説明

結合構造物及びそれを用いた構造体

【課題】荷重を安定状態で支持し得るパレット等の構造体を、コスト低減を図って多品種少量生産可能とする、2部材結合の結合構造物を提供する。
【解決手段】複合部材3と結合部材4とを結合してなる結合構造物である。複合部材3は積層支持材13の側面に添材19を接着により固定してなる。積層支持材13は紙管原紙からなる板紙の複数枚を、その表面相互を接着して積層状態に貼り合わせてなり、板紙の積層方向で見た両側面に、段ボール製の添材19が接着により固定されている。積層方向と直交する対向した支持端面31,31が面一に形成されてなり、支持端面31に、紙管原紙を用いて製造された結合部材4が、当接状態で接着により固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合部材と結合部材とを結合してなる結合構造物に関するものであり、又、該結合構造物を用いて構成された、パレットやパネル(壁パネル、フラッシュ戸、間仕切りパネル等)としての構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護の観点から、リサイクル効率のよい素材を一部又は全部に使用した構造体が開発されている。
【0003】
その一例として、特開2000−302129号公報が従来技術として開示する、段ボール等の紙製素材を用いたパレットが存する。該パレットの一態様は、図42に示すような、平板状段ボールからなる表面部aと裏面部bとの間に、平板状ダンボールを積層してなる桁材cを介在させ、該桁材cを該表面部aと該裏面部bに接着により固定してなるものであった。又、該パレットの他の態様は、図43に示すような、平板状段ボールからなる表面部aと裏面部bとの間に、紙管からなる桁材cを前後左右に間隔を置いて介在させ、該桁材cを該表面部aと該裏面部bに接着により固定してなるものであった。
【0004】
しかしながら、積層段ボール製の桁材を使用してなる前者のパレットにあっては、段ボールは圧縮強度がそれほど高くないために、前記表面部aに載置し得る物品の重量に制約があり、重荷重の物品は支持し難い問題があった。
【0005】
又、紙管製の桁材を使用してなる後者のパレットにあっては、紙管の圧縮強度は大きくても、紙管の上下端の薄肉の周縁部で積載荷重を支持することになるため、物品が前記表面部aに載置された状態で横揺れが生じた場合は、該桁材が倒れる桁倒れが発生する恐れがあった。特に、物品が該表面部aに偏って載置された場合は、一部の紙管に荷重が集中するために桁倒れが発生し易い等、パレットの支持状態が不安定化し易い問題があった。加えて、フォークリフトのフォークを差し込んだ際に該フォークが紙管に衝突すると紙管が倒れ易い等、パレットの物品支持状態が不安定化し易い恐れもあった。このように、紙管製の桁材を使用してなるパレットは横方向の荷重に対して強度的に弱い問題があったのである。
【0006】
特開2000−302129号に係る段ボールパレットは、これら従来のパレットの強度上の問題点を解決すると共に、組立て作業手間を削減して量産化を達成せんとして提案されている。該段ボールパレットは、図44に示すように、物品が載置される表面部aと、これに対向する裏面部bと、これら表裏面部と交わる方向に配置されて表裏面部間に間隙を形成する側面部dとを、平板状段ボールを素材として一体に成形し、該表裏面部間の間隙に段ボール桁材eを設けた構成を有していた。そして該桁材は、段ボールを重ね貼りすることにより強度を確保していた。
【0007】
しかしながら、かかる一体成型形の段ボールパレットによるときは、段ボール桁材を補強してパレットの強度を確保するために、補強片を複雑な折り曲げ加工によって形成しなければならず、平板状段ボールをこのように折り曲げ加工するための型を必要とした。このような折り曲げ型を用いる製造方法は、小品種のパレットを大量生産する上では好適であった。しかしながら、物品の形状や重量に応じて多品種のパレットを小ロット生産せんとするときは、高価な折り曲げ型を多種類用意しなければならないことになり、製造コストの大幅な上昇を招く問題があったばかりか、複雑な折り曲げ加工を要するために加工工数が増大し、製造能率が悪く製造コストの上昇を招く問題があった。
【特許文献1】特開2000−302129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来の問題点等に鑑みて開発されたものであり、パレットやパネル(壁パネル、フラッシュ戸、間仕切りパネル等)等としての構造体を多品種小ロット生産するために用いて好適な結合構造物の提供を課題とするものであり、又、該結合構造物を用いて構成されたパレットやパネルとしての構造体に関するものである。
【0009】
より具体的には、パレット等の構造体における荷重支持の安定性向上を達成できると共に、該構造体を、支持すべき個々の荷重に適合させて所要の形状やサイズに設定するのを容易化して、該構造体の多品種小ロット生産を可能とし、しかも、かかる構造体の製造コストの低減も達成させ得る結合構造物の提供を課題とするものである。又、該結合構造物を用いて構成された、荷重支持の安定性に優れると共に軽量でもあるパレットやパネルとしての構造体の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。
【0011】
即ち本発明に係る結合構造物は、複合部材と結合部材とを結合してなる結合構造物であって、該複合部材は、対向する表面が平滑な硬質面として形成された板紙の複数枚を該表面相互を接着して積層状態に張り合わせてなり該板紙の積層方向と直交する方向の荷重を支持する積層支持材の、該板紙の積層方向で見た両側面又はその一方の側面に、紙製又は発泡合成樹脂製の添材が接着により固定されてなる。そして該複合部材の、前記積層方向と直交する方向で見た対向する端面の少なくとも一方が支持端面とされ、該支持端面に、紙製の前記結合部材が当接状態で固定されてなることを特徴とするものである。該結合構造物において、前記支持端面は、前記積層方向に対して直角を呈するように構成するのがよい。
【0012】
前記結合構造物において、前記複合部材の前記積層方向と直交する方向で見た対向する端面の両方を支持端面とし、該両支持端面は、夫々面一に形成するのがよい。
【0013】
前記結合構造物において、前記板紙は、古紙を原料として形成されたものを用いるのがよい。該板紙は、好ましくは紙管原紙を用いるのがよい。
【0014】
前記結合構造物において、前記添材は、対向するライナー間に、山と谷を交互に繰り返す波形の中芯が介装されてなる段ボールを用いて形成し、該添材が、該中芯の波形の端面が前記支持端面の一部をなすように前記積層支持材の前記側面に固定されたものとして構成するのがよい。
【0015】
又、前記結合構造物において、前記添材は、山と谷を交互に繰り返す波形の中芯にライナーを張り合わせてなる段ボールを用いて形成し、該中芯の、山と谷の並設方向で見た端部分と、前記ライナーとの間で形成された溝状部の端面が前記支持端面の一部をなすように、前記添材が前記積層支持材の前記側面に固定されたものとして構成するのがよい。
【0016】
又、前記結合構造物において、前記添材は、対向するライナー間に、山と谷を交互に繰り返す波形の中芯が介装されてなる段ボールを用いて形成し、該添材が、該対向するライナーの何れかの表面が前記支持端面の一部となるように前記積層支持材の前記側面に固定されたものとして構成するのもよい。
【0017】
又、前記結合構造物において、前記添材は、山と谷を交互に繰り返す波形の中芯の片面にライナーを張り合わせてなる段ボールを用いて形成し、該添材が、該ライナーの表面又は該中芯の表面が前記支持端面の一部となるように前記積層支持材の前記側面に固定されたものとして構成するのもよい。
【0018】
前記支持端面と前記結合部材とは、接着剤を介して固定することができる他、前記積層支持材の端面に打ち込まれるタッカーを介して固定することもできる。又、互いに着脱可能に係着し得る一対のファスナ片からなる面ファスナを介して着脱可能に固定することもできる。この場合、一方のファスナ片が前記支持端面に固着されると共に他方のファスナ片が前記結合部材に固着される。
【0019】
本発明に係る構造体の一つは、前記した何れかの結合構造物を用いて構成されたパレットとしての構造体であって、物品を下方から支持するデッキボードと該デッキボードを下方から支持する桁材とを具えており、前記板紙の積層方向と直交する方向が上下方向である複合部材を以て該桁材が構成されると共に、該複合部材の前記支持端面に、紙製の結合部材を以てなる前記デッキボードが、該支持端面に当接状態に固定されてなることを特徴とするものである。
【0020】
又、本発明に係る構造体の他は、前記した何れかの結合構造物を用いて構成されたパネルとしての構造体であって、芯材と該芯材に固定される面材とを具えており、前記複合部材を以て該芯材が構成されると共に、該複合部材の前記支持端面に、紙製の結合部材を以てなる前記面材が、該支持端面に当接状態に固定されてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る結合構造物は、板紙の複数枚を積層状態に張り合わせてなる積層支持材の両側面又は一方の側面に、紙製又は発泡合成樹脂製の添材を接着により固定してなる複合部材を用い、該複合部材の、前記板紙の積層方向と直交する対向した支持端面に、紙製の結合部材を当接状態で固定してなる構成を有する。
【0022】
かかることから本発明によるときは、複合部材を構成する積層支持材によって、該積層支持材が紙製でありながらも荷重を安定的に支持できる。そして該複合部材は、該積層支持材の両側面又は一方の側面に添材が接着により固定されていることから、荷重を支持した状態にある積層支持材が倒れるのを該添材によって確実に防止できる。又、該添材の端面は前記支持端面の一部をなして該支持端面の面積の拡大をもたらしているため、該支持端面に結合部材を当接状態で安定的に固定させることができ、強度的に安定した結合構造物を構成できる。又、前記積層支持材と前記結合部材が軽量な紙製であり、且つ前記添材も、軽量な紙製や発泡合成樹脂製であるため、該結合構造物を軽量に構成できることとなる。
【0023】
従って、かかる結合構造物を用いて構成されたパレットやパネル(壁パネル、フラッシュ戸、間仕切りパネル等)等の構造体を、外力に対する強度に優れたものとして構成でき、しかも極力軽量に構成できるのである。
【0024】
該結合構造物を、特にパレットの製作に用いた場合は、積載される物品の重量と形状に応じた強度と形状、大きさを有する極力軽量なパレットを、コスト低減を図って多品種小ロット生産できる利点が大きい。
【0025】
(2) 積層支持材を構成する板紙として、紙管原紙等の古紙使用割合のより高い板紙を用いることとし、前記添材を、古紙使用割合のより高い段ボール等の紙製とする場合は、古紙活用によって地球環境保護に寄与できる利点がある。
【0026】
(3) 特に、添材を段ボールを以て形成する場合、該添材を、段ボールの中芯の波形の端面が前記支持端面の一部をなすように積層支持材の側面に接着により固定するときは、該波形の稜線が前記板紙の積層方向と直交する方向になるため、該段ボールによる荷重支持の補助作用がより効果的に得られることになる。
【0027】
又、前記添材を段ボールを用いて形成する場合、該段ボールのライナーの表面や該段ボールの中芯の表面、又、該中芯の溝状部の端面が前記支持端面の一部をなすように該添材を積層支持材の側面に固定するときは、結合部材を支持端面に接着剤を介して固定する際、接着剤が該溝状部に溜まった状態となって該支持端面への接着剤の付着が良好となるため、接着力の向上を期し得ることとなる。
【0028】
前記支持端面と前記結合部材とを面ファスナを介して着脱可能に固定する場合は、パレット等の構造体の組み立てと分解が容易となるため、該構造体を、分解状態で省スペース化を図って経済的に輸送できることになる。
【0029】
(4) 又、本発明に係るパレットやパネルとしての構造体は、前記結合構造物を用いてなるため、荷重支持状態の安定性に優れると共に軽量でもある。
【実施例1】
【0030】
図1〜2は、本発明に係る結合構造物1を用いて構成されたパレット2aとしての構造体2を示すものであり、桁材3aとしての複合部材3と、物品を下方から支持するデッキボード4aとしての結合部材4との結合からなる結合構造物1を具えている。又、桁材3aとしての複合部材3と、該桁材3a,3a,3aを連結する連結板4bとしての結合部材4との結合からなる結合構造物1を具えている。
【0031】
該パレット2aは、図1〜2に示すように、前後方向に延長する直線状を呈する左右側の桁材3a,3a(3a1,3a1)の上の面5,5と、前後方向に延長する直線状を呈する中央の桁材3a(3a2)の上の面5に、物品を下方から支持する矩形板状を呈するデッキボード4aが、例えば接着剤を介して固定されている。又、該桁材3a1,3a1,3a2の下の面9,9,9の前後に位置させて、左右方向に延長する前後の連結板4b,4bが、例えば接着剤を介して固定されており、隣り合う桁材3a1,3a2、3a1,3a2間が夫々、フォークリフトのフォークの差込口11,11とされている。そして、パレットの前後幅L1と左右幅L2は夫々、例えば、約700mm、約1100mmに設定され、パレット高さH1は約107mmに設定されている。
【0032】
前記左右側の桁材3a1,3a1としての複合部材3,3は、図3、図5、図6、図8、図9、図10に示す構成を有しており、前記中央の桁材3a2としての複合部材3は、図4、図7、図9、図11に示す構成を有している。前記左右側の桁材3a1,3a1を構成する複合部材3,3と、前記中央の桁材3a2を構成する複合部材3は、図10、図11に示す積層支持材13を用いる点では共通している。
【0033】
そして該積層支持材13は、図10、図11に示すように、対向する表面15,15が平滑な硬質面として形成された板紙16の複数枚を、該表面15,15相互を接着剤で接着して積層状態に張り合わせてなり、該積層方向に加圧されて全体が一体化されている。該板紙16は、古紙を原料とした紙管原紙等の板紙を用いるのがよい。本実施例においては、構成すべき積層支持材13の圧縮強度をより向上させるために、1mm厚さで坪量が660〜680程度の高密度で圧縮強度が高い紙管原紙を用いている。又、前記接着剤としては、例えば酢酸ビニル樹脂エマルジョンを用いるのがよい。
【0034】
前記左右側の桁材3a1,3a1を構成する複合部材3,3は、図9〜10に示すように、前記板紙16の7枚を積層状態に張り合わせてなる約7mm厚さの内側の積層支持材13(13a)と、前記板紙16の4枚を積層状態に張り合わせてなる約4mm厚さの外側の積層支持材13(13b)とが、該板紙16の表面15を垂直面にして、内外に所要間隔を置いて平行した対向状態で配置されると共に、該内外の積層支持材13a,13b間に、段ボール17を重ね貼りして形成した添材19が介装されている。そして、該添材19の内面20と前記内側の積層支持材13aの外面21とが接着により固定されると共に、該添材19の外面22と前記外側の積層支持材13bの内面23とが接着により固定されて構成されている。かかる構成の複合部材3にあっては、前記積層支持材13の前記板紙16の積層方向で見た一方の側面(外面21又は内面23)24にのみ添材19が接着により固定されている。本実施例においては、該左右側の複合部材3,3の厚さL3は約46mmに設定され、該複合部材3,3の高さH2は約88mmに設定されている。
【0035】
又、前記中央の桁材3a2を構成する複合部材3は、図9、図11に示すように、前記板紙16の16枚を積層状態に張り合わせてなる約16mm厚さの積層支持材13(13c)を用い、該板紙16の表面15を垂直面にした状態で該積層支持材13cの両側面24,24に、段ボール17を重ね貼りして形成された添材19,19が接着により固定されている。本実施例においては、該中央の複合部材3の厚さL4は約44mmに設定され、その高さH3は約88mmに設定されている。
【0036】
なお説明の便宜上、図9においては、積層支持材13にハッチングを付している。
【0037】
ここに前記段ボール17は、図12に示すように、ライナー25,25間に、山と谷を交互に繰り返す波形の中芯27が介装されてなる例えば複両面段ボールとして形成されている。本実施例においては、図12に示すように、該段ボール17を用いて構成された前記添材19が、該中芯27の波形の稜線が上下方向となるように位置決めされ、図9〜10に示す左右側の複合部材3,3及び、図9、図11に示す中央の複合部材3は、共に、積層支持材13の端面29と添材19の端面30が面一(水平)を呈する。これにより、前記積層方向と直交する対向した上下の支持端面31,31、31,31、31,31が、夫々、該積層方向と直交する方向に対して直角を呈する水平面に形成されている。該段ボール17としては、両面段ボール、複々両面段ボール、片面段ボールを用いることもできる。
【0038】
前記デッキボード4aとしての結合部材4は、本実施例においては図13に示す構成を有する。該結合部材4は、板紙16からなる上下の積層板32,32間に段ボール17を介在させ、全体を接着により張り合わせてなる矩形板状を呈している。該積層板32は、例えば、紙管原紙の4枚を接着により積層状態に張り合わせてなる、約4mm厚さの平板状のものであり、該結合部材4の厚さは、載置される物品を下方から支持するに必要な強度を有するように例えば約14mmに設定されている。
【0039】
又、前記連結板4bとしての結合部材4は、本実施例においては図14に示す構成を有する。該結合部材4は、例えば紙管原紙としての板紙16の4枚を接着により積層状態に張り合わせてなる平板状を呈し、約4mm厚さの細長な矩形板状を呈している。
【0040】
かかる構成を有するデッキボード4aは、図3〜9に示すように、前記上の支持端面31,31,31に接着剤を介して固定される。又、前記連結板4bは、図3〜9に示すように、前記下の支持端面31,31,31に接着剤を介して固定される。これらの接着による固定は、前記添材19によって面積が拡大されてなる面一の該支持端面31の全面に亘って、接着剤を介して行なわれるため、安定状態で強固に行なわれることになる。該接着剤としては、例えば酢酸ビニル樹脂エマルジョンを用いるのがよい。
【0041】
そして、厚みの小さい積層支持材13の単体を、図15(A)に示すように桁材として用いたとすれば、荷重支持力は大きくても転倒し易いのであるが、実際には図15(B)に示すように前記添材19が該積層支持材13に接着により固定されるために、該積層支持材13の立設状態を安定的に保持でき、荷重支持力を所要に発揮させることができるのである。
【0042】
このような構成を有するパレット2aにあっては、前記のように、複合部材3と結合部材4とからなる結合構造物1が、前記桁材3aと前記デッキボード4aとの組み合わせや、前記桁材3aと前記連結板4bとの組み合わせからなるものとして組み込まれた状態にある。そして、該パレット2aは、桁材3a,3a,3a、デッキボード4a、連結板4bが紙製であるため、軽量に構成される。
【0043】
かかる構成を有するパレット2aによるときは、前記デッキボード4aに所要の物品が載置されることにより、その荷重が前記桁材3a,3a,3aで支持されることになる。この荷重支持は次のように安定状態で行われる。
【0044】
即ち、パレット2aの桁材3a,3a,3aを構成する前記複合部材3は前記のように、対向する表面15,15(図10〜11)が平滑な硬質面として形成された板紙(本実施例においては紙管原紙)16の所要枚数を、該表面15,15相互を接着して積層状態に張り合わせてなる積層支持材13を有している。そして該積層支持材13は、該表面15が垂直面を呈する垂直状態に配置され、その垂直な側面24に前記添材19が接着により固定されている。
【0045】
このように積層支持材13は、全ての板紙16の、硬質面である前記表面15,15が垂直面を呈するため、該板紙16の積層方向と直交する方向の荷重(垂直荷重)に対して圧縮強度が大きく、該垂直荷重の支持力が大きい。しかしながら、該積層支持材13は比較的薄肉のものであるために、図15(A)に基づいて説明したように、前記桁材3a,3a,3aを該積層支持材13だけで構成したとすれば、横方向の荷重に対して非常に不安定であるため、前記デッキボード4aに所要の物品を載置した際に桁材3aが容易に転倒(桁倒れ)してしまう。そこで本発明においては、前記のように、積層支持材13の垂直な側面24に添材19を接着し、複合部材3に一定の厚みをもたせているのである。このように接着された添材19は、横揺れ等の横方向の荷重に対して安定性を高め、垂直荷重を支持した状態にある積層支持材13を垂直状態で安定的に保持させるのである。これにより該複合部材3は、パレット2aの桁材3aとして有効に機能し得ることとなる。
【0046】
なお本実施例においては、段ボール製の添材19を前記積層支持材13に接着により固定するに際し、段ボールの前記中芯の波形の端面33,33(図12)が前記支持端面31の一部をなすように、即ち、波形の稜線35が上下方向となるように固定している。これにより、両ライナー25,25と中芯27とによって、上下方向の荷重に対し該添材19の圧縮強度が向上されるため、積載荷重支持の補助作用がより効果的に得られることになる。
【0047】
本実施例において、もしも図16に示すように、前記と同一の厚さを有する積層支持材13を、前記板紙16の積層方向を上下方向にして構成したとすれば、かかる構成の積層支持材13は、その両側面又は一方の側面に前記と同様の添材19が接着されたとしても、板紙16の表面15,15相互が剥がれ易く横方向の荷重に対して非常に不安定で、中間で折れやすい。そのため、かかる構成の積層支持材では、複合部材3による荷重の支持状態が不安定化することになる。なお、積層支持材13の水平方向の幅(厚さ)を大きくして荷重支持力を大きくすることも考えられないではないが、そのためには、板紙16の積層枚数を非常に多いもの(前記桁材と同程度の高さに設定しようとすれば88枚程度を積層する必要が生ずる)となり、積層支持材の製造コストの上昇を招く不利益が生じてしまう。かかることから本発明では、積層支持材13を、板紙16を左右方向に積層して構成することとし、板紙16を上下方向に積層して構成することとはしていないのである。
【0048】
このような構成を有するパレット2aにあっては、前記複合部材3を構成する積層支持材13の厚さを所要に設定することにより、即ち、板紙16の積層枚数を所要に設定することにより、又、該複合部材3を構成する積層支持材13の使用枚数を所要に設定することによって、デッキボード4aに載置せんとする物品の重量に合わせて桁材3aの圧縮強度を所要に設定でき、これにより、物品を安定状態で支持できることになるのである。
【0049】
又このように構成されたパレット2aは、図1〜2に示すように、その両側に位置する桁材3a1,3a1の外面36,36が、段ボールのライナーや段ボールの端面で形成されているのではなく、硬質の積層支持材13を以て形成されているため、パレット側面(前記外面)36に衝撃が加わった場合にもパレットが損傷されにくい。又該積層支持材13は、パレット側面に段ボールのライナーや段ボールの端面が露出するのを防止し、パレット側面を効果的に化粧することとなる。
【0050】
図17(A)(B)は、複合部材3の支持端面31としての前記上の面5に、結合部材4としてのデッキボード4aを当接状態で固定する他の態様を示すものであり、図17(B)に示すようなコ字状に屈曲したステープル37を該デッキボード4a側から前記積層支持材13の端面29に向けて打ち込むことによって当接状態で固定している。
【0051】
図18〜20は、桁材3aとしての複合部材3の上の支持端面31である前記上の面5に、デッキボード4aとしての結合部材4を面ファスナ39を用いて当接状態で着脱可能に固定すると共に、桁材3aとしての複合部材3の下の支持端面31である前記下の面9に、桁材3a,3a,3aを連結する連結板4bとしての結合部材4を面ファスナ39を用いて当接状態で着脱可能に固定してなる組立式のパレット2aを示すものである。
【0052】
そのために、互いに当接し得る上下の当接面40,41に、互いに着脱可能に係着し得る一方のファスナ片42を該一方の当接面40にステープル等を用いて固定すると共に、他方のファスナ片43を他方の当接面41にステープル等を用いて固定してなる。そして、両ファスナ片42,43の面接触の係合によって、桁材3aとデッキボード4aとを一体化させることができ、又、桁材3aと連結板4bとを一体化させることができる一方、両ファスナ片42,43の係合状態を解除することによって、桁材3aとデッキボード4a、連結板4bを分離可能となされている。なお説明の便宜上、図19において、積層支持材13にハッチングを付している。
【0053】
このようにして桁材3aとデッキボード4a、連結板4bを分離可能に固定するときは、パレットを輸送する際、桁材3aとデッキボード4a、連結板4bを分離した状態で省スペース化を図って経済的に輸送できる。そして、所定場所に輸送された後は、前記両ファスナ片42,43を面接触の係合状態とするように桁材3aとデッキボード4aとを当接させると共に、桁材3aと連結板4bとを当接させることにより、所要のパレットを容易に組み立てることができる。
【0054】
図21〜23は、本発明に係る結合構造物1を応用して構成されたパレット2aのその他の実施例を示すものであり、該パレット2aは、前記と同様構成の前後方向に延長する直線状を呈する左右側の桁材3a1,3a1と中央の桁材3a2とを具えている。そして該桁材3a1,3a1,3a2の上の面5,5,5(複合部材3の上の支持端面31,31,31)で下方から支持されるように、左右方向に延長する角棒状を呈する、複合部材3としての横架材3bの5本が、支持端面31,31,31の前後端部分と中間部分に等間隔で架け渡され、該横架材3bの、面一である下面(複合部材3の下の支持端面31)46と、前記桁材3a1,3a1,3a2の上の支持端面31,31,31とが接着剤を介して当接状態で固定されている。
【0055】
前記桁材3a1,3a1,3a2を構成する複合部材3は、本実施例においては図1〜2に示すと同様に構成されている。
【0056】
前記横架材3bを構成する複合部材3は、本実施例においては図24に示すように、前記と同様構成の積層支持材13の4枚を所要間隔を置いて平行状態で配置すると共に、隣り合う積層支持材13,13間に、段ボール17を重ね貼りして形成された添材19が介装され、その側面と積層支持材13の側面とが、例えば接着剤を介して固定されている。該横架材3bは、その厚さが例えば約64mmに設定されると共にその高さが約50mmに設定されている。なお説明の便宜上、図24においては、積層支持材13にはハッチングを付している。
【0057】
そして横架材3bの5本の、面一である上面(複合部材の上の支持端面31)49に、物品を下方から支持するデッキボード4aの下面50が当接せしめられ、例えば接着剤を介して固定されている。該デッキボード4aは,前記実施例におけるパレット2aのデッキボード4aと同様の構成を有し、厚さが約14mmに設定されている。
【0058】
このような構成を有するパレット2aにあっては、前記桁材3aと前記横架材3bとの組み合わせからなる結合構造物1と、前記横架材3bと前記デッキボード4aとの組み合わせからなる結合構造物1が組み込まれた状態にある。そして、該パレット2aは、桁材3a、横架材3b、デッキボード4aが紙製であるため、軽量に構成される。
【0059】
かかる構成を有するパレット2aは、デッキボード4aに載置された物品の荷重が、桁材3aの並設方向に延長する横架材3bによっても支持されるため、即ち、前後方向に延長する桁材3aと左右方向に延長する横架材3bの双方によって下方から支持されるため、物品の支持状態がより安定したものとなる。
【0060】
図25は、図1〜2に示すパレット2aにおいて、桁材3a,3a,3aの下の面9に固定される前後の連結板4b,4bを省略した構成を有しており、複合部材3としての桁材3aと、結合部材4としてのデッキボード4aとが結合構造物1を構成している。
【0061】
図26は、中央の桁材3a2として、前記側部の桁材3a1と同様構成のものを用いて構成したパレット2aを示すものである。即ち、所要間隔を置いて対向状態で隣り合う積層支持材13,13間に添材19を介装し、該添材19を該積層支持材13,13の側面24,24に接着により固定してなる複合部材3を用いて構成している。このように構成するときは、中央の桁材3a2の側面50,50が硬質の積層支持材13で保護された状態にあるため、桁材間に差し込まれたフォークが該側面50,50に当たったときにも該中央の桁材3a2が損傷されにくい。
【0062】
図27〜28、図29は、本発明に係る結合構造物1を用いて構成されてなるパネル(壁パネル、間仕切りパネル、フラッシュ戸等)2bとしての構造体2を示すものである。該パネル2bは、前記複合部材3としての芯材(縦芯材3c1、横芯材3c2、中間芯材3c3)3cの対向端面51,51(支持端面31,31)に、例えば平板状を呈する、結合部材4としての面材4c,4cが当接され、且つ、図29に示すように、該芯材3cの当接面53と該面材4cの当接面55とが、例えば接着剤を介して固定されている。該面材4cは、例えば、前記したデッキボード4aや連結板4bと同様に構成することができる。
【0063】
該縦芯材3c1としての複合部材3と、該横芯材3c2としての複合部材3は、例えば図28〜29に示すように、紙管原紙を以てなる板紙16の複数枚を、該板紙16の表面15,15相互を接着して積層状態に張り合わせることによって形成した積層支持材13の3枚を所要間隔を置いて平行状態に配置すると共に、隣り合う積層支持材13,13間に、段ボール17を重ね貼りして形成された添材19を介装し、該添材19と積層支持材13とを接着により固定してなる。該縦芯材3c1と該横芯材3c2は、本実施例においては共に同一寸法の断面長方形状に形成されており、積層支持材13の板紙16の積層方向で見た厚さ(長辺長さ)は約50mmに設定され、又、積層方向と直交する方向で見た厚さ(短辺長さ)は約40mmに設定されている。
【0064】
又、前記中間芯材3c3としての複合部材3は、例えば図28に示すように、前記と同様構成の積層支持材13の両側面56,56に、前記と同様構成の添材19,19を接着により固定してなる。該中間芯材3c3は、本実施例においては断面長方形状に形成されており、積層支持材13の板紙16の積層方向で見た厚さ(短辺長さ)は約25mmに設定され、又、積層方向と直交する方向で見た厚さ(長辺長さ)は約40mmに設定されている。
【0065】
そして、該縦芯材3c1、横芯材3c2、中間芯材3c3は、前記積層支持材13の積層方向と直交する対向した支持端面31,31が、夫々、該積層方向と直交する方向に対して直角を呈する面一の面に形成されている。そして該支持端面31,31に、前記面材4cとしての結合部材4が当接状態で、接着剤を介して固定されてなり、該芯材3cと該面材4cとが本発明に係る結合構造物1を構成している。
【0066】
かかる構成を有する壁パネル、フラッシュ戸、間仕切りパネルにあっては、前記面材4c,4cに加わる荷重が、前記積層方向に直交する板紙16の表面(硬質面)15によって確実に支持される。
【0067】
又図30は、前記と同様構成の芯材3cの対向する一方の端面(複合部材の一方の支持端面31)51に面材4cが当接状態とされ、該芯材3cの該端面51と該面材4cの当接面55とが接着剤を介して固定されている。
【実施例2】
【0068】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0069】
(1) 本発明に係る結合構造物1を構成する複合部材3は、パレット等における支持しようとする荷重の大きさを考慮して、積層支持材13の厚さ(板紙の積層枚数)やその配置状態(所要間隔を置いて複数枚を配置するか、中央に1枚配置するか等)が設定される。又、添材19の大きさや配置状態は、該積層支持材13の倒れ防止を確実に達成できると共に、該添材19の端面30が、結合部材4を安定した当接状態で固定させることのできる支持端面31を形成するように設定されるものである。
【0070】
積層支持材13の厚さが厚くなる程、より大きな荷重を支持できる。又、所要間隔を置いて配置される積層支持材13の枚数が多い程、より大きな荷重を支持でき、この場合、使用する積層支持材13の厚さが厚い程、更に大きな荷重を支持できることになる。
【0071】
かかる複合部材3の構成につき、これまで説明したものを含め、図31により纏めて説明すれば次のようである。なお図31においては、説明の便宜上、積層支持材13にハッチングを付している。
【0072】
図31(A)は、積層支持材13の、前記板紙16の積層方向で見た両側面24,24に添材19,19を接着により固定してなる複合部材3を示し、図31(B)は、積層支持材13の、前記板紙16の積層方向で見た一方の側面24にのみ添材19を接着により固定してなる複合部材3を示す。
【0073】
又図31(C)は、所要間隔を置いて対向状態で配置された2枚の積層支持材13,13間に添材19を介装し、該積層支持材13と該添材19とを接着により固定してなる複合部材3を示す。又図31(D)は、積層支持材13の3枚以上、例えば3枚や4枚等を所要間隔を置いて平行状態に配置すると共に、隣り合う積層支持材13,13間に添材19を介装し、該添材19と積層支持材13とを接着により固定してなる複合部材3を示すものである。これらの複合部材3は、積層支持材13の前記積層方向で見た一方の側面又は両側面に添材19を接着により固定してなる複合部材3の一種でもある。
【0074】
(2) 本発明は、結合構造物1の軽量化を達成する上から、前記添材19を紙製又は発泡スチロール等の発泡合成樹脂製としている。そして該添材19は、積層支持材13が倒れないようにこれを安定的に保持させると共に、例えば図10〜11に拡大して示すように、該積層支持材13の端面29と面一の端面30を形成して、所要面積を有する支持端面31を構成するものである。
【0075】
ここに紙製の添材は、前記段ボールを用いたものの他、段ボール製等の紙製ハニカムボードや、古紙を所要のブロック状に成形したものであってもよい。
【0076】
図32、図33は、パレット2aの桁材3a1,3a2として応用された複合部材3のその他の態様を示すものであり、添材19の構成に特徴がある。該添材19は、段ボール17を重ね貼りして構成されており、該段ボール17を構成する中芯27の、山と谷の並設方向で見た端部分35と前記ライナー25との間で形成された溝状部62の端面(上端)63が前記支持端面31の一部をなす。該段ボール17としては、前記した各種の段ボールを使用できる。このように構成するときは、前記結合部材4(例えば前記デッキボード4aや前記連結板4b)を、面一の支持端面31に接着剤を介して当接状態で固定する際、接着剤が該溝状部62に溜まった状態となるため、該支持端面31への接着剤の付着が良好となり、接着強度をより向上させ得る利点がある。
【0077】
又図34は、積層支持材13の両側面24,24又は一方の側面24に接着により固定される添材19を段ボール17を重ね貼りすることによって構成する場合のその他の態様を示すものであり、該段ボール17の積層方向を上下方向とし、ライナー25の表面(又は中芯の表面)64が前記支持端面31の一部をなすように構成されている。このように構成するときは、前記結合部材4を、面一の支持端面31に接着剤を介して当接状態で固定する際、該支持端面31への接着剤への付着が良好となり、接着強度をより向上させ得る利点がある。
【0078】
図35は、発泡合成樹脂製の添材19を積層支持材13の両側面23,23に接着により固定してなる複合部材3を示すものであり、又図36は、積層支持材13の一方の側面23に該添材19を接着により固定してなる複合部材3を示すものである。
【0079】
その他、かかる紙製又は発泡合成樹脂製の添材19は、隣り合う積層支持材13,13間に介装されて接着により固定されることもある。この場合、発泡合成樹脂製の添材19と積層支持材13との接着強度を比較的弱くすれば、該添材19を該積層支持材13と分離するのが容易となり、紙製の積層支持材13のリサイクルの能率化を達成できて好ましい。
【0080】
(3) 複合部材3を構成するために用いる積層支持材13は、古紙を用いた板紙の複数枚を積層状態に張り合わせて構成するのが地球環境保護の観点から好ましいが、積層支持材13の強度向上を図るために、板紙の一部として、天然パルプ製の板紙を用いることもある。
【0081】
(4) 積層支持材13を構成するために用いる板紙の厚さは、該積層支持材13が支持せんとする荷重の大きさを考慮して、例えば0.5〜1.5mmの範囲で適宜選択でき、又、該積層支持材13の積層方向の厚さは、3mm、7mm、16mm等、例えば3〜90mmの範囲で、積層支持材が支持せんとする荷重を考慮して所要厚さに設定できる。
【0082】
(5) 図37は、本発明に係る結合構造物1を応用して構成されたパレット2aの他の態様を示すものであり、荷重支持力を向上させるために、前記のように配置された左右側の桁材3a1,3a1の、内面65の前後端に位置させて、該桁材3a1,3a1を構成する複合部材3と同様構成の複合部材3からなる補強部材66,66を重ね合わせて接着等により固定している。
【0083】
(6) 前記各実施例に示されているパレット2aは、前後方向に延長する左右側の桁材3a1,3a1と中央の桁材3a2とを用いて構成されているが、例えば図38(A)(B)に示すように、比較的小さなブロック状の桁材(前記複合部材3を用いて構成された桁材)3aを上下のデッキボード4a,4a間で前後左右に所要間隔を置いて配置することにより、パレット2aを構成することもある。この場合、横荷重に対する該桁材3aの強度アップを図って桁倒れを防止するために、図39に示すように、該桁材3aの側面67に、複合部材3としての補強部材3dを重ねて接着等により固定することがある。該補強部材3dを構成する複合部材3は、例えば同図に示すように、その積層支持材13を構成する板紙16の積層方向を、前記桁材3aを構成する複合部材3の積層支持材13における板紙16の積層方向と直交するように設定するのがよい。
【0084】
(7) 本発明において、前記複合部材3の、前記板紙16の積層方向と直交する方向で見た対向する端面の一方のみが支持端面31とされることもある。
【0085】
又、該対向する端面の両方が支持端面31とされるか、その一方のみが支持端面31とされるかを問わず、該支持端面31は、面一に形成されずに凹凸面として形成されることもある。図40は、支持端面31が凹凸面として形成された場合の一例を示すものであり、本発明の結合構造物1がパレット2aの製作に用いられた場合である。同図において、複合部材3としての桁材3aの上の面5、即ち支持端面31は、左右方向に長い矩形板状を呈する結合部材4としてのデッキボード4a(段ボール等の紙製)の中間部分68や端部分69を嵌め入れるための凹部70が、前後方向に間隔を置いて設けられている。そして、該中間部分68や該端部分69を該凹部70に嵌め入れると共に、これらを該凹部70の内面に例えば接着により固定することにより、物品の載置面が形成されている。かかるパレット2aにあっては、桁材3aとしての複合部材3とデッキボード4aとしての結合部材4とからなる結合構造物1が構成されており、該デッキボード4aに物品が載置されることにより、その荷重が、前記桁材3aに設けられている前記凹所70の底面71(即ち支持端面31)で安定的に支持される。
【0086】
(8) 図41は四方差しパレットを示すものであり、各桁材3a,3a,3aの前後部分に、フォークを差し込むための欠切部69,69が設けられている。
【0087】
(9) 本発明に係る結合構造物1をパレットに応用する場合、該パレットの平面視の寸法は、前記したものの他、1100mm四方のもの等、デッキボードに載置される物品の大きさや重量等を考慮して所要に設定される。
【0088】
(10)本発明に係る結合構造物1は、板紙の積層方向に直交する方向の荷重を良好に支持できるものであり、前記したパレットや、壁パネル、フラッシュ戸、間仕切りパネル等のパネルに応用されることの他、コンテナやラック等の各種の構造体を構成するためにも応用され得る。
【0089】
(11)積層支持材13の支持端面31に結合部材4を当接状態に固定する手段を一般的に説明すれば、接着剤や両面粘着テープを介して接着により固定する手段の他、前記積層支持材13の端面29との対向部位において前記結合部材4をステープル打込みにより固定する手段(針状部分に接着剤が塗付されたステープルを用いるのが好ましい)、ネジ釘のねじ込みにより固定する手段、釘の打ち入みにより固定する手段、更には、面ファスナによる着脱可能の固定手段等、各種の固定手段を採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に係る結合構造物を応用して構成されたパレットを上から見た斜視図である。
【図2】そのパレットを下から見た斜視図である。
【図3】上から見た斜視図の左側部分を拡大して示す一部欠切斜視図である。
【図4】上から見た斜視図の中央部分を拡大して示す一部欠切斜視図である。
【図5】上から見た斜視図の右側部分を拡大して示す一部欠切斜視図である。
【図6】下から見た斜視図の左側部分を拡大して示す部分斜視図である。
【図7】下から見た斜視図の中央部分を拡大して示す部分斜視図である。
【図8】下から見た斜視図の右側部分を拡大して示す部分斜視図である。
【図9】パレットの前後方向正面側を示す部分拡大図である。
【図10】左右の桁材を構成する複合部材の積層支持材の構成を説明する正面図である。
【図11】中央の桁材を構成する複合部材の積層支持材の構成を説明する正面図である。
【図12】複合部材を構成する段ボールを例示する斜視図である。
【図13】デッキボードとしての結合部材の構成を説明する部分拡大正面図である。
【図14】連結板としての結合部材を拡大して示す部分正面図である。
【図15】積層支持材のみを桁材として用いた場合の問題点を説明する正面図である。
【図16】板紙の積層方向を上下方向にして構成した積層支持材の問題点を説明する正面図である。
【図17】結合部材としてのデッキボ−ドを桁材としての複合部材にステープルで固定した状態を示す斜視図と断面図である。
【図18】桁材として複合部材とデッキボードとしての結合部材とを面ファスナを用いて着脱可能に固定して構成されたパレットを示す斜視図である。
【図19】その左側部分を示す拡大正面図である。
【図20】そのパレットを分解して示す斜視図である。
【図21】3本の桁材を、複合部材としての横架材の複数本で連結して構成されたパレットを下から見た斜視図である。
【図22】その左側部分、中央部分、右側部分を夫々拡大して示す部分斜視図である。
【図23】本発明に係る結合構造物の他の実施例を示す斜視図である。
【図24】その部分拡大図である。
【図25】本発明に係る結合構造物を応用して構成されたパレットのその他の実施例を示す斜視図である。
【図26】その正面図である。
【図27】本発明に係る結合構造物を応用して構成された壁パネル、フラッシュ戸、間仕切りパネルを示す一部欠切斜視図である。
【図28】その縦芯材と横芯材と中間芯材を分解して示す斜視図である。
【図29】その壁パネル、フラッシュ戸、間仕切りパネルを示す平面図である。
【図30】壁パネル、フラッシュ戸、間仕切りパネルの他の態様を示す平面図である。
【図31】複合部材の各種の態様を説明する正面図である。
【図32】パレットの左右側部分に応用された結合構造物のその他の態様を示す斜視図と、それに用いる複合部材の拡大部分正面図と、該複合部材を構成する段ボールを示す部分斜視図である。
【図33】パレットの中央部分に応用された結合構造物のその他の態様を示す斜視図と、それに用いる複合部材の拡大部分正面図と、該複合部材を構成する段ボールを示す部分斜視図である。
【図34】結合構造物のその他の態様を示す正面図である。
【図35】発泡合成樹脂製の添材を用いた複合部材を示す正面図である。
【図36】発泡合成樹脂製の添材を用いた複合部材の他の態様を示す正面図である。
【図37】桁材を補強部材で補強してなるパレットを示す斜視図である。
【図38】ブロック状の桁材を用いて構成されたパレットを示す斜視図である。
【図39】桁材を補強部材で補強した状態を示す斜視図である。
【図40】複合部材の他の態様を、結合構造物がパレットに用いられた場合について説明する斜視図と側面図である。
【図41】四方差しのパレットを示す斜視図である。
【図42】従来の段ボールパレットの一例を示す斜視図である。
【図43】紙管を桁材として用いた従来のパレットを示す斜視図である。
【図44】平板状段ボールを折り曲げ加工して構成する従来の段ボールパレットを説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0091】
1 結合構造物
2 構造体
3 複合部材
4 結合部材
13 積層支持材
15 板紙の表面
16 板紙
17 段ボール
19 添材
24 積層支持材の側面
25 ライナー
27 中芯
31 支持端面
37 ステープル
39 面ファスナ
42 ファスナ片
43 ファスナ片
62 溝状部
63 溝状部の端面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合部材と結合部材とを結合してなる結合構造物であって、
該複合部材は、対向する表面が平滑な硬質面として形成された板紙の複数枚を該表面相互を接着して積層状態に張り合わせてなり該板紙の積層方向と直交する方向の荷重を支持する積層支持材の、該板紙の積層方向で見た両側面又はその一方の側面に、紙製又は発泡合成樹脂製の添材が接着により固定されてなり、該複合部材の、前記積層方向と直交する方向で見た対向する端面の少なくとも一方が支持端面とされ、
該支持端面に、紙製の前記結合部材が当接状態で固定されてなることを特徴とする結合構造物。
【請求項2】
前記支持端面は、前記積層方向と直交する方向に対して直角を呈することを特徴とする請求項1記載の結合構造物。
【請求項3】
前記複合部材の前記積層方向と直交する方向で見た対向する端面の両方が支持端面とされ、該両支持端面は、夫々面一に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の結合構造物。
【請求項4】
前記板紙は古紙を原料として形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の結合構造物。
【請求項5】
前記板紙は紙管原紙であることを特徴とする請求項1又は2記載の結合構造物。
【請求項6】
前記添材は、対向するライナー間に、山と谷を交互に繰り返す波形の中芯が介装されてなる段ボールを用いて形成されており、該添材が、該中芯の波形の端面が前記支持端面の一部をなすように前記積層支持材の前記側面に固定されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の結合構造物。
【請求項7】
前記添材は、山と谷を交互に繰り返す波形の中芯にライナーを張り合わせてなる段ボールを用いて形成されており、該中芯の、山と谷の並設方向で見た端部分と、前記ライナーとの間で形成された溝状部の端面が前記支持端面の一部をなすように、前記添材が前記積層支持材の前記側面に固定されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の結合構造物。
【請求項8】
前記添材は、対向するライナー間に、山と谷を交互に繰り返す波形の中芯が介装されてなる段ボールを用いて形成されており、該添材が、該対向するライナーの何れかの表面が前記支持端面の一部をなすように前記積層支持材の前記側面に固定されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の結合構造物。
【請求項9】
前記添材は、山と谷を交互に繰り返す波形の中芯の片面にライナーを張り合わせてなる段ボールを用いて形成されており、該添材が、該ライナーの表面又は該中芯の表面が前記支持端面の一部をなすように前記積層支持材の前記側面に固定されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の結合構造物。
【請求項10】
前記支持端面と前記結合部材とは、接着剤を介して固定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の結合構造物。
【請求項11】
前記支持端面と前記結合部材とは、前記積層支持材の端面に打ち込まれるタッカーを介して固定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の結合構造物。
【請求項12】
前記支持端面と前記結合部材とは、互いに着脱可能に係着し得る一対のファスナ片からなる面ファスナを介して着脱可能に固定されており、一方のファスナ片が前記支持端面に固着されると共に他方のファスナ片が前記結合部材に固着されていることを特徴とする請求項1又は2記載の結合構造物。
【請求項13】
請求項1〜12の何れかに記載の結合構造物を用いて構成されたパレットとしての構造体であって、荷物を下方から支持するデッキボードと該デッキボードを下方から支持する桁材とを具えており、前記板紙の積層方向と直交する方向が上下方向である複合部材を以て該桁材が構成されると共に、該複合部材の前記支持端面に、紙製の結合部材を以てなる前記デッキボードが、該支持端面に当接状態に固定されてなることを特徴とする構造体。
【請求項14】
請求項1〜12の何れかに記載の結合構造物を用いて構成されたパネルとしての構造体であって、芯材と該芯材に固定される面材とを具えており、前記複合部材を以て該芯材が構成されると共に、該複合部材の前記支持端面に、紙製の結合部材を以てなる前記面材が、該支持端面に当接状態に固定されてなることを特徴とする構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2009−46140(P2009−46140A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213605(P2007−213605)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【出願人】(507279875)株式会社旬和 (4)
【Fターム(参考)】