説明

組立式容器

【課題】 僅か2体(ブロー成形によるL字状主パーツと副パーツ)の構成部材で、しかも組立てが容易で、水密性のある組立式容器を提供することにある。
【解決手段】 ブロー成形された二個のL字状主パーツ1の一方を前ベース2、他方を後ベース3とし、ブロー成形された二個の副パーツ5の一方を左側板6、他方を右側板7として組立て、底面部Bと前面部Cと後面部Dと左右側面部E,Fとで収納部Hを有する容器Aを形成するものであり、主パーツは起立部11と半幅底部12とから成り、半幅底部の接合側の半分に水密部13を、残りの半分に被水密部14を設け、主パーツを前後ベースとして組み合わせた時、前ベース半幅底部22と後ベース半幅底部32とが相対し、水密部23と被水密部34、及び水密部33と被水密部24とが当接して水密状態の底面部Bを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少数のパーツで組立てることのできる組立式容器に関するもので、特に、容器収納部をブロー成形により成形された主パーツと副パーツとで組立て構成するものであり、例えば、ゴミ収納庫やゴミ運搬容器等、多様な目的で利用し得る容器に関する。
【背景技術】
【0002】
上方に開口部を有する容器本体と、開口部を開閉する蓋材から成る従来の大型容器にあっては、使用に際し、収納物の重量を加えた総重量が重くなるので、少なくとも容器本体を回転成形やFRPによって一体形成していた。
近年、大型容器を量産化する目的で、ブロー成形による複数の中空パネルを用いた組立式容器が開発されるに至っている。
組立式容器の一つは、特許文献1の如く、ブロー成形による底面パネルと前面パネルと背面パネル、及び左右側面パネルとから構成されている。
他の組立式容器は、特許文献2の如く、前面パネルと背面パネルを共通使用とし、左右側面パネルも共通使用とし、底面パネルに前面パネルと背面パネルを組立て、その左右に側面パネルを組立てることも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3960599号
【特許文献2】特許第3191206号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転成形やFRPによる一体形成の大型容器にあっては、水密性に優れているが、生産性が悪く、高価になる問題点があった。
ブロー成形によるパネルを用いて組立て構成する大型容器にあっては、少なくとも底面パネルと前後面パネルと側面パネルの3種類を必要とするので、金型費用が増大する問題点があった。また、組立式であるため、パネル接続部の水密性にも問題があつた。
そこでこの発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、僅か2種類(ブロー成形による主パーツと副パーツ)の構成部材で、しかも組立てが容易で、水密性のある組立式容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の組立式容器は、請求項1として、ブロー成形された二個のL字状主パーツの一方を前ベース、他方を後ベースとし、ブロー成形された二個の副パーツの一方を左側板、他方を右側板として組立てられ、少なくとも底面部と前面部と後面部と左右側面部とで上向きに開口する収納部を形成していることを特徴とする。
請求項2は、請求項1の組立式容器において、主パーツは、起立壁の下端に半幅底壁を略直角に連続してL字状を成すものであり、これを前ベースと後ベースとして向い合わせに組み合わせた時、前ベース起立壁と後ベース起立壁が相対し、前ベース半幅底壁と後ベース半幅底壁とが相互に接合して底面部を形成していることを特徴とする。
【0006】
ここで組立式容器とは、従来、回転成形やFRP成形にて一体成形されていた大型容器を、複数パーツの組み合わせにて構成するもので、少なくとも底面部と前面部と後面部と左右側面部とで収納部を形成し、更に前板と後板を組み合わせて収納空間を大きくするもの、及び開口部の半分を固定蓋にて覆い、残り半分に開閉蓋を備える容器を言う。
ここで主パーツとは、略垂直の起立壁の下端部から略水平方向に半幅底壁を一体的に備えたものを言い、起立壁は容器の前面部又は背面部を形成し、半幅底壁は容器底面部の半幅分に相当する。また、前ベースと後ベースを兼ねるものであり、前ベースとは、二個の主パーツの半幅底壁が相対した時の一方側を言い、後ベースとは、二個の主パーツの半幅底壁が相対した時の他方側を言う。
ここで副パーツとは、容器の側面部を構成するものを言い、左側板と右側板を兼ねように副パーツ幅の中心から左右が対称に形成されている。
【0007】
請求項3は、請求項2の組立式容器において、主パーツの半幅底壁は、接合側の半分に水密部を、残り半分に被水密部を設け、主パーツを前ベースと後ベースとして向い合わせに組み合わせた時、前ベース半幅底壁と後ベース半幅底壁とが相対し、前ベース半幅底壁の水密部と後ベース半幅底壁の被水密部、及び後ベース半幅底壁の水密部と前ベース半幅底壁の被水密部が各々当接して底面部を構成していることを特徴とする。
請求項4は、請求項2の組立式容器において、主パーツの半幅底壁は、パーツ全長の接合側中心部に半円穴を設け、半円穴より接合側の一方に水密部を、他方に被水密部を設け、且つ、起立壁から接合側に向けて下降傾斜すると共に、左右から半円穴に向けて下降傾斜し、主パーツを前ベースと後ベースとして向い合わせに組み合わせた時、前ベース半幅底壁と後ベース半幅底壁とが相対し、相対するベースベースの半円穴にて排水孔を形成すると共に、前ベース半幅底壁の水密部と後ベース半幅底壁の被水密部、及び後ベース半幅底壁の水密部と前ベース半幅底壁の被水密部が当接し、水密状態の底面部を構成していることを特徴とする。
請求項5は、請求項3,4の組立式容器において、主パーツ半幅底壁の水密部は、相対する被水密部に向けて斜め上向きに開口する凹溝と、該凹溝に嵌挿するシール材とから成り、被水密部は接合面より相対する水密部に向けて突出する当接部を設け、主パーツを前ベースと後ベースとして向い合わせに組み合わせた時、前ベース水密部のシール材に後ベース被水密部の当接部が当接し、後ベース水密部のシール材に前ベース被水密部の当接部が当接していることを特徴とする。
【0008】
ここで水密部とは、水洩れ防止を目的とした部位を言い、シール材とは、弾力性を有するゴム又は合成樹脂材から成るものを言い、凹溝とは、シール材の先部を露出状態に保持する溝を言い、入口を奥部より狭くするか、入口に内向き突部を設け、シール材の離脱を困難にすることが好ましい。
ここで被水密部とは、水洩れ防止を目的とした部位で、水密部と対を成すものを言い、当接部とは、水密部を構成するシール材の上側に密接し得るよう楔状を成し、且つ、水密部に接合した時、ベースベースの半幅底壁が面一になるように形成されている。
ここで半円穴とは、主パーツを前ベースと後ベースとして組み合わせた時、排水孔を形成する部位を言う。この排水孔は、栓にて開閉可能となる。
ここで半幅底壁の幅方向への傾斜角、及び長手方向の傾斜角は、各々5度以下である。
【0009】
請求項6は、請求項2,3,4,5の組立式容器において、主パーツの起立壁は左右両側に側方連結部を備え、該連結部に埋込ナットを予めインサートしており、副パーツは前後に、主パーツを前ベースと後ベースとして組立た時に、前後ベースの側方連結部に対応するベース連結部を設け、この副パーツを左側板と右側板として組立てた時、前後ベースの側方連結部と左右側板のベース連結部とに跨って固定金具を取付け、前後ベースと左右側板を固定していることを特徴とする。
請求項7は、請求項6の組立式容器において、主パーツの側方連結部は接合側に向けて開口する切欠部を設け、切欠部は上り斜面と下り斜面を備え、下り斜面に直交して埋込ナットをインサートしていることを特徴とする。
請求項8は、請求項6の組立式容器において、副パーツのベース連結部は、内面板に直交して埋込ナットをインサートしていることを特徴とする組立式容器。
請求項9は、請求項6,7,8の組立式容器において、主パーツは左右両側に外側に向けて突出する側方固定片を設け、半幅底壁の接合側に前方固定片を垂下し、主パーツを前ベースと後ベースとして向い合わせに組み合わせた時、前後ベースの前方固定片が相対し、その前方固定片をボルト止めしていると共に、副パーツに、前後ベースの側方固定片に対応する固定部を設け、これを左側板と右側板として組立てた時、前後ベースの側方固定片と左右側板の固定部をボルト止めしていることを特徴とする。
【0010】
ここで埋込みナットとは、主パーツをブロー成形する前に、型開き状態の金型に予め保持しておき、ブロー成形した時、主パーツに一体化するものを言う。
ここで側方連結部とは、左側板または右側板を固定するための部位を言い、切欠部とは、接続側に向けて開口するもので、例えば、上り斜面と下り斜面とが60〜120度で接するもを言い、固定金具の取付け操作を可能となるように開口していれば下り斜面が湾曲していても良い。
ここで側方固定片とは、左側板または右側板の固定部と相対し、該固定部とボルト止めされる部位を言い、前方固定片とは、主パーツを前ベースと後ベースとして向い合わせた時に相対し、ボルト止めにて固定される部位を言う。
ここでベース連結部とは、副パーツ幅の中心を軸にして左右に形成され、前後ベースの側方連結部と固定するための部位を言い、側方連結部と共に、連結手段に応じてその形状は自由である。
ここで固定金具とは、例えば、L字状を成すアングルを言うが、側方連結部とベース連結部とを固定するものであれば、その形状は自由である。
【発明の効果】
【0011】
本発明による組立式容器は上記構造のとおりであるから、次に記載する効果を奏する。
請求項1の組立式容器は、二個のL字状主パーツの一方を前ベース、他方を後ベースとし、二個の副パーツの一方を左側板、他方を右側板として組立てるものであるから、即ち、成形金型が2組ですむので、容器を安価に提供できる。しかも、同じ主パーツの一方を、底壁側を下にして180度水平回転し、同じ副パーツの一方を180度水平回転するだけで組立て得るので、組立ても簡単容易になる。
請求項2の組立式容器は、請求項1の特徴に加えて、主パーツを起立部と半幅底部とから形成しているので、これを前ベースと後ベースとして組み合わせた時、前後ベースの半幅底部が相互に接合して容器の底面部を形成する。
【0012】
請求項3の組立式容器は、請求項2の特徴に加えて、主パーツの半幅底部は、接合側の半分に水密部を、残りの半分に被水密部を備えているので、これを前ベースと後ベースとして組み合わせた時、前ベース半幅底部と後ベース半幅底部とが相対し、水密部に被水密部が当接して水密な底面部を構成する。
請求項4の組立式容器は、請求項2の特徴に加えて、主パーツの半幅底部は、接合側の中心部に半円穴を設けているので、これを前ベースと後ベースとして組み合わせた時、相対する半円穴にて排水孔が形成される。その結果、容器底部に溜まる液体を排水孔から簡単に排水することができる。
また、半幅底部が接合側に向けて下降傾斜すると共に、左右から半円穴に向けて下降傾斜しているので、容器底部に溜まる液体の排水がスムーズになる。
請求項5の組立式容器は、請求項3,4の特徴に加えて、水密部は斜め上向きに開口する凹溝にシール材を嵌挿し、被水密部は相対する水密部に向けて突出する当接部を設けているので、主パーツを前ベースと後ベースとして組み合わせた時、水密部のシール材に当接部が圧接する。そのことにより、水密が一段と向上する。
【0013】
請求項6は、請求項2,3,4,5の特徴に加えて、主パーツは起立部の左右に副パーツとの側方連結部を備え、副パーツは前後に前後ベースの側方連結部に対応するベース連結部を設けているので、主パーツを前後ベースとし、副パーツを左側板と右側板として組立てる時、前後ベース起立部の側方連結部と左右側板のベース連結部とに跨って固定金具を取付けるだけで、前後ベースと左右側板とを簡単に一体化することができる。
請求項7は、請求項6の特徴に加えて、主パーツの側方連結部に接合側に向けて開口する切欠部を設け、切欠部の下り斜面に埋込みナットをインサートしているので、切欠部を利用して下り斜面に固定金具を当接し、該金具を埋込みナットに固定することができる。
請求項8は、請求項6の特徴に加えて、副パーツのベース連結部は、内面板に埋込みナットをインサートしているので、この埋込みナットを利用して簡単に固定金具を固定することができる。
請求項9は、請求項6,7,8の特徴に加えて、主パーツは半幅底部の接合側に前方固定片を垂下しているので、 これを前ベースと後ベースとして組み合わせた時、前後ベースの前方固定片が相対するので、相対する前方固定片を簡単にボルト止めし、前後ベースを一体化することができる。
また、主パーツは左右に側方固定片を備え、副パーツが前後ベースの側方固定片に対応する固定部を備えているので、側方固定片と固定部をボルト止めすることで、前後ベースと左右側板の固定を強化し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による組立式容器の構成を示す分解斜視図である。
【図2−1】L字状主パーツの平面図である。
【図2−2】その正面図である。
【図3−1】主パーツを斜め上方側から見た斜視図である。
【図3−2】その斜め下方側から見た斜視図である。
【図4】主パーツを前ベースと後ベースとして相対した時の平面図である。
【図5−1】相対する前ベースと後ベースの側面図である。
【図5−2】その断面図である。
【図6−1】L字状主パーツの第二実施形態を示す正面図である。
【図6−2】その断面図である。
【図7−1】前ベース水密部と後ベース被水密部の構造例を示す要部断面図である。
【図7−2】前ベース水密部と後ベース被水密部の接合前の要部断面図である。
【図7−3】その接合後の要部断面図である。
【図8−1】側板を内面側から見た斜視図である。
【図8−2】同側板を外面側から見た斜視図である。
【図9−1】前ベースと右側板の連結構造を示す要部斜視図である。
【図9−2】前ベースの側方連結部への固定金具の取付け例を示す要部斜視図である。
【図9−3】固定金具の取付後の要部斜視図である。
【図9−4】側方連結部と側板ベース連結部の固定状態を示す要部断面図である。
【図9−5】左側板と前後ベースとの関係を示す平面図である。
【図10−1】前ベースの側方固定片と側板固定部の関係を示す要部断面図である。
【図10−2】その接合前の要部断面図である。
【図10−3】その接合後の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明による組立式容器の最良形態を説明すると、図1の如く少なくともブロー成形された二個のL字状主パーツ1と、二個の副パーツ5とから成り、主パーツ1は図2−1、図2−2、図3−1、図3−2の如く、L字状を成す外面板1bと内面板1aとの間に中空部を設け、略直角に連続する起立部11と半幅底壁12とを形成し、半幅底壁12の接合側の半分に水密部13を、残りの半分に被水密部14を設け、主パーツ1の一方を前ベース2、他方を後ベース3として向い合わせにした時、図4、図5−1、図5−2の如く前ベース起立部21と後ベース起立部31とが相対し、前ベース半幅底壁22と後ベース半幅底壁32とが向き合い、組み合わせた時、図7−1、図7−2、図7−3の如く前ベース半幅底壁22の水密部23に後ベース半幅底壁32の被水密部34が、後ベース半幅底壁32の水密部33に前ベース半幅底壁22の被水密部24が密接し、水密状態の底面部Bを構成する。
前後ベース2,3を組立てた後、副パーツ5の一方を左側板6、他方を右側板7として組立てることにより、前ベース2の起立部21を前面部Cとし、後ベース3の起立部31を後面部Dとし、前後ベース2,3の半幅底壁22,32を底面部Bとし、左側板6を左側面部E、右側板7を右側面部Fとする収納部Hが形成される。
【0016】
主パーツ半幅底壁12の水密部13は、図7−1の如く接合面に半幅底壁12の幅延長方向に向け、しかも上向きに開口する凹溝9と、該凹溝9に嵌挿するシール材Pとから成り、シール材Pは、弾力性を有するゴム又は合成樹脂材から形成され、先部が凹溝9より外部に露出するように嵌挿し、被水密部14は、接合面の上部より半幅底壁12の幅延長方向に当接部19を突出している。
主パーツ1を前後ベース2,3として向い合わせに組み合わせた時、図7−2、図7−3の如く前ベース水密部23のシール材Pに、後ベース被水密部34の当接部39が上から密接すると共に、後ベース水密部33のシール材Pに、前ベース被水密部24の当接部29が上から密接し、相互に接合する半幅底壁22,32の水洩れを防ぐ。
副パーツ5は図8−1、図8−2の如く、副パーツ幅Tの中心を軸にして左右対象に形成することで、左側板6と右側板7を兼ねものである。
【実施例1】
【0017】
本発明による組立式容器の第一実施例を最良形態と相違する点を説明すると、L字状主パーツ1の半幅底壁12は、図6−1、図6−2の如く主パーツ全長Sの接合側中心部に半円穴15を設け、半円穴15より一方の接合側に水密部13を、他方の接合側に被水密部14を設け、且つ、起立部11から接合側に向けて傾斜角θ1で下降すると共に、左右から半円穴15に向けて傾斜角θ2で下降し、主パーツ1を前ベース2と後ベース3として組み合わせた時、前ベース水密部23に後ベース被水密部34が、後ベース水密部33に前ベース被水密部24が接合し、水密状態の底面部Bを構成する一方、相対する半円穴25,35にて排水孔Gを形成する。
排水孔Gは、周知の栓(図示せず)にて開閉可能となる。
【実施例2】
【0018】
本発明による組立式容器の第二実施例を、最良形態及び第一実施例と相違する点を説明すると、L字状を成す主パーツ1は図9−1の如く起立部11の左右に側方連結部17L,17Rを備えている。この側方連結部17L,17Rは内面板1aの一部を外面板1bに向けて凹曲し、接合側に向けて開口する切欠部8を形成するものであり、具体的には、接合側に向けて傾斜する上り斜面81と下り斜面82を備え、下り斜面82に直交して埋込ナット4をインサートしており、主パーツ1を前ベース2と後ベース3として組立てた時、前後ベース起立部21,31の左側に側方連結部27L,37Rを、右側に側方連結部27R,37Lが位置する。
副パーツ5は、前後に主パーツ起立壁11の側端に嵌合するベース嵌合部52L,52Rを、下側に底面部Bの側端に嵌合する床嵌合部53を備え、ベース嵌合部52L,52Rに組立て状態にある前後ベース2,3の一方の側方連結部27L,37Rに対応するベース連結部51L,51Rを設け、そのベース連結部51L,51Rに埋込ナット4を予めインサートするものである。
この副パーツ5を左側板6と右側板7として組立てた時、図9−2、図9−3、図9−4の如く前後ベース起立壁21,31の一側端に左側板6のベース嵌合部62L,62Rが嵌合し、前後ベース起立壁21,31の側方連結部27L,37Rと左側板6のベース連結部61L,61Rとが直角に接する。直角に接している側方連結部27L,37Rとベース連結部61L,61Rとに跨ってL字アングルの固定金具41を取付け、左側板6を固定する。
右側板7は図9−5の如く、左側板6と同様に固定する。
【実施例3】
【0019】
本発明による組立式容器の第三実施例を、最良形態及び第一第二実施例と相違する点を説明すると、L字状主パーツ1の接合側に図5−1の如く前方固定片16を垂下するもので、この前方固定片16は半幅底壁12より垂下し、略主パーツ全長Sに亘り形成されており、主パーツ1を前ベース2と後ベース3として組み合わせた時、前後ベース2,3の前方固定片26,36が図5−2の如く相対し、相対する前方固定片26,36をボルト42とナット43を用いて固定し、前後ベース2,3を一体化している。
【実施例4】
【0020】
本発明による組立式容器の第四実施例を、前記実施例と相違する点を説明すると、主パーツ1は左右両側に図10−1の如く側方固定片18L,18Rを備えるもので、この側方固定片18L,18Rは、少なくとも半幅底壁12から下向きに突出している。
副パーツ5は少なくとも下側に、主パーツ1を前ベース2と後ベース3として向い合わせに組み合わせた時、前後バース2,3の左側方固定片28L、38L、又は右側方固定片28R,38Rに対応する固定部54,55を形成している。
前後ベース2,3の左側方連結部27L,37Rと左側板6のベース連結部61L,61Rを、固定金具41にて連結固定した状態において、前後ベース2,3の左側方固定片28L、38Lと左側板6の固定部64,65も図10−2の如く相対するので、これを図10−3の如くボルト42とナット43を用いて固定し、左側板6の固定を補強する。
前後ベース2,3の右側に固定する右側板7も同様に補強する。
【0021】
本発明による組立式容器は上記構造であるから、予め二個のL字状主パーツ1と、二個の副パーツ5を準備し、先ず二個の主パーツ1を前ベース2と後ベース3とすべく、主パーツ1の一方を半幅底壁22、32が相対するように水平回転した後、前後ベース2,3を相互に接近すると、前ベース水密部23の後ベース被水密部34が密接すると共に、後ベース水密部33に後ベース被水密部34が密接し、且つ、前後ベース2,3の前方固定片26,36が相対しているので、その前方固定片26,36をボルト42とナット43を用いて固定し、前後ベース2,3を一体化する。
次いで、副パーツ5を左側板6とし、既に固定した前後ベース2,3の左側に面接すれば、左側板6のベース連結部61L,61Rと、前後ベース起立壁21,31に設けた左側方連結部27L,37Rとが隣接し、前後ベース2,3の左側方固定片27L,37Lと左側板6の固定部64,65が相対するので、ベース連結部61L,61Rと左側方連結部27L,37Rとに跨って固定金具41を取付け、前後ベース2,3と左側板6を固定すると共に、相対する左側方固定片27L,37Lと固定部64,65をボルト42とナット43を用いて固定し、前後ベース2,3と左側板6の固定を補強する。
右側板7を、左側板6と同様に取付けることで、本発明の組立式容器Aが構成される。
【産業上の利用可能性】
【0022】
側方連結部17L,17Rの切欠部8は、上り斜面81と下り斜面82とで接合側に向けて開口するが、その開口角度を60〜120度にすることが好ましいが、固定金具41の取付け操作を可能にするものであれば、その形状は自由である。
実施例では、側方連結部17L,17Rとベース連結部51L,51Rとの固定に、L字アングルの固定金具41を用いたが、側方連結部17L,17Rとベース連結部51L,51Rを固定するものであれば、L字アングルに限定されるものではなく、その形状は自由である。
水密部13の凹溝9は、シール材Pの先部を露出状態に保持するものであればその形状は自由であるが、入口を奥部より狭くするか、入口側に内向突部を設けることにより、シール材Pの離脱を困難にすることができる。
被水密部14の当接部19は、水密部13を構成するシール材Pに密接し得るものであれば形状は自由であるが、水密部13に圧接した時、シール材Pの上側に密接し得る楔状に形成し、且つ、前後ベース2,3の半幅底壁22,32が面一になるようにすることが望ましい。
【0023】
ブロー成形した主パーツ1と副パーツ5は、内面板1a,5aと外面板1b,5bの間に中空部を形成し、内面板1a,5aと外面板1b,5bが内外方向に凹んだり撓む虞があるので、主パーツ1にあっては、内面板1aと外面板1bの少なくとも一方に、他方に向けて突出する凸条部10を備え、副パーツ5にあっては、内面板5aと外面板5bの少なくとも一方に、他方に向けて突出する凸条部50を備え、内面板1a,5a又は外面板1b,5bを補強することが好ましい。
半幅底壁12の幅方向への傾斜角θ1、及び長手方向の傾斜角θ2として採用し得る範囲は、最大5度であり、3度以下であることが好ましい。
本発明による組立式容器の組立て手順は、実施例に限定されるものではなく、例えば、左側板6に前ベース2と後ベース3を順次取付け、最後に右側板7を取付けることも可能である。また、L字状固定金具41の片側を、主パーツ1の側方連結部17L,17R、又は副パーツ5のベース連結部51L,51Rに予め仮止めしておくと、固定金具41の取付けも容易になる。
更に、図1の如く、前ベース起立壁21の上、即ち、前面部Cの上に前板Jを、後ベース起立壁31の上、即ち、背面部Dの上に後板Kを組み合わせ、左右側板6,7を前板Jと後板Kの組立て分だけ大きく形成することで、収納部Hを大きくすることも可能であるし、更に、収納部Hの開口部の半分を固定蓋Mにて覆い、残り半分を開閉蓋Nにて開閉自在にすることも可能であるし、組立式容器Aの底面部Bに、走行用のキャスター(図示せず)を取付けることも可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 L字状主パーツ
2 前ベース、3 後ベース
11,21,31 起立壁、12,22,32 半幅底壁
13,23,33 水密部、14,24,34 被水密部
15,25,35 半円穴、16,26,36 前方固定片
17L,17R,27L,27R,37L,37R 側方連結部
18L、18R,28L,28R,38L,38R 側方固定片
4 埋込ナット、41 固定金具(L字アングル)、42 ボルト、43 ナット
5 副パーツ、1a,5a 内面板、1b,5b 外面板
6 左側板、7 右側板
51L,51R,61L,61R ベース連結部(71L,71R)
52L,52,62L,62R,72L,72R ベース嵌合部
53 床嵌合部、54,55,64,65, 固定部(74,75)
8 切欠部、81 上り斜面、82 下り斜面
9 凹溝、19,29,39 当接部
10,50 凸条部
A 容器、B 底面部、C 前面部、D 背面部、E 左側面部、F 右側面部
G 排水孔、H 収納部
J 前板、K 後板、M 固定蓋、N 開閉蓋
P シール材
S 主パーツ全長
T 副パーツ幅
θ1 半幅底部の幅方向の傾斜角、θ2 半幅底部の長手方向の傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形された二個のL字状主パーツ(1)の一方を前ベース(2)、他方を後ベース(3)とし、ブロー成形された二個の副パーツ(5)の一方を左側板(6)、他方を右側板(7)として組立てられ、少なくとも底面部(B)と前面部(C)と後面部(D)と左右側面部(E,F)とで上向きに開口する収納部(H)を形成していることを特徴とする組立式容器。
【請求項2】
請求項1の組立式容器において、主パーツ(1)は、起立壁(11)の下端に半幅底壁(12)を略直角に連続してL字状を成すものであり、
これを前ベース(2)と後ベース(3)として向い合わせに組み合わせた時、前ベース起立壁(21)と後ベース起立壁(31)が相対し、前ベース半幅底壁(22)と後ベース半幅底壁(32)とが相互に接合して底面部(B)を形成していることを特徴とする組立式容器。
【請求項3】
請求項2の組立式容器において、主パーツ(1)の半幅底壁(12)は、接合側の半分に水密部(13)を、残り半分に被水密部(14)を設け、
主パーツ(1)を前ベース(2)と後ベース(3)として向い合わせに組み合わせた時、前ベース半幅底壁(22)と後ベース半幅底壁(32)とが相対し、前ベース半幅底壁(22)の水密部(23)と後ベース半幅底壁(32)の被水密部(34)、及び後ベース半幅底壁(32)の水密部(33)と前ベース半幅底壁(22)の被水密部(24)が各々当接して底面部(B)を構成していることを特徴とする組立式容器。
【請求項4】
請求項2の組立式容器において、主パーツ(1)の半幅底壁(12)は、パーツ全長(S)の接合側中心部に半円穴(15)を設け、半円穴(15)より接合側の一方に水密部(13)を、他方に被水密部(14)を設け、且つ、起立壁(11)から接合側に向けて下降傾斜すると共に、左右から半円穴(15)に向けて下降傾斜し、
主パーツ(1)を前ベース(2)と後ベース(3)として向い合わせに組み合わせた時、前ベース半幅底壁(22)と後ベース半幅底壁(32)とが相対し、前ベース半幅底壁(22)の水密部(23)と後ベース半幅底壁(32)の被水密部(34)、及び後ベース半幅底壁(32)の水密部(33)と前ベース半幅底壁(22)の被水密部(24)が当接し、水密状態の底面部(B)を構成し、相対する半円穴(25,35)にて排水孔(G)を形成していることを特徴とする組立式容器。
【請求項5】
請求項3,4の組立式容器において、主パーツ半幅底壁(12)の水密部(13)は、相対する被水密部に向けて斜め上向きに開口する凹溝(9)と、該凹溝(9)に嵌挿するシール材(P)とから成り、被水密部(14)は、接合面より相対する水密部に向けて突出する当接部(19)を設け、
主パーツ(1)を前ベース(2)と後ベース(3)として向い合わせに組み合わせた時、前ベース水密部(23)のシール材(P)に後ベース被水密部(34)の当接部(39)が当接し、後ベース水密部(33)のシール材(P)に前ベース被水密部(24)の当接部(29)が当接していることを特徴とする組立式容器。
【請求項6】
請求項2,3,4,5の組立式容器において、主パーツ(1)は起立壁(11)の左右両側に側方連結部(17L,17R)を備え、該連結部(17L,17R)に埋込ナット(4)を予めインサートしており、
副パーツ(5)は前後に、主パーツ(1)を前ベース(2)と後ベース(3)として組立た時に、前後ベース(2,3)の側方連結部に対応するベース連結部(51L,51R)を設け、
この副パーツ(5)を左側板(6)と右側板(7)として組立てた時、
前後ベース(2,3)の側方連結部と左右側板(6,7)のベース連結部とに跨って固定金具(41)を取付け、前後ベース(2,3)と左右側板(6,7)を固定していることを特徴とする組立式容器。
【請求項7】
請求項6の組立式容器において、主パーツ(1)の側方連結部(17L,17R)は接合側に向けて開口する切欠部(8)を設け、切欠部(8)は上り斜面(81)と下り斜面(82)を備え、下り斜面(81)に直交して埋込ナット(4)をインサートしていることを特徴とする組立式容器。
【請求項8】
請求項6の組立式容器において、副パーツ(5)のベース連結部(51L,51R)は、内面板(5b)に直交して埋込ナット(4)をインサートしていることを特徴とする組立式容器。
【請求項9】
請求項6,7,8の組立式容器において、主パーツ(1)は左右両側に外側に向けて突出する側方固定片(18L,18R)を設け、半幅底壁(12)の接合側に前方固定片(16)を垂下し、
主パーツ(1)を前ベース(2)と後ベース(3)として向い合わせに組み合わせた時、前後ベース(2,3)の前方固定片(26,36)が相対し、その前方固定片(26,36)をボルト止めしていると共に、
副パーツ(5)に、前後ベース(2,3)の側方固定片に対応する固定部(54,55)を設け、これを左側板(6)と右側板(7)として組立てた時、
前後ベース(2,3)の側方固定片と左右側板(6,7)の固定部をボルト止めしていることを特徴とする組立式容器。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【図9−4】
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【図9−5】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図10−3】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【公開番号】特開2010−159061(P2010−159061A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1492(P2009−1492)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(391022315)株式会社カイスイマレン (4)
【Fターム(参考)】