説明

組ブロック

【課題】コンクリートブロックを2以上集合させてなる組ブロックにおいて、上下、左右に整列して塀を形成したときに上下方向または左右方向に延びる目地を目立たせない。
【解決手段】上下方向に直線状に延びた複数の溝20および上下方向に延びた、化粧が施された複数の帯状部分50とが、ブロック本体のおもて面11およびうら面12にそれぞれ形成されてなるコンクリートブロック100であって、溝20と帯状部分50とは、その数、幅および間隔のうち少なくとも一つが互いに異なって形成され、組ブロックを構成する2以上のコンクリートブロック100は、溝20の数、幅および間隔のうち少なくとも一つ、または帯状部分50の数、幅および間隔のうち少なくとも一つが互いに異なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートブロックを2以上集合させた組ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塀や壁として積み上げられて使用されるコンクリートブロックは、その表面(ひょうめん)が均一な平面に形成されていた。
【0003】
このようなコンクリートブロックとして、近年、表面に複数の溝を形成したものや、例えば表面にウォータージェット加工(高圧力の水流を衝突させて、コンクリートブロック表面のセメントノロ(セメントを水で溶いたもの)を洗い流し、コンクリートブロック内部の骨材面を表面に露出させる加工)を施す等して濃淡の差を生じさせた(化粧を施した)ものなど、装飾性を向上させたものが知られている。
【0004】
また、そのような溝や化粧からなる意匠を、ブロック本体のおもて面とうら面とで互いに異なるものとしたコンクリートブロックも提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−291786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、コンクリートブロックは、左右に並べられるとともに上方向に積み上げて施工されることにより塀や壁として形成されるが、上下左右に整列されているため、左右または上下に隣接する2つのコンクリートブロック間の目地が上下方向および左右方向に沿った一直線に形成される。
【0007】
このため、目地によって塀や壁が、個々のコンクリートブロック単位で碁盤目状に分割されたように見え、結果的にコンクリートブロックを積み上げて形成された塀、壁であることが明瞭となる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、上下、左右に整列して塀や壁として形成したときに上下方向または左右方向に延びる目地を目立たせないようにした、コンクリートブロックを2以上集合させてなる組ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る組ブロックは、同一の特定方向に延びた複数の溝と化粧による複数の帯状部分とを、少なくとも一部でずらす(溝と帯状部分との、数、幅、間隔のうち少なくとも一つを、両者で異なるものとする)ことにより、化粧による帯状部分が溝による陰影を擬似的に形成することができ、2つのコンクリートブロック間に形成される目地は溝として視認されやすいが、ここに化粧による帯状部分が重畳することで、溝幅に変化を与え、均一幅の目地が一直線に延びているようには見えなくなるため、目地を目立たなくすることができる。
【0010】
すなわち、本発明に係る組ブロックは、特定の方向に直線状に延びた複数の溝および前記特定の方向と同じ方向に延びた、化粧が施された複数の帯状部分とが、ブロック本体のおもて面およびうら面にそれぞれ形成されてなるコンクリートブロックを2以上集合させた組ブロックであって、前記溝と前記化粧が施された帯状部分とは、その数、幅および間隔のうち少なくとも一つが互いに異なって形成され、一つのコンクリートブロックの前記おもて面と前記うら面とで、前記溝および前記帯状部分のうち少なくとも一方の、数、幅および間隔のうち少なくとも一つが互いに異なって形成され、前記2以上のコンクリートブロックは、前記溝の数、幅および間隔のうち少なくとも一つ、または前記帯状部分の数、幅および間隔のうち少なくとも一つが互いに異なっていることを特徴とする。
【0011】
ここで、溝は、その断面において凹状の輪郭部分を有する形状であって、例えば、型によって成型され、または切削等の塑性加工によって形成された部分である。
【0012】
一方、化粧は、溝のように明瞭な輪郭として凹状の断面形状を有するものではなく、主として表面(ひょうめん)の装飾性を向上させる目的で施されたものであって、その表面を粗面化したものや、これとは反対にいっそうの平滑面化を施したもの、自然石の感じを演出したものなど、種々の表面処理に相当するものである。
【0013】
このような化粧としては、具体的には例えば、ブロック本体の表面にウォータージェット加工を施す等して、表面に濃淡の差を生じさせたものなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0014】
溝や化粧の帯状部分が延びた特定の方向は、このコンクリートブロックが整列して使用される状態における、上下方向に沿った方向や、左右方向に沿った方向など、コンクリートブロックの輪郭形状を規定する各辺の延びた方向と平行な方向である。
【0015】
このように構成された本発明に係る組ブロックによれば、組ブロックを構成する各コンクリートブロック本体は、そのおもて面およびうら面に、特定の方向に直線状に延びた溝が形成されているため、このようなコンクリートブロックを2個以上隣接して並べた状態においてその特定方向と平行な外形輪郭の辺に沿って延びる両コンクリートブロック間の目地が、それら複数の溝のうちの一つとして隠蔽されやすい。
【0016】
ここで、コンクリートブロックに形成された溝は、そこに照射された光によって、溝の延びた方向と平行に延びる陰影を形成するが、同じく溝の延びた方向と平行に延びた、化粧が施された帯状の部分による濃淡差が、あたかも溝の陰影によって生じる濃淡と同じように見せるため、実際には存在しない溝を錯覚させる視覚効果が得られる。
【0017】
特に、化粧の帯状部分は、本数、幅、間隔のうちいずれかが溝とは異なるように形成されているため、化粧の帯状部分のうち少なくとも一部は、溝の底面または溝間の凸面をその幅方向に分断して配置されるため、その分断して配置された部分においては、溝の存在や溝幅を錯覚させる視覚効果を生じさせる。
【0018】
そして、本発明の組ブロックを構成する2以上のコンクリートブロックは、溝の数、幅および間隔のうち少なくとも一つ、または化粧による帯状部分の数、幅および間隔のうち少なくとも一つが互いに異なっているため、2以上のコンクリートブロックの見た目は異なるものとなり、しかも、個々のコンクリートブロックのおもて面とうら面との間でも、見た目が異なるものとなるため、見た目の異なるバリエーションの数が極めて多くなる。
【0019】
そして、このように多数のバリエーションのコンクリートブロックを整列させて塀や壁を形成したときのコンクリートブロック間の目地部分は、溝として視認されるが、前述した化粧による帯状部分が重畳することで、その目地を含む溝の幅が、個々の目地の部分ごとに異なる幅として錯覚されやすくなり、この結果、上下方向または左右方向の一直線に延びる目地が、その部分ごとに幅が変化するため、1本の目地として認識されにくくなり目立たなくすることができる。
【0020】
なお、型などを用いて成型する必要がある溝によって得られる陰影を、そのような成型の手間を要しない化粧による帯状部分によって錯覚的に視認させることが可能となるため、化粧のバリエーション(帯状部分の数、幅、間隔など)を変えるだけで、ブロック本体の見た目の印象(溝の数、幅、間隔等)を変えることができ、溝を形成するための型の数を増やすことなく、化粧用のマスクのバリエーションを増やすだけ、印象の異なるコンクリートブロックを得ることができ、バリエーションの増加に要するコストを低減することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る組ブロックによれば、組ブロックを構成する2以上のコンクリートブロックを上下、左右に整列して塀や壁として形成したときに、上下方向または左右方向に延びる目地を目立たせないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る組ブロックを構成する複数のコンクリートブロックのうちの一つを示す斜視図である。
【図2】図1に示したコンクリートブロックの平面図である。
【図3】図1に示したコンクリートブロックの底面図である。
【図4】図1に示したコンクリートブロックの左側面図(右側面図)である。
【図5】溝の形成されたパターンのバリエーションの一つを示す図(その1)であり、(a)は図2相当の平面図、(b)はおもて面側の正面図、(c)は図3相当の底面図、(d)は図4相当の側面図、(e)は背面図(うら面)、それぞれ表す。
【図6】溝の形成されたパターンのバリエーションの一つを示す図(その2)であり、(a)は図2相当の平面図、(b)はおもて面側の正面図、(c)は図3相当の底面図、(d)は図4相当の側面図、(e)は背面図(うら面)、それぞれ表す。
【図7】化粧を施す加工に用いる鉄型マスクの一例を示す斜視図である。
【図8】図7に示した鉄型マスクをコンクリートブロックのおもて面乃至うら面に被せた様子を示す斜視図である。
【図9】化粧により形成される帯状部分のパターンのバリエーションを示す図であり、(a)、(b)はそれらのうちの各一つを表す。
【図10】本実施形態の組ブロックを構成するコンクリートブロックにより形成された塀を示す図である(4つだけ実線で記載し、他は二点鎖線で示して詳細を省略した)。
【図11】本実施形態の組ブロックを構成するコンクリートブロックにより形成された塀の一例を示す図(写真)である。
【図12】塀の端部に用いられる形態のコンクリートブロックの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る組ブロックを実施するための具体的な形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る組ブロックを構成する複数のコンクリートブロックのうちの一つを示す斜視図、図2は図1に示したコンクリートブロック100の平面図、図3は図1に示したコンクリートブロック100の底面図、図4は図1に示したコンクリートブロック100の左側面図(右側面図)である。
【0025】
図示のコンクリートブロック100は、複数個を集合させて上下左右または千鳥格子状に整列して積み上げられることで、例えば塀として使用されるものである。
【0026】
ここで、このコンクリートブロック100は、例えばそのおもて面11とうら面12とにそれぞれ上下に延びた複数の溝20が形成されている。これらの溝20は、例えばコンクリートブロック100を成型する型によって形成される。
【0027】
コンクリートブロック100のおもて面11に形成されている溝20と、うら面12に形成されている溝20とは、その本数、幅、溝20間の間隔(溝20の形成によって相対的に高くなった突部40の幅)のうち少なくとも一つが互いに異なるものとなっている。
【0028】
すなわち、例えばおもて面11に形成された溝20およびうら面12に形成された溝20の数はいずれも5つであって、同数であるが、溝20の幅や間隔(突部40の幅)が互いに相違している。なお、一部の溝20は、他の溝20とは異なる深さで形成されている。
【0029】
また、このコンクリートブロック100の幅方向の両側端縁13,14は、溝の底部となるように、両側端縁13,14を含む両側端部には、半溝部30,30がそれぞれ形成されている。なお、この半溝部30,30の溝幅(溝の底における幅)も、おもて面11とうら面12とで異なり、さらに同じおもて面11の両側面13,14にそれぞれ隣接する両側端部に形成された半溝部30,30間でも、その溝幅に差がある。
【0030】
コンクリートブロック100の両側面13,14に相当する部分は、積み上げられたときに縦筋を通すための、上下に貫通した切欠き15,15が形成されている。
【0031】
また、コンクリートブロック100の上面に相当する部分は、左右方向に配列された他のコンクリートブロックとの連結用の横筋を通すための、幅方向に延びた切欠き17が形成されている。
【0032】
なお、このコンクリートブロック100は型による成型時は、上面側を下、底面側を上に配置した天地反対の姿勢で形成される。
【0033】
さらに、このコンクリートブロック100のおもて面11とうら面12との間には、幅方向に並んだ3つの縦孔16,18,18が、上述した型によって形成されている。これら3つの縦孔16,18,18のうちの、中央の縦孔16は、上面側から底面側まで貫通しているが、この縦孔16の両隣の2つの縦孔18,18は、底面側から上下方向の途中までしか形成されておらず、上面側に貫通していない。
【0034】
なお、これら3つの縦孔16,18,18はコンクリートブロック100の軽量化を一つの目的として形成されたものであるが、中央の縦孔16は、コンクリートブロックを千鳥格子状に積み上げたとき、縦筋を一直線上に通過させるために、上下に貫通して形成されている。
【0035】
ここで、本実施形態の組ブロックは、上述したコンクリートブロック100と同様のコンクリートブロックを2個以上集合させてなるものであるが、その集合された他のコンクリートブロックは、例えば図5や図6に示すように、図1に示したコンクリートブロック100と同じ外形寸法を有するものであるが、おもて面11とうら面12にそれぞれ形成されている溝20の数、幅および間隔のうち少なくとも一つは、図1に示したコンクリートブロック100のおもて面11およびうら面12に形成されたものと異なるものとなっている。
【0036】
本実施形態の組ブロックを構成する複数のコンクリートブロック100は、後述する図10に示した塀200を形成するのに必要な数だけ集合されたものであるが、上述したように、溝20の数、幅および間隔のうち少なくとも一つが異なる2種類以上のコンクリートブロック100を集合されたものである。
【0037】
なお、集合させるコンクリートブロックの種類の数としては、少なくとも2種類(各コンクリートブロック100のおもて面11とうら面12とは、溝20の数、幅および間隔のうち少なくとも一つが互いに異なるため、このおもて面11とうら面12とをそれぞれ1種類と計数した場合は、4種類の面となる。)であればよいが、形成された溝20のランダム性を求める観点からは6種類(おもて面11とうら面12とをそれぞれ1種類と計数した場合は、12種類)程度であることが好ましい。
【0038】
また、本実施形態の組ブロックを構成する複数種類のコンクリートブロック100はそれぞれ、図1に示すように、溝20の位置や幅および突部40の位置や幅とは無関係に、化粧が施された帯状部分50が形成されている。
【0039】
この化粧は、例えば図7に示すように、上下方向に延びた帯状の開口340の数、幅および間隔がランダムに設定された鉄型マスク300を、図8に示すように、複数の溝20が形成されたコンクリートブロック100のおもて面11やうら面12に被せ、この鉄型マスク300が被せられた状態のコンクリートブロック100に、高圧力の水を当てて、コンクリートブロック100のうち開口340に臨んだ露出部分のセメントノロを水圧で除去し、コンクリートブロック100の骨材面(骨材表面の粒状が表された面)を表面に露出させる加工(ウォータージェット加工)により形成され、セメントノロが除去されていない他の部分よりも、粒状感が強調され、かつ濃度が濃い化粧を得る。
【0040】
この化粧を施す鉄型マスク300は、図8に示すように、その上端320がコンクリートブロック100の上面に、その下端330がコンクリートブロック100の底面に、その両側部近傍にそれぞれ形成されたストッパー310,310がコンクリートブロック100の各側面に概ね合わせることで、コンクリートブロック100に位置合わせすることができるように構成されている。
【0041】
ここで、鉄型マスク300は、単一ではなく、その開口340の数、幅および間隔のうち少なくとも一つが異なるように形成された、例えば図9(a),(b)に示すような異なる配置パターンの化粧部分(帯状部分50)を形成する複数種類の鉄型マスクが用いられる。
【0042】
複数種類の鉄型マスク300の種類の数としては、少なくとも2種類であればよいが、形成される帯状部分50の配置パターンのランダム性を求める観点からは20種類程度であることが好ましい。
【0043】
なお、鉄型マスク300の開口340の配置パターンとコンクリートブロック100に形成される溝20の配置パターンとは、互いに異なる。
【0044】
そして、これら開口340の配置パターンが互いに異なる複数種類の鉄型マスク300をランダムに用いて、形成された溝20の配置パターンがランダムの各コンクリートブロック100に化粧を施すことで、コンクリートブロック100の各面11,12には、いずれも上下方向に延びた溝20と化粧による帯状部分50とが、その本数、幅および間隔のうち少なくとも一つが互いに異なる意匠となる。
【0045】
ここで、溝20の配置パターンは例えば12種類、帯状部分50の配置パターンは例えば20種類であるため、溝20と化粧の帯状部分50とによって形成された表面(ひょうめん;おもて面11またはうら面12)の意匠は、両者を掛け合わせた240(=12×20)種類となる。
【0046】
このように構成された組ブロックは、その表面の意匠が240種類のコンクリートブロック100となるため、これらのうちからコンクリートブロック100を任意の順序で選択しても、同一の意匠となるコンクリートブロック100が連続して選択される可能性は極めて低くなる。
【0047】
そして、このように選択された順序で、コンクリートブロック100を図10に示すように、上下方向および左右方向に順次並べて塀200を形成すると、上下左右に隣接するコンクリートブロック100の意匠は互いに異なるものとなる可能性が極めて高くなる。
【0048】
ここで、塀200を構成するコンクリートブロック100は、上下左右に他のコンクリートブロック100が隣接し、その隣接するコンクリートブロック100,100間には、モルタルによる目地110が形成される。
【0049】
この目地110自体は、左右方向に延びるものも、上下方向に延びるものも、均一な等幅であり、かつコンクリートブロック100の横幅および上下高さごとに規則正しく形成されるため、塀200全体の中でも目立ち易い。
【0050】
これは、本実施形態のコンクリートブロック100のように、おもて面11やうら面12に形成された溝20や半溝部30の幅をランダムに変化させたものであっても同様であるが、この溝20や半溝部30の幅の変化によって目地110をある程度は隠蔽できる。
【0051】
しかし、本実施形態の組ブロックを構成する各コンクリートブロック100は、単に、その表面の溝20および半溝部30の幅をランダムに形成しただけではなく、形成されている溝20とは、その数、幅および間隔のうち少なくとも一つが異なるように形成された化粧による帯状部分50を備えている。
【0052】
ここで、コンクリートブロック100に形成された溝20や半溝部30は、そこに照射された光によって、溝20や半溝部30の延びた方向(本実施形態では上下方向)と平行に延びる陰影を形成するが、同じく溝20や半溝部30の延びた方向と平行に延びた、化粧が施された帯状部分50による濃淡が、あたかも溝20や半溝部30の陰影によって生じる濃淡と同じように見せるため、実際には存在しない溝20や半溝部30の存在を錯覚させる視覚効果が得られる。
【0053】
特に、化粧の帯状部分50は、本数、幅、間隔のうちいずれかが溝20や半溝部30とは異なるように形成されているため、化粧の帯状部分50のうち少なくとも一部は、溝20の底面または溝20間の凸面(突部40の面)をその幅方向に分断して配置されるため、その分断して配置された部分においては、溝20や半溝部30の存在や溝20の幅を錯覚させる視覚効果を生じさせる。
【0054】
そして、本実施形態の組ブロックを構成する2以上のコンクリートブロック100は、溝20の数、幅および間隔のうち少なくとも一つ、または化粧による帯状部分50の数、幅および間隔のうち少なくとも一つが互いに異なっているため、2以上のコンクリートブロック100の見た目(意匠)は互い異なるものとなり、しかも、個々のコンクリートブロック100のおもて面11とうら面12との間でも、見た目が異なるものとなるため、見た目の異なるバリエーションの数が極めて多くなる。
【0055】
そして、このように多数のバリエーションのコンクリートブロック100を整列させて形成された塀200における、溝20や帯状部分50と同じ上下方向に延びた目地110は、溝として視認されるが、この溝と認識される部分に、前述した化粧による帯状部分50が重畳することで、その目地110を含む溝の幅が、個々の目地110の部分ごとに異なる幅として錯覚されやすくなり、この結果、上下方向の一直線上に延びる目地110が、その部分ごとに幅が変化して見えるため、1本の均等幅の目地110として認識されにくくなり、これにより、図11の写真に示すように、組ブロックを構成する複数のコンクリートブロック100を整列させて形成された塀200における上下方向に延びた目地110を、さらに目立たなくすることができる。
【0056】
また、本実施形態における組ブロック100を構成するコンクリートブロック100は、その複数の溝20のうち少なくとも一つは、その深さが他の溝20と異なるものであるため、溝20の深さの差異は、その溝20によって生じる陰影の幅(左右方向の幅)に差異を生じさせる。したがって、溝20の深さに差異を与えることで、化粧による帯状部分50の幅に差異を与えるのと同様の効果を得ることができ、見た目のバリエーションをさらに増加させることができる。
【0057】
しかも、各コンクリートブロック100はそれぞれ、その溝20および半溝部30の側壁が、溝の底に向かうにしたがって溝幅が狭くなるような、傾斜面として形成されていて、この傾斜した側壁面は、突部40の面や溝20または半溝部30の底面とは異なる陰影の濃淡を示すため、意匠のバリエーションをさらに増加させるとともに、この傾斜した側壁面にも前述したウォータージェット加工による化粧が施されることから、意匠のバリエーションを極めて多いものとすることができる。
【0058】
さらに、本実施形態における2つのコンクリートブロック100,100を左右方向に並べたときに、両コンクリートブロック100,100間に形成される目地110は上下方向に沿ったものとなるが、溝や化粧の帯状部分が上下方向に沿ったものとなるため、左右間の目地110を目立たなくすることができるため、図11に示すように、継ぎ目の無い左右方向に長く延びた塀200として視認させることができ、高品質感を演出することができる。
【0059】
なお、本実施形態における組ブロックを構成する2以上の各コンクリートブロック100は、ブロック本体の幅方向の両側端が溝の底部となるように、両側端部に半溝部30,30が形成されていることにより、左右方向に並べられた2つのコンクリートブロック100,100の側端部同士が隣接することで、両コンクリートブロック100,100の側端部は半溝部30,30同士が組み合わされた溝となり、この溝の底部に目地110が存在することなるため、目地110の存在を、半溝部30,30同士が組み合わされた溝によって隠蔽させやすい。
【0060】
各コンクリートブロック100は、特に、その半溝部30の幅も種々異なって形成されているため、目地110を一層目立たなくすることができる。
【0061】
なお、通常幅(例えば、2〜3[mm])の目地110を隠蔽する効果の面から、溝20や半溝部30の幅は約5〜20[mm]程度であることが好ましいが、この具体的数値に限定されるものではなく、形成しようとする目地110の幅に応じて種々の溝幅を適用することができる。
【0062】
また、型などを用いて成型する必要がある溝20や半溝部30によって得られる陰影を、そのような成型の手間や型の費用を要しない化粧による帯状部分50によって錯覚的に視認させることが可能となるため、化粧のバリエーション(帯状部分50の数、幅、間隔など)を変えるだけで、コンクリートブロック100本体の見た目の印象(溝20の数、幅、間隔等)を変えることができ、溝20を形成するための型の数を増やすことなく、化粧用の鉄型マスク300のバリエーションを増やすだけ、印象(意匠)の異なるコンクリートブロック100を得ることができ、バリエーションの増加に要するコストを低減することができる。
【0063】
さらに、本実施形態の組ブロックを構成するコンクリートブロック100により形成される塀200は、上下左右に隣接するコンクリートブロック100の意匠(溝20および化粧の帯状部分50により形成される意匠)が互いに異なることにより、目地110を目立たなくすることができるところ、この組ブロックを構成するコンクリートブロック100は、その意匠のバリエーションが極めて多いため、施工者が上記の塀200を施工するに際して、隣接させる上下左右のコンクリートブロック100の意匠を意識的に互いに異なるものとするように、次に並べるコンクリートブロック100を選択する際に相当の注意を払うまでもなく、任意のコンクリートブロック100を選択するだけで、隣接するコンクリートブロック100とは異なる意匠のものを並べることができる可能性が極めて高くなっている。
【0064】
なお、本実施形態の組ブロックを構成する複数のコンクリートブロック100は、塀200を形成した際の上下方向に延びる目地110を目立たなくさせるために、溝20や化粧の帯状部分50を上下方向に延びるものとして形成したが、本発明の組ブロックを構成するコンクリートブロックはこの形態に限定されるものではない。
【0065】
すなわち、例えば塀を形成した際の左右方向(水平方向)に延びる目地を目立たなくさせるためには、上述した溝20や化粧の帯状部分50を左右方向に延びたコンクリートブロックを適用し、本発明の組ブロックを構成することができる。
【0066】
上述した実施形態の組ブロックを構成するコンクリートブロック100はいずれも塀200の一般面(塀200としての端部以外の部分)を形成するものであるため、両側面13,14にそれぞれ縦筋用の切欠き15,15が形成されているが、例えば門に隣接する塀200の端部を形成するコンクリートブロック100としては、例えば図12に示すように、一方の側面(図12においては左側の側面13)に、切欠き15の代わりに、おもて面11やうら面12と同様の溝20を形成すればよい。なお、この図12に示したコンクリートブロック100を左右方向に裏返して、おもて面11とうら面12とを入れ替えれば、図12の左側の側面13が右側の側面に相当するため、左側の側面13に切欠き15に代えて溝20を形成したものと、右側の側面14に切欠き15に代えて溝20を形成したものを別々に用意しなくても、塀200の両側端部に適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
11 おもて面
12 うら面
20 溝
30 半溝部
40 突部
50 化粧による帯状部分
100 コンクリートブロック
110 目地
200 塀

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の方向に直線状に延びた複数の溝および前記特定の方向と同じ方向に延びた、化粧が施された複数の帯状部分とが、ブロック本体のおもて面およびうら面にそれぞれ形成されてなるコンクリートブロックを2以上集合させた組ブロックであって、
前記溝と前記化粧が施された帯状部分とは、その数、幅および間隔のうち少なくとも一つが互いに異なって形成され、
一つのコンクリートブロックの前記おもて面と前記うら面とで、前記溝および前記帯状部分のうち少なくとも一方の、数、幅および間隔のうち少なくとも一つが互いに異なって形成され、
前記2以上のコンクリートブロックは、前記溝の数、幅および間隔のうち少なくとも一つ、または前記帯状部分の数、幅および間隔のうち少なくとも一つが互いに異なっていることを特徴とする組ブロック。
【請求項2】
前記複数の溝のうち少なくとも一つは、その深さが他の溝と異なるものであることを特徴とする請求項1に記載の組ブロック。
【請求項3】
前記特定の方向が、使用状態における上下方向であることを特徴とする請求項1または2に記載の組ブロック。
【請求項4】
前記ブロック本体の幅方向の両側端縁が前記溝の底部となるように、両側端部に半溝部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載に組ブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−190659(P2011−190659A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59776(P2010−59776)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(591286085)東洋工業株式会社 (17)
【Fターム(参考)】