説明

結晶シリコン、結晶シリコンリボン及び太陽電池、並びにそれらの製造方法

【課題】 太陽電池用のシリコンリボンを得る工程で材料損失を低減する。
【解決手段】 円形シリコンインゴット1を角形に切削加工することで、表面の面方位が(110)面であり、かつ厚さが1〜5mmの角形肉厚シリコンウエハー7を製造する。角形肉厚シリコンウエハー7の表面に櫛状のレジストパターン71及び72を形成する。その表面に垂直な方向に異方性エッチングを行うことで、表面の面方位が(110)面であり、かつ厚さが1〜5mmの櫛状シリコン基板73及び74を製造する。櫛状シリコン基板73及び74の櫛歯73b及び74bからなる単結晶シリコンリボンをセル化して太陽電池を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶シリコン、結晶シリコンリボン及び太陽電池、並びにそれらの製造方法に関し、されに詳しくは、シリコン原料の効率的な利用を図り、太陽電池のコスト低減を可能にする結晶シリコン、結晶シリコンリボン及び太陽電池、並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電による電気エネルギーの確保は、化石資源の枯渇、環境の悪化、各国のエネルギー不足などの深刻な諸問題の解決に重要な課題である。現在商業生産が始まっているにもかかわらず、太陽光発電のコストダウンの障害となっている技術的問題が残されており、コストダウンの見通しが得られないままで量産化が進んでいる。
【0003】
単結晶シリコン基板を用いた太陽電池の現状製法の概略について、図3を用いて説明する。同図Aで、引き上げ法による円形シリコンインゴット1(直径150mm、長さ500mm程度の単結晶シリコン)をマルチワイヤーソー6により切断し、直径150mm、厚さ200μ程度の円形シリコン基板11を多数枚得る。同図Bで円形シリコン基板11の外縁12が切除されて同図Cの角型シリコン基板13になり、その後セル化工程を経て、同図Dに示すような100mm×100mm×200μ程度の太陽電池14となる。
【0004】
問題はAの切断工程にある。マルチワイヤーソー6のワイヤーの太さ約200μと、円形シリコン基板11の枚数を掛けた量、即ち円形シリコンインゴット1の約半分は切断汚泥となる。このような製法のためにシリコン基板の製造コストが全体の約50%を占めており、コストダウンが困難である。
【0005】
そこで、シリコンインゴットの利用率を高める対策として、水酸化カリウム(KOH)液を用いた異方性エッチング法(化学腐食)で、肉厚単結晶シリコンから厚さ50μ以下のシリコンリボン(リボン状シリコン基板)を得る方法がある。単結晶シリコンのKOH液でのエッチング速度は、(110)面は(111)面より100倍以上早く、切断幅と深さの比率であるアスペクト比で100以上が得られる。これは(110)面が1000μ(1mm)エッチングされる間に(111)面は10μしかエッチングされないことになり、本手法で単結晶シリコンの深堀切断ができることを意味している。
【0006】
このような異方性エッチングを利用して単結晶シリコンリボンを得、太陽電池にするアイデアが2000年ころから提案され、2007年9月現在、オーストラリアのオリジンエネルギー社で製品化しスリバーセル(Sliver Cell)の商品名で販売されている(特許文献1、非特許文献1参照)。
【0007】
このスリバーセルの製法の概略を、図4を用いて説明する。
同図Aの斜視図に示すように、円形シリコンインゴット1(直径150mm、長さ500mm程度の単結晶シリコン)はその円形面の面方位が(110)であり、この円形面に平行にマルチワイヤーソー6で厚さ1000μ(1mm)の円形肉厚シリコンウエハー21に切断される。同図Bに示されている円形肉厚シリコンウエハー21は、その側面Z−Z’面は(111)面方位となるようにし、これとストリップ22が平行になるようにレジストパターン23が作られる。
【0008】
円形肉厚シリコンウエハー21の表面には、窒化珪素、二酸化珪素、有機物などのレジストとマスクを用いて所定の形状のレジストパターン23(図の斜線部)が形成される。ここでは、レジストのない部分(シリコンが露出している部分)として、円形面の中央部に長さ100mm、幅20μのストリップ22が互いに平行、かつ等間隔(80μ間隔)で複数(図示は6個)配列されている。
【0009】
このレジストパターン23を形成した円形肉厚シリコンウエハー21に対し、前述の異方性エッチング法を適用することで、ストリップ22の部分を腐食させて除去する。これにより、同図Cに示すように、円形肉厚シリコンウエハー21の中央部には、長さ100mm、幅50μ、高さ2mmの隙間25に挟まれた、隙間25と同じサイズのシリコンリボン26が等間隔に多数形成される。シリコンリボン26の長手方向の両端はウエハー縁24がフレームとなって固定されており、このままガスや液体を用いた燐拡散などの各種セル化工程を経ることで、太陽電池として機能する状態になる。
【0010】
次に、長手方向の両端が固定されたまま太陽電池となったシリコンリボンは、その両端(図4BのX−X’、及びY−Y’の位置)が切断されてウエハー縁24から分離され、バラバラにされる。同図Dはリボン状太陽電池27を横倒しにして並べた様子を示している。
【0011】
この方法と図3に示す方法とにより同量の円形シリコンインゴット1から得られる基板の面積を比べる。図3に示す方法では、マルチワイヤーソー6の切断幅200μ、シリコンウエハー厚さ200μであるため、1枚のシリコンウエハーを得るのに400ミクロンの厚さ分が必要となる。つまり、円形シリコンインゴット1の厚さ1mmの部分からは、2.5枚の角形シリコン基板13が得られる。従って、それらの合計面積は、100mm×100mm×2.5=10cm×10cm×5=250cm2となる。これに対し、スリバーセルの製法の場合、厚さ1mmの円形シリコンウエハー21から、長さ100mm、幅50μ、高さ1mmのシリコンリボン26が1000(100mm÷50μ÷2)本得られるため、その面積は、100mm×1mm×1000=10cm×100cm=1000cm2となる。つまり、スリバーセルの製法は、同量の円形シリコンインゴット1から4倍程度の面積の基板が得られる。このため、現状の太陽電池に比べてコストダウンが可能と予測されている。
【0012】
【特許文献1】特表2004-526298号公報
【非特許文献1】Proceeding of the 19thEuropean Photovoltaic Solar Energy Conference. 2004: Volume 1, p431
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
スリバーセルの製法において、同量の結晶シリコンからより多くのシリコン基板面積を得ることと、シリコンの損失を低減するために隙間25の幅を狭くしてより薄いシリコンリボンを得ることが考えられる。ところが、スリバーセルでは、シリコンリボン26がウエハー縁24のフレームに固定されたまま、隙間25にガスや液体が浸入して太陽電池が作りこまれるため、隙間25の幅を50μから20μや10μへと狭くしていくと、ガスや液体の浸入が阻害され、良好な太陽電池ができなくなる。従って、スリバーセルの場合はシリコンリボン26の幅と隙間25の幅が約50μと同じ程度にならざるを得ない。つまり隙間25を狭くできないために材料損失を減らせないしシリコンリボンの数も増やせない。このことは従来の太陽電池と同様に、シリコンリボン26を得るのにリボン作成面積で材料損失の割合が約50%もあるという問題点を抱えているため、将来の大規模な量産化には適していないと言える。
【0014】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、太陽電池用のシリコンリボンを得る工程で、同量の結晶シリコンからより多くのシリコン基板面積を得ることと、材料損失をできるだけ低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明は、厚さが1〜5mmの櫛状結晶シリコンである。
請求項2の発明は、請求項1記載の櫛状結晶シリコンにおいて、上面の面方位が(110)面であり、側面の面方位が(111)面である単結晶からなることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の櫛状結晶シリコンの櫛歯からなる結晶シリコンリボンである。
請求項4の発明は、請求項3記載の結晶シリコンリボンをセル化して得られる太陽電池である。
請求項5の発明は、上面の面方位が(110)面であり、側面の面方位が(111)面であり、かつ厚さが1〜5mmの角形単結晶シリコンの上面に櫛状のレジストパターンを形成するパターン形成工程と、前記レジストパターンが形成された角形単結晶シリコンの上面に垂直な方向に異方性エッチングを行うエッチング工程とからなる櫛状単結晶シリコンの製造方法である。
請求項6の発明は、請求項5記載の櫛状単結晶シリコンの製造方法において、前記パターン形成工程は、角形の対向する辺を基部とする一対の櫛の櫛歯列が互い違いに配列されるようにレジストパターンを形成することを特徴とする。
請求項7の発明は、厚さが1〜5mmの単結晶又は多結晶の角形結晶シリコンを加工することで、厚さが1〜5mmの櫛状結晶シリコンを製造する方法であって、前記の角形結晶シリコンから櫛状の櫛の隣り合う歯と歯の間となる部分を放電加工又はレーザー加工等の方法により切除する工程を有することを特徴とする。
請求項8の発明は、厚さが1〜5mmの櫛状結晶シリコンの櫛歯からなる結晶シリコンリボンをセル化する工程を有する太陽電池の製造方法である。
請求項9の発明は、請求項8記載の太陽電池の製造方法において、前記櫛状結晶シリコンは上面の面方位が(110)面であり、側面の面方位が(111)面である単結晶シリコンからなることを特徴とする。
【0016】
[作用]
本発明によれば、上面の面方位が(110)面であり、側面の面方位が(111)面であり、かつ厚さが1〜5mmの角形単結晶シリコンの上面に櫛状のレジストパターンを形成し、その角形単結晶シリコンを上面に垂直な方向に異方性エッチングを行うことで、上面の面方位が(110)面であり、側面の面方位が(111)面であり、かつ厚さが1〜5mmの櫛状単結晶シリコンを製造し、その櫛状単結晶シリコンの櫛歯からなる単結晶シリコンリボンをセル化して太陽電池を製造する。
また、厚さが1〜5mmの単結晶又は多結晶の角形結晶シリコンから、櫛状の櫛の歯と歯の間となる部分を放電加工やレーザー加工等の方法により切除して、厚さが1〜5mmの櫛状結晶シリコンを製造し、その櫛状結晶シリコンの櫛歯からなる結晶シリコンリボンをセル化して太陽電池を製造する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スリバーセルの製造方法と比べて、太陽電池用のシリコンリボンを得る工程の材料損失を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1及び図2は本発明の実施形態の、太陽電池の製造方法の概要を示す図である。
図1Aに示すように、円形シリコンインゴット1(直径150mm、長さ500mm程度の単結晶シリコン)はその円形面2の面方位が(110)である。同図Bに示すように、円形インゴット1の円形面2で、Z−Z’方向と平行な面が(111)面方位となるように方位決めをし、罫書き線を入れておく。この罫書き線にそって円形インゴット1の周囲4箇所のインゴット縁4は切断加工で切り落とし、同図Cに示すような角形シリコンインゴット5にする。この様な加工をすることで、角形シリコンインゴット5の上面(長手方向の先端面)の面方位が(110)面であり、側面の面方位が(111)面の形状が得られる。次いで角形シリコンインゴット5をワイヤー幅200μ程度のマルチワイヤーソー6で厚さ1000μ(1mm)程度に切断することで、側面の面方位が(111)面の角型肉厚シリコンウエハー7が得られる。
【0019】
次に角型肉厚シリコンウエハー7を以下の工程により櫛状シリコンリボンに加工する。まず角形肉厚シリコンウエハー7の表裏面全体に窒化珪素、二酸化珪素、有機物などのレジストを塗布した後、不要な部分のレジストを除去して、それぞれが櫛状の第1の櫛状レジストパターン71及び第2の櫛状レジストパターン72(図の斜線)を表裏面に対称的に形成する。
【0020】
第1の櫛状レジストパターン71では、図1Dの角形の上縁部を基部パターン71aとし、そこから下方に幅45μの櫛歯パターン71bが100μ間隔で複数(図示は6本)延びている。第2の櫛状レジストパターン72では、図1Dの角形の下縁部を基部パターン72aとし、そこから上方に幅45μの櫛歯パターン72bが100μ間隔で複数(図示は5本)延びている。櫛歯パターン71bと櫛歯パターン72bとは互い違いに配列されている。この第1の櫛状レジストパターン71及び第2の櫛状レジストパターン72により、レジストのない部分が、太さ5μの線により繰り返し間隔100μの方形波状のパターン8となる。
【0021】
次にこのレジストパターンが形成された角形肉厚シリコンウエハー7を80℃前後のKOH水溶液に入れると、表裏面の(110)面でシリコンが露出している方形波状のパターン8の部分は、1分当たり10μ前後の速さのエッチングで除去される。従って、表裏面の方形波状パターン8の部分は、50分後には両側から500μずつの合計1000μが除去されて貫通して切断される。一方角形肉厚シリコンウエハー7表面の(110)面と直交する深さ方向となる側面の(111)面は、1分当たり片側0.1μ前後の速さでしか除去されない。つまり、側面片側の(111)面方向は50分後には5μ(0.1μ/分×50分)除去され、当初5μであった方形波状のパターン8の幅は両側に10μ除去され、合計15μになる。このようなエッチング速度に100倍もの大幅な相違があることを利用して単結晶を貫通させることができ、方形波状のパターン8の形状に対応する隙間が形成される。その後、レジストを除去すると、角形肉厚シリコンウエハー7の全面がシリコン露出の状態になる。図1Eはこの状態を示し、図1Dのパターン8の部分が貫通することで、そのパターンの形状に対応する溝幅15μの隙間77ができ、その隙間と隙間の間に幅35μの櫛歯が形成される。この隙間77により角形肉厚シリコンウエハー7は、第1の櫛状レジストパターン71及び第2の櫛状レジストパターン72に対応する、図1Fに示す第1の櫛状シリコン基板73及び第2の櫛状シリコン基板74に分割される。
【0022】
図1Fに示すように、分割された第1の櫛状シリコン基板73及び第2の櫛状シリコン基板74の少なくとも一方を図の上下方向に移動させることにより、それらを互いに分離する。ここで、第1の櫛状シリコン基板73は厚さが1mmであり、幅35μ、長さ略100mmの複数(図示は6本)の櫛歯73bが幅60μの隙間73cを挟んで基部73aから延びている。また、第2の櫛状シリコン基板74は厚さが1mmであり、幅35μ、長さ略100mmの複数(図示は5本)の櫛歯74bが幅65μの隙間74cを挟んで基部74aから延びている。
【0023】
次いで第1の櫛状シリコン基板73及び第2の櫛状シリコン基板74は図示されていない冶具の上で整列させられ、電気炉に入れられて太陽電池に作り込まれる。電気炉に入れられた第1の櫛状シリコン基板73及び第2の櫛状シリコン基板74では、燐拡散により櫛歯73b及び74bの表面にn型層が形成されることでpn接合層が形成され、更に窒化珪素薄膜からなる反射防止膜の形成、電極形成などのセル化工程を経て、櫛歯73b及び74bがリボン状太陽電池になる。
【0024】
図2Aに示すように、櫛歯73b及び74bから製造されたリボン状太陽電池セル75b及び76bは、櫛の基部73a及び74aに対応する部分75a及び75bに固定されたままであるため、これらをP−Q面で機械的にまたはレーザー光を用いて切断することで基部75a及び75bより切り離される。
【0025】
最後に図2Bに示すように、切り離されたリボン状太陽電池セル75b及び76bを横倒しにすることで、幅1mm、長さ100mm、厚さ35μの横向きのリボン状太陽電池セルが多数並んだ状態になる。これらのリボン状太陽電池セルに互いに配線し、パネルに挿入などすれば太陽電池が完成する。
【0026】
このように、本実施形態によれば、第1の櫛状シリコン基板73及び第2の櫛状シリコン基板74に形成された2組の櫛歯列を得ることで、シリコンリボンの総数、即ち櫛歯の総数は櫛歯73bの総数と櫛歯74bの総数の和となり、スリバーセルの約2倍となる。さらに、隣り合う櫛歯の間隔(隙間)を65μ確保できるので、このままガスや気体を用いたセル化プロセスによる太陽電池の製造が可能となる。また、太陽電池の面積はスリバーセルで得られる面積の約2倍となり、材料損失も1〜3割少なくなる。
【0027】
本願発明の効果を実証するため、実施例1及び2について説明する。
〔実施例1〕
櫛歯73b及び74bの幅を35μとし、隙間77の幅を15μとなるようにシリコンリボンを作成した場合に、得られるリボン面積と材料損失についてスリバーセルとの比較を行った。
【0028】
図4Cに示したように、スリバーセルの場合はシリコンリボン26の幅が50μ、隙間25の幅が50μであるから、100μ当たり1本のリボンが得られ、材料損失は50%である。一方、本実施例では、100μ当たり2本のリボンが得られ、材料損失は33%である。これをスリバーセルと比較すると、リボンの得られる数、つまりウエハー面積は2倍に増加し、材料損失は約3割減となる。
【0029】
さらに図3に示した従来の方法(ウエハー切断法)の場合と比べると、スリバーセルは4〜5倍の面積が得られ、材料損失は50%と同等である。従って、ウエハー切断法と本実施例とを比較すると、本実施例ではウエハー面積は8〜10倍に増加し、材料損失は約3割減となる。
【0030】
〔実施例2〕
櫛歯73b及び74bの幅を25μとし、隙間77の幅を15μとしてシリコンリボンを作成した場合に、得られるリボン面積と材料損失についてスリバーセルとの比較を行った。
【0031】
スリバーセルの場合は、実施例1にて述べたように、100μ当たり1本のリボンが得られ、材料損失は50%である。一方、本実施例では、100μ当たり25μのリボンが2.5本得られ、100μ当たりの材料損失は37.5μ、つまり37.5%である。これをスリバーセルと比較すると、リボンの得られる数、つまりウエハー面積は2.5倍に増加し、材料損失は約1.3割減となる。また、ウエハー切断法と本実施例とを比較すると、本実施例ではウエハー面積は10〜12.5倍に増加し、材料損失は約1.3割減となる。
【0032】
なお、以上の実施形態では、単結晶シリコン基板を用いて、その特定の面方向でのエッチング速度の違いを利用した切断方法によるシリコンリボンの新たな製法を主に述べてきた。しかし切断方法は放電加工やレーザー光加工など多岐に渡る方法があり、これらの場合はシリコン結晶の面方位に依存しない切断が可能である。したがって、これらの切断加工を利用する場合は、任意方位の単結晶又は多結晶の櫛状シリコンが得られ、これを用いたシリコンリボン太陽電池が本発明の範囲に入ることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態の、太陽電池の製造方法の櫛形基板を製造するまでの工程の概要を示す図である。
【図2】本発明の実施形態の、太陽電池の製造方法のセル化工程の概要を示す図である。
【図3】単結晶シリコン基板を用いた太陽電池の従来の製法の概略を示す図である。
【図4】スリバーセルの製法の概略を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1・・・円形シリコンインゴット、5・・・角形シリコンインゴット、7・・・角形肉厚シリコンウエハー、71,72・・・レジストパターン、73,74・・・櫛状シリコン基板、73b,74b・・・櫛歯、75b,76b・・・リボン状太陽電池セル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さが1〜5mmの櫛状結晶シリコン。
【請求項2】
請求項1記載の櫛状結晶シリコンにおいて、上面の面方位が(110)面であり、側面の面方位が(111)面である単結晶からなることを特徴とする櫛状結晶シリコン。
【請求項3】
請求項1又は2記載の櫛状結晶シリコンの櫛歯からなる結晶シリコンリボン。
【請求項4】
請求項3記載の結晶シリコンリボンをセル化して得られる太陽電池。
【請求項5】
上面の面方位が(110)面、側面の面方位が(111)面であり、かつ厚さが1〜5mmの角形単結晶シリコンの上面に櫛状のレジストパターンを形成するパターン形成工程と、前記レジストパターンが形成された角形単結晶シリコンの上面に垂直な方向に異方性エッチングを行うエッチング工程とからなる櫛状単結晶シリコンの製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の櫛状単結晶シリコンの製造方法において、前記パターン形成工程は、角形の対向する辺を基部とする一対の櫛の櫛歯列が互い違いに配列されるようにレジストパターンを形成することを特徴とする櫛状単結晶シリコンの製造方法。
【請求項7】
厚さが1〜5mmの単結晶又は多結晶の角形結晶シリコンを加工することで、厚さが1〜5mmの櫛状結晶シリコンを製造する方法であって、前記の角形結晶シリコンから櫛状の櫛の隣り合う歯と歯の間となる部分を放電加工又はレーザー加工等の方法により切除する工程を有することを特徴とする櫛状結晶シリコンの製造方法。
【請求項8】
厚さが1〜5mmの櫛状結晶シリコンの櫛歯からなる結晶シリコンリボンをセル化する工程を有する太陽電池の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の太陽電池の製造方法において、前記櫛状結晶シリコンは上面の面方位が(110)面であり、側面の面方位が(111)面である単結晶シリコンからなることを特徴とする太陽電池の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−105333(P2009−105333A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277997(P2007−277997)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(591054864)ユニオンマテリアル株式会社 (13)
【Fターム(参考)】