説明

細菌全細胞を捕捉する方法及び細菌について試料を分析する方法

ある実施形態において、本発明は、細菌の全細胞を捕捉する方法に関し、特定の細菌の2つ以上の異なる検体特性に対する抗原特異性を有する2つ以上の抗体の使用を含む。ある実施形態において、本発明は、対象とする細菌について試料を分析する方法に関する。具体的には、これらの方法は、特に黄色ブドウ球菌の細菌の特性である細胞壁の成分等の、対象となる細菌の1つ以上の検体特性を検出するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府の権利)
米国政府は、防衛庁に承認されたDAAD 13−03−C−0047の条件下において本発明に対する特定の権利を有することができる。
(関連出願の相互参照)
本願は、共に2006年11月22日に出願された米国特許仮出願第60/867,016号及び第60/867,098号の利益を主張し、その両方は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
一般的に使用される抗生物質への耐性を有する細菌の出現は、感染した人の治療に深刻な影響を伴う増えつつある問題である。したがって、このような細菌の存在を早期段階及び比較的速やかに発見し、このような細菌に対するより良い制御を得ることが重要である。これは、様々な他の細菌にも当てはまる。
【0003】
有意な対象となるこのような細菌に、黄色ブドウ球菌(「S.aureus」)がある。黄色ブドウ球菌は、小さな皮下膿瘍及び創傷感染等の表面型病変、心内膜炎、肺炎及び敗血症などの全身性でかつ生命に脅威となる状態、並びに食中毒及び中毒性ショック症候群などの中毒症を含めた広範な感染症を引き起こす病原菌である。いくつかの菌株(例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、少数の選択された抗生物質に対してではあるが、それらの全てに耐性である。
【0004】
特に抗生物質に耐性がある細菌を検出するための現在の技術は、一般的に時間がかかり、典型的に純粋な形態で細菌を培養する工程を伴う。急性感染、すなわち、ヒト及び動物の黄色ブドウ球菌、並びに動物のスタフィロコッカス・インターメディウス及びスタフィロコッカス・ハイカスに伴う病原性ブドウ球菌を特定するこのような技術は、血漿を凝固する細菌の能力に基づく。少なくとも2つの異なるコアグラーゼ試験:遊離コアグラーゼの試験管試験及び「細胞結合コアグラーゼ」又はクランピング因子のスライド試験が記載されている。試験管コアグラーゼ試験は、典型的に脳心臓浸出物ブロスでの一夜培養に再構成血漿を混合し、混合物を4時間培養し、凝固形成用チューブをゆっくり傾けることにより凝固形成用チューブを観察することを包含する。少数の菌株は凝固形成に4時間を超える場合があるため、一夜試験培養は黄色ブドウ球菌に推奨されている。スライドコアグラーゼ試験は、典型的により速くより経済的であるが、10%〜15%の黄色ブドウ球菌は、陰性の結果をもたらす場合があり、分離したものを試験管試験で再試験する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当該技術分野において、黄色ブドウ球菌並びに他の病原菌を検出する方法が記載されているが、試料の調製及び分析(例えば、検出)の改善された方法には利点がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施形態において、本発明は、全細菌細胞を捕捉する方法を提供する。この方法は、特定の細菌の2つ以上の異なる検体特性に対する抗原特異性を有する2つ以上の抗体の使用を伴う。2つ以上の抗体は、好ましくは、それらの結合特性において共働的である。つまり、それらは、標的検体(1つ又は複数)の異なる領域に同時に結合することが可能である、又は最適には相補的結合であることが明らかであり、それによって異なる検体の結合が別の抗体の結合により促進される。
【0007】
このような実施形態の一つにおいて、本発明は、特定の細菌の検体特性を捕捉する方法を提供し、その方法は、特定の細菌の1つ以上の検体特性を備える標的全細胞を含むと推測される試料を提供する工程と、特定の細菌の2つ以上の異なる検体特性に対する抗原特異性を有する2つ以上の抗体を提供する工程であって、抗体は、少なくとも1つのモノクローナル抗体を備え、固体支持材料を提供する工程と、存在する場合に、特定の細菌の1つ以上の検体特性で標的全細胞を捕捉するのに有効な条件下で、試料、固体支持材料、及び2つ以上の抗体間の接触を提供する工程とを含む。
【0008】
好ましい一実施形態において、2つ以上の抗体は、検体結合材料を形成する固体支持材料に結合し、方法は、存在する場合、特定の細菌の1つ以上の検体特性で標的全細胞を捕捉するのに有効な条件下で、試料と検体結合材料との間の接触を提供する工程を含む。試料と検体結合材料との間の接触を提供する工程は、試料と2つ以上の抗体との間で同時及び/又は連続的に、好ましくは同時に接触させる工程を含む。
【0009】
別の好ましい実施形態において、試料、固体支持材料、及び2つ以上の抗体の間の接触を提供する工程は、2つ以上の抗体と試料との間の接触を提供し、抗体結合した全細胞を形成する工程と、続いて、抗体結合した全細胞と固体支持材料との間の接触を提供する工程を含む。
【0010】
ある実施形態において、本発明は、対象となる微生物について、試料を分析する方法を提供する。特に、その方法は、病原菌、特に黄色ブドウ球菌の特性である細胞壁の成分等の対象となる微生物(すなわち、病原菌)の1つ以上の検体特性を検出するのに有用である。
【0011】
一実施形態において、本発明は、黄色ブドウ球菌の検体特性を分析する方法を提供し、その方法は、黄色ブドウ球菌の1つ以上の検体特性を有する標的全細胞を含むと推測される試料を提供する工程と、黄色ブドウ球菌の2つ以上の異なる検体特性に対する抗原特異性を有する2つ以上の抗体を提供する工程であって、抗体は、少なくとも1つのモノクローナル抗体を含み、磁気粒子を含む固体支持材料を提供する工程と、存在する場合、黄色ブドウ球菌の1つ以上の検体特性で標的全細胞を捕捉するのに有効な条件下で、試料、固体支持材料、及び2つ以上の抗体の間の接触を提供する工程であって、抗体がMAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、アフィニティー精製GxClf40、MAb 12−9、これらのフラグメント、及びこれらの組合せからなる群から選択される工程と、黄色ブドウ球菌の1つ以上の検体特性の有無に対して捕捉した標的全細胞を分析する工程とを含む。
【0012】
一実施形態において、本発明は、細菌について試料を分析する方法を提供する。その方法は、特定の細菌の1つ以上の検体特性を含むと推測される試料を提供する工程と、特定の細菌の2つ以上の異なる検体特性に対する抗原特異性を有する2つ以上の固定化された抗体を提供する工程と、特定の細菌の2つ以上の異なる検体特性に対する抗原特異性を有する2つ以上の標識された抗体を提供する工程であって、抗体は直接又は間接酵素標識で標識することができ、試料、固定化された抗体、及び標識された抗体との間の接触を提供し、標識された抗体と固定化された抗体との間に1つ以上の検体を結合する工程であって、存在する検体のそれぞれに対し、固定化された抗体及び標識された抗体は、2つ以上の抗原結合対を備える工程と、特定の細菌の有無を分析する工程とを含む。
【0013】
ある実施形態において、試料、固定化された抗体、及び標識された抗体との間の接触を提供する工程は、試料内に存在する場合、特定の細菌の1つ以上の検体特性を捕捉するのに有効な条件下で、試料を固定化された抗体と接触させ、1つ以上の捕捉された検体を形成する工程と、存在する場合、1つ以上の捕捉された検体と標識された抗体との間で結合させるのに有効な条件下で、1つ以上の捕捉された検体を、標識された抗体と接触させる工程とを含む。あるいは、試料、固定化された抗体、及び標識された抗体の間の接触を提供する工程は、試料内に存在する場合、特定の細菌の1つ以上の検体特性と、標識された抗体との間の相互作用を生じるのに有効な条件下で、試料を標識された抗体と接触させる工程と、標識された抗体、1つ以上の検体、及び固定化された抗体との間の結合を生じるのに有効な条件下で、固定化された抗体を標識された抗体を含む試料と接触させる工程とを含む。
【0014】
好ましくは、試料を固定化された抗体と接触させる工程は、試料とそれぞれの固定化された抗体との間の接触を同時に提供する工程を含む。好ましくは、存在する場合、1つ以上の捕捉された検体を、標識された抗体と接触させる工程は、捕捉された検体とそれぞれの標識された抗体との間の接触を同時に提供する工程を含む。
【0015】
抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、又はこれらの組合せであることができる。好ましくは、それらは、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、アフィニティー精製GxClf40、MAb 12−9、これらのフラグメント、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0016】
好ましくは、固定化された抗体は、例えば、粒子材料又はマイクロウェルプレートの表面等の固体支持材料に結合する。
【0017】
抗体は、直接標識(すなわち、酵素)又は間接標識(すなわち、酵素標識二次抗体、又はストレプトアビジン結合酵素のような酵素複合体に対するビオチン等の中間体認識化学)で標識することができる。ある実施形態において、抗体は、ビオチン、好ましくはポリエチレンオキシドリンカーを介して結合したビオチンで間接的に標識される。抗体が、このように間接標識を含む場合、方法は、存在する場合、1つ以上の捕捉された検体と、標識された抗体を接触させる工程を組合せる前、その間、又はその後に、標識された抗体を酵素複合体と反応させる工程を更に含むことができる。
【0018】
分析は、比色分析的に、好ましくは、例えば、ビオチンを介して標識された抗体に結合した酵素との相互作用によって色の変化をもたらす発色性酵素基質を用いて分析する工程を含むことができる。
【0019】
特定の細菌の有無の分析には、存在する検体の全体量を定量する工程(及び、それによって、存在する細菌の量を定量する工程)を含むことができる。
【0020】
ある実施形態において、本発明は、音弾性機械的センサの使用を含む方法を提供する。一実施形態において、本発明は、細菌の試料を分析する方法を提供し、その方法は、特定の細菌の1つ以上の検体特性を含むと推測される試料を提供する工程と、特定の細菌の2つ以上の異なる検体特性に対して抗原特異性を有する2つ以上の粒子−抗体複合体を提供する工程と、特定の細菌の2つ以上の異なる検体特性に対し、抗原特異性を有する2つ以上の固定化された抗体を含む検出表面を備える音弾性機械的センサを備えるシステムを提供する工程と、試料、音弾性機械的センサの検出表面上の固定化された抗体、粒子−抗体複合体との間の接触を提供し、粒子−抗体複合体と固定化された抗体との間に1つ以上の検体を結合する工程であって、存在する検体のそれぞれに対し、固定化された抗体及び粒子−抗体複合体は、2つ以上の抗原結合対を含み、特定の細菌の有無を分析する工程とを含む。
【0021】
特定の方法において、試料、音弾性機械的センサの検出表面上の固定化された抗体、及び粒子−抗体複合体との間の接触を提供する工程は、試料内に存在する場合、特定の細菌の1つ以上の検体特性と、粒子−抗体複合体との相互作用を生じるのに有効な条件下で、試料を粒子−抗体複合体と接触させる工程と、粒子−抗体複合体、1つ以上の検体、及び固定化された抗体との間の結合を生じるのに有効な条件下で、音弾性機械的センサの検出表面を、粒子−抗体複合体を含む試料と接触させる工程とを含む。
【0022】
あるいは、試料、音弾性機械的センサの検出表面上の固定化された抗体、及び粒子−抗体複合体との間に接触を提供する工程は、試料内に存在する場合、特定の細菌の1つ以上の検体特性を捕捉するのに有効な条件下で、試料を固定化された抗体と接触させ、1つ以上の捕捉された検体を形成する工程と、存在する場合、1つ以上の捕捉された検体と粒子−抗体複合体との間の結合を生じるのに有効な条件下で、1つ以上の捕捉された検体を、粒子−抗体複合体を接触させる工程を含むことができる。
【0023】
特に好ましい実施形態において、本発明は、粒子−抗体複合体の中の磁気粒子を用いる方法を提供し、標的検体を結合した磁気粒子でセンサの検出表面に引き寄せる、検出表面近くの磁界を提供することが可能な磁界発生器を提供する工程と、標的生物学的検体を結合した磁気粒子で検出表面に選択的に結合させる工程と、検出表面近くの磁界を実質的に減少させるために磁界発生器を無効にする工程と、検出表面が液体に沈水されている間、音弾性機械的センサを作動して、結合した標的生物学的検体を検出する工程とを更に含む。ある実施形態において、磁界発生器を無効にする工程は、磁界発生器を、検出表面近くの磁界を実質的に減少させるために十分な距離を移動させる工程を伴う。
【0024】
特定の細菌の有無の分析には、存在する検体の全体量を定量する工程(及び、それによって、存在する細菌の量を定量する工程)を含むことができる。
【0025】
本発明は、固体支持材料、固体支持材料上に配置された抗体MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、アフィニティー精製GxClf40、MAb 12−9、これらのフラグメント、又はこれらの組合せ、並びに任意に検出可能なマーカーを含む、検体結合材料も提供する。固体支持材料は、粒子材料を含むことができる。ある実施形態において、粒子材料のそれぞれの粒子は、それらの上に配置された異なる検体を結合する少なくとも2つの抗体を有する。固体支持材料は、マイクロウェルプレートの表面であることができる。ある実施形態において、マイクロウェルプレートのウェルは、それらの中に抗体の混合物を固定化している。好ましくは、マイクロウェルプレートは、それらの上に配置された異なる検体に結合する、少なくとも2つの抗体を有する。
【0026】
定義
「全細胞」とは、他の生物学的物質からの分離の間にその構造を維持する生物学的に活性な細菌細胞を意味するが、必ずしも増殖することができる必要はない。
【0027】
用語「検体」及び「抗原」は、同義的に使用され、対象となる微生物(すなわち、病原菌)の特性である、様々な分子(例えば、プロテインA)若しくは分子のエピトープ(例えば、プロテインAの異なる結合部位)、又は微生物の全細胞を指す。これらには、細胞壁の成分(例えば、プロテインA等の細胞壁タンパク質、黄色ブドウ球菌に見られる細胞壁にあるフィブリノゲン受容体であるクランピング因子)、細胞外成分(例えば、カプセル多糖類及び細胞壁炭水化物)等が含まれる。
【0028】
「磁性粒子」は、強磁性、常磁性、又は超常磁性粒子を含む粒子又は粒塊を意味し、ポリマービーズ内のこれらの粒子の分散物を含む。
【0029】
「粒子−抗体複合体」は、粒子材料で標識された抗体又は1つ以上の抗体で標識された粒子材料を指す。
【0030】
用語「酵素系」は、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)で実施するように、検出に酵素を伴う方法を意味する。
【0031】
語句「好ましい」及び「好ましくは」は、特定の環境において特定の利益を供し得る発明の実施形態を示す。しかしながら、同様又は他の環境において、他の実施形態が好まれる場合もある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用でないことを示すものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0032】
用語「含む」及びこの変形は、明細書及び特許請求の範囲に現れるこれらの用語を制限する意味を有さない。
【0033】
本明細書で使用する時、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つ」及び「1つ以上」は同義的に使用される。したがって、例えば、抗体を含む検体結合材料は、検体結合材料が、異なる検体を結合する1つ以上の抗体を含むことを意味すると解釈することができる。
【0034】
用語「及び/又は」は、1つ又はすべての列挙した要素、若しくは2つ以上の列挙した要素のいずれかの組合せを意味する。
【0035】
また本明細書において、端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に包含されるすべての数(例えば1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5、等)が包含される。
【0036】
本発明の上述の「課題を解決するための手段」は、本発明の開示された各実施形態又はあらゆる実施を記載することを意図していない。以下の説明は、説明に役立つ実施形態をより詳細に例示する。明細書全体にわたっていくつかの箇所で、実施例の一覧を通して説明を提供するが、実施例は各種組合せにて使用することが可能である。それぞれの事例において、列挙される一覧は代表的な群としてのみ与えられるのであって、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0037】
I.全細胞捕捉
本発明は、対象となる細菌の全細胞を対象となる細胞の2つ以上の検体特性の使用に基づいて試料から捕捉する様々な方法に関する。具体的には、本発明の捕捉方法は、特定の細菌の2つ以上の異なる検体の特性に対する抗原特異性を有する2つ以上の抗体の使用を含む。2つ以上の抗体は、好ましくは、それらの結合特性において共働的である。つまり、それらは、標的検体(1つ又は複数)の異なる領域に同時に結合することが可能であり、又は最適には相補的結合であることが明らかであり、それにより異なる検体の結合が別の抗体の結合により促進される。
【0038】
全細菌細胞を捕捉する方法は、対象となる細菌の全細胞の検体の特性の存在を検出する工程、及び特定の実施形態において、対象となる細胞を定量する工程を伴う方法を続けて行うことができる。本発明の方法に有用な全細胞を分析する技術は、当業者に既知の多種多様な従来の技術のうちの1つであってよい。例えば、そのような方法は、ELISA(例えば、比色分析ELISA)又は音弾性機械的センサ、以下に詳細に記載される望ましい実施形態を含むことができる。
【0039】
捕捉された全細胞は、溶解することもでき、タンパク質の検出、カプセル多糖類及び細胞壁多糖類、DNA、RNA及び標的細胞の特定の成分の検出に使用することもできる。このような手段の利点は、選択的に細胞を濃縮し、より良い感度及び選択性を提供することができることである。これは、複合試料に存在する場合がある阻害物質も排除する。例えば、米国特許公開広報第2004/0241824号は、黄色ブドウ球菌を試料から吸着するための抗プロテインAの使用、黄色ブドウ球菌が結合されている抗体の分離、続けてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってDNAを検出するための、DNAを抽出するための黄色ブドウ球菌の溶解について論じている。
【0040】
本発明は、全細胞の捕捉が、検出前の試料調製工程又は更なる使用(例えば、分析)の一部である多くの状況において有利である。標的タンパク質の発現が細胞の所定の菌株で有意に異なることがあることは既知である。これらの状況において、標的細菌の単一抗原に対する単一の抗体は、細菌のいくつかの菌株において、低い捕捉効率を示す又は全く捕捉されない結果を示す可能性がある。これらの菌株において、試料調製工程は、検出に対して、細菌の検出の効率を大きく減少する結果となるであろう。結果として、これは、検出技術において偽陰性の数を増やし、かつこれは、アッセイの検出限界にも悪影響を及ぼす。異なる抗体でコーティングされた粒子の混合物、又は同じ粒子上にコーティングされた異なる抗体を有することにより、単一抗体では低い、又は全く捕捉されない細菌株の捕捉効率を向上することが可能である。したがって、アッセイの感度並びに全細胞捕捉を使用するアッセイの検出限界は、本発明の方法を使用することで改善され得る。これは単一の抗体の技術でうまく捕捉されるこれらの菌株の捕捉に悪影響を及ぼすことなく改善を達成することができることも明らかになっている。
【0041】
好ましくは、比較的少量の試験試料を使用することができる。有意に2ミリリットル(mL)を超える試験試料容量が使用されてもよいが、500マイクロリットル(μL)くらいの試験試料が典型的に本発明の方法に十分であり、更に小さい試料の大きさも可能である。
【0042】
好ましくは、本発明の方法を使用することにより、捕捉時間が比較的短くなる。例えば、捕捉時間は、30分未満、15分未満、5分未満、60秒未満、及び30秒でさえあることができる。
【0043】
特に対象となる細菌は、グラム陽性及びグラム陰性細菌を含む。特に関連のある生物は、腸内細菌科、若しくはミクロコッカス科又は連鎖球菌属、シュードモナス属、腸球菌属、サルモネラ菌属、レジオネラ菌属、赤痢菌属、エルシニア属、エンテロバクター属、エシェリキア属、バチルス属、リステリア菌属、ビブリオ属、コリネバクテリア属並びにヘルペスウイルス、アスペルギルス属、フサリウム属、及びカンジダ属の部類を含む。特に悪性の病原菌は、黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)等の耐性菌株を含む)、表皮ブドウ球菌、肺炎球菌、ストレプトコッカス・アガラクチア、化膿連鎖球菌、エンテロコッカス・フィカリス、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、バンコマイシン中間体耐性黄色ブドウ球菌(VISA)、炭疽菌、緑膿菌、大腸菌、黒色アスペルギルス、アスペルギルス・フミガツ、アスペルギルス・クラバタス、フザリウム・ソラニ、フザリウム・オキシスポラム、フザリウム・クラミドスポラム、リステリア・モノサイトゲネス、リステリア・イバノビイ、コレラ菌、腸炎ビブリオ、サルモネラ・コレラエスイス、チフス菌、ネズミチフス菌、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラータ、カンジダ・クルセイ、エンテロバクター・サカザキ、大腸菌O157、及び複数の薬物耐性グラム陰性桿菌(MDR)を含む。
【0044】
特に対象となるものは、黄色ブドウ球菌等のグラム陽性菌である。典型的に、これらは、細胞壁タンパク質等の細胞の細胞壁成分の特性の存在を検出することによって、検出することができる。また、特に対象となるものは、MRSA、VRSA、VISA、VRE、及びMDR等の抗生物質耐性菌である。典型的に、これらは、抗生物質耐性に関連する膜タンパク質、輸送タンパク質、酵素等の細胞内成分の存在を追加的に検出することによって検出することができる。
【0045】
本発明の方法は、別の分子(例えば、黄色ブドウ球菌の分析のためのプロテインA及びクランピング因子等の分子)又は同じ分子(例えば、タンパク質)の異なるエピトープを使用して、試料から全細菌細胞を捕捉するために使用することができる。そのような検体は、例えば、プロテインA及びフィブリノゲン結合タンパク質(例えば、クランピング因子)、フィブロネクチン結合タンパク質、コラーゲン結合タンパク質、ヘパリン関連多糖類結合タンパク質、並びにその同等物等のような接着マトリクス分子認識微生物表面成分(MSCRAMMs)等の細胞壁タンパク質を含む。プロテインA、並びにフィブリノゲン結合因子及びクランピング因子A、B、及びEfb等のクランピング因子もまた、黄色ブドウ球菌の存在を検出する方法に特に有用である。対象となる他の細胞壁要素は、カプセル多糖類及び細胞壁炭水化物(例えば、テイコ酸及びリポタイコ酸)を含む。
【0046】
対象となる種は、例えば、血液、唾液、接眼レンズ液、滑液、脳脊髄液、膿汁、汗、排出物、尿、粘液、粘膜組織(例えば、頬、歯肉、鼻、眼球、気管、気管支、胃腸、直腸、尿道、尿管、膣、頸部、及び子宮粘膜)、母乳、糞便、又は同等物等の生理的液体のような多種多様な源に由来することができる試験試料内で分析することができる。更に、試験試料は、例えば、傷、皮膚、前鼻孔、鼻咽頭腔、鼻腔、前鼻前庭、頭皮、爪、外耳、中耳、口、直腸、膣、腋窩、会陰、肛門、直腸、又は他の同様の身体部位に由来することができる。
【0047】
生理的液体以外に、他の試験試料は、他の液体並びに液体媒質に溶解した固体(1つ又は複数)を含んでよい。対象となる試料は、プロセス流、水、土壌、植物又は他の草木、空気、表面(例えば、汚染)、及び同等物を含むことができる。
【0048】
当該技術は、黄色ブドウ球菌等の細菌の検出のための様々な患者のサンプリング技法を記載する。このようなサンプリング技法は、本発明の方法にも適している。例えば、無菌の綿棒での拭き取り又はサンプリングデバイスにより、患者の鼻孔、例えば、患者の前鼻孔、を拭き取って試料を得ることは一般的である。例えば、1本の綿棒をそれぞれの患者に使用して、すなわち、1本の綿棒を両鼻孔に使用して、試料を採取する。サンプリングは、例えば、乾いた又は適切な溶液での予め湿らせた綿棒を患者の鼻孔の前端に挿入し、鼻孔膜の表面に沿って完全に2回転綿棒を回転させて行われることができる。
【0049】
多種多様な綿棒又は他の試料収集デバイスは市販されており、例えば、メイン州ギルフォード(Guilford、ME)のピューリタン・メディカル・プロダクツ社LLC(Puritan Medical Products Co. LLC)から販売される商標表記ピュアラップス(PURE-WRAPS)、又はカリフォルニア州ムリエッタ(Murrietta)のコパン・ダイアグノスティック社(Copan Diagnostics, Inc.)から販売される商標表記マイクロレオロジー・ナイロン・フロックド・スワブ・アンドEスワブ・コレクション・アンド・トランスポートシステム(microRheologics nylon flocked swab and ESwab Collection and Transport System)が挙げられる。試料収集は、例えば、米国特許第5,879,635号(ネイソン(Nason))に開示されるようなものも、必要に応じて使用することができることを意味する。綿棒は、綿、レーヨン、アルギン酸カルシウム、ダクロン、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、及び同等物を含む様々な素材のものであることができる。
【0050】
次いで、試料収集デバイス(例えば、綿棒)は、全細胞捕捉で上述するように、直接培養する、直接分析する、又は適切な溶液で抽出(例えば、洗浄して、攪拌して溶出)することができる。そのような抽出(すなわち、溶出)溶液は、典型的に水を含み、任意に緩衝液及び少なくとも1つの界面活性剤を含むことができる。溶出緩衝液の一実施例には、例えば、トウィーン(TWEEN)20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、シグマアルドリッチ社(Sigma-Aldrich Corp.)から入手可能)又はプルロニック(PLURONIC)L64(ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)ブロックコポリマー、BASF社(BASF Corp.)から入手可能)と組合せて使用することができる、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。他の抽出溶液は、試料収集部位から試料分析部位まで輸送する間の試料の安定性を維持するように機能する。抽出溶液のこれらの種の例として、アミー(Amie's)及びスチュアート(Stuart's)の輸送培地が挙げられる。
【0051】
試験試料(例えば、液体)は、更なる分析の前に処理が施されてよい。これには、濃度、沈殿、濾過、遠心分離、蒸留、透析、希釈、天然成分の不活性化、試薬の添加、化学処理等が含まれる。
【0052】
試料は、検体結合(例えば、細菌認識試薬を含む検体結合材料)のために適切な反応分子と接触される。このような反応分子には、抗体、並びに任意に、レクチン、酵素、並びに受容体及び他の結合対技術等の他の反応分子、並びに代謝副産物(例えば、pH変化、検出可能酵素産生)を認識する他の反応分子が挙げられる。例えば、一実施形態において、試料は1つ以上の抗体と接触させることができる。このような抗体は、粒子材料、膜、又は他の固体支持材料に結合させることができる。このような検体結合材料は、本明細書において、より詳細に記載される。具体的に好ましい反応分子は、標的全細胞、特に全細胞表面抗原、レクチン、及び全細胞表面と相互作用することが既知の他のタンパク質に対する抗体と直接相互作用することが可能な分子である。
【0053】
標的検体(例えば、標的全細胞)の捕捉のための本発明の方法に有用な検体結合材料は、典型的に、標的検体を結合する反応分子を支持体に結合して(非共有結合又は共有結合)誘導体化された固体支持材料を含む。標的検体(例えば、標的全細胞)含有混合物は、誘導体化された支持体と接触して、標的検体を生物学的活性物質に結合し、結合しない残りの混合物を支持体から除去する。結合した細胞は、精製された標的検体を得るために支持体から溶出することができ、又は固体支持材料に結合している間に処理することができる。
【0054】
上述のとおり、全細胞上の標的検体は、反応分子(例えば、黄色ブドウ球菌反応分子又は黄色ブドウ球菌の細菌認識試薬)で検出することができる。一部の実施形態において、黄色ブドウ球の抗体のような、1つ以上の抗体が黄色ブドウ球菌反応物質として用いられる。「黄色ブドウ球菌の抗体」は、所定の抗原、それらの抗原結合フラグメントを含めて、特異的に結合する能力を有する免疫グロブリンを指す。用語「抗体」は、脊椎動物、例えば、哺乳類からの多種多様なアイソタイプ(例えば、IgG、IgA、IgM、IgE等)の全抗体、及びそれらのフラグメントを含むことを意図し、それらはまた、非自己の化合物、例えば、タンパク質に特異的に反応する。
【0055】
抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、又はこれらの組合せであることができる。抗体は、従来の技術を用いてフラグメント化されることができ、フラグメントは全抗体におけるのと同じ方法で、有用性がスクリーニングされることができる。したがって、この用語には、選択的に特定のタンパク質と反応することが可能な抗体分子のタンパク質をタンパク質分解的に切断又は組み換え技術によって調製した部分が含まれる。このようなタンパク質分解及び/又は組み換えフラグメントの非限定的な例には、Fab、F(ab’)、Fv、及びペプチドリンカーにより結合したVL及び/又はVH領域を含む1本鎖抗体(scFv)が挙げられる。scFv’sは、共有結合又は非共有結合して、2つ以上の結合部位を有する抗体を形成することができる。抗体は、当業者に既知の多種多様な検出可能部分(すなわち、検出可能マーカー)で標識することができる。一部の様態では、測定したい検体に結合する抗体(一次抗体)は、標識されないが、代わりに標識された二次抗体又は一次抗体に特異的に結合する他の試薬の結合により間接的に検出される。
【0056】
様々な黄色ブドウ球菌の抗体は、当該技術分野において既知である。例えば、黄色ブドウ球菌の抗体は、シグマアルドリッチ社(Sigma-Aldrich)及びアキュレート・ケミカル社(Accurate Chemical)から市販されている。更に、モノクローナル抗体Mab 12−9等の他の黄色ブドウ球菌の抗体は、米国特許第6,979,446号に記載されている。特定の望ましい実施形態において、抗体は、本明細書に記載されるもの(例えば、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、アフィニティー精製GxClf40、MAb 12−9からなる群から選択される)、これらのフラグメント、及びこれらの組合せからなる群から選択される。このような抗体は、共に「プロテインA選択性を有する抗体(ANTIBODY WITH PROTEIN A SELECTIVITY)」と題する、2006年11月22日に出願された米国特許出願第11/562,759号、及びPCT特許出願第US07/84,736号、並びに共に「プロテインA選択性を有する抗体(ANTIBODY WITH PROTEIN A SELECTIVITY)」と題する、2006年11月22日に出願された米国特許出願第11/562,747号、及びPCT特許出願第US07/84,739号、並びに共に「選択的溶出条件による特異抗体の選別(SPECIFIC ANTIBODY SELECTION BY SELECTIVE ELUTION CONDITIONS)」と題する、2006年11月22日に出願された米国特許出願第60/867,089号及びその日付で出願された米国特許出願第________号(代理人整理番号第62611US005)にも開示される。
【0057】
好ましい抗体は、モノクローナル抗体である。特に好ましい抗体は、黄色ブドウ球菌(本明細書において「S.aureus」又は「Staph A」とも呼ばれる)のプロテインAに結合するモノクローナル抗体である。
【0058】
更に具体的には、一実施形態において、好適なモノクローナル抗体、及びそれらの抗原結合フラグメントは、ハイブリドーマ細胞株358A76.1により産生されるモノクローナル抗体の免疫学的結合特性を示すものである。マウスモノクローナル抗体76は、プロテインAで免疫されたマウスから単離したマウスIgG2Aκ抗体である。ブダペスト条約に従って、モノクローナル抗体76を産生するハイブリドーマ358A76.1は、2006年10月18日、米国培養細胞系統保存機関((American Type Culture Collection)ATCC)の保管所(10801、ユニバーシティー・ブルヴァード(University Boulevard)、マナッサス(Manassas)、バージニア州20110−2209)に寄託され、特許寄託番号PTA−7938(本明細書では、受入番号PTA−7938とも呼ぶ)が付与された。ハイブリドーマ358A76.1は、本明細書で、「Mab 76」と呼ばれる抗体を産生し、Mab 76は、「Mab76」、「Mab−76」「MAb−76」、「モノクローナル76」、「モノクローナル抗体76」、「76」、「M76」、又は「M 76」とも呼ばれ、本明細書では全て同じ意味で使用され、米国培養細胞系統保存機関(ATCC)に2006年10月18日に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生される免疫グロブリンを指す。
【0059】
別の実施形態において、好適なモノクローナル抗体、及びそれらの抗原結合フラグメントは、ハイブリドーマ細胞株358A107.2により産生されるモノクローナル抗体107の免疫学的結合特性を示すものである。マウスモノクローナル抗体107は、プロテインAで免疫したマウスから単離したマウスIgG2Aκ抗体である。ブダペスト条約に従って、モノクローナル抗体107を産生するハイブリドーマ358A107.2は、2006年10月18日、米国培養細胞系統保存機関(ATCC)の保管所(10801、ユニバーシティー・ブルヴァード(University Boulevard)、マナッサス(Manassas)、バージニア州20110−2209)に寄託され、特許寄託番号PTA−7937(本明細書では、受入番号PTA−7937とも呼ぶ)が付与された。ハイブリドーマ358A107.2は、本明細書で「Mab 107」と呼ばれる抗体を産生し、Mab 107は、本明細書は「Mab107」、「Mab−107」、「MAb−107」、「モノクローナル107」、「モノクローナル抗体107」、「107」、「M107」、又は「M 107」とも呼ばれ、本明細書では全て同じ意味で使用され、米国培養細胞系統保存機関(ATCC)に2006年10月18日に寄託され、受入番号PTA−7937が付与されたハイブリドーマ細胞株より産生される免疫グロブリンを指す。
【0060】
好適なモノクローナル抗体は、モノクローナル抗体MAb−76と黄色ブドウ球菌のプロテインAとの結合を阻害する抗体でもある。本発明は、モノクローナル抗体MAb−76により認識される黄色ブドウ球菌のプロテインAの同じエピトープに結合するモノクローナル抗体を使用することもできる。モノクローナル抗体が、モノクローナル抗体MAb−76と黄色ブドウ球菌のプロテインAとの結合を阻害するかを判断する方法、及びモノクローナル抗体が、モノクローナル抗体MAb−76により認識される黄色ブドウ球菌のプロテインAの同じエピトープに結合するかを判断する方法は、免疫学の当業者に既知である。
【0061】
好適なモノクローナル抗体も、モノクローナル抗体MAb−107と黄色ブドウ球菌のプロテインAとの結合を阻害する抗体である。本発明は、モノクローナル抗体MAb−107により認識される黄色ブドウ球菌のプロテインAの同じエピトープに結合するモノクローナル抗体を使用することもできる。モノクローナル抗体が、モノクローナル抗体MAb−107と黄色ブドウ球菌のプロテインAとの結合を阻害するかを判断する方法、及びモノクローナル抗体が、モノクローナル抗体MAb−107により認識される黄色ブドウ球菌のプロテインAの同じエピトープに結合するかを判断する方法は、免疫学の当業者に既知である。
【0062】
好適なモノクローナル抗体は、本ハイブリドーマの子孫又は誘導体により産生されたモノクローナル抗体、及び同等又は同様のハイブリドーマにより産生されたモノクローナル抗体である。
【0063】
また、本発明に含まれるものには、抗原結合フラグメントとも呼ばれる様々な抗体フラグメントが含まれ、それらには、無傷の抗体の一部分のみ、一般に無傷の抗体の抗原結合部位が含まれ、それにより抗原に結合する能力が保持される。抗体フラグメントの例には、例えば、タンパク質分解及び/又はジスルフィド架橋を還元して産生されるFab、Fab’、Fd、Fd’、Fv、dAB、及びF(ab’)フラグメント、及びFab発現ライブラリから産生されるフラグメントが挙げられる。このような抗体フラグメントは、当業者に既知の技術により生成することができる。
【0064】
本発明に有用なモノクローナル抗体は、ヒト化抗体、キメラ抗体、1本鎖抗体、1本鎖Fvs(scFv)、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、F(ab’)フラグメント、Fvフラグメント、ダイアボディ、Fab発現ライブラリにより産生された直鎖抗体フラグメント、VL又はVH領域のいずれかを含むフラグメント、細胞内で作られた抗体(すなわち、細胞内抗体)、及びそれらの抗原結合抗体フラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
本発明に有用なモノクローナル抗体は、多種多様なアイソタイプの抗体であってよい。本発明に有用なモノクローナル抗体は、例えば、マウスIgM、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgA、IgD、又はIgEであってよい。本発明に有用なモノクローナル抗体は、例えば、ヒトIgM、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、又はIgEであってよい。一部の実施形態において、モノクローナル抗体は、マウスIgG2a、IgG1、又はIgG3であってよい。本発明の、所定の重鎖は、κ型又はλ型のいずれかの軽鎖と対になっいてよい。
【0066】
本発明に有用なモノクローナル抗体は、動物(ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、ヤギ、ウマ、ニワトリ、又はターキーを含むが、これらに限定されない)によって産生され、化学的に合成され、又は組み換えによって発現されることができる。本発明に有用なモノクローナル抗体は、免疫グロブリン分子の精製のための当該技術分野において既知の多種多様な方法、例えば、クロマトグラフィ(例えば、イオン交換、アフィニティー、及びサイズ排除カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、又はタンパク質の精製のための多種多様な他の標準的な技法によって、精製することができる。
【0067】
好適な抗体には、黄色ブドウ球菌の組み換え型クランピング因子(rClf40)タンパク質を、好ましくは少なくとも1ミリリットルあたり1ピコグラム(pg/mL)、及び更に好ましくは100pg/mLまでの濃度で、検出する、高い結合活性の抗黄色ブドウ球菌クランピング因子タンパク質ポリクローナル抗体調製物も含まれる。好適な抗体には、黄色ブドウ球菌クランピング因子タンパク質抗血清と比較して、検出感度において少なくとも4倍の高い感度を示す、高い結合活性の抗黄色ブドウ球菌クランピング因子タンパク質ポリクローナル抗体調製物も含まれる。
【0068】
ある実施形態において、高い結合活性の抗黄色ブドウ球菌クランピング因子タンパク質ポリクローナル抗体調製物は有用であり、高い結合活性の黄色ブドウ球菌クランピング因子タンパク質ポリクローナル抗体調製物は、黄色ブドウ球菌の組み換え型クランピング因子(rClf40)タンパク質で免疫された動物から抗血清を得る工程、抗血清を黄色ブドウ球菌クランピング因子(Clf40)タンパク質アフィニティーカラムに結合させる工程、カラムを0.5Mの塩及びpH4を有する洗浄緩衝液で洗浄する工程、及びpH2の溶出緩衝液でカラムから高い結合活性の抗黄色ブドウ球菌クランピング因子タンパク質ポリクローナル抗体を溶出する工程を含む方法により調製される。本明細書において、ウサギ及びヤギからの高い結合活性の抗黄色ブドウ球菌クランピング因子タンパク質ポリクローナル抗体調製物は、それぞれアフィニティー精製RxClf40及びアフィニティー精製GxClf40と呼ばれる。一部の実施形態において、高い結合活性の抗黄色ブドウ球菌クランピング因子タンパク質ポリクローナル抗体調製物は、抗血清を黄色ブドウ球菌クランピング因子(Clf40)タンパク質アフィニティーカラムに結合させる前に、抗体のIgGクラスに対して抗血清を濃縮する工程を更に含む方法により得ることができる。このような濃縮は、調製物から免疫グロブリン以外のタンパク質を除去してもよく、及び/又は試料内の抗体のIgGクラスを濃縮してもよい。
【0069】
本明細書において、抗血清は、凝固タンパク質及び赤血球(RBCs)が除去されている、免疫された宿主動物からの血液を指す。抗標的抗原血清は、多種多様な宿主動物を免疫することにより得ることができる。多種多様な免疫プロトコルを使用してもよい。
【0070】
抗体結合活性は、ポリクローナル抗体の調製の機能的親和性で測定される。結合活性は、複数の抗体/抗原相互作用の化合物親和性である。つまり、結合活性は、本当の親和性ではなく、抗原/抗体結合の見かけの親和性である。ほとんどの抗血清における親和性の不均一性にも関わらず、平均の親和性(K)を同定することによって、このような群を特徴付けることができる。
【0071】
固体支持材料には、粒子材料、膜、ゲル(例えば、アガロース)、又はチューブ又はプレートの表面等のその他の固体支持材料を挙げることができる。代表的な固体支持体には、ニトロセルロース、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロン、強磁性材料、常磁性材料、及び超常磁性材料、金ゾル、ポリカーボネート、ポリエチレン、セルロース、多糖類、並びにポリビニルアルコール等の材料を挙げることができる。特定の実施形態には、粒子材料及び膜が好ましい。
【0072】
好ましくは、特定の実施形態には、検体結合材料は、粒子材料(例えば、2ミクロン未満、好ましくは0.05ミクロン〜1ミクロンの範囲の平均粒子サイズを有する磁気ビーズ)である。例えば、カルボキシ基、アミン、及びトシル基等の様々な基で官能化された磁気ビーズは、インビトロジェン社(Invitrogen)(カリフォルニア州カールスバッド(Carlsbad))及びAdemtech社(フランス、ペサック(Pessac))等の様々な商業的供給元から市販されている。ストレプトアビジンでコーティングされた粒子は、インビトロジェン社(Invitrogen)(カリフォルニア州カールスバッド(Carlsbad))、Ademtech社(フランス、ペサック(Pessac))、及びミルテニーバイオテクGmbH社(Miltenyi Biotec GmbH)(ドイツ、ベルギッシュグラートバハ(Bergisch Gladbach))等の様々な商業的供給元からも市販されている。
【0073】
検体結合材料は、好ましくは固体支持材料上に配置された2つ以上の抗体を有する固体支持材料、好ましくは粒子材料を含む。ある実施形態において、粒子材料の各粒子は、それらの上に配置された異なる検体を結合する少なくとも2つの抗体を有する。例えば、ある実施形態において、検体結合材料は、それらの上に配置された抗体MAb−107及びアフィニティー精製GxClf40(好ましくは、1:1の比率)を有する固体支持材料(好ましくは粒子材料)を含む。
【0074】
抗体は、共有結合又は非共有結合のいずれかを介し、支持材料、好ましくは粒子支持材料に結合することができる。
【0075】
抗体の固体支持材料への非共有結合には、例えば、イオン相互作用又は水素結合による結合が含まれる。本発明に含まれる非共有結合の一実施例は、既知のビオチン−アビジン系である。アビジン−ビオチンの親和性に基づく技術は、生物学及びバイオテクノロジーの数々の分野において幅広い適用が見い出されている。アビジンとビオチンとの親和定数は、著しく高く(解離定数、Kd、は約10−15Mであり(グリーン(Green)、バイオケム・J(Biochem. J)、89巻、599頁、1963年参照)、ビオチンが多種多様な生体分子に結合する際に、大きく減少しない。生体分子の活性又は他の望ましい特性において最小限又はごくわずかな損失で、生体分子をビオチンに結合するために、数々の化学反応が確認されている。ビオチン−アビジン技術の概説は、親和性に基づく分離へのアジビン−ビオチン技術の応用(Applications of Avidin-Biotin Technology to Affinity-Based Separation)、バイエル(Bayer)ら、ジャーナル・オブ・クロマトグラフィ(J. of Chromatography)、3〜11頁、1990年に見ることができる。
【0076】
ストレプトアビジン、及びその機能的同族体であるアビジンは、4つの同一のサブユニットを有する四量体タンパク質である。ストレプトアビジンは、アクチノバクテリア、ストレプトミセスアビジニィにより分泌される。ストレプトアビジン又はアビジンのモノマーは、水溶性ビタミン、ビオチンの対する1つの高親和性結合部を含み、ストレプトアビジン又はアビジン四量体は、4つのビオチン分子を結合する。
【0077】
ビタミンH又はシス−ヘキサヒドロ−2−オキソ−1H−チエノ−[3−4]−イミダゾール−4−ペンタン酸としても知られるビオチンは、細菌及び酵母を含むほとんどの生物に不可欠である基本のビタミンである。ビオチンは、その結合パートナーであるアビジン及びストレプトアビジンよりも更に小さい、244ダルトンの分子量を有する。ビオチンは、ピルベートカルボキシラーゼ、トランス−カルボキシラーゼ、アセチル−CoA−カルボキシラーゼ及びβ−メチルクロトニル−CoAカルボキシラーゼの酵素補助因子でもあり、それらは、カルボキシレートを多種多様の基質と共にする。
【0078】
ストレプトアビジン及びアビジンの両方は、ビオチンと非常に強力で極めて特異的な結合を示し、その結合は、10−15モル(M)のモル解離定数(グリーン(Green)、タンパク質化学の進歩(Advances in Protein Chemistry)、29巻、85〜133頁、1975年)、及び89日のリガンド解離半減期(t1/2)(グリーン(Green)、N.M.、タンパク質化学の進歩(Advances in Protein Chemistry)、29巻、85〜133頁、1975年)のタンパク質とリガンドとの最も強い既知の非共有結合相互作用の1つである。アビジン−ビオチン結合は、血清中及び循環中において安定である(ウェイ(Wei)ら、エクスペリエンシア(Experientia)、27巻、366〜368頁、1970年)。一度形成されると、アビジン−ビオチン錯体は、究極のpH、有機溶媒、及び変性条件に影響を受けない。ビオチンからのストレプトアビジンの分離は、8Mグアニジン、pH1.5、又は121℃で10分間(min)のオートクレーブ等の条件を必要とする。
【0079】
抗体は、多種多様な既知の方法を使用してビオチン化することができる。例えば、抗体は、イリノイ州ロックフォード(Rockford)のピアス・ケミカル社(Pierce Chemical Company)から市販されるN−ヒドロキシサクシンイミドビオチン(NHS−ビオチン)等の活性化ビオチン類似体を使用して化学的にビオチン化することができ、抗体上に遊離一級アミノ基の存在を必要とする。
【0080】
本発明の好ましい方法において、磁気粒子は、ストレプトアビジンでコーティングされることができ、ビオチン化された抗体と接触させることができる。これらの粒子は、更に細菌捕捉に使用することができる。2つ以上の抗体で、同時又は連続した捕捉を行うことができる。もう1つの方法は、ビオチン化された抗体が、細菌を捕捉するために試料と混合され、抗体−細菌錯体が、更にビーズ(Dynal T1 MyOne Streptavidin Packageの挿入物)上で捕捉されることができる方法である。
【0081】
ある実施形態において、ビオチン分子数と抗体数の比率は、特定の粒子の凝集を回避するために最適化することができる。例えば、アデムテック社(Ademtech)の200nmストレプトアビジンでコーティングされた粒子では、約2:1の比率が好ましい。これより高い比率、特に7:1以上では、これらの粒子の凝集問題が示されている。
【0082】
抗体を粒子支持材料に共有結合する代表的な方法には、抗体内の他の反応基(ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、又はスルフヒドリル基等)と反応するように活性化化合物(グルタルアルデヒド、カルボジイミド、臭化シアン等)で活性化された支持材料内の官能基(カルボキシル基、アミン、ヒドロキシル基、マレイミド基、ヒドラジド等)を使用する方法が挙げられる。この結合は、例えば、ジスルフィド結合、チオエステル結合、アミド結合、チオエーテル結合、及び類似のものであってよい。抗体は、抗体上の官能基(アミン等)と直接反応することができる基(トシル基、クロロメチル基等)で官能化された支持材料に直接結合することもできる。
【0083】
抗体は、当該技術分野において既知の多種多様な方法により粒子支持材料に共有結合することができる。例えば、カルボキシル基で誘導体化されたビーズが市販されている。抗体は、更に抗体上の一級アミンとカルボジイミド活性により媒介されたビーズ表面上のカルボキシル基との間のアミド結合の形成を介してこれらのビーズに結合させることができる。
【0084】
典型的に、粒子濃度及び抗体と粒子の比率は、早い捕捉を達成するために対象となるシステムに最適化される。一般的に、これは、粒子依存性である。例えば、Dynal 1−μm粒子では、粒子濃度は、好ましくは、0.04mg/mL超過、更に好ましくは0.1mg/mL超過、及びより更に好ましくは0.16mg/mL超過である。同じ粒子において、抗体と粒子の比率は、好ましくは1μg/mg粒子超過、更に好ましくは10μg/mL超過、及びより更に好ましくは40μg/mg粒子超過である。
【0085】
例えば、Ademtech200nm粒子では、粒子濃度は、好ましくは、0.04mg/mL超過、更に好ましくは0.1mg/mL超過、及びより更に好ましくは0.16mg/mL超過である。同じ粒子において、抗体と粒子の比率は、好ましくは少なくとも0.01μg/mg粒子、更に好ましくは0.1μg/mL超過、及びより更に好ましくは1μg/mg粒子超過である。同じ粒子において、抗体と粒子の比率は、好ましくは10μg/mg粒子以下である。
【0086】
好適な粒子は、非特異的結合を防止するためにブロックされても又はブロックされなくてもよい。このようなブロッキングは、抗体結合前又は後に行ってよい。例えば、購入する特定の磁気ビーズ(例えば、Dynal T1 MyOneストレプトアビジンビーズ)をウシ血清アルブミン(BSA)でブロックした。他の好適な非特異的結合のブロッキング剤を使用することができ、それらは、当該技術分野において既知である。
【0087】
標的全細胞を含有する試料と抗体を含有する固体支持材料との接触時間(例えば、混合時間)は、15分以下であることができるが、短くて30秒、長くて30分が用いられてよい。そのような組成物は、任意にプルロニックL−64界面活性剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、BSA、又はこれらの組合せを含むPBS等の、緩衝液を含んでもよい。物理的な攪拌(又は混合)を大きな粒子及び小さな粒子の両方に使用することができるが、小さな粒子は、混合しないで使用することができる。
【0088】
粒子は、沈降、遠心分離、又は濾過により分離することができる。好ましくは、磁気粒子が使用され、磁界の使用により分離される。これらの分離された粒子(それらの上に全細胞を有する)は、例えば、プルロニックL−64又はトウィーン(TWEEN)20、BSA有り或いは無しを含んだPBSを含む種々の緩衝液で洗浄されることができる。
【0089】
注目すべきは、本発明の全捕捉方法を使用して、好ましくは標的全細胞の少なくとも20%が捕捉され、更に好ましくは標的全細胞の少なくとも50%が捕捉され、より更に好ましくは標的全細胞の少なくとも80%が捕捉される。
【0090】
II.酵素系の分析方法
本発明は、酵素検出アッセイを使用して対象となる細菌の1つ以上の検体特性の分析を基に、対象となる細菌について試料を分析する様々な酵素系の方法を提供する。そのような方法は、対象となる細菌の1つ以上の検体特性の存在を検出するだけでなく、好ましくは、検体(1つ又は複数)が特徴的であることによって細菌を同定することができる、このような検体(1つ又は複数)を同定する工程も伴うことができる。ある実施形態において、試料を分析する工程は、対象となる細菌の検体特性の総量を定量する工程を含む。
【0091】
好ましくは、本発明の酵素系の方法は、特定の細菌の2つ以上の異なる検体特性に対する抗原特異性を有する2つ以上の固定化された抗体の使用、特定の微生物の2つ以上の異なる検体特性に対する抗原特異性を有する2つ以上の標識された抗体の第2の組の使用を含み、それぞれの存在する検体に対して、固定化された抗体及び標識された抗体は、2つ以上の抗原結合対を包含する。1組の抗体は、抗原結合対を形成することが可能な限り、他の組の抗体と同じであってよい。
【0092】
このような抗体は、好ましくは、それらの結合特性において共働的である。つまり、それらは、標的検体(1つ又は複数)の異なる領域に同時に結合することが可能であるか、又は最適には、相補的結合であることが見い出されており、それにより1つの抗体の組によるそれらの異なる検体の結合が1つ以上の他の抗体の組の結合により促進される。
【0093】
本発明の酵素系の方法には、特定の細菌の1つ以上の検体特性を含むと推測される試料を提供する工程と、特定の細菌の2つ以上の異なる検体特性に対する抗原特異性を有する2つ以上の固定化された抗体を提供する工程と、特定の細菌の2つ以上の異なる検体特性に対する抗原特異性を有する2つ以上の標識された抗体を提供する工程であって、抗体は直接又は間接酵素標識で標識されることができ、試料、固定化された抗体、及び標識された抗体との間の接触を提供し、標識された抗体と固定化された抗体との間に1つ以上の検体を結合する工程(すなわち、「サンドイッチ」)と、それぞれの存在する検体に対して、固定化された抗体及び標識された抗体は、2つ以上の抗原結合対を包含し、及び特定の細菌の有無を分析する工程が挙げられる。
【0094】
2つ以上の異なる検体は、プロテインA及びクランピング因子、又は同じ分子の2つの異なるエピトープ等の分離した分子であることができる。標識された抗体は、固相標識(例えば、粒子−抗体複合物)を含んでよく、及び/又は固体支持材料(例えば、粒子材料)上で固定化されてよい。固定化された抗体は、粒子材料、フィルム、固体表面(例えば、マイクロウェルプレートの表面)等の多種多様な固体支持材料上で固定化することができる。
【0095】
本発明の酵素系の方法は、試料中に存在する場合、特定の細菌の1つ以上の検体特性を捕捉するのに有効な条件下で、固定化された抗体を試料と接触させ、1つ以上の捕捉された検体を形成する工程と、存在する場合、1つ以上の捕捉された検体と標識された抗体を結合させるのに有効な条件下で、標識された抗体と1つ以上の捕捉された検体を接触させる工程を伴うイムノアッセイを含む。あるいは、試料、固定化された抗体、及び標識された抗体の間の接触を提供する工程は、試料中に存在する場合、特定の細菌の1つ以上の検体特性と、標識された抗体との間の相互作用を生じるのに有効な条件下で、試料を標識された抗体と接触させる工程と、標識された抗体、1つ以上の検体、及び固定化された抗体との間の結合を生じるのに有効な条件下で、固定化された抗体を標識された抗体を含む試料と接触させる工程を含む。
【0096】
捕捉するための条件及び標識された抗体と固定化された抗体との間に1つ以上の検体を結合させる(及び、「サンドイッチ」アッセイを形成する)ための条件は、当業者によって容易に判断することができる。
【0097】
特定の好ましい実施形態において、試料を固定化された抗体に接触させる工程は、継続的接触を使用することもできるが、同時に試料及び各固定化された抗体の間の接触を提供する工程を含む。同様に、特定の好ましい実施形態において、存在する場合、1つ以上の捕捉された検体を標識された抗体に接触させる工程は、継続的接触を使用することもできるが、同時に捕捉された検体と各標識された抗体との間の接触を提供する工程を含む。
【0098】
典型的に、特定の細菌の有無を分析する工程は、1つ以上の検体の存在、又はすべての検体の欠如によって行うことができる。必要であれば、分析に捕捉された検体の総量の定量を伴うことができる。これは、当業者に既知の標準曲線及び方法を使用して実施することができる。
【0099】
本発明の酵素系の方法は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、具体的には、比色分析ELISAを伴う。本発明は、改善された有用な結果を得るために必要な時間、使用の簡便性、性能(感度、特異性等)、及び慎重な(幅広い種を対象とする)検出等の理由により、このような細菌について試料を分析する従来の技術よりも有利である。
【0100】
このような方法において、有意に、比較的少量の試験試料を使用することができる。2ミリリットル(mL)に及ぶ試験試料量を使用することができるが、有利には、約10マイクロリットル(μL)の試験試料が、本発明の方法には十分であり、特定の実施形態では、50〜100μLが好ましい。
【0101】
本発明の好ましい方法を使用することで、初めの捕捉時間が比較的短くなる。また、検出時間も比較的短くなる。例えば、検出時間は、60分未満、30分未満、15分未満、10分未満、及び5分の短さであってもよい。典型的なELISAでは、検出時間は、2〜4時間である。
【0102】
特定の対象となる細菌には、全細胞捕捉で上述するように、グラム陽性菌及びグラム陰性菌が含まれる。特に対象となるものは、黄色ブドウ球菌等のグラム陽性菌である。典型的に、これらは、細胞壁タンパク質等の細胞の細胞壁成分特性の存在を検出して検出することができる。また、特に対象となるものは、MRSA、VRSA、VISA、VRE、及びMDR等の抗生物質耐性菌である。典型的に、これらは、抗生物質耐性の原因である膜タンパク質、輸送タンパク質、酵素等の細胞内部成分の存在を追加的に検出して検出することができる。
【0103】
本発明は、細菌の検体(例えば、外部の細胞関連成分及び/又は細胞の内部からの細胞マーカー)特性の信号が強化されるため、このような細菌について試料を分析するための従来の技術よりも有利である。本発明の方法は、個別の分子(例えば、黄色ブドウ球菌の分析のためのプロテインA及びクランピング因子等の分子)又は同じ分子(例えば、タンパク質)の2つの異なるエピトープについて試料を分析するために使用することができる。このような検体は、上述のように、細胞のフラグメント又は全細胞上に存在してよい。
【0104】
このような検体は、例えば、プロテインA、及びフィブリノゲン結合タンパク質(例えば、クランピング因子)、フィブロネクチン結合タンパク質、コラーゲン結合タンパク質、ヘパリン/ヘパリン関連多糖類結合プロタンパク質、並びにそれらと同等の物のような接着マトリクス分子認識微生物表面成分(MSCRAMMs)といった細胞壁タンパク質を含む。プロテインA、並びにフィブリノゲン結合タンパク質及びクランピング因子A、B、及びEfb等のクランピング因子もまた、黄色ブドウ球菌の存在を検出する方法に特に有用である。他の対象となる細胞外成分には、カプセル多糖類及び細胞壁炭水化物(例えば、テイコ酸及びリポタイコ酸)が含まれる。
【0105】
必要な場合に、本発明の方法は、対象となる検体として、細胞膜に関連する又は関連しない細胞内成分について試料を分析する工程を更に含むことができる。細胞内成分は、MRSA、VRSA、VISA、VRE、及びMDR等の抗生物質耐性菌の分析において特に有用である。このような細菌の特性であることができる細胞内成分には、膜タンパク質が含まれる。このような膜タンパク質の例には、細胞質膜タンパク質、内膜タンパク質、外膜タンパク質、及び細胞膜タンパク質が挙げられる。ペニシリン結合タンパク質(PBP)(例えば、PBP2’又はPBP2a)等の細胞質膜タンパク質は、特に抗生物質耐性菌の特性とすることができる。例えば、細胞質膜タンパク質PBP2’は、MRSAの特性である。
【0106】
対象となる種は、全細胞捕捉で上述するように、生理的液体等の多種多様な源のいずれかに由来してよい試験試料内で分析することができる。更に、試験試料は、全細胞捕捉で上述するように、多種多様な身体部位に由来してよい。
【0107】
特に対象となる試料には、鼻の試料(例えば、鼻孔、鼻咽頭腔、鼻腔、前鼻前庭等から)、並びに外耳、中耳、口、直腸、膣、又は他の同様の細胞からの試料等の粘液含有試料が含まれる。特定の粘膜組織の例には、頬、歯肉、鼻、眼球、気管、気管支、胃腸、直腸、尿道口、尿管、膣、頚部、及び子宮粘膜のような粘膜が挙げられる。
【0108】
生理的液体以外に、他の試験試料は、全細胞捕捉で上述するように、他の液体並びに液体媒質に溶解した固体(1つ又は複数)を含んでよい。試料は、培養細胞を含むこともできる。
【0109】
全細胞捕捉で上述するように、様々な患者サンプリング技術、並びに多種多様な綿棒又は他の試料収集デバイスを使用することができる。
【0110】
試料収集デバイス(例えば、綿棒)は、更に、全細胞捕捉で上述するように、直接培養する、直接分析する、又は適切な溶液で抽出することができる。
【0111】
試験試料(例えば、液体)は、更なる分析の前に処理が施されてもよい。これには、濃縮、沈殿、濾過、遠心分離、蒸留、透析、希釈、天然成分の不活性化、試薬の添加、化学処理等が含まれる。
【0112】
つまり、試験試料は、当業者に既知の多種多様な方法を使用して調製することができる。例えば、試料は、物理的方法(例えば、音波処理、圧縮、煮沸又は他の加熱方法、ガラスビーズでの攪拌等)を使用して対象となる特定の細菌の検体特性の分析が可能となるように分解することができる。あるいは、試料は、1つ以上の成分を含むことができる、様々な化学試薬を使用して、対象となる特定の微生物の検体特性の分析が可能となるように分解することができる。
【0113】
ある実施形態において、全細胞は分析に大抵望ましいが、本発明の方法は、試験試料中の細胞を溶解する工程を含む。本発明の方法では、溶解は、細胞を溶解剤と接触させる工程又は物理的に細胞を溶解する工程を含む。溶解は、従来の条件下、例えば、5℃〜42℃(おそらく50℃まで)の温度、好ましくは15℃〜25℃の温度で実施することができる。有意に、溶解は、培養細胞を使用することができるが、未培養細胞、すなわち、直接試験試料を使用して実施することができる。
【0114】
溶解は、細胞を物理的に溶解して実施することができる。物理的な溶解は、試験試料をグラスビーズで攪拌、音波処理、加熱及び煮沸、又は試験試料を高圧下に置くこと、例えば、フレンチプレスを使用して実施することができる。
【0115】
溶解は、溶解剤を使用して実施することもできる。好適な溶解剤には、例えば、酵素(例えば、プロテアーゼ、グリコシダーゼ、ヌクレアーゼ)が挙げられる。代表的な酵素には、リソスタフィン、ペプシン、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、リゾチーム、アクロペプチダーゼ、エンドペプチダーゼ、N−アセチルムラミル−L−アラニンアミダーゼ、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ、ALE−1、DNアーゼ、及びRNアーゼが挙げられる。必要に応じて、様々な酵素の組合せを使用することができる。リソスタフィンは、黄色ブドウ球菌の存在を検出する方法において特に有用である。
【0116】
他の溶解剤には、塩(例えば、カオトロピック塩)、可溶化剤(例えば、洗剤)、還元剤(例えば、β−メルカプトエタノール(BME)、ジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸(TCEP:ピアス・ケミカル社(Pierce Chemical Company)、イリノイ州ロックフォード(Rockford))、システイン、n−アセチルシステイン)、酸(例えば、HCl)、及び塩基(例えば、NaOH)が挙げられる。このような溶解剤は、他に比べ特定の生物により適し、例えば、それらは、グラム陽性菌との使用に比べ、グラム陰性菌との使用により適する。
【0117】
必要に応じて、溶解剤及び/又は方法の様々な組合せを使用することができる。
【0118】
溶解の方法は、米国特許公開広報第2005/0153370 A1号に更に記載されている。具体的に、このような溶解方法は、対象となる種(例えば、対象となる細菌)の特性である細胞壁の1つ以上の成分と、任意に、対象となる種(例えば、対象となる抗生物質耐性菌)の更なる特性である1つ以上の細胞内成分を検出する工程を伴う。分析された細胞壁フラグメントは、細胞壁の固体片であると考えられている。つまり、それらは、溶解しても可溶化されず、細胞壁は、単に断片に破壊されると考えられている。更に、分析される細胞壁成分は、まだ細胞壁フラグメントの一部分である(すなわち、細胞壁中又は細胞壁の上にある)。つまり、それらは、溶解によって可溶化されていない。有意に、これは、溶解されていない細胞の同じ成分と比較すると、細胞壁成分の信号を強化する。
【0119】
更に、必要に応じ、試料が粘液含有試料の場合に、溶解前又は後のいずれかに、粘液溶解剤を含むことができる、少なくとも1つの試薬を使用して、更に処理することができる。粘液溶解剤を使用する粘液含有試料の処理は、分析中の粘液の存在により生じた干渉を減少することができる。
【0120】
粘液溶解剤の例には、酵素(例えば、ペプシン、DNアーゼ、RNアーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グリコシダーゼ)、塩(例えば、カオトロピック塩)、可溶化剤(例えば、界面活性剤、洗剤)、還元剤(例えば、β−メルカプトエタノール(BME)、ジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、システイン、TCEP、n−アセチルシステイン)、及び酸(例えば、HCl)が挙げられる。必要に応じて、このような粘液剤の様々な組合せを使用することができる。当業者は、例えば、すべての溶解剤は粘液溶解剤ではないが、溶解剤及び粘液剤は重複することができると理解するであろう。
【0121】
ある実施形態において、試料が粘液含有試料であり、粘液溶解剤が還元剤である場合に、還元剤は酸性化(例えば、pH3未満を有する)することができる。還元剤は、無機酸(例えば、HCl)又は有機酸(例えば、乳酸、クエン酸)等の様々な酸を使用して、酸性化することができる。あるいは、十分に高濃度で使用する場合、還元剤のpHは、酸で調整される必要はない。
【0122】
典型的に、任意ではあるが、還元剤を加えた後、試料調製は、組成物において、還元剤を不活性化することを伴う。これを、例えば、競合的基質(例えば、n−アセチルシステインに対してウシ血清アルブミン)を提供することによって、行うことができる。還元剤を不活性化する試薬の他の例には、中和緩衝液を含む、希釈剤が挙げられる。中和緩衝液のための代表的な成分には、例えば、緩衝剤(1つ又は複数)(例えば、リン酸塩)、塩(1つ又は複数)(例えば、NaCl)、タンパク質安定剤(1つ又は複数)(例えば、BSA、カゼイン、血清)、ポリマー(1つ又は複数)、糖類、及び/又は洗剤(1つ又は複数)若しくは界面活性剤(1つ又は複数)(例えば、商標名及び商業的に入手可能な供給元によって挙げられる以下の薬剤のうちの1つ以上:NINATE 411(アミンアルキルベンゼンスルホン酸塩、イリノイ州ノースフィールド(Northfield)のステパン社(Stepan Co.,)より入手可能)、ZONYL FSN 100(ポリエチレングリコールを有するテロマーBモノエーテル(Telomer B monoether)、E.I.デュポンドヌムール社(E.I. DuPont de Nemours Co.)より入手可能)、エアロゾルOT(Aerosol OT)100%(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、アメリカン・サイアナミド社(American Cyanamide Co.)より入手可能)、GEROPON T−77(N−オレイル−N−メチルタウリン酸ナトリウム、ローディアノバケア社(Rhodia Novacare)より入手可能)、BIO−TERGE AS−40(オレフィン(C14〜C16)スルホン酸ナトリウム、ステパン社(Stepan Co.)より入手可能)、STANDAPOL ES−1(ポリオキシエチレン(1)ラウリル硫酸ナトリウム、ペンシルベニア州アンブラー(Ambler)のコグニス社(Cognis Corp.)より入手可能)、TETRONIC 1307(エチレンジアミンアルコキシレートブロックコポリマー、BASF社(BASF Corp.)より入手可能)、SURFYNOL 465、485、及び104 PG−50(全てエアープロダクツ・アンド・ケミカルズ社(Air Products and Chemicals, Inc.)より入手可能)、IGEPAL CA210(オクチルフェノールエトキシレート、ステパン社(Stepan Co.)より入手可能)、TRITON X−45、X−100、及びX−305(オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、全てダウ・ケミカル社(The Dow Chemical Co.)より入手可能)、SILWET L−7600(ポリジメチルシロキサンメチルエトキシレート、コネティカット州ウィルトン(Wilton)のモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社(Momentive Performance Materials, Inc.)より入手可能)、RHODASURF ON−870(ポリエトキシル化(2)オレイルアルコール、ローディアノバケア社(Rhodia Novacare)より入手可能)、CREMOPHOR EL(ポリエトキシル化ヒマシ油、BASF社(BASF Corp.)より入手可能)、TWEEN 20及びTWEEN 80(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート及びモノオレエート、共にシグマアルドリッチ社(Sigma-Aldrich Corp.)より入手可能)、BRIJ 35(ポリオキシエチレン(23)ドデシルエーテル、シグマアルドリッチ社(Sigma-Aldrich Corp.)より入手可能)、CHEMAL LA−9(ポリオキシエチレン(9)ラウリルアルコール、サウスカロライナ州ピードモントのPCCケマックス社(PCC Chemax)より入手可能)、プルロニックL64(ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)ブロックコポリマー、BASF社(BASF Corp.)より入手可能)、サーファクタント(SURFACTANT)10G(p−ノニルフェノキシポリ(グリシドール)、コネティカット州ノーウォーク(Norwalk)のアーチケミカルズ社(Arch Chemicals Inc.)より入手可能)、SPAN 60(モノステアリン酸ソルビタン、シグマアルドリッチ社(Sigma-Aldrich Corp.)より入手可能)、CREMOPHOR EL(ポリエトキシル化ヒマシ油、シグマアルドリッチ社(Sigma-Aldrich Corp.)より入手可能)を挙げることができる。必要に応じて、中和緩衝液を、試料のpHを調整するために使用することもできる。
【0123】
還元剤に加えて、又は代わるものとして、粘液含有試料の試料調製は、1つ以上の界面活性剤又は洗剤(例えば、試料と粘液溶解剤を有する酵素溶解剤を合わせる工程に続いて又はそれと同時に)の使用を含むことができる。好適な界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、又は双性イオン性であることができる。好適な例には、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及びラウリル硫酸ナトリウム(SLS)が挙げられる。必要に応じて、様々な界面活性剤の組合せを使用することができる。
【0124】
任意に、試料調製法は、続けて、界面活性剤を不活性化する工程を含むことができる。これを、例えば、競合的基質を提供することによって行うことができる。界面活性剤を不活性化するための他の例は、粘液溶解剤試験試料及び界面活性剤のpHを、少なくともpH5に調整するのに十分な緩衝液のような、試薬中和緩衝液を使用することを含む。好ましくは、緩衝液は、pHを8以下に調整するのに十分である。
【0125】
更に、試料調製試薬のうちの1つ以上が酸性である場合、対象となる検体を含む後続の組成物は、pHを7から7.5まで又は7.2付近に中和されることが好ましい。これを、例えば、緩衝液及び/又は希釈剤を提供することによって行うことができる。
【0126】
ある実施形態においては、試料を、検体結合のための適切な反応物分子(例えば、細菌認識試薬を含む検体結合剤)と接触させる。このような反応物分子は、典型的に抗体を含む。抗体は、粒子材料、膜、又は他の固体支持材料に結合することができる。
【0127】
全細胞の捕捉において上述したように、全細胞上あるいは溶解した試料内で、標的検体(すなわち、対象となる検体又は組成物)を、反応物分子(例えば、黄色ブドウ球菌反応物分子又は黄色ブドウ球菌に対する細菌認識試薬)によって検出することができる。一部の実施形態において、黄色ブドウ球菌の抗体等の1つ以上の抗体は黄色ブドウ球菌反応物として用いられる。「黄色ブドウ球菌の抗体」は、その抗原結合フラグメントを含めて特定の抗原を特異的に結合する能力を有する免疫グロブリンを指す。用語「抗体」は、脊椎動物、例えば、哺乳類種からの、いかなるアイソタイプの全抗体(IgG、IgA、IgM、IgE等)、及びこれらのフラグメントをも含むことを意図し、それらはまた、非自己の化合物、例えば、タンパク質に特異的に反応する。
【0128】
本発明の分析の方法(例えば、捕捉及び検出を含む)に関して、抗体は、全細胞捕捉で上述するように、モノクローナル、ポリクローナル、又はそれらの組合せであることができる。全細胞捕捉のための抗体の考察を、全細胞又は溶解した細胞に対して、捕捉及び検出を含む分析方法に等しく適用する。分析方法のための例示的な抗体は、全細胞捕捉で上述した抗体であり、例えば、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、アフィニティー精製GxClf40、MAb 12−9からなる群から選択される抗体、それらのフラグメント、及びそれらの組合せを含む。好ましい抗体は、モノクローナル抗体である。具体的に好ましい抗体は、黄色ブドウ球菌(本明細書において、「S.aureus」又は「Staph A」とも呼ばれる)のプロテインAに結合するモノクローナル抗体である。
【0129】
本発明の分析方法のある好ましい実施形態では、2つ以上の固定化された抗体は、2つの(単離された)モノクローナル抗体、具体的には、MAb 12−9及びMAb−76を含む。本発明のある好ましい実施形態では、2つ以上の標識された抗体は、1つのモノクローナル抗体(例えば、MAb−107)、及び1つのポリクローナル抗体(例えば、アフィニティー精製RxClf40)を含む。
【0130】
固定化された抗体は、固体支持材料で固定化されることが好ましい。好適な固体支持材料には、粒子材料、膜、ゲル(例えば、アガロース、pvp)、若しくはチューブ又はプレート(例えば、マイクロウェルプレート)の表面等の他の固体支持材料を挙げることができる。例示的な固体支持体には、ニトロセルロース、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロン、金ゾル、ラテックス等の材料を挙げることができる。ある実施形態には、粒子材料及び膜が好ましい。
【0131】
検体結合材料は、固体支持材料上に配置された1つ以上の抗体を有する固体支持材料を含む。ある実施形態において、固体支持材料(例えば、それぞれの粒子又はマイクロウェルプレートのそれぞれのウェル)は、それらに配置された異なる検体を結合する少なくとも2つの抗体を有する。例えば、ある実施形態において、検体結合材料は、それらの上に配置された抗体MAb−76及びMAb 12−9(好ましくは、1μg/mLのMAb−76と7.5μg/mLのMAb12−9の濃度の組合せ)を有する固体支持材料を含む。所望の結果及び使用された抗体に依存して、固定化された抗体の濃度及び密度は、当業者により変更することができる。
【0132】
抗体は、共有結合又は非共有結合のいずれかを介して、固体支持材料に結合することができる。
【0133】
固体支持材料への抗体の非共有結合には、例えば、受動的吸着及び/又は吸着、イオン相互作用、又は水素結合による結合が挙げられる。
【0134】
抗体を粒子支持材料に共有結合する代表的な方法には、抗体中の反応基(ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、又はスルフヒドリル基等)と支持材料中の(同じような性質の)他の反応基との間で結合を形成するために反応するヘテロ二機能性架橋化合物(すなわち、「リンカー」)等の化学架橋が挙げられる。この結合は、例えば、ペプチド結合、ジスルフィド結合、チオエステル結合、アミド結合、チオエーテル結合等であることができる。
【0135】
抗体は、当該技術分野において既知の任意の方法により粒子支持材料に共有結合することができる。例えば、グルタルアルデヒド、アルデヒドシッフ塩基、n−ヒドロキシルスクシンイミド、アズラクトン、臭化シアン、無水マレイン酸等は、結合化学として使用され得る。
【0136】
本発明に含まれる抗体の非共有結合標識の一実施例は、既知のビオチン−アビジン系である。このような系は、特に、酵素検出系がELISAにおいて使用される場合、検出のための抗体の標識系に使用することもできる。
【0137】
アビジン−ビオチンの親和性に基づく技術は、上述した全細胞捕捉でより詳細に論じられる。このような考察を、本発明の分析方法に等しく適用する。
【0138】
本発明の方法に有用な分析技法は、ELISAに使用される標準的な技法(例えば、比色分析ELISA)を含む。
【0139】
好ましくは、本発明のアッセイにおいて、固定化された抗体は、例えば、マイクロウェルプレートの固体表面等の固体支持材料に物理的に吸着される。好ましくは、マイクロウェルプレートのウェルは、それらの中に、抗体の混合物(例えば、MAb 12−9及びMAb−76等の2つのモノクローナル抗体の混合物、又はポリクローナル抗体と単離されたモノクローナル抗体の混合物)を固定化している。
【0140】
試料を2つ以上の抗体と接触させる工程は、同時に及び/又は連続して行うことができる。同様に、存在する場合、捕捉された検体を2つ以上の標識された抗体と接触させる工程は、同時に及び/又は連続して行うことができる。
【0141】
試料に存在する場合、特定の細菌の1つ以上の検体特性を捕捉するのに有効な条件下で、試料を固定化された抗体と接触させる工程は、1つ以上の捕捉した検体を形成する条件下で実施する。好ましくは、このような条件は、非特異的結合を最小化しつつ、有効な抗原:抗体の結合を確保するように最適化される条件を含む。同様に、存在する場合、1つ以上の捕捉された検体を標識された抗体と接触させる工程において、1つ以上の捕捉された検体と標識された抗体との間で結合を引き起こすのに有効である条件を使用する。好ましくは、このような条件は、有効な抗原:抗体の結合を確保する一方、非特異的結合を最小化するように最適化される条件を含む。
【0142】
このような条件は、結合対(すなわち、抗原、抗体)の特異的相互作用を可能にするが、他の非特異的(すなわち、イオン性及び静電気的)相互作用を最小化する濃度で、塩、pH調整剤、界面活性剤、担体タンパク質(例えば、胚乳、カゼイン、脱脂粉乳、血清等)等の選択された剤の使用を含む。
【0143】
好ましくは、本発明のアッセイにおいて、標識された抗体は、典型的に検出に使用される、多種多様の化学(大抵、検出可能、若しくはレポーター部分又はマーカーと呼ばれる)で標識化されることができ、それは、当該技術分野において既知である。1つの方法において、標識は、直接標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等の酵素)であることができ、P.テュッセン(P.Tijssen)酵素イムノアッセイの実践と理論(Practice and Theory of Enzyme Immunoassays)、生化学及び分子生物学における検査手技(Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology)、15巻、エルゼビアサイエンスパブリッシャーズ(Elsevier Science Publishers)、B.V.ニューヨーク州ニューヨーク(New York)、1985年、に開示されるような、当該技術分野において既知の様々な結合化学を介して結合することができる。
【0144】
あるいは、標識は、間接標識であることができ、例えば、ビオチンを含む系に使用されることができ、当該技術分野において知られている様々な化学を通して、検体特異抗体に結合することができる。ビオチン標識された抗体を含む、この間接系は、更に、酵素結合(例えば、ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ又はアビジン−アルカリホスファターゼ結合物等のストレプトアビジン結合酵素又はアビジン結合酵素)と共に使用され、当該技術分野において既知である。他の間接標識には、当業者によく知られているように、例えば、酵素標識二次抗体、ハプテン又は標識された抗体を使用して検出されることができる他の抗原が挙げられる。
【0145】
ある実施形態において、抗体は、ビオチン、好ましくはポリエチレンオキシドリンカーを介して結合したビオチンで間接的に標識される。抗体が、このように間接標識を含む場合に、方法は、存在する場合、1つ以上の捕捉された検体と標識された抗体を接触する前、接触中、又は接触後に、標識された抗体を酵素複合体と反応させる工程を更に含むことができる。
【0146】
例示的な系において、ビオチンは、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド化学(例えば、PEO−NHS)を使用して、ポリエチレンオキシドリンカーを介して抗体に結合されることができる。本実施形態において、ビオチンは、間接標識であると見なされ、方法は、標識された抗体を酵素結合(例えば、ストレプトアビジン又はアビジンに結合する酵素を含む)と反応させる工程を含む。このようなビオチン−アビジン系は、特に、酵素検出系がELISAにおいて使用される場合、検出のための抗体のよく知られている標識系である。酵素は、P.テュッセン(P.Tijssen)酵素イムノアッセイの実践と理論(Practice and Theory of Enzyme Immunoassays)、生化学及び分子生物学における検査手技(Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology)、15巻、エルゼビアサイエンスパブリッシャーズ(Elsevier Science Publishers)、B.V.ニューヨーク州ニューヨーク(New York)、1985年、に開示されるような、例えば、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ等を含む、ELISAに使用するために知られている多種多様な酵素であることができる。
【0147】
酵素は、ホスファターゼ酵素標識のためのパラ−ニトロフェニルリン酸、ペルオキシダーゼ酵素のためのテトラメチルベンチジン又はジアミノベンチジン、及びグルコースオキシダーゼによってグルコース酸化の最終産物としてホルマザン塩等の適切な色素酵素基質を使用して、比色分析で検出することができる。
【0148】
比色分析に加えて、検出の代替方法は、例えば、蛍光検出、放射線標識検出、ラマン分光法、磁気的検出、発光、及び電気化学発光を含むことができる。検出のこのような方法は、当業者によく知られている。
【0149】
ELISAを用いる方法に使用される技法は、一般に、当業者によく知られている。しかしながら、注目すべきは、特定の細菌の2つ以上の異なる検体特性に対する抗原特異性を有する2つ以上の固定化された抗体の使用、特定の微生物の2つ以上の異なる検体特性に対する抗原特異性を有する2つ以上の標識された抗体の第2組の使用は、それぞれの存在する検体に対し、固定化された抗体及び標識された抗体が、2つ以上の抗原結合対を備え、従来の方法、特に黄色ブドウ球菌等の細菌を分析するための方法よりも有意な利点を提供する。
【0150】
注目すべきは、本発明の方法及び装置を使用して、改善された検出感度(すなわち、低濃度の検出)及び特異性を、微生物、特に黄色ブドウ球菌等の細菌のための従来の検出方法に対して実現することができる。
【0151】
III.音弾性機械的分析方法
本発明はまた、対象となる細菌の1つ以上の検体特性の分析に基づいて対象となる細菌について試料を分析する様々な音弾性機械系の方法も提供する。酵素系の方法と同様に、それらの方法は、対象となる細菌の1つ以上の検体特性の存在を検出するだけでなく、好ましくは、検体(1つ又は複数)が特徴的である細菌を同定することができる、そのような検体(1つ又は複数)を同定する工程を伴うことができる。ある実施形態において、試料を分析する工程には、対象となる細菌の検体特性の総量を定量する工程が含まれる。
【0152】
好ましくは、本発明の音弾性機械系の方法は、特定の細菌の2つ以上の異なる検体特性に対する抗原特異性を有する2つ以上の固定化された抗体の使用、粒子−抗体複合体の形で2つ以上の抗体の第2組の使用を含み、2つ以上の抗体は、特定の微生物の2つ以上の異なる検体特性に対する抗原特異性を有し、存在するそれぞれの検体に対して、固定化された抗体及び粒子−抗体複合体の抗体は、2つ以上の抗原結合対を備える。1つの組の抗体は、抗原結合対を形成することが可能である限り、他の組の抗体と同じであってもよい。
【0153】
そのような抗体は、好ましくは、それらの結合特性において共働的である。つまり、標的検体(1つ又は複数)の異なる領域に同時に結合することが可能である、又は最適には、相補的結合であることが見い出されており、それにより、1つの抗体の組によるそれらの異なる検体の結合が、1つ以上の他の抗体の組の結合により促進される。
【0154】
本発明の音弾性機械系の方法は、特定の細菌の1つ以上の検体特性を含むと推測される試料を提供する工程と、特定の細菌の2つ以上の異なる検体特性に対する抗原特異性を有する2つ以上の粒子−抗体複合体を提供する工程と、特定の細菌の2つ以上の異なる検体特性に対する抗原特異性を有する2つ以上の固定化された抗体を備える検出表面を含む音弾性機械的センサを備えるシステムを提供する工程と、試料、音弾性機械的センサの検出表面上の固定化された抗体と、粒子−抗体複合体との間の接触を提供し、粒子−抗体複合体と固定化された抗体との間に1つ以上の検体を結合する工程であって、それぞれの存在する検体に対して、固定化抗体及び粒子−検体複合体が、2つ以上の抗原結合対を含み、及び特定の細菌の有無を分析する工程とを含む。
【0155】
酵素系のアッセイのために上述したように、2つ以上の異なる検体は、プロテインA及びクランピング因子、又は同じ分子の2つの異なるエピトープ等の分離された分子であることができる。抗体は、固相標識(すなわち、粒子)を含むことができ、又は抗体は、粒子の標識である。検出可能な部分(すなわち、標識)であるかどうかに関わらず、このような物質は、本明細書において、粒子−抗体複合体と呼ばれる。
【0156】
試料、音弾性機械的センサの検出表面上の固定化された抗体、及び粒子−抗体複合体の接触は、いかなる順序においても同時に又は連続して実施することができる。例えば、1つの方法は、試料内に存在する場合、特定の細菌の1つ以上の検体特性を捕捉するのに有効な条件下で、1つ以上の捕捉された検体を形成するために、固定化された抗体(すなわち、音弾性機械的センサの表面上に固定化された抗体)と試料を接触させる工程と、存在する場合、1つ以上の捕捉された検体と粒子−抗体複合体との間の結合を生じるのに有効な条件下で、1つ以上の捕捉された検体を粒子−抗体複合体と接触させる工程とを含む。
【0157】
あるいは、このような方法のある実施形態において、試料、音弾性機械的センサの検出表面上の固定化された抗体と、粒子抗体複合物の間で接触を提供する工程は、特定の細菌の1つ以上の検体特性と、試料内に存在する場合、粒子−抗体複合体との相互作用を生じるのに有効な条件下で、試料を粒子−抗体複合体と接触させる工程と、粒子−抗体複合体、1つ以上の検体、及び固定化された抗体との間の結合を生じるのに有効な条件下で、音弾性機械的センサの検出表面と粒子−抗体複合体を含む試料を接触させる工程が含まれる。
【0158】
固定化された抗体と粒子−抗体複合体の間で検体を結合するための条件は、当業者によって容易に決定することができる。
【0159】
ある好ましい実施形態において、試料を固定化された抗体と接触させる工程は、継続的接触を使用することもできるが、同時に試料とそれぞれの固定化された抗体の間の接触を提供する工程を含む。同じように、ある好ましい実施形態において、存在する場合、1つ以上の捕捉された検体を粒子−抗体複合体と接触させる工程は、捕捉された検体とそれぞれの粒子−抗体複合体の間で同時に接触を提供する工程を含み、順次接触も使用することができるが、例えば、異なる場合、異なる抗体は、異なる粒子に結合する。
【0160】
様々な方法が、粒子−抗体複合体、1つ以上の検体、音弾性機械的センサの検出表面上の固定化された抗体との間の結合を得るために使用されることができる。一実施形態において、そこに結合される検体を有する粒子−抗体複合体を、音弾性機械的センサの検出表面とそれを接触させる前に、試料の残りの部分と分離することができる。
【0161】
適切に選択された抗体及び最適化されたシステムを用いて、以下のいずれかを実行することができる。固定化された抗体を有する音弾性機械的センサ(すなわち、センサ)に検体を加え、次いで、粒子−抗体複合体を加える。センサに検体を加え、次いで、抗体を加える、続いて、抗体を「キャッピング」するための特異性を有する粒子を加える。検体を粒子−抗体複合体に加え、次いで、これをセンサに加える。検体を抗体に加え、次いで、粒子を本混合物に加え、続いて、混合物をセンサに加える。検体を抗体に加え、これをセンサに加え、次いで、粒子をセンサに加える。直接/間接標識された抗体をセンサに加える工程は、バックグラウンドを低減する、又はより少ない反応性抗体(高Kd)にその標的エピトープを捕捉する良好な機会を与えるのに望ましいことであることができる。逐次添加を行う別の理由は、更に相分離を加えることによって非特異的結合を低減することである。
【0162】
典型的に、特定の細菌の有無を分析する工程は、1つ以上の検体の存在、又はすべての検体の欠如によって行うことができる。必要であれば、分析は捕捉された検体の総量の定量を伴うことができる。これは、当業者に既知の標準曲線及び方法を使用して実施することができる。
【0163】
本発明は、改善された有用な結果を得るために必要な時間、使用の簡便性、性能(感度、特異性等)、及び慎重な(幅広い種を対象とする)検出等のため、このような細菌について試料を分析する従来の技術よりも有利である。
【0164】
このような音弾性機械系の方法において、有意に、比較的少量の試験試料を使用することができる。2ミリリットル(mL)に及ぶ試験試料量を使用することができるが、有利に、約100マイクロリットル(μL)の試験試料は、本発明の方法に十分である。ELISAのように、より少量の試験試料を使用することができるが、10μL未満の試料は、一般に実用的ではない。
【0165】
本発明の好ましい音弾性機械系の方法を使用することで、初めの捕捉時間が比較的短くなる。また、検出時間も比較的短くなる。例えば、検出時間は、体積及び流速により異なるが、60分未満、30分未満、15分未満、10分未満、及び5分の短さであることができる。
【0166】
特に対象となる細菌には、全細胞捕捉及び酵素系の方法で上述するように、グラム陽性菌及びグラム陰性菌が挙げられる。特に対象となるものは、黄色ブドウ球菌等のグラム陽性菌である。典型的に、これらは、細胞壁タンパク質等の細胞の細胞壁成分特性の存在を検出することができる。また、特に対象となるものは、MRSA、VRSA、VISA、VRE、及びMDR等の抗生物質耐性菌である。典型的に、これらは、抗生物質耐性の原因である膜タンパク質、輸送タンパク質、酵素等の細胞内成分の存在を追加的に検出して検出することができる。
【0167】
本発明の音弾性機械系の方法は、細菌の検体(例えば、外部の細胞関連成分及び/又は細胞の内部からの細胞マーカー)特性の信号が強化されることによって、そのような細菌について試料を分析するための従来の技術よりも有利である。本発明の方法は、試料の個別の分子(例えば、黄色ブドウ球菌の分析のためのプロテインA及びクランピング因子等の分子)、又は同じ分子(例えば、タンパク質)の2つの異なるエピトープについて試料を分析するために使用することができる。検体は、上述のように、細胞フラグメント又は全細胞上に存在してもよい。
【0168】
このような検体は、酵素系の方法で上述される検体(例えば、細胞壁タンパク質及び細胞内成分)と同じである。
【0169】
対象となる種は、全細胞捕捉及び酵素系の分析方法で上述される生理的液体等の多種多様な源のいずれかに由来することができる試験試料内で分析することができる。更に、試験試料は、上述の全細胞捕捉及び酵素系の分析方法で論じられるような、多種多様な身体部位に由来することができる。特に対象となる試料は、酵素系の分析方法で上述される粘液含有試料、特に鼻の試料を含む。
【0170】
生理的液体以外に、他の試験試料は、全細胞捕捉及び酵素系の分析方法で上述された、他の液体並びに液体媒質に溶解した固体(1つ又は複数)を含んでもよい。試料は、培養細胞を含むこともできる。
【0171】
様々な患者サンプリング技術、試料収集デバイス(例えば、綿棒)、試料処置手順等は、全細胞捕捉及び酵素系の分析方法で上述されるように、使用されることができる。対象となる試料における細胞は、酵素系の分析方法で上述される全細胞あるいは溶解された細胞のいずれかであることができる。試料が粘液(例えば、鼻の試料)を含む場合、酵素系の分析方法で上述された、粘液溶解剤(及び必要に応じて、例えば、界面活性剤等の試薬)で処理されることができる。
【0172】
本発明の音弾性機械系の方法において、試料を、検体結合のための適切な反応分子(例えば、細菌認識試薬を含む検体結合剤)と接触させる。このような反応分子は、好ましくは、2つ以上の抗体を含む。このような抗体は、音弾性機械的センサの検出表面に結合される同一又は異なる抗体と共に、粒子材料に結合し、それによって粒子−抗体複合体を形成する。センサ表面上の抗体は、粒子と結合した検体錯体と非競合的に結合することができるように、選択される。
【0173】
好適な抗体は、上述の全細胞捕捉及び酵素系の分析方法(例えば、捕捉及び標識を含む)で論じられる。それらは、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル、又はそれらの組合せ、それらのフラグメント等を含む。具体的な例は、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、アフィニティー精製GxClf40、MAb 12−9)、それらのフラグメント、及びそれらの組合せからなる群から選択されるものを含む。好ましい抗体は、モノクローナル抗体である。黄色ブドウ球菌(本明細書においては、「S.aureus」又は「Staph A」とも呼ばれる)のプロテインAに結合するモノクローナル抗体が、特に好ましい。本発明の分析方法のある好ましい実施形態において、2つ以上の固定化された抗体は、2つの(単離された)モノクローナル抗体、特にMAb 12−9及びMAb−76を含む。本発明のある好ましい実施形態において、粒子−抗体複合体における2つ以上の標識された抗体は、1つのモノクローナル抗体(例えば、MAb−107)、及び1つのポリクローナル抗体(例えば、アフィニティー精製RxClf40)を含む。
【0174】
抗体は、上述の全細胞捕捉及び酵素系のアッセイで論じられるような、様々な技法(例えば、共有結合又は非共有結合)を使用して、粒子材料に結合され、音弾性機械的センサの検出表面上で固定化されることができる。
【0175】
粒子−抗体複合体の粒子、並びに音弾性機械的センサの表面は、それに配置される1つ以上の抗体を有することができる。例えば、1種の抗体は粒子材料の1種に配置され、もう1種の抗体は同じ又は異なる種の粒子材料に配置されることができる。ある実施形態において、固体支持材料(例えば、それぞれの粒子又はセンサ検出表面)は、そこに配置された異なる検体を結合する少なくとも2つの抗体を有する。例えば、ある実施形態において、粒子−抗体複合体は、それらの上に配置された、好ましくは、粒子材料のそれぞれの粒子に配置された抗体MAb−76及びMAb 12−9を有する粒子材料を含む。所望の結果及び使用された抗体に依存して、固定化された抗体の濃度及び密度は、当業者により変更することができる。
【0176】
存在する場合、検体を2つ以上の抗体を固定化した抗体と接触させる工程は、同時に及び/又は連続して行うことができる。同様に、存在する場合、捕捉された検体を2つ以上の粒子−抗体複合体と接触させる工程は、同時に及び/又は連続して行うことができる。検体、センサ検出表面上の固定化抗体、及び粒子−抗体複合体との間で結合を起こすのに有効な条件が使用される。好ましくは、このような条件は、非特異的結合を最小化しつつ、有効な抗原:抗体の結合を確実にするように最適化される条件を含む。このような条件は、結合対(すなわち、抗原、抗体)の特異的相互作用を可能にするが、他の非特異的(すなわち、イオン性及び静電気的)相互作用を最小化する濃度で、塩、pH調整剤、界面活性剤、担体タンパク質(例えば、胚乳、カゼイン、脱脂粉乳、血清等)等の選択された剤の使用を含む。
【0177】
音弾性機械的センサを用いる方法に使用される技法は、一般に、当業者によく知られている。しかしながら、注目すべきことに、特定の細菌の2つ以上の異なる検体特性に対する抗原特異性を有する2つ以上の固定化された抗体の使用、抗体が特定の微生物の2つ以上の異なる検体特性に対する抗原特異性を有し、存在するそれぞれの検体に関して、固定化された抗体及び粒子−抗体複合体が、2つ以上の抗原結合対を備える、粒子−抗体複合体で2つ以上の抗体の第2組の使用は、特に黄色ブドウ球菌等の細菌を分析するための方法よりも有意な利点を提供する。
【0178】
注目すべきことに、本発明の方法及び装置を使用して、改善された検出感度(すなわち、低濃度の検出)及び特異性を、微生物、特に黄色ブドウ球菌等の細菌のための従来の検出方法に対して実現することができる。
【0179】
本発明の音弾性機械系の方法において、試験試料における標的生物学的検体の存在は、測定される、そうでなければ、波動減衰、相変化、周波数変動、及び/又は共振周波数を測定して検知される、音弾性機械的エネルギーの使用を通して検出される。音弾性機械的エネルギーは、例えば、圧電系表面弾性波(SAW)装置を使用して、生成されることができる。例えば、米国特許第5,814,525号(レンシュラー(Renschler)ら)に記載されるように、圧電系の音弾性機械的装置の種類は、検出のモードにより異なるが、表面弾性波(SAW)、音響板モード(APM)、又は水晶振動子マイクロバランス(QCM)装置に、更に再分割することができる。様々な音弾性機械的センサが知られており、2007年8月15日出願のPCT特許出願第US2007/075948号、並びに下記に参照される他の特許及び刊行物に記載される。
【0180】
特定の実施形態において、本発明の音弾性機械系の方法は、磁気粒子の表面上の標的検体を捕捉する工程と、次いで、センサ表面上の磁気粒子を捕捉する工程とを含む。磁気粒子の使用は、磁気泳動を使用して、センサ表面上で捕捉されることのできる標的検体の量を増加させる。更に、(標的検体を介して)センサ表面への磁気粒子の結合は、センサの反応を増強することができる。コーティングされた磁気粒子で標的生物学的検体を捕捉する工程は、2007年8月15日出願のPCT特許出願第US2007/075948号に開示されている。
【0181】
センサ表面上で標的検体を結合する磁気粒子の捕捉は、磁界の強度(磁石の強度及びセンサから磁石の距離によって決定されるように)、X−Y面におけるセンサ表面に対する磁界発生器の位置、磁界発生器の配向、磁気粒子の大きさ及び組成物、並びに捕捉及び磁界発生器の動作中、センサ上の試験試料の流速を含む、いくつかの要因によって影響される。例えば、センサ表面に直接隣接した(例えば、0mmの距離で)磁界発生器を定置させ、所定の流速に対してセンサの前縁で、すべての粒子を捕捉することができる。その後、磁界発生器を取り外し、センサから流れ出る粒子群を放出してよい。代替的には、磁気粒子を引き寄せる磁界を更に維持しながら、磁界発生器をセンサから離れた距離に位置付けてもよく、適切な流速の使用と共に、粒子を1つの工程で、センサ上に均一にコーティングしてもよい。
【0182】
センサにおける磁気粒子をセンサ表面上に捕捉した後、磁界発生器は、センサが検体濃度に相関する信号を提供するために、取り除かれる。本明細書に記載の方法を利用する一実施形態において、センサは、試料物質において、500マイクロリットルの標的生物学的検体あたり1ngの低濃度を検出することができる。
【0183】
更に、使用される磁気粒子は、好ましくは、SH−SAWセンサで使用される場合、1ミクロン未満の大きさである。好ましい実施形態において、磁気粒子は、250ミクロン、更に好ましくは100ミクロンの大きさである。標的検体に結合するための磁気粒子の使用は、センサ表面上で標的検体の捕捉効率の増加を提供する。有意には、より多くの量の標的検体をセンサ表面上に捕捉することができる。例えば、拡散のみでは、センサを通過する有効な標的検体のうちの約0.1〜1%の捕捉である。しかしながら、標的検体に結合する磁気粒子への磁界発生器の適用によって、センサ表面上で標的検体の最大100%の捕捉効率が、磁気泳動を使用することによって可能である。標的検体は、センサ表面に引き付けられる磁気粒子に結合されるため、標的検体は、試料の他の構成要素よりも更に高率で表面に移動される。したがって、センサ表面への標的検体の優先的吸着が達成される。
【0184】
本明細書に記載の方法は、音弾性センサ、更に特に、音弾性機械的バイオセンサを利用し、少なくとも1つの物理的特性の変化を検出し、検出可能な変化に応えて、信号を発生する。好ましくは、本明細書に利用される音弾性機械的バイオセンサは、表面弾性波(SAW)バイオセンサである。これらの装置において、弾性波は、表面弾性波あるいはバルク超音波のいずれかとして、圧電基板上で交互配置型変換器(IDT)から生成される。第2のIDTは、測定用の電気信号に戻る弾性波を変換してよい。これは遅延線と呼ばれる。あるいは、装置は、共振回路として作動させてもよい。2つのIDT間の空間は、化学的又はバイオセンシング応用のための反応分子を含んでよいコーティングで改善することができる。
【0185】
圧電系のSAWバイオセンサは、典型的に、質量又は粘度の微細な変化を検出するために能力を基に作動する。米国特許第5,814,525号に記載されるように、圧電系の音弾性機械的装置の種類は、質量変化の検出のモードにより異なるが、表面弾性波(SAW)、音響板モード(APM)、又は水晶振動子マイクロバランス(QCM)装置に、更に再分割することができる。
【0186】
いくつかの実施形態において、音弾性機械的バイオセンサは、圧電系の音弾性機械的バイオセンサの表面に標的検体を結合する二次捕捉剤又は反応物質(例えば、抗体)を含む。表面波の伝搬速度は、質量、弾性、粘弾性、伝導度及び誘電率等の変化を検出することができる高感度プローブである。したがって、これらの特性のいずれかの変化は、表面弾性波の検出可能な変化をもたらす。つまり、物質がSAW装置の表面コーティングと接触、吸着、又はさもなくば、接着をもたらす場合、対応する反応が発生される。
【0187】
APMはまた、液体と接触して装置と共に作動させることもできる。同様に、QCM(典型的に、ATカット水晶)装置上の2つの対向電極に印加される交流電圧は、コーティング物質において、質量に比例して共振周波数変動を変化させる厚さのせん断波モードを誘発する。
【0188】
音波伝搬の方向(例えば、導波路に平行平面又は導波路の平面に垂直に)は、音弾性機械的バイオセンサを作製する厚電材料の結晶カットによって決定される。平面中及び平面外に音波伝搬の大部分(すなわち、レーリ波、ほとんどはラム波)を有するSAWバイオセンサは、一般に、表面との液体接触から音響減衰がありすぎるため、液体センシング応用に利用されない。
【0189】
液体試料培地では、せん断水平表面弾性波バイオセンサ(SH−SAW)が使用されるのが好ましく、それは、波動伝搬がせん断水平モード(すなわち、バイオセンサ導波路の平面)に対して回転することを可能にする、結晶カット及び配向を有する厚電材料から作製され、バイオセンサ表面と接触して液体の減少した弾性漏洩損失をもたらす。せん断水平弾性波は、例えば、音響板モード(APM)、表面スキミングバルク波(SSBW)、Love波、漏洩弾性波(LSAW)、及びBleustein−Gulyaev(BG)波を含む。
【0190】
特に、Loveモードセンサは、ST結晶のSSBW等のSH波又は36°YXLiTaOの漏洩波を支持する基質からなる。これらのモードは、薄弾性導波層又は導波路の応用によって、Love波モードに変換される。これらの波は、周波数に依存し、導波層のせん断波速度は、厚電基質の速度よりも低いという条件で、発生されることができる。SiOは、結晶上で弾性導波層として使用されている。ポリメチルメタクリレート、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂(例えば、商標表記 NOVALAC)、ポリイミド及びポリスチレン等の他の熱可塑性及び架橋重合導波路材料も利用されている。
【0191】
あるいは、QCM装置もまた、これらの装置を用いるが、液体試料培地と共に使用することができ、弾性波は、液体培地によって著しく漏洩し、一般に感度が低い装置をもたらす。
【0192】
音弾性機械的手段を利用するバイオセンサ及びこのようなバイオセンサの構成成分はよく知られている。例えば、米国特許第5,076,094号、同第5,117,146号、同第5,235,235号、同第5,151,110号、同第5,763,283号、同第5,814,525号、同第5,836,203号、同第6,232,139号を参照。SH−SAW装置は、ニューメキシコ州アルバカーキ(Albuquerque)所在のサンディアナショナルラボラトリーズ(Sandia National Laboratories)等の様々な製造業者から入手することができる。あるSH−SAWバイオセンサは、バイオセンサ及びバイオ電子(Biosensors and Bioelectronics)、19巻、849〜859頁、2004年、の「36°YXLiTaOのLove波バイオセンサを使用した炭疽菌刺激物質の低濃度での検出(Low-level detection of a Bacillus anthracis simulant using Love-wave biosensors on 36°YX LiTaO3)にも記載されている。SAWバイオセンサ、並びに生物剤を検出する方法は、2003年12月30日出願の米国特許出願第60/533,169号にも記載されている。
【0193】
いくつかの実施形態において、バイオセンサの表面は、導波路層を覆っている二次捕捉剤又は反応物質(例えば、抗体)を含む。本実施形態において、バイオセンサは、典型的に、二次捕捉剤又は反応物質によって結合される粘度及び/又は質量の変化を検出する。本実施形態では、バイオセンサは、好ましくは、固定化される層(導波路層を覆っている)及び任意の結合層(1つ又は複数)を含む。
【0194】
本発明に関連して使用されることができるような音弾性機械的センサを操作及び監視する技術の実施例は、例えば、米国特許第5,076,094号(フライ(Frye)ら)、同第5,117,146号(マーチン(Martin)ら)、同第5,235,235号(マーチン(Martin)ら)、同第5,151,110号(ベイン(Bein)ら)、同第5,763,283号(セルノセック(Cernosek)ら)、同第5,814,525号(レンシュラー(Renschler)ら)、同第5,836,203号(マーチン(Martin)ら)、及び同第6,232,139号(カザルヌオーヴォ(Casalnuovo)ら)等に見ることができる。更なる実施例は、例えば、ブランチ(Branch)らの、バイオセンサ及びバイオ電子(Biosensors and Bioelectronics)、19巻、849〜859頁、2004年、の「36°YXLiTaOにおけるLove波バイオセンサを使用した炭疽菌刺激物質の低濃度での検出(Low-level detection of a Bacillus anthracis simulant using Love-wave biosensors on 36°YX LiTaO3)、並びに2004年12月17日出願のPCT公開第WO 2005/066622号に記載されている。
【0195】
検出装置は、検出カートリッジとして記載される1つの単位に含まれてもよい。例示的な検出カートリッジは、更に2004年12月17日出願のPCT公開第WO 2005/075973号、2004年12月17日出願のPCT公開第WO 2005/064349号に更に記載され、本発明に関連して使用することのできる検出カートリッジ及び/又はモジュールの追加の機能に記載される。流体モニター及び様々な物質を運搬するためのモジュール等のセンサカートリッジの他の任意の機能は、PCT公開第WO 2005/075973号に更に記載される。様々な検出システム及び構成要素(バイオセンサを含む検出カートリッジ)は、例えば、PCT公開第WO 2005/075973号及び同第WO 2005/064349号に見られる。
【0196】
本発明の方法は、下記に示される様々な米国特許出願に記載されるように、様々な物質、方法、系、装置等と組合せて利用されてよい。それらは、米国特許出願公開第2005−0142296−A1号、同第2005−0107615−A1号、同第2005−0112672−A1号、同第2005−0106709−A1号、同第2005−0227076−A1号、米国特許出願公開第2005−0153370−A1号、同第2006−0135718−A1号、同第2006−0135783−A1号、PCT公開第WO 2005/066622号、PCT公開第WO 2005/066621、PCT公開第WO 2005/075973号、PCT公開第WO 2005/064349号、及びPCT公開第WO 2005/066092号を含む。
【実施例】
【0197】
ここで、本発明は、可能な記述が実施可能な発明者によって予測される、いくつかの特定の実施形態を参照して記載されている。現在予測されていない修正を含む、本発明の実体の無い修正は、それでもなお、それらと同等であると定めることができる。したがって、本発明の範囲は、本明細書において説明した詳細及び構造に限定されるべきではなく、むしろ、以下の特許請求の範囲、及びそれらと同等の物によって単に限定されるべきである。
【0198】
I.細菌の全細胞を捕捉する方法
(実施例I−1)
特定の抗体−磁気粒子複合体の調製
A.1ミクロンの粒子
マウス抗プロテインAモノクローナル抗体、MAb−107は、2006年11月22日出願の米国特許出願第11/562,747号、及びPCT特許出願第US07/84,739号、共に名称「プロテインA選択性を有する抗体(ANTIBODY WITH PROTEIN A SELECTIVITY)」において記載される。米国特許第6,979,446号に記載のマウス抗ブドウ球菌クランピング因子モノクローナル抗体、MAb 12−9は、インヒビテックス社(Inhibitex, Inc.)(ジョージア州アルファレッタ(Alpharetta))から入手した。アフィニティー精製したヤギ抗クランピング因子免疫血清は、2006年11月22日出願の米国特許出願第60/867,089号、及びこれと共に同日に出願の米国特許出願第________号(代理人整理番号第62611US005号)に記載され、それらの両方は、「選択的な溶出条件による特異抗体の選択(SPECIFIC ANTIBODY SELECTION BY SELECTIVE ELUTION CONDITIONS)」という題である。
【0199】
すべての抗体調製物は、製造業者の使用法に従って、ピアス(Pierce)からEZ−リンクNHS−PE04−ビオチン(製品番号21330)を用いてビオチン化された。ストレプトアビジンコーティングされた磁気粒子(1μm Dynal T1)はインビトロゲン社(Invitrogen, Inc.)(カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad))から入手した。すべての反応及び洗浄は、他に規定されない限り、PBS L−64緩衝液(0.2%w/vプルロニックL64を有するリン酸緩衝生理食塩水)中で実施された。洗浄工程は、他に規定されない限り、3回の連続洗浄を含んだ。洗浄プロセスは、磁石に近位の管側に、粒子を引き込むための管に隣接して磁石を設置する工程と、隣接した磁石で管から液体を除去する工程と、除去された液体を交換するために等量の新しい緩衝液を添加する工程からなる。磁石を除去し、再懸濁及び粒子の混合を可能にした。
【0200】
ストレプトアビジンコーティングされた磁気粒子を、1ミリリットルあたり2.5ミリグラム(mg/mL)の濃度で、500マイクロリットル(μL)のPBS L−64緩衝液中で、ビオチン化抗体調製物と混合した。結合のための粒子に対する抗体の質量比は、40μg抗体/mg粒子であった。得られる混合物を37℃で1時間(hr)インキュベートした。続いて、粒子を、PBS L−64緩衝液中で洗浄し、結合しなかった抗体を除去した。最終洗浄後、粒子を、2.5mg/mLの粒子濃度で再懸濁した。
【0201】
B.ナノ粒子
ストレプトアビジンコーティングされた200nm粒子は、アデムテック(Ademtech)(フランス、ペサック(Pessac))から入手した。ビオチン化されたMAb−107抗体は、抗体結合反応が製造業者(アデムテック(Ademtech))によって提供される独自の固定化緩衝液中で実行されることを除いて、上述のように、ストレプトアビジンコーティングされた粒子に結合された。結合のための粒子に対する抗体の質量比は、アデムテック(Ademtech)粒子に対しては1μg抗体/mg粒子であった。粒子を洗浄した後、抗体複合体粒子を、5mg/mLの粒子濃度で、固定化緩衝液中に再懸濁した。
【0202】
(実施例I−2)
1つ以上の抗原特異性を含む磁気粒子懸濁液の調製
A.免疫多特異的磁気粒子の調製
ストレプトアビジンコーティングされたDynal T1磁気粒子(2.5mg/mL)の懸濁液を、実施例I−1Aに記載されるように、アフィニティー精製GxClf40−ビオチンとMAb107−ビオチンの混合物に結合した。
【0203】
本実施例において、結合のための粒子に対するそれぞれ特定の抗体の質量比は、20μg抗体/mg粒子であった。粒子を洗浄した後、抗体複合体粒子を、2.5mg/mLの最終粒子濃度で、PBS L−64中に再懸濁した。この懸濁液を「混合物1」と呼んだ。
【0204】
ストレプトアビジンコーティングされたアデムテック(Ademtech)200nm磁気粒子(2.5mg/mL)の懸濁液を、結合反応における粒子に対するそれぞれの抗体の質量比が、固定化緩衝液中で、1.0μg抗体/mg粒子に調整されたことを除いて、実施例I−1Bに記載されるように、MAb107−ビオチンとアフィニティー精製GxClf40−ビオチン抗体の混合物と結合させた。洗浄後、粒子を、5mg/mLの粒子濃度で、固定化緩衝液中に再懸濁した。この懸濁液を「混合物2」と呼んだ。
【0205】
B.単一特異的抗体コーティングされた磁気粒子の混合物の調製
等量のMAb107と、実施例I−1Aからのアフィニティー精製GxClf40抗体複合体Dynal T1(1μm)粒子懸濁液を混合し、2.5mg/mLの最終粒子濃度(1.25mg/mLのMAb−107複合体及び1.25mg/mLのアフィニティー精製GxClf40複合体)を得た。得られた懸濁液を「混合物3」と呼んだ。
【0206】
(実施例I−3)
抗体コーティングされた1μm磁気粒子を使用した黄色ブドウ球菌細胞の捕捉
A.方法
細胞捕捉試験に使用された黄色ブドウ球菌株を表I−1に記載する。菌株25923は、バージニア州マナッサス(Manassas)所在のアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関から入手した。黄色ブドウ球菌の他の菌株は、臨床試料から単離した。細菌懸濁液を、トリプシン大豆ブロス中で37℃で一晩培養することによって調製した。培養物は、細胞を採取するために遠心分離され、細胞ペレットを、約5×10cfu/mLの最終濃度で、0.2%w/vプルロニックL64を有する無菌リン酸緩衝生理食塩水中に再懸濁した。実験前に、細菌を3回洗浄し、約5×10に希釈した。32マイクロリットルの抗体コーティングされた(Dynal)粒子懸濁液(2.5mg/mL)を、ポリプロピレンの2mLバイアル瓶中で、468マイクロリットルの黄色ブドウ球菌懸濁液と混合した。バイアル瓶を30秒(s)間手動で振動させ、細菌と粒子を混合した後、ロッキングプラットフォーム(1秒あたり約0.3サイクルに設定したReciprocating Barnstead/Thermolyne Varimix)で15分間攪拌した。粒子を、5分間、バイアル瓶の片側に(実施例I−1のように、磁石を用いて)引き寄せた。粒子によって吸着されない細菌細胞を含む上澄み液を除去し、滅菌したPBS L−64で10倍に希釈した。磁石からバイアル瓶を離し、500μLの滅菌したPBS L−64緩衝液を加え、バイアル瓶を30秒(s)間手動で攪拌し、粒子を再懸濁した。バイアル瓶を5分間磁石に隣接して定置し、洗浄液を吸引除去し、PBS L−64で10倍に希釈した。磁石からバイアル瓶を離し、500μLの緩衝液を加え、バイアル瓶を30秒手動で攪拌し、粒子を再懸濁した。
【0207】
各溶液のそれぞれ(上澄み液、洗浄液、及び再懸濁した粒子)における生菌数を、PETRIFILM Aerobic Count Plate(ミネソタ州セントポール(St. Paul)所在のスリーエムカンパニー(3M Company))でそれぞれの懸濁液の連続希釈液をプレートすることによって測定した。
【0208】
【表1】

【0209】
B.特定の抗体複合体磁気粒子を有する黄色ブドウ球菌の捕捉
Dynal T1粒子の複合体(実施例I−1A)を、実施例I−3Aによりブドウ球菌細胞を捕捉し、定量するために使用した。菌株25923は、プロテインA及びクランピング因子抗原の両方を産生する。菌株317は、クランピング因子を産生するが、試験抗原として溶解ブドウ球菌細胞を用いたELISAアッセイを使用したとき、検出可能な濃度のプロテインAを産生しない。複製試料を、それぞれの抗体に実施した。結果を下記の表I−2に示す。
【0210】
【表2】

【0211】
データは、両方の菌株は、抗クランピング因子抗体のいずれかでコーティングされた粒子によって効率よく捕捉されたが、菌株317は、抗プロテインA抗体でコーティングされた粒子によって効率よく捕捉されなかったことを示す。
【0212】
C.プロテインA及びクランピング因子抗原の両方に対して行われた抗体を含む粒子懸濁液を使用した黄色ブドウ球菌株317の捕捉
Mab107及びアフィニティー精製GxClf40抗体を有するDynal T1の複合体はそれぞれ、実施例I−2A(混合物1)に記載されるように調製された。Mab107及びアフィニティー精製GxClf40抗体の両方を有するDynal T1の複合体は、実施例I−2B(混合物3)により調製された。黄色ブドウ球菌株317の懸濁液を産生し、磁気粒子懸濁液と接触させ、細菌捕捉を実施例I−3Aに記載されるように測定した。結果を、表I−3にまとめる。
【0213】
【表3】

【0214】
実施例I−3Bに見られるように、MAb−07抗体複合体粒子によって細胞の捕捉はほとんどなかったが、アフィニティー精製GxClf40抗体複合体粒子によって効率的に細胞は捕捉された。データは、抗体が共に粒子に結合されるか、別々に粒子に結合されるかに関わらず、両方の抗体特異性を有する粒子懸濁液による黄色ブドウ球菌細胞の効率的な捕捉を示す。
【0215】
類似の捕捉実験が、黄色ブドウ球菌のいくつかの他の菌株で繰り返され、結果を表I−4に示す。
【0216】
【表4】

【0217】
両方の抗体でコーティングされた粒子は、ほとんど又は全くプロテインAを発現しない3つの菌株の有意に良好な捕捉を示した。プロテインAの比較的高いレベルを発現する、第4の菌株(336)に関しては、細胞捕捉は、単一特異的及び多特異的粒子の両方に匹敵する。
【0218】
(実施例I−4)
抗体−コーティングされた200nm磁気粒子を使用した黄色ブドウ球菌細胞の捕捉
A.免疫単一特異的(抗プロテインA)粒子による捕捉
細菌懸濁液を、実施例I−3に記載されるように、増殖、採取、及び洗浄した。アデムテック(Ademtech)200nm磁気粒子を、実施例I−1Bに記載されるように、MAb−107抗体でコーティングした。細菌捕捉実験は、本実施例において、15.8マイクロリットルの抗体複合体粒子を484マイクロリットルの細菌懸濁液と混合することを除いて、実施例I−3のように行われた。5つの異なる細菌株を本実施例に使用した。捕捉結果を表I−5に示す。
【0219】
B.免疫多特異的(抗プロテインA+抗クランピング因子)粒子による捕捉
細菌懸濁液を、実施例I−3に記載されるように、増殖、採取、及び洗浄した。アデムテック(Ademtech)200nm磁気粒子を、実施例I−2Aに記載されるように、MAb−107及びアフィニティー精製GxClf40抗体でコーティングした。細菌捕捉実験は、本実施例において、15.8マイクロリットルの抗体複合体粒子を484マイクロリットルの細菌懸濁液と混合することを除いて、実施例I−3のように行われた。5つの異なる細菌株を本実施例に使用した。捕捉結果を表I−5に示す。
【0220】
【表5】

【0221】
より大きい(1μm)磁気粒子で見られるように、これらの結果は、異なる抗原特異性を有する抗体の混合物でコーティングされた粒子は、比較的低レベルのプロテインAを発現する黄色ブドウ球菌細胞を更に効率よく捕捉したことを示す。
【0222】
II.ELISAを使用して細菌について試料を分析する方法
(実施例II−1)
捕捉濃度の最適化及びタンデムプロテインA/クランピング因子の酵素免疫測定法(ELISA)に使用されるキャッピング抗体
A.一般材料及び方法
アッセイに使用される抗体は、2つの抗黄色ブドウ球菌プロテインAモノクローナル抗体(MAb−76及びMAb−107、2006年11月22日出願の米国特許出願第11/562,759号、及びPCT特許出願第US07/84,736号、共に名称「プロテインA選択性を有する抗体(ANTIBODY WITH PROTEIN A SELECTIVITY)」において記載され、又は、2006年11月22日出願の米国特許出願第11/562,747号、及びPCT特許出願第US07/84,739号、共に名称「プロテインA選択性を有する抗体(ANTIBODY WITH PROTEIN A SELECTIVITY)」において記載される)と、抗黄色ブドウ球菌クランピング因子モノクローナル抗体、MAb 12−9(米国特許第6,979,466号に記載のジョージア州アルファレッタ(Alpharetta)所在のインヒビテックス(Inhibitex))、及びRxClf40(ウサギ抗Clf40抗血清、インヒビテックス(Inhibitex))を含んだ。ELISAアッセイで使用する前に、RxClf40抗体を、2006年11月22日出願の米国特許出願第60/867,089号、及びこれと同日に出願の米国特許出願第________号(代理人整理番号第62611US005号)、共に名称「選択的な溶出条件による特異抗体の選択(SPECIFIC ANTIBODY SELECTION BY SELECTIVE ELUTION CONDITIONS)」において記載される工程によりアフィニティー精製した。
【0223】
すべてのキャッピング抗体は、使用前にビオチン化された。抗体は、イリノイ州ロックフォード(Rockford)所在のピアス(Pierce)からのEZ−リンクNHS−PE04−ビオチンキットを使用して、製造業者の取り扱い説明書に従いビオチン化された。
【0224】
これらの実験に使用されるリン酸緩衝生理食塩水(PBS、10mMリン酸緩衝液中、137mM NaCl及び2.7mM KCl、pH7.50)は、カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego)所在のEMDバイオサイエンス(EMD Biosciences)から入手した10倍の濃縮溶液から調製された。PBST試薬は、0.05%(v/v)トウィーン(TWEEN)20をPBS緩衝液に加えることによって、調製された。コスター(Costar)96ウェル高結合ポリスチレンマイクロタイタープレートは、マサチューセッツ州アクトン(Acton)所在のコーニングライフサイエンス(Corning LifeSciences)から入手した。すべての緩衝液は、洗浄緩衝液を除いて使用前に濾過された。すべての手順は、他に特定されない限り、室温で実施された。すべてのELISA洗浄手順は、1ウェルあたり200マイクロリットルの容積の5回順次洗浄を含み、すべての洗浄は、PBST緩衝液で行われた。アルカリホスファターゼ発色基質、pNPPは、メリーランド州ゲイサーズバーグ(Gaithersburg)所在のKPLから入手した。
【0225】
最適化実験に使用される抗原は、ザイメッドラボラトリーズ(Zymed Laboratories)(カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad)所在のインビトロゲン社(Invitrogen, Inc.))からのプロテインA抗原、ジョージア州アルファレッタ(Alpharetta)所在のインヒビテックス(Inhibitex)からのクランピング因子抗原(rClf40、米国特許第6,008,341号)及び黄色ブドウ球菌株25923の溶解細胞を含んだ。黄色ブドウ球菌25923は、バージニア州マナッサス(Manassas)所在のアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関から入手した。すべての抗原は、抗原希釈緩衝液中で3μg/mLに希釈され、濾過された溶解溶液−リソスタフィン(ミズーリ州セントルイス(St. Louis)所在のシグマアルドリッチ)中で調製された。抗原希釈緩衝液は、pH7.44で、0.2%w/vプルロニックL64(BASF、ニュージャージー州フローラムパーク(Florham Park))及び50mM EDTA二ナトリウムを含む、PBSからなった。
【0226】
黄色ブドウ球菌抗原を調製するために、菌株25923は、トリプシン大豆ブロス(カリフォルニア州サンタ・マリア(Santa Maria)所在のハーディ・ダイアグノスティクス(Hardy Diagnostics))中で、5.0×10cfu/mLの推定濃度に、37℃で一晩増殖された。培養物は、2回洗浄され(4℃、10,000rpm、10分間遠心分離した)、その後、PBSL(0.2%w/vプルロニックL64を含むPBS、BASF、ニュージャージー州フローラムパーク(Florham Park))に再懸濁された。洗浄された細菌ストックを、PBSL中、1.0×10cfu/mLの適切な濃度に、1:50で希釈した。これを更に、1.0×10cfu/mLの最終試料濃度のために、溶解溶液に1:100で希釈した。溶解しなかった、希釈した細菌を血液寒天プレート上にプレートし、元のブロス培養の濃度を実証した。アッセイ結果は、実際の出発細菌濃度に反映する。
【0227】
B.ELISAアッセイ条件
1つ又は2つの捕捉抗体をアッセイに使用した。抗体は、PBSで冷蔵保存された(4℃)保存出発濃度からマイクロウェルコーティング濃度に希釈された。100マイクロリットルのコーティング溶液は、マイクロウェルのウェルに加えられた。プレートは、37℃で60分間インキュベートされた。コーティング溶液は、ブロック工程前に除去された。
【0228】
すべてのマイクロタイタープレートは、200μL/ウェルのStabilCoatイムノアッセイ安定剤(ミネソタ州エデンプレーリー(Eden Prairie)所在のサーモディクス(Surmodics))でブロックされた後、4℃で一晩インキュベートされた。ブロック溶液は、抗原コーティング工程前に除去された。
【0229】
100マイクロリットルの捕捉抗原の適切な溶液は、それぞれのウェルに加えられ、プレートは、37℃で60分間インキュベートされた。プレートは、次いで、PBST溶液で洗浄された。
【0230】
2つのキャッピング抗体をアッセイに使用した。すべてのキャッピング抗体調製物は、ブロット(blotto)(PBST中の2%脱脂粉乳)で希釈された。100マイクロリットルの適切なキャッピング抗体混合物が、それぞれのウェルに加えられ、プレートは、37℃で60分間インキュベートされた。
【0231】
ストレプトアビジン結合アルカリホスファターゼ(ストレプトアビジンAP、ペンシルベニア州ウェストグローブ(West Grove)所在のジャクソン・イムノリサーチ・ラボラトリーズ(Jackson Immunoresearch Laboratories))は、0.5μg/mLの濃度に、ブロットで希釈された。マイクロタイタープレートを洗浄し、100μL/ウェルのストレプトアビジンAPをプレートに加えた。プレートは、37℃で60分間インキュベートされた。
【0232】
プレートを洗浄した。次いで、100μL/ウェルのpNPP基質をプレートに加えた。プレートを室温で15分間放置し、発色を観察した。アルカリホスファターゼ反応を100μL/ウェルの5%(w/v)EDTA二ナトリウムを加えることによって停止し、プレートをプレートリーダーに置き、405nmの波長で吸光度を読み取った。
【0233】
C.ブドウ球菌抗原の検出のための捕捉抗体濃度及び割合の最適化
ELISAアッセイを上述のように設定した。本試験の目的は、捕捉抗体及びキャッピング抗体の濃度が、全て3つの抗原調製物で最良の結合(ELISAアッセイにおいて最大の吸光度指数)を提供し、同時に、最低のバックグラウンド(ELISAアッセイにおいて最小の吸光度指数)を提供するものを決定することである。7つの96ウェルプレートを、表II−1に示される捕捉抗体の組合せでコーティングした。
【0234】
【表6】

【0235】
4つの抗原を以下のアッセイで実行した。1)PBS(抗原を含まない対照)、2)1ng/mLに溶解溶液で希釈したrClf40クランピング因子タンパク質、3)100pg/mLに溶解溶液で希釈したZymedプロテインA、及び4)黄色ブドウ球菌株25923(ATCC、バージニア州マナッサス(Manassas))は、上述されるように調製した。100マイクロリットルアリコートの抗原をプレートに加え、上述されるようにインキュベートした。
【0236】
7つのタンデムキャッピング抗体混合物は、それぞれのマイクロタイタープレートに対して1つの混合物として作製された。キャッピング抗体混合物を表II−2に示す。
【0237】
【表7】

【0238】
表II−3は、試験で使用されたプレートのうちの1つからの代表的なELISAの結果を示す。すべての実験からのデータは、0.93μg/mLのMAb−76及び7.5μg/mLのMAb 12−9からなる捕捉抗体濃度の混合が、抗原に対して最大結合活性及びPBS対照に対して最小のバックグラウンド指数を得たことを示した。この組合せが、キャッピング抗体混合物の更なる最適化のために選択された。
【0239】
【表8】

【0240】
D.ブドウ球菌抗原の検出のためのキャッピング抗体濃度の最適化
本実験は、捕捉抗体濃度を1μg/mL(MAb−76)及び7.5μg/mL(MAb 12−9)で一定にすることを除いて、実施例II−1Cに記載される実験と同様に行われた。これらの実験からの代表的なデータを表II−4に示す。データは、2.5μg/mLのMAb−107及び0.75μg/mLのアフィニティー精製RxClf40からなるキャッピング抗体の混合物が、ブドウ球菌抗原の一番低い量を検出したことを示す。
【0241】
【表9】

【0242】
検出限界試験を行うために選択された抗体濃度の組合せを表II−5に示す。
【0243】
【表10】

【0244】
(実施例II−2)
タンデムプロテインA/クランピング因子酵素免疫測定法(ELISA)におけるプロテインA及びクランピング因子抗原の検出の下限値の測定
すべての手順は、実施例II−1に記載されるように実行された。抗原は、抗原希釈緩衝液−0.2%w/vプルロニックL64(BASF、ニュージャージー州フローラムパーク(Florham Park))及び50mM EDTA二ナトリウムを含むPBS、pH7.44で、3μg/mLに希釈された、濾過した溶解溶液−リソスタフィン(ミズーリ州セントルイス(St. Louis)所在のシグマアルドリッチ(Sigma Aldrich))中で調製された。
【0245】
3つの抗原でアッセイを行った。1)2ng/mL〜0.0019ng/mLに連続2倍希釈で希釈されたClf40クランピング因子タンパク質、2)250pg/mL〜0.24pg/mLに連続2倍希釈で希釈されたZymedプロテインA(SpA)、及び3)黄色ブドウ球菌株25923、約5×10CFU/mL〜約4.8×10CFU/mLまでの最終試料濃度に連続2倍希釈で希釈されることを除いて、実施例II−1のように、調製された。抗原を含まない対照(上述されるような溶解溶液)も、プレートに含まれた。
【0246】
それぞれの抗原の検出の下限値は、その濃度点かつそれ以上で、連続して増加する吸光度を伴い、抗原を含まない対照の上で3倍の標準偏差値であった試料濃度を選択することによって決定された。タンデムアッセイに関しては、クランピング因子抗原の検出の下限値は、0.0019ng/mL以下であり、プロテインAの検出の下限値は、7.81pg/mLであった。溶解された黄色ブドウ球菌株25923の検出の下限値は、3,828細胞/mLであった。本試験の結果を表II−6に示す。
【0247】
【表11】

【0248】
(実施例II−3)
タンデムプロテインA/クランピング因子酵素免疫測定法(ELISA)における溶解及び非溶解の黄色ブドウ球菌細菌の検出の下限値の測定
すべての手順は、本実施例において、細胞を洗浄した黄色ブドウ球菌を2つの試料(溶解及び非溶解)に分けることを除いて、実施例II−1に記載されるように、実行された。溶解された試料は、実施例II−1に記載されるように処置された。黄色ブドウ球菌株222は、臨床分離株であった。
【0249】
非溶解黄色ブドウ球菌を除いて、すべての抗原、及び標準曲線は、抗原希釈緩衝液−0.2%w/vプルロニックL64(BASF、ニュージャージー州フローラムパーク(Florham Park))及び50mM EDTA二ナトリウムを含むPBS、pH7.44で、3μg/mLに希釈された、濾過した溶解溶液−リソスタフィン(ミズーリ州セントルイス(St. Louis)所在のシグマアルドリッチ(Sigma Aldrich))中で調製された。非溶解黄色ブドウ球菌は、実施例II−1Aに記載される抗原希釈緩衝液中で調製された。
【0250】
標準曲線は、Clf40クランピング因子タンパク質及びZymedプロテインAで作成された。Clf40クランピング因子タンパク質は、2.5ng/mL〜0.20ng/mLの連続2倍希釈で調製された。プロテインAは、400pg/mL〜3.13pg/mLの連続2倍希釈で調製された。抗原を含まない対照も、プレートに含まれた。
【0251】
黄色ブドウ球菌株25923及び222は、トリプシン大豆ブロス(カリフォルニア州サンタ・マリア(Santa Maria)所在のハーディ・ダイアグノスティクス(Hardy Diagnostics))中で、5.0×10cfu/mLの推定濃度に、37℃で一晩増殖された。培養物を2回洗浄した−ブロス培養物は、10,000rpm、4℃で10分間遠心分離された後、PBSL(0.2%w/vプルロニックL64を含むPBS)に再懸濁した。それぞれの洗浄した細菌ストックを、1.0×10cfu/mLから1.0×10cfu/mL(非溶解細胞)の推定濃度に、連続10倍希釈でPBSL中で希釈した。これらの希釈した試料のアリコートを、続けて、ゼロ細菌対照と同様に、1.0×10cfu/mL〜1.0×10cfu/mL(溶解細胞)の最終試料濃度に、溶解溶液で、1:10に更に希釈した。溶解しなかった、希釈した細菌を血液寒天プレート上にプレートし、元のブロス培養の濃度を実証した。アッセイ結果は、実際の出発細菌濃度を反映する。
【0252】
個々の安定化させたマイクロタイタープレートを洗浄し、捕捉抗体溶液:MAb 12−9、MAb−76、又はMAb 12−9とMAb−76の混合物のうちの1つでコーティングした。抗原試料(溶解黄色ブドウ球菌の連続希釈、非溶解黄色ブドウ球菌の連続希釈、及び溶解溶液対照)を、それぞれのコーティングされたプレートの2系列のウェルに加えた。クランピング因子及びプロテインAの標準曲線試料を、それらの対応する抗原に対する捕捉抗体でコーティングしたプレートに加えた。
【0253】
3つのキャッピング抗体調製物を作製した。1)2.5μg/mLのMAb−107.ビオチン、2)2.5μg/mLのアフィニティー精製ウサギ抗クランピング因子.ビオチン、及び3)それぞれ2.5μg/mL及び0.75μg/mLの最終濃度のために、1.5μg/mLのアフィニティー精製ウサギ抗クランピング因子.ビオチンと等量の5μg/mLのMAb−107.ビオチンの混合によって調製されたタンデムキャッピング抗体。キャッピング抗体混合物を適切なマイクロタイタープレートに加え、ELISAアッセイを完了した。
【0254】
実験からの代表的なデータを表II−7に示す。プロテインAプレート及びタンデム捕捉/キャッピングプレートからのデータは、全細菌と比較して、溶解された細菌に対して更に高感度の検出を示した。クランピング因子プレートからの結果は、溶解された及び全細菌と等価の検出を示した。概して、タンデムコーティング/捕捉アッセイは、単一捕捉抗体を使用したアッセイと比較したとき、標準曲線上で細菌の最も低い濃度を検出した。
【0255】
【表12】

【0256】
(実施例II−4)
タンデムプロテインA/クランピング因子酵素免疫測定法(ELISA)における非中和N−アセチルL−システインによる3M黄色ブドウ球菌株222のELISA活性の阻害の測定
A.一般材料及び方法
ELISAアッセイに使用された抗体は、2つの抗黄色ブドウ球菌プロテインAモノクローナル抗体(MAb−76、及びMAb−107、抗黄色ブドウ球菌クランピング因子モノクローナル抗体、MAb 12−9)を含んだ。ELISAアッセイに使用する前に、RxClf40抗体は、実施例II−1に記載されるように、アフィニティー精製された。すべてのキャッピング抗体は、使用前にビオチン化された。抗体は、イリノイ州ロックフォード(Rockford)所在のピアス(Pierce)からのEZ/リンクNHS−PE04−ビオチンキットを使用して、製造業者の取り扱い説明書に従いビオチン化された。
【0257】
これらの実験に使用されるリン酸緩衝生理食塩水(PBS、137mM NaCl及び2.7mM KCl、10mMリン酸緩衝液、pH7.50)は、カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego)所在のEMDバイオサイエンス(EMD Biosciences)から入手した10倍の濃縮溶液から調製された。ELISAアッセイに使用されるPBST試薬は、0.05%(v/v)トウィーン(TWEEN)20をPBS緩衝液に加えることによって、調製された。コスター(Costar)96ウェル高結合ポリスチレンマイクロタイタープレートは、マサチューセッツ州アクトン(Acton)所在のコーニングライフサイエンス(Corning LifeSciences)から入手した。すべての緩衝液は、洗浄緩衝液を除いて使用前に濾過された。すべてのELISA洗浄手順は、1ウェルあたり200マイクロリットルの容積の5回順次洗浄を含み、すべての洗浄は、PBST緩衝液で行われた。アルカリホスファターゼ発色基質、pNPPは、メリーランド州ゲイサーズバーグ(Gaithersburg)所在のKPLから入手した。
【0258】
これらの実験に使用される抗原は、3M黄色ブドウ球菌株222の細胞であった。黄色ブドウ球菌抗原を調製するために、菌株222は、トリプシン大豆ブロス(カリフォルニア州サンタ・マリア(Santa Maria)所在のハーディ・ダイアグノスティクス(Hardy Diagnostics))中で、5.0×10cfu/mLの推定濃度に、37℃で一晩増殖された。培養物は、2回洗浄され(10,000rpm、4℃で10分間遠心分離され)、その後、PBSに再懸濁された。洗浄された細菌ストックを、PBS中で、2.0×10cfu/mLまで希釈した。これを、1.0×10cfu/mLの最終試料濃度に、抗原試料調製中、1:20で更に希釈した。
【0259】
これらの実験で使用されるN−アセチルL−システイン(NAC)は、シグマグレード(Sigma grade)であり、ミズーリ州セントルイス(St. Louis)所在のシグマアルドリッチ(Sigma-Aldrich)から入手された。非中和NACを調製するために、NAC粉末をPBSに加え、4%(w/v)溶液を作製した後、連続2倍希釈物をPBS中に作製し、2%及び1%溶液を得た。中和NACを調製するために、4%溶液に十分なNAC粉末をPBSの換算体積に加えた。5M NaOHでほぼ中性のpHまで、pHを調整した後、更にPBSを加え、全体積が4%溶液を形成するようした。連続2倍希釈物をPBS中に作製し、2%及び1%溶液を得た。NACを含まないPBS緩衝液を、0%NAC対照として使用した。それぞれの溶液のpHを測定した後、それぞれの溶液を、0.22μMフィルタを用いてフィルタ滅菌した。
【0260】
【表13】

【0261】
本試験に使用されるリソスタフィンをシグマアルドリッチ(Sigma-Aldrich)から入手した。リソスタフィンを調製するために、リソスタフィンストックは、PBSで200μg/mLに希釈され、その後、0.22μMフィルタでフィルタ滅菌された。これを、10μg/mLの最終試料濃度のために、抗原試料調製中、1:20で更に希釈した。
【0262】
すべての手順は、他に特定されない限り、室温で実施された。
【0263】
B.ELISAアッセイ条件
2つの捕捉抗体(MAb 76及びMAb 12−9)をアッセイに使用した。抗体を、それらの冷蔵(4℃)保存出発濃度から、PBS中、2.0μg/mLのMAb 76及び15μg/mLのMAb 12−9に希釈し、その後、2つの抗体溶液を、1.0μg/mLのMAb 76及び7.5μg/mLのMAb 12−9の最終マイクロウェルコーティング濃度に等量で合わせた。100マイクロリットルのコーティング溶液が、マイクロウェルのウェルに加えられた。プレートは、37℃で60分間インキュベートされた。コーティング溶液は、洗浄することによって、ブロック工程前に除去された。
【0264】
マイクロタイタープレートは、200μL/ウェルのStabilCoatイムノアッセイ安定化剤(ミネソタ州エデンプレーリー(Eden Prairie)所在のサーモディクス(Surmodics))でブロックされた後、4℃で一晩インキュベートされた。ブロッキング溶液は、洗浄することによって、抗原コーティング工程前に除去された。
【0265】
100マイクロリットルの捕捉抗原の溶液が、それぞれのウェルに加えられ、プレートは、37℃で60分間インキュベートされた。プレートは、次いで、PBST溶液で洗浄された。
【0266】
2つのキャッピング抗体(ビオチン標識MAb−107及びビオチン標識RxClf40)をアッセイに使用した。抗体を、それらの冷蔵(4℃)保存出発濃度から、ブロット(2%脱脂粉乳、PBST)中、5.0μg/mLのMAb 107及び1.5μg/mLのRxClf40に希釈した。2つの抗体溶液をその後、2.5μg/mLのMAb 107及び0.75μg/mLのRxClf40の最終マイクロウェルコーティング濃度に等量で合わせた。100マイクロリットルのキャッピング抗体混合物が、それぞれのウェルに加えられ、プレートは、37℃で60分間インキュベートされた。
【0267】
ストレプトアビジン結合アルカリホスファターゼ(ストレプトアビジンAP、ペンシルベニア州ウェストグローブ(West Grove)所在のジャクソン・イムノリサーチ・ラボラトリーズ(Jackson ImmunoResearch Laboratories))は、0.5μg/mLの濃度に、ブロットで希釈された。マイクロタイタープレートを洗浄し、100μL/ウェルのストレプトアビジンAPをプレートに加えた。プレートは、37℃で60分間インキュベートされた。
【0268】
プレートを洗浄した。続いて、100μL/ウェルのpNPP基質をプレートに加えた。プレートを室温で15分間放置し、発色を観察した。アルカリホスファターゼ反応を100μL/ウェルの5%(w/v)EDTA二ナトリウムを加えることによって停止し、プレートをプレートリーダーに置き、405nmの波長で吸光度を読み取った。
【0269】
C.タンデムプロテインA/クランピング因子酵素免疫測定法(ELISA)における非中和N−アセチルL−システインによる3M黄色ブドウ球菌株222のELISA活性の阻害の測定
ELISAアッセイを上述のように設定した。本試験の目的は、3M黄色ブドウ球菌株222の抗原活性が非中和N−アセチルL−システイン(NAC)によって阻害されるか否かを判定することである。黄色ブドウ球菌細胞、リソスタフィン、及び中和又は非中和NACを異なる配列で混合した後、上記に記載のようにタンデムアッセイにおける抗原として使用した。
【0270】
試料調製:NAC、黄色ブドウ球菌細胞、及びリソスタフィンを、下記に示される手順に従い、異なる配列で混合した後、2系列でマイクロタイタープレートに直ちに加えた。これを、試験したそれぞれのNAC溶液に繰り返した。
【0271】
1.細菌を含まない対照:11.25μLのPBSと11.25μLのリソスタフィンを202.5μLのNACに加え、30秒間、攪拌した。
【0272】
2.NAC+(黄色ブドウ球菌+リソスタフィン):等量の黄色ブドウ球菌ストックとリソスタフィンを混合し、30秒間、撹拌した。22.5μLの本混合物を202.5μLのNACに加え、更に30秒間、攪拌した。
【0273】
3.(NAC+黄色ブドウ球菌)+リソスタフィン:11.25μLの黄色ブドウ球菌ストックと202.5μLのNACを混合し、30秒間、攪拌した。11.25μLのリソスタフィンを加えた後、更に30秒間、攪拌した。
【0274】
4.(NAC+リソスタフィン)+黄色ブドウ球菌:11.25μLのリソスタフィンと202.5μLのNACを混合し、30秒間、攪拌した。11.25μLの黄色ブドウ球菌ストックを加えた後、更に30秒間、攪拌した。
【0275】
表II−9は、試験からのELISA結果を示す。データは、溶液の強度又は試験した混合の順序に関わらず、本アッセイにおいて、非中和NACは、黄色ブドウ球菌株222のいずれのELISA活性をもなくすことを示す。
【0276】
【表14】

【0277】
追加の対照:
リソスタフィン保存液:0.095
PBS希釈剤:0.0925
III.音波センサを使用した細菌について試料を分析する方法
(実施例III−1)
磁気粒子へのMab 107−ビオチンの結合
Mab 107 IgG、Mab 76 IgG、ウサギ抗Clf40 IgG、ヤギ抗Clf40 IgG、Mab 12−9 IgG(ジョージア州アルファレッタ(Alpharetta)所在のインヒビテックス(Inhibitex))は、イリノイ州ロックフォード(Rockford)所在のピアス(Pierce)からのEZ−リンクNHS−PE04−ビオチンキットを使用して、製造業者の取り扱い説明書に従いビオチン化された。プロテインAを、インビトロゲン社(Invitrogen)から入手し、所望の試験濃度にPBSで希釈した。ストレプトアビジンコーティングされた磁気粒子及びビオチン化−Mab 107 IgG、Mab 76 IgG、ウサギ抗Clf40 IgG、ヤギ抗Clf40 IgG、Mab 12−9 IgG抗体の組合せ(2つ以上)を、所望の濃度で共に混合し、PBSL緩衝液中で、37℃で少なくとも1時間インキュベートした。その後、試料を、PBSL緩衝液中で3回洗浄し、いかなる結合していない抗体も除去した。最終洗浄後、上澄み液をPBSL緩衝液中の1mLのプロテインA試験試料で置換し、37℃で少なくとも30分間インキュベートした。
【0278】
(実施例III−2)
センサを調製し、検出実験を実行する方法
横波型弾性表面波(SH−SAW)センサ(カナダオンタリオ州(Ontario)ケンブリッジ(Cambridge))所在のCom Dev又はニューメキシコ州アルバカーキ(Albuquerque)所在のサンディアナショナルラボラトリー(Sandia National Laboratory)により供給)(導波管でスピンコーティングされた(2004年12月17日出願の名称「音響的センサ及び方法(Acoustic Sensors and Methods)」のPCT公開第WO 2005/066092号の実施例W1に記載されるように調製された、50:50のメチルメタクリレートとイソボルニルメタクリレートのコポリマー)を実験に使用した。センサは、2004年12月17日出願の名称「音響的センサ及び方法(Acoustic Sensors and Methods)」のPCT公開第WO 2005/066092号の実施例MP26に記載されるように調製された、50/50の酢酸ブチル/アセトニトリル中で作製された、35/35/30/0.5のイソボルニルメタクリレート/メタルメタクリレート/サッカリン−メタクリレート/アクリロイルオキシベンゾフェノンのターポリマーを備える、固定化化学でスプレイジェットコーティングされる。
【0279】
場合によっては、2つ以上の抗体の組合せで、プロテインAに特異的であるモノクローナル抗体(Mab107)、プロテインAに特異的であるMab 76 IgG、ウサギ抗Clf40 IgG、ヤギ抗Clf40 IgG、Mab 12−9 IgG(クランピング因子タンパク質特異的、ジョージア州アルファレッタ(Alpharetta)所在のインヒビテックス(Inhibitex))は、両方(アクティブ及び参照)のセンサチャネルに、手動でコーティング、又はスプレイジェットでコーティングされる。他の場合においては、2つ以上の抗体の組合せで、Mab 107 IgG、Mab 76 IgG、ウサギ抗Clf40 IgG、ヤギ抗Clf40 IgG、Mab 12−9 IgG(ジョージア州アルファレッタ(Alpharetta)所在のインヒビテックス(Inhibitex))又はウサギ抗黄色ブドウ球菌(RaSa)(ニューヨーク州ウエストバリー(Westbury)所在のアキュレート・ケミカル・アンド・サイエンティフィック・コーポレイション(Accurate Chemical & Scientific Corporation))は、1つのセンサチャンネル(アクティブチャンネル)に、手動でコーティング、又はスプレイジェットでコーティングされ、かつ非特異的ニワトリIgY(ペンシルベニア州ウェストグローブ(West Grove)所在のジャクソン・イムノリサーチ・ラボラトリーズ(Jackson Immunoresearch Laboratories)は、他のチャネル(参照チャネル)に、手動でコーティング、又はスプレイジェットでコーティングされる。
【0280】
コーティングされたセンサは、導電接着剤(異方性導電膜接着剤(Anisotropic conductive film adhesive)7313、ミネソタ州セントポール(St. Paul)所在のスリーエムカンパニー(3M Company))を介して熱ボンドされたフレキシブル回路である。接着されたセンサは、両面接着膜を介して温度制御されたフローポッドに付着される。センサは、その後、ネットワーク分析器を使用して、LabVIEWソフトウェアに書き込まれたソフトウェアプログラムによって起動される電子測定ボード(フレックス回路を介して)に接続される。LabVIEWソフトウェアは、ナショナルインスツルメンツ(テキサス州オースティン(Austin))から入手することができる。減衰及び位相特性は、所望の周波数範囲における実験を通して集めることができる。
【0281】
実験を開始するために、PBS泳動用緩衝液(下記に記載)は、シリンジポンプを介して0.1mL/分の平均流速で、センサ上を流れ、その後、所望の流速に調整される。ソフトウェアプログラムは、その後、実験を開始するために使用される。ネオジム−鉄−ホウ素(NdFeB)からなる希土類磁石を、センサ下の位置に作製する。十分な流量が安定化した後、試料を、注入バルブを介して注入し、ソフトウェアによって指定された時間でセンサに流す。
【0282】
試料がセンサ表面上に到達し、回収された後、磁石は、センサ表面で磁界の強さを有意に低下させるために、十分な距離(ソフトウェアによって指定された時間で)に移動させる(下げる)。典型的に、磁石は、65mmを超えて移動される。しかしながら、磁界強度は、更に短い距離で有意に低下される。
【0283】
フローは、位相及び減衰信号を安定させるまで、十分な時間継続される。(典型的に、これは、コンピュータスクリーンに表示される位相及び減衰生信号の目視検査によって測定される。磁石を下げた後、期待される信号の変化と比較して、生信号の経時変化が比較的小さい場合、信号は安定していると見なされる。)。
【0284】
タイムゲートアルゴリズム(8753ET/ESネットワーク分析器のユーザガイドの3〜35頁、及び3〜36頁、アジレントテクノロジー(Agilent Technologies))を使用して、実験から生じた生の位相及び減衰データを処理する。他に特に規定のない限り、データ収集のための時間間隔単位は、13秒であり、データ収集をソフトウェアによって開始するとき、時間は始まる。アルゴリズムに対する適切なゲートは、使用される特定のセンサ設計に基づいて特定され得る。アルゴリズムは、実験から得られたデータが既にタイムゲートされるように、ネットワーク分析器を通して直接適用することができる。あるいは、生データをMatlab(マサチューセッツ州ナティック(Natick)所在のザ・マスワークス(The Mathworks))に書き込まれたソフトウェアプログラムを使用して収集することができ、実行することができる。
【0285】
タイムゲートされたデータは、位相及び減衰においてシフトを測定するために更に分析される。本データ処理のすべては、Matlabソフトウェアを使用して行われる。参照チャネルがないこれらの場合では、2つのチャネルにおける位相と減衰の両方に対する信号におけるシフトは、磁石を下げた後、信号が安定している場合の値から磁石を下げる前の値を差し引くことによって、計算される。
【0286】
アクティブ及び参照チャネルの両方を有するセンサでは、異なる信号は、それぞれ、参照チャネルの減衰及び位相信号をアクティブチャネルの減衰及び位相信号から差し引くことによって算出される。この異なる信号のシフトは、磁石を下げた後に得られた安定した信号から、磁石を下げる直前の値を差し引くことによって、計算される。
【0287】
本明細書に記載されるすべての特許、特許出願、刊行物、並びに核酸及びタンパク質データベースエントリ(例えば、GenBank受入番号を含む)のすべての開示は、個々に組み込まれるように、参照することによって本願に組み込まれる。本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明の様々な変更及び変化が当業者には明らかであろうし、本明細書に記載の説明的実施例に本発明が不当に制限されないことは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の細菌の検体特性を捕捉する方法であって、
特定の細菌の1つ以上の検体特性を備える標的全細胞を含むと推測される試料を提供する工程と、
特定の細菌の2つ以上の異なる検体特性に対する抗原特異性を有する2つ以上の抗体を提供する工程であって、前記抗体が、少なくとも1つのモノクローナル抗体を備える工程と、
固体支持材料を提供する工程と、
存在する場合、特定の細菌の1つ以上の検体特性で標的全細胞を捕捉するのに有効な条件下で、試料、固体支持材料、及び2つ以上の抗体間の接触を提供する工程とを含む、方法。
【請求項2】
前記2つ以上の抗体が、検体結合材料を形成する前記固体支持材料に結合し、前記方法が、存在する場合、特定の細菌の1つ以上の検体特性で標的全細胞を捕捉するのに有効な条件下で、前記試料と前記検体結合材料との間の接触を提供する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試料と前記検体結合材料との間の接触を提供する工程が、前記試料と前記2つ以上の抗体との間の同時接触を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
試料、固体支持材料、及び2つ以上の抗体の間の接触を提供する工程が、前記2つ以上の抗体と前記試料との間の接触を提供し、抗体結合した全細胞を形成する工程と、続いて、前記抗体結合した全細胞と前記固体支持材料との間の接触を提供する工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記固体支持材料が、粒子材料を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記粒子材料が、磁気粒子を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記抗体が、モノクローナル、ポリクローナル、又はこれらの組合せである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記抗体が、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、アフィニティー精製GxClf40、MAb12−9、これらのフラグメント、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記抗体が、MAb−107、アフィニティー精製GxClf40、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
特定の細菌が、グラム陽性細菌を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
特定の細菌が、黄色ブドウ球菌を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
標的全細胞の少なくとも20%が捕捉される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
標的全細胞の少なくとも50%が捕捉される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
標的全細胞の少なくとも80%が捕捉される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記固体支持材料が、0.04mg/mLを超える濃度の粒子を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記固体支持材料が、粒子を含み、抗体と粒子の比率が、1μg/mg粒子を超える、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記固体支持材料が、粒子を含み、抗体と粒子の比率が、少なくとも0.01μg/mg粒子である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
抗体と粒子の比率が、10μg/mg粒子未満である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記固体支持材料が、粒子を含み、それぞれの粒子が、それらの上に配置された異なる検体を結合する少なくとも2つの抗体を有する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
細菌について試料を分析する方法であって、
特定の細菌の1つ以上の検体特性を含むと推測される試料を提供する工程と、
特定の細菌の2つ以上の異なる検体特性に対する抗原特異性を有する2つ以上の固定化された抗体を提供する工程と、
特定の細菌の2つ以上の異なる検体特性に対する抗原特異性を有する2つ以上の標識された抗体を提供する工程であって、前記抗体は直接又は間接酵素標識で標識される工程と、
試料、固定化された抗体、及び標識された抗体との間の接触を提供し、前記標識された抗体と前記不動化された抗体との間に1つ以上の検体を結合する工程であって、
存在する検体のそれぞれに対し、前記固定化された抗体及び前記標識された抗体が、2つ以上の抗体結合対を備える工程と、
特定の細菌の有無を分析する工程とを含む、方法。
【請求項21】
試料、固定化された抗体、及び標識された抗体との間の接触を提供する工程が、
試料に存在する場合、特定の細菌の1つ以上の検体特性を捕捉するのに有効な条件下で前記試料を前記固定化された抗体と接触させ、1つ以上の捕捉された検体を形成する工程と、
存在する場合、1つ以上の捕捉された検体と標識された検体との間で結合させるのに有効な条件下で、前記1つ以上の捕捉された検体を、前記標識された抗体と接触させる工程とを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
試料を固定化された抗体と接触させる工程が、前記試料とそれぞれの固定化された抗体との間の接触を同時に提供する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
存在する場合、1つ以上の捕捉された検体と、標識された抗体を接触させる工程が、前記捕捉された検体とそれぞれの標識された検体との間の接触を同時に提供する工程を含む、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
試料、固定化された抗体、及び標識された抗体との間の接触を提供する工程が、
特定の細菌の1つ以上の検体特性と、試料に存在する場合、前記標識された抗体との間の相互作用を生じるのに有効な条件下で、前記試料を前記標識された抗体と接触させる工程と、
標識された抗体、1つ以上の検体、及び固定化された抗体との間の結合を生じるのに有効な条件下で、前記固定化された抗体を、前記標識された抗体を含む試料と接触させる工程とを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記抗体が、モノクローナル、ポリクローナル、又はこれらの組合せである、請求項20〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記抗体が、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、アフィニティー精製GxClf40、MAb12−9、これらのフラグメント、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記固定化された抗体が、固体支持材料に結合する、請求項20〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記固体支持材料が、マイクロウェルプレートの表面を備える、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記マイクロウェルプレートのウェルが、それらの中に抗体の混合物を固定化している、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記抗体の混合物が、2つのモノクローナル抗体を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記抗体の混合物が、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記固定化された抗体が、MAb12−9及びMAb−76を含む、請求項26〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記標識された抗体が、MAb−107及びアフィニティー精製RxClf40を含む、請求項26〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記標識された抗体が、直接酵素標識を含む、請求項20〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記標識された抗体が、ポリエチレンオキシドリンカーを介して連結したビオチンを含む、請求項20〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記標識された抗体が間接標識を含む場合、前記方法が、前記1つ以上の捕捉された検体と、存在する場合、前記標識された抗体を接触する前、接触中、又は接触後に、前記標識された抗体を酵素複合体と反応させる工程を更に含む、請求項20〜33及び35に記載の方法。
【請求項37】
特定の細菌の有無を分析する工程が、比色分析で分析する工程を含む、請求項20〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記比色分析が、発色性酵素基質を使用する工程を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記発色性酵素基質が、パラニトロフェニルリン酸塩を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
特定の細菌が、グラム陽性細菌を含む、請求項20〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
特定の細菌が、黄色ブドウ球菌を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記試料が、溶解細胞を含む、請求項20〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記試料が、溶解細胞を形成するためにリソスタフィンで処理される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
特定の細菌の有無を分析する工程が、存在する検体の全体量を定量化する工程を含む、請求項20〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記試料が、全細胞を含む、請求項20〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記試料が、鼻の試料である、請求項20〜45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
細菌について試料を分析する方法であって、
特定の細菌の1つ以上の検体を含むと推測される試料を提供する工程と、
特定の細菌の2つ以上の異なる抗体特性に対して抗原特異性を有する2つ以上の粒子−抗体複合体を提供する工程と、
特定の細菌の2つ以上の異なる検体特性に対し、抗原特異性を有する2つ以上の固定化された抗体を含む、検出表面を備える音弾性機械的センサを備えるシステムを提供する工程と、
試料、音弾性機械的センサの検出表面上の固定化された抗体、及び粒子−抗体複合体との間の接触を提供し、前記粒子−抗体複合体及び前記固定化された抗体との間に1つ以上の検体を結合する工程であって、
存在する検体のそれぞれに対し、前記固定化された抗体及び前記粒子−抗体複合体が、2つ以上の抗原結合対を含む工程と、
特定の細菌の有無を分析する工程とを含む、方法。
【請求項48】
試料、音弾性機械的センサの検出表面上の固定化された抗体、及び粒子−抗体複合体との間の接触を提供する工程が、
特定の細菌の1つ以上の検体特性と、試料内に存在する場合、粒子−抗体複合体との相互作用を生じるのに有効な条件下で、試料を前記粒子−抗体複合体と接触させる工程と、
粒子−抗体複合体、1つ以上の抗体、及び固定化された抗体との間の結合を生じるのに有効な条件下で、音弾性機械的センサの検知表面を、前記粒子−抗体複合体を含む試料と接触させる工程とを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
試料、音弾性機械的センサの検出表面上の固定化された抗体、及び粒子−抗体複合体との間の接触を提供する工程が、
試料内に存在する場合、特定の細菌の1つ以上の検体特性を捕捉するのに有効な条件下で、前記試料を前記固定化された抗体と接触させ、1つ以上の捕捉された検体を形成する工程と、
1つ以上の捕捉された検体と粒子−抗体複合体との間の結合を生じるのに有効な条件下で、前記1つ以上の捕捉された検体を、存在する場合、前記粒子−抗体複合体と接触させる工程とを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記試料を前記固定化された抗体と接触させる工程が、前記試料とそれぞれの固定化された抗体との間の接触を同時に提供する工程を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記1つ以上の捕捉された検体を、存在する場合、前記粒子−抗体複合体と接触させる工程が、前記補捉された検体とそれぞれの粒子−抗体複合体との間の接触を同時に提供する工程を含む、請求項49又は50に記載の方法。
【請求項52】
前記粒子−抗体複合体の粒子が、磁気粒子を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項53】
それぞれの粒子が、それらの上に配置された異なる検体を結合する少なくとも2つの抗体を有する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記方法が、
標的検体を、結合した磁気粒子で、前記センサの検出表面に引き寄せる、検出表面に近接した磁界を提供することが可能な磁界発生器を提供する工程と、
標的生物学的検体を、結合した磁気粒子で前記検出表面に選択的に結合する工程と、
検出表面に近接した磁界を実質的に減少させるために磁界発生器を無効にする工程と、
検出表面が液体に沈水されている間、前記音弾性機械的センサを作動して、結合した標的生物学的検体を検出する工程とを更に含む、請求項52又は53に記載の方法。
【請求項55】
前記磁界発生器を無効にする工程が、磁界発生器を、検出表面に隣接した磁界を実質的に減少させるために、十分な距離を移動させる工程を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記音弾性機械的センサが、弾性表面波センサを備える、請求項47〜55に記載のいずれか1つの方法。
【請求項57】
前記弾性表面波センサが、せん断水平弾性表面波センサを備える、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記弾性表面波センサが、Loveモードせん断水平弾性表面波センサを備える、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記抗体が、MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、アフィニティー精製GxClf40、MAb12−9、これらのフラグメント、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項47〜58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
特定の細菌が、グラム陽性細菌を含む、請求項47〜59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
特定の細菌が、黄色ブドウ球菌を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記試料が、溶解細胞を含む、請求項47〜61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記試料が、溶解細胞を形成するためにリソスタフィンで処理される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
特定の細菌の有無を分析する工程が、存在する検体の全体量を定量化する工程を含む、請求項47〜63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
試料が、鼻の試料である、請求項47〜64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
検体結合材料であって、
固体支持材料と、
前記固体支持材料上に配置された、抗体MAb−76、MAb−107、アフィニティー精製RxClf40、アフィニティー精製GxClf40、MAb12−9、これらのフラグメント、又はこれらの組合せと、
任意に検出可能なマーカーとを含む、検体結合材料。
【請求項67】
前記固体支持材料が、粒子物質を含む、請求項66に記載の検体結合材料。
【請求項68】
前記粒子材料のそれぞれの粒子が、それらの上に配置された異なる検体を結合する、少なくとも2つの抗体を有する、請求項66に記載の検体結合材料。
【請求項69】
前記固体支持材料が、マイクロウェルプレートの表面を備える、請求項66に記載の検体結合材料。
【請求項70】
前記マイクロウェルプレートのウェルが、それらの中に抗体の混合物を固定化している、請求項69に記載の検体結合材料。
【請求項71】
マイクロウェルプレートが、それらの上に配置された異なる検体に結合する、少なくとも2つの抗体を有する、請求項70に記載の検体結合材料。

【公表番号】特表2010−510526(P2010−510526A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538491(P2009−538491)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/085254
【国際公開番号】WO2009/005536
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】