説明

結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ

【課題】延伸及び加熱することなく、押出及び圧延のみの工程によって簡易に得られ、微小な孔径を有し、数十nmサイズの微粒子を効率良く捕捉することができ、高流量、かつ、高強度である薄膜の結晶性ポリマー微孔性膜及びその効率的な製造方法、並びに濾過用フィルタの提供。
【解決手段】結晶性ポリマーを用いて予備成形体を作製する予備成形体作製工程と、前記予備成形体を投入する予備成形体投入部と、該予備成形体投入部における下流側に接続された絞り部と、該絞り部における下流側に接続され、かつ中心角度が30°以上80°未満、出口幅が200mm以上である扇部とを有してなり、かつ、絞り比が50以上である押出装置を用いて、前記予備成形体をシート状に押出する押出工程と、前記押出工程により得られた、結晶性ポリマーからなるシートを圧延する圧延工程とを含む結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過用フィルタ、並びに該濾過用フィルタに好適な結晶性ポリマー微孔性膜及びその好適な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微孔性膜は古くから知られているが、近年、電子工業用洗浄水、医薬用水、医薬製造工程用水、食品水等の濾過、滅菌などに用いる濾過用フィルタとして、その用途及び使用量が拡大しており、信頼性の高い微孔性膜が注目されている。
【0003】
このような微孔性膜の材料としては、例えば、セルロースエステル(例えば、特許文献1参照)、脂肪族ポリアミド(例えば、特許文献2参照)、ポリフルオロカーボン(例えば、特許文献3参照)、ポリプロピレン(例えば、特許文献4参照)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」と称することもある)(例えば、特許文献5及び6参照)などが知られている。これらの中でも、前記PTFEを原料とした結晶性ポリマー微孔性膜は、耐熱性及び耐薬品性に優れている上、孔径と流量のバランスにも優れるため、その需要の伸びが著しい。
【0004】
前記PTFEを原料とした結晶性ポリマー微孔性膜として、例えば、PTFEペーストを押出する際に用いる押出金型の予備成形体投入部と、該予備成形体投入部に接続された絞り部との絞り比を大きくとることで、前記PTFEペーストにかかるせん断強度を高め、所望の微孔性膜が得られることが提案されている(例えば、特許文献7及び8参照)。
これらの提案では、押出及び圧延によって得られるシート成形物を高倍率に延伸し、必要に応じて加熱処理することにより所望の膜を得ているが、仮に、前記シート成形物よりも更に薄く強靭なシート成形物が利用可能となれば、延伸倍率を下げる等の工程簡略化や濾過性能の向上を図ることができるばかりか、濾過以外の様々な用途への応用が開けると考えられる。
しかしながら、一旦延伸及び加熱処理を加えた膜は、延伸加工適性に劣り利用が困難な上、理由は定かでないが、50μmを下回るPTFE膜を押出及び圧延のみにより作製されることは困難であるとの報告もなされており(例えば、非特許文献1参照)、薄膜のPTFEシート成形物を利用した材料技術は未だ提案されていない。
【0005】
したがって、押出及び圧延のみの工程によって簡易に得られる薄膜の結晶性ポリマー成型体、及びその効率的な製造方法、並びに、これら薄膜の結晶性ポリマー成型体を用いて作成される濾過用フィルタの速やかな開発が強く求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第1,421,341号明細書
【特許文献2】米国特許第2,783,894号明細書
【特許文献3】米国特許第4,196,070号明細書
【特許文献4】西独特許第3,003,400号明細書
【特許文献5】特開平3−179038号公報
【特許文献6】特開平3−179039号公報
【特許文献7】特開2009−61363号公報
【特許文献8】特開2009−73051号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ふっ素樹脂ハンドブック 里川孝臣編 日間工業新聞社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、延伸及び加熱することなく、押出及び圧延のみの工程によって簡易に得られ、微小な孔径を有し、数十nmサイズの微粒子を効率良く捕捉することができ、高流量、かつ、高強度である薄膜の結晶性ポリマー微孔性膜及びその効率的な製造方法、並びに、濾過用フィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため本発明者が鋭意検討を重ねた結果、結晶性ポリマーを用いてなる予備成形体を押出する際に、前記予備成形体を投入する予備成形体投入部と、該予備成形体投入部における下流側に接続された絞り部と、該絞り部における下流側に接続され、かつ中心角度が30°以上80°未満、出口幅が200mm以上である扇部とを有してなり、かつ、絞り比が50以上である押出装置を用いることにより、従来ではできないとされていた押出しと圧延のみで、50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜を製造できることを知見した。また、本発明者は、前記結晶性ポリマー微孔性膜の効率的な製造方法、並びに、前記結晶性ポリマー微孔性膜を用いた微小孔径を有する濾過用フィルタを知見した。
【0010】
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 結晶性ポリマーを用いて予備成形体を作製する予備成形体作製工程と、前記予備成形体を投入する予備成形体投入部と、該予備成形体投入部における下流側に接続された絞り部と、該絞り部における下流側に接続され、かつ中心角度が30°以上80°未満、出口幅が200mm以上である扇部とを有してなり、かつ、絞り比が50以上である押出装置を用いて、前記予備成形体をシート状に押出する押出工程と、前記押出工程により得られた、結晶性ポリマーからなるシートを圧延する圧延工程と、を含むことを特徴とする結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法である。
<2> 押出工程により得られた結晶性ポリマーからなるシートにおける幅方向の1,000%引張り強度が、6MPa以上である前記<1>に記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法である。
<3> 圧延工程において、シートを圧延することにより、結晶性ポリマー微孔性膜の平均厚みが50μm以下とされる前記<1>から<2>のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法である。
<4> 圧延工程により得られた結晶性ポリマー微孔性膜を、少なくとも1軸方向に延伸する延伸工程を含む前記<1>から<3>のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法である。
<5> 延伸工程により得られた結晶性ポリマー微孔性膜を、該結晶性ポリマーの融点以上の温度で加熱する加熱工程を含む前記<4>に記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法である。
<6> 予備成形体が、第1の結晶性ポリマーを含む層と、第2の結晶性ポリマーを含む層とが積層されてなり、前記第1の結晶性ポリマーの融点が前記第2の結晶性ポリマーの融点よりも高い前記<1>から<5>のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法である。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法により製造されることを特徴とする結晶性ポリマー微孔性膜である。
<8> 平均厚みが、50μm以下である前記<7>に記載の結晶性ポリマー微孔性膜である。
<9> 前記<7>から<8>のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜を用いたことを特徴とする濾過用フィルタである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、延伸及び加熱することなく、押出及び圧延のみの工程によって簡易に得られ、微小な孔径を有し、数十nmサイズの微粒子を効率良く捕捉することができ、高流量、かつ、高強度である薄膜の結晶性ポリマー微孔性膜及びその効率的な製造方法、並びに濾過用フィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の結晶性ポリマー微孔膜の製造方法の工程の一例を示す図である。
【図2】図2は、本発明の結晶性ポリマー微孔膜の製造方法の他の工程の一例を示す図である。
【図3】図3は、予備成形体の一例を示す図である。
【図4】図4は、本発明の結晶性ポリマー微孔膜の製造方法の他の工程の一例を示す図である。
【図5】図5は、本発明で用いる押出装置の一例を表す図である。
【図6】図6は、本発明に係る2層構造の結晶性ポリマー微孔膜の一例を示す模式図である。
【図7】図7は、本発明に係る3層構造の結晶性ポリマー微孔膜の一例を示す模式図である。
【図8】図8は、ハウジングに組込む前の一般的なプリーツフィルターエレメントの構造を表す図である。
【図9】図9は、カプセル式フィルターカートリッジのハウジングに組込む前の一般的なフィルターエレメントの構造を表す図である。
【図10】図10は、ハウジングと一体化された一般的なカプセル式のフィルターカートリッジの構造を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法)
本発明の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法は、予備成形体作製工程、押出工程、圧延工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0014】
<予備成形体作製工程>
前記予備成形体作製工程は、結晶性ポリマーを用いて、予備成形体を作製する工程である。前記結晶性ポリマーは、前記予備成形体を作製する際、ペーストであることが好ましく、該ペーストにはその他の成分を含んでもよい。
【0015】
前記結晶性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分子構造の中に長い鎖状の分子が規則的に並んだ結晶性領域と、規則的に並んでいない非結晶領域が混在したポリマーが好ましい。このようなポリマーは物理的な処理により、結晶性が発現する。例えば、ポリエチレンフィルムを外力により延伸すると、初めは透明なフィルムが白濁する現象が生じる。前記現象は、外力によりポリマー内の分子配列が一つの方向に揃えられ、結晶性が発現したことに由来する。
【0016】
前記結晶性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、融点の異なる結晶性ポリマーを用いることが好ましく、第1の結晶性ポリマー(高融点の結晶性ポリマーと称することがある)、及び第1の結晶性ポリマーの融点よりも低い第2の結晶性ポリマー(低融点の結晶性ポリマーと称することがある)を用いることがより好ましい。
【0017】
前記結晶性ポリマーの融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記第1の結晶性ポリマーの融点が、前記第2の結晶性ポリマーの融点よりも、1℃以上高いことが好ましく、3℃以上高いことがより好ましい。
前記第1の結晶性ポリマーの融点が、前記第2の結晶性ポリマーの融点よりも低いと、十分な流量が得られず、濾過効率が著しく低下するおそれがある。
なお、前記融点とは、示差走査熱量計で測定して得られたDSCチャートのピーク位置のことを示し、2つのピークを有する場合、又は1つのピークと、1つのショルダー部を有する場合は、ピーク強度の高い方を融点とする。
【0018】
前記第1の結晶性ポリマーの融点に該当するDSCチャートにおける吸熱ピーク位置の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、343℃〜350℃であることが好ましい。
前記第2の結晶性ポリマーの融点に該当するDSCチャートにおける吸熱ピーク位置の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、320℃〜338℃であることが好ましい。
【0019】
前記結晶性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアルキレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、結晶性ポリマーなどが挙げられ、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン共重合体、ナイロン、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、シンジオタクチック・ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、フッ素樹脂、ポリエーテルニトリルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、高結晶性を有するパウダー状の製品が入手しやすく、また、耐溶剤性及び耐熱性が高く、種々の用途に好適に利用できる点で、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン共重合体が、好ましい。
【0020】
前記ポリテトラフルオロエチレンとしては、通常、乳化重合法により製造されたポリテトラフルオロエチレンを用いることができ、乳化重合により得られた水性分散体を凝析して取得した微粉末状のポリテトラフルオロエチレンを使用することが好ましい。
前記ポリテトラフルオロエチレン共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレンから選択される少なくとも2種を共重合してなる共重合体が挙げられる。
【0021】
前記結晶性ポリマーの形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉末状の形態、粒子状の形態などが挙げられる。
前記結晶性ポリマーの粉末状の形態、粒子状の形態とする際の平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2μm〜0.4μmが好ましい。
【0022】
前記結晶性ポリマーのガラス転移温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、−100℃〜400℃が好ましく、−90℃〜350℃がより好ましい。
【0023】
前記結晶性ポリマーの数平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、500〜50,000,000が好ましく、1,000〜25,000,000がより好ましい。なお、前記数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができるが、前記PTFEは、溶剤に不溶であるため、DSC測定による結晶化熱〔ΔHc:cal/g〕測定を行い、関係式:Mn=2.1×1010×ΔHc−5.16、を用いて算出することが好ましい。
【0024】
前記結晶性ポリマーの重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000〜100,000,000が好ましく、10,000〜10,000,000がより好ましい。なお、前記重量平均分子量は、前記数平均分子量と同様の方法により、測定して算出することができる。
【0025】
前記結晶性ポリマーとしては、特に制限はなく、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業株式会社製、商品名「ポリフロン PTFE」、品番名「F−104」、「F−106」、「F−201」、「F−205」、「F−208」、「F−301」、「F−302」、商品名「ルブロン」、品番名「L−2」、「L−5」)、ポリテトラフルオロエチレン(旭硝子株式会社製、商品名「Fluon(登録商標)PTFE」、品種名「CD1」、「CD141」、「CD145」、「CD123」、「CD076」、「CD090」、「CD126」)、ポリテトラフルオロエチレン(三井デュポンフロロケミカル株式会社製、商品名「テフロン(登録商標)PTFE」、銘柄名「6−J」、「6C−J」、「62XT」、「640−J」)などが挙げられる。
これらの中でも、比較的低い成型圧力で強度の優れた成型品を得やすい点で、ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業株式会社製、商品名「ポリフロン PTFE」、品番名「F−106」)が好ましく、延伸後の孔径微細化の点で、ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業株式会社製、商品名「ポリフロン PTFE」、品番名「F−205」)が好ましい。
【0026】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、押出助剤が挙げられる。前記押出助剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ソルベントナフサ、ホワイトオイル等の液状潤滑剤を用いることが好ましい。前記押出助剤の市販品としては、例えば、炭化水素油(エッソ石油株式会社製、商品名「アイソパー」)などが挙げられる。前記押出助剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結晶性ポリマー100質量部に対して、15質量部〜30質量部が好ましい。
【0027】
前記予備成形体を作製する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)前記第1の結晶性ポリマー、及び前記押出助剤を混練機により混練してなるペーストを金型内に敷き詰めて加圧することにより予備成形体を作製する方法、(2)前記第1の結晶性ポリマー、及び前記第2の結晶性ポリマー、並びに前記押出助剤を混練機により混練してなるペーストを金型内に敷き詰めて加圧することにより積層予備成形体を作製する方法、などが挙げられる。
【0028】
前記予備形成体を作製する際に用いる金型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラスチック用金型、プレス金型、ダイカスト金型、鋳造金型、鍛造金型などが挙げられる。
【0029】
前記予備形成体の平均厚みは、後述する押出する方法あるいは圧延する方法に合わせて設定される。つまり、押出する方法に合わせて設定される場合は、押出装置の予備成形体投入部の寸法に合わせて作製され、圧延する方法に合わせて設定される場合は、圧延装置の入口形状によって概ね形状が決定される。
前記予備形成体の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の例を示すならば、押出する方法に合わせて設定される場合における前記予備形成体の平均厚みとしては、例えば、5cm〜10cmであり、圧延する方法に合わせて設定される場合における前記予備形成体の平均厚みとしては、例えば、0.5cm〜5cmである。
【0030】
<押出工程>
前記押出工程は、前記予備成形体を投入する予備成形体投入部と、該予備成形体投入部における下流側に接続された絞り部と、該絞り部における下流側に接続され、かつ中心角度が30°以上80°未満、出口幅が200mm以上である扇部とを有してなり、かつ、絞り比が50以上である押出装置を用いて、前記予備成形体をシート状に押出する工程である。なお、前記押出工程に際しては、「ポリフロンハンドブック」(ダイキン工業株式会社発行、1983年改訂版)に記載されている事項を適宜採用することができる。
【0031】
前記絞り比は、前記予備成形体投入部における、押出方向と直交方向の最大断面積と、前記絞り部における押出方向と直交方向の最小断面積との比(「Reduction Ratio(RR)」、「リダクション比」と称することもある。)を意味する。また、前記絞り比を、図5を用いて示せば、押出装置における予備成形体を投入する予備成形体投入部の断面積A1と、予備成形体投入部における下流側に接続された絞り部における最小断面積A2との比(A1/A2)を意味する。
前記絞り比としては、50以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50以上800未満が好ましく、60以上600未満がより好ましく、100以上300未満が特に好ましい。
前記絞り比が、前記好ましい範囲内であると、プレス圧が過剰になることなく前記予備成形体の送り方向、厚み方向、幅方向の全てに対し高せん断を印加しながら押出することができ、強靭な結晶性ポリマーからなるシートを得ることができるため、従来ではできないとされていた押出しとカレンダーロールによる圧延のみで、平均厚みが50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜の製造が可能となり、前記特に好ましい範囲内であると、それが顕著となる点で有利である。
【0032】
前記扇部の中心角度は、図5を用いて示せば、押出方向(図5の白矢印で示す)と該押出方向から傾斜した一方の端部3Aと他方の端部3Bとのなす角度をいう。
前記扇部の中心角度としては、30°以上80°未満であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30°以上75°以下が好ましく、40°以上60°以下がより好ましい。前記中心角度が、過剰に広いとシートに裂けを生じやすく、過剰に狭いとせん断を与えるために必要な横方向の変形を与えるための長大な金型が必要となり押出し圧が上昇し、実質的に利用不可能な押出圧となるおそれがある。
【0033】
前記扇部の出口幅は、図5を用いて示せば、該扇部の出口開口長さ乃至幅7をいい、前記扇部における下流出口の幅方向が一定の値となる幅をいう。
前記扇部の出口幅としては、200mm以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、200mm以上600mm以下が好ましく、250mm以上400mm以下が特に好ましい。前記出口幅が、不足すると十分なせん断を与えることができず、過剰に広いとシートに裂けを生じるか又は押出し圧が過剰となって適正な押出しが行えないおそれが生じる。
前記扇部の中心角度及び出口幅が、前記好ましい範囲内であると、前記予備成形体に対し、絞り比のせん断効果に加えて更に幅方向に高いせん断力を印加することが可能になり、強靭な結晶性ポリマーからなるシートを得ることができるため、従来ではできないとされていた押出しとカレンダーロールによる圧延のみで、平均厚みが50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜の製造が可能となり、前記特に好ましい範囲内であると、それが顕著となる点で有利である。
【0034】
前記扇部における下流出口の平均厚みは、図5を用いて示せば、符号6で示される厚みをいう。前記押出装置の前記出口下部の平均厚みにより、押出しによって得られるシート状成型体の厚みを規定することができ、このシート状成型体の厚みを適宜設定することにより、押し出し工程及び圧延工程をよりスムーズに行うことが可能である。
前記扇部における下流出口の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5mm以上3.0mm以下が好ましく、1.0mm以上2.5mm以下がより好ましい。
前記扇部における下流出口の平均厚みが、前記好ましい範囲内であると、前記予備成形体を高せん断かつ円滑に押出すことができ、強靭な結晶性ポリマーからなるシートを得ることができるため、従来ではできないとされていた押出しとカレンダーロールによる圧延のみで、平均厚みが50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜の製造が可能となり、前記特に好ましい範囲内であると、それが顕著となる点で有利である。
【0035】
前記押出装置における、前記予備成形体の押出速度としては、絞り部を通過するペーストの速度の押し出し軸方向成分の平均値によって規定され、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5m/分〜10.0m/分が好ましく、0.6m/分〜8.0m/分がより好ましく、0.7m/分〜5.0m/分が特に好ましい。
前記押出速度が、前記好ましい範囲内であると、前記予備成形体を高せん断かつ円滑に押出すことができ、強靭な結晶性ポリマーからなるシートを得ることができるため、従来ではできないとされていた押出しとカレンダーロールによる圧延のみで、平均厚みが50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜の製造が可能となり、前記特に好ましい範囲内であると、それが顕著となる点で有利である。
【0036】
前記押出工程における押出温度としては、特に制限はなく、公知の押出する方法に準じて行うことができ、目的に応じて適宜選択することができるが、形状安定性の点で、30℃以上60℃以下が好ましく、35℃以上60℃以下がより好ましい。
前記温度が、前記好ましい範囲内であると、前記予備成形体を高せん断かつ円滑に押出すことができ、強靭な結晶性ポリマーからなるシートを得ることができるため、従来ではできないとされていた押出しとカレンダーロールによる圧延のみで、平均厚みが50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜の製造が可能となり、前記特に好ましい範囲内であると、それが顕著となる点で有利である。
【0037】
前記押出工程により得られた、結晶性ポリマーからなるシートの平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5mm以上3.0mm以下が好ましく、1.0mm以上2.5mm以下がより好ましい。
前記平均厚みが、前記好ましい範囲内であると、前記予備成形体を高せん断かつ円滑に押出すことができ、強靭な結晶性ポリマーからなるシートを得ることができるため、従来ではできないとされていた押出しとカレンダーロールによる圧延のみで、平均厚みが50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜の製造が可能となり、前記特に好ましい範囲内であると、それが顕著となる点で有利である。
【0038】
前記押出工程により得られた結晶性ポリマーからなるシートは、送り方向、幅方向、及び厚み方向の全方向に対して高せん断が印加され、強靭な結晶性ポリマーからなるシートとなり、その強靭さは規定引張り倍率における強度によって表現することができる。
前記押出工程により得られた結晶性ポリマーからなるシートの幅方向の1,000%引張り強度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、6MPa以上が好ましく、8MPa以上がより好ましい。
【0039】
<圧延工程>
前記圧延工程は、前記押出工程により得られた結晶性ポリマーからなるシートを圧延する工程である。前記結晶性ポリマーからなるシートが強靭であるため、従来ではできないとされていた押出しとカレンダーロールによる圧延のみで、平均厚みが50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜の製造が可能となる。
【0040】
前記圧延する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上下1組のカレンダーロールにより圧力を印加してカレンダー掛けすることにより圧延する方法が挙げられる。前記圧延する方法により、好適に、平均厚みが50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜を製造することができる。
【0041】
前記圧延する際のシート温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下限は主にシートの柔軟性の維持、上限は用いた成型助剤の揮発が少ない範囲として設定され、30℃〜100℃が好ましく、40℃〜80℃がより好ましく、50℃〜70℃が特に好ましい。
前記圧延する際のカレンダー掛けする速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、上下カレンダーロールの送り速度として、0.5m/分〜40m/分が好ましく、1m/分〜20m/分がより好ましく、2m/分〜10m/分が特に好ましい。
前記圧延する際の前記結晶性ポリマーからなるシートにかかる平均圧力としては、特に制限はなく、使用する装置に応じて適宜選択することができ、例えば、30MPa〜150MPaが挙げられる。
これらの温度、圧延速度、平均圧力とすることにより、好適に、平均厚みが50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜を製造することができる。
【0042】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、延伸工程、加熱工程が好適に挙げられ、更に必要に応じて、押出助剤除去工程、表面改質工程などが挙げられる。
【0043】
−延伸工程−
前記延伸工程は、前記圧延工程により得られた結晶性ポリマー微孔性膜を、少なくとも1軸方向に延伸する工程である。前記延伸により、微孔性膜として好適な、緻密な孔構造と高い空隙率とを膜に付与することができる。
前記延伸する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、長手方向と幅方向の両方について延伸する方法が好ましく、長手方向と幅方向について、それぞれ逐次延伸を行う場合には、まず、長手方向の延伸を行ってから幅方向の延伸を行う方法がより好ましい。また、前記延伸は、長手方向と幅方向について、それぞれ逐次延伸を行ってもよいし、同時に二軸延伸を行ってもよい。
【0044】
前記延伸工程における長手方向の延伸倍率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.2倍〜50倍が好ましく、1.5倍〜40倍がより好ましく、2倍〜10倍が特に好ましい。
前記延伸工程における長手方向の延伸温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、35℃〜330℃が好ましく、45℃〜320℃がより好ましく、55℃〜310℃が特に好ましい。
【0045】
前記延伸工程における幅方向の延伸倍率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.2倍〜50倍が好ましく、1.5倍〜40倍がより好ましく、2倍〜30倍が更に好ましく、2.5倍〜10倍が特に好ましい。
前記延伸工程における幅方向の延伸温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、35℃〜330℃が好ましく、45℃〜320℃がより好ましく、60℃〜310℃が特に好ましい。
【0046】
前記延伸工程における面積延伸倍率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.5倍〜2,500倍が好ましく、2倍〜2,000倍がより好ましく、2.5倍〜100倍が特に好ましい。前記延伸を行う際に、予め延伸温度以下の温度に前記結晶性ポリマー微孔性膜を予備加熱しておいてもよい。なお、前記延伸後に、必要に応じて熱固定を行うことができる。前記熱固定の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、延伸温度以上かつ結晶性ポリマーの融点未満で行うことが好ましく、前記結晶性ポリマーがPTFE等のフッ素樹脂の場合には、融点以上で行うことが好ましい。
【0047】
−加熱工程−
前記加熱工程は、前記延伸工程により得られた結晶性ポリマー微孔性膜を、該結晶性ポリマーの融点以上の温度で加熱する工程である。前記加熱することにより、平均長軸長さが1μm以下の短いフィブリルを含む微細構造を有する微孔性膜が得られ、微孔性膜の孔径が小さくなり、より小さな微粒子を効率よく捕捉することができる結晶性ポリマー微孔性膜が得られる。
【0048】
前記加熱する方法としては、前記結晶性ポリマーを含む層を満遍なく均等に加熱できれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばソルトバス、熱風加熱機、炉、ロール、赤外線(IR)加熱装置などにより加熱する方法が挙げられる。これらの中でも、積層体全体を加熱する際の加熱ばらつきを抑えることができる点で、ソルトバスにより加熱する方法が好ましい。
【0049】
前記加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高流量化の点で、前記第1の結晶性ポリマー(高融点の結晶性ポリマー)の融点以下の温度が好ましい。前記高融点の結晶性ポリマーの融点に該当するDSCチャートにおける吸熱ピーク位置の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、343℃〜350℃であることが好ましい。
【0050】
−押出助剤除去工程−
前記押出助剤除去工程は、前記圧延工程により得られた結晶性ポリマー微孔性膜を加熱して押出助剤を除去する工程である。
前記押出助剤除去工程における加熱温度としては、特に制限はなく、用いる押出助剤の種類に応じて適宜選択することができるが、40℃〜400℃が好ましく、60℃〜350℃がより好ましく、前記結晶性ポリマーとして、ポリテトラフルオロエチレンを用い、押出助剤としてソルベントナフサを用いた場合における押出助剤除去工程における加熱温度としては、150℃〜280℃が好ましく、180℃〜260℃がより好ましい。
前記押出助剤除去工程における加熱方法としては、前記結晶性ポリマーからなるシートを熱風乾燥炉に通すことにより加熱する方法が挙げられる。
【0051】
−表面改質工程−
前記表面改質工程は、前記延伸工程により得られた結晶性ポリマー微孔性膜の少なくとも一部を表面改質する工程である。前記結晶性ポリマー微孔性膜の少なくとも一部には、結晶性ポリマー微孔性膜の露出している表面以外にも、孔部の周囲、孔部の内部などが含まれる。
前記表面改質する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、過酸化水素水又は水溶性溶剤の水溶液の含浸後、レーザーで照射することにより表面改質する方法(特開平7−304888号公報等参照)、放射線及びプラズマ等で照射することにより表面改質する方法(特開2003−201571号公報等参照)、化学的エッチング処理により表面改質する方法(特開2007−154153号公報等参照)、架橋系材料で被覆することにより表面改質する方法(特開平8−283447号公報等参照)、重合系材料で被覆することにより表面改質する方法(特開2000−235849号公報等参照)などが挙げられる。
【0052】
ここで、図1〜図5を参照して、本発明の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法の一例について説明する。図1に示すように、箱形状の下金型8内に、前記ペーストを層状に下金型8上に載せ、上金型(不図示)を用いて矢印方向に押圧する。これにより圧縮されて第1層4が形成される。次に、図2に示すように、第1層4上に、第2層5を形成するためのペーストを載せ、同様に上金型(不図示)を用いて圧縮する。以上により、図3に示すような、第1層4上に第2層5が積層された積層予備成形体10が得られる。そして、図4に示すような押出装置のシリンダー部に、得られた積層予備成形体10を収納した後、これを加圧手段(不図示)によって矢印方向に押圧する。また、前記押出装置は図5に示すような構造であり、予備成形体投入部1と、該予備成形体投入部1に接続された絞り部2と、該絞り部2と接続される扇部3とを有する。このような押出装置により、第1層4及び第2層5が完全に一体化され、各層が均一な厚みを有する積層体15が成形される。積層体15を圧延することにより、本発明の結晶性ポリマー微孔製膜が製造される。
【0053】
(結晶性ポリマー微孔性膜)
本発明の結晶性ポリマー微孔性膜は、前記結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法により、製造された微孔性膜である。
【0054】
前記結晶性ポリマー微孔性膜の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1の結晶性ポリマーを含む層からなる単層構造、前記第1の結晶性ポリマーを含む層と前記第2の結晶性ポリマーを含む層とからなる積層構造などが挙げられる。なお、前記結晶性ポリマー微孔性膜が単層構造及び積層構造のいずれかであることを確認する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶性ポリマー微孔性膜を厚み方向に凍結して切断した切断面を光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより確認する方法が挙げられる。
【0055】
前記結晶性ポリマー微孔性膜の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2層以上の第1の結晶性ポリマーを含む層と、1層の第2の結晶性ポリマーを含む層との積層構造が好ましく、2層の第1の結晶性ポリマーを含む層と、該2層の第1の結晶性ポリマーを含む層間に介装された1層の第2の結晶性ポリマーを含む層とを有する3層構造がより好ましい。
前記結晶性ポリマー微孔性膜の構造を前記3層構造とすることにより、前記第2の結晶性ポリマーを、摩擦や引っ掻き等の物理的破壊要因から保護することができ、捕捉性能の安定化を図ることができる点で有利である。また、前記結晶性ポリマー微孔性膜における前記第1の結晶性ポリマーを含む層の厚みが、前記第2の結晶性ポリマーを含む層の厚み以上の厚みであると、流量特性が向上する一方、微粒子捕捉率が低下し、前記結晶性ポリマー微孔性膜における前記第1の結晶性ポリマーを含む層の厚みが、前記第2の結晶性ポリマーを含む層の厚み未満の厚みであると、流量特性は低下するが、微粒子捕捉率は向上する。
【0056】
前記結晶性ポリマー微孔性膜が2層構造である場合、第1の結晶性ポリマーを含む層の厚みと、第2の結晶性ポリマーを含む層の厚みとの比(第1の結晶性ポリマーを含む層の厚み:第2の結晶性ポリマーを含む層の厚み)は、10,000:1〜1.2:1であることが好ましく、5,000:1〜1.25:1であることがより好ましく、1,000:1〜1.5:1であることが特に好ましい。前記比が、10,000超:1であると、第2の結晶性ポリマーを含む層の厚みを精密に制御できなくなるおそれがあり、1.2未満:1であると、第2の結晶性ポリマーを含む層が摩擦、引っ掻きの影響を受け、安定な微粒子捕捉性を保てないことがある。一方、前記比が前記特に好ましい範囲内であると、厚み制御及び微粒子捕捉性の点で有利である。
【0057】
前記結晶性ポリマー微孔性膜が3層構造(2層の第1の結晶性ポリマーを含む層と、該2層の第1の結晶性ポリマーを含む層間に介装された1層の第2の結晶性ポリマーを含む層とを有する3層構造)である場合、第1の結晶性ポリマーを含む層の最大厚みと、第2の結晶性ポリマーを含む層の厚みとの比(第1の結晶性ポリマーを含む層の最大厚み:第2の結晶性ポリマーを含む層の厚み)は、5,000:1〜1.2:1であることが好ましく、2,500:1〜1.25:1であることがより好ましく、1,000:1〜1.5:1であることが特に好ましい。前記比が、5,000超:1であると、第2の結晶性ポリマーを含む層の厚みを精密に制御できなくなるおそれがあり、1.2未満:1であると、第2の結晶性ポリマーを含む層が、摩擦や引っ掻きの影響を受け、安定な微粒子捕捉性を保てないことがある。一方、前記比が前記特に好ましい範囲内であると、厚み制御及び微粒子捕捉性の点で有利である。
【0058】
前記結晶性ポリマー微孔性膜の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50μm以下が好ましく、1μm〜50μmがより好ましく、5μm〜50μmが更に好ましく、10μm〜50μmが特に好ましい。なお、前記平均厚みを測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶性ポリマー微孔性膜を凍結割断し、走査型電子顕微鏡(SEM)により各層の断面観察を行うことにより、各層の平均厚みを測定することができる。
【0059】
前記結晶性ポリマー微孔性膜における前記第1の結晶性ポリマーを含む層は、第1の結晶性ポリマーを含んでいれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記結晶性ポリマー微孔性膜における前記第1の結晶性ポリマーを含む層の最大厚みは、前記第2の結晶性ポリマーを含む層の最大厚みより厚い。これにより、結晶性ポリマー微孔性膜の流量を向上させることができる。ここで、前記「最大厚み」とは、各層の厚みの最大値を意味する。例えば、厚みが20μmの第1の結晶性ポリマーを含む層と、厚みが15μmの第1の結晶性ポリマーを含む層と、厚みが10μmの第1の結晶性ポリマーを含む層とを有する積層体の場合、第1の結晶性ポリマーを含む層の最大厚みは20μmとなり、また、厚みが20μmの第2の結晶性ポリマーを含む層と、厚みが15μmの第2の結晶性ポリマーを含む層と、厚みが10μmの第2の結晶性ポリマーを含む層とを有する積層体の場合、第2の結晶性ポリマーを含む層の最大厚みは20μmとなる。
【0060】
前記結晶性ポリマー微孔性膜の孔部の平均孔径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、積層構造とする場合、前記第1の結晶性ポリマーを含む層における孔部の平均孔径と、前記第2の結晶性ポリマーを含む層における孔部の平均孔径とが、異なる平均孔径を有している。
前記結晶性ポリマー微孔性膜の第1の結晶性ポリマーを含む層における孔部の平均孔径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。
前記結晶性ポリマー微孔性膜の第2の結晶性ポリマーを含む層における孔部の平均孔径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1nm〜200nmが好ましく、5nm〜150nmがより好ましく、10nm〜100nmが特に好ましい。
【0061】
前記結晶性ポリマー微孔性膜における孔部の平均孔径を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、走査型電子顕微鏡で膜表面あるいは、膜断面の写真(SEM写真、倍率1,000倍〜100,000倍)をとり、得られた写真を画像処理装置(本体:日本アビオニクス株式会社製、商品名「TVイメージプロセッサTVIP−4100II」、制御ソフト:ラトックシステムエンジニアリング株式会社製、商品名「TVイメージプロセッサイメージコマンド4198」)に取り込んで結晶性ポリマー繊維のみからなる像を得て、その像を演算処理することにより平均孔径を測定する方法が挙げられる。
【0062】
前記結晶性ポリマー微孔性膜における平均流量孔径とは、乾燥状態時の1/2と湿潤状態時の空気流量との交点から求まる孔径をいう。
前記結晶性ポリマー微孔性膜の第1の結晶性ポリマーを含む層における孔部の平均流量孔径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。
前記結晶性ポリマー微孔性膜の第2の結晶性ポリマーを含む層における孔部の平均流量孔径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1nm〜200nmが好ましく、5nm〜150nmがより好ましく、10nm〜100nmが特に好ましい。
【0063】
前記結晶性ポリマー微孔性膜の孔部の平均流量孔径を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ハーフドライ法(ASTM E1294−89)により測定する方法が挙げられる。具体的には、前記平均流量孔径が、15nmを超える場合には、500psiの高圧パームポロメーター(PMI社製)で測定でき、前記平均流量孔径が、15nm以下の場合には、ナノパームポロメーター(PMI社製)により測定することができる。
【0064】
ここで、図6及び図7を参照して、本発明の結晶性ポリマー微孔性膜の一例について説明する。図6に示すように、第1の結晶性ポリマーを含む層101、第2の結晶性ポリマーを含む層102を積層した2層構造の本発明の結晶性ポリマー微孔性膜における孔部101b、102bの平均孔径は、いずれも積層体の厚み方向に変化なく一定であり、結晶性ポリマー微孔性膜全体としては、平均孔径が厚み方向に変化(段階的に減少)している。図7に示すように、結晶性ポリマーを含む層101、102、103を積層した3層構造の本発明の結晶性ポリマー微孔性膜における孔部101b、102b、103bの平均孔径は、いずれも積層体の厚み方向に変化なく一定であり、結晶性ポリマー微孔性膜全体としては、平均孔径が厚み方向に段階的に変化している部分がある。また、前記孔部の最大平均孔径Lm1、Lm2、及びLm3のうち最も小さい最大平均孔径Lm2を有する第2の結晶性ポリマーを含む層102が結晶性ポリマー微孔性膜(積層体)の内部に存在している。3層以上の結晶性ポリマーを含む層を積層してなる積層体の内部に、孔部の最大平均孔径が最も小さい低融点の結晶性ポリマーを含む層を有することが好ましい。これにより、捕捉粒径に最も影響する最も小さい平均孔径の結晶性ポリマーを含む層を、摩擦、引っ掻き等の物理的破壊要因から保護することができ、捕捉性能の安定化を図ることができ、安定に製造することができる。
【0065】
本発明の結晶性ポリマー微孔性膜は、微小な孔径を有し、数十nmサイズの微粒子を効率良く捕捉することができ、高流量であるので、濾過が必要とされる様々な用途に用いることができ、以下に説明する濾過用フィルタとして、特に好適に用いることができる。
【0066】
(濾過用フィルタ)
本発明の濾過用フィルタは、前記結晶性ポリマー微孔性膜を用いる。そして、前記結晶性ポリマー微孔性膜の比表面積が大きいため、その表面から導入された微細粒子は、最小孔径部分に到達する以前に吸着又は付着することにより除去かれる。したがって、目詰まりを起こしにくく、長期間にわたって高い濾過効率を維持することができる。
【0067】
前記濾過用フィルタの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、プリーツ状に加工成形することが好ましい。前記濾過用フィルタの形状が前記プリーツ状であると、カートリッジ当たりのフィルタの濾過に使用する有効表面積を増大させることができる点で、有利である。
【0068】
ここで、図8〜図10を参照して、本発明の濾過用フィルタの一例について説明する。
図8〜図10は、精密ろ過フィルターカートリッジの具体例であり、本発明はこれらの図面に限定されるわけではない。
【0069】
図8は、エレメント交換式のプリーツフィルターカートリッジエレメントの構造を示す展開図である。精密ろ過膜113は2枚の膜サポート112、114によってサンドイッチされた状態でひだ折りされ、集液口を多数有するコア115の周りに巻き付けられている。その外側には外周カバー111があり、精密ろ過膜を保護している。円筒の両端にはエンドプレート116a、116bにより、精密ろ過膜がシールされている。エンドプレートはガスケット117を介してフィルターハウジング(不図示)のシール部と接する。ろ過された液体はコアの集液口から集められ、流体出口118から排出される。
【0070】
図9は、カプセル式のフィルターカートリッジのハウジングに組込まれる前の精密ろ過膜フィルターエレメントの全体構造の展開図である。精密ろ過膜22は、2枚の一次側サポート21、二次側サポート23によってサンドイッチされた状態でひだ折りされ、集液口を多数有するフィルターエレメントコア27の周りに巻き付けられている。その外側には、フィルターエレメントカバー26があり、精密ろ過膜を保護している。円筒の両端には、上部エンドプレート24及び下部エンドプレート25により、精密ろ過膜がシールされている。図9は、下部エンドプレート25とハウジングベースとのシールを、Oリング28を介して行う事例を示しているが、下部エンドプレート25とハウジングベースとのシールは熱融着や接着剤によって行われることもある。又はハウジングベースとハウジングカバーとのシールも熱融着の他に、接着剤を用いる方法も可能である。
【0071】
図10は、フィルターエレメントがハウジングに組込まれて一体化されたカプセル式のプリーツフィルターカートリッジの構造を示す図である。フィルターエレメント30はハウジングベース32とハウジングカバー31よりなるハウジング内に組込まれている。下部エンドプレートはOリングを介してハウジングベース32中心部にある集水管(不図示)にシールされている。液体は液入口ノズル33からハウジング内に入り、フィルターメディア29を通過し、フィルターエレメントコアの集液口から集められ、液出口ノズル34から排出される。ハウジングベース32とハウジングカバー31は、通常溶着部37で液密に熱融着される。
【0072】
本発明の結晶性ポリマー微孔性膜を用いた濾過用フィルタは、このように濾過機能が高くて長寿命であるため、濾過装置をコンパクトにまとめることができる。従来の濾過装置では、多数の濾過ユニットを直列的に使用して濾過寿命の短さに対処していたが、本発明の濾過用フィルタを用いれば直列的に使用する濾過ユニットの数を大幅に減らすことができる。また、濾過用フィルタの交換期間も大幅に延ばすことができるため、メンテナンスにかかる費用や時間を節減できる。
【0073】
本発明の濾過用フィルタは、気体、液体等の精密濾過に好適に用いられ、例えば、腐食性ガス、半導体工業で使用される各種ガス等の濾過、電子工業用洗浄水、医薬用水、医薬製造工程用水、食品水等の濾過、滅菌、高温濾過、反応性薬品の濾過、電線被覆材料、カテーテル、人工血管、癒着防止膜、細胞培養足場、絶縁膜、燃料電池用セパレータなどに幅広く用いることができる。
【実施例】
【0074】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0075】
(実施例1)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層)>
−予備成形体作製工程−
結晶性ポリマーとしてポリテトラフルオロエチレンのファインパウダー(ダイキン工業株式会社製、商品名「ポリフロン PTFE」、品番名「F−106」)100質量部に、押出助剤として炭化水素油(エッソ石油株式会社製、商品名「アイソパーH」)23質量部を加えて30℃に保った室内に12時間静置し、ペースト1とした。次に、ペースト1を図1で表される形状を有する金型内に敷き詰めて0.5MPaの圧力で加圧し、シート状の予備成形体を作製した。
【0076】
−押出工程−
図5で表される形状を有する硬鉄製の押出装置を用いて、前記予備成形体をシート状に押出を行い、結晶性ポリマーからなるシートを作製した。前記押出装置における、絞り比は50、中心角度は60°、扇部の出口幅は200mmであった。なお、前記絞り比は、図5で示される押出装置における予備成形体投入部の断面積A1と、絞り部における最小断面積A2との比(A1/A2)をいい、前記中心角度は、図5で示される押出装置における一方の端部3Aと他方の端部3Bとのなす角度をいい、前記扇部の出口幅は、図5で示される押出装置における符号7で示される幅をいう。
【0077】
−圧延工程−
前記押出工程で得られた結晶性ポリマーからなるシートを、60℃に加熱したカレンダーロールにより、長手方向に1回カレンダー掛けし、得られたシートを250℃の熱風乾燥炉に通して押出助剤を乾燥除去した。以上により、平均厚み40μm、平均幅200mm、比重1.45の結晶性ポリマー微孔性膜を作製した。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0078】
(実施例2)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層)>
実施例1の押出工程における押出し装置の中心角度を75°とした以外は、実施例1と同様にして、平均厚み40μm、平均幅200mm、比重1.45の結晶性ポリマー微孔性膜を作製した。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0079】
(実施例3)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層)>
実施例1の押出工程における押出し装置の中心角度を32°とした以外は、実施例1と同様にして、平均厚み40μm、平均幅200mm、比重1.45の結晶性ポリマー微孔性膜を作製した。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0080】
(実施例4)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層)>
実施例1の押出工程における押出し装置の絞り比を100とした以外は、実施例1と同様にして、平均厚み40μm、平均幅200mm、比重1.45の結晶性ポリマー微孔性膜を作製した。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0081】
(実施例5)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層)>
実施例1の圧延工程の条件を調整して膜厚を60μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして、平均厚み60μm、平均幅200mm、比重1.45の結晶性ポリマー微孔性膜を作製した。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0082】
(実施例6)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・一軸延伸)>
実施例1で得られた結晶性ポリマー微孔性膜を、ロール延伸機を用いて長手方向に3倍に延伸して、一軸延伸された結晶性ポリマー微孔性膜を得た。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0083】
(実施例7)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・二軸延伸)>
実施例1で得られた結晶性ポリマー微孔性膜を、ロール延伸機を用いて長手方向に3倍に延伸した後、パンタグラフ型延伸機を用いて幅方向に3倍に延伸して、二軸に延伸された結晶性ポリマー微孔性膜を得た。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0084】
(実施例8)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・一軸延伸・熱固定)>
実施例6で得られた一軸に延伸された結晶性ポリマー微孔性膜を、金属製の枠にクリップで固定した状態で320℃のオーブンに投入して加熱処理し、延伸・加熱処理された結晶性ポリマー微孔性膜を得た。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0085】
(実施例9)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・二軸延伸・熱固定)>
実施例7で得られた二軸に延伸された結晶性ポリマー微孔性膜を、金属製の枠にクリップで固定した状態で320℃のオーブンに投入して加熱処理し、延伸・加熱処理された結晶性ポリマー微孔性膜を得た。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0086】
(実施例10)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(積層)>
−予備成形体作製工程−
高結晶性ポリマーとしてポリテトラフルオロエチレンのファインパウダー(ダイキン工業株式会社製、商品名「ポリフロン PTFE」、品番名「F106」)100質量部に、押出助剤として炭化水素油(エッソ石油株式会社製、商品名「アイソパーH」)23質量部を加え、30℃に保った室内に12時間静置しペースト1とした。低結晶性ポリマーとして、ポリテトラフルオロエチレンのファインパウダー(ダイキン工業株式会社製、商品名「ポリフロン PTFE」、品番名「F205」)100質量部に、押出助剤として炭化水素油(エッソ石油株式会社製、商品名「アイソパーH」)20質量部を加え、30℃に保った室内に12時間静置しペースト2とした。次に、ペースト1とペースト2とを厚み比(ペースト1/ペースト2/ペースト1)が8/1/1となるように、図1で表される形状を有する金型内に敷き詰めて0.5MPaの圧力で加圧し、シート状の積層予備成形体を作製した。
【0087】
−押出工程−
前記押出装置を用いて、前記予備成形体をシート状に押出を行い、結晶性ポリマーからなるシートを作製した。前記押出装置における絞り比は50、中心角度は60°、扇部の出口幅は200mmであった。
【0088】
−圧延工程−
前記押出工程で得られた結晶性ポリマーからなるシートを、60℃に加熱したカレンダーロールにより、長手方向に1回カレンダー掛けし、得られたシートを250℃の熱風乾燥炉に通して押出助剤を乾燥除去した。以上により、平均厚み40μm、平均幅200mm、比重1.45の結晶性ポリマー微孔性膜を作製した。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0089】
(実施例11)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(積層・二軸延伸・熱固定)>
実施例10で得られた結晶性ポリマー微孔性膜に対し、実施例7の延伸工程及び実施例9の加熱工程を順に行い、二軸に延伸された後加熱処理された積層構造の結晶性ポリマー微孔性膜を得た。前記結晶性ポリマー微孔性膜は、PTFE共重合体を含有し、その外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0090】
(実施例12)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・二軸延伸・熱固定)>
実施例5で得られた結晶性ポリマー微孔性膜に対し、実施例7に記載の延伸工程及び実施例9に記載の加熱工程を順に行い、二軸に延伸された後加熱処理された単層構造の結晶性ポリマー微孔性膜を得た。前記結晶性ポリマー微孔性膜は、PTFE共重合体を含有し、その外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0091】
(実施例13)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・多段圧延)>
実施例1の圧延工程において、3度のカレンダーによって前記結晶性ポリマーからなるシートの平均厚みが順に1,000μm、700μm、40μmとなるように圧延した以外は、実施例1と同様にして、平均厚み40μm、平均幅200mm、比重1.45の結晶性ポリマー微孔性膜を作製した。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0092】
(実施例14)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・一段圧延)>
実施例1の圧延工程において、1度のカレンダー掛けによって前記結晶性ポリマーからなるシートの平均厚みが25μmとなるように圧延した以外は、実施例1と同様にして、平均厚み25μm、平均幅200mm、比重1.45の結晶性ポリマー微孔性膜を作製した。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0093】
(実施例15)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・対称加熱・熱固定)>
実施例1の微孔性膜を、341℃に保温したソルトバスで50秒間加熱して、前記積層体を対称加熱した。更に、300℃にて長手方向に3倍にロール間延伸し、一旦巻き取りロールに巻き取った後、両端をクリップで挟み、300℃で幅方向に3倍に延伸した。その後、320℃で熱固定を行い、平均厚み21μm、平均幅450mm、比重0.70の結晶性ポリマー微孔性膜を製造した。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0094】
(実施例16)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・多段圧延・対称加熱・熱固定)>
実施例13の微孔性膜を、実施例15と同様にして対称加熱、延伸、及び熱固定を行い、平均厚み25μm、平均幅450mm、比重0.70の結晶性ポリマー微孔性膜を製造した。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0095】
(実施例17)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・一段圧延・対称加熱・熱固定)>
実施例14の微孔性膜を、実施例15と同様にして対称加熱、延伸、及び熱固定を行い、平均厚み15μm、平均幅450mm、比重0.70の結晶性ポリマー微孔性膜を製造した。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0096】
(実施例18)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(積層・対称加熱・熱固定)>
実施例10の微孔性膜を、実施例15と同様にして対称加熱、延伸、及び熱固定を行い、平均厚み23μm、平均幅450mm、比重0.70の結晶性ポリマー微孔性膜を製造した。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0097】
(比較例1)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層)>
実施例1の押出工程における押出し装置の中心角度を82°とした以外は、実施例1と同様にして、平均厚み40μm、平均幅200mm、比重1.45の結晶性ポリマー微孔性膜を作製しようとしたが、圧延の際にウェブの送り方向に並行な裂けが生じ、均一な微孔性膜を得ることはできなかった。製造条件を表1に示す。
【0098】
(比較例2)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層)>
実施例1の押出工程における押出し装置の中心角度を25°とした以外は、実施例1と同様にして、平均厚み40μm、平均幅200mm、比重1.45の結晶性ポリマー微孔性膜を作製しようとしたが、押出工程で得られたウェブは波打ち状に歪み、均一な微孔性膜を得ることはできなかった。製造条件を表1に示す。
【0099】
(比較例3)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・絞り比異)>
実施例1の押出工程における押出し装置の絞り比を45とした以外は、実施例1と同様にして、平均厚み40μm、平均幅200mm、比重1.45の結晶性ポリマー微孔性膜を作製しようとしたが、圧延の際にウェブの破断を生じて圧延が行えず、微孔性膜を得ることはできなかった。製造条件を表1に示す。
【0100】
(比較例4)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・絞り比異)>
実施例1の押出工程における押出し装置の絞り比を10とした以外は、実施例1と同様にして、平均厚み40μm、平均幅200mm、比重1.45の結晶性ポリマー微孔性膜を作製しようとしたが、圧延の際にウェブの破断を生じて圧延が行えず、微孔性膜を得ることはできなかった。製造条件を表1に示す。
【0101】
(比較例5)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・出口幅異)>
実施例1の押出工程における押出し装置の出口幅を150mmとした以外は、実施例1と同様にして、平均厚み40μm、平均幅150mm、比重1.45の結晶性ポリマー微孔性膜を作製しようとしたが、圧延の際にウェブの送り方向に並行な裂けが生じ、均一な微孔性膜を得ることはできなかった。製造条件を表1に示す。
【0102】
(比較例6)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・出口幅異)>
実施例1の押出工程における押出し装置の出口幅を180mmとした以外は、実施例1と同様にして、平均厚み40μm、平均幅180mm、比重1.45の結晶性ポリマー微孔性膜を作製しようとしたが、圧延の際にウェブの送り方向に並行な裂けが生じ、均一な微孔性膜を得ることはできなかった。製造条件を表1に示す。
【0103】
(比較例7)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・圧延なし)>
実施例1の圧延工程を除いた以外は、実施例1と同様にして、平均厚み2.5mm、平均幅200mm、比重1.45の結晶性ポリマー膜を作製した。前記結晶性ポリマー膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0104】
(比較例8)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・中心角異)>
比較例1の圧延工程の条件を調整し、平均厚み55μm、平均幅200mm、比重1.45の結晶性ポリマー微孔性膜を作製した。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0105】
(比較例9)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・一軸延伸・中心角異)>
比較例8で得られた結晶性ポリマー微孔性膜を、実施例6と同様にして、一軸延伸された結晶性ポリマー微孔性膜を得た。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0106】
(比較例10)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・二軸延伸・中心角異)>
比較例8で得られた結晶性ポリマー微孔性膜を、実施例7と同様にして、二軸延伸された結晶性ポリマー微孔性膜を得た。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0107】
(比較例11)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・一軸延伸・熱固定・中心角異)>
比較例8で得られた結晶性ポリマー微孔性膜を、実施例8と同様にして、一軸延伸された後加熱処理された結晶性ポリマー微孔性膜を得た。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0108】
(比較例12)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・二軸延伸・熱固定・中心角異)>
比較例8で得られた結晶性ポリマー微孔性膜を、実施例9と同様にして、二軸延伸された後加熱処理された結晶性ポリマー微孔性膜を得た。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0109】
(比較例13)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・絞り比異・中心角異)>
実施例1の押出工程において、絞り比10、中心角度82°、扇部の出口幅200mmの押出装置を用い、実施例1の圧延工程において、1度のカレンダー掛けによって前記結晶性ポリマーからなるシートの平均厚みが100μmとなるように圧延した以外は、実施例1と同様にして、平均厚み100μm、平均幅200mm、比重1.45の結晶性ポリマー微孔性膜を作製した。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0110】
(比較例14)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・絞り比異・中心角異)>
実施例1の押出工程において、絞り比10、中心角度82°、扇部の出口幅200mmの押出装置を用いて、結晶性ポリマーからなる積層シートを作製した以外は、実施例1と同様にして、カレンダーロールにより圧延を行ったが、カレンダー掛けの際に無数の割けが生じてしまい、結晶性ポリマー微孔性膜を製造することができなかった。製造条件を表1に示す。
【0111】
(比較例15)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・多段圧延・絞り比異・中心角異)>
比較例13の押出装置を用いた以外は、実施例13と同様にして、カレンダーロールにより圧延を行ったが、3度目のカレンダー掛けの際に無数の割けが生じてしまい、結晶性ポリマー微孔性膜を製造することができなかった。製造条件を表1に示す。
【0112】
(比較例16)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・一軸延伸・絞り比異・中心角異)>
比較例13の微多孔膜を、300℃にて長手方向に3倍にロール間延伸し、その後、熱固定を行うことなく、平均厚み42μm、平均幅200mm、比重0.70の結晶性ポリマー微孔性膜を製造した。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0113】
(比較例17)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・多段圧延・一軸延伸・絞り比異・中心角異)>
比較例16の微孔性膜を、実施例15と同様にして微孔性膜を作製しようとしたが、横延伸の際に破断を生じて作製することができなかった。製造条件を表1に示す。
【0114】
(比較例18)
<結晶性ポリマー微孔性膜の製造(単層・一軸延伸・熱固定・絞り比異・中心角異)>
比較例16の微孔性膜を320℃で熱固定して、結晶性ポリマー微孔性膜を作製した。前記結晶性ポリマー微孔性膜の外観は極めて滑らかで均一な色味を有するものであった。製造条件を表1に示す。
【0115】
【表1−1】

【表1−2】

【0116】
(評価)
<引張り強度>
実施例1〜18、並びに比較例1及び3〜18の圧延前乃至圧延後の結晶性ポリマーのシートについて、引張り強度試験機(島津製作所製、オートグラフAGS−J)を用いて、幅方向に膜を変形させた際の変形と応力の関係を測定し、1,000%変形状態での応力を引張り強度として算出した。結果を表2に示す。
【0117】
<平均孔径>
実施例1〜18、並びに比較例7〜13、16及び18の結晶性ポリマー微孔性膜について、パームポローメーター(PMI社製)を用いて、平均孔径を測定した。結果を表3に示す。なお、パームポローメーターの測定下限は41nmであり、測定範囲内に孔径を観測できなかった場合は「<41」とした。結果を表2に示す。
【0118】
<形状安定性評価>
実施例1〜18、並びに比較例7〜13、16及び18の結晶性ポリマー微孔性膜について、形状を拘束することなく200℃の送風加熱炉に静置し、1時間後に取り出して採寸し、元の寸法に対する加熱処理後の寸法変化の比を加熱収縮率として算出した。結果を表2に示す。
【0119】
<通気性評価>
実施例1〜18、並びに比較例7〜13、16及び18の結晶性ポリマー微孔性膜について、パームポローメーター(PMI社製)で乾膜通気量を測定し、実施例1の微孔性膜を基準として、実施例1の微孔性膜の乾膜通気量以上のものを○、下回るが通気が認められるものを△、通気自体が認められないものを×とした。結果を表2に示す。
【0120】
【表2−1】

【表2−2】

【0121】
本発明の実施例1〜18は、絞り比が50以上、中心角度が30°以上80°未満、出口幅が200mmの押出装置を用いたため、予備成形体を高せん断で押出することができ、所望の強度を有する押出物を得ることができた。前記押出物は強度が高く、平均厚みが50μm以下となるように圧延しても、破断することなく均一な膜を得ることでき、有用な通気性を有する結晶性ポリマー微孔性膜を製造することができた。また、実施例1〜18の結晶性ポリマー微孔性膜は、同様に工程を経て製作した従来の製法に比較して微細な孔及び低い加熱収縮率を有するものであった。更に、実施例11のように低結晶性ポリマーを含む積層構造とすることで単層構造より微細な孔を有する膜を得ることができた。
一方、比較例1〜6では、絞り比が50未満、中心角度が80度以上、又は出口幅が200mm未満の押出装置を用いたため、予備成形体を低せん断で押出することとなり、押出物の所望の強度が得られなかった。このため、平均厚みが50μm以下となるように圧延すると、前記押出物が破断してしまった。また、比較例7の圧延を経ない厚い膜は通気性に劣るものであった。比較例8〜12では、比較例1の押出し物が圧延できる圧延厚みの範囲で得られた微孔性膜を用いて延伸乃至加熱処理して得られる微孔性膜であるが、同じ圧延厚みを有し、絞り比が50以上、中心角度が30°以上80°未満、出口幅が200mmの押出装置を用いた実施例5の微孔性膜を用いた場合に比べ孔径においてはるかに劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明の結晶性ポリマー微孔性膜及びこれを用いた濾過用フィルタは、濾過が必要とされる様々な状況において使用することができ、気体、液体等の精密濾過に好適に用いられ、例えば、腐食性ガス、半導体工業で使用される各種ガス等の濾過、電子工業用洗浄水、医薬用水、医薬製造工程用水、食品水等の濾過、滅菌、高温濾過、反応性薬品の濾過、電線被覆材料、カテーテル、人工血管、癒着防止膜、細胞培養足場、絶縁膜、燃料電池用セパレータなどに幅広く用いることができる。
【符号の説明】
【0123】
1 予備成形体投入部
2 絞り部
3 扇部
3A 端部
3B 端部
4 第1層
5 第2層
6 扇部の出口下部の平均厚み
7 扇部の出口幅
8 下金型
10 積層予備成形体
15 積層体
21 一次側サポート
22 精密ろ過膜
23 二次側サポート
24 上部エンドプレート
25 下部エンドプレート
26 フィルターエレメントカバー
27 フィルターエレメントコア
28 Oリング
29 フィルターメディア
30 フィルターエレメント
31 ハウジングカバー
32 ハウジングベース
33 液入口ノズル
34 液出口ノズル
37 溶着部
101 第1の結晶性ポリマーを含む層
102 第2の結晶性ポリマーを含む層
103 第1の結晶性ポリマーを含む層
101b 孔部
102b 孔部
103b 孔部
111 外周カバー
112 膜サポート
113 精密ろ過膜
114 膜サポート
115 コア
116a エンドプレート
116b エンドプレート
117 ガスケット
118 液体出口
Lm1 孔部の最大平均孔径
Lm2 孔部の最大平均孔径
Lm3 孔部の最大平均孔径
A1 予備成形体投入部の断面積
A2 絞り部における最小断面積

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性ポリマーを用いて予備成形体を作製する予備成形体作製工程と、
前記予備成形体を投入する予備成形体投入部と、該予備成形体投入部における下流側に接続された絞り部と、該絞り部における下流側に接続され、かつ中心角度が30°以上80°未満、出口幅が200mm以上である扇部とを有してなり、かつ、絞り比が50以上である押出装置を用いて、前記予備成形体をシート状に押出する押出工程と、
前記押出工程により得られた、結晶性ポリマーからなるシートを圧延する圧延工程と、
を含むことを特徴とする結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法。
【請求項2】
押出工程により得られた結晶性ポリマーからなるシートにおける幅方向の1,000%引張り強度が、6MPa以上である請求項1に記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法。
【請求項3】
圧延工程において、シートを圧延することにより、結晶性ポリマー微孔性膜の平均厚みが50μm以下とされる請求項1から2のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法。
【請求項4】
圧延工程により得られた結晶性ポリマー微孔性膜を、少なくとも1軸方向に延伸する延伸工程を含む請求項1から3のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法。
【請求項5】
延伸工程により得られた結晶性ポリマー微孔性膜を、該結晶性ポリマーの融点以上の温度で加熱する加熱工程を含む請求項4に記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法。
【請求項6】
予備成形体が、第1の結晶性ポリマーを含む層と、第2の結晶性ポリマーを含む層とが積層されてなり、前記第1の結晶性ポリマーの融点が前記第2の結晶性ポリマーの融点よりも高い請求項1から5のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法により製造されることを特徴とする結晶性ポリマー微孔性膜。
【請求項8】
平均厚みが、50μm以下である請求項7に記載の結晶性ポリマー微孔性膜。
【請求項9】
請求項7から8のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜を用いたことを特徴とする濾過用フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−206113(P2012−206113A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−32906(P2012−32906)
【出願日】平成24年2月17日(2012.2.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】