説明

経カテーテル人工心臓弁移植及びアクセス閉鎖のための装置

患者において圧縮及び再拡張が可能な人工心臓弁を移植するために併用される、従来の開胸及び開心手術よりも侵襲的でない手段による装置。該装置は、人工心臓弁を患者の循環システムの中に入れるためにシステムが挿入されるとき、そのシステムから血液が逃げることを防ぐための1方向弁を含んでもよい。その装置は、その患者の循環システムへのアクセスを増やすために、多様な形状のカッターを含んでもよい。その装置は、人工心臓弁が移植された後に、患者の循環システムへのアクセスを素早く閉鎖するための様々な形状の装置を含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ここに参考として取り入れられる2007年8月に出願された米国特許仮出願第60/933,804号明細書に基づいている。
【背景技術】
【0002】
深刻な大動脈狭窄症を持つ何千人もの危険性の高い患者が、従来の開胸/開心手術の心臓弁移植には手術不可能と見なされるため、毎年、治療されないままでいる。これらの患者を治療する試みにおいて、圧縮可能な人工心臓弁が、頂端部を通す(すなわち、心尖を通す)手段又は完全な開胸、開心手術よりも侵襲的でない他の手段を通してこれらの患者の狭窄弁尖の中に挿入されるように開発されている。(例えば、2006年9月6日にオンラインで参照可能となった非特許文献1を参照)ここで便宜上、そのようなアプローチの全ては、崩壊した人工心臓弁を、その弁を患者の中の望まれる移植部位(弁がその動作サイズに再拡張される)に置くために、比較的小さい管状装置を通すことを含む。その採用される管状の弁の配送装置は、カテーテル、トロカール、内視鏡、ラパロスコピー又は他の一般的に似た構造のようなものであってもよい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】P.Tozzi et al.,“Endoscopic off-pump aortic valve replacement: does the pericardial cuff improve the sutureless closure of left ventricular access?”European Journal of Cardiothoracic Surgery 31 (2007) 22-25
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、巾着縫合が、心尖(又はアクセスのために使用される他の組織)を閉鎖するために、その組織に穴を開けた後に、固く締められる。しかし、既存の方法及び装置は、いくつかの問題を十分に対処しなく、それらは:(1)血液の喪失及び最適な視野、(2)柔弱な組織、(3)密封の時間及び質、(4)空気塞栓など、を含む。本発明の設計は、人工心臓弁を持つ、危険性の高い患者に配送し、それに続き、関連する可能な困難性の多くを持たずに、頂端部又は他のアクセスを密封する経カテーテル設計である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある特定の可能な態様に従って、患者の中に器具を配送する装置は、その患者の循環システムの壁の中を通すための、管状メンバーを含んでもよい。その装置は、さらに、血液がその管状メンバーを通して循環システムから出ることを実質的に防ぐために、管状メンバーの中に置かれた弁を含んでもよい。その弁は、器具が該管状メンバーを通り抜け、弁が循環システムに入ることを可能にするように設定されている。
【0006】
上記の弁は、複数の柔軟な弁尖を含む。その代わりに、その弁は、円錐曲線回転面状の構造を含んでもよい。
【0007】
上記の管状メンバーは、円形の組織カッターを含んでもよい。そのイベントにおいて、上記の器具は、円形の組織カッターによって境界づけられる円の中で組織を押さえ込むための組織保持構造を含んでもよい。
【0008】
本発明のある特定の他の可能な態様に従って、患者の循環システムの壁を通して開口を閉鎖するための装置は、その患者の中に配送し、管を通して開口を通る通路を分けるために圧縮可能な構造を含んでもよい。その構造は、管による閉じ込めから解放されたとき、その開口に関連して半径方向に外向きに拡張するために、少なくとも部分的に弾性的に付勢されていてもよい。その構造は、循環システムの中における開口に関して、半径方向に外向きに拡張するために、弾性的に付勢されている第1部分を含んでもよい。その構造は、さらに、循環システムの外側の開口に関して、半径方向に外向きに拡張するために弾性的に付勢されている第2部分を含んでもよい。そして、その構造は、まださらに、開口における配置用に設定された第1部分と第2部分との間を接続する第3部分を含んでもよい。
【0009】
上記の第1及び第2部分の1つ又は両方は、開口の周りの組織の隣り合った表面に適合するように設定されてもよい。
【0010】
上記の第1及び第2部分の1つ又は両方は、材料の繊維又はシートを含んでもよい。
【0011】
本発明のさらなる特徴である本発明の様々な利点は、本発明の付随する図表及び下記の詳細な説明からさらに明確になるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に従った、可能な装置の実施形態の簡略化された等角又は投射図である。
【図2A】本発明に従った、他の可能な装置の実施形態の簡略化された等角又は投射図である。
【図2B】図2Aに類似するが、本発明に従ったもう1つの動作条件における図2Aの装置を表わす図である。
【図3A】本発明に従った、さらに他の可能な装置の実施形態の簡略化された等角又は投射図である。
【図3B】図3Aに類似するが、本発明に従ったもう1つの動作条件における図3Aの装置を表わす図である。
【図4A】本発明に従った、さらに他の可能な装置の実施形態の簡略化された等角又は投射図である。
【図4B】図4Aにおいて表わされた装置を、他の角度から見た簡略図である。
【図4C】図4Bに類似するが、本発明に従って図4A及び図4Bにおいて表わされた対象物の代替の実施形態を表わす図である。
【図4D】本発明に従って、図4A−4Cの対象物を他の動作条件において表わす、簡略化された等角又は投射図である。
【図5A】本発明に従った、さらに他の可能な装置の実施形態の簡略化された等角又は投射図である。
【図5B】本発明に従った、図5Aの装置を他の動作条件において表わす、簡略化された等角又は投射図である。
【図6】本発明に従った、他の可能な装置の実施形態の簡略化された等角又は投射図である。
【図7】本発明に従った、さらに他の可能な装置の実施形態の簡略化された等角又は投射図である。
【図8】本発明に従った、他の可能な装置の実施形態の簡略化された等角又は投射図である。
【図9】本発明に従った、さらに他の可能な装置の実施形態の簡略化された等角又は投射図である。
【図10】本発明に従った、図9において表わされたタイプの装置のもう1つの可能な形状の簡略化された等角又は投射図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の考察は、(少なくとも最初に)心尖を通る(例えば、左室心尖を通る)アクセスについてしばしば言及する。しかし、本発明は、当然のことながら、他のルート(例えば、右室心尖、大静脈又は大動脈などの主な血管、心傍のどちらか一方、左心耳など)を通したアクセスに平等に適用することができる。従って、人工心臓弁は、流出側(例えば大動脈)又は流入側(例えば、心尖)から配送されてもよい。同様に、本発明のアクセス閉鎖装置は、大動脈のような血管の側壁を通してアクセスを閉鎖するように成形されてもよく(同心の円筒管の壁のアーチ型の部分のように成形されたアクセス閉鎖装置(例えば、図10))、あるいは、頂端部アクセス(ネスティングカップ(nesting cup)又はコーンのように成形されたアクセス閉鎖装置(例えば、図4及び9))を閉鎖するように成形されることができる。また、大動脈弁置換えのための左室(「LV」)アクセスが、以下において最も頻繁に述べられるが、本発明は、僧帽弁置換え及び肺動脈弁置換えのための右室(「RV」)アクセスなどにも適用が可能である。
【0014】
本発明の設計は、大動脈弁又は他の弁の置換えを必要とする、他の方法では適切に治療されない患者の中で使用するための設計である。本発明の設計は、経カテーテルの圧縮及びそれに続き再拡張が可能な人工心臓弁の配送及び移植システム及び頂端部又は他部のアクセス閉鎖装置(付随の図及び以下のさらなる説明を参照)を使用する。
【0015】
コアリング装置10(例えば、図2A、2B、3A、3B)、圧縮及び再拡張が可能な人工心臓弁(非表示)、及び閉鎖装置(例えば、図4−10のいずれかに表わされている)が、一時的に密封する装置20(例えば、図1に表わされているように)を通り抜けて又は通り抜けずに使用されることができる。密封装置は、心尖又は他のアクセス(図1)の末梢部分に位置された一方向ポリマー弁を含むことができる。これは、カッター(コアリング)装置が、密封された環境を維持する一方、この弁を通して引っ込められることを可能にする。
【実施例1】
【0016】
表示対象を拡大するため、図1は、使用中に圧縮及び再拡張が可能な人工心臓弁によって置き換えられるべき患者の心臓弁の近辺にある、その患者の循環システム組織において形成される開口を通される細長い配送シース(sheath)30の末梢部分を表わす。この配送シース30の末梢端部は、従来の開胸、開心手術よりも侵襲的でない技術を使用して患者の中に導入されてよい。配送シース30の近位部分は、その装置の使用者が、その近位部分を少なくともある程度まで、アクセス可能な(患者の外側の)近位部分を操ることによって、常に患者の身体の外側に残る。様々な種類の器具(圧縮した状態にある人工心臓弁を含む)が、配送シース30の中を縦方向に伸びる管腔を通して患者の中に導入されてもよい。シース30は、例えば、その装置がどのように患者の中に入り、置き換えられる心臓弁に近づくようにされているかに依存して、望まれる如何なる程度の横方向の柔軟性又は硬度を有してもよい。
【0017】
図1に表わされるように、配送シース30の末梢部分は、流体(主に血液)が図1に見られる右上から左下までシース30の管腔を通って流れることを実質的に防ぐために1方向逆止め弁として作用する弁40を含む。弁40は、好ましくは、柔軟なポリマー材で生成されている。例えば、弁40は、3つの、およそ半月形状の弁尖42a-cを含んでもよい。各弁尖42a-cの曲がった端部(図1における左下に向かって)は、流体密封(又はシーリング)の方法においてシース30の内側の表面に固定されている。各弁尖のより真っ直ぐな端部(図1における右上に向かって)は、その弁尖の「自由」端である。それらの弁尖は、弁を閉鎖するために(すなわち、右上からの弁尖への流体圧力に応答して)、自由端がYのようなパターンで集まることを可能にするために(図1に表わされている)、十分な緩みがそれらの自由端に存在するという条件を満たすように、サイズ指定され、成形され、シース30に取り付けられる。しかし、他の器具のような物体は、左下から弁を通して押されること(また、ひき続き、その弁を通して引き戻されること)ができる。弁尖は、好ましくは、それらを通して押される如何なる器具の周りにも流体密封が適切にされるように、十分に柔軟である。また、それらの弁尖は、当然のことながら、そのような器具が弁尖を通して引き戻された後に、弾力的に再閉鎖する。
【0018】
図2A−3Bに表わされているコアリング装置10は、配送シース30における管腔を通して患者の中に導入されることができる装置の例である。例えば、配送シース30は、その末梢部分が、内部にアクセスするために切断されることになっている患者の循環システム組織に接触するまで、その患者の中に入れ込まれることができる。そして、コアリング装置10は、組織を通して開口を切断するために、シース30の末梢端部から伸ばされる。配送シース30は、そして、置き換えられるべき天然の心臓弁にさらに近く、循環システムの中に、組織開口(コアリング装置10によって形成されている)を通して押し込まれてもよい。コアリング装置10は次に、シース30から引っ込めることができる(コアリング装置10を、弁40を通して引き戻す(すなわち、近位で)段階も含むことができる)。他の器具(最終的には人工心臓弁を含む)は、その後、配送シース30の管腔を通して患者の中へ導入されることができる。この場合も、これは、他の器具を弁40に通す段階を含むことができる。心臓弁の置換え処置が完了すると、本発明に従ってアクセス閉鎖装置(例えば、図4A−10のいずれかに表わされ、当該明細書において後で記載される)が、シース30の管腔を通して患者の中へ導入され、シース30がその開口、最終的には患者から引っ込められると、その患者の循環システムにおける開口を閉鎖するように配置されることができる。
【0019】
ここで、可能なコアリング装置(例えば図2A-3Bに表わされているように)に関するさらに詳しい事項を考察する。
【実施例2】
【0020】
心尖又は他のアクセスは、従来の手段によって穴を開けることが可能だが、コアリング装置(例えば、図2A−3Bにおいて表わされているように)は、配送システムに組み込まれることができ、数個の設定のいずれも可能である。
【0021】
図2A及び2Bに表わされているように、コアリング装置10の第1実施形態は、細長い管50を含み、その末梢部分だけがこれらの図において見える。その管50の極度な末梢端は、鋭い端部52によって提供される。端部52は、患者の循環システムの組織を切り通すために十分に鋭い。管50は、その中心縦軸の周りを回転してもよく(例えば、矢印54によって示されるように)、それは、端部52が組織を切り通すことにおいて役立つ。端部52は、その組織を切断するよりも、それを通る円形開口を形成する。以前述べられたように、コアリング装置10(管50を含む)は、配送シース30の管腔を通して患者の中へ配送することに適している。コアリング装置10の近位部分(非表示)は、その装置のオペレータがアクセスし、そのようなアクセスを末梢部分の操作を制御するために使用するように、通常、患者の外側に常に残る。
【0022】
コアリング装置10の追加の構造は、組織のはめ込み、安定化、及び捕獲構造60である。(この場合も、構造60の末梢部分だけが、図2A及び2Bにおいて見える。)細長い構造60(主にシャフト(shaft))は、実質的に同心及び同軸に管50の中に置かれ、それらの要素(50及び60)の長さに沿って管50に関して軸方向に往復可能である。図2Aは、管50に関して末梢方向に伸びている構造60を表わし、一方、図2Bは、管50に関して近位に引っ込められた構造60を表わす。構造60は、また、管50に関してその縦軸の周りを回転することが可能である。
【0023】
構造60の末梢端は、コルク栓抜きのようなメンバー62を含む。コルク栓抜き62は、患者の循環システムの組織を簡単に貫通することができる鋭い末梢先端を有する。コルク栓抜き62が、患者の循環システムの組織に隣接するとき、シャフト60は、矢印64によって示される方向にそのコルク栓抜きを回転させるために使用され、そして(同時に)、コルク栓抜きを末梢方向に押すために使用されることができる。これらの操作は、コルク栓抜きがコルクの中に入るのと同様に、コルク栓抜き62が、患者の組織を貫通しそれ自体を通り抜けるようにする。患者の組織が、コルク栓抜き62によって十分に安全にはめ込まれるとき、そのコルク栓抜きの組織の中の貫通は、停止される。患者の組織が、コルク栓抜きによってはめ込まれ、保持され、安定化された状態で、鋭い端部52は、コルク栓抜き62の周りの組織の中へ押し込まれ、同時に、そのコルク栓抜きの周りの組織を通る円形の開口を切るために、矢印54によって示されるように回転させられる。以前のコルク栓抜き62の回転とは逆方向の端部52の回転は、端部52によって切り取られた組織の円盤を、コルク栓抜き62による安定した保持から引きずり出さないために好ましい。言い換えれば、コルク栓抜き62は、組織が端部52によって切られる上で安全であるように、組織を抑えることにおいて役立つ。さらに、端部52がその組織の中を完全に通過した後に、コルク栓抜き62は、端部52が、患者の他の組織の周り及びそこから切った組織の円盤を、その組織の円盤が器具から出て行かないように抑える。図2Bは端部52が(末梢方向に)十分に遠くへ前進し、患者の組織を通り抜けた後の装置の典型的な状態を表わす。従って、端部52によって切られた組織の円盤は、周りの管50の中にあり、コルク栓抜き62によって安定して保持される。
【実施例3】
【0024】
図3A及び3Bにおいて表わされている代替の実施形態において、要素50、52、及び54が、図2A及び2Bにおけるそれらに相当する番号が与えられている要素と同じとして考えられる。これらの要素は従って、再度説明される必要は無い。この実施形態と図2A及び2Bにおける実施形態との主な相違は、組織のはめ込み、安定化及び管50の中の保持構造である。図3A及び3Bの実施形態において、これは、ハイポチューブ(hypotube)又はハイポチューブのような材料70を含み、それは、鋭く尖り、貫通している組織、末梢先端72、及び末梢先端72の近位にバーブ(barb)74を保持する組織を持つ。組織の中へコルク栓抜き62を通すために回転されなければいけない構造60とは異なり、管70の末梢端72は、患者の循環システム組織の中へ及びそれを通り抜けるように、真っ直ぐに押し込まれるため、十分に小さく鋭い。バーブ74が管70から半径方向に外向きに伸びるが、また、それらが半径方向に外向きに伸びると、近位方向に戻って傾く。従って、バーブ74は、管70が末梢方向において組織の中へ移動すると(例えば、図3A)、比較的簡単に組織に入る。しかし(それらの「後ろ向きの」傾きが原因で)バーブ74は、それらが組織の中に入り通り抜けた後に、その組織から近くに引き出されることに対して強く抵抗する。従って、構造70/72/74が患者の組織に入ると、その構造は、端部52が、構造70/72/74の周り(例えば、図3Bにおいて表わされている)の組織を通して円形を切るために末梢に押され回転する間に、その組織を抑え、安定化する。端部52が従って組織を通して切った後に、構造70/72/74は、切り離された組織の円盤を保持するように作用し、その組織の円盤が装置から出て行かないように維持する。
【0025】
上記の相違を除いて、図3A及び3Bにおいて表わされている実施形態は、図2A及び2Bにおいて表わされた実施形態に類似して構成及び操作(採用)される。以下は、これらの様々な実施形態に関する上記の事項を要約し、いくつかの視点において拡大する。
【0026】
コルク栓抜きコアリング機構(図2A及び2B)は、以下の特徴を含む:
1)近位端のハンドル(非表示)を持ち、末梢端に先細の鋭端52を持つ円形カッター装置50。そのカッターは、ステンレススチール316などのいくつかの生体適合性のある材料で生成されることが可能である。
【0027】
2)棒60の端部のコルク栓抜き構造62は、組織の中に挿入され、その組織は、棒(コルク栓浮き62の近位端にある)の平らな部分に隣接するまで、回転させられる。そのカッター50は、組織が出て行かないことを保証するために、コルク栓抜き62とは反対の方向に回転する。
【0028】
3)回転する間に、コルク栓抜き棒60は、カッター50が装置の近位端に向かって組織を切り裂き、それを取り除くことを可能にする。
【0029】
先端部コアリング機構(図3A及び3B)は、以下の特徴を含む:
1)近位端のハンドル(非表示)を持ち、末梢端に先細の鋭端52を持つ円形カッター装置50。
【0030】
2)場合によっては管からレーザーによって切り取られた先端部74を持つ、大きな針状の突起70/72。その先端部(バーブ)は、特定の角度において固定され、その位置にアニールされる(annealed)。その小さい管70は、組織を貫通するために1端が鋭く、末梢部分では中が空洞であるだけである。
【0031】
3)カッター50は、先端部の装置が組織を引き込むように近位で変換されると、回転する。
【0032】
人工心臓弁(非表示)が、患者の天然の心臓弁の置換えとして、その患者の中に配置された後に、縫合を主な付着方法として使用せずに、以前患者の循環システムの中に切られた心尖(又は他のアクセス(開口))の閉鎖装置の、素早く安定した付着は、いくつかの形状のうちのいずれかをとってよい。一般に、これらの閉鎖装置の全ては、上記の組織にしっかりと固定するために、ある方法において収縮し、拡張する。例えば、これらの閉鎖装置は、配送シース30又は類似した管状の器具を通して患者の中へ配送するために縮小してもよく、次に、その患者の組織をアクセス開口の周りにはめ込み、その開口を閉鎖するために拡張してもよい。(縫合は、閉鎖装置を患者の組織へ補足として固定するために、使用される。)そのような閉鎖装置のいくつかの実施形態が、図4A−10において表わされ、以下に説明されている。
【0033】
ここに表わされ以下に記載された閉鎖装置のいくつかは、自己拡張型になるように管から切り取られ、形状記憶合金(例えば、ニチノール)から生成されたワイヤーで編みこまれることができる。本発明の閉鎖装置の設計は、他の既知の設計が有さないいくつかの特徴を有する。
【実施例4】
【0034】
本発明に従って、閉鎖装置100の第1実施形態が、少なくとも部分的に図4A-4Dにおいて表わされている。図4Dは、圧縮した状態(例えば、それが患者の中に(実質的に軸方向に)配送シース30又はそのようなものを通して配送されることが可能な状態)にある閉鎖装置100を表わす。図4A−4Cは、拡張した(渦巻状の)状態にある閉鎖装置100のビューを表わす。実際は、図4Cは、このグループにおける他の図に関連したわずかな修正を表わす。この修正(参照番号100’が与えられている)では、2つのセットのフィンガーが、中心から反対方向に渦巻状に伸びる。全ての他の視点において、図4Cの構造は、他の図4の構造と同じであり、従って、図4の構造の全ては、時々、構造100又は閉鎖装置100として総称的に呼ばれる。
【0035】
閉鎖装置100は、中心メンバー110を含み、それは、2セットのフィンガー120a及び120bの源及びアンカー(anchor)として、図4A-4Cのいずれかに表わされるように、その中心メンバーから渦巻状に伸びるように弾性的にバイアスがかけられている。中心メンバー110はまた、これらの2セットのフィンガー120aと120bとの間で間隔を開けるものとして作用する。従って、図4Aにおいて、例えば、フィンガー120aは、フィンガー又は渦巻状の上部のセットとして呼ばれてもよく、フィンガー120bは、フィンガー又は渦巻状の下部のセットとして呼ばれてもよい。患者に使用されるとき、中心メンバー110は通常、患者の循環システムの組織を通して切られたアクセス開口において存在し(また、開口はその時点で循環システムを閉鎖することを望んでいる)、フィンガーの1セット120aは、アクセス開口を囲む循環システム組織の内部の表面に接触して中心メンバー110から、渦巻状に伸び、他方のフィンガーのセット120bは、アクセス開口を囲む循環システム組織の外部の表面に接触して、中心メンバー110から渦巻状に伸びる。フィンガーの2セット間における(中心メンバー110の長さに沿った)間隔開けは、好ましくは、アクセス開口の周りの組織の厚さにおよそ等しいか又はそれよりもわずかに小さい。
【0036】
半径方向に外向きの渦巻状に加えて、フィンガー120a及び120bは、これらのフィンガーのセットがはめ込む(上記の段落において説明されたようにそれに寄り掛かる)ことを目的とする組織表面の形状に適合する全体の幾何学的形状の中に配置するように、弾性的に付勢されていてもよい。例えば、装置100が心尖を通してアクセス開口を閉鎖するために使用されると推定する。すると、フィンガー120aは、カップ状の幾何学的形状に渦巻状に伸びるように(心尖の近くの心筋壁の内部の表面の形状に類似する)、弾性的に付勢されていてもよい。同様に、フィンガー120bは、もう1つのカップ状の幾何学的形状に渦巻状に伸びるように弾性的に付勢されていてもよい(最初に述べられたカップ形状にネストさせる関係を有し、それは心尖の近くの心筋壁の外側表面の形状に似ている)。形状、範囲、及びフィンガーのセット120aと120bとの間の間隔は、好ましくは、閉鎖装置100を、この場合も中心メンバー110で患者の組織にしっかりと固定するために、その閉鎖装置が、その組織の両側(内側及び外側)にアクセス開口を囲む組織をしっかりとはめ込むことを可能にするようにする。
【0037】
中心メンバー110それ自体は、十分に大きく、血流に十分に不浸透性であり、アクセス開口を塞ぎ、従ってその開口に望まれる閉鎖を提供する。その代わりに、1つ又は両方の渦巻状フィンガーのセット120a/120bは(及び/又は中心メンバー110さえも)、血液に不浸透性の材料の繊維又はシート(非表示)を、その構造の全て又は適切な部分をサポートし、アクセス開口の完全な閉鎖を提供する。そのような、血液に不浸透性のシート材に適する材料及び構造は、(1)ファイバー支持式シリコーン、(2)ポリエステル繊維の中のシリコーン・シート(ある一定の人工心臓弁の裁縫カフスのようなもの)、(3)コラーゲン含浸ポリエステル(ある一定の人工血管移植片のように)、などを含む。
【0038】
上記を要約し、いくつかの視点を拡大すると、渦巻状閉鎖機構(図4)は、以下の特徴を有することができる:
1)渦巻状構造120は、配送システムにあるときに(例えば30)崩壊し、配置されるときに、人体構造に適合するように拡張する。
【0039】
2)移動可能なメンバー120は、形状記憶合金のワイヤー、管又は平らなシートから作成することができる。
【0040】
3)装置はまた、(a)縫合された、又は音波溶接された繊維の織物又はシート(非表示)、又は(b)移動可能なメンバー120間にあり、適切な密封及び成長組織を保証するためにそのようなメンバーの1つ又は両方のセットにある、縫合された組織(非表示)、を含んでもよい。この使用又は本開示を通して一般的に似た他の使用において適切な組織の種類の例は、腹膜、粘膜下層、及び心膜組織を含む。
【0041】
4)メンバー120は、2つの同心の、かみ合いする、又はネスティングのカップ又はコーンを形成し、心尖の内側及び外側に付着させることができる(例えば、図4A)。
【0042】
5)渦巻状構造120は、心臓の収縮期における渦巻状の縮小の間に、心臓に適合するために同じ方向に回転することができる、又は反対方向に回転することができる(図4C)。
【0043】
6)装置は、両側が中心点の部分に付着された状態で配置されることができ、又は、歯止めで動かされ(ratcheted)、ねじで回されるなども可能である。言い換えれば、フィンガー120の各セット及びいくつかの付随する中心構造110は、最初は切り離されており、これらの2つの最初に切り離されている構造は、一緒に固定することができ(それらの中心部分を通して)、完全な閉鎖装置100を提供する。
【0044】
7)中心点110は、穴の閉鎖及び最適な密封を可能にするために、剛体でもよく、半剛体でもよく、又は柔弱な繊維でもよい。
【0045】
本発明のこの閉鎖装置又は他の閉鎖装置がどのように「配置されたときに人体構造に適合するか」(例えば、真上の1及び4の点)を説明する1例は、既に提供されているが、以下においてさらに詳しく説明される。切開又は閉鎖されるべき開口は、心尖の近くの心壁を通してもよい。そのような位置で、心壁は、カップ又はコーン形状(心臓の内側から見て凹面;心臓の外側から見て凸面)である。そのような位置で人体構造に適合するためには、図4における2つの間隔が開けられた渦巻状構造120の各々は(例えば、図4Aから見て、心臓の内部に配置された上部の渦巻状構造120a、及び図4Aから見て、心臓の外部に配置された下部の渦巻状構造120b)、配置された場合、同様に、カップ又はコーン形状である(すなわち、図4Aにおいて上から見て凹面であり、図4Aにおいて下から見て凸面)。その代わりに、切断及び閉鎖されるべき開口が心尖とは異なった形状を有する組織構造を通す場合、その閉鎖装置は、その人体構造に適合するために、もう1つの形状を配置してもよい。例えば、図10は、大動脈のような管状容器の側壁における開口を閉鎖するために適している、配置された閉鎖形状を表わす。従って、図10において、2つの主な閉鎖装置のメンバーは、2つの同心の円筒管の壁の鋭い部分のように形成されている。そのより小さい曲率半径を持つ要素は、閉鎖されるべき管状容器の内部に配置され、より大きい曲率の要素は、閉鎖されるべき管状容器の外部に配置される。
【実施例5】
【0046】
本発明に従って、組織アクセス開口閉鎖装置200の代替の実施形態は、図5A及び5Bにおいて表わされている。この種の構造は、スパイダー設計として、時々呼ばれる。図5Aは、崩壊した状態(例えば、配送シース30又はそれに似た装置を通して管腔を経由して患者の中に配送されることが可能な状態)にある閉鎖装置200を表わす。図5Bは、拡張した状態(すなわち、患者の循環システム組織を通してアクセス開口を閉鎖するために、その患者の中に配置された状態)にある閉鎖装置200を表わす。
【0047】
閉鎖装置200は、中央構造210を含む。構造200の各端部に付着されているのは、フィンガー220a及び220bの関連するセットであり、それは、車輪のスポークのように構造210から半径方向に外向きに突起するように、弾性的にバイアスがかけられている。図5Aにおいて見られるように、フィンガー220aは、それらが実質的に図5Aに表わされる崩壊した常態で互いに平行になるまで、上方に弾力的に偏向されることができる。同様に、フィンガー220bは、図5Aの崩壊した状態で互いに実質的に平行になるまで、下方に弾力的に偏向されることができる。フィンガー220aが制約から解除されるとき(すなわち、装置200が、中空の管状配送装置の末梢端から押されている結果として)、フィンガーは、弾力的に(弾性的に)図5Bの状態に戻る(すなわち、閉鎖装置200の配置状態)。
【0048】
閉鎖装置200の場合のように、閉鎖装置200は、通常、患者の中に配置され、中央構造210は、閉鎖されるべき組織開口を通り抜け、フィンガー220aは、構造210から半径方向に外向きに、その開口を囲む組織の内部表面に接触して伸び、フィンガー220bは、構造210から半径方向に外向きに、その開口を囲む組織の外部表面に接触して伸びる。図4A-4Dに関連して上記で考察された原理の多くは、閉鎖装置200に再度、適用される。従って、例えば、1つ又は両方のフィンガー220a/220bのセットは、装置200が閉鎖されている開口を通る血流を防ぐことを援助するため、血液に不浸透性の繊維又は他の材料の織物又はシートをサポートする。もう1つの例として、フィンガー・セット220は、それらによって接触される(はめ込まれる)ことになっている組織表面に適合する幾何学的形状(例えば、カップ、管壁の鋭い部分など)の中に配置することができる。これらの形状は、ネスト状又は同心である。フィンガー・セット220の間の間隔(中央構造210の長さによって提供される)は、閉鎖されるべき開口での組織の厚さに関連し(例えば、わずかにそれよりも小さい)、この組織が安定して(しかし、過度にではなく)、その2つのフィンガー・セットの間に留められることを保証する。装置100に関して説明された特徴が、装置200に再度適用されるように、ここで装置200に関して説明される特徴は、装置100に再度適用されることができる(また、これらの全ての特徴は、後で説明される実施形態に適用でき、それらの実施形態からの特徴は、実施形態100及び200に適用されることができる)。
【0049】
上記の事項を要約し、いくつかの視点において拡大すると、スパイダー閉鎖機構200(図5A及び5B)は、以下の特徴を有する:
1)配送システムにあるときに崩壊し(図5A)、配置されるときに人体構造に適合するために拡張する(図5B)。
【0050】
2)移動可能なメンバー220は、形状記憶合金、管、又は平らなシートから生成されることができる。
【0051】
3)装置200はまた、(a)縫合又は音波溶接された繊維(非表示)、又は(b)適切な密封及び成長組織を保証するために、移動可能なメンバー220の間における縫合された心筋組織(非表示)、を含んでもよい。
【0052】
4)フィンガー220は、2つの同心のコーン(図4Aに表わされているものに類似)を形成することができ、患者の心尖の内部及び外部に付着される(閉鎖されるべき開口は、心尖を通していると推定する)。
【0053】
5)突起物220は、人体構造に最も良く適合するために、異なった長さ、異なった角度での相殺、などを有することができる。
【0054】
6)装置200は、両側が中心点部分210に付着され、配置されることができ、又は、歯止めで動かされ、ねじ込まれるなどが、一緒に及び個別にできる。これは、再び、装置100に関して以前指摘された点に類似し、すなわち、突起物220の各セット及び中央構造210の関連する部分は最初に切り離され、これらの2つのアセンブリーは、次に、完全な閉鎖装置20を形成するために組み立てられる。
【0055】
7)中心点210は、穴の閉鎖及び最適な密封を可能にするために、剛体、半剛体、又は柔弱な繊維であってもよい。
【実施例6】
【0056】
本発明に従って、組織アクセス開口閉鎖装置300のもう1つの実施形態が、図6において表わされている。この主の構造は、フラワー設計として時々呼ばれる。図9は、配置された状態にある閉鎖装置300を表わす。閉鎖装置300は、デイジーのような花の花弁のような中央構造310の、関連する向かい合う端部から半径方向の外向きに伸びるように、弾性的に付勢された、2つのセットのV形状のメンバー320a及び320bを含む。従って、図6は、図5Bにおいて装置200に関して表わされた状態にある装置300を表わし、この状態において、装置300は、組織を通し開口を閉鎖するために、装置200の図5Bの状態を実施することができる。従って、そのような組織開口を閉鎖するために、中央構造は、開口を通して伸び、メンバー320は、開口を囲む組織の両側をはめ込む。構造300は、メンバー320aを互いにおよそ平行に上方に曲げることによって、及びメンバー320bを互いにおよそ平行に下方に曲げることによって(従って、崩壊した装置300に、図5Aにおいて装置200に関して表わされた外見にいくらか似た外見を持たせるために)、図6に表わされた状態から患者の中への配送するための崩壊した状態に、(例えば、管状の配送装置を通して)弾力的に変形される。装置100及び200の様々な追加の特徴が装置300に適用されることが可能なはずである。
【0057】
再度、上記を要約し、いくつかの視点において拡大すると、フラワー閉鎖機構300(図6)は、以下の特徴を含む:
1)配送システムにあるときに弾力的に崩壊し、後で配置されるときに人体構造に適合するために弾性的に拡張する(図6)。
【0058】
2)移動可能なメンバー320は、形状記憶合金、管、又は平らなシートから生成されることができる。
【0059】
3)装置300はまた、(a)縫合又は音波溶接された繊維(非表示)、又は(b)適切な密封及び成長組織を保証するために、移動可能なメンバー320の間における縫合された心筋組織(非表示)、を含んでもよい。
【0060】
4)2つの同心又はネスティング状のカップ又はコーンを形成し、患者の心尖の内部及び外部に付着される(閉鎖されるべき開口は、心尖を通していると推定する)。
【0061】
5)2重の(U形状の)突起物320は、上記のスパイダー設計において使用されたそれぞれ220よりもねじれ剛性を有するが、人体構造に最も良く適合するために、異なった長さ、異なった角度での相殺、などを有することができる。
【0062】
6)装置300は、両側が中心点部分310に付着され、配置されることができ、又は、2つの最初に切り離されていたサブアセンブリーから、歯止めで動かされ、ねじ込まれるなどして組み立てられることができる。
【0063】
7)中心点310は、穴の閉鎖及び最適な密封を可能にするために、剛体、半剛体、又は柔弱な繊維であってもよい。
【実施例7】
【0064】
本発明に従って、組織アクセス開口閉鎖装置400のもう1つの実施形態が、図7において表わされている。この種の構造は、模様(weave)設計として時々呼ばれる。図7は、配置された状態にある装置400を表わす。装置400は、中央構造410、及び、織られた、編みこまれた、フェルト状に成形された膜を含み、他には中央構造の各端部から半径方向に外向きの全ての方向に伸びる、組み立てられたワイヤーの鎖(strands)を含む。図を過度に複雑化させないため、これらの代表的な鎖の2、3個のみが、図7において表わされている。繊維の上部にある代表的な鎖は参照番号420aを有する。下方の繊維にある代表的な鎖は参照番号402bを有する。これらの2つの膜もまた、時々、これらの参照番号でそれぞれ呼ばれる。
【0065】
組織開口を閉鎖するために配置される場合、中央構造410は、開口を通して伸び、膜420a及び420bの各々は、開口の周りの組織の関連する表面をはめ込む。膜420a及び420bの各々は、患者の中に配送する(例えば、シース30などのような管状配送装置の管腔を通して)ために、かなり小さいサイズに、弾力的に圧縮される(例えば、円筒のような形状)。そのような管状配送装置の中の閉じ込めから解放されるとき、膜420は、弾性的に図7に表わされている状態に戻る。他の視点において、閉鎖装置400は、他の実施形態に関して本明細書の他の箇所で説明された特徴を含むことができる。
【0066】
再度、上記を要約し、いくつかの視点において拡大すると、模様閉鎖機構400(図7)は、以下の特徴を含む:
1)配送システムにあるときに弾力的に崩壊し、後で配置されるときに人体構造に適合するために弾性的に拡張する(図7)。
【0067】
2)移動可能なメンバー420は、形状記憶合金、管、又は平らなシートから生成されることができる。
【0068】
3)装置400はまた、(a)縫合又は音波溶接された繊維(非表示)、又は(b)適切な密封及び成長組織を保証するために、移動可能なメンバー420の間における縫合された心筋組織(非表示)、を含んでもよい。
【0069】
4)2つの同心又はネスティング状のカップ又はコーンを形成し、患者の心尖の内部及び外部に付着される(閉鎖されるべき開口は、心尖を通していると推定する)。
【0070】
5)細長いメンバー420a及び420bは、重なり合うワイヤーでもよく、単一の大きな部分に切られてもよい。
【0071】
6)装置400は、両側が中心点部分410に付着され、配置されることができ、又は、2つの最初に切り離されていたサブアセンブリーから、歯止めで動かされ、ねじ込まれるなどして組み立てられることができる。
【0072】
7)中心点410は、穴の閉鎖及び最適な密封を可能にするために、剛体、半剛体、又は柔弱な繊維であってもよい。
【実施例8】
【0073】
本発明に従って組織アクセス開口閉鎖装置500の実施形態が図8において表わされている。この種の構造は、時々、ヒトデ設計として呼ばれる。装置500は、中央リンク又は接続構造510(概念的に、以前記載された要素110、210、310、及び410に似ている。)を含む。装置500は、2つの膜又はシート状のメンバー520及び520bを、リンク構造510の向かい合っている端部にそれぞれ含む。メンバー520a及び520bは、概念的に以前記載された実施形態における要素、120、220、320、及び420に似ている。膜のメンバーの各々は、柔軟性を持つが、図8に表わされている形(形状)をとるために、弾性的に付勢されている。しかし、さらに、メンバー520の各々は、患者の中へ配送するため(例えば、管状配送装置の管腔を通して)に、弾力的にさらにより小さいサイズに変形が可能である。例えば、メンバー520aは、図8に表わされているように、さらに円筒状の形に上方に弾力的に折り畳みが可能であってもよく、メンバー520bは、図8においてもう1つのさらに円筒状の形に下方に弾力的に折り畳みが可能であってもよい。管状閉じ込めから続いて解放される場合、構造500は、弾性的に、図8において表わされる形に戻る。装置500は、他の以前記載された実施形態に概念的に非常に似ていることから、この装置500の記載は、当業者にとって十分なはずである。しかし、他の実施形態に関する本明細書の他の箇所において記載された特徴及び態様は、図8の実施形態に適切だとして、適用される。
【0074】
再度、上記を要約し、いくつかの視点において拡大すると、模様閉鎖機構500(図8)は、以下の特徴を含む:
1)配送システムにあるときに弾力的に崩壊し、後で配置されるときに人体構造に適合するために弾性的に拡張する(図8)。
【0075】
2)移動可能なメンバー520は、形状記憶合金、管、又は平らなシートから生成されることができる。
【0076】
3)メンバー520はまた、(a)縫合又は音波溶接された繊維(非表示)、又は(b)適切な密封及び成長組織を保証するために、移動可能なサブ構造上に縫合された心筋組織、を含んでもよい。そのようなサブ構造それ自体は、膜又はシート状の構造であってもよく、又は、さらに解放されたフレーム状の構造(例えば、交差しているワイヤー状の構造のグリッドなど)であってもよい。
【0077】
4)メンバー520a及び520bは、2つの同心又はネスティング状のカップ又はコーンを形成することができ、患者の心尖の内部及び外部に付着される(例えば、図9のように;管状容器の側壁を通してアクセスを閉鎖するために、図10における他の配置された形状などが採用されてもよい)。
【0078】
5)ウィングが付いた密封部分520は、望まれる程度の硬度又は柔軟性を全て提供する上で適切な方法で、輪郭が取られ、編みこまれるなどする。
【0079】
6)装置500は、両側が中心点部分510に付着され、配置されることができ、又は、2つの最初に切り離されていたサブアセンブリーから、歯止めで動かされ、ねじ込まれるなどして組み立てられることができる。
【0080】
7)中心点510は、穴の閉鎖及び最適な密封を可能にするために、剛体、半剛体、又は柔弱な繊維であってもよい。
【0081】
図9は、500のような閉鎖装置(今は500’とされている)は、膜状のメンバー520a’及び520b’がネスト状のカップ及びコーンを形成するために(例えば、心尖を閉鎖するために適切である)、弾性的に付勢されている点をさらに説明するために提供されている。この可能性は、以前すでに述べられており、再度、この原理が、ここで表わされる閉鎖装置の実施形態のいずれにも適用できることが指摘される。図10は、500(今は500’とされている)のような閉鎖装置は、膜状のメンバー520”及び520b”が同心の管の表面の鋭い部分(例えば、大動脈又は大静脈などの管状血管容器の側壁における開口を閉鎖するために適切である)を形成するために、弾性的に付勢されている点をさらに説明するために提供されている。この可能性も、また、以前すでに述べられており、再度、この原理が、ここで表わされる閉鎖装置の実施形態のいずれにも適用できることが指摘される。
【0082】
本発明に従って、閉鎖装置の全ての実施形態において(例えば、100、200、300など)、装置の配置は、通常、連続する段階において進む。例えば、閉鎖装置のための(管状)配送装置は、最初に閉鎖されるべき組織開口を通して伸びる。閉鎖装置はそして、循環システムの内部に残る閉鎖装置のある部分(例えば、120a、220a、320aなど)が、そのシステムの内部に配置(拡張)できるように、配送装置の末梢端から遠位に押される。その配送装置は次に、組織開口から近位に引っ込められ、一方、閉鎖装置の残りの部分は、配送装置の末梢端から押されるか、又は引き出される。これは、最終的に、循環システムの外側に残される閉鎖装置の一部(例えば、120b、220b、320bなど)が、その循環システムの外に配置することを可能にする。閉鎖装置の内側部分と外側部分との間のリンク構造(例えば、110、210、310など)は、閉鎖装置の配置された(拡張した)内側部分と外側部分との間の組織開口に残る。
【実施例9】
【0083】
図11−13は、1方向弁40(図1の弁40のような)がどのようにコアリング又はカッター装置10(図2A及び2Bにおけるコアリング装置10のような)の中に含まれているかを説明する実施形態を表わす。弁40の3つの柔軟な弁尖42a-cの基盤は、カッター10の管50の内部表面に密封するように固定されている。図11は、棒60が、弁40の中心を通り、組織をはめ込み、それにしがみつくために、1つの位置にある、コルク栓抜き62を表わす。血液の逆流(図11に見られるように右から左へ)は、弁40の3つの棒の周りを閉鎖している柔軟かつ弾力的な弁尖42a-cによって停止される。
【0084】
図12を参照すると、組織(非表示)が一度コルク栓抜き62によって固定され、カッター50(特に、そのカッターの鋭く、円形の末梢端部52)が、組織の円形部分をコアとして抜くと、コルク栓抜き62、棒60及び組織コア(コルク栓抜き62上の)は、引き戻される。図13は、コルク栓抜き62、棒60及び組織コア(まだに非表示だが、コルク栓抜き62上にある)の弁40を通したさらなる収縮を表わす。弁40は、この時点においてそれ自体完全に閉鎖し、従って、カッター10を通る血流(右から左への)を、防ぎ続ける。
【実施例10】
【0085】
図14及び15は、多数の柔軟かつ弾力的な弁尖(図1及び11−13に表示されるように)を持つ弁を使用する代わりに、半固体状又はバルーン拡張された円錐曲線回転面80が(弁として)、血流を停止するために使用されることができることを表わす。図14は、円錐曲線回転面80それ自体を表わし、一方、図15は、カッター10の管50の内部に搭載された円錐曲線回転面80を表わす。特に、円錐曲線回転面80の半径方向に外向きの円形周囲は、管50の内側表面に密封するように固定される。図14は、コルク栓抜き62が、どのように、血液の逆流を(図15に見られるように右から左)許さずに円錐曲線回転面80の中心を通りぬけることができるかを表わす。
【実施例11】
【0086】
血流を塞ぐためのさらに他の弁の設定が可能である。例えば、図16は、カッター10の管50の内部の2尖弁の弁90を表わす。弁尖90は2つの柔軟かつ弾力的な弁尖92a及び92bを有する。これらの弁尖の材料は、以前記載された弁40における弁尖42の材料に類似し、又は、これらの弁尖の材料(92)は、異なっていてもよい。例えば、弁尖92にさらに弾力的(ストレッチ性の)材料を使用することが望ましい。各弁尖92のU形状端部は、管50の内側表面に、密封するように固定されている。弁尖の真っ直ぐかつ比較的自由である端部は、管50の内部を横断する直径に沿って集合する。これらの自由端が従って集合するとき、弁90は、「閉鎖」され、右から左へと管90を通る血流を防ぐ。しかし、弁尖92は、管50を右から左へ通る血流を防ぐために他の器具の周りの密封を維持する間、他の器具(要素60及び62のような)がそれらの間を通ることを可能にする。
【0087】
最後に、心尖(例えば、左室心尖)は、しばしばアクセスのために上記で述べられているが、本発明は、右室(左室よりも心尖の近くでは細い)心尖からの、大動脈又は大静脈などの主な血管を通したアクセス又は当該明細書で以前述べられた他の方法におけるアクセスにも適用することができることが、再度指摘されている。また、弁は、血液流出側面(例えば、大動脈から(大動脈の側壁を通した動脈弁の置換えの例において)又は血液流入側面からの(例えば、心尖から(心尖を通した大動脈の置換えの例において))から配送されることができる。ここで示される閉鎖装置設計はいずれも、管状容器に一致するように輪郭が取られ(図10が、適切な輪郭の例である)、又は、心尖に一致するように(図9が例である)、カップ若しくはコーン形状であってもよい。大動脈弁の置換えに加えて、本発明は、また、僧帽弁の置換えにはLVアクセスに適用され、肺動脈弁の置換えにはRVアクセスに適用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の循環システムの中へ器具を配送するための装置であり:
前記循環システムの壁の中を通すための管状メンバー;及び
該管状メンバーを通して血液が前記循環システムから出ることを実質的に防止するための、該管状メンバーの中に置かれた弁;
を含む装置であり、該弁は、器具が該管状メンバーを通り抜け、該弁が前記循環システムに入ることを可能にするように設定されている、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記弁が:
複数の柔軟な弁尖であり、該弁尖の各々が、前記管状メンバーの内側表面の関連する部分において密封するように固定されている第1端部、及び他方の前記弁尖の第2端部に自由に隣接できる第2端部、を有する複数の弁尖、
を含む、請求項1に記載された装置。
【請求項3】
前記器具が、前記弁を通り抜けるために、前記弁尖の隣接する第2端部の間を通ることができる、請求項2に記載された装置。
【請求項4】
前記弁が:
前記管状メンバーの内側表面において、密封するように固定されている半径方向に外側にある環状部分を有する円錐曲線回転面構造、及び前記器具が密封するように切り抜けることができる、半径方向の中央にある開口、
を含む、請求項1に記載された装置。
【請求項5】
前記管状メンバーが、前記循環システムの壁を通して円形開口を切るための円形カッターを含む、請求項1に記載された装置。
【請求項6】
前記円形カッターが、組織を切るように鋭くされている円形の末梢端を有する、請求項5に記載された装置。
【請求項7】
前記器具が、前記円形カッターによって境界付けられた円形の中で組織を保持するための組織保持構造を含む、請求項5に記載された装置。
【請求項8】
前記組織保持構造が、前記円形の中で組織を通して縫うように進むことができるコルク栓抜き構造を含む、請求項7に記載された装置。
【請求項9】
前記組織保持構造が:
組織を貫通するためのメンバー;及び
前記の組織貫通メンバーから半径方向に外向きに伸び、1つの組織貫通メンバーが、該組織貫通メンバーからの各バーブに沿って外側に進むにつれて、組織貫通方向とは反対方向に傾く、複数のバーブ;
を含む、請求項7に記載された装置。
【請求項10】
患者の循環システムの壁を通る開口を閉鎖するための装置であり:
前記患者の中へ配送するために圧縮可能であり、管を経由して前記開口を通る通路を分けるための構造、
を含み、該構造は、前記管による閉じ込めから解放されるとき、前記装置に関して半径方向に外向きに伸びるように、少なくとも部分的に、弾性的に付勢され、前記循環システムの中の開口に関して、半径方向に外向きに伸びるように弾性的に付勢された第1部分、前記循環システムの外側の開口に関して、半径方向に外向きに伸びるように弾性的に付勢された第2部分、及び該第1部分及び該第2部分を含み、前記開口において配置されるように設定された第3部分、を含む、ことを特徴とする装置。
【請求項11】
前記第3部分が、前記開口を実質的に充填するように設定された、請求項10に記載された装置。
【請求項12】
前記第3部分が、前記第1及び第2部分を、前記開口の周りの組織の内側及び外側表面にそれぞれ押さえつけるように設定された、請求項10に記載された装置。
【請求項13】
前記第1部分が、前記管による閉じ込めから解放されるとき、前記開口の周りの組織の内側表面に適合するように成形されている、請求項10に記載された装置。
【請求項14】
前記第1部分が、前記管による閉じ込めから解放されるとき、前記開口の周りの組織の外側表面に適合するように成形されている、請求項10に記載された装置。
【請求項15】
前記第1部分が、前記管による閉じ込めから解放されるとき及び前記第2部分から見たとき、凸面であるように成形されている、請求項13に記載された装置。
【請求項16】
前記第2部分が、前記管による閉じ込めから解放されるとき及び前記第1部分から見たとき、凹面であるように成形されている、請求項14に記載された装置。
【請求項17】
前記第1部分が、前記管による閉じ込めから解放されるとき、カップ形状に成形されている、請求項15に記載された装置。
【請求項18】
前記第1部分が、前記管による閉じ込めから解放されるとき、円筒状表面の鋭い部分のように成形されている、請求項15に記載された装置。
【請求項19】
前記第1部分が、前記管による閉じ込めから解放されるとき、前記第3部分から渦巻状に出る複数のメンバーを含む、請求項10に記載された装置。
【請求項20】
前記第1部分が、前記管による閉じ込めから解放されるとき、前記第3部分から半径方向に外向きに突起する複数のメンバーを含む、請求項10に記載された装置。
【請求項21】
前記メンバーの各々が、U形状であり、該Uの基盤は前記第3部分から半径方向の最も外側にある、請求項20に記載された装置。
【請求項22】
前記第1部分が、前記管による閉じ込めから解放されるとき、前記第3部分から半径方向に外向きに伸びる、網目模様で互いに交差する複数のメンバーを含む、請求項10に記載された装置。
【請求項23】
前記第1部分が、前記管による閉じ込めから解放されるとき、前記第3部分から半径方向に外向きに突起する膜を含む、請求項10に記載された装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2010−528760(P2010−528760A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511180(P2010−511180)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/007012
【国際公開番号】WO2008/153872
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(500232466)セント ジュード メディカル インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】