説明

結露核測定装置及び結露核測定方法

【課題】結露の核となり得る試料表面の付着物の大きさ測定できるようにする。
【解決手段】試料表面で結露を生じさせる冷却機構48と、冷却機構48によって試料表面に発生した露の成長度合いを導出するとともに、この導出された成長度合いに基づいて、付着物の大きさを導出する導出処理部と、が含まれている。導出処理部は、試料表面上の複数の露について成長度合いを導出するとともに、成長度合いの最も小さい露についての成長度合いに対して所定の閾値以上の成長度合いを有する露については除外して統計処理して付着物の大きさを導出する。露の成長度合いは、所定時間ごとに測定された試料表面上の露の粒径の変化割合に基づいている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結露核測定装置及び結露核測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1、2及び3に開示されているように、試料の周囲気体を冷却して試料表面を結露させ、この結露の具合によって試料表面の性状を観察する試料表面検査方法が知られている。
【0003】
一方、特許文献4、5及び6に開示されているように、試料を冷却して表面を結露させ、この結露の生じた試料表面に検査光を照射するとともにその散乱光を検出することにより、試料表面の汚染を検出する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−198045号公報
【特許文献2】特開平2−168150号公報
【特許文献3】特開平9−127006号公報
【特許文献4】特開平5−340885号公報
【特許文献5】特開平5−240797号公報
【特許文献6】特開平11−201907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の特許文献1〜6は、結露を利用して表面の汚染の有無を検出することができるが、結露の核となる付着物(汚染粒)の大きさを測定できるものではない。
【0006】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、結露の核となり得る試料表面の付着物の大きさを測定できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明は、試料表面の付着物であって結露の核となり得るものの大きさを測定する装置であって、前記試料表面で結露を生じさせる結露誘起手段と、前記結露誘起手段によって前記試料表面に発生した露の成長度合いを導出するとともに、この導出された成長度合いに基づいて、前記付着物の大きさを導出する導出手段と、が含まれている結露核測定装置である。
【0008】
本発明では、試料表面で結露を生じさせるとともに、この試料表面に発生した露の成長度合いに基づいて、核となり得る試料表面の付着物の大きさを導出することができる。
【0009】
ここで、前記結露誘起手段は、前記試料表面を露点以下に冷却する冷却部を含むのが好ましい。この態様では、試料表面に確実に結露を生じさせることができる。
【0010】
また、前記導出手段は、前記試料表面上の複数の露について成長度合いを導出するとともに、成長度合いの最も小さい露についての成長度合いに対して所定の閾値以上の成長度合いを有する露については導出対象又は測定結果から除外するのが好ましい。所定の閾値以上の成長度合いを示す露については、露同士が融合して成長したもの(融合成長)であると推測される。このため、この態様のように、所定の閾値以上の成長度合いを示すデータを除外することにより、露が単独で成長する(独立成長)ときの成長度合いを求めることができるので、露の核の大きさを精度よく求めることができる。
【0011】
また、前記露の成長度合いは、所定時間ごとに測定された前記試料表面上の露の粒径の変化割合に基づいているのが好ましい。この態様では、露の粒径を所定時間ごとに測定し、その変化割合から露の成長度合いを導出することができる。そして、粒径の変化割合を結露開始時点まで外挿することにより、試料の付着物の大きさを求めることができる。
【0012】
この態様において、前記粒径は、所定方向の露の幅を複数個所測定したうちの最大幅によって規定されるのが好ましい。この態様では、露が断面円形状でない場合にも粒径を規定することができ、しかも測定時の演算ステップを軽減することができる。
【0013】
また、前記粒径は、前記試料表面が基準平面に対して傾斜している場合に、その傾斜角度に応じて補正されるのが好ましい。試料表面が基準平面に対して傾斜している場合にそのまま粒径を測定すると測定誤差の要因となり得るが、この態様では、傾斜角度に応じて測定値を補正するので、測定精度を向上することができる。
【0014】
また、前記結露核測定装置は、試料がセットされる試料台と、撓み変形可能な先端部を有するプローブと、前記プローブの先端部を振動させる励振部と、前記プローブの先端部の振動に応じて前記プローブの先端部と前記露又は前記試料との接触又は近接を判定する判定部と、前記試料台に対する前記プローブの相対的な位置を変えさせる変位機構と、前記試料台に対する前記プローブの相対変位量を測定する相対変位量導出部と、が含まれ、前記導出手段は、前記判定部による接触又は近接の有無及び前記相対変位量導出部によって測定された相対変位量に基づいて、前記露の粒径を測定するようにしてもよい。この態様では、プローブの先端部を振動させながら、試料台に対するプローブの相対的な位置を変え、プローブの先端部の振動に応じてプローブ先端部と露又は試料との接触又は近接を判定し、その判定結果に基づいて露の粒径を測定する。つまり、プローブの先端部が露又は試料に接触又は近接するとせん断力を受けるので、プローブ振動の振幅が減衰する。測定部がこの減衰を検出するとともに、そのときのプローブの相対変位量に基づいて露の形状を測定することができる。
【0015】
また、前記導出手段は、前記露を画面上に拡大表示させ、この拡大表示された画像のデータから前記露の粒径を測定するようにしてもよい。この態様では、画面上に表示された画像のデータから露の粒径を測定することができる。
【0016】
また、前記結露核測定装置は、前記露に照射される測定光と、光路長を可変な状態で参照面に照射される参照光とを干渉させて、この干渉光を検出する光学系を有し、検出された前記干渉光の強度から算出される測定光及び参照光の位相差と、測定光の波長とから露の表面位置を算出する一方、この試料表面位置を光軸とは直交する方向に複数測定することにより、前記露の粒径を測定するようにしてもよい。この態様では、干渉光の強度変化から露の表面位置を算出できるとともに、この表面位置から得られる露の表面が連続面であるとして、露の形状を算出することができる。そして、この露の形状から露の粒径を導出することができる。
【0017】
本発明は、試料表面の付着物であって結露の核となり得るものの大きさを測定する方法であって、前記試料表面で結露を生じさせる結露誘起ステップと、前記結露誘起ステップで前記試料表面に発生した露の成長度合いに基づいて、前記付着物の大きさを導出する導出ステップと、が含まれている結露核測定方法である。
【0018】
前記結露誘起ステップでは、前記試料表面を露点以下に冷却するのが好ましい。
【0019】
前記導出ステップでは、前記試料表面上の多数の露について成長度合いを導出するとともに、成長度合いの最も小さい露についての成長度合いに対して所定の閾値以上の成長度合いを有する露については導出対象又は測定結果から除外するのが好ましい。
【0020】
前記結露核測定方法において、前記露の成長度合いは、前記試料表面上の露の粒径を所定時間ごとに測定したときの粒径の変化割合に基づいているのが好ましい。
【0021】
また、前記粒径は、所定方向の露の幅を複数個所測定したうちの最大幅によって規定されるのが好ましい。
【0022】
また、前記粒径は、前記試料表面が基準平面に対して傾斜している場合に、その傾斜角度によって補正されるのが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、結露の核となり得る試料表面の付着物の大きさを測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る測定装置の概略構成を示す図である。
【図2】前記測定装置の変位測定部及びZ軸変位機構の構成を説明するための概略図である。
【図3】前記測定装置のX軸及びY軸変位機構の構成を説明するための概略図である。
【図4】前記測定装置の冷却部の構成を説明するための概略図である。
【図5】前記測定装置の制御系統の一部を示すブロック図である。
【図6】プローブと露又は試料との接触又は近接の検出を説明するための特性図である。
【図7】表示部に表示された露の画像の一例を説明するための図である。
【図8】図7におけるVIII−VIII線における露の形状を説明するための概念図である。
【図9】図7におけるIX−IX線における露の形状を説明するための概念図である。
【図10】導出処理部の行う処理を説明するための図である。
【図11】本発明のその他の実施形態に係る測定装置の概略構成を示す図である。
【図12】本発明のその他の実施形態による冷却部の構成を説明するための概略図である。
【図13】本発明のその他の実施形態に係る測定装置による融合成長データ除外処理を説明するための図である。
【図14】本発明のその他の実施形態における光学系を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る結露核測定装置(以下、単に測定装置という)10は、試料表面で結露させて、その露の形状から核となる付着物の形状を測定するための装置であり、装置本体12と試験制御部14と空調部42とを備えている。装置本体12は、試料Wをセットするための試料台16と、プローブ18と、プローブ18の先端部を振動させる励振部20と、直交3軸方向において試料台16に対するプローブ18の相対的位置を変えさせる変位機構22と、を備えている。
【0027】
変位機構22は、図3に示すように、試料台16を水平面内のX軸方向に移動させるためのX軸変位機構23と、試料台16を水平面内のY軸方向(X軸方向と直交する方向)に移動させるためのY軸変位機構24と、プローブ18を垂直方向に移動させるためのZ軸変位機構25とを有する。
【0028】
図2にも示すように、Z軸変位機構25は、Z軸ステージ27を基台29に固定されたスタンド30に対して垂直方向(Z軸方向)に移動させるためのものであり、粗調整機構25aと微調整機構25bとを有する。粗調整機構25aは、例えば、モータ駆動方式の駆動機構であり、Z軸ドライバ32(図5参照)によって駆動される。図略のモータを駆動させることでZ軸ステージ27をZ軸方向に移動させる。微調整機構25bは、PZT系圧電セラミクスを用いた圧電アクチュエータを有しており、この圧電アクチュエータは、例えば高電圧増幅器によって構成されるZ軸ドライバ32によって駆動される。この圧電アクチュエータは、例えば送り幅を100nmとして駆動させることにより、nm精度で変位量を制御することができる。
【0029】
Y軸変位機構24は、Y軸ステージ36をY軸方向に移動させるための機構であり、図3に示すように、粗調整機構24aと微調整機構24bとを有する。粗調整機構24aは、例えば、モータ駆動方式の駆動機構であり、Y軸ドライバ33(図5参照)によって駆動される。図略のモータを駆動させることでY軸ステージ36をY軸方向に移動させる。微調整機構24bは、PZT系圧電セラミクスを用いた圧電アクチュエータを有している。この圧電アクチュエータは、基台29に設置されており、例えば高電圧増幅器によって構成されるY軸ドライバ33によって駆動される。圧電アクチュエータを駆動することにより、Y軸ステージ36をY軸方向に移動させることができる。この圧電アクチュエータは、例えば送り幅を100nmとして駆動させることにより、nm精度で変位量を制御することができる。
【0030】
X軸変位機構23は、X軸ステージである試料台16をX軸方向に移動させるための機構であり、粗調整機構23aと微調整機構23bとを有する。粗調整機構23aは、例えば、モータ駆動方式の駆動機構であり、X軸ドライバ34(図5参照)によって駆動される。図略のモータを駆動させることで試料台16をY軸ステージ36に対してX軸方向に移動させる。微調整機構23bは、PZT系圧電セラミクスを用いた圧電アクチュエータを有している。この圧電アクチュエータは、Y軸ステージ36に設置されており、例えば高電圧増幅器によって構成されるX軸ドライバ34によって駆動される。圧電アクチュエータを駆動することにより、Y軸ステージ36上で試料台16をX軸方向に移動させることができる。これにより、試料台16は、基台29に対してX軸方向及びY軸方向の任意の位置に移動可能である。この圧電アクチュエータは、例えば送り幅を100nmとして駆動させることにより、nm精度で変位量を制御することができる。
【0031】
図1に戻る。
【0032】
試料台16には、試料Wを収納可能な測定空間Sを有する測定槽40が設けられている。測定槽40は試料台16に設置されているため、試料台16とともに水平方向に移動する。測定槽40の上面には、プローブ18を挿通させる開口40aが設けられている。そして、プローブ18の下端部は測定空間S内に配置されている。なお、図示省略しているが、測定槽40には、試料Wの出し入れができるように開閉扉が設けられている。
【0033】
測定空間S内には、前記空調部42によって所定の温湿度に調整された空気が流通する。空調部42は、空気の温湿度を所定の温湿度に調整するとともに、この調整された空気を給気通路41を通して測定空間S内に導入する。測定空間S内の空気は排気通路43を通して空調部42に戻されるため、測定時には測定空間S内の空気が常時流通する。
【0034】
測定装置10には、測定空間S内の温度(試料雰囲気の温度)を検出する周囲温度検出部としての周囲温度センサ44と、測定空間S内の湿度(試料雰囲気の湿度)を検出する周囲湿度検出部としての周囲湿度センサ45と、が設けられ、これらセンサ44,45の検出信号は、試験制御部14に入力される。試験制御部14には、温湿度測定部47が設けられており、温湿度測定部47は、センサ44,45からの検出信号に応じて、測定空間S内の温度及び湿度を導出する。試験制御部14の演算装置59には、その一機能として環境制御部46が含まれており、環境制御部46は、温湿度測定部47によって導出された温度及び湿度に基づいて、空調部42を制御する。つまり、環境制御部46は、センサ44,45からの検出結果に基づいて、測定空間S内の温度が所定の温度及び湿度になるように空調部42を制御する。なお、空調部42は、除湿空気又は加熱空気を供給可能であり、試料Wを乾燥させて再測定の準備を行うことも可能である。
【0035】
装置本体12は、試料表面で結露を生じさせる結露誘起手段として、冷却機構48を有している。冷却機構48は、試料表面が露点以下になるように試料Wを冷却するものである。具体的に、冷却機構48は、試料表面を冷却する冷却部50と、試料表面の温度を検出する試料温度検出部としての試料温度センサ51と、試料表面の温度が所定の温度になるように冷却部50を制御する試料温度制御部52と、を有する。本実施形態では、冷却部50は、ペルチエ素子の吸熱部によって構成されており、図4に示すように試料台16に載置されている。試料温度制御部52は、試験制御部14の演算装置59の一機能として含まれているものであり、試料温度センサ51の検出結果に基づいてペルチエ素子へ印加する電圧を制御する。なお、冷却機構48は、ペルチエ素子を有する構成に限られるものではない。例えば、熱媒体を導入可能に構成された冷却板を用い、この冷却板内に熱媒体を導入して冷却板の温度を調整する機構等を例示することができる。
【0036】
前記プローブ18は、下方に向かって延びるように上端部で前記Z軸ステージ27に固定されている。プローブ18の下端部(先端部)は、先鋭化されていて、容易に撓む。
【0037】
前記励振部20は、水晶振動子55を有する。水晶振動子55の形状は限定されるものではないが、本実施形態では、例えば音叉のように2つの対称な突起を有する音叉型の水晶振動子55として構成されている。水晶振動子55は、振動子固定部57を介してZ軸ステージ27に固定されている。そして、水晶振動子55の突起にプローブ18が接触している。
【0038】
水晶振動子55の2つの突起間の間隔は、例えば約0.2mmであり、プローブ18の水晶振動子55に接触する部分での直径は、例えば125μmである。プローブ18としては、例えば光ファイバから作ることができ、例えば直径が約10μmのコアと、直径が約125μmのクラッドからなる。光ファイバを溶融延伸することにより、先端部が尖鋭化され、先端部の直径は例えば100nm以下にテーパ状に加工されている。
【0039】
水晶振動子55は2つの電極55a,55bを備えており、一方の電極55aは、試験制御部14に含まれる電流検出器58(図5参照)に接続され、他方の電極55bは、試験制御部14に含まれる信号発生器56(図5参照)に接続されている。電極55a,55b間に交流信号、例えば正弦波信号を印加すると、水晶振動子55の有する圧電効果によって水晶振動子55の突起が振動する。水晶振動子55を振動させると、これに接触しているプローブ18もあわせて振動させることができる。特に水晶振動子55の共振周波数又はその近傍の周波数をもつ信号を印加したときに振幅は大きくなる。
【0040】
図5に示すように、電流検出器58には、信号発生器56の出力信号の一部を分岐して得られる参照信号が接続される。電流検出器58から出力された信号は、後述の演算装置59に入力される。
【0041】
前記試験制御部14は、図5に示すように、前記X軸ドライバ34と、前記Y軸ドライバ33と、前記Z軸ドライバ32と、前記信号発生器56と、前記電流検出器58と、前記温湿度測定部47と、変位測定部61と、演算装置59と、入力装置70と、出力装置71とを備えている。
【0042】
変位測定部61は、直交3軸方向における試料台16に対するプローブ18の相対変位量を測定するためのものであり、Y軸ステージ36に対する試料台16のX軸方向の変位量を測定するX軸方向測定部61aと、基台29に対するY軸ステージ36のY軸方向の変位量を測定するY軸方向測定部61bと、基台29に対するプローブ18のZ軸方向変位を測定するZ軸方向測定部61cと、を有する。
【0043】
X軸方向測定部61aは、超精密測長器によって構成されており、図2に示すように、Y軸ステージ36に固定された固定側部61eと、試料台16に固定された遊走側部61fとからなり、X軸方向におけるこれらの相対変位量からX軸方向の移動量を測定する。Y軸方向測定部61b及びZ軸方向測定部61cも同様に超精密測長器によって構成されている。すなわち、Y軸方向測定部61bは、基台29に固定された固定側部61gと、Y軸ステージ36に固定された遊走側部61hとを有する。またZ軸方向測定部61cは、スタンド30に固定された固定側部61iと、Z軸ステージ27に固定された遊走側部61jとを有する。
【0044】
入力装置70には、キーボード、外部メモリ等が含まれ、入力装置70は、演算装置59に対する指令を入力可能に構成されている。出力装置71には、表示部、プリンタ等が含まれ、出力装置71は、演算装置59による演算結果等を出力可能に構成されている。
【0045】
演算装置59は、CPU、ROM、RAM等からなり、ROMに格納されたプログラムを実行することにより所定の機能を発揮する。演算装置59の機能には、少なくとも、相対変位量導出部63と、判定部60と、境界面測定部62と、解析部64と、が含まれる。解析部64には、粒径処理部64aと、導出処理部64bと、画像処理部64cとが含まれる。
【0046】
相対変位量導出部63は、変位測定部61の測定結果を用い、試料台16を基準とするプローブ18の相対変位量を導出する。判定部60は、プローブ18の先端部の振動に応じてプローブ18の先端部と露又は試料Wとの接触又は近接を判定する。境界面測定部62は、判定部60によるプローブ18と露又は試料Wとの接触又は近接の有無及び変位測定部61によって測定された相対変位量に基づいて、試料表面上の露の上面位置及び下面位置を演算する。なお、上記の「接触」とは、プローブ18の先端部が実際に露等に接触した場合をいい、「近接」とは、実際には露等に接触していないものの、プローブ18の先端部が、露等との相互作用によってプローブ18の振幅が変化する程度に露等と所定範囲内まで近接した場合をいう。
【0047】
粒径処理部64aは、境界面測定部62によって測定された露の上面及び下面の位置情報から露の粒径を導出するとともに、露の下面(試料表面)の傾きに応じて粒径を補正する。導出処理部64bは、露の粒径の時間経過に伴う変化割合から核の大きさを導出する導出手段として機能する。
【0048】
判定部60は、プローブ18の先端部の振幅の変化からプローブ18と露又は試料Wとの接触又は近接を判定する。その原理を図6を参照しながら説明する。プローブ18の先端部が被測定試料Wの表面から十分はなれているときには、プローブ18が振動するときの振幅は一定値を保つ(図6中のA領域)。一方、プローブ18の先端部が露の表面に接触又は所定範囲内に近接するとプローブ18の振幅は減衰する(図6中のB領域)。これは、プローブ18の先端部が露の表面からせん断力(シア・フォース)を受けるためと解される。この振幅の減衰は非常に急峻であるため、この振幅変化の検出により、プローブ18先端部と露の上面との接触を検出することができる。さらに、プローブ18の先端部が試料Wの表面に接触又は近接するとプローブ18の振動の振幅はさらに減衰する(図6のD領域)。この振幅減衰まではプローブ18の振幅は一定値を保つ(図6中のC領域)。このD領域での振幅減衰も非常に急峻であるので、この振幅変化の検出により、プローブ18先端部と試料表面との接触又は近接を検出できる。
【0049】
なお、試験制御部14が指示するZ軸変位量データとZ軸変位機構25で変位する実際の変位量との関係を予め校正しておくことによって、試験制御部14が指示するZ軸変位量データにより、実際のZ軸方向の変位量を取得することができる。X軸方向、Y軸方向についても同様である。
【0050】
境界面測定部62は、B領域までプローブ18の変位量に基づいて露の上面位置を導出するとともにD領域までのプローブ18の変位量に基づいて露の下面を導出する。これをX軸方向及びY軸方向の複数個所で行う。そして、これらの測定結果を連続点として統計処理することにより露の上面及び下面を表す関数を導出する。この導出は各露ごとに行われる。
【0051】
粒径処理部64aは、境界面測定部62によって測定された露の上面についての位置情報及び下面についての位置情報を統計処理して露の粒径を導出するとともに、露の下面(試料表面)が基準平面に対して傾斜している場合に、その傾斜角度に応じて露の幅(又は粒径)を補正する処理を行う。粒径の導出に際しては、露の上面についての位置情報を連続点として統計処理することにより、露の形状を表す関数を導出する。そして、図7に示すように、予め設定された所定の方向における最大幅を粒径として導出する。この処理は露ごとに行われる。なお、露の粒径の導出に際しては、測定データから露の最大幅を有する方向を特定し、その方向における露の幅を粒径として導出するようにしてもよい。
【0052】
前記基準平面は、Z軸方向に垂直な方向の平面であり、予め記憶されているものである。一方、露の下面(試料表面)は、プローブ18の先端部と試料表面との接触位置(Z軸方向)を複数測定して平均化したものである。図8に示すように、粒径処理部64aは、基準平面と試料表面とのなす角度θを演算し、実測された粒径d1を以下の関係式
d2=d1/cosθ
を用いて補正し、粒径d2を導出する。なお、図8は、図7におけるVIII−VIII線上の露を例示したものである。また、図9に示すように、試料表面が基準平面と一致していれば、粒径d1が補正後の粒径として導出される。なお、図9は、図7におけるIX−IX線上の露を例示したものである。
【0053】
なお、露の形状は、3次元形状として特定してもよく、あるいは水平面内の2次元形状として特定してもよい。
【0054】
導出処理部64bは、露の成長度合いを導出するとともに、その成長度合いから結露の核の大きさを導出する。すなわち、導出処理部64bは、粒径測定を所定時間ごとに繰返し行い、図10に示すように、経過時間と粒径とを関連付けて記憶する。そして、導出処理部64bは、粒径が経過時間に対して比例的に変化(1次相関)するものとして変化割合を導出し、この変化割合から結露開始時点の粒径を導出する。導出処理部64bは、この結露開始時点での粒径を核となり得る付着物の大きさとして導出する。この導出は、露ごとに行われる。結露開始時点としては、例えば、周囲温度センサ44によって測定された測定槽40内の温度、及び周囲湿度センサ45によって測定された測定槽40内の湿度により、測定槽40内の空気が露点に到達したと判定される時点を採用することができる。あるいは、既知粒径の微粒子が試料表面に付着された標準試料を用いて、露点到達時間から結露が開始する時間までの間隔を実験又は解析によって予め求めておき、露点到達時間をこの間隔で補正して得られた時点を結露開始時点としてもよい。
【0055】
また、導出処理部64bは、露ごとに粒径の変化割合を導出するが、このとき最小の変化割合を示す露に対して一定の閾値以上の変化割合を示す露のデータについては破棄する。すなわち、露の成長時には、露が単独で成長する独立成長と、隣接した露同士が互いに融合して成長する融合成長とが見られる。融合成長の場合には、粒径が段階的に大きくなるため、経過時間に対して1次回帰直線を求めるとすれば、結露開始時点での粒径を正しく求めることはできない。一方で、融合成長の場合の粒径の成長速度を1次回帰によって求めた場合には、独立成長の場合の成長速度の3倍程度となる知見が得られている。このため、粒径の成長速度を1次回帰によって求めた場合に、最小の変化割合の露に対して一定の閾値以上の変化割合を示す露については、融合成長の場合である可能性が高いこととなる。このため、このような成長割合を示す露のデータを導出対象又は測定結果から除外することにより、核の大きさの推定精度を向上している。なお、前記の閾値としては、例えば「2」が採用される。例えば図10では、「A」の露の傾きを1としたときに「B」の露では、傾きが2.8となっているので、融合成長としてデータ破棄される。また図中の外挿値とは、結露開始時点での粒径を意味している。
【0056】
また、破棄データの有無により、融合成長の有無が判定できる。したがって、破棄データの有無を図外の表示部に表示する等して、融合成長の有無を判断し易くすれば、再測定時に冷却速度、測定時間間隔等を設定し直すことにより、融合しない条件で測定することも可能となる。
【0057】
画像処理部64cは、図外の表示部に、導出された露の形状の画像を表示したり、図10に示すように経過時間と粒径との相関を示す表やグラフを表示したりするための処理を行う制御部である。表示部には、図7に示すように、XY平面内での露の形状の二次元表示をするとともに、Z軸方向の高さを色分けする処理が行われて表示される。
【0058】
ここで、本実施形態による測定装置10による測定方法について説明する。
【0059】
まず、試料台16に試料Wをセットし、測定槽40内を所定の温度及び湿度に調整する。その後、ペルチエ素子を駆動して試料Wを冷却する。このとき試料表面が露点以下になるように冷却を行う(結露誘起ステップ)。これに伴い、試料表面では結露が生ずる。
【0060】
次に、試料表面上の露の粒径を導出する(粒径導出ステップ)。具体的には、X軸変位機構23及びY軸変位機構24を駆動することにより試料台16を所定の位置にセットし、水晶振動子55によってプローブ18の先端部を振動させながらZ軸変位機構25によりプローブ18を降下させる。これにより、試料Wがセットされた試料台16に対するプローブ18のZ軸方向の位置が変わる。そして、プローブ18の先端部が露の表面又は試料表面と接触又は所定範囲内に近接すると、前述したようにプローブ18の振幅が急激に変化するので、この振幅変化に基づいて、B領域検出までのプローブ18の移動量から露の上面位置を導出し、D領域検出までのプローブ18の移動量から露の下面位置(試料表面位置)を導出する。これをX軸方向及びY軸方向の複数個所で繰返し行い、上面及び下面についての位置情報を統計処理することにより、露の粒径を導出する。この粒径導出ステップにおいて、試料表面が基準平面に対して傾斜している場合には、その傾斜角度θに応じて粒径を補正する。
【0061】
次に、経過時間に伴う粒径の変化割合に基づいて、結露の核となり得る付着物の大きさを導出する(導出ステップ)。この導出ステップでは、経過時間に対する粒径の変化割合が最小のものに対して例えば2倍以上の変化割合を示すものについては、データを破棄する。これにより、独立成長の露についての成長速度のみが使用されて、結露開始時点の粒径が導出される。この導出された粒径が付着物の粒径として図外の表示器に表示される。
【0062】
以上説明したように、本実施形態では、試料表面で結露を生じさせるとともに、この試料表面に発生した露の成長度合いに基づいて、核となり得る試料表面の付着物の大きさを導出することができる。
【0063】
所定の閾値以上の成長度合いを示す露については、露同士が融合して成長したもの(融合成長)であると推測される。このため、本実施形態のように、所定の閾値以上の成長度合いを示すデータを除外すれば、露が単独で成長する(独立成長)ときの成長度合いを求めることができるので、露の核の大きさを精度よく求めることができる。
【0064】
また本実施形態では、露の粒径を所定時間ごとに測定するので、その変化割合から露の成長度合いを導出することができる。そして、粒径の変化割合を結露開始時点まで外挿することにより、試料の付着物の大きさを求めることができる。
【0065】
また本実施形態では、所定方向の露の幅を複数個所測定したうちの最大幅によって露の粒径を規定するようにしたので、露が断面円形状でない場合にも粒径を規定することができ、しかも測定時の演算ステップを軽減することができる。
【0066】
試料表面が基準平面に対して傾斜している場合にそのまま粒径を測定すると測定誤差の要因となり得るが、本実施形態では、傾斜角度に応じて測定値を補正するので、測定精度を向上することができる。
【0067】
また本実施形態では、プローブ18の先端部を振動させながら、試料台16に対するプローブ18の相対的な位置を変え、プローブ18の先端部の振動に応じてプローブ18先端部と露又は試料Wとの接触又は近接を判定し、その判定結果に基づいて露の形状を測定する。つまり、プローブ18の先端部が露又は試料Wに接触又は近接するとせん断力を受けるので、プローブ18の振動の振幅が減衰する。境界面測定部62がこの減衰を検出するとともに、そのときのプローブ18の相対変位量を検出することにより露の形状を精度よく測定することができる。
【0068】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では試料台16がY軸ステージ36上に設置される構成について説明したが、これに代え、試料台16が基台29に固定されるとともに、プローブ18を支持するスタンド30がX軸方向及びY軸方向に可動するように設けられる構成としてもよい。この構成では、プローブ18が、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能となる。
【0069】
また、前記実施形態では、プローブ18がZ軸方向に移動可能な構成としたが、これに代え、プローブ18がスタンド30に対して固定されるとともに、試料台16がZ軸ステージにも支持されることでZ軸方向に移動可能な構成としてもよい。この構成では、試料台16が、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能となる。
【0070】
また、前記実施形態では、粒径処理部64aが露の下面(試料平面)と基準平面との傾斜角度に応じて粒径を補正するようにしたが、試料平面の平坦度が確保されている場合等には、粒径を補正する制御を省略することも可能である。
【0071】
また、前記実施形態では、スタンド30、Z軸ステージ27、水晶振動子55が測定槽40の外側に配設される構成としたが、これに代え、図11に示すように、測定槽40内にスタンド30、Z軸ステージ27、水晶振動子55、プローブ18が収納される構成としてもよい。図1の構成では、測定空間Sの容積を小さくすることができるので、測定空間S内の温度湿度の変化を早くすることができる。一方、図11の構成では、測定槽40にプローブ18を挿通させる開口40aを設ける必要がなくなるので、測定槽40内を気密状に構成し易くなる。
【0072】
また、前記実施形態では、冷却部50がペルチエ素子の吸熱部によって構成される例を説明したが、これに限られるものではない。例えば、図12に示すように、冷却部50が冷却空気を試料Wに接触させるように冷却空気を供給する冷風供給部である冷却空気供給機構68を有する構成としてもよい。この態様では、冷却空気が流通する冷風路69が試料台16に設けられ、この冷風路69の上面に試料保持部70が設けられる構成となる。この試料保持部70は、例えばパンチ孔が設けられていて、試料Wが冷却空気によって直接冷却されるようにしてもよい。
【0073】
また、前記実施形態では、測定槽40を設ける構成について説明したが、測定槽40、空調部42、空調制御部46が省略された構成としてもよい。
【0074】
また、前記実施形態では、融合成長の有無を判断する基準として、1次回帰によって得られた粒径の成長速度の傾き(回帰直線の傾き)が最小の傾きの回帰直線に対して所定の閾値以上の変化割合を示すかどうかを基準としたが、これに限られるものではない。すなわち、回帰直線の傾きを基準とするのではなく、隣接2データ間の傾きで判断するようにしてもよい。例えば図13には、1次回帰直線の傾きが最小となっている露の変化割合を示す回帰直線Aと、これよりは傾きの大きな回帰直線Bとを示している。回帰直線Aの傾きに対する回帰直線Bの傾きは例えば1.5である。このため、回帰直線Bについては、前記の閾値未満となっている。この回帰直線Bの基データとなる露に関し、互いに隣接するデータB1とデータB2を結ぶ線分の傾きが例えば3になっているものがある場合には、この露については融合成長があったとして導出対象から除外する。この除外タイミングとしては、データが得られる毎に前回のデータとの差から傾きを導出し、所定の閾値以上の変化割合が発生した時点で導出対象から除外するようにしてもよく(スキップ処理)、あるいは、一連の測定が終了した後に、最終データを破棄することによって測定結果から除外するようにしてもよい。
【0075】
また、前記実施形態では、プローブ18の振動から露の表面を検出して粒径を導出するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、顕微鏡、デジタルマイクロスコープ等の拡大器と、この拡大器によって取得された画像を表示器に表示させる表示制御器と、表示器に表示された画像データから露の粒径を測定するとともに、その変化割合から結露の核となり得る付着物の粒径を導出する画像試験制御部とを有する構成としてもよい。この構成では、画像試験制御部が画像データから露の境界面(周面)を認識し、この境界面から粒径を導出することも可能であり、あるいは、露の境界面(周面)を表示器上で人がポイントできるようにして、2点間の距離から粒径を導出するようにしてもよい。
【0076】
また、粒径の測定は、いわゆる位相シフト干渉法によって行ってもよい。具体的には、測定装置10は、図14に示すように、測定光を出射する光源75と、光束を分離させるビームスプリッタ76と、測定光を試料Wの表面(または露の表面)に集光させる第1集光素子77と、測定光から分離された参照光が照射される参照面78と、参照光を参照面78に集光させる第2集光素子79と、測定光及び参照光の干渉光を検出する光検出器80と、を有する光学系81を有する。参照面78はピエゾ素子(PZT)82によって光軸方向に移動可能となっている。そして、この参照面78の位置を変えながら干渉光の強度変化を測定し、この強度変化から測定光と参照光との位相差を算出でき、また測定光の波長を加味することにより、露の表面位置(露の厚み)が得られ、この測定を光軸とは直交する方向に複数個所で行うことにより、露の表面が連続面であるとして、露の形状を算出することができる。そして、この露の形状から露の粒径を導出することができる。
【0077】
また、前記実施形態では、境界面測定部62が、B領域までのプローブ18の変位量に基づいて露の上面位置を導出するとともにD領域までのプローブ18の変位量に基づいて露の下面を導出する構成としたが、これに限られるものではない。例えば、試料表面の位置を予め記憶しておき、B領域にあるプローブ18の位置と、記憶された試料表面の位置との差分に基づいて、露の高さを導出するようにしてもよい。こうすれば、プローブ18の先端部がC領域に入ったことが検知された時点でプローブ18を戻す制御を行うことが可能となる。そして1つの露に対してX軸方向及びY軸方向の複数位置で繰り返し測定を行うことにより、露の上面を表す関数を導出することができる。なお、この場合には、露の下面(試料表面)の傾斜角度に応じた補正処理は、省略されることになる。
【符号の説明】
【0078】
16 試料台
18 プローブ
20 励振部
22 変位機構
23 X軸変位機構
24 Y軸変位機構
25 Z軸変位機構
29 基台
46 空調制御部
48 冷却機構
50 冷却部
55 水晶振動子
56 信号発生器
60 判定部
61 変位測定部
61a X軸方向測定部
61b Y軸方向測定部
61c Z軸方向測定部
62 境界面測定部
63 相対変位量導出部
64a 粒径処理部
64b 導出処理部
78 参照面
81 光学系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料表面の付着物であって結露の核となり得るものの大きさを測定する装置であって、
前記試料表面で結露を生じさせる結露誘起手段と、
前記結露誘起手段によって前記試料表面に発生した露の成長度合いを導出するとともに、この導出された成長度合いに基づいて、前記付着物の大きさを導出する導出手段と、が含まれている結露核測定装置。
【請求項2】
前記結露誘起手段は、前記試料表面を露点以下に冷却する冷却部を含む請求項1に記載の結露核測定装置。
【請求項3】
前記導出手段は、前記試料表面上の複数の露について成長度合いを導出するとともに、成長度合いの最も小さい露についての成長度合いに対して所定の閾値以上の成長度合いを有する露については、導出対象又は測定結果から除外する請求項1又は2に記載の結露核測定装置。
【請求項4】
前記露の成長度合いは、所定時間ごとに測定された前記試料表面上の露の粒径の変化割合に基づいている請求項1から3の何れか1項に記載の結露核測定装置。
【請求項5】
前記粒径は、所定方向の露の幅を複数個所測定したうちの最大幅によって規定される請求項4に記載の結露核測定装置。
【請求項6】
前記粒径は、前記試料表面が基準平面に対して傾斜している場合に、その傾斜角度に応じて補正される請求項4又は5に記載の結露核測定装置。
【請求項7】
試料がセットされる試料台と、
撓み変形可能な先端部を有するプローブと、
前記プローブの先端部を振動させる励振部と、
前記プローブの先端部の振動に応じて前記プローブの先端部と前記露又は前記試料との接触又は近接を判定する判定部と、
前記試料台に対する前記プローブの相対的な位置を変えさせる変位機構と、
前記試料台に対する前記プローブの相対変位量を測定する相対変位量導出部と、が含まれ、
前記導出手段は、前記判定部による接触又は近接の有無及び前記相対変位量導出部によって測定された相対変位量に基づいて、前記露の粒径を測定する請求項1から6の何れか1項に記載の結露核測定装置。
【請求項8】
前記導出手段は、前記露を画面上に拡大表示させ、この拡大表示された画像のデータから前記露の粒径を測定する請求項1から6の何れか1項に記載の結露核測定装置。
【請求項9】
前記露に照射される測定光と、光路長を可変な状態で参照面に照射される参照光とを干渉させて、この干渉光を検出する光学系を有し、
検出された前記干渉光の強度から算出される測定光及び参照光の位相差と、測定光の波長とから露の表面位置を算出する一方、この試料表面位置を光軸とは直交する方向に複数測定することにより、前記露の粒径を測定する請求項1から6の何れか1項に記載の結露核測定装置。
【請求項10】
試料表面の付着物であって結露の核となり得るものの大きさを測定する方法であって、
前記試料表面で結露を生じさせる結露誘起ステップと、
前記結露誘起ステップで前記試料表面に発生した露の成長度合いに基づいて、前記付着物の大きさを導出する導出ステップと、が含まれている結露核測定方法。
【請求項11】
前記結露誘起ステップでは、前記試料表面を露点以下に冷却する請求項10に記載の結露核測定方法。
【請求項12】
前記導出ステップでは、前記試料表面上の多数の露について成長度合いを導出するとともに、成長度合いの最も小さい露についての成長度合いに対して所定の閾値以上の成長度合いを有する露については導出対象又は測定結果から除外する請求項10又は11に記載の結露核測定方法。
【請求項13】
前記露の成長度合いは、前記試料表面上の露の粒径を所定時間ごとに測定したときの粒径の変化割合に基づいている請求項10から12の何れか1項に記載の結露核測定方法。
【請求項14】
前記粒径は、所定方向の露の幅を複数個所測定したうちの最大幅によって規定される請求項13に記載の結露核測定方法。
【請求項15】
前記粒径は、前記試料表面が基準平面に対して傾斜している場合に、その傾斜角度によって補正される請求項13又は14に記載の結露核測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−107494(P2010−107494A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84468(P2009−84468)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000108797)エスペック株式会社 (282)
【出願人】(504132881)国立大学法人東京農工大学 (595)
【Fターム(参考)】