説明

組立式枠、透水性構造体、構造物、枠パネル、連結部材

【課題】設計性及び施工性の向上並びにトータルコストの低廉化を実現できる組立式枠を提供する。
【解決手段】組立式枠は、枠パネル1同士を枠パネル1とは別体の連結部材2〜8で連結させて構成され、土石等の中詰材Nを枠体Wに詰めて用いられる。枠パネル1は、側面が平坦で両表面が中心に対して対称な格子状の平板からなり、周端部には連結部が形成されている。連結部材2〜8の収容部には、枠パネル1の横枠板11又は縦枠板12を収容溝が備えられており、収容溝の一対の側面には連結部と嵌合する嵌合部が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、河川、湖畔、山岳部等における擁壁工及び護床工に利用される、組立式枠及びそれを用いた構造体、構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
河川等の主に擁壁工や護床工に利用される組立式枠として、例えば特許文献1に記載の枠体がある。この枠体は、側部雄継手及び側部雌継手である側部連結手段や、上下雄継手及び上下雌継手である上下連結手段が側面から突出して設けられた枠板が、これらの連結手段で枠状に連結されて形成された物である(特許文献1参照)。
【0003】
枠板は枠体の配置位置に応じて種類の異なる枠体が使い分けられている。例えば、枠体には外枠板と仕切枠板があり、更に外枠板は第1〜4外枠板、仕切枠板は第1、2仕切枠板と異なる6種類の枠板がある(特許文献1参照)。これらの枠板は、配置される位置によって連結手段が異なり、それに応じて側部連結手段や上下連結手段の設置位置、設置方向、設置個数等といった各連結手段の設置条件も異なっている。したがって、枠板は配置される位置に応じて、枠板の種類及び設置方向が決められている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2005−336973号公報(段落0007、0012、0013、図1、2、6、10、14、15)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の枠板は、上記の通り構造が複雑であり、種類が豊富であった。ここで、枠板の種類は、枠板の大きさの種類×連結手段の設置条件の種類が必要であった。その上、同一の枠板であっても配置する位置によって設置方向が異なるので、枠体の設計は複雑であった。したがって、枠体の設計を間違う危険性が高かった。また、枠板を組み立てる際に、枠板を選定するのに時間が掛かった。組み立てる際に枠板の選定を誤ると、作業をやり直さなければならないので、更に時間が掛かった。このように、設計性及び施工性が悪かった。
【0006】
また、枠板を配置すると同時に枠板は固定されるので、枠体の設置場所の条件が悪く枠板の大きさや形状に制限がある状況下では、枠板を組み立てるの手間が掛かる。
【0007】
また、枠体に使用される枠板の種類は分散され、1枠体当たりに使用される枠板の数量の減少により、大量生産に不適切となり、生産性が悪く、トータルコストが高かった。また、枠体内に土石を投入する際に重機等で枠体に衝撃等が与えられ、各連結手段が変形することもあった。この場合、枠板全体を交換する必要があるので経済性が悪く、トータルコストが高くなった。
【0008】
また、枠体は多数の種類から構成され、枠板の配置位置によって設置条件が異なるので、枠体の構成が複雑であった。したがって、設計において枠板の配置設定を間違えることがあった。また、施工において、設置の位置や方向を間違えたり、枠板の設置作業に多くの時間を費やすことがあった。
【0009】
本発明の目的は上記の事情に鑑み、設計性及び施工性の向上並びにトータルコストの低廉化を実現できる組立式枠を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決するため、本発明の組立式枠は、連結されて、土石その他の物を詰める組立式枠であって、格子状の枠パネルと、隣接する前記枠パネル同士を連結させる連結手段とを有し、前記枠パネルの側面は平坦であり、前記枠パネルの両表面は、中心に対して対称であり、前記枠パネルと前記連結手段とは別体に構成されていること特徴とする。
また、本発明は、前記枠パネルが、前記側面の厚さ方向中心を通る面に対して対称であることを特徴とする。
また、本発明は、前記枠パネルの周端部には、前記連結手段と接合する連結部が形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記連結部が、前記枠パネルの周方向に同一形状が連続していることを特徴とする。
また、本発明は、前記連結手段には、前記連結部と嵌合する嵌合部が備えられていることを特徴とする。
また、本発明の透水性構造体は、上記何れかの組立式枠と、該組立式枠内に充填される中詰材とを有することを特徴とする。
また、本発明の構造物は、上記透水性構造体を複数個連設させて構築されたことを特徴とする。
また、本発明の枠パネルは、連結手段で連結されて、土石その他の物が詰められる組立式枠を構築するための枠パネルであって、外輪郭矩形で格子状の平板で、側面は平坦を成し、両表面の周端部には、前記連結手段が接合する連結部が形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記両表面は中心に対して対称であり、前記側面の厚さ方向中心を通る面に対して対称であることを特徴とする。
また、本発明は、前記連結部は、周方向に同一形状が連続していることを特徴とする。
また、本発明の連結部材は、土石その他の物が詰められる組立式枠を構築するための枠パネル同士を連結する連結部材であって、前記枠パネルの周端部を収容する収容溝を、連結する枠パネル毎に備え、前記収容溝には、前記周端部に設けられた連結部と嵌合する嵌合部が備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記の通り構成されているので、設計性・施工性の向上及びトータルコストの低廉化を実現できる組立式枠を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態の組立式枠を用いて構築された土留め壁を示す模式図であり、(a)は縦断面図,(b)は平面図,(c)は正面図である。
【図2】本発明の一実施形態の組立式枠を部分的に示す斜視図である。
【図3】図2の組立式枠を構成する枠パネルを示す図であり、(a)は平面図,(b)は正面図,(c)は右側面図である。
【図4】図2の組立式枠を構成する連結部材の斜視図である。
【図5】図2の組立式枠を構成する連結部材を示す図であり、(a)は全体構成の概略を示す斜視図,(b)は平面図である。
【図6】図2の組立式枠を構成する連結部材を示す図であり、(a)は全体構成の概略を示す斜視図,(b)は平面図である。
【図7】図2の組立式枠を構成する連結部材を示す図であり、(a)は全体構成の概略を示す斜視図,(b)は平面図である。
【図8】図2の組立式枠を構成する連結部材を示す図であり、(a)は全体構成の概略を示す斜視図,(b)は平面図である。
【図9】図2の組立式枠を構成する連結部材を示す図であり、(a)は全体構成の概略を示す斜視図,(b)は平面図である。
【図10】図2の組立式枠を構成する連結部材を示す図であり、(a)は全体構成の概略を示す斜視図,(b)は平面図である。
【図11】枠パネル同士を連結部材で連結した状態を示す図であり、(a)はL字状,(b)はT字状,(c)は十字状に連結した状態を平面で示している。
【図12】組立式枠の第1の変形例を示す斜視図であり、(a)は全体を,(b)は連結部材を拡大して示している。
【図13】組立式枠の第2の変形例を示す斜視図であり、(a)は全体を,(b)は連結部材を拡大して示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の組立式枠を用いて構築された土留め壁を示す模式図であり、(a)は縦断面図,(b)は平面図,(c)は正面図である。図2は、擁壁工の構築に用いた組立式枠を部分的に示す斜視図である。なお、以下の説明で用いる各方向は説明に用いる各図に示している。この方向は説明のために記載したもので、実際の配置と異なってよいことはもちろんである。
【0014】
図1に示す土留め壁は、組立式枠内に割栗等の中詰材Nを充填して構成されており、背面側における地山の土圧に抵抗すると共に、ドレーン材として地山側からの排水も促進する。組立式枠は、図2に示すように、枠パネル1を連結部材2〜8で連結して組み立てられており、上下方向に延びた角筒状の枠体W(図2では枠体W11〜W13,W21〜W24)に中詰材Nが充填される。図1に示す例では、枠体Wを前後2列で左右に並べて構成された中詰体Y1,Y2,Y3が階段状で3段配列され、上下で隣り合う中詰体Y1,Y2,Y3同士が左右方向にずれて配置されるように組立式枠が構成されている。各枠体Wに中詰材Nが充填されることで、透水性構造体が構成される。
【0015】
図3に示すように、枠パネル1は、四角枠体の両横枠板11間に等間隔で2本の縦架板14を掛け渡し、両縦枠板12の中央部間に横架板13を掛け渡した格子状の平板体から構成されている。枠パネル1の表面及び裏面は平坦になっており、角部15を除く横枠板11の表面及び裏面には、複数の連結部11aが横方向に等間隔で設けられている。また、角部15を除く縦枠板12の表面及び裏面には、縦枠板12の外縁から内縁にかけて延びる連結部12aが縦方向に等間隔で設けられている。各連結部11a,12aは、横枠板11,縦枠板12の外縁から内縁にかけて矩形の同一断面形状を有して延びている。
【0016】
枠パネル1は、表面及び裏面を逆に向けても使用できるように、厚さ方向中心を通る面に対して表側及び裏側の両表面が対称となっており、また、縦方向及び横方向を逆に向けても使用できるように、表面及び裏面(両表面)が枠パネル1の中心に対して対称となっている。
【0017】
連結部材2は、十字状に交叉して並んだ枠パネル1同士を横枠板11又は縦枠板12で連結するためのものである。図4に示すように、連結部材2は、収容溝22を備えた断面コの字状の矩形平板体からなる一対の収容部21を、互いの収容溝22の開放面が逆方向を向き、且つ、互いが直交して延びるように一縦端面同士を連結し、一方の収容部21に対する他方の収容部21の連結端面と一方の収容部21の主面とを連結部23で連結した形状を有している。連結部23は、三角形状を呈した平板体の一側端面を一方の収容部21の連結端面に、この側端面に隣り合う一側端面を他方の収容部21の一主面にそれぞれ連結されるようにして、収容部21と一体化されている。
【0018】
収容溝22は、収容部21の横方向に延びて収容部21の両横端面間を貫通し、収容部21の一縦端面に開放している。収容溝22が備える一対の内側面には、互いに向き合って配置された複数対の嵌合部22b(図4では3対の嵌合部22b1,22b2)が、横方向に並んで備えられている。対になる嵌合部22b1,22b2同士は、収容溝22の内側面の対向する位置に形成されて縦方向に延びている。嵌合部22bは、枠パネル1が備える連結部11aの横方向の幅、及び、連結部12aの縦方向の幅よりもやや広い間隔を、収容溝22の内側面で隣り合う嵌合部22bとの間において配置されている。
【0019】
連結部材3は、直線状に並んだ枠パネル1同士を横枠板11又は縦枠板12で連結するためのものであり、図5に示すように、矩形の平板状を呈した本体31の裏面の横端部に収容部32,33を、横方向の中央部には突合部34a,34bを設けて構成されている。収容部32,33は、連結部材2の収容部21と同様に収容溝32a,33aを備えた断面コの字の矩形平板状を呈しており、収容溝32a,33aの開放面を本体31の縦方向の一縁に揃えて向けている。収容溝32a,33aが備える一対の内側面には、互いに向き合って配置された複数対の嵌合部32b,33b(図5では2対の嵌合部32b1,嵌合部32b2及び嵌合部33b1,33b2)が、嵌合部22bと同様の間隔で横方向に並んで備えられている。隣り合う嵌合部32b1,32b2,33b1,33b2で横枠板11又は縦枠板12の連結部11a,12aを係止することで、連結部材3が枠パネル1に連結される。突合部34a,34bは、本体31の横方向に並んで配置されており、方形の断面形状を有して本体31の縦方向に延びている。
【0020】
連結部材4は、L字状に並んだ枠パネル1同士を内側から横枠板11又は縦枠板12で連結するためのものである。連結部材4は、図6に示すように、平板体を表側に向けてL字状に屈曲させた形状の本体41の横端部に収容部42,43を、中央部には突合部44a,44bを設けて構成されている。収容部42は、収容部32と同様に構成されて本体41の一端部の表面に設けられており、複数対の嵌合部42b(図6では2対の嵌合部42b1,42b2)を収容溝42aに備えている。収容部43は、収容部33と同様に構成されて本体41の他端部の横端面に設けられており、複数対の嵌合部43b(図6では2対の嵌合部43b1,43b2)を収容溝43aに備えている。収容部43の形成箇所での連結部材4の厚さは、収容部42の形成箇所での連結部材4の厚さよりも本体41の厚さ分だけ薄くなっている。突合部44a,44bは、本体41の屈曲箇所から互いに直交する方向に突出しており、方形の断面形状を有して本体41の表面に縦方向に延びている。
【0021】
連結部材5は、L字状に並んだ枠パネル1同士を外側から横枠板11又は縦枠板12で連結するためのものである。図7に示すように、連結部材5は、連結部材3を表側に向けてL字状に屈曲させた形状の本体51の横端部に収容部52,53を、中央部には突合部54a,54bを備えている。突合部54a,54bは、突合部34a,34bと同様に構成されており、本体41の裏面に縦方向に延びている。連結部材5は、突合部54aと突合部54bとの間に位置した箇所で屈曲させられており、屈曲箇所を挟んだ一方側から突合部54aを、他方側から突合部54bを互いが直交する方向に延出させている。
【0022】
連結部材6は、直線状に並んだ2列の枠パネル1同士を横枠板11又は縦枠板12で連結するためのものであり、図8に示すように、2つの連結部材3を縦方向に並べて収容溝32a,33aの開放面と反対側の縦端面同士を連結した形状を有している。本体61の横端部には、収容溝32a,33aと同様の構成を有した収容溝62a,63aを縦方向の両端面に開放させた収容部62,63が設けられている。また、本体61の横方向の中央部には、突合部44a,44bと同様の断面形状を有した突合部54a,54bが縦方向に延びている。
【0023】
連結部材7は、L字状に並んだ2列の枠パネル1同士を内側から横枠板11又は縦枠板12で連結するためのものである。図9に示すように、連結部材7は、2つの連結部材4を縦方向に並べて収容溝42a,43aの開放面と反対側の縦端面同士を連結した形状を有している。本体71の横端部には、収容溝42a,43aと同様の構成を有した収容溝72a,73aを縦方向の両端面に開放させた収容部72,73が設けられている。また、本体71の横方向の中央部には、突合部44a,44bと同様の断面形状を有した突合部54a,54bが縦方向に延びている。
【0024】
連結部材8は、L字状に並んだ2列の枠パネル1同士を外側から横枠板11又は縦枠板12で連結するためのものである。図10に示すように、連結部材8は、2つの連結部材5を縦方向に並べて収容溝52a,53aの開放面と反対側の縦端面同士を連結した形状を有している。本体81の横端部には、収容溝52a,53aと同様の構成を有した収容溝82a,83aを縦方向の両端面に開放させた収容部82,83が設けられている。また、本体81の横方向の中央部には、突合部54a,54bと同様の断面形状を有した突合部84a,84bが縦方向に延びている。
【0025】
次に、連結部材2〜8を用いた枠パネル1同士の連結方法について説明する。
【0026】
図11(a)に示すように、2つの枠パネル1A,1BをL字状に並べて連結する場合には、横枠板11Aを収容部42,53に収容して横枠板11Bを収容部43,52に収容し、枠パネル1A,1B同士を内側から連結部材4で外側から連結部材5で連結する。
【0027】
連結部材4,5の突合部44a,54bには収容部42,53に収容された横枠板11Aの一横端面が、突合部44b,54aには収容部43,52に収容された横枠板11Bの一横端面がそれぞれ突き合わされている。
【0028】
連結部材4の収容部43は、収容部52と隣り合って並んで収容部52と突合部54aとの間に配置され、裏面を収容部52の裏面と面一にさせている。また、連結部材5の収容部53は、連結部材4の収容部42と隣り合って並んで収容部42と突合部44aとの間に配置されている。また、連結部材4の突合部44aが連結部材5の突合部54bと、突合部44bが突合部54aとそれぞれ先端面同士を向き合わせている。
【0029】
収容部42,53の収容溝42a,53a内で横枠板11Aの連結部11aを係止し、また、収容部43,52の収容溝43a,52a内で横枠板11Bの連結部11aを係止することで、連結部材4,5同士が横枠板11A,11Bを介して連結されて一体化される。
【0030】
収容部43と本体51、突合部44bと突合部54a、収容部42と収容部53が当接することで、横枠板11Bの厚さ方向への連結部材4,5の移動が互いで規制される。また、収容部53と本体41、突合部44aと突合部54b、収容部43と収容部52が当接することで、横枠板11Aの厚さ方向への連結部材4,5の移動が互いで規制される。
【0031】
図11(b)に示すように、3つの枠パネル1C〜1EをT字状に並べて連結する場合には、横枠板11Cを収容部33に収容して横枠板11Dを32に収容し、枠パネル1C,1D同士を連結部材3で外側から連結する。連結部材3の34bには横枠板11Cの一横端面が、34aには横枠板11Dの一横端面がそれぞれ突き合わされている。
【0032】
また、枠パネル1A,1BをL字状に並べて連結する場合と同様にして、横枠板11C,11Eを収容部42,43に収容し、枠パネル1C,1E同士を連結部材4Aで連結する。同様にして、横枠板11E,11Dを収容部42,43に収容し、枠パネル1D,1E同士を連結部材4Bで連結する。
【0033】
連結部材3の収容部33は、連結部材4の収容部42と隣り合って並んで収容部42と突合部44aとの間に配置されている。また、連結部材4Aの収容部43は、連結部材4Bの収容部42と隣り合って並んで収容部42と突合部44aとの間に配置され、裏面を収容部42の裏面と面一にさせている。また、連結部材4Bの収容部43は、収容部32と隣り合って並んで収容部32と突合部34aとの間に配置され、裏面を収容部32の裏面と面一にさせている。また、連結部材3,4Aが突合部34b,44a同士、連結部材3,4Bが突合部34a,44b同士、連結部材4A,4Bが突合部44b,44a同士を向き合わせている。
【0034】
連結部材3,4Aの収容溝33a,42a内で横枠板11Cの連結部11aを係止し、連結部材4A,4Bの収容溝43a,42a内で横枠板11Eの連結部11aを係止し、連結部材4B,3の収容溝43a,32a内で横枠板11Dの連結部11aを係止することで、連結部材3,4A,4Bが枠パネル1C〜1Eを介して互いに連結されて一体化される。
【0035】
連結部材3,4Aの収容部33と本体41、連結部材3,4Bの本体31と収容部43、連結部材4A,4Bの収容部43と収容部42、連結部材4A,4Bの突合部44a又は突合部44bと連結部材3の突合部34b,34aが当接することで、横枠板11C,11Dの厚さ方向への連結部材3,4A,4Bの移動が互いで規制される。また、連結部材3,4Aの収容部33と収容部42、連結部材4A,4Bの突合部34と本体41、連結部材4B,3の収容部43と収容部32、連結部材4A,4Bの突合部44bと突合部44aが当接することで、横枠板11Eの厚さ方向への連結部材3,4A,4Bの移動が互いで規制される。
【0036】
図11(c)に示すように、4つの枠パネル1F〜1Iを十字状に並べて連結する場合には、枠パネル1A,1BをL字状に並べて連結する場合と同様にして、横枠板11F,11Gを収容部42,43に収容して枠パネル1F,1G同士を連結部材4Aで連結する。同様にして、枠パネル1G,1H同士を連結部材4Bで、枠パネル1H,1I同士を連結部材4Cで、枠パネル1I,1F同士を連結部材4Dで連結する。
【0037】
枠パネル1F,1Gの連結部11aを連結部材4Aの収容溝42a,43a内で係止し、枠パネル1G,1Hの連結部11aを連結部材4Bの収容溝42a,43a内で係止し、枠パネル1H,1Iの連結部11aを連結部材4Cの収容溝42a,43a内で係止し、枠パネル1I,1Fの連結部11aを連結部材4Dの収容溝42a,43a内で係止することで、連結部材4A〜4Dが枠パネル1F〜1Iを介して互いに連結されて一体化される。
【0038】
連結部材4A,4Dの本体41と収容部43、連結部材4C,4Bの本体41と収容部43、連結部材4C,4Dの収容部43と収容部42、連結部材4A,4Bの収容部43と収容部42、連結部材4A,4Dの突合部44aと突合部44b、連結部材4B,4Cの突合部44bと突合部44aが当接することで、横枠板11F,11Hの厚さ方向への連結部材4A〜4Dの移動が互いで規制される。また、連結部材4A,4Dの収容部42と収容部43、連結部材4A,4Bの収容部43と本体41、連結部材4B,4Cの収容部43と収容部42、連結部材4C,4Dの収容部43と本体41、連結部材4A,4Bの突合部44bと突合部44a、連結部材4C,4Dの突合部44bと突合部44aが当接することで、横枠板11G,11Iの厚さ方向への連結部材4A〜4Dの移動が互いで規制される。
【0039】
4つの枠パネル1を上下2列にL字状に並べて連結する場合には、まず、図11(a)に示すように、下側でL字状に並べる横枠板11Aを下側の収容部72,83に収容し、横枠板11Bを下側の収容部73,82に収容して、枠パネル1A,1B同士を連結部材7で内側から連結部材8で外側から連結する。同様にして、図(a)に示すように、上側でL字状に並べる枠パネル1A,1B同士を、連結部材7,8の上側の収容部72,73,82,83を用いて連結する。
【0040】
これにより、連結部材7,8は、枠パネル1A,1Bを連結した連結部材3,4と同様にして、上下2列にL字状に並んだ2組の枠パネル1A,1Bを介して互いに連結され、また、枠パネル1Aの厚さ方向及び枠パネル1Bの厚さ方向への移動が互いで規制される。
【0041】
6つの枠パネル1を上下2列にT字状に並べて連結する場合には、まず、図11(b)に示すように、下側でT字状に並べる枠パネル1C,1D同士を、横枠板11C,11Dを下側の収容部62,63に収容して連結部材6で連結する。また、横枠板11C,11Eを下側の収容部72,73に収容して、枠パネル1C,1E同士を連結部材7Aで連結する。また、横枠板11D,11Eを下側の収容部72,73に収容して、枠パネル1C,1D同士を連結部材7Bで連結する。同様にして、図11(b)に示すように、上側でT字状に並べる枠パネル1C〜1E同士を、連結部材6,7A,7Bの上側の収容部62,63,72,73を用いて連結する。
【0042】
これにより、連結部材6,7A,7Bは、枠パネル1C〜1Eを連結した連結部材3,4A,4Bと同様にして、上下2列にT字状に並んだ2組の枠パネル1C〜1Eを介して互いに連結され、また、横枠板11C,11Dの厚さ方向及び横枠板11Eの厚さ方向への連結部材6,7A,7Bの移動が互いで規制される。
【0043】
8つの枠パネル1F〜1Iを上下2列に十字状に並べて連結する場合には、まず、図11(c)に示すように、連結部材4A〜4Dを用いる場合と同様にして、枠パネル1F,1G同士を連結部材7Aで、枠パネル1G,1H同士を連結部材7Bで、枠パネル1H,1I同士を連結部材7Cで、枠パネル1I,1F同士を連結部材7Dで連結する。同様にして、図11(c)に示すように、上側で十字状に並べる枠パネル1F〜1I同士を、連結部材7A〜7Dで連結する。
【0044】
これにより、連結部材7A〜7Dは、枠パネル1C〜1Eを連結した連結部材4A〜4Dと同様にして、上下2列に十字状に並んだ2組の枠パネル1E〜1Iを介して互いに連結され、また、横枠板11F,11Hの厚さ方向及び横枠板11G,11Iの厚さ方向への連結部材4A〜4Dの移動が互いで規制される。
【0045】
本実施形態では、枠体Wの上端及び下端に位置してL字状に配置される横枠板11同士を連結部材4,5で連結し、枠体Wの中央部に上下2列に並んでL字状に配置される横枠板11同士を連結部材7,8で連結することで、組立式枠の前後及び左右の角部を構成する枠パネル1同士が、上下2列でL字状に並んで連結される。
【0046】
また、枠体Wの上端及び下端に位置してT字状に配置される横枠板11同士を連結部材3,4A,4B(図11(b)参照)で連結し、枠体Wの中央部に上下2列に並んでT字状に配置される横枠板11同士を連結部材6,7A,7Bで(図11(b)参照)連結することで、組立式枠の前後及び左右の壁を構成する枠パネル1と隣り合う枠体W同士を仕切る枠パネル1とが、上下2列でT字状に並んで連結される。
【0047】
また、枠体Wの上端及び下端に位置して十字状に配置される横枠板11同士を連結部材4A〜4D(図11(c)参照)で連結し、枠体Wの中央部に上下2列に並んで十字状に配置される横枠板11同士を連結部材7A〜7D(図11(c)参照)で連結することで、組立式枠内で各枠体W同士を仕切る枠パネル1同士が、上下2列で十字状に並んで連結される。
【0048】
また、左右方向にずれて配置される枠パネル1の横枠板11同士を連結部材2の収容部21に収容して、収容部21の収容溝22が各内側面に備える嵌合部22aの間に横枠板11の連結部11aを係止することで、上段側の枠体Wを構成する枠パネル1と下段側の枠体Wを構成する枠パネル1とが連結される。
【0049】
このように、組立式枠は、枠パネル1と連結部材2〜8を簡単に組み立てて製作することができるので、組立式枠の設計・施工は容易である。ここで、枠パネル1は横方向、縦方向に対して、及び枠パネル1の中心及び厚さ方向の中心を通る切断面に対して対称であるので、枠パネル1の方向や表裏を区別する必要がない。したがって、組立式枠の設計・施工は一層容易になるので、各作業時間の短縮を図ることができ、トータルコストを削減することができる。
【0050】
また、連結部11a,12aは、同一形状(大きさも同じ)が周方向に連続して所定距離間形成され、連結部材2〜8が収容溝に備える嵌合部間に係止されて連結部材2〜8に枠パネル1を連結するので、枠パネル1に対する連結部材2〜8の連結位置を、連結部11a,12aの形成間隔単位で横枠板11又は縦枠板12の延設方向にずらすことが可能である。したがって、施工時に微調整を行うことができ、想定しない不具合に柔軟に対応することができる。
【0051】
また、一組の連結部材3〜8が並べて配置させた2つの収容部に枠パネル1の横枠板11を収容し、収容部が備える収容溝及び収容部を備えた本体の側面で横枠板11を表面及び裏面側から支持するので、横枠板11を広い面積で支持することができ、枠パネル1を組み合わせて構成される組立式枠を安定した構造にすることが可能となる。
【0052】
また、6種類の連結部材3〜8を用いて枠パネル1をL字状,T字状,又は十字状に組み合わせることで枠体Wを構成することができ、また、枠体W同士を連結部材2で連結することもできることから、1種類の枠パネル1を用いることで、様々な組立式枠を形成することができる。例えば、上記実施形態では、四角筒状の枠体Wを横方向に連結して並べ、更にそれを横方向にずらしつつ縦方向に並べ、組立式枠を構築した場合について説明した。しかしながら、四角筒状の枠体Wを連結部材2で上方に連結して並べて支柱式の組立式枠を構築することができる。また、縦枠板12同士を連結部材3〜8で連結して枠体Wを構築することで、組立式枠Wの高さや幅も変えることができる。
【0053】
また、枠パネル1が備える縦枠板11及び横枠板12に連結部11a,12aを設けるという簡単な構成で、連結部材2〜8を用いて枠パネル1同士を連結できることから、枠パネル1を軽量化して、人力施工を行うことも可能となる。したがって、機械が入ることの出来ない場所での施工が容易となる。
【0054】
なお、連結部材2〜8の構成は、上記実施形態でのものには限定されない。例えば、枠パネル1を横枠板11又は縦枠板12で横方向に連結して直線状に並べる場合には、図12に示すような構成の連結部材9を用いてもよい。
【0055】
連結部材9は、連結部材2の収容部21と同様に収容溝92を備えた収容部91を、四角棒状の棒体9aの対向する側面に2つずつ、棒体9aの長さ方向に並べて構成されている。各収容部91は、棒体9aの側面の互いに対向する位置に設けられており、互いの収容溝92の開放面が逆方向を向き、且つ、平行に延びるように配置されている。
【0056】
連結部材9は、枠パネル1が備える横枠板11の連結部11a又は縦枠板12の連結部12aを、収容溝92の内側面に備えられた嵌合部(不図示)の間に係止し、収容部91の設けられた棒体9aの両側面側で枠パネル1同士を連結する。図12に示す例では、複数の枠パネル1同士が連結部材9で横方向に連結されて直線状に並べられており、連結部材9の棒体9aが地面に埋設される等して固定される。このように、支柱式の組立式枠を構築することができる。
【0057】
また、図13に示すような構成の連結部材10を用いてもよい。
【0058】
連結部材10は、棒体9aと同様の構成を有した棒体10a〜10cをT字状に連結させた形状を有した本体10Aと、棒体10a〜10cの側面に設けられて収容部91と同様の構成を有した収容部101とを備えて構成されている。収容部101は、左右方向に延びた棒体10b,10cの上下及び前後の側面と、前後方向に延びた棒体10aの右側面及び下側面に備えられている。
【0059】
連結部材10は、棒体10b,10cが備える収容部91の収容溝92に枠パネル1の横枠板11又は縦枠板12を収容して、収容溝102の内側面に備えられた嵌合部(不図示)の間に連結部11a又は連結部12aを係止し、各棒体10b,10cで枠パネル1を上下に並べて連結する。棒体10aが備える収容部101の収容溝102には、連結部材10で連結された枠パネル1を地面等に固定するための固定板15が収容される。固定板15の側面には、連結部11a,12aと同様の構成を有した連結部が備えられており、この連結部が収容溝102の嵌合部(不図示)間に係止されることで、枠パネル1と固定板15とが連結部材10で連結される。このように、アンカー式の組立式枠を構築して、補強土壁に用いることができる。
【0060】
また、上記実施形態では、突合部34a〜84a,34b〜84bが方形の断面形状を有して縦方向に延びている場合について説明した。しかしながら、枠パネル1が備える連結部11a及び連結部12aを係止して、連結部材3〜8を枠パネル1に連結できるのであれば、突合部34a〜84a,34b〜84bの形状は任意であり、例えば、横枠板11,縦枠板12の外縁から内縁にかけて複数の突部を並べて構成してもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、2列の連結部材6〜8が、1列の枠パネル1同士を連結する連結部材3〜5を縦方向に並べて連結した形状を有している場合について説明したが、収容溝62a,63a,72a,73a,82a,83aを備えた収容部を上下で別々に備えていても良い。
【0062】
また、連結部材4,7の収容部43,73が、収容部42,72と同様に本体41,71の裏面に設けられていて、連結部材4,7における収容部43,73の形成箇所が収容部42,72の形成箇所と同様の肉厚を有していてもよい。また、連結部材5,8の収容部53,83が収容部52,82と同様に本体51,81の裏面に設けられていて、5,8における収容部53,83の形成箇所が収容部52,82の形成箇所と同様の肉厚を有していてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、連結部材3〜8が枠パネル1の連結部11a,12aを収容する嵌合部を2対備えている場合について説明したが、3対以上備えていてもよく、また、連結部材3〜8の収容部で嵌合部が同様の配置態様で備えられている必要もない。また、連結部材2が備える嵌合部も3対ではなく、4対以上備えられていてもよい。また、図2に示す例では、枠パネル1同士を1つの連結部材2で連結する場合を示しているが、複数の連結部材2を用いて連結してもよい。
【符号の説明】
【0064】
W(W11〜W13,W21〜W24)………枠体
N………中詰材
Y1,Y2,Y3………中詰体
1………枠パネル
11………横枠板
11a………連結部
12………縦枠板
12a………連結部
13………横架板
14………縦架板
15………角部
2………連結部材
21………収容部
22………収容溝
22b,22b1,22b2………嵌合部
23………連結部
3………連結部材
31………本体
32,33………収容部
32a,33a………収容溝
32b,33b,32b1,32b2,33b1,33b2………嵌合部
34a,34b………突合部
4………連結部材
41………本体
42,43………収容部
42a,43a………収容溝
42b,43b,42b1,42b2,43b1,43b2………嵌合部
44a,44b………突合部
5………連結部材
51………本体
52,53………収容部
52b,53b,52b1,52b2,53b1,53b2………嵌合部
54a,54b………突合部
6………連結部材
61………本体
62,63………収容部
62a,63a………収容溝
62b,63b,62b1,62b2,63b1,63b2………嵌合部
64a,64b………突合部
7………連結部材
71………本体
72,73………収容部
72a,73a………収容溝
72b,73b,72b1,72b2,73b1,73b2………嵌合部
74a,74b………突合部
8………連結部材
81………本体
82a,83a………収容溝
82,83………収容部
82b,83b,82b1,82b2,83b1,83b2………嵌合部
84a,84b………突合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結されて、土石その他の物を詰める組立式枠であって、
格子状の枠パネルと、
隣接する前記枠パネル同士を連結させる連結手段とを有し、
前記枠パネルの側面は平坦であり、
前記枠パネルの両表面は、中心に対して対称であり、
前記枠パネルと前記連結手段とは別体に構成されていること特徴とする組立式枠。
【請求項2】
前記枠パネルは、前記側面の厚さ方向中心を通る面に対して対称であることを特徴とする請求項1に記載の組立式枠。
【請求項3】
前記枠パネルの周端部には、前記連結手段と接合する連結部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の組立式枠。
【請求項4】
前記連結部は、前記枠パネルの周方向に同一形状が連続していることを特徴とする請求項3に記載の組立式枠。
【請求項5】
前記連結手段には、前記連結部と嵌合する嵌合部が備えられていることを特徴とする請求項3又は4に記載の組立式枠。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の組立式枠と
該組立式枠内に充填される中詰材と
を有することを特徴とする透水性構造体。
【請求項7】
請求項6に記載の透水性構造体を複数個連設させて構築されたことを特徴とする構造物。
【請求項8】
連結手段で連結されて、土石その他の物が詰められる組立式枠を構築するための枠パネルであって、
外輪郭矩形で格子状の平板で、
側面は平坦を成し、
両表面の周端部には、前記連結手段が接合する連結部が形成されていることを特徴とする枠パネル。
【請求項9】
前記両表面は中心に対して対称であり、
前記側面の厚さ方向中心を通る面に対して対称であることを特徴とする請求項8に記載の枠パネル。
【請求項10】
前記連結部は、周方向に同一形状が連続していることを特徴とする請求項8又は9に記載の枠パネル。
【請求項11】
土石その他の物が詰められる組立式枠を構築するための枠パネル同士を連結する連結部材であって、
前記枠パネルの周端部を収容する収容溝を、連結する枠パネル毎に備え、
前記収容溝には、前記周端部に設けられた連結部と嵌合する嵌合部が備えられていることを特徴とする連結部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−80256(P2011−80256A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233343(P2009−233343)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(509279882)
【Fターム(参考)】