説明

給油所システム、計量機及び精算機

【課題】コストを低く抑えつつ防犯性に優れた給油所システムを提供する。
【解決手段】紙幣を投入する紙幣投入部2aが設けられた計量機2(2A〜2D)と、紙幣投入部2aに投入された紙幣を計量機2の外部に搬出する紙幣搬送路3と、紙幣搬送路3に空気を供給して紙幣を気流搬送する空気供給路4及びポンプ5と、紙幣搬送路3を通じて計量機2から搬出された紙幣を回収する紙幣回収装置6とを備えた給油所システム1。紙幣投入部2aを精算機に設けることもできる。投入された紙幣を計量機2等の外部に退避させることができるため、売上金を持ち去る目的でそれらの一部が破壊されても、売上金が盗まれるのを回避することが可能になる。また、気流搬送を利用して紙幣を搬送するため、簡単な設備追加でシステムの導入を図ることができ、コストを低く抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油所システム、計量機及び精算機に関し、特に、計量機や精算機に紙幣を投入して給油料金を支払うセルフサービス式の給油所システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、給油所においては、利用客自らが給油作業等を行うセルフサービス式の給油所の普及が進んでいる(例えば、特許文献1参照)。かかる給油方式は、給油所のスタッフの省力化を促進してコストの削減を図ったり、その分を燃料価格に転嫁して安価での燃料提供が可能になるなど、給油所にとって幾多のメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−278096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セルフサービス式の給油所においては、給油料金を計量機や精算機に投入して支払うため、支払った給油料金は、そのまま計量機等の内部に保管されることになる。しかし、ATM機等をバール等の工具で破壊して紙幣を抜き取る事件が多発しており、セルフサービス式の給油所においても、従業員の休憩時間や深夜等の時間帯を狙って計量機等の一部を破壊し、装置内の紙幣を持ち去る事件が増加している。
【0005】
これに対抗する手段として、計量機や精算機の設計を見直して構造の堅強化を図ることが考えられるが、この場合、計量機等の高価格化が避けられず、給油所に設置された全ての計量機等を置き換えるとなると、巨額の導入コストが必要となるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、コストを低く抑えつつ防犯性に優れた給油所システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、給油所システムであって、紙幣を投入する紙幣投入部が設けられた計量機又は精算機と、前記紙幣投入部に投入された紙幣を該計量機又は精算機の外部に搬出する紙幣搬送路と、該紙幣搬送路に空気を供給して紙幣を気流搬送する空気供給手段と、前記紙幣搬送路を通じて前記計量機又は精算機から搬出された紙幣を回収する回収装置とを備えることを特徴とする。
【0008】
そして、本発明によれば、投入された紙幣を計量機等の外部に退避させることができ、売上金を持ち去る目的でそれらの一部が破壊されても、売上金が盗まれるのを回避することが可能になる。また、気流搬送を利用して紙幣を搬送するため、簡単な設備追加でシステムの導入を図ることができ、コストを低く抑えることが可能になる。
【0009】
また、本発明は、紙幣投入部が設けられ、該紙幣投入部に紙幣を投入して給油料金を支払う計量機であって、前記紙幣投入部に投入された紙幣を該計量機の外部に搬出する紙幣搬送路と、該紙幣搬送路に空気を供給して紙幣を気流搬送する空気供給手段とが接続されることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、紙幣投入部が設けられ、該紙幣投入部に紙幣を投入して給油料金を支払う精算機であって、前記紙幣投入部に投入された紙幣を該精算機の外部に搬出する紙幣搬送路と、該紙幣搬送路に空気を供給して紙幣を気流搬送する空気供給手段とが接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、コストを低く抑えつつ防犯性に優れた給油所システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明にかかる給油所システムの一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図1の給油所システムの正面図である。
【図3】図1の給油所システム計量機の概略構成図であって、(a)は正面図、(b)は紙幣投入部及びその近傍を示す拡大正面図、(c)は(b)の側面図である。
【図4】図1の給油所システム計量機の紙幣回収装置の概略構成図であって、(a)は平面図、(b)は側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下においては、計量機に紙幣を投入して給油料金を支払う場合を例にとって説明する。
【0014】
図1及び図2は、本発明にかかる給油所システムの一実施の形態を示し、この給油所システム1は、複数の計量機2(2A〜2D)と、各計量機2A〜2Dに接続される紙幣搬送路3及び空気供給路4と、空気供給路4に空気を送り込むポンプ5(5A、5B)と、紙幣搬送路3に接続される紙幣回収装置6とで構成される。
【0015】
計量機2は、燃料を給油するための設備であり、給油ノズルや給油ポンプ等の一般的な給油機構を備える。また、計量機2には、紙幣に関する機構として、図3に示すように、紙幣を投入するための紙幣投入部2aと、投入された紙幣の種類(金額)を判別する判別部2bと、投入された紙幣を紙幣搬送路3に送り出す搬送部2cと、搬送部2cによって送り出された紙幣を2つ折りにする折曲部2d等が設けられる。
【0016】
紙幣搬送路3は、計量機2内の紙幣を計量機2の外部に搬出するために備えられる。この紙幣搬送路3は、図2に示すように、例えば、天井部等に敷設された主配管3aと、主配管3aから垂下し、計量機2や紙幣回収装置6を主配管3aと接続する接続配管3bとから構成される。紙幣搬送路3の全体又は露出部分(接続配管3b)には、配管を保護したり、紙幣の流れが見えるのを防止する目的で、保護カバー(不図示)が被設される。尚、図示を省略するが、紙幣搬送路3の各所には紙幣が詰まった状態を検出するためのセンサが設置される。
【0017】
空気供給路4は、ポンプ5からの空気を紙幣搬送路3に導き、紙幣を気流搬送するために備えられる。空気供給路4においても、図2に示すように、天井部等に敷設された主配管4aと、主配管4aから垂下する接続配管4bとから構成される。また、空気供給路4にも、配管を保護するための保護カバー(不図示)が被設される。
【0018】
ポンプ5は、図1に示すように、天井裏等に配置され、空気供給路4に空気を供給する。このポンプ5の作動タイミングについては後述する。
【0019】
紙幣回収装置6は、紙幣搬送路3を通じて計量機2から搬出された紙幣を回収するために備えられ、厳重に管理された状態で事務所7等に設置される。この紙幣回収装置6は、図4に示すように、紙幣搬送路3を通じて搬送された紙幣と空気とを分離する分離部6aと、分離された紙幣を真っ直ぐに矯正する矯正部6bと、矯正された紙幣を収納する収納部6cと、紙幣の搬送制御等を行うための操作パネル6dと、紙幣回収装置6を開閉するための鍵6eとを備える。
【0020】
次に、上記構成を有する給油所システム1の動作について、図1〜図4を参照しながら説明する。
【0021】
例えば、計量機2Aの紙幣投入部2aに紙幣が投入されると、図3(c)に示す判別部2bによって紙幣の種類を判別し、搬送部2cによって紙幣搬送路3に送り出しながら、折曲部2dで紙幣を2つ折りにする。
【0022】
これと併行して、図1及び図2に示すポンプ5を作動させ、空気供給路4を介して紙幣搬送路3に空気を供給し、2つ折りにした紙幣を計量機2Aから搬出して紙幣回収装置6に搬送する。これによって、現金が計量機2内に保有されるのを回避する。尚、計量機2Aの紙幣投入部2aに紙幣を投入した際に、他の計量機2C〜2Dの紙幣投入部2aに紙幣が投入されていなければ、計量機2Aの紙幣投入部2aに投入された紙幣は、判別部2b〜折曲部2dを介して即座に紙幣搬送路3を通じて搬送されるが、他の計量機2C〜2Dの紙幣投入部2aに紙幣が投入されている際には、計量機2Aの紙幣投入部2aに投入された紙幣は、搬送部2cで一旦停止し、他方の紙幣が紙幣回収装置6に収納された後、搬送される。
【0023】
接続配管3b及び主配管3aを介して紙幣回収装置6に到達した紙幣は、図4に示す分離部6aにおいて空気から分離され、矯正部6bで真っ直ぐに矯正された後、収納部6cに収納される。
【0024】
以上のように、本実施の形態によれば、計量機2に投入された紙幣をその都度紙幣搬送路3を通じて搬出し、事務所7等に設置された紙幣回収装置6に搬送するため、投入された紙幣を即座に計量機2の外部に退避させることができ、売上金を持ち去る目的で計量機2の一部が破壊されても、売上金が盗まれるのを回避することが可能になる。
【0025】
また、気流搬送を利用して紙幣を搬送するため、システムの導入にあたって、気流搬送用の配管を敷設したり、空気供給用のポンプを設置するなどの簡単な設備追加で対応することができ、計量機の構造を変更して堅強化を図る場合に比べて、設備費や導入コストを低く抑えることができる。尚、計量機2において、紙幣搬送路3に紙幣を送り出す搬送部2cや、紙幣搬送路3及び空気供給路4を接続するための接続部を追加する必要があるが、これらは、ATM機等での汎用品を流用したり、軽度の設計変更で対応することができるため、大幅なコスト増を招くことはない。
【0026】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0027】
例えば、上記実施の形態においては、計量機2に紙幣を投入する場合を例示したが、紙幣搬送路3及び空気供給路4を精算機に接続し、精算機に投入された紙幣を紙幣回収装置6に搬送することも可能である。
【0028】
また、上記実施の形態おいては、計量機2に投入された紙幣を直ちに紙幣搬送路3へ導き、計量機2内に保管するが、投入された紙幣を計量機2内にある程度の枚数保管した後に紙幣回収装置6に搬送してもよい。
【0029】
さらに、上記実施の形態においては、紙幣搬送路3及び空気供給路4の主配管3a、4aを天井部等に敷設するが、地中に埋設するようにしてもよい。
【0030】
また、上記実施の形態においては、給油所システム1に専用のポンプ5を天井裏に配置したが、給油所に既設の圧縮空気用ポンプを利用してもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 給油所システム
2(2A〜2D) 計量機
2a 紙幣投入部
2b 判別部
2c 搬送部
2d 折曲部
3 紙幣搬送路
3a 主配管
3b 接続配管
4 空気供給路
4a 主配管
4b 接続配管
5(5A、5B) ポンプ
6 紙幣回収装置
6a 分離部
6b 矯正部
6c 収納部
6d 操作パネル
6e 鍵
7 事務所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を投入する紙幣投入部が設けられた計量機又は精算機と、
前記紙幣投入部に投入された紙幣を該計量機又は精算機の外部に搬出する紙幣搬送路と、
該紙幣搬送路に空気を供給して紙幣を気流搬送する空気供給手段と、
前記紙幣搬送路を通じて前記計量機又は精算機から搬出された紙幣を回収する回収装置とを備えることを特徴とする給油所システム。
【請求項2】
紙幣投入部が設けられ、該紙幣投入部に紙幣を投入して給油料金を支払う計量機であって、
前記紙幣投入部に投入された紙幣を該計量機の外部に搬出する紙幣搬送路と、該紙幣搬送路に空気を供給して紙幣を気流搬送する空気供給手段とが接続されることを特徴とする計量機。
【請求項3】
紙幣投入部が設けられ、該紙幣投入部に紙幣を投入して給油料金を支払う精算機であって、
前記紙幣投入部に投入された紙幣を該精算機の外部に搬出する紙幣搬送路と、該紙幣搬送路に空気を供給して紙幣を気流搬送する空気供給手段とが接続されることを特徴とする精算機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−54084(P2011−54084A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204543(P2009−204543)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000151346)株式会社タツノ・メカトロニクス (167)
【Fターム(参考)】