注入路16が本発明の「第一注入路」に相当し、注入路15が本発明の「第二注入路」に相当する。図9のS11、S15、S17、S21、S23、S27、S29、S33の処理を行うCPU61が本発明の「稼働手段」に相当する。図8のカメラ66が本発明の「撮影手段」に相当する。図9のS13、S19、S25、S31の処理を行うCPU61が本発明の「位置特定手段」に相当する。
【0057】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上述の実施の形態では、図1における紙面手前側を細胞反応観察装置1の本体部2の上側と定義し、この方向で台上に載置されることを想定していた。しかしながら本発明はこの配置に限定されない。例えば、図1における紙面上側を細胞反応観察装置1の本体部2の上側と定義し、この方向で台上に載置してもよい。
【0058】
上述の実施の形態では、細胞反応観察装置1は、主流路5に第一支流路11〜第四支流路14が其々連通した構成を有していた。しかしながら本発明はこの構成に限定されない。従って例えば、第一支流路11〜第四支流路14の組が主流路5に連続して繰り返し配置される構成であってもよい。このような構成とすることによって、異なる場所に複数の細胞片を配置させることができるので、異なる場所に配置させた複数の細胞片同士の反応性試験を行うことが可能となる。
【0059】
上述の実施の形態では、細胞片6の位置を特定する場合、画像解析によって特定された細胞片6の画像部分のうち一部分でも特定の象限に含まれた状態となった場合には、細胞片6の位置が特定の象限に含まれているものと判断していた。しかしながら本発明はこの方法に限定されない。従って例えば、特定された細胞片6の画像部分の全てが特定の象限に収まることとなった場合に、特定の象限に含まれていると判断してもかまわない。
【0060】
上述の実施の形態において、一旦旋回流が形成され、細胞片6を第一象限51〜第四象限54の原点部分に保持させた後は、第一ポンプ31〜第四ポンプ34の稼働を停止させてもよい。なおその後、原点部分に保持させた細胞片6が移動し、第一象限51〜第四象限54のいずれかに含まれた状態となった場合に、第一ポンプ31〜第四ポンプ34のうちいずれかを稼働させてもよい。具体的には、第一象限51に含まれた状態となった場合には、第一ポンプ31を稼働(吸入)させ、第二象限52に含まれた状態となった場合には、第三ポンプ33を稼働(排出)させ、第三象限53に含まれた状態となった場合には、第四ポンプ34を稼働(吸入)させ、第四象限54に含まれた状態となった場合には、第二ポンプ32を稼働(排出)させてもよい。
【0061】
上述の実施の形態では、主流路5について第一象限51〜第四象限54を定義し、これらの領域に細胞片6が含まれているかを判断することによってポンプを稼働制御し、細胞片6を第一象限51〜第四象限54の原点部分に保持させていた。しかしながら本発明はこの方法に限定されない。例えば、異なる領域を定義し、この領域に細胞片6が含まれているかを判断することによってポンプを稼働制御する。これによって、細胞片6を所定の領域内に保持させることができる。以下、本発明の変形例について説明する。
【0062】
図10を参照し、本発明の変形例について説明する。変形例では、図10に示すように、主流路5のうち第一象限51〜第四象限54(図3参照)における原点を重心とする正方形81を定義する。正方形81の右上の角から紙面右方向に延びる線分82を定義する。以下同様に、右下の角から紙面下方向に延びる線分83、左下の角から紙面左方向に延びる線分84、左上の角から紙面上方向に延びる線分85をそれぞれ定義する。そして、主流路5のうち正方形81内の領域を第A領域86、線分82と線分85とで区切られた領域を第B象限87、線分82と線分83とで区切られた領域を第C象限88、線分83と線分84とで区切られた領域を第D象限89、線分84と線分85とで区切られた領域をE象限90と定義する。変形例では、主流路5内に充填された細胞片6を第A領域86内に誘導し保持する。
【0063】
細胞片6を第A領域86に保持させる場合のポンプの稼働制御方法について概説する。はじめに、カメラ66による主流路5の撮影が開始される。第一ポンプ31(図1参照)を稼働させ、主流路5から第一支流路11に培養液7を流出させる。これによって、第B象限87から第C象限88に向かう方向の流れ(線91)が発生する。この状態で、主流路5に細胞片6が注入されると、細胞片6は第B象限87を経由して第C象限88に誘導される。
【0064】
カメラ66による撮影の結果から、細胞片6の位置が判断される。細胞片6が第C象限88に含まれると判断された場合、第三ポンプ33(図1参照)のみを稼働させ、第三支流路13から主流路5に培養液7を流入させる。他のポンプの稼働を停止させる。これによって、第C象限88から第D象限89に向かう方向の流れ(線92)が発生する。この状態で細胞片6は、第C象限88から第D象限89に誘導される。
【0065】
一方、細胞片6が第D象限89に含まれると判断された場合、第四ポンプ34(図1参照)のみを稼働させ、主流路5から第四支流路14に培養液7を流出させる。他のポンプの稼働を停止させる。これによって、第D象限89から第E象限90に向かう方向の流れ(線93)が発生する。この状態で細胞片6は、第D象限89から第E象限90に誘導される。
【0066】
一方、細胞片6が第E象限90に含まれると判断された場合、第二ポンプ32(図1参照)のみを稼働させ、第二支流路12から主流路5に培養液7を流入させる。他のポンプの稼働を停止させる。これによって、第E象限90から第B象限87に向かう方向の流れ(線94)が発生する。この状態で細胞片6は、第E象限90から第B象限87に誘導される。
【0067】
一方、細胞片6が第A領域86に含まれると判断された場合、すべてのポンプの稼働を停止させる。これによって、細胞片6は第A領域86に保持される。細胞片6が移動して第A領域86から外れ、第B象限87〜第E象限90のいずれかに含まれることとなった場合、細胞片6が含まれる領域に応じて上述の処理が実行される。
【0068】
以上の処理が実行されることによって、主流路5に注入された細胞片6は次第に第A領域86へと誘導され保持される。このように変形例では、細胞片6を所定の領域内(第A領域86)に保持することができる。
【実施例1】
【0069】
本発明の第一の実施例について、図面を参照して説明する。第一の実施例では、上述の実施の形態(特に図9等)にて示した方法に基づき主流路5に対して培養液7を流出入させた場合に培養液7に形成される流れの様子を、シミュレータによってシミュレーションした。そして、主流路5内に旋回流が形成されることを確認した。以下、(1)シミュレーション方式及び原理、(2)シミュレーション環境、(3)シミュレーション結果について説明する。
(1)方式及び原理
【0070】
培養液7の流れを支配する方程式として、非圧縮粘性流れの運動方程式(Navier−Stokes方程式)を採用した。Navier−Stokes方程式を数1に示す。数1のうちuは、主流路5から流出入させる培養液7の流速を示す。ρは培養液7の流体密度を示す。vは培養液7の動粘性係数を示す。bは外力を示す。各パラメータを代入し、数1を数値積分することによって、細胞反応観察装置1の動作確認のためのシミュレーションを行うことができる。
【数1】

【0071】
また、流体における流れの性質を示すレイノルズ数Reの算出式を数2に示す。数2のうちLは主流路5の代表的な径を示す。Uは培養液7の代表的な流速を示す。今回のシミュレーションでは、良好に旋回流を形成させる場合のレイノルズ数について考察した。詳細は後述する。
【数2】

(2)シミュレーション環境
【0072】
シミュレータとして、自作した流体シミュレータを使用した。主流路5の径を100μm、支流路(第一支流路11〜第四支流路14)の径を50μmに設定した。また、隣接する支流路間(第一支流路11と第二支流路12との間、及び、第三支流路13と第四支流路14との間)の距離を100μmに設定した。第一ポンプ31〜第四ポンプ34を、図9に示すフローチャートに基づいて制御するように設定した。
【0073】
培養液7の物理的特性は、イントロジェン(株)製「Leibovitz´S 1−15 Medium」の物理特性を参照した。動粘度係数を15.4×10−6/sに設定した。細胞片6としては、肝細胞を想定し、大きさ20μmに設定した。
【0074】
主流路5の径、及び培養液7の動粘度係数を鑑み、本シミュレーションにおいては、レイノルズ数Reの基となるパラメータのうち、Uを1mm/s、Lを100μm、vを10−6/sに設定した。結果、レイノルズ数Reを0.1に設定した。
(3)シミュレーション結果
【0075】
シミュレーション結果について、図11に示す。図11のうち線47は、ポンプ(第一ポンプ31〜第四ポンプ34)の稼働制御によって主流路5内に形成された旋回流を示している。本結果は、主流路5内に培養液7の旋回流が良好に形成されることを示している。また図11のうち線48は、主流路5内に充填させた細胞片6の移動経路を示している。本結果は、主流路5内に充填された細胞片6が旋回中心に誘導され、良好に保持されることを示している。
【0076】
なお、上述のパラメータのうち、レイノルズ数を0.1より大きく設定した場合、培養液7の流れに乱流が発生し、細胞片6が旋回流の中央部分に誘導されない現象が観察された。この結果から、レイノルズ数を少なくとも0.1以下とすることによって、良好に細胞片6(図3等参照)を主流路5内の旋回中心に誘導させることが可能であることが明らかになった。すなわち、レイノルズ数を小さくし、マクロスケールの現象とすることで、生成される流速パターンは層流になるため、良好に細胞片6を主流路5内の旋回中心に誘導させることができる。
【実施例2】
【0077】
本発明の第二の実施例について、図面を参照して説明する。第二の実施例では、上述の変形例にて示した方法に基づき主流路5に対して培養液7を流出入させた場合の、主流路5に注入された細胞片6の動きの様子を、シミュレータによってシミュレーションした。シミュレーション方法及び原理、シミュレーション環境については、上述の第一の実施例と同一であるので、説明を省略する。
【0078】
シミュレーション結果について、図12に示す。図12のうち線95は、ポンプ(第一ポンプ31〜第四ポンプ34、図1参照)の稼働制御によって主流路5内に形成された旋回流を示している。本結果は、主流路5内に培養液7の旋回流が良好に形成されることを示している。また図12のうち線96は、主流路5内に充填させた細胞片6(図3等参照)の移動経路を示している。本結果は、主流路5内に充填された細胞片6が旋回中心の第A領域86に良好に誘導されることを示している。
【実施例3】
【0079】
本発明の第三の実施例について、図面を参照して説明する。第三の実施例では、実際に細胞反応観察装置1を作成した。作成した細胞反応観察装置1を図13に示す。図13のうち、カメラ66として、Carton社製「DSZT−70IFL」を使用した。また、Maxon製モータ「グラファイトブラシ20w」、THK製スライダ「LMガイドアクチュエータKR20」、ハミルトン製マイクロシリンジ「1701LT」を組み合わせてポンプを作成し、第一ポンプ31〜第四ポンプ34とした。
【0080】
作成した細胞反応観察装置1のうち本体部2の模式図について図14に示す。図14のうち主流路5の径を100μmとした。第一支流路11〜第四支流路14の径を50μmとした。第一支流路11〜第二支流路12間距離、及び、第三支流路13〜第四支流路14間距離を100μmとした。チューブ(第一チューブ21〜第四チューブ24)の径を1.5mmとし、チューブが支流路に接続可能なように、支流路(第一支流路11〜第四支流路14)の其々の端部を円形状とした(図14中71〜74)。円形状部分の径は、チューブの径と同じ1.5mmとした。また、チューブの主流路5に対して細胞片6を充填させ易いように、主流路5の両端部を円形状とした。円形状部分の径は1.5mmとした。
【0081】
上述のようにして作成した細胞反応観察装置1を用い、ポンプの稼働制御を行うことによって、培養液7に旋回流を形成させることが可能であることが確認された。また、旋回流の中心に細胞片6を保持させることが可能であることが確認された。
【符号の説明】
【0082】
1 細胞反応観察装置
5 主流路
6 細胞片
7 培養液
11 第一支流路
12 第二支流路
13 第三支流路
14 第四支流路
15、16 注入路
31 第一ポンプ
32 第二ポンプ
33 第三ポンプ
34 第四ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養液が充填される流路である主流路と、
前記主流路に連通する複数の流路である支流路と、
前記支流路のうち前記主流路に連通する側と反対側の端部に設けられ、前記支流路を介して前記主流路に対して前記培養液を流出入させるポンプであって、前記培養液の流出入によって前記主流路に充填された前記培養液に旋回流を形成させ、前記主流路に注入される細胞片を前記旋回流の中心に保持させるポンプと
を備えた細胞反応観察装置。
【請求項2】
前記支流路は、
前記主流路を構成する内壁面のうち対向配置する二つの面部分に連通して配置されており、一の前記面部分に隣接配置される第一支流路及び第二支流路と、他の前記面部分に配置される第三支流路及び第四支流路であって、前記第一支流路と対向する位置に配置される第三支流路と、前記第二支流路と対向する位置に配置される第四支流路とを少なくとも備えたことを特徴とする請求項1に記載の細胞反応観察装置。
【請求項3】
前記主流路に連通し、前記主流路中の前記細胞片に薬液を注入するための流路であって、前記一の面部分のうち前記第一支流路と前記第二支流路との間に配置される第一注入路と、前記他の面部分のうち前記第三支流路と前記第四支流路との間に配置される第二注入路とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の細胞反応観察装置。
【請求項4】
前記主流路の前記培養液に前記旋回流を形成させて前記細胞片を前記旋回流の中心に保持させるために、前記細胞片の位置に応じて前記ポンプの稼働の切替制御を行う稼働手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の細胞反応観察装置。
【請求項5】
前記稼働手段は、
はじめに前記主流路から前記第一支流路へ前記培養液を流出させ、次いで前記第三支流路から前記主流路に前記培養液を流入させ、次いで前記主流路から前記第四支流路へ前記培養液を流出させ、次いで前記第二支流路から前記主流路に前記培養液を流入させることを特徴とする請求項4に記載の細胞反応観察装置。
【請求項6】
前記細胞片を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段によって撮影された結果の撮影画像に基づいて、前記細胞片の位置を特定する位置特定手段と
を備え、
前記稼働手段は、
前記位置特定手段において特定された前記細胞片の位置に基づいて、前記ポンプの稼働を制御することを特徴とする請求項4又は5に記載の細胞反応観察装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−279321(P2010−279321A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137044(P2009−137044)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】