説明

給湯システム

【課題】給湯を停止する時間の短縮を図ることができ、かつ制御システムの複雑化および変更を回避することが可能な給湯システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる給湯システム100の構成は、太陽熱収集装置112と、熱交換器114aと、集熱槽114と、を有する太陽熱給湯装置110と、ヒートポンプ132と、貯湯槽134と、を有するヒートポンプ給湯装置130と、を備え、太陽熱給湯装置からの湯を給湯する太陽熱給湯経路172上には、給水を混合してほぼ所定温度以下の温度を上限とする温度調整を行う第1温度調整手段152が設けられ、ヒートポンプ給湯装置からの湯を給湯するヒートポンプ給湯経路174上には、貯湯槽からの湯と第1温度調整手段において温度調整された湯とを混合して温度調整を行う第2温度調整手段154が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定温度の湯を継続的に循環させる循環式の給湯設備への給湯を行う給湯システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、エネルギーの有効利用(省エネルギー)、および温室効果ガスであるCO排出量削減の観点から、ヒートポンプを利用した給湯装置(以下、ヒートポンプ給湯装置と称する)の普及が進んでいる。ヒートポンプは、冷媒が蒸発により気化するときに周囲の熱を吸収し、凝縮により液化するときに熱を発する性質を利用している。このため、ガス等を燃焼させる燃焼式給湯装置に比べて、一次エネルギー消費量およびCO排出量を好適に削減することができ、ランニングコストも大幅に抑えることが可能である。
【0003】
またヒートポンプ給湯装置以外に、太陽光の熱(以下、太陽熱と称する)を利用して湯を生成する太陽熱給湯装置も、化石燃料を使用しないため省エネルギーおよびCO排出量削減に大きく貢献することができる。特に、ヒートポンプ給湯装置では湯を生成する際に圧縮機において電力を消費するのに対し、太陽熱給湯装置は、太陽熱のみを利用するため省エネルギーという点においてはヒートポンプ給湯装置よりもメリットが大きい。その反面、太陽熱給湯装置は、夜間や雨天時等、太陽光が照射されないときは湯を生成できないというデメリットも有する。
【0004】
そこで、近年では、ヒートポンプ給湯装置と太陽熱給湯装置を併設した給湯システムの導入が検討されている。これによれば、太陽光が照射される時間帯は太陽熱給湯装置によって湯を生成して消費電力を削減し、夜間等はヒートポンプ給湯装置によって湯を生成することができ、省エネルギーの更なる促進を図りつつ利便性を高めることが可能となる。
【0005】
ヒートポンプ給湯装置と太陽熱給湯装置を併設した給湯システムとしては、例えば特許文献1に、太陽熱を使用して温水を蓄える太陽熱温水器システム(太陽熱給湯装置)と、ヒートポンプユニットによって沸き上げた給湯水を蓄えるヒートポンプ給湯機システム(ヒートポンプ給湯装置)と、かかる温水と給湯水を混合させて出湯する温水混合システムとを備える給湯システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−162969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ヒートポンプ給湯装置および太陽熱給湯装置の普及状況を鑑みると、一般的には太陽熱給湯装置よりもヒートポンプ給湯装置のほうが普及率は高いと考えられる。したがって、上述した給湯システムを導入する場合、その両方の給湯装置を新規に導入する場合を除いては、通常、既存のヒートポンプ給湯装置に太陽熱給湯装置を接続することになると想定される。
【0008】
しかし、特許文献1に記載の給湯システムに限らず、ヒートポンプ給湯装置への太陽熱給湯装置の従来の接続では、太陽熱給湯装置からの湯の給湯経路(以下、太陽熱給湯経路と称する)を、ヒートポンプ給湯装置からの湯を給湯設備に供給する給湯経路(以下、ヒートポンプ給湯経路と称する)に新たに接続していた。このような接続位置であると、太陽熱給湯経路を接続するための弁をヒートポンプ給湯経路に設置する等の改変作業を行うために、ヒートポンプ給湯装置からの給湯設備への給湯を停止せざるを得ず、使用者に不便をかけてしまうこととなる。このため、給湯を停止する時間をできる限り短縮したいという要望がある。
【0009】
また特許文献1のような給湯システムでは、太陽熱給湯装置からの湯の温度と、ヒートポンプ給湯装置からの湯の温度、および給水の温度を検知し、2つの弁を調整して設定温度の湯を生成する。このような制御方法であると、給湯システム全体、すなわちヒートポンプ給湯装置と太陽熱給湯装置の両方を管理する制御システムを組まなくてはならないため、制御システムが複雑化してしまう。また上述したように既設のヒートポンプ給湯装置に太陽熱給湯装置を接続した場合には、ヒートポンプ給湯装置の制御システムの変更を伴うこととなり、コストの増大を招いてしまう。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑み、給湯を停止する時間の短縮を図ることができ、かつ制御システムの複雑化および変更を回避することが可能な給湯システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明にかかる給湯システムの代表的な構成は、所定温度の湯を給湯設備に給湯する給湯システムであって、太陽光を収集し太陽光の熱を用いて熱媒体を加熱する太陽熱収集装置と、加熱された熱媒体と水との熱交換を行って湯を生成する熱交換器と、加熱された熱媒体または熱交換器において生成された湯を貯留する集熱槽と、を有する太陽熱給湯装置と、内部に循環する一次冷媒と水との熱交換を行って湯を生成するヒートポンプと、ヒートポンプにおいて生成された湯を貯留する貯湯槽と、を有するヒートポンプ給湯装置と、を備え、太陽熱給湯装置からの湯を給湯する太陽熱給湯経路上には、給水を混合してほぼ所定温度以下の温度を上限とする温度調整を行う第1温度調整手段が設けられ、ヒートポンプ給湯装置からの湯を給湯するヒートポンプ給湯経路上には、貯湯槽からの湯と第1温度調整手段において温度調整された湯とを混合して温度調整を行う第2温度調整手段が設けられていることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、太陽熱給湯装置からの湯は、第1温度調整手段においてほぼ所定温度以下の温度を上限として温度調整される。すなわち、太陽熱給湯装置からの湯に対する制御(温度調整)は、太陽熱給湯装置からの湯の温度が所定温度以下となるように給水の混合量を調整するだけであり、第1温度調整手段において完結する。そして、温度調整された湯は、第2温度調整手段において貯湯槽からの湯と混合される。このとき、第1温度調整手段において温度調整された湯はほぼ所定温度以下の温度であるため、第2温度調整手段では、その温度が所定温度未満であった場合に湯の温度を上昇させるためにヒートポンプ給湯装置の湯の混合量を調整するだけの制御となる。換言すれば、ヒートポンプ給湯装置からの湯に対する制御(温度調整)は、単にヒートポンプ給湯装置として機能していた際に混合していた水の代わりに、第1温度調整手段において温度調整された湯をヒートポンプ給湯装置からの湯に混合するだけである。したがって、既設のヒートポンプ給湯装置に太陽熱給湯装置を接続する場合であってもヒートポンプ給湯装置のシステムを変更する必要がない。このように、各々の給湯装置で制御が独立しているため両方の給湯装置を管理する必要がなく、いずれの給湯装置においても単純な制御である。したがって、制御システムの複雑化を回避することが可能となる。
【0013】
また上述したように、ヒートポンプ給湯装置からの湯には第1温度調整手段において温度調整された湯が混合されるため、給水を混合する必要がない。故に、ヒートポンプ給湯装置からの湯の温度を調整するための給水を行う必要がなく、既設の給水経路が不要となる。このため、給水経路を接続するためにヒートポンプ給湯装置経路に設けられていた給水弁を第2温度調整手段として使用することができる。したがって、ヒートポンプ給湯装置と太陽熱給湯装置との接続は、既設の給水経路を給水弁(第2温度調整手段)から外して代わりに太陽熱給湯装置を接続するだけでよい。これにより、これらの給湯装置を接続するための作業に要する時間を著しく削減することができ、ヒートポンプ給湯装置からの給湯停止時間の大幅な短縮を図ることが可能となる。
【0014】
更に、ヒートポンプ給湯装置からの湯に、給水ではなく第1温度調整手段において温度調整された湯を混合することにより、かかる温度調整された湯が水よりも優先的に使用される。これにより、太陽熱を最大限有効活用することができ、省エネルギーの更なる促進を図ることが可能となる。
【0015】
上記の給湯設備は、所定温度の湯を継続的に循環させる循環式給湯設備であるとよい。かかる循環式給湯設備は、湯を常時循環させて使用するホテルなどの商業施設等に設けられることが多い。このような商業施設等では、改変作業のために給湯を停止した際の不都合は、施設の所有者側だけでなく施設の利用者側にも及んでしまう。このため、循環式給湯設備に本発明を適用することにより、上述したような作業時間の短縮が図れるという利点を最大限に享受することが可能となる。
【0016】
上記の第1温度調整手段が調整する所定温度は、第2温度調整手段における温度調整の範囲の下限よりも低いとよい。
【0017】
仮に、第1温度調整手段により調整された湯の温度が常にほぼ所定温度であった場合、ヒートポンプ給湯装置の貯湯槽に貯留される湯は全く使用されないこととなる。すると、貯湯槽上方の高温域に貯留される高温の湯の熱は、貯湯槽下方の低温域に貯留される低温の水に移動して温度成層の拡散が生じるため、ヒートポンプへの入水温度が上昇し、COP(Coefficient Of Performance:成績係数)が低下してしまう。
【0018】
そこで、貯湯槽に貯留された湯(ヒートポンプ給湯装置において生成された湯)の利用を促進したい場合には、上記構成のように第1温度調整手段において、太陽熱給湯装置からの湯を第2温度調整手段における温度調整の範囲の下限よりも低い温度に調整するとよい。これにより、第2温度調整手段において必ず温度調整が必要となる。したがって、貯湯槽の上方に貯留される湯が必ず使用されることとなり、貯湯槽内の温度成層の拡散を防ぐことができ、貯湯槽の下方(低温域)に貯留される水の温度上昇が生じない。これにより、ヒートポンプへの入水温度の上昇を抑制することができるため、COPの低下を防ぐことができる。
【0019】
上記の給湯設備を循環した湯の戻り経路は太陽熱給湯装置への給水経路上に接続され、給水経路上の戻り経路の接続位置より上流側には、給湯設備を循環した湯を貯留し、かつヒートポンプの貯湯槽と給水側を連通する第2貯留槽が設けられているとよい。
【0020】
上記構成のように、太陽熱給湯装置への給水経路上において、戻り経路の接続位置より上流側に第2貯留槽を設けることにより、給湯設備を循環した湯を戻り経路から抜き出して第2貯留槽に貯留することができる。したがって、給湯設備を循環している湯の温度が低下した場合に、その湯の一部を第2貯留槽に抜き出して貯留し、抜き出した分だけヒートポンプ給湯装置からの高温の湯を循環している湯に追加して温度調整を行うことが可能となる。これにより、より効率的な温度制御を行うことができる。
【0021】
更に、第2貯留槽に抜き出された湯はある程度温度が高い、いわゆる予熱された状態である。このため、その湯を給水経路を通じて太陽熱給湯装置に供給すれば、少ない熱量で迅速に所定温度近傍まで加熱することができる。また第2貯留槽に湯を抜き出すことにより、その湯が給水に混ざってヒートポンプの貯湯槽の下方に流入することを防ぐことができる。したがって、貯湯槽の下方には低温の水が貯留されるため低温域の温度上昇が生じない。このため、ヒートポンプへの入水温度の上昇を抑制し、COPの低下を防止できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、給湯を停止する時間の短縮を図ることができ、かつ制御システムの複雑化および変更を回避することが可能な給湯システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態にかかる給湯システムの概略構成を示す図である。
【図2】第2実施形態にかかる給湯システムの概略構成を示す図である。
【図3】第3実施形態にかかる給湯システムの概略構成を示す図である。
【図4】第4実施形態にかかる給湯システムの概略構成を示す図である。
【図5】第5実施形態にかかる給湯システムの概略構成を示す図である。
【図6】第6実施形態にかかる給湯システムの概略構成を示す図である。
【図7】第7実施形態にかかる給湯システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる給湯システム100の概略構成を示す図である。なお、図1中、熱媒体が通過する経路を二点鎖線で示し、高温水または中温水が通過する経路を実線で示し、低温水(水)が通過する経路を破線で示す。
【0026】
図1に示す給湯システム100は、所定温度の湯を給湯設備に給湯するシステムである。本実施形態では、かかる給湯設備として、高温の湯(以下、高温水と称する)を給湯する高温給湯設備102と、高温水より温度が低い所定温度の中温の湯(以下、中温水と称する)を給湯する中温給湯設備104を例示する。なお、理解を容易にするために、以下の説明では高温水の温度を90℃、中温水の温度すなわち所定温度を60℃と仮定して説明する。
【0027】
また本実施形態では、高温給湯設備102として、これに供給された湯が循環しない非循環式給湯設備を、中温給湯設備104として、これに供給された湯が循環する循環式給湯設備を例示するが、これに限定するものではない。したがって、逆の構成であってもよいし、高温給湯設備102および中温給湯設備104ともに非循環式給湯設備または循環式給湯設備としてもよい。
【0028】
本実施形態の給湯システム100は、主に、太陽熱給湯装置110、ヒートポンプ給湯装置130、およびそれらに接続される経路に設けられる温度調整手段(第1温度調整手段152および第2温度調整手段154)から構成される。
【0029】
太陽熱給湯装置110は、太陽熱を利用して水を加熱することにより湯を生成する。太陽熱給湯装置110では、内部の熱媒体循環経路110aに熱媒体が循環している。かかる熱媒体としては不凍液が好適であり、例えばエチレングリコールを例示することができる。しかし、これに限定するものではなく、他の熱媒体(冷媒)を用いてもよい。
【0030】
熱媒体循環経路110a上には、太陽熱収集装置112、集熱槽114およびポンプ116が設けられている。このポンプ116を動力として、熱媒体が熱媒体循環経路110aを通過して太陽熱収集装置112および集熱槽114を循環する。
【0031】
太陽熱収集装置112は、太陽光を収集し太陽光の熱(太陽熱)を用いて熱媒体を加熱する。太陽熱収集装置112には熱媒体が循環していて、かかる熱媒体は、太陽熱収集装置112において収集された太陽熱を吸熱することにより加熱される(熱媒体の温度が上昇する)。本実施形態では、加熱された熱媒体は集熱槽114内部に設けられた熱交換器114aに流入する。
【0032】
集熱槽114は、熱交換器114aによって生成された湯を貯留する。本実施形態では、集熱槽114を密閉式集熱槽としている。これにより、開放式集熱槽を用いた場合と比べて経時での放熱を抑制することができ、且つ水道圧を利用して給湯可能なため後述する太陽熱給湯経路172におけるポンプの設置が不要となる。
【0033】
また集熱槽114は、給水経路160から分岐した太陽熱給水経路162が下方に接続されていて、給水経路160からの給水(以下、低温水と称する)が供給される。更に集熱槽114の内部には熱交換器114aが設けられている。熱交換器114aは、太陽熱収集装置112において加熱された熱媒体が循環していて、かかる熱媒体と、太陽熱給水経路162から供給された水との熱交換を行って湯を生成する。このような構成により、太陽熱給湯装置110では、熱媒体を介して太陽熱により水を加熱して湯を生成することが可能となる。
【0034】
上記の太陽熱収集装置112には、太陽熱収集装置112における熱媒体の温度を検知する第1温度センサ112bを、集熱槽114には、集熱槽114における湯の温度を検知する第2温度センサ114bを設けるとよい。これにより、第1温度センサ112bが検知した熱媒体の温度および第2温度センサ114bが検知した湯の温度との温度を参照することができる。したがって、これらの温度に差がある場合、すなわち熱媒体と湯との熱交換が可能な場合のみにポンプ116を作動させて太陽熱給湯装置110を運転することができ、運転効率を高めることができる。
【0035】
太陽熱給湯装置110において生成された湯は集熱槽114に貯湯され、必要に応じて、集熱槽114の上方に接続された太陽熱給湯経路172から給湯される。太陽熱給湯経路172は集熱槽114(太陽熱給湯装置110)からの湯を給湯する経路であり、本実施形態では、かかる太陽熱給湯経路172上に第1温度調整手段152が設けられる。第1温度調整手段152は、太陽熱給湯装置110からの湯に給水(低温水)を混合してほぼ所定温度以下の温度を上限とする温度調整を行う。
【0036】
詳細には、第1温度調整手段152には、給水経路160が太陽熱給水経路162において更に分岐した分岐給水経路166が接続されている。そして、第1温度調整手段152では、太陽熱給湯経路172を通過した集熱槽114からの湯に対する、分岐給水経路160からの低温水の量を調節することにより、かかる湯の温度をほぼ所定温度以下となるように調整する。すなわち、第1温度調整手段152は流量調節弁である。
【0037】
このような構成により、第1温度調整手段152では、太陽熱給湯装置110からの湯の温度が所定温度以下となるように低温水の混合量を調整するだけである。換言すれば、太陽熱給湯装置110からの湯の温度が所定温度を超えていた場合にのみ低温水を混合し、所定温度以下であった場合には低温水を混合する必要がない。このため、太陽熱給湯装置110からの湯に対する制御(温度調整)は、極めて単純なものとなり、第1温度調整手段152において完結する。
【0038】
また太陽熱給湯経路172上には開閉弁156が設けられている。これにより、開閉弁156の開閉によって太陽熱給湯経路172における湯の流通を制御することができる。そして、かかる開閉弁156を開状態とすることにより、第1温度調整手段152において温度調整された湯は、太陽熱給湯経路172を更に通過してその末端に接続された第2温度調整手段154に到達する。
【0039】
なお、本実施形態の太陽熱給湯装置110では、熱媒体循環経路110aに接続された膨張タンク118を更に設けている。膨張タンク118は、熱媒体循環経路110aを循環する熱媒体の温度が上昇して体積膨張が生じた際にその膨張を吸収して、かかる熱媒体の圧力を調整する。これにより、熱媒体循環経路110aにおける熱媒体の過剰な内圧の上昇を防ぐことができ、内圧上昇による装置の破損を未然に防ぐことが可能となる。
【0040】
更に、本実施形態では、太陽熱給水経路162および太陽熱給湯経路172はバイパス経路192で接続されている。詳細には、太陽熱給水経路162における分岐給水経路166の分岐点より上流側と太陽熱給湯経路172の開閉弁156より下流側にはバイパス経路192が接続されていて、かかるバイパス経路192にはバイパス弁194が設けられている。このような構成により、バイパス弁194の開閉によって太陽熱給水経路162における給水の流通を制御することできる。
【0041】
すなわち、開閉弁156を閉状態としバイパス経路192を開状態とすれば、給水経路160から太陽熱給湯装置110に向かった(太陽熱給水経路162に流れ込んだ)給水は、かかる太陽熱給水経路162の途中に接続されるバイパス経路192を通過する。そして、バイパス経路192を通過した給水は太陽熱給湯経路172に流れ込んで第2温度調整手段154に到達する。これにより、万が一太陽熱給湯装置110や第1温度調整手段152が故障した場合やそれらの点検時等に、後述するヒートポンプ給湯装置130のみを単体で動作させて給湯を行うことが可能となる。
【0042】
ヒートポンプ給湯装置130は、大気熱および電力を利用して水を加熱することにより湯を生成する。かかるヒートポンプ給湯装置130は、ヒートポンプ行き経路130aおよびヒートポンプ戻り経路130bにより接続されたヒートポンプ132および貯湯槽134を備える。
【0043】
本実施形態では、ヒートポンプ行き経路130a上にポンプ136が設けられている。これにより、貯湯槽134からヒートポンプ132に水(低温水)を供給し、ヒートポンプ132における加熱により生成された湯を貯湯槽134に供給することができる。すなわち、本実施形態では、ポンプ136を動力としてヒートポンプ給湯装置130内に水または湯が循環する。
【0044】
なお、図1では、理解を容易にするためにポンプ136をヒートポンプ行き経路130a上に設ける構成を示したが、かかる構成はあくまでも例示である。一般的には、ポンプ136は後述するヒートポンプ132に内部に設けられており、それを使用すればヒートポンプ行き経路130a上にポンプ136を別途設ける必要はない。また、本実施形態ではポンプ136をヒートポンプ行き経路130a上に設ける構成としたが、ヒートポンプ戻り経路130bに設けても上記と同様の動作が可能である。
【0045】
ヒートポンプ132は、内部に循環する一次冷媒と水との熱交換を行って湯を生成する。かかる一次冷媒としては、自然冷媒であるCOを好適に用いることができるが、これに限定するものではなく、フロン等の他の熱媒体(冷媒)を用いてもよい。なお、ヒートポンプ132の構成および原理については、当業者には周知であるため、以下簡略に説明する。
【0046】
ヒートポンプ132の内部には、蒸発器、圧縮機、凝縮器および膨張弁(すべて不図示)が設けられていて、これらを一次冷媒が循環する。低温低圧二相流体の一次冷媒は、蒸発器において外気と熱交換することにより大気熱を吸熱して気化し、低温低圧気体となる。これを圧縮機において電力を利用して圧縮し、高温高圧気体とする。高温高圧気体の一次冷媒は凝縮器において、ヒートポンプ行き経路130aを通じて貯湯槽134から供給された水と熱交換することにより放熱して凝縮(液化)し高温高圧液体となる。そして、高温高圧液体一次冷媒は膨張弁で減圧されて再度低温低圧二相流体となり、蒸発器において再度大気熱を吸収可能となる。このサイクルを繰り返し行うことでヒートポンプにおいて湯が生成される。
【0047】
貯湯槽134は、ヒートポンプ132において生成された湯や給水経路160から供給された低温水を貯留する。本実施形態では貯湯槽134は密閉型貯湯槽である。これにより、上述した集熱槽114と同様に放熱の抑制、および水道圧を利用した給湯を行うことが可能となる。
【0048】
貯湯槽134の下方にはヒートポンプ行き経路130a、および給水経路160から分岐したヒートポンプ給水経路164が接続されている。これにより、ヒートポンプ給水経路164を介して給水経路160からの低温水が貯湯槽134に供給され、その低温水をヒートポンプ行き経路130aを通じてヒートポンプ132に送出することが可能となる。
【0049】
また貯湯槽134の上方には、ヒートポンプ戻り経路130bおよびヒートポンプ給湯経路174が接続されている。これにより、貯湯槽134からの低温水を加熱することによりヒートポンプ132において生成された湯がヒートポンプ戻り経路130bを通じて貯湯槽134に送出されて貯湯される。そして、貯湯された湯はヒートポンプ給湯経路174を通じて給湯される。
【0050】
ヒートポンプ給湯経路174は、その末端が第2温度調整手段154に接続されている。これにより、貯湯槽134に貯湯された湯はヒートポンプ給湯経路174を通じて第2温度調整手段154に供給されるため、第2温度調整手段154においてかかる湯を用いた温度調整を行うことが可能となる。なお、第2温度調整手段154における温度調整については後に詳述する。
【0051】
またヒートポンプ給湯経路174はその途中から高温給湯経路176に分岐している。そこで、本実施形態では、ヒートポンプ132は、高温給湯設備102の給湯設定温度とほぼ同じ温度の湯、すなわち高温水を生成する。これにより、ヒートポンプ給湯装置130において生成した高温水を、第2温度調整手段154を通過させることなく、換言すれば温度調整を必要とすることなく高温給湯設備102に直接供給することが可能となる。
【0052】
上述したように、ヒートポンプ給湯経路174の末端は第2温度調整手段154に接続されている。換言すれば、ヒートポンプ給湯装置130からの湯を給湯するヒートポンプ給湯経路174上には、第2温度調整手段154が設けられている。第2温度調整手段154は、貯湯槽134(ヒートポンプ給湯装置130)からの湯と第1温度調整手段152において温度調整された湯とを混合して温度調整を行う。
【0053】
詳細には、第2温度調整手段154では、ヒートポンプ給湯経路174から供給される貯湯槽134からの湯の量と、太陽熱給湯経路172から供給される第1温度調整手段152において温度調整された湯の量とを調節し、混合後の湯の温度が所定温度となるように、言い換えれば混合後の湯が中温水となるように調整する。すなわち、第2温度調整手段154は流量調節弁である。
【0054】
第1温度調整手段152において温度調整された湯はほぼ所定温度以下の温度である。このため、第2温度調整手段154では、その温度が所定温度未満であった場合にのみ、湯の温度を上昇させるために貯湯槽134の湯の混合量を調整し、所定温度であった場合には貯湯槽134の湯を混合する必要がない。したがって、ヒートポンプ給湯装置130(貯湯槽134)からの湯に対する制御(温度調整)においても、極めて単純なものとなり、第2温度調整手段154において完結する。
【0055】
また、貯湯槽134からの湯と、第1温度調整手段152において温度調整された湯とを混合するということは、ヒートポンプ給湯装置130が単体として機能していた際にその湯に混合していた給水の代わりに、第1温度調整手段152において温度調整された湯を混合するとも捉えることができる。このため、既設のヒートポンプ給湯装置に太陽熱給湯装置110を接続する場合であってもヒートポンプ給湯装置のシステムを変更する必要がない。
【0056】
更に、上記のように貯湯槽134からの湯に第1温度調整手段152において温度調整された湯が混合されることにより、従来行われていた給水(低温水)の混合ひいては既設の給水経路が不要となる。このため、既設のヒートポンプ給湯経路において給水経路を接続するために設けられていた給水弁を第2温度調整手段154として使用することができる。したがって、ヒートポンプ給湯装置130と太陽熱給湯装置110との接続は、給水弁(第2温度調整手段154)から既設の給水経路を外し、その代わりに太陽熱給湯装置110を接続するだけでよい。これにより、これらの給湯装置の接続作業に要する時間、ひいてはヒートポンプ給湯装置130からの給湯停止時間の大幅な短縮を図ることが可能となる。
【0057】
また第2温度調整手段154において、第1温度調整手段152において温度調整された湯を貯湯槽134からの湯に混合することにより、第1温度調整手段152において温度調整された湯、すなわち太陽熱を利用して生成された湯が低温水よりも優先的に使用される。これにより、太陽熱を最大限有効活用することができ、省エネルギーの更なる促進を図ることが可能となる。
【0058】
上記のように第1温度調整手段152において温度調整された湯の優先利用は極めて有意義な利点である。しかしながら、仮に、例えば晴天時等において、太陽熱給湯装置110で生成した湯の温度が高く、その湯の温度が常にほぼ所定温度であった場合や、第1温度調整手段152での温度調整によりほぼ所定温度に調整できる場合、第2温度調整手段154における高温水の混合が不要になる。すると、ヒートポンプ給湯装置130の貯湯槽134上方の高温域に貯留される湯(ヒートポンプ132において生成された高温水)は全く使用されないこととなり、貯湯槽134内において、高温水の熱は貯湯槽134下方の低温域に貯留される低温水に移動し、温度成層の拡散が生じる。このため、ヒートポンプ132への入水温度が上昇し、COPが低下してしまう。
【0059】
そこで、貯湯槽134に貯留された湯(ヒートポンプ132において生成された高温水)の利用を促進したい場合には、第1温度調整手段152が調整する所定温度は、第2温度調整手段154における温度調整の範囲の下限よりも低くなるように設定するとよい。これにより、第2温度調整手段154において必ず温度調整が必要となるため、貯湯槽134の上方に貯留される高温水が必然的に使用されることとなり、貯湯槽134内の温度成層の拡散を防ぐことができる。したがって、貯湯槽134の下方に貯留される低温水の温度上昇が生じることがなく、ヒートポンプ132への入水温度の上昇を抑制し、COPの低下を防止できる。
【0060】
上記のようにして第2温度調整手段154において温度調整された湯は、中温給湯経路178を通じて中温給湯設備104に供給される。本実施形態では、中温給湯設備104は、所定温度の湯を継続的に循環させる循環式給湯設備である。循環式給湯設備は、湯を常時循環させて使用するホテルなどの商業施設等に設けられることが多いため、改変作業時に給湯を停止した際の不都合は、施設の所有者側だけでなく施設の利用者側にも及んでしまう。このため、中温給湯設備104のような循環式給湯設備に湯を供給する場合に給湯システム100を適用することにより、上述したような作業時間および給湯停止時間の短縮が図れるという利点を最大限に享受することができる。
【0061】
そして、中温給湯経路178を通じて中温給湯設備104に供給された中温水は、かかる中温給湯設備104において消費されなかった場合、中温戻り経路180に流れる。中温戻り経路180にはポンプ182が設けられていて、これを動力として第2温度調整手段154において温度調整された中温水が中温給湯経路178および中温戻り経路180を循環する。
【0062】
また本実施形態では、中温戻り経路180は途中で中温循環経路180aおよび中温抜出経路180bに分岐する。中温循環経路180aは、その末端が太陽熱給湯経路172に接続されていて、中温抜出経路180bは、その末端がヒートポンプ給水経路164に接続されている。
【0063】
中温給湯設備104からの戻り湯(中温戻り経路180を通過する湯)の温度が所定温度であった場合には、かかる戻り湯は、中温循環経路180aおよび太陽熱給湯経路172を通過して第2温度調整手段154に到達する。このとき、戻り湯は、その温度が所定温度であるため第2温度調整手段154において再度の温度調整を行われることなく、中温給湯経路178を通じて中温給湯設備104に循環する。
【0064】
一方、循環時における熱ロス等により温度が低下し、中温給湯設備104からの戻り湯の温度が所定温度未満であった場合、かかる戻り湯の一部は、中温循環経路180aではなく中温抜出経路180bを通じてヒートポンプ給水経路164を通過する低温水に合流する。所定温度未満となってしまった戻り湯を第2温度調整手段154において再度温度調整するためには、ヒートポンプ給湯装置130からの湯を足す必要がある。しかし、中温給湯経路178および中温戻り経路180(厳密には中温循環経路180aも含まれる)が湯で満たされていると足し湯をすることができない。
【0065】
そこで、中温抜出経路180bを通じて戻り湯の一部(足し湯をする分の量の湯)を抜き出す。これにより、第2温度調整手段154において、抜き出した分の量の湯をヒートポンプ給湯装置130から足すことができ、戻り湯を再度温度調整することが可能となる。なお、抜き出す湯の量は、第2温度調整手段154において戻り湯を再度温度調整して所定温度にするために必要な量に応じて決定すればよい。
【0066】
上記のようにして第2温度調整手段154において再度温度調整された湯は、中温給湯経路178を通じて中温給湯設備104に供給される。一方、中温抜出経路180bを通じて抜き出した湯は、ヒートポンプ給水経路164において給水経路160からの給水と合流して貯湯槽134に供給される。このような構成により、中温給湯設備104を循環する湯の温度を好適に維持することができる。
【0067】
上記説明したように、第1実施形態にかかる給湯システム100によれば、太陽熱給湯装置110からの湯に対する制御(温度調整)は第1温度調整手段152において完結し、ヒートポンプ給湯装置130からの湯に対する制御(温度調整)は第2温度調整手段154において完結する。したがって、各々の給湯装置で制御が独立しているため両方の給湯装置を管理する必要がなく、制御システムの複雑化を回避することが可能となる。特に、第2温度調整手段154における温度調整では単にヒートポンプ給湯装置として機能していた際に混合していた給水の代わりに、第1温度調整手段152からの湯をヒートポンプ給湯装置130からの湯に混合するだけである。このため、ヒートポンプ給湯装置130のシステムを変更する必要がなくシステム変更に伴うコスト増加を防ぐことができる。
【0068】
また上述したように、ヒートポンプ給湯装置130からの湯には第1温度調整手段152において温度調整された湯が混合されるため、給水を混合する必要がなく、既設の給水経路が不要となる。このため、ヒートポンプ給湯経路174に給水経路を接続するための従来の給水弁を第2温度調整手段154として使用することができる。したがって、ヒートポンプ給湯装置130と太陽熱給湯装置110との接続は、給水弁(第2温度調整手段154)に既設の給水経路の代わりに太陽熱給湯経路172(太陽熱給湯装置110)を接続するだけでよく、接続作業に要する時間、ひいてはヒートポンプ給湯装置130の給湯停止時間の大幅な短縮を図ることが可能となる。更に、第1温度調整手段152において温度調整された湯を混合することにより、かかる温度調整された湯を優先的に使用することができ、太陽熱の有効活用を図り、省エネルギーの更なる促進が可能となる。
【0069】
なお、上述したように、本実施形態ではヒートポンプ給湯装置130の湯を直接高温給湯設備102に供給可能にするために、ヒートポンプ132は高温給湯設備102の給湯設定温度をほぼ同じ温度の湯を生成することとした。しかし、仮に給湯システム100の給湯対象となる給湯設備が中温給湯設備104のみであった場合、ヒートポンプ132の生成する湯の温度を高温給湯設備102の給湯設定温度とする必要がなくなる。この場合、ヒートポンプ132の生成する湯の温度は、中温給湯設備104の給湯設定温度以上となるようにする。ヒートポンプ132の生成する湯の温度が中温給湯設備104の給湯設定温度を下回ってしまうと、第2温度調整手段154において第1温度調整手段152からの湯の温度調整を行えなくなってしまうからである。
【0070】
また本実施形態では、太陽熱給湯装置110において生成した湯(厳密には、それを第1温度調整手段152において温度調整した湯)と、ヒートポンプ給湯装置130において生成した湯を第2温度調整手段154において混合しているが、それには、当該給湯システム100全体が同圧力となっていることが前提となる。しかしながら、通例、ヒートポンプ給湯装置130では給水圧力に上限がある。このため、例えば給水経路160の給水圧力がヒートポンプ給湯装置130の給水圧力の上限を超えていた場合には、かかる上限に合わせて、給水経路160の給水圧力、すなわち給湯システム100全体の圧力を調整する必要がある。
【0071】
そこで、当該給湯システム100では、給水経路160において、太陽熱給水経路162とヒートポンプ給水経路164への分岐点よりも上流側に減圧弁196を設けている。これにより、給水経路160の給水圧力を減圧し、給湯システム100の圧力を好適に調整することが可能となる。なお、これに限定するものではなく、給湯システム100全体の圧力調整(減圧)が不要な場合には減圧弁196は必ずしも設ける必要はないし、給湯システム100全体の圧力を昇圧する必要がある場合には増圧ポンプ(不図示)を設けるべきである。更には、減圧弁196と増圧ポンプとを給湯システム100に併設してもよい。
【0072】
次に、本発明の給湯システムの他の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態では、かかる実施形態より先に説明した実施形態の構成要素と実質的に同一の機能や構成を有する要素については、同一の符号を付することにより説明を省略する。また、以下の実施形態の説明に用いる図面においても、二点鎖線、実線および破線で示される経路を通過する流体は図1と同じである。
【0073】
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態にかかる給湯システム200の概略構成を示す図である。図2に示す給湯システム200の主な特徴は、太陽熱給湯装置の構成および第2温度調整手段である。
【0074】
第1実施形態の太陽熱給湯装置110では集熱槽114は密閉型集熱槽であったのに対し、本実施形態の太陽熱給湯装置210では、熱媒体循環経路210a上に設けられる集熱槽214として開放型集熱槽を用いる。これにより、集熱槽を大容量にした場合に要するコストが、密閉型集熱槽を用いた場合と比べて安価になり、コストの削減を図ることができる。また、開放型集熱槽であれば、内部に貯留する流体(本実施形態においては熱媒体)の量を調節できるため、集熱量を増減させることが可能となる(集熱量が可変になる)。
【0075】
集熱槽214は、熱媒体循環経路210aを循環して太陽熱収集装置112において加熱された熱媒体を貯留する。かかる集熱槽214には、第2熱媒体循環経路210bによって熱交換器218が接続されている。すなわち、本実施形態では、熱交換器218は集熱槽214内部に設けられる内部熱交換器ではなく、集熱槽214外部に設けられている外部熱交換器である。集熱槽214を外部熱交換器とすることにより、集熱槽214内部により多くの熱媒体を貯留することができるようになり、蓄熱量を増大させることができる。
【0076】
上述したように熱交換器218は、第2熱媒体循環経路210bが接続され、かかる第2熱媒体循環経路210bに設けられたポンプ216を動力として集熱槽214に貯留された熱媒体が循環する。また熱交換器218は、給水経路160からの低温水を供給する太陽熱給水経路162が接続される。このような構成により、熱交換器218(太陽熱給湯装置210)において熱媒体と低温水との熱交換を行って湯を生成することが可能となる。
【0077】
なお、熱交換器218において、第2熱媒体循環経路210bと太陽熱給水経路162とは、それらを流通する流体が対向流となるように接続されるとよい。これにより、熱交換器218の熱交換効率を高めることができる。
【0078】
熱交換器218において生成された湯は、第1温度調整手段152において第1実施形態と同様の温度調整をされた後に太陽熱給湯経路172を更に通過する。本実施形態では、太陽熱給湯経路172の末端は第2温度調整手段254に接続されていて、太陽熱給湯経路172を更に通過した湯(第1温度調整手段152において温度調整された湯)は第2温度調整手段254に到達する。
【0079】
本実施形態では第2温度調整手段254として四方弁を用いる。第1実施形態の第2温度調整手段154は、太陽熱給湯経路172、ヒートポンプ給湯経路174および中温給湯経路178の3つの経路が接続され、これらの混合量を調整する三方弁であった(図1参照)。これに対し、第2温度調整手段254に四方弁を用いることにより、上記の3つの経路に加えて中温循環経路180aを更に接続することが可能となる。
【0080】
一般的に、流体が流れる経路である配管を他の配管に接続する場合、それらを直接接続するためには、元の配管を切断して端部にネジを切って分岐コネクタを設置した上で他の配管を接続する必要がある。したがってこの作業よりは、一方の配管に設けられた弁に他方の配管を接続するほうが作業が容易である。したがって、上記構成によれば、中温循環経路180aの接続作業が容易となり、作業時間の更なる短縮を図ることが可能となる。
【0081】
上記説明したように、第2実施形態にかかる給湯システム200によれば、集熱槽214として開放型集熱槽を用いたことにより、特に大容量の集熱槽とした場合のコストの削減や、集熱量の調整が可能となる。また第2温度調整手段254として四方弁を採用したことにより、接続作業を容易とし、作業時間を更に短縮することができる。
【0082】
(第3実施形態)
図3は、第3実施形態にかかる給湯システム300の概略構成を示す図である。図3に示す給湯システム300の主な特徴は、第2貯留槽302を更に備える点および貯湯槽134の中温域の湯を利用可能な点である。なお、太陽熱給湯装置の構成については第2実施形態の太陽熱給湯装置210と同様であるため、以下の実施形態における説明は省略する。
【0083】
第3実施形態の給湯システム300では、中温給湯設備104を循環した湯がかかる中温給湯設備104から給湯装置側に戻る経路のうち、中温抜出経路380bは、太陽熱給湯装置210への給水経路である太陽熱給水経路162に接続されている。そして、太陽熱給水経路162上の中温抜出経路380bの接続位置より上流側には第2貯留槽302が設けられている。
【0084】
第2貯留槽302は、中温給湯設備104を循環した湯、すなわち中温給湯設備104から中温戻り経路180、中温抜出経路380bおよび太陽熱給水経路162を通じて供給された湯を貯留する。
【0085】
第1実施形態において詳述したように、中温給湯設備104からの戻り湯の温度が所定温度未満であった場合、第2温度調整手段154において貯湯槽134からの湯を足して再度温度調整を行うために、戻り湯の一部を抜き出さなくてはならない。このため、第1実施形態では、中温抜出経路180bを通じて戻り湯の一部を抜き出してヒートポンプ給水経路164を通過する低温水に合流させていた。しかし、このような構成であると、抜き出した戻り湯の合流により貯湯槽134に供給される低温水の温度が上昇してヒートポンプ132の入水温度の上昇ひいてはCOPの低下を招いたり、戻り湯が有する熱の有効活用を図れなかったりする可能性があり、更なる改善の余地があった。
【0086】
そこで、本実施形態のように中温抜出経路380bの接続位置より上流側に第2貯留槽302を設けることにより、中温給湯設備104を循環した戻り湯を中温抜出経路380bから抜き出して貯留することができる。これにより、戻り湯が低温水に混ざって貯湯槽134の下方に流入することを防ぐことができ、ヒートポンプ132の入水温度の上昇を防ぎ、COPの低下を抑制することが可能となる。そして、第2温度調整手段154において貯湯槽134からの湯を抜き出した分だけ戻り湯に足して、再度の温度調整を好適に行うことが可能となる。
【0087】
また第2貯留槽302に貯留した戻り湯は、所定温度よりは低温であるものの給水経路160からの低温水よりは高温である。換言すれば、第2貯留槽302の戻り湯は予熱された状態である。このため、かかる戻り湯を太陽熱給水経路162を通じて太陽熱給湯装置210(厳密には熱交換器218)に供給することにより、低温水を供給した場合よりも少ない熱量で迅速に所定温度近傍まで加熱することができる。したがって、太陽熱給湯装置210における湯の生成効率の向上を図り、且つ戻り湯の熱を有効活用することが可能となる。
【0088】
なお、第2貯留槽302は、太陽熱給水経路162上に設けられて、ヒートポンプ132の貯湯槽134と給水側(給水経路160)を連通している。このため、第2貯留槽302に戻り湯が貯湯されていない場合には、給水経路160からの低温水が太陽熱給水経路162および第2貯留槽302を通過して貯湯槽134に供給される。
【0089】
更に、本実施形態の給湯システム300では貯湯槽134の中温域の湯を利用可能である。第1実施形態において説明したように、太陽熱給湯装置210において生成した湯の温度が高い場合、貯湯槽134の高温水が使用されない。このため、貯湯槽134の上方の高温域に貯留(貯湯)される高温水の熱が下方の低温域に貯留される低温水に移動して温度成層の拡散が生じてしまう。
【0090】
そこで、貯湯槽134の高さ方向の中央近傍に貯湯槽抜出経路304を設ける。これにより、貯湯槽134の高温域と低温域の間(中温域)に貯留される湯、すなわち高温水からの熱移動により温度が上昇してしまった湯を抜き出すことができる。したがって、抜き出した分の高温水や低温水を貯湯槽134に足すことができ、温度成層の拡散(たるみ)を修正することが可能となる。
【0091】
貯湯槽抜出経路304の末端は、太陽熱給水経路162に設けられる切換弁306に接続されている。切換弁306は、貯湯槽抜出経路304を通じて抜き出した中温域の湯の太陽熱給水経路162への合流を切り換える。これにより、切換弁306を開状態とすれば、貯湯槽抜出経路304を通じて抜き出した湯を太陽熱給水経路162を通じて熱交換器218に供給することができる。ヒートポンプ132の中温域の湯も低温水より温度が高いため、予め予熱された湯と捉えることができる。したがって、この湯を熱交換器218に供給することにより、上述したように太陽熱給湯装置210の湯の生成効率の向上を図り、且つその熱を有効活用することが可能となる。
【0092】
上記説明したように、第3実施形態にかかる給湯システム300によれば、第2貯留槽302に中温給湯設備104からの戻り湯を貯留することができる。これにより、戻り湯の合流によるヒートポンプ132の入水温度の上昇を防ぎ、COPの低下を抑制することができ、且つ貯留した戻り湯を太陽熱給湯装置210に供給して湯の熱の有効活用を図ることも可能となる。また貯湯槽抜出経路304によって貯湯槽134の中温域の湯を抜き出すことができるため、貯湯槽134の温度成層の拡散を好適に修正することが可能となり、その湯を太陽熱給湯装置210に供給して生成効率の向上を図ることもできる。
【0093】
(第4実施形態)
図4は、第4実施形態にかかる給湯システム400の概略構成を示す図である。図4に示す給湯システム400の主な特徴は、貯湯槽を開放型貯湯槽にした点である。
【0094】
給湯システム400では、太陽熱給水経路464は貯湯槽434ではなくヒートポンプ132に直接接続される。そして、ヒートポンプ132において熱媒体との熱交換により生成された湯(高温水)はヒートポンプ戻り経路130bを通じて貯湯槽434に供給され、かかる貯湯槽434において貯湯される。
【0095】
第1実施形態の太陽熱給湯装置110では貯湯槽134は密閉型貯湯槽であったのに対し、本実施形態の太陽熱給湯装置410では貯湯槽434として開放型貯湯槽を用いる。これにより、上述した集熱槽214と同様にコストの削減や集熱量の調整を図ることが可能となる。
【0096】
なお、本実施形態では、貯湯槽434には給水経路160からの低温水は供給されずヒートポンプ132において生成された高温水のみが供給される。このため、貯湯槽434では温度成層が形成されない。したがって、ヒートポンプ戻り経路130bは必ずしも貯湯槽434の上方に接続する必要はなく、ヒートポンプ給湯経路174についても同様である。
【0097】
貯湯槽434に貯湯された高温水は、第2温度調整手段154において所定温度に温度調整され、ヒートポンプ給湯経路174を通じて中温給湯設備104に供給される。なお、貯湯槽434が開放型貯湯槽であった場合水道圧を利用できないため、貯湯槽434の湯の送出にはポンプ402を利用する。
【0098】
そして、中温給湯設備104から中温戻り経路480を通じて給湯装置側に戻る。このとき、本実施形態の中温戻り経路480は貯湯槽434に接続されているため、戻り湯は貯湯槽434に流入して再度貯湯される。これにより、戻り湯が給水経路160からの低温水に合流しないため、ヒートポンプ132の入水温度の上昇を抑制し、COPの低下を防ぐことが可能となる。
【0099】
ところで、中温給湯設備104からの戻り湯の温度は、循環時における熱ロス等により徐々に低下して所定温度未満となることも考えられる。このような湯を貯湯槽434に戻して貯湯し続けていくと、貯湯槽434内の全体の湯の温度が低下してしまうおそれがある。また既に述べたように、開放型貯湯槽は、放熱率が放熱密閉型貯湯槽よりも若干なりとも高いため、貯湯した高温水を放置すると少しずつ温度が低下してしまうという特性を有する。
【0100】
そこで、本実施形態では、貯湯槽434と太陽熱給水経路464とを接続する再熱経路404を設ける。これにより、貯湯槽434に貯湯された湯をヒートポンプ132に送出して再度熱媒体と熱交換させることができる。したがって、貯湯槽434内の湯の温度が低下したとしても再加熱することができ、所望の温度を好適に維持することが可能となる。
【0101】
上記説明したように、第4実施形態にかかる給湯システム400によれば、貯湯槽434として開放型貯湯槽を用いたことにより、コストの削減や集熱量の調整を図ることが可能となる。また再熱経路404を設けたことにより貯湯槽434に貯湯された湯の再加熱を行うことができ、かかる湯の温度を好適に維持することができる。
【0102】
(第5実施形態)
図5は、第5実施形態にかかる給湯システム500の概略構成を示す図である。図5に示す給湯システム500の主な特徴は、複数の貯湯槽を備える点である。
【0103】
第1実施形態のヒートポンプ給湯装置130では貯湯槽が1つであったのに対し、本実施形態では、複数の貯湯槽である第1貯湯槽534a、第2貯湯槽534bおよび第3貯湯槽534cを備える(以下、これらを総称するときは貯湯槽530と称する)。これらの貯湯槽534はすべて密閉型貯湯槽であるため、上述した貯湯槽134と同様の利点が得られる。
【0104】
貯湯槽530のうち、ヒートポンプ132に対して最上流側の第1貯湯槽534aの上方には、ヒートポンプ戻り経路530bが接続され、かかるヒートポンプ132において生成された高温水が供給される。この第1貯湯槽534aの下方とその下流側の第2貯湯槽534bの上方には第1連結経路530cが接続されていて、これらの貯湯槽が連結される。同様に、第2貯湯槽534bの下方とその下流側、すなわちヒートポンプ132に対して最下流側の第3貯湯槽534cの上方には第2連結経路530dが接続されていて、これらの貯湯槽が連結される。
【0105】
また、第3貯湯槽534cの下方には、ヒートポンプ給水経路564が接続され、給水経路160からの低温水が供給される。そして、かかる低温水は、第3貯湯槽534cに貯留され、同じく第3貯湯槽534cの下方に接続されたヒートポンプ行き経路530aを通じて必要に応じてヒートポンプ132に供給される。
【0106】
上記構成によれば、第1貯湯槽534aには高温水が貯留され(高温域)、第3貯湯槽534cには低温水が貯留される(低温域)。そして、それらの間に配置される第2貯湯槽534bには中温水(便宜上、中温水と称するが、上述したような所定温度60℃の湯に限定するものではない。)が貯湯されることとなる(中温域)。すなわち、第1実施形態では1つの貯湯槽134に上方から順に形成されていた高温域、中温域、低音域が、3つの貯湯槽530に分割されて形成されることとなる。これにより、より顕著な温度成層を形成することができる。また温度成層が複数の貯湯槽530に分割されて形成されていることにより、1つの貯湯槽に温度成層が形成されている場合よりも熱移動が生じにくいため、温度成層の拡散を好適に抑制することができる。
【0107】
第1貯湯槽534aに貯留された高温水は、その上方に接続されたヒートポンプ給湯経路574を通じて第2温度調整手段154に到達し、かかる第2温度調整手段154において太陽熱給湯経路172からの湯(第1温度調整手段152で温度調整された湯)と混合されて所定温度に調整される。そして、温度調整された中温水は、ヒートポンプ給湯経路574を更に通過して中温給湯設備104に供給される。
【0108】
中温給湯設備104からの戻り湯は、中温戻り経路180を通過し、その温度が所定温度であったら中温循環経路180aを通過して第2温度調整手段154に戻り、中温給湯設備104に循環する。一方、その温度が所定温度未満であった場合、中温戻り経路180を通過した戻り湯は、中温抜出経路580bを通じて一部抜き出される。
【0109】
本実施形態では、中温抜出経路580bは第3貯湯槽534cの下方に接続されている。したがって、中温抜出経路580bを通過した戻り湯は第3貯湯槽534cに供給される。このような構成により、戻り湯を第1貯湯槽534aに供給した場合に生じる高温水の温度低下を防ぐことができるため、給湯への支障が生じることがない。また戻り湯を第2貯湯槽534bに供給した場合に生じる温度成層の拡散も防ぐことができる。
【0110】
なお、本実施形態では貯湯槽が3つあり、中温抜出経路580bを第3貯湯槽534cに接続したが、これに限定するものではなく、第1貯湯槽534aまたは第2貯湯槽534bに接続してもよい。
【0111】
上記説明したように、第5実施形態にかかる給湯システム500によれば、複数の貯湯槽530のそれぞれに、上流側から順に高温域、中温域、低温域が分割されて形成される。これにより、より顕著な温度成層を形成することができ、且つ熱移動が抑制して温度成層の拡散を好適に防ぐことが可能となる。
【0112】
なお、本実施形態においては貯湯槽を3つ設けたが、これに限定するものではなく、貯湯槽は2つ設けてもよいし4つ以上設けてもよい。ただし、貯湯槽の数に拘わらず、ヒートポンプ戻り経路530bおよびヒートポンプ給湯経路574は最上流側の貯湯槽に接続され、ヒートポンプ行き経路530aおよびヒートポンプ給水経路564は最下流側の貯湯槽に接続されることが好ましい。
【0113】
また貯湯槽の数に拘わらず、中温抜出経路580bは最上流側(貯湯槽を2つ備える場合は単に上流側)以外の貯湯槽に接続されることが好ましく、更に好ましくは最下流側(貯湯槽を2つ備える場合は単に下流側)に接続されるとよい。上述したように、中温抜出経路580bを、最上流側の貯湯槽に接続すると給湯システム500の本来の目的である給湯に支障が生じる可能性があり、最上流側と最下流側との間に配置される貯湯槽(中間槽)に接続すると温度成層の拡散が生じるおそれがあるからである。
【0114】
(第6実施形態)
図6は、第6実施形態にかかる給湯システム600の概略構成を示す図である。図6に示す給湯システム600の主な特徴は、燃焼式給湯装置602を更に備える点である。
【0115】
燃焼式給湯装置602は、化石燃料を燃焼させて水を直接加熱して湯を生成する。かかる602としては、ボイラを好適に用いることができるかかる化石燃料としては、都市ガス、天然ガス、石油、石炭等を例示することができる。
【0116】
燃焼式給湯装置602には、太陽熱給水経路162から分岐した燃焼式給水経路662が接続されている。これにより、燃焼式給湯装置602に給水経路160からの低温水が供給される。なお、本実施形態においては燃焼式給水経路662を太陽熱給水経路162から分岐させたがこれに限定するものではない。燃焼式給水経路662は、例えば給水経路160における太陽熱給水経路162の分岐位置より上流側または下流側においてかかる給水経路160から分岐していてもよいし、給水経路160とは別の給水経路から低温水が供給される構成としてもよい。
【0117】
また燃焼式給湯装置602には、燃焼式給湯経路672が接続されていて、燃焼式給湯経路672の末端は中温給湯経路178に接続されている。これにより、燃焼式給湯装置602によって生成した湯を燃焼式給湯経路672および中温給湯経路178を通じて第2温度調整手段154に供給し、第2温度調整手段154における温度調整に用いることが可能となる。
【0118】
本実施形態では、ヒートポンプ給湯経路174において、貯湯槽134の下流側且つ燃焼式給湯経路672の合流位置の上流側に制御弁604が設けられる。かかる制御弁604は、貯湯槽134からの高温水の供給を制御する。これにより、制御弁604を、開状態とすれば貯湯槽134からの高温水が第2温度調整手段154に供給され、閉状態とすれば燃焼式給湯装置602からの湯が第2温度調整手段154に供給される。したがって、制御弁604の開閉を制御することにより、貯湯槽134すなわちヒートポンプ給湯装置130および燃焼式給湯装置602のうち、いずれの給湯装置からの給湯を行うかを選択することが可能となる。
【0119】
上記説明したように、第6実施形態にかかる給湯システム600によれば、燃焼式給湯装置602が設けられていることにより、ヒートポンプ給湯装置130の代わりに燃焼式給湯装置602を太陽熱給湯装置110に組み合わせて使用することが可能となる。これにより、燃焼式給湯装置602をヒートポンプ給湯装置130の点検時や故障時、またはそれに設けられる貯湯槽134の湯切れ時等のバックアップとすることができ、利便性を高めることが可能となる。
【0120】
(第7実施形態)
図7は、第7実施形態にかかる給湯システム700の概略構成を示す図である。図7に示す給湯システム700の主な特徴は、第6実施形態のような給水経路160からの低温水ではなく、太陽熱給湯装置110において生成された湯(厳密にはそれが第1温度調整手段152において温度調整された湯)が燃焼式給湯装置602に供給される点である。
【0121】
本実施形態では、燃焼式給湯装置602には、太陽熱給湯経路172から分岐した燃焼式給湯経路772が接続されている。これにより、燃焼式給湯装置602に、太陽熱給湯装置110において生成された湯が供給される。換言すれば、燃焼式給湯装置602には、太陽熱給湯装置110によって予熱された給水が供給される。
【0122】
燃焼式給湯装置602は、ヒートポンプ132とは異なり、入水温度が上昇してもCOPには影響しない。むしろ湯(予め予熱された給水)を供給することにより、燃焼式給湯装置602における加熱負荷が低減され、消費エネルギー量を削減することができる。したがって、上記説明した第7実施形態にかかる給湯システム700によれば、太陽熱給湯装置110を燃焼式給湯装置602に対する予熱装置として利用することできる。これにより、太陽熱給湯装置110において生成された湯ひいては太陽熱の有効活用を図りつつ、燃焼式給湯装置602の湯の生成効率を向上させることが可能となる。
【0123】
なお、第6実施形態および第7実施形態のいずれにおいても、上述した燃焼式給湯装置602が、ヒートポンプ給湯装置130において生成された湯または給水を加熱する際の設定温度は所定温度程度とするとよい。これは、上述したようにヒートポンプ給湯装置130の運転停止時に燃焼式給湯装置602をバックアップとして使用する場合には、第2温度調整手段154における温度調整が行われなくなるため、燃焼式給湯装置602において給水または湯所定温度まで加熱する必要が生じるからである。ただし、ヒートポンプ給湯装置130および燃焼式給湯装置602を同時運転可能な場合にはこの限りではない。
【0124】
また、第6実施形態および第7実施形態のように燃焼式給湯装置602を備える場合、すなわち3つの給湯装置を備える場合、それらの給湯装置が生成した湯(熱量)の利用優先順位を設けて給湯システムを制御するとよい。このとき、ランニングコスト、CO排出量、エネルギー消費量等の利点を複合的に考慮すると、利用優先順位は、太陽熱給湯装置110、ヒートポンプ給湯装置130、燃焼式給湯装置602の順であることが好ましい。
【0125】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、所定温度の湯を継続的に循環させる循環式の給湯設備への給湯を行う給湯システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0127】
100…給湯システム、102…高温給湯設備、104…中温給湯設備、110…太陽熱給湯装置、110a…熱媒体循環経路、112…太陽熱収集装置、112b…第1温度センサ、114…集熱槽、114a…熱交換器、114b…第2温度センサ、116…ポンプ、118…膨張タンク、130…ヒートポンプ給湯装置、130a…ヒートポンプ行き経路、130b…ヒートポンプ戻り経路、132…ヒートポンプ、134…貯湯槽、136…ポンプ、152…第1温度調整手段、154…第2温度調整手段、156…開閉弁、160…給水経路、162…太陽熱給水経路、164…ヒートポンプ給水経路、166…分岐給水経路、172…太陽熱給湯経路、174…ヒートポンプ給湯経路、176…高温給湯経路、178…中温給湯経路、180…中温戻り経路、180a…中温循環経路、180b…中温抜出経路、182…ポンプ、200…給湯システム、210…太陽熱給湯装置、210a…熱媒体循環経路、210b…第2熱媒体循環経路、214…集熱槽、218…熱交換器、254…第2温度調整手段、300…給湯システム、302…第2貯留槽、304…貯湯槽抜出経路、306…切換弁、380b…中温抜出経路、400…給湯システム、402…ポンプ、404…再熱経路、430…ヒートポンプ給湯装置、434…貯湯槽、464…太陽熱給水経路、480…中温戻り経路、500…給湯システム、530…貯湯槽、530a…ヒートポンプ行き経路、530b…ヒートポンプ戻り経路、530c…第1連結経路、530d…第2連結経路、534a…第1貯湯槽、534b…第2貯湯槽、534c…第3貯湯槽、564…ヒートポンプ給水経路、574…ヒートポンプ給湯経路、580b…中温抜出経路、600…給湯システム、602…燃焼式給湯装置、604…切換弁、662…燃焼式給水経路、672…燃焼式給湯経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定温度の湯を給湯設備に給湯する給湯システムであって、
太陽光を収集し該太陽光の熱を用いて熱媒体を加熱する太陽熱収集装置と、
前記加熱された熱媒体と水との熱交換を行って湯を生成する熱交換器と、
前記加熱された熱媒体または前記熱交換器において生成された湯を貯留する集熱槽と、
を有する太陽熱給湯装置と、
内部に循環する一次冷媒と水との熱交換を行って湯を生成するヒートポンプと、
前記ヒートポンプにおいて生成された湯を貯留する貯湯槽と、
を有するヒートポンプ給湯装置と、
を備え、
前記太陽熱給湯装置からの湯を給湯する太陽熱給湯経路上には、給水を混合してほぼ前記所定温度以下の温度を上限とする温度調整を行う第1温度調整手段が設けられ、
前記ヒートポンプ給湯装置からの湯を給湯するヒートポンプ給湯経路上には、前記貯湯槽からの湯と前記第1温度調整手段において温度調整された湯とを混合して温度調整を行う第2温度調整手段が設けられていることを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
前記給湯設備は、前記所定温度の湯を継続的に循環させる循環式給湯設備であることを特徴とする請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
前記第1温度調整手段が調整する前記所定温度は、前記第2温度調整手段における温度調整の範囲の下限よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の給湯システム。
【請求項4】
前記給湯設備を循環した湯の戻り経路は、前記太陽熱給湯装置への給水経路上に接続され、
前記給水経路上の前記戻り経路の接続位置より上流側には、前記給湯設備を循環した湯を貯留し、かつ前記ヒートポンプの貯湯槽と給水側を連通する第2貯留槽が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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