説明

結合アッセイ成分

1つの態様において、本発明は、試料中の関心対象の特異的アナライトを検出するのに有用な検出複合体を提供する。この複合体は、架橋複合体によってアナライト結合パートナーに間接的に連結されている検出マーカーを含む。この配置はアナライト結合パートナー上のアナライト結合部位の利用可能性を保つかまたは高める役割を果たし、結果的にアナライトの検出を高める。一部の態様において、本発明は、試料中の関心対象の特異的抗体を検出するのに有用な検出複合体を提供する。本発明の1つの局面によれば、それぞれが抗原を含む多量体、二量体、もしくはキメラ分子または粒子を含む架橋複合体であって、抗体またはタンパク質結合分子、核酸結合分子、糖質結合分子、もしくは脂質結合分子を利用して検出マーカーに結合している架橋複合体を用いて、1種または複数種の抗体を検出する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は全体として、診断の分野に関する。より具体的には、本発明は、抗体または抗原などのアナライト(分析物)を検出する方法を企図する。本発明の検出方法は、とりわけ、医学的なまたはその他の症状または前症状の診断またはリスク判定に、あるいは感染状態または免疫状態の判定に有用である。
【背景技術】
【0002】
先行技術の説明
本明細書中の引用文献の書誌的詳細は、本明細書の最後にも記載されている。
【0003】
本明細書中のいかなる先行技術への言及も、この先行技術がいずれかの国における共通の一般知識の一部を形成するという承認でもいずれの形の示唆でもなく、かつそのように解釈されるべきでもない。
【0004】
さまざまなアッセイが、研究に、分析に、開発に、および臨床的に関心対象のアナライトを検出するために利用されている。免疫アッセイは特に有用なアッセイ形式であり、これは抗体-抗原反応の特異性、強さ、および多様性を利用して、試料を分析しその中の特異成分を検出する。
【0005】
特異抗原に対する抗体の検出が特定の病状の診断に利用されている。例えば、A型肝炎ウイルスに対する抗体の存在は、A型肝炎ウイルスの感染およびそのウイルスの後続感染に対する免疫の可能性を示唆する。異なるクラスの抗体または免疫グロブリンの検出は同様に、疾患または被験体の免疫状態についてのさらなる情報をもたらすことができる。例えば、現在の病状はIgM抗体の存在によって判断され、より遠い過去における感染はIgG抗体の検出により判断されうる。
【0006】
特異抗原に対する抗体の検出方法も知られている。例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)および放射免疫アッセイ(RIA)が研究室において日常的に使われている。これらの方法は一般に、ある程度の実験技術を必要とする。技術をほとんど必要とせず、迅速に行われるさまざまな方法も開発されており、これらは介護時の特異抗原に対する抗体の検出に適している。
【0007】
多くの免疫アッセイでは、検出可能なマーカーに加えて特異抗原を含む複合体を形成することが必要である。ウイルスの抗原は、例えば、装置内で抗原-金コロイド複合体と特異抗体との間の免疫反応性が検出できるように、金コロイドと結合されてもよい。または、ウイルスの抗原は、抗原-酵素複合体と特異抗体との間の免疫反応性がELISAで検出できるように、西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素と結合されてもよい。
【0008】
しかしながら、金コロイドまたは酵素と関心対象の抗原との間の結合のプロセスは、抗原と検出を意図する抗体との間の免疫反応性の低下を引き起こす可能性がある。具体的には、抗体結合部位が金コロイドまたは酵素との物理的な結合部位である場合があり、したがって抗体分子に接近不能となる、または結合のプロセスが抗原の立体構造を変える場合があり、したがって抗体分子に認識されなくなる。少なくとも、金コロイドまたは酵素との抗原の結合が無作為な配向になって、抗原分子のほんの一部のみが患者抗体と反応し、診断学的検査で検出可能なシグナルを与えるのに利用可能であるに過ぎなくなる可能性がある。
【0009】
抗原との金または酵素複合体の調製には、抗体と反応して非特異的反応および信頼性の低い検査結果をもたらしうる夾雑タンパク質を含有する金または酵素複合体の形成を防ぐために、高度に精製された抗原の使用が必要になる。抗原の高度精製に使われるプロセスはそのような調製の費用を増大し、さらに抗原の免疫反応性の低下を引き起こしうる。
【0010】
したがって、検出マーカーとの結合の結果としてアッセイの感度または特異性を低下させない、検出マーカーの結合しているアナライト結合分子を用いて、抗体または抗原などのアナライトを検出する改良されたアッセイ系が必要である。
【発明の開示】
【0011】
発明の概要
本明細書の全体にわたって、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「含む(comprise)」という用語、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」という変化形は、記述された要素もしくは整数、または要素もしくは整数の群を含むが、他のいかなる要素もしくは整数、または要素もしくは整数の群を排除することを意味するわけではないと理解される。
【0012】
1つの態様では、本発明は、試料中の関心対象の特異的アナライトを検出するのに有用な検出複合体を提供する。この複合体は、架橋複合体によってアナライト結合パートナーに間接的に連結されている検出マーカーを含む。この配置は、アナライト結合パートナー上のアナライト結合部位の利用可能性を保つかまたは高める役割を果たし、結果的にアナライトの検出を高める。いくつかの態様では、本発明は、試料中の関心対象の特異抗体を検出するのに有用な検出複合体を提供する。この複合体は、抗原成分中の抗原が、抗体によって認識されるエピトープを含む、抗原成分に間接的に連結されている検出マーカーを含む。検出マーカーは、抗体に対する抗原性エピトープの利用可能性を保ち結果的に抗体の検出を促進するために、架橋複合体によって抗原に間接的に連結される。
【0013】
本発明の1つの局面によれば、それぞれが抗原を含んだ多量体、二量体、もしくはキメラ分子または粒子を含む架橋複合体であって、抗体またはタンパク質結合分子、核酸結合分子、糖質結合分子、もしくは脂質結合分子を利用して検出マーカーに結合している架橋複合体を用いて、1種または複数種の抗体を検出する方法が提供される。
【0014】
本発明は、とりわけ、アナライト結合パートナーが検出マーカーに連結される場合に、アナライトに結合するアナライト結合パートナーの能力を保つかまたは高める、アナライトの検出に用いる一連の結合パートナーを提供する。いくつかの態様では、本発明は、抗体に結合する抗原性エピトープの利用可能性を保つかまたは高めて結果的にその検出を促進する検出マーカー-抗原複合体を用いて、試料中の抗体を検出する検出系を提供する。本複合体は、特異抗体または抗原などの化合物をスクリーニングするためのアッセイ、キット、およびその他の装置の一部分として特に有用である。典型的な態様では、抗原は肝炎ウイルス抗原であり、肝炎ウイルス抗原に結合する抗体は抗肝炎ウイルス抗体である。
【0015】
いくつかの態様では、肝炎ウイルス抗原は、A型肝炎ウイルスおよび/またはB型肝炎ウイルスおよび/またはC型肝炎ウイルスおよび/またはE型肝炎ウイルスである。
【0016】
特異抗体の検出に用いる検出マーカー-抗原複合体に特に関連して本発明は記述されているが、本発明はそれに限定されることはなく、特異的アナライトを検出するための検出マーカー-アナライト結合パートナー複合体の使用にまで及ぶ。「抗原」および「抗原性ポリペプチド」という用語は、ハプテン、および抗体を作製できるその他の分子を含む。
【0017】
本検出複合体は、その感度および/または特異性を向上させるために、広い範囲の異なる免疫アッセイと組み合わせて使用されてもよい。1つの態様では、アナライトは検出マーカー-抗原複合体への曝露前に固体支持体に固定化される。いくつかの態様では、複合体または複合体の成分は検査キットまたは装置の区画中で保存されてもよい。検出マーカー-抗原複合体の成分は別々の場所または区画の中で保存されてもよい。
【0018】
キットは、別の検出マーカー、架橋パートナー成分、およびアナライト結合パートナーを含んでもよい。
【0019】
1つの局面では、検出マーカー-アナライト結合パートナーの配置は以下の構造を有する:

式中:
Mは、Aに間接的に連結されて検出マーカー-アナライト結合パートナー複合体を形成する検出マーカーであり;
Aは、アナライトにより特異的に認識されるアナライト結合パートナーである。いくつかの態様では、Aは、検出される抗体により特異的に認識されるエピトープを保有する抗原である。いくつかの態様では、AはX2に結合される乃至AはX2の一部として発現されるかまたはX2の一部として天然に存在するかのいずれかであり;
X1およびX2は、検出マーカー(M)とアナライト結合パートナー(A)との間で架橋複合体を形成する架橋結合パートナーを含み、それらは可逆的な非共有結合である(+)により結合されており;
X1は、X2に結合する部分と、アナライト結合パートナー(A)に結合するかまたはアナライト結合パートナー(A)を含む別の部分とを含む粒子、二量体、多量体、キメラ、または融合タンパク質である第1の架橋結合パートナーを含んでおり、式中で隣接する(-)は第1の架橋結合パートナーとアナライト結合パートナー(A)との間の共有または非共有結合である;
【0020】
粒子とはウイルス粒子またはウイルス様粒子を意味する。いくつかの態様では、X1はタンパク性のアナライト結合パートナーを含んだ組換えウイルス様粒子を含む。いくつかの態様では、ウイルス様粒子はトリ肝炎ウイルスに由来し、抗原はLポリペプチドの一部として発現される。
【0021】
X2は、検出マーカー(M)に結合されているか、融合されているか、または別の様式で直接的にもしくは間接的に連結されている第2の架橋結合パートナーを含んでおり、式中で隣接する(-)は共有または非共有結合である。いくつかの態様では、X2は抗体-抗体ビオチン-ストレプトアビジンまたはビオチン-抗ビオチン抗体の対などの結合分子の1対または複数対を用いて検出可能なマーカーに連結される。
【0022】
いくつかの態様では、X2は抗原結合分子、タンパク質結合分子、核酸結合分子、糖質結合分子、または脂質結合分子である。他の態様では、X2は抗原結合分子である。
【0023】
他の態様では、X2は抗体またはその抗原結合断片である。
【0024】
本配置で使われるアナライト結合パートナーは、さまざまな純度のものであってよい。任意の混合物において特異的なアナライト結合パートナーだけが検出マーカーと複合体を形成すると考えられるからである。例えば、関心対象の抗原を含有する細胞全体の溶解物を使用して、複合体を形成させることができるはずであり、関心対象の抗原だけが標識されるはずである。
【0025】
検出マーカー-アナライト結合パートナー複合体は、関心対象のアナライトに対する結合部位の利用可能性を最大化できる配向が確定されるという利点がある。具体的には、架橋複合体が1つまたは複数の抗体を含む場合、抗原を均一な配向で検出マーカーに結合させることができ、患者抗体に結合するエピトープの利用可能性をさらに最大化させることができる。
【0026】
免疫アッセイの場合、抗原は患者抗体の結合に適した部位が1箇所だけあって、診断検査の結果を与えてもよい。この場合、抗原との検出マーカーの結合は、続いて起こるまたは同時に起こる同一抗原種との患者抗体の結合を妨げるかまたは弱めてもよい。本発明は、抗体結合部位の2つもしくはそれ以上のコピーを利用できる多価抗原を使用することによってか、または、関心対象の抗原が、金コロイド-抗体複合体が結合する別の抗原もしくは同抗原内にある別のエピトープと物理的に結び付いているキメラ抗原を使用することによって、この問題を克服する。アッセイの実施までのおよびアッセイの実施を含めたいかなる時点で、検出マーカーがアナライト結合パートナーに連結されてもよいことは当業者には明らかであろう。
【0027】
好ましい態様の詳細な説明
本発明はアッセイにおけるアナライトの検出で、より具体的には、免疫アッセイにおける抗体の検出で用いる系を提供する。
【0028】
本発明は試料中のアナライトを検出する方法を提供し、この方法は、架橋複合体により検出マーカーをアナライト結合パートナーに間接的に連結させて、アナライトに対する結合部位の利用可能性を保つかまたは高めた検出マーカー-アナライト結合パートナー複合体と試料を接触させる段階; および検出マーカーを検出して試料中のアナライトの存在を示す段階を含む。
【0029】
本明細書で用いられる、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈により他に明記されていなければ複数対象を含む。したがって、例えば、「抗体」への言及は、単一の抗体または抗体の種、および同じまたは異なる特異性の2つまたはそれ以上の抗体を含み、「試料」への言及は2つまたは複数の試料を含み、その他のものも同様である。
【0030】
本発明の検出マーカー-アナライト複合体は、当技術分野で認識されている方法を用いて検出される。
【0031】
本明細書で用いられる、「検出する」への言及はその最も広い意味において、アナライトの存在を定性的にまたは定量的に試験するアッセイを含むように意図される。当業者であれば、本発明の複合体での使用に適した広い範囲のアッセイが存在することを認識するであろう。クロマトグラフィーアッセイは特に洗練されており、普及している試薬や機器および特定の研究で必要とされる結果に応じた、多くの異なる形式が利用可能とされている。クロマトグラフィー原理を利用した「迅速」アッセイは、正確さ、速さおよび使い易さに適合している。本発明の複合体は免疫クロマトグラフィー装置を使うのにとりわけ適している。しかしながら、適切な検出マーカーを有するので、本複合体は同様に、さまざまな異なる形式の分析にも適している。免疫アッセイまたは酵素に基づくクロマトグラフィーアッセイが特に好ましく、これらはWild D「The Immunoassay Handbook」, Nature Publishing Group, 2001の中に記述されており、ならびに本明細書に組み入れられる米国特許第4,016,043号; 第4,590,159号; 第5,714,389号; 第5,877,028号、第5,922,537号、第6,168,956号および第6,548,309号やそれらの中に引用されている参考文献により開示されている情報を参照することによって説明される。免疫クロマトグラフィーアッセイの場合、アナライトに対する抗体であって、同じく検出マーカーにも連結されるその抗体との凝集により、関心対象のアナライトが検出される。酵素に基づく類似のアッセイでは、抗原-抗体相互作用の代わりに酵素反応を使う。免疫クロマトグラフィー法のさまざまな変更は、その全体が本明細書に組み入れられる公表済みの米国特許出願第20010006821号、第20040087036号および第20040214347号に記述されている。複数のアナライト分析のための免疫金ろ過法は、本明細書に組み入れられる公表済みの米国特許出願第20030165970号に記述されている。
【0032】
さまざまな「検出マーカー」が記述されており、本発明で用いるのに適している。検出は、複合体の検出を可能にする分析的に同定可能なマーカーの物理的または化学的特性に基づくことができる。すなわち、マーカーは、マスタグ(mass tag)であってよく、それは放射能であってよく、あるいは色、分光法またはその磁性もしくは常磁性により同定可能であってよい。多くのアッセイでは、アナライトの分析は結合および非結合検出複合体の空間的分離を含む。または、検出マーカーは、関心対象のアナライトに結び付けられた場合にだけ、識別可能なシグナルを発生してもよい。コロイド複合体が特に好ましい。
【0033】
本アッセイに都合の良い検出マーカーは、アクリジニウムエステル、アクリジニウムスルホンアミド、イソルミノールなどの化学発光団; ATP、FAD、NADなどの補酵素; ルテニウムトリス(ビピリダル)などの電気化学発光団; 酢酸キナーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ラクタマーゼ、グルコースオキシダーゼ、ホタルルシフェラーゼ、β-D-ガラクトシダーゼ(galctosidase)、西洋ワサビペルオキシド、グルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼ、ラッカーゼ、ウミシイタケ(Renilla)ルシフェラーゼ、キサンチンオキシダーゼなどの酵素; ユーロピウムトリスビピリジンクリプテート(およびその他のランタニドクリプテート)、フルオレセイン、β-フィコエリスリン、ローダミン、ウンベリフェロン誘導体、テキサスレッドなどのフルオロフォア; 窒素酸化物などのフリーラジカル; アルカリホスファターゼ-抗フィトクロム一本鎖抗体などの融合複合体; アルカリホスファターゼ-塩基性線維芽細胞増殖因子受容体; アポイクオリン-IgG重鎖; 細菌アルカリホスファターゼ-IgG Fc結合タンパク質; ホタルルシフェラーゼ-プロテインA; ヒト胎盤アルカリホスファターゼ-4-1 BBリガンド; 海洋細菌ルシフェラーゼ(β-サブユニット)-プロテインA; メタピロカテカーゼ-プロテインA; プロテインA-抗フィトクロム一本鎖抗体; ピロフォラスプラジオフタラムス(Pyrophorus plagiophthalamus)(ジャマイカ コメツキムシ)ルシフェラーゼ-プロテインA; ホタルルシフェラーゼなどの遺伝子; 金、銀、セレンなどの金属および半金属; シクロペンタジエニルマンガン(I)トリカルボニル、金クラスターなどの金属錯体; ラテックス、赤血球、リポソームなどの微粒子; pUC19 DNAなどの核酸; ユーロピウム付活酸硫化イットリウムなどのリン光体; イクオリンなどの発光タンパク質; 硫化亜鉛被覆CdSe微粒子などの量子ドット; 125Iなどの放射性同位体; フェロセンなどのレドックス錯体; ガラクトシルウンベリフェロンなどの基質ならびにバクテリオファージT4などのウイルスを含むが、これらに限定されることはない。
【0034】
本発明を特定の検出マーカーおよび検出方法に限定することを望むわけではないが、フローサイトメトリーの使用が高速大量処理システムで特に好都合である。当技術分野において知られているように、フローサイトメトリーは、粒子が流水液に懸濁された状態で1つまたは複数のレーザー光線の軌道を通過する際に、それら粒子の物理的および化学的特性を素早く分析することを含む高速大量処理技術である。各細胞または粒子がレーザー光線を遮る際に、各細胞または粒子から放出された散乱光および蛍光が任意の適当な追跡アルゴリズムを使って検出および記録される。フルオロフォアの使用が特に有用である。適当なフルオロフォアの例は、表1に示される一覧表から選択されてもよい。この形式で用いるその他の検出可能なマーカーは、上記のように赤外色素と同様に発光およびリン光を含む。
【0035】
(表1)



1 Ex: ピーク励起波長 (nm)
2 Em: ピーク発光波長 (nm)
【0036】
蛍光発光を分析する任意の適当な方法が本発明により包含される。この関連で、本発明は、例えば、Lakowiczら(参照により本明細書に組み入れられるBiophys. J. 72: 567, 1997)により開示されているような2-光子および3-光子時間分解蛍光分光、例えば、Erikssonら(参照により本明細書に組み入れられるBiophys. J. 2: 64, 1993)により開示されているような蛍光寿命イメージングならびに、例えば、Youvanら(Biotechnology et elia 3 : 1-18, 1997)により開示されているような蛍光共鳴エネルギー転移を含むがこれらに限定されない技術を企図する。
【0037】
「アナライト(分析物)」とは、生物学的関心対象の任意の分子を含み、以下に限定されることはないが、サイトカイン、ホルモン、抗原、法医学試料、抗体、ハプテン、酵素、天然物、化学ライブラリーの成分、獣医学的または医薬的関心対象となるものを含む薬物、環境成分および同様のものを含む。
【0038】
抗原は精製された形で要求されることが一般的であり、都合良く組換え的に産生されることが多い。しかしながら、本発明の抗原は天然分子、合成分子、組換え分子、糖質分子、脂質分子または薬物分子であってもよい。発現分子のサイズおよび組成は、通常、その分子が反応することを要求される抗体を基準にして決定される。抗原が複雑すぎる場合、これは検出されることが要求されない抗体結合部位を含んでいる可能性が高い。したがって、抗原という用語がタンパク質の形状で使われる場合、分子のエピトープ保持部分に対する言及として本明細書で使われる。この用語はミリスチル化、グリコシル化、リン酸化および同様のものを含めて、ポリペプチドまたはタンパク質分子に対する修飾を除外するものではない。定義のなかに含まれるのは、例えば、1つもしくは複数の(例えば、表2に示されるものなどの非天然アミノ酸を含む)アミノ酸類似体を含むポリペプチドまたは置換結合を有するポリペプチドである。ポリペプチドまたはタンパク質への言及は、アミノ酸の重合体を意味し、いずれかの特定の長さに限定されるべきではない。この用語は、したがって、エピトープ、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質または任意の長さのタンパク質分子を含む。抗原性ポリペプチドは、単一のエピトープ領域から繰り返しエピトープ領域を含めて複数のエピトープ領域までを含んでもよい。抗原性ポリペプチドは単一のまたは複数の供給源に由来してもよいが、例えば、ウイルス、細菌、真菌、原虫、吸虫、線虫、プリオンおよび同様のものなどの、病原体由来の抗原が企図されるものであり、同様に腫瘍関連抗原も企図される。多くの病原体および腫瘍関連タンパク質の抗原性領域は、当技術分野において周知である。
【0039】
(表2)特殊アミノ酸に対するコード




【0040】
n=1からn=6の(CH2)nスペーサー基を有する二官能性イミドエステル、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステルなどのホモ二官能性架橋剤およびN-ヒドロキシスクシンイミドなどのアミノ反応部分とマレイミドまたはジチオ部分(SH)またはカルボジイミド(COOH)などの、他の基に特異的な反応部分とを通常含むヘテロ二官能性試薬を用い、例えば、3D立体構造を安定化させるために、架橋剤が使用されてもよい。さらに、ペプチドは、例えば、CαおよびNα-メチルアミノ酸の組込みならびにアミノ酸のCαとCβ原子との間の二重結合の導入によって配座固定されてもよい。
【0041】
「融合ポリペプチド」または「キメラポリペプチド」または「ハイブリッドポリペプチド」という用語は同義的に使用されて、同じ発現産物の一部として発現されるか、または合成的手段により生成される2つまたはそれ以上の結合ポリペプチドのことを意味する。融合ポリペプチドは2つまたはそれ以上のポリペプチドおよび、例えば、リンカーまたはスペーサー領域などの介在領域を含んでもよい。具体的には、特定の表面トポロジーを可能にするまたは直接的にもしくは間接的に容易にする領域が選択されてもよい。ウイルス粒子におけるポリペプチドトポロジーは、例えば、プロテアーゼ保護アッセイによりまたは抗体との相互作用力を測定することにより評価することができる。したがって、「融合ポリペプチド」における「融合」という用語は、「ウイルス融合」の意味では使われない。
【0042】
本明細書で用いられる「被験体」とは、動物、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトのことを指す。患者はヒトまたはヒト以外の動物かを問わず、個体、被験体、動物、宿主または受容者と呼ばれうる。本発明の分子および方法は、ヒト医薬、獣医薬に、および一般的な、家畜または野生動物の畜産に用途がある。便宜上、「動物」とは飼鳥類、鳥類飼育場の鳥または狩猟鳥などの鳥類を含む。好ましい動物はヒトまたはその他の霊長類、家畜動物、臨床試験動物、ペットもしくは捕獲された野生動物である。
【0043】
臨床試験動物の例としては、カモ類、スノーグース、マウス、ラット、ウサギ、モルモットおよびハムスターが挙げられる。ウサギならびに齧歯動物、例えば、ラットおよびマウスは都合の良い試験系または動物モデルをもたらす。家畜動物としてはヒツジ、ウシ、ブタ、ヤギ、ウマおよびロバが挙げられる。鳥類、ゼブラフィッシュおよび両生類などの哺乳類以外の動物も企図される。
【0044】
抗原は異なる生物、種または亜種由来の2つまたはそれ以上のポリペプチドからのエピトープ領域を含んでもよい。
【0045】
「試料」という用語は、被験体、実験室、または環境由来の精製されたまたは精製されていない組成物を含むようにその最も広い前後関係において使われる。好ましい態様では、試料は被験体由来の抗体含有体液から回収される生体試料であり、以下に限定されることはないが、血液、血漿、リンパ液、唾液またはその他の粘液性分泌物、涙液、脊髄液および同様のものなどの、任意の組織由来の組織または細胞を含んでもよい。試料への言及は被験体、環境または実験室から直接的に採取される試料だけでなくある種の加工処理を受けた試料も含むものと理解されるべきである。加工処理としては希釈、ろ過またはその他の分離技術もしくは解離のような段階を挙げることができる。
【0046】
「結合(binding)」「結合(conjugation)」「複合体(complex)」「連結(connection)」「結合(bond)」という用語は、特に明記しない限り、本明細書において同義的に使用される。本発明の複合体の成分はさまざまな異なる化学結合によって連結されてもよい。いくつかの態様では、1つ重要な制限は、複合体がアッセイの目的に関して完全(intact)であるということである。成分間の共有結合は本質的に、不可逆的結合である。抗体と抗原との結合およびリガンドとリガンド結合パートナーとの結合は、一般的に非共有結合性であるが、しかしそれらの成分は、要求されるアッセイおよび保存条件に耐えられることを基にして選択される。「抗原」および「抗原性ポリペプチド」という用語は、ハプテン、および抗体を作製できるその他の分子を含む。
【0047】
結合部位の利用可能性を保つまたは高めるとの言及は、結合部位の利用可能性に対し、アナライト結合パートナーが直接的にまたは抗体を介して検出マーカーに連結された場合のことを意味する。具体的には、本発明によってアナライト結合分子に連結されている多量体分子、二量体分子、キメラ分子、融合体分子またはウイルス粒子を利用することにより、アナライト結合分子の結合部位がアナライトとの結合用に確保される。
【0048】
抗原などのアナライト結合分子を含む融合タンパク質は、一般的に、分子生物学ラボマニュアル、例えば、参照により本明細書に組み入れられるSambrook and Russell「Molecular Cloning - A Laboratory Manual」(Cold Spring Harbour Press, 2001)の中に要約されているものなどの、周知技術を用いて産生されてもよい。融合タンパク質は、関心対象のアミノ酸の配列がそのアミノまたはカルボキシ末端で1つまたは複数のキャリア配列に共有結合された配列からなる。このキャリア配列またはアミノ酸の配列のどちらがアナライト結合タンパク質を含んでもよい。キャリア配列が抗原性エピトープを保有する場合、エピトープタグ法が都合良く使われてもよい。発現系およびベクターもSambrook and Russell(前記)の中に、精製および再折り畳み手順とともに記述されている。具体的には、発現されるアナライト結合分子のサイズおよび性質に応じて、発現系には、例えば、細菌の、哺乳類の、酵母のまたは昆虫の宿主細胞を使ってよい。さまざまなプラスミドが融合タンパク質の発現用に市販されている。第1の架橋結合パートナーポリペプチドに融合されたアナライト結合分子を含むキメラタンパク質および多量体分子は、同等の手順を用いて作製される。
【0049】
本明細書において「粒子」への言及は、ウイルス粒子またはウイルス様粒子への言及である。
【0050】
ウイルス粒子およびウイルス様粒子(VLP)は、当技術分野において公知の標準的な手順により産生される。VLPは天然ビリオンのキャプシドまたはエンベロープを模倣しており、例えば、ワクシニア(Hagensee et al., J. Virol. 67: 315, 1993)のまたはバキュロウイルス(Rose et al., J. Virol. 67: 1936, 1993)のキャプシドまたはエンベロープタンパク質の組換え発現により得ることができる。B型肝炎ウイルス(HBV)サブウイルス粒子(HBsAg-S)は、組換えVLPを産生させる候補と考えられている。preSドメインのN末端融合(Prange, et al, J. Gen. Virol. 76: 2131-2140, 1995)を含めて、いくつかの研究により、どのドメインが外来性エピトープの挿入に適しているか(Bruss et al., J. Virol. 65: 3813-3820, 1994 ; Delpeyroux et al J. Mol. Biol. 195: 343-350,1987)が調べられている。
【0051】
抗原は一般に、Paul,「Fundamental Immunology」, 第3版, 243-247 (Raven Press, 1993)およびその中に引用されている参考文献に要約されているものなどの、周知技術を用いて同定されてもよい。そのような技術は抗原特異的な抗体、抗血清および/またはT-細胞系もしくはクローンと反応する能力がないかポリペプチドをスクリーニングし断片を重ね合わせることを含む。本明細書で用いられる、抗血清および抗体は、それらが抗原に特異的に結合する(すなわち、それらがELISAまたはその他の免疫アッセイでそのタンパク質と反応し、関連のないタンパク質と検出可能な程度に反応しない)ならば「抗原特異的である」。抗原断片は、完全長のポリペプチドの反応性と類似したレベルまたはその反応性を超えるレベルで反応してもよい。スクリーニングは一般に、Harlow and Lane,「Antibodies: A Laboratory Manual」(Cold Spring Harbor Laboratory, 1988)の中に記述されているものなどの、当業者に周知の方法を用いて行われてもよい。例えば、ポリペプチドを固体支持体に固定化し患者血清と接触させて、固定化されたポリペプチドとの血清中の抗体の結合を可能にしてもよい。その後、結合していない血清を除去し、結合した抗体を、例えば、標識したプロテインAにより検出してもよい。
【0052】
「結合パートナー」または「結合ペア」という用語は、その構造によって決まる可逆的な非共有または共有結合を介して相互と結合するかまたは相互作用する補完的分子への言及である。典型的なタンパク性の結合パートナーとしては、抗体と抗原、酵素と基質、ビオチンとストレプトアビジン、マンノース/マルトース/アミロースとマンノース/マルトース/アミロース結合タンパク質およびサイトカインまたはリガンド受容体の相互作用が挙げられる。
【0053】
モノクローナル抗体は、純粋な形で大量に好都合に調製される。感作リンパ球を不死化細胞株と融合し、特異抗体産生株を選択することによって得られるモノクローナル抗体産生用のハイブリドーマ細胞株の調製は、Harlow and Lane (前記); およびKohler and Milstein, European Journal of Immunology 6: 511-519, 1976の中に記述されているものなどの現在の標準的な手順により当技術分野において周知である。
【0054】
他の局面では、本発明は、抗原が、抗体によって特異的に認識されるエピトープを含んでおり、その抗原上のエピトープの利用可能性を保つために、検出マーカーがその抗原に間接的に連結されている検出マーカー-抗原複合体と抗体を接触させる段階; およびアナライトを検出する段階を含む、試料中の抗体を検出する方法を提供する。
【0055】
この態様に関して、検出マーカーは、架橋結合ペアの第1のパートナーがアナライト結合パートナーを含む粒子、複合体、多量体または融合タンパク質であり、第2の架橋結合パートナーがその検出マーカーに結合されているかもしくは融合されているか、または別の様式で連結されている結合ペアを含む架橋複合体によってアナライト結合パートナーに間接的に連結される。
【0056】
したがって、本発明は、抗原が抗体によって特異的に認識されるエピトープを含む検出マーカー-抗原複合体であって、その抗原上のエピトープの利用可能性を保つために、その検出マーカーがその抗原に間接的に連結されており、間接的な連結が結合ペアを含む架橋複合体によるものであって、架橋結合ペアの第1のパートナーがその抗原を含んだ二量体、キメラもしくは融合タンパク質または等価な構造を含む粒子、複合体、多量体であり、架橋結合ペアの第2のパートナーがその検出マーカーに結合されているかまたは別の様式で融合されている検出マーカー-抗原複合体と抗体を接触させる段階; およびアナライトを検出する段階を含む、試料中の抗体を検出する方法をさらに提供する。
【0057】
関連する局面では、検出マーカー-アナライト結合パートナー複合体は以下の構造を含む:

式中:
Mは、Aに間接的に連結されて検出マーカー-アナライト結合パートナー複合体を形成する検出マーカーであり;
Aはアナライトにより特異的に認識されるアナライト結合パートナーである。1つの態様では、Aは患者試料中に存在する抗体により特異的に認識されるエピトープを保有する抗原であり;
X1およびX2は検出マーカー(M)とアナライト結合パートナー(A)との間で架橋複合体を形成する架橋結合パートナーであり、それらは可逆的な非共有結合である(+)により結合されており;
X1は、X2に結合する部分とアナライト結合パートナー(A)に結合する別の部分とを含む粒子、複合体、二量体、多量体または融合タンパク質である第1の架橋結合パートナーを含んでおり、隣接する(-)は第1の架橋結合パートナーとアナライト結合パートナー(A)との間の共有または非共有結合であり;
X2は、検出マーカー(M)に結合されているか、融合されているかまたは別の様式で連結されている第2の架橋結合パートナーを含んでおり、隣接する(-)は共有または非共有結合である。
【0058】
いくつかの態様では、X2はビオチン-ストレプトアビジンまたはビオチン-抗ビオチン抗体などの結合分子の1対または複数対を用いて検出可能なマーカーに連結される。
【0059】
いくつかの態様では、X2は抗原結合分子、タンパク質結合分子、核酸結合分子、糖質結合分子または脂質結合分子である。他の態様では、X2は抗原結合分子である。
【0060】
他の態様では、X2は抗体またはその抗原結合断片である。
【0061】
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、分析される抗体と同じまたは異なる特異性を有することが有利であるかもしれない。
【0062】
いくつかの態様では、検出可能なマーカーに結合されるかまたは別の様式で付着される第2の結合パートナーは、分析される特異的な試料抗体により認識される同一の免疫優性エピトープを認識するモノクローナル抗体である。
【0063】
好ましい局面では、第1の結合パートナーX2は、抗原の二量体形または多量体形を含む。
【0064】
さらなる局面では、第1の架橋結合パートナー(X2)は、ウイルス粒子またはウイルス様粒子である。好ましいウイルス粒子は肝炎ウイルスに由来する。好ましいウイルス様粒子は、例えば、実施例に図示されているアヒルB型肝炎ウイルスに由来する。
【0065】
さらなる態様では、第2の架橋結合パートナーは糖質を含み、抗原を含んだ融合タンパク質は同様に、糖質結合タンパク質を含む。いくつかの態様では、第2の架橋結合パートナーはマンノースを含み、抗原を含んだ融合タンパク質はマンノース結合タンパク質を含む。
【0066】
他の局面では、本発明は試料中の特異抗体を検出するキットを、試料を受容する部分と、抗原が特異抗体によって、この抗体が試料中に存在する場合に、認識されることができるエピトープを含んでおり、対照と比較してその抗体に対する抗原性エピトープの利用可能性とその検出を保つために、検出マーカーがその抗原に間接的に連結されている検出マーカー-抗原複合体を受容する部分とを含む区画形状で提供する。
【0067】
本発明のこの局面の好ましい態様では、検出マーカーは、架橋結合ペアの第1のパートナーが抗原を含む粒子、複合体、二量体、多量体または融合タンパク質であり、架橋結合ペアの第2のパートナーが検出可能なマーカーに結合されているかまたは別の様式で連結されている結合ペアを含んだ架橋複合体によって抗原に間接的に連結される。
【0068】
この局面によれば、検出マーカー-アナライト結合パートナー複合体は架橋複合体を含み、以下の構造を有する:

式中:
Mは、Aに間接的に連結されて検出マーカー-アナライト結合パートナー複合体を形成する検出マーカーであり;
Aはアナライトにより特異的に認識されるアナライト結合パートナーである。1つの態様では、Aは患者試料中に存在する抗体により特異的に認識されるエピトープを保有する抗原であり;
X1およびX2は検出マーカー(M)と結合パートナー(A)との間で架橋複合体を形成する架橋結合パートナーを含み、それらは可逆的な非共有結合である(+)により結合されており;
X1は、X2に結合する部分とアナライト結合パートナー(A)に結合する別の部分とを含む粒子、複合体、二量体、多量体または融合タンパク質である第1の架橋結合パートナーを含んでおり、式中で隣接する(-)は第1の架橋結合パートナーとアナライト結合パートナー(A)との間の共有または非共有結合であり;
X2は、検出マーカー(M)に同様に結合されているか、融合されているか、または別の様式で連結されている第2の架橋結合パートナーを含んでおり、式中で隣接する(-)は共有または非共有結合である。
【0069】
いくつかの態様では、X2はタンパク質結合分子、糖質結合分子、核酸結合分子、または脂質結合分子を含む。
【0070】
他の態様では、X2は抗体または抗原結合分子を含む。
【0071】
1つの態様では、検出マーカー-アナライト結合パートナー複合体は以下の構造を有する:

式中:
M1は、Aに間接的に連結されて検出マーカー-抗原複合体を形成する可視的に、光学的にもしくは磁気的にまたはその他の機器的にもしくは化学的に検出可能なマーカーであり;
A1は患者試料中に存在する抗体により特異的に認識されるエピトープを保有する抗原であり;
X1およびX2は検出マーカー(M1)と結合パートナー(A1)との間で架橋複合体を形成する架橋結合パートナーを含み、それらは可逆的な非共有結合である(+)により結合されており;
X1は、X2に結合する部分と抗原(A1)に結合するまたは抗原(A1)を含む別の部分とを含んだ粒子、複合体、二量体、多量体または融合タンパク質である第1の架橋結合パートナーを含んでおり、式中で隣接する(-)は第1の架橋結合パートナーと抗原(A1)との間の共有または非共有結合であり;
X2は、可視的に、光学的にもしくは磁気的にまたはその他の機器的にもしくは化学的に検出可能なマーカー(M1)に結合されているかまたは別の様式で連結されている抗体または抗原結合分子である第2の架橋結合パートナーを含んでおり、式中で隣接する(-)は共有または非共有結合である。
【0072】
いくつかの態様では、キットは免疫クロマトグラフィーキットを含めたクロマトグラフィーキットであり、アナライトは固体支持体に固定化されて、その検出を容易にする。
【0073】
キットはあるいはまたはさらに、検出マーカー-第2の架橋結合パートナー複合体および第1の架橋結合パートナー-抗原複合体を保持する別の区画を含んでもよい。いくつかの態様では、検出マーカー、X2、X1およびアナライト結合パートナーの1つまたはそれぞれが別の区画に保存される。これらの成分がキット内に別々に保存される場合、それらはアッセイ手順の前にまたはその間に混合されてもよい。それらの成分は溶液中で、乾燥、凍結または凍結乾燥の状態で保存されてもよい。
【0074】
特に好ましい態様では、金コロイド-モノクローナル抗体複合体を生産の間の装置への添加前に同種抗原と混合してもよい。E型肝炎ウイルスの例では、モノクローナル抗体4B2 (Riddell, M. A., et al J Virol. 74:8011-8017, 2000)と結合させた金コロイドを等量の組換えHEV抗原ORF2.1と混合し、装置の「結合パッド」への添加前に約15〜37℃でインキュベートさせる。その後、試薬を乾燥させて、再水和後に、予め形成させたこの複合体を装置内の固定化した抗HEV抗体特異的IgMと反応させるのに利用できる。
【0075】
または、金コロイド-モノクローナル抗体複合体および抗原を装置の製造中に物理的に分離してもよく、アッセイの実施の間に、これらを混合させて複合体を形成させてもよい。A型肝炎ウイルスの例では、モノクローナル抗体K3-4C8 (MacGregor A. et al, J. Clin. Microbiol., 18(5):1237-1243, 1983)と結合させた金コロイドを装置の「結合パッド」に添加し、その一方で不活化全ウイルスHAV抗原を「ウイルスパッド」に別に添加し、次いで試薬を乾燥させる。アッセイの実施の間に、「結合パッド」を初めに再水和し、その後、アッセイの実施の間に「ウイルスパッド」と接触させて、ウイルスの再水和を可能にすることができる。このプロセスの間に複合体を新たに形成させて、その後、装置内の固定化した抗HAV抗体特異的IgMと反応させるのに利用できる。
【0076】
または、金コロイド-モノクローナル抗体複合体は、以下に限定されることはないが、混合させると、金コロイド-モノクローナル抗体複合体の非共有結合複合体を形成すると考えられる金コロイド-抗ビオチン抗体複合体とビオチン-モノクローナル抗体複合体の利用などの間接的な方法によって調製してもよい。
【0077】
キットの成分は乾燥および/または凍結状態で保存されるのが好都合であり、使用の前に再構成される。
【0078】
好ましい態様では、患者試料中の特異抗体を固定化する。抗体はIgM、IgA、IgEまたはIgGなどの特定の抗体アイソタイプに特異的ともできる抗種抗体を用いて固体支持体に都合良く固定化されてもよい。現在、多数の異なる固体支持体が当技術分野において周知であり、それらはビーズ、粒子、プレート、メンブレン、フィルター、チューブなどを含む。
【0079】
本発明の検出複合体は特に、複数の検出複合体を用いて複数の試料を分析できる多重アッセイまたは高速大量処理における成分として個別にまたはともに適している。そのようなアッセイはコンピュータソフトウェアにより自動化されるおよび/または制御されることが好ましい。
【0080】
本発明を以下の限定するものではない実施例によりさらに記述する。
【0081】
実施例1 E型肝炎ウイルスの二量体ORF2.1抗原
本実施例では、金コロイド-抗体複合体は、この複合体が製造中に装置に加えられる前に、二量体E型肝炎ウイルスORF2.1抗原と複合化される。モノクローナル抗体(McAb 4B2)は関心対象の抗原中の免疫優性エピトープに対して作製されうる。飽和量の抗原の存在下では、二量体のうち一方の分子だけが金コロイドに結合しているモノクローナル抗体と反応するはずであり、図1に概略的に示されているように、二量体のうちもう一方の分子を患者抗体と反応させて診断検査で可視的なシグナルを与えることができる。実施例では、患者抗体は、関心対象の抗原をコードする病原体による現在のまたは最近の感染を示すIgMであるが、しかし平(flat)面、平(planar)面、丸面または曲面を含みうる固相の適切な抗免疫グロブリン抗体の置換によって、本方法を他のクラスの抗体(IgGまたはIgAまたはIgEなどの)に等しく利用できることは明らかである。ORF2.1組換え抗原はLi, F et al. J Med Virol. 52:289-300, 1997; Anderson D. A. et al., J. Virol. Methods. 81: 131-142, 1999; Li, F. et al., J Med Virol. 60: 379-386, 2000; およびRiddell, M. A., et al (前記)の中に記述されている。
【0082】
実施例2 A型肝炎ウイルスの多量体抗原
金コロイド-抗体複合体はアッセイの実施の間にA型肝炎ウイルス粒子(抗原)と、その2つの部分を含有する別個のアッセイ区画を一緒にすることで複合化される。本実施例では、モノクローナル抗体(K34C8)はまた、関心対象の抗原(ウイルス)中の免疫優性エピトープに対して作製されうるが、ウイルス濃度およびインキュベーション時間などの一定の条件下で、各ウイルス粒子内にあるエピトープの1つのまたは僅かなコピーだけが金コロイドに結合しているモノクローナル抗体と反応するはずであり、図2に概略的に示されているように、ウイルス粒子内の残存するエピトープを患者抗体と反応させて診断検査で可視的なシグナルを与えることができる。
【0083】
実施例3 アヒル肝炎ウイルスのウイルス様粒子(VLP)
A. 抗DHBV架橋の使用
本実施例では、金コロイド-抗体複合体は、関心対象の抗原がキメラVLPの一部として発現されているアヒルB型肝炎ウイルス(DHBV)のウイルス様粒子(VLP) (Hepgenics Pty Ltdの名の下に国際公開番号WO2004/092387の中に記述されている)と選択的に複合化されることができる。本実施例では、金コロイドに結合しているモノクローナル抗体(7C12)は、関心対象の抗原中ではなくVLPのDHBV部分中のエピトープ(SまたはL抗原)に対して作製されており、それによって図3に概略的に示されているようにVLP内にある関心対象の抗原のコピーを患者抗体と反応させて診断検査で可視的なシグナルを与えることができる。
【0084】
実施例4 アヒル肝炎ウイルスのウイルス様粒子(VLP)
B. 抗アナライト架橋の使用
本実施例では、金コロイド-抗体複合体は、この場合もやはり関心対象の抗原がキメラVLPの一部として発現されているアヒルB型肝炎ウイルスのウイルス様粒子(VLP) (Hepgenics Pty Ltdの名の下に国際公開番号WO2004/092387の中に記述されている)と選択的に複合化されることができる。本実施例では、金コロイドに結合しているモノクローナル抗体は、関心対象の抗原中の免疫優性エピトープに対して作製されうるが、エピトープのコピーがその表面全体に広がっているVLPの三次元構造によって、各VLP内にあるエピトープの1つのまたは僅かなコピーだけが金コロイドに結合しているモノクローナル抗体と反応するはずであり、図4に概略的に示されているように、VLP内の残存するエピトープを患者抗体と反応させて診断検査で可視的なシグナルを与えることができる。
【0085】
実施例5 架橋としての第2結合部位を有する単量体抗原
A. アナライト抗原上の第2エピトープの使用
この第5の例では、金コロイド-抗体複合体は単量体抗原と複合化されうる。本実施例では、金コロイドに結合しているモノクローナル抗体は、関心対象の抗原中の免疫優性エピトープに対して作製されていないが、その代わりに関心対象の抗原中の別のエピトープに対して作製されており、図5に概略的に示されているように、免疫優性エピトープを患者抗体と反応させて診断検査で可視的なシグナルを与えることができる。
【0086】
実施例6 架橋としての第2結合部位を有する単量体抗原
B. アナライト架橋を有するマンノース結合タンパク質(MBP)などの融合タンパク質の使用
本実施例は同様に、関心対象の抗原とのマンノース結合タンパク質(MBP)の融合などのキメラ組換え抗原の使用に当てはまり、この場合には、金コロイドに結合しているモノクローナル抗体はMBPに向けられており、図6に概略的に示されているように、関心対象の抗原全体を患者抗体と自由に反応させて診断検査で可視的なシグナルを与えることができる。
【0087】
実施例7 架橋としてのリガンド結合部位を有する単量体抗原
本実施例では、金コロイドはマンノースと化学的に結合されており、MBPはマンノースに、このリガンドに対するその天然の親和性によって結合するはずであり、図7に概略的に示されているように、免疫優性エピトープを患者抗体と反応させて診断検査で可視的なシグナルを与えることができる。
【0088】
実施例8 A型肝炎ウイルスの多量体抗原-タンパク質:タンパク質結合分子(ビオチン:抗ビオチン抗体)を用いてX2に連結された検出マーカー
金コロイド-抗体複合体はアッセイの実施の間にA型肝炎ウイルス粒子と、その2つの部分を含有する別個のアッセイ区画を一緒にすることで複合化される。本実施例では、金コロイド-抗体複合体は、当技術分野において周知の方法によりビオチンに結合されたモノクローナル抗体(K34C8(MacGregor et al(前記)))と複合体を形成する抗ビオチン抗体またはストレプトアビジンに結合された金コロイドの利用によって形成されうる。本実施例では、モノクローナル抗体(K34C8)は同様に、抗原中の免疫優性エピトープに対して作製されうるが、ウイルス濃度および/またはインキュベーション時間などの一定の条件下で、各ウイルス粒子内にあるエピトープの1つのまたは僅かなコピーだけが金コロイドに結合しているモノクローナル抗体と反応するはずであり、図8に概略的に示されているように、ウイルス粒子内の残存するエピトープを患者抗体と反応させて診断検査で可視的なシグナルを与えることができる。
【0089】
当業者であれば、本明細書に記載の本発明は、具体的に記述されているもの以外の変形および変更の余地があることを理解するであろう。本発明はそのような変形および変更の全てを含むものと理解されるべきである。本発明は同様に、本明細書に掲げられるまたは示される段階、特徴、組成物および化合物の全てを個別的にまたは集合的に含み、その段階または特徴のいずれか2つまたはそれ以上のありとあらゆる組合せを含む。
【0090】
引用文献


【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】検出マーカーに結合している抗体に一方の分子を介して結合されており、二量体のもう一方の分子を試料抗体(IgM)と相互作用させられる二量体ORF2.1抗原を含んだ検出マーカー(金コロイド)-抗原複合体を示す略図である。IgMは抗ヒトIgMを含んだストリップに固定化される。
【図2】A型肝炎ウイルス(HAV)粒子(第1の架橋結合パートナー)を含んだ検出マーカー(金コロイド)抗原複合体を示す略図であり、HAV粒子はまた、固定化IgM抗体および検出マーカーに結合しているモノクローナル抗HAV抗体(第2の架橋結合パートナー)により認識されるエピトープを保有する抗原をその多量体の性質によって含んでいる。ウイルス濃度およびインキュベーション時間などの一定の条件下で、各ウイルス内にあるエピトープの1つのまたは僅かなコピーだけが金コロイドに結合しているモノクローナル抗体と反応し、ウイルス粒子上の残存するエピトープを患者抗体と反応させることができるはずである。IgMは抗ヒトIgMを含んだストリップに固定化される。
【図3】固定化IgM患者抗体およびVLP S抗原上の第2のエピトープを認識する、検出マーカーに結合しているモノクローナル抗DHBV S抗原抗体(第2の架橋結合パートナー)によって認識されるエピトープを保有する抗原を含むアヒルB型肝炎ウイルス(DHBV)のウイルス様粒子(VLP) (第1の架橋結合パートナー)を含んだ検出マーカー(金コロイド)抗原複合体を示す略図である。金コロイドに結合しているモノクローナル抗体(McAb 7C12)は、アナライト結合パートナー抗原ではなくVLP (S抗原)のDHBV部分にあるエピトープに向けられており、VLP上の抗原のコピーを患者抗体と反応させて診断検査で可視的なシグナルを与えることができる。IgMは抗ヒトIgMを含んだストリップに固定化される。
【図4】固定化IgM患者抗体およびアナライト結合抗原上の同一エピトープを認識する、検出マーカーに結合しているモノクローナル抗体(第2の架橋結合パートナー)によって認識されるエピトープを保有する抗原を含むアヒルB型肝炎ウイルス(DHBV)のウイルス様粒子(VLP) (第1の架橋結合パートナー)を含んだ検出マーカー(金コロイド)抗原複合体を示す略図である。金コロイドに結合しているモノクローナル抗体はアナライト結合パートナー抗原に向けられているが、エピトープのコピーがその表面全体に広がっているVLPの三次元構造によって、各VLP内にあるエピトープの1つのまたは僅かなコピーだけがモノクローナル抗体と反応し、VLP内の残存するコピーを患者抗体に結合させて診断検査で可視的なシグナルを与えることができるはずである。IgMは抗ヒトIgMを含んだストリップに固定化される。
【図5】検出マーカーに結合している抗体に一方のエピトープを介して結合されており、単量体のもう一方のエピトープを試料抗体(IgM)と相互作用させられる単量体抗原を含んだ検出マーカー(金コロイド)-抗原複合体を示す略図である。IgMは抗ヒトIgMを含んだストリップに固定化される。
【図6】アナライト結合抗原に融合したマンノース結合タンパク質(第1の架橋結合パートナー)および金コトイドに結合した、マンノース結合タンパク質に対するモノクローナル抗体(第2の架橋結合パートナー)を含むキメラ組換え融合タンパク質を含んだ検出マーカー(金コロイド)-抗原複合体を示す略図である。モノクローナル抗体はMBPに向けられているので、アナライト抗原全体が試料抗体と自由に反応できる。試料抗体IgMは抗ヒトIgMを含んだストリップに固定化される。
【図7】アナライト結合抗原に融合したマンノース結合タンパク質(第1の架橋結合パートナー)および金コトイドに結合した、マンノース結合タンパク質(MBP)に対するリガンド(マンノース) (第2の架橋結合パートナー)を含むキメラ組換え融合タンパク質を含んだ検出マーカー(金コロイド)-抗原複合体を示す略図である。リガンドはMBPに向けられているので、アナライト抗原全体が試料抗体と自由に反応できる。試料抗体IgMは抗ヒトIgMを含んだストリップに固定化される。
【図8】A型肝炎に対するIgM抗体の検出を示す略図である。具体的には、架橋結合パートナーによりおよび検出マーカーを第2の架橋結合パートナー(X2)と連結させるタンパク質:タンパク質結合分子(ビオチン:抗ビオチン抗体)を用いて、検出マーカー(金コロイド)がアナライト結合タンパク質(HAV粒子)に連結されている。抗HAVモノクローナル抗体を利用して、関心対象の抗体(A型肝炎に対するIgM抗体)に結合できるA型肝炎ウイルス粒子(粒子または多量体を含むX1の一例)に結合している。金コロイドはビオチン化抗HAVモノクローナル抗体を認識する抗ビオチン抗体に連結されている。使用時には、各ウイルス粒子内にあるエピトープの僅かなコピーだけが抗HAV抗体と反応するはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中のアナライトを検出する方法であって、検出マーカーが架橋複合体によってアナライト結合パートナーに間接的に連結されて、アナライトに対するアナライト結合パートナー上の結合部位の利用可能性を保つかまたは高めており、架橋複合体がタンパク質X1、X2を含んでおり、ここでX1は、アナライト結合パートナーに結合するか、またはアナライト結合パートナーを含む、粒子、二量体、多量体、キメラ、融合タンパク質、または等価な構造を含み、かつX2に可逆的に結合しており、X2はX1により結合されており、かつ検出マーカーに結合されているか、融合されているか、または別の様式で連結されている、検出マーカー-アナライト結合パートナー複合体と試料を接触させる段階と; 検出マーカーを検出して、試料中のアナライトの存在を示す段階とを含む方法。
【請求項2】
検出マーカー-アナライト結合パートナー複合体の成分が別々または一緒に保存または使用される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
検出マーカー-X2成分およびX1-アナライト結合パートナー成分が別々に保存され、連続的に使用される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
アナライト結合パートナーが、単離分子、組換え分子、合成分子、天然分子、化学分子、またはタンパク質分子である、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
アナライト結合パートナーがタンパク質分子である、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
X1が、アナライト結合パートナーを含む粒子、二量体、多量体、キメラ、融合タンパク質、または等価な構造を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
アナライトがタンパク質に特異的に結合できる、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
アナライトが抗体である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
抗体が、IgM、IgE、IgA、およびIgG抗体のうちの1つである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
アナライト結合パートナーが抗原である、請求項8記載の方法。
【請求項11】
粒子がウイルス粒子またはウイルス様粒子である、請求項6記載の方法。
【請求項12】
ウイルス様粒子が、アナライト結合パートナーの1つまたは複数のコピーを含む組換えヘパドナウイルス様粒子(VLP)である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
X1が二量体であり、アナライトが二量体の一方の分子に結合し、X2が二量体の他方の分子に結合する、請求項6記載の方法。
【請求項14】
X1が多量体形である、請求項6記載の方法。
【請求項15】
X1がキメラ形である、請求項6記載の方法。
【請求項16】
X1が融合タンパク質である、請求項6記載の方法。
【請求項17】
X2が、抗原結合分子、タンパク質結合分子、核酸結合分子、糖質結合分子、または脂質結合分子を含む、請求項6記載の方法。
【請求項18】
結合分子が、アナライト結合パートナーに結合するか、またはX1中の異なるエピトープに結合する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
検出マーカーが、マスタグ、色素、コロイド粒子もしくは磁性粒子、酵素、放射性分子、化学発光団、フルオロフォア、リン光分子、ホタルルシフェラーゼなどの発光分子、金属および半金属、金属錯体、微粒子、核酸、リン光体、誘電体、常磁性粒子および/もしくはリン光粒子、発光タンパク質、量子ドット、放射性同位体、レドックス錯体、基質、ウイルス、またはその他の同等な分子の、1つまたは複数を含む、請求項17記載の方法。
【請求項20】
試料中の特異抗体を検出する方法であって、抗原が、抗体によって特異的に認識されるエピトープを含んでおり、検出マーカーが、抗体に対する抗原上のエピトープの利用可能性を保つかまたは高める架橋複合体を介して抗原に間接的に連結されており、架橋複合体が架橋結合パートナーX1およびX2を含んでおり、ここでX1は、抗原に結合するかまたは抗原を含む粒子、二量体、多量体、キメラ、融合タンパク質、または等価な構造を含み、かつX2に可逆的に結合しており、X2は抗体またはタンパク質結合分子を含み、X1により結合されており、かつ検出マーカーに結合されているか、融合されているか、または別の様式で連結されている、検出マーカー-抗原複合体と試料を接触させる段階と; 検出マーカーを検出して試料中の抗体の存在を示す段階とを含む方法。
【請求項21】
検出マーカー-X2成分およびX1-アナライト結合パートナー成分が別々に保存され、連続的に使用される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
X2が、抗原またはX1中の異なるエピトープに結合する、請求項21記載の方法。
【請求項23】
X1が二量体形の抗原であり、X2がこの抗原に結合する、請求項20、21、または22記載の方法。
【請求項24】
X1が二量体形の抗原であり、X2および特異抗体が同じまたは異なるエピトープに結合する、請求項20、21、または22記載の方法。
【請求項25】
X1がウイルス粒子またはウイルス様粒子である、請求項20、21、または22記載の方法。
【請求項26】
ウイルス粒子が、1つまたは複数の組換え、キメラ、または天然に存在する肝炎ウイルス粒子である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
ウイルス様粒子(VLP)がトリヘパドナウイルス様粒子である、請求項25記載の方法。
【請求項28】
VLPが組換えトリヘパドナウイルス様粒子であり、X2が抗原に結合する、請求項27記載の方法。
【請求項29】
VLPが組換えヘパドナウイルス様粒子であり、X2が、抗原の一部ではないX1のエピトープに結合する、請求項27記載の方法。
【請求項30】
VLPが組換えアヒルヘパドナウイルス様粒子であり、X2が、アヒルヘパドナウイルスのSまたはL抗原によって決定されるモノクローナル抗体である、請求項27記載の方法。
【請求項31】
X1が、抗原と、X2に可逆的に結合する第2の結合タンパク質とを含む融合タンパク質であり、X2が、第2の抗原成分により結合されている抗体、タンパク質結合分子、または糖質結合分子であり、X2はさらに検出マーカーに結合されているか、融合されているか、または別の様式で連結されている、請求項20、21、または22記載の方法。
【請求項32】
タンパク質結合分子または糖質結合分子が糖質であり、X1が糖質結合タンパク質を含む、請求項31記載の方法。
【請求項33】
タンパク質結合分子がリガンドであり、X1が受容体を含む、請求項31記載の方法。
【請求項34】
タンパク質結合分子または糖質結合分子がタンパク質であり、X1がタンパク質結合タンパク質を含む、請求項31記載の方法。
【請求項35】
検出マーカーが、マスタグ、色素、コロイド粒子、酵素、放射性分子、化学発光団、フルオロフォア、リン光分子、ホタルルシフェラーゼなどの発光分子、金属および半金属、金属錯体、微粒子、核酸、リン光体、誘電体、常磁性粒子および/もしくはリン光粒子、発光タンパク質、量子ドット、放射性同位体、レドックス錯体、基質、ウイルス、またはその他の同等な分子である、請求項20記載の方法。
【請求項36】
検出マーカーが、金コロイド、銀コロイド、またはセレンコロイドなどのコロイド粒子である、請求項35記載の方法。
【請求項37】
アナライトが検出前に固体支持体に固定化される、請求項20記載の方法。
【請求項38】
複合体の成分が、別々または一緒に保存または使用される、請求項20記載の方法。
【請求項39】
試料中の1つまたは複数の特異的アナライトを検出するのに使用される際の請求項1〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項40】
試料中のA型肝炎および/またはB型肝炎および/またはC型肝炎および/またはE型肝炎などの肝炎に対する1つまたは複数の特異抗体を検出するのに使用される際の請求項20〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項41】
抗体が、IgA、IgM、IgE、およびIgG抗体から選択される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
クロマトグラフィー法または免疫クロマトグラフィー法である、請求項40記載の方法。
【請求項43】
試料中の特異抗体を検出するキットであって、特異抗体が試料中に存在する場合に、抗原が特異抗体によって認識されるエピトープを含んでおり、対照と比較して抗体に対する抗原上のエピトープの利用可能性とその検出を保つために、検出マーカーが架橋複合体によって抗原に間接的に連結されており、架橋複合体が架橋結合パートナーX1およびX2を含み、ここでX1は、抗原に結合するかまたは抗原を含む粒子、二量体、多量体、キメラ、融合タンパク質、または等価な構造を含み、かつX2に可逆的に結合しており、X2は、抗体またはタンパク質結合分子を含み、X1により結合されており、かつ検出マーカーに結合されているか、融合されているか、または別の様式で連結されている、試料を受容する部分と検出マーカー-抗原複合体を受容する部分とを含む区画形状のキット。
【請求項44】
検出マーカー-X2成分およびX1-アナライト結合パートナー成分が別々に保存され、連続的に使用される、請求項43記載のキット。
【請求項45】
X2が抗原またはX1中の異なるエピトープに結合する、請求項43または44記載のキット。
【請求項46】
X1が二量体形の抗原であり、X2がこの抗原に結合する、請求項43、44、または45記載のキット。
【請求項47】
X1が二量体形の抗原であり、X2および特異抗体が同じまたは異なるエピトープに結合する、請求項43、44、または45記載のキット。
【請求項48】
X1がウイルス粒子またはウイルス様粒子である、請求項43、44、または45記載のキット。
【請求項49】
ウイルス粒子が、組換え、キメラ、または天然に存在する肝炎ウイルス粒子である、請求項48記載のキット。
【請求項50】
ウイルス様粒子(VLP)がトリヘパドナウイルス様粒子である、請求項48記載のキット。
【請求項51】
VLPが組換えトリヘパドナウイルス様粒子であり、X2が抗原に結合する、請求項50記載のキット。
【請求項52】
VLPが組換えヘパドナウイルス様粒子であり、X2が、抗原の一部ではないX1のエピトープに結合する、請求項50記載のキット。
【請求項53】
VLPが組換えアヒルヘパドナウイルス様粒子であり、X2が、アヒルB型肝炎ウイルスのS抗原によって決定されるモノクローナル抗体である、請求項52記載のキット。
【請求項54】
X1が、抗原と、X2に可逆的に結合する第2の抗原成分とを含む融合タンパク質であり、X2が、第2の抗原成分により結合されている抗体または抗原結合分子を含み、X2はさらに検出マーカーに結合されているか、融合されているか、または別の様式で連結されている、請求項43、44、または45記載のキット。
【請求項55】
抗原結合分子が糖質であり、X1が糖質結合タンパク質を含む、請求項54記載のキット。
【請求項56】
抗原結合分子が糖質であり、X1が糖質結合タンパク質を含む、請求項54記載のキット。
【請求項57】
抗原結合分子がリガンドであり、X1が受容体を含む、請求項54記載のキット。
【請求項58】
抗原結合断片がタンパク質であり、X1がタンパク質結合タンパク質を含む、請求項54記載のキット。
【請求項59】
検出マーカーが、マスタグ、コロイド粒子、酵素、放射性分子、化学発光団、フルオロフォア、リン光分子、ホタルルシフェラーゼなどの発光分子、金属および半金属、金属錯体、微粒子、核酸、リン光体、誘電体、常磁性粒子および/もしくはリン光粒子、発光タンパク質、量子ドット、放射性同位体、レドックス錯体、基質、ウイルス、またはその他の同等な分子の、1つまたは複数を含む、請求項43記載のキット。
【請求項60】
検出マーカーが、金コロイド、銀コロイド、またはセレンコロイドなどのコロイド粒子である、請求項59記載のキット。
【請求項61】
特異抗体が検出前に固体支持体に固定化される、請求項43または44記載のキット。
【請求項62】
複合体の成分が別々または一緒に保存または使用される、請求項43〜61のいずれか一項記載のキット。
【請求項63】
試料中のA型肝炎および/またはB型肝炎および/またはC型肝炎および/またはE型肝炎に対する1つまたは複数の特異抗体を検出するのに使用される際の請求項43〜62のいずれか一項記載のキット。
【請求項64】
抗体が、IgA、IgM、IgE、およびIgG抗体から選択される、請求項63記載のキット。
【請求項65】
クロマトグラフィーキットまたは免疫クロマトグラフィーキットである、請求項44記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−510165(P2007−510165A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538597(P2006−538597)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001522
【国際公開番号】WO2005/045439
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(506155129)
【Fターム(参考)】