説明

経皮的および裂孔的なデバイスならびに最小侵襲性骨盤外科手術における使用のための方法

【課題】尿失禁を処置するためのデバイスが提供される。
【解決手段】ガイド部材を身体組織に挿入するためのガイド部材配置部材であって、近位端、遠位端および通じて延びる管腔を有するシャフトであって、この管腔はガイド部材を受けるよう適合されているシャフトと、係合部材であって別のガイド部材配置デバイスと係合するためのシャフトの遠位端である係合部材を備える。このガイド部材配置部材は、シャフトの遠位端における切開鈍先端と通じて延びる管腔を有するハンドルを備えても良く、上記シャフトの近位端はこのハンドルに装着され、その結果、シャフトの管腔とハンドルの管腔とが整列する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、失禁を処置するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
尿失禁は、合衆国および世界中において広範囲に及ぶ問題である。尿失禁は、すべての世代の人々に起こり、且つ、生理学的および心理学的の両面で患者にシビアな影響を与え得る。
【0003】
尿失禁に苦しむ女性の約30%において、失禁は本質的な括約筋の不足(ISD)、すなわち尿道の括約筋の弁が適切に接着(coapt)しない状態、から生じている。失禁を起こす女性の他の約30%において、失禁は運動機能亢進、すなわち膀胱の周囲の筋肉が弛緩している状態、から生じている。その状態では、腹腔内部の圧力の増大に応答して、膀胱頸部および尿道近位が回転および下降される。運動機能亢進は、筋肉を弱くさせる妊娠また他の状態の結果から生じ得る。尿失禁を起こす女性の別のグループにおいて、その状態はISDおよび運動機能亢進の組み合わせにより生じる。
【0004】
上述した状態に加えて、尿失禁には、先天的な障害、疾病、けが、年齢および尿路感染症を含む多数の他の原因がある。
【0005】
尿失禁を処置する為の多くのアプローチが利用出来る。例えば、尿の漏れを防ぐように尿道を安定させる、またはわずかに圧縮する為のいくつかの製品が開発されている。安定化力または圧縮力は、尿道を取り囲む柔らかな組織を通る縫合糸により直接印加され得、あるいは、尿道の下部に配置され、且つ縫合糸により吊されるスリングによって印加され得る。縫合糸は、ボーンアンカ(bone anchor)によって恥骨に固定され得るか、またあるいは、筋膜のような他の構造体に付着され得る。
【0006】
尿道または膀胱頸部のような尿細管構造体の周囲を切開するためのデバイスは、ローンスターメディカルプロダクト(Lone Star Medical Product)から入手可能である。ローンスターのデバイスは、膀胱鏡検査、膣または直腸検査、または膀胱が開いた状態の尿道の周りの機器の位置検査を用いて尿道と膣壁との間の組織に位置づけられ得る2本のシャフトを有する。2本のシャフトは互いにロックされ、介在する組織を挟む。シャープブレードは、一方のシャフトに挿入され、2本のシャフト間にある組織を切開しながら第2のシャフト中を進行する。組織における切開部は、直角クランプを用いて広げられ得、デバイスのカッティングブレードに取り付けられた縫合糸により導かれた人工括約筋は、広げられた切開部に導入される。
【0007】
ローンスターのデバイスでは、2つのシャフト間の距離は、徐々に調整され得ない。加えて、ローンスターのデバイスのシャフトの端は、尿道と上部膣壁との間の組織に向かって進行する一方で、組織または骨と直接接触する。ローンスターのデバイスのシャフトは、その遠位端でフラットである。
従って、尿失禁に対する処置を単純にし、且つその安全性を増大させるデバイスに対する必要性がある。デバイスの進行中に尿道を不意に挟み、且つ組織または骨の望ましくない摩損を起こす危険性を減少させる、尿失禁を処置する為のスリング適用デバイスが特に望ましい。ガイド縫合糸を用いずに、且つ直角クランプを使用することなく尿道と上部膣壁との間の組織に開口を作成および開口を維持するスリング適用デバイスを有することがまた望ましく、それによって処置かみそりが単純にされる。
【0008】
1997年3月18日に発行されたBenderevらによる米国特許第5,611,515号(特許文献1)は、最小侵襲性の経皮的および経膣的な膀胱頸部安定化アプローチの先駆けを紹介している。Benderevらの経皮的アプローチは、患者の腹部側から経皮的に導入されるボーンアンカを用いて膀胱頸部を安定化させることを含む。Benderevらの経膣的アプローチは、経膣的に恥骨に配置されたステープルまたはボーンアンカを用いて膀胱頸部を安定化させることを含む。膀胱頸部または尿道の安定化または圧縮を含む尿自制を改善または維持するためのさらなるデバイスおよび方法、特に本発明のデバイスおよび方法は、現在利用可能な多くのデバイスおよび方法よりも侵襲性が少ないデバイスおよび方法に対する必要性もある。
【特許文献1】米国特許第5,611,515号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来技術の課題を解決し、膀胱頸部または尿道の安定化または圧縮を含む尿自制を改善または維持し、かつ生体に対する侵襲性のより少ないされたデバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、尿失禁のための経皮的および裂孔的なアプローチ処置を使用する為のデバイスおよび方法に関する。特に、本発明は、部材配置デバイス、スリング適用カテーテル、組織切開器/拡張器、スリング適用デバイスおよびスリング適用システム、組織延長器、把持デバイス、およびバルーンカテーテルを導くことに関する。尿自制を維持し、改善するための膀胱頸部または尿道床を安定化させるための前出のデバイスを用いる方法は、また開示されている。
【0011】
本願のある局面は、ガイド部材を身体組織内に挿入ためのガイド部材配置デバイスである。ガイド部材配置デバイスは、近位端、遠位端、そこに伸びる管腔を有するシャフトを備える。シャフトの管腔は、ガイド部材を受け取るために適合される。シャフトの遠位端は、別のガイド部材配置デバイスを係合するための係合部材を有する。ガイド部材配置デバイスのある実施形態では、デバイスは、シャフトの遠位端には切開鈍先端を、およびシャフトの管腔およびハンドルの管腔が整列する方向に伸長する管腔を有するハンドルをさらに備える。
【0012】
更なる実施形態では、切開鈍先端は、シャフト内部の鈍切開器(blunt dissector)上にあり、シャフトから伸張可能であり、且つシャフト内に後退可能である。更なる実施形態では、ガイド部材配置デバイスは、尿道床再構築における使用に適合されている。さらに別の実施形態では、ガイド部材配置デバイスは、膀胱頸部安定化処置手順における使用に適合されている。ガイド部材配置デバイスのある実施形態では、係合部材は、雄コネクタを備える。ガイド部材配置デバイスの別の実施形態では、係合部材は、雌コネクタを備える。ガイド部材配置デバイスのさらに別の実施形態では、シャフトは直線近位セクション、曲げ中間セクションおよび近位セクションに対して約90°の角度で配向する遠位端を有する。
【0013】
別の実施形態では、ガイド部材配置デバイスは、シャフトの管腔に除去可能に位置づけされたガイド部材をさらに備える。本実施形態のある局面では、ガイド部材はガイドワイヤを備える。本実施形態の別の局面では、ガイド部材は縫合糸を備える。
【0014】
本発明の別の局面は、ガイド部材を身体組織に挿入する方法である。第1のガイド部材配置デバイスのシャフトは、経皮的に挿入され、身体組織を通ってガイド部材が通過する中央点に進められる。第2のガイド部材配置デバイスのシャフトは、経皮的に挿入され、身体組織を通ってガイド部材が通過する中央点に進められる。第1のガイド部材配置デバイスのシャフトの遠位端上の係合部材は、第2のガイド部材配置デバイスのシャフトの遠位端上の係合部材に結合され、第1のガイド部材配置デバイスのシャフトにおける管腔は、第2のガイド部材配置デバイスのシャフトにおける管腔へと流体連絡される。ガイド部材は、第1のガイド部材配置デバイスと第2のガイド部材配置デバイスの結合したシャフトの管腔を通される。第1のガイド部材配置デバイスのシャフトと第2のガイド部材配置デバイスのシャフトは、身体から取り除かれ、それにより、ガイド部材を身体組織に残す。
【0015】
本方法のある実施形態では、第1および第2のシャフトは、第1および第2の上部恥骨切開部を介して経皮的に挿入される。
【0016】
本方法の別の実施形態では、第1および第2のガイド部材配置デバイスのシャフトは、身体組織において事前形成された開口またはポケットに挿入される。本方法の別の実施形態では、その方法は、少なくとも一つのガイド部材配置デバイスから鈍切開器先端を延長し、且つ後退させることによって身体組織において開口を形成する工程を備える。本方法の別の実施形態では、事前形成された開口またはポケットは、尿道と上部膣壁との間の組織にあり、それによりガイド部材は事前形成された開口またはポケットに残される。
【0017】
本発明の別の局面は、スリングを有するカテーテルを備えるスリング適用カテーテルである。ここでスリングは、カテーテルと解放自在に係合されている。スリング適用カテーテルのある実施形態では、カテーテルはスリングを解放自在に係合するための袋を有する。項目(18)のスリング適用カテーテルでは、カテーテルはガイド部材に沿って移動するように適合されている。
【0018】
スリング適用カテーテルのさらに別の実施形態では、カテーテルの遠位端はテーパ状である。スリング適用カテーテルのさらに別の実施形態では、袋の遠位端はテーパ状である。スリング適用カテーテルのある実施形態では、袋は多孔性である。スリング適用カテーテルの別の実施形態では、袋は、その剛性を増大させるための補剛材をさらに備える。補剛材は、袋の内部または外部にあり得る。スリング適用カテーテルの別の実施形態では、補剛材は多孔性である。
【0019】
本発明の別の局面は、スリングを身体組織内に導入する方法である。本方法は、スリング適用カテーテルを身体組織に通す工程を備える。スリング適用カテーテルは、カテーテルに解放自在に係合されるスリングを有するカテーテルを備える。スリングは、スリング適用カテーテルから解放され、それによりスリングを身体組織内に導入する。
【0020】
身体組織内にスリングを導入する本方法のある局面では、本方法は、第1の切開部および第2の切開部を作成する工程を備え、スリング適用カテーテルを身体組織に通す工程は、スリング適用カテーテルを第1の切開部を通して第2の切開部から出す工程をさらに備える。身体組織内にスリングを導入する本方法のある実施形態では、スリングは、スリングをスリング適用カテーテルにおける袋からスリングを引き出すことによってスリング適用カテーテルから解放される。別の実施形態では、スリング適用カテーテルは、ガイド部材に沿って身体組織に通される。さらに別の実施形態では、スリングは、尿道と上部膣壁との間の組織に導入される。
【0021】
さらに別の実施形態では、第1の切開部および第2の切開部は、恥骨上切開である。別の実施形態では、本方法は、スリングの端を握る一方で、スリング適用カテーテルの遠位端を第2の切開部から引き出すことによって、スリングを袋から引き出す工程をさらに備える。さらに別の実施形態では、袋からスリングを引き出す工程は、滅菌スリングを引き出す工程を備える。
【0022】
本発明の別の局面は、身体組織内の開口またはポケットを生成しかつ拡張する組織切開器/拡張器である。この組織切開器/拡張器は、本体、本体に付着する非可撓性シャフト、身体組織内で開口またはポケットを作成するためのシャフトを支える切開器、および、身体組織内の開口またはポケットを拡張するためのシャフトを支える拡張器を備える。
【0023】
1つの実施形態において、シャフトはそれを通じて延長した管腔を有し、切開器はシャフト内の管腔内にあり、軸方向に可動である。それにより、切開器はシャフトから延長され得、後退され得る。別の実施形態において、シャフトはそれを通じて延長した管腔を有し、拡張器はシャフト内の管腔内にあり、軸方向に可動である。それにより、拡張器はシャフトから延長され得、後退され得る。別の実施形態において、シャフトはそれを通じて延長した管腔を有し、切開器と拡張器の両方はシャフトの管腔内にあり、軸方向に可動である。それにより、切開器と拡張器はシャフトから延長され得、後退され得る。ある実施形態において、軸方向可動な切開器と軸方向可動で膨張可能な拡張器は内蔵型である。別の実施形態において、組織切開器/拡張器は膀胱頚部安定化処置手順における使用のために適合される。
【0024】
組織切開器/拡張器のさらに別の実施形態において、組織切開器/拡張器の本体は、切開器がシャフトから延長する第1の位置、切開器および拡張器の両方がシャフトから延長される第2の位置、および、切開器および拡張器がシャフト内で後退される第3の位置の間に、軸方向可動な内蔵された切開器および膨張可能な拡張器のための第1の制御部材を含む。この実施形態において、組織切開器/拡張器の本体は、また身体組織内の開口またはポケットに拡張器を膨張するための第2の制御部材を含み、それにより、開口またはポケットを拡張し、かつ、開口またはポケットの拡張器の次の拡張器を折り畳む。
【0025】
別の実施形態において、軸方向可動な内蔵型切開器および膨張可能な拡張器を延長および後退する第1の制御部材が、上記軸方向可動な内蔵型切開器および膨張可能な拡張器を延長または後退するために軸方向可動な内蔵型切開器および膨張可能な拡張器を係合するスプリングリターンボタンを備える。さらに別の実施形態において、スプリングリターンボタンは、十分な拡張された位置で、軸方向可動な内蔵型切開器および膨張可能な拡張器をロックすることに位置し得る。さらに別の実施形態において、スプリングリターンボタンは軸方向可動な内蔵型切開器および膨張可能な拡張器に一対一ストローク運動を提供する。
【0026】
組織切開器/拡張器のさらなる実施態様において、軸方向可動な内蔵型切開器および膨張可能な拡張器は、それを通じて延長する管腔を有する外管および外管の管空内に少なくとも1つの膨張可能なバルーンを含むカテーテルである。この実施形態において、膨張可能なバルーンは近位端で膨張管および遠位端で鈍い切開器を有し、膨張管はバルーン内部で流体連絡する。さらに別の実施態様において、拡張器を膨張する第2の制御部材は、本体上のトリガー、および、プランジャ、リザーバ、および先端を含む本体内のシリンジを備える。
【0027】
この実施態様において、組織切開器/拡張器はまたシリンジロッキングメカニズムを備え、ここで、シリンジの先端はシリンジロッキングメカニズムに固定的に係合してシリンジのリザーバをバルーンカテーテルと流体連絡するに位置に配置し、トリガーはシリンジのプランジャを係合し、トリガーを圧迫してシリンジのプランジャを押し出し、これによってシリンジから流体を分配し、カテーテルのバルーンを膨張する。さらに別の実施態様において、カテーテルはさらにガイド部材の通路を適合する第2の管腔を含む。
【0028】
更にある実施態様において、カテーテルはさらに第3の管腔を備える。別の実施態様において、第3の管腔は超音波カテーテルを受け取るように適合される。さらに別の実施態様において、第3の管腔は移植片を受け取るように適合される。別の実施態様において、第3の管腔は灌注に適合される。
【0029】
本発明の別の局面は、本体、上記身体に付着する非可撓性シャフト、身体組織内に開口またはポケットを切開するためのシャフトを支える切開手段、および開口またはポケットを拡張するためのシャフトを支える拡張手段を備えた、身体組織内に開口またはポケットを形成および拡張するための組織切開器/拡張器である。
【0030】
本発明の別の局面は、身体組織内に開口またはポケットを形成および拡張する方法である。組織切開器/拡張器の非可撓性シャフトは身体組織内に経皮的に挿入される。シャフトは、身体組織を介して前進する。切開器はシャフトの遠位端から延長して身体組織内の第1の開口またはポケットを作成し、および拡張器はシャフトの遠位端から延長される。拡張器は第1の開口またはポケットを拡張するために第1の開口またはポケット内に延長される。方法のある実施形態において、組織切開器/拡張器は恥骨上切開を介して経皮的に挿入される。
【0031】
別の実施形態において、身体組織は尿道および膣壁上方の間の組織であり、第1の開口またはポケットは尿道の長手方向軸に対して垂直であり、尿道のある側面から別の側面まで延長する。
【0032】
別の実施形態において、方法は身体組織内に第2の組織切開器/拡張器の非可撓性シャフトを経皮的に挿入すること、身体組織を介して第2の組織切開器/拡張器の非可撓性シャフトを前進すること、組織内の第2の開口またはポケットを作成する第2の組織切開器/拡張器のシャフトの遠位端から切開器を延長し、第2の組織切開器/拡張器のシャフトの遠位端から拡張器を延長すること、かつ第2の開口またはポケット内に上記拡張器を延長すること、それにより、第2の開口またはポケットを拡張すること、第1および第2の開口またはポケットから身体組織内で連続的な開口またはポケットを形成することを包含する。さらなる実施形態において、第2の組織切開器/拡張器は恥骨上切開を介して経皮的に挿入される。
【0033】
方法の別の実施形態において、身体組織は尿道および膣壁上方の間の組織であり、連続的開口またはポケットは尿道の長手方向軸に対して垂直であり、尿道のある側面から別の側面まで延長する。
【0034】
本発明の別の局面では、身体組織内でポケット内のスリングを挿入するためのスリング適用デバイスである。スプリング適用デバイスは第1および第2のシャフトを有する。第1および第2のシャフトはそれを通って延長される管腔を有する。管腔はその中でスリングを受け取るように適合される寸法を有する。スリング適用デバイスはまた上記第1および第2のシャフトの間の距離を増加するように調節ためのアジャスターを備える。ある実地形態において、第1および第2のシャフトの管腔はその中で解放自在に係合されたスリングを有するスリング導入器を受け取るように適合された寸法を有する。別の実施形態において、スリング適用デバイスは第1のシャフトに付着する第1のハンドルおよび第2のシャフトに付着する第2のハンドルをさらに備える。
【0035】
この実施形態において、第1および第2のハンドルはその中に開口を有し、開口はシャフト上の管腔と流体連絡し、ハンドルはシャフトに対して付着され、第1および第2のハンドルはお互いに接続されるように適合される。別の実施形態において、アジャスターは第1および第2のハンドルを係合する。
【0036】
スリング適合デバイスのある実施態様において、第1および第2のシャフトは曲がっている。別の実施態様において、第1および第2のシャフトは遠位端で小さな半径で90度の曲線を有する。その結果、第1および第2のシャフトは尿道安定化処置手順での使用に適合される。別の実施形態において、第1および第2のシャフトは側面に屈曲を有する。
【0037】
さらに別の実施形態において、第1および第2のシャフトの遠位端での曲率半径は第1および第2のシャフトのシャフトの軸部分に平面でない。更に別の実施形態において、第1および第2のシャフトの遠位端の上側エッジは下側エッジに対して湾入される(indented)。別の実施形態において、第1および第2のハンドルはインターロックに適合される。
【0038】
更なる実施形態において、アジャスターは連接ロックを備える。更に別の実施形態において、第1および第2のシャフトは円柱状である。ある実施態様において、第1および第2のシャフトは平面管を備える。別の実施態様において、第1および第2のシャフトの曲がり部分の近位は円柱状で曲がり部分の遠位は平面管である。別の実施形態において、第1および第2のシャフトの近位部分は第1および第2のシャフトの遠位部分に対して約90度の角度で配向される。
【0039】
別の実施形態において、スリング適用デバイスは接触する組織または骨を磨損またはしわにすることなく身体組織を切開する鈍い切開器を備える。この実施形態において、鈍い切開器はスリング適用デバイスの第1および第2のシャフトに挿入するために適用される切開シャフトを備える。切開シャフトは一般に遠位端に堅い先端を有する。鈍い切開器はスリング適用デバイスの第1および第2のシャフトに挿入されるとき、堅い先端はスリング適用デバイスの第1および第2のシャフト遠位端から突出する。さらなる別の実施態様において、鈍い切開器は栓塞子を備える。
【0040】
本発明の別の局面は縫合糸を使用することなく身体組織に開口またはポケットの内に、付着するスリングを導入するように適合されたスリング導入器である。
【0041】
スリング導入器は、それらに解放自在に係合されるスリングを有するスリング係合器を備える。スリング係合器はスリング適用デバイスの第1および第2のシャフトを介して前進のために適合される。スリング導入器の長さは少なくとも、スリング適用デバイスの第1および第2のシャフトの長さの合計に等しい。ある実施形態において、スリング係合器は該スリングを解放自在に係合するために袋を含む。
【0042】
別の実施態様において、袋は溶液が上記スリングにアクセスを可能にするための細孔を有する。別の実施態様において、袋の遠位端は狭いリードを有する。別の実施形態において、袋は補強されている。
【0043】
本発明の別の局面は組織内に空洞を形成する組織カッターである。組織カッターはスリング適用デバイスのシャフト内にフィットするように適合される伸長したハウジングおよびハウジング内の後退可能なブレードを備える。ブレードは組織内の空洞を形成するために適合される。ある実施形態において、ブレードはかみそりを備える。別の実施態様において、かみそりを有して形成された空洞がその中のスリングの挿入に適合するような寸法を有するような大きさとされる。
【0044】
本発明の別の局面は、スリング適用システムである。スリング適用システムは、第1のシャフトと第2のシャフトとを備えるスリング適用デバイスを含んでいる。スリング適用デバイスの第1のシャフトと第2のシャフトは、それらを通って延びる管腔を有している。管腔は、その中にスリング導入管を受け取るように適合する寸法を有している。スリング適用デバイスもまた、第1と第2のシャフト間の距離を増加するように調節するアジャスターを備えている。
【0045】
スリング適用システムもまた、組織もしくは接触するようになる骨を、摩損もしくはしわを生じることなく身体組織を切開する鈍切開器を備えている。鈍切開器は、スリング適用デバイスの第1と第2のシャフトへ導入するように適合する切開器シャフトを備えている。切開器シャフトは一般にその遠位端において硬い先端を持っており、一般的な硬い先端は、鈍切開器が第1と第2のシャフトへ導入されるとき、スリング適用デバイスの第1と第2のシャフトの遠位端から突出する。スリング適用システムもまた、そこに付着したスリングを、縫合していない身体組織の開口もしくはポケットへ導入するスリング導入器を備えている。スリング導入器は、さらに解放自在に係合するスリングを含むスリング係合器を備えている。スリング係合器は、スリング適用デバイスの第1と第2のシャフトの管腔を介して前位縫合に適合され、スリング導入器はスリング適用デバイスの第1と第2のシャフト間に達する十分な長さを有している。一つの実施形態において、スリング適用システムは、身体組織内にキャビティを形成する組織カッターを更に含む。組織カッターは、スリング適用デバイスの第2のシャフト内にフィットするように適合された細長いハウジング、およびハウジング内で伸張可能かつ後退可能なブレードを備える。ブレードは、身体組織内でキャビティを形成するように適合されている。
【0046】
更なる本発明の別の局面は、スリングを身体組織内に導入する方法である。第1の鈍切開器を、スリング適用デバイスの第1のシャフト内に導入する。第1の鈍切開器を有する第1のシャフトを、経皮的に挿入し、身体組織を通して進める。第2の鈍切開器を、スリング適用デバイスの第2のシャフト内に導入する。第2の鈍切開器を有する第2のシャフトを、経皮的に挿入し、身体組織を通して進める。第1および第2のシャフトの遠位端の間の距離は、短縮される。そこに解放自在に係合したスリングを有するスリング導入器は、スリング適用デバイスの第1および第2のシャフト間で進められる。スリングは、スリング導入器から解放される。第1および第2のシャフトは、身体組織から取り外され、それにより、スイングは身体組織に導入される。
【0047】
一つの実施形態において、方法は、第1の切開部および第2の切開部を作製する工程を更に含み、スリング適用デバイスの第1のシャフトは、それを、身体組織を通して進める前に、第1の切開部に挿入され、そしてスリング適用デバイスの第2のシャフトは、それを身体組織を通して進める前に、第2の切開部に挿入される。
【0048】
別の実施形態において、スリングは、尿道と膣壁の間の組織中に予め形成されたポケット内に導入される。更なる実施形態において、第1の切開部および第2の切開部は、恥骨上切開部である。更に別の実施形態は、組織カッターを前記スリング適用デバイスの第1のシャフト内に挿入する工程、ならびに組織カッターを第1のシャフトおよび第2のシャフトの遠位端の間の身体組織内に延ばし、それにより身体組織を切開する工程を更に含む方法である。
【0049】
本発明の別の局面は、バルーンカテーテルを通って延びる管腔を有する外部管、および尿道と上部膣壁の間の組織中の開口またはポケットを拡張するのに適合される少なくとも一つの膨張可能なバルーンを備えるバルーンカテーテルである。膨張可能なバルーンは外部管の管腔中に近位端および遠位端を有する。膨張可能なバルーンは、その近位端に膨張管もまた有する。膨張管は、バルーンの内部と流体連絡している。
【0050】
一つの実施形態において、膨張可能なバルーンは、その遠位端に切開鈍先端を有し、切開鈍先端は、固体身体組織中に開口またはポケットを形成するのに十分な剛性を有している。一つの実施形態において、バルーンカテーテルは、膨張管との流体連絡において、複数の膨張可能バルーンを含んでいる。別の実施形態において、バルーンカテーテルは、大穴径ニードルの管腔にフィットするように適合されている。更に別の実施形態において、膨張可能バルーンは、平坦な輪郭を有している。
【0051】
別の実施形態において、バルーンは内部非膨張リブをさらに含んでいる。更に別の実施形態において、カテーテルは、バルーンの内部に伸長している。さらに別の実施形態において、バルーンは、カテーテルの外部表面上に位置している。
【0052】
本発明の別の局面は、取り付けられた縫合糸を有するスリングを、身体組織の開口またはポケットへ導入するための脱着可能部材スリング適用デバイスである。脱着可能部材スリング適用デバイスは、ハウジングに接続された導入シャフトとともにあるハウジングを有する。導入シャフトは、取り付けられた縫合糸を有するスリングを受け入れるように適合させた管腔を有する。脱着可能部材スリング適用デバイスは、導入シャフトの遠位端上の脱着可能部材もまた有する。脱着可能部材は、スリングに取り付けられた少なくとも1つの縫合糸に接続されている。
【0053】
一つの実施形態において、脱着可能部材スリング適用デバイスは、軸方向に可動なニードルを更に有する。この実施例において、ニードルは、ニードルシャフトおよび鋭利な箇所を有する。ニードルは、導入シャフトの管腔の内側に位置し、そしてそこから伸張可能である。
【0054】
本発明の別の局面は、身体組織において、スリングを開口またはポケットへ導入するための回収デバイスであって、回収デバイスは遠位端に係合部材を有するシャフトを有する。係合部材は、スリングに取り付けられた縫合糸に接続した脱着可能部材を係合するように適合される。
【0055】
本発明の別の局面は、膀胱頸を安定化させる方法である。ポケットまたは開口は、尿道および上部膣壁の間の組織において形成される。スリング適用デバイスは、ポケットまたは開口に挿入される。
【0056】
スリングは、ポケットまたは開口にスリング適用デバイスで導入される。スリングは、膀胱頸を安定化させるために、組織または骨に固定される。一つの実施形態における方法は、脱着可能部材スリング適用デバイスを提供する工程を含む。脱着可能部材スリング適用デバイスは、ハウジング、ハウジングに接続した導入シャフトを有する。導入シャフトは、そこに延びる管腔を有し、そこに付着される縫合糸を有するスリングを受容するために適用される。脱着可能部材スリング適用デバイスはまた、導入シャフトの遠位端上の脱着可能部材を有する。脱着可能部材は、スリングに取り付けられた少なくとも1つの縫合糸に接続されている。この実施形態では、スリング適用デバイスをポケットまたは開口に挿入する工程は、脱着可能部材スリング適用デバイスをポケットまたは開口に挿入する工程を含んでいる。
【0057】
この実施形態において別の工程は、脱着可能部材スリング適用デバイスのシャフトの遠位端から脱着可能部材を取り外す工程を含んでいる。脱着可能部材はスリングに接続されている。この実施形態において別の工程は、回収デバイスのシャフトを、開口またはポケットに導入する工程を含んでいる。
【0058】
この実施形態において更なる別の工程は、脱着可能部材を、回収デバイスのシャフト上の係合部材と係合させる工程を含んでいる。この実施形態において更なる別の工程は、開口またはポケットから、回収デバイスのシャフトを引き上げ、それによって脱着可能部材スリング適用デバイスのスリングを、開口またはポケットに導入する工程を含んでいる。
【0059】
別の実施形態において、本方法は、脱着可能部材スリング適用デバイスのシャフトの遠位端から、身体組織へ軸方向に可動なニードルを延長する工程、および開口またはポケット内部の脱着可能部材を動かすためのニードルを留める(toggle)工程を更に含んでいる。
【0060】
更に別の実施形態においては、開口またはポケットが、尿道および上部膣壁の間の隙間に位置する。別の実施形態においては、本方法は、遠位端に切開鈍尖端がある少なくとも1つの膨張可能バルーンを有するバルーンカテーテルを用いて、隙間にある開口またはポケットを膨張させる工程を更に含む。本実施形態において、切開鈍尖端は、組織を接触させる場合の身体組織に、開口を形成するのを可能にするのに十分な剛性を有する。
【0061】
本発明の別の局面は、体組織内の開口またはポケットを膨張させるためのデバイスである。デバイスは、管を通って延長する管腔を有する管、身体組織およびその膨張体内の開口またはポケットへ挿入するための管に取り付けられた軸方向に可動な膨張可能で、および折り畳み式膨張バスケット、およびバスケットの膨張および折りたたみのための膨張可能、および折り畳み式バスケットと連絡する膨張および折りたたみコントロールを有する。別の実施形態において、バスケットは、複数のワイヤを有する。別の実施形態において、膨張および折りたたみコントロールが引っ張りワイヤを有する。
【0062】
本発明の別の局面は、膨張デバイスの管腔中に挿入するために適合された把持デバイスであって、膨張デバイスは、身体組織内の開口またはポケットを膨張させるための膨張バスケットを有している。把持デバイスは、縫合糸、または膨張デバイスの膨張バスケットの中へ進行したガイド部材を保持するための遠位端上の把持部材を有するカテーテルを有している。
【0063】
一つの実施形態においては、把持デバイスは自己膨張バスケットを有している。別の実施形態において、自己膨張バスケットは、膨張デバイスの膨張バスケットが膨張した配置にある場合、膨張デバイスの膨張バスケットの内側にフィットするように適合されている。
【0064】
本発明の別の局面は、組織の水切開(hydrodissecting)を含む尿道および上部膣壁の間の組織にポケットを形成する方法である。
【0065】
本発明の別の局面は、開口の身体組織のポケットを保持するための方法である。管腔は、身体組織に形成される。身体組織にポケットを形成するために、身体組織の管腔は膨張される。膨張デバイスはポケットに挿入され、およびポケットの膨張デバイス上の膨張バスケットを膨張させ、それによってポケットを開口位置に保持する。
【0066】
一つの実施形態において、身体組織は、尿道および上部膣壁の間の隙間を有する。別の実施形態において、管腔はバルーンカテーテルで膨張される。別の実施形態において、本方法は、縫合糸またはガイド部材を、恥骨上切開を通して、ポケットに挿入する工程、遠位端に把持部材を有するカテーテルを含む把持デバイスを、包膨張デバイスの管腔に挿入する工程、縫合糸またはガイド部材を、把持デバイスで把持する工程、および縫合糸またはガイド部材を、所望の位置まで引き上げる工程を更に含んでいる。一つの実施形態において、縫合糸またはガイド部材は、直視下で保持される。
【0067】
更に本発明の他の局面は、スリングを身体組織の開口の中に導入する方法であって、上述されたように拡張バスケットを用いて身体組織のポケットを処理する工程あるいは開口にポケットを保持する工程を備え、上述されたように、膨張された開口内に縫合糸またはガイドワイヤを保持する工程、および縫合糸またはガイドワイヤを所望の場所に通す工程を含む。患者の身体から延びるように2つの縫合糸が尿道のそれぞれの側で実施される。2つの縫合糸は互いに結ばれ、開口へスリングを導くため使用される。1つの実施形態において、身体組織は、尿道と上部膣壁の間に隙間を包有する。
【0068】
更に本発明の他の局面は、スリングを身体組織の開口の中に導入する方法であって、上述されたように拡張バスケットを用いて身体組織のポケットを処理する工程あるいは開口にポケットを保持する工程を備え、上述されたように、膨張された開口内に縫合糸またはガイドワイヤを保持する工程、および縫合糸またはガイドワイヤを所望の場所に通す工程を含む。患者の身体から延びるように2つの縫合糸が尿道のそれぞれの側で実施される。スリングは身体組織の外側で2つの縫合糸に取り付けられ、身体組織の開口の中に導入される。一つの実施形態において、身体組織は、尿道と上部膣壁の間に隙間を包有する。
【0069】
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
【0070】
項目(1)ガイド部材を身体組織に挿入するためのガイド部材配置部材であって、以下、近位端、遠位端および通じて延びる管腔を有するシャフトであって、該管腔はガイド部材を受けるよう適合されているシャフトと、係合部材であって別のガイド部材配置デバイスと係合するためのシャフトの遠位端である係合部材、を含むガイド部材配置デバイス。
【0071】
項目(2)前記シャフトの遠位端における切開鈍先端と通じて延びる管腔を有するハンドルを更に含み、該シャフトの前記近位端が前記ハンドルに装着され、その結果該シャフトの前記管腔と該ハンドルの該管腔が整列する、項目(1)に記載のガイド部材配置デバイス。
【0072】
項目(3)前記切開鈍先端が前記シャフトの中で鈍切開器上にあり、かつ該シャフトから伸張可能および該シャフトの中で後退可能な項目(2)に記載のガイド部材配置デバイス。
【0073】
項目(4)前記ガイド部材配置デバイスが尿道床再構築処置において使用するために適合する、項目(3)に記載のガイド部材配置デバイス。
【0074】
項目(5)前記ガイド部材配置デバイスが膀胱頸部安定化処置において使用するために適合する、項目(4)に記載のガイド部材配置デバイス。
【0075】
項目(6)前記係合部材が雄コネクタを備える項目(5)に記載のガイド部材配置デバイス。
【0076】
項目(7)前記係合部材が雌コネクタを備える項目(5)に記載のガイド部材配置デバイス。
【0077】
項目(8)前記シャフトが直線近位セクション、曲げ介在セクションおよび近位セクションに相対して約90°の角度で配向する遠位端を有する、項目(4)に記載のガイド部材配置デバイス。
【0078】
項目(9)前記シャフトの前記管腔に除去可能に配置されるガイド部材を更に備える、項目(4)に記載のガイド部材配置デバイス。
【0079】
項目(10)前記ガイド部材がガイドワイヤを備える項目(4)に記載のガイド部材配置デバイス。
【0080】
項目(11)前記ガイド部材が縫合糸を備える項目(4)に記載のガイド部材配置デバイス。
【0081】
項目(12)身体組織にガイド部材を挿入する方法であって以下、第1ガイド部材配置デバイスのシャフトを経皮的に挿入する工程、該第1ガイド部材配置デバイスの該シャフトを該身体組織を通して該ガイド部材が通過する中央ポイントへ進める工程、第2ガイド部材配置デバイスのシャフトを経皮的に挿入する工程、該第2ガイド部材配置デバイスの該シャフトを該身体組織を通して該ガイド部材が通過する該中央ポイントへ進める工程、該第1ガイド部材配置デバイスの該シャフトの遠位端上の係合部材を、該第2ガイド部材配置デバイスの該シャフトの遠位端上の係合部材に結合し、その結果、該第1ガイド部材配置デバイスの該シャフト内の管腔が該第2ガイド部材配置デバイスの該シャフト内の管腔と流体連絡する工程、該第1ガイド部材配置デバイスおよび該第2ガイド部材配置デバイスの該結合したシャフトの該管腔を通じてガイド部材を通す工程および、該第1ガイド部材配置デバイスの該シャフトと、該第2ガイド部材配置デバイスの該シャフトとを身体から除去し、それにより前記身体組織内に該ガイド部材を残す工程を包含する方法。
【0082】
項目(13)前記第1および第2シャフトは第1及び第2恥骨上切開部を通じて経皮的に挿入される項目(12)に記載の方法。
【0083】
項目(14)前記第一および第二ガイド部材配置デバイスのシャフトが事前形成された身体組織の開口またはポケットに挿入される、項目(13)に記載の方法。
【0084】
項目(15)少なくとも1つの前記ガイド部材配置デバイスから切開鈍先端を伸張および後退させることにより前記身体組織の中に開口を作成する工程をさらに包含する、項目(13)に記載の方法。
【0085】
項目(16)前記事前形成された開口またはポケットは尿道および上部膣壁の間の組織であり、その結果、前記ガイド部材が該事前形成された開口またはポケットの中に残される、項目(14)に記載の方法。
【0086】
項目(17)スリングを中に有するカテーテルであって、該スリングは該カテーテルに解放自在に係合するカテーテルを備えるスリング適用カテーテル。
【0087】
項目(18)前記カテーテルが前記スリングに解放自在に中で係合する袋を有する、項目(17)に記載のスリング適用カテーテル。
【0088】
項目(19)前記カテーテルがガイド部材に沿って移動する、項目(18)に記載のスリング適用カテーテル。
【0089】
項目(20)前記カテーテルの前記遠位端がテーパ状の、項目(19)に記載のスリング適用カテーテル。
【0090】
項目(21)前記袋の前記遠位端がテーパ状の項目(20)に記載のスリング適用カテーテル。
【0091】
項目(22)前記袋が多孔性の項目(18)に記載のスリング適用カテーテル。
【0092】
項目(23)前記袋がその剛性を増すための補剛材を更に備える、項目(22)に記載のスリング適用カテーテル。
【0093】
項目(24)前記補剛材が前記袋の内部にある、項目(23)に記載のスリング適用カテーテル。
【0094】
項目(25)前記補剛材が前記袋の外部上にある項目(23)に記載のスリング適用カテーテル。
【0095】
項目(26)前記補剛材が多孔性である、項目(23)に記載のスリング適用カテーテル。
【0096】
項目(27)スリングを身体組織に導入する方法であって、以下、該身体組織を通ってスリング適用カテーテルを通過させる工程であって、該スリング適用カテーテルが該カテーテルに解放自在に係合するスリングを中に有するカテーテルを備える工程;そして、該スリングを該スリング適用カテーテルから解放し、それにより該スリングを該身体組織に導入する工程を包含する方法。
【0097】
項目(28)第1の切開部および第2の切開部を作成する工程であって、前記身体組織を通じて前記スリング適用カテーテルを通す工程が、該スリング適用カテーテルを該第1切開部に入れて通過させおよび第2切開部から出して通過させる工程をさらに包含する、項目(27)に記載の方法。
【0098】
項目(29)前記スリング適用カテーテルの中の袋から前記スリングを引き出すことによって、該スリングが該スリング適用カテーテルから解放される項目(28)に記載の方法。
【0099】
項目(30)前記スリング適用カテーテルが、ガイド部材の上で前記身体組織を通って通過する項目(29)に記載の方法。
【0100】
項目(31)前記スリングが尿道および上部膣壁の間の組織に導入される項目(30)に記載の方法。
【0101】
項目(32)前記第1切開部および前記第2切開部が恥骨上切開部である項目(31)に記載の方法。
【0102】
項目(33)前記第2恥骨上切開部から前記スリング適用カテーテルの遠位端を引き出す一方で、前記スリングの端部を把持することにより、前記袋から該スリングを引き出す工程をさらに包含する項目(32)に記載の方法。
【0103】
項目(34)前記スリングを前記袋から引き出す工程が滅菌スリングを引き出す工程を更に包含する項目(33)に記載の方法。
【0104】
項目(35)身体組織の中の開口またはポケットを作成しおよび拡張するための組織切開器/拡張器であって以下、本体、該本体に取付けられる非可撓性シャフト、該身体組織の中の開口またはポケットを作成するための前記シャフト上に搭載される切開器、および該身体組織の中の該開口またはポケットを拡張するための該シャフト上に搭載される拡張器、を備える、組織切開器/拡張器。
【0105】
項目(36)前記シャフトがそこから延びる管腔を有し前記切開器が該シャフトの中の前記管腔の内部にあり軸方向に可動であり、その結果該切開器が該シャフトから伸張可能であり該シャフトに後退可能である、項目(35)に記載の組織切開器/拡張器。
【0106】
項目(37)前記シャフトは通じて延びる管腔を有し前記拡張器は該シャフトの中の該管腔内にありかつ軸方向に移動可能であり、その結果、該拡張器は該シャフトから伸張可能でありかつ該シャフトに後退可能である、項目(35)に記載の組織切開器/拡張器。
【0107】
項目(38)前記シャフトは通じて延びる管腔を有し、かつ前記切開器および前記拡張器の両方は該シャフトの該管腔内にあり、かつ軸方向に移動可能であり、その結果該切開器および該拡張器は該シャフトから伸張可能でありかつ該シャフトに後退可能である、項目(35)に記載の組織切開器/拡張器。
【0108】
項目(39)前記軸方向に移動可能な切開器および前記軸方向に移動可能な膨張可能な拡張器は内蔵型である項目(38)に記載の組織切開器/拡張器。
【0109】
項目(40)前記組織切開器/拡張器は膀胱頸安定化処置での使用に適合する、項目(39)に記載の組織切開器/拡張器。
【0110】
項目(41)前記組織切開器/拡張器の前記本体が更に以下、前記切開器が前記シャフトから伸張する第1位置、該切開器および前記拡張器の両方が該シャフトから伸張する第2位置、および該切開器および該拡張器が該シャフトの内部に後退する第3位置の間にある、前記軸方向に移動可能な内蔵型切開器および膨張可能拡張器を伸張および拡張するための第1制御部材、前記身体組織の中の開口またはポケット中で該拡張器を膨張させるための第2制御部材であって、それにより該開口またはポケットを拡張しかつ、該開口またはポケットの拡張に続いて該拡張器を折り畳むための第2制御部材を備える、項目(40)に記載の身体切開器/拡張器。
【0111】
項目(42)前記軸方向に移動可能な内蔵型切開器および膨張可能拡張器を伸張および後退させるための前記第1制御部材は、前記軸方向に移動可能な内蔵型切開器および膨張可能拡張器に係合するスプリングリターンボタンを備え、該スプリングリターンボタンは前記軸方向に移動可能な内蔵型切開器および膨張可能拡張器に係合し前記軸方向に移動可能な内蔵型切開器及び膨張可能な拡張器を伸張または後退させるようにする、項目(41)に記載の組織切開器/拡張器。
【0112】
項目(43)前記スプリングリターンボタンが充分伸張した位置で前記軸方向に移動可能な内蔵型切開器および膨張可能な拡張器をロックさせるために位置し得る、項目(43)に記載の組織切開器/拡張器。
【0113】
項目(44)前記スプリングリターンボタンが軸方向に前記移動可能な内蔵型切開器および膨張可能拡張器に1対1ストローク運動を提供する、項目(43)に記載の組織切開器/拡張器。
【0114】
項目(45)前記軸方向に移動可能な内蔵型切開器および膨張可能拡張器がカテーテルであって以下、通じて伸張する管腔を有する外管および、前記膨張可能バルーンはその近位端で膨張管を有しその遠位端で鈍切開器を有し、該膨張管は該バルーンの内部と流体連絡している、該外管の該管腔の中の少なくとも1つの膨張可能バルーン、を備える、項目(41)に記載の組織切開器/拡張器。
【0115】
項目(46)前記拡張器を膨張させるための前記第2制御部材は以下、前記本体上のトリガー、プランジャ、リザーバおよび先端を備える前記本体の中のシリンジおよび シリンジロック機構であって、該シリンジの前記先端が該シリンジロック機構にしっかりと係合して前記バルーンカテーテルと流体連絡する該シリンジの該リザーバを配置し、かつ該トリガは該シリンジの該プランジャに係合して、その結果、該トリガーを握ることにより該シリンジの該プランジャを押し、それにより前記シリンジから流体を分配し前記カテーテルの前記バルーンを膨張させる、シリンジロック機構を備える、項目(45)に記載の組織切開器/拡張器。
【0116】
項目(47)前記カテーテルはガイド部材の通過のために適合した第2管腔を更に備える、項目(46)に記載の組織切開器/拡張器。
【0117】
項目(48)前記カテーテルが更に第3管腔を備える項目(47)に記載の組織切開器/拡張器。
【0118】
項目(49)前記第3管腔が超音波カテーテルを受けるために適合する、項目(48)に記載の組織切開器/拡張器。
【0119】
項目(50)前記第3管腔はインプラントを受けるために適合した、項目(48)に記載の組織切開器/拡張器。
【0120】
項目(51)前記第3管腔が潅注するために適合した項目(48)に記載の組織切開器/拡張器。
【0121】
項目(52)身体組織中に開口またはポケットを作成しそして拡張するための組織切開器/拡張器であって:本体;該本体に取り付けられた、非可撓性シャフト;身体組織中に開口またはポケットを切開するために、該シャフトに取り付けられた(carried on)切開手段;および該開口またはポケットを拡張するために、該シャフトに搭載された拡張手段、を備える、組織切開器/拡張器。
【0122】
項目(53)身体組織中に開口またはポケットを作成しそして拡張する方法であって:組織切開器/拡張器の非可撓性シャフトを、該身体組織中に経皮的に挿入する工程;該シャフトを、該身体組織を通して進める工程;該シャフトの遠位端から切開器を伸長させて、該身体組織中に第1の開口またはポケットを作成する工程;および該シャフトの該遠位端から拡張器を伸長させ、そして該拡張器を該第1の開口またはポケット内で膨張させて、該第1の開口またはポケットを拡張する工程、を包含する方法。
【0123】
項目(54)項目(53)に記載の方法であって、前記組織切開器/拡張器が、恥骨上切開部を通して経皮的に挿入される、方法。
【0124】
項目(55)項目(54)に記載の方法であって、前記身体組織が、尿道と上部膣壁との間の組織であり、そして、前記第1の開口またはポケットが、尿道の長手方向軸に対して垂直であり、かつ該尿道の片側から他方に延びている方法。
【0125】
項目(56)項目(53)に記載の方法であって:第2の組織切開器/拡張器の非可撓性シャフトを、前記身体組織に経皮的に挿入する工程;該第2の組織切開器/拡張器の非可撓性シャフトを、該身体組織を通して進める工程;切開器を、該第2の組織切開器/拡張器の該シャフトの遠位端から延長させて、該組織中に第2の開口またはポケットを作成する、工程;および拡張器を、該第2の組織切開器/拡張器の該シャフトの遠位端から延長させて、そして該拡張器を該第2の開口またはポケット内で膨張させて、それにより該第2の開口またはポケットを拡張させ、そして該身体組織中に、前記第1および第2の開口またはポケットから連続する開口またはポケットを形成する工程、をさらに包含する方法。
【0126】
項目(57)項目(56)に記載の方法であって、前記第2の組織切開器/拡張器が、恥骨上切開部を介して経皮的に挿入される方法。
【0127】
項目(58)項目(57)に記載の方法であって、前記身体組織が、尿道と上部膣壁との間の組織であり、そして、前記連続する開口またはポケットが、尿道の長手方向軸に対して垂直であり、かつ該尿道の片側から他方に延びている方法。
【0128】
項目(59)身体組織中のポケットにスリングを挿入するためのスリング適用デバイスであって:第1のシャフトおよび第2のシャフトであって、該第1のシャフトおよび第2のシャフトは、それを通って延びる管腔を有し、該管腔は、その中にスリングを受容するように適合された寸法を有する、第1のシャフトおよび第2のシャフト;および該第1のシャフトと該第2のシャフトとの間の距離を漸増するように調節するための、アジャスター、を備えるデバイス。
【0129】
項目(60)項目(59)に記載のスリング適用デバイスであって、前記第1のシャフトおよび第2のシャフトの前記管腔が、そこに解放自在に係合されたスリングを有するスリング導入器を受容するように適合された寸法を有するデバイス。
【0130】
項目(61)項目(60)に記載のスリング適用デバイスであって、前記第1のシャフトに取り付けられた第1のハンドルおよび前記第2のシャフトに取り付けられた第2のハンドルをさらに備え、該第1および第2のハンドルは開口をそこに有し、ここで、該第1および第2のハンドル中の該開口は、該ハンドルが取り付けられた該シャフト中の該管腔と流体連絡しており、そして該第1および第2のハンドルは、互いに接続されるように適合されるデバイス。
【0131】
項目(62)項目(61)に記載のスリング適用デバイスであって、前記アジャスターが、前記第1および第2のハンドルに係合するデバイス。
【0132】
項目(63)項目(62)に記載のスリング適用デバイスであって、前記第1および第2のシャフトが湾曲しているデバイス。
【0133】
項目(64)項目(63)に記載のスリング適用デバイスであって、前記第1および第2のシャフトがそれらの遠位端に小半径(small radius)の90°の湾曲を有し、その結果、該第1および第2のシャフトが、尿道安定化処置手順における使用に適合されるデバイス。
【0134】
項目(65)項目(64)に記載のスリング適用デバイスであって、前記第1および第2のシャフトが、側方ベンド(side bend)を有するデバイス。
【0135】
項目(66)項目(64)に記載のスリング適用デバイスであって、前記第1および第2のシャフトの遠位端における曲率半径が、該第1および第2のシャフトのシャフトの軸部分と平面ではないデバイス。
【0136】
項目(67)項目(59)に記載のスリング適用デバイスであって、前記第1および第2のシャフトの遠位端の上部エッジが、下部エッジに対して引っ込んでいるデバイス。
【0137】
項目(68)項目(61)に記載のスリング適用デバイスであって、前記第1および第2のハンドルが、インターロックのために適合されるデバイス。
【0138】
項目(69)項目(59)に記載のスリング適用デバイスであって、前記アジャスターが、連接ロックを備えるデバイス。
【0139】
項目(70)項目(59)に記載のスリング適用デバイスであって、前記第1のシャフトおよび前記第2のシャフトが円柱状であるデバイス。
【0140】
項目(71)項目(59)に記載のスリング適用デバイスであって、前記第1のシャフトおよび前記第2のシャフトが平坦管を備えるデバイス。
【0141】
項目(72)項目(59)に記載のスリング適用デバイスであって、前記ベンドに近接している前記第1のシャフトおよび前記第2のシャフトの部分が円柱状であり、そして該ベンドから遠位にある部分が平坦管であるデバイス。
【0142】
項目(73)項目(59)に記載のスリング適用デバイスであって、前記ベンドに近接している前記第1および第2のシャフトの近位の部分が、該第1および該第2のシャフトの遠位部分に対して約90°の角で配向しているデバイス。
【0143】
項目(74)項目(59)に記載のスリング適用デバイスであって、接触する組織または骨を摩損または皺をつける(creasing)ことなく前記身体組織を切開するための鈍切開器(blunt dissector)をさらに備え、該鈍切開器は、該スリング適用デバイスの前記第1および第2のシャフトに挿入するために適合された切開シャフトを備え、該切開シャフトは、その遠位端に通常剛性である先端を有し、ここで、該通常剛性である剛性の先端は、該鈍切開器が該スリング適用デバイスの該第1および第2のシャフト内に挿入されるとき、該スリング適用デバイスの該第1および第2のシャフトの遠位端から突出するデバイス。
【0144】
項目(75)項目(74)に記載のスリング適用デバイスであって、前記鈍切開器が栓塞子を備えるデバイス。
【0145】
項目(76)そこに取り付けられたスリングを、縫合糸を用いることなく身体組織中の開口またはポケットに導入するために適合されたスリング導入器であって、該スリング導入器は、そこに解放自在に係合した該スリングを有するスリング係合器(engager)を備え、該スリング係合器は、スリング適用デバイスの第1のシャフトおよび第2のシャフトを通して進めるために適合されており、ここで、該スリング導入器の長さは、少なくとも、該スリング適用デバイスの該第1のシャフトおよび第2のシャフトの長さの合計に等しいスリング導入器。
【0146】
項目(77)項目(76)に記載のスリング導入器であって、前記スリング係合器が、前記スリングを解放自在に係合するための袋を備えるスリング導入器。
【0147】
項目(78)項目(77)に記載のスリング導入器であって、前記袋が、溶液を前記スリングにアクセスさせるための孔(pores)をその中に有するスリング導入器。
【0148】
項目(79)項目(77)に記載のスリング導入器であって、前記袋の遠位端が、狭いリード(lead)を有するスリング導入器。
【0149】
項目(80)項目(77)に記載のスリング導入器であって、前記袋が補強されているスリング導入器。
【0150】
項目(81)組織中にキャビティを形成するための組織カッターであって:スリング適用デバイスのシャフト内にフィットするように適合された、細長いハウジング;および該ハウジング内で伸張可能かつ後退可能なブレードであって、該組織中に該キャビティを形成するために適合された、ブレード、を備える組織カッター。
【0151】
項目(82)項目(81)に記載の組織カッターであって、前記ブレードがレザーを備える、組織カッター。
【0152】
項目(83)項目(82)に記載の組織カッターであって、前記レザーが、該レザーを用いて形成された前記キャビティがその中にスリングを挿入するのに適合された寸法を有するような大きさである、組織カッター。
【0153】
項目(84)スリング適用システムであって:第1のシャフトおよび第2のシャフトを備えるスリング適用デバイスであって、該第1および該第2のシャフトは、それらを通って延びる管腔を有し、該管腔は、その中にスリング導入器を受容するのに適合された寸法を有し、該スリング適用デバイスは、該第1および第2のシャフトの間の距離を漸増するように調節するためのアジャスターもまた備える、スリング適用デバイス;接触する組織または骨を摩損するまたは皺をつけることなく、身体組織を切開するための鈍切開器であって、該鈍切開器は、該スリング適用デバイスの該第1および第2のシャフト内に挿入するのに適合された切開シャフトを備え、該切開シャフトは、その遠位端に、通常剛性の先端を有し、ここで、該通常剛性の先端は、該鈍切開器が該スリング適用デバイスの該第1および第2のシャフト内に挿入されるとき、該スリング適用デバイスの該第1および第2のシャフトの遠位端から突出する、鈍切開器;および そこに取り付けられたスリングを、縫合糸を用いることなく身体組織中の開口またはポケットに導入するために適合されたスリング導入器であって、該スリング導入器は、そこに解放自在に係合した該スリングを有するスリング係合器を備え、該スリング係合器は、該スリング適用デバイスの第1のシャフトおよび第2のシャフトの該管腔を通して進めるために適合されており、ここで、該スリング導入器は、該スリング適用デバイスの該第1および第2のシャフトの間に延びるのに十分な長さを有する、スリング導入器、を備える、スリング適用システム。
【0154】
項目(85)項目(84)に記載のスリング適用システムであって、前記身体組織内にキャビティを形成するための組織カッターをさらに備え、該組織カッターは:該スリング適用デバイスの前記第2のシャフト内にフィットするように適合された、細長いハウジング;および該ハウジング内で伸張可能かつ後退可能なブレードであって、該身体組織中で該キャビティを形成するように適合された、ブレード、を備える、スリング適用システム。
【0155】
項目(86)スリングを身体組織内に導入する方法であって:第1の鈍切開器を、スリング適用デバイスの第1のシャフト内に挿入する工程;その中に該第1の鈍切開器を有する該第1のシャフトを、経皮的に挿入する工程;該第1のシャフトを、該身体組織を通して進める工程;第2の鈍切開器を、該スリング適用デバイスの第2のシャフト内に挿入する工程;その中に該第2の鈍切開器を有する該第2のシャフトを、経皮的に挿入する工程;該第2のシャフトを、該身体組織を通して進める工程;該第1および第2のシャフトの遠位端の間の距離を短縮する工程;そこに解放自在に係合した該スリングを有するスリング導入器を、該スリング適用デバイスの該第1および第2のシャフト間で進める工程;該スリングを、該スリング導入器から解放する工程;および 該身体組織から該第1および第2のシャフトを取り外して、それにより該スリングを該身体組織に導入する工程、を包含する、方法。
【0156】
項目(87)項目(86)に記載の方法であって、第1の切開部および第2の切開部を作成する工程をさらに包含し、ここで、前記スリング適用デバイスの前記第1のシャフトは、それを前記身体組織を通して進める前に、該第1の切開部に挿入され、そして該スリング適用デバイスの前記第2のシャフトは、それを該身体組織を通して進める前に、該第2の切開部に挿入される、方法。
【0157】
項目(88)項目(87)に記載の方法であって、前記スリングが、前記尿道と前記膣壁の間の組織中に予め形成されたポケット内に導入される、方法。
【0158】
項目(89)項目(88)に記載の方法であって、前記第1の切開部および前記第2の切開部が、恥骨上切開部である、方法。
【0159】
項目(90)項目(86)に記載の方法であって、組織カッターを前記スリング適用デバイスの前記第1のシャフト内に挿入する工程、ならびに該組織カッターを該第1のシャフトおよび前記第2のシャフトの遠位端の間の前記身体組織内に延ばし、それにより該身体組織を切開する工程をさらに包含する、方法。
【0160】
項目(91)バルーンカテーテルであって:それを通って延びる管腔を有する、外管;および 尿道と上部膣壁の間の組織中の開口またはポケットを拡張するのに適合される、少なくとも1つの膨張可能なバルーンであって、該膨張可能なバルーンは、該外管の該管腔中に近位端および遠位端を有し、該膨張可能なバルーンは、その近位端に膨張管もまた有し、該膨張管は、該バルーンの内部と流体連絡している、バルーン、を備える、バルーンカテーテル。
【0161】
項目(92)項目(91)に記載のバルーンカテーテルであって、前記膨張可能なバルーンが、その遠位端に切開鈍先端を有し、該切開鈍先端は、中実身体組織(solid body tissue)中に開口またはポケットを形成するのに十分な剛性を有する、バルーンカテーテル。
【0162】
項目(93)前記膨張管と流体連絡している複数の膨張可能バルーンを含む項目(92)に記載のバルーンカテーテル。
【0163】
項目(94)項目(92)に記載のバルーンカテーテルであって、ここで、該バルーンカテーテルは、大穴径ニードルの管腔にフィットするように適合されるバルーンカテーテル。
【0164】
項目(95)項目(92)に記載のバルーンカテーテルであって、ここで、前記膨張可能バルーンが、平坦な輪郭を有するバルーンカテーテル。
【0165】
項目(96)項目(95)に記載のバルーンカテーテルであって、ここで、前記バルーンがさらに、内部非膨張リブを含むバルーンカテーテル。
【0166】
項目(97)項目(96)に記載のバルーンカテーテルであって、ここで、該カテーテルが、前記バルーンの内部に伸長するバルーンカテーテル。
【0167】
項目(98)項目(97)に記載のバルーンカテーテルであって、ここで、前記バルーンが、該カテーテルの外部表面上にあるバルーンカテーテル。
【0168】
項目(99)取り付けられた縫合糸を有するスリングを、身体組織の開口またはポケットへ導入するための脱着可能部材スリング適用デバイスであって、ハウジング;該ハウジングに接続した導入シャフト、であって、該導入シャフトは、それを通じて伸長する管腔を有し、該管腔は、取り付けられた縫合糸を有する該スリングを受け入れるように適合される、導入シャフト;および、該導入シャフトの遠位端上の脱着可能部材であって、該脱着可能部材は、該スリングに取り付けられた少なくとも1つの該縫合糸に接続されている、脱着可能部材を包含する、脱着可能部材スリング適用デバイス。
【0169】
項目(100)項目(99)に記載の脱着可能部材スリング適用デバイスであって、軸方向に可動なニードルをさらに備え、該ニードルはニードルシャフトおよび鋭利にした尖端を含み、該ニードルは、該導入シャフトの該管腔の内側に位置決めされ、そしてそこから伸張可能である、脱着可能部材スリング適用デバイス。
【0170】
項目(101)スリングを身体組織中の開口またはポケットへ導入するための回収デバイスであって、遠位端に係合部材を有するシャフトを包含し、ここで、該係合部材が該スリングに取り付けられた縫合糸に接続した脱着可能部材を係合するように適合された、回収デバイス。
【0171】
項目(102)膀胱頸を安定化させる方法であって、以下の工程を含む、方法:尿道および上部膣壁の間の組織において、ポケットまたは開口を形成する工程;スリング適用デバイスを、該ポケットまたは開口に挿入する工程;スリングを、該ポケットまたは開口に、該スリング適用デバイスを用いて導入する工程;および、該スリングを組織または骨に固定して、膀胱頸を安定化させる工程。
【0172】
項目(103)項目(102)に記載の方法であって、さらに以下を包含する、方法: 脱着可能部材スリング適用デバイスを提供する工程であって、ハウジング、該ハウジングに接続した導入シャフトであって、該導入シャフトは、それを通じて延長する管腔を有し、該管腔は、取り付けられた縫合糸を有する前記スリングを受け入れるように適合させられ、該脱着可能部材スリング適用デバイスは、該導入シャフトの遠位端上に脱着可能部材もまた含み、該脱着可能部材は該スリングに取り付けられた少なくとも1つの該縫合糸に接続され、ここで、スリング適用デバイスを該ポケットまたは開口に挿入する工程は、該脱着可能部材スリング適用デバイスを該ポケットまたは開口に挿入する工程を含む、工程;該脱着可能部材スリング適用デバイスの該シャフトの遠位端から脱着可能部材を脱着する工程であって、該脱着可能部材は該スリングに接続されている、工程;回収デバイスのシャフトを、該開口またはポケットに導入する工程;該脱着可能部材を、該回収デバイスの該シャフト上の係合部材と係合させる工程;および、 該開口またはポケットから、該回収デバイスの該シャフトを引き上げ、それによって該脱着可能部材スリング適用デバイスの該スリングを、該開口またはポケットに導入する工程。
【0173】
項目(104)項目(103)に記載の方法であって、さらに以下を含む、方法:前記脱着可能部材スリング適用デバイスの前記シャフトの遠位端から、身体組織へ軸方向に可動なニードルを延長する工程、および、該ニードルをトグルして、前記開口またはポケット内部の該脱着可能部材を動かす、工程。
【0174】
項目(105)項目(104)に記載の方法であって、ここで、前記開口またはポケットが、尿道および上部膣壁の間の隙間にある、方法。
【0175】
項目(106)項目(105)に記載の方法であって、遠位端に切開鈍尖端がある少なくとも1つの膨張可能バルーンを有するバルーンカテーテルを用いて、隙間にある前記開口またはポケットを膨張させる工程であって、該切開鈍尖端は、前記組織を接触させる場合に、前記身体組織に前記開口を形成するのを可能にするのに十分な剛性を有する、工程、をさらに包含する、方法。
【0176】
項目(107)身体組織内の開口またはポケットを膨張させるためのデバイスであって、以下を包含する、デバイス:管腔を通って延長する管腔を有する管;身体組織およびその膨張体内の該開口またはポケットへ挿入するための該管に取り付けられた、軸方向に可動な膨張可能かつ折り畳み式の膨張バスケット;および、該バスケットの膨張および折りたたみのための、該膨張可能かつ折り畳み式のバスケットと連絡する膨張および折りたたみコントロール。
【0177】
項目(108)項目(107)に記載のデバイスであって、ここで、前記バスケットが複数のワイヤを含む、デバイス。
【0178】
項目(109)項目(108)に記載のデバイスであって、ここで、前記膨張および折りたたみコントロールが引っ張りワイヤを含む、デバイス。
【0179】
項目(110)膨張デバイスの管腔中に挿入するために適合された把持デバイスであって、該膨張デバイスは、身体組織内の開口またはポケットを膨張させるための膨張バスケットを有し、該把持デバイスは、縫合糸、または該膨張デバイスの該膨張バスケットの中へ進行したガイド部材を把持するための遠位端上の把持部材を有するカテーテルを包含する、把持デバイス。
【0180】
項目(111)項目(110)に記載の把持デバイスであって、ここで、該把持デバイスは自己膨張バスケットを含む、把持デバイス。
【0181】
項目(112)項目(111)に記載の把持デバイスであって、ここで、前記自己膨張バスケットが、前記膨張デバイスの前記膨張バスケットが膨張した配置にある場合、該膨張デバイスの該膨張バスケットの内側にフィットするように適合される、把持デバイス。
【0182】
項目(113)前記組織の水切開(hydrodissecting)を包含する前記尿道および前記上部膣壁の間の前記組織にポケットを形成する方法。
【0183】
項目(114)開口位置の身体組織のポケットを保持するための方法であって、以下を包含する:該身体組織に管腔を作成する工程;該身体組織に該ポケットを作成するために、該身体組織の該管腔を膨張する工程;膨張デバイスを該ポケットに挿入する工程;および、 該ポケットの該膨張デバイス上の膨張バスケットを膨張させ、それによって該開口位置の該ポケットを保持する工程。
【0184】
項目(115)項目(114)に記載の方法であって、ここで、前記身体組織が、尿道および上部膣壁の間の裂孔を包含する、方法。
【0185】
項目(116)項目(115)に記載の方法であって、ここで、前記管腔がバルーンカテーテルで膨張される、方法。
【0186】
項目(117)項目(116)に記載の方法であって、以下の工程をさらに含む方法: 縫合糸またはガイド部材を、恥骨上切開部を通して、前記ポケットに挿入する工程;遠位端に把持部材を有するカテーテルを備える把持デバイスを、前記膨張デバイスの管腔に挿入する工程;該縫合糸またはガイド部材を、該把持デバイスで把持する工程;該縫合糸またはガイド部材を、所望の位置まで引き出す工程。
【0187】
項目(118)項目(117)に記載の方法であって、ここで、前記縫合糸またはガイド部材が、直視下で把持される、方法。
【0188】
項目(119)スリングを身体組織のポケットに導入する方法であって、以下を包含する:a)身体組織に管腔を作成する工程;b)該身体組織のポケットを作成する工程;c)開口位置に該ポケットを保持する工程;d)縫合糸またはガイド部材を、該身体組織の該ポケットに挿入する工程であって、ここで、該縫合糸は尿道の第一の側にある、工程;e)該縫合糸またはガイド部材を把持する工程;f)該縫合糸またはガイド部材を、該管腔を通して、該身体組織の外側に引き出す工程;g)該尿道の第二の側で、工程(d)から工程(f)を通して繰り返す工程;h)2つの縫合糸を共に結ぶ工程;および、 i)該スリングを、該縫合糸を使用して該ポケットに導く工程。
【0189】
項目(120)項目(119)に記載の方法であって、ここで、前記身体組織が、前記尿道および上部膣壁の間の裂孔を包含する、方法。
【0190】
項目(121)スリングを身体組織の開口の中に導入する方法であって、以下を包含する方法:a)該身体組織に管腔を作成する工程;b)該身体組織のポケットを作成する工程;c)開口位置に該ポケットを保持する工程;d)縫合糸またはガイド部材を、該身体組織の該ポケットに挿入する工程であって、ここで、該縫合糸は尿道の第一の側にある、工程;e)該縫合糸またはガイド部材を把持する工程;f)該縫合糸またはガイド部材を、該管腔を通して、該身体組織の外側に引き出す工程;g)該尿道の第二の側で、工程(d)から工程(f)を通して繰り返す工程;h)スリングを該身体組織の外側で、2つの縫合糸に取り付ける工程;および、i)スリングを、該管腔を通して、該身体組織の該ポケットに導入する工程。
【0191】
項目(122)項目(121)に記載の方法であって、ここで、前記身体組織が前記尿道および上部膣壁の間の裂孔を包含する、方法。
【発明の効果】
【0192】
尿失禁の処置を単純にし、尿道を不意に挟んだり、組織または骨に摩損を引き起こさず、尿の漏れを防ぐよう尿道を安定させるために組織に挿入されるスリングを備え、その配置のためのデバイスが提供されるので、尿失禁の処置のために、尿道または膀胱頸部のような尿細管構造体の周囲を切開する従来デバイスには必要なガイド縫合糸、直角クランプなどを必要とすることなく設置することを可能にする手段が提供される。さらに、スリングを部分的にのみ覆うための袋は、スリングの配置において、医師による袋からのスリングを引き出しを容易にし、尿失禁の処置における単純かつ安定なスリングの設置を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0193】
(好ましい実施態様の詳細な説明)
本発明は、身体組織での開口もしくはポケットの作製、および/または身体組織の拡張のための方法およびデバイスに関する。本発明の、ガイド部材配置デバイス、スリング適用カテーテル、組織切開器/拡張器、スリング適用デバイス、スリング適用システム、脱着可能部材スリング適用デバイス、回収装置、およびバルーンカテーテルは、経皮的にまたは腹腔鏡技術と共に用いられ得る。このような腹腔鏡手順では、外套ニードルが腹部に置かれ、そして腹部はCOを吸入され、膨張が引き起こされる。デバイスは外套ニードルを介して、患者身体内に導入され、そして処置手順は腹腔鏡を用いて可視化される。
【0194】
本発明のデバイスは多様な医療で用いられ得るが、特に尿道床再構築(urethral floor reconstruction)処置手順(例えば、膀胱頸(neck)安定化または固定(suspension)処置手順)によく適しており、ここでは、スラッジが使用され、尿節制(urinary continence)を、尿道を安定化および/もしくはわずかに圧縮することによるか、または非可動骨盤床(floor)を作製することによって、維持されるかまたは改善される。
【0195】
膀胱頸安定化処置手順での使用に適したスリングおよびそれらを移植する方法は、同時係属米国特許出願、題「Stabilization Sling for Use in Minimally Invasive Pelvic Surgeny」、(VESITEC.023A)、1998年2月13日出願、および同題米国仮特許出願番号第60/038,379号、1997年2月13日に開示される。
【0196】
本発明は、特に女性における尿節制のための膀胱頸安定化処置手順によく適している。本発明が特によく適している膀胱頸安定化処置手順には、尿道と上部膣壁との間の組織(これは隙間と呼ばれる)での開口またはポケットの作製が挙げられる。次いで、スリングは開口またはポケットに挿入される。スリング端部の縫合糸または内蔵型アタッチメント部材は、恥骨または周囲組織に装着され、そして張力は、尿道をわずかに圧縮するかまたは安定化するように調節され、これは内圧から生じる膨満を減少するためのプラットフォームを提供することにより、これによって、尿節制が維持されるかまたは改善される。縫合糸の張力を調節する適切な方法およびデバイスは、Benderevらの米国特許第5,611,515号、1997年3月18日発行に開示されている。
【0197】
開口またはポケットは、様々な方法で作製され得る。1つのアプローチでは、膨張可能バルーンを、尿道と上部膣壁との間の組織に導入することによって作製される。バルーンが膨張すると、周囲組織は拡張または引き裂かれ、スリングを受けるのに十分なサイズの開口またはポケットを生み出す。
【0198】
別のアプローチにおいて、開口またはポケットは水切開により作成される。このアプローチにおいて、大量(bolus)の生理食塩水または他の滅菌溶液が、尿道と上部膣壁との間の組織中に注入される。これは、スリングを受容するサイズの開口またはポケットを生じる。大量の生理食塩水が、シリンジの先端が尿道と上部膣壁との間の組織にあるように、膣の内側にシリンジを位置合わせをして、そしてシリンジのニードルで膣壁を突き通すことによって投与され得る。あるいは、大量の生理食塩水のは、膣壁を突き通すことなく裂孔組織中に直接投与され得る。
【0199】
水切開処置手順における組織へ注入される生理食塩水の容量が非常に多いので、迅速に吸収されず、その結果、組織は大量の生理食塩水を収容するために分離しなければならない。好ましくは、組織中へ導入される生理食塩水の容量は、約4cc〜約10ccである。より好ましくは、生理食塩水の容量は、約4ccから約5ccである。
なお別のアプローチにおいて、開口またはポケットは、鈍切開器および鋭利なカッターの組合せで、尿道と上部膣壁との間の組織を切開することによって作成される。
【0200】
開口またはポケットは作成され得、そしてスリングは患者の身体を通る種々の経路をとることによって導入され得る。経皮的アプローチと呼ばれる1つのアプローチにおいて、開口またはポケットは、恥骨上切開を行うことによって作成され、この切開部の中へ身体組織に開口またはポケットを導入するためのデバイスまたは身体組織を拡張するためのデバイスが挿入される。デバイスは患者の身体組織を通って、尿道と上部膣壁との間との間の組織(ここで開口またはポケットが作成される)へ進められる。ある場合に、身体組織に開口またはポケットを導入するためのデバイスまたは身体組織を拡張するためのデバイスはまた、スリングを開口へ導入し得る。
【0201】
裂孔アプローチと呼ばれる別のアプローチにおいて、開口またはポケットが作成され、そしてスリングは、尿道と上部膣壁との間の組織に直接接近することによって導入される。この処置手順において、開口またはポケットは、恥骨上切開または膣切開することなく作成され得る。
【0202】
他のアプローチにおいて、開口またはポケットは、尿道と上部膣壁との間の組織に直接作成され、そしてスリングは、恥骨上切開または膣切開から開口またはポケットへ進められたデバイスで導入される。
【0203】
上で簡単に記載したデバイスおよび処置手順は、以下の節でより詳細に議論される。開口またはポケットを作成するための任意の開示されたデバイスおよび方法が、開口またはポケットへスリングを導入するための任意のデバイスまたは方法と組み合わされ得ることは当業者によって理解される。
【0204】
(ガイド部材配置デバイス)
本発明の1つの局面は、スリングが、ガイド部材に沿って導入される方法およびこのような方法における使用のためのデバイスに関する。ガイド部材は縫合糸、ガイドワイヤ、または所望の位置へスリングをガイドするために適切な他の構造であり得る。
【0205】
1つの実施態様において、スリングが導入される開口またはポケットが、最初に作成され、次いでガイド部材が開口またはポケットを通る。この実施態様において、開口またはポケットが本明細書中に開示される任意の技術(膨張可能なバルーンおよび水切開を含む)を使用して作成され得る。
【0206】
あるいは、開口またはポケットは、ガイド部材配置の間に、ガイド部材配置デバイス上で鈍切開器を延長し、そして後退させることによって作成され得る。
【0207】
なお、別の実施態様において、スリングが導入される開口またはポケットは、ガイド部材が位置された後、本明細書中に開示されるスリング適用カテーテルによって作成される。
【0208】
尿道と上部膣壁との間の組織にスリングを導入するためにガイド部材を使用するためのデバイスおよび方法が、ここで詳細に議論される。
【0209】
本発明の1つの局面は、膣壁を穿孔することなしにより少ない侵襲様式で、尿道の下にガイド部材を適用するためのガイド部材配置デバイスに関する。
【0210】
一般に、ガイド部材配置デバイスは、近位端、遠位端およびそれを通って伸びる管腔を有するシャフトを備える。管腔は、ガイド部材を受容するために適合されている。
好ましくは、シャフトは剛性である。シャフトの近位端が、それを通って伸びる管腔を有するハンドルへ取り付けられることがまた好ましい。好ましくは、ガイド部材配置デバイスは、それを通って伸びる管腔を有する鈍切開器先端を有する。鈍切開器先端は、好ましくはシャフトの遠位端に位置される。鈍切開器先端は、シャフト内にあり、そしてシャフトから伸張可能であり、かつシャフトへ後退可能である鈍切開器上に存在することがまた好ましい。
【0211】
好ましくは、鈍切開器の管腔は、ハンドルの管腔と流体連絡する。好ましくは、鈍切開器は軸方向へ移動可能であり、そしてシャフトから延長され得、かつシャフト中に後退され得る。好ましくは、鈍切開器は、剛性プラスチックまたは可撓性金属から作製される。例えば、鈍切開器は、ステンレス鋼のコイルであり得る。鈍切開器は中実であり得、そしてステンレス鋼、ばね鋼、エルジロイ(elgiloy)、ニチノール、または他の一般に弾性の金属のような金属から作製される。
【0212】
鈍切開器はまた、ナイロンまたはアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)のような剛性プラスチックであり得る。
【0213】
ガイド部材配置デバイスは、第2のガイド部材配置デバイスのシャフトの遠位端で係合部材と相補的であるかまたはさもなければこれに取り付けられるように適合された、シャフトの遠位端の係合部材を有し、その結果、2つのガイド部材配置デバイスのシャフトが、互いに流体連絡する各々のシャフトにおける鈍切開器の管腔で互いに取り付けられ得る。
【0214】
図1、2および3を参照すると、本発明の1つの局面に従う、開示されたガイド部材配置デバイス10、1910が存在する。ハンドル12、1912は、医者のための握り領域として、およびガイド部材配置デバイスのための支持構造としての両方の役目をする。ハンドル12、1912は好ましくは、中空管状本体13、1913を備える。
【0215】
ハンドル12、1912は、使用者によって容易に握られるサイズであることが好ましい。例えば、1つの実施態様において、ハンドルは、直径が約0.75インチ(20mm)、および長さが約4インチ(110mm)である。好ましくは、ハンドル12、1912は、または高摩擦握り面を生じるためにローレット加工または他の表面テクスチャリングを提供される。
【0216】
支持体20、1920は、それがシャフト22、1922のための取り付け支持体を提供するために、ハンドル12、1912の遠位端から伸びるように取り付けられることが好ましい。支持体20、1920は、シャフト22、1922を支持するためのハンドル12、1912からの移動部材として作用する。
【0217】
シャフト22、1922は、支持体20、1920内へ挿入されるかまたはこれに固定されるその近位端を有する細長部材である。シャフト22、1922は、任意の多くの様式で(当業者に周知の蝋付け、ネジ止めまたは他の手段を含む)支持体20、1920に取り付けられ得る。
【0218】
シャフト22、1922は支持体20、1920から遠位に伸び、そして長さ約6インチから約10インチまでの範囲内が好ましい。
【0219】
シャフト22、1922は、それを通って伸びる管腔30を有する。シャフトの遠位端の好ましい実施態様は、図7Aおよび7Bに示される。この実施態様において、シャフト22、1922は、直線近位セクション23、1923、曲げ介在セクション25、1925、および遠位端27、1927を有する。別の実施態様において、シャフト2122、2222は、図7Cおよび7Dに示されるように滑らかに湾曲され得る。図7A〜7Dの実施態様において、シャフトの遠位端は、シャフトの直線近位セクションに対して好ましくは90度の角度に配向される。好ましくは、シャフトの湾曲は、シャフト内での鈍切開器32の移動を容易にするために滑らかである。
【0220】
当業者に理解されるように、シャフト22、1922の寸法および曲率は、解剖学的考慮およびその使用が意図される処置手順の型に依存して変化し得る。
【0221】
ガイド部材配置デバイス10、1910のシャフト22、1922の遠位端27、1927は、係合部材28、1928とともに提供され(互いに相補的である)、その結果、2つのガイド部材配置デバイス10、1910のシャフト22、1922が互いに取り付けられるように適合されている。ガイド部材配置デバイス10の1つの実施態様(図1および2に示される)において、係合部材は、図4の拡大された横断面図中で示される雄コネクタ17を備える。
【0222】
図1および2で示されるガイド部材配置デバイス10における雄コネクタ17は、図3および図5中の拡大された横断面図で示されるガイド部材配置デバイス1910における雌コネクタ1915と相補的である。図6の拡大された横断面図に見られるように、図1、2、および4のガイド部材配置デバイス10における雄コネクタ17は、図3および5のガイド部材配置デバイス1910の雌コネクタ1915を係合し、そして2つのガイド部材配置デバイス10、1910と共に取り付け、その結果、2つのデバイスの各々の鈍切開器32、1932の管腔42、1942が互いに流体連絡している。所望の場合、雄コネクタ17は、雌コネクタ1915から係合がはずされ、2つのガイド部材配置デバイス10、1910を分離することが可能になる。
【0223】
図1〜5に示される実施態様の相補的係合部材28、1928は、雄コネクタおよび雌コネクタであるが、多数の別の配置が係合部材について使用され得、そして本発明がこのような別の配置を意図することを、当業者は理解する。
【0224】
図2は、シャフトの遠位端に雄コネクタを有するガイド部材配置デバイス10の内部構造を示す横断面図である。シャフトの末端に雌コネクタを有するガイド部材配置デバイス1910の実施態様の内部構造は、図2に示される内部構造と似ている。従って、内部構造は、雄コネクタを有するデバイスに関してのみ記載される。
【0225】
図2に示されるように、ハンドル12は近位端壁14および遠位端壁16を有する。図示されるような支持体20は、ハンドル12の遠位端内での係合のためのほぼ円柱状の近位セクション24およびシャフトを固定するためのテーパー状の遠位セクション26を提供される。
【0226】
シャフト22は、好ましくは直径約0.1インチ(2.5mm)以下であり、そして軸方向に移動可能な鈍切開器32を受容するために少なくとも1つの中央管腔30を提供される。鈍切開器32はハンドル12内に取り付けられ、支持体20とシャフト22を通って伸びる。好ましくは、鈍切開器32は、管状ハンドル12内に往復運動のために適合された相対的に大きな直径の本体部34を近位端で提供される。好ましくは、本体部34は、リターンスプリング38を受容するためのわずかに小さい直径の凹部36を備える。リターンスプリング38は、近位方向に鈍切開器32を付勢し、これを通って伸びる管腔40を有する。管腔40は鈍切開器の狭部の管腔42と流体連絡する。あるいは、任意の種々の周知の手段が、鈍切開器32上の近位の付勢を提供するために使用され得る。
【0227】
本体部34の長さは、ハンドル部内のキャビティの軸方向の長さ未満であるので、本体部34は約2mmから約10mmの範囲内の軸方向の運動範囲を有し、好ましくは約.12インチ(3mm)である。ハンドル12内に伸びる支持体20の近位端壁44は、本体部34の遠位移動のための1つのリミットストップとして作用する。
【0228】
ハンドルの端壁14の遠位表面は、本体部34の遠位移動を制限する。スプリング38は、本体部34上の環状ショルダー46に対して押し進み、鈍切開器32を近位方向に付勢する。
【0229】
鈍切開器32の遠位端は、それを通る管腔を有する切開鈍先端48を提供される。スプリング38は、通常、切開鈍先端48がシャフト22から延長しないように、シャフト22の遠位端内で第一の後退位置の方へ鈍切開器32を付勢する。本体部34上の軸方向の遠位の力は、第二の位置に切開鈍先端48を伸ばし、そこで切開鈍先端48がシャフト22から伸びる。切開鈍先端48は、任意の数の方法(例えば、ノブまたはボタンの使用)で延長し、そして後退し得るが、回転カム50を使用するのが好ましい。
【0230】
カム50は、ハンドル12から近位に伸び、そしてその中に管腔18を有する、ポスト50に取り付けられる。管腔18は、鈍切開器の凹部の管腔40および鈍切開器の狭部の管腔42と流体連絡する。カム50は、シャフト22の長手方向軸に垂直な軸に沿って伸びるピン56の回りに回転可能に取り付けられる。本体部の近位端は、ハンドルの近位端壁14の開口を通って近位方向に伸びるロッド19を有する。
【0231】
カム50は、少なくとも、所定の位置で回転する場合、本体部のロッド19に係合する2位置係合表面を有する。第一の位置において、カム50は、切開鈍先端48がシャフト22内に完全に後退する位置に、リターンスプリング38によって付勢される。第二の位置において、リターンスプリング38によって課された付勢が、克服され、そしてカム50の係合表面は、切開鈍先端48がシャフト22から外側に延長するように、ロッド19を係合する。好ましくは、カム50は、半径方向に外側に伸び、そしてカムを回転させるために操作者により使用され得る、アクチュエーター部58を提供される。
【0232】
あるいは、他の手段(例えば、空力学的力発生手段、水力発生手段、圧電力発生手段および電気力発生手段)がスプリングの付勢を克服し、そして切開鈍先端48を延長させるために使用され得る。
【0233】
この器具は、意図した目的のために十分な剛性を有する滅菌可能な材料から製造されることが好ましい。多くの受け入れられる材料は、当該分野で周知であり、例えば、シャフト22にはステンレス鋼、およびハンドル部12にはステンレス鋼またはプラスチックである。
【0234】
あるいは、ガイド部材配置デバイスは、使い捨て形態で製造され得る。この実施態様において、構成要素は、適切な熱可塑性のものから製造される。特に、General Electric Plasticsにより製造された熱可塑性Cycolac 2679Fが適切であることが見出されており、Cycolac 2679Fはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)である。好ましくは、シャフト22、鈍切開器32、およびリターンスプリング38はステンレス鋼から製造される。
スリングを使用する代表的な膀胱頚部安定化処置手順における図1〜7Dのガイド部材配置デバイスの使用は、以下に記述し、そして図8〜14に示す。しかしながら、ガイド部材配置デバイスがまた、ガイド部材の導入が必要な多くの他の外科的処置手順に使用され得ることを当業者は理解する。
【0235】
以下の処置手順は、膣壁に穿孔することなく、尿道と膣壁との間の組織にガイド部材を配置することが意図される。フォーリーカテーテルは、膀胱頚部を同定するために膀胱に配置される。ガイド部材配置デバイスは、経皮的に身体内に挿入される。例えば、図9に模式的に示される約1インチの恥骨上切開60および61のペアは、恥骨結節にわたって作られ、そして切開は直筋膜の領域まで行われ得る。第一のガイド部材配置デバイス10は、1つの切開内に配置され、そして恥骨の裏側に沿って進むので、シャフト22の遠位先端を、骨/筋膜表面と接触させ、膀胱を穿刺する危険を減らす。抵抗を感じると、カム50は、シャフト22の遠位端から切開鈍先端48を延長するように押され、それによって、図8および11に示されるように身体組織62に開口を形成する。次いで、カム50は、解放され、シャフト22内に切開鈍先端48を後退させ、そしてデバイス10は身体組織の開口を通って進められる。このプロセスの結果、身体組織に第一の開口を形成させる。
【0236】
第一のガイド部材配置デバイス10は、図9に示されるように、尿道64と上部膣壁66との間にある組織62内の尿道64の下に配置されるまで進められる。切開鈍先端48は、ガイド部材配置デバイス10の進行の間、延長および後退し、組織に開口を形成する。切開鈍先端48の延長および後退を伴うガイド部材配置デバイス10の進行は、シャフト22の遠位端が、図10に示されるように尿道64に対してほぼ正中に配置されるまで続けられ、その結果、シャフト22の遠位端が、尿道の長手方向および膣の長手方向軸で規定される面の尿道64と上部膣壁66との間を横断して伸びる。
【0237】
あるいは、尿道と膣との間の組織のポケットまたは開口は、下記のデバイスおよび方法を用いて第一のガイド部材配置デバイスを挿入する前に、膀胱頚部の下に形成され得る。この実施態様において、第一のガイド部材配置デバイス10は、シャフトの遠位端がポケットまたは開口にあり、そしてデバイスが下記のように配置されるように進められる。ガイド部材配置デバイス10が進行すると、弾性の膣壁上部がテント状になる。このテントは、ガイド部材配置デバイス10の位置を決定するために使用され得る。ガイド部材配置デバイスは、テントが所望の位置に現れるまで進められる。
【0238】
上記のプロセスは、図12に示されるような第二のガイド部材配置デバイス1910で繰り返される。第二のガイド部材配置デバイス1910は、図6に示されるように第一のガイド部材配置デバイス10のものと相補的な係合部材1928を有する。第二のガイド部材配置デバイス1910の切開鈍先端1948は、延長および後退して上記のようにそして図11に示されるように、身体組織に第二の開口を形成する。
【0239】
第二のガイド部材配置デバイス1910は、シャフト1922の遠位端が、尿道の長手方向軸および膣の長手方向軸で規定される面の尿道64と上部膣壁66を横断して延長するように、尿道64に対してほぼ正中の位置に進められる。
【0240】
あるいは、尿道と膣との間の組織のポケットまたは開口が、第一のガイド部材配置デバイスを挿入する前に形成される実施態様において、第二のガイド部材配置デバイスはそのポケットまたは開口中に進められる。
【0241】
次いで、第二のガイド部材配置デバイス1910は、第一のガイド部材配置デバイス10と整列される。
【0242】
次いで、第一および第二のガイド部材配置デバイス10および1910は、図13に示されるように、係合部材28および1928を介して結合され、尿道64と上部膣壁66との間の組織62に連続して開口を形成する。別の実施態様において、2つのシャフトの結合に加えて、2つのハンドルもまた、ともに結合され、そして互いに固定される。
【0243】
2つのガイド部材配置デバイス10および1910の結合後、鈍切開器の管腔42および1942は、図6に示されるように互いに流体連絡する。次いで、図13および2に示されるように、ガイド部材68は、第一のガイド部材配置デバイス10のハンドル12の管腔18中に挿入され、そして第二のガイド部材配置デバイスのハンドル1912から出るまで、第一および第二のガイド部材配置デバイス10、1910の鈍切開器の管腔40、1940、42、1942を通して進められる。
【0244】
次いで、図14に示されるように、2つのガイド部材配置デバイス10、1910の係合部材28、1928は、互いに係合が外れ、そしてデバイス10、1910は、ガイド部材68を適所に残したままで、患者の身体から取り除かれる。
【0245】
次いで、以下のセクションで記述するように、膀胱頚部を安定化するため、または尿道床を安定化するために、ガイド部材68はを使用して、スリング適用カテーテルに取り付けられたスリングを導入し得る。
【0246】
この方法の別の実施態様において、組織に連続開口を形成するために、ガイド部材配置デバイスの切開鈍先端48を使用するよりむしろガイド部材配置デバイスは、尿道と上部膣壁との間の組織に事前形成された開口に挿入され得る。事前形成された開口は、下記のように、水切開によりまたはバルーンカテーテルを用いて形成され得る。この方法の実施態様の工程は、上記の方法と同様かまたは同一である。しかしながら、所望であれば、この方法の実施態様は、シャフトから延長される位置に固定された鈍切開器を有するガイド部材配置デバイスで実施され得る。
【0247】
この方法の別の実施態様において、ガイド部材配置デバイスは、尿道と上部膣壁との間の組織にトロカールを通って進められ得る。別の実施態様において、ガイド部材配置デバイスは、適切な配置を保証し、そして第一および第二のガイド部材配置デバイスの整列を補助するために、この処置手順の間、腹腔鏡で観察され得る。
【0248】
(スリング適用カテーテル)
本発明の別の局面は、患者の身体組織の開口またはポケット中にスリングを導入するための、スリング適用カテーテルである。特に、本発明のスリング適用カテーテルは、例えば、膀胱頚部安定化処置手順のような、尿道床再構築処置手順において使用され得、現在使用されている技術よりもより少ない侵襲の様式で、スリングを尿道と上部膣壁との間の組織に導入する。
【0249】
一般的に、スリング適用カテーテルは、開放自在にカテーテルに係合された、スリングを有するカテーテルを備える。好ましくは、スリングは、カテーテル内の袋によって解放自在に係合される。好ましくは、スリング適用カテーテルは、ガイド部材に沿ってガイドされるように適合される。ガイド部材は、縫合糸、ガイドワイヤまたは所望の位置にスリング適用カテーテルをガイドするに適切な他の構造物であり得る。
【0250】
スリング適用カテーテルは、ガイド部材、縫合糸または他のガイドデバイスと多数の方法で取り付けられ得る。例えば、カテーテルは、それを通って伸びる管腔を有し得、この管腔をガイド部材が通る。あるいは、ガイド部材は、管腔を部分的に通って伸びるが、カテーテルの壁の開口を通してその長さに沿ってカテーテルから突き出得る。
【0251】
さらに別の実施態様では、そこに開孔を有するループがカテーテルに取り付けられ得る。この実施態様においては、ガイド部材はループを通ってガイド部材の長さに沿ってカテーテルをガイドする。当業者は、スリング適用カテーテルがガイド部材に沿って移動することを可能にする別の多様な方法が存在することを理解するし、そして本発明がこのようなさらなるアプローチを意図することも理解する。
【0252】
好ましくは、スリング適用カテーテルは、患者の身体の挿入部位から、患者の身体の出口部位の間にわたる十分な長さである。挿入部位および出口部位は、スリングが送達される位置の両方の側に配置される。
【0253】
カテーテルは、そこを通って伸びる管腔を有する、連続円柱であり得る。あるいは、カテーテルの表面はそこにスロットを有して部分的に開口していてもよい。スロットは、ガイド部材、縫合糸または他のガイドデバイスの幅よりも狭い。
【0254】
好ましくは、カテーテルの遠位端は、身体組織からの通過を容易にするためにテーパー状先端を有する。
【0255】
袋はスリングを破損なしに取り扱うことを可能にし、微生物がスリングに接触することを妨害する障壁を維持し、取り扱いの柔軟性を提供し、そしてスリングが患者の身体組織における開口またはポケットに、所望の方向で導入されることを確実にする。袋は種々の材料、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ビニル、ポリエステルおよびエチレンビニルアセテート(EVA)から作製され得る。好ましくは、袋はPET製である。
【0256】
好ましくは、フラット配向でのスリングの送達を容易にするために、袋はフラットである。しかし、袋はまた、円錐状またはロールした円錐状であり得、そして送達後スリングをフラットにする手段を伴って提供され得る。あるいは、スリング適用カテーテルは、送達後にフラット配置を取る材料から作製されたスリングとの組み合わせで使用され得る。
【0257】
好ましくは、中のスリングが見えるように、袋は透明または半透明である。いくつかの実施態様において、袋は、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートまたはビニルといった多孔性の材料より作製される。1つの実施態様において、袋は、尿道の一方の側の第1の恥骨上部切開部、および尿道の反対側の第2の恥骨上部切開部との間を通すに十分な長さのスリングを、受容するように適合される。
【0258】
別の実施態様において、袋は、上記の実施態様で使われたスリングよりも短い長さを有するスリングを受容するように適合させ得る。このようなスリングは、縫合糸によって恥骨に取り付けられる。
【0259】
本発明の使用のために適した長いスリングおよび短いスリングは、「Stabilization Sling for Use in Minimally Invasive Pelvic Surgery」(VESITEC.023A)と題する、1998年2月13日に出願された同時係属の米国特許出願、および1997年2月13日に出願された、米国仮特許出願番号60/038,379に記載される。
【0260】
袋の長さは、スリング適用カテーテルと共に使用されるスリングの長さに依存して変化し得る。
【0261】
本発明に従うスリング適用カテーテル210の1つの実施態様は、図15および16に示される。図15のスリング適用カテーテルは、カテーテル212および、それに取り付けられたスリング216を開放自在に係合するように適合された袋214を備える。カテーテルの遠位端218は、テーパー状であり、そして袋の遠位端220を越えて伸びる。袋の遠位端220もまた、患者の身体組織の通過を容易にするためにテーパー状である。管腔222は、カテーテルを通して伸びる。
【0262】
袋214の内部にスリング216を有する、図15のスリング適用カテーテル210の横断面を図17に示す。図15に示すスリング216は、尿道の向かい合った両側の2つの恥骨上部切開部の間を通るために十分に長い。好ましくは、スリング216は、スリング適用カテーテルの袋の近位端224を越えて伸び、スリングの近位端226が掴まれるか、または固定されることを可能にする。
【0263】
あるいは、縫合糸を介して恥骨に取り付けられたより短いスリングが使用され得る。スリング216は、そこから両側に伸びる縫合糸または内蔵型取り付け部材を有し得る。本発明の使用に適する長いスリングおよび短いスリングは、「Stabilization Sling for Use in Minimaally Invasive Pelvic Surgery」(VESITEC.023A)と題する、1998年2月13日に出願された同時係属の米国特許出願、および1997年2月13日に出願された、米国仮特許出願番号60/038,379に開示される。このようなアレンジでは、縫合糸または内蔵型取り付け部材は袋の近位端224を越えて伸び、そして医師によって袋からスリングを引き出すために掴まれるか、または固定され得る。
【0264】
図18および図19に図示したように、スリング適用カテーテル310の別の実施態様において、袋314は補強補剛材328を有する。補強補剛材328は袋314の内部または外部にあり得る。補剛材328は剛性を提供し、そして患者の身体組織を通過する間、スリング316の歪曲を防ぎ、そして、そこを通過するときに、スリング適用カテーテル310が患者の身体組織の開口を拡張するか、または引き裂くことを可能にする。この様式において、スリング適用カテーテル310は、スリングが導入される、尿道および上部膣壁の間の組織に開口を作成するために使用され得る。補剛材328はまた、スリングが、その幅に沿った軸方向の湾曲に従うことを可能にする、曲げ効果を提供する。最後に、補剛材328は、取り扱いの間のスリング材料への損傷を減ずる。
【0265】
補剛材328は、上記の考察と適合する種々の材料のいずれか、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、またはアクリックにより作製され得る。好ましくは、補剛材328は約1cmの曲げ半径を提供する。
【0266】
いくつかの実施態様において、補剛材328は、以下で述べるように、浸漬の間に溶液をスリングに接近可能にする孔を有する、多孔性材料、例えばポリエチレンまたはポリエチレンテレフタレートから作製される。
【0267】
好ましくは、患者の身体の開口に導入されるスリング216は無菌である。これに関して、図20は、スリング適用カテーテル410のさらなる実施態様を示す。
ここで、袋414は、患者へのスリングの導入に先立って、袋における、天然材料で作製されたスリングの再水和およびスリングの抗生物質または生理食塩水での浸漬を可能にする孔411を有する。この実施態様においては、袋414は種々の材料、例えば、PE、PETまたはビニルで作製され得る。好ましくは、多孔性材料は、約100ミクロン〜約0.25インチの範囲の孔サイズを有する。好ましくは、袋414はビニルで作製され、0.125インチの孔サイズを有する。
【0268】
上記のスリング適用カテーテルは、患者の身体組織における開口またはポケットへのスリングの送達が所望される、種々の処置手順で使用され得る。図15〜20のスリング適用カテーテルが、膀胱頚部安定化処置手順においてスリングを送達するために使用される代表的な方法は下記に記し、そして図21から23に記す。この処置手順は、図15のスリング適用カテーテル210に特に言及して記載されるが、図18および20のスリング適用カテーテル310および410もまたこの処置手順で使用され得ることを当業者は理解する。
【0269】
ガイド部材68は、例えば、上記のガイド部材配置デバイス10、1910のようなデバイスを使用して、尿道および上部膣壁の間の組織に導入される。図21に図示するように、ガイド部材は尿道64の反対側の恥骨上部の2つの切開部61および62の間に伸びる。図21に示すように、患者の身体における第1の恥骨上部の切開部60から伸びるガイド部材68の端が、ガイド部材68が完全にカテーテル212を通過するようにカテーテル212の管腔222に挿入される。尿道の下および尿道64の反対側の腹部組織を通過し得るスリング216は、スリングの近位端226が、袋の近位端224から伸びるように、袋214に挿入される。
【0270】
あるいは、短いスリング216が使用され得る。このような短いスリングは、恥骨に縫合糸によって取り付けられ得る。この実施態様において、スリングは、両側に伸びる、縫合糸または内蔵型取り付け部材を有し得、そして袋へと挿入され得、その結果、縫合糸または内蔵型取り付け部材は、袋の近位端から伸びる。
【0271】
スリング適用カテーテルとの使用に適した長いスリングおよび短いスリングは、1998年2月13日に出願された、同時係属中の「Stabilization Sling for Use in Minimally Invasive Pelvic Surgery」(VESITEC.023A)という発明の名称の米国特許出願、および1997年2月13日に出願された、同一名称の米国仮特許出願番号60/038,379号に記載されている。
【0272】
内科医は、スリング適用カテーテルを経皮的に挿入し、そしてそれをガイド部材に沿って前進させる。例えば、スリング適用カテーテルは、第一の恥骨上の切開部60を通して挿入され得る。袋214が尿道64の下を通過する際、内科医は、スリング適用カテーテル210を前進を続けさせつつ、スリングの部分または袋の近位端から伸びる縫合糸もしくは内蔵型取り付け部材を掴み、図22に示されるように、スリング216を、袋214から引き出す。スリング適用カテーテルを、患者の身体から第2の恥骨上の切開部61まで前進させ、図23に示されるように第一の切開部60と第2の切開部61との間にスリングを伸ばしたままにする。
【0273】
あるいは、短いスリングが使用される場合、縫合糸または内蔵型取り付け部材は、第一の切開部および第2の切開部から伸びる。
【0274】
上記の処置手順の完了後、スリング216は、尿道と膣壁上部との間の組織62に配置される。
【0275】
移植後、スリングまたはそれから伸びる縫合糸もしくは内蔵型取り付け部材は、種々の構造(例えば、恥骨、クーパー靱帯または直筋膜(rectus fascia)のような種々の構造のいずれかに縫いつけられ、ステープル留めされ、リベット付けされ、または固着されて、安定化、または膀胱頸部を安定化、または骨盤床(pelvic floor)を安定化させる。例えば、長いスリングは、ステープル、クリップ、または縫合糸を用いて恥骨骨膜に直接取り付けられ得るか、あるいは恥骨に移植された骨のアンカーに取り付けられたか、または頭付き釘もしくはネジ様の固着デバイスで恥骨に固定された短い縫合糸で恥骨に取り付けられ得る。
【0276】
スリングは、1998年2月13日に出願された、同時係属中の「Stabilization Sling for Use in Minimally Invasive Pelvic Surgery」(VESITEC.023A)という発明の名称の米国特許出願、および1997年2月13日に出願された、同一名称の米国仮特許出願番号60/038,379号に記載されている。スリングにおける張力は、1997年3月18日に発行されたBenderevらの米国特許第5,611,515号に記載されるもののような、膀胱頸部を支えるか、または尿道床を安定化することによって、排尿節制(continence)を維持または改善するアプローチを用いて適宜調整され得る。
【0277】
(組織切開器(dissector)/拡張器(dilator))
本発明の別の局面は、身体組織において開口またはポケットを作製し、そして拡張可能な拡張器で開口またはポケットを拡張するための、組織切開器/拡張器510である。組織切開器/拡張器は、尿道床再構成処置手順(例えば、膀胱頸部安定化処置手順(ここで、女性(female)の尿道と膣壁上部との間の組織が切開されそして拡張されて、失禁を緩和するために設計された治療用スリングデバイスの配置を容易にする))において特定の適用を見い出す。
【0278】
組織切開器/拡張器は、経皮アプローチにおいて使用され得る。このアプローチにおいて、スリングは、尿道と膣壁上部との間の組織における開口またはポケットに、膣管への進入なく導入される。このような処置手順は以下に詳細に記載される。
【0279】
組織切開器/拡張器は、一般に、そこに取り付けられた非可撓性シャフトを有する本体を含む。好ましくは、このシャフトは、そこを通って伸びる少なくとも1つの管腔を有する。
【0280】
身体組織における開口またはポケットを作製するための切開器は、シャフトに搭載される。この切開器は、シャフトの外部にも存在しても、内部にも存在してもよい。好ましくは、切開器は、シャフトの管腔内に存在し、そして軸方向に移動可能であり、その結果、身体組織において開口を作製するためにシャフトから伸張可能であり、かつ後退可能である。
【0281】
開口またはポケットを拡張させるための拡張器もまた、シャフトにおいて搭載される。拡張器は、シャフトの外部にも存在しても、内部にも存在してもよい。
好ましくは、切開器は、シャフトの管腔内に存在し、そして軸方向に移動可能であり、その結果、シャフトから伸張可能であり、かつ後退可能である。好ましくは、拡張器は、膨張可能でかつ折り畳み式である。
【0282】
好ましくは、切開器及び拡張器は内蔵型である。あるいは、移動可能な切開器および拡張器は、組織切開器/拡張器の別々の要素であり得る。好ましくは、切開器および拡張器の両方は、軸方向に移動可能である。
【0283】
さらに別の実施態様において、切開器および拡張器は、組織切開器/拡張器の内蔵部分ではない。この実施態様において、切開器および拡張器は、別個のデバイスであり、これらは、組織切開または拡張が必要とされる外科的処置手順における点において組織切開器/拡張器のシャフトへと挿入され得る。組織切開器/拡張器510の代表的な実施態様を、図24に示す。図24に示すように、本体512は、トリガー514、ロックホイール516、およびスプリングリターンボタン518を備える。図24の実施態様において、本体のトリガー514および上部セクション520は各々、スロット522および524をそこに有し、これらはともに、そこにシリンジ528を受容する適合された開孔部526を規定する。しかし、当業者は、本体512が、組織切開器/拡張器の意図された使用に適合した、多数の配置を有し得、そして本発明がそのようなさらなる配置を包含することを理解する。
【0284】
スプリングリターンボタン518は、本体の垂直面におけるスロットに沿ってスライドし得る。図24に示すように、スプリングリターンボタン518は、スプリングによって、スロットの近位端での第一の位置に向かって、付勢されている。図25に示すように、スプリングリターンボタン518は、第2の位置にスライドし得、そこで所定の位置にロックされる。図25に示すように、このロックされた位置において、スプリングリターンボタン518は、本体512における溝にフィットし、そしてスプリングリターン518が固定されていない状態で位置する面に垂直な本体の面に配置される。
【0285】
スプリングリターンボタン518は、本体内部に内部伸長を有し得、これは、シリンジ先端を受容するように適合された近位セクションを有する。
【0286】
図24に示すように、シャフト530は、本体512の下部532に取り付けられ、そしてそこを通って伸びる管腔を有する。シャフト530は、デバイスは、身体組織を通って前進する間に、印加されるトルクに抵抗するに十分頑強な多数の非可撓性材料から製造され得る。好ましくは、シャフト530は、ステンレス鋼で作製される。
好ましくは、シャフト530は、遠位端534に向かってカーブする。好ましくは、このカーブは、曲率半径が小さなカーブである。好ましくは、シャフトの遠位端534は、シャフトの近位部に対しておよそ90°の角度である。しかし、当業者は、シャフト530におけるカーブが、解剖学的考慮事項およびここで組織切開器/拡張器が使用される処置手順のタイプに依存して変化し得る。
【0287】
図25に示すように、バルーンカテーテル536は、シャフト530の管腔内に配置され、そしてスプリングリターンボタン518によって係合される。図26に示すように、バルーンカテーテル536は、そこを通って伸びる管腔を有する外部管538、および外部管538の管腔に、膨張可能なバルーン540を備える。そこに管腔を伴う膨張管542は、膨張可能なバルーンの近位端544に配置され、そしてバルーン540の内部と流体連絡する。好ましくは、膨張可能なバルーン540は、切開鈍先端546をその遠位端548に有する。
【0288】
膨張管542は、多数の材料のいずれか(例えば、PEまたはPET)から作製され得る。好ましくは、膨張管542は、非可撓性であるか最小限に可撓性である材料から作製される。
【0289】
図26の実施態様において、膨張可能なバルーン540は、膨張した場合円柱形状を有する。好ましくは、バルーンの寸法は、尿道と膣壁上部との間の組織における開口またはポケットを拡張するのに適している。バルーンの長さは、ポケットまたは開口を作製するのに使用される処置手順において尿道に対して配向される方向に依存する。バルーンが尿道に対して垂直に配向される場合、バルーンは、好ましくは、長さ約5cmおよび幅2cmのポケットまたは開口を作製するために、長さ4.6cmで有効幅2cmである。
【0290】
バルーンが尿道に対して平行に波高される処置手順で使用される場合、バルーンは、バルーンが尿道に対して垂直である処置手順において使用されるよりも短くあり得る。このような処置手順において使用されるバルーンはまた、バルーンが尿道に対して垂直である処置手順において使用されるよりも大きい直径を有し得る。並行して複数のバルーンまたはフラットな輪郭バルーン(例えば、下記により詳細に説明するようなバルーン)を有するバルーンカテーテルもまた、このような処置手順に良好に適している。
【0291】
好ましくは、バルーンは、半径方向に膨張するが、膨張した場合でも長さは増えない。
【0292】
切開鈍先端546は、好ましくは、円柱形状をしている。好ましくは、切開鈍先端546は、長さ約1/4インチである。
【0293】
切開鈍先端546は、種々の材料から製造され得、これら材料は、身体組織の平滑な切開における使用を容易にするに充分強固である。バルーンの先端は、固形の先端へと成形され得、これは、切開鈍先端として機能する。あるいは、切開鈍先端546は、膨張管542と同一の材料を含み得る。さらに別の実施態様において、切開鈍先端は、ステンレス鋼であり得る。
【0294】
バルーンカテーテルはまた、ガイド部材を受容するための第2の管腔をそこに有し得る。この実施態様において、ガイド部材は、本体の開孔部を通って、シャフトを通して配置され、そしてシャフトの遠位先端から伸長し得、これにより、組織切開器/拡張器が身体組織において作製された開口またはポケットにガイド部材を配置するために使用されることを可能にする。ガイド部材は、縫合糸、ガイドワイヤ、または所望の位置にスリングを導くのに適した他の構造であり得る。
【0295】
別の実施形態では、超音波カテーテルのように、バルーンカテーテルが、灌注または診断を受けるための第3の管腔を有し得る。第3の管腔は、フィブリン糊(fibrin glue)、膀胱頸部支持体、または、1998年2月13日に出願された”Stabilization Sling for Use in Minimally Invasive Pelvic Surgery”,(VESITEC.023A)と題される米国特許同時係属出願、および1997年2月13日に出願され同様に題された米国仮特許出願第60/038,379に記載されているような安定化スリングなどのインプラントの通路としても使用し得る。
【0296】
図24に示すように、スプリングリターンボタン518が、本体512の鉛直面の経路の最近位点に位置するとき、鈍先端546および膨張可能バルーン540を含むバルーンカテーテル536が、シャフト530内に後退する。図27に示すように、スプリングリターンボタン518を、スロットの最遠位端に向かって移動すると、バルーンカテーテル536に力が伝達され、シャフトの遠位端534に向かって軸方向にカテーテルが動いて、これにより切開鈍先端546がシャフト530から延長する。その後に、スプリングリターンボタン518を放すと、スプリングからの付勢が、スプリングリターンボタン518をスロットの最近位端に戻し、それにより切開鈍先端546は、シャフト530内に完全に後退した位置に戻る。スプリングリターンボタン518は、切開鈍先端246に対して、一対一ストローク運動を提供することが好ましい。図25に示すように、スプリングリターンボタンが最遠位端でロックされるとき、膨張可能バルーン540および切開鈍先端546は、シャフトの最遠位端534から突出する。
【0297】
図24に示すように、本体の最近位端は、そこにシリンジ528を受け入れるよう適合されている。シリンジ528は、プランジャ550、リザーバ、および先端を含む。シリンジの先端は、スプリングリターンボタン518の内部の最近位端に係合する。図25に示すように、スプリングリターンボタン518がロック位置に位置するとき、シリンジ528は本体512内に移動し、プランジャ550をトリガー514に係合させるように位置する。シリンジの先端はロック輪516に接合し、そこでルアー接続を係合する。ロック輪516を締めると、シリンジ528はその位置に確実に固定され、シリンジのリザーバがバルーンカテーテルの管腔に流体連絡される。
スプリングリターンボタン518が、ロックされた位置にあることで、シリンジのプランジャ550が、トリガー514を係合し、トリガー514を握ることで、シリンジのプランジャ550が押し下げられる。シリンジのリザーバが、滅菌生理食塩水または滅菌水などの流体で満たされると、トリガー514を握ることで、流体はシリンジ528から膨張管542の管腔に流入し、図28に示すように膨張可能バルーンを膨張させる。トリガー514は、リターンスプリングを含んでおり、トリガー514が握り位置から解放されると、トリガーは本来の位置に戻って、シリンジのプランジャ550を上方に引き、それによりシリンジのリザーバ内に真空を作り出して、膨張可能バルーン540から流体を引き込み、バルーンを収縮させる。プランジャ550およびトリガー514は、当業者の精通する多様な構造を介して相互結合され得る。例えば、ラック(rack)およびピニオンギアを介して相互結合され得る。
【0298】
組織切開器/拡張器610の別なる実施形態を、図29に示す。このデバイスでは、トリガー654が、図29に示すように別の形状を有し、一組の歯652をシリンジのプランジャ650に係合している。本体は中央開孔626を有し、そこにシリンジを受け入れる。また、この実施形態では、スプリングリターンボタン618のロック位置が本体612の底部に近く、スプリングリターンボタン618は、ロック状態でも非ロック状態でも本体の同側面上にある。
【0299】
組織切開器/拡張器の実施形態をいくつか上述したが、別なる構成がこのデバイスの機能に適合することは、当業者には理解されるであろう。そのような追加の構成は本発明の範囲内である。
【0300】
以下の部分では、この組織切開器/拡張器を用いることが、女性の尿失禁の治療にスリングを利用する膀胱頸部の経皮的な安定または支持の施術という文脈で説明されている。しかしながら、組織切開器/拡張器が、身体組織に開口を導入し、引き続きその開口を拡張する必要のある他の様々な施術に適用し得ることは、当業者に理解される。本施術は、図24、25、27、および28に示す組織切開器/拡張器510を特に参照して説明されているが、図29に示す組織切開器/拡張器610も本施術に使用し得ることが、当業者には理解される。
【0301】
組織切開器/拡張器のシャフトは、経皮的に挿入される。例えば経皮的挿入は、直腸筋膜部位に至る1インチの切開を有し恥骨結合上に施される、横切開を介し得る。組織切開器/拡張器510、610は、恥骨の裏側に沿って患者の体内組織に導入されるが、シャフトの遠位端は恥骨への接触を維持する。組織切開器/拡張器を組織内に挿入していく際、抵抗に遭遇した場合は、スプリングリターンボタン518を繰り返し半押しすることで、バイアススプリング(biasing spring)の動作を介して最近位端まで戻すことができる。このプロセスにより、切開鈍先端546のシャフト530外への延長、および切開鈍先端546のシャフト530への後退を反復的に行い、デバイスが通過する部分の身体組織中の開口を切開する。
【0302】
組織切開器/拡張器510は、上部膣壁に隆起(tenting)が観測されるまで進行する。次に、図30に示すように、使用者は、膨張可能バルーンを尿道の軸方向に対し垂直に進行させる方向に、およそ中間厚さで、尿道64と上部膣壁66との間にある組織62に交差するまで、シャフト534の遠位端を操作する。
【0303】
図31に示すように、次に、上述のスプリングリターンボタン518を用いて切開鈍先端546を反復的に延長および後退することにより、尿道64と上部膣壁66との間の組織62を鈍切開し(blunt dissected)、組織に開口を形成する。切開プロセスは、膨張可能バルーン540がシャフト530から完全に延長できるのに十分な大きさの開口が、組織62に形成されるまで反復される。これにより、シャフトの遠位端は、図32に示すように、尿道と膣の長手方向軸によって規定される平面で尿道64と上部膣壁66との間を横方向に延長する。
【0304】
スプリングリターンボタン518は、ロック位置まで進み、膨張可能バルーン540は、身体組織中の開口内に完全に延長していく。シリンジ528が所定の位置でロックされるので、リザーバはバルーンカテーテル536の膨張管542の管腔に流体連絡し、プランジャ550はトリガー514に係合する。トリガー514が握られ、バルーンカテーテル536の膨張管542を介して、シリンジのリザーバー内および膨張可能なバルーン540内に生理食塩水が投与され、バルーン540は膨張する。バルーン540の膨張は身体組織を拡張し、図33に示すように第一の開口を形成する。
【0305】
トリガー514は、その後で解放され、リターンスプリングの動作を介して、その本来の位置に戻る。トリガーがその本来の位置に戻るにつれて、シリンジ528のリザーバに真空が生成され、それにより膨張可能バルーン540から流体を引き出し、バルーン540を収縮させる。
【0306】
トリガー514は、必要であれば、身体組織内の開口が拡張するまで、何度も握ったり解放したりできる。膨張可能バルーン540および切開鈍先端546は、その後、シャフト530内に後退する。
【0307】
上述の切開および膨張工程は、図34〜36に示すように、尿道と上部膣壁との間の組織を通じて、組織切開器/拡張器を進行している間は反復され得る。切開および拡張の工程は、図37に示すように、連続的に拡張された開口またはポケット11が組織62に存在するまで反復され得る。連続的に拡張された開口またはポケットの形成の後で、組織切開器/拡張器は患者の身体から除去される。
【0308】
あるいは、連続的に拡張された開口またはポケット11を、尿道の両側に形成し得る。この施術では、第1の組織切開器/拡張器は、およそ尿道の中央線まで進んで、上述したように組織62を切開し拡張して、身体組織に第1の開口を形成する。第1の組織切開器/拡張器は身体から除去し得るか、または以下に説明する、患者の体内を通じてガイド部材または縫合糸を渡すために二つの切開器/拡張器が結合される実施形態では、第1の切開器/拡張器は患者の体内に残り得る。
【0309】
第2の組織切開器は経皮的に挿入される。これは第1の恥骨上切開と反対側に施される第2の恥骨上切開を介して達成される。第2の切開器/拡張器510は、第2の切開の中に挿入され、身体組織の第1の開口と整列するまで進められる。第2の切開器/拡張器と第1の開口との適正な整列は、膣壁の隆起の視認および触知を介して判定される。第2の組織切開器/拡張器510の切開鈍先端546は、シャフト530から延長および後退し、それにより身体組織の第1の開口に合流する第2の開口を身体組織に形成する。膨張可能バルーン540は、第2の開口内に延長し、第2の開口内で膨張することにより、身体組織を拡張する。
【0310】
第2の組織切開器/拡張器510が患者の身体から除去されるとき、図37に示すように、連続的に拡張された開口またはポケット11が組織62に存在する。
【0311】
上述の両方法において、骨盤床を支持または安定させるために、本明細書に記載されるスリング適用デバイスを用いて、スリングを開口またはポケットに導入する。
【0312】
バルーンカテーテルが、ガイド部材を受け入れるための第2の管腔を有する実施形態では、組織切開器/拡張器は、以下のようにガイド部材を導入するよう使用され得る。第1の開口またはポケットを形成した後であるが、第1の組織切開器/拡張器を身体から除去する前に、ガイド部材、縫合糸、ガイドカテーテルまたはウェブ(webbing)が、カテーテルの第2の管腔に導入される。第1の組織切開器/拡張器が身体から除去されるとき、ガイド部材は所定の位置に残される。
【0313】
連続的なポケットを形成した後であり、第2の組織切開器/拡張器を身体から除去する前に、第1のポケットのガイド部材が、第2の組織切開器/拡張器のカテーテルの第2の管腔に導入され、その中を進む。連続的なポケットの形成の後で第2の組織切開器/拡張器が除去されるとき、ガイド部材は所定の位置に残り、尿道の下を通過し連続的ポケットを介して、両方の恥骨上切開の間に延長する。
【0314】
これに代わり、組織切開器/拡張器は、シャフトの遠位端に係合部材を有し得、ガイド部材配置デバイスについて、上述した流体連絡により、二つのデバイスがその管腔と相互接続される。この実施形態においては、ガイド部材、縫合糸、ガイドカテーテル、またはウェブが、上述のガイド部材配置デバイスに対して、第1および第2の組織切開器/拡張器の相互接続された管腔を介して渡される。従って、ガイド部材、縫合糸、ガイドカテーテル、またはウェブが、二つの恥骨上切開の間に延長し、尿道と上部膣壁との間の組織を介して渡される。
【0315】
ガイド部材は、その後、上述のように開口またはポケット内にスリングを導入するのに用いることができる。
【0316】
さらに別の実施形態においては、組織切開器/拡張器は、経膣施術により用いられ得る。例えば、組織切開器/拡張器は、恥骨上切開を介するのではなく、上部膣壁を介して挿入され得る。この実施形態では、デバイスは、尿道と上部膣壁との間の組織62を進行し、バルーンが膨張して上述の開口またはポケットを形成する。
【0317】
(スリング適用デバイスおよびスリング適用システム)
本発明の別の局面は、スリングを身体組織内の開口またはポケットへ挿入するためのスリング適用デバイスである。スリング適用デバイスは、尿道と膣壁上部との間で組織へのアクセスを提供し、その組織内のポケットまたは開口へスリングを導入する。いくつかの実施形態では、スリング適用デバイスはスリングが挿入されるポケットまたは開口を作製する。他の実施形態では、スリング適用デバイスは予め形成されたポケットまたは開口へスリングを導入する。デバイスは、経皮方法のみで、または腹腔鏡検査処置手順で使用され得る。
【0318】
スリングを尿道と膣壁上部との間で、組織へ導入するための別のスリング適用デバイスが、現在利用可能である。このデバイスは2つのシャフト(それぞれが中央管腔を有する)を含み、これらシャフトはそれぞれのシャフトの近位端にある、水平に延びるタブを介して共にクランプされ得る。水平タブの内、1つのタブ上のレバーの回旋は、2つのタブを共にクランプし、これによって2つのシャフトは互いにロックする。
【0319】
現在利用可能であるデバイスは、以下のように尿道と膣腔上部との間で、組織へスリングを導入するように用いられる。2つのシャフトは、ロックされていない配置で尿道の対向した側面上の切開部へ導入される。シャフトは、患者の組織を通って、2つの整列したシャフトの管腔と共に尿道下に配置されるまで前進する。そしてレバーはロックする位置まで回旋され、2つのシャフトを共に固定する。鋭いブレードは2つのシャフトの内1つの管腔を通って挿入され、このブレードはシャフトの遠位端間で、組織に接触する。ブレードがシャフトの遠位端間で、組織を通って前進しながら、組織は切開される。最終的にブレードは第2シャフトの管腔に侵入し、これによって尿道と膣壁上部との間で、組織内に連続した開口を作製する。
【0320】
2つのシャフトはロックされておらず、内1つは患者の身体から取り外される。縫合糸はブレードの眼に挿入され、ブレードは尿道と膣壁上部との間で、組織内の開口へ前進される。そして直角クランプは、尿道と膣壁上部との間で、縫合糸を捕らえ、そして組織へ通すように使用される。直角クランプのジョー(jaw)が広がる場合、スリングを受容するような大きさの、拡張した開口が作製される。そしてスリングは、縫合糸に沿ってガイドされ、拡張した開口へ導入される。
【0321】
以下の記述から明らかになるように、本発明のスリング適用デバイスは、現在利用可能であるデバイスに対していくつかの利点を提供する。例えば、本発明のデバイスは、スリング受容開口を作製するための直角クランプ(現在利用可能であるデバイスには必要とされる)の使用を排除した。さらに、スリング導入器は、スリング適用デバイスが、現在利用可能であるデバイスには必要とされるガイディング縫合糸を使用せずに、スリングを導入することを可能にした。本発明のデバイスおよびデバイスの使用方法のさらなる利点は、ポケットまたは開口が水切開により作製された場合、処置手順はスリング適用デバイスの2つのシャフト間で、組織を切開せずに実施され得る。さらに本発明のデバイスを用いると、デバイスの2つの半体を互いにロックする前に、シャフトの遠位端を合わせて取り付ける必要はない。
【0322】
本発明のスリング適用デバイスは、一般に第1および第2シャフトを備える。
【0323】
第1および第2シャフトは中央管腔を有し、これはスリングがその管腔内を前進することが可能な大きさである。第1および第2シャフトの管腔は、スリング導入器がその管腔内を前進することが可能な大きさである。好ましくは、本発明のスリング適用デバイスのシャフトは、スリングを受容し得る組織内の開口を作製または維持するように十分に幅広い。
【0324】
好ましくは、スリング適用デバイスは、第1シャフトに取り付けられた第1ハンドル、および第2シャフトに取り付けられた第2ハンドルをさらに備える。第1および第2ハンドルは、その中に開口を有し、これらの開口はハンドルが取り付けられるシャフト内で、管腔と流体連絡する。好ましくは、第1および第2ハンドルは、互いに連結されるように適合される。
【0325】
本発明のスリング適用デバイスは、第1および第2シャフトの遠位端間の距離を増加するように調整するためのアジャスターを含む。アジャスターは、患者をモニタリングしている間(その処置手順の際に尿道がつままれていないことを確認するため)に、シャフトの遠位端間で距離が徐々に縮まることを可能にする。
【0326】
この特徴は現在利用可能であるデバイスには欠けており、このデバイスは上述の2つの配置(ロックされた、およびロックされていない配置)のみを有する。好ましくは、アジャスターは第1および第2ハンドルを係合する。
【0327】
好ましくは、第1および第2シャフトの遠位端上部は、遠位端下部に対して引込んでおり、スリングのインプランテーション手段(implantation procedure)中に尿道をつまむ可能性を低くする。この特徴は、現在利用可能であるデバイスには欠けており、このデバイスは、使用する際に尿道を損傷する危険性を高める。
【0328】
本発明のスリング適用デバイスのシャフトは、スリング適用デバイスがスリング導入システムの一部として使用され得るようなスリング適用処置手順の間に、いくつかの構成要素を受容するように適合される。スリング導入システムは、一般にスリング適用デバイス、鈍切開器およびスリング導入器を備える。いくつかの実施形態では、スリング導入システムは、鋭い組織カッターをさらに備え得る。
【0329】
スリング適用デバイス710の代表的な実施形態を図38Aに示す。図38Aに示すように、スリング適用デバイス710は、第1ハンドル712および第2ハンドル714を備え、それぞれに取り付けられた第1シャフト716および第2シャフト718を有する。第1および第2ハンドルは、開口725、727を有し、それらの開口内にスリングまたはスリング導入器を受容するように適合される。第1および第2シャフト716、718は、身体組織内へ挿入するように適合され、それぞれがその中に延長している中央管腔711および713を有する。第1および第2シャフトの管腔は、第1および第2ハンドル内の開口と流体連絡し、スリングまたはスリング導入器を受容するように適合される。第1および第2シャフト716、718は、身体組織内のポケットまたは開口を作製、または維持するように、そしてスリング導入器を受容するように適合された寸法を有する。スリング適用デバイスは、第1シャフト716と第2シャフト718との間の距離を調整するためのアジャスター720もまた備える。好ましくは、アジャスター720は連接ロックである。
【0330】
図38Aに示すように、第1ハンドル712は一般に長方形の遠位部分722、引込んだ領域724、および一般に長方形遠位部分722の幅よりも小さい幅を有する、一般に長方形の近位部分726を有する。第1ハンドル712の一つの面は、第2ハンドル上の延長部730を受容するための各端部で開いた長方形の凹部728を有する。
【0331】
図38Bに示すように、第1ハンドルはその上にタブ717を備えるロッキングボタン732を有し、これは延長部730セクション内の溝734を係合するように適合されている。このセクションは第1ハンドル712と第2ハンドル714との間に設置され、これによって2つのハンドルを共にロックする。ロックしている間の第2ハンドル714を備えた第1ハンドル712の整列は、整列孔758内に整列ピン756を配置することにより達成される。しかし当業者は、ハンドルを整列し、それらを共にロックする他の手段が使用され得ることを理解する。
【0332】
そのシャフト内を通る中央管腔を備える第1シャフト716は、第1ハンドル712を通って延びる。図39、40および41に示すように、第1シャフト716は円筒形であり、その遠位端736へ向かってカーブする。第1シャフト716は、長さ約3インチから約10インチ、外径約16分の3インチから約8分の5インチ、壁の厚さ約0.010インチから約0.020インチであり得る。
【0333】
好ましくは、第1シャフト716は、長さ約6インチから約8インチ、外径約0.
187インチから約0.275インチであり得る。しかし当業者は、上述の寸法が解剖学的な考慮および実施される処置手順の種類によって変わり得ることを理解する。
第1シャフト716は、多様な材料から製造され得、これはステンレス鋼およびアルミニウムを含む。好ましくは第1シャフト716は、ステンレス鋼から製造される。
【0334】
第1シャフト716は、その遠位端近くでカーブしている。好ましくは第1シャフト716は、約80°から約90°の弧を介してカーブする。より好ましくは、第1シャフト716は約90°の弧を介してカーブする。
【0335】
図42、43および44に示す、スリング適用デバイス810の他の実施形態では、カーブに近位である第1シャフト816部分は円筒形であり、カーブに遠位である第1シャフト816部分は平坦管である。平坦管は多様な断面形(例えば、長方形、六辺形または卵円形)を有し得る。第1シャフト816は、シャフトが円筒形である実施形態で上述したように、カーブしている。
【0336】
スリング適用デバイス910のさらなる実施形態では、第1シャフト916は、図45および46に示すように、その全長に沿って平坦である管を備える。第1シャフト916は、シャフトが円筒形である実施形態で上述したように、その遠位端に向かってカーブしている。
【0337】
好ましくは、第1シャフトは側方ベンド(side bend)を有する。この実施形態により第1シャフトは、すでに説明されたスリング適用デバイス710、810、910に関して、上述したように平坦、円筒形、またはいくつかの部分では平坦、他の部分では円筒形であり得る。
【0338】
図47、47Aおよび47Bは、スリング適用デバイス1010を示し、ここでシャフトは側面ベンドを有する。この実施形態では、第1シャフト1016は平坦であり、第1カーブセクション1021および第2カーブセクション1023をその長さに沿って有する。好ましくは、第1カーブセクション1021と第2カーブセクション1023との間での最大オフセット部分は、約1インチから約3インチである。図47および47Bに示すように、第2シャフト1018は、第1シャフト1016と同じ構成を有する。好ましくは、第1および第2シャフト1016、1018は、円筒形から楕円形または平坦に、平滑に変化する。より好ましくは、第1カーブセクション1021に近位のシャフトの部分は円筒形であり、そして第1カーブセクションに遠位のシャフトの部分は平坦である。好ましくは、第2カーブの曲線の半径は、シャフトの部分の軸平面を備える平面ではない。この実施形態におけるアジャスター1020は、上述のアジャスターと同じであり得る。
【0339】
あるいは、シャフトは図48に示すように、90°のねじれを有し得る。スリング適用デバイス1910の実施形態では、第1シャフト1916の近位部分1929は、第1シャフトの遠位部分1931に対して90°角度で配向され、第1シャフト1916の近位部分1929と第1シャフトの遠位部分1931との間に設置される移行セクション1933を備えて配向される。この実施形態におけるアジャスター1920は、上述のアジャスターと同じものであり得る。
【0340】
図38Aを参照すると、第2ハンドルの1つの面746は、組織を通ってデバイスを前進させる場合に外科医がそれをしっかりと握れるように適合される。アジャスター720は、面746に滑動可能に備え付けられる。アジャスター720は第1ハンドル712の底面上で、滑動可能にガイド748を係合する。ガイド748は、蝶番により(hingedly)延長部730に連結され、そして延長部730から、ガイド748と延長部730との間に設置されるスプリング754(図56に示す)のような付勢手段により付勢される。アジャスター720上のタブ750は、延長部730の側面とガイド748の側面との間で溝752に嵌まり、アジャスター720は近位端と遠位端との間でガイド748に沿って移動する。2つのハンドルがロックされている場合、アジャスター720のガイド748に沿っての移動は、図56から58に示すように、第1および第2シャフト716、718の遠位端間の距離を調整する。これは以下により詳細に記述される。
【0341】
しかし当業者は、本発明の操作と合致する他のアジャスター設計があることを理解し、そしてそのような設計は本発明において特に意図される。
【0342】
アジャスター720がガイド748の遠位の極端に向かって移動する際、延長部730からガイドを付勢するスプリングの抵抗は克服され、第1および第2シャフト716、718の遠位端間の距離は縮まる。アジャスター720がガイド748の近位の極端に向かって移動する際、スプリングはガイド748を延長部730から押し離し、第1および第2シャフト716、718の遠位端間の距離は増す。
【0343】
第2ハンドル714は、それを通って延びる第2シャフト718を有する。第2シャフト718は、第1シャフト716に関して上記されたのと同じ構成を有し、そして同じ材料から作成され得る。好ましくは、図38〜48において例示されるように、第2ハンドルの第2シャフトは、それと共に使用されることになる第1ハンドルの第1シャフトと同じ構成を有する。
【0344】
好ましくは、図49において示されるように、第1および第2シャフトの遠位端736および715の上部エッジ738および740は、スリングインプランテーション(implantation)処置手順の間尿道がつままれていることの可能性を低減するために下部エッジ742および744に対してわずかに引込んでいる。
【0345】
本発明のさらなる局面は、接触する組織または骨を摩損するかまたはしわをつけることなしに身体組織を切開するための鈍切開器である。鈍切開器は、スリング適用デバイスの第1および第2シャフトに挿入するために適合され、そしてシャフトの遠位端から突出する。鈍切開器は、スリング適用システム中の部品として使用され得る。
鈍切開器は、図50に示されるような栓塞子1110であり得る。栓塞子は、シャフトの遠位端に位置する可撓性セクション1114とシャフト1112の近位端に位置するハンドル1116との間に挟持された伸長平坦シャフト1112を備える。栓塞子1110がスリング適用デバイスの第1および第2シャフト716および718に挿入される場合、可撓性セクション1114は、栓塞子1110がシャフト716および718の遠位端近くの曲線に合致することが可能となるように曲がる。可撓性セクション1114は、栓塞子1110が第1および第2シャフト716および718に挿入される場合に第1および第2シャフト716および718の遠位端から伸長する通常剛性な先端1118をその遠位端で有する。通常剛性な先端1118は、第1および第2シャフト716および718が組織を通って前進する場合に接触する組織または骨を摩損することを防止する。別の実施熊様において、可撓性セクションは、可撓性を増加するために遠位端近くに開口を有し得る。
【0346】
栓塞子のシャフト1112は、ポリカーボネート、ナイロン、ポリプロピレン、およびアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などの種々の材料から作成され得る。好ましい材料は、ABSである。
【0347】
栓塞子の可撓性セクション1114は、ポリカーボネート、ナイロン、ポリプロピレン、およびABSを含む多くの材料のいずれかから作成され得る。好ましくは、可撓性セクション1114は、ABSから作成される。
【0348】
栓塞子の通常剛性な先端1118は、ポリカーボネート、ナイロン、ポリプロピレン、およびABSなどの材料から作成され得る。好ましくは、通常剛性な先端1118は、ABSから作成される。
【0349】
栓塞子1110が第1および第2シャフト716および718に挿入される場合、栓塞子の通常剛性な先端1118は、第1および第2シャフト716および718から突出する。
【0350】
好ましくは、通常剛性な先端1118は、シャフト716および718の遠位端の下部エッジ742および744から約0.1インチから約0.25インチまでの距離だけ突出する。より好ましくは、通常剛性な先端1118は、シャフト716および718の遠位端の下部エッジ742および744から約0.20インチの距離だけ突出する。
【0351】
本発明のさらに別の局面は、スリング1211に解放自在に係合し、そしてスリング1211を縫合糸なしに身体組織に導入するために改造されたスリング導入器1210である。スリング導入器1210は、スリング適用システム中の部品として使用可能であり、そしてスリング適用デバイス710の第1および第2シャフト716および718を通って導入および前進するために改造される。あるいは、スリング導入器は、腹腔鏡トロカールと併用して使用され得る。
【0352】
代表的なスリング導入器1210が、図51および52において示される。スリング導入器1210は、ポリエチレン、PET、またはビニルなどの多くの材料のいずれかから作成され得る。好ましくは、スリング導入器1210は、通常剛性なビニルから作成される。
【0353】
図51のスリング導入器1210は、狭い伸長遠位先端1212および袋1214を近位端に有する。スリング導入器のスリング導入器の伸長遠位先端1212は、スリング適用デバイスの第1および第2シャフト716および718を通過するように構成される。
【0354】
スリング導入器1210は、十分に長いので、スリング1211がスリング適用デバイス710の第2ハンドル中の開口727の近位端から突出する一方で、スリング導入器1210の遠位先端1216がスリング適用デバイス710の第1ハンドル中の開口725の近位端から突出する。
【0355】
スリング導入器の袋1214は、スリング1211をその中に受け入れる。スリング導入器1210を用いて導入されたスリング1211は、2つの恥骨上切開間に延長するのに十分なほど長くあり得、または縫合糸を用いて恥骨に取りつけられるように設計されるより短いスリングであり得る。本発明を用いた使用に適切な長いスリングおよび短いスリングは、題名が”Stabilization Slingf or Use in Minimally Invasive Palvic Surgery”で、(VESITEC.023A)、1998年2月13日に提出された同時係属中の米国特許出願、および同じ題名で、1997年2月13日に提出された米国仮特許出願シリアル番号60/038,379に開示される。
【0356】
袋1214は、比較的可撓性であり、そして好ましくは、ポリエチレン、PET、またはビニルなどの軟らかく、しなやかなプラスチックから作成される。いくつかの実施態様において、袋1214は、上記のようなエッジに沿ったある程度の剛性を提供するために硬化剤によって強化され得る。袋1214の近位端は、平坦な向きにスリング1211を維持するために十分に広くあり得る。あるいは、スリング導入器1210の袋は、スリングもまた巻かれた構成となるように、巻かれ得る。身体組織中の開口またはポケット中へのスリングの導入の間、スリング1211は、平坦な構成に変換され得る。
【0357】
1つの実施態様において、袋1214は、スリング材料の再水和または浸漬処置を容易にするために、図51に示される孔1218を有する。特に、多孔性袋1214は、袋が設置された溶液が袋内部でスリングに接触することを可能にする。このような溶液は、生理食塩水溶液および抗生物質溶液を含む。このように、孔は、スリング1211が身体中へ導入された後にスリングの表面上の微生物の増殖を防止するために抗生物質中にスリングが浸漬される処置を容易にする。孔はまた、スリングが袋内部にありながらスリングのガス滅菌を可能にする。
【0358】
この実施態様において、袋1214は、PE、PET、またはビニルなどの種々の材料から作成され得る。好ましくは、袋は、スリングが袋内部にある場合にスリングの明視化を可能にするように、透明な材料から作成される。好ましくは、袋は、約0.10インチから約0.25インチまでのサイズの孔を有する。好ましくは、袋1214は、約0.125インチのサイズの孔を有するビニルから作成される。
【0359】
別の実施態様において、袋1214は、無孔性であり得る。このような袋は、多孔性袋についての上記と同じ材料から作成される。しかし、無孔性袋は、そこに形成された孔を有さない。
【0360】
本発明のさらに別の局面は、第1シャフトおよび第2シャフトの遠位端の間に配置された組織を切断するための組織カッター1310および1312である。図53に示されるように、組織カッター1310は、かみそりアセンブリ1314中に収納されるかみそり1312を備える。可撓性カテーテル1316は、かみそりアセンブリ1314の遠位部分から延長する。管腔1318は、カテーテル1316から延長する。組織カッターのカテーテル1316の幅は、カテーテル1316が第2シャフト718内部に挿入され得るように、スリング適用デバイス710の第2シャフト718の幅よりわずかに小さい。
【0361】
組織カッター1310は、スリング適用システムの部品として使用され得る。
【0362】
図53において示される組織カッター中に、かみそりアセンブリ1314は、近位端に親指ボタン1322を有するハンドル1320、およびかみそり1312を受け入れるように改造された伸長カテーテル1316を備える。親指ボタン1322は、近位位置と遠位位置との間で可動であり、そしてハンドル内部のバネ1324によって近位位置へ付勢される。親指ボタン1322が押下されると、バネ1324の抵抗にうちかち、そして親指ボタン1322がかみそり1312に係合して、かみそり1312をカテーテル1316の遠位端から突出する位置に動かす。親指ボタン1322が放されると、かみそりは、カテーテル内部へ後退する。
【0363】
かみそり1312は、カテーテル1316の管腔よりも幅がわずかに小さい。かみそり1312の幅は、以下に説明される処置手順にしたがって挿入されるスリング1211の望ましい幅と一般に同じである。さらに、図53に示されるように、かみそり1312は、遠位端でわずかにテーパー状である。
【0364】
スリング適用デバイスおよびスリング適用デバイスの部品のいくつかの実施態様が上記されたが、当業者は、他の構成が本デバイスおよび本システムの動作と互換であることを理解する。例えば、スリング適用デバイスの第1ハンドル上のバネ付勢トリガーは、第1および第2シャフトの遠位端の間の距離を調節する連接ロック(articulating lock)を代用し得る。このようなさらなる構成はまた、本発明によって包含される。
【0365】
スリング適用デバイスは、以下のように使用される。方法は、背側切石術位置における患者に対して行われた。いくつかの方法において、ポケットまたは開口11は、本明細中において開示された方法およびデバイスのいずれかを使用して、尿道と上部膣壁との間の組織中に作成される。このような方法においては、第1および第2シャフト716および718が、スリングが導入され得る構成中の開口またはポケットを維持する。
【0366】
あるいは、スリング適用デバイスは、尿道と上部膣壁との間の組織中にポケットまたは開口11を作成するために使用され得る。
【0367】
スリング適用デバイスが開口またはポケットを維持する方法、またはスリング適用デバイスがポケットまたは開口11を作成する方法の両方は、以下に説明される。
【0368】
スリング適用デバイスの上記実施態様の各々は、以下に説明され、そして図54〜65において示される方法にしたがって使用され得る。
【0369】
通常剛性な先端1118が第1シャフトの遠位端から延長するように栓塞子1110を第1シャフトの管腔711に挿入した後、第1シャフト716は、経皮的に挿入される。例えば、第1シャフト716は、第1の恥骨上切開60中へ挿入され、第1の恥骨上切開60は、好ましくは長さが約1〜1.5インチであり、そして恥骨結節上に位置する。第1シャフト716は、患者の身体中へ前進され、そして恥骨の背面に沿って上部膣壁まで誘導される。一旦膣壁が天幕(tent)されると、配置が視覚的に明らかにされ、そして横方向の配置が次に調節され得る。図54において示されるように、次にスリング適用デバイスは、第1シャフト716の遠位端が尿道64に垂直に向けられて尿道64と上部膣壁66との間の組織62を向くように、90°回転させられ、尿道と上部膣壁との間の組織中に開口またはポケットを作成または維持する。図47および48において示される実施態様の場合、スリング適用デバイスは、デバイスが恥骨の背に沿って通過するにつれて90°回転する。
【0370】
通常剛性な先端1118が第2シャフト718の遠位端から延長するように栓塞子1110を第2シャフトの管腔713に挿入した後、第2シャフト718は、経皮的に挿入される。例えば、第2シャフトは、第2の恥骨上切開60中へ挿入され、第2の恥骨上切開60は、好ましくは長さが約1〜1.5インチであり、そして恥骨結節上に位置する。第2シャフト718は、第2シャフト718の遠位端が尿道64に垂直に向けられて尿道64と上部膣壁66との間の組織62を向くように、上記のように所定位置へ前進させられ、これにより尿道と上部膣壁との間の組織中に開口またはポケットを作成または維持する。図55において示されるように、この工程の完了時に、第1および第2シャフト716および718の遠位端が、尿道64と上部膣壁66との間の組織62中で互いに向かい合う。
【0371】
図58において示されるように、スリング適用デバイスが所定位置に来た後、栓塞子1110は、第1および第2シャフト716および718から除去され、そして第1および第2ハンドル712および714は、最も近位の点で調節器720と合わせてロックされる。調節器720は、ガイド748の最遠位端へ前進させられ、図57および58に示されるように第1および第2シャフト716および718の遠位端の間の距離を順次減少させる。このプロセスの間、医師は、尿道をつまむことを避けるために、膀胱鏡を用いて尿道の内壁表面を観察し得る。医師はまた、つまむことを避けるために上部膣壁66を観察する。第1および第2シャフト716および718が適切な位置された場合、尿道の内壁または上部膣壁のいずれにおいても、つまみは全く観察されない。正しい配置は、所望位置で触診を介しおよび上部膣壁中のふくらみを可視化することによって確認される。
【0372】
図58に示されるように、一旦正しい配置が得られると、調節器720は、ガイド748の最遠位端へ前進させられ、第1および第2シャフト716および718の遠位端の間の組織62を圧迫する。
【0373】
スリング適用デバイス710が尿道と上部膣壁との間の組織内にポケットまたは開口を形成する本発明において、次に、組織カッター1310は図59に示すように第2のシャフト718に挿入される。かみそりアセンブリ1314の親指ボタン1322を押し下げた場合、かみそり1312は第2のシャフト718の遠位端から延びて、そして、第1および第2のシャフト716および718の遠位端の間に位置する組織62を切って、連続開口11またはポケットをスリングを受け取るサイズに形成する。次に、かみそりアセンブリ1314の親指ボタン1322は解除され、かみそり1312を第2のシャフト718内に引っ込める。次に、かみそりアセンブリ1314は第2のシャフト718から除去される。
【0374】
スリング適用デバイスがポケットまたは開口を維持する方法、およびスリング適用デバイスがポケットまたは開口を形成する方法の両方において、図60に示すように、スリング1211に解除可能に係合して取り付けられたスリングまたはスリング導入器1210が、第2のハンドルの開口727を介して第2のシャフト718の管腔に挿入される。スリング1211の近位端は、スリング導入器1210の近位端の向こう側へと延びる。本発明と共に使用するのに適した長いスリングおよび短いスリングが、1998年2月13日に出願された同時係属出願の”Stabilization Sling for Use in Minimally Invasive Pelvic Surgery”という名称の米国特許出願(VESITEC.023A)、および1997年2月13日に出願された同じ名称の米国仮特許出願番号第60/038,379号に開示されている。
【0375】
好適には、多孔性のスリング導入器1210が使用され、かつ、スリング1211が取り付けられた多孔性スリング導入器1210を、上述のように第1のシャフトに挿入する前にウェッティングおよび/または抗生溶液に浸漬する。
【0376】
スリング導入器の延長された遠位端1212は、図61に示すように、第2のハンドルの開口727を通って、第2のシャフト718の管腔へと、第1のシャフト716の管腔へとを進み、第1のハンドルの開口725から外に出る。スリング1211の近位端を保持しつつ、スリング導入器1210の延長された遠位端1212が引っ張られる。スリング導入器1210は、第1のハンドル725の開口から出るまで進み、図62に示すようにスリング1211を第1および第2のシャフト716および718内に残す。このステップに続いて、スリング1211は第1のシャフト716および第2のシャフト718内部に配置され、そして、第1および第2のハンドルの開口725および727の近位端から延び出る。図63に示すように、第1のハンドルの開口の近位端から延び出るスリング1211の端部が把持され、第2のシャフト718が患者の身体から除去され、以前に第2のシャフトが占拠していた組織の開口11にスリング1212が残る。
【0377】
図64に示すように、以前は第2のシャフト718内部にあったスリング1212の近位端が把持され、そして第1のシャフト716が患者の身体から除去される。この処置手順の後に、スリング1211は、図65に示すように、上記処置手順によって形成された患者の身体の連続開口を通過する。
【0378】
次に、スリング1212は固着、ステープリング、リベット止め、または縫着によって恥骨等の構造体に固定されて、膀胱頸部を牽引または安定化するか、もしくは、1998年2月13日に出願された同時係属出願の”Stabilization Sling for Use in Minimally Invasive Pelvic Surgery”という名称の米国特許出願(VESITEC.023A)、1997年2月13日に出願された同じ名称の米国仮特許出願番号第60/038,379号、およびBenderevらに対して1997年3月18日に発行された米国特許第5,611,515号に開示されているようなアプローチを用いてプラットフォームを形成して尿道床を安定化する。スリングにかかる張力は、Benderevらに対して1997年3月18日に発行された米国特許第5,611,515号に開示されているような処置手順を用いて調整して、膀胱頸部を支持するか、または膀胱床を安定化することにより、尿の自制(urinary continence)を維持または向上する。
【0379】
(脱着可能部材スリング適用デバイスおよび回収装置)
本発明の別の局面は、上で述べたガイド部材配置デバイスに類似する脱着可能部材スリング適用デバイスに関する。通常、脱着可能部材スリング適用デバイスは、シャフトを通って延びる、ハウジングに連結された管腔を有する導入シャフトを備えたハウジングを含む。脱着可能部材は導入シャフトの遠位端に配置され、脱着可能部材はスリングに取り付けられた少なくとも1つの縫合糸に連結される。脱着可能部材スリング適用デバイスのシャフト内の管腔は、その内部にスリングを受け取ることができる。好適には、スリングは、管腔内部にある場合に、アコーディオン状の形状である。アコーディオン状の構成は不規則なひだから構成され得る。
【0380】
任意の選択で、脱着可能部材スリング適用デバイスは、導入シャフトの管腔内部に配置された軸方向に移動可能なニードルを更に備え得る。ニードルシャフトおよび鋭利な先端を備えるニードルは、導入シャフトから伸張可能である。
【0381】
図66〜図81に示すように、シャフトは、ガイド部材配置デバイスに関して上述したのと同じ様態でその遠位端に向かって屈曲する。
【0382】
本発明による脱着可能部材スリング適用デバイス1410を図66〜図79に示す。脱着可能部材スリング適用デバイスは、ハウジング1412および内部を管腔1416が延びるシャフト1414を備える。シャフト1414は、その近位端近傍に脱着可能部材に係合するための係合部材1411を有する。好適には、係合部材1411は、シャフトの外表面上に環状リングを備える。
【0383】
軸方向に移動可能な内部シャフト1440は、シャフト1414内部に配置され、そして、そこから伸張可能かつそこに後退可能である。軸方向に移動可能な内部シャフト1440は、その内部を通る管腔を有する。軸方向に移動可能な内部シャフト1440の移動は、ハウジング1412に旋回的に係合するアクチュエータ1442によって制御される。アクチュエータ1442を遠位に(distally)旋回することにより、軸方向に移動可能な内部シャフトが遠位に移動される。
【0384】
軸方向に移動可能なプランジャ1444は軸方向に移動可能な内部シャフト1440内部に配置され、そして、そこから延長およびそこに後退可能である。軸方向に移動可能なプランジャ1444の移動は、ハウジング1412にスライド可能に係合するボタン1446によって制御される。ボタン1446は、第1の近位位置、第2の中間位置、および第3の遠位位置の間に移動可能に配置される。ボタン1446が第1の近位位置にある場合、軸方向に移動可能なニードル1442の鋭利な先端1425は、脱着可能な部材内に後退される。
【0385】
その遠位端にシャフト1423およびその遠位端で鋭利な先端1425を有する軸方向に移動可能なニードル1422は、シャフト1414の遠位端に配置された脱着可能部材1424内部に配置された配備部材(deploymentmember)1448の開孔を通過する。スプリング1413は、配備部材1448と脱着可能部材1424との間に配置される。シャフト1414の遠位端上の係合部材1411は、脱着可能部材1424に解除自在に係合する。好適には、脱着可能部材はカップを含む。
【0386】
脱着可能部材1424は、シャフトの遠位端に係合する係合表面1426および連結部材1450を有する。連結部材1450は、シャフト1414の管腔内に配置されたスリング1418に取り付けられた少なくとも1つの縫合糸1428に連結される。好適には、スリング1418は、シャフト1414内部にアコーディオン様形状で、それの占有する空間を低減する。
【0387】
ボタン1446が中間位置にある場合、軸方向に移動可能なニードル1422の鋭利な先端1425は、デバイスが前進する間に組織を容易に穿刺できるように脱着可能部材1424から延ばされる。ボタン1446が遠位端にある場合、軸方向に移動可能なニードル1422は脱着可能な部材1424から最大限に延び、把持および固定を容易にするために、シャフト1423が脱着可能部材1424から突出して、隙間領域を通って膣内へと延びることができる。
【0388】
本発明の別の局面は、スリングを身体組織の開口またはポケットに導入するための回収装置である。回収装置の1つの実施形態を図67に示す。回収装置2010は、その遠位端近傍に係合部材2016を有するシャフト2014に取り付けられたハンドル2012を備える。
【0389】
回収装置のハンドル2012は、さまざまな形状を取り得、これらの形状は、解剖学的事項および実施される処置手順のタイプに応じて変化する。例えば、ハンドルは、図66に示す脱着可能部材スリング適用デバイスの形状と同様の形状を有し得る。
同様に、回収装置のシャフト2014は、図66に示す脱着可能部材スリング適用デバイス1410のシャフト1414と同じ構成を有し得る。好適には、係合部材2016は、シャフト2014の外表面上に環状リングを備える。
【0390】
1つの実施形態において、回収装置2010は変更された脱着可能部材スリング適用デバイス1410であり得、デバイス1410は、中空(hollow)または中実シャフトを有し、アクチュエータ1442、ボタン1446、脱着部材1424、スリング1418、およびシャフト内部に脱着可能部材を配備するための機構を有さない。
【0391】
回収装置のシャフト2014の遠位端2018は、脱着部材1424を係合するように適合された係合部材2016を有する。好適には、係合部材2016は、シャフトの外表面上に環状リングを備える。回収装置のシャフト2014は、中実か、または内部に中空を有し得る。
【0392】
上で説明し、かつ、図66および図67に図示した脱着可能部材スリング適用デバイス1410および回収装置2010は、さまざまな処置手順において用い得るが、この装置を用いてスリングを女性の尿道の下に取り付けるための代表的な処置手順を以下に説明し、かつ、図66〜図81に図示する。
【0393】
この処置手順の第1のステップは、スリング1418を導入可能にする開口またはポケット11を尿道64と上部膣壁66との間の組織62に形成することを含む。開口またはポケット11は、本明細書中、ならびに、1998年2月13日に出願された同時係属出願の”Stabilization Sling for Use in Minimally Invasive Pelvic Surgery”という名称の米国特許出願(VESITEC.023A)、および1997年2月13日に出願された同じ名称の米国仮特許出願番号第60/038,379号に説明される方法を含む様々な方法で形成し得る。
【0394】
ポケットを形成する好適な方法は、水切開を含む。図68に示すように、生理食塩水で満たされたシリンジ1430は、膣壁65を通って尿道と上部膣壁との間の組織62に挿入される。生理食塩水のボーラス(bolus)が組織内に投与され、図68に示すように、組織に開口またはポケット11を形成する。好適には、ボーラスは、約4ccの生理食塩水を含む。脱着可能部材スリング適用デバイスのシャフト1414は、経皮的に挿入される。例えば、シャフト1414は、第1の上部恥骨切開部61を介して経皮的に挿入される。図69に示すように、脱着可能部材スリング適用デバイス1410のシャフト1414がそこに挿入される。脱着可能部材スリング適用デバイス1410のシャフト1414は、恥骨の裏側に沿って患者の身体組織と通って、尿道64と上部膣壁66との間の組織62に形成された開口またはポケット11へと前進する。シャフト1414が前進する間に、ボタン1446は、ニードルの鋭利な先端1425が脱着可能部材1424内に存在する最も近位の位置から、ニードルの鋭利な先端1425が脱着可能部材1424から延び出た状態にある中間位置へと前進し得る。具体的には、鋭利な先端1425は延び出て筋肉群を切開し得る。
【0395】
シャフト1414の遠位端は経皮的に、または腹腔内視鏡的に(laparoscoplcally)ポケットまたは開口11の底へと前進し、そして、ボタン1446は最も近位の位置へと前進する。ここで、図70に示すように、ニードル1422は最大限に延び、そして鋭利な先端1425は上部膣壁66を通過する。図71に示すように、ニードル1422は止血鉗子(hemostat)1432等のデバイスで膣側に固定される。
【0396】
図72に示すように、次に、脱着可能部材1424はアクチュエータ1442を遠位に旋回させることによりシャフト1414の遠位端から脱着され、それにより、内部シャフト1440が遠位に移動して、配備部材1448と接触し、そして脱着部材1424をシャフト1414の遠位端から押し離す。
図73に示すように、ニードル1422は、脱着可能部材の係合表面1426が回収 装置2010の係合部材2016にアクセス可能であるように、ポケットまたは開口11内にトグルされる。好適には、ニードルは約30度〜約150度でトグルされる。より好適には、ニードルは約60度〜約120度でトグルされる。非常に好適な実施態様においては、ニードルは約90度でトグルされる。
【0397】
当業者には理解されるように、回収装置の係合部材に係合する脱着可能部材を位置づける他の方法が、軸方向に移動可能なニードルを有さない脱着可能部材スリング適用デバイスの実施態様と共に用いられ得る。
【0398】
回収装置のシャフト2014は、図74に示すように、経皮的にまたは腹腔鏡的に開口またはポケット11に進む。例えば、シャフトは、第2の恥骨上切開60を介して開口またはポケットに進み得る。
【0399】
図75に示すように、回収装置のシャフト2014の遠位端が脱着可能部材1424に挿入され、係合部材2016が脱着可能部材1424の係合表面1426と係合する。図78に示すように、その後膣壁66を突き抜くニードル1422が配置部材1448から引き出され、細菌を骨盤領域に引き戻さないように膣から取り出される。
【0400】
図77に示すように、回収装置のシャフト2014がポケットまたは開口11から引き抜かれると、脱着可能部材1424上の連結部材1450が、スリング1418に連結された縫合糸1428を、脱着可能部材スリング適用デバイス1410のシャフト1414から引き出す。図78に示すように、回収装置のシャフト2014がポケットまたは開口11からさらに引き抜かれると、スリング1418およびそれに連結した縫合糸1428が脱着可能部材スリング適用デバイス1410のシャフト1414から引き出される。
【0401】
図79に示すように、脱着可能部材スリング適用デバイス1410のシャフト1414と回収装置2010のシャフト2014とが患者の身体から引き抜かれる。スリング1418はそれにより、尿道64と上部膣壁86との間において開口またはポケット11内に残される。その結果、図80に示すように、縫合糸1428は、患者の身体の第1および第2の恥骨上切開60および61から延びる。
【0402】
好適には、スリング1418に取り付けられた縫合糸1428または内蔵型取付部材は、スリング1418が開口またはポケット11内の尿道下方において適切に中央に位置することを保証するために、上部にマーキング1436を有する。縫合糸または内蔵型取付部材上のマーキング1436は、スリングの中心1438から等距離にある。開口またはポケット11内のスリング1418の配置に続いて、医師は、図81に示すように、縫合糸1428を交差させる。縫合糸1428または内蔵型取付部材上のマーキング1436が、図81に示すように、患者の腹を横切る方向に延びる線に沿って位置づけられると、スリング1418はポケットまたは開口11内において適切に中央に配置される。
【0403】
スリングはその後骨固定または他の縫合糸に取り付けられて張力を与えられ得、それにより膀胱頸部を支持するかまたは尿道床を安定化する。これにより、1998年2月13日出願の”Stabilization Sling for Use in Minimally Invasive Pelvic Surgery”(VESITEC.D23A)という名称の同時係属中の米国特許出願、1997年2月13日出願の、同一の名称の米国特許仮出願番号第60/038,379号、およびBenderevらの1997年3月18日発行の米国特許第5,611,515号に記載されているようなアプローチを用いて、失禁自制を維持または改良する。
【0404】
(組織膨張部材、把持デバイス、およびバルーンカテーテル)
本発明のさらなる局面は、尿道と上部膣壁との間の組織内に開口またはポケットを形成する裂孔技術、および裂孔技術において用いられるデバイスに関する。
【0405】
裂孔方法は、膣切開の必要なく実施され得、従って、処置手順から感染する危険性を最小限に抑える。
【0406】
以下に詳細に述べるように、裂孔アプローチにおいて、管腔が、尿道と上部膣壁との間の裂孔組織内に形成される。管腔はその後膨張されて、スリングを受け入れるに十分なサイズの開口またはポケットを形成する。開口またはポケットはその後、組織膨張部材により開かれ、その間に第1の縫合糸または可撓性ガイド部材が経皮的に開口またはポケットに入る。ガイド部材は縫合糸、ガイドワイヤ、または、所望の位置にスリングをガイドするに適した他の構造であり得る。第1の縫合糸または可撓性ガイド部材は、把持デバイスで捕まれ、管腔内を引き抜かれて体外に出される。このプロセスは、第2の縫合糸または可撓性ガイド部材について、尿道の反対側で繰り返される。2つの縫合糸または可撓性ガイド部材はその後束ねられて、スリングをポケットに送達するガイドを形成する。その後、縫合糸またはガイド部材の結び目部分は、縫合糸またはガイド部材に沿ったスリングの前進が妨げられないように身体から外に出される。
【0407】
あるいは、スリングは身体の外部を延びる縫合糸に取り付けられ、巻回されまたは再び詰め物をされて、縫合糸を引くことにより管腔を介して身体に引き込まれ得る。
【0408】
上述したように、裂孔組織内の管腔の形成の後、管腔は膨張されてポケットまたは開口を形成する。本発明の一局面は、管腔を膨張させてポケットまたは開口を形成するバルーンカテーテルに関する。バルーンカテーテルは概して、管腔が内部を貫通する外管と、外管内の少なくとも1つの膨張可能バルーンとを備える。膨張可能バルーンは遠位端に切開鈍先端を有し、切開鈍先端は、組織に接触したときに身体組織内に開口を形成することを可能にするに十分な剛性を有する。
【0409】
裂孔アプローチに用いるに適したバルーンカテーテル536の一実施態様は、上述し、図26に示す。
【0410】
図26に示す実施態様において、単一の膨張可能バルーン540がある。バルーンカテーテルの別の実施態様においては、1を越えるバルーンがある。この実施態様は、同一幅のポケットを形成することが可能な単一のバルーンよりも小さい直径を有する複数のバルーンを用いて、スリングを収容するに十分広い開口またはポケットを形成することを可能にする。このようにして、ポケット上方および下方の組織が裂けることが最小限に抑えられる。
【0411】
図82は、好適な実施態様1536を示す。好適な実施態様1536において、遠位端で連結された2つの膨張可能バルーン1540および1541が外管1538の管腔内にある。好適には、膨張可能バルーンは、切開鈍先端1546によって遠位端で連結される。切開鈍先端は、プラスチックまたは金属のキャップを含み得る。あるいは、2つのバルーンの端部は容器内に収められ得る。図82の実施態様において、2つのバルーンは共通の膨張管を有する。しかし、当業者であれば、バルーンは別々の膨張管を有し得ることを理解する。
【0412】
図83は、バルーン1540および1541が膨張している、図82における実施態様を示す。図83に示すように、バルーン1540および1541は、膨張した場合、概して円筒状の形状を有する。この実施態様において、各バルーン1540、1541は、長さ約2cm〜約3cmであり得、膨張した際には約1cm〜約2.5cmの直径を有する。好適な実施態様においては、各バルーン1540、1541は、長さ約2cm〜約3cmであり、膨張した際には約1.5cm〜約2cmの直径を有する。より好適には、各バルーンは長さ約2.75cmであり、膨張した際には約2.5cmの直径を有する。
【0413】
医師のなかには、筋肉の不要な裂傷を裂けるために、骨盤床下方で行う処置手順を好む者もいる。スリングは好適には、長さ約1.5cm〜約6cmであり、幅約2cmである。より好適には、このような処置手順で用いられるスリングは、長さ2.5cm〜4cmであるが、一般的は外科医には、より長いスリングの方がより扱いやすい。なぜなら、より長いスリングの方が、配置中に滑って抜けることに対する許容があるからである。
【0414】
他の医師は、骨盤床を貫通して、領域を強化し得る瘢痕を残す処置手順を好む。このような処置手順において、スリングは20〜20cmの長さであり得る。
【0415】
これらの長いスリングは、取付縫合糸の長さを最小限に抑え、縫合糸の破壊に対する安全を提供しながら組織の内方発育をより可能にする。好適には、このような処置手順において用いられるスリングは、幅約2cmである。
【0416】
当業者であれば、スリングの寸法は適切に改変可能であることを理解する。しかし、いずれの場合も、バルーンカテーテル上のバルーンが、スリングを収容することができるポケットまたは開口を形成するに適したサイズを有することが好ましい。
【0417】
あるいは、平坦な輪郭のバルーン1640を有するバルーンカテーテル1636が管腔を形成するために用いられ得る。平坦な輪郭のバルーン1640は、円筒状バルーンがポケットを形成するために用いられた場合に起こり得る、スリングポケット上方および下方での不要な組織の拡張または裂傷を回避しながらスリングを受け取るようなサイズを有する平坦なポケットを形成することができる。
【0418】
好適には、平坦な輪郭のバルーン1640は、膨張した際に正方形または矩形の形状を有する。しかし、当業者であれば、本発明においては他の形状も適合可能であること、および形状は、用いられる特定のデバイスまたは処置手順に適合するように容易に改変され得ることを理解する。
【0419】
平坦な輪郭のバルーン1640は、好適にはマイラー、ポリエチレンまたはPETなどの非可撓性材料の2つのシートから形成される。あるいは、バルーンはブロー成形により形成され得る。
【0420】
本発明による平坦な輪郭バルーン1640を図84に示す。図示するように、バルーン1640は、一連の内部非膨張リブ1650を有する。一連の内部非膨張リブ1650は、膨張後に浅い輪郭を維持し、膨張中の均一な巻出(unrolling)を促進するように空気流を方向付け、膨張後に重要な領域における座屈を低減し、そして組織の一貫した膨張を所望の形状にする導管構造を提供するように作用する。カテーテルおよびバルーン1640の内部構造を、図85および図86の断面図にさらに示す。
【0421】
図84に示すように、バルーン1640は、バルーン1640の内部を延びる概して剛性な膨張管1642の遠位端に位置する。膨張管1642は、身体組織内でバルーン1640が前進し配置される間に、概して剛性な支持x構造を提供する。好適には、膨張管1642は、バルーン1640の内部に一連のフィルホール1658を有する。フィルホール1658は、バルーンの均一な膨張を促進する。しかし、当業者であれば、単一のフィルホールもまた用いられ得ることを理解する。
【0422】
一実施態様において、図85に示すうように、膨張管1642は、内部に2つの管腔を有する。一方の管腔であるガイド管腔1652は、ガイド部材を受け取るように適合され、他方の管腔である膨張管腔1654はバルーンの膨張用であり、バルーンの内部と流体連絡している。別の実施態様においては、カテーテルは単一の膨張管腔を有する。
【0423】
当業者であれば、カテーテルは、外科処置手順を行うのに必要な他の用具を収容するために、2を越える管腔が供給されることを理解する。
【0424】
膨張管は、生理食塩水または無菌水で充満されたシリンジに係合するように適合された近位端において、ルアー先端1656を有する。シリンジのプランジャが押圧されると、流体が膨張管腔1642を強制的に流れ、フィルホールからバルーンの内部に流れ込み、バルーン1640を膨張させる。シリンジのプランジャが後退すると、真空が形成され、流体をバルーン1640から引き出してバルーンを収縮1640させる。
【0425】
好適な実施態様において、バルーン1640は膨張管1642の外表面上で巻回されることによりエントリ部の輪郭を低減する。
【0426】
当業者であれば、上述したバルーンカテーテル536、1536、1636は以下に述べる裂孔処置手順以外の状況において身体組織を拡張するために用いられ得ることを理解する。例えば、バルーンカテーテル536、1536、1636は、上述した組織切開器/拡張器510において利用され得、あるいは、ガイド部材配置デバイス10、1910、スリング適用デバイス710、810、910、1010、または上述した脱着可能部材スリング適用デバイス1410を受け取るための予め形成された開口を形成するために用いられ得る。
【0427】
さらに、本発明のバルーンカテーテル536、1536、1636は、経膣失禁処置において尿道と上部膣壁との間の組織に開口またはポケットを形成するためにも用いられ得る。このような経膣処置手順において、バルーンカテーテルは、上部膣壁を介して、開口またはポケットが形成される領域に挿入される。その後バルーンは膨張され、スリングを受け取る開口またはポケットを形成する。いくつかの場合には、医師は、経膣骨固定移植デバイスと共にバルーンカテーテルを用い得る。経膣骨固定移植デバイスは、1996年11月8日出願の”Transvaginal Anchor Implantation Devlce”という名称の同時係属中の米国特許出願番号第08/744,439号に開示されているようなものである。しかし、経膣骨固定移植デバイスと共にバルーンカテーテルを用いることは、このような処置手順の経費に衝撃を与え得る。
【0428】
上記の図2Bおよび図82〜図86に図示したバルーンカテーテルは、複数の方法で体内に導入され得る。ある方法では、ニードルまたはガイド部材が裂孔組織内の所望の場所に挿入される。ニードルまたはガイド部材は、カテーテルのガイド管腔内に挿入される。カテーテルは、ガイド部材またはニードルに沿って所望の場所に進められる。生理食塩水または滅菌水を満たしたシリンジをカテーテルの端部にあるルアー先端に取り付け、シリンジのプランジャを押し、これにより、シリンジから液体を排出してバルーンを膨張させる。膨張したバルーンは組織を拡張または裂開し、これにより、スリングを受けるように適合化された浅い開口またはポケットを形成する。
【0429】
別の処置手順では、中空のニードルまたはトロカールが、身体組織内に導入され、所望の場所に進められる。単一の膨張管腔を有し得るバルーンカテーテルはニードルまたはトロカールの管腔内を通して端部まで進められる。ニードルまたはトロカールを、患者の体から部分的に引き出し、これにより、バルーンを露出させる。バルーンを上記のように膨張および収縮させ、これにより、スリングを受けるように適合化された開口またはポケットを形成する。
【0430】
本発明の別の局面は、身体組織内の開口またはポケットを膨張させる組織膨張器1710と、開口またはポケット内に進められた縫合糸を把持する把持デバイス1810とに関する。
【0431】
一般に、組織膨張器は、その中に管腔が延びた管と、上記管に取り付けられ、それ自体を身体組織内にある開口内へと挿入し、膨張させるための膨張可能且つ折畳み可能な部材と、上記膨張可能且つ折畳み可能な部材と連絡した膨張および折畳み制御部であって、上記膨張可能且つ折畳み可能な部材をこの部材が折り畳まれる第1の位置およびこの部材が膨張する第2の位置の間で移動させる膨張および折畳み制御部と、を備えている。
【0432】
本発明による組織膨張器1710のある実施形態を図87に示す。この組織膨張器は、その中に管腔が延びた管1712を備えている。好ましくは、管1712の管腔1714の直径は、光ファイバースコープのような視覚化装置と把持デバイスとを同時に収容するのに十分な直径である。
【0433】
膨張バスケット1716は管1712に取り付けられる。好ましくは、膨張バスケット1716は複数のワイヤ1718を備えており、これらの複数のワイヤ1718は、それらの遠位端において、引っぱりワイヤ1722に接続された先端1720によって接合されている。膨張バスケット1716は、図87に示すように、それが折り畳まれた第1の位置(実線で図示)と、それが膨張した第2の位置(点線で図示)との間で移動可能である。引っぱりワイヤ1722をデバイスの近位端に向かって引くと、膨張バスケット1716が膨張位置に向かって移動する。引っぱりワイヤ1722を放すと、膨張バスケット1716が折り畳まれる。
【0434】
膨張バスケット1716は、ステンレス鋼またはニチノールのような様々な材料から製造され得る。好ましくは、膨張バスケット1716はステンレス鋼で作られる。
膨張バスケット1716は、組織を約0.25インチ〜約1.5インチ膨張させ得る。好ましくは、膨張バスケット1716は、組織を約0.5インチから焼く1.25インチ膨張させる。特に好適な実施形態においては、膨張バスケット1716は組織を約1インチ膨張させる。
【0435】
組織膨張器の別の実施形態においては、膨張バスケットの代わりに、自己膨張ネットまたは自己膨張メッシュ管が使用され得る。
【0436】
本発明の別の局面は、上記の組織膨張器の管の管腔内部にフィットするように適合化された把持デバイスに関する。組織膨張器の管の管腔内に挿入されたとき、把持デバイスは、軸方向に移動して管の管腔から膨張可能であり、且つ、管の管腔内に後退可能である。一般に、把持部材は、その遠位端に把持器を有するカテーテルを備えている。
【0437】
本発明による把持デバイス1810を図88に示す。把持デバイス1810は、細長部材1812と、細長部材1812の遠位端に取り付けられた自己膨張把持バスケット1814とを備えている。
【0438】
好ましくは、把持デバイス1810は、組織膨張器1710の管腔1712内部にフィットするように適合化される。自己膨張把持バスケット1814は、組織膨張器1710の管1712の管腔内部にあるとき、管1712によって折り畳まれた配置に保持される。しかし、自己膨張把持バスケット1814は、管1712外部に延ばされると膨張する。好ましくは、膨張状態において、把持デバイス1810上の自己膨張把持バスケット1814は、組織膨張器1710の膨張バスケット1716内部にフィットする。把持デバイス1810は、管1712の管腔1714内に後退させられると、折り畳まれる。
【0439】
上記の把持デバイス1810および組織膨張器1710は、身体組織内の開口を膨張させて、膨張させた開口内に進めた縫合糸を把持することが必要となる様々な外科手術処置手順において使用され得る。便宜上、上記デバイスを裂孔膀胱頚部安定化処置手順において使用する場合を以下に説明する。
【0440】
図89は、尿道64と、膣1836と、尿道および上部膣壁の間にある裂孔組織62と、裂孔組織内に管腔1818を形成するためにデバイスを挿入するためのターゲット部位1816とを示している。本願に開示する裂孔膀胱頚部安定化処置手順においては、裂孔組織内に管腔1818を形成する前に尿道64を真っ直ぐにする。
【0441】
図90に示すように、尿道64は、大口径管1822内にあるフォーリーカテーテル1820を用いて真っ直ぐにすることができる。大口径管1822は、フォーリーカテーテルの周りにしっかりとフィットし、尿道の外部に延びる。好ましくは、大口径管はフォーリーカテーテルを硬直化するのに十分に硬い。
【0442】
好ましくは、大口径管1822は金属シャフトを含む。好適な実施形態において、金属シャフトは、膀胱頚部から近位端までの尿道の長さを測定する手段を含む。いくつかの実施形態において、大口径管1822は、その上にガイド手段を有し、このガイド手段は、カッターナイフのような裂孔組織を切開するためのニードル1830または他の切開デバイスを所望の部位までガイドすることを可能にする。このようなデバイスは、1998年2月13日に出願された同時係属中の米国特許出願”Method and Apparatus for Minimally Invasive Pelvic Surgery”(VESITEC.028A)、および1997年2月13日に出願された同じ名称の米国特許仮出願第60/038,380号に記載されている。
【0443】
図90に示すように、フォーリーカテーテル1820は、尿道64内に挿入され、膀胱頚部1826へと進められる。フォーリーカテーテルのバルーン1628は、膀胱頚部1826内部にあるとき、膨張する。あるいは、尿道鏡または当業者には周知の他の方法によって、尿道64を真っ直ぐにし得る。
【0444】
図91に示すように、大径穴ニードル1830が、図89に示した尿道64および上部膣壁66の間のターゲット部位1816において、裂孔組織62内に挿入される。膀胱頚部1826に位置決めされたフォーリーカテーテル1820のバルーン1828と外尿道との間の距離を測定することにより、適切な大きさのニードルを選択することができる。このニードルは、上記測定長よりも若干短いものであるべきである。例えば、ニードルは、上記測定長よりも約0.25インチ短いものであり得る。
【0445】
ニードル1830を、目視によってまたは機械的にガイドすることにより、上部膣壁と平行して且つ上部膣壁を貫通することなく裂孔組織に貫通させることができる。ニードルは、尿道の中線の下側で尿道64と平行して進められる。
【0446】
図92に示すように、ニードル1830を一部後退させると、ニードル1830によって形成された裂孔組織62内の管腔1818が、上記のデバイスのためのアクセスチャネルを提供する。
【0447】
あるいは、裂孔組織内に開口を切開するために、バイポーラRFカッターが用いられ得る。バイポーラカッターデバイスは、一方が可撓性で他方が剛性である1対のワイヤを備えており、これにより、その中にスリングを受けるように適合化された幅を持つスロットを裂孔の近位部分から膀胱頚部まで切開する。好ましくは、バイポーラカッターデバイスは、組織を切開および凝固するために80ワットの電力を用いる。本実施形態において、フォーリーカテーテルを配置した大口径管1822は、一連のサーミスタおよびこれらに伴なったコネクタを有し、これにより、バイポーラRFカッターデバイスに関連して利用される温度フィードバックを提供する。このようなデバイスは、1998年2月13日に出願された同時係属中の米国特許出願”Method and Apparatus for Minimally Invasive Pelvic Surgery”(VESITEC.028A)、および1997年2月13日に出願された同じ名称の米国特許仮出願第60/038,380号に記載されている。
【0448】
図93に示すように、バルーンカテーテル536は、ニードル1830の穴内に挿入され、ニードル1830の先端を越えて裂孔内の管腔1832内に進められる。図93は、図26に図示したバルーンカテーテル536の使用中の様子を示しているが、図82〜図86に図示したバルーンカテーテル1536および1636を使用してもよい。
【0449】
その後、図94に示すように、バルーン540を生理食塩水または滅菌水で膨張させ、これにより、大径穴ニードル1830によって形成された管腔1818の周りで裂孔組織62を拡張する。その後、バルーン540を収縮させて、バルーンカテーテル536を患者の体から引き出す。
【0450】
図95に示すように、組織膨張器1710は、ニードル1830の大径穴内に挿入され、ニードルの先端を越えて裂孔組織62内の管腔1818内に進められる。その後、引っぱりワイヤ1722を組織膨張器1710の近位端に向かって引くと、図96に示すように、膨張バスケット1716は膨張形状をとり、これにより、裂孔組織内の管腔1818を膨張させる。
【0451】
光ファイバースコープ1832を組織膨張器1710の管1712内に挿入して、膨張バスケット1716の内部へと延ばす。
【0452】
上記のようなガイド部材配置デバイス10を用いて、縫合糸1834またはガイド部材を、恥骨上切開部から恥骨の後側に沿って上側膣壁へと進める。縫合糸1834またはガイド部材を、図97に示すように、組織膨張器1710の膨張バスケット1716内に延ばす。光ファイバースコープ1832は、医師が、縫合糸1834またはガイド部材の位置を視覚化して、縫合糸1834またはガイド部材がいつ膨張バスケット1716内にあるのかを判断することを可能にする。
【0453】
把持デバイス1810は、組織膨張器1710の管1712の管腔1714内に挿入される。把持デバイスの自己膨張把持バスケット1814を管1712から延ばし、これにより、図97に示すように、自己膨張バスケット1814を膨張させる。縫合糸1834またはガイド部材68を自己膨張バスケット1814内に位置決めし、自己膨張バスケット1814を管1712の管腔1714内に引き戻し、これにより、図98に示すように、自己膨張バスケット1834を折り畳ませて縫合糸1834またはガイド部材を把持させる。図99に示すように、自己膨張バスケット1814を管1712を通して引き出し、これにより、縫合糸を患者の体外に向かって引く。把持デバイス1810を管1712から取り外し、縫合糸1834を患者の体外に引き出す。
【0454】
上記のようなガイド部材配置デバイスを用いて、第2の縫合糸を、恥骨の後側に沿って上部膣壁に向かって進める。第2の縫合糸は、尿道に対して第1の縫合糸とは反対側に位置決めされ、そして上記のように、膨張バスケット内に進められ、把持バスケットによって把持され、そして、患者の体外に引き出される。この処置手順によって、第2の縫合糸またはガイド部材が患者の体から延びた状態になる。
【0455】
その後、大径穴ニードル1830および組織膨張器1710を患者の体から取り外す。これらの2つの縫合糸の端部を互いに結びし、そして、恥骨上切開部から延びる結んだ縫合糸の端部を引っぱって結んだ縫合糸を体内に引き戻す。この結び目を、複数の恥骨上切開部の1つから出して、これにより、尿道の周りの恥骨上切開部間に延びる連続した縫合糸ガイド部材を提供する。縫合糸は、尿道の周りの恥骨上切開部からのガイド経路を提供し、これを利用すれば、上記のように、スリング導入カテーテルを用いてスリングを導入することができる。
【0456】
別の実施形態においては、大径穴ニードル1830が所定位置に残される。スリングは、体外で縫合糸に固定され、巻かれまたは詰め直し(restuffed)され、その後、恥骨上切開部から延びる縫合糸の端部を引っぱることによって、ニードルの穴を通して身体組織内にある開口またはポケット内に引き入れられる。
スリングにかかる張力は、上記のように調節され得る。骨固定子(bone anchors)または他の手段を用いて、上記のように縫合糸を固定して膀胱頚部を支持または尿道床を安定化することにより、尿自制力を維持または改善することができる。
特定の好適な実施形態について本発明を記載したが、本明細書中の開示内容を考慮すれば当業者には明白となる他の実施形態も本発明の範囲内である。従って、本発明の範囲は、添付の請求項を参照することによってのみ規定されることが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0457】
尿失禁の処置のために、尿道または膀胱頸部のような尿細管構造体の周囲を切開するデバイスを提供する。
【0458】
(要約)
尿失禁の処置のための経皮および裂孔アプローチに関するデバイスおよび方法が、本明細書中に提供される。特に、ガイド部材配置デバイス(10,1910)、スリング適用カテーテル(210,310,410)、組織切開器具/拡張器(510,610)、スリング適用デバイス、およびスリング適用システム、組織膨張器(1710)、把持デバイス(1810)、およびバルーンカテーテル(536,1536,1636)が本明細書中で開示される。尿自制を維持および改善するために、膀胱頸または尿道床を安定させる前述のデバイスを使用する方法もまた開示される。
【図面の簡単な説明】
【0459】
【図1】図1は、シャフトの遠位端で雄コネクタを備えたガイド部材配置デバイスの実施形態の側面図である。
【図2】図2は、デバイスの内部構造を示す図1の組立られたガイド部材配置デバイスの断面図である。
【図3】図3は、シャフトの遠位端で雌コネクタを備えたガイド部材配置デバイスの実施形態の側面図である。
【図4】図4は、図1のガイド部材配置デバイスの遠位端の4−4線に沿った拡大断面図である。
【図5】図5は、図3のガイド部材配置デバイスの遠位端の4−4線に沿った拡大断面図である。
【図6】図6は、図1の雄コネクタと図3の雌コネクタが結合されたガイド部材配置デバイスのシャフトの遠位端を示す断面図である。
【図7A】図7Aは、図1の7A−7A線に沿ったガイド部材配置デバイスのシャフトの遠位部を拡大した図である。
【図7B】図7Bは、図3の7B−7B線に沿ったガイド部材配置デバイスのシャフトの遠位部を拡大した図である。
【図7C】図7Cは、滑らかなカーブで別のシャフト配置を備えたガイド部材配置デバイスのシャフトの遠位部の拡大図である。
【図7D】図7Dは、滑らかなカーブで別のシャフト配置を備えたガイド部材配置デバイスのシャフトの遠位端の拡大図である。
【図8】図8は、組織に開口を作るため、雄コネクタを備えたガイド部材配置デバイスのシャフトの遠位端から組織中に延びている切開鈍先端を示す。
【図9】図9は、第1の恥骨上切開に挿入され、身体組織の中へ進められる第1のガイド部材配置デバイスを示す。
【図10】図10は、尿道と上部膣壁の縦軸によって規定された面において、シャフトの遠位端が尿道と上部膣壁の間を横切って延びるように尿道と上部膣壁の間の組織の中へ進められるガイド部材配置デバイスを示す。
【図11】図11は、組織に開口を作るため、雌コネクタを備えたガイド部材配置デバイスのシャフトの遠位端から組織中に延びている切開鈍先端を示す。
【図12】図12は、第2の恥骨上切開に挿入され、身体組織の中へ進められる第2のガイド部材配置デバイスを示す。
【図13】図13は、シャフトの遠位端を用いて尿道と上部膣壁の間の組織中で互いに接続された第1および第2のガイド部材配置デバイスを示す。
【図14】図14は、第1および第2のガイド部材配置デバイスが除去可能となった後の2つの恥骨上切開の間に延びるガイド部材を示す。
【図15】図15は、スリング適用カテーテルの平面図である。
【図16】図16は、図15の16−16線に沿ったスリング適用カテーテルの遠位端の拡大図である。
【図17】図17は、図16のスリング適用カテーテルの17−17線に沿った断面図である。
【図18】図18は、袋の中に補強補剛材を備えたスリング適用カテーテルの遠位端の拡大図である。
【図19】図19は、図18のスリング適用カテーテルの19−19線に沿った拡大図である。
【図20】図20は、多孔性材料で作られた袋を備えたスリング適用カテーテルの遠位端の拡大図である。
【図21】図21は、カテーテルの管腔を通って延びたガイド部材を用いて第1の恥骨上切開に導入されるスリング適用カテーテルを示す。
【図22】図22は、尿道と上部膣壁の間の組織の中へ進められるスリング適用カテーテルの袋から引き上げられるスリングを示す。
【図23】図23は、第1と第2の恥骨上切開の間に延び、尿道と上部膣壁の間の組織をとおり抜けるスリングを示す。
【図24】図24は、スプリングボタンが最近位点および切開鈍先端にあり、伸張可能バルーンがシャフトの内側に収縮される組織切開器/拡張器の平面図を示す。
【図25】図25は、スプリングボタンがロック部まで進み、伸張可能バルーンおよび切開鈍先端がシャフトから充分に延びる組織切開器/拡張器の平面図を示す。
【図26】図26は、遠位端に切開鈍先端の付いたバルーンカテーテルの側面図である。
【図27】図27は、スプリングリターンボタンがスライドの遠位端へ延び、切開鈍先端がシャフトから延びる組織切開器/拡張器の平面図である。
【図28】図28は、トリガが押し込まれバルーンが拡張される組織切開器/拡張器の平面図である。
【図29】図29は、組織切開器/拡張器の別の実施形態の平面図である。
【図30】図30は、伸張可能バルーンが尿道の軸方向に対して垂直に進み得る方向に尿道と上部膣壁の間のおよそ真ん中の厚さの組織を横切るまで進む組織切開器/拡張器のシャフトの遠位端を示す。
【図31】図31は、シャフトの遠位端から、尿道と上部膣壁の間の組織中に延び、それにより組織で第1の開口を切開する切開鈍先端を示す。
【図32】図32は、切開鈍先端を用いて作られた、尿道と上部膣壁の間の組織の第1の開口中に延びた伸張可能バルーンを示す。
【図33】図33は、組織の第1の開口で延び、それにより第1の開口を拡張するバルーンを示す。
【図34】図34は、鈍先端を用いて第2の開口を組織で第1の開口に整列される尿道と上部膣壁の間の組織で用いる切開組織で第2の組織切開器/拡張器を示す。
【図35】図35は、第2の開口に延びた伸張可能バルーンを示す。
【図36】図36は、第2の開口中に延び、それによって身体組織を拡張する伸張可能バルーンを示す。
【図37】図37は、尿道と上部膣壁の間の組織での連続開口を示す。
【図38】図38Aは、スリング適用デバイスの斜視図であり、図38Bは、図38Aのスリング適用デバイスの38B−38B線に沿ったロックボタン上のタブを示す平面図である。
【図39】図39は、スリング適用デバイスの側面図である。
【図40】図40は、図39のスリング適用デバイスの40−40線に沿った第1のシャフトの断面図である。
【図41】図41は、図40のスリング適用デバイスの41−41線に沿った第1のシャフトの断面図である。
【図42】図42は、ベンドへのシャフト近位部が円筒管で、ベンドへのシャフト遠位部が平坦管であるスリング適用デバイスの別の実施態様の側面図である。
【図43】図43は、図42のスリング適用デバイスの43−43線に沿った第1のシャフト遠位部の断面図である。
【図44】図44は、図42のスリング適用デバイスの44−44線に沿った第1のシャフト近位部の断面図である。
【図45】図45は、シャフトが全体の長さに沿って平らであるスリング適用の別の実施態様の側面図である。
【図46】図46は、図45のスリング適用デバイスの46−46線に沿った第1のシャフトの断面図である。
【図47】図47は、シャフトがサイドベンドを備えているスリング適用デバイスの別の実施態様の側面図であり、図47Aは、図47のスリング適用デバイスの47A−47A線に沿った第1のシャフトの平面図であり、図47Bは、図47のスリング適用デバイスの47B−47B線に沿った第2のシャフトの平面図である。
【図48】図48は、スリング適用デバイスの側面図であり、ここでシャフトは90°ねじれている。
【図49】図49は、スリング適用デバイスの遠位端の斜視図であり、ここではシャフトの遠位端の上部エッジが下部エッジに対してわずかに湾入されている。
【図50】図50は、スリング適用デバイスを使用する栓塞子の側面図である。
【図51】図51は、スリング導入器の平面図である。
【図52】図52は、図51のスリング導入器の52〜52線に沿った、断面図である。
【図53】図53は、デバイスの内部構造を示す、カッターの断面図である。
【図54】図54は、尿道と膣壁との間の組織に事前形成された開口に進められる、スリング適用デバイスの第1シャフトを示す。
【図55】図55は、尿道と膣壁との間の組織の開口で、互いに相対するスリング適用デバイスの第1シャフトおよび第2シャフトの遠位端を示す。
【図56】図56は、互いにロックされたスリング適用デバイスの第1ハンドルおよび第2ハンドルを示す。
【図57】図57は、アジャスターが、ガイドの近位端と遠位端との間の位置に進められるに従って減少する、スリング適用デバイスの第1シャフト遠位端と第2シャフト遠位端との距離を示す。
【図58】図58は、アジャスターがガイドの遠位端に進められた場合に、圧縮されるスリング適用デバイスの第1シャフト遠位端と第2シャフト遠位端との間の組織を示す。
【図59】図59は、スリング適用デバイスの第1シャフト遠位端と第2シャフト遠位端との間の組織をカッター切開することによって作製される、尿道と上部膣壁との間の組織の開口を示す。
【図60】図60は、スリング適用デバイスの第2シャフトに挿入される、スリング導入器を示す。
【図61】図61は、スリング導入器が、尿道と上部膣壁との間の組織を介して進められるにつれての、スリング導入器から引込まれるスリングを示す。
【図62】図62は、スリング導入器から完全に引込まれ、そしてスリング適用デバイスの第1シャフトと第2シャフトとの内に配置された、スリングを示す。
【図63】図63は、患者の身体から取り除かれた、スリング適用デバイスの第2シャフトを示す。
【図64】図64は、患者の身体から取り除かれた、スリング適用デバイスの第1シャフトを示す。
【図65】図65は、恥骨上切開間に伸ばされ、そして尿道と上部膣壁との間の組織に通過する、スリングを示す。
【図66】図66は、脱着可能部材スリング適用デバイスの側面図である。
【図67】図67は、回収装置の側面図である。
【図68】図68は、水切開による、尿道と上部膣壁との間の組織の開口の作製を示す。
【図69】図69は、脱着可能部材スリング適用デバイスのシャフトを示し、スリング適用デバイスはポケットに進むか、または尿道と上部膣壁との間の組織で開口する。
【図70】図70は、上部膣壁を介して伸びた、脱着可能部材スリング適用デバイスのニードルのとがれた点を示す。
【図71】図71は、血管鉗子で膣側に固定された、脱着可能部材スリング適用デバイスのニードルを示す。
【図72】図72は、脱着可能部材スリング適用デバイスのシャフトの遠位端から取り外された、脱着可能カップを示す。
【図73】図73は、トグルされた脱着可能部材スリング適用デバイスのニードルを示す。
【図74】図74は、ポケットへの第2恥骨上切開を介して進んだ、回収装置のシャフトを示す。
【図75】図75は、脱着可能カップに挿入され、そして脱着可能カップを係合する、回収装置のシャフトを示す。
【図76】図76は、膣から取り外されたニードルを示す。
【図77】図77は、脱着可能カップスリング適用デバイスのシャフトから引き抜かれた、スリングに接続された縫合糸を示す。
【図78】図78は、ポケットまたは開口から引込まれ、スリングを脱着可能部材スリング適用デバイスのシャフトから引き抜く、回収装置のシャフトを示す。
【図79】図79は、回収装置およびポケットから引込まれた脱着可能部材スリング適用デバイスのシャフトを示す。
【図80】図80は、患者の身体の外面への水切開を介して伸びる縫合糸を有する、尿道と上部膣壁との間の組織の開口に配置された、スリングを示す。
【図81】図81は、尿道と上部膣壁との間の組織の開口内の、尿道の下のスリングのセンタリングを保証するように配列された、縫合糸のマークを示す。
【図82】図82は、遠位端で連結された、2つの膨張可能バルーンを有する、バルーンカテーテルの側面図である。
【図83】図83は、膨張したバルーンを有する、図82のバルーンカテーテルを示す。
【図84】図84は、平坦輪郭バルーンを有する、バルーンカテーテルの平面図である。
【図85】図85は、図84のバルーンカテーテルの85〜85線に沿った、断面図である。
【図86】図86は、図84のバルーンカテーテルの86〜86線に沿った、断面図である。
【図87】図87は、組織拡張器の断面図である。
【図88】図88は、把持デバイスの側面図である。
【図89】図89は、尿道と上部膣壁との間の裂孔組織の管腔を作製するためのデバイスの挿入のための標的部位を示す。
【図90】図90は、Foleyカテーテルでまっすぐにされた尿道を示す。
【図91】図91は、尿道と上部膣壁との間の裂孔組織に挿入される、大穴径ニードルを示す。
【図92】図92は、ニードルによって作製された管腔がアクセスチャネルを提供するように、部分的に後退したニードルを示す。
【図93】図93は、裂孔組織で作製された管腔内に、ニードルの頂部を越えて進められた、バルーンカテーテルを示す。
【図94】図94は、裂孔組織で作製された管腔の周囲の組織を拡張するために膨張された、バルーンカテーテルのバルーンを示す。
【図95】図95は、裂孔組織で作製された管腔内に、ニードルの頂部を越えて進められた、組織膨張器を示す。
【図96】図96は、裂孔組織で作製された管腔内の、膨張した構成の組織膨張器を示す。
【図97】図97は、組織膨張器の膨張バスケットを通って、把持デバイスの自己膨張バスケットに通過する、縫合糸を示す。
【図98】図98は、組織をつかむ把持デバイスを示す。
【図99】図99は、剛性チューブから引込まれ、患者の身体の外面に向かって縫合糸を引き寄せる、把持デバイスを示す。
【符号の説明】
【0460】
10 ガイド部材配置デバイス
12 ハンドル
13 中空管状本体
20 支持体
22 シャフト
60、61 恥骨上切開
64 尿道

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイド部材を身体組織に挿入するためのガイド部材配置部材であって、以下、
近位端、遠位端および通じて延びる管腔を有するシャフトであって、該管腔はガイド部材を受けるよう適合されているシャフトと、
係合部材であって別のガイド部材配置デバイスと係合するためのシャフトの遠位端である係合部材、を含むガイド部材配置デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図84】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【図88】
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【図89】
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【図90】
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【図91】
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【図92】
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【図93】
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【図94】
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【図95】
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【図96】
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【図97】
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【図98】
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【図99】
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【公開番号】特開2007−160085(P2007−160085A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−320926(P2006−320926)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【分割の表示】特願平10−535995の分割
【原出願日】平成10年2月13日(1998.2.13)
【出願人】(300056576)ボストン・サイエンティフィック・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】