説明

組織特異的プロモーター

組織特異的プロモーター(配列番号1〜5)が開示され、これらは、好ましくは、木本植物の木部組織において発現される。これらのプロモーターを用いて、例えば、遺伝子発現が木部組織において特異的に調節され、植物の木部特性が変化させられる。修飾された木部特性を示すトランスジェニック植物が、これらのプロモーターを用いて得られ得る。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、遺伝子工学分野、特に、任意の植物、特に、木本植物の形成層における木部発生中に遺伝子発現をもたらすプロモーターに関するものである。本発明は、かかるプロモーターを利用可能にし、それらの実質的な使用を提供するものである。
【0002】
発明の背景
植物における木部(Xylem)形成は、発生上重要な過程であり、それは経済的価値のある繊維を得る際にも非常に重要である。樹木における木質(Wood)形成は、この過程の経済上極めて重要な例である。それは、始原細胞の分裂から、細胞エクスパンジョン、そしてアポトーシス領域となる二次壁形成に至る、一連の所定の発生現象の結果である。木質は維管束形成層から生じ、これは細胞プロトプラストの自己消化となる終末分化を経験する側部分裂組織である。
【0003】
本発明者等は、本発明を創作する研究において、木本多年生植物の十分に確立されたモデルであるポプラ(Poplar)を用いた。それは少量のゲノムを有しており、これは、別の頻繁に用いられるモデルであるシロイヌナズナ(Arabidopsis)の約5倍多いだけである。さらに、ポプラは、順遺伝学に広く用いられる種である。ポプラおよびシロイヌナズナはまた系統発生学的に密接に関連しており、シロイヌナズナのゲノムの全配列と組合わされた100000を超えるポプラESTへのアクセスは、木部分化の研究のため、これら2つのモデルを組合わせることを優れた選択とする。
【0004】
いつ、そしてどこで、遺伝子が活性であるかが、その機能上重要である。あるレベルの調節は転写開始の制御である。遺伝子の転写発現は、主に(しかし、これだけではない)コード配列の上流(5’)に位置するシス作用性DNAエレメントにより制御される。遺伝子工学およびGMO(遺伝学的に改変された生物)を育種および品種改良におけるツールとして用いる場合、2つの基本的な部分:所望の効果を生じる遺伝子;および時、場所、および発現した遺伝子産物のレベルを決定するシス作用性DNA調節配列が存在する。調節はまた、転写物の安定性、翻訳の開始および進行、タンパク質の活性などのようなレベルで生じる。分化および木部形成の特定ステージにおいて、それらの発現をもたらすプロモーターを有する遺伝子が存在する。これらのプロモーターは、木部の特性を遺伝学的に改変し、産生される木部の量を変更させるときの、任意の遺伝子に対する作用を特異的に指令する際に必須であろう。利用可能なプロモーターの数は限られる。このことは、新たなものが、木部形成の研究および操作において遺伝子の発現を調節し、さらに十分に調節するときに非常に重要であることを意味する。
【0005】
より高等な種における細胞発生中の特定の過程の修飾も、それが樹木の特性の改善に達するときのみならず、繊維が商業的用途を有する他の植物においても、商業上非常に興味深い。かかる修飾のため、プロモーターのような新たなツールが必要である。
【0006】
先行技術
Fredrik Sterky等(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1998 (95), 13330-13335)およびMagnus Hertzberg等(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2001 (98) 14732-14737)は、ポプラトレムラL(Populus tremula L.)×トレムロイデス ミッキス(tremuloides Michx.)およびポプラトリコカルパ(Populus trichocarpa)「トリコベル(Trichobel)」の木質形成組織由来の5,629個のESTを含む、2つのポプラ種におけるラージスケール遺伝子発見プログラムの結果を公開している。これらのESTは、2つのcDNAライブラリーについて合計3,719個の固有の転写物を表し、推定機能は、これらの転写物のうち2,245個に帰属され得る。彼らは、表したESTデータは、植物における二次木部および師部の形成に関与する遺伝子の同定において価値があるだろうが、同定がどのようにして行われ得るか明らかな方向付けはできないことを指摘している。
【0007】
先行技術(Hertzberg等)において、木部形成の所定のステージでのcDNAの転写物プロファイリングが、2995個のESTからなるポプラユニジーン(poplar unigene)のcDNAマイクロアレイ分析を用いて行われた。
【0008】
しかしながら、Sterky等およびHertzberg等により公開された情報の実際的な利用を可能とするためには、新たなアプローチが必要である。
【0009】
米国第2002138870 A1号は、変化した農業形質を示すトランスジェニック植物の種々の株を得るための、4CL、Cald5H、AldOMT、SAD、およびCAD遺伝子、およびそれらの組合せを含むフェニルプロパノイド経路由来の複数の遺伝子を用いた植物の同時形質転換方法に関する。植物の農業形質は、植物ゲノムに取り込まれている、特定の遺伝子および選択された遺伝子の組合せの向きにより調節される。米国第2002138870号は、例えば、導入遺伝子の発現を木部発生に制限するような組織特異的プロモーターの使用が望まれると述べている。
【0010】
一般に、新たな有用なプロモーターを同定することが依然必要である。残る1つの具体的な課題は、可能性のある最も重要な遺伝子およびそれらに対応するプロモーターをどのようにして同定し、これらを、細胞の発生特性とどのようにして関連付けるかである。別の課題は、クローン化したDNAフラグメントが所望の特異的発現パターンの転写をもたらすように、全ての関連シス作用性転写制御エレメントをクローン化することである。
【0011】
具体的な課題は、特定の細胞タイプ、発生ステージ、および/または植物の機能と関連する特異的プロモーター(これは、他の植物組織においては発現しない)を同定することである。
【0012】
発明の要約
本発明は、それぞれが植物の木部形成組織において特異的に発現されるプロモーター配列を含み、配列番号1ないし5;配列番号1ないし5と機能的に相同な配列;および配列番号1ないし5と少なくとも90%の相同性を示す配列から選択される、利用可能な単離された核酸配列を提供することによる、上記課題の解決法を提供するものである。
【0013】
配列を、図、および規定のソフトウェア(PatentIn 3.1)を用いて調製した添付の配列表において提示する。
【0014】
さらに、本発明は、引用により本明細書に取り込まれる、添付の請求の範囲において定義される、利用可能なトランスジェニック植物、その産生方法、およびかかる植物の種および苗木、ならびに植物の木部において特定の遺伝子を発現させる方法、および核酸構築物を提供するものである。
【0015】
図面の簡単な説明
本発明は、以下の記載、実施例、および図面においてより詳細に説明される。
図1は、ゲノム歩行フラグメント由来の一致配列を示す。1a)LMX2 A014P10U;1b)LMX3 A044P26U;1c)LMX4 A050P49U;1d)LMX5 A055P19U;1e)LMP1 A001P79Uは配列番号1〜5の配列に対応する。
下線を引いた配列=プロモーター配列(GUS構築物の一部)
イタリック体の配列=EST由来の配列
ATG(太字)=可能性のある転写開始コドン
【0016】
図2は、トルイジンブルーで染色した雑種アスペンの幹の切断面を示す。試料の位置を、切断面下の黒の矢印で示す。
図3は、プロモーターがクローン化された、5個のESTの発現パターンを示す。これは、それぞれのプロモーターにより引き起こされる主な発現に対応する。
【0017】
図4は、異なる植物組織における選択した遺伝子の発現レベルのノーザンブロット分析結果を示す。
レーン1:頂芽:茎頂の先端約1cm。
レーン2:葉脈:古い葉から集めた主要葉脈。
レーン3:伸長幹:頂芽より下から幹の8番目の節までの節間。葉と芽を全て取り除いたもの。
レーン4:古い葉:15cmより大きい、状態の良い葉。葉柄および主要葉脈を取り除いたもの。
レーン5:師部:15cmの幹断片を集めたもの。これらは、木部および樹皮の内側を解体することにより、師部調製物および木部調製物用に用いられたもの。
レーン6:根:根毛の全くない根端の先端部2〜3cm。
レーン7:幼若な葉:12cm未満の大きさの葉。葉柄および主要葉脈を取り除いたもの。
レーン8:木部:解体された木質側である、幹断片(レーン5参照)として収集された組織。
【0018】
詳細な説明
定義
説明中、木部形成組織における用語「木部」は、全ての維管束組織(これを通じて、植物の水分およびミネラルの多くが導かれる)を包含することが意図されている。木部の細胞を導く原理は、仮導管と管状要素、または管状要素である。両方とも、二次壁を有し、成熟時にプロトプラストを失っている、細長い細胞である。木部組織はまた、種々の物質を貯蔵する柔細胞を含有する。
【0019】
用語「維管束形成層」は、分裂により二次木部および二次師部を生じる、維管束分裂組織母細胞を包含することが意図されている。
【0020】
用語「木質」または「木質形成細胞」は、代謝現象および過程が、維管束分裂組織およびその最終生成物全ての発生に関与する、全ての細胞を包含することが意図されている。用語「木質」もその最も一般的な意味で用いられ、硬い木質および柔らかい木質両方を包含する。
【0021】
用語「木質形成特性」は、生物学的、化学的、かつ生理学的特性、例えば、細胞伸長、細胞エクスパンジョン、アポトーシス、炭水化物組成、繊維の長さ、繊維の厚さ、および他の繊維の特性(これらに限定しない)を包含する。
【0022】
「相同性」は、本明細書において、配列間の類似性の程度として用いられる;2つの配列間の配列相同性が高くなればなるほど、ハイブリダイゼーションの程度が高くなる。ハイブリッド形成は、既知の方法を用いて当業者により測定され得る。
【0023】
本発明において、少なくとも90%、好ましくは、少なくとも91%、より好ましくは、少なくとも92%、より好ましくは、少なくとも93%、より好ましくは、少なくとも94%、より好ましくは、少なくとも95%、より好ましくは、少なくとも96%、より好ましくは、少なくとも97%、より好ましくは、少なくとも98%、そして最も好ましくは、少なくとも99%の相同性を有する配列が包含される。
【0024】
「機能的相同」は、おそらく、開示された配列と低い構造的相同性を有するが、状態の良いあるいは障害された生物体のいずれかにおいて、インビボで相同な機能を示す(例えば、類似の細胞機能を有する、類似または非常に類似するタンパク質をコードする)、配列を意味する。本発明は、開示された配列と機能的に相同な配列を包含する。
【0025】
本説明に照らして「相補性」は、2つのヌクレオチド間の正確な対形成能に言及している。
【0026】
さらに、本発明に照らして、「ハイブリダイゼーション」は相補ヌクレオシドまたはヌクレオチド塩基間の水素結合に言及しており、これは、ワトソン・クリック型、フーグスティーン(Hoogsteen)型、または逆フーグスティーン型水素結合であってもよい。従って、相補性およびハイブリダイゼーションは、安定かつ特異的な結合がオリゴヌクレオチドとDNAまたはRNA標的間で生じるように、十分な程度の相補性または正確な対形成を示すために用いられる用語である。
【0027】
アンチセンス化合物は、DNAまたはRNA分子を標的とする化合物の結合が、標的DNAまたはRNAの正常な機能と干渉し、有用性を失わせ、かつ特異的結合が所望される条件下で、アンチセンス化合物の非特異的標的配列との非特異的な結合を回避するのに十分な程度の相補性が存在するときに、特異的にハイブリダイズできる。
【0028】
用語「ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション」は、当業者によく知られた温度および緩衝液に関する基準に言及している。例えば、Sambrook, J., Fritsch, E.F. and Maniatis, T., Molecular cloning: A laboratory manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbour Laboratory Press, USA (1989)を参照。
【0029】
「機能的に挿入された」または「作動可能に挿入された」は、配列が、宿主ゲノムに、必要に応じて該配列の正しい発現が生じる、かかる向き、位置、およびかかるプロモーターと共に挿入されたことを示す。
【0030】
この文脈で用いられる「調節」は、遺伝子の発現の増大(刺激)または低減(阻害)のいずれかを意味する。本発明に照らし、増大が遺伝子発現の調節の好ましい形態であり、mRNAが好ましい標的である。
【0031】
詳細な説明
発生ステージ特異的に発現する遺伝子を選択して、遺伝子発現を木部形成組織内の特定の細胞に指令するプロモーターが同定された。クローン化し、分析すると、これらのプロモーターは組織特異的であることを示した。これらのプロモーターを有すると、対象のいずれかの遺伝子の発現を木部発生の特定のステージにおいてもたらし、木部(木質)の産生および特性に作用することが可能となる。発現を変化させる方法は、対象遺伝子の異所性かつ過剰な発現、アンチセンス調節、RNA干渉、遺伝子サイレンシング、リボザイムの使用などを含む。
【0032】
ライブラリーは、細胞分裂領域(A);細胞エクスパンジョン(ABC);二次細胞壁形成(CDE);細胞アポトーシス(E)を示す、木部形成組織内の領域から創出された。図2参照。
【0033】
組織試料は、接線方向の薄片を幹の形成層から取り、調製された。横断側の薄片は、後で正確な位置と各試料の組織内容物の同定が可能なように、平行に集められた。個々の薄片は30μm×2mm×20mmであると測定され、これは切り立ての重さ約0.5mgに対応した。薄片は、図2に示される異なる発生領域に一緒に集められた。異なる領域の薄片は、放射状の直径および細胞の構造的特性に基づくものである。これらの領域内での遺伝子プロファイルは、非常に高い程度の組織特異性を示した。
【0034】
本発明は、遺伝子プロモーターおよびそれらの使用を開示し、該プロモーターは、cDNAマイクロアアレイ分析の特徴決定により同定され、多数の配列から選択され、形成層からプログラム化された細胞死またはアポトーシスに入る細胞となる成熟木部要素に至る未分化分裂組織細胞にて見出されたものである。
【0035】
本発明は、植物の木部形成組織において特異的に発現されるプロモーター配列を含む、利用可能な単離核酸配列を提供し、該配列は、配列番号1ないし5;配列番号1ないし5の該配列の1つを含む配列;配列番号1ないし5と機能的に相同な配列;または配列番号1ないし5の1つと、少なくとも90%、好ましくは、少なくとも91%、より好ましくは、少なくとも92%、より好ましくは、少なくとも93%、より好ましくは、少なくとも94%、より好ましくは、少なくとも95%、より好ましくは、少なくとも96%、より好ましくは、少なくとも97%、より好ましくは、少なくとも98%、そして最も好ましくは、少なくとも99%の相同性を示す配列から選択される。
【0036】
上記の定義は、互いを排除しないが、共に作用し得る。例えば、より低い相同性、例えば、80%の相同性または70%の相同性を示すが、機能的にこれらの配列と等しい配列は、この定義に含まれる。本発明はまた、ストリンジェントな条件下でこれらの配列の少なくとも1つとハイブリダイズできる配列を包含する。
【0037】
本発明の1つの態様は、上で定義された核酸配列であり、プロモーター配列が高等植物において発現するものである。好ましくは、該植物は双子葉植物である。植物の例としては、ポプラ、アスペン、シラカバ、ヤナギ、ユーカリ、モミジバフウ(liquidamber)などのような硬木本種、ならびにトウヒ、カラマツ、アメリカヅカ、およびマツなどの軟木本種(針葉樹)(これらに限らない)を含む。対象となる他の植物は、いわゆる繊維植物であり、例えば、綿、麻、サイザル、亜麻など(これらに限らない)を含む。プロモーターは、遺伝子の発現を維管束発生中にもたらすために、小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、菜種などのような他の経済上重要な植物で用いられることもできる。
【0038】
本発明は、その野生型と比較した場合、修飾された特性、例えば、その野生型と比較して、修飾された木質形成特性、修飾されたアポトーシス特性、変更された発根特性、変更された開花または葉のパターンなどを示す、利用可能なトランスジェニック植物(ここで、上記配列の少なくとも1つが機能的に挿入されている)を提供するものである。
【0039】
トランスジェニック植物は、好ましくは、木本植物であり、最も好ましくは、木本双子葉植物である。トランスジェニック植物の例としては、ポプラ、アスペン、シラカバ、ヤナギ、ユーカリ、モミジバフウ(liquidamber)などのような硬木本種、ならびにトウヒ、カラマツ、アメリカヅカ、およびマツなどの軟木本種(針葉樹)(これらに限らない)を含む。対象の他の植物は、いわゆる繊維植物であり、例えば、綿、麻、サイザル、亜麻(これらに限らない)などを含む。プロモーターは、遺伝子の発現を維管束発生中にもたらすために、小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、菜種などのような他の経済上重要な植物において用いられることもできる。
【0040】
本発明はまた、植物の特定の領域、好ましくは、植物の木部において特定の遺伝子を発現させる、利用可能な方法(上記の配列の少なくとも1つが用いられ、該植物に機能的に挿入されている)を提供するものである。結果として、本発明は、植物、特に、木本植物(上で定義されたプロモーターが用いられている)において木部形成組織発生過程を調節することを可能とする。
【0041】
本発明はまた、配列をそのゲノムに有する、本発明の植物の植物再生物、例えば、種、果実、切枝、およびプロトプラスト、植物細胞、カルスまたは根のような植物の部分を包含する。
【0042】
本発明によりまた包含される中間体は、上で定義された配列を含む核酸構築物である。かかる構築物は、好ましくは、プラスミド、コスミド、ウイルス、またはバクテリオファージから選択されるベクターを含む。
【0043】
本発明はまた、該植物の野生型と比較して、修飾された木質形成および/またはアポトーシス特性を示す、トランスジェニック植物(上で定義されたプロモーターが植物に機能的に挿入されている)の産生方法を含む。
【0044】
当業者が、ベクターを構築し、組換え遺伝子発現のプロトコールを設計することは十分可能である。
【0045】
プロモーター配列、翻訳リーダー配列、ターミネーターフラグメント、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、エフェクター遺伝子、マーカー遺伝子、および所望に応じて他の配列を含む適当な調節配列を含有する、適したベクターが選択されるか、あるいは構築され得る。さらなる詳細については、例えば、Molecular Cloning: a Laboratory Manual: 2nd edition, Sambrook et al., 1989, Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。
【0046】
例えば、核酸構築物の製造、変異誘発、配列決定、DNAの細胞への導入および遺伝子発現、およびタンパク質の分析における多くの既知の核酸操作技術およびプロトコールが、Ausabel et al. (Eds.), Current Protocols in Molecular Biology, 2nd edition, John Wiley Sons, 1992において詳細に記載されている。
【0047】
抗生物質に対する耐性のような選択可能なフェノタイプをもたらすキメラ遺伝子からなる、選択可能な遺伝子マーカーが用いられてもよい。かかる選択可能なマーカーは、カナマイシン、ハイグロマイシン、ホスホイノトリシン、クロルスルフロン、メトトレキサート、ゲンタマイシン、スペクチノマイシン、イミダゾリノン、D−アミノ酸、およびグリホセートを含み得る。
【0048】
本発明により、天然環境から単離および/または精製され、実質的に純粋または均質な形態、あるいは所望の機能を有するプロモーターをコードする配列以外の、対象または起源である種の核酸または遺伝子のない、核酸分子およびベクターが提供され得る。本発明による核酸は、ゲノムDNAを含み、これは、完全または部分的に合成物であってもよい。用語「単離する」は、これら全ての可能性を包含する。
【0049】
配列番号1〜5の配列、該配列の1つと機能的に相同な配列、または該配列の1つと少なくとも90%の相同性を示す配列の少なくとも1つを含有する、これらのDNAセグメントで形質転換された植物は、植物の遺伝子操作として既に知られている標準的な技術により産生され得る。DNAは、植物細胞に、アグロバクテリウム属により担持される安全なTi−プラスミドベクター(その天然遺伝子輸送能を活用するものである)、粒子または微粒子銃、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、直接的DNA取込みの他の形態、リポソーム介在性DNA取込みのようないずれかの適した技術を用いて形質転換され得る。植物細胞の形質転換の物理的方法は、Oard, 1991, Biotech. Adv. 9: 1-11において概説されている。
【0050】
形質転換に続き、植物は、例えば、1つの細胞、カルス組織、葉片から再生され、これは当該技術分野で標準的なことである。ほぼ全ての植物は、植物の細胞、組織、および器官から完全に再生されることができる。利用可能な技術が、Vasil et al., Cell Culture and Somatic Cell Genetics of Plants, Vol I, II, and III, Laboratory Procedures and Their Applications, Academic Press, 1984;Weissbach, Methods for Plant Molecular Biology, Academic Press, 1989;またはClapham et al., Gene Transfer by particle bombardment and Embryonic cultures of Picea abies and the production of transgenic plantlets. Scandinavian Journal of Forest research 15 (2000) 151-160において概説されている。
【0051】
形質転換技術の具体的な選択は、ある種の植物種を形質転換するためのその効率、ならびに具体的な方法論を選択して本発明を実施する人の経験および好みにより決定されるだろう。当業者にとって、核酸を植物細胞内に導入する形質転換システムの具体的な選択は本質ではなく、あるいは植物再生の技術の選択、または形質転換された植物のその後の操作について選択された技術のいずれも本発明を制限しないことは明らかであろう。
【0052】
実施例
1.実験系
木部発生は植物の発生の特定の形態であり、これは、シロイヌナズナおよびジニア(Zinnia)を含むいくつかの系で研究されてきた。しかしながら、ポプラの幹の高度に組織化された構造により、所定の発生ステージで特定の組織の正確かつ厳密な試料採取が可能となるので、インビボでの研究にはポプラの系が優れている。
【0053】
二次木部は高度に組織化されており、異なる細胞株の発生は、空間的に厳密に調整されている。本発明者等は、所定の発生ステージの異なる組織を、形成層からクライオトームを用いて切り離し、30μmの薄片を接線方向に低温切断することで、切りたての重さ約0.5mgのものを得た。この薄切技術により、図2に示す分化の特定ステージの細胞について高度に濃縮された試料を得た。木本形成の個体発生:A)分裂組織細胞、B)早期エクスパンジョン、C)後期エクスパンジョン、D)早期二次壁形成、およびE)後期ステージの細胞成熟を包含する、5種類の試料を収集した。
【0054】
他の分裂組織同様、維管束形成層(図2、領域A参照)の主な機能は、細胞分裂、および分化のパターンを設定することである。しかし、頂部分裂組織とは異なり、維管束形成層は、2つの形態学的に異なる始原細胞;軸方向に細長い紡錘状始原細胞および等径の放射組織始原細胞を含有する。両タイプの始原細胞は、並層分裂し、師部および木部要素からなる放射状細胞株を生じる。紡錘状始原細胞からの誘導体は、軸方向の細胞系を作り上げる。ポプラのような被子植物樹木の木質において、これは、2つの主要な細胞タイプ、水分輸送において機能する導管要素、および幹を機械的に支持する繊維からなる。放射組織始原細胞は、師部樹液により供給される炭水化物、および木部樹液において供給される無機物の側部輸送において主に機能する、水平に方向付けられた放射組織細胞を生じる。幹の直径が増大するにつれて、より多くの始原細胞が必要となる。紡錘状始原細胞は偽横垂層分裂により形成され、娘細胞の短縮化を生じる。それゆえ、紡錘状始原細胞は、形成層分裂組織において分裂し、かつ伸長する。
【0055】
細胞エクスパンジョン領域において、異なる極性を有する形成層誘導体は、細胞タイプに依存して広がる(図2、領域BおよびC)。繊維の発生は、放射状にエクスパンジョンし、かつ頂部成長により長さが増大するのに対し、導管は放射方向にのみエクスパンジョンする。導管エクスパンジョンは急速で、繊維エクスパンジョンよりずっと広範囲である。これにより、これらの細胞に形態学的特徴を与える。導管の分化はまた、繊維および放射組織の発生よりずっと速い速度で進行し、そしてそれらは同時に起こる。導管は、それにより二次壁をすぐに領域Cにおいて形成し、それらの成熟を領域Eにおいて成し遂げる。分裂およびエクスパンジョンステージ(領域A、B、およびC)において、一次壁(ポプラでは、主にセルロース、ヘミセルロース、およびペクチンからなる)の連続的生合成が必要である。導管と接触している繊維要素および放射組織細胞(接触放射組織)は、導管と接触しない繊維および放射組織細胞(単独放射組織)より若干速く分裂する。それゆえ、領域Cは、一次および一次+二次壁細胞タイプの混合物を含有する。
【0056】
細胞エクスパンジョンが完了したらすぐに、二次壁が全ての木部細胞(領域D)に蓄積される。発生のこのステージの特徴的特性の1つは、一次壁に存在するセルロースミクロフィブリルのランダムな組織化が、この時点で二次細胞壁の高度に組織化されたへリックス構造に変化することである。二次壁のセルロースおよびヘミセルロースフレームワークは、セルロースミクロフィブリル方向の程度から認識され得る、いくつかの壁層(S1、S2、S3)に蓄積していく。二次壁肥厚化の最終ステージにおいて、セルロースおよびヘミセルロースネットワーク内の内部空間が木質化される。これは、細胞コーナーから始まり、内部へ進行する。二次壁の形成中、木部要素も広範囲で形作られ、導管/導管、および導管/放射状組織接触を可能とする壁孔および気孔ネットワークが形成される。この活性は、一次壁のパターン化された分解に関与する。成熟過程の最後(ゾーンE)において、繊維は、プログラム化された細胞死に入る(導管は、より早く領域CおよびDにおいてプログラム化された細胞死に入る)。対照的に、放射組織細胞は周辺細胞の木質化に関与し、液材中で何年もの間生き続ける。
【0057】
2.プロモータークローニングおよび配列決定
本発明者等は、組織特異的な遺伝子プロモーターを同定するという課題に、組織特異的な転写物のプロファイリングを行うことで、取り組んだ。低温薄切により、特定の種類の細胞で高度に濃縮された試料を得ることが可能となる。低温薄切技術と共に、組織の組織化された性質により、特定の細胞タイプで高度に濃縮された試料が提供され、これにより、本発明者等は組織特異的な転写物のプロファイリングを行うことが可能となる。
【0058】
本発明者等は、雑種アスペン(ポプラトレムラ×トレムロイデス)の5種類の遺伝子の5’上流配列をクローン化した。これらの遺伝子は、cDNAマイクロアレイ分析(Hertzberg et al., 2001 PNAS)に基づく、木部(木質)形成の特定フェーズにおいて全て発現される。多数の選択基準を設定し、所望の結果を確かなものとした。選択基準は、ESTはシロイヌナズナプロテオームにおいてBLASTXヒットを有していなければならないこと(これは、ESTが完全なオープンリーディングフレーム(ORF)を含有し、それによりおそらく完全な転写物を含有することを示す);ESTは、cDNAマイクロアレイデータ(Hertzberg等)に基づき、対象領域において明らかに異なる発現を示し、およびまた、そのESTの発現をもたらすプロモーターが強力であることを示唆する、強力なハイブリダイゼーションシグナルを有していなければならないこと、を含む。
【0059】
5種類の遺伝子I〜Vを、以下の表1で示すESTで表す。表中、クローン化したプロモーターフラグメントに用いた名前、ならびにプロモーターが優性活性である領域も示す。
【0060】
表1
【表1】

AI163548 ESTの発現パターンは、同じ遺伝子から生じたESTであるAI162928(A027P19U)の発現パターンに基づく。
【0061】
植物の異なる部分のこれらの遺伝子の発現パターンを、ノーザンブロット分析を用いて分析した。このデータは、遺伝子LMX2ないしLMX5全てが、二次木部で優性発現することを示している。LMP1遺伝子は、より一般的な発現パターンを示すが、顕微鏡分析から示唆される維管束形成層(3および5)を含有する試料において、最も高いシグナルを有する。これらの結果は、これらの遺伝子が、形成層細胞分化において優性発現し、他の過程において優先発現しないことを示す。このことは、これらの遺伝子の5’領域(プロモーター)にさらにすすみ、クローン化することに必須の条件である。
【0062】
ノーザンブロット分析、材料と方法
トータルRNAを、CTABベースの方法(Plant Molecular Biology Reporter volume 11 (2) 1993)を用いて調製し、次に、RNAをQIAGEN Rneasy[登録商標]Plant Mini Kitを用いて精製した。RNA濃度をRibo Green[登録商標]RNA定量キット(Molecular Probes Eugen, Oregon)を用いて測定し、RNAの純度をアガロースゲル電気泳動によりチェックした。異なる試料由来の等量のRNA(15μg)を、ホルムアルデヒドアガロースゲル上で分離させた(Sambrook, J; Fritsch, E, Maniatis, T., Molecular cloning: A laboratory manual, Cold Spring Harbour Press, New York, 1989)。次に、RNAを、Hybond−N+フィルターに標準的方法でブロットし、フィルターにUV架橋結合させた。EcoRI/NotIフラグメントをESTクローンから回収した。フラグメントを、AmbionのStrip-EZ[登録商標]DNA標識キットを用いて標識した。ハイブリダイゼーションを、チャーチ(Church)バッファー中65℃にて行った(Church, G.M. and Gilbert, W. Genomic Sequencing, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81. 1991-1995, 1984)。次に、濾液を(65℃にて)2回、15分間、0.5% BSA、1mM EDTA、40mM NaHPO pH7.2、5% SDS中にて洗浄し、4回、5分間、1mM EDTA、40mM NaHPO pH7.2、1% SDSにて洗浄した。ハイブリダイゼーション結果を、ホスホイメージャー(Molecular Imager System GS525)を用いて分析した。それぞれの濾液を最大2回用い、Strip-EZ[登録商標]DNAキットプロトコールを用いて、再プローブ結合前に剥離させた。
【0063】
プロモータークローニングおよび植物の形質転換
上流ゲノムDNA配列を、ClontechのUniversal GenomWalker[登録商標]キットを用いて、製造元の提言に従いクローン化した。8種類のゲノム歩行ライブラリーを構築し、用いた。最も長い、あるいはある場合では、最も特異的に増幅されたフラグメントを、pGEM−T−イージーベクター(Promega)にクローン化し、配列決定した。ESTクローンの配列決定後、仮想翻訳開始コドン(シロイヌナズナプロテオームにおける最適BLASTXヒットの開始コドンに基づく)を配列上で位置決定した(図1、配列1〜5参照)。これに基づき、仮想プロモーターを、雑種アスペンゲノムDNAからPCRを用いてクローン化し、次に、pPCV812.km(R. Walden, C. Koncz, J. Schell. Methods in Plant Moll Cell Biol. 1, 175 (1990))またはpGWFS7(M. Karimi, D. Inze and A. Depicker. Trends in Plant Sciences 7 (5)193-195, 2002)にライゲーションし、転写プロモーターGUSレポーター構築物を得た。プロモーターフラグメントを、開始コドン上流10〜50bpからできる限り5’側で切断し、1093から1807bpの範囲の5’配列を得た。これらの構築物を、雑種アスペンクローンT89にアグロバクテリウム属を用いて形質転換し、トランスジェニック植物を産生した(Nilsson O. et al., Spatial pattern of cauliflower mosaic virus 25S promoter luciferase expression in transgenic hybrid aspen trees monitored by enzymatic assay and non-destructive imaging. Transgenic research 1. 209-220 (1992))。発根後、植物を、50% 膨張粘土(Leca lauttklinker, サイズ2〜6mm)および50% 土(Weibulls kronmull, YrkesPlantJord)中に鉢植えし、温室にて、明18時間、暗6時間の周期で、Osram Powerstar HQI BT 400Wランプを補充光として用いて成長させた。
【0064】
GUS分析
GUSレポーター遺伝子の発現を視覚化するために、組織薄切および部分を、本質的にはNilsson等(The Agrobacterium rhizogenes rolB and rolC promoters, Physiologia Plantarum 100: 456-462 (1997))およびRegan等(Accurate and high resolution in situ hybridization analysis of gene expression in secondary stem tissues, Plant J. 19, 363-369 (1999))に従い、X−gluc染色した。プロモーターLMX5の初期結果は、維管束が(シロイヌナズナおよび雑種アスペンの両方で)発現と関連することを示し、LMP1の結果は、維管束がシロイヌナズナにおいて発現と関連し、根および頂部の分裂組織が、雑種アスペンにおける植物再生中の発現と関連することを示す。
【0065】
これらの結果は、木部関連発現に必要なシス作用性エレメントがこれらの構築物に含まれていることを示し、このことは、これらの配列の位置が転写開始のさらなる上流(5’)およびまた3’側であり得る場合、明らかでなく、それゆえ驚くべき結果である。
【0066】
高さ2〜3mのより高い植物におけるLmp1およびLmx5プロモーターのさらなる、そしてより詳細な分析を優先期間中に行い、これら2つのプロモーターそれぞれについて非常に特異的な発現パターンを明らかにした。Lmp1 Gus株の幹において、Gus活性は、主に、形成層細胞+エクスパンジョン発生中の木部に存在するが、二次細胞壁を生じる幼若細胞においてより低い程度で存在した。Lmx5は、二次細胞壁を生じる幼若細胞において最も高発現し、形成層およびエクスパンジョン中の木部細胞においてより低く発現する、逆の発現パターンを有していた。Lmp1およびLmx5の両方が、形成層の細胞、および幼若二次細胞壁形成細胞全てで発現する。
【0067】
これらのプロモーターは、根端、および葉と根の導管構造で活性であった。これらのプロモーターの全てが、頂部分裂組織で全く発現しないようであるが、それらの両方が幼若木部において発現する(特に、Lmp1は、発生中の導管構造の頂部分裂組織近くで発現する)。Lmx5はまた、発生中の導管構造において発現するが、その後のステージでは発現しない。
【0068】
Lmx2、Lmx3、およびLmx4を、組織培養後期のポプラトランスジェニックにおいて分析した。これら3種のプロモーターを、pKGWFS7ベクターにクローン化した。Lmx2は、葉、幹、および根の導管構造において発現した。それは根端においても発現した。幹において、主な発現は形成層、および二次細胞壁形成細胞への全ての通路においてでであることを見出した。Lmx3は類似の発現パターンを有するが、それは根端では発現しないが、根端から約0.5から7mmの根の導管構造ではっきりと発現するという著しい差を伴っていた。Lmx3はまた、頂部分裂組織および幼若葉始原において発現し、その後、葉および一次幹発生では、導管構造に限定される。Lmx4遺伝子は、組織培養物に存在する幼若組織で低く発現するが、導管構造での発現を、特に、分析した試料中の最も古くからある導管構造においてはっきりと観察できた。
【0069】
本発明は、好ましい実施態様に関して記載され、これは本発明者等が現時点で知る最良の形態を構成するが、当業者にとって明らかな種々の変更および修飾が、添付の請求の範囲に説明される本発明の範囲から逸脱することなくなされ得ることは理解されるべきである。
【0070】
参考文献
Ausabel et al. (Eds.), Current Protocols in Molecular Biology, 2nd edition, John Wiley Sons, 1992
Church, G.M. and Gilbert, W. Genomic Sequencing, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81. 1991-1995, 1984
Clapham et al 2000, Gene Transfer by particle bombardment and Embryonic cultures of Picea abies and the production of transgenic plantlets. Scandinavian Journal of Forest research 15,151-160
Hertzberg, M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2001 (98) 14732-14737
Karimi, M., Inze D. and Depicker, A., Trends in Plant Sciences 7 (5)193-195, 2002
Nilsson O. et al., Spatial pattern of cauliflower mosaic virus 25S promoter luciferase expression in transgenic hybrid aspen trees monitored by enzymatic assay and non-destructive imaging. Transgenic research 1. 209-220 (1992)
Nilsson et al., The Agrobacterium rhizogenes rolB and rolC promoters, Physiologia Plantarum 100: 456-462 (1997)
Oard, 1991, Biotech. Adv. 9: 1-11
Regan et al., Accurate and high resolution in situ hybridization analysis of gene expression in secondary stem tissues, Plant J. 19, 363-369 (1999)
Sambrook, J., Fritsch, E.F. and Maniatis, T., Molecular cloning: A laboratory manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbour Laboratory Press, USA (1989)
Sterky, F. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1998 (95), 13330-13335
Vasil et al., Cell Culture and Somatic Cell Genetics of Plants, Vol I, II, and III, Laboratory Procedures and Their Applications, Academic Press, 1984
Walden, R., Koncz, C., Schell, J., Methods in Plant Moll Cell Biol. 1, 175 (1990)
Weissbach, Methods for Plant Molecular Biology, Academic Press, 1989
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1a】図1は、ゲノム歩行フラグメント由来の一致配列を示す。
【図1b】図1は、ゲノム歩行フラグメント由来の一致配列を示す。
【図1c】図1は、ゲノム歩行フラグメント由来の一致配列を示す。
【図1d】図1は、ゲノム歩行フラグメント由来の一致配列を示す。
【図1e】図1は、ゲノム歩行フラグメント由来の一致配列を示す。
【図2】図2は、トルイジンブルーで染色した雑種アスペンの幹の断面を示す。
【図3】図3は、プロモーターがクローン化された、5個のESTの発現パターンを示す。
【図4】図4は、異なる植物組織における選択した遺伝子の発現レベルのノーザンブロット分析結果を示す。






【特許請求の範囲】
【請求項1】
−配列番号1ないし5
−配列番号1ないし5のいずれか1つと機能的に相同な配列
−配列番号1ないし5のいずれか1つと少なくとも90%の相同性を示す配列
から選択されることを特徴とする、植物の木部形成組織において特異的に発現されるか、あるいは活性であるプロモーター配列を含む、単離核酸配列。
【請求項2】
植物の木部形成の特定ステージにおいて発現されるか、あるいは活性である、請求項1記載の核酸配列。
【請求項3】
プロモーター配列が植物において発現されるか、あるいは活性である、請求項1または2記載の核酸配列。
【請求項4】
プロモーター配列が木本植物または繊維植物において発現されるか、あるいは活性である、請求項1または2記載の核酸配列。
【請求項5】
プロモーター配列が双子葉植物である木本植物において発現されるか、あるいは活性である、請求項1または2記載の核酸配列。
【請求項6】
プロモーター配列がポプラ、アスペン、シラカバ、ヤナギ、ユーカリ、モミジバフウ(liquidamber)、トウヒ、カラマツ、アメリカヅカ、マツ、綿、麻、サイザル、亜麻、小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、および菜種から選択される植物において発現されるか、あるいは活性である、請求項1または2記載の核酸配列。
【請求項7】
請求項1または2記載の配列の少なくとも1つが機能的に挿入されていることを特徴とする、その野生型と比較して修飾された木質形成特性を示す、トランスジェニック植物。
【請求項8】
請求項1または2記載の配列の少なくとも1つが機能的に挿入されていることを特徴とする、その野生型と比較して修飾されたアポトーシス特性を示す、トランスジェニック植物。
【請求項9】
木本植物または繊維植物である、請求項7または8記載のトランスジェニック植物。
【請求項10】
ポプラ、アスペン、シラカバ、ヤナギ、ユーカリ、モミジバフウ(liquidamber)、トウヒ、カラマツ、アメリカヅカ、マツ、綿、麻、サイザル、亜麻、小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、および菜種から選択される、請求項7または8記載のトランスジェニック植物。
【請求項11】
請求項1または2記載の配列の少なくとも1つを用いることを特徴とする、植物の木部において特定の遺伝子を発現させる方法。
【請求項12】
請求項1記載のプロモーターの少なくとも1つが植物に機能的に挿入されていることを特徴とする、トランスジェニック植物の生産方法。
【請求項13】
該少なくとも1つの配列をそのゲノムに有する、請求項7ないし10のいずれか1項記載のトランスジェニック植物の繁殖性材料。
【請求項14】
種、果実、切枝、およびプロトプラスト、植物細胞、カルスまたは根のような植物の部分から選択される、請求項13記載の繁殖性材料。
【請求項15】
請求項1または2記載の配列を含む、核酸構築物。
【請求項16】
プラスミド、コスミド、ウイルス、またはバクテリオファージから選択されるベクターを含む、請求項15記載の核酸構築物。
【請求項17】
ストリンジェントな条件下で請求項1または2記載の配列の少なくとも1つとハイブリダイズできる核酸配列。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−528701(P2007−528701A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508026(P2006−508026)
【出願日】平成16年4月20日(2004.4.20)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000604
【国際公開番号】WO2004/097024
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(504152502)スウェツリー・テクノロジーズ・アクチボラゲット (1)
【氏名又は名称原語表記】SweTree Technologies AB
【Fターム(参考)】