説明

細菌を検出するための歯科用組成物、その部分のキット及び使用

本発明は、溶媒と、少なくとも1つの電子受容体構成成分と、少なくとも1つの電子供与体構成成分とを含む、細菌検出のための歯科用組成物に関し、組成物は、電子受容体と電子供与体との間の電子伝達を可能にする又は促進する化合物を実質的に含まない。本発明は、細菌の口腔内検出用の手段を製造するための歯科用組成物の部分のキット及び使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、歯科用組成物に関する。本発明は、より詳細には口腔内部位指向的な細菌検出のための組成物の使用に関する。本発明は、更に、口腔内部位指向的な細菌検出の方法に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、2007年10月26日出願の欧州特許出願第07119353.6号及び2008年7月17日出願の欧州特許出願第08160597.4号による優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
口腔細菌は、歯ぐき、舌、エナメル質、象牙質、歯根セメント質及び歯科修復物等の口腔内の硬質組織及び軟組織にコロニー形成する。エナメル質、象牙質、セメント質及び歯科修復物歯肉縁上及び縁下に存在する口腔細菌は、硬組織の脱ミネラル化、及び歯周組織の破壊の原因となり得る。
【0004】
う蝕病変を検出するための様々な技術が存在する。これらの技術の殆どは、う蝕病変に関連した脱ミネラル化の部位を検出することを含む。これらの技術は、概して視覚及び触覚的方法、X線及び電気化学的方法の使用、並びに所定の染料の使用を含む様々な技術のいずれかを介して、脱ミネラル化の程度を分析することを含む。観察可能な脱ミネラル化の程度は、う蝕のプロセスがどのくらい進行して、既に歯を損傷したかを決定する。
【0005】
一般に、脱ミネラル化の検出によるう蝕の検出に関する技術は、感染した歯組織と、罹患した歯組織とを区別することができず、それにより、う蝕病変の過掘削をもたらす場合がある。罹患した歯組織、即ち感染を示していないが、部分的に脱ミネラル化された硬い歯組織は、感染した硬い歯組織の層の下方に見られる。感染した硬い歯組織は除去される必要があるが、罹患した硬い歯組織は再石灰化のためにとっておく必要がある。例えば、アンサリ(Ansari)、ビーリー(Beeley)、リード(Reid)及びフォイエ(Foye)[口腔リハビリテーションジャーナル(Journal of Oral Rehabilitation)、1999年、26巻、453〜458頁]は、通常の染料が脱ミネラル化した有機マトリックスを染色し、したがって、感染した再石灰化が不可能な組織と、可逆的な脱灰組織とを区別できないことから、う蝕特異性ではないことを確認した。
【0006】
更に、脱ミネラル化の程度を介してう蝕を検出する全手順は、う蝕プロセスが未だに活性であるか又は停止されたかを直ちに示すことができない。う蝕病変の活性と停止とを区別するために、大抵数ヶ月後に、進行中の無機質損失をある期間にわたって観察する第2の検査を必要とする。
【0007】
硬い歯組織の脱ミネラル化は、口腔内で硬い歯組織にコロニー形性するう蝕細菌の作用を原因とする。脱ミネラル化の程度を介してう蝕を検出する全手順は、う蝕細菌が検出可能な程度の無機質の損失をもたらすまで待つ必要がある。対照的に、脱ミネラル化が検出可能となる前に、歯上のう蝕細菌の有害な作用を検出することができる手順は、最も早い段階の初期う蝕でさえも防止できる利点を有すると思われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
米国特許第3,332,743号には、唾液サンプル中のジアゾレゾルシノールの色の変化を測定する個人の歯科う蝕リスクを評価するための試験溶液が記載されている。しかしながら、この手順は、歯表面上のう蝕細菌の位置に関する情報は全く提供しない。
【0009】
他の手順では、歯表面から収集した歯垢を用いて、ブドウ糖、ショ糖又は他の糖を、口腔外で有機酸に代謝する固有の活性を評価する。一態様において、pH指示薬を用いて、ある時間にわたって生じるpH変化により酸形成が追跡される(米国特許第4,359,455号)。別の態様では、酵素(即ち、乳酸デヒドロゲナーゼ)を使用することにより、歯垢サンプル中の乳酸形成を評価し、酵素反応がレドックス染料と関連付けられて可視シグナルが形成される(ドイツ特許第10108900号)。歯垢中のう蝕活性は歯の部位により有意に異なることが周知であるが、両方の手順は、数カ所の歯表面からの歯垢を混合して、炭水化物の存在に応答した酸生成を評価する。
【0010】
ドイツ特許第101 08 900号(米国特許第2004/0141960号に対応)は、唾液又は歯垢サンプル中の炭水化物の存在下での、個人のう蝕のリスクの測定方法に関する。乳酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸塩、ショ糖及び酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)が加えられ、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)の形成が、電子担体、即ちPMSを使用して、例えばMTTの様なレドックス指示薬により検出される。
【0011】
米国特許第4,351,899号及び同第4,254,222号は、生体液中の乳酸を測定するための手順に言及する。乳酸デヒドロゲナーゼ、NAD、電子担体、及びレドックス指示薬としてのテトラゾリウム染料を使用して、乳酸を測定する。生体液が唾液の場合において、歯/歯表面上に存在するう蝕細菌の口腔内部位指向的な検出は不可能である。
【0012】
日本特許第2004−113129号は、歯表面を包囲する乳酸生成領域を特定するための液体を示し、この液体は、あらかじめ調節された量の乳酸デヒドロゲナーゼ、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、電子移動剤、テトラゾリウム塩及び水を含有する。
【0013】
欧州特許第1 191 946号は、歯/歯表面上に存在するう蝕細菌の口腔内指向的な検出のための手順に関し、この手順は、乳酸デヒドロゲナーゼ、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、レドックス染料、例えばMTT、及び電子担体、例えばPMSで補充された歯科印象材料に基づいている。
【0014】
[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド]−アッセイ(MTT−アッセイ)は、生きた細胞の検出用の試験として広く知られている。試験は様々に修正及び調整され、水溶液中で細胞をMTTと共に通常4〜8時間インキュベーションすることを含む。例えばシュバイクル(Schweikl)及びシュマルツ(Schmalz)は、この試験を用いて「2つの異なる哺乳動物細胞株における歯科材料の細胞毒性試験のための毒性パラメータ」(Eur J Oral Sci.1996年6月、104巻(3)号、292〜299頁)を決定した。
【0015】
フライモサー(Freimoser)らは、「MTT−アッセイは、真菌細胞密度の比色定量のための迅速かつ信頼できる方法である」(アプライド・アンド・エンバイロンメンタル・マイクロバイオロジー(Applied And Environmental Microbiology)1999年8月、65巻(8)号、3727〜3729頁)において、MTT−アッセイを比色定量法として使用して、細胞密度を測定することを発表した。検出するべき細胞を含むサンプルは、16時間インキュベートされた。
【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって、口腔内、硬い歯組織(エナメル質、歯根セメント質及び象牙質)上、並びに歯科修復物上の細菌の存在を迅速かつ確実に検出する組成物、その使用及び検出方法を提供することが望ましいであろう。更に、口腔内部位指向的な細菌検出のための組成物及び方法を提供することが望ましいであろう。
【0017】
一態様において、本発明は、少なくとも1つの電子受容体及び少なくとも1つの電子供与体の溶液を含む細菌検出歯科用組成物に関する。電子受容体及び電子供与体は、溶液それ自体中で電子供与体が還元等価物を電子受容体に伝達しないように選択される。更に、歯科用組成物は、電子受容体と電子供与体との間の電子伝達を可能にする又は促進する化合物を実質的に含まない。
【0018】
本発明の別の態様は、口腔内部の細菌検出用の手段を製造するための、本発明の文章に記載されているような組成物の使用に関する。
【0019】
用語の定義
「組成物」は、2種以上の構成成分の混合物として理解される。
【0020】
用語「水溶性」は、物質それ自体が周囲条件下で塩と同等に水に可溶であることを意味する。即ち、物質は、23℃で水中に分散されたとき、ブドウ糖の様に、水中に個々の分子を形成することができる。
【0021】
「粒子」は、幾何学的に測定できる形状を有する固体である物質を意味する。粒子は、通常、例えば粒径に関して分析され得る。
【0022】
「歯科用組成物及び歯科用物品」は、歯科矯正学の領域を含む(修復学及び歯科補綴学を含む)歯科分野にて使用される組成物である。この点から、組成物は患者の健康に有害であってはならず、それ故、組成物から移動し得る有害かつ有毒な構成成分を含まない。商業的に入手可能な製品は、DIN EN 21942−2に示されるもの等の所定の必要条件を満たす必要がある。
【0023】
物質は、その物質が25℃で約100Pas又は約50Pas又は約5Pas未満の粘度を有する場合、「液体又は溶媒」として分類される。
【0024】
用語「本質的に/実質的に物質を含まない」は、所定の物質が通常全く存在しない、又は故意に添加されていないとして理解するべきである。しかしながら、時には、避けられない微量のこの物質が検出され得ることもあり得る。
【0025】
したがって、「構成成分Xを本質的に含まない」は、組成物中の構成成分X(特に、添加された構成成分X)の含有率が、全組成物に対して約5重量%未満又は約2重量%未満又は約1重量%未満又は約0.1重量%未満であることを意味する。
【0026】
用語「可視光」は、約400〜約1000ナノメートル(nm)の波長を有する光を指して用いられる。
【0027】
「還元電位」(レドックス電位、酸化/還元電位としても知られる)は、化学種が電子を獲得して還元される傾向にある。それぞれの化学種は、その種固有の還元電位を有し、電位がより陽性となると、化学種の電子に対する親和性がより増大し、化学種は還元される傾向になる。
【0028】
水溶液中で、還元電位は、新しい種の導入により変化に供された際に、電子を獲得するか又は損失する傾向にある。新しい種よりも高い(より陽性の)還元電位を有する溶液は、新しい種から電子を獲得する傾向を有し(即ち新しい種を酸化することにより還元される)、より低い(より陰性の)還元電位を有する溶液は、電子を損失して新しい種へ与える傾向を有するであろう(即ち新しい種を還元することにより酸化される)。ちょうど化学種間の水素イオンの移動が水溶液のpHを決定するように、化学種間の電子の移動は、水溶液の還元電位を決定する。
【0029】
還元電位は、通常、ボルト(V)又はミリボルト(mV)で測定される。絶対電位は、時には正確に測定することが困難なため、還元電位は、多くの場合、任意で0.00ボルトの電位を付与される標準水素電極に対して定義される。標準還元電位(E0)は、標準条件下で測定される:25℃、反応に関与するそれぞれのイオンに関して濃度1M、反応の一部であるそれぞれの気体に関して分圧101kPa(1atm)、及び純粋状態の金属。
【0030】
NADと略されるニコチンアミドアデニンジヌクレオチドは、生きた細胞内に見出され得る補酵素である。化合物は、それらのリン酸基を介して連結された2つのヌクレオチドから構成されるため、ジヌクレオチドであり、一方のヌクレオチドはアデノシン環を含み、他方はニコチンアミドを含む。
【0031】
代謝において、NADは、通常、レドックス反応に関与し、電子を一方の反応物から他方の反応物に運ぶ。NADは、酸化剤であり、他の分子から電子を受容して還元され、この反応はNADHを形成し、これは次に還元剤として電子を供与するのに使用され得る。これらの電子移動反応は、NADの主な機能である。
【0032】
「電子供与体」又は「電子供与体構成成分」は、電子を1つの他の構成成分に供与し得る化学的実体である。これは、その供与する電子により、それ自体がプロセス中に酸化される還元剤である。
【0033】
「電子受容体」又は「電子受容体構成成分」は、1つの他の化合物から移動された電子を受容する化学的実体である。これはその受容する電子によって、それ自体がプロセス中に還元される酸化剤である。
【0034】
用語「口腔内」は、口腔内領域の外部、例えば研究所内で追加の工程を実施する必要なく、本発明の組成物が患者の口腔内に適用されることを意味する。
【0035】
用語「部位指向的な」は、う蝕感染した空洞内の残りの感染した象牙質の場所を示すシグナルが形成されることを意味する。これは、う蝕感染した空洞内の残りの感染した象牙質の部位指向的な位置特定を可能にする。部位指向的なシグナルは、一般に更なる処置が必要な部位を示す。
【0036】
「誘導体」は、対応する参照化合物に密接に関連した化学構造を示し、対応する参照化合物を特徴付ける全ての構造的要素を含むが、例えばCH、Br、Cl、若しくはFの様な、対応する参照化合物と比較して、同等に小さい追加の化学基を有し、又は例えばCHの様な同等に小さい化学基を有さない等、小さい変更を有する化学的化合物である。以下の例は、これを説明し得る:参照化合物、ビスーフェノールAに対して、4つの追加のメチル基を有するテトラメチルビス−フェノールA、及び参照化合物、ビスーフェノールAに対して、2つの追加のメチル基を有さないビスーフェノールFは、この定義の意味にてビスーフェノールAの誘導体である。
【0037】
「周囲条件」は、本発明の組成物が、貯蔵及び/又は取り扱い中に通常晒される条件を意味する。周囲条件は、例えば、約90〜約110kPa(約900〜約1100ミリバール)の圧力、約−10〜約60℃の温度、及び約10〜約100%の相対湿度であり得る。研究室での周囲条件は、通常、約23℃及び約101kPa(1013ミリバール)に調整される。
【0038】
本明細書で使用する時、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」、及び「1つ以上の」は、同じ意味で使用されている。用語「含む」又は「含有する」及びこれらの変化形は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲で用いられた場合、制限的な意味を有しない。また本明細書において、端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等)が包含される。
【0039】
特に指示がない限り、明細書及び請求項で使用される成分の量、コントラスト比のような特性の測定等を表す全ての数は、全ての場合に用語「約」によって修正されることが理解されるべきである。したがって、特に異議を唱えない限り、先の明細書及び添付した特許請求の範囲に記載した数値パラメータは、当業者により本発明の教示を利用して獲得しようとされる所望の性質に応じて変化し得る近似値である。最低限でも、また特許請求の範囲の範囲と等価物の原則の適用を制限しようとするものではないが、それぞれの数値パラメータは少なくとも、報告された有効数字の数値を考慮して、通常の数値のまるめ方を適用することによって解釈されるべきである。本発明の広範囲で示す数値的範囲及びパラメータは近似値であるが、具体例に記載の数値は可能な限り正確に報告する。しかしながら、いずれの数値もそれらのそれぞれの試験測定値において見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
【発明を実施するための形態】
【0040】
電子受容体構成成分と電子供与体構成成分が、溶液中で互いに反応できないように選択されることは、本発明の一態様である。電子受容体及び電子供与体を含有する溶液を、口腔の異なる部位に適用した後、電子受容体は細菌の存在により還元される。
【0041】
特定の理論に束縛されるものではないが、細菌は、本発明の歯科用組成物中の電子供与体構成成分から電子受容体構成成分への電子伝達を促進し得る、ある種の電子担体を含有すると仮定される。そのため、本発明の歯科用組成物が細菌と接触したとき、電子供与体構成成分により提供される1つ以上の電子の移動により、電子受容体構成成分の還元が起こる。
【0042】
電子受容体及び/又は電子供与体構成成分は、一般に、それらが、それらの還元された状態と酸化された状態とで異なる色を有するよう選択される。例えば、少なくともその還元された状態で、電子受容体構成成分は、波長約380nm〜約780nmの可視領域内の色を示すしたがって、歯科開業医は組成物中の電子受容体構成成分の、その酸化状態と還元状態との間の色の変化を視覚的に認識することが可能である。
【0043】
この変化に関して、異なる可能性が存在する。
【0044】
一方で、組成物は、異なる口腔部位に適用される前は無色である。電子受容体構成成分の還元により、ヒトの眼で見えるように色の変化が生じる。他方では、組成物はその適用前と区別される色を有するように変化し得る。電子受容体構成成分が還元された場合、色は、眼で見ることができ、かつ酸化状態の電子受容体の色とは明らかに区別される色を示すものに変化し得る。
【0045】
本発明の別の実施形態において、電子受容体構成成分は、その還元状態で約380nm〜約780nmの可視波長域内の蛍光を放射し、このことは還元状態の電子受容体構成成分に、それ自体で輝く特性を与える。
【0046】
本発明の別の実施形態において、電子供与体構成成分が、その酸化状態と還元状態とで異なる色を有するよう選択されることが更に可能である。例えば、酸化状態の電子供与体構成成分は、波長約380nm〜約780nmの可視域内の色を示す。したがって、歯科開業医が組成物中の電子供与体構成成分の、その還元状態と酸化状態との間の色の変化を視覚的に認識することが可能である。
【0047】
電子受容体構成成分及び電子供与体構成成分は、それぞれ、色の変化がヒトの眼で追跡可能な濃度で存在し得る。
【0048】
好ましい一実施形態において、電子供与体構成成分は、全組成物に対して、約0.5〜約13mg/mL又は約1.0〜約3.5mg/mLの濃度で存在する。電子供与体が、国際公開第98/33936号に記載されているように、NADH−又はNADPH−類似体のうちの1つの場合、濃度は、全組成物に対して、約10.0〜約13.0mg/mL又は約9〜約12mg/mLの範囲であってよい。
【0049】
電子受容体構成成分は、全組成物に対して、約1.0〜約3.5mg/mLの濃度又は約1.5〜約2.5mg/mlの濃度で存在し得る。
【0050】
本発明の歯科用組成物の溶媒に対する、組成物中の電子供与体構成成分と電子受容体構成成分の溶解度は、それぞれ、口腔内部位指向的な細菌の検出が可能である程度に高い必要がある。これは、溶解した電子受容体と溶解した電子供与体との濃度が、区別される色が知覚できる程度に高い必要があることを意味する。
【0051】
電子供与体構成成分及び/又は電子受容体構成成分は、組成物中に、組成物の全重量に対して約0.01重量%〜約80重量%又は約0.05重量%〜約30重量%の量で存在してもよい。電子受容体構成成分及び電子供与体構成成分が、組成物中に、組成物の全重量に対して約0.01〜約10重量%の量で存在すると有利であり得る。
【0052】
好ましくは、電子受容体構成成分は、それぞれの溶媒でその酸化状態及び還元状態で異なる溶解度を示す。即ち、電子受容体構成成分が還元されたとき、還元された形態の電子受容体構成成分が、電子受容体構成成分が還元された部位において沈殿を形成する程にその溶解度が低下され、それにより口腔内部位指向的な細菌の検出が可能となるであろう。別の実施形態において、電子供与体構成成分は、対応する溶媒中で、その酸化された状態における溶解度の低下を示す。この場合でも、電子供与体構成成分が酸化される部位において沈殿が生じる程度に溶解度は減少させられるべきである。
【0053】
勿論、例えば組成物が高い粘度を示し、又はフィルムを形成する場合、部位指向的な細菌検出の他の方法が存在する。
【0054】
一実施形態において、本発明による電子受容体構成成分は、テトラゾリウム化合物、テトラゾリウム誘導体であり、又はテトラゾリウム部分を含む。
【0055】
このテトラゾリウム化合物又はテトラゾリウム誘導体は、例えば2−(2’−ベンゾチアゾリル)−5−スチリル−3−(4’−フタルヒドラジジル)テトラゾリウムクロライド、2−(2−ベンゾチアゾリル(benzothiaolyl))−3−(4−ニトロフェニル)−5−フェニルテトラゾリウムブロマイド、2−(2−ベンゾチアゾリル(benzothiaolyl))−3,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド、2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−フェニル−2H−テトラゾリウムクロライド、2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−フェニルテトラゾリウムクロライド、2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−フェニルテトラゾリウムクロライド水和物、2,3,5−トリフェニル−2H−テトラゾリウムクロライド、2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムブロマイド、2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロライド、2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムイオダイド、2,3,5−トリス(p−トリル)テトラゾリウムクロライド、2,3−ビス(3−クロロフェニル)−5−フェニルテトラゾリウムクロライド、2,3−ビス(3−フルオロフェニル)−5−フェニルテトラゾリウムクロライド、2,3−ビス(3−メチルフェニル)−5−フェニルテトラゾリウムクロライド、2,3−ビス(4−クロロフェニル)−5−フェニルテトラゾリウムクロライド、2,3−ビス(4−エチルフェニル)−5−フェニルテトラゾリウムクロライド、2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5−フェニルテトラゾリウムクロライド、2,3−ビス(4−メトキシフェニル)−5−(4−シアノフェニル)テトラゾリウムクロライド、2,3−ビス(4−メトキシフェニル)−5−フェニルテトラゾリウムクロライド、2,3−ビス(4−メチルフェニル)−5−(4−シアノフェニル)テトラゾリウムクロライド、2,3−ビス(4−ニトロフェニル)−5−フェニルテトラゾリウムクロライド、2,3−ビス(4−ニトロフェニル)−5−フェニルテトラゾリウムクロライド水和物、2,3−ジ(p−トリル)−5−フェニルテトラゾリウムクロライド、2,3−ジフェニル−5−(2−チエニル)テトラゾリウムクロライド、2,3−ジフェニル−5−(4−クロロフェニル)テトラゾリウムクロライド、2,3−ジフェニル−5−(4−メトキシフェニル)テトラゾリウムクロライド、2,3−ジフェニル−5−(p−ジフェニル)テトラゾリウムクロライド、2,3−ジフェニル−5−(p−トリル)テトラゾリウムクロライド、2,3−ジフェニル−5−アミノテトラゾリウムクロライド、2,3−ジフェニル−5−カルボキシテトラゾリウムクロライド、2,3−ジフェニル−5−エチルテトラゾリウムクロライド、2,3−ジフェニル−5−メチルテトラゾリウムクロライド、2,5−ジ(p−トリル)−3−フェニルテトラゾリウムクロライド、2,5−ジフェニル−3−(2,6−ジメチルフェニル)テトラゾリウムクロライド、2,5−ジフェニル−3−(4−スチリルフェニル)テトラゾリウムクロライド、2,5−ジフェニル−3−(p−ジフェニル)テトラゾリウムクロライド、2−ベンゾチアゾリル−3−(4−カルボキシ−2−メトキシフェニル−(5−[4−(2−スルホエチルカルバモイル)フェニル]−2H−テトラゾリウム、2−フェニル−3−(4−ビフェニルlイル)−5−メチルテトラゾリウムクロライド、2−フェニル−3−(4−カルボキシフェニル)−5−メチルテトラゾリウムクロライド、3−(3−ニトロフェニル)−5−メチル−2−フェニルテトラゾリウムクロライド、3−(4,5−ジメチル)−2−チアゾリル(−2,5−ジフェニル−2H)−テトラゾリウムブロマイド、3−(4,5−ジメチル)−2−チアゾリル(−2,5−ジフェニル−2H)−テトラゾリウムクロライド、3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド、3−(4−ニトロフェニル)−5−メチル−2−フェニルテトラゾリウムクロライド、3,3’−(3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニレン)ビス(2−フェニル−5−ベラトリルテトラゾリウムクロライド)、3,3’−(3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニレン)ビス[2−(3−ニトロフェニル)−5−フェニル]−2H−テトラゾリウムクロライド、4−[3−(4−ヨードフェニル)−2−(2,4−ジニトロフェニル)−2H−5−テトラゾリノ]−1,3−ベンゼンジスルホネート、4−[3−(4−ヨードフェニル)−2−(4−ニトロフェニル)−2H−5−テトラゾリノ]−1,3−ベンゼンジスルホネート、5−シアノ−2,3−ジ−(p−トリル)テトラゾリウムクロライド、テトラゾリウムブルークロライド(ブルーテトラゾリウム)、シンナミルニトロブルーテトラゾリウムクロライド、ヨードニトロテトラゾリウムクロライド、m−トリルテトラゾリウムレッド、ネオ−テトラゾリウムクロライドジホルマザン、ニトロブルーテトラゾリウム、ニトロブルーテトラゾリウム一水和物、ニトロネオテトラゾリウムクロライド(バイオレット)、o−トリルテトラゾリウムレッド、p−アニシルブルーテトラゾリウムクロライド、p−アニシルブルーテトラゾリウムクロライドジホルマザン、ピペロニルテトラゾリウムブルー、p−トリルテトラゾリウムレッド、テトラニトロブルーテトラゾリウム、2,5−ジフェニル−3−(1−ナフチル)テトラゾリウムクロライド(テトラゾリウムバイオレット)、2,2’−ビフェニル−4,4’−ジヒルビス(dihylbis)−(3,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウム)−ジクロライド(テトラゾールパープル)、チオカルバミルニトロブルーテトラゾリウムクロライド、ベラトリルテトラゾリウムブルーからなる群より選択されてもよい。これらの混合物及び組み合わせも含まれる。
【0056】
特に好ましい電子受容体としては、2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムブロマイド、2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロライド、2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムイオダイド、3−(4,5−ジメチル)−2−チアゾリル(−2,5−ジフェニル−2H)−テトラゾリウムブロマイド、テトラゾリウムバイオレット/2,5−ジフェニル−3−(1−ナフチル)テトラゾリウムクロライド及び/又はテトラゾールパープル/2,2’−ビフェニル−4,4’−ジヒルビス−(3,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウム)−ジクロライド及びそれらの混合物又は組み合わせが挙げられる。
【0057】
本発明に使用し得る特に有用な電子受容体構成成分は、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム−ブロマイド(MTT)である。
【0058】
細胞増殖の測定又は検出にMTTを使用することは、当技術分野にて既知である。しかしながら、以下の実施例に示すように、MTTを含有する溶液を電子受容体構成成分のみとして使用することは、反応が一般に、色の変化が観察され得るまで、比較的長い時間(例えば約5分まで)を必要とするため、歯科分野では実用的ではない。驚くべきことに、NADHの様な電子供与体構成成分を電子受容体構成成分を含有する組成物に加えることが反応を高めるということ、が見出された。
【0059】
また更に驚くべきことには、この反応は、電子受容体と、PMSの様な電子供与体との間の電子伝達を可能にする又は促進する構成成分、即ち電子移動をサポートするために通常必要な構成成分の不在下で、比較的短い時間内に起こる。
【0060】
所定の理論に束縛されるものではないが、生きた動物又はヒトの口腔内に存在している細菌は、電子移動サポート要素として機能し得る構成成分又は構造を有すると思われる。
【0061】
したがって、先端技術で既知の、MTTを含有する組成物とは対照的に、本発明の組成物は、少なくとも1つの電子供与体構成成分を含有する。この電子供与体構成成分は、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、還元型フラビンアデニンジヌクレオチド、還元型フラビンモノヌクレオチド(リボフラビン−5’−リン酸)及びそれらの混合物又は組み合わせを含む群から選択されてよい。更に、これらの供与体の誘導体の使用、又は参照により本明細書に組み込まれる国際公開第98/33936号によるNADPH及びNADH類似体、並びにこの群の2つ以上の供与体の混合物の使用が可能である。
【0062】
本発明の組成物を細菌に暴露した後、反応が開始する。還元等価物の伝達、及び上述した本発明の組成物の色の変化は、一般に、約4分又はそれ未満後、好ましくは約2分未満後、より好ましくは約1分未満後、更により好ましくは約30秒未満後、最も好ましくは約20秒又はそれ未満後に起こることが観察されている。
【0063】
色の変化が約4分後より後に起こる場合、組成物は、歯科開業医及び/又は患者が、通常、可能な色の変化のために約4分を越えて待つことはないと思われるため、歯科目的に適切ではないと思われる。歯科業務では、患者及び/又は歯科開業医が、例えば費用を節約し、及び/又は状況を患者及び歯科開業医にとってより都合よくするために、待ち時間をできる限り短縮するよう努力しているため、手順が迅速であることは通常有益である。色の変化が測定できる、又はヒトの眼に見えるようになる前に、通常約4〜約16時間のインキュベーション時間を要する先端技術の組成物とは対照的に、本発明の組成物ははるかに短い時間を要する。
【0064】
本発明の組成物は溶液であるため、溶媒を含む。使用できる一般的な溶媒としては、水、及びアルコール(例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール及びイソ−プロピルアルコール)及びケトン(例えばアセトン)並びにそれらの組み合わせを含む有機溶媒を挙げることができる。溶媒が水であるか又は水を含む場合、電子受容体及び電子供与体を含有する水溶液が一般に形成される。
【0065】
1種以上の有機溶媒と水との混合物の場合、有機溶媒の濃度は、全溶液に対して約0.1重量%〜約60重量%であってよい。一般に、水が好ましい溶媒である。例えば、酸化状態の電子受容体及び還元状態の電子供与体の溶液中の溶解度を調整するために、又は組成物が適用される口腔内の領域の湿潤性を改善するために、1種以上の有機溶媒を加えてよい。
【0066】
好適な有機溶媒としては、例えば約2〜約10個のC原子を有する線状、分枝状又は環状の飽和又は不飽和アルコール、例えばジアルキルケトンのようなケトン、エステル、カルボン酸、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルメタクリレート又は(2,3−エポキシプロピル)メタクリレート等の低粘度の重合性物質、及びそれらの種類の溶媒の2つ以上の混合物が挙げられる。好ましい溶媒としては、水及び水−アルコール混合物が挙げられる。
【0067】
特に好ましいアルコール性溶媒は、メタノール、エタノール、イソ−プロパノール及びn−プロパノールである。
【0068】
他の好適な有機溶媒は、グリセリン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノール、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、アルカン及び酢酸アルキルエステル、特に酢酸エチルエステルである。
【0069】
組成物のpH値は、幅広く変動し得る。例えば、pH値は、約1〜約12が可能である。より好ましくは、組成物のpH値は、約7〜約10である。2つの構成成分系が使用される場合、1つの構成成分は約10〜約12のpH値を有してよく、他の構成成分は約1.5〜約4のpH値を有してよい。選択されるpH値は、電子受容体及び電子供与体が、好みに応じて酸化及び還元性を示す状態を提供する必要がある。更に、電子受容体及び電子供与体の色の変化特性及び溶解度が、上述したような範囲内にある必要がある。組成物のpH値は、任意の溶媒又は酸性物質(例えばHCl若しくは酢酸)、塩基性物質等を含む更なる成分の種類及び量の選択により変動し得る。
【0070】
組成物は、緩衝液も含み得る。本発明の文脈において、リン酸緩衝液、炭酸緩衝液、酢酸緩衝液、ギ酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、トリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、グリシルグリシン緩衝液、グリシン緩衝液、リン酸ナトリウム緩衝液、リン酸水素ナトリウム緩衝液、リン酸二水素ナトリウム緩衝液、リン酸カリウム緩衝液、リン酸水素カリウム緩衝液、リン酸二水素カリウム緩衝液、又はピロリン酸緩衝液、又はそれらの混合物等の全ての習慣的な緩衝液が好適である。炭酸ナトリウム緩衝液、炭酸カリウム緩衝液、炭酸水素ナトリウム緩衝液又は炭酸水素カリウム緩衝液も好適である。緩衝液は、トリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン又はグリシルグリシンが特に好ましい。
【0071】
緩衝液の濃度は、一般に、約0.01〜約1.0Mの範囲内、又は約0.02〜約0.5Mの範囲内、又は約0.03〜約0.2Mの範囲内である。
【0072】
本発明による組成物は、場合により例えばキノン又はジスルフィド化合物を含む更なる成分を含有してよい。本発明の組成物中に使用し得る好ましいキノンの例は、ナフトキノンである。本発明の組成物中に使用し得る好ましいジスルフィド化合物は、酸化型リポ酸、酸化型グルタチオン及び/又はシスチンである。
【0073】
キノンが存在する場合、キノンは一般に、本発明の組成物中に、全組成物に対して約0.005〜約0.5mg/ml又は約0.01〜約0.05mg/mlの濃度で存在する。
【0074】
リポ酸は、全組成物に対して、本発明の組成物中に、例えば約0.05〜約2.0mg/ml又は約0.1〜約0.5mg/mlの濃度で存在し得る。
【0075】
本発明に記載する更なる一実施形態は、1つ以上の補助着色剤(auxiliary colorant(s))を含有する。補助着色剤によって本発明の組成物の色を調整することができ、所望であれば、色の変化をヒトの眼に、より良好に認識できるようにし得る。補助着色剤は、一般に、電子供与体又は電子受容体構成成分のいずれかにより生成され得る色とは異なる色を有する。
【0076】
適切な補助着色剤は、電子が電子供与体から電子受容体に伝達されたときに、その色が変化しない化合物であり得る。代わりに、補助着色剤は、電子受容体の色の変化の検出を高めると思われる第1の色を、本発明の組成物に提供する。例えば、補助着色剤は背景色を提供して、吸収プロファイルにおける変化の外観を向上させ得る。
【0077】
例えば、組成物中の補助着色剤には、パテントブルー(Patent Blue)V、パテントブルーE 131、エリオグラウシン(Erioglaucine)、ネオザポン(NEOZAPON)ブルー807[ビーエーエスエフ(BASF)、ルートビッヒスハーフェン(Ludwigshafen)、ドイツから市販]、メチレンブルー[ヘキスト(Hoechst)から市販]、インジゴカルミン、インジゴカルチン(E 132)、アントシアン(E 163);クルクミン(E 100)、ラクトフラビン(E 101)、タトラジン(Tatrazin)(E 102)、キノリンイエロー(E 104)、イエローオレンジS(E 110);コヘニル(cohenille)(e 120)、アゾルビン(E 122)、アマランス(E 123)、エリトロシン(E127)、アルーラレッド(allura red)(E 129)及びルビー顔料(E 180)並びにこれらの混合物又は組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。一般に、約5ppm〜約1重量%又は約10ppm〜約1000ppm又は約50ppm〜約500ppmの量の補助着色剤が、所望であれば、本発明の組成物の調製に使用され得る。
【0078】
本発明の別の実施形態において、本発明の組成物に使用し得る補助着色剤は、電子受容体の還元型により吸収されるが、本発明の歯科用組成物の任意の他の構成成分により吸収されない波長の蛍光を放射する蛍光染料であってよい。本発明によれば、放射される蛍光は、一般に、約380nm〜約780nmの範囲内の波長を有する。蛍光染料は、例えばローダミン110等のローダミンであってよい。
【0079】
ローダミン染料は、本発明の組成物中に、全組成物に対して例えば約0.005〜約0.5mg/ml又は約0.01〜約0.2mg/mlの濃度で存在してよい。
【0080】
本発明の組成物は、レオロジー変性剤、安定剤、充填剤等の1つ以上の添加剤を更に含有してよい。本発明の組成物は、組成物のpH値を調整する1つ以上の添加剤を更に含有してよい。レオロジー変性剤は、歯の表面に留まるように組成物を増粘する。レオロジー変性剤は、例えば、1μm未満の粒径を有するヒュームドシリカ、石英及びガラスのような無機材料を包含してよい。特定の材料において、10〜500nmの範囲の粒径を有することが望ましい。レオロジー変性剤は、ポリ(メタ)アクリル酸及びその塩;アラビアゴムのような多糖類、及びヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのようなセルロース誘導体;ヒドロキシエチルデンプン、キサンタネート及びアルギネートのような水溶液を増粘できる有機材料も包含することができる。
【0081】
一般に、本発明の組成物は、添加剤を、全組成物の重量に対して0重量%〜約30重量%又は約2重量%〜約15重量%又は約3重量%〜約13重量%の量で含有する。
【0082】
他の任意の添加剤は、安息香酸、安息香酸エステル等の保存剤としての安定剤を通常、約50ppm〜約5重量%の量で含むことができる。
【0083】
更に、約0.6μmを越える粒径のガラス、石英及びケイ酸ジルコニア等の充填剤を組成物に加えることができる。これらの充填剤は、0重量%〜約70重量%又は約5重量%〜約40重量%又は約10重量%〜約40重量%の量で存在してよい。
【0084】
本発明による歯科用組成物は、1つのコンパートメント系として提供されてよい。したがって、組成物の全構成成分が1つの溶液中に含まれる。溶液は、例えば約0.1〜約10mlの容積を有する瓶、約0.01〜約1.0mlの容積の単位用量包装デバイス、又は一体化されたブラシを有する瓶を含む適切な包装デバイス内に詰められてよい。そのようなデバイスの例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,105,761号又は同第7,097,075号に、より詳細に記載されている。
【0085】
組成物は、更に、2つ以上のコンパートメント系(部分のキット)として提供されてよい。したがって、本発明の更なる実施形態は、部分A及び部分Bを含む部分のキットに関し、部分Aは電子受容体構成成分と場合により溶媒とを含み、部分Bは電子供与体構成成分と場合により溶媒とを含み、溶媒と、本発明の文章に記載されている添加剤又は補助着色剤の様な任意の更なる構成成分とが、部分A若しくは部分B中のいずれか、又は部分A及び部分B中に存在してよい。
【0086】
本発明の組成物は、少なくとも1つの電子受容体構成成分及び少なくとも1つの電子供与体構成成分の溶液を含み、電子受容体構成成分及び電子供与体構成成分は、溶液自体中で、電子供与体が還元等価物を電子受容体に伝達できないように選択される。
【0087】
このことは、例えば電子受容体と電子供与体との間の電子伝達を可能にする又は促進する構成成分を実質的に含まない組成物を提供することにより達成され得る。したがって、本発明の組成物中に通常存在しない構成成分は、フェナジンメトサルフェート(PMS)及び/又はメラドラ・ブルー(Meldola's Blue)(CAS:7057−57−0)である。
【0088】
更に、本発明の組成物は、一般に乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、糖、ピルビン酸及びそれらの混合物の様な構成成分をいずれも含まない。
【0089】
更に、本発明の組成物は、一般にNADを含まない。例えば、NADを本発明の組成物に加えることは、試験が所望通りに適切に機能しない点で有害であろう。
【0090】
本発明の組成物は、歯科及び歯科矯正領域を含む様々な分野で使用することができる。特に、本発明の組成物は、例えば歯ぐき、エナメル質、象牙質、歯根セメント質及び歯科修復物上の部位指向的な細菌の口腔内検出に使用することができる。口腔内での適用性は、当該技術分野の多数の既知の他の試験が、サンプル、例えば唾液の収集を要求し、かつインビトロで、別個の容器内で細菌の検出を行うことを要求するため、組成物の強力な利点である。更に、組成物及びこの組成物の使用により、部位指向的な細菌検出が可能となる。対照的に、多数の既知の試験は、口腔内に細菌が存在することを暗示するのみであり、特定の領域は暗示しない。本明細書に記載した本発明は、その口腔内での用途において、部位指向的な検出を提供できる。したがって、追加の時間を費やすことなく、細菌の位置に関する更なる情報を入手することができる。
【0091】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、特に、掘削されたう蝕病変内の代謝的に活性な細菌を開業医が検出できるようにする。
【0092】
本発明の組成物をう蝕感染した歯組織に適用したときに得られる色の変化の強度を評価することにより、このシグナルをう蝕感染した歯組織内、上に存在する細菌の数に関連付けることも可能である。
【0093】
歯科用組成物の使用の可能な方法は、
a)少なくとも1つの電子受容体及び少なくとも1つの電子供与体の溶液を含む組成物を提供する工程であって、電子受容体及び電子供与体は、溶液自体中で、電子供与体が還元等価物を電子受容体に伝達できないように選択され、かつ組成物は、電子受容体と電子供与体との間の電子伝達を可能にする又は促進する化合物を実質的に含まない、工程と、
b)組成物を(例えば歯ぐき、舌、エナメル質、象牙質、歯根セメントを含む)歯科組織、及び/又は歯科修復物に適用する工程と、
c)約4分又はそれ未満(例えば約3分未満、約2分未満又は約1分間未満)待つ工程と、を含む。
【0094】
約4分又はそれ未満の時間内での組成物の色の変化は、一般に、細菌が検出されていることを示す。この時間枠内で色の変化が全く生じない場合、それは通常、細菌の不在、特にある種の細菌の不在を暗示する。例えば、それは一般に、還元環境を生成する細菌の不在を暗示する。色の変化を検出した後、歯科開業医は、細菌がう蝕を生じるものか又は生じないものか診断を下す必要がある。したがって、組成物、この組成物の使用及びこの組成物の使用方法は、細菌の検出のみを説明し、これらの細菌が疾患を生じているか否かの情報は全く組み入れていない。細菌の検出それ自体は、口腔内であり、部位指向的である。
【0095】
本発明の組成物及びその使用の利点の1つは、歯科開業医が結果を得るまでの時間が短縮され、結果に基づき診断を下し、又は更なる工程に着手できることである。
【0096】
歯科組織の表面(例えば歯表面)上のみでの細菌の検出に加えて、組成物及びこの組成物の使用は、更に掘削したう蝕病変内の細菌の検出に適用することができる。更に、歯科開業医は、本発明による組成物を、掘削処置を行った後の細菌の検出にも使用することができる。
【0097】
本発明の歯科用組成物は、口腔内で、ある特定の部位上の細菌の検出に使用し得ることが好ましい。例えば、充填物の縁内、歯冠及び橋義歯の縁内、白斑、小窩裂溝、歯垢、歯石及び/又は初期う歯の細菌の検出が可能である。
【0098】
本発明は、歯科用組成物の製造方法にも関し、この方法は、少なくとも1つの電子受容体構成成分と、少なくとも1つの電子供与体構成成分とを溶媒に溶解又は添加して溶液を調製する工程であって、電子受容体構成成分と電子供与体構成成分とが、溶液それ自体中で、電子供与体が還元等価物を電子受容体に伝達できないように選択され、かつ組成物が電子受容体構成成分と電子供与体構成成分との間の電子伝達を可能にする又は促進する、添加された化合物を含まない、工程を含む。
【0099】
上述した本発明の組成物は、細菌の口腔内検出のための手段又はデバイス、特に部位指向的に使用され得る手段又はデバイスの製造に使用することができる。
【0100】
以下の実施例は例示のためのみに与えられるが、本発明の範囲を限定するものではない。特に指示がない限り、部及び百分率の全ては重量に基づき、全試験は周囲条件下(23℃、湿度50%及び室温)で行われた。
【0101】
実施例
以下の全実施例に関して、使用した化合物を以下に記載する:
【表A】

実施例で使用した他の構成成分は、一般に、シグマ・アルドリッチ(Sigma Aldrich)又はアクロス(Acros)の様な会社から得ることができる。
【0102】
(実施例1)
構成成分1:
0.14gのβ−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、還元型二ナトリウム塩(Na−NADH)及び1.22gのトリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン(トリス)を100mlの脱イオン水に溶解し、pH11.4に調整して、水溶液を調製した。
構成成分2:
1.0gの3−(4,5−ジメチルチアゾール−2イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム−ブロマイド(MTT)及び0.15gのKClを脱イオン水に溶解して、第2溶液を調製した。次に、この溶液をHClでpH2.5に調整した。脱イオン水を、全容積が100mlとなるまで加えた。
実施例1:構成成分1と構成成分2を、3.6対1の比で混合した。
【0103】
(実施例1a)
構成成分1:
1.4gのアセチル−NADH及び1.22gのトリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン(トリス)を100mlの脱イオン水に溶解して、pH11.4に調整して、水溶液を調製した。
構成成分2:
1.0gの3−(4,5−ジメチルチアゾール−2イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム−ブロマイド(MTT)及び0.15gのKClを脱イオン水に溶解して、第2溶液を調製した。次に、この溶液をHClでpH2.5に調整した。脱イオン水を、全容積が100mlとなるまで加えた。
実施例1a:構成成分1と構成成分2を、3.6対1の比で混合した。
引き抜いたヒトの歯のう蝕病変内に、1〜3滴の実施例1又は実施例1aを与えた(空洞の寸法に応じて)。15秒後、沈殿した染料により形成された青紫色の点が可視となった。このように、増大した数の生きた細菌を有する部位を示す、明確に区別されるシグナルが観察できた。
【0104】
(実施例2)
構成成分1:
1.4gのNa−NADH及び1.22gのトリスを100mlの脱イオン水に溶解し、pH11.4に調整して、水溶液を調製した。
構成成分2:
1.0gの3−(4,5−ジメチルチアゾール−2イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムーブロマイド(MTT)及び0.15gのKClを脱イオン水に溶解して、溶液を調製した。次に、溶液をHClでpH2.5に調整した。脱イオン水を、全容積が100mlとなるまで加えた。
構成成分3
1mlのポリ(エチレングリコール)200と、1.00mgの3−メチル−ナフトキノンとを組み合わせて、溶液を調製した。
混合物1:5mlの構成成分2を、1mlの構成成分3と混合した。
実施例2:混合物1と構成成分1を、1.0対3.6の比で混合した。
引き抜いたヒトの歯のう蝕病変内に、1〜3滴の実施例2を与えた(空洞の寸法に応じて)。15秒後、沈殿した染料により形成された青紫色の点が可視となった。このように、増大した数の生きた細菌を有する部位を示す、明確に区別されるシグナルが観察できた。
【0105】
(実施例3)
構成成分1:
20mgのNa−NADHを1mlの脱イオン水に溶解して、水溶液を調製した。
構成成分2:
2.00mgのローダミンを、1.00mlのDMSOに溶解した。
構成成分3
13.214gのグリシルグリシンを、脱イオン水に溶解した。次に、溶液をNaOHでpH11.4に調整した。脱イオン水を、全容積が500mlとなるまで加えた。
構成成分4
1.0gのMTT及び0.15gのKClを脱イオン水に溶解して、溶液を調製した。次に、溶液をHClでpH2.5に調整した。脱イオン水を、全容積が100mlとなるまで加えた。
構成成分5
1.00mgの3−メチル−ナフトキノンを1mlのポリ(エチレングリコール)200に溶解して、溶液を調製した。
混合物1:
5mlの構成成分4を、1mlの構成成分5と混合した。
実施例3a:構成成分1、2、3及び混合物1の混合比は、4.0対1.0対17.0対6.0であった。
引き抜いたヒトの歯のう蝕病変内に、1〜3滴の実施例3を与えた(空洞の寸法に応じて)。10秒後、沈殿した染料により形成された青紫色の点が可視となった。このように、増大した数の生きた細菌を有する部位を示す、明確に区別されるシグナルが観察できた。
【0106】
(実施例3a)
構成成分1:
20mgのNa−NADHを1mlの脱イオン水に溶解して、水溶液を調製した。
構成成分2:
2.00mgのローダミンを、1.00mlのDMSOに溶解した。
構成成分3
13.214gのグリシルグリシンを、脱イオン水に溶解した。次に、溶液をNaOHでpH11.4に調整した。脱イオン水を、全容積が500mlとなるまで加えた。
構成成分4
1.0gのMTT及び0.15gのKClを脱イオン水に溶解して、溶液を調製した。次に、溶液をHClでpH2.5に調整した。脱イオン水を、全容積が100mlとなるまで加えた。
混合物1:
1.00mgの3−メチル−ナフトキノンを1mlのポリ(エチレングリコール)200に溶解して、溶液を調製した。
混合物1:
5mlの構成成分3を、1mlの構成成分4と混合した。
実施例3:構成成分1、2、3及び混合物1の混合比は、4.0対1.0対17.0対6.0であった。
引き抜いたヒトの歯のう蝕病変内に、1〜3滴の実施例3を与えた(空洞の寸法に応じて)。10秒後、沈殿した染料により形成された青紫色の点が可視となった。このように、増大した数の生きた細菌を有する部位を示す、明確に区別されるシグナルが観察できた。
【0107】
(実施例4)
構成成分1:
20mgのNa−NADHを1mlの脱イオン水に溶解して、水溶液を調製した。
構成成分2:
10.00mgの酸化型リポ酸を、1.00mlのエタノールに溶解した。
構成成分3
13.214gのグリシルグリシンを、脱イオン水に溶解した。次に、溶液をNaOHでpH11.4に調整した。脱イオン水を、全容積が500mlとなるまで加えた。
構成成分4
1.0gのMTT及び0.15gのKClを脱イオン水に溶解して、溶液を調製した。次に、溶液をHClでpH2.5に調整した。脱イオン水を、全容積が100mlとなるまで加えた。
実施例4:構成成分1、2、3及び混合物1の混合比は、4.0対1.0対17.0対6.0であった。
引き抜いたヒトの歯のう蝕病変内に、1〜3滴の実施例4を与えた(空洞の寸法に応じて)。15秒後、沈殿した染料により形成された青紫色の点が可視となった。このように、増大した数の生きた細菌を有する部位を示す、明確に区別されるシグナルが観察できた。
【0108】
(実施例5)
構成成分1:
1.0gのMTT、0.012gのPMS及び0.15gのKClを脱イオン水に溶解して、溶液を調製した。次に、溶液をHClでpH2.5に調整した。脱イオン水を、全容積が100mlとなるまで加えた。
構成成分2:
13.214gのグリシルグリシンを、脱イオン水に溶解した。次に、溶液をNaOHでpH11.4に調整した。脱イオン水を、全容積が500mlとなるまで加えた。
実施例5:構成成分1及び構成成分2量の混合比は、1.0対4.0であった。
引き抜いたヒトの歯のう蝕病変内に、1〜3滴の実施例5を与えた(空洞の寸法に応じて)。120秒後、沈殿した染料により形成された青紫色の点が可視となった。このように、増大した数の生きた細菌を有する部位を示す、明確に区別されるシグナルが観察できた。
【0109】
(実施例6)
1.0gのMTT、0.012gのPMS及び0.15gのKClを脱イオン水に溶解して、溶液を調製した。次に、溶液をHClでpH2.5に調整した。脱イオン水を、全容積が100mlとなるまで加えた。
構成成分2:
13.214gのグリシルグリシンを、脱イオン水に溶解した。次に、溶液をNaOHでpH11.4に調整した。脱イオン水を、全容積が500mlとなるまで加えた。
構成成分3
2.00mgのローダミンを、1.00mlのDMSOに溶解した。
実施例6:構成成分1、構成成分2及び構成成分3量の混合比は、25.0対100.0対1.0であった。
引き抜いたヒトの歯のう蝕病変内に、1〜3滴の実施例6を与えた(空洞の寸法に応じて)。120秒後、沈殿した染料により形成された青紫色の点が可視となった。このように、増大した数の生きた細菌を有する部位を示す、明確に区別されるシグナルが観察できた。
【0110】
(実施例7)
構成成分1:
1.00gのMTT及び0.15gのKClを脱イオン水に溶解して、溶液を調製した。次に、溶液をHClでpH2.5に調整した。脱イオン水を、全容積が100mlとなるまで加えた。
構成成分2:
1.22gのトリスを脱イオン水に溶解して、水溶液を調製した。次に、溶液をNaOHでpH11.4に調整した。脱イオン水を、全容積が100mlとなるまで加えた。
実施例7:混合物1と構成成分2とを、1.0対3.6の比で混合した。
引き抜いたヒトの歯のう蝕病変内に、1〜3滴のう蝕指示薬溶液を与えた(空洞の寸法に応じて)。300秒後、沈殿した染料により形成された青紫色の点が可視となった。このように、増大した数の生きた細菌を有する部位を示す、明確に区別されるシグナルが観察できた。
【0111】
(実施例8)
構成成分1:
1.00gのMTT及び0.15gのKClを脱イオン水に溶解して、溶液を調製した。次に、溶液をHClでpH2.5に調整した。脱イオン水を、全容積が100mlとなるまで加えた。
構成成分2:
380gのメラドラ・ブルー(Meldola’s blue)を100mlの脱イオン水に溶解して、溶液を調製した。
混合物1:
86.8mlの構成成分1を、13.2mlの構成成分2と混合した。
構成成分3
2.00mgのローダミンを、1.00mlのDMSOに溶解した。
構成成分4
13.214gのグリシルグリシンを、脱イオン水に溶解した。次に、溶液をNaOHでpH11.4に調整した。脱イオン水を、全容積が500mlとなるまで加えた。
実施例8:混合物1、構成成分3及び構成成分4を、25.0対1.0対100.0の比で混合した。
引き抜いたヒトの歯のう蝕病変内に、1〜3滴のう蝕指示薬溶液を与えた(空洞の寸法に応じて)。300秒後、沈殿した染料により形成された青紫色の点が可視となった。このように、増大した数の生きた細菌を有する部位を示す、明確に区別されるシグナルが観察できた。
【0112】
実施例1〜4の全てにおいて、Na−NADHの代わりに、国際公開第98/33936号によるNADH及びNADPHの異なる類似体を使用してもよい。例えば、実施例1〜4のそれぞれにおいて、類似の3−アセチルピリジンアデニンジヌクレオチドの場合、100mlの脱イオン水及び0.12mgのトリス中、1.45gの量のアセチル−NADHを有する水溶液を使用し得る。NADH及びNADPHの他の類似体も使用し得る。
得られた結果を、表1に概略する:

【表B】

【0113】
これらの実施例から明かであり得るように、色の変化と沈殿形成は、本発明の電子受容体及び電子供与体を含有する溶液で、より急速であると思われた。電子供与体が存在しない全溶液において、色の変化の時間は有意により長かった。PMS又はメラドラ・ブルー(Meldola’s Blue)の様な構成成分が存在する場合、同様であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌を検出するための歯科用組成物であって、
溶媒と、
少なくとも1つの電子受容体構成成分と、
少なくとも1つの電子供与体構成成分と、を含み、
前記電子受容体構成成分と電子供与体構成成分との間の電子伝達を可能にする又は促進する構成成分を実質的に含まない、組成物。
【請求項2】
前記電子受容体構成成分及び電子供与体構成成分が、溶液それ自体中で、電子供与体が還元等価物を電子受容体に伝達できないように選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記電子受容体構成成分が、その酸化状態で有する色とは異なる還元状態の色を有し、かつ少なくともその還元状態で、波長約380nm〜約780nmの範囲内のスペクトルの色を有する、請求項1に記載の歯科用組成物。
【請求項4】
前記電子受容体構成成分が、その酸化状態で、溶液中、少なくとも0.01重量%の溶解度を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
【請求項5】
前記電子受容体構成成分が、その還元状態で、前記溶液から沈殿する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
【請求項6】
前記電子受容体構成成分を、組成物の全重量に対して約0.01〜80重量%の濃度で含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
【請求項7】
前記電子受容体構成成分が、2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムブロマイド、2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロライド、2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムイオダイド、3−(4,5−ジメチル)−2−チアゾリル(−2,5−ジフェニル−2H)−テトラゾリウムブロマイド(MTT)、2,5−ジフェニル−3−(1−ナフチル)テトラゾリウムクロライド(テトラゾリウムバイオレット)及び/又は2,2’−ビフェニル−4,4’−ジヒルビス(dihylbis)−(3,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウム)−ジクロライド(テトラゾールパープル)を含むテトラゾリウム化合物若しくはテトラゾリウム誘導体、又はそれらの組み合わせ及び混合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
【請求項8】
前記電子供与体構成成分が、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、還元型フラビンアデニンジヌクレオチド、還元型フラビンモノヌクレオチド又はそれらの誘導体、及びそれらの組み合わせ又は混合物からなる群より選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
【請求項9】
前記電子供与体構成成分を、組成物の全重量に対して約0.01〜80重量%の濃度で含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
【請求項10】
キノン、酸化型グルタチオン、シスチン及び/又は酸化型リポ酸を含有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
【請求項11】
前記電子受容体又は電子供与体構成成分とは異なる着色剤、レオロジー変性剤、安定剤、保存剤、充填剤及びそれらの組み合わせ又は混合物を含む群から選択される1つ以上の添加剤を含有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
【請求項12】
部分A及び部分Bを備える、細菌検出のための部分のキットであって、
該部分Aが電子受容体構成成分を備え、部分Bが電子供与体構成成分を備え、
溶媒、及び任意の添加剤又は任意の補助着色剤が部分A若しくは部分B中のいずれか、又は部分A中及び部分B中に存在し、
電子受容体構成成分、電子供与体構成成分、溶媒、補助着色剤及び添加剤が、請求項1〜11のいずれか一項に記載されているようなものである、キット。
【請求項13】
口腔内の細菌検出用の手段を製造するための、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項14】
前記細菌が、歯肉、舌、エナメル質、象牙質、歯根セメント、歯科修復物、歯垢及び/又は歯石上に位置する、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
a)請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物を提供する工程と、
b)前記組成物を、歯肉、舌、エナメル質、象牙質、歯根セメント、歯科修復物、歯垢及び/又は歯石に適用する工程と、を含む、請求項13又は14に記載の使用。

【公表番号】特表2011−502129(P2011−502129A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531225(P2010−531225)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/080886
【国際公開番号】WO2009/055530
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】