説明

組立物品梱包用段ボール箱

【課題】例えば在宅看護用電動ベッドのように、使用場所において複数のユニットを組み立てる際、従来は、精々、組立説明書等を参照する程度であり、大型のユニットの組立を行う際の目安となるものがなく、習熟度に頼るところが大きい。
【解決手段】本発明では、段ボール箱1を構成するフラップ3の少なくとも1つの先端側に、切断誘導線5を介して組立補助用支持片部6を支持した組立物品梱包用段ボール箱を提案するもので、段ボール箱から切り離した組立補助用指示片部6をユニットの組立の目安として使用して、容易に組み立て作業を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在宅介護ベッド等のように輸送先での組立を必要とする物品を梱包して輸送、保管するための組立物品梱包用段ボール箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、在宅介護用の電動ベッド等の大型の物品は、輸送や保管を容易とするために、複数のユニットを組み立てて使用されるものが多く、これらのユニットは、一つ又は複数の段ボール箱に梱包されて輸送され、使用場所において複数のユニットを組み立てて使用可能な状態とする。
【0003】
一方、これらの物品の販売において、ディーラー等の販売業者は、メーカーから輸送された物品を自己で管理可能とするために、物品本体に管理用のラベルを貼付することが必要である。
【0004】
このような場合、販売業者は、例えば図9に示すように、梱包状態のままの段ボール箱aの側壁部bにカッターで穴cを開け、その穴cから内部の物品本体の所定個所dに管理用ラベルeの貼付作業を行っている。この場合、穴cを開ける個所は、経験で判断しており、管理用ラベルの貼付作業後は、穴から塵埃等が入らないように粘着テープで蓋をしている。
【0005】
一方、比較的小型の電機製品等の物品の梱包では、メーカーにおいて物品の梱包時に添付した保証書を販売店において処理可能とするために、保証書を取り出すための取り出し口を、段ボール箱のフラップに形成した切り取り部を切り取って形成可能とし、保証書を取り出して日付等を記載した後、再び、保証書を挿入して、取り出し口を閉とするものがある。(例えば特許文献1を参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3218827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
物品に添付する保証書は、物品とは分離して、梱包の緩衝材の上側等に載置することが多いので、梱包の一部、即ち、フラップの必要最小限の個所を開梱して取り出し口を用いて所定の作業を行うことができるが、このような段ボール箱のフラップに設けた取り出し口の構造は、上述した在宅介護用の電動ベッド等の大型の物品において、段ボール箱の外側から物品本体に管理用ラベルを貼付する用途には適用することができない。
【0008】
そのため、従来は、段ボール箱にカッターで穴を開け、その穴から内部の物品本体の所定個所に管理用ラベルの貼付作業を行っているのである。
【0009】
しかしながら穴を開ける位置は上述したように経験で判断しているため、間違えたり、手間が掛かり、物品自体を傷つけてしまう場合もある。
【0010】
一方、使用場所において複数のユニットを組み立てる際、従来は、精々、組立説明書等を参照する程度であり、大型のユニットの組立を行う際の目安となるものがなく、習熟度に頼るところが大きい。
【0011】
また、大型のユニットの組立においては、組立場所の床等を傷つける場合もある。
本発明は、以上の課題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明では、まず、段ボール箱を構成するフラップの少なくとも1つの先端側に、切断誘導線を介して組立補助用支持片部を支持した組立物品梱包用段ボール箱を提案する。
【0013】
また本発明では、上記の構成において、組立補助用支持片部は、中央部に形成した切断誘導線により2分割される構成とした組立物品梱包用段ボール箱を提案する。
【0014】
また本発明では、上記の構成において、組立補助用支持片部には、位置指示用表示を設けた組立物品梱包用段ボール箱を提案する。
【0015】
また本発明では、上記の構成において、組立補助用支持片部には、位置指示用切欠を設けた組立物品梱包用段ボール箱を提案する。
【0016】
また本発明では、次に、段ボール箱を構成する側壁部の所定個所に、切断誘導線を介して窓形成片部を支持した組立物品梱包用段ボール箱を提案する。
【0017】
また本発明では、上記の構成において、切断誘導線は窓の周囲対応個所の一部を除いて形成して、窓を開閉可能に構成した組立物品梱包用段ボール箱を提案する。
【0018】
また本発明では、上記の構成において、切断誘導線は窓の周囲対応個所に形成して、窓対向個所を分離可能に構成した組立物品梱包用段ボール箱を提案する。
【発明の効果】
【0019】
以上の構成において、フラップに切断誘導線を介して組立補助用支持片部を支持した本発明の組立物品梱包用段ボール箱は、在宅介護用の電動ベッド等の大型の物品を構成する複数のユニットを梱包して物品の使用場所に運んだ際、切断誘導線により組立補助用支持片部を容易に切り離すことができ、切り離した組立補助用支持片部をユニットの組立の目安として使用して、容易に組み立て作業を行うことができる。
【0020】
組み立て作業において、ユニットを立てる必要がある場合等には、その接地側を組立補助用支持片部に載置するようにすることにより、組み立て作業において床を傷つけることを防止することができる。
【0021】
また側壁部に切断誘導線を介して窓形成片部を支持した本発明の組立物品梱包用段ボール箱では、切断誘導線により窓形成片部を切り取って窓を形成することにより、窓を通して物品本体の所定個所に管理用ラベルを容易に貼付することができる。
【0022】
この際、窓を形成する窓形成片部は、一部において側壁部に支持され、ヒンジ状に開閉可能に構成しても良いし、側壁部2から完全に分離するように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は本発明に係る段ボール箱の実施の形態の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図2は図1の段ボール箱の内フラップを閉め、外フラップを閉めようとしている状態を示す斜視図である。
【図3】図3は図1の段ボール箱の梱包状態を示す斜視図である。
【図4】図4は梱包状態の段ボール箱の側壁部の窓形成片部を開いて、管理用ラベルを貼付する状態を示す要部斜視図である。
【図5】図5は図4の管理用ラベルの一例を示す正面図である。
【図6】図1の段ボール箱の内フラップに支持した組立補助用支持片部を切り取った状態を示す要部説明図である。
【図7】図6において切り取った組立補助用支持片部の使用状態を示す要部平面図である。
【図8】図6において切り取った組立補助用支持片部の使用状態を示す斜視図である。
【図9】従来における梱包状態の物品への管理用ラベルの貼付作業を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に本発明の組立物品梱包用段ボール箱の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図において符号1は本発明に係る段ボール箱を概括的に示すもので、この段ボール箱1は、在宅介護用の電動ベッドを梱包して輸送、保管を行うものである。後述するように、梱包の対象とする電動ベッドは、組み立てて結合する基部フレームと床支持フレームの2つのユニットから成り、基部フレーム側に床支持フレームを昇降させる昇降機構を設けると共に、床支持フレーム側に分割された床部を起伏させる昇降機構を設けたものである。
【0025】
この段ボール箱1は、通常のものと同様に、側壁部2と、側壁部2の上側と下側の夫々に対応して形成した内フラップ3と外フラップ4とから構成されており、そして、まず、フラップの少なくとも1つ、この実施の形態では、1つの内フラップ3の先端側に、切断誘導線5を介して組立補助用支持片部6を支持している。切断誘導線5は、容易に切り取り可能とするものであれば、一部を残して形成した直線状切込み、ミシン目あるいは半切れ線等を適用することができる。
【0026】
図6に示すように、この実施の形態においては、組立補助用支持片部6は、中央部に形成した切断誘導線5’により2分割される構成としている。このように2分割される組立補助用支持片部6は、上述したユニットの巾方向の左右側に対応するものであり、夫々には電動ベッドの基部フレームの脚座に対応する切欠部7と、使用法の表示と、床支持フレームの床長に対応する載置指示線8a,8bが設けられている。尚、この実施の形態とは異なり、左右側に対応する組立補助用支持片部6は、一つずつ夫々の内フラップ3に切断誘導線を介して支持して設けることもできる。
【0027】
更にこの実施の形態では、段ボール箱1を構成する側壁部2の所定個所に、切断誘導線9を介して窓形成片部10を支持している。この際、窓を形成する窓形成片部10は、図示のように、一部において側壁部2に支持され、ヒンジ状に開閉可能に構成しても良いし、側壁部2から完全に分離するように構成することもできる。
【0028】
次に電動ベッドを構成するユニットの概略を図8につき説明すると、上述した通り、この電動ベッド11は、概ね、組み立てて結合する基部フレーム12と床支持フレーム13の2つのユニットから成り、基部フレーム12側に、結合した床支持フレーム13を昇降させる昇降機構14を設けると共に、床支持フレーム13側に分割された床部を起伏させる昇降機構15を設けたものである。昇降機構14は例えばXリンク式の昇降機構であり、この昇降機構14を構成するXリンクの端部の連結腕16aを床支持フレーム13側に回動可能に固定すると共に、Xリンクの他の端部に構成した移動ローラー16bを、床支持フレーム13に設けた案内レール17に嵌合することにより、基部フレーム12の上方に床支持フレーム13を昇降可能に結合する構成である。尚、この実施の形態において、基部フレーム12の端部には脚座18が設けられており、また床支持フレーム13の端部にはヘッドボード、フットボードを取り付けるためのボード受金具19が設けられている。
【0029】
以上の構成において、図3は上記電動ベッドを構成する2つのユニットを梱包した状態を示すものであり、符号20は梱包用の粘着テープを示すものである。ここで組立補助用支持片部6は、内フラップ3に設けているので、図3に示す梱包状態においては内部に位置するので、切断誘導線5により切り取りが容易ではあっても、輸送中に意図せずに取れてしまうことはない。
【0030】
一方、ディーラー等の販売業者は、メーカーから輸送されて客先に納品する物品、即ち、この場合、在宅介護用の電動ベッドを自己で管理可能とするために、ベッド本体に管理用ラベルを貼付する際には、図3の梱包状態において、図4に示すように切断誘導線9により窓形成片部10を切り取って窓を形成することにより、窓を通してベッドの所定個所、例えば基部フレーム12に管理用ラベル21を容易に貼付することができる。そして管理用ラベル21を貼付後は、窓形成片部10を閉めて粘着テープ等により閉に支持すれば、塵埃等が梱包した内部に流入することがない。
【0031】
次に梱包状態の段ボール箱1を客先の使用場所等に運んで電動ベッドの組立を行う際には、まず梱包を解く際に、切断誘導線5、5’により組立補助用支持片部6を内フラップ3から切り離し、これらの切り離した組立補助用支持片部6をユニットの組立の目安として使用して、容易に組み立て作業を行うことができる。
【0032】
即ち、この実施の形態の場合には、図8に示すように、まず基部フレーム12を床に置き、基部フレーム12の長手方向の所定の側の端部の左右側の脚座18に合わせて、組立補助用指示片部6を置く。この実施の形態では、組立補助用指示片部6に脚座18に対応した切欠部7を設けているため位置決めが容易である。
【0033】
次いで床支持フレーム13を立て、載置指示線8bで示される組立補助用指示片部6上の位置に、ボード受金具19を以て立設状態で支持する。
【0034】
このように立設状態とした床支持フレーム13のボード受金具19は組立補助用指示片部6上に載置するため、組み立て作業において床を傷つけることを防止することができる。
【0035】
こうして、所定の位置に立設状態とした床支持フレーム13を基部フレーム12上に倒して行くと、基部フレーム12側の上記移動ローラー16bが、丁度、床支持フレーム13側の案内レール17の端部に形成した係合用切欠部22に位置するので、移動ローラー16bを容易に案内レール17に係合させることができる。このように移動ローラー16bを案内レール17に係合すると、床支持フレーム13の荷重の一部が移動ローラー16bを介して基部フレーム12により支持されるので、組立作業者は容易に床支持フレーム13を支持することができる。従って、床支持フレーム13を適宜移動させて、連結腕16aとの連結位置を合わせて連結を行うことができ、こうして最も大変な組み立て作業を容易に行って、重い床支持フレーム13を基部フレーム12上に結合することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の組立物品梱包用段ボール箱は、実施の形態に示すように在宅介護ベッド用として使用する他、輸送先での組立を必要とする適宜の物品を梱包して輸送、保管するために使用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 段ボール箱
2 側壁部
3 内フラップ
4 外フラップ
5,5’ 切断誘導線
6 組立補助用指示片部
7 切欠部
8a,8b 載置指示線
9 切断誘導線
10 窓形成片部
11 電動ベッド
12 基部フレーム
13 床支持フレーム
14、15 昇降機構
16a 連結腕
16b 移動ローラー
17 案内レール
18 脚座
19 ボード受金具
20 粘着テープ
21 管理用ラベル
22 係合用切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボール箱を構成するフラップの少なくとも1つの先端側に、切断誘導線を介して組立補助用支持片部を支持したことを特徴とする組立物品梱包用段ボール箱。
【請求項2】
組立補助用支持片部は、中央部に形成した切断誘導線により2分割される構成としたことを特徴とする請求項1に記載の組立物品梱包用段ボール箱。
【請求項3】
組立補助用支持片部には、位置指示用表示を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の組立物品梱包用段ボール箱。
【請求項4】
組立補助用支持片部には、位置指示用切欠を設けたことを特徴とする請求項1〜3までのいずれか1項に記載の組立物品梱包用段ボール箱。
【請求項5】
段ボール箱を構成する側壁部の所定個所に、切断誘導線を介して窓形成片部を支持したことを特徴とする組立物品梱包用段ボール箱。
【請求項6】
切断誘導線は窓の周囲対応個所の一部を除いて形成して、窓を開閉可能に構成したことを特徴とする請求項5に記載の組立物品梱包用段ボール箱。
【請求項7】
切断誘導線は窓の周囲対応個所に形成して、窓対向個所を分離可能に構成したことを特徴とする請求項5に記載の組立物品梱包用段ボール箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−168104(P2010−168104A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14722(P2009−14722)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
【出願人】(390039985)パラマウントベッド株式会社 (165)
【Fターム(参考)】