説明

終端負荷設定装置、プリント基板及び情報再生装置

【課題】プリント基板上の配線パターンから放射される電磁波ノイズを効果的に低減する。
【解決手段】終端負荷設定装置9(コンピュータ92のCPU922)は、予め設定された複数の抵抗値の内、予め設定された順に1の抵抗値を選定し、選定された抵抗値を有する抵抗を終端負荷として接続して、プローブ91を介して電磁波ノイズを検出する検出部922aと、スペクトラムアナライザ93に対して測定結果の周波数分析を実行させる周波数分析部922bと、予め設定された特定の周波数(=クロック信号の3倍の周波数)のゲインを最小とする抵抗値を、配線パターンに接続する終端抵抗の抵抗値として求める抵抗値算出部922cとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板上の配線パターンから放射される電磁波ノイズを低減するべく前記配線パターンに接続する抵抗の抵抗値を求める終端負荷設定装置、プリント基板及び情報再生装置に関するものである。特に、中央処理装置として機能する第1半導体チップ及びメモリとして機能する第2半導体チップが実装され、前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとの間でクロック信号を伝送可能に接続する配線パターンが形成されたプリント基板において、前記配線パターンから放射される電磁波ノイズを低減するべく前記配線パターンに接続する抵抗の抵抗値を求める終端負荷設定装置、プリント基板及び情報再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
DVDプレイヤ等の情報再生装置を含む電子機器の内部で発生する電磁波ノイズを除去する目的でフェライトコアが広く使用されている。そして、フェライトコアは、成型した複数のフェライト板を接合して筒状にして環状の閉磁路を構成し、その中央の貫通孔内にノイズを除去する対象であるケーブル等を挿入することにより電磁波ノイズを除去することができるようになっている。
【0003】
しかし、DVDプレイヤ等の情報再生装置にある配線はプリント基板に印刷されたプリント配線で行う場合が多く、このような場合には、フレキシブルケーブル、フラットケーブル等のように、ノイズを除去する対象のプリント配線だけをフェライトコアで覆うことは極めて困難である。従って、プリント基板ごと覆うようなフェライトコアを用いる必要があるため、フェライトコアの形状が大きくなってしまい、その結果、情報再生装置の小型化を阻害する要因であった。
【0004】
上記課題を解消するために、下記の技術が開示されている(特許文献1参照)。すなわち、プリント基板の一方面に配線パターンを設け、その配線パターンの両側に貫通孔を設けるとともに、裏面の貫通孔を含む部分に凹部を設ける。そして、プリント基板おいて、一方面に対し配線パターンを覆うように第1フェライト板を取り付ける。この第1フェライト板は、両端部が折れ曲がったコ字状となり、その両端部を貫通孔内に挿入する。一方、平板状の第2フェライト板は、凹部の開口面から突出しないようにその凹部内に収納する。これにより、両フェライト板同士が接触し、閉磁路を構成する。両フェライト板は共に接着剤を用いて基板本体に接着固定することにより、両フェライト板の端面同士が接触した状態を維持できるというものである。
【特許文献1】特開2000−348947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の方法では、配線パターンを覆うフェライトコアを装着することが可能となるが、DVDプレイヤ等に配設されるプリント基板が、中央処理装置として機能する第1半導体チップ及びメモリとして機能する第2半導体チップが実装され、前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとの間でクロック信号を伝送可能に接続する配線パターンが形成されたものである場合には、配線パターンから発生する高周波数の電磁波ノイズをフェライトコアにより充分に低減することは困難である。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、プリント基板上の配線パターンから放射される電磁波ノイズを効果的に低減するべく配線パターンに接続する抵抗の抵抗値を求める終端負荷設定装置、プリント基板及び情報再生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の終端負荷設定装置は、中央処理装置として機能する第1半導体チップ及びメモリとして機能する第2半導体チップが実装され、前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとの間でクロック信号を伝送可能に接続する配線パターンが形成されたプリント基板において、前記配線パターンから放射される電磁波ノイズを低減するべく終端負荷として前記配線パターンに接続する抵抗の抵抗値を求める終端負荷設定装置であって、前記終端負荷をテブナン終端とするべく、前記配線パターンに接続する抵抗の抵抗値を求める抵抗値算出手段と、前記配線パターンから放射される電磁波ノイズを検出する検出手段と、検出された電磁波ノイズの周波数毎のゲインを求める周波数分析手段と、備え、前記第2半導体チップが、前記プリント基板の前記第1半導体チップが実装される面である一方面に実装される第3半導体チップと、前記プリント基板の他方面に実装される第4半導体チップとを有し、前記配線パターンが、前記一方面に形成されており、前記プリント基板が、前記配線パターンと第4半導体チップとを接続するスルーホールを有し、前記抵抗値算出手段が、前記周波数分析手段により求められたクロック信号の3倍の周波数のゲインを最小とする抵抗値を、前記配線パターンに接続する抵抗の抵抗値として求めることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の終端負荷設定装置は、中央処理装置として機能する第1半導体チップ及びメモリとして機能する第2半導体チップが実装され、前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとの間でクロック信号を伝送可能に接続する配線パターンが形成されたプリント基板において、前記配線パターンから放射される電磁波ノイズを低減するべく終端負荷として前記配線パターンに接続する抵抗の抵抗値を求める終端負荷設定装置であって、前記終端負荷をテブナン終端とするべく、前記配線パターンに接続する抵抗の抵抗値を求める抵抗値算出手段を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の終端負荷設定装置は、請求項2に記載の終端負荷設定装置であって、前記第2半導体チップが、前記プリント基板の前記第1半導体チップが実装される面である一方面に実装される第3半導体チップと、前記プリント基板の他方面に実装される第4半導体チップとを有し、前記配線パターンが、前記一方面に形成されており、前記プリント基板は、前記配線パターンと第4半導体チップとを接続するスルーホールを有することを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の終端負荷設定装置は、請求項2又は請求項3に記載の終端負荷設定装置であって、前記配線パターンから放射される電磁波ノイズを検出する検出手段と、検出された電磁波ノイズの周波数毎のゲインを求める周波数分析手段と備え、前記抵抗値算出手段が、予め設定された特定の周波数のゲインを最小とする抵抗値を、前記配線パターンに接続する抵抗の抵抗値として求めることを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の終端負荷設定装置は、請求項4に記載の終端負荷設定装置であって、前記特定の周波数が、前記クロック信号の整数倍の周波数であることを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の終端負荷設定装置は、請求項5に記載の終端負荷設定装置であって、前記特定の周波数が、前記クロック信号の3倍の周波数である特徴としている。
【0013】
請求項7に記載の実装基板は、中央処理装置として機能する第1半導体チップ及びメモリとして機能する第2半導体チップが実装され、前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとの間でクロック信号を伝送可能に接続する配線パターンが形成された実装基板であって、請求項2〜請求項6のいずれかに記載の終端負荷設定装置により設定された終端負荷が前記配線パターンに接続されていることを特徴としている。
【0014】
請求項8に記載の情報再生装置は、光記録媒体に記録された情報の再生を行う情報再生装置であって、請求項7に記載の実装基板が配設されてことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の終端負荷設定装置によれば、中央処理装置として機能する第1半導体チップとメモリとして機能する第2半導体チップとの間でクロック信号を伝送可能に接続する配線パターンから放射される電磁波ノイズを低減するべく終端負荷として配線パターンに接続する抵抗の抵抗値が、終端負荷をテブナン終端とするべく求められるため、配線パターンから放射される電磁波ノイズを効果的に低減するべく配線パターンに接続する抵抗の抵抗値を求めることができる。
【0016】
また、請求項1に記載の終端負荷設定装置によれば、メモリとして機能する第2半導体チップが、プリント基板の中央処理装置として機能する第1半導体チップが実装される面である一方面に実装される第3半導体チップと、プリント基板の他方面に実装される第4半導体チップとを有し、配線パターンが、一方面に形成されており、プリント基板が、配線パターンと第4半導体チップとを接続するスルーホールを有するため、第1半導体チップと第2半導体チップとの間のクロック信号の伝送路のインピーダンスを算出することが困難である。このような状態であっても、配線パターンから放射される電磁波ノイズを効果的に低減するべく配線パターンに接続する抵抗の抵抗値を求めることができるため、更に大きな効果を奏する。
【0017】
更に、請求項1に記載の終端負荷設定装置によれば、配線パターンから放射される電磁波ノイズが検出され、検出された電磁波ノイズの周波数毎のゲインが求められ、更に、予め設定された特定の周波数のゲインを最小とする抵抗値が、配線パターンに接続する抵抗の抵抗値として求められるため、適正な抵抗値を正確に求めることができる。
【0018】
加えて、請求項1に記載の終端負荷設定装置によれば、特定の周波数がクロック信号の整数倍の周波数であるため、更に、適正な抵抗値を正確に求めることができる。すなわち、クロック信号の整数倍の周波数で大きな電磁波ノイズが発生するため、そのような周波数のゲインを最小とする抵抗値が設定されるのである。
【0019】
また、請求項1に記載の終端負荷設定装置によれば、特定の周波数がクロック信号の3倍の周波数であるため、更に、適正な抵抗値を正確に求めることができる。すなわち、クロック信号の3倍の周波数の電磁波ノイズは、他の周波数の電磁波ノイズと比較して抑制することが困難な電磁波ノイズであるため、このような周波数の電磁波ノイズを効果的に低減することができるのである。
【0020】
請求項2に記載の終端負荷設定装置によれば、中央処理装置として機能する第1半導体チップとメモリとして機能する第2半導体チップとの間でクロック信号を伝送可能に接続する配線パターンから放射される電磁波ノイズを低減するべく終端負荷として配線パターンに接続する抵抗の抵抗値が、終端負荷をテブナン終端とするべく求められるため、配線パターンから放射される電磁波ノイズを効果的に低減するべく配線パターンに接続する抵抗の抵抗値を求めることができる。
【0021】
すなわち、配線パターンの終端をテブナン終端とする抵抗の抵抗値が求められるため、求められた抵抗値を有する抵抗を配線パターンに接続することにより、配線パターンの終端がテブナン終端となるため、終端での反射波の発生を防止することができ、配線パターンから放射される電磁波ノイズを効果的に低減することができるのである。
【0022】
請求項3に記載の終端負荷設定装置によれば、メモリとして機能する第2半導体チップが、プリント基板の中央処理装置として機能する第1半導体チップが実装される面である一方面に実装される第3半導体チップと、プリント基板の他方面に実装される第4半導体チップとを有し、配線パターンが、一方面に形成されており、プリント基板が、配線パターンと第4半導体チップとを接続するスルーホールを有するため、第1半導体チップと第2半導体チップとの間のクロック信号の伝送路のインピーダンスを算出することが困難である。このような状態であっても、配線パターンから放射される電磁波ノイズを効果的に低減するべく配線パターンに接続する抵抗の抵抗値を求めることができるため、更に大きな効果を奏する。
【0023】
すなわち、スルーホール自体のインピーダンスを算出することは困難であり、更に、第1半導体チップと第2半導体チップ(ここでは、第2半導体チップの内の第3半導体チップ)との間のクロック信号がスルーホールで反射するため、配線パターンから放射される電磁波ノイズを効果的に低減するべく配線パターンに接続する抵抗の抵抗値を求めることは極めて困難である。
【0024】
請求項4に記載の終端負荷設定装置によれば、配線パターンから放射される電磁波ノイズが検出され、検出された電磁波ノイズの周波数毎のゲインが求められ、更に、予め設定された特定の周波数のゲインを最小とする抵抗値が、配線パターンに接続する抵抗の抵抗値として求められるため、適正な抵抗値を正確に求めることができる。
【0025】
請求項5に記載の終端負荷設定装置によれば、特定の周波数がクロック信号の整数倍の周波数であるため、更に、適正な抵抗値を正確に求めることができる。すなわち、クロック信号の整数倍の周波数で大きな電磁波ノイズが発生するため、そのような周波数のゲインを最小とする抵抗値が設定されるのである。
【0026】
請求項6に記載の終端負荷設定装置によれば、特定の周波数がクロック信号の3倍の周波数であるため、更に、適正な抵抗値を正確に求めることができる。すなわち、クロック信号の3倍の周波数の電磁波ノイズは、他の周波数の電磁波ノイズと比較して抑制することが困難な電磁波ノイズであるため、このような周波数の電磁波ノイズを効果的に低減することができるのである。
【0027】
請求項7に記載の実装基板によれば、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の終端負荷設定装置により設定された終端負荷が配線パターンに接続されているため、配線パターンから放射される電磁波ノイズを効果的に低減することができる。
【0028】
請求項8に記載の情報再生装置によれば、請求項6に記載の実装基板が配設されているため、実装基板に形成された配線パターンから放射される電磁波ノイズを効果的に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るディスクプレイヤの一例を示す構成図である。ディスクプレイヤ100(情報再生装置に相当する)は、本発明に係る光ピックアップ装置1、出力装置3、指示装置4、駆動装置5、表示部6、及び操作部7を備えている。
【0030】
光ピックアップ装置1は、光記録媒体2に光ビームを照射して、光記録媒体2(CD、DVD、又は、BD)に記録された音声情報、画像情報等の各種情報の読み取りを行うものである。
【0031】
出力装置3は、光ピックアップ装置1からの音声情報、画像情報等の情報を、音声及び画像に変換して、それぞれ、図略のスピーカ及びモニタに出力するものであって、RFアンプ31、DSP(Digital Signal Processor)32、再生処理回路33、及び出力回路34を備えている。
【0032】
RFアンプ31は、光ピックアップ装置1からの音声情報、画像情報等の情報を増幅するものである。DSP32及び再生処理回路33は、RFアンプ31からの情報に対して、再生のための各種情報処理(例えば画像処理等)を施すものである。出力回路34は、再生処理回路33からの情報を、図略のスピーカ及びモニタに出力するためにDA変換処理等を行うものである。なお、DSP32には、本発明に係る実装基板8が配設されている。
【0033】
指示装置4は、操作部7を介して受け付けた指示操作に基づいて、光ピックアップ装置1及び駆動装置5の動作を制御するものであって、システムコントローラ41、及びドライバ42を備えている。システムコントローラ41は、操作部7からの情報を受け付けてDSP32に伝送すると共に、DSP32からの情報を表示部6に伝送するものである。ドライバ42は、DSP32からの指示に基づいて、光ピックアップ装置1及び駆動装置5の動作を制御するものである。
【0034】
駆動装置5は、送りモータ51及びスピンドルモータ52を備える。送りモータ51は、ドライバ42からの指示に基づいて光ピックアップ装置1を光記録媒体2の径方向に移動させるものである。スピンドルモータ52は、ドライバ42からの指示に基づいて光記録媒体2を回転駆動するものである。
【0035】
図2は、本発明に係る実装基板の一例を示す構成図である。(a)は、上面図であり、(b)は断面図であり、(c)は裏面図である。実装基板8は、配線パターン841及びスルーホール842が形成されたプリント基板84の表面(一方面に相当する)に、CPU(Central Processing Unit)81及びSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)82が実装され、プリント基板84の裏面(他方面に相当する)に、SDRAM83及び抵抗85が実装される。
【0036】
CPU81(第1半導体チップに相当する)は、中央処理装置として機能するものであって、図略のPLL(Phase Locked Loop)によって設定された所定の周波数(ここでは、121MHz)のクロック信号を介して、SDRAM82及びSDRAM84に対して種々の情報を出力するものである。
【0037】
SDRAM82(第3半導体チップ、第2半導体チップの一部に相当する)は、種々の情報を格納するメモリとして機能するものであって、プリント基板84の表面に実装され、配線パターン841を介してCPU81とクロック信号を伝送可能に接続されるものである。
【0038】
SDRAM83(第4半導体チップ、第2半導体チップの一部に相当する)は、種々の情報を格納するメモリとして機能するものであって、プリント基板84の裏面に実装され、配線パターン841及びスルーホール842を介してCPU81とクロック信号を伝送可能に接続されている。
【0039】
プリント基板84は、配線パターン841及びスルーホール842が形成され、CPU81、SDRAM82及びSDRAM83が実装されるものである。抵抗85は、プリント基板84の裏面に実装され、本発明に係る後述する終端負荷設定装置によって、その抵抗値が設定されるものである。
【0040】
図3は、図2に示す実装基板8の回路図である。抵抗85は、同一の抵抗値を有する2つの抵抗851、852からなり、抵抗851は、一方端(図では上端)が、所定の電圧(ここでは、3.3V)が印加され、他方端(図では下端)がスルーホール842を介してSDRAM82及びSDRAM83に接続されている。抵抗852は、一方端(図では上端)がスルーホール842を介してSDRAM82及びSDRAM83に接続され、他方端(図では下端)が接地されている。また、プリント基板84に形成された配線パターン841及びスルーホール842からなるクロック信号の伝送路のインピーダンス(ここでは抵抗)841がCPU81と、SDRAM82及びSDRAM83との間に接続されている。
【0041】
終端負荷として抵抗85を接続してテブナン終端とするためには、抵抗85(抵抗851、852)の抵抗値を、配線パターン841の抵抗値と同一値にする必要がある。しかしながら、実装基板8において、CPU81とSDRAM82及びSDRAM83との間の伝送路のクロック信号に対するインピーダンスは、計算によって求めることは極めて困難である。なぜなら、まず、スルーホール842自体のインピーダンスを計算によって求めることは困難であり、更に、スルーホール842でクロック信号が反射するため、この反射によって伝送路のクロック信号に対するインピーダンスが影響されるからである。
【0042】
図4は、本発明に係る終端負荷設定装置の一例を示す構成図である。終端負荷設定装置9は、プローブ91、コンピュータ92及びスペクトラムアナライザ93を備えている。プローブ91(検出手段の一部に相当する)は、配線パターン841から放射される電磁波ノイズを検出するものであって、検出された電磁波ノイズは、コンピュータ92(後述する検出部922a)に伝送される。スペクトラムアナライザ93(周波数分析手段の一部に相当する)は、プローブ91によって検出された電磁波ノイズに対して周波数分析(=フーリエ変換)を施し、周波数毎のゲイン(=電界強度)を求めるものである。
【0043】
コンピュータ92は、例えば、パーソナルコンピュータ等からなり、RAM(Random Access Memory)921、CPU(Central Processing Unit)922、モニタ923を備えている。RAM921は、機能的に、測定値記憶部921a、及び、分析結果記憶部921bを備えている。また、CPU922は、機能的に、検出部922a、周波数分析部922b及び抵抗値算出部922cを備えている。モニタ923は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなり、種々の情報を外部から視認可能に表示するものである。
【0044】
ここでは、CPU922が、図略のROM(Read Only Memory)等に予め格納されたプログラムを読み出して実行することにより、検出部922a、周波数分析部922b及び抵抗値算出部922c等の機能部として機能すると共に、RAM921を、測定値記憶部921a、及び分析結果記憶部921b等の機能部として機能させるものである。
【0045】
また、RAM921、ROMに格納された各種データのうち装着脱可能な記録媒体に格納され得るデータは、例えばハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、フレキシブルディスクドライブ、シリコンディスクドライブ、カセット媒体読み取り機等のドライバで読み取り可能にしてもよく、この場合、記録媒体は、例えばハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、CD、DVD、半導体メモリ等である。
【0046】
測定値記憶部921aは、検出部922aによって、プローブ91を介して検出された電磁波ノイズを格納するものである。より具体的には、測定値記憶部921aは、検出部922aによって選定された抵抗値毎に検出された電磁波ノイズを格納するものである。
【0047】
分析結果記憶部921bは、周波数分析部922bによって周波数分析されて得られた周波数毎のゲイン(=電界強度)を格納するものである。より具体的には、測定値記憶部921aは、検出部922aによって選定された抵抗値毎に検出された電磁波ノイズについて、周波数分析部922bによって周波数分析されて得られた周波数毎のゲイン(=電界強度)を格納するものである。
【0048】
検出部922a(検出手段の一部に相当する)は、予め設定された複数(ここでは、10個)の抵抗値の内、予め設定された順に(例えば、降順に)1の抵抗値を選定し、選定された抵抗値を有する抵抗を終端負荷として図3の抵抗851、852の位置に接続して、プローブ91を介して電磁波ノイズを検出するものである。また、検出部922aは、検出した電磁波ノイズを、抵抗値に対応付けて測定値記憶部921aに格納するものである。
【0049】
周波数分析部922b(周波数分析手段の一部に相当する)は、測定値記憶部921aから測定結果(=電磁波ノイズ)を読み出して、スペクトラムアナライザ93に伝送し、スペクトラムアナライザ93に対して測定結果の周波数分析を実行させると共に、スペクトラムアナライザ93によって、周波数分析された結果を分析結果記憶部921bに終端負荷として選定された抵抗の抵抗値と対応付けて格納するものである。
【0050】
抵抗値算出部922c(抵抗値算出手段に相当する)は、予め設定された特定の周波数のゲインを最小とする抵抗値を、配線パターン841に接続する抵抗85(抵抗851、852)の抵抗値として求め、モニタ923に表示するものである。ここでは、特定の周波数は、クロック信号の3倍の周波数(=364MHz≒121MHz×3)である。
【0051】
図5は、終端負荷設定装置9(コンピュータ92)の動作の一例を示すフローチャートである。まず、検出部922aによって、予め設定された10個の抵抗値の内、降順(抵抗値の大きい順)に1の抵抗値を有する抵抗が選定される(S101)。そして、検出部922aによって、選定された抵抗が終端負荷として図3の抵抗851、852の位置に接続される(S103)。次いで、検出部922aによって、プローブ91を介して電磁波ノイズが検出される(S105)。
【0052】
そして、周波数分析部922bによって、スペクトラムアナライザ93を介して測定結果に対して周波数分析が施される(S107)。次に、抵抗値算出部922cによって、周波数分析の結果から364MHzの周波数に対応するゲイン(=電界強度)が求められる(S109)。次いで、検出部922aによって、予め設定された10個の抵抗値が全て選定されたか否かの判定が行われる(S111)。そして、全て選定されてはいない(まだ測定か完了していない抵抗がある)場合(S111でNO)には、検出部922aによって、抵抗値の異なる抵抗が選定されて、処理がステップS103に戻され、ステップS103以降の処理が繰り返し実行される。
【0053】
ステップS111で、予め設定された10個の抵抗値が全て選定されたと判定された場合(S111でYES)には、抵抗値算出部922c、電界強度が最小となる抵抗値が求められて、モニタ923に表示され(S115)、処理が終了される。
【0054】
図6は、終端負荷設定装置9によって求められた終端抵抗(抵抗85)の抵抗値と電界強度との関係の一例を示すグラフである。図の横軸は、終端抵抗(抵抗85)の抵抗値(kΩ)であり、縦軸は、電磁波ノイズにおいてクロック信号の3倍の周波数(=364MHz)に対応する電界強度(dBμV/m)である。このグラフに示す例では、抵抗85の抵抗値を50kΩとすることによって、電界強度を9dBμV/mだけ削減することが可能となることがわかる。
【0055】
このようにして、配線パターン841の終端をテブナン終端とする抵抗85の抵抗値が求められるため、求められた抵抗値を有する抵抗85を配線パターン841に接続することにより、配線パターン841の終端がテブナン終端となるため、終端での反射波の発生を防止することができ、配線パターン841から放射される電磁波ノイズを効果的に低減することができる。
【0056】
また、配線パターン841から放射される電磁波ノイズを効果的に低減するべく配線パターンに841接続する抵抗85の抵抗値を求めることができるため、更に大きな効果を奏する。
【0057】
更に、配線パターン841から放射される電磁波ノイズが検出され、検出された電磁波ノイズの周波数毎のゲインが求められ、更に、予め設定された特定の周波数(ここでは、364MHz)のゲインを最小とする抵抗値が、配線パターン841に接続する抵抗85の抵抗値として求められるため、適正な抵抗値を正確に求めることができる。
【0058】
加えて、特定の周波数がクロック信号の整数倍の周波数であるため、更に、適正な抵抗値を正確に求めることができる。すなわち、クロック信号の整数倍の周波数で大きな電磁波ノイズが発生するため、そのような周波数のゲインを最小とする抵抗値が設定されるのである。
【0059】
また、特定の周波数がクロック信号の3倍の周波数であるため、更に、適正な抵抗値を正確に求めることができる。すなわち、クロック信号の3倍の周波数の電磁波ノイズは、他の周波数の電磁波ノイズと比較して抑制することが困難な電磁波ノイズであるため、このような周波数の電磁波ノイズを効果的に低減することができるのである。
【0060】
なお、本発明は、以下の形態にも適用可能である。
(A)本実施形態では、実装基板8が、プリント基板84にCPU81、SDRAM82及びSDRAM83が実装されて構成される場合について説明したが、SDRAMが1個、又は、3個以上実装されて構成される形態でもよい。
【0061】
(B)本実施形態では、実装基板8が、プリント基板84の表裏にそれぞれSDRAM82及びSDRAM83が実装されて構成される場合について説明したが、一方面(例えば、表面)にSDRAM82及びSDRAM83が実装されて構成される形態でもよい。
【0062】
(C)本実施形態では、終端負荷設定装置9が、測定結果の周波数分析を実行するスペクトラムアナライザ93を有する場合について説明したが、スペクトラムアナライザ93に換えて、コンピュータ92が、測定結果の周波数分析を実行する形態でもよい。この場合には、終端負荷設定装置9を簡素な構成で実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の終端負荷設定装置を用いれば、プリント基板上の配線パターンから放射される電磁波ノイズを効果的に低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】は、本発明に係るディスクプレイヤの一例を示す構成図である。
【図2】は、本発明に係る実装基板の一例を示す構成図である。
【図3】は、図2に示す実装基板の回路図である。
【図4】は、本発明に係る終端負荷設定装置の一例を示す構成図である。
【図5】は、終端負荷設定装置(コンピュータ)の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】は、終端負荷設定装置によって求められた終端抵抗の抵抗値と電界強度との関係の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0065】
8 実装基板
84 プリント基板
841 配線パターン
842 スルーホール
85 抵抗(終端抵抗)
9 終端負荷設定装置
91 プローブ(検出手段の一部)
92 コンピュータ
921 RAM
921a 測定値記憶部
921b 分析結果記憶部
922 CPU
922a 検出部(検出手段の一部)
922b 周波数分析部(周波数分析手段の一部)
922c 抵抗値算出部(抵抗値算出手段)
93 スペクトラムアナライザ(周波数分析手段の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央処理装置として機能する第1半導体チップ及びメモリとして機能する第2半導体チップが実装され、前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとの間でクロック信号を伝送可能に接続する配線パターンが形成されたプリント基板において、前記配線パターンから放射される電磁波ノイズを低減するべく終端負荷として前記配線パターンに接続する抵抗の抵抗値を求める終端負荷設定装置であって、
前記終端負荷をテブナン終端とするべく、前記配線パターンに接続する抵抗の抵抗値を求める抵抗値算出手段と、
前記配線パターンから放射される電磁波ノイズを検出する検出手段と、
検出された電磁波ノイズの周波数毎のゲインを求める周波数分析手段と
を備え、
前記第2半導体チップは、前記プリント基板の前記第1半導体チップが実装される面である一方面に実装される第3半導体チップと、前記プリント基板の他方面に実装される第4半導体チップとを有し、
前記配線パターンは、前記一方面に形成されており、
前記プリント基板は、前記配線パターンと第4半導体チップとを接続するスルーホールを有し、
前記抵抗値算出手段は、前記周波数分析手段により求められたクロック信号の3倍の周波数のゲインを最小とする抵抗値を、前記配線パターンに接続する抵抗の抵抗値として求めることを特徴とする終端負荷設定装置。
【請求項2】
中央処理装置として機能する第1半導体チップ及びメモリとして機能する第2半導体チップが実装され、前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとの間でクロック信号を伝送可能に接続する配線パターンが形成されたプリント基板において、前記配線パターンから放射される電磁波ノイズを低減するべく終端負荷として前記配線パターンに接続する抵抗の抵抗値を求める終端負荷設定装置であって、
前記終端負荷をテブナン終端とするべく、前記配線パターンに接続する抵抗の抵抗値を求める抵抗値算出手段を備えることを特徴とする終端負荷設定装置。
【請求項3】
前記第2半導体チップは、前記プリント基板の前記第1半導体チップが実装される面である一方面に実装される第3半導体チップと、前記プリント基板の他方面に実装される第4半導体チップとを有し、
前記配線パターンは、前記一方面に形成されており、
前記プリント基板は、前記配線パターンと第4半導体チップとを接続するスルーホールを有することを特徴とする請求項2に記載の終端負荷設定装置。
【請求項4】
前記配線パターンから放射される電磁波ノイズを検出する検出手段と、
検出された電磁波ノイズの周波数毎のゲインを求める周波数分析手段と
を備え、
前記抵抗値算出手段は、予め設定された特定の周波数のゲインを最小とする抵抗値を、前記配線パターンに接続する抵抗の抵抗値として求めることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の終端負荷設定装置。
【請求項5】
前記特定の周波数は、前記クロック信号の整数倍の周波数であることを特徴とする請求項4に記載の終端負荷設定装置。
【請求項6】
前記特定の周波数は、前記クロック信号の3倍の周波数である特徴とする請求項5に記載の終端負荷設定装置。
【請求項7】
中央処理装置として機能する第1半導体チップ及びメモリとして機能する第2半導体チップが実装され、前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとの間でクロック信号を伝送可能に接続する配線パターンが形成された実装基板であって、
請求項2〜請求項6のいずれかに記載の終端負荷設定装置により設定された終端負荷が前記配線パターンに接続されていることを特徴とする実装基板。
【請求項8】
光記録媒体に記録された情報の再生を行う情報再生装置であって、
請求項7に記載の実装基板が配設されてことを特徴とする情報再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−311841(P2007−311841A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135997(P2006−135997)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】