説明

細胞固定化基板ならびに細胞固定化方法

【課題】 細胞の成長や接着を制御するための化学物質等を予め基板に固定することなく、基板の任意の特定位置に細胞を固定化することができ、固定化後および培養後でも目的細胞を特異的に、かつ、スムーズに分離することができる、新しい細胞固定化基板ならびに細胞固定化方法を提供する。
【解決手段】 基板(2)の任意の特定位置に細胞(4)が固定化されている細胞固定化基板(1)であって、基板(2)の近傍に磁石(3)が配置され、前記磁石(3)により細胞(4)と結合する磁気ビーズ(5)が基板(2)に固定され、そして、この磁気ビーズ(5)を介して、細胞(4)は分離が自在に基板(2)の任意の特定位置で固定化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、細胞固定化基板ならびに細胞固定化方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、細胞の成長や接着を制御するための化学物質等を予め基板に固定することなく、基板の任意の特定位置に細胞を固定化することができ、固定化および培養後でも目的細胞を特異的に、かつ、スムーズに分離することができる、新しい細胞固定化基板ならびに細胞固定化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
細胞は、接着、成長、増殖、分泌、遺伝子発現等数多くの機能を有し、複雑なネットワークを形成して、多種多様な生理機能(生命現象)を発揮している。このような複雑な生命現象を解明するために、様々なアプローチが考えられている。たとえば、細胞等の生体関連試料を電子顕微鏡や走査プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope、SPM)等による観察に供することができる、細胞を固定用基板に固定する細胞の固定化方法が提案されている(特許文献1)。この特許文献1記載の細胞の固定化方法は、細胞を固定する固定用基板には、親水基と疎水基とをもつ有機化合物の単分子膜が形成されている。この単分子膜の存在によって、たとえば、グルタルアルデヒドによるNH2基の架橋反応等による化学固定(つまり、化学結合による細胞の固定)で、細胞を基板の表面に固定することができる。そして、この化学固定の操作と同時に、静電引力や磁力といった物理的作用を加え、細胞を基板に集めて効率よく固定している。
【0003】
また、別のアプローチとしては、細胞の接着位置や伸長方向等の成長を制御し、任意のパターンにて培養育成するパターン培養が考えられている。この細胞のパターニングを制御する方法については、数多くの研究や検討がなされてきている。たとえば、細胞の成長を制御、誘導できる細胞パターンの形成方法が提案されている(特許文献2)。この特許文献2記載の方法は、基板等の表面に細胞成長促進分子や細胞成長阻害分子をパターン被着させて、このパターンに沿って細胞を培養することで、基板等の表面上に細胞パターンを形成している。
【0004】
さらに、別の細胞のパターン培養する方法としては、神経細胞を用いて、神経線維の成長方向を制御する基材や方法も提案されている(特許文献3)。この特許文献3記載の発明は、上記特許文献2記載の発明とほぼ同様に、基材(基板に相当)の表面に、神経細胞非接着性物質と神経細胞接着性物質とパターン固定することで、任意の方向に神経線維を成長させて、パターン培養することができる。
【特許文献1】特開平10−123031号公報
【特許文献2】特開2002−355031号公報
【特許文献3】特開平4−91780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、たとえば、上記特許文献1記載の細胞の固定化方法は、細胞を基板に固定するためには、有機化合物の単分子膜を基板表面に形成させておく必要がある。
【0006】
また、たとえば、特許文献2および特許文献3記載の発明においても、細胞を基板に固定し、パターン培養するためには、細胞成長促進分子や細胞成長阻害分子、あるいは、神経細胞接着性物質や神経細胞非接着性物質等といった、細胞の成長、接着を促進させたり、阻害したりする化学物質を予め基板表面に被着させる必要がある。
【0007】
しかも、これら特許文献1から特許文献3いずれにおいても、細胞を基板に固定化した後や細胞を培養した後において、目的細胞を特異的に、かつ、スムーズに分離することができないという問題もあった。
【0008】
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの背景から、従来技術の問題点を解決し、細胞の成長や接着を制御するための化学物質等を予め基板に固定することなく、基板の任意の特定位置に細胞を固定化することができ、固定化後および培養後でも目的細胞を特異的に、かつ、スムーズに分離することができる、新しい細胞固定化基板ならびに細胞固定化方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この出願の発明は、前記の課題を解決するものとして、第1には、基板の任意の特定位置に細胞が固定化されている細胞固定化基板であって、基板の近傍に磁石が配置され、前記磁石により細胞と結合する磁気ビーズが基板に固定され、そして、この磁気ビーズを介して、細胞は、分離が自在に基板の任意の特定位置で固定化されていることを特徴とする細胞固定化基板を提供する。
【0010】
また、この出願の発明は、第2には、細胞が、パターン配列で固定化されている細胞固定化基板を、第3には、細胞が、少なくとも動物由来、植物由来および微生物由来のいずれかである細胞固定化基板を提供し、第4には、動物由来の細胞が、神経細胞である細胞固定化基板を提供する。
【0011】
第5には、磁石が、永久磁石または電磁石である細胞固定化基板を提供し、さらに、第6には、磁気ビーズの直径が、10nm〜10μmの範囲である細胞固定化基板を、第7には、磁気ビーズの直径が、10nm〜500nmの範囲である細胞固定化基板を提供し、第8には、磁気ビーズが、生理活性物質および官能基のうち少なくともいずれかに修飾されている細胞固定化基板を、第9には、生理活性物質が、タンパク質、核酸、糖および脂質のうち少なくともいずれかである細胞固定化基板を提供し、そして、第10には、官能基が、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アルデヒド基、ニトロ基およびアミノ基のうち少なくともいずれかである細胞固定化基板を提供する。
【0012】
さらに、この出願の発明は、第11には、基板の任意の特定位置に細胞を固定化する細胞固定化方法であって、
(1)基板の近傍に磁石を配置して、前記磁石により細胞と結合する磁気ビーズを基板に固定化するステップ;
(2)細胞を播種して、前記磁気ビーズに細胞を結合させるステップ;および
(3)前記磁気ビーズを介して、磁力で基板の任意の特定位置に細胞を固定化するステップ;
を含むことを特徴とする細胞固定化方法を提供し、第12には、磁気ビーズを基板にパターン配列で固定させ、このパターン配列で固定された磁気ビーズに細胞を結合させることで、細胞をパターン配列で固定させる細胞固定化方法を、第13には、細胞が、少なくとも動物由来、植物由来および微生物由来のいずれかである細胞固定化方法を、第14には、動物由来の細胞が、神経細胞である細胞固定化方法を提供する。
【0013】
さらにまた、第15には、磁石が、永久磁石または電磁石である細胞固定化方法を提供し、第16には、磁気ビーズの直径が、10nm〜10μmの範囲である細胞固定化方法を、第17には、磁気ビーズの直径が、10nm〜500nmの範囲である細胞固定化方法を、第18には、磁気ビーズが、生理活性物質および官能基のうち少なくともいずれかに修飾されている細胞固定化方法を提供する。
【0014】
そして、第19には、生理活性物質が、タンパク質、核酸、糖および脂質のうち少なくともいずれかである細胞固定化方法を、第20には、官能基が、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アルデヒド基、ニトロ基およびアミノ基のうち少なくともいずれかである細胞固定化方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
以上のとおりのこの出願の発明によって、細胞の成長や接着を制御するための化学物質等を予め基板に固定することなく、基板の任意の特定位置に細胞を固定化することができ、固定化後および培養後でも目的細胞を特異的に、かつ、スムーズに分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この出願の発明は、上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について詳しく説明する。
【0017】
この出願の発明は、基板表面の任意の特定位置に細胞が固定化されている細胞固定化基板である。具体的には、この出願の発明の細胞固定化基板は、図1(A)(B)(C)の平面図、側面図、そして底面図に例示したとおり、基板(2)の近傍に、すなわち基板(2)に当接して、もしくは基板(2)の近くに離間して磁石(3)が配置され、前記磁石(3)の磁力により磁気ビーズ(5)がパターン化した状態で基板(2)に固定されている。なお、この磁気ビーズ(5)は細胞(4)と結合することができる。つまり、細胞(4)が、この磁気ビーズ(5)を介して、磁力で基板(2)表面の任意の特定位置に固定化されている。このため、この出願の発明の細胞固定化基板(1)は、磁石(3)を除く等による磁力の解除により、磁気ビーズ(5)を磁力から開放することで、基板(2)表面に固定されていた磁気ビーズ(5)が、細胞(4)とともに基板(2)から分離させることができる。すなわち、磁力を制御することで、細胞(4)を適宜に基板(2)表面に固定、あるいは、基板(2)表面から分離することを自在に行うことができる。なお、磁気ビーズ(5)とともに細胞(4)を固定化する基板(2)については、その材質や形状等は特に限定されるものではなく、たとえば、ガラス板、プラスチック板、培養シャーレ等各種のものを使用することができる。
【0018】
また、この出願の発明は、図2に例示したとおり、基板(2)の任意の特定位置に細胞(4)を固定化する細胞固定化方法も提供する。すなわち、まずステップIとして、基板(2)の近傍に磁石(3)を配置して、前記磁石(3)から発生する磁力により細胞(4)と結合する磁気ビーズ(5)を基板(2)表面に固定化させる。なお、この磁石(3)は、永久磁石や電磁石等を使用することができ、その直径は、特に制限されるものではないが、たとえば1mm〜10mmの範囲であることが好ましい。ステップIIとして、任意の細胞(4)を播種して、前記磁気ビーズ(5)に細胞(4)を結合させ、ステップIIIとして、前記磁気ビーズ(5)を介して、基板(2)表面の任意の特定位置に固定および分離自在に細胞を固定化させる。そして、必要に応じて、磁石(3)を除く等による磁力の解除により、細胞(4)を磁気ビーズ(5)とともに分離する。なお、公知の方法に従って、細胞(4)が結合した磁気ビーズ(5)のみを除去して、所望の細胞(4)のみを回収することもできる。
【0019】
そして、このような特徴を有する細胞固定化基板ならびに細胞固定化方法では、磁石の厚みや形状等を適宜に変更できるため、細胞をパターン配列で固定化させることも簡単にできる。このため、細胞が任意のパターン配列で固定された、新しい細胞固定化基板ならびに細胞固定化方法も提供することができる。
【0020】
また、この出願の発明における細胞は、特に制限されるものではないが、少なくとも動物由来、植物由来および微生物由来のいずれかであることが好ましく、特に動物由来の細胞の場合には、神経細胞であることがさらに好ましい。動物由来の細胞としては、哺乳類由来の細胞、ニワトリ等の鳥類由来の細胞、爬虫類由来の細胞、カエル等の両生類由来の細胞、魚類由来の細胞、カイコ等の昆虫由来の細胞等が使用でき、特に哺乳類は、ヒト、ウシ、サル、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウス、ウサギ等が使用できる。植物由来の細胞としては、たとえば、イネやシロイヌナズナ等が挙げられる。また、微生物由来の細胞としては、たとえば、コケ等の地衣類、カビやキノコ等のカビ類、アメーバ等の原生動物、クロレラ等の藻類、各種酵母、さらに、シアノバクテリア等のラン藻類、乳酸菌や放線菌、大腸菌、根粒菌等の真正細菌、また、古細菌等が挙げられる。
【0021】
もちろん、細胞としては、上記の由来の細胞だけでなく、いかなる由来の培養細胞でもよい。たとえば、異種由来の細胞同士あるいは細胞とコラーゲンゲル膜、繭糸、ナイロンメッシュ等の非細胞との融合細胞でもよい。もちろん、そのほかにも、動物の肝臓、心臓、腎臓、皮膚、骨、軟骨、骨髄等やこれら例示した組織から派生して形成された組織等をはじめとする組織由来の細胞でもよく、初代細胞や株化細胞でもよい。さらに、たとえば、動物細胞における初代細胞としては、ニワトリ胚由来細胞(PSG)、ラット初代心筋細胞、ラット初代肝細胞、マウス初代骨髄細胞、ブタ初代肝細胞、ウシ血管内皮細胞、ヒト初代臍帯血細胞、ヒト初代骨髄造血細胞、後根神経節細胞(DRG)等のヒト初代神経細胞等が例示される。さらにまた、株化細胞では、たとえば、チャイニーズハムスター卵巣細胞由来のCHO細胞、ヒト子宮ガン由来のHeLa細胞、ヒト肝ガン由来のHuh7細胞やHepG2細胞等が例示できる。さらに、マウス、ニワトリ、ブタ、ヒト等から得られた胚性幹細胞(ES細胞)や組織幹細胞も例示でき、これらES細胞や組織幹細胞から分化した細胞も例示できる。また、これら細胞にプラスミド導入やウイルス感染等の遺伝子操作により得られた細胞もこの出願の発明に用いることができる。
【0022】
また、細胞は、接着性細胞あるいは浮遊性細胞でもよいが、接着性細胞であることが、この出願の発明の効果をより顕著に得ることができるため好ましい。
【0023】
この出願の発明における磁石についても特に制限されることはないが、磁力の制御や磁力の継続性、扱い易さ等の観点から永久磁石または電磁石であることが好ましい。特に電磁石の場合は、磁力の制御が容易であり、上記の磁気ビーズをパターン配列で固定化させる際に利便性が高い。
【0024】
図3は、この出願の発明の細胞固定化基板において、電磁石の配置例を模式的に例示した図であり、(A)は電磁石を基板の底面に配置した例の側面図であり、(B-1)は電磁石を2箇所に分けて配置した例の平面図、(B-2)はB-1における側面図である。
【0025】
図3(A)に例示したように、磁石(3)として電磁石(31)を用いる場合でも、図1の例と同様に、この出願の発明の細胞固定化基板(1)は、基板(2)の底面に配置に電磁石(31)を配置しても、基板(2)表面に細胞(4)を磁気ビーズ(5)とともに固定化させることができる。また、図3(B-1)(B-2)に例示したように、たとえば、基板(2)に対して電磁石(31)を対向させるように2箇所に分けて配置しても、磁力は矢印に示したように働くため、基板(2)表面に細胞(4)を磁気ビーズ(5)とともに固定化させることができる。また、この例の場合も必要に応じて、特定の位置の磁力を解除することで、特定位置の細胞(4)のみを分離させ、単離することができる。
【0026】
なお、この出願の発明において、磁石の配置パターンは、細胞の固定化および分離を自在に制御できるのであれば、特に制限されるものではない。
【0027】
基板の大きさ、細胞への影響と固定化の強度等とのバランスを勘案すると、この永久磁石や電磁石等の磁石の直径は、1mm〜10mmの範囲であることが好ましい。また、磁気ビーズについて、その直径は特に制限されるものではないが、磁石を取り除いて細胞を基板から分離させる際に、細胞を分離(脱離)させやすくするという観点から10nm〜10μmの範囲であることが好ましく、特に10nm〜500nmの範囲(ナノスケール)であることがさらに好ましい。そして、磁気ビーズに結合させる細胞の由来や種類等に合わせて、磁気ビーズを各種の生理活性物質および各種の官能基の両方、もしくは、どちらか一方で修飾させて、機能修飾磁気ビーズとしてもよい。修飾の方法としては、たとえば、磁気ビーズに生理活性物質等を、たとえば、共有結合やイオン結合等で結合させるため、磁気ビーズの溶液と生理活性物質とを超音波洗浄器等を用いて混合し、適温で2時間反応させることで修飾することができる。次いで、必要に応じて、この修飾された磁気ビーズ(機能修飾磁気ビーズ)を磁石等で回収し、適当な洗浄液(たとえば、リン酸バッファー溶液(PBS)等のバッファー溶液)で洗浄してもよい。
【0028】
生理活性物質としては、タンパク質、DNAやRNA等の核酸、糖および脂質等が使用でき、そのほかにも、たとえば、成長因子や阻害因子、抗体、酵素、ペプチド、糖タンパク質、脂質タンパク質、神経伝達物質等をはじめとするニューロトロフィン、アミノ酸、ホルモン等も使用できる。また、官能基としては、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アルデヒド基、ニトロ基およびアミノ基等を挙げることができ、これら各種の生理活性物および官能基は、単独での使用はもちろん、複数組み合わせて使用してもよい。
【0029】
なお、これら各種の生理活性物質や各種の官能基は、細胞と効果的に結合できるもの、細胞の成長や阻害、分化誘導等の細胞の機能制御できるものであれば特に限定されるものではない。このように、磁気ビーズが生理活性物質や官能基に修飾されて、機能修飾磁気ビーズとすることで、細胞が磁気ビーズにより結合しやすくなるとともに、安定に結合することができ、細胞の各機能を制御することもできる。
【0030】
さらにまた、この出願の発明は、複数の細胞を同時分析することもできる。たとえば、図4に例示したように、基板(2)として培養シャーレ(21)を用いて、ステップIと
して、磁石(3)を培養シャーレ(21)の外側底面に貼着して配置し、任意の特定位置に磁気ビーズ(5)の溶液とともに細胞(4)を固定化する。ステップIIとして、細胞
(4)の固定化後、仕切り板(6)を設置することで、各細胞(4)はそれぞれ独立した空間にて培養されることになり、ステップIIIとして、これら複数の同種の細胞(4)
を同時に分析する(多細胞同時分析)。
【0031】
また、図5に例示したとおり、この出願の発明は、多種細胞の同時分析にも活用することもできる。具体的には、まず、ステップIとして、磁石(3)を配置し、磁気ビーズ(
5)に結合させる細胞(4)に適した各種の機能修飾(つまり、タンパク質や核酸、糖質、脂質、各種の官能基等による修飾)を施した機能修飾磁気ビーズ(51)の溶液を培養シャーレ(21)に固定化する。次いで、ステップIIとして、各種の細胞(4)を磁気
ビーズ(5)に結合させ、接着固定する。そして、ステップIIIとして、これら各種の
細胞(4)を同時分析する(多種細胞同時分析)。このとき、たとえば、種々の細胞に分化する全能性を有する胚性幹細胞(ES細胞)を各々異なる細胞(神経細胞や肝細胞、心筋細胞等)に分化させた際に、所望の細胞が固定化されている特定位置の磁石を除くことにより、所望の細胞を磁気ビーズとともに特異的に分離することができる。そして、必要に応じて、この細胞が結合した磁気ビーズを洗浄し、細胞のみを回収することもできる。
【0032】
さらに、この出願の発明は、図6に例示したように、基板(2)上に設けられている微細流路(7)に細胞(4)を固定化させて、細胞(4)を分析・解析するマイクロ細胞化学分析に供することもできる。つまり、ステップIとして、微細流路(7)に磁気ビーズ
(5)を固定化し、次いで、ステップIIとして、この磁気ビーズ(5)に細胞(4)を
結合させて、接着固定させる。そして、この微細流路(7)に分析試薬等を導入して、微細流路(7)に固定化された細胞(4)を分析する(マイクロ細胞化学分析)。
【0033】
以上のような、この出願の発明によって、細胞の成長や接着を制御するための化学物質等を予め基板に固定することなく、基板の任意の特定位置に細胞を固定化することができ、固定化後および培養後でも目的細胞を特異的に、かつ、スムーズに分離することができる、新しい細胞固定化基板ならびに細胞固定化方法が実現される。そして、医用工学やセンサ工学等の広い分野領域に革新的なツールとして提供することができ、産業的にも、経済的にも大きな効果をもたらすことができる。
【0034】
以下に実施例を説明し、さらに詳しくこの出願の発明について説明する。もちろん、以下の例によって発明が限定されることはない。
【実施例】
【0035】
<実施例1>磁気ビーズと磁石を利用した細胞固定化
(1)磁気ビーズへの共有結合によるタンパク質の結合
直径250nmのナノスケールの活性グルタルアルデヒド磁気ビーズ(No. 250;Clemente Associates製、米国)(以下、磁気ビーズとすることがある)にタンパク質を共有結合させた。具体的には、20μlの磁気ビーズ溶液(>1010ビーズ/ml)と、タンパク質として、<1>30μlの10μg/ml NGF溶液(Nerve Growth Factor;No. 2256X;Techne製、米国)、または、<2>30μlの10μg/ml BDNF溶液(Brain-derived Neurotrophic Factor;No. IM-36;Diaclone Research製、仏国)、もしくは、<3>30μlの10μg/ml ウシ血清アルブミン溶液(Bovine Serum Albumin、BSA;No. 1024;Irvine Scientific製、米国)を、超音波洗浄器(US-2;中央理科器製作所製、日本)にて30秒間混合した。そして、室温で2時間反応させた。
【0036】
次に、磁石を用いてこのタンパク質が被覆された磁気ビーズを回収し、上清液を取り除いた。回収した磁気ビーズは、100μlのリン酸バッファー溶液(PBS)でソニケーションを施しながら、3回洗浄した。そして、洗浄後の磁気ビーズを200μlのPBSにソニケーションで懸濁し、4℃で保存した。
(2)細胞の培養
(A)DRG(Dorsal Root Ganglia)神経細胞
基板である培養プレートの底の外側に磁石を配置した。細胞は、神経細胞であるDRG(Dorsal Root Ganglia)神経細胞を用いた。このDRG神経細胞は、酵素処理によって、ニワトリ8日胚から取得したものである(Naka. Y., et al., J. Biosci. Bioeng., 2002)。実験に供することができるDRG神経細胞の数をトリパンブル−法とヘモサイトメーターを用いて、計測した。この神経細胞は、各ウェルに、予め20μlのニューロトロフィンが被覆されたナノスケール磁気ビーズ溶液、または、10ng/mlニューロトロフィンを含む200μlのF-12培養液が供給されたラミニン被覆された96ウェル培養プレート(岩城硝子株式会社製、日本)中で、37℃、100%湿度、5%CO2の環境条件下で、2日間培養し、磁気ビーズに細胞を結合させた。
【0037】
このF-12培養液は、F-12K培地(No. 21127;Gibco BRL製、米国)からなり、10%の熱処理による非働化済みのウマ血清(No. 26050-070;Gibco BRL製、米国)、100 units/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを含有している。2日間の培養後、細胞の体長以上の神経突起成長をしたニューロンの数を比較した。同じ培養条件下の3つのウェルにおける神経突起成長をしたニューロンの平均数を用いた。
(B)PC12h細胞
同様に、培養プレートの底の外側に磁石を配置した。また、細胞は、細胞株であるPC12h細胞(ラット褐色細胞腫)を用いた。PC12h細胞は、10%の非働化済みのウシ胎児血清(No. 16140-063;Gibco BRL製、米国)を含有する8mlのD-MEM(No. 11885-084;Gibco BRL製、米国)を投入した100mm培養皿(No. 25020-100;Corning製、米国)中で、37℃、5%CO2の条件下で増殖させた。そして、実験に供することができるPC12h細胞の数をトリパンブル−法とヘモサイトメーターを用いて、計測した。次いで、およそ2000細胞/ウェルのPC12h細胞を、各ウェル中に200μlのD-MEM(10μlのニューロトロフィン被覆した磁気ビーズ溶液、または、200ng/mlの10μlのニューロトロフィンを含む)が供給されている96ウェル培養プレートで、37℃、100%湿度、5%CO2の条件下で、2日間培養した。2日間の培養後、細胞の体長以上の神経突起成長をしたニューロンの数を比較した。同じ培養条件下の3つのウェルにおける神経突起成長をしたニューロンの平均数を用いた。
(3)結果
(A)神経突起成長におけるニューロトロフィン被覆したナノスケールの磁気ビーズの効果
ニワトリ8日胚のDRG神経細胞の神経突起成長におけるナノスケールのニューロトロフィン被覆した磁気ビーズの効果を検討した。ニューロトロフィンとしてのNGFおよびBDNF、あるいはBSAを共有結合させた活性型グルタルアルデヒドナノスケール磁気ビーズ(すなわち、NGF被覆磁気ビーズ、BDNF被覆磁気ビーズ、BSA被覆磁気ビーズ)が培養液に添加され、DRG神経細胞を37℃、100%湿度、5%CO2で2日間培養した。一方、ニューロトロフィン最大活性濃度(10ng/ml)になるように培養液に、可溶性NGF、または、可溶性BDNFを加えた。
【0038】
そして、それぞれの磁気ビーズにおける神経突起成長をした神経細胞の数の比較結果を図7に示した。この図7に示したとおり、NGF、または、BDNFを被覆した磁気ビーズ(NGF被覆磁気ビーズ、または、BDNF被覆磁気ビーズ)は、可溶性NGFまたは可溶性BDNFと同様に、細胞の神経突起の成長を促進させることを確認できた。しかしながら、不活性を示すコントロールとして用いたBSAを被覆した磁気ビーズ(BSA被覆磁気ビーズ)においては、神経突起の成長促進効果は確認されなかった。また、NGFは、BDNFよりもDRG神経細胞の神経突起の成長を強く刺激することが確認できた。
【0039】
NGFおよびBDNFは、二量体分子であり、それぞれは118アミノ酸および119アミノ酸の単量体であり、これら単量体からなるものである。そして、ナノスケールの磁気ビーズに共有結合したニューロトロフィンは生物活性を有していることから、これらの分子は磁気ビーズ上で二量体構造を形成していると考えられる。担体である磁気ビーズにおけるニューロトロフィンの固定は、神経細胞からの神経突起の成長に悪影響を及ぼすことはなかった。
(B)NGFとBDNFが被覆されたハイブリッド磁気ビーズと、NGFもしくはBDNFのどちらか一方が被覆された磁気ビーズ
ハイブリッド磁気ビーズは、2種類のニューロトロフィン、NGFとBDNFの両方が被覆されたもの(NGF+BDNF被覆磁気ビーズ)であり、PC12h細胞の神経突起の成長を促進させるために使用した。このPC12h細胞は、NGFによって神経突起の成長が誘発されるが、BDNFでは誘発されないという特徴を有している。ニューロトロフィンが被覆された磁気ビーズとして、NGFを被覆させた磁気ビーズ(NGF被覆磁気ビーズ)、BDNFを被覆させた磁気ビーズ(BDNF被覆磁気ビーズ)をそれぞれ調製し、使用した。
【0040】
図8に示したとおり、ハイブリッド磁気ビーズ(NGF+BDNF被覆磁気ビーズ)では、神経突起の成長を促進させたが、BDNF被覆磁気ビーズでは、神経突起の成長促進は確認されなかった。この結果から、複数種類のニューロトロフィンを被覆された磁気ビーズは、神経細胞の複数種類の分化能や生存能を同時に刺激することが確認できた。
<実施例2>磁石の存在下と非存在下における細胞培養の影響
ラミニン被覆済みの24ウェル培養プレートの底の外側に、5mmの磁石(磁束密度=80mT)を貼着して配置した後、10μlのNGF被覆磁気ビーズ(直径250nm)溶液をウェル中に添加し、続いて490μlのDRG神経細胞(およそ10,500細胞)を含むF-12培養液を加えた。培養2日後、前記5mmの領域内における神経突起の成長をした神経細胞の密度は、7細胞/mm2であり、この5mmの磁石の周辺領域内における神経突起の成長をした神経細胞の密度は、3細胞/mm2であった。一方、5mmの磁石を配置しない場合では、NGF被覆磁気ビーズを用いて細胞培養を行っても、神経突起の成長をした神経細胞の密度は、ウェル全体で3細胞/mm2であった。
【0041】
この結果から、ニューロトロフィンを被覆した磁気ビーズと磁石とを用いることで、神経突起の成長をした神経細胞は、培養プレート表面の特定の位置(領域)で効果的に固定化され培養できることが確認できた。
<実施例3>培養シャーレ内における細胞の固定
ラミニン被覆済みの直径30mmの培養シャーレ底の外側に、直径5mmの永久磁石(磁束密
度=400mT)を3箇所に貼着して配置した後、2μlのNGF被覆磁気ビーズ(直径50nm)溶液をそれぞれの磁石を貼着した上に添加し、続いて2mlのDRG神経細胞(およそ90,000細胞)を含むF-12培養液を加えた。培養2日後、前記3箇所の直径5mmの磁石領域内における神経突起の成長をしたニューロンの密度は、それぞれ0.64細胞/mm2、0.97細胞/mm2、0.61細胞/mm2であった。一方、直径5mmの磁石領域周辺では0.30細胞/mm2であった。これより、ニューロトロフィンを被覆した磁気ビーズと磁石とを用いることで、神経突起の成長をした神経細胞を培養プレート表面の特定の各領域に固定し、培養できることが確認できた。
<実施例4>多細胞同時分析
実施例3において、3箇所の領域に配置した神経細胞に対してシクロヘキシミドの添加によるアポトーシスの誘導について検討した。仕切り板を設置して、3箇所の領域を仕切った後、それぞれの領域にシクロヘキシミドを1μg/ml、0.1μg/mlもしくは0.01μg/ml添加して2日間培養した。その結果、1μg/ml添加した場合に生存している神経細胞の割合は10%以下となり、シクロヘキシミドが細胞死を誘導する有効濃度を明らかにできた。
<実施例5>多種細胞同時分析(永久磁石による細胞の固定化)
ラミニン被覆済みの直径30mmの培養シャーレ底の外側に、直径5mmの永久磁石(磁束密
度=400mT)を2箇所に貼着して配置した後、2μlのNGF被覆磁気ビーズ(直径50nm)溶液と2μlのBDNF被覆磁気ビーズ(直径50nm)溶液をそれぞれの磁石を貼着した上に添加した。続いて、交感神経細胞(交感ニューロン)と運動神経細胞(運動ニューロン)を含む2mlのF-12培養液を加えた。この際、交感細胞(交感ニューロン)はNGF被覆磁気ビーズの固定化領域に、運動神経細胞(運動ニューロン)はBDNF被覆磁気ビーズの固定化領域に接着し、2種類の細胞を同時に分析することが可能になった。
<実施例6>多種細胞同時分析(固定化された細胞の分離)
実施例5と同様の方法で、交感神経細胞(交感ニューロン)と運動神経細胞(運動ニューロン)を、それぞれNGF被覆磁気ビーズの固定化領域に交感神経細胞(交感ニューロン)を、BDNF被覆磁気ビーズの固定化領域に運動神経細胞(運動ニューロン)を固定した。続いて、培養液を除いて2mlのF-12培養液にて1回洗浄した後、2mlのF-12培養液を入れた。次に、NGF被覆磁気ビーズの固定化領域の永久磁石を取り去り、振動させたところ、交感神経細胞(交感ニューロン)が培地中に遊離してきたので培養液を採取することにより交感神経細胞(交感ニューロン)を特異的に分離、回収することができた。
<実施例7>マイクロ細胞化学分析(肥満細胞のヒスタミンの測定)
プラスチック基板に微細加工技術を用いて、幅20μm、深さ10μm、長さ2cmのマイクロチャネルを作製した。このマイクロチャネル中央の底の外側に10mm長の永久磁石(磁束密度=350mT)を配置し、マイクロチャネル内にIgE被覆磁気ビーズ(直径250nm)の固定化領域を形成させた。その後、Tyrode氏液(10mM HEPES(pH7.4) 、0.1%グルコース、0.05%ゼラチン、0.14MのNaCl、2.7mMのKCl、0.47mMのNaH2PO4、1mMのMgCl2)に懸濁させたマウス肥満細胞(106cells/ml濃度)を少量マイクロチャネルに添加して固定化領域にマウス肥満細胞を固定化した。続いて、このマイクロチャネルにIgE(0.5μg/ml濃度)と抗IgE抗体(0.5μg/ml濃度)溶液を流してヒスタミンを肥満細胞から遊離させた。このマイクロチャネルを用いることで、肥満細胞からのヒスタミンの遊離量を連続的に測定することが可能になった。
<実施例8>マイクロ細胞化学分析(ES細胞から分化した特定の細胞の分離回収)
ラミニン被覆済み24ウエル培養プレートの1つのウェルの中心の底の外側に、5mmの永久磁石(磁束密度=400mT)を貼着して配置した後、2μlのNGF被覆磁気ビーズ(直径50nm)溶液をこの磁石を貼着した上に添加した。マウスES細胞をLIFの添加なしで培養して大部分のES細胞を神経細胞に分化させた後、トリプシンで細胞を分散させた溶液をNGF被覆磁気ビーズの固定化領域に添加した。その結果,NGFレセプターを有する神経細胞だけがNGF被覆磁気ビーズの固定化領域に固定化された。続いて、培養液を除いて1回洗浄した後、0.5mlのF-12培養液を入れた。次に、NGF被覆磁気ビーズの固定化領域の永久磁石を取り去り、振動させたところ、神経細胞が培地中に遊離してきたので培養液を採取することにより神経細胞を回収することができた。これにより、神経細胞に分化した細胞だけを分化したES細胞より効率よく分離回収することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この出願の発明の細胞固定化基板の一実施形態を模式的に例示した図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は底面図である。
【図2】この出願の発明の細胞固定化方法の一実施形態におけるステップを例示した概略図である。
【図3】この出願の発明の細胞固定化基板において、電磁石の配置例を模式的に例示した図であり、(A)は電磁石を基板の底面に配置した例の側面図であり、(B-1)は電磁石を2箇所に分けて配置した例の平面図、(B-2)はB-1における側面図である。
【図4】この出願の発明の細胞固定化方法を利用しての多細胞同時分析におけるステップを例示した概略図である。
【図5】この出願の発明の細胞固定化方法を利用しての多種細胞同時分析におけるステップを例示した概略図である。
【図6】この出願の発明の細胞固定化方法を利用してのマイクロ細胞化学分析におけるステップを例示した概略図である。
【図7】各種の磁気ビーズにおけるDRGの神経突起成長を示したニューロンの細胞数の比較検討した結果を示した図である。
【図8】各種の磁気ビーズにおけるPC12h細胞の神経突起成長を示したニューロンの細胞数の比較検討した結果を示した図である。
【符号の説明】
【0043】
1 細胞固定化基板
2 基板
21 培養シャーレ
3 磁石
31 電磁石
4 細胞
5 磁気ビーズ
51 機能修飾磁気ビーズ
6 仕切り板
7 微細流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の任意の特定位置に細胞が固定化されている細胞固定化基板であって、基板の近傍に磁石が配置され、前記磁石により細胞と結合する磁気ビーズが基板に固定され、そして、この磁気ビーズを介して、細胞は分離が自在に基板の任意の特定位置で固定化されていることを特徴とする細胞固定化基板。
【請求項2】
細胞が、パターン配列で固定化されている請求項1記載の細胞固定化基板。
【請求項3】
細胞が、少なくとも動物由来、植物由来および微生物由来のいずれかである請求項1または2記載の細胞固定化基板。
【請求項4】
動物由来の細胞が、神経細胞である請求項3記載の細胞固定化基板。
【請求項5】
磁石が、永久磁石または電磁石である請求項1から4いずれかに記載の細胞固定化基板。
【請求項6】
磁気ビーズの直径が、10nm〜10μmの範囲である請求項1から5いずれかに記載の細胞固定化基板。
【請求項7】
磁気ビーズの直径が、10nm〜500nmの範囲である請求項6記載の細胞固定化基板。
【請求項8】
磁気ビーズが、生理活性物質および官能基のうち少なくともいずれかに修飾されている請求項1から7いずれかに記載の細胞固定化基板。
【請求項9】
生理活性物質が、タンパク質、核酸、糖および脂質のうち少なくともいずれかである請求項8記載の細胞固定化基板。
【請求項10】
官能基が、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アルデヒド基、ニトロ基およびアミノ基のうち少なくともいずれかである請求項8記載の細胞固定化基板。
【請求項11】
基板の任意の特定位置に細胞を固定化する細胞固定化方法であって、
(1)基板の近傍に磁石を配置して、前記磁石により細胞と結合する磁気ビーズを基板に固定化するステップ;
(2)細胞を播種して、前記磁気ビーズに細胞を結合させるステップ;および
(3)前記磁気ビーズを介して、磁力で基板の任意の特定位置に細胞を固定化するステップ;
を含むことを特徴とする細胞固定化方法。
【請求項12】
磁気ビーズを基板にパターン配列で固定させ、このパターン配列で固定された磁気ビーズに細胞を結合させることで、細胞をパターン配列で固定させる請求項11記載の細胞固定化方法。
【請求項13】
細胞が、少なくとも動物由来、植物由来および微生物由来のいずれかである請求項11または12記載の細胞固定化方法。
【請求項14】
動物由来の細胞が、神経細胞である請求項13記載の細胞固定化方法。
【請求項15】
磁石が、永久磁石または電磁石である請求項11から14いずれかに記載の細胞固定化方法。
【請求項16】
磁気ビーズの直径が、10nm〜10μmの範囲である請求項11から15いずれかに記載の細胞固定化方法。
【請求項17】
磁気ビーズの直径が、10nm〜500nmの範囲である請求項16記載の細胞固定化方法。
【請求項18】
磁気ビーズが、生理活性物質および官能基のうち少なくともいずれかに修飾されている請求項11から17いずれかに記載の細胞固定化方法。
【請求項19】
生理活性物質が、タンパク質、核酸、糖および脂質のうち少なくともいずれかである請求項18記載の細胞固定化方法。
【請求項20】
官能基が、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アルデヒド基、ニトロ基およびアミノ基のうち少なくともいずれかである請求項18記載の細胞固定化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−6281(P2006−6281A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191942(P2004−191942)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(501061319)学校法人 東洋大学 (68)
【Fターム(参考)】