説明

組み立て式菓子皿

【課題】 1枚の平面状の厚紙または合成樹脂板を、組み立てて立体的な菓子皿を形成する組み立て式の菓子皿を提供。
【解決手段】 1枚の平面状の厚紙または合成樹脂板1を、組み立てて立体的な菓子皿10を形成する組み立て式菓子皿であって、厚紙または合成樹脂板1を正方形とし、その各外周辺に沿って、一定方向にほぼ所定の幅でほぼ所定の長さL1に切り込んだ織り込み片1Aを形成し、これら各織り込み片1Aの先端側を厚紙または合成樹脂板1の裏面側に向け弯曲させ、それぞれの先端を隣接する織り込み片1Aの切り込み基部に差し込んで立体的菓子皿10を形成する。織り込み片1Aの幅及び切り込み長さL1の寸法を、厚紙または合成樹脂板の1辺の長さの12%程度及び75%程度とした。厚紙または合成樹脂板1の織り込み片1Aを形成しない部分に、他の部分と異なる図形、模様、色彩1Bなどを施した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1枚の平面状の厚紙または合成樹脂板を、組み立てて立体的な菓子皿を形成する組み立て式の菓子皿に関し、詳しくは、組み立てて使用後、洗浄することなく使い捨てが可能な組み立て式菓子皿に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1枚の平面状の厚紙または合成樹脂板、あるいはプラスチックフィルムを、組み立てて立体的な食品容器としたものが広く使用されている。例えば、特許文献1に開示されている簡易食品皿は、従来、鉢盛皿や食品用トレー等に多く使用されている、環境に悪影響を及ぼす恐れのあるプラスチック等の化学物質に代えて、段ボールを心材として使用した軽量で使用後の処理も簡単な簡易食品皿を提供することを目的としている。そして、平行四辺形の段ボール平板の四隅頂点部を直角二等辺三角形状に欠切し、8角形状に形成し、さらにこの8角形の各頂点部よりくさび状の欠切部を設け、対向する8枚の角部立設辺材及び辺部立設辺材を設け、該辺部立設辺材の中で上端部の延長方向に対して、段ボール心材の耐圧方向が同一の辺材を欠切し、この欠切部の延長方向に対して、段ボール心材の耐圧方向が垂直の取付辺材を設け、この取付辺材と底面部及び各立設辺材を立設状態に接着固定し、表面処理を施したものである。
【0003】
また、特許文献2に開示されている紙製トレーは、ストレッチ・フィルム包装を施されても、側板がフィルム張力によって変形されることのない、合成樹脂不使用の紙製トレーを提供することを目的として、多角形の底板の周縁と、この周縁に連続する側板との間の折曲線を側板上端縁に向かう緩円弧線とする等の手段により、各側板に外側方向に向かう反発弾性を持たせ、この反発弾性で、ストレッチ・フィルム包装時のフィルム張力に対抗させるようにしたものである。
【0004】
【特許文献1】特開2003−327232号公報
【特許文献2】特開2000−210179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1及び特許文献2に開示されている簡易食品皿及び紙製トレーは、原材料に、環境に悪影響を及ぼす恐れのある合成樹脂、プラスチック、発泡スチロール等の化学物質に代えて、段ボールや紙を用い、使用後に簡単に処理できるようにしたものである。しかし、その加工には複雑な切り込みを設けたりして面倒な工程を要し、また組み立てに接着を行うなど手数が掛かる上に、できあがった製品を、例えば客に出す菓子皿として使用することはできない、といった問題点があった。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決することを目的になされたもので、正方形からなる1枚の平面状の厚紙または合成樹脂板の各外周縁(辺)に沿って、ほぼ所定の幅でほぼ所定の長さに切り込んで織り込み片を形成し、これら各織り込み片を組み立てて、立体的な菓子皿を形成するようにした組み立て式菓子皿を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明の組み立て式菓子皿は、以下の構成を有することを特徴としている。
A.1枚の平面状の厚紙または合成樹脂板を、組み立てて立体的な菓子皿を形成する組み立て式菓子皿であって、
前記1枚の厚紙または合成樹脂板を正方形とし、その各外周辺に沿って、一定方向にほぼ所定の幅でほぼ所定の長さに切り込んだ織り込み片を形成し、これら各織り込み片の先端側を厚紙または合成樹脂板の裏面側に向け弯曲させ、それぞれの先端を隣接する織り込み片の切り込み基部に差し込んで立体的菓子皿を形成する。
【0008】
B.前記織り込み片の幅及び切り込み長さの寸法を、厚紙または合成樹脂板の1辺の長さの12%程度及び75%程度とした。
C.前記1枚の厚紙または合成樹脂板の織り込み片を形成しない部分に、他の部分と異なる図形、模様、色彩などを施した。
【発明の効果】
【0009】
イ.上記A.の構成により、厚紙または合成樹脂板の各外周縁(辺)に沿って形成された4枚の織り込み片の各先端側を厚紙または合成樹脂板の裏面側に向け弯曲させ、それぞれの先端を隣接する織り込み片の切り込み基部に差し込むだけで、立体的な菓子皿を組み立てることができる。そして、菓子皿の中央部分上に菓子を載せて客に出すことができる。また、使用後の菓子皿は、そのままゴミとして捨てて焼却処分すればよい。
【0010】
ロ.上記B.の構成により、織り込み片は組み立てが容易であり、組み立て後の皿部分と織り込み片とのバランス及び美的外観が良好となる。
ハ.上記C.の構成により、皿部分に図形、模様、色彩などを施すことにより、菓子皿としての品位、品格、美的外観を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付の図面を参照しながら具体的に説明する。
【0012】
図1は、本発明による組み立て式菓子皿の原材料となる1枚の正方形をした厚紙の斜視図、図2は、切り込まれた織り込み片を厚紙に対し立体的に組み立てる第1組み立て工程を示す斜視図、図3は、切り込まれた織り込み片を厚紙に対し立体的に組み立てる第2組み立て工程を示す斜視図、図4は、切り込まれた各織り込み片を厚紙に対し立体的に組み立てて、立体的菓子皿とし、その中央部分に菓子を載せた状態の斜視図である。
【0013】
図1において、符号1は本発明に係る組み立て式菓子皿の原材料となる1枚の正方形の厚紙で、この厚紙1は、その表面が黒色で光沢を有している。正方形をした厚紙1の1辺の長さは、この実施例では12cmで、その各外周辺に沿って、一定方向に1.5cmの幅で長さ9cmに切り込んだ4つの織り込み片1Aが形成されている。ここで、各辺に対し織り込み片1Aを切り込んだ残り部分の長さLは10.5cm、織り込み片1Aを切り込んだ切り込み線1A2の長さL1が9cm、残り部分の長さL0が織り込み片1Aの幅と同じ1.5cmである。この残り部分の長さLOに対応する角部分は、菓子皿を組み立てた際の菓子皿部分1A0の角部分1A1となる。なお、厚紙1は、合成樹脂板にしてもよい。
【0014】
前記厚紙1(または合成樹脂板)に対する織り込み片1Aの切断幅及び切り込み長さの寸法比率は、上記実施例のものがほぼ望ましい。即ち、織り込み片1Aの幅及び切り込み長さL1(切り込み線1A2)は、厚紙1(または合成樹脂板)の1辺の長さの12%程度、及び75%程度である。これらの寸法比率は、厚紙1(または合成樹脂板)の厚み、材質等により多少の変更は可能であるが、基本的には上記の比率がほぼ望ましい。
【0015】
前記1枚の厚紙1(または合成樹脂板)の織り込み片1Aが形成されない菓子皿部分1A0の中央部分には、他の部分の黒色光沢面と異なる正方形からなる図形1Bが、厚紙1と位相を90度ずらせて施されている。この図形1Bは、この実施例では光沢のある赤色をした薄紙を貼り付けたものである。従って、黒色光沢面をバックに赤色光沢面が浮き上がるようにして美的効果を高めている。この図形1Bは、予め印刷しておいても良いものである。また、図形1Bに代えて模様や色彩などを変えて施しても良いものである。
【0016】
次に、上記のように正方形の外周片に沿って4つの織り込み片1Aを形成した厚紙1から、菓子皿を組み立てる工程について説明する。まず、図2に示す第1工程では、1つの織り込み片1Aを持って、その先端側を、厚紙1(または合成樹脂板)の裏面側に向けFの方向に向け弯曲させ、その先端を隣接する織り込み片1Aの切り込み線1A2の基部に対してF0の方向に差し込んで係止する。その際、織り込み片1Aが弯曲することによって、立体的な間隙Sが形成される。次に、織り込み片1Aの切り込み線1A2の基部に他の織り込み片1Aの先端が差し込まれた織り込み片1Aを持って同様に弯曲させ、その先端を隣接する織り込み片1Aの切り込み線1A2の基部に差し込む。
【0017】
このようにして次々と織り込み片1Aを立体的に組み立てる第3工程を図3に示す。それぞれ4つの織り込み片1Aを立体的に組み立てて、立体的な菓子皿10を成形した状態を図4に示す。立体的菓子皿10は、4つの織り込み片1Aが皿部を支えて立体感覚を強調し、デザイン感覚にも優れたものとなっている。そして、図形1Bの上に菓子2を載せて客に供給する。使用済みの菓子皿10は、そのままゴミとして捨て、焼却すればよい。従って、陶器やガラス、木製などの従来の菓子皿を使用する場合のように洗って保管する必要がなく、省力的である。。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の組み立て式菓子皿は、1枚の正方形をなす平面状の厚紙または合成樹脂板の各外周辺に沿って、所定幅、所定長さに切り込んで織り込み片を形成し、これら各織り込み片を組み立てて立体的な菓子皿を形成し、菓子皿として使用後は使い捨てが可能で、省力化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による組み立て式菓子皿の原材料となる1枚の正方形からなる厚紙の斜視図である。
【図2】切り込まれた織り込み片を厚紙に対し立体的に組み立てる第1組み立て工程を示す斜視図である。
【図3】切り込まれた織り込み片を厚紙に対し立体的に組み立てる第2組み立て工程を示す斜視図である。
【図4】切り込まれた各織り込み片を厚紙に対し立体的に組み立てて立体的菓子皿としその中央部分に菓子を載せた状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
1 厚紙(または合成樹脂板) 1A 織り込み片 1A0 菓子皿部分 1A1 角部分 1A2 織り込み片の切り込み線 1B 図形(または模様、色彩) L 織り込み片を切り込んだ残り部分の長さ L1 織り込み片を切り込み長さ L0 織り込み片を切り込んだ残りの長さ
F 織り込み片の弯曲方向 F0 織り込み片の先端部を隣接する織り込み片の切り込み基部に差し込む方向 S 織り込み片が弯曲して形成される立体的間隙
2 菓子
10 立体的に組み立てられた菓子皿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の平面状の厚紙または合成樹脂板を、組み立てて立体的な菓子皿を形成する組み立て式菓子皿であって、
前記1枚の厚紙または合成樹脂板を正方形とし、その各外周辺に沿って、一定方向にほぼ所定の幅でほぼ所定の長さに切り込んだ織り込み片を形成し、これら各織り込み片の先端側を厚紙または合成樹脂板の裏面側に向け弯曲させ、それぞれの先端を隣接する織り込み片の切り込み基部に差し込んで立体的菓子皿を形成することを特徴とする組み立て式菓子皿。
【請求項2】
前記織り込み片の幅及び切り込み長さの寸法を、厚紙または合成樹脂板の1辺の長さの12%程度及び75%程度としたことを特徴とする請求項1記載の組み立て式菓子皿。
【請求項3】
前記1枚の厚紙または合成樹脂板の織り込み片を形成しない部分に、他の部分と異なる図形、模様、色彩などを施したことを特徴とする請求項1又は2記載の組み立て式菓子皿。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−89124(P2006−89124A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−307413(P2004−307413)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(500283354)株式会社聖護院八ッ橋総本店 (1)
【Fターム(参考)】