説明

組み立て式棚

【課題】組み立て作業を効率良く行うことができる組み立て式棚を提供すること。
【解決手段】一対の側面体を背面体に対して揺動自在に結合するヒンジ体4は、軸状部の係合ピン41hを有し背面体の背梁22に取着される第1ヒンジ体41と、係合ピン41hが回動自在かつ挿抜自在に挿入される係合穴42hを有し側面体の側梁32に取着される第2ヒンジ体42とを備えている。よって、第1ヒンジ体41の係合ピン41hは第2ヒンジ体42の係合穴42hに対して着脱自在に構成されるので、組み立て前(背梁22と側梁32との結合前)において、背面体と側面体とは互いに結合されていない。従って、組み立て式棚が大型化し、背面体や一対の側面体が重量化した場合であっても、背面体と一対の側面体と別々に持ち運びできるので、組み立て作業の効率化を図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は組み立て式棚に関し、特に、組み立て作業を効率良く行うことができる組み立て式棚に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の折り畳み式棚(組み立て式棚)が特許文献1に開示されている。かかる従来の組み立て式棚は、背面体1と、この背面体1の左右に対して連結部材5(ヒンジ体)によって揺動自在に結合される左右体2,3(側面体)と、背面体1及びその背面体1に対して直交状態とされた左右体2,3に架設される棚体4(棚板)とで構成される。かかる組み立て式棚によれば、左右体2,3が背面体1に対して連結部材5によって揺動自在に結合されるので、左右体2,3を背面体1に対して揺動させるだけでコンパクトに折り畳んだり、組み立てたりすることができ、組み立て棚の収納や移動等を簡易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−70060号公報(図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の組み立て式棚では、連結部材5が先付け(組み立て前から左右体2,3と背面体1とに連結部材5が取着)されるので、組み立て作業を行う場合に、左右体2,3及び背面体1を一体として取り扱わなければならない。よって、組み立て式棚が大型化し重量が増加した場合には、一体化された背面体1及び左右体2,3を作業者だけでは起立させたり、運搬したりするのが困難であるので、組み立て式棚の組み立て作業に手間がかかるという問題点があった。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、組み立て作業を効率良く行うことができる組み立て式棚を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
この目的を達成するために、請求項1記載の組み立て式棚によれば、背面体の両側に配設される一対の側面体は、ヒンジ体によって背面体に対して揺動自在に結合される。かかるヒンジ体は、背面体または側面体の一方に取着される第1ヒンジ体と、背面体または側面体の他方に取着される第2ヒンジ体とを備え、第1ヒンジ体に形成される軸状の揺動軸が第2ヒンジ体に形成される係合穴に挿入されることにより、側面体が背面側に対して揺動自在、かつ、着脱自在に結合される。よって、組み立て前において、背面体および一対の側面体は互いに結合されていない。従って、組み立て式棚が大型化し、背面体および一対の側面体が重量化した場合であっても、背面体および一対の側面体を別々に持ち運びできるので、組み立て作業の効率化を図れるという効果がある。
【0007】
また、第1ヒンジ体および第2ヒンジ体が組み立て前にそれぞれ背梁および側梁に取着される場合は、第1ヒンジ体が揺動軸を有しているので、揺動軸を係合穴に挿入するだけで、背面体に対して一対の側面体が揺動自在、かつ、着脱自在に結合される。よって、第1ヒンジ体および第2ヒンジ体を組み立て時にそれぞれ背梁および側梁に取着する場合に比べて、組み立て作業の作業工程を削減できる。よって、組み立て作業の効率化を図れるという効果がある。
【0008】
請求項2記載の組み立て式棚によれば、本体部が開口部に内嵌されることにより、突部が切欠部を介して突出され、第1ヒンジ体および第2ヒンジ体が背梁および側梁に取着される。よって、請求項1記載の組み立て式棚の奏する効果に加え、工具等を使用せずに、第1ヒンジ体および第2ヒンジ体を背梁および側梁にそれぞれ取着できるので、かかる取着作業を簡易に行えるという効果がある。
【0009】
さらに、第1ヒンジ体および第2ヒンジ体の本体部が背梁および側梁の開口部に内嵌されるので、樹脂製の本体部が背梁および側梁の金属製の周壁で取り囲まれる。よって、請求項1記載の組み立て式棚の奏する効果に加え、第1ヒンジ体および第2ヒンジ体が樹脂製であっても、第1ヒンジ体および第2ヒンジ体と背梁および側梁との連結部における剛性を確保できる。よって、組み立てられた棚全体としての剛性を確保して強固な構造体とすることができる。
【0010】
請求項3記載の組み立て式棚によれば、支持梁の開口部に第1ヒンジ体または第2ヒンジ体の本体部が内嵌されると、切欠部を介して第1ヒンジ体または第2ヒンジ体の突部が支持梁から外部に突出される。かかる突部には、軸状の揺動軸または係合穴が配設され、一方、切欠部を介して側梁から外部に突出される突部には、支持梁側の揺動軸または係合穴に対応して、係合穴または揺動軸が配設される。よって、揺動軸を係合穴に挿入することで、支持梁と一対の側梁とを結合できる。
【0011】
このように、第1ヒンジ体および第2ヒンジ体を用いて、一対の側梁および支持梁を結合できるので、一対の側梁および支持梁の結合構造を、一対の支持梁および背梁の結合構造と同一の構造に形成でき、部品の共通化を図ることができる。従って、請求項2記載の組み立て式棚の奏する効果に加え、一対の側梁および支持梁を一対の支持梁および背梁とは異なる結合構造に形成した場合に比べて、部品の共通化によるコスト削減を図ることができるという効果がある。
【0012】
また、切欠部を介して支持梁から外部に突出する突部は、切欠部を介して側梁から外部に突出する突部より上側に配設されているので、揺動軸が係合穴に挿入されると、支持梁から外部に突出する突部が側梁から外部に突出する突部により支持される。従って、請求項2記載の組み立て式棚の奏する効果に加え、揺動軸を係合穴に挿入するだけで、支持梁を一対の側梁で支持できるという効果がある。
【0013】
請求項4記載の組み立て式棚によれば、第1ヒンジ体および第2ヒンジ体には、本体部の開口部に内嵌される一端とは反対側の他端における外周面から外方へ向けてフランジが張出形成され、かかるフランジは本体部が開口部に内嵌された場合に背梁、側梁および支持梁の端面に当接される。背梁、側梁および支持梁の端面に当接されるフランジは、揺動軸が係合穴に挿入された状態で支持梁の端面と側梁の端面とが突き合わせられると、背梁または支持梁の端面と側梁の端面とによって挟持される。よって、フランジが背梁または支持梁の端面と側梁の端面とにより押圧されるので、樹脂製のフランジが変形し背梁または支持梁の端面と側梁の端面とに密着する。
【0014】
従って、請求項3記載の組み立て式棚の奏する効果に加え、フランジは本体部が開口部に内嵌された場合に背梁、側梁および支持梁の端面に当接されるので、背梁または支持梁の端面もしくは側梁の端面とフランジとの密着性を向上でき、背梁または支持梁と側梁とを強固に結合できるという効果がある。
【0015】
また、背梁または支持梁の端面と側梁の端面とによってフランジが挟持されるので、背梁の端面および側梁の端面の間にはフランジが介設される。よって、背面体に対して側面体を揺動させても、背梁の端面に当接するフランジと側梁の端面に当接するフランジとが干渉し、背梁の端面と側梁の端面とが干渉しない。従って、請求項3記載の組み立て式棚の奏する効果に加え、組み立て作業中に背梁の端面と側梁の端面とが干渉し異音が発生することを防止できるという効果がある。
【0016】
請求項5記載の組み立て式棚によれば、支持梁と背梁と一対の側梁とは、それらの長手方向と直交する断面に対して傾斜するように形成された両端面のそれぞれにフランジが当接され、それらのフランジを突き合わせることにより、支持梁と一対の側梁と背梁とが枠状に連結される。よって、支持梁と一対の側梁と背梁とは、それらの長手方向に作用する荷重および長手方向と直交する方向に作用する荷重との両方向の荷重をそれらの端面(フランジ)で受けることができる。従って、請求項4記載の組み立て式棚の奏する効果に加え、支持梁と一対の側梁と背梁とが枠状に連結された場合にその枠状に連結された枠状部材の強度を向上できるので、背面体に対して一対の側面体がヒンジ体によって揺動自在、かつ、着脱自在に結合される構造であっても、組み立て式棚の強度を向上できるという効果がある。
【0017】
また、背梁と側梁と支持梁との傾斜された両端面を加工する際に加工精度にばらつきが発生し、それらの傾斜された両端面における傾斜角度に誤差が発生した場合であっても、それらの両端面にそれぞれ当接されるフランジの変形量により傾斜角度の誤差を吸収できる。よって、請求項4記載の組み立て式棚の奏する効果に加え、背梁と側梁と支持梁との両端面を加工する際に両端面における傾斜角度に誤差が発生しても、背梁と側梁と支持梁とを強固に枠状に連結できるという効果がある。
【0018】
請求項6記載の組み立て式棚によれば、揺動軸は、突部と連結される基部側よりも、係合穴への挿入方向先端側の方が小径の先細り形状に形成され、係合穴は、揺動軸の先細り形状に対応して、係合穴の上端側よりも下端側の方が小径の先細り形状に形成される。よって、揺動軸をその挿入方向と反対方向から(揺動軸の挿入方向奥側である係合穴の下端側から)係合穴に挿入しようとすると、揺動軸が係合穴の内壁と干渉するので、揺動軸を係合穴に挿入できない。従って、請求項2から5のいずれかに記載の組み立て式棚の奏する効果に加え、揺動軸を係合穴に挿入する作業において誤組み付けが発生することを防止できるという効果がある。
【0019】
また、揺動軸の先端における外径は、揺動軸の挿入方向手前側である上端における係合穴の内径に比べて大きく形成されるので、揺動軸の先端を係合穴の上端から挿入する場合に、揺動軸の先端と係合穴の上端における内壁とが干渉することを防止できる。従って、請求項2から5のいずれかに記載の組み立て式棚の奏する効果に加え、揺動軸を係合穴に挿入する作業を簡易に行うことができるという効果がある。
【0020】
請求項7記載の組み立て式棚によれば、突部に係合穴が貫通形成され、係合穴に挿入される揺動軸の先端から基部に向かって螺合穴が穿設されると共に、締結部材の頭部が係合穴の下端における内径より大きい外径を有するので、頭部に連設される軸部が係合穴に螺合されると、第1ヒンジ体の突部に配設される揺動軸が第2ヒンジ体の突部に固定される。よって、揺動軸の係合穴に対する相対移動が規制される。従って、請求項6記載の組み立て式棚の奏する効果に加え、揺動軸が係合穴から脱落することを防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)は組み立て式棚の正面図であり、(b)は図1(a)のIb−Ib線における組み立て式棚の断面図であり、(c)は図1(a)のIc−Ic線における組み立て式棚の断面図である。
【図2】(a)は支持梁と棚板とを取り外した状態を示す組み立て式棚の上面図であり、(b)は図2(a)のIIbで示す部分を拡大して示した組み立て式棚の拡大上面図であり、(c)は図2(b)のIIc−IIc線における背梁の拡大断面図であり、(d)は図2(b)のIId−IId線における側梁の拡大断面図である。
【図3】(a)はヒンジ体の拡大上面図であり、(b)はIIIb−IIIb線におけるヒンジ体の断面図である。
【図4】(a)は第1ヒンジ体が背梁に取着される状態を示す背梁および第1ヒンジ体の斜視図であり、(b)は第1ヒンジ体と第2ヒンジ体とが結合される状態を示す背梁および側梁の分解斜視図である。
【図5】(a)は背梁および側梁の斜視図であり、(b)はVb―Vb線における背梁および側梁の断面図である。
【図6】(a)は組み立て式棚の拡大分解斜視図であり、(b)は側梁の外部に突出した突部と支持梁の外部に突出した突部との分解斜視図であり、(c)は図6(a)のVIcで示す部分を拡大したヒンジ体の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、本発明の一実施の形態における組み立て式棚1の概略構成について説明する。図1(a)は組み立て式棚1の正面図であり、図1(b)は図1(a)のIb−Ib線における組み立て式棚1の断面図であり、図1(c)は図1(a)のIc−Ic線における組み立て式棚1の断面図である。また、図2(a)は支持梁5と棚板6とを取り外した状態を示す組み立て式棚1の上面図であり、図2(b)は図2(a)のIIbで示す部分を拡大して示した組み立て式棚1の拡大上面図であり、図2(c)は図2(b)のIIc−IIc線における背梁22の拡大断面図であり、図2(d)は図2(b)のIId−IId線における側梁32の拡大断面図である。なお、図2(a)において背梁22の図示が一部省略され、図2(b)において背梁22及び側梁32の図示が一部省略されている。
【0023】
図1に示すように、組み立て式棚1は、大型テレビが設置される組み立て式の大型のテレビ台であって、背面体2と、その背面体2の両側に配設される一対の側面体3と、その一対の側面体3を背面体2に対して揺動自在に結合するヒンジ体4と、一対の側面体3に跨設される支持梁5と、支持梁5の長手方向(図1(a)左右方向)に長尺な矩形状の板材で構成され支持梁5、背面体2及び一対の側面体3に支持される棚板6と、を有して構成されている。なお、本発明の一実施の形態においては、組み立て式棚1がテレビ台である場合を説明するが、組み立て式棚1をテレビ台に限定する趣旨ではなく、組み立て式棚1が他の家具(本棚、靴箱等)であってもよいのはもちろんである。
【0024】
図1(a)及び図1(c)に示すように、背面体2は、組み立て式棚1の背面を形成する部分であって、矩形状に形成された本体部21と、その本体部21の上端と下端とにそれぞれ取着される背梁22,23と、を有して構成される。また、本体部21には、棚板6が支持される支持板24が固着されている。なお、背梁22と背梁23(図1参照)とは、背梁23の上面には棚板6を収容する凹みが形成されるのに対して、背梁23には凹みが形成されない点を除いて同一に形成されるので、背梁23についての説明は省略する。
【0025】
図2(a)、図2(b)及び図2(c)に示すように、背梁22は、後述する側梁32や支持梁5(図1(a)参照)と共に枠状に連結され、棚板6(図1(a)参照)を支持する補強部材であり、両端が開口された中空の金属製角棒体で形成されると共に本体部21の前面(図2(b)下面)に取着される。また、背梁22は、背梁22の両端に形成された開口である開口部22c(図4(a)参照)と、背梁22の端部における正面側の内側面(図2(c)左側の側面)を切欠き形成される切欠部22dと、背梁22の端部における前面に穿設された挿通穴22e(図4(a)参照)と、を有して構成される。
【0026】
図2(a)及び図2(b)に示すように、背梁22は、その長手方向(図2(a)左右方向)の長さが本体部21の幅(図2(a)左右方向の長さ)より長尺に形成されている。また、背梁22の両端部は、背面体2の背面側から正面側に向かって(図2(a)上側から下側に向かって)長手方向(図2(a)左右方向)の長さが短くなるように斜めにカットされている。よって、背梁22の両端面はその長手方向に直交する断面に対して傾斜するように形成される。なお、背梁22の両端面の傾斜角θ1(背梁22の長手方向に垂直な断面に対する角度)は45°に設定されている。
【0027】
図1(c)に示すように、側面体3は、組み立て式棚1の背面を形成する部分であって、側板31と、その側板31の上端と下端とにそれぞれ固定される側梁32,33と、側板31の上下方向(図1(c)上下方向)で略中央に固定される支持部材34と、を有して構成される。なお、側梁32と側梁33とは、側梁32の上面には棚板6を収容する凹みが形成されるのに対して、側梁33には凹みが形成されない点を除いて同一に形成されるので、側梁32についてのみ説明し、側梁33についての説明は省略する。
【0028】
図2(a)、図2(b)及び図2(d)に示すように、側梁32は、背梁22や後述する支持梁5と共に枠状に連結され、棚板6を支持する補強部材であり、両端が開口された中空の金属製角棒体で形成されると共に側板31の前面(図2(a)左面または右面)に取着される。また、側梁32は、側梁32の両端に形成された開口である開口部(図示せず)と、側梁32の端部における正面(図2(b)左側の側面)を切欠き形成される切欠部32dと、側梁32の端部における正面に穿設された挿通穴(図示せず)と、を有して構成される。図1(c)に示すように、側梁32は、その長さ(図1(c)左右方向の長さ)が側板31の幅と略同一に形成される。
【0029】
図2(a)及び図2(b)に示すように、側梁32の両端部は、側面体3の背面側から正面側に向かって(図2(b)左側から右側に向かって)長手方向の寸法が短くなるように斜めにカットされている。よって、側梁32の両端面はその長手方向に直交する断面に対して傾斜するように形成される。なお、側梁32の両端面の傾斜角θ2(側梁32の長手方向に垂直な断面に対する角度)は45°に設定されている。
【0030】
図1(c)に示すように、支持部材34は、棚板6を支持する補強部材であり、側梁33を適宜の長さで切断することにより形成されている。
【0031】
図2(a)及び図2(b)に示すように、ヒンジ体4は、上述したように一対の側面体3(図1(a)参照)を背面体2(図1(a)参照)に対して揺動自在に結合する蝶番であって、背梁22,23と側梁32,33とで形成されるコーナに配設される。なお、ヒンジ体4の構成については、図3、図4及び図5を参照して後に詳しく説明する。
【0032】
図1(c)に示すように、支持梁5は、背梁22,23や側梁32,33と共に枠状に連結され、棚板6を支持する補強部材であり、背梁22,23や側梁32,33と同様に、両端が開口された中空の金属製角棒体で形成されている。支持梁5は、一対の側梁32に跨設される支持梁5aと一対の側梁33又は一対の支持部材34に跨設される支持梁5bと、を有して構成されている。なお、支持梁5a,5bは、両端部の形状を除き、背梁22,23と同様に形成されるので、省略する。また、支持梁5aが背梁22に対応し、支持梁5bが背梁23にそれぞれ対応する。
【0033】
図1(b)に示すように、支持梁5aの両端部は、背面側から正面側に向かって(図1(b)(上側から下側に向かって)長手方向(図1(a)左右方向)の寸法が長くなるように斜めにカットされている。よって、支持梁5aの両端面は長手方向に直交する断面に対して傾斜するように形成される。なお、支持梁5aの両端面の傾斜角(支持梁5aの長手方向に垂直な断面に対する角度)は、背梁22及び側梁32と同様に、45°に設定されている。
【0034】
図1(a)〜図1(c)に示すように、棚板6は、組み立て式棚1の上段と中段と下段とにそれぞれ配設される台であり、上段と下段の棚板6は、上述した枠状部材に支持され、中段の棚板6は、支持板24と支持部材34と支持梁5bとに支持されている。
【0035】
図3、図4及び図5を参照して、ヒンジ体4の構成について説明する。図3(a)はヒンジ体4の拡大上面図であり、図3(b)はIIIb−IIIb線におけるヒンジ体4の断面図である。また、図4(a)は第1ヒンジ体41が背梁22に取着される状態を示す背梁22及び第1ヒンジ体41の斜視図であり、図4(b)は第1ヒンジ体41と第2ヒンジ体42とが取着される状態を示す背梁22及び側梁32の分解斜視図である。さらに、図5(a)は背梁22及び側梁32の斜視図であり、図5(b)はVb―bV線における背梁22及び側梁32の断面図である。なお、図4(a)において、背梁22の図示が一部省略され、図4(b)及び図5(a)において、背梁22及び第1ヒンジ体41と側梁32及び第2ヒンジ体42との図示が一部省略されている。
ている。
【0036】
図3(a)及び図3(b)に示すように、ヒンジ体4は、上面視略L字型に形成される蝶番であって、背面体2(図1参照)に取着される第1ヒンジ体41と、側面体3(図1参照)に取着される第2ヒンジ体42と、頭部44b及びその頭部44bに連設される軸部44aを有する締結ボルト44と、を有して構成される。
【0037】
図4(a)及び図4(b)に示すように、第1ヒンジ体41は、背梁22に対して側梁32を揺動自在、かつ、着脱自在に結合するための部材であり、樹脂材料により構成されると共に、背梁22に取着される。図3(a)及び図3(b)に示すように、第1ヒンジ体41は、背梁22の開口部22cに内嵌可能に形成される本体部41cと、その本体部41cの上面および下面から突設されるリブ41dと、本体部41cの開口部22cに内嵌される一端とは反対側の他端(図3(a)右端)における外周面から外方へ向けて張出形成されるフランジ41aと、前面に穿設された締結穴41eと、背面側(図2(c)右側)に凹設される複数の肉抜き部41f1,41f2(図2(c)参照)と、本体部41cの外周面から半円状に突設される突部41gと、突部41gに配設される係合ピン41hと、を有して構成されている。
【0038】
図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)に示すように、フランジ41aは、背梁22の端面と側梁32の端面とが接触することを防止する部分であって、第1ヒンジ体41の本体部41cが背梁22の開口部22cに内嵌された場合に背梁22の端面に当接される。
【0039】
図3(a)及び図3(b)に示すように、本体部41cは、背梁22に取着される部分であり、背梁22の形状に対応して上面には棚板6(図1参照)を収容する凹みが形成される。図4(a)に示すように、第1ヒンジ体41の本体部41cが背梁22の開口部22cに内嵌されることにより、第1ヒンジ体41が背梁22に取着される。よって、工具等を使用することなく第1ヒンジ体41を背梁22等に簡易に取着できる。
【0040】
図4(a)に示すように、第1ヒンジ体41の端面における形状が背梁22の開口部22cにおける形状に対応した形状とされる。よって、第1ヒンジ体41の上下方向を確認しなくても、背梁22の開口部22cにおける開口形状を参考にして第1ヒンジ体41の本体部41cを背梁22の開口部22cに内嵌できるので、第1ヒンジ体41を背梁22に取着する作業を簡易に行うことができる。
【0041】
図3(a)及び図3(b)に示すように、リブ41dは、第1ヒンジ体41を背梁22の開口部22cに内嵌する際の内嵌方向(図3(a)左右方向)に延設される突起であり、本体部41cの上面および下面に各三本並設されている。図4(a)に示すように、背梁22の開口部22cから第1ヒンジ体41が内嵌されると、第1ヒンジ体41のリブ41dと背梁22の内周面とが接触する。よって、第1ヒンジ体41の外周面全体と背梁22の内周面とが接触する場合に比べて、第1ヒンジ体41と背梁22との接触面積を減少できるので、第1ヒンジ体41の本体部41cを背梁22の開口部22cに円滑に内嵌でき、第1ヒンジ体41を背梁22に取着する作業を簡易に行うことができる。
【0042】
図3(b)に示すように、締結穴41eは、第1ヒンジ体41の正面(図3(b)紙面手前側の面)に穿設される螺合穴である。図4(a)に示すように、背梁22の挿通穴22eに挿通されたボルトBが締結穴41eに螺合されることにより、第1ヒンジ体41が背梁22に固定される。よって、組み立て中に背梁22から第1ヒンジ体41が抜け落ちるのを防止できる。
【0043】
図3(a)及び図3(b)に示すように、突部41gは、本体部41cが背梁22の開口部22c(図4(a)参照)に内嵌された場合に切欠部22dを介して背梁22の外部に突出する部分であって、その下面から後述する係合ピン41hが突設される。
【0044】
図3(a)及び図3(b)に示すように、係合ピン41hは、上述したように、突部41gの下面から突設される軸状部材であって、後述する第2ヒンジ体42の係合穴42hに対して着脱自在に構成される。また、係合ピン41hは、突部41gと連結される基部側よりも、後述する係合穴42hへの挿入方向先端側(図3(b)下側)の方が小径の先細り形状に形成される。さらに、係合ピン41hには、その係合ピン41hの先端から基部に向かって螺合穴41h1が穿設される。
【0045】
図4(a)及び図4(b)に示すように、第2ヒンジ体42は、背梁22に対して側梁32を揺動自在、かつ、着脱自在に結合するための部材であり、樹脂材料により構成されると共に、側梁32取着される。第2ヒンジ体42は、側梁32の開口部32cに内嵌可能に形成される本体部42cと、その本体部42cの上面および下面から突設されるリブ42dと、本体部42cの開口部32cに内嵌される一端とは反対側の他端(図3(a)右端)における外周面から外方へ向けて張出形成されるフランジ42aと、前面に穿設された締結穴(図示せず)と、背面側(図2(d)参照)に凹設される複数の肉抜き部42f1,42f2(図2(d)左側)と、本体部42cの外周面から半円状に突設される突部42gと、突部42gに貫通形成される係合穴42hと、を有して構成されている。なお、第2ヒンジ体42のフランジ42a、段部42c、リブ42d、締結穴(図示せず)及び肉抜き部42f1,42f2は、第1ヒンジ体41のフランジ41a、段部41c、リブ41d、締結穴41e及び肉抜き部41f1,41f2と同様に形成されるので、それらの説明を省略する。
【0046】
図3(a)及び図3(b)に示すように、突部42gは、第1ヒンジ体41(突部41g)との結合部分であって、その突部42gの略中央に係合穴42hが貫通形成される。
【0047】
係合穴42hは、係合ピン41hが挿入される穴であって、かかる係合穴42hに係合ピン41hが挿入されることにより、第1ヒンジ体41の突部41gに対して第2ヒンジ体42の突部42gが揺動自在に結合される。また、係合ピン41hを係合穴42hから引き抜くと、第1ヒンジ体41の突部41gと第2ヒンジ体42の突部42gとの結合が解除される。よって、係合ピン41hは第2ヒンジ体42の突部42gに対して着脱自在に結合される。
【0048】
図3(b)及び図4(b)に示すように、係合穴42hは、係合ピン41hの先細り形状に対応して、係合ピン41hの挿入方向手前側である上端側(図3(b)上側)よりも、係合ピン41hの挿入方向奥側である下端側(図3(b)下側)の方が小径の先細り形状に形成される。
【0049】
よって、係合ピン41hを係合穴42hの下側(図3(b)下側)から挿入しようとすると、係合ピン41hが係合穴42hの内壁と干渉するので、係合ピン41hを係合穴42hに挿入できない。従って、係合ピン41hを係合穴42hに挿入する作業において誤組み付けが発生することを防止できる。
【0050】
また、係合ピン41hの先端(図3(b)下端)における外径は、係合穴42hの上端(図3(b)上端)における内径より小さく形成されるので、係合ピン41hの先端を係合穴42hの上端から挿入する場合に、係合ピン41hの先端と係合穴42hの上端における内壁とが干渉することを防止できる。よって、係合穴42hに係合ピン41hを簡易に挿入できる。
【0051】
図3(b)に示すように、締結ボルト44は、係合ピン41hが係合穴42hから脱落することを防止するための部材であり、第1ヒンジ体41及び第2ヒンジ体42と同様に、樹脂材料で構成される。軸部44aは螺合穴41h1に螺合される一方、頭部44bは、その外径が係合穴42hの下端(図3(b)下端)における内径より大きく形成される。
【0052】
図3(b)に示すように、締結ボルト44の頭部44bは、その外径が係合穴42hの下端(図3(b)下端)における内径より大きく形成されるので、頭部44bに連設される軸部44aが螺合穴41h1に螺合されると、締結ボルト44の頭部44bが係合ピン41hの先端面だけでなく、係合ピン41hの外周に位置する第2ヒンジ体42の突部42gの下面にも当接し、係合ピン41hが第2ヒンジ体42の突部42g固定される。よって、係合ピン41hの係合穴42hに対する相対移動が規制されるので、係合ピン41hが係合穴42hから脱落することを防止できる。また、締結ボルト44の頭部44bは、第2ヒンジ体42の突部42gの下面に当接されるので、締結ボルト44の頭部44bが背梁22の上面に形成された凹みから突出することを確実に防止できる。よって、棚板6が締結ボルト44の頭部44bと干渉することを防止できる。
【0053】
次に、図4及び図5を参照して、第1ヒンジ体41を背梁22に取着(固定)する工程および第1ヒンジ体41に対して第2ヒンジ体42を揺動自在、かつ、着脱自在に結合する工程について説明する。
【0054】
図4(a)に示すように、第1ヒンジ体41の本体部41cは、背梁22の開口部22cに内嵌されることにより、背梁22の内部空間に収容され、第1ヒンジ体41が背梁22に取着される。第1ヒンジ体41の本体部41cが背梁22の開口部22cに内嵌されると、突部41gが背梁22の切欠部22dを介して外部に突出されると共にフランジ41aが背梁22の端面と接触する。そして、挿通穴22eに挿通したボルトBを締結穴41eに螺合することにより、第1ヒンジ体41が背梁22に固定される。第1ヒンジ体41と同様に、第2ヒンジ体42も側梁32に固定される。
【0055】
図4(b)に示すように、係合ピン41hが係合穴42hに挿入されると、第1ヒンジ体41の突部41gは、第2ヒンジ体42の突部42gの上側(図3(b)上側)に配設される。よって、第1ヒンジ体41の突部41gが第2ヒンジ体42の突部42gに支持された状態で、第1ヒンジ体41に対して第2ヒンジ体42が揺動自在、かつ、着脱自在に結合される。
【0056】
その後、係合ピン41hが係合穴42hから脱落することを防止するために締結ボルト44の軸部44aが螺合穴41h1に螺合される。そして、係合ピン41hを中心に側梁32が背梁22に対して揺動されると、背梁22の端面に当接するフランジ41aと側梁32の端面に当接するフランジ41aとが突き合わせられ、図5(a)に示すように、背梁22の端面と側梁32の端面とによりフランジ41a,42aが挟持される。
【0057】
上述したように、係合ピン41hは第2ヒンジ体42の突部42gに対して着脱自在に構成されるので、組み立て前(背梁22と側梁32との結合前)において、背面体2(図2(a)参照)と側面体3(図2(a)参照)とは互いに結合されていない。よって、組み立て式棚1(図2(a)参照)が大型化し、背面体2や一対の側面体3が重量化した場合であっても、背面体2と一対の側面体3と別々に持ち運びできる。従って、組み立て作業の効率化を図れる。
【0058】
また、第1ヒンジ体41及び第2ヒンジ体42は、組み立て前にそれぞれ背梁22及び側梁32に取り付けられているので、係合ピン41hを係合穴42hに挿入するだけで、背面体2(背梁22)に対して側面体3(側梁32)を揺動自在に結合できる。よって、組み立て時に、第1ヒンジ体41及び第2ヒンジ体42をそれぞれ背梁22及び側梁32にそれぞれ取り付ける場合に比べて、組み立て作業の効率化を図れる。
【0059】
ここで、係合ピン41hが第1ヒンジ体41と別体の場合は、第1ヒンジ体41にも係合穴を形成し、第1ヒンジ体41の係合穴と第1ヒンジ体42の係合穴42hとを一致させる位置合わせ作業を行ってから、係合ピン41hを係合穴42hに挿入する必要がある。これに対し、第1ヒンジ体41が係合ピン41hを有している場合は、かかる位置合わせ作業を不要とできるので、係合ピン41hが第1ヒンジ体41と別体の場合に比べて、係合ピン41hの挿入作業を簡易に行うことができる。結果として、組み立て作業の効率化を図れる。
【0060】
さらに、本体部41c,42bを開口部22c,32cに内嵌することにより、第1ヒンジ体41及び第2ヒンジ体42が背梁22及び側梁32にそれぞれ取着される。よって、工具等を使用せずに第1ヒンジ体41及び第2ヒンジ体42を背梁22及び側梁32にそれぞれ取着できるので、かかる取着作業を簡易に行える。
【0061】
このように、第1ヒンジ体41及び第2ヒンジ体42の本体部41c,42cが背梁22及び側梁32の開口部22c,32cに内嵌されるので、樹脂製の本体部41c,42cが背梁22及び側梁32の金属製の周壁によって取り囲まれる。これに対し、背梁22及び側梁32が第1ヒンジ体41及び第2ヒンジ体42に内嵌される場合は、樹脂製の本体部41c,42cに薄肉の周壁で取り囲まれる開口部を形成し、その開口部に金属製の背梁22及び側梁32を内嵌するので、本体部41c,42cが破損し易い。
【0062】
よって、第1ヒンジ体41及び第2ヒンジ体42の本体部41c,42cが背梁22及び側梁32の開口部22c,32cに内嵌される場合は、第1ヒンジ体41及び第2ヒンジ体42が樹脂製であっても、第1ヒンジ体41および第2ヒンジ体41と背梁22および側梁32との連結部における剛性を確保できる。よって、組み立てられた棚全体としての剛性を確保して強固な構造体とすることができる。
【0063】
さらに、背梁22の端面及び側梁32の端面によってフランジ41a,42aが挟持されるので、背梁22の端面及び側梁32の端面の間にはフランジ41a,42aが介設される。よって、背梁22に対して側梁32を揺動させても、背梁22の端面に当接するフランジ41aと側梁32の端面に当接するフランジ42aとが干渉するので、背梁22の端面と側梁32の端面とが干渉しない。従って、組み立て作業中に背梁22の端面と側梁32の端面とが干渉し金属音が発生することを防止できる。
【0064】
図6を参照して、組み立て式棚1の組み立て工程について説明する。図6(a)は、組み立て式棚1の分解斜視図であり、図6(b)は、支持梁5aから突出した突部41gと側梁32突出した突部42gとの拡大分解斜視図であり、図6(c)は、図6(a)のVIcで示す部分を拡大したヒンジ体4の拡大斜視図である。組み立て式棚1は、背面体2と側面体3と支持梁5a,5bと棚板6とに分解された状態で梱包される。これらの背面体2と側面体3と支持梁5a,5bと棚板6とを組み立てることにより、組み立て式棚1が完成する。
【0065】
図6に示すように、分解された状態の組み立て式棚1を組み立てるために、まず背面体2を起立させる。そして、その起立させた背面体2に一対の側面体3が結合される。かかる結合作業は、上述したように、係合ピン41h(図4(b)参照)が係合穴42h(図4(b)参照)に挿入されることにより行われる。これにより、ヒンジ体4によって背面体2に対して一対の側面体3が揺動自在かつ着脱自在に結合される。その後、ボルトB(図4(b)参照)が締結穴41eに螺合される。これにより、係合ピン41hは第2ヒンジ体42の突部42gに固定されるので、係合穴42hから脱落することを防止できる。
【0066】
次に、背面体2に対して揺動自在に結合された一対の側面体3を揺動させ一対の側梁32が背梁22に対して直交状態とし、その後、支持梁5aが一対の側梁32に結合される。かかる結合作業は、係合ピン41h(図4(b)参照)が係合穴42h(図4(b)参照)に挿入されることにより行われる。支持梁5aが一対の側梁32に結合された後に、締結ボルト44の軸部44a(図4(b)参照)が螺合穴41h1に(図4(b)参照)に螺合され、係合ピン41hが第2ヒンジ体42の突部42gに固定される。同様に、支持梁5bが一対の支持部材34、及び一対の側梁33(第2ヒンジ体42の突部42g)にそれぞれ固定される。その後、枠状に結合された背梁22,23と側梁32,33と支持梁5a,5b及び、支持板24と支持部材34と支持梁5bに支持されるように、棚板6を設置する。
【0067】
背梁22と同様に、支持梁5a,5bは、支持梁5a,5bの開口部に第1ヒンジ体41の本体部41cが内嵌されると、切欠部を介して第1ヒンジ体41の突部41gが支持梁5a,5bから外部に突出される。かかる突部41gには、軸状の係合ピン41hが配設され、一方、切欠部を介して側梁32,33から外部に突出される突部42gには、支持梁5a,5b側の係合ピン41hに対応して、係合穴42hが配設される。よって、係合ピン41hを係合穴42hに挿入することで、支持梁5a,5bと一対の側梁32,33とを結合できる。
【0068】
このように、第1ヒンジ体41及び第2ヒンジ体42を用いて、一対の側梁32,33及び背梁22,23だけでなく、一対の側梁32,33及び支持梁5a,5bを結合できるので、一対の側梁32,33及び支持梁5a,5bの結合構造を、一対の支持梁5a,5b及び背梁22,23の結合構造と同一の構造に形成でき、部品の共通化を図ることができる。従って、一対の側梁32,33及び支持梁5a,5bを一対の支持梁5a,5b及び背梁22,23とは異なる結合構造に形成した場合に比べて、部品の共通化によるコスト削減を図ることができる。
【0069】
また、切欠部(図示せず)を介して支持梁5a,5bから外部に突出する突部41gは、切欠部32dを介して側梁32,33から外部に突出する突部42gより上側に配設されているので、係合ピン41hが係合穴42hに挿入されると、支持梁5a,5bから外部に突出する突部41gは、側梁32,33から外部に突出する突部42gにより支持される。従って、係合ピン41hを係合穴42hに挿入するだけで、支持梁5a,5bを一対の側梁32,33で支持できる。
【0070】
支持梁5a,5b及び背梁22,23と一対の側梁32,33は、それらの長手方向と直交する断面に対して傾斜するように形成された両端面のそれぞれにフランジ41a,42aが当接されるので、それらのフランジ41a,42aを突き合わせると、支持梁5a,5bと一対の側梁32,33と背梁22,23とが枠状に連結される。よって、支持梁5a,5bと一対の側梁32,33と背梁22,23とは、それらの長手方向に作用する荷重および長手方向と直交する方向に作用する荷重との両方向の荷重をそれらの端面(フランジ41a,42a)で受けることができる。従って、支持梁5a,5bと一対の側梁32,33と背梁22,23とが枠状に連結された場合にその枠状に連結された枠状部材の強度を向上できるので、背面体2に対して一対の側面体3がヒンジ体4によって揺動自在、かつ、着脱自在に結合される構造であっても、組み立て式棚1の強度を向上できる。
【0071】
また、背梁22,23と側梁32,33と支持梁5a,5bとの傾斜された両端面を加工する際に加工精度にばらつきが発生し、それらの傾斜された両端面における傾斜角度に誤差が発生した場合であっても、それらの両端面にそれぞれ当接されるフランジ41a,42aの変形量により傾斜角度の誤差を吸収できる。よって、背梁22,23と側梁32,33と支持梁5a,5bとの両端面を加工する際に両端面における傾斜角度に誤差が発生しても、背梁22,23と側梁32,33と支持梁5a,5bとを強固に枠状に連結できる。
【0072】
上段の棚板6は、背梁22と一対の側梁32と支持梁5aとの各上面に棚板6を収容する凹みが形成されるので、その水平方向の移動が規制される。また、中段の棚板6及び下段の棚板6は、背面体2の本体部21及び側面体3の側板31により、その水平方向の移動が規制されるので、棚板6がずれないようになっている。
【0073】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0074】
例えば、上記実施の形態では、第1ヒンジ体41の突部41gから係合ピン41hを突設させたが、必ずしもこれに限られるものではなく、第2ヒンジ体42の突部42gから係合ピン41hを突設させてもよい。また、係合ピン41hを第1ヒンジ体41の突部41g及び第2ヒンジ体42の突部42gと別体に構成してもよい。かかる場合、係合ピン41hの長さを第1ヒンジ体41の突部41g及び第2ヒンジ体42の突部42gの板厚より長く形成し、かかる突部41g,42gにそれぞれ係合穴42hを貫通形成する。そして、係合穴42hに挿入された係合ピン41hの上端と下端とにナットを螺合させれば、締結ボルト44を使用しなくても、係合ピン41hの脱落を防止できる。よって、締結ボルト44を省略できる。
【0075】
また、上記実施の形態では、係合ピン41hを軸状部材で形成したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、係合ピン41hをその軸心を含む断面形状が半円状の突起で形成してもよい。かかる場合は、係合ピン41hを係合穴42hに挿入する作業を簡易に行うことができる。
【0076】
さらに、上記実施の形態では、第1ヒンジ体41及び第2ヒンジ体42にそれぞれフランジ41a,42aを形成したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1ヒンジ体41及び第2ヒンジ体42のいずれか一方にフランジ41a,42aを形成する構成でもよい。かかる場合においても、支持梁5a,5bと一対の側梁32,33と背梁22,23とが枠状に連結されると、対向する端面の間にはフランジ41a(又はフランジ42a)が介設されるので、組み立て時に金属音が発生することを防止できる。加えて、第1ヒンジ体41及び第2ヒンジ体42のいずれか一方のフランジ41a,42aを省略できるので、フランジ41a,42a省略された第1ヒンジ体41(又は第2ヒンジ体42)の軽量化を図ることができる。よって、コスト削減を図ることができる。
【0077】
また、上記実施の形態では、背梁22,23及び支持梁5a,5bに第1ヒンジ体41が取着され、一対の側梁32,33に第2ヒンジ体42が取着される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1ヒンジ体41を一対の側梁32,33に取着し、第2ヒンジ体42を背梁22,23及び支持梁5a,5bに取着する構成でもよい。また、一対の側梁32,33の一端に第1ヒンジ体41を取着し、他端に第2ヒンジ体42を取着してもよい。この場合は、一対の側梁32,33の両端には、それぞれ異なるヒンジ体が取着されるので、一対の側梁32,33の背梁22,23と連結される一端と、一対の側梁32,33の支持梁5a,5bに連結される他端とを区別できるので、組み立て作業の効率化を図れる。
【符号の説明】
【0078】
1 組み立て式棚
2 背面体
3 側面体
4 ヒンジ体
6 棚板
22,23 背梁
22c 開口部
22d 切欠部
23 背梁
32,33 側梁
32c 開口部
32d 切欠部
41 第1ヒンジ体
41a フランジ
41g 突部
41h 係合ピン(揺動軸)
41h1 螺合穴
42 第2ヒンジ体
42a フランジ
42g 突部
42h 係合穴
44 締結ボルト(締結部材)
44a 軸部
44b 頭部
θ1 傾斜角
θ2 傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面体と、その背面体の両側に配設される一対の側面体と、その一対の側面体を前記背面体に対して揺動自在に結合するヒンジ体とを備えた組み立て式棚において、
前記ヒンジ体は、軸状の揺動軸を有し前記背面体または前記側面体の一方に取着される第1ヒンジ体と、
その第1ヒンジ体の揺動軸が回動自在かつ挿抜自在に挿入される係合穴を有し前記背面体または前記側面体の他方に取着される第2ヒンジ体と、を備え、
前記揺動軸が前記係合穴に挿入されることにより、前記側面体が前記背面体に対して揺動自在、かつ、着脱自在に結合されることを特徴とする組み立て式棚。
【請求項2】
前記背面体は、両端に開口部が開口された中空の棒状体からなり前記背面体の前面または背面に取着されると共に前記開口部に連通する切欠部が切欠き形成された背梁を備え、
前記側面体は、少なくとも一端に開口部が開口された中空の棒状体からなり前記側面体の前面または背面に取着されると共に前記開口部に連通する切欠部が切欠き形成された側梁を備え、
前記第1ヒンジ体および前記第2ヒンジ体は、前記背梁または側梁の前記開口部に内嵌可能に形成される本体部と、その本体部の外周面から突設され前記本体部が前記開口部に内嵌された場合に前記切欠部を介して外部に突出される突部とを備えると共に樹脂材料によって形成され、
前記第1ヒンジ体の突部に前記揺動軸が配設されると共に、前記第2ヒンジ体の突部に前記係合穴が配設されることを特徴とする請求項1記載の組み立て式棚。
【請求項3】
両端に開口部が開口された中空の棒状体からなると共に前記開口部に連通する切欠部が切欠き形成された支持梁を備え、
前記支持梁の開口部に前記第1ヒンジ体又は第2ヒンジ体の前記本体部が内嵌されると、前記切欠部を介して前記第1ヒンジ体又は第2ヒンジ体の前記突部が外部に突出され、
前記揺動軸を前記係合穴に挿入した場合に、前記切欠部を介して前記支持梁の外部に突出する突部は、前記切欠部を介して前記側梁の外部に突出する突部の上側に配設されることを特徴とする請求項2記載の組み立て式棚。
【請求項4】
前記第1ヒンジ体および前記第2ヒンジ体は、前記本体部の前記開口部に内嵌される一端とは反対側の他端における外周面から外方へ向けて張出形成され前記本体部が前記開口部に内嵌された場合に前記背梁、前記側梁および前記支持梁の端面に当接するフランジを備えることを特徴とする請求項3記載の組み立て式棚。
【請求項5】
前記支持梁と、前記背梁と、前記一対の側梁とは、それらの両端面がそれらの長手方向と直交する断面に対して傾斜するように形成され、
前記支持梁の両端面にそれぞれ当接された前記フランジと、前記一対の側梁の両端面にそれぞれ当接された前記フランジと、前記背梁の両端面にそれぞれ当接された前記フランジとを突き合わせることにより、前記支持梁と前記一対の側梁と前記背梁とが枠状に連結されることを特徴とする請求項4記載の組み立て式棚。
【請求項6】
前記揺動軸は、前記突部と連結される基部側よりも、前記係合穴への挿入方向先端側の方が小径の先細り形状に形成され、
前記係合穴は、前記揺動軸の先細り形状に対応して、前記揺動軸の挿入方向手前側である上端側よりも、前記揺動軸の挿入方向奥側である下端側の方が小径の先細り形状に形成されることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の組み立て式棚。
【請求項7】
前記揺動軸は、その揺動軸の先端から基部に向かって穿設される螺合穴を備え、
前記係合穴は、前記突部に貫通形成され、
前記ヒンジ体は、前記係合穴の下端における内径より大きい外径を有する頭部と、その頭部に連設され前記螺合穴に螺合される軸部とを有する締結部材を備えることを特徴とする請求項6記載の組み立て式棚。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−139762(P2011−139762A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1492(P2010−1492)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(399032905)朝日木材加工株式会社 (6)
【Fターム(参考)】