説明

組み立て式浮き桟橋

【課題】組立作業時間を大幅に短縮することができるとともに、分解する場合においても極めて簡単かつ迅速に行うことができる新規な組立式浮き桟橋を提供する。
【解決手段】フレームと、このフレームに支持されてなる複数枚の踏板と、これらの踏板の下側に支持された複数のフロートを備え、上記フレームは、内側に第1の踏板挿入支持部2fが形成された第1のフレーム部材2と、この第1のフレーム部材2に対向してなり内側に第2の踏板挿入支持部3fが形成された第2のフレーム部材3とを有し、上記複数枚の踏板はそれぞれ一端が上記第1の踏板挿入支持部内2fに挿入され他端は上記第2の踏板挿入支持部3f内に挿入されて支持されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海上又は水上に係留されて使用される浮き桟橋に関し、特に、使用者等が組み立てて使用するタイプの組立式浮き桟橋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上述したタイプの組立式浮き桟橋としては、フレームと、このフレームに固定された踏板と、上記踏板の下側に配置された複数のフロートを備えたものが提案されている(特許文献1,2参照)。こうしたこれまでの組立式浮き桟橋は、簡単に組み立てられることを目的としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−13608号公報
【特許文献2】特開平7−108982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した組立式桟橋では、未だに簡単に組み立てることはできない。例えば、上記特許文献1に開示された組立式浮き桟橋では、フレームに対して多数枚の踏板を固定する作業は、スクリュー釘を使用するものであることから、作業者は一つ一つのスクリュー釘を打ち込み或いは回転操作しなければならないか、或いは、釘打ち機等の特殊な機械器具を使用しなければならない。また、上記特許文献1に開示された組立式浮き桟橋では、一旦組み立てて使用した後に再び分解することは不能であり、又は相当な作業時間を必要とする。一方、上記特許文献2に開示された組立式桟橋では、上記特許文献1のように、釘を使用するものではないが、一枚一枚のフロアパネルはボルトとナットを互いに締結することにより固定するものであるため、多数枚のフロアパネルを固定するためには相当な作業時間が必要となるし、分解することは可能ではあるがやはり相当な作業時間を必要とする。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来の組立式浮き桟橋が有する課題を解決するために提案されたものであって、組立作業時間を大幅に短縮することができるとともに、分解する場合においても極めて簡単かつ迅速に行うことができる新規な組立式浮き桟橋を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために提案されたものであって、第1の発明(請求項1記載の発明)は、フレームと、このフレームに支持されてなる複数枚の踏板と、これらの踏板の下側に支持された複数のフロートと、を備え、上記フレームは、内側に第1の踏板挿入支持部が形成された第1のフレーム部材と、この第1のフレーム部材に対向してなり内側に第2の踏板挿入支持部が形成された第2のフレーム部材とを有し、上記複数枚の踏板はそれぞれ一端が上記第1の踏板挿入支持部内に挿入され他端は上記第2の踏板挿入支持部内に挿入されて支持されてなることを特徴とするものである。
【0007】
上記第1の発明では、複数枚の踏板は、それぞれ一端が上記第1のフレーム部材の内側に形成された第1の踏板挿入支持部内に挿入され、他端は上記第2のフレーム部材の内側に形成された第2の踏板挿入支持部内に挿入されて支持されてなり、前述した特許文献1や特許文献2に係る組立式浮き桟橋のように、踏板(フロアパネル)がスクリュー釘やボルトとナットを使用して固定されているものではないことから、組立作業時間を大幅に短縮することができるとともに、分解することも可能となるばかりか、該分解作業を極めて簡単かつ迅速に行うことができる。
【0008】
なお、上記踏板は、使用者が乗ることができる平面状の部位を形成するものであれば、その素材や形状等は特に限定されるものではなく、また、上記第1及び第2のフレーム部材も、少なくとも上記複数枚の踏板の端部が挿入される第1又は第2の踏板挿入支持部が形成されているものであれば、その素材や形状は限定されるものではない。
【0009】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記フレームは、前記第1及び第2のフレームに加えて、前記複数枚の踏板の幅方向に位置する第3及び第4のフレーム部材を有してなるとともに、前記フロートは一方及び他方のフレートからなり、該一方及び他方のフロートは、上記第1又は第2のフレーム部材若しくは第3又は第4のフレーム部材よりも一部が外側に位置してなることを特徴とするものである。
【0010】
この第2の発明では、フレームは、第1ないし第4のフレーム部材を備えてなるとともに、一方及び他方のフロートは、上記第1又は第2のフレーム部材若しくは第3又は第4のフレーム部材よりも一部が外側に位置してなることから、水上に浮かせた場合において安定性を向上させることができる。
【0011】
なお、上記一方のフロートや他方のフロートの形状は、特に限定されないが、少なくともこれら一方及び他方のフロートの一部が上記第1ないし第4のフレームの外側に位置してなるものであれば良い。すなわち、この第2の発明では、組立式浮き桟橋の平面視において、上記一方及び他方のフロートの一部が目視可能なものであれば良い。なお、より水上に浮かせた際の安定性を向上させるためには、一方及び他方のフロートの中心が上記第1ないし第4のフレームの下方に位置させ、さらには、該一方及び他方のフロートの中心が上記第1ないし第4のフレームの下方よりも外側に位置させたものであっても良い。
【0012】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第1又は第2の発明の何れかにおいて、前記一方及び他方のフロートは、それぞれ円柱状に成形され、中心には水平方向に長さを有する凹部又は貫通穴が形成されてなるとともに、この凹部又は貫通穴には水平支軸が挿入又は挿通され、該水平支軸を中心に回転可能とされてなることを特徴とするものである。
【0013】
上記第3の発明では、それぞれ円柱状に成形された一方及び他方のフロートは、上記水平支軸を中心に回転可能とされてなることから、地上で組み立てた組立式浮き桟橋を水上まで移動させる際、或いは、水上に設置した該組立式浮き桟橋を地上に移動させる際、地上に支持された一方及び他方のフロートは、例えば上記フレームを海又は池若しくは川方向又はその逆方向に押圧すると、地面(例えば、砂浜、堤防等)上を転動することとなる。したがって、この完成したこの組立式浮き桟橋を水上に浮かべる際や水上に浮かせた浮き桟橋を地上で分解させるために地上を移動させる際、多数の作業人員を要しない。
【0014】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第2又は第3の発明の何れかにおいて、前記一方のフロートは前記第3のフレーム部材の下方に位置し、前記他方のフロートは前記第4のフレーム部材の下方に位置してなるとともに、前記第1のフレーム部材の外側面と第2のフレーム部材の外側面には、それぞれ他の組立式浮き桟橋と連結するための接続片が形成されてなることを特徴とするものである。
【0015】
この第4の発明では、前記第1のフレーム部材の外側面と第2のフレーム部材の外側面には、それぞれ他の組立式浮き桟橋と連結するための接続片が形成されてなることから、こうした構成に係る複数の組立式浮き桟橋を複数用意し、特定の組立式浮き桟橋を構成する上記第1のフレーム部材に形成された連結片と、他の組立式浮き桟橋を構成する第2のフレーム部材に形成された連結片とを互いに連結させることにより、複数の組立式浮き桟橋を連結させることができる。
【発明の効果】
【0016】
上記第1の発明(請求項1記載の発明)に係る組立式浮き桟橋によれば、複数枚の踏板は、それぞれ一端が上記第1のフレーム部材の内側に形成された第1の踏板挿入支持部内に挿入され、他端は上記第2のフレーム部材の内側に形成された第2の踏板挿入支持部内に挿入されて支持されてなり、前述した特許文献1や特許文献2に係る組立式浮き桟橋のように、踏板(フロアパネル)がスクリュー釘やボルトとナットを使用して固定されているものではないことから、組立作業時間を大幅に短縮することができるとともに、分解することも可能となるばかりか、該分解作業を極めて簡単かつ迅速に行うことができる。
【0017】
また、上記第2の発明(請求項2記載の発明)に係る組立式浮き桟橋では、では、フレームは、第1ないし第4のフレーム部材を備えてなるとともに、一方及び他方のフロートは、上記第1又は第2のフレーム部材若しくは第3又は第4のフレーム部材よりも一部が外側に位置してなることから、水上に浮かせた場合において安定性を向上させることができる。
【0018】
また、上記第3の発明(請求項3記載の発明)に係る組立式浮き桟橋では、それぞれ円柱状に成形された一方及び他方のフロートは、上記水平支軸を中心に回転可能とされてなることから、地上で組み立てた組立式浮き桟橋を水上まで移動させる際、或いは、水上に設置した該組立式浮き桟橋を地上に移動させる際、地上に支持された一方及び他方のフロートは、例えば上記フレームを海又は池若しくは川方向又はその逆方向に押圧すると、地面(例えば、砂浜、堤防等)上を転動することとなり、多数の作業人員を要することなく移動させることが可能となる。
【0019】
また、上記第4の発明(請求項4記載の発明)に係る組立式浮き桟橋では、上記第1のフレーム部材に形成された連結片と、他の組立式浮き桟橋を構成する第2のフレーム部材に形成された連結片とを互いに連結させることにより、複数の組立式浮き桟橋を連結させることができ、大型の船を係留することができる組立式浮き桟橋とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】発明の実施の形態に係る組立式浮き桟橋の平面図である。
【図2】図1に示す組立式浮き桟橋の断面を拡大した要部を示す正断面図である。
【図3】図1に示す組立式浮き桟橋の左側面図である。
【図4】図1に示す組立式浮き桟橋の右側面を拡大した要部を示す拡大右側面図である。
【図5】図1に示す組立式浮き桟橋の右側面図である。
【図6】図1に示す組立式浮き桟橋の底面図である。
【図7】図1に示す組立式浮き桟橋のA−A線断面図である。
【図8】図1に示す組立式浮き桟橋の正面図である。
【図9】図1に示す組立式浮き桟橋を二つ接続した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態に係る組立式浮き桟橋1を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
この実施の形態に係る組立式浮き桟橋(以下、浮き桟橋と言う。)1は、図1に示すように、第1ないし第4のフレーム部材2・・・5と、これら第1ないし第4のフレーム部材2・・・5の内側に配置された複数の踏板6と、上記第3のフレーム部材4の下方に配置された第1及び第2のフロート7,8と、上記第3のフレーム部材4の下方に配置された第3及び第4のフロート9,10とを備えている。なお、上記第1及び第2のフロート7,8は、本発明を構成する一方のフロートであり、上記第3及び第4のフロート9,10は本発明を構成する他方のフロートである。
【0023】
上記第1ないし第4のフレーム部材2・・・5は、本発明を構成するフレーム(符号は省略する。)であり、いずれも耐腐食性の金属から構成されている。そして、上記第1のフレーム部材2及び第2のフレーム部材3は、図1に示すように、互いに平行に配置されてなるとともに、後述するフレーム本体(符号は省略する。)に接続片や接続片が固定(溶接)されてなるものである。すなわち、第1のフレーム部材2を構成するフレーム本体は、この浮き桟橋1の左側面を形成する長方形状の側板部2aと、上板部2b及び下板部2cと、この上板部2bの内側端から垂下してなる垂下板部2dと、上記下板部2cの内側端から上方に起立してなるとともに上端が上記垂下板部2dの下端と対向してなる起立板部2eとから構成され、これら垂下板部2dと起立板部2eとの間は、第1の踏板挿入支持部2fとされている。そして、この実施の形態に係る浮き桟橋1では、後述する各踏板6の左端側の下面を支持するL字状の支持アングル13が上記起立板部2eの内側面に溶接されている。また、上記第1のフレーム部材2を構成する側板部2aの一端側中途部には、図1に示すように、第1の水平接続片21が形成され、他端側中途部には第2の水平接続片22が形成されている。これら第1及び第2の水平接続片21,22は、上記側板部2aから垂直に突出した状態で形成されてなるとともに、該第1及び第2の水平接続片21,22上面の中心から側板部2aには、それぞれ補強用リブ21a,22aが形成されている。なお、上記第1及び第2の水平接続片21,22の左右両側には、図示しないボルトが挿通される挿通穴(符号は省略する。)が穿設されている。
【0024】
また、上記第1のフレーム部材2を構成する上板部2bの一端の上面には、図1又は図3に示すように、第1の連結片23の基端側が固定され、他端の上面には、第2の連結片24の基端側が固定され、該第1及び第2の連結片23,24の先端側中途部には、それぞれボルトが挿通されるボルト挿通穴(符号は省略する。)が形成されている。また、上記第1のフレーム部材2を構成する下板部2cの一端の下面には、図3に示すように、第3の連結片25の基端側が固定され、他端の下面には、第4の連結片26の基端側が固定されており、該第3及び第4の連結片25,26の先端側中途部には、それぞれボルトが挿通されるボルト挿通穴(符号は省略する。)が形成されている。
【0025】
また、上記第2のフレーム部材3も上記第1のフレーム部材2と同様に、後述するフレーム本体(符号は省略する。)に水平接続片や接続片が固定(溶接)されてなるものである。すなわち、第2のフレーム部材3を構成するフレーム本体は、図2に示すように、上記第1のフレーム部材2と同様の側板部3aと、上板部3b及び下板部3cと、垂下板部3dと、起立板部3eとから構成され、該垂下板部3dと起立板部3eとの間は、第2の踏板挿入支持部3fとされている。そして、この実施の形態に係る浮き桟橋1では、後述する各踏板6の右端側の下面を支持するL字状の支持アングル14が上記起立板部3eの内側面に溶接されている。また、この第2のフレーム部材3を構成する側板部3aの一端側中途部には、図1に示すように、第3の水平接続片31が形成され、他端側中途部には第4の水平接続片32が形成されている。これら第3及び第4の水平接続片31,32は、上記側板部3aから垂直に突出した状態で成形されてなるとともに、図4又は図5に示すように、該第3及び第4の水平接続片31,32下面の中心から側板部3aには、それぞれ補強用リブ31a,32aが形成されている。なお、上記第1のフレーム部材2に形成された第1及び第2の水平接続片21,22と、上記第2のフレーム部材3に形成された第3及び第4の水平接続片31,32との左右両側には、それぞれ図示しない接続用のボルトが挿通される挿通孔(符号は省略する。)が穿設されており、また、該第3及び第4の接続片31,32の上面の位置は、第1及び第2の接続片21,22の下面の位置とされている。
【0026】
また、上記第2のフレーム部材3を構成する上板部3bの一端の上面には、図4又は図5に示すように、第5の連結片35の基端側が固定され、他端の上面には、第6の連結片36の基端側が固定されており、該第5及び第6の連結片35,36の先端側中途部には、それぞれナットに螺着されるボルトが挿通されるボルト挿通穴(符号は省略する。)が形成されている。また、この第2のフレーム部材2を構成する下板部3cの一端の下面には、図5に示すように、第7の連結片37の基端側が固定され、他端の下面には、第8の連結片38の基端側が固定されており、該第7及び第8の連結片37,38の先端側中途部には、それぞれボルトが挿通されるボルト挿通穴(符号は省略する。)が形成されている。
【0027】
また、上記第3のフレーム部材4と第4のフレーム部材5とは、互いに対称形状に成形されてなるものであり、後述するフレーム本体(符号は省略する。)に垂直接続片やフック等が固定されてなるものである。すなわち、この第3フレーム部材4を構成するフレーム本体は、図4に示すように、この浮き桟橋1の背面を形成する長方形状の側板部4aと、上板部4b及び下板部4cと、この上板部4bの内側端から垂下してなる垂下板部4dと、上記下板部4cの内側端から上方に起立してなるとともに上端が上記垂下板部4dの下端と対向してなる起立板部4eとから構成され、これら垂下板部4dと起立板部4eとの間は、第3の踏板挿入支持部4fとされている。
【0028】
そして、図1に示すように、上記側板部4aの一端には、方形状に成形された第1の垂直接続片41の基端側が該側板部4aに固定されたスペーサ42を介して固定され、他端には、方形状に成形された第2の垂直接続片43の基端側が(スペーサ無しに)固定されている。なお、上記第1及び第2の垂直接続片41,43には、ナットに螺着されるボルトが挿通される挿通穴が穿設されている。また、上記側板部4aの上板部4bの左右両端側中途部には、図1に示すように、第1のフック45と第2のフック46とが着脱可能に取り付けられている。また、この第3のフレーム部材4を構成する下板部4cの中央には、図6に示すように、第1の支持金具47の基端が溶接されており、この第1の支持金具47の中途部には、後述する中間支持フレーム部材の一端側と該第1の支持金具47とを固定するボルト(符号は省略する。)を挿通する図示しない挿通孔が穿設されている。
【0029】
また、上記第4のフレーム部材5は、上記第3のフレーム部材4と対称形状に成形されてなるものであって、後述するフレーム本体(符号は省略する。)に垂直接続片やフック等が固定されてなるものである。すなわち、この第4フレーム部材5を構成するフレーム本体は、図4に示すように、この浮き桟橋1の正面を形成する長方形状の側板部5aと、上板部5b及び下板部5cと、垂下板部5d及び起立板部5eとから構成され、これら垂下板部5dと起立板部5eとの間は、第4の踏板挿入支持部5fとされている。
【0030】
そして、図1に示すように、上記側板部5aの一端には、方形状に成形された第3の垂直接続片51の基端側が(スペーサ無しに)固定され、他端には、該側板部4aに固定されたスペーサ52を介して方形状に成形された第4の垂直接続片53の基端側が固定されている。なお、上記第3及び第4の垂直接続片51,53には、ナットに螺着されるボルトが挿通される挿通穴が穿設されている。また、上記側板部5aの上板部5bの左右両端側中途部には、図1に示すように、第3のフック55と第4のフック56とが着脱可能に取り付けられている。また、この第4のフレーム部材5を構成する下板部5cの中央には、図6に示すように、第2の支持金具57の基端が溶接されており、この第2の支持金具57の中途部には、後述する中間支持フレーム部材の他端側と該第2の支持金具57とを固定するボルト(符号は省略する。)を挿通する図示しない挿通孔が穿設されている。
【0031】
そして、第3のフレーム部材4を構成する下板部4cの左端には、第1の吊り金具12の上端が固定され、上記下板部4cの中途部であって上記第1の支持金具47の固定位置よりも左側には、第2の吊り金具13の上端が固定されている。また、上記下板部4cの中途部であって上記第1の支持金具47の固定位置よりも右側の中途部には、第3の吊り金具14の上端が固定され、上記下板部4cの右端には、第4の吊り金具15の上端が固定されている。また、上記第4のフレーム部材5を構成する下板部5cの左端には、図6に示すように、第5の吊り金具16の上端が固定され、上記下板部5cの中途部であって上記第2の支持金具57の固定位置よりも左側には、第6の吊り金具17の上端が固定されている。また、上記下板部5cの中途部であって上記第2の支持金具57の固定位置よりも右側の中途部には、第7の吊り金具18の上端が固定され、上記下板部5cの右端には、第8の吊り金具19の上端が固定されている。これら第1ないし第8の吊り金具12・・・19は、それぞれ同一の形状からなり、図2に示す第5の吊り金具16のように、(第3の)フレーム部材4の下面に要請されたスペーサ(符号は省略する。)にボルトを介して固定される短尺の固定板部16aと、この固定板部16aの一端から垂下してなる長尺の垂下板部16bとから構成され、該垂下板部16bの下端側中途部には、後述する水平支軸が挿通された貫通孔(符号は省略する。)が穿設されている。すなわち、上記第1の吊り金具12の垂下板部と第2の吊り金具13の垂下板部とは互いに対向してなり、上記第3の吊り金具14の垂下板部と第4の吊り金具15の垂下板部とは互いに対向し、また、上記第5吊り金具16の垂下板部16bと第6の吊り金具17の垂下板部17bとは互いに対向し、第7の吊り金具18の垂下板部18bと第8の吊り金具19の垂下板部19bとは互いに対向している。
【0032】
そして、上記第1の吊り金具12の垂下板部に形成された貫通孔から第2の吊り金具13の垂下板部に穿設された貫通孔には、図示しない第1の水平支軸が挿通され、上記第3の吊り金具14の垂下板部に穿設された貫通孔から第4の吊り金具15の垂下板部に穿設された貫通孔には、図示しない第2の水平支軸が挿通され、また、上記第5吊り金具16の垂下板部16bに穿設された貫通穴から第6の吊り金具17の垂下板部17bに穿設された貫通穴には、図7に示すように、第3の水平支軸61が挿通され、上記第7の吊り金具18の垂下板部18bに穿設された貫通穴から第8の吊り金具19の垂下板部19bに穿設された貫通穴には、第4の水平支軸62が挿通されている。なお、上記図示しない第1及び第2の水平支軸は、それぞれ図7に示す第3及び第4の水平支軸61,62と同じように、一端は上記貫通穴からの抜け止めを防止するための折曲部61a,62aが形成され、他端には抜け止め用のナット(符号は省略する。)が螺着されている。
【0033】
そして、上記第1の水平支軸には、前記第1のフロート7が回転自在に支持され、第2の水平支軸には、前記第2のフロート8が回転自在に支持され、第3の水平支軸61には図7に示すように、前記第3のフロート9が回転自在に支持され、第4の水平支軸62には、前記第4のフロート10が回転自在に支持されている。これら第1ないし第4のフロート7・・・9は、発泡スチロール等のように水に比べて比重が軽い素材からなるものであって、図7又は図8に示すように、略円筒状に成形されてなるものであって、長さ方向の中心には、上記第1ないし第4の水平支軸61,62が挿通された貫通孔9a,10aが形成されている。なお、上記第1ないし第4のフロート7・・・9には、図示しない保護カバーが装着されている。
【0034】
そして、この浮き桟橋1は、上記第1のフレーム部材2の一端と、上記第3のフレーム4の一端(図1中左端)とは、図3に示すように、該第1のフレーム部材2に固定された第1の連結片23と第3の連結片25との間に挿通された該第3のフレーム部材4の一端とがボルトB及びナットNにより固定され、上記第1のフレーム部材2の他端と、上記第4のフレーム5の一端(図1中左端)とは、該第1のフレーム部材2に固定された第2の連結片25と第4の連結片26との間に挿通された該第3のフレーム部材4の一端とがボルトB及びナットNによりにより固定されている。また、上記第2のフレーム部材3の一端と、上記第3のフレーム4の他端(図1中右端)とは、図5に示すように、該第2のフレーム部材3に固定された第5の連結片36と第7の連結片38との間に挿通された該第3のフレーム部材4の他端とがボルトB及びナットNにより固定され、上記第2のフレーム部材3の他端と、上記第4のフレーム5の他端(図1中右端)とは、該第2のフレーム部材3に固定された第6の連結片35と第8の連結片37との間に挿通された該第3のフレーム部材4の他端とがボルトB及びナットNによりにより固定されている。
【0035】
そして、上記第3のフレーム部材4と第4のフレーム部材5とは、図6に示すように、中間支持フレーム11により接続されている。この中間支持フレーム部材11は、上記第1ないし4のフレーム部材2・・・4と同じ素材により、底面形状が長方形状に成形されてなるものであって、一端は上記第1の支持金具47の上面にボルトB及びナットNにより固定されてなり、他端は上記第2の支持金具57の上面にボルトB及びナットNにより固定されている。また、この中間支持フレーム11は、図7に示すように、下面板部11aと、この下面板部11aの左右両側から起立してなる起立板部11b,11cと、これら起立板部11b,11cの上端から互いに先端が対向するようにL字状に折曲され上面で前記複数の踏板6の下面を支持する支持板部(符号は省略する。)とから構成されている。
【0036】
そして、上記複数の(8枚)踏板6は、それぞれの一端が第1のフレーム部材2に形成された上記第1の踏板挿入支持部2f内に挿入され、それぞれの他端は第2のフレーム部材3に形成された第2の踏板挿入支持部3f内に挿入された状態で支持されているとともに、中心位置では、上記中間支持フレーム11により支持されている。
【0037】
したがって、上述した実施の形態に係る浮き桟橋1によれば、複数枚の踏板6は、上記第1ないし第4のフレーム部材2・・・4に対して釘等を一切使用していないことから、容易に組み立てることが可能であるばかりか、組み立てた浮き桟橋1を分解する場合であっても、極めて容易に行うことが可能となる。また、この実施の形態に係る浮き桟橋1では、上記第1及び第2のフロート7,8は、上記第1のフレーム部材2よりも側方に露出しており、また、上記第3及び第4のフロート9,10は、上記第2のフレーム部材3よりも側方に露出していることから、極めて安定性が良好となり、上記踏板6上に偏って使用者等の荷重が作用した場合であっても不用意に傾いたり転倒・反転したりする等の危険性を有効に回避することができる。
【0038】
さらに、この実施の形態に係る浮き桟橋1では、上記第1ないし第4のフロート7・・・10は、上記第1ないし第4の水平支軸61,62に対して回転可能に支持されてなることから、地上で組み立てたこの浮き桟橋1を水上まで移動させる際や、水上に設置した該浮き桟橋1を地上に移動させる際においても、上記第1ないし第4のフロート7・・・10は、例えば上記第3又は第4のフレーム4,5を海又は池若しくは川方向又はその逆方向に押圧すると、地面(例えば、砂浜、堤防等)上を転動することとなる。したがって、この完成したこの浮き桟橋1を水上に浮かべる際や水上に浮かせた浮き桟橋1を地上で分解させるために地上を移動させる際、多数の作業人員を要しない。
【0039】
特に、この実施の形態に係る浮き桟橋1では、上記第1のフレーム部材2には、それぞれ第1及び第2の水平接続片21,22が固定され、第2のフレーム部材3には、それぞれ第3及び第4の水平接続片31,32が固定され、さらに、上記第3のフレーム部材4には、第1及び第2の垂直接続片41,43が、第4のフレーム部材5には、第3及び第4の垂直接続片51,53がそれぞれ固定されていることから、上記第1の水平接続片21と第3の水平接続片31とを、また第2の水平接続片22と第4の水平接続片32とをそれぞれ図示しないボルト及びナットにより接続するとともに、上記第1の垂直接続片41と第3の垂直接続片43とを、また第2の垂直接続片51と第4の垂直接続片53とをそれぞれ図示しないボルト及びナットにより接続することにより、図9に示すように、第3及び第4のフレーム部材3,4の長さ方向に複数の浮き桟橋1,1を接続することができ、より大きな浮き桟橋とすることが可能となる。
【0040】
なお、上記実施の形態に係る浮き桟橋1では、本発明を構成する一方のフロートと他方のフロートをそれぞれ2つずつ構成要素としたものを図示して説明したが、これらのフロートは一方及び他方のフトートがそれぞれ1つずつであっても良いし、3つ以上であっても良い。また、上述した第1ないし第4のフロート7・・・10には、それぞれ貫通孔9a,10aを形成し、それぞれに水平支軸を挿通したものを説明したが、本発明は、上記各フロート7・・・10(ないし一方及び他方のフロート)の左右両側に図示しない凹部を設け、これらの凹部内に水平支軸の先端側を挿入することにより該各フロート7・・・10(ないし一方及び他方のフロート)を回転自在に支持したものであっても良い。
【符号の説明】
【0041】
1 組立式浮き桟橋
2 第1のフレーム部材
2f 第1の踏板挿入支持部
3 第2のフレーム部材
3f 第2の踏板挿入支持部
4 第3のフレーム部材
4f 第3の踏板挿入支持部
5 第4のフレーム部材
5f 第4の踏板挿入支持部
6 踏板
7 第1のフロート
8 第2のフロート
9 第3のフロート
9a 貫通孔
10 第4のフロート
10a 貫通孔
21 第1の水平接続片
22 第2の水平接続片
31 第3の水平接続片
32 第4の水平接続片
41 第1の垂直接続片
43 第2の須直接続片
51 第3の垂直接続片
53 第4の垂直接続片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、このフレームに支持されてなる複数枚の踏板と、これらの踏板の下側に支持された複数のフロートと、を備え、
上記フレームは、内側に第1の踏板挿入支持部が形成された第1のフレーム部材と、この第1のフレーム部材に対向してなり内側に第2の踏板挿入支持部が形成された第2のフレーム部材とを有し、上記複数枚の踏板はそれぞれ一端が上記第1の踏板挿入支持部内に挿入され他端は上記第2の踏板挿入支持部内に挿入されて支持されてなることを特徴とする組立式浮き桟橋。
【請求項2】
前記フレームは、前記第1及び第2のフレームに加えて、前記複数枚の踏板の幅方向に位置する第3及び第4のフレーム部材を有してなるとともに、
前記フロートは、一方及び他方のフレートからなり、該一方及び他方のフロートは、上記第1又は第2のフレーム部材若しくは第3又は第4のフレーム部材よりも一部が外側に位置してなることを特徴とする請求項1記載の組立式浮き桟橋。
【請求項3】
前記一方及び他方のフロートは、それぞれ円柱状に成形され、中心には水平方向に長さを有する凹部又は貫通穴が形成されてなるとともに、この凹部又は貫通穴には水平支軸が挿入又は挿通され、該水平支軸を中心に回転可能とされてなることを特徴とする請求項1又は2記載の組立式浮き桟橋。
【請求項4】
前記一方のフロートは前記第3のフレーム部材の下方に位置し、前記他方のフロートは前記第4のフレーム部材の下方に位置してなるとともに、前記第1のフレーム部材の外側面と第2のフレーム部材の外側面には、それぞれ他の組立式浮き桟橋と連結するための接続片が形成されてなることを特徴とする請求項2又は3記載の組立式浮き桟橋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−241601(P2011−241601A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114714(P2010−114714)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(305018410)株式会社▲高▼橋技建 (1)
【出願人】(510137504)有限会社カーペイント ヒロ (1)
【Fターム(参考)】