説明

結晶性熱可塑性樹脂組成物

【課題】より高い結晶化温度を示す結晶性熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物は,結晶性熱可塑性樹脂に、BET比表面積10m2/g〜100m2/gの針状水酸化アルミニウムおよび結晶核剤が配合されてなり、前記針状水酸化アルミニウムの配合量(A)と結晶核剤の配合量(B)との重量比(A/B)が40以下であることを特徴とする。例えば結晶核剤は芳香族有機リン酸塩、芳香族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸または芳香族カルボン酸誘導体であり、針状水酸化アルミニウムの配合量は結晶性熱可塑性樹脂100重量部あたり1重量部〜50重量部であり、結晶性熱可塑性樹脂は結晶性ポリオレフィン樹脂である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶性熱可塑性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテンなどに代表される結晶性熱可塑性樹脂に、結晶核剤を配合した結晶性熱可塑性樹脂組成物は、加熱溶融状態から冷却固化させる際に生成する結晶性熱可塑性樹脂の結晶が微細なものとなり易いことから、成形材料などとして広く用いられている。さらに、特許文献1〔特開平6−220258号公報〕には、より高い剛性を示す結晶性熱可塑性樹脂組成物として、結晶核剤としての有機酸と共に針状水酸化アルミニウムを配合したものが開示されているが、同文献には、針状水酸化アルミニウムのBET比表面積に関する記載はない。
【0003】
かかる結晶性熱可塑性樹脂組成物には、より高い結晶化温度を示すものが求められている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−220258号公報
【特許文献2】特開2000−239014号公報
【特許文献3】特開2006−160541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、より高い結晶化温度を示す結晶性熱可塑性樹脂組成物を開発するべく鋭意検討した結果、本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、結晶性熱可塑性樹脂に、BET比表面積10m2/g〜100m2/gの針状水酸化アルミニウムおよび結晶核剤が配合されてなり、針状水酸化アルミニウムの配合量(A)および結晶核剤の配合量(B)の重量比(A/B)が40以下であることを特徴とする結晶性熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物は、針状水酸化アルミニウムのBET比表面積が10〜100m2/gであり、針状水酸化アルミニウムと結晶核剤との配合量の比(A/B)が40以下であるので、高い結晶化温度を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で使用される針状水酸化アルミニウムとしては通常、主結晶相がベーマイトであるものが用いられる。針状水酸化アルミニウムの結晶相はX線回折法により同定することができる。
【0009】
針状水酸化アルミニウムの大きさは、レーザー回折法により測定した凝集粒子径で、通常0.1μm〜10μn程度である。ここで、レーザー回折法とは、粒子に光を照射した時、各粒子径により散乱される散乱光量とパターンが異なることを利用して、粒子の粒径を算出する方法である。
【0010】
針状水酸化アルミニウムの長径は通常0.3μm〜10μm、好ましくは0.5μm〜5μm、短径は通常0.005μm〜0.5μm、好ましくは0.05μm〜0.2μmであり、そのアスペクト比は通常5〜50であり、好ましくは、5〜30、より好ましくは10〜30であることが、結晶性熱可塑性樹脂に配合したときの分散性が良好である点で好ましい。針状水酸化アルミニウムの長径および短径は、電子顕微鏡による観察より測定可能である。ここで、長径は、電子顕微鏡により測定した最も長い方向の長さを、また、短径は、最も長い方向に対して直角な方向の長さとして測定される。
【0011】
電子顕微鏡による長径および短径の測定方法について説明する。まず、スラリー状もしくは乾粉状の針状水酸化アルミニウムを、固形分換算で1%以下となるように溶媒で希釈後、攪拌もしくは超音波照射といった方法により粒子同士の凝集を低減させた状態で、試料台に塗布し、次いで乾燥させる。なお、希釈に用いる溶媒は水、アルコールといった、水酸化アルミニウムが分散し易い溶媒を適宜選択すればよい。その後、測定台上に塗布され、乾燥された針状水酸化アルミニウムの電子顕微鏡写真を撮影し、得られた電子顕微鏡写真から互いに重なり合っていない針状水酸化アルミニウムを適宜選び、その長径および短径を測定する。
【0012】
針状水酸化アルミニウムのアスペクト比は、電子顕微鏡写真から測定した長径と短径の比(長径/短径)として算出される。
【0013】
本発明に用いられる針状水酸化アルミニウムのBET比表面積は10〜100m2/gであり、好ましくは40m2/g〜80m2/gである。BET比表面積が10m2/g未満であると、高い結晶化温度を示さない。また、BET比表面積が100m2/gを超えた場合は、高い結晶化温度を示さない。
【0014】
針状水酸化アルミニウムは、例えば特許文献2〔特開2000−239014号公報〕に記載の水酸化アルミニウムに金属酢酸塩を添加して水熱処理する方法、特許文献3〔特開2006−160541号〕に記載のベーマイト型水酸化アルミニウムと、ギブサイト型水酸化アルミニウムとをマグネシウムの存在下で水熱処理する方法が挙げられる。水酸化アルミニウムおよび金属酢酸塩を添加した水溶液を、カルボン酸等により酸性に調整後、水熱処理する方法により、製造することもできる。
【0015】
結晶核剤としては、例えば芳香族有機リン酸塩、芳香族カルボン酸金属塩、芳香族カルボン酸誘導体、エチレン−メタクリル酸の共重合体の金属塩、ジベンジリデンソルビトール誘導体、ロジン酸部分金属塩、芳香族リン酸誘導体などが挙げられ、好ましくは芳香族有機リン酸塩、芳香族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸および芳香族カルボン酸誘導体である。
【0016】
芳香族リン酸塩としては、例えばナトリウム2,2−メチレンビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートが挙げられる。
【0017】
芳香族カルボン酸金属塩としては、例えば安息香酸ナトリウム、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム塩などが挙げられる。
【0018】
芳香族カルボン酸としては、例えば安息香酸などが挙げられる。
芳香族カルボン酸誘導体としては、例えばp−t−ブチル安息香酸などの安息香酸誘導体が挙げられる。これらの結晶核剤はそれぞれ単独で、または2種以上を組合せて併用される。
【0019】
上記の針状水酸化アルミニウムの配合量(A)と結晶核剤の配合量(B)との重量比(A/B)は40以下、好ましくは15以下であり、結晶核剤の配合量(B)に見合った効果が得られる点で、通常は1以上である。重量比(A/B)が40を超えると、高い結晶化温度を示さない。
【0020】
針状水酸化アルミニウムの配合量は、樹脂100重量部に対して、通常1重量部〜50重量部であり、好ましくは5重量部〜50重量部、特に好ましくは5重量部〜30重量部である。
【0021】
本発明に用いられる結晶性熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族系ポリエステル、ポリカプロラクトン等のポリエステル、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12等の脂肪族ポリアミド、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンより製造される芳香族ポリアミド等のポリアミド、ポリホルムアルデヒド(ポリオキシメチレン)、ポリアセトアルデヒド、ポリプロピレンアルデヒド、ポリブチルアルデヒド等のポリアセタール等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は2種以上を混合しても構わない。この中でも好ましくは、ポリオレフィン樹脂である。
【0022】
ポリオレフィン樹脂は、オレフィン単位を主成分とする重合体であって、単独重合体または共重合体である。例えばエチレン重合体、プロピレン重合体、ブテン重合体などが挙げられる。
【0023】
エチレン重合体は、エチレン単位を主成分とする重合体、具体的には50質量%より多く含む重合体であって、エチレン単位単独からなるエチレン単独重合体、エチレンおよびエチレンと共重合可能な他の単量体の共重合体が挙げられる。エチレンと共重合可能な他の単量体としては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素数3〜20のα−オレフィン、アクリル酸メチルなどのアクリル酸エステル、酢酸ビニルなどが挙げられる。
【0024】
エチレンおよびエチレンと共重合可能な他の単量体の共重合体として具体的には、例えばエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−デセン共重合体などのエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0025】
プロピレン重合体は、プロピレン単位を主成分とする重合体、具体的には50質量%より多く含む重合体であって、例えばプロピレン単位単独からなるプロピレン単独重合体、プロピレンおよびプロピレンと共重合可能な他の単量体との共重合体が挙げられる。プロピレンと共重合可能な他の単量体としては、例えばエチレンが挙げられる。また、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素数4〜20のα−オレフィン、上記したと同様のアクリル酸エステル、酢酸ビニルなども挙げられる。
【0026】
プロピレンおよびプロピレンと共重合可能な他の単量体との共重合体は、ランダム重合体であってもよい。このようなランダム共重合体としては、例えばプロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体が挙げられる。
【0027】
プロピレンおよびプロピレンと共重合可能な他の単量体との共重合体は、ブロック重合体であってもよい。このようなブロック共重合体としては、例えばプロピレン単位単独からなる第1ポリマー単位と、プロピレンおよびエチレンがランダム共重合した構造の第2ポリマー単位とからなるエチレン−プロピレンブロック共重合体が挙げられる。エチレン−プロピレンブロック共重合体の第2ポリマー単位におけるプロピレン単位の含有量は通常20質量%〜90質量%であり、エチレン単位の含有量は通常80質量%〜10質量%である。
【0028】
また、ブロック共重合体として、プロピレン単位単独からなる第1ポリマー単位と、プロピレンおよび炭素数4以上のα−オレフィンがランダム共重合した構造の第2ポリマー単位とからなるプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体などが挙げられ、具体的には、例えばプロピレン−1−ブテンブロック共重合体、プロピレン−1−ペンテンブロック共重合体、プロピレン−1−ヘキセンブロック共重合体などが挙げられる。プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の第2ポリマー単位におけるプロピレン単位の含有量は通常20質量%〜90質量%であり、炭素数4以上のα−オレフィン単位の含有量は通常80質量%〜10質量%である。
【0029】
ブテン重合体は、1−ブテン単位を主成分とする単量体、具体的には50質量%より多く含む重合体であって、1−ブテン単位単独からなる1−ブテン単独重合体、1−ブテンおよび1−ブテンと共重合可能な他の単量体との共重合体が挙げられる。
【0030】
また、本発明に用いられる熱可塑性樹脂には、変性熱可塑性樹脂を加えることも出来る。例えば、変性ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸およびその誘導体から選ばれる化合物をグラフト重合して得られる変性ポリオレフィン樹脂である。
【0031】
本発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物を製造する方法は特に限定されるものではなく、例えば、結晶性熱可塑性樹脂と水酸化アルミニウムおよび結晶核剤とを次の(1)〜(2)に示したように溶融混練する方法などが挙げられる。
【0032】
(1)各成分の全部を混合して均一な混合物とした後、その混合物を溶融混練する方法。
(2)各成分を任意に組合せて、それぞれを個別に混合して均一な混合物とした後、その混合物を溶融混練する方法。
【0033】
上記の(1)または(2)の方法において、均一な混合物を得る方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、ブレンダー等によって混合する方法が挙げられる。そして、溶融混練する方法としては、バンバリーミキサー、プラストミル、ブラベンダープラストグラフ、一軸または二軸押出機等によって溶融混練する方法が挙げられる。
【0034】
さらに、本発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物は、用途に応じて各種の添加剤、例えば、分散剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等の改質用添加剤、顔料、染料等の着色剤、カーボンブラック、酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、クレー等の粒子状充填剤、ワラストナイト等の短繊維状充填剤、チタン酸カリウム等のウィスカー等の公知の添加剤を添加することができる。これらの添加剤は、ペレット製造時に添加してペレット中に含有させてもよく、ペレットを成形して成形体を製造するときに添加してもよい。
【実施例】
【0035】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例における物性値の測定法は以下のとおりである。
(1)曲げ弾性率(FM、単位はMPa)
JIS−K−7171に規定された方法に従って、測定した。厚みは4mm、スパン長さが64mmである試験片を用いて、荷重速度2mm/分で、測定温度は23℃で測定した。
(2)結晶化温度(Tc、単位は℃)
樹脂成型体の結晶化温度は、JIS−K−7121に規定された方法に従って、示差走査熱量分析計(DSC)(島津製作所製、「DSC−60」)を用いて測定した。なお、測定サンプルは、樹脂組成物を射出成型して得たテストピースを切り出して作成した。窒素流量50ml/分とし、溶融状態から5℃/分で冷却したときに得られる結晶化ピークの頂点を結晶化温度として測定した。
(3)BET比表面積
JIS−Z−8830に規定された方法に従って、窒素吸着法により求めた。
(4)針状水酸化アルミニウムの長軸、短軸およびアスペクト比
電子顕微鏡写真中から10本の針状水酸化アルミニウムを選び、各々の長軸、短軸およびアスペクト比を算出し、その算術平均値を長軸、短軸、アスペクト比として求めた。
【0036】
参考例1
〔針状水酸化アルミニウムの製造〕
BET比表面積25m2/g、中心粒子径0.5μmのギブサイト型水酸化アルミニウム粒子100重量部、酢酸マグネシウム4水和物〔CH3COOMg・4H2O〕219重量部および純水2100重量部を混合し、得られたスラリーに酢酸〔CH3COOH〕を加えて水素イオン濃度をpH5.0に調整したのち、オートクレーブに入れ、100℃/時間の昇温速度で室温〔約20℃〕から200℃まで昇温し、同温度を4時間維持して水熱反応を行った。その後、冷却し、濾過操作により固形分を分取し、濾液の電気伝導度が100μS/cm以下になるまで水洗した後、純水を添加して固形分濃度5重量%のスラリーとし、目開き45μmのSUS製篩で粗粒分を除去し、スプレードライヤー〔ニロジャパン社製、モービルマイナ型〕にて出口温度120℃でスプレードライし、ロータースピードミル〔フリッチュ社製「P−14」〕にて解砕して、針状水酸化アルミニウムを得た。この針状水酸化アルミニウムのBET比表面積は66m2/g、長軸は2170nm、短軸は102nm、アスペクト比は27であった。
【0037】
参考例2
参考例1で用いたギブサイト型水酸化アルミニウムに代えて、市販のギブサイト型水酸化アルミニウム〔住友化学社製「C−301」、中心粒子径1.4μm〕100重量部を用い、酢酸マグネシウム4水和物の使用量を335重量部とし、純水の使用量を3200重量部とした以外は実施例1と同様に操作して水熱反応を行って針状水酸化アルミニウムを得た。得られた水酸化アルミニウムのBET比表面積は14m2/g、長軸は4820nm、短軸は436nm、アスペクト比は11であった。
【0038】
参考例3
参考例1で用いたと同じギブサイト型水酸化アルミニウム100重量部、酢酸マグネシウム4水和物218重量部および純水2100重量部を混合してスラリーを得た。アルミニウムアルコキシドを加水分解して調製したベーマイト型水酸化アルミニウム〔BET比表面積307m2/g〕を0.1N硝酸水〔硝酸濃度0.1モル/L〕に分散させたスラリー〔固形分濃度10質量%〕50重量部を、上記で得たスラリーに加えたところ、水素イオン濃度はpH7.0であった。その後、実施例1と同様に操作して、針状水酸化アルミニウムを得た。得られた水酸化アルミニウムのBET比表面積は126m2/g、長軸は103nm、短軸は7nm、アスペクト比は16であった。
【0039】
[樹脂組成物の製造および評価]
実施例1
プロピレンブロック共重合体100重量部、参考例1で得られた針状水酸化アルミニウム11重量部とともに、結晶核剤として、ナトリウム−2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート(旭電化工業製、「NA−11」)を0.3重量部および添加剤としてイルガノックス1010(チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.2重量部を添加、混合した後、この混合物をラボプラストミル(東洋精機製「ラボプラストミル 100M」)を用いて、設定温度180℃、回転速度60rpmの条件で10分間溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を射出成型機(井元製作所製「IMC−1658型」)を用いて、射出成型を行い、テストピースを得た。このテストピースを用いて熱、機械特性を評価した結果を表1に示す。
なお、用いたプロピレンブロック共重合体の極限粘度は1.52dL/gであり、プロピレン−エチレン共重合体部の含有量は19重量%であり、プロピレン単独重合体部の極限粘度は1.05dL/gであった。極限粘度およびプロピレン−エチレン共重合体部の含有量は、特開2006−83251号特許公報の実施例記載の方法で測定した。
【0040】
実施例2、実施例3および比較例1〜比較例3
実施例1と同様の手法を用いて、針状水酸化アルミニウムおよび結晶核剤を含む樹脂組成物を得た。結晶核剤の種類、配合量、水酸化アルミニウムと結晶核剤の配合量比および得られた樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
【0041】
実施例4〜6、比較例4および比較例5
実施例1において、添加剤としてイルガノックス1010 0.2重量部の代わりに、ステアリン酸カルシウム(日本油脂株式会社製)0.05重量部、イルガノックス1010 0.1重量部、イルガフォス168(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 0.1重量部を用いた以外は、実施例1と同様の手法を用いて、水酸化アルミニウムおよび結晶核剤成分を含む樹脂組成物を得た。結晶核剤の種類、配合量、水酸化アルミニウムと結晶核剤の配合量比および得られた樹脂組成物の評価結果を表2に示す。
【0042】
実施例7、実施例8および比較例6〜比較例9
実施例1と同様の手法を用いて、針状水酸化アルミニウムおよび結晶核剤成分を含む樹脂組成物を得た。結晶核剤の種類、配合量、水酸化アルミニウムと結晶核剤の配合量比および得られた樹脂組成物の評価結果を表3に示す。
























【0043】
【表1】






















【0044】
【表2】
























【0045】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性熱可塑性樹脂に、BET比表面積10m2/g〜100m2/gの針状水酸化アルミニウムおよび結晶核剤が配合されてなり、前記針状水酸化アルミニウムの配合量(A)と結晶核剤の配合量(B)との重量比(A/B)が40以下であることを特徴とする結晶性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
結晶核剤が、芳香族有機リン酸塩、芳香族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸または芳香族カルボン酸誘導体である請求項1に記載の結晶性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記針状水酸化アルミニウムの配合量が、結晶性熱可塑性樹脂100重量部あたり1重量部〜50重量部である請求項1または請求項2に記載の結晶性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
結晶性熱可塑性樹脂が結晶性ポリオレフィン樹脂である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の結晶性熱可塑性樹脂組成物。

【公開番号】特開2008−106100(P2008−106100A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288480(P2006−288480)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】