説明

結晶性3D−および2D−共有結合性有機骨格

本開示は一般的には、有機骨格を含む材料に関する。本開示はまた、気体分子を保存および分離するのに有用である材料ならびにセンサーに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2007年1月24日に出願された米国特許仮出願第60/886,499号および2007年7月17日に出願された同第60/950,318号(双方とも参照により本明細書に組み込まれる)に対して35 U.S.C. §119の下で優先権を主張するものである。
【0002】
技術分野
本出願は、一般的には有機骨格を含む材料に関する。本出願はまた、気体分子を保存および分離するのに有用な材料、ならびに該骨格に基づくセンサーに関する。
【背景技術】
【0003】
気体の保存、分離、および触媒反応などの工業用途における多孔性材料の必要性は高くなっている。無機性または金属有機性対応物とは反対に完全に有機性の多孔性材料を使用するいくつかの利点は、有機材料の重量がより軽く、官能化がより容易であり、動的により安定である可能性を有することである。さらに、金属成分を含まない拡張された構造を用いる環境的な利点もある。
【0004】
ポリマー内に多孔性を誘導するいくつかの現在の方法は、コロイド系に由来する様々な加工方法または調製を含む。全てのガラス状ポリマーは、いくらかの空間(自由体積)を含むが、これは通常、全体積の5%未満である。融解状態からガラス遷移温度以下に急速に冷却するか、または膨張したガラス状ポリマーから急速に溶媒を除去することにより、剛性構造を有するいくつかのガラス状ポリマーについて最大で20%の追加の自由体積を「凍結(freeze-in)」することができる。高い自由体積のポリマーは、気体または液体を輸送するための工業用膜において現在用いられている。しかしながら、これらの材料中の空隙は、相互連結されておらず、従って、気体吸着により決定された低い近接可能表面積を反映する。さらに、孔構造は不規則であり、均一ではない。
【0005】
別の存在するクラスの多孔性有機材料としては、かさ高い置換基を含むポリアセチレンが挙げられる。ポリ(1-トリメチルシリル-1-プロピン)(「PTMSP」)の高い気体浸透性は、1983年以来観察されてきた。この材料は大きい自由体積(約30%)を含み、気体または水から有機化合物を分離することができた。熱、酸素、放射線、UV光、不均一な孔構造、または上記のいずれかの組合せにより、反応から微小多孔性が急速に失われるため、PTMSPの安定性は限られる。
【0006】
多孔性有機材料の1つの最近の提示は、固有の微小多孔性のポリマー(PIM)である。これらのポリマーは、空間中で効率的に密集することができない高度に剛性の、かつねじ曲がった分子構造に起因して、気体吸着により測定された比較的高い表面積(430〜850 m2/g)を含むことが報告されている。しかしながら、これらの材料は、低い圧力で顕著なヒステリシスを示す。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、連結クラスターに共有結合された2個以上の有機性多座コアを含む共有結合性有機骨格(COF)であって、該連結クラスターが2個以上の原子の同定可能な結合を含み、各多座コアと連結クラスター間の共有結合が、炭素、ホウ素、酸素、窒素およびリンから選択される原子間で起こり、多座コアを接続する少なくとも1個の原子が酸素である、前記共有結合性有機骨格を提供する。一実施形態においては、有機多座コアは、2個以上(例えば、3または4個)の多座連結クラスターに共有結合することができる。
【0008】
本開示はまた、互いに共有結合された2個以上の骨格を含む共有結合性有機骨格(COF)も提供する。一実施形態においては、骨格は一緒に連結された2個以上のネットを含む。骨格またはネットは、同じか、または異なっていてもよい。別の実施形態においては、複数の多座コアは異種性である。さらに別の実施形態においては、複数の連結クラスターは異種性である。一実施形態においては、複数の多座コアは、代替的な四面体および三角形の多座コアを含む。
【0009】
本開示は、複数の多座コア、少なくとも1個の他の多座コアに連結された各多座コア、隣接する多座コアを接続する複数の連結クラスター、および複数の孔を含む共有結合性有機骨格(COF)であって、複数の連結された多座コアが孔を規定する、前記共有結合性有機骨格を提供する。一態様においては、複数の多座コアは異種性である。より具体的な態様においては、多座コアは2〜4個の連結クラスターを含む。さらに別の態様においては、複数の連結クラスターは異種性である。特定の態様においては、連結クラスターはホウ素含有連結クラスターである。複数の多座コアは、代替的な四面体および三角形の多座コアを含んでもよい。さらに別の態様においては、それぞれの複数の孔は、原子または分子吸着のための十分な数の近接可能部位を含む。さらなる態様においては、複数の孔の孔表面積は、約2000 m2/gより大きい(例えば、3000〜18,000)。さらなる態様においては、複数の孔の孔は、0.1〜0.99 cm3/cm3の孔体積を含む(例えば、約0.4〜0.5 cm3/cm3)。COFは、約0.17 g/cm3の骨格密度を有してもよい。
【0010】
本開示はまた、複数の異なる多座コア、複数の連結クラスターを含む共有結合性有機骨格であって、連結クラスターが少なくとも2個の複数の多座コアを連結し、COFが約0.4〜約0.9 cm3/cm3の孔体積、約2,900 m2/g〜約18,000 m2/gの孔表面積および約0.17 g/cm3の骨格密度を含む、前記共有結合性有機骨格を提供する。
【0011】
本開示はまた、本開示のCOFを含む気体保存装置を提供する。
【0012】
本開示はまた、本開示のCOFを含む気体分離装置を提供する。
【0013】
本開示はまた、本開示のCOFを含むセンサーおよび伝導性センサー材料を提供する。
【0014】
また、化学種の収着的取込みのための装置も提供される。この装置は、本明細書に提供される共有結合性有機骨格(COF)を含む吸着剤を含む。取込みは可逆性または不可逆性であってよい。いくつかの態様においては、吸着剤は個別の収着粒子中に含まれる。収着粒子を、固体液体および/または気体浸透性三次元支持体に埋め込むか、またはそれに固定することができる。いくつかの態様においては、収着粒子は、液体もしくは気体の可逆的取込みもしくは保存のための孔を有し、収着粒子は液体もしくは気体を可逆的に吸着もしくは吸収することができる。
【0015】
いくつかの実施形態においては、本明細書に提供される装置は、アンモニア、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、アミン、メタン、酸素、アルゴン、窒素、アルゴン、有機染料、多環式有機分子、およびその組合せなどの化学種の保存のための保存ユニットを含む。
【0016】
また、化学種の収着的取込みのための方法も提供される。この方法は、化学種と、本明細書に提供される共有結合性有機骨格(COF)を含む吸着剤とを接触させることを含む。化学種の取込みは、化学種の保存を含んでもよい。いくつかの態様においては、化学種を、エネルギー源としての使用にとって好適な条件下で保存する。
【0017】
また、化学種と、本明細書に提供される装置とを接触させることを含む、化学種の収着的取込みのための方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】3-D COFへの代表的な縮合経路を示す。ボロン酸(A)および(B)は、四面体構成単位であり、(C)は、予想される連結産物中のボロキシンB3O3(D)およびC2O2B(E)の環接続性を示す断片を含む、平面三角形単位(それぞれ、多面体はオレンジ色、三角形は青色)である。これらの構成単位を、それぞれ、対応する拡張されたネット(H)および(I)中に示されるctn (F)およびbor (G)ネット上に置くことができる。
【図2】空にしたサンプル(E-H)に関するCerius2およびその対応する測定されたパターンを用いてCOF-102(A)、COF-103(B)、COF-105(C)、およびCOF-108(D)に関して算出されたPXRDパターンを示し、観察されたパターンを黒、洗練されたプロフィールを赤、差異プロットを青(観察されたプロフィール-洗練されたプロフィール)で示す。COF(上)、モデル化合物(中央)、および対応するCOFを構築するのに用いたボロン酸(下)の11Bマジック角回転NMRスペクトルを示す(差し込み図)。
【図3A】粉末X線回折およびモデリングに基づくCOF-102の結晶生成物の原子接続性および構造を示す(明確にするためにH原子を省略する)。炭素、ホウ素、および酸素を、それぞれ、灰色、オレンジ色、および赤色の球体として表す。
【図3B】粉末X線回折およびモデリングに基づくCOF-105の結晶生成物の原子接続性および構造を示す(明確にするためにH原子を省略する)。炭素、ホウ素、および酸素を、それぞれ、灰色、オレンジ色、および赤色の球体として表す。
【図3C】粉末X線回折およびモデリングに基づくCOF-108の結晶生成物の原子接続性および構造を示す(明確にするためにH原子を省略する)。炭素、ホウ素、および酸素を、それぞれ、灰色、オレンジ色、および赤色の球体として表す。
【図4】87 Kで測定されたCOF-102(A)およびCOF-103(B)に関するアルゴンガス吸着等温線ならびにDFTモデルを気体吸着データに適合させた後に算出された孔径ヒストグラム(差し込み図)を示す。
【図5】孔からのゲストの活性化および除去の前に合成されたCOF-102のPXRDパターンを示す。大きい不定形のバックグラウンドが孔中の乱雑なゲストから生じることに留意されたい。
【図6】潜在的なctnおよびbor構造に関するCerius2から算出されたパターンと比較した空にしたCOF-102(上)、ctnトポロジー(中央)、およびborトポロジー(下)のPXRDパターンを示す。borモデルに由来するパターンがCOF-102のパターンと一致しないことに留意されたい。実験パターンがctnモデルに関するものと一致し、孔からのゲストの除去に関する平たい基線が出現することに留意されたい。
【図7】孔からのゲストの活性化および除去の前に合成されたCOF-103のPXRDパターンを示す。大きい不定形のバックグラウンドが孔中の乱雑なゲストから生じることに留意されたい。
【図8】潜在的なctnおよびbor構造に関するCerius2から算出されたパターンと比較した空にしたCOF-103(上)、ctnトポロジー(中央)、およびborトポロジー(下)のPXRDパターンを示す。borモデルに由来するパターンがCOF-103のパターンと一致しないことに留意されたい。実験パターンがctnモデルに関するものと一致し、孔からのゲストの除去に関する平たい基線が出現することに留意されたい。
【図9】ゲスト分子の活性化および除去の前に合成されたCOF-105のPXRDパターンを示す。大きい不定形のバックグラウンドが孔中の乱雑なゲストから生じることに留意されたい。
【図10】潜在的なctnおよびbor構造に関するCerius2から算出されたパターンと比較した空にしたCOF-105(上)、ctnトポロジー(中央)、およびborトポロジー(下)のPXRDパターンを示す。borモデルに由来するパターンがCOF-105のパターンと一致しないことに留意されたい。実験パターンがctnモデルに関するものと一致し、孔からのゲストの除去に関する平たい基線が出現することに留意されたい。
【図11】ゲスト分子の活性化および除去の前に合成されたCOF-108のPXRDパターンを示す。
【図12】潜在的なctnおよびbor構造に関するCerius2から算出されたパターンと比較した「調製された」COF-108(上)、ctnトポロジー(下)、およびborトポロジー(中央)のPXRDパターンを示す。borに由来するパターンがCOF-108の実験パターンと一致することに留意されたい。実験パターンがctnモデルに関するものと一致せず、孔からのゲストの除去に関する平たい基線が出現することに留意されたい。
【図13】テトラ(4-(ジヒドロキシ)ボリルフェニル)メタンのFT-IRスペクトルを示す。
【図14】テトラ(4-(ジヒドロキシ)ボリルフェニル)シランのFT-IRスペクトルを示す。
【図15】トリフェニルボロキシン(モデル化合物)のFT-IRスペクトルを示す。
【図16】COF-5(モデル化合物)のFT-IRスペクトルを示す。
【図17】2,3,6,7,10,11-ヘキサヒドロキシトリフェニレン(HHTP)のFT-IRスペクトルを示す。
【図18】COF-102のFT-IRスペクトルを示す。ボロン酸のヒドロキシルバンドストレッチがほとんど存在せず、このことは出発材料の消費の完了を示すことに留意されたい。B3O3環の形成は、以下のIRバンド(cm-1):B-O (1378)、B-O (1342)、B-C (1226)、B3O3 (710)により支持される。
【図19】COF-103のFT-IRスペクトルを示す。ボロン酸のヒドロキシルバンドストレッチがほとんど存在せず、このことは出発材料の消費の完了を示すことに留意されたい。B3O3環の形成は、以下のIRバンド(cm-1):B-O (1387)、B-O (1357)、B-C (1226)、B3O3 (710)により支持される。
【図20】COF-105のFT-IRスペクトルを示す。ボロン酸のヒドロキシルバンドストレッチがほとんど存在せず、このことは出発材料の消費の完了を示すことに留意されたい。C2B2O環の形成は、以下のIRバンド(cm-1):B-O (1398)、B-O (1362)、C-O (1245)、B-C (1021)により支持される。
【図21】COF-108のFT-IRスペクトルを示す。ボロン酸のヒドロキシルバンドストレッチがほとんど存在せず、このことは出発材料の消費の完了を示すことに留意されたい。C2B2O環の形成は、以下のIRバンド(cm-1):B-O (1369)、C-O (1253)、およびB-C (1026)により支持される。
【図22】テトラ(4-(ジヒドロキシ)ボリルフェニル)メタンに関する固相状態11B NMRスペクトルを示す。1つのシグナルの存在は、1つの型のみのホウ素種がサンプル中に存在することを示し、このことにより出発材料の純粋さが確認される。
【図23】トリフェニルボロキシン(モデル化合物)に関する固相状態11B NMRスペクトルを示す。1つのみのシグナルの存在は、1つの型のみのホウ素種が存在することを示す。ピークの位置はわずかにシフトしており、ホウ素周囲の環境の変化を示しているが、同様のピーク形状ならびにボロン酸出発材料およびトリフェニルボロキシンの化学シフトは、ホウ素酸素結合が依然として存在することを示す。
【図24】COF-102に関する固相状態11B NMRスペクトルを示す。単一シグナルの化学シフト位置およびピーク形状は、モデル化合物トリフェニルボロキシンについて得られたスペクトルと一致する。単一シグナルは、1つの型のみのホウ素種が存在することを示し、これにより生成物の純粋さが確認される。
【図25】COF-102、トリフェニルボロキシン、およびテトラ(4-(ジヒドロキシ)ボリルフェニル)メタンの11B NMRスペクトルを比較する積み重ねプロットを示す。
【図26】テトラ(4-(ジヒドロキシ)ボリルフェニル)メタンに関する固相状態13C NMRスペクトルを示す。全ての予想されるシグナルが存在し、予測された化学シフト値と一致する。回転側波帯も同様に存在する。
【図27】COF-102に関する固相状態13C NMRスペクトルを示す。出発ボロン酸に由来する全てのシグナルが存在し、回転側波帯以外の他のシグナルは見出されないが、これは骨格の残存および材料の純粋さを示す。
【図28】テトラ(4-(ジヒドロキシ)ボリルフェニル)シランに関する固相状態11B NMRスペクトルを示す。1つのシグナルの存在は、1つの型のみのホウ素種がサンプル中に存在することを示し、これにより出発材料の純粋さが確認される。
【図29】COF-103に関する固相状態11B NMRスペクトルを示す。単一シグナルの化学シフト位置およびピーク形状は、モデル化合物トリフェニルボロキシンについて得られたスペクトルと一致する。単一シグナルは、1つの型のみのホウ素種が存在することを示し、これにより生成物の純粋さが確認される。
【図30】COF-103、トリフェニルボロキシン、およびテトラ(4-(ジヒドロキシ)ボリルフェニル)シランの11B NMRスペクトルを比較する積み重ねプロットを示す。
【図31】テトラ(4-(ジヒドロキシ)ボリルフェニル)シランに関する固相状態13C NMRスペクトルを示す。全ての予想されるシグナルが存在し、予測される化学シフト値と一致する。回転側波帯も同様に存在する。別の炭素シグナルは、分解するには化学シフトに近すぎる。
【図32】COF-103に関する固相状態13C NMRスペクトルを示す。出発ボロン酸に由来する全てのシグナルが存在し、回転側波帯以外の他のシグナルは認められず、これは骨格の残存および材料の純粋さを示している。20 ppmでのピークは、構造物の内側のメシチレンに由来するものである。
【図33】COF-103(上)およびテトラ(4-(ジヒドロキシ)ボリルフェニル)シラン(下)に関する固相状態29Siスペクトルを示す。COF-103のスペクトルは、テトラ(4-(ジヒドロキシ)ボリルフェニル)シランのものと非常に類似する化学シフトを示すシリコン核に関する1つのみの共鳴を含むが、これは四面体ブロックの完全性および任意のSi含有不純物の排除を示していることに留意されたい。
【図34】COF-103に関する固相状態29Si NMRスペクトルを示す。-12.65 ppmでの単一シグナルは、シリコン炭素結合が反応を生き残ったことを示している。
【図35】COF-5(モデル化合物)の固相状態11B NMRスペクトルを示す。存在する単一シグナルは、1つの型のみのホウ素種が存在することを示す。ピーク形状は出発材料について得られたものと大きく異なる。モデル化合物はホウ素の周囲に異なる環境を作るBO2C2ボロン酸エステルを含むべきであるため、これは予想された結果である。
【図36】COF-105の固相状態11B NMRスペクトルを示す。単一ピークは、生成物が純粋であり、1つの型のみのホウ素原子を含むことを示している。独特のピーク形状は、出発材料とは非常に異なり、モデル化合物(COF-5)について得られたピーク形状と一致する。
【図37】COF-105、COF-5(モデル化合物)、およびテトラ(4-(ジヒドロキシ)ボリルフェニル)シランの11B NMRスペクトルを比較する積み重ねプロットを示す。
【図38】-13.53 ppmの化学シフトでのテトラフェニル結合したSi核に関する予想される29Siシグナルを示すCOF-105に関する固相状態29Si NMRスペクトルを示す。COF-105のスペクトルは、テトラ(4-(ジヒドロキシ)ボリルフェニル)シランのものと非常に類似する化学シフトを示すシリコン核に関する1つのみの共鳴を含むが、これは四面体ブロックの完全性および任意のSi含有不純物の排除を示していることに留意されたい。
【図39】COF-105に関する固相状態13C NMRスペクトルを示す。104.54および148.50 ppmでの共鳴は、テトラフェニレン分子の組込みを示すことに留意されたい。出発材料に由来する全ての予想されるピークが存在し、これは構成単位の残存を示している。HHTPの組込みから生じるピークも存在し、これは生成物の同一性を確認する。いくつかの炭素シグナルは、分解するには化学シフトに近すぎる。
【図40】COF-108の固相状態11B NMRスペクトルを示す。単一ピークは、生成物が純粋であり、1つの型のみのホウ素原子を含むことを示す。独特のピーク形状は出発材料とは非常に異なり、モデル化合物(COF-5)について得られたピーク形状と一致する。
【図41】COF-108、COF-5、およびテトラ(4-(ジヒドロキシ)ボリルフェニル)メタンの固相状態11B NMRスペクトルを比較する積み重ねプロットを示す。
【図42】COF-108に関する固相状態13C NMRスペクトルを示す。104.66および148.96 ppmでの共鳴はテトラフェニレン分子の組込みを示すことに留意されたい。出発材料に由来する全ての予想されるピークが存在し、これは構成単位の残存を示している。HHTPの組込みから生じるピークも存在し、これは生成物の存在を確認する。
【図43】球状形態を示すCOF-102のSEM画像を示す。
【図44】球状形態を示すCOF-103のSEM画像を示す。
【図45】パレット(pallet)形態を示すCOF-105のSEM画像を示す。
【図46】変形した球状形態を示すCOF-108のSEM画像を示す。
【図47】COF-102の活性化されたサンプルに関するTGAトレースを示す。
【図48】COF-103の活性化されたサンプルに関するTGAトレースを示す。
【図49】COF-105の活性化されたサンプルに関するTGAトレースを示す。
【図50】COF-108の活性化されたサンプルに関するTGAトレースを示す。
【図51】87 Kで測定されたCOF-102に関するアルゴン吸着等温線およびNLDFT法から得られた孔径分布(PSD)を示す。黒丸は吸着点であり、白丸は脱離点である。
【図52】87 Kで測定されたCOF-102に関する実験的アルゴン吸着等温線を、黒丸として示す。算出されたNLDFT等温線を白丸としてオーバーレイする。1%未満のフィッティング誤差は、COF-102の多孔性を評価するためにこの方法を用いる妥当性を示すことに留意されたい。フィッティング誤差を示す。
【図53】87 Kでのアルゴン吸着等温線から算出されたCOF-102に関するラングミュアプロットを示す。このモデルを、P/Po=0.04〜0.85から適用した。補正因子を示す。(W=相対圧力P/Poで吸着された気体の重量)。
【図54】87 Kでのアルゴン吸着等温線から算出されたCOF-102に関するBETプロットを示す。このモデルを、P/Po=0.01〜0.10から適用した。補正因子を示す。(W=相対圧力P/Poで吸着された気体の重量)。
【図55】87 Kで測定されたCOF-103に関するアルゴン吸着等温線およびNLDFT法から得られた孔径分布(PSD)を示す。黒丸は吸着点であり、白丸は脱離点である。
【図56】87 Kで測定されたCOF-103に関する実験的アルゴン吸着等温線を、黒丸として示す。算出されたNLDFT等温線を白丸としてオーバーレイする。1%未満のフィッティング誤差は、COF-103の多孔性を評価するためにこの方法を用いる妥当性を示すことに留意されたい。フィッティング誤差を示す。
【図57】87 Kでのアルゴン吸着等温線から算出されたCOF-103に関するラングミュアプロットを示す。このモデルを、P/Po=0.04〜0.85から適用した。補正因子を示す。(W=相対圧力P/Poで吸着された気体の重量)。
【図58】87 Kでのアルゴン吸着等温線から算出されたCOF-102に関するBETプロットを示す。このモデルを、P/Po=0.01〜0.10から適用した。補正因子を示す。(W=相対圧力P/Poで吸着された気体の重量)。
【図59】アルゴンガスを用いるCOF-102に関する孔体積評価に用いたDubinin-Radushkevichプロットを示す。Dubinin-Astakhov (DA)を適用したところ、同じ結果が認められた(n=2)。
【図60】アルゴンガスを用いるCOF-103に関する孔体積評価に用いたDubinin-Radushkevichプロットを示す。Dubinin-Astakhov (DA)を適用したところ、同じ結果が認められた(n=2)。
【図61】COFに関する低圧アルゴン等温線を示す。
【図62】COFに関するアルゴン取込みデータを示す。
【図63】COFに関する高圧CH4等温線を示す。
【図64】COFに関するCO2取込みデータを示す。
【図65】COFに関する低圧CO2等温線を示す。
【図66】COFに関する高圧CO2等温線を示す。
【図67】全てのCOFに関するCO2取込みデータを示す。
【図68】COFに関する低圧H2等温線を示す。
【図69】COFに関する高圧H2等温線を示す。
【図70】全てのCOFに関するH2取込みデータを示す。
【図71】COF-8、COF-10およびCOF-12の構造式を示す。図72は、低圧等温線N2収着を示すグラフである。図72は、様々なCOFに関するN2収着データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、本文が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。かくして、例えば、「孔(a pore)」に対する参照は、複数のそのような孔を含み、「孔(the pore)」に対する参照は、1個以上の孔に対する参照などを含む。
【0020】
特に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似するか、または等価な方法および材料を、開示された方法の実施および組成物において用いることができるが、例示的な方法、装置および材料を本明細書に記載する。
【0021】
上記で、および本文を通して考察された全ての刊行物は、本出願の出願日より以前にその開示について専ら提供される。本明細書に記載のものは何も、本発明者らが先行開示という理由でそのような開示に先行する権利が与えられないことを承諾するものと解釈されるべきではない。
【0022】
共有結合された有機ネットワークは、存在する架橋ポリマーおよびその特性が、有機結晶ネットワークが材料にとって固有である分子構造を明確に定義したという点で様々な加工技術の結果である他のポリマー性材料とは異なる。材料特性の最適な利用を可能にするには、拡張された構造における選択された有機単位の位置に渡る正確な制御が必要である。
【0023】
ダイアモンド、グラファイト、シリコンカーバイド、窒化炭素、および窒化ホウ素などの存在する結晶性共有結合材料は、非常に高い圧力(1〜10 GPa)または非常に高い温度(500〜2400℃)の下で形成される。これらの極端な合成条件は、拡張された、または官能化された構造の形成において必要とされる可撓性を制限するが、これは多くの有機モノマー単位の構造的または化学的完全性がこれらの条件下では保存されないためである。
【0024】
穏和な条件下での共有結合ネットワークの合成に向かう現在の試みは、長距離秩序を有する周期的分子構造を有する拡張された材料の製造において成功していない。1つのそのような試みは、反応性非金属架橋剤のチャンネルへの拡散の前に水素結合または金属リガンド相互作用を介する有機部分の予備組織化を含んでいた。これは予め配置された有機分子を一緒に連結し、続いて、金属鋳型イオンが除去された。しかしながら、金属鋳型イオンの除去の際の不完全な重合または結晶性の喪失が観察されることが多い。
【0025】
個別の0次元(0-D)分子および1-D鎖(ポリマー)の結晶を単離するための共有結合を有する有機分子と一緒に連結する化合物を確立する;しかしながら、2-Dおよび3-D共有結合性有機骨格(COF)については開発されていない。本開示は、構成単位が強力な共有結合(C-C、C-O、B-O)により連結された共有結合性有機骨格(COF)を提供する。COFの結晶化は、共有結合された固体に関する長期に渡る「結晶化問題」を克服することができることを示している。拡張された構造を結晶化するための基準である、可逆的共有結合形成において働く動的および熱力学的因子の間の平衡を取ることにより、これを達成する。
【0026】
軽元素(B、C、N、およびO)を含むCOF構造の理解は、それらが、ダイアモンドおよび炭化ホウ素におけると同様、共有結合の熱力学的強度と、有機単位の官能性とを組み合わせるため、高度に望ましい材料を提供する。この領域における進歩は、長期に渡る実務的および概念的挑戦により妨げられてきた。第1に、0-Dおよび1-D系と違って、2-Dおよび3-D構造の不溶性は、段階的合成の使用を妨げ、結晶形態でのそれらの単離を非常に困難にしている。第2に、2-Dまたは3-Dの拡張された構造中に特定の構成単位幾何学を連結する結果生じ得る可能な構造の数は本質的に無限であり、設計によるその合成を複雑にする。
【0027】
共有結合された有機ネットワークの形成は、分子設計および有機化学の両方におけるとらえどころのない目標であり、魅力的な挑戦であった。これらのネットワークを、強力な、動的に不活性な、共有結合(例えば、C、O、N、Bの間)から構成される、周期的な、特に「2-Dまたは3-D」の材料と定義することができる。その刺激的な合成的挑戦に加えて、これらの新しい材料の特性は、その軽量かつ高価でない出発材料、ならびに潜在的に高い化学的および温度的安定性を利用する重要な工業用途を有し得る。分子規模での周期的アレイにおいて特定の有機単位を用いることにより、構造、官能性、および材料特性を特異的に調整することができる。構成単位の構造的または物理的特性を破壊しない穏和な条件下で、拡張されたネットワークへの翻訳を操作することにより、これを達成する。
【0028】
本開示の共有結合性有機骨格は、部分的には、構成単位の選択ならびに有機構成単位が強力な共有結合により連結される2-Dおよび3-D COFを結晶化させる可逆的縮合反応の使用に基づく。さらに、本開示は、網状化合物の設計原理が先行努力に関する困難を克服することを証明する。例えば、網状化合物を用いて、異なる多座コアを連結することにより、ネットを開発した。異なる多座コアを、それぞれ、連結クラスターを介して、異なる数の追加の多座コア(例えば、2、3、4個以上)に連結することができる。次いで、各ネットを、任意の数の追加のネットにさらに連結することができる。
【0029】
例えば、三角形かつ四面体の形状の連結に基づく2個のネットを選択し、3-D COFの合成のために標的化した。例えば、硬い分子構成単位、四面体のテトラ(4-ジヒドロキシボリルフェニル)メタン(TBPM)、およびそのシラン類似体(TBPS)、ならびに三角形のヘキサヒドロキシトリフェニレン(HHTP)の自己縮合および同時縮合反応(図1、A-C)は、結晶性3-D COF(COF-102、-103、-105、および-108と呼ぶ)の例を提供する。
【0030】
従って、本開示は、網状化合物の概念を用いて分子構成単位から合成された2および3次元共有結合性有機骨格(3-D COF)を提供する。例えば、三角形および四面体コアに基づく2個のネット、ctnおよびborを標的化し、その対応する3-D COFを、四面体のテトラ(4-ジヒドロキシボリルフェニル)メタン(TBPM、C[C6H4B(OH)2]4)またはテトラ(4-ジヒドロキシボリルフェニル)シラン(TBPS、Si[C6H4B(OH)2]4)の縮合反応、ならびに三角形の2,3,6,7,10,11-ヘキサヒドロキシトリフェニレン(HHTP)の同時縮合により結晶性固体として合成した。得られる3-D COFは、ctnおよびborネットの拡張型である:COF-102 (ctn)、COF-103 (ctn)、COF-105 (ctn)およびCOF-108 (bor)。それらは完全に強力な共有結合(C-C、C-O、C-B、およびB-O)から構築されており、高い温度安定性(400〜500℃)、任意の有機材料について知られる最も高い表面積(3472 m2g-1および4210 m2g-1)ならびに任意の結晶性固体の最も低い密度(0.17 gcm-3)を有する。
【0031】
本開示のCOFは、有機材料間で最も多孔性であり、このシリーズのメンバー(例えば、COF-108)はいくつかの任意の結晶性材料の最も低い密度を有する。これらのCOFの予想される基礎を成すネットの推測的な知識を用いずに、粉末X線回折データからその構造を設計し、解析することによるその合成は極めて困難であった。
【0032】
共有結合性有機骨格(「COF」)は、多座コアが連結クラスターを介して互いに結合した共有結合した多座コアの2または3次元ネットワークを指す。一態様においては、COFは、互いに共有結合した2個以上のネットワークを含む。このネットワークは、同じであっても、または異なっていてもよい。これらの構造は、ポリマーが拡張されるのと同じ意味で拡張される。
【0033】
用語「共有結合性有機ネットワーク」とは、集合的に、共有結合性有機骨格および共有結合性有機多面体の両方を指す。
【0034】
用語「共有結合性有機多面体」とは、拡張されていない共有結合性有機ネットワークを指す。そのような多面体における重合は、重合を阻害するキャッピングリガンドの存在のため、通常は起こらない。共有結合性有機多面体は、ネットワークの空間的構造が多面体であるような、多座コアと一緒に連結する複数の連結クラスターを含む共有結合性有機ネットワークである。典型的には、このバリエーションの多面体は、2または3次元構造である。
【0035】
用語「クラスター」とは、2個以上の原子の同定可能な結合を指す。そのような結合は、典型的には、いくつかの型の結合(イオン結合、共有結合、Van der Waal結合など)により確立される。「連結クラスター」とは、多座コアを有する架橋酸素原子を介して結合を形成することができる原子を含む縮合をすることができる1個以上の反応種を指す。そのような種の例を、ホウ素、酸素、炭素、窒素、およびリン原子からなる群より選択する。いくつかの実施形態においては、連結クラスターは、架橋酸素原子との連結を形成することができる1個以上の異なる反応種を含んでもよい。
【0036】
本明細書で用いられる場合、一方の末端上に原子を有し、他方の末端上に何も有さない化学式における系列は、この式が、原子が結合していない末端上で別の実体に結合された化学断片を指すことを意味する。時には、強調するため、波線が前記線と交差するであろう。
【0037】
本開示は、任意の数のネット構造(例えば、骨格)の共有結合した有機ネットワークを提供する。共有結合した有機ネットワークは、複数の多座コアを含み、少なくとも2個の多座コアが、連結クラスターと縮合することができる異なる数の連結部位を含む。多座コアを、少なくとも1個の連結クラスターにより互いに連結する。共有結合した有機ネットワークの変形(骨格および多面体の両方)は、約1〜約20,000 m2/g以上、典型的には、約2000〜約18,000 m2/gの表面積を提供するが、より一般的には、約3,000〜約6,000 m2/gの表面積を提供する。
【0038】
典型的には、それぞれの多座コアを、少なくとも1個、典型的には、2個の異なる多座コアに連結する。この実施形態の変形においては、共有結合した有機ネットワークは、拡張された構造である共有結合した有機骨格(「COF」)である。さらなる改良においては、これらのCOFは、多結晶性であるか、または単一結晶であってもよい結晶性材料である。多座コアは、ネットを通して同じである(すなわち、同種ネット)か、または異なるか、もしくは代替的な型の多座コア(すなわち、異種ネット)であってもよい。共有結合した有機骨格は拡張された構造であるため、変形は、Reticular Chemistry: Occurrence and Taxonomy of Nets and Grammar for the Design of Frameworks, Acc. Chem. Res. 2005, 38, 176-182に記載の金属有機骨格に認められるネットに対して類似するネットに形成することができる。この論文の全開示は参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0039】
連結クラスターはケージおよび環構造などの2Dおよび3D骨格を得るために2個以上の結合(例えば、3個以上の結合)を有することができる。一態様においては、複数の多座コアを連結することができる1個の連結クラスターは、式AxQyTWCZ(式中、AおよびTはQにより架橋され、等しくxおよびwを作り;Aはホウ素、炭素、酸素、硫黄、窒素またはリンであり;Tは任意の非金属元素であり;Qは酸素、硫黄、窒素、またはリンであり、Aの原子価を満たしながら数yを有する)により記載される構造を有するクラスターを含む。一態様においては、Tを、B、O、N、Si、およびPからなる群より選択する。さらに別の態様においては、連結クラスターは、式AxQyCZ(式中、Aはホウ素、炭素、酸素、硫黄、窒素またはリンであり、Qは酸素、硫黄、窒素、またはリンであり;xおよびyはAの原子価を満足するような整数であり、ならびにzは0〜6の整数である)により記載される構造を有する。有用な変形においては、連結クラスターは、式BxQyCz(式中、Qは酸素、硫黄、窒素、またはリンであり;xおよびyはBの原子価を満足するような整数であり、ならびにzは0〜6の整数である)を有する。さらに別の態様においては、連結クラスターは、式BxOyを有する。一態様においては、多座コアを、少なくとも2個、少なくとも3個または少なくとも4個のホウ素含有クラスターにより、少なくとも1個の他の多座コアに連結する。一態様においては、ホウ素含有クラスターは、結合を形成することができる少なくとも2個または少なくとも4個の酸素を含む。例えば、多座コアのホウ素含有クラスターは、式I:
【化1】

【0040】
を含む。
【0041】
本開示の多座コアは、置換もしくは非置換芳香環、置換もしくは非置換ヘテロ芳香環、置換もしくは非置換非芳香環、置換もしくは非置換非芳香族ヘテロ環、または飽和もしくは不飽和、置換もしくは非置換炭化水素基を含んでもよい。飽和もしくは不飽和炭化水素基は、1個以上のヘテロ原子を含んでもよい。例えば、多座コアは、式II:
【化2】

【0042】
(式中、R1、R2、R3、およびR4は、各々独立にH、アルキル、アリール、OH、アルコキシ、アルケン、アルキン、フェニルおよび前記の置換基、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、シリコン含有基、窒素含有基(例えば、アミド)、酸素含有基(例えば、ケトン、およびアルデヒド)、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、またはエステルである)
を含んでもよい。
【0043】
多座コアの別の変形は、式III:
【化3】

【0044】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6は、各々独立にH、アルキル、アリール、OH、アルコキシ、アルケン、アルキン、フェニルおよび前記の置換基、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、シリコン含有基、窒素含有基(例えば、アミド)、酸素含有基(例えば、ケトン、およびアルデヒド)、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、またはエステルである)
により記載される。
【0045】
別の変形においては、多座コアは、式IV〜VII:
【化4】

【0046】

【0047】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は、各々独立にH、アルキル、アリール、OH、アルコキシ、アルケン、アルキン、フェニルおよび前記の置換基、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、シリコン含有基、窒素含有基(例えば、アミド)、酸素含有基(例えば、ケトン、およびアルデヒド)、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、またはエステルであり、Tは四面体原子(例えば、炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ)または四面体基もしくはクラスターである)
により記載される。
【0048】
別の変形においては、多座コアは、式VII:
【化5】

【0049】
(式中、A1、A2、A3、A4、A5、およびA6は、各々独立に、存在しないか、または安定な環構造を形成することができる任意の原子もしくは基であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、およびR12は、各々独立にH、アルキル、アリール、OH、アルコキシ、アルケン、アルキン、フェニルおよび前記の置換基、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、シリコン含有基、窒素含有基(例えば、アミド)、酸素含有基(例えば、ケトン、およびアルデヒド)、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、またはエステルである)
により記載される。式VIIIの具体例は、式IXおよびX:
【化6】

【0050】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、およびR12は、各々独立にH、アルキル、アリール、OH、アルコキシ、アルケン、アルキン、フェニルおよび前記の置換基、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、シリコン含有基、窒素含有基(例えば、アミド)、酸素含有基(例えば、ケトン、およびアルデヒド)、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、またはエステルである)
ならびに式IXおよびXの連結基のアンモニウム塩により提供される。
【0051】
さらに別の変形においては、多座コアは式XI:
【化7】

【0052】
(式中、R1〜R12は、各々独立にH、アルキル、アリール、OH、アルコキシ、アルケン、アルキン、フェニルおよび前記の置換基、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、シリコン含有基、窒素含有基(例えば、アミド)、酸素含有基(例えば、ケトン、およびアルデヒド)、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、またはエステルであり;ならびにnは1以上の整数である)
により記載される。
【0053】
さらに別の実施形態においては、第1の多座コアを、ホウ素含有クラスター(例えば、図1Dを参照)により少なくとも1個の第2の多座コアに連結する。さらに別の態様においては、第1の多座コアを、ホウ素含有クラスター(例えば、図1Eを参照)を欠く第2の異なる多座コアに連結する。
【0054】
本開示は、連結クラスターに共有結合した2個以上の有機多座コアを含む共有結合性有機骨格であって、該連結クラスターが2個以上の原子の同定可能な結合を含み、各多座コアと連結基との共有結合が、炭素、ホウ素、酸素、窒素およびリンから選択される原子間で起こり、多座コアと連結クラスターの間の各共有結合中の少なくとも1個の原子が酸素である、前記骨格を提供する。1個以上のCOFを、互いに共有結合させることができ、それぞれのCOFは構造において同一であるか、または異なっていてもよい。
【0055】
本開示の共有結合した有機骨格または多面体は、必要に応じて、ゲスト種をさらに含む。そのようなゲスト種は、共有結合した有機ネットワークの表面積を増加させることができる。同様の様式で、本開示の共有結合した有機ネットワークは、吸着された化学種をさらに含む。そのような吸着された化学種としては、例えば、アンモニア、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、アミン、メタン、酸素、アルゴン、窒素、有機染料、多環式有機分子、金属イオン、無機クラスター、有機金属クラスター、およびその組合せが挙げられる。
【0056】
上記の共有結合した有機骨格および多面体を形成する方法が提供される。この実施形態の1つの変形においては、該方法は、拡張された結晶性材料への縮合における使用のための少なくとも1個のホウ素含有クラスターを含む多座コアを用いる。ホウ素含有クラスターを含む該多座コアは、コアを自己縮合する。別の態様においては、ホウ素含有クラスターを含む第1の多座コアを、ホウ素含有クラスターを欠く多座コアを用いて縮合する。結晶生成物は、多結晶性であるか、または単一結晶であってよい。例えば、縮合は、多孔性の半結晶を形成して、高い表面積を有する有機材料を結晶化する。
【0057】
一態様においては、フェニレンビスボロン酸を縮合して、高い表面積を有する微小多孔性結晶化合物を形成する。中央のB3O3環はほぼ平面であり、フェニル基はボロキシン環とほぼ同一平面上にあることが、トリフェニルボロキシンの構造において報告されている。
【0058】
スキームIおよびIIは、本開示の3Dおよび2D COFを合成するための方法を示す。スキーム2に従って、フェニルボロン酸と2,3,6,7,10,11-ヘキサヒドロキシトリフェニレン(「HHTP」)、三角形構成単位との脱水反応は、新しい5員BO2C2環を与える。
【化8】


【0059】
別個の化合物について用いられるものと同様、芳香族溶媒(例えば、トルエン)中での反応は、COF合成のための論理的出発点である。スキーム2は、3接続シートを形成するBDBAとTBSTとの反応の例を提供する。上記と同様の様式で、スキーム2の出発材料と生成物の両方の芳香環を、必要に応じて、アルキル、OH、アルコキシ、硫黄含有基(例えば、チオアルコキシ)、シリコン含有基、ハロゲン、窒素、アミノ、シアノ、ホウ素含有基、リン含有基、カルボン酸、またはエステルで置換する。
【0060】
本開示のCOFは、任意の骨格/構造を取ってもよい。例えば、本開示の方法を用いて、以下の骨格型コードのいずれかを有するCOFを取得することができる:ABW ACO AEI AEL AEN AET AFG AFI AFN AFO AFR AFS AFT AFX AFY AHT ANA APC APD AST ASV ATN ATO ATS ATT ATV AWO AWW BCT *BEA BEC BIK BOG BPH BRE CAN CAS CDO CFI CGF CGS CHA CHI CLO CON CZP DAC DDR DFO DFT DOH DON EAB EDI EMT EON EPI ERI ESV ETR EUO EZT FAR FAU FER FRA GIS GIU GME GON GOO HEU IFR IHW ISV ITE ITH ITW IWR IWV IWW JBW KFI LAU LEV LIO LIT LOS LOV LTA LTL LTN MAR MAZ MEI MEL MEP MER MFI MFS MON MOR MOZ MSE MSO MTF MTN MTT MTW MWW NAB NAT NES NON NPO NSI OBW OFF OSI OSO OWE PAR PAU PHI PON RHO RON RRO RSN RTE RTH RUT RWR RWY SAO SAS SAT SAV SBE SBS SBT SFE SFF SFG SFH SFN SFO SGT SIV SOD SOS SSY STF STI STT SZR TER THO TON TSC TUN UEI UFI UOZ USI UTL VET VFI VNI VSV WEI WEN YUG ZON。
【0061】
別の態様においては、上記の共有結合性有機骨格は、該共有結合性有機骨格の表面積を増加させる、互いに浸透する共有結合性有機骨格を含んでもよい。本開示の骨格は、有利にはそのような相互浸透を含まないが、互いに浸透する骨格の含有を用いて表面積を増加させることができる場合の状況が存在する。
【0062】
3-D COFの特徴は、孔内から、骨格を構築するのに用いられる分子単位の全ての端部および表面への完全な近接性である。多孔性材料における芳香環から生じる端部の数を最大化することは、吸着部位および表面積の数を増加させることが以前の研究により見出された。多孔性ゼオライト、炭素、および金属有機骨格(MOF)は全て、その構造中に潜在的な端部を含む;しかしながら、COFの構造は、潜在的な端部を含まず、骨格全体が気体吸着のための結合部位で満たされた表面である。前記構造はまた、非常に低い密度を有する:COF-102、0.41 gcm-3; COF-103, 0.38 gcm-3; COF-105, 0.18 gcm-3; およびCOF-108, 0.17 gcm-3。最後の2種は、MOF-5 (0.59 gcm-3)およびMOF-177 (0.42 gcm-3)などの高度に多孔性のMOFよりも顕著に低く、公知の最も低い密度の結晶である;また、ダイアモンドの密度(3.50 g cm-3)と比較されたい。
【0063】
3-D COF中の最大化された画分の表面部位と結びつけられた低い密度は、例えば、COF-102およびCOF-103の空にしたサンプルに関する気体吸着試験を用いて示された、その例外的な多孔性を天然に与える。「合成された(as-synthesized)」COF-102およびCOF-103のサンプルを、無水テトラヒドロフラン中に浸して、合成の間に孔中に含有された溶媒および出発材料を除去した後、60℃で12時間、力強い減圧下(10-5 Torr)に置いて、孔を完全に空にした。熱重量分析により、全てのゲストが孔から除去され、450℃以下で全てのCOFが温度的に安定であることを示すことが確認された(図47〜50)。COF-102および-103に関するアルゴン等温線を、0〜760 Torrで87 Kで記録した(図4A、B)。COF-102およびCOF-103は、P P0-1=1 x 10-5〜1 x 10-2の低圧力領域での鋭い取込みを特徴とする古典的なI型等温線を示す。Brunauer-Emmett-Teller (BET)モデルを用いて算出された見かけの表面積は、COF-102および-103について、それぞれ3472および4210 m2g-1であることがわかった。Dubinin-Radushkevich (DR)式を用いて決定された孔体積は、1.35 cm3g-1(COF-102)および1.66 cm3g-1(COF-103)の値を提供した。COFのBET表面積が、多孔性炭素(2400 m2g-1)、ケイ酸(1,300 m2g-1)、最近報告された2-D COF (1590 m2g-1)、固有の微小多孔性のポリマー(PIM)(1064 m2g-1)、ポリマー樹脂(2090 m2g-1)を超え、最も高い表面積のMOF (MOF-177: 4500 m2g-1)を支持することは注目に値する。等温線に対して近似的に適合する密度関数理論(DFT)モデルから得られた孔径の算出(図52および56)により、COF-102(11.5Å、図4A差し込み図)およびCOF-103(12.5Å、図4B差し込み図)の孔径分布が得られた。狭い分布が得られ、結晶構造から得られた孔直径に近い値で中央化する。等しく顕著な多孔性を有すると予想されるCOF-105および-108の多孔性を試験する実験が進行中である。3-D COFは、その多様性および用途においてゼオライトおよびMOFと同程度に潜在的に広い大きいクラスの多孔性材料の第1のメンバーであると予想される。
【0064】
本開示の一実施形態においては、共有結合性有機骨格を含む気体保存材料を提供する。有利には、共有結合性有機骨格は、気体分子を保存するための1個以上の部位を含む。本開示の気体保存材料中に保存することができる気体としては、孔または相互浸透する多孔性ネットワークのものである表面上の1個以上の部位への結合のための利用可能な電子密度を含む気体分子が挙げられる。そのような電子密度としては、そこに含まれる2個の原子間の複数の結合を有する分子または孤立電子対を有する分子が挙げられる。そのような気体の好適な例としては、限定されるものではないが、アンモニア、アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、およびその組合せからなる群より選択される成分を含む気体が挙げられる。特に有用な変形においては、気体保存材料は、水素(H2)を保存するのに用いられる水素保存材料である。別の特に有用な変形においては、気体保存材料は、気体混合物から二酸化炭素を分離するのに用いることができる二酸化炭素保存材料である。
【0065】
この実施形態の変形においては、気体保存部位はCOF中の孔を含む。改良においては、この活性化は、COFから1個以上の化学部分(ゲスト分子)を除去することを含む。典型的には、そのようなゲスト分子は、水、COF中に含まれる溶媒分子、および結合にとって利用可能な電子密度を有する他の化学部分などの種を含む。
【0066】
本明細書に提供される共有結合性有機骨格は、気体吸着のための複数の孔を含む。1つの変形においては、複数の孔は、単一モードのサイズ分布を有する。別の変形においては、複数の孔は、多モード(multimodal)(例えば、二モード(bimodal))のサイズ分布を有する。
【0067】
収着は、原子または分子と標的材料との結合をもたらすプロセスを指す一般的用語である。収着は、吸着および吸収の両方を含む。吸収とは、スポンジによる水の吸収などの、原子または分子が多孔性材料のバルクの中に移動するプロセスを指す。吸着とは、原子または分子がバルク相(すなわち、固体、液体、または気体)から固体または液体表面に移動するプロセスを指す。用語「吸着」を、液体および気体と接触した固体表面の文脈で用いることができる。固体表面上に吸着された分子を、一般的には吸着質と呼び、それらが吸着した表面を基質または吸着剤と呼ぶ。吸着は通常、等温線、すなわち、吸着剤上の吸着質の量と、その圧力(気体の場合)または濃度(液体の場合)とを関係付ける関数を介して記載される。一般的には、脱離とは、吸着の逆を指し、表面上に吸着した分子がバルク相に逆移動するプロセスである。
【0068】
多孔性化合物はゲスト分子に吸着することが知られているが、吸着の機構は複雑である。基礎研究のためには、構造がよく組織化された新しいクラスの材料の開発が必要条件であるが、これは吸着剤と吸着質との特異的相互作用を考慮する必要があるからである。最近発見されたCOFの結晶性多孔性材料は、一般的知識を体系的に獲得するための良好な候補である。すなわち、見かけの表面積および孔体積だけではなく、孔径分布および吸着部位を、Ar等温線の使用により分析する必要がある。
【0069】
2種のCOFを、Ar保存材料のための標準物として試験した。これらの化合物は様々な孔直径および官能性を有するため、Ar収着作用に関する体系的研究が可能であるべきである。気体収着等温線を、87 Kでの低い圧力領域(最大で760 Torr)下で取得した。
【0070】
これらの材料を、収着器具のための標準的な化合物として使用することができ、得られた結果は様々な工業用プラントを改良するのに役立つ(すなわち、化学物質の分離または回収)。
【0071】
よく研究された活性炭を超えるCOFの利点は、好適な有機リンカーおよび/または金属イオンを選択することによる、強固な多孔性構造ならびに孔および表面を官能化する容易性に関連する。収集されたデータは、等温線分析における魅力的な方法である、孔径分布を見積もるためのDFT算出に適用可能であるべきである。
【0072】
気体収着の能力を、Ar等温線を測定することにより試験し、いくつかの材料はグラム規模で既に合成が成功している。
【0073】
これらの材料および理論的知識は、気体分離および保存系を運営している化学工業会社により望ましいものであるはずである。
【0074】
一実施形態においては、本明細書で提供される材料を、メタン保存および天然ガスの精製のために用いることができる。よく研究された活性炭を超えるCOFの利点は、好適な有機リンカーを選択することによる、強固な多孔性構造ならびに孔および表面を官能化する容易性に関連する。本発明における改良点は、i)CH4収着のための最適な孔径を見出したこと、およびii)官能化された化合物が良好な収着能力を示すことである。これらの知見により、COFはより選択的かつより効率的な気体収着および精製吸着剤になるであろう。気体収着の能力を、様々な圧力下でCH4等温線を測定することにより試験した。いくつかの化合物は、吸着剤または分離剤として広く用いられているゼオライト13XおよびMAXSORB(炭素粉末)よりもむしろ高い能力を示した。
【0075】
これらの材料は、CH4分子との親和性を制御するための重要な因子である最適化された孔構造および/または官能化された孔系を有するため、気体保存および分離のための新しい多孔性材料を有することを望む会社により望まれるべきである。実際、CH4と吸着剤との好適な親和性は、材料の表面を毒化せずに天然ガスを精製するのに有効であるべきである。
【0076】
別の実施形態においては、前記材料を気体保存および分離に用いることができる。よく研究された活性炭およびゼオライトを超えるCOFの利点は、好適な有機リンカーおよび/または金属イオンを選択することによる、強固な多孔性構造ならびに孔および表面を官能化する容易性に関連する。本発明における改良点は、i)CO2収着のための最適な孔径を見出したこと、およびii)官能化された化合物が良好な収着能力を示すことである。これらの知見により、COFはより選択的かつより効率的な気体収着および分離吸着剤になるであろう。本明細書で提供されるのは、可逆的二酸化炭素保存のための吸着剤として官能化された孔、高い表面積、ならびに高い化学的および温度的安定性を有する多孔性共有結合性有機骨格(COF)である。CO2(すなわち、温室効果ガス)の除去が環境学的観点から重要な問題であることを考慮すると、実現可能なCO2保存材料の開発が喫緊の課題である。
【0077】
これらの材料は、CO2分子との親和性を制御するための重要な因子である最適化された孔構造および/または官能化された孔系を有するため、気体保存および分離のための新しい多孔性材料を有することを望む会社により望まれるべきである。実際、CO2と吸着剤との好適な親和性は、材料の表面を毒化せずにCO2を除去するのに有効であるべきである。
【0078】
本明細書で提供されるのは、可逆的水素保存のための吸着剤として官能化された孔、高い表面積、ならびに高い化学的および温度的安定性を有する多孔性共有結合性有機骨格(COF)である。これらの材料は、安全かつ実用的な方法で有意な量のH2を保存するのに幅広く適用可能である。
【0079】
別の実施形態においては、前記材料を水素燃料電池のためのH2タンクにおいて用いることができる。
【0080】
よく研究された活性炭を超えるCOFの利点は、好適な有機リンカーおよび/または金属イオンを選択することによる、強固な多孔性構造ならびに孔および表面を官能化する容易性に関連する。本発明における改良点は、i)H2収着のための最適な孔径を見出したこと、およびii)官能化された化合物が良好な収着能力を示すことである。これらの知見により、COFはより選択的かつより効率的なH2保存材料になるであろう。
【0081】
これらの材料は、水素燃料電池のための新しい多孔性材料を有することを望む自動車会社により望まれるべきである。
【0082】
本開示はまた、目的の分析物の存在を感知することができる化学的センサー(例えば、抵抗測定センサー)も提供する。哺乳動物嗅覚系の類似体として作用するセンサーの開発におけるかなりの興味がある。しかしながら、そのようなセンサー系は汚染されやすい。本開示の孔構造は、汚染物が、本開示上の共有結合性有機骨格の孔構造を通過するセンサー材料と接触する能力を制限する規定の相互作用領域を提供する。例えば、伝導性ポリマー(例えば、ポリ(アニリン)およびポリチオフェン)、伝導性ポリマーと非伝導性ポリマーの混合物ならびに伝導性材料と非伝導性材料の混合物などのセンサー系において、様々なポリマーを用いる。抵抗測定系においては、リード線を、電流が該リード間を横断し、およびセンサー材料を通過して横断するような伝導性材料により分離する。分析物への結合の際に、材料中の抵抗が変化し、かくして、検出可能なシグナルが生成される。本開示のCOFを用いれば、センサー材料の周囲の領域は制限され、センサー材料との接触に由来する汚染を制限するための「フィルター」として役立ち、かくしてセンサーの特異性を増加させる。
【0083】
以下の非限定的な実施例は、本明細書に提供される様々な実施形態を例示するものである。当業者であれば、本明細書に提供される特定事項の精神および特許請求の範囲の中にある多くの変更を認識するであろう。
【0084】
(実施例)
網状化合を上手く用いて、3-D COFを合成および特性評価した。四面体構成単位AおよびB、ならびに三角形Cは剛性であり、集合反応の間に変形する可能性が低いため、これらを選択した。
【0085】
これらの単位の脱水反応は三角形のB3O3環D、およびC2O2B環Eを生成する(図1)。これらの構成単位に基づいて、本開示は、AまたはBが自己縮合するか、またはCと共縮合して、四面体かつ三角形の結節を有するネットに基づくCOF構造を与える少なくとも2種の反応を提供する(図1DおよびE)。しかしながら、原理的には、四面体と三角形との連結から生じ得る無限数の可能なネットが存在する。最も対称性のあるネットは不偏系をもたらす可能性が最も高く、より具体的には、ちょうど1種の連結を有するものが好ましく、かくして、標的化するのに最良である。四面体および三角形の構成単位を連結する本発明の場合、上記基準を満たす唯一の公知のネットは、記号ctnおよびborを有するものである(図1F、G)。従って、ネットの結節を、四面体および三角形の形状を有する分子構成単位により置換する(図1H、I)。B3O3環などの剛性の平面三角形単位には、3-D構造ctnおよびborを形成する四面体結節に回転自由が存在することが必要であることに留意することが重要である。
【0086】
Cerius2を用いて、分子構成単位AおよびBを四面体結節に適合させ、CおよびDを、それらのそれぞれの立方空間基対称:
【数1】

【0087】
に付着するこれらのネットの三角形結節に適合させることにより、ctnおよびborネットに基づくCOFの合成のための「青写真」を描いた。力場計算を用いるエネルギー最小化を実施して、全ての結合長および角度が化学的に合理的な値を有することがわかったモデルを作製した。
【0088】
COFの合成を、上記の計画に従って実行した。TBPMまたはTBPSをメシチレン/ジオキサン中に懸濁し、部分的に減圧した(150 mTorr)Pyrexチューブ中に入れ、密閉し、4日間加熱(85℃)して、それぞれ63および73%の収率で白色結晶COF-102およびCOF-103を得た。同様に、TBPMまたはTBPSと、HHTPとの共縮合(3:4モル比)は、COF-105(58%収率)およびCOF-108(55%収率)の緑色結晶固体を生成する。COF-105およびCOF-108の色は、その孔の中への少量の高度に着色された酸化したHHTPの可能な封入から生じる。
【0089】
合成産物が実際に設計された構造中に共有結合されることを証明するために、材料をX線回折、分光測定、顕微鏡観察、元素微小分析、および気体吸着により研究した。第1に、モデル化されたCOFのPXRDパターン(図2、A-D)と、合成産物について観察されたもの(図2、E-H)との比較により、それらが実際にctnまたはbor型を有する予想されたCOFであることが示される。観察されたPXRDパターンは、狭い線幅および低いシグナルノイズ比を示し、これはCOFの高い結晶性を示すものである。ピーク位置と強度との顕著な程度の一致も観察され、対応するモデル化された単位格子中でのH、B、C、O原子の組成および位置が正確であることを実証している。COFのPXRDデータを指数化して、Cerius2から算出されたものとほぼ同一である単位格子パラメーターを得ることもできる(表S5)。単位格子パラメーターをさらに検証するために、PXRDパターンをモデルバイアスLe Bail完全パターン分解に供し、X線データに由来する構造因子(Fobs)偏角を抽出した。COF晶子はマイクロメートルの寸法を有するため、全てのピークはいくらかの広がりを経験する。初期段階のLe Bail抽出における線の広がりを計上した後、実験プロフィールの適合は単位格子パラメーターの改良(洗練:refinement)に容易に収斂した。全ての構造に関する改良は再度、Cerius2から算出されたものとほぼ同一である値を誘導した(表S5)。統計学的に許容可能な残留因子により示されるように(表S6)、改良されたプロフィールの容易かつ適切な適合に加えて、算出された格子パラメーターと改良された格子パラメーターの間の近い同等性および低い不確実性(見積もられた標準偏差、表S5)は、COF構造が実際にモデリングを介して同定されたものであることを支持する(図2;原子配位:表S1-S4)。
【0090】
COF中の予想される6員B3O3ボロキシンまたは5員C2O2Bボロン酸エステル環を介する構成単位の共有結合を、Fourier変換赤外線(FT-IR)および多量子マジック角回転核磁気共鳴(MQ MAS-NMR)分光分析を用いて評価した。全てのCOFのFT-IRスペクトルは、ボロン酸ヒドロキシル基から生じる強く弱体化されたバンドを含み、これは反応物の縮合の成功を示している(図18〜20)。自己縮合反応から調製されたCOFは全て、ボロキシン環の平面外変形様式に関する710 cm-1での診断バンドを示す。共縮合されたCOF-105およびCOF-108産物は、1245 cm-1(COF-105)、および1253 cm-1(COF-108)での強いC-O伸長バンド;ボロン酸エステル5員環については異なるシグナルを有する。これらのFT-IRデータは、予想されるホウ素含有環に関するフィンガープリントであるが、固体状態11B MQ MAS-NMR分光分析はホウ素の即時結合環境に対して高度に感受性である。B-CおよびB-Oの距離および/または角度における差異は、線の形状およびスペクトルの強度における注目すべき変化をもたらすであろう。空にしたCOFに関して獲得された11B MQ MAS-NMRスペクトルを、分子モデル化合物および出発材料のものと比較した(図2、E-H、差し込み図)。全てのCOFのスペクトルは、モデル化合物のものと一致し、出発材料とは異なる。かくして、全てのCOF中のホウ素含有単位は、形成しただけでなく、完全に形成されたB3O3およびC2O2B環である。13Cおよび29Si MQ MAS-NMR実験に由来するさらなるデータは、各型のそれぞれの核の予想される数および環境の存在を示し、構造帰属をさらに実証している(図22〜42)。
【0091】
COF材料の相純度および合成再現性を確立するために、複数のサンプルを走査電子顕微鏡(SEM)を用いて包括的に画像化した。COF-102およびCOF-103のSEM画像はそれぞれ、凝集した、および凝集していない1〜2μm直径の球体を示した(図43〜44)。この形態は、球状結晶増殖を引き起こして、比較的非極性の溶媒媒体を含む内面表面エネルギーを最小化する極性ヒドロキシル化(-OH)表面により引き起こされるようである。COF-105および-108について記録されたSEM画像は、それぞれ、5μmの小板および3〜4μmの不規則な球体を示した(図45〜46)。それぞれのCOFについて、不純物相の存在を除いて、1つのみの独特の形態が観察された。さらに、C、H元素微小分析により、それぞれのCOFの組成がモデリングから予測される製剤と一致することが確認された。
【0092】
全ての材料を、好適な試薬を充填したo.d. < i.d. = 10 x 8 mm2を測定するPyrexチューブ中で合成し、77 K (LN2浴)でフラッシュ凍結し、150 mTorrの内部圧まで減圧し、炎で密閉した。密閉の際に、チューブの長さを約18 cmに減少させた。
【0093】
COF-102の合成
テトラ(4-ジヒドロキシボリルフェニル)メタン(50.0 mg、0.10 mmol)および1.0 mLのメシチレン-ジオキサンの1:1 (v:v)溶液を用いた。反応混合物を85℃で4日間加熱して白色沈殿物を得て、ガラス媒質フリット上での濾過により単離し、無水テトラヒドロフラン(10 mL)で洗浄した。生成物を無水テトラヒドロフラン(10 mL)中に8時間浸すことにより洗浄(活性化)し、その間、溶媒をデカントし、4回新鮮に補充した。溶媒を減圧下、室温で除去して、白色粉末(27.8 mg、65%)としてCOF-102を得た。(C25H16B4O4)に関する計算値:C、70.88;H、3.81%。実測値:C、64.89;H、3.76%。
【0094】
COF-103の合成
85℃で4日間のメシチレン/ジオキサンの3:1 v/v溶液1.5 mL中でのテトラ(4-ジヒドロキシボリルフェニル)シラン(55.0 mg、0.10 mmol)の反応により、上記の方法による精製後に白色粉末(37.0 mg、73%)としてCOF-103が得られた。(C24H16B4O4Si)に関する計算値:C、65.56;H、3.67%。実測値:C、60.43;H、3.98%。
【0095】
COF-105の合成
85℃で9日間のメシチレン/ジオキサンの1/1 v/v溶液1.0 mL中での2,3,6,7,10,11-ヘキサヒドロキシ-トリフェニレン(23.8 mg、0.07 mmol、TCI)を用いるテトラ(4-ジヒドロキシボリルフェニル)シラン(26.0 mg、0.05 mmol)の処理により、緑色粉末としてCOF-105を得た。生成物をガラス媒質フリット上で濾過し、無水アセトン(10 mL)で洗浄した後、無水アセトン(20 mL)中に24時間浸し、その間、活性化溶媒をデカントし、2回、新鮮に補充した。溶媒を減圧下、室温で除去して、COF-105(26.8 mg、ボロン酸に基づいて58%)を得た。(C48H24B4O8Si)に関する計算値:C、72.06;H、3.02%。実測値:C、60.39;H、3.72%。
【0096】
COF-108の合成
85℃で4日間のメシチレン/ジオキサンの1:2 v/v溶液1.0 mL中での2,3,6,7,10,11-ヘキサヒドロキシトリフェニレン(34.0 mg、0.10 mmol、TCI)によるテトラ(4-ジヒドロキシボリルフェニル)メタン(25.0 mg、0.05 mmol)の処理により、COF-105について記載された精製後に緑色粉末としてCOF-108(30.5 mg、ボロン酸に基づいて55%)を得た。(C147H72B12O24)に関する計算値:C、75.07;H、3.09%。実測値:C、62.80;H、3.11%。
【0097】
COF-102、-105、および-108の誘導された構造を図3に示す(COF-103はCの代わりに四面体Siを有し、その構造はCOF-102と実質的に同一である)。COF-102(図3A)、COF-103、およびCOF-105(図3B)はctnに基づき、COF-108(図3C)はborに基づく。2つの型の構造間の唯一の有意な差異は、以下に考察するように、borがctnより約15%密度が低く(COF-105およびCOF-108の密度を比較)、より大きい孔を有することである。両構造における3配位頂点は3倍対称を有する平面であるように拘束されるが、ctn中の四面体部位での点対称がbor中での四面体部位での点対称:
【数2】

【0098】
の唯一のサブグループ:
【数3】

【0099】
であり、これはctnにより少ない拘束を与え、それはより拘束のない構造であり得る。
【0100】
また、孔径を考慮することも目的である。ctn構造を有するCOFにおいては、COF-102、-103および-105における最も大きい空洞の中心は、最も近い原子(H)から5.66、5.98、および10.37Åである。Hに関する1.2Åのvan der Waals半径を可能にしながら、これは直径8.9、9.6、および18.3Åの球体がそれぞれこれらの3つのCOFにおいて利用可能であることを意味する。しかしながら、これらの材料における孔は、球体から遠く、いくらかより大きいものである有効な孔径を期待する。COF-108は、2個の空洞を有し、中心に最も近い原子は、9.34および15.46ÅのC原子である。Cに関する1.7Åのvan der Waals半径を可能にしながら、これらの空洞はそれぞれ15.2および29.6Åの球体を提供することができる。より大きい孔がメソ多孔性であると記載される材料に関して下限(20Å)をよく超えるものであり、COF-108は完全に結晶性のメソ多孔性材料の稀な例である。
【0101】
シミュレートされたPXRDパターンの3-D COF構造モデルおよび計算。Cerius2モデリング(3-D COFに関する合成青写真の開発)。全モデルを、結晶構成モジュールを用いるCerius2化学構造モデリング統合ソフトウェアを用いて作製した。記号ctnの下でReticular Chemistry Structure Resource (http:~~okeeffe-ws1.la.asu.edu/RCSR/home.htm)から得られた空間基:
【数4】

【0102】
、格子寸法および頂点位置から開始することにより、窒化炭素構造を作製した。窒素(3-配位結節)を、三角形のそれぞれの頂点にホウ素を位置させるB3O3(ボロキシン)単位と置換することにより、ctnからCOF-102のモデルを構築した。次いで、構造中のC-N結合をフェニル環により置換し、区分的に構築された構造をCerius2のUniversal Force Field (UFF)を用いて最小化した。炭素をシリコンに置換する以外は、上記の方法を用いて、COF-103のモデルを作製した。同様に、3-配位種を2,3,6,7,10,11-ヘキサヒドロキシトリフェニレン(HHTP)により、三角形単位の頂点を規定するトリボロン酸エステルのホウ素と置換する以外は、COF-103と同様の様式でCOF-105を構築した。
【0103】
記号borの下でReticular Chemistry Structure Resource (http:~~okeeffe-ws1.la.asu.edu/RCSR/home.htm)から得られた空間基:
【数5】

【0104】
、格子寸法および頂点位置から開始して、方硼石構造を作製した。B3O3(ボロキシン)単位をHHTPにより三角形のそれぞれの頂点のトリボロン酸エステルのホウ素と置換する以外は、上記の方法を用いてCOF-108のモデルを作製した。
【0105】
それぞれの単位格子中の原子の位置を、表S1-S4中に部分座標として列挙する。シミュレートされたPXRDパターンを、PowerCellプログラムを用いてこれらの座標から算出した。このソフトウェアは、構造中の原子の位置および型の両方を説明し、線の強度が単位格子中の原子の型および位置を反映する相関したPXRDパターンを出力する。
【0106】

【0107】

【0108】
X線データ収集、単位格子決定、およびLe Bail抽出
1600 W(40 kV, 40 mA)の出力のNi濾過されたCu Kα系列集束放射を用い、Vantec Line検出器を備えた反射率Bragg-Brentano幾何学中のBruker D8-Discover θ-2θ回折計を用いて、粉末X線データを収集した。平行集束Gobel鏡を用いて、放射線を集束させた。また、この系に、偶発的な拡散放射線が検出器に衝突することを防止する散乱防止シールドを装備させ、通常は2θ<3°で観察される大きいバックグラウンドを防止した。広刃スパーテルから粉末を落下させた後、サンプル表面を剃刀の刃を用いて平らにすることにより、サンプルをゼロバックグラウンドサンプルホルダー上にマウントした。「合成された」サンプルの粒子径が既に全く単分散性であると判明している場合、分析の前にサンプルを粉砕または篩過しないが、ミクロンサイズの晶子はピークの広がりをもたらした。工程あたり10秒の露出時間で、1.5〜60°の0.02°の2θ工程走査を用いてサンプルを回収することにより、最良の計数統計を達成した。2θ>35°について基線からピークを分解することができなかったため、この領域をさらなる分析のために考慮しなかった。
【0109】
ピーク選択のためのPowder-X統合ソフトウェア(PowderX: 粉末X線回折データ処理のためのWindows(登録商標)-95に基づくプログラム)を用いて、Treor (TREOR: 全対称ab initio粉末回折指数化プログラムのための半包括的試行錯誤粉末指数化プログラム)と接続して、単位格子決定を実行した。
【0110】

【0111】
2θ=35°までのデータを用いるGSASプログラムを用いて、Le Bail抽出を行った。バックグラウンドを、手がシフトしたChebyschev Polynomialを適用する6個の用語を用いて適合した。両プロフィールを、生の粉末パターンから指数化された単位格子パラメーターおよびCerius2から算出された原子位置から開始して算出した。モデル偏向Le Bailアルゴリズムを用いて、第1にGaussianピークプロフィールを用いてピーク非対称性を改良した後、ピーク非対称性を用いて偏光を改良することにより、Fobsを抽出した。次いで、単位格子をピーク非対称性および収束改良をもたらす偏光を用いて改良した。一度、これが達成されたら、単位格子パラメーターを改良した後、ゼロシフトさせた。単位格子パラメーター、ピーク非対称性、偏光およびゼロシフトの改良を、最終的なプロフィールのために用いた。
【0112】

【0113】
COF-102、COF-103、COF-105、およびCOF-108の調製のための完全合成手順
別途指摘しない限り、全ての出発材料および溶媒を、Aldrich Chemical Co.社から取得し、さらなる精製なしに用いた。テトラヒドロフランをナトリウムベンゾフェノンケチルから蒸留し、アセトンを無水Ca(SO4)から蒸留した。テトラ(4-(ジヒドロキシ)ボリルフェニル)シランおよびテトラ(4-(ジヒドロキシ)ボリルフェニル)メタンを、文献に記載の方法に従って調製し、COF-5をA.P. Coteらにより記載された方法に従って調製した。全ての生成物の単離および取り扱いを、グローブボックスまたはSchlenkライン技術を用いて、窒素の不活性雰囲気下で実施した。
【0114】
COF-102、-103、-105、および-108のために算出された低炭素値は、一般的には、不燃性炭化ホウ素副生成物の形成に起因して、有機ホウ素化合物と遭遇する。水素元素分析データにおける誤差を、孔からの溶媒および出発材料の不完全な除去に帰することができる。
【0115】
気体吸着測定のためのCOF-102およびCOF-103の活性化
窒素雰囲気下で、COF-102(65.0 mg)およびCOF-103(65.0 mg)のサンプルを、グローブボックス内側の円筒石英セル中に載せた後、動的減圧下(1.0 x 10-5 Torr)で12時間、60℃に加熱した。Ar吸着測定の前に湿気の吸着を排除するために、サンプルに窒素を充填し戻した。
【0116】
出発材料、モデル化合物、およびCOFのFT-IR分光分析。FT-IRデータを用いて、生成物が産生されたことを検証した。縮合反応について予想されるヒドロキシル基などの特定のストレッチの喪失ならびにボロキシンおよびトリボロン酸エステルの形成により産生された異なる官能基の出現を観察することにより、予想される生成物の形成を確認することができる。出発材料、モデル化合物、およびCOFのFT-IRスペクトルを、Nicolet 400 Impact分光計を用いて、KBrペレットとして取得した。
【0117】
COF-102、COF-103、COF-105、およびCOF-108に関する固相状態11B MQ/MAS、13C CP/MAS、および29Si核磁気共鳴試験。高解像度固相状態核磁気共鳴(NMR)スペクトルを、4 mm(外側の直径)ジルコニアローターを備えた標準的なBrukerマジック角回転(MAS)プローブを用いるBruker DSX-300分光計上、周囲温度で記録した。MAS (CP/MAS)との交差偏波を用いて、75.47 MHzで13Cデータを獲得した。1Hおよび13Cの90°パルス幅は両方とも4μsであった。CP接触時間は1.5 msであった。高出力2パルス相調節(TPPM)1Hデカップリングを、データ獲得の間に適用した。デカップリング周波数は72 kHzに対応していた。MASサンプル回転速度は10 kHzであった。1つの走査から次の走査までの13Cシグナル強度における見かけの喪失がないことを観察することにより決定された化合物に応じて、走査間のリサイクル遅延は10〜30秒の間で変化した。13C化学シフトを、二次参照として29.46 ppmを割り当てられたアダマンタンのメチン炭素シグナルを用いて補正された、0 ppmとしてテトラメチルシランと比較して与える。
【0118】
また、CP/MASを用いて、59.63 MHzで29Siデータを獲得した。4.2μsの1Hおよび29Siの90°パルス幅を、CP接触時間7.5 msと共に用いた。TPPM 1Hデカップリングを、データ獲得の間に適用した。デカップリング周波数は72 kHzに対応していた。MAS回転速度は5 kHzであった。13C CP/MAS実験から決定されたリサイクル遅延を、種々のサンプルのために用いた。29Si化学シフトを、二次参照として-9.8 ppmを割り当てられたテトラキス(トリメチルシリル)シラン中のトリメチルシリルシリコンを用いて補正された、0 ppmとしてテトラメチルシランに対して参照する。
【0119】
多量子MAS(MQ/MAS)分光分析を用いて、96.29 MHzで11Bデータを獲得した。11B溶液状態90°パルス幅は2μsであった。TPPM 1Hデカップリングを、データ獲得の間に適用した。デカップリング周波数は72 kHzに対応していた。MAS回転速度は14.9 kHzであった。3秒のリサイクル遅延を用いた。11B化学シフトを、二次参照として-19.6 ppmを割り当てられたpH=4.4の水性ホウ酸を用いて補正された、0 ppmとしてBF3エーテルと比較して与える。
【0120】
COF-102、COF-103、COF-105、およびCOF-108の走査電子顕微鏡画像化(SEM)。生成物の純度を決定するために、SEMを用いて、サンプル中に存在する全ての型の形態について走査した。それぞれのCOF材料の複数のサンプルを、SEM顕微鏡下での精査に供した。各化合物について1つの型のみの形態が存在することが判明し、これは生成された材料の純粋さを確認するものである。材料を、平たいアルミニウムサンプルホルダーに付着させた粘着性炭素表面上に分散させることにより、全ての3-D COFのサンプルを調製した。次いで、15 mAの電流を維持しながら、45秒間、アルゴン雰囲気中、60ミリトールの圧力のHummer 6.2 Sputterを用いて、サンプルを金コーティングした。1 kVから15 kVまで電圧を加速しながら、SEIおよびLEI検出器の両方を用いて、JOEL JSM-6700走査電子顕微鏡上でサンプルを分析した。
【0121】
熱重量分析:全てのCOF材料をTGAにより分析して、生成された材料の温度安定性を決定し、ならびに全てのゲストが除去されたことを確認した。サンプルを窒素の雰囲気下で白金パン中に保持しながら、TA Instruments Q-500シリーズ熱重量分析計上でサンプルを走らせた。5 K/分のランプ速度を用いた。
【0122】
87 KでのCOF-102およびCOF-103に関する低圧力(0〜760 mTorr)アルゴン吸着測定。両化合物の孔径分布を、円筒孔モデルを用いる非局所密度関数理論(NLDFT)法により、これらの吸着等温線から算出した。
【0123】
COFによるアルゴン吸着:Arのための吸着剤として官能化された孔および高い表面積を有する多孔性共有結合性有機骨格(COF)が本明細書で提供される。N2とは対照的に、Arは不活性分子であり、球状であるため、これらの材料はAr収着機構に関する基礎研究に対して広く適用可能である。
【0124】
以下の表は、Ar収着について試験したCOFの一覧を提供する。
【0125】

【0126】
COFのサンプル活性化手順:一般的手順:87 Kでの低圧力Ar吸着等温線を、Autosorb-1分析器(Quantachrome Instruments)上で体積的に測定した。
【0127】
材料:COF-102。COF-102の合成されたサンプルを、グローブボックス中で8時間、無水テトラヒドロフラン中に浸し、その間、活性化溶媒をデカントし、4回新鮮に補充した。次いで、湿ったサンプルを周囲温度で12時間減圧して、気体吸着測定のための活性化サンプルを得た。充填ロッドを備えたサンプルセルをグローブボックス中のバルブに繋ぎ、測定の開始まで閉じたままにした後、サンプルを空気に曝露することなく器具に繋いだ。
【0128】
材料:COF-103。COF-103の合成されたサンプルを、グローブボックス中で8時間、無水テトラヒドロフラン中に浸し、その間、活性化溶媒をデカントし、4回新鮮に補充した。次いで、湿ったサンプルを周囲温度で12時間減圧して、気体吸着測定のための活性化サンプルを得た。充填ロッドを備えたサンプルセルをグローブボックス中のバルブに繋ぎ、測定の開始まで閉じたままにした後、サンプルを空気に曝露することなく器具に繋いだ。
【0129】
COFによるメタン吸着:可逆的メタン保存のための吸着剤として官能化された孔、高い表面積および温度安定性を有する共有結合性有機骨格(COF)が本明細書に提供される。一連のCOFは多数の炭素原子を含むため、理想的な化学的組成はメタンとCOFの表面との強い相互作用を促進すると予想される。
【0130】
3種のCOFを、CH4保存材料および気体分離吸着剤のための候補として試験した。これらの化合物は様々な孔直径および空隙を有するため、CH4収着作用に関する体系的研究が可能であるべきである。気体収着等温線を、273および298 Kで高い圧力領域(最大で85バール)下で取得した。
【0131】
以下の表は、メタン収着について試験したCOFの一覧を提供する。
【0132】

【0133】
COFのサンプル活性化手順:一般的手順:高圧CH4収着等温線を、VTI Corporation社製の特注生産されたGHP-S-R装置を用いて、273および298 Kで重量分析法により測定した。Rubotherm社製磁気浮上秤を用いて、サンプルの質量の変化を測定した。浮力補正のために、結晶の体積を高圧ヘリウム等温線により決定した。
【0134】
材料:COF-108。COF-108の合成されたサンプルを、グローブボックス中で14時間、無水アセトン中に浸し、その間、活性化溶媒をデカントし、3回新鮮に補充した。次いで、湿ったサンプルを100℃で12時間減圧して、気体吸着測定のための活性化サンプルを得た。充填ロッドを備えたサンプルセルをグローブボックス中のバルブに繋ぎ、測定の開始まで閉じたままにした後、サンプルを空気に曝露することなく器具に繋いだ。
【0135】
材料:COF-10。COF-10の合成されたサンプルを、グローブボックス中で14時間、無水アセトン中に浸し、その間、活性化溶媒をデカントし、3回新鮮に補充した。次いで、湿ったサンプルを100℃で10時間減圧して、気体吸着測定のための活性化サンプルを得た。充填ロッドを備えたサンプルセルをグローブボックス中のバルブに繋ぎ、測定の開始まで閉じたままにした後、サンプルを空気に曝露することなく器具に繋いだ。
【0136】
材料:COF-102。COF-102の合成されたサンプルを、グローブボックス中で8時間、無水テトラヒドロフラン中に浸し、その間、活性化溶媒をデカントし、4回新鮮に補充した。次いで、湿ったサンプルを周囲温度で12時間減圧して、気体吸着測定のための活性化サンプルを得た。充填ロッドを備えたサンプルセルをグローブボックス中のバルブに繋ぎ、測定の開始まで閉じたままにした後、サンプルを空気に曝露することなく器具に繋いだ。
【0137】
COFによるCO2吸着:6種のCOFを、CO2保存材料および気体分離吸着剤のための候補として試験した。これらの化合物は、様々な孔直径および官能基を有するため、CO2収着作用に関する体系的研究が可能であるべきである。273 Kでの低圧領域(最大で760 Torr)ならびに273および298 Kでの高圧領域(最大で45バール)の下で気体収着等温線を取得した。
【0138】
気体収着の能力を、様々な圧力下でCO2等温線を測定することにより試験した。いくつかの化合物は、吸着剤または分離剤として広く用いられているゼオライト13XおよびMAXSORB (炭素粉末)よりもむしろ高い能力を示した。
【0139】
以下の表は、二酸化炭素収着について試験したCOFの一覧を提供する。
【0140】

【0141】
COFのサンプル活性化手順:一般的手順:273 Kでの低圧気体収着等温線を、Autosorb-1分析器(Quantachrome Instruments)上で体積的に測定した。高圧CO2収着等温線を、VTI Corporation社製の特注生産されたGHP-S-R装置を用いて、273 Kおよび298 Kでの重量分析法により測定した。Rubotherm社製磁気浮上秤を用いて、サンプルの質量の変化を測定した。浮力補正のために、結晶の体積を高圧ヘリウム等温線により決定した。
【0142】
材料:COF-8。COF-8の合成されたサンプルを、グローブボックス中で14時間、無水アセトン中に浸し、その間、活性化溶媒をデカントし、3回新鮮に補充した。次いで、湿ったサンプルを100℃で12時間減圧して、気体吸着測定のための活性化サンプルを得た。充填ロッドを備えたサンプルセルをグローブボックス中のバルブに繋ぎ、測定の開始まで閉じたままにした後、サンプルを空気に曝露することなく器具に繋いだ。
【0143】
材料:COF-10。COF-10の合成されたサンプルを、グローブボックス中で14時間、無水アセトン中に浸し、その間、活性化溶媒をデカントし、3回新鮮に補充した。次いで、湿ったサンプルを100℃で10時間減圧して、気体吸着測定のための活性化サンプルを得た。充填ロッドを備えたサンプルセルをグローブボックス中のバルブに繋ぎ、測定の開始まで閉じたままにした後、サンプルを空気に曝露することなく器具に繋いだ。
【0144】
材料:COF-12。COF-12の合成されたサンプルを、グローブボックス中で11時間、無水アセトン中に浸し、その間、活性化溶媒をデカントし、3回新鮮に補充した。次いで、湿ったサンプルを110℃で9時間減圧して、気体吸着測定のための活性化サンプルを得た。充填ロッドを備えたサンプルセルをグローブボックス中のバルブに繋ぎ、測定の開始まで閉じたままにした後、サンプルを空気に曝露することなく器具に繋いだ。
【0145】
材料:COF-14。COF-14の合成されたサンプルを、グローブボックス中で10時間、無水アセトン中に浸し、その間、活性化溶媒をデカントし、3回新鮮に補充した。次いで、湿ったサンプルを100℃で8時間減圧して、気体吸着測定のための活性化サンプルを得た。充填ロッドを備えたサンプルセルをグローブボックス中のバルブに繋ぎ、測定の開始まで閉じたままにした後、サンプルを空気に曝露することなく器具に繋いだ。
【0146】
材料:COF-102。COF-102の合成されたサンプルを、グローブボックス中で8時間、無水テトラヒドロフラン中に浸し、その間、活性化溶媒をデカントし、4回新鮮に補充した。次いで、湿ったサンプルを周囲温度で12時間減圧して、気体吸着測定のための活性化サンプルを得た。充填ロッドを備えたサンプルセルをグローブボックス中のバルブに繋ぎ、測定の開始まで閉じたままにした後、サンプルを空気に曝露することなく器具に繋いだ。
【0147】
材料:COF-103。COF-103の合成されたサンプルを、グローブボックス中で8時間、無水テトラヒドロフラン中に浸し、その間、活性化溶媒をデカントし、4回新鮮に補充した。次いで、湿ったサンプルを周囲温度で12時間減圧して、気体吸着測定のための活性化サンプルを得た。充填ロッドを備えたサンプルセルをグローブボックス中のバルブに繋ぎ、測定の開始まで閉じたままにした後、サンプルを空気に曝露することなく器具に繋いだ。
【0148】
COFによる水素吸着:6種のCOFを、H2保存材料のための候補として試験した。これらの化合物は、様々な孔直径および官能基を有するため、H2収着作用に関する体系的研究が可能であるべきである。77 Kでの低圧領域(最大で800 Torr)ならびに77および298 Kでの高圧領域(最大で85バール)の下で気体収着等温線を取得した。試験した化合物は、高圧雰囲気(最大で85バール)下で安定であり、吸着-脱離周期に関して気体保存能力の有意な低下を示さなかった。
【0149】
気体収着の能力を、様々な圧力下でH2等温線を測定することにより試験した。いくつかの化合物は、吸着剤または分離剤として広く用いられているゼオライト13Xおよび活性炭よりもむしろ高い能力を示した。いくつかの材料は既にグラム規模で合成が成功しており、これらの材料を実用段階として試験することができる。
【0150】
以下の表は、水素収着について試験したCOFの一覧を提供する。
【0151】

【0152】
一般的手順:273 Kでの低圧H2吸着等温線を、Autosorb-1分析器(Quantachrome Instruments)上で体積的に測定した。高圧H2収着等温線を、VTI Corporation社製の特注生産されたGHP-S-R装置を用いて、77 Kおよび298 Kでの重量分析法により測定した。Rubotherm社製磁気浮上秤を用いて、サンプルの質量の変化を測定した。浮力補正のために、結晶の体積を高圧ヘリウム等温線により決定した。
【0153】
材料:COF-8。COF-8の合成されたサンプルを、グローブボックス中で14時間、無水アセトン中に浸し、その間、活性化溶媒をデカントし、3回新鮮に補充した。次いで、湿ったサンプルを100℃で12時間減圧して、気体吸着測定のための活性化サンプルを得た。充填ロッドを備えたサンプルセルをグローブボックス中のバルブに繋ぎ、測定の開始まで閉じたままにした後、サンプルを空気に曝露することなく器具に繋いだ。
【0154】
材料:COF-10。COF-10の合成されたサンプルを、グローブボックス中で14時間、無水アセトン中に浸し、その間、活性化溶媒をデカントし、3回新鮮に補充した。次いで、湿ったサンプルを100℃で10時間減圧して、気体吸着測定のための活性化サンプルを得た。充填ロッドを備えたサンプルセルをグローブボックス中のバルブに繋ぎ、測定の開始まで閉じたままにした後、サンプルを空気に曝露することなく器具に繋いだ。
【0155】
材料:COF-12。COF-12の合成されたサンプルを、グローブボックス中で11時間、無水アセトン中に浸し、その間、活性化溶媒をデカントし、3回新鮮に補充した。次いで、湿ったサンプルを110℃で9時間減圧して、気体吸着測定のための活性化サンプルを得た。充填ロッドを備えたサンプルセルをグローブボックス中のバルブに繋ぎ、測定の開始まで閉じたままにした後、サンプルを空気に曝露することなく器具に繋いだ。
【0156】
材料:COF-14。COF-14の合成されたサンプルを、グローブボックス中で10時間、無水アセトン中に浸し、その間、活性化溶媒をデカントし、3回新鮮に補充した。次いで、湿ったサンプルを100℃で8時間減圧して、気体吸着測定のための活性化サンプルを得た。充填ロッドを備えたサンプルセルをグローブボックス中のバルブに繋ぎ、測定の開始まで閉じたままにした後、サンプルを空気に曝露することなく器具に繋いだ。
【0157】
材料:COF-102。COF-102の合成されたサンプルを、グローブボックス中で8時間、無水テトラヒドロフラン中に浸し、その間、活性化溶媒をデカントし、4回新鮮に補充した。次いで、湿ったサンプルを周囲温度で12時間減圧して、気体吸着測定のための活性化サンプルを得た。充填ロッドを備えたサンプルセルをグローブボックス中のバルブに繋ぎ、測定の開始まで閉じたままにした後、サンプルを空気に曝露することなく器具に繋いだ。
【0158】
材料:COF-103。COF-103の合成されたサンプルを、グローブボックス中で8時間、無水テトラヒドロフラン中に浸し、その間、活性化溶媒をデカントし、4回新鮮に補充した。次いで、湿ったサンプルを周囲温度で12時間減圧して、気体吸着測定のための活性化サンプルを得た。充填ロッドを備えたサンプルセルをグローブボックス中のバルブに繋ぎ、測定の開始まで閉じたままにした後、サンプルを空気に曝露することなく器具に繋いだ。
【0159】
いくつかの実施形態および特徴を上記してきたが、当業者であれば、本開示の教示または特許請求の範囲により定義された特定事項の範囲を逸脱することなく、記載された実施形態および特徴の改変および変更を行うことができることを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共有結合性有機骨格(COF)であって、
それぞれの有機多座コアが少なくとも1個の他の有機多座コアに連結された、複数の有機多座コアと、
隣接する有機多座コアを接続する複数の連結クラスターと、
複数の連結された有機多座コアが複数の孔を規定する、複数の孔と、
を含む、前記共有結合性有機骨格。
【請求項2】
連結クラスターに共有結合した2個以上の有機多座コアを含む共有結合性有機骨格(COF)であって、該連結クラスターが2個以上の原子の同定可能な結合を含み、各多座コアと連結クラスターとの共有結合が、炭素、ホウ素、酸素、窒素およびリンから選択される原子間で起こり、ならびに多座コアを接続する少なくとも1個の原子が酸素である、前記共有結合性有機骨格。
【請求項3】
前記有機多座コアが2個の多座連結クラスターに共有結合することができる、請求項1または2に記載のCOF。
【請求項4】
前記有機多座コアが3個の多座連結クラスターに共有結合することができる、請求項1または2に記載のCOF。
【請求項5】
前記有機多座コアが4個の多座連結クラスターに共有結合することができる、請求項1または2に記載のCOF。
【請求項6】
前記多座連結クラスターが2個の多座コアに共有結合することができる、請求項1または2に記載のCOF。
【請求項7】
前記多座連結クラスターが3個の多座コアに共有結合することができる、請求項1または2に記載のCOF。
【請求項8】
前記多座連結クラスターが4個の多座コアに共有結合することができる、請求項1または2に記載のCOF。
【請求項9】
互いに共有結合された請求項1または2に記載の2個以上の骨格を含む共有結合性有機骨格(COF)。
【請求項10】
前記骨格が同一である、請求項9に記載のCOF。
【請求項11】
少なくとも1個の前記骨格が、共有結合された少なくとも1個の他の骨格とは異なる、請求項9に記載のCOF。
【請求項12】
複数の多座コアが異種である、請求項1または2に記載のCOF。
【請求項13】
複数の連結クラスターが異種である、請求項1または2に記載のCOF。
【請求項14】
複数の多座コアが、代替的な四面体および三角形の多座コアを含む、請求項1または2に記載のCOF。
【請求項15】
複数の孔のそれぞれが、原子または分子吸着のための十分な数の接近可能部位を含む、請求項1に記載のCOF。
【請求項16】
複数の孔の孔表面積が約2000 m2/gを超える、請求項15に記載のCOF。
【請求項17】
複数の孔の孔表面積が約3,000〜18,000 m2/gである、請求項15に記載のCOF。
【請求項18】
複数の孔の孔表面積が約3,000〜6,000 m2/gである、請求項15に記載のCOF。
【請求項19】
複数の孔の孔が0.1〜0.99 cm3/cm3の孔体積を含む、請求項1に記載のCOF。
【請求項20】
複数の孔の孔が0.4〜0.5 cm3/cm3の孔体積を含む、請求項9に記載のCOF。
【請求項21】
COFが約0.17 g/cm3の骨格密度を有する、請求項1に記載のCOF。
【請求項22】
COFが表S1、S2、S3またはS4に記載の原子配位を含む、請求項1に記載のCOF。
【請求項23】
前記連結クラスターがホウ素含有連結クラスターを含む、請求項1に記載のCOF。
【請求項24】
ゲスト種をさらに含む、請求項1または2に記載のCOF。
【請求項25】
前記ゲスト種がCOFの表面積を増加させる、請求項24に記載のCOF。
【請求項26】
前記ゲスト種が、100 g/mol未満の分子量を有する有機分子、300 g/mol未満の分子量を有する有機分子、600 g/mol未満の分子量を有する有機分子、600 g/molを超える分子量を有する有機分子、少なくとも1個の芳香環、多環式芳香族炭化水素、および式MmXn(式中、Mは金属イオンであり、Xは14群〜17群の陰イオンからなる群より選択され、mは1〜10の整数であり、nは金属クラスターが所定の電荷を有するように金属クラスターを平衡化する電荷に対して選択された数である)を有する金属錯体、ならびにその組合せからなる群より選択される、請求項24に記載のCOF。
【請求項27】
前記骨格の表面積を増加させる相互貫通するCOFをさらに含む、請求項1または2に記載のCOF。
【請求項28】
吸着された化学種をさらに含む、請求項1または2に記載のCOF。
【請求項29】
吸着された化学種が、アンモニア、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、アミン、メタン、酸素、アルゴン、窒素、アルゴン、有機染料、多環式有機分子、およびその組合せからなる群より選択される、請求項28に記載のCOF。
【請求項30】
複数の有機多座コアと連結クラスターとを含む共有結合性有機骨格(COF)であって、該連結クラスターが少なくとも2個の複数の有機多座コアを連結し、COFが、約0.4〜約0.9 cm3/cm3の孔体積、約2,900 m2/g〜約18,000 m2/gの孔表面積および約0.17 g/cm3の骨格密度を含むことを特徴とする、前記共有結合性有機骨格。
【請求項31】
請求項1、2または30に記載のCOFを含む気体保存装置。
【請求項32】
化学種の取込みのための請求項1、2または30に記載の共有結合性有機骨格(COF)を含む吸着剤を含んでなる、化学種の収着的取込みのための装置。
【請求項33】
取込みが可逆的である、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記吸着剤が個別の収着性粒子から構成される、請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記化学種が気体の形態にある、請求項32に記載の装置。
【請求項36】
前記化学種が液体の形態にある、請求項32に記載の装置。
【請求項37】
前記装置が保存ユニットである、請求項32に記載の装置。
【請求項38】
吸着される化学種が、アンモニア、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、アミン、メタン、酸素、アルゴン、窒素、アルゴン、有機染料、多環式有機分子、およびその組合せからなる群より選択される、請求項32に記載の装置。
【請求項39】
化学種と、請求項1、2または30に記載の共有結合性有機骨格(COF)を含む吸着剤とを接触させることを含む、化学種を収着的に取込む方法。
【請求項40】
取込みが可逆的である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
吸着される化学種が、アンモニア、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、アミン、メタン、酸素、アルゴン、窒素、アルゴン、有機染料、多環式有機分子、およびその組合せからなる群より選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
化学種の取込みが、該化学種の保存を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記化学種を、エネルギー源としての使用にとって好適な条件下で保存する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
化学種と、請求項32に記載の装置とを接触させることを含む、化学種を収着的に取込む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【公表番号】特表2010−516869(P2010−516869A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547409(P2009−547409)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/051859
【国際公開番号】WO2008/091976
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
【出願人】(500445295)ザ レジェンツ オブ ザ ユニヴァースティ オブ カリフォルニア (28)
【Fターム(参考)】