説明

終端制御システム

【課題】 RFケーブルに電源と監視信号を重畳する同軸給電方式を用い、親機と子機とが同一のケーブルで接続されているシステムにおいて、監視信号の自動終端が確実に制御され、通信不可能となる事態を回避できる終端制御システムを提供する。
【解決手段】 RFケーブルに電源と監視信号とを重畳する同軸給電システムにおいて、同一のケーブルで接続される親機と複数の子機とを備え、子機は電流センサを有して、ケーブルの電流を検知することにより、次段の子機が接続されているかどうかを判定する手段と、判定できない場合は自動的に終端させる手段とを備え、監視信号の終端を制御する終端制御システムとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFケーブルに電源と監視信号を重畳する同軸給電システムの制御に係り、より詳細には、親機と子機とが同一のケーブルで接続されているシステムにおける監視信号の終端制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のシステムでは、システムを設置する際に、設置者が末端子機に終端器を取り付けるか、または、各子機に内蔵されている終端スイッチを末端子機にのみONさせていた。このように、設置時に末端子機の監視信号を終端させることにしているため、設置した後に異常が発生して終端が外れた場合には、反射波を生じてシステムが通信不能になる虞があった。
【0003】
図3は、従来のシステムを示す図であり、このシステム300で起こりうる問題点を説明するための図である。
この図3のシステム300では、親機と子機(1〜10)とを備えており、子機10を末端子機として設定したとき、この子機10の終端が外れた場合には、この子機10の出力端で反射波が生じることとなり、その波形は[34]のようになる。
【0004】
また、図3の従来のシステム300では、子機10から[λ/4]離れた子機を子機1とすると、親機の波形は[31]であって、子機1の入力波形は[32]である。これらの子機1と子機10とは[λ/4]だけ離れているため、子機1の波形と子機10で反射した信号が子機1まで到達した時の波形は逆位相となり、[33]のようになる。このようにして、監視信号を打ち消し合うために、監視電源からの信号が子機1では減衰してしまう。
【0005】
このように、RFケーブルに電源と監視信号を重畳する同軸給電方式を用い、親機と子機とが同一のケーブルで接続されている従来のシステムでは、設置するケーブル長の間隔によっては、監視装置と末端子機との間に接続された子機において、監視電源からの信号が減衰するため、通信不可能になる危険性がある。
【0006】
本発明による終端制御システムに係わる技術分野の特許文献としては、例えば、次のようなものがある。
【特許文献1】特開2002−300119号公報
【特許文献2】特開2003−8524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
RFケーブルに電源と監視信号を重畳する同軸給電方式を用い、親機と子機とが同一のケーブルで接続されている従来のシステムでは、設置するケーブル長間隔によっては、監視装置と末端子機との間に接続された子機において、監視電源からの信号が減衰し、通信不可能になるので、末端に接続された子機は常に終端されなくてはならない、という問題点がある。
本願発明は、上述の問題点を解決し、監視信号の自動終端が確実に制御され、通信不可能となる事態を避けることができる終端制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)RFケーブルに電源と監視信号とを重畳する同軸給電システムにおいて、
同一のケーブルで接続される親機と複数の子機とを備え、
子機は電流センサを有して、ケーブルの電流を検知することにより、次段の子機が接続されているかどうかを判定する手段と、判定できない場合は自動的に終端させる手段とを備え、監視信号の終端を制御する終端制御システムとした。
【0009】
(2)(1)の終端制御システムにおいて、
前記子機が有するCPUにより、終端の判断を行う。
(3)(1)の終端制御システムにおいて、
前記親機が有するCPUにより、末端子機の終端の判断を行う。
(4)(1)の終端制御システムにおいて、
前記子機は温度センサを有して、前記電流センサの温度補償を行う手段を備える。
【発明の効果】
【0010】
本願発明による終端制御システムでは、上記の構成をとることにより、末端子機は、常に監視信号の終端を制御することができる。また、CPUによって終端条件を判定ができるので、設置後に末端子機が故障等の不測の事態による誤動作を防止することができ、監視信号の自動終端が確実に実行されることにより、終端による通信異常や通信不可能な状態を無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明による終端制御システムの一実施の形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明による終端制御システムにかかる図であり、図1(a)は子機1の全体構成図であり、また図1(b)は自動終端ブロック図である。そして、図2は、終端制御システムの一実施形態であるシステム100を示す構成図である。
【0012】
図1(a)の子機1において、(1)点より、親機からのRFに電源と監視信号が、重畳された信号として入力される。そして、(2)の点より、次に接続される子機へ、RF、電源、監視信号が出力される。そして、この子機1では、(1)の入力から出力への経路に電流センサ(1)を設けることとし、これによって出力の電流を検知して、次段の子機の有無を判別することができる。
【0013】
図1(b)は、電流検知を実行するための自動終端ブロック図である。入力→出力の経路に電流センサ11が配設されており、これにより出力電流が検知される。
経路12は電流センサ11からの出力電圧であり、次段に子機が接続されているかによって、出力電流が変化するため、この経路12の電圧も変動する。
【0014】
経路13にはRF温度センサリファレンス電圧15が与えられ、コンパレータ16において、経路12の電流センサ11からの電圧と、経路13のリファレンス電圧15とが比較され、そのときの電圧が経路14に与えられる。このRF温度センサリファレンス電圧15は、温度センサを含んでいて、電流センサ11の温度補償を行うことができる。
そして、この経路14には、コンパレータ16における比較により、HiまたはLoで出力される。また、この経路14の電圧はCPU17に送られて、終端が行われる。
【0015】
本発明による終端制御システムで用いられる終端方法としては、コンパレータで判定して行う方法、各子機に内蔵されているCPUによって監視信号の終端を判断する方法、通信不能で自機後の子機が接続されない時にのみ終端する等の方法があり、また、終端条件を判断して終端する方法、親機が子機からの応答の有無で子機の終端指示を行う方法などを用いてもよく、これらの方法を設計に応じて適宜に採用することができる。
【0016】
つぎの図2は、終端制御システムの一実施形態にかかるシステム100を示す構成図であって、このシステム100は「親機20−子機21−子機22−子機23−」のように、1台の親機から複数台の子機が、同軸ケーブルを介して、直列的に接続される構成となっている。
このシステム100では、子機21〜子機23を含む全子機について、出力端に電流を検出する電流センサ(S1,S2,S3,…)が接続されている。このセンサにより、次段に子機が接続されているかどうかの検出を行うことができる。また、次段の子機が検出されない場合には、自動的に終端するような設定がなされている。
【0017】
また、このシステム100の別の終端制御方式として、終端動作を子機(21,22,23,…)が内蔵するCPUにより判断させて、終端を行うことができる。そして、このCPUで終端させる条件を複雑なものにすることで、誤動作を防止させることができる。
さらに、このシステム100のまた別の終端制御方式として、終端の判断を親機20が内蔵するCPUに行わせることができ、必要に応じて終端指示を親機20が行うこともできる。このようにすれば、親機20が子機の接続台数や接続位置等を把握することにより、より複雑な条件による終端を可能とすることができる
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明による終端制御システムは、例えば、屋外アンテナの近傍に受信増幅器を配置して、受信増幅器と屋内の主システムとを同軸ケーブルで接続する構成の移動体通信基地局装置などにおいて、受信増幅器への電源給電及び電源給電異常を監視する監視制御装置が設けられたシステムの終端制御方式として適用される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による終端制御システムの一実施形態を示す図であり、(a)子機の全体図と(b)自動終端ブロック図である。
【図2】本発明による終端制御システムの一実施形態にかかるシステム100を示す構成図である。
【図3】従来のシステム300を説明するための図である。
【符号の説明】
【0020】
100 本発明によるシステム
20 親機
21、22、23 子機
S1、S2、S3 電流センサ
11 電流センサ
12、13、14 経路
15 RF温度センサリファレンス電圧
16 コンパレータ
17 CPU
300 従来のシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFケーブルに電源と監視信号とを重畳する同軸給電システムにおいて、
同一のケーブルで接続される親機と複数の子機とを備え、
子機は電流センサを有して、ケーブルの電流を検知することにより、次段の子機が接続されているかどうかを判定する手段と、判定できない場合は自動的に終端させる手段とを備え、監視信号の終端を制御する、ことを特徴とする終端制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の終端制御システムにおいて、
前記子機が有するCPUにより、終端の判断を行う、ことを特徴とする終端制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載の終端制御システムにおいて、
前記親機が有するCPUにより、末端子機の終端の判断を行う、ことを特徴とする終端制御システム。
【請求項4】
請求項1に記載の終端制御システムにおいて、
前記子機は温度センサを有して、前記電流センサの温度補償を行う手段を備える、ことを特徴とする終端制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−352588(P2006−352588A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177010(P2005−177010)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(000219004)島田理化工業株式会社 (205)
【Fターム(参考)】