説明

給油取扱所土壌中の物質採取孔形成装置

【課題】 従来、給油取扱所の火気使用禁止区域内で土壌中の気体等の採取・調査で地面に採取孔をあけるためにハンマードリルなどの電気設備を使用するためには、採取孔ポイントの四方を仮設防火塀又は防炎シートで囲み火気使用禁止区域から隔離する必要があったが、仮設防火塀又は防炎シートの敷設は手間や時間がかかるという欠点があった。
【解決手段】 本発明の給油取扱所土壌中の物質採取孔形成装置は、地面に垂立させる枠体と、この枠体に上下動自在に設けたドリル本体及びドリルを駆動せしめる電気的駆動部と、上記電気的駆動部が地上から一定の距離より下方に下がらないよう規制するストッパーとよりなることを特徴とする。また、上記枠体に設けた、上記枠体の傾動時に上記電気的駆動部への通電を停止せしめる手段とを更に有する。また、上記枠体は移動用の車輪を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給油取扱所土壌中の物質採取孔形成装置、特に給油取扱所等の火気使用禁止区域で使用する土壌中の物質採取孔形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
給油取扱所においては、給油設備から所定の範囲の地面から60cmまでの区域は火気使用禁止区域として指定され、この火気使用禁止区域内で電気設備を使用することは制限されている。
【0003】
従って、この火気使用禁止区域内で土壌中の気体又は地下水の採取・調査で地面に採取孔をあけるためにハンマードリルなどの電気設備を使用するためには、採取孔ポイントの四方を仮設防火塀又は、簡易的に防炎シートで囲み火気使用禁止区域から隔離する必要があった。このような防炎シートとしては例えば特許文献1に記載のものがある。
【特許文献1】特開平10−100295号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然しながら、仮設防火塀や防炎シートの敷設は手間や時間がかかるのみならず完全に行なうことは困難で、安全性に問題があった。
【0005】
本発明は上記の欠点を除くようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の給油取扱所土壌中の物質採取孔形成装置は、地面に垂立させる枠体と、この枠体に上下動自在に設けたドリル本体及びドリルを駆動せしめる電気的駆動部と、上記電気的駆動部が地上から一定の距離より下方に下がらないよう規制するストッパーとよりなることを特徴とする。
【0007】
本発明の給油取扱所土壌中の物質採取孔形成装置は、上記枠体に設けた、上記枠体の傾動を検知して上記電気的駆動部への通電を停止せしめる手段を更に有することを特徴とする。
【0008】
本発明の給油取扱所土壌中の物質採取孔形成装置は、上記枠体に枠体移動用の車輪を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の給油取扱所土壌中の物質採取孔形成装置においては、ドリル本体が火気使用禁止区域内にあっても、その電気的駆動部が常時火気使用禁止区域外にあるので、仮設防火塀や防炎シートを用いることなく火気使用禁止区域内で土壌中の気体又は地下水の採取・調査のために、地面に採取孔をあけることができるという大きな利益がある。
【0010】
また、上記枠体の傾動時に上記電気的駆動部の通電を停止する手段を設けたので、電気的駆動部を設けた枠体が不用意に倒れた場合であっても電気的駆動部が火気使用禁止区域内に入る前に、その通電が停止するので安全性が保たれる。
【0011】
また、移動用の車輪を設けたので、手軽に移動ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の給油取扱所土壌中の物質採取孔形成装置は、図1に示すように、矩形状の底板1と、この底板1の上面後部に垂設せしめた枠体2と、上記底板1の上面中央部に垂設せしめた支柱3と、上記支柱3に沿って上下動移動自在なスライド部4と、このスライド部4にその下部を固定したハンマードリル支持枠5と、上記ハンマードリル支持枠5によって保持した、地面孔あけ用のハンマードリル本体6と、上記ハンマードリル支持枠5の所望の高さに固定した、上記ハンマードリル本体6を駆動せしめる電動モータ等の電気的駆動部7と、上記支柱3に設けた、上記電気的駆動部7が地面から例えば60cmより下方へ移動しないよう、上記ハンマードリル支持枠5の下方への移動を規制するストッパー8と、上記底板1の左右に夫々設けた、上記枠体2が傾動した際に上記電気的駆動部7の通電を停止せしめる2つの安全装置9と、上記枠体2の背面に設けた移動用車輪10とよりなる。
【0014】
なお、2aは枠体2の上部横架材、11は上記底板1の下面の左右に夫々設けた前後方向に延びる脚部、12は上記上部横架材2aと上記支柱3の上端間を連結せしめる固定金具、13は上記枠体2の上部左右に夫々設けたハンドル、14は上記ハンマードリル支持枠5に設けた上下方向に延びる貫通溝、15は上記貫通溝14に挿入した、上記固定金具12の先端に固定したガイドピンであり、上記ハンマードリル支持枠5は上記固定金具12によって上下動自在に支持されている。
【0015】
また、上記安全装置9は上記枠体2に上記所望の高さ以上の高さで固定した、上記電気的駆動部7の通電を維持・停止せしめるマイクロスイッチ16と、その上端が上記マイクロスイッチ16を押圧し、常時下方に押圧するバネ(図示せず)によってその下端が地面に当接される感知棒17と、上記各感知棒17を上下方向で夫々ガイドする、上記横架材2aに固定したパイプ18とよりなる。
【0016】
本発明の給油取扱所土壌中の物質採取孔形成装置は上記のような構成であるから、上記ハンマードリル支持枠5を上記支柱3に対して上方に移動せしめた状態で車輪10を用いて給油取扱所土壌中の物質採取孔形成装置を採取孔ポイントまで移動し、支柱3を垂立せしめ、上記電気的駆動部7に通電してハンマードリル本体6を駆動し、上記ハンマードリル支持枠5を下方に移動せしめながら地面を掘削せしめる。上記ハンマードリル支持枠5は上記ストッパー8により上記電気的駆動部7が地上から60cm以下になる前にその下方への移動が規制されるので安全性が保たれる。
【0017】
また、上記給油取扱所土壌中の物質採取孔形成装置が不注意等で倒れた場合には、図3に示すように、上記バネにより下方に押圧されていた感知棒17が下方に突出し、上記感知棒17の上端が上記マイクロスイッチ16の押圧を解除するので、電気的駆動部7の通電が停止され安全性を高めることができる。
【0018】
また、移動の際には上記給油取扱所土壌中の物質採取孔形成装置を傾動せしめれば移動用車輪を利用することができるので、移動が便利となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の給油取扱所土壌中の物質採取孔形成装置の正面図である。
【図2】本発明の給油取扱所土壌中の物質採取孔形成装置の側面図である。
【図3】本発明の給油取扱所土壌中の物質採取孔形成装置の傾斜した状態を示す説明用正面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 底板
2 枠体
2a 横架材
3 支柱
4 スライド部
5 ハンマードリル支持枠
6 ハンマードリル本体
7 電気的駆動部
8 ストッパー
9 安全装置
10 車輪
11 脚部
12 固定金具
13 ハンドル
14 貫通溝
15 ガイドピン
16 マイクロスイッチ
17 感知棒
18 パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に垂立させる枠体と、この枠体に上下動自在に設けたドリル本体及びドリルを駆動せしめる電気的駆動部と、上記電気的駆動部が地上から一定の距離より下方に下がらないよう規制するストッパーとよりなることを特徴とする給油取扱所土壌中の物質採取孔形成装置。
【請求項2】
上記枠体に設けた、上記枠体の傾動を検知して上記電気的駆動部への通電を停止せしめる手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の給油取扱所土壌中の物質採取孔形成装置。
【請求項3】
上記枠体に枠体移動用の車輪を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の給油取扱所土壌中の物質採取孔形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−28988(P2006−28988A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212600(P2004−212600)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(390019220)日本エンヂニヤー・サービス株式会社 (2)
【Fターム(参考)】