説明

細胞溶解による液体培地中の微生物のリアルタイム検出のための方法

本発明は、試料中に存在する可能性がある少なくとも一つの標的微生物を検出する方法であって、
a)コンテナ中で、標的微生物の増殖および/または検出を可能にする培地、前記試料及び標的微生物によって溶解されることが可能な細胞集団を接触させること;
b)その全体を標的微生物の増殖および/または検出を促進する温度に供すること;
c)リアルタイムで、標的微生物の存在を示す、細胞集団の溶解の出現を観察する工程を含む方法に関する。
本発明は、試料中に存在する可能性がある少なくとも一つの標的微生物を検出して同定する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野は、臨床又は工業の微生物学的試験の分野である。より詳しくは、微生物の試料の濃縮と同時に実施される細胞溶解反応によって一つ以上の微生物を同定する方法を含む。
微生物学の分析は、できる限り短時間に結果を得るための正確な手段を必要とする。
医療分野では、感染のリスクを予測して診断することが必要である:より迅速且つより正確な診断は、患者の治療により効果的であり、伝染のリスクをより最小限に抑えられる。該アプローチは、動物の健康のためも同様である。
食品加工分野でも、仕様は同一である。しかしながら、これらの仕様は、病原微生物とそれらの毒素との間で区別され、この検査は、市販の製品、非病原性の微生物に適用され、生の製品から最終製品までの、全てのつながりに沿った製造工程、及び発酵のような技術的関心のバクテリアの品質のインジケータとして使用される。推定される混入物の迅速且つ正確な検出は、それらについてテストすること、次に補正処置を始めることを可能にする。
【0002】
技術的に、微生物学的解析は、前濃縮/濃縮の一つ以上の段階、検出の一つ以上の段階、微生物の中で計数する一つ以上の段階を実装することができる。食物加工微生物テストのような特殊な適用のために、この分野の標準に従わせるために、確認段階が更に必要とされてもよい。
前濃縮/濃縮段階は、当業者には有名な選択的又は非選択的培養培地を必要とする。従来の培地の調合に基づく使用準備済みの培養培地は、しばしば液体形態で市販されている。
検出段階は、調査されている微生物の代謝特性の証明に基づく。従来は特異的な酵素基質が使われる。これらの酵素基質は、通常は、2つの部分、標的部分と呼ばれる、明らかにされる酵素活性に特異的な第1の部分、及び標識部分とも呼ばれる、標識として働く第2の部分であって、通常はクロロフォアまたはフルオロフォアを構成する部分からなる。これらの基質の選択によって、反応があるか否かに応じて、微生物の性質を特徴づけるか、又は微生物のさまざまなグループを区別することが可能である。したがって、呈色又は蛍光の出現または消失は、微生物の属または種類のシグネチャーとなる。この点に関しては、発色性培地の使用は、調査されている微生物の同時検出及び同定を可能にする。それはプロセスを単純化するものであり、結果を得るための時間を短縮する。具体的な例として、出願人のChromID(登録商標)培地を挙げることができる。これらの発色性培地は、調査されている微生物のために特異的な代謝特性、例えば大腸菌のためのβ‐グルクロニダーゼ酵素活性の検出に基づく。しかしながら、いくつかの微生物、又はいくつかの亜型(たとえば大腸菌O157:H7)は、いかなる特異的な酵素活性をも呈さず、そのため発色性培養培地を使用して検出することができない。
【0003】
一方で、確認段階は、食物加工分野の微生物学分析に特に連結される。特に、以前開発された方法の結果が陽性である場合、調査されている病原体の存在を確認する必要がある。このことは、第1の分析で使用されたものとは異なる検出原理を使用すること及び追加テストが要求されることを意味する。調査されている微生物のゲノム特性に基づいた分子生物学の技術は、同定を確認するために使用する手段の1つを構成する。例えば、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)及びNASBA(増幅に基づいた核酸配列)のような従来の増幅技術を挙げることができ、それらは当業者に知られているリアルタイム検出技術に結合することができるものである。
【0004】
イムノアッセイは、確認テストのために使用する別の技術を構成する。それらは、調査されている微生物の免疫原性特性を使用する。調査されている微生物のエピトープを検出する、競合又はサンドイッチELISA(酵素結合免疫吸着法)技術又は免疫凝集技術を非網羅的に挙げることができる。後者は、モノクローナルまたはポリクローナル抗体により被覆されたビーズのような機能化された固体支持体(例えばラテックス粒子)を使用し、前記機能化された支持体は、例えば特許化された欧州特許第0701624号及び1199567号に示されるように、生物学的サンプルと接触させられる。あるいは、米国特許第4659658号に記載のように、固体粒子は、所与の微生物の表面に位置する糖と特異的に結合するレクチンによって被覆されてもよい。いずれにしても、凝集反応の出現は、調査されている微生物を明確に同定することを可能にする。
【0005】
従って、試料中の微生物の完全且つ正確な同定は、いくつかの工程のつながりを必要とする:濃縮、検出、確認。ルーチンに使用されるテストの標準化は、検査法の自動化を可能にしたが、しかしながら、実施は遅いままである。従来技術の1つの欠点は、これらの工程が連続して実施されるという事実である。別の欠点は、免疫反応又は分子ハイブリダイゼーション反応である確認工程のために使用する特異的な相互作用反応が最も一般的には「エンドポイント」で読みとられるということである。この時間のあいだ、食品加工業では、確認の結果を待つ一方で、終末産物の全バッチは流れを止められ、臨床期間では、相対的な抗生物質療法と予防措置のセッテイングが遅延する。
従って、考慮される従来技術からみて、濃縮、検出及び正確な同定の工程を結合する方法は欠如している。具体的には、上記の方法は、迅速性、特異性及び感受性を一つにする。
【0006】
本発明は、従って、液体培地中で、微生物の培養と少なくとも一つの前記細胞による細胞溶解反応を同時に使用することにより、上記の欠点を解決することを提案する。
より詳細には、本発明は、第1に、試料中に存在する可能性がある少なくとも一つの標的微生物を検出して同定する方法であって、
a)コンテナ中で、標的微生物の増殖および/または検出を可能にする培地、前記試料及び標的微生物によって溶解されることが可能な細胞集団を接触させること;
b)その全体を標的微生物の増殖および/または検出を促進する温度に供すること;
c)工程b)が完了したときに、リアルタイムで、標的微生物の存在を示しているか、又は前記標的微生物が検出された場合に前記存在を確認する、細胞集団の溶解を観察する工程を含む方法に関する。
【0007】
本発明の別の課題は、試料中に存在する可能性がある少なくとも一つの標的微生物を検出して同定する方法であって、
a)コンテナ中で、標的微生物の増殖および/または検出を可能にする培地、前記試料及び標的微生物によって溶解されることが可能な細胞集団を接触させること;
b)その全体を標的微生物の増殖および/または検出を促進する温度に供すること;及び
c)工程b)が完了したときに、リアルタイムで、前記培養液中で、標的微生物の同定を可能にするか、又は前記標的微生物が同定された場合に前記同定を確認することを可能にする、細胞集団の溶解を観察する工程を含む方法に関する。
【0008】
本発明の別の課題は、試料中に存在する可能性がある少なくとも一つの標的微生物を検出して同定する方法であって、
a)コンテナ中で、標的微生物の増殖および/または検出を可能にする培地、前記試料及び標的微生物によって溶解されることが可能な細胞集団を接触させること;
b)その全体を微生物の成長および/または検出を促進する温度に供すること;及び
c)工程b)が完了したときに、リアルタイムにおいて、微生物の同定を補足すること可能にする細胞集団の溶解を観察する工程を含む方法に関する。
【0009】
「同定を補足する」なる表現は、標的微生物の同定を特定することを可能にする付加的情報を提供することを意味する。例えば、工程a)において、使用する培養培地は、大腸菌属のバクテリアに特異的であってもよく、このバクテリアの属に特異的な基質をふくんでもよく、試験サンプルの上記のバクテリアの存在が培養培地の変化、例えば使用する基質が発色性基質である場合は色の変化によって特徴づけられる。工程c)でおこる細胞集団の溶解(例えば、ベロ細胞)は、例えば、病原性菌株である大腸菌O157:H7のような特定の菌株を証明することが可能であってもよい。
【0010】
「細胞集団」なる用語は、標的微生物が特異的に又は非特異的に溶解できる、化学的又は生物学的操作に由来するか、又は天然起源の、細胞又は小胞の任意の種類を意味する。本発明による方法で使用できる細胞の1種類は、例えば、赤血球または赤血球細胞である。特異的に、これらの細胞は、溶血性バクテリア、特にストレプトコッカス及びリステリアの特定の菌株のようなβ-溶血性バクテリアによって溶解する。使用する赤血球細胞は、検出を助ける化合物、例えばクロロフォアまたはフルオロフォア化合物を含むことができ、赤血球が溶解すると、それらが放出される。赤血球への化合物を封入する技術は、ERYtech Pharma(登録商標)によって開発された。
膜が微生物の1種によって特異的に又は非特異的に溶解できる、脂肪小胞の使用を予想することが可能である。例えば、これはリポソームによる場合である。
【0011】
微生物の増殖を促進する温度は20と44℃との間であり、試料は、微生物の検出が可能になるために十分な一定期間の間、この温度に保たれる(すなわち、6から96時間の期間)。
単一のコンテナにおける、これらのさまざまな技術の組合わせた使用は、時間及び操作の両方を節約することを可能にし、故に、後者の場合は偽陽性につながる取扱者または試料の混入を制限する。更に、本発明の実施は、自動化されることができる。また、時間の節約が、2つの工程を単一工程へ組合わせること、及びリアルタイムで細胞溶解を検出することにつながることに注目されたい。
【0012】
有利には、上記の方法の工程a)及びc)は、発色性化合物(またはクロロフォアと呼ばれる)または蛍光性の化合物(またはフルオロフォアと呼ばれる)を使用する。
より詳細には、検出と同定の2つの方法は、好ましくは、呈色または蛍光の出現または消失を使用することができる。さらに、本発明の課題である全ての方法では、有利には、細胞溶解は、呈色または蛍光の出現または消失によって示されることができる。
【0013】
したがって、本発明のある特定の実施態様によれば、細胞の溶解は、溶血、すなわち赤血球細胞の細胞溶解から成る。溶血性バクテリアの証明を求める場合、上記の実施態様は特に有利である。この場合は、溶血反応は、蛍光の消失によって示される。赤血球が溶解した場合、後者に含まれるヘモグロビンが培地に放出されることがわかるためである。次に、それは培養培地に含まれる蛍光性化合物によって放出される蛍光を遮断する。
【0014】
好ましくは、コンテナは、マイクロプレート、マイクロキュプル、マイクロチューブ、キャピラリー又はマルチウェルカードから構成されるグループから選択される。
有利には、本発明の課題である方法は、更に微生物を計数する工程を含むことができ、好ましくは出願人の欧州特許第1105457号に説明されている最確数方法による。
【0015】
さらに、本発明の課題は、上で開発されたさまざまな実施態様に従って方法を実施する診断キットである。キットは、
-コンテナ;
-選択的又は非選択的培養培地であって、場合により、検出される微生物の属又は種の代謝に特異的な基質を含む培養培地;及び
-標的微生物によって溶解されることが可能な細胞集団
を含む。
有利には、コンテナは、マイクロプレート、マイクロキュプル、マイクロチューブ、キャピラリーまたはマルチウェルカードから構成されるグループから選択される。
第1の好ましい実施態様によれば、細胞集団は赤血球細胞からなる。
第2の好ましい実施態様によれば、細胞集団はリポソームからなる。
本発明に係る診断キットは、更に少なくとも一つの発色性又は蛍光性の化合物を含むことができる。
最後に、本発明の最後の課題は、試料中に存在する可能性がある少なくとも一つの微生物を検出および/または同定するための本発明の診断キットの使用に関する。
【0016】
本発明の課題である方法は、食物、環境又は臨床起源の試料のために使用されることができる。試料は、解析のための実体から分離された小部分または少量として定義される。
食物起源の試料には、非網羅的に、乳製品(ヨーグルト、チーズなど)の、肉の、魚の、卵子の、果物の、野菜の、水のまたは飲物(牛乳、果汁、ソーダ等)の試料を挙げることができる。食物起源のこれらの試料は、更に調製された料理またはソースに由来してもよい。最後に、食物試料は、例えば動物飼料、特に動物の餌に由来してもよい。
さらに、例えば表面、水又は空気から取られた試料のような環境に関連した試料を挙げることが出来る。
臨床起源の試料は、採取された体液(全血液、血清、血漿、尿、脳脊髄液)試料、採取されたふん便試料、鼻、のど、皮膚、損傷、器官、組織又は単離された細胞などからの取り出された試料に対応することができる。
【0017】
微生物学的なテストは、バクテリアまたはイーストのような潜在的に存在する微生物を、分離すること及び/又は同定すること及び/又は計測することを目的とする、分析に対応する。技術的に、この分析は、インビトロで、培養培地における、微生物の増殖を含む。「培養培地」なる用語は、微生物の生存および/または増殖のために必要な全ての要素を含む培地を意味することを目的とする。培養培地は、例えば任意の添加物を含むことができる:ペプトンまたは組織の抽出物、一つ以上の成長因子、炭水化物、一つ以上の選択剤、バッファー、一つ以上のゲル化剤等。この培養培地は、チューブまたはフラスコまたはシャーレ上に播種の準備ができている、液体形態または使用準備済みのゲル形態であってもよい。
本発明において、「微生物」なる用語は、グラム陽性菌またはグラム陰性菌、イースト、さらに一般的にいえば、肉眼に見えない単細胞生物をカバーし、それらは実験室において取り扱うことができ、増やすことができる。
通常は、培養培地は、直接的または間接的に検出可能な信号によって、標的微生物の代謝活性又は酵素活性を検出するため基質を更に含むことができる。直接的検出のために、この基質は標識として働く部分に連結されることができ、それは蛍光性でも発色性でもよい。間接的検出のために、本発明に係る培地は、基質の消費によって誘導されるpHの変異に感受性があるpH指示薬を更に含むことができ、標的微生物の増殖を明らかにする。前記pH指示薬は、クロロフォアまたはフルオロフォアであってもよい。クロロフォアの例として、ニュートラルレッド、アニリンブルー及びブロモクレゾールブルーを挙げることができる。フルオロフォアは、例えば4‐メチルウンベリフェロン、アミノクマリン誘導体及びレゾルフィン誘導体を含む。
本発明の目的において、調査されている微生物の同定は確認されるべきであり、その代謝特性について調査することによって実施される場合がある。この確認は、細胞溶解反応の使用によってできる。
【0018】
「細胞溶解」なる用語は、天然又は非天然起源の、微生物の細胞または小胞に及ぼす直接的または間接的な作用の結果であって、前記細胞の細胞溶解または前記小胞の滅失につながるものを意味する。試料中の溶血性バクテリア、例えばβ-溶血連鎖球菌、の存在は、培養培地に含まれる赤血球細胞の溶解によって検出されることができる。
細胞溶解は、視覚的に、又は当業者に知られているさまざまな原理による自動光学式文字読み取り装置によって検出されることができ、
(1)細胞溶解の間のフルオロフォアの放出による蛍光の出現の検出であって、前記フルオロフォアが細胞培養中に、懸濁液に、細胞又は小胞に初めから含まれるもの;及び
(2)初めから培養培地中に、懸濁液中に、赤血球細胞の溶解によって放出されたヘモグロビンによるマスキングによる、培地の蛍光の消失;
(3)溶解の間に放出された化合物によるマスキングによる、培地中の蛍光の消失であって、前記化合物が細胞又は小胞中に、懸濁液中に初めから含まれるもの;
(3)初めから懸濁液に、培養培地に、初めから細胞又は小胞に含まれるクロロフォアの、溶解中の放出による、色の変化またはその出現の検出;
(4)初めから懸濁液に、培養培地にある赤血球細胞の溶解によるヘモグロビンの放出による、培地の色の変化の検出を非網羅的に挙げることができる。
【0019】
使用することができるフルオロフォアは上記であり、4-メチルウムベリフェロン、アミノクマリン誘導体又はレゾルフィン誘導体を含む。
使用できるクロロフォアは、発色性培養培地において従来から使われおり、当業者によく知られているものである。
使用することができる蛍光-マスキング化合物は、例えば、パラニトロフェノールまたはヘモグロビンである。
【0020】
2工程に記載された、培養/同定の操作及び次のエンドポイントでの細胞溶解は、本発明によれば、単一工程に組合せることができ、細胞溶解がリアルタイムで検出される。例証として、食物由来の試料において、リステリア‐モノサイトゲネスの同定が可能であることを挙げることができる:リステリア‐モノサイトゲネスの検出は、このバクテリアを選択する培地を使用して、実施されることができ、リステリア‐モノサイトゲネスの同定は細胞溶解反応によって同時に実施され、リアルタイムで検出される。 この細胞溶解反応は、例えば、リポソーム型の合成小胞を用いて得られるものであり、それらの表面にはリステリア‐モノサイトゲネスによって産生した溶血素によって特異的に認識されるモティーフを有しており、従って前記小胞の細胞溶解につながるものである。
【0021】
ある特定の実施態様では、本発明はマイクロプレート、マイクロキュプル、マイクロチューブ、キャピラリー等のようなコンテナにおいて実施することができる。
有利には、本発明による方法は、出願人によって開発された、TEMPO(登録商標)型の自動化微生物試験器と組合わせて実施されてもよく、場合により検出した微生物の計測を可能にしてもよい。
【0022】
本発明の課題である方法は、栄養ベースを含む反応培地、感作された粒子、場合により、調査されている微生物に特異的な発色性基質を含むキットを用いて実施することができる。前記培地は、分析される試料のアリコートにより再懸濁される。有利には、本発明による方法を実施するためのキットは更にマイクロプレート、マイクロチューブ、マイクロキュプル、キャピラリー、VITEK(登録商標)カードまたはTEMPO(登録商標)カード型の固体のコンテナを含むことができる。
【実施例】
【0023】
動物由来の赤血球細胞の使用に基づくリステリア・イバノビの計測
本試験は、出願人によって市販されているTEMPO(登録商標)システムを使用して、リステリア・イバノビを計数することである。この試験は、カードの1又は複数のウェルに初めから存在した、純系(ref. ATCC 70408)由来のリステリア・イバノビによる、赤血球細胞の特異的な溶解(ヘモグロビンの放出)の後の、蛍光のマスキングに基づく。
(プロトコル)
工程1:分析される試料のアリコートによる反応培地の再懸濁:
反応培地は、以下を含む:
−動物由来(ヒツジ、ウマ)の赤血球;
−蛍光性標識(例えば、7−アミノ・メチルクマリン(7−AMC)、4‐メチルウンベリフェロン(4−MU));
−栄養ベース:緩衝されたペプトン水(ビオメリューリファレンス:51094)。
リステリア・イバノビ(1000CFU/ml)の細菌性懸濁液は、純系の試料から得られる。
4mlの反応培地は、細菌性懸濁液の40μlのアリコートを接種され、それは細菌の懸濁液の1/100倍希釈に対応する。
計数を実施する観点から、反応培地は、プロトコルに従って、TEMPO(登録商標)カードに組み込まれる。
【0024】
工程2:カードのインキュベーション:
TEMPOカードは、次に16から24時間37℃でインキュベートされる。このインキュベーションの間、考慮されるウェルに標的細胞が存在する場合、リステリオリシン(リステリア・イバノビによる溶血素)の生産による赤血球細胞の溶解反応が、バクテリアの増殖と同時に起こる。
【0025】
工程3:24時間のインキュベーション後のテストの読みとり:
インキュベーション後、リステリア・イバノビの存在は、カードの一つ以上のウェルにおいて、赤血球細胞の特異的な溶解を誘導し、従ってヘモグロビンの放出を生み出し、故に関係するウェルの蛍光のマスキングし、次に陽性と決められる。
次に、陽性のウェルの数は、試料の1グラム又は1ミリリットルごとの、リステリア・イバノビのコロニー形成単位(CFU)の数を、MPN表(内部アルゴリズム)により測定するために、計数した。

カードに導入される懸濁液のバクテリアの濃度は、得られた陽性ウェルの数を基礎として、最確数(MPN)方法を使用して決定される。この算出は、TEMPO(登録商標)機器にロードされたアルゴリズムによって、実施される。得られた値は、10CFU/mlである。細菌性懸濁液が反応培地で1/100倍に希釈された仮定すると、後者の開始濃度は測定され、1000CFU/mlである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中に存在する可能性がある少なくとも一つの標的微生物を検出する方法であって、
a)コンテナ中で、標的微生物の増殖および/または検出を可能にする培地、前記試料及び標的微生物によって溶解されることが可能な細胞集団を接触させること;
b)その全体を標的微生物の増殖および/または検出を促進する温度に供すること;
c)工程b)が完了したときに、リアルタイムで、標的微生物の存在を示しているか、又は前記標的微生物が検出された場合に前記存在を確認する、細胞集団の溶解の出現を観察する工程を含む方法。
【請求項2】
試料中に存在する可能性がある少なくとも一つの標的微生物を検出して同定する方法であって、
a)コンテナ中で、標的微生物の増殖および/または検出を可能にする培地、前記試料及び標的微生物によって溶解されることが可能な細胞集団を接触させること;
b)その全体を標的微生物の増殖および/または検出を促進する温度に供すること;
c)工程b)が完了したときに、リアルタイムで、前記培養培地において、標的微生物の同定を可能にするか、又は前記標的微生物が同定された場合に前記同定を確認することを可能にする、細胞集団の溶解を観察する工程を含む方法。
【請求項3】
試料中に存在する可能性がある少なくとも一つの標的微生物を検出して同定する方法であって 、
a)コンテナ中で、標的微生物の増殖および/または検出を可能にする培地、前記試料及び標的微生物によって溶解されることが可能な細胞集団を接触させること;
b)その全体を標的微生物の増殖および/または検出を促進する温度に供すること;
c)工程b)が完了したときに、リアルタイムで、微生物の同定を補足することが可能な細胞集団の溶解の出現を観察する工程を含む方法。
【請求項4】
培養培地における検出または同定が、呈色または蛍光の出現または消失を使用する、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
細胞溶解が呈色または蛍光の出現または消失によって示される、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
コンテナが、マイクロプレート、マイクロキュプル、マイクロチューブ、キャピラリーまたはマルチウェルカードから構成されるグループから選択される、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
微生物を計数する工程を更に含む、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
細胞集団の溶解の反応が溶血性バクテリア-赤血球細胞反応を使用する、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8に記載の方法を実施するための微生物診断キットであって、
-コンテナ;
-選択的又は非選択的培養培地であって、場合により、検出される微生物の属又は種の代謝に特異的な基質を含む培養培地;及び
-検出される微生物の属又は種によって溶解されることが可能な細胞集団を含むキット。
【請求項10】
細胞集団が、天然細胞又は小胞及び/又は化学的又は生物学的に操作された細胞又は小胞からなる、請求項9に記載の診断キット。
【請求項11】
コンテナは、マイクロプレート、マイクロキュプル、マイクロチューブ、キャピラリーまたはマルチウェルカードから構成されるグループから選択される、請求項9又は10に記載の診断キット。
【請求項12】
少なくとも一つの発色性又は蛍光性の化合物を含む、請求項9から11の何れか一項に記載の診断キット。
【請求項13】
試料中に存在する可能性がある少なくとも一つの微生物を検出及び/又は同定するための、請求項9から12の何れか一項に記載の診断キットの使用。

【公表番号】特表2011−517398(P2011−517398A)
【公表日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550245(P2010−550245)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際出願番号】PCT/FR2009/050413
【国際公開番号】WO2009/122067
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(504238301)ビオメリュー (74)
【Fターム(参考)】